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2020-12-08 第203回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年十二月八日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十二月七日     辞任         補欠選任      林  芳正君     豊田 俊郎君  十二月八日     辞任         補欠選任      豊田 俊郎君     馬場 成志君      舞立 昇治君     本田 顕子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         上月 良祐君     理 事                 堂故  茂君                 藤木 眞也君                 山田 修路君                 田名部匡代君                 紙  智子君     委 員                 高橋 克法君                 豊田 俊郎君                 野村 哲郎君                 馬場 成志君                 本田 顕子君                 舞立 昇治君                 宮崎 雅夫君                 山田 俊男君                 石垣のりこ君                 郡司  彰君                 森 ゆうこ君                 河野 義博君                 熊野 正士君                 高橋 光男君                 石井 苗子君                 舟山 康江君                 須藤 元気君    国務大臣        農林水産大臣   野上浩太郎君    副大臣        農林水産大臣  宮内 秀樹君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       熊野 正士君    事務局側        常任委員会専門        員        笹口 裕二君    政府参考人        法務省大臣官房        審議官      保坂 和人君        農林水産省大臣        官房長      横山  紳君        農林水産省消費        ・安全局長    新井ゆたか君        農林水産省食料        産業局長     太田 豊彦君        農林水産省生産        局長       水田 正和君        農林水産省農村        振興局長     牧元 幸司君        農林水産省政策        統括官      天羽  隆君        農林水産省農林        水産技術会議事        務局長      菱沼 義久君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (畜産物等価格安定等に関する件)  (畜産物価格等に関する決議の件)     ─────────────
  2. 上月良祐

    委員長上月良祐君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、林芳正さんが委員辞任され、その補欠として豊田俊郎さんが選任されました。     ─────────────
  3. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省大臣官房審議官保坂和人さん外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 農林水産に関する調査を議題とし、畜産物等価格安定等に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 藤木眞也

    藤木眞也君 自由民主党の藤木眞也でございます。  本日は畜産物価格に対する質疑ということで、農林水産省の考え方をお聞きしたいと思います。二十分と非常に時間が短いものですから、たくさん聞きたいことはあるんですけれども、行けるところまで行ってみたいと思います。  ただ、冒頭、大臣に若干お伺いしたいことがございます。十月に農林水産省の方から突如運用改善がなされました高収益次期作助成給付金のことですけれども、まだまだ昨日も、今日もですけれども、やはり農協であったり農家の方から直接私の事務所にお問合せがございます。なかなかこの追加措置の落とし込みが末端まで届いていないというのが私は実態ではないかというふうに思います。  ただ、締切りが十二月の二十五日ということで非常に迫る中で、現場の中に非常な焦りがあるということであります。できればこの締切りをもう少し先延ばししていただいて、できるだけもう少し落とし込みがはっきり下に伝わるまで御検討いただけないかということを大臣にお聞きいたしたいと思います。
  7. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) 第三次公募の締切りにつきましては、当初十一月三十日までとしておりましたが、追加措置締切りと合わせて十二月二十五日までとしたところであります。  農水省としましては、現場申請手続が円滑に進みますように、実施主体への説明会を重ねつつ、申請方法等を分かりやすく整理をしたパンフレット等を御提示させていただきましたり、御質問にはできる限り丁寧に速やかにお答えをさせていただき、地方組織挙げて今丁寧に対応させていただいているところでありますが、御指摘がございましたので、指摘の点につきまして、現場実情をしっかり見ながらよく対応をしてまいりたいと考えております。
  8. 藤木眞也

    藤木眞也君 是非、もう不満の声が小さくなったんではなくて、恐らく諦めた方が静まられたんじゃないかというような感触を私受けますので、是非その辺、前向きに検討をお願いしたいと思います。  それでは、早速畜産の方に入っていきたいと思いますが、TPP関連で、対策として畜産クラスターという非常に現場には有り難い事業をつくっていただきました。ここ数年で本当に規模拡大も進んで、一定の評価は得ているわけですけれども、やはり生産基盤強化競争力強化を目的に取組が行われている以上、現場から上がってくる声の中には、まだまだ使い勝手が悪いという声が上がってきます。特に、家族経営を中心とした小規模経営方々からこの声が上がってくるわけですが、やはり全国見回してみましても、メガファームであったりギガファームに関しては相当この取組というのは進んだなと思いますが、まだまだこの生産基盤でいきますと、大半を占める家族経営方々に行き渡っていないなというところを私も実感いたします。  この辺考えると、是非、ここ近年、この要領、要綱の引下げというのは確かに行われていますけれども、まだなかなか厳しいんだと言われる現場実態を踏まえて、農林水産省の方としても御検討いただけないかということを確認させていただきたいと思います。
  9. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) 本事業につきましては、平成二十七年からこれで六年目を迎えておりまして、一定の効果は上がってきていると承知しておりますが、一方で、今後より一層畜産業全体の体質強化を図っていくためには、畜産酪農経営の大宗を占める中小規模経営皆さんあるいは家族経営皆様や、あるいは中山間地域等条件不利地域などの農業者も含めて、畜産業全体で競争力強化を図っていくことが必要があると考えております。  このために、平成二十八年度補正予算におきましては、大規模な投資や規模拡大が難しい中山間地域等条件不利地域などの農業者規模拡大要件緩和した中山間地域優先枠を設けるなど、事業要件見直しを行ったところであります。  さらに、令和年度補正予算では、規模拡大が進展した地域等中小規模経営家族経営事業活用を進展、推進するために、規模拡大要件見直しを行って、これまでの地域平均規模以上という要件のほかに、都道府県のおおむね平均規模以上又は北海道のおおむね平均規模以上という要件を選択を可能とする緩和を行ってきたところであります。  先生指摘のとおり、中小規模あるいは家族経営農業者皆様も含めてしっかり競争力強化ができるように、その実態を見極めていくことも大事だと思いますので、その実態を見極めながら、中小規模方々の声をしっかりお聞きをしながら対応してまいりたいと考えております。
  10. 藤木眞也

    藤木眞也君 大臣、ありがとうございます。  是非、輸出も五兆円、十兆円とどんどん伸ばしていくためには、やはりこの生産基盤強化というのが一番私は大事なところだろうと思います。是非家族経営方々が満足していただけるように、前向きにお取組をいただければと思います。  そして、今年は何といってもコロナに振り回された一年間だったと思います。特に三月、四月、畜産物も多分に漏れず非常な価格下落が生じました。ただ、農林水産省の次々と出されるコロナ関係対策によりまして今ではどうにか例年に近づくところまで回復をしてきているというのは、大変農家皆さん方農林水産省皆さん方感謝をされているところでございます。  特に酪農におきましても、春先にしっかりした酪農対策を打っていただけたことによって、本当に今年、一滴の牛乳も捨てることなく、どうにか消費に回すことができたという酪政連の皆さん方であったり酪農家皆さん感謝の声を聞きますし、牛肉においても、やはり出荷の調整に二万円の措置をとっていただいたり、末端需要喚起お金を付けていただいたりということで、ずっと下がっていました枝肉価格大分回復をしてきたところまで来ております。特に農家皆さんが一番セーフティーネットとして当てにされていたマルキンも、しっかり今回機能することができたと思います。  非常に畜産については、通常の経営安定対策、またセーフティーネットのおかげで随分救われた部分はあるのかなとは思いますが、やはりまだまだこのコロナに関して農家の方、不安をお持ちのところは拭えていないというふうに思います。  是非、今後、また昨年のようながくっと相場が動くようなことがあれば、是非是非、機能的に牛乳の、生乳措置をとっていただきたいと思いますし、子牛、枝肉、ここまで来たというのは、やはりこの肥育牛生産支援であったり、和牛保管であったりという事業が機能したんだということでございます。  しっかり今後もこういったところにお取組をいただきたいということが現場からの今一番の切実な思いだと思います。農林水産省の今後のお考えをお聞かせいただければと思います。
  11. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  今年の二月以降でございますが、新型コロナ影響によりましてインバウンド、外食の需要が減少いたしまして、和牛枝肉価格、大きく下落をいたしました。  これに対しまして、農林水産省といたしましては、対策といたしまして、まず体質強化に資する取組を行った肥育農家に対しまして、出荷頭数一頭につき二万円の交付を行いました。また、和牛肉在庫解消需要喚起を図るための冷蔵保管経費販売奨励金交付などの対策実施をしているところでございます。  その後、経済活動再開とかに伴いまして、特に和牛枝肉価格につきましては十一月の平均価格は前年をやや上回るぐらいの水準になっておりますが、最近の新型コロナウイルス感染症拡大状況を踏まえれば、今後の動きを引き続き注視する必要があるというふうに考えているところでございます。  このため、これらの対策につきましては、今後の枝肉価格食肉流通の動向をよく見極めた上で検討してまいりたいと考えているところでございます。  また、酪農関係生乳関係につきましては、例年、冬から春先でございますが、気温が低いため牛乳飲用需要が落ち着く一方で乳牛の生乳生産量は増加をするということでございますし、また、今年は新型コロナ影響によりまして業務用需要が減少しておる状況でございます。例年以上に需給緩和が懸念されるということでございますので、今後とも、酪農家の方が安心して生乳生産に取り組めるように、生乳需給状況を見ながら必要な対応検討してまいりたいと考えております。
  12. 藤木眞也

    藤木眞也君 ありがとうございます。  是非しっかりと、臨機応変、機能的にそういう対策を打てるように、日頃から検討をしていただければなと思います。  続きまして、生産基盤強化、また経営安定対策についてなんですが、やはり、先ほども言いましたけれども、この牛、豚のマルキン、これが本当に今回機能したというふうに思います。ただ、牛のマルキン生産者負担分が今猶予をされた形になっておりますが、これを再開する時期というのを、是非しっかり現場実情を見極めた上で再開をしていただきたいということをお願いしたいと思います。  また、昨年始まりました増頭奨励金、本当にこれは現場皆さんに勇気を与えたと思います。ここ数年ずっと下落傾向だった都府県酪農皆さん方生産乳量が久しぶりに底を打ったといいますか、増産に向けて切り替わったという点は、この増頭が相当大きく影響しているんだろうと思います。  繁殖雌牛も相当増えてきていると思います。来年にはこれが子牛を産んでくれて市場に出回ってくるということを考えますと、やはりこの事業、もうしばらく継続的に行っていきながら、しっかりと生産基盤強化につながるように是非農林水産省皆さん方にはお願いしたいと思いますが、この点、どのように御計画をお持ちなのか、お聞かせいただければと思います。
  13. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  牛マルキン生産者負担金納付猶予実質免除でございますが、これは当面、今年の四月から六か月間ということで九月まで行うこととしておりましたが、肥育農家資金繰り観点から、十月以降も今延長しているという状況でございます。  こうした中でございますが、最近の和牛肉枝肉価格先ほども申し上げましたように、十一月には昨年並みの、ほぼ同じ、少し上回るぐらいの水準まで回復をしておるわけでございますけれども、そういう中で、肥育農家資金繰りにつきましては改善しつつあるのではないかと考えられております。実際に肥育農家購買意欲は高まっておりまして、子牛の価格が一頭当たり八十万円ほどに上昇しているという状況でございます。  こうした状況でございますが、牛マルキン生産者負担金についても、納付再開を視野に入れて検討はしているところでございます。各都道府県の御意見とかをよく聴取した上で、納付再開する具体的な条件等について検討してまいりたいと考えているところでございます。  それから、増頭奨励金関係でございます。  肉用牛乳用牛増頭増産ということで、令和年度補正予算から、繁殖雌牛増頭あるいは都府県乳用牛の初妊牛の増頭をする場合に増頭奨励金交付措置を行っております。  また、ALICの事業によりまして、こういったものの増頭のための簡易牛舎整備というものの実施をしているところでございまして、こうした事業でございますが、肉用牛酪農生産基盤強化を図るために非常に重要であると考えておりますので、引き続き必要な予算確保に努めてまいりたいと考えております。
  14. 藤木眞也

    藤木眞也君 力強い御答弁ありがとうございました。  本当に現場には大きくこの事業影響をすると思います。しっかり予算確保をしていただいて、継続的に増頭に向けて、生産基盤強化に向けてお取組をいただきたいと思います。  そして、新たな畜安法の中で、今牛乳取引が行われております。ただ、聞こえてくるのは、いいとこ取りと言われる、いいとこ取りをされる農家の方の存在というのがやはり今もあるということであります。  いいとこ取りにもいろいろな形があります。いろいろな形があるんですけれども、やはりこの酪農制度というのは、これまでも皆さんが少しずつの我慢の中で成り立ってきた私は制度だと思います。それを、俺だけはとか、俺たちだけはというような感じで取り組んでいただくと、真面目に取り組んだ方が、じゃ、俺たちもと言いたくなるのがやはりこれ人間の常だと私は思います。  特に、この畜安法を改正するときに、私たちに向かって農林水産省方々は、はっきり省令でいいとこ取りができないような仕組みをつくりますということを私たちに何度も説明をされて、私たちも納得をしたんですよ。それが、現在もなおこのいいとこ取りが収まっていないという点、やはり私は、この二股出荷に問題があるんじゃないかとか、いろいろと私は農林水産省も元々のところを検討するべきではないかなというふうに思っております。  やはり皆さんが少しずつの我慢の中で成り立つ生乳制度なんだということを、是非もう一度御検討いただけないかということを聞かせていただきたいと思います。
  15. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  生乳生産、そしてその需要でございますが、季節的に変動いたします。計画的な配乳、操業、こういったものの維持のために、生乳取引につきましては年間契約が基本となっているところでございます。  今回の生乳流通改革でございますが、酪農家の方が生乳販売先をより選択できる環境整備をしたというものでございますけれども、この中で、年度途中での一方的な契約変更、こういったルール違反のいわゆるいいとこ取りが生じているということでございまして、こうしたことは生乳取引の安定を図る観点から問題であると考えております。  このため、これまでも契約を遵守する、年間契約を遵守するという重要性につきまして酪農家の方に対して周知をしてきたところでございまして、今年の七月には、このルール違反のいいとこ取りについて具体的事例に即して解説をした事例集、こういったものを作成いたしまして公表するなど、いいとこ取り発生防止に努めているところでございます。  他方、今回の生乳流通改革で、酪農家の方が生乳販売先を選択できる環境整備したということを活用されまして、個々の酪農家経営判断として、所得の向上を図るために、年度単位契約先変更したり、二か所に出荷する酪農家も一部で出てきているということでございます。これは、畜安法法改正以前から、生産した生乳の一部をチーズ工房等出荷して、残りを指定団体出荷するということは行われているものでございまして、出荷先が二か所であること、あるいは年度単位での契約変更自体は問題となるものではないと考えております。  しかしながら、いずれにいたしましても、制度につきましては、いかなるものであっても不断に検証することが必要でございまして、本制度につきましても、生産者生産者団体等、様々な方々の御意見を聞きながら検証してまいりたいと考えております。
  16. 藤木眞也

    藤木眞也君 検証するということでありますが、やはり、法律で損をした、もうけをしたと言われる不公平感がないような方向是非検証していただければと思います。  新井局長、せっかくお見えでしたが、時間がもうないということでありますので。  ただ、今年、鳥インフルエンザ発生をして、例年よりも、例年の想定よりも早く発生をしたということであります。ただ、やはりこの防疫指針をしっかり守るという方向性は正しいと思います。もう少し早く、九月のうちぐらいに、そろそろ寒い時期に入ってきますよというようなことを県の皆さんにお知らせいただいて、県の方から農家の方にも早めに告知があれば少しは準備もできたんじゃないかなというようなふうにも考えます。  しっかり早め早め対応を取っていただくということと、昨日も申し上げましたけれども、しっかりと県ごとのレベルを合わせていただくことを早急に行っていただくことをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  17. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 立憲民主党社民会派石垣のりこでございます。質問させていただきます。  さて、二〇一八年十月からおよそ一年在任されていました吉川農林水産大臣が、広島県に本社のある大手鶏卵生産業者アキタフーズの元代表秋田善祺氏から現金五百万円を受け取ったとされる問題が取り沙汰されております。皆さん御承知のとおりかと思います。これ本当に事実なら、収賄、犯罪でございます。  吉川議員事務所で出されたコメントでは、今回の件で当局から説明を求められることがあれば誠実に対応させていただくとしているんですね。すなわち、今回のこの疑惑に関しては肯定も否定もされていらっしゃいません。  まずは、野上大臣に改めて伺いたいと思います。  農林水産省としては、このような疑惑が生じていることを受けて、OIEのアニマルウエルフェアに基づいた基準作りですとか鶏卵生産経営安定対策事業について、その意思決定過程に問題がなかったか調査をする御意思はございますか。
  18. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) そのような報道があったことは承知しておりますが、捜査活動に関することでもあり、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。その上で、農林水産省としても、捜査活動に関することについては、協力要請があれば適切に対応してまいります。  また、報道指摘を受けている施策の判断は、これ妥当であったと考えておりますが、それぞれこれをしっかりと説明してまいりたいと考えておりますし、いずれにしても、農林水産行政について国民に疑念を持たれることがないようにしっかりと対応してまいりたいと考えております。
  19. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 調査をせずになぜ妥当なのか分かると、分かるのかどうかということは皆さんからも再三指摘されていることかと思いますし、吉川農水大臣お金を受け取ったかどうかというのはもちろん重要な問題なんですけれども、この政策意思決定過程において疑義が生じている、そのことに対して農林水産省として責任を持って調査をするという姿勢を示さないことそのものが、もっと今後の政策を決定していく上で信頼を損なうことにもなりますし、大きな問題ではないかと思います。  十二月三日の農林水産委員会では、野上大臣アキタフーズの元会長との面識献金などがこれまでにあったかという質問に対して、野上大臣は、ないという回答をいただいているんですけれども、念のため、宮内大臣にも伺いたいと思います。  宮内大臣アキタフーズの元会長秋田善祺氏との面識はあるでしょうか。また、これまで献金、接待など受けたことがあるでしょうか。
  20. 宮内秀樹

    ○副大臣宮内秀樹君) お答えをいたします。  私は、全く面識はございません。
  21. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 献金パーティー券等もないということでよろしいですか。分かりました。念のため伺いました。  では、一つ事実確認をしていきたいと思いますけれども、吉川大臣アキタフーズの元会長秋田善祺氏面会をしたことがあるのか、またその記録はあるのかということを伺いたいと思います。
  22. 横山紳

    政府参考人横山紳君) 吉川大臣秋田さんとの面会が、したことがあるのか、あるいはその記録があるのかという御質問を頂戴いたしました。  先生から報道の話もございましたけれども、アキタフーズにつきましては、本年七月に検察当局からも家宅捜索を受け、捜査協力をされているということで公表もされていると承知してございます。  こうした状況下におきまして、お尋ねのアキタフーズ吉川大臣との関係やり取り等については、捜査機関活動内容にも関わるものというふうに認識してございます。したがいまして、当省としては、関係資料の有無を含めましてコメントを差し控えさせていただいております。
  23. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 いや、会ったか会わないかが即捜査の重要な要項になるかどうかというところの判断をどういうふうにされていらっしゃるのか分かりませんけれども、捜査と同時並行で、やはり国政調査権を発動した上で、私たちも含めて、委員会でもしっかりとこの検証をしていく、チェックをしていくということがあるわけです。  その点におきまして、この初歩的なレベルにおいての、吉川大臣アキタフーズの元会長、元代表が会ったかどうかという、もう基本的な事実の確認すらお答えできないというのは一体どういうことなんでしょうか。どういう判断からなされていらっしゃるんでしょうか。  本当に調査に対しての、先ほど野上大臣の御答弁もそうでしたけれども、御本人、会ったかどうかという、本当にそのことだけなんですけれども、お答えいただけないこと、そしてその記録があるかどうかに関しての今お答えがなかったと思いますが、いかがですか。
  24. 横山紳

    政府参考人横山紳君) 重ねての御質問でございます。  今ほど申し上げましたけれども、関係資料の有無も含めてコメントを差し控えさせていただいております。アキタフーズ吉川大臣とのやり取りなどにつきましては、捜査機関活動内容に関わり得るものというふうに認識しておるからでございます。(発言する者あり)
  25. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  26. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 速記を起こしてください。
  27. 横山紳

    政府参考人横山紳君) 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、まず、アキタフーズに関しましては、これまさに報道などでも出てございますけれども、家宅捜索も受け、また捜査協力をしているということで我々としても承知してございます。  そうした当該会社と当方の元大臣というところのやり取りについては、これはまさしく捜査活動の内容に関わるものであるというのが私どもの認識でございます。したがいまして、関係資料の有無も含めてコメントを差し控えさせていただいているところでございます。
  28. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 会ったかどうかがイコール内容にも即関わるという御答弁だったかと思いますけれども、国政調査権に基づいて、公益上必要ありとして調査を行う場合において、政府がこれに協力すべきことは当然だと。捜査内容の秘密であって現在及び将来の検察運営に重大な支障を来すおそれがある事項については、国の重大な利益に悪影響を及ぼすおそれのあるものとして、これを明らかにしないこともやむを得ないところもあると考えると、国政調査一定の限界があるということを、これは結構昔ですけれども、昭和四十年のこれは社民党の山田長司議員の質問主意書に国が答えている内容ではありますが、今の御答弁ですと、吉川大臣アキタフーズの元代表が会ったかどうかということそのものが国の重大な利益に悪影響を及ぼすおそれがあるものだと、そこまでの重大なことだというふうに捉えられるというのは、これは相当おかしい解釈ではないかと思います。  これ、引き続き、面会記録という書類なのか名前は分かりませんけれども、会ったかどうかの確認が取れる書面に関しての提出を求めたいと思います。
  29. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 後刻理事会にて協議いたします。
  30. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 そこで、秋田善祺氏は日本養鶏協会の副会長もされていたわけですけれども、鶏卵、鶏肉業界から農水省に寄せられた要望書があるかと思います。この中にアニマルウエルフェアに関する要望というのはあったんでしょうか。
  31. 横山紳

    政府参考人横山紳君) その件については、事実を確認しておるところでございます。
  32. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 既に資料要求も先週からさせていただいております。まだ確認ができていないということですけど、そもそも鶏卵、養鶏業界の要望書はございますか。
  33. 水田正和

    政府参考人水田正和君) 現在、事実関係、確認中でございます。(発言する者あり)
  34. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  35. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 速記を起こしてください。
  36. 水田正和

    政府参考人水田正和君) 要望書の関係につきまして、現在、事実関係を確認中でございますので、よろしくお願いしたいと思います。(発言する者あり)
  37. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  38. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 速記を起こしてください。
  39. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 調査中ということですけれども、委員会もあるということで、お手間をお掛けするのはもちろん存じておりますが、この場でちゃんとお答えいただける状況をつくっていただくというのが誠意のある対応ではないかと思います。  引き続き、では、なるべく早く要望書の存在含めて、アニマルウエルフェアに関する記述もそうですけれども、養鶏業界からの要望書を資料としての提出を求めます。
  40. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 後刻理事会にて協議いたします。
  41. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 確認中ということなんですけれども、ちなみに、この業界団体などから受け取った要望書、確認に随分時間が掛かるということで、ちゃんと整理がされているのかどうかもかなり不安な状況なんですけれども、これはいわゆる行政文書には当たるんでしょうか。
  42. 横山紳

    政府参考人横山紳君) 要望書が行政文書に該当するかという御質問でございます。  まず、公文書管理法に基づき定めております農林水産省の行政文書管理規則、これがございます。その中で、行政文書とは、農林水産省の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、農林水産省の職員が組織的に用いるものとして、農林水産省が保有するものと、このように定義をさせていただいているところでございます。  御指摘のありました要望書、民間の団体などからのものも含みます要望書でございますけれども、この定義に合致すれば行政文書と、こういったことになります。  じゃ、具体的に個々の要望書、これが行政文書に当たるかどうかといった具体的判断でございますが、これは、所掌事務に関する文書管理の実施責任者、これ文書管理者と呼んでおりますが、それぞれの文書管理者が行うと、こういうことになっているところでございます。
  43. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 一応行政文書には当たるけれども最終的な判断は文書管理者によるというような今お話だったと思いますけれども、各業界団体の素直な思いが込められた要望書ですから、さすがに、仮に行政文書に当たらないという判断をされたとしても、粗末に扱うことはないと思いますし、いつどういう業界団体から受け取ったのかと、その辺の管理がなされていないということもあり得ないと思いますので、先ほどの、要望いたしましたけれども、しっかりとこの鶏卵、養鶏業界からどのような要望が寄せられているのか確認して、御報告いただきたいと思います。  では、ちょっと今日は鶏、特に鶏卵についての質問をしていきたいと思いますけれども、お渡ししています資料の二番、畜産酪農経営安定化対策について伺います。  畜産分野における経営安定化策については、畜産経営の安定に関する法律であったり、肉用子牛生産安定特別措置法に基づいて行われていたりするんですけれども、この鶏卵、卵だけは、法律に基づかない鶏卵生産者経営安定対策事業であったり、成鶏更新・空舎延長事業であったりするわけです。これ、予算措置のみの事業ということになっております。  これまで鶏卵の経営安定化に関して、いわゆる牛マルキンであったり豚マルキンであったりとか、法律に基づいて予算措置が行われているものとこの鶏卵というのは扱いが違うわけですけれども、法律化に向けての議論というのはあったのか、また、今現在、これ法律に基づいて行われていないということに何らかの意味があるのかということについて、お答えいただきたいと思います。
  44. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  鶏卵はほかの畜種と異なりまして、生産サイクルが一年半程度と短いということ、あるいは、さらには、鶏卵自給率九六%とほぼ国内生産で賄われているということでございまして、生産者自らが需給調整、需給改善に取り組みやすいという性格がございます。このため、その鶏卵につきましては、生産者の負担金を用いた価格差の補填事業と成鶏更新・空舎延長という事業を二本柱といたしまして、この鶏卵生産者経営安定、そして鶏卵の需給安定というものを図ってきたところでございまして、これらを国が予算措置するという形で支援をしてまいったところでございます。  農林水産省といたしましては、こういった二つの事業を組み合わせたこの対策を適切に運営することにより、鶏卵需給価格の安定、こういったものが図られているというふうに考えているところでございます。  また、この財源につきましてでございますが、法制化されていない中におりましても、平成二十三年以降約五十億円で安定的に推移をしているところでございまして、法制化といった議論があるわけではございません。
  45. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 今まで、全くその法制化についての必要性も余り認識されてこなかったということだと思うんですけれども、毎年でもこうやって予算措置が行われていて、今後ももし必要であるということが見通しとして考えられるのであれば、やはりしっかりとした法制化の下に予算措置が行われるという一つの選択肢もあり得るのではないかというふうに考えます。  そして、続いての資料三の方を御覧いただきたいと思いますけれども、畜産生産力・生産体制強化対策事業について伺います。  文字どおり、畜産生産力及び生産体制の強化を図る事業ということだと思いますけれども、これ、平成二十五年から平成年度までの政策目標と、新たに設けられた国の基本計画、食料・農業・農村基本計画に基づいて今年度予算措置が行われた令和年度の概算要求額の方を見ていただくと分かると思うんですけれども、そこで目標とされている生産量が方向が変わっています。  基本計画、前回の基本計画に基づいて策定された政策目標は、鶏卵生産量だけが減産政策になっております。十一万トン減らすという方向性になっているんですけれども、今年三月に策定された新たな基本計画では目標がほぼ横ばいというふうにこれ方向性が変わっているわけですよね。これは一体どうしてなんでしょうか。
  46. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  資料にいただきました令和年度の方のこの事業につきましては、平成二十七年の基本計画をベースにしておるものでございます。  この平成二十七年の基本計画では、鶏卵の生産努力目標につきまして、国内の人口が減少するということが想定される中、国内消費の仕向け量が減少すると、それに伴いまして生産量も減少すると見込まれるということから、この令和年度目標でございますが、これを二百四十一万トンに設定しておりまして、この平成二十五年度生産量二百五十二万トンから見ると下回っているということでございます。  一方、令和年度の概算要求でございますけれども、これは令和十二年度の目標ということでございまして、今般の基本計画に基づいておるところでございます。具体的には、人口の減少によりまして、確かに国内消費仕向け量、これが減少していくことが見込まれるわけでございますが、一方で、輸出につきましては需要が旺盛なアジア市場への更なる輸出が見込まれる、増加が見込まれるということでございまして、この生産量につきまして、平成三十年度の二百六十三万トンから令和十二年度目標は二百六十四万トンへ増える目標を設定をしているということでございます。
  47. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 ということで輸出というキーワードが出てくるわけなんですけれども、このままでは人口減少、消費量も減っていくということで、生産量が横ばいであればどうしても過剰な生産になってしまうと、その分輸出をしていくという政策転換が図られているということだと思います。  それに連なることでもあるんですけれども、続いて資料四ですね。鶏卵事業の主な変遷ということで、今年から価格差補填事業の補助率が前の年の半分に下がりました。四分の一から八分の一に下がりました。一方、成鶏更新・空舎延長事業は補助率変わらず、上限単価が一部アップしています。また、新たな項目として、九十日以上百二十日未満というのが追加されております。  市場にこれ供給されて価格が下がる前に、供給される量そのものを減らそうという政策の下にこのような補助率の変更が行われているという認識でいいですか。
  48. 水田正和

    政府参考人水田正和君) 今回、令和年度からの事業変更でございますけれども、これは、価格差補填事業から空舎延長事業の方により重きを置いたということでございまして、価格差補填事業よりもこの空舎延長事業の方が需給改善効果が高いということから、そういった形で変更させていただいているということでございます。
  49. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 価格差補填事業よりも空舎延長事業の方が需給改善という話がございましたけれども、これ、成鶏更新・空舎延長事業と書いてあると、非常に事務的な表現なので分かりづらいかもしれませんけれども、要は、供給が多くなったら鶏を殺して空きをつくって、そこに補助金を出して需給調整をしていく、そちらの方に重きを置くという政策方針だというふうに言い換えることもできると思います。  需給調整に関して、需給見通しに関してなんですけど、一般社団法人日本養鶏協会が今年の九月に出しておりますが、二〇三〇年の生産量は二百七十三万トン、輸入も含めた全体の供給量は二百八十四万トンと、二〇一九年よりもおよそ八・六万トン、三・一%増加する見込みという見解を出しております。養鶏協会の試算によれば、二〇三〇年は二〇一五年と比較して需要量を十五・五万トン上回る、そうなると価格下落して、価格差補填事業や成鶏更新・空舎延長事業が恒常的に発動する事態が生じかねない、生産者経営安定が図られなくなるおそれがあるという懸念を示しています。  そこで、養鶏協会としても、生産者経営安定の視点からも好調な輸出を促進していこうと、日本の安心、安全な卵を売り出していこうという方向性が示されているわけなんです。この辺は、先ほどの日本の方向転換として需要を超えた分を輸出に回していく、養鶏協会としてもそういう方向性が示されているということなんですが、であるならばですよ、であるならば、この日本の安心、安全な卵を売り出していこうという、じゃ、その安心、安全が一体どこで担保できるのかということが重要になってくると思います。  私も日本の食材大好きです。極力国産、できれば地産地消、近くで取れたものを買って食べるようにしています。そこにも安心感もあります。もちろんこれはそうなんですけれども、じゃ、本当に今、日本の食材が、食料が海外から安心、安全だと思われているのかどうかということですけれども、海外市場に目を向けると必ずしもそうではない、その信頼が保たれているとあぐらをかいている場合ではないという現状があると思います。  実際、日本からの食料の輸出を阻む要因としては、農薬基準の違い、もちろん日本の基準が甘いがゆえに受け入れられていないということがあるのも事実ですし、今回取り上げる畜産動物におけるアニマルウエルフェアについて、日本は残念ながら後進国と言わざるを得ません。  さて、アニマルウエルフェアについてなんですが、資料の五を御覧いただければと思います。  まだ耳なじみのない方もいらっしゃるかもしれませんが、基本の姿勢がこちらに書かれております。イギリスが先進国と言われておりまして、一九六五年から既に基準原則を提唱しておりますが、日本でアニマルウエルフェアについて政府として取り組み始めたのはいつからでしょうか。
  50. 水田正和

    政府参考人水田正和君) 我が国におきましては、昭和六十二年に動物の愛護及び管理に関する法律に基づきまして産業動物の飼養及び保管に関する基準を定めておりまして、その後、新しい基準の策定に向けまして、平成十九年度から継続して民間団体による畜種ごとのアニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針、この作成への支援を国としては行っているところでございます。  また、平成二十九年度及び令和年度には、この飢え、渇き及び栄養不良からの自由を始めといたしますアニマルウエルフェアに配慮する上での五つの自由、これを確保するための対応などの飼養管理の基本的な考え方を示しました畜産振興課長通知、アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え方についてというものを発出をしておりまして、アニマルウエルフェアに配慮するよう指導を行っているところでございます。
  51. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 全く取り組んでいないというふうに申し上げるつもりはありませんけれども、ただ、今世界基準で進んでいるアニマルウエルフェアに照らしてみると、日本というのはまだまだ非常に薄いというか中途半端な基準で運用しているのではないだろうかというのは、内容を見てみると感じるところでございます。  ブランベル委員会が、全ての家畜に、立つ、寝る、向きを変える、身繕いをする、手足を伸ばす行動の自由を与えるべきという基本原則を提唱したのがもう半世紀も前の一九六五年であるということを考えると、日本は本当にかなり遅いスタートになっているということですが、でも、現実に目を向けると、これが今世界のスタンダードになっているわけです。  アニマルウエルフェアについて、野上大臣、どのように捉えていらっしゃいますでしょうか。
  52. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) アニマルウエルフェアにつきましては、今答弁もありましたが、私自身は、これは家畜を快適な環境下で飼育することによって家畜のストレスですとかあるいは疾病を減らす取組でありまして、その推進は重要な課題だと考えております。  今答弁あったように、農水省としても、このアニマルウエルフェアの取組を普及させるために、OIEが示すアニマルウエルフェアに関する指針を踏まえて平成二十九年及び令和二年に課長通知を発出したところでありますが、今後も、生産者の理解を得ながらアニマルウエルフェアの一層の普及に努めてまいりたいと考えております。
  53. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 生産者の方の理解を得ながらというのは、これはもう絶対的に必要なことであると思いますけれども、意見を聞き入れるだけではなくて、国としてあるべき方向を指し示していくということが非常に重要になってくるのではないかと考えます。特に、日本の農林水産業の戦略というと、まず口をついて出てくるのが輸出輸出なわけですし、アニマルウエルフェアという考え方に基づいた飼育基準というのが世界のスタンダードになっている今、やはりもっと積極的に日本もこのアニマルウエルフェアについて取り組んでいかなくてはいけないのではないかということを申し上げたいと思います。  分かりやすい例を申し上げますと、こちら、資料の六番ですね、オリンピック、二〇二〇年の東京オリンピックでの調達コードのこれ文書ですが、来年開催をすると強弁している東京オリンピックですけれども、持続可能性に配慮した調達コードというのが適用されるというふうにございます。こういう持続可能性をうたったオリンピック、パラリンピックは二〇一二年のロンドン大会からでございます。  今やSDGsというのはどんな政策でもうたわれるワードになっておりますけれども、二〇一二年のロンドン・オリンピックでは、この鶏の卵に関して言うと、放牧鶏の卵であることがもう限定になっていると。その次の二〇一六年、リオのオリンピックではケージフリー、ケージを使わない平飼い、放牧飼いの卵を使うということがマストになっている。  さあ、では続いて、二〇二〇から二〇二一に変わってしまいましたけれども、表記はそのままということで、日本はどういう基準を示しているかというと、これ飼育方法に規定なしでございます。ここの、こういう部分を見ても、非常に日本のアニマルウエルフェアに関する意識というのを、世界にまさしくおもてなしとして発信していく姿勢として、現実はこういうことだということなんですね。今後、この後開かれるであろうパリ、そしてIOC自体もこのアニマルウエルフェアに関しての調達コード、厳しく規定していくのではないかということも言われております。  じゃ、何が今問題になっているかということなんですが、資料の七番御覧ください。  バタリーケージという、なかなか養鶏業界に携わっていないと耳にしないものかもしれませんが、金属のワイヤでできた籠を何段か重ねて、その中で採卵鶏を飼育するという方法でございます。日本では大規模生産体制が進められておりますけれども、このバタリーケージ、採用率が非常に高いということが言われております。  今、農林水産省で把握しているのはどのぐらいの割合になっているか、教えてください。
  54. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  ケージ飼いの飼養状況につきまして、国際的な民間団体による調査がございます。これによりますと、我が国におきますケージ飼いによる飼養の割合は九四・二%ということになっております。
  55. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 九四・二%ということなんですけれども、このバタリーケージを使用するメリットというのはどういうものなんでしょうか。また、その根拠となる研究などありましたら御紹介ください。
  56. 水田正和

    政府参考人水田正和君) ケージの中には、バタリーケージ飼いというものとエンリッチドケージ飼いというようなものもございます。  バタリーケージ飼いは、ケージの一区画ですね、バタリーケージ飼いはケージの一区画の床面積で、あっ、失礼しました。バタリーケージ飼いは、ここに書いてございますような、今資料で出していただいているようなものでございますが、これを、ケージの一区画の床面積を広げまして、止まり木とか巣箱、砂遊び場を設置しているものがエンリッチドケージというものでございます。  このエンリッチドケージに比べましてバタリーケージはどういった利点があるかと申しますと、動きませんので個体ごとの健康管理の点検が容易になるとか、あともう一つは、これ大きいんですけれども、排せつ物が容易に分離されるということでございまして、寄生虫などの蔓延防止と、こういった観点でメリットがございまして、こういう意味からいたしますと、バタリーケージ飼いは、いわゆるアニマルウエルフェアの五つの自由の中では、苦痛とか傷害とか疾病からの自由にもつながるものだというふうに考えているものでございます。
  57. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 今御説明いただきましたけれども、結局、このバタリーケージのメリットというと、これ生産の側面からのメリットということがメーンになるわけですよ。  今私がお話ししているのは、アニマルウエルフェアの観点から、福祉の問題としてこういう飼い方はいかがなものなのだろうか、もっと改善の方向性はないのだろうか。別に急に何かをしようというわけではなくて、日本政府として、今後、この養鶏業界含めて畜産全体ですけれども、アニマルウエルフェアの考え方に基づいてどういう農政の在り方、畜産の在り方が提示することができるのかという問題に関してお尋ねしているわけでございます。  このバタリーケージを進めていく世界の趨勢に関しては、次の資料を御覧いただきたいと思います。  今、企業はケージフリー卵に移行しつつあると。把握しているだけでも結構な会社がケージフリー宣言をして、ちゃんと飼育のされ方に関しても配慮された、アニマルウエルフェアに配慮された、こういう生産体制を後押ししていこうという動きがあるわけです。これがどんどん進んでおります。EUではもうケージ飼い、二〇一二年に廃止になっております。  これは、ある程度やっぱり十分な移行期間を設けた上での政府としての補助もありつつの移行ではありますけれども、こういう方向性を示していくことが大事なのであって、生産性が高いからケージ飼いを推奨するという、そもそもその根本的な考え方が違うのではないでしょうか。  それで、これからはちょっとまた冒頭のところに関わってくるんですけれども、若干時間がなくなってまいりましたけれども、二〇一八年十二月に行われましたOIE連絡協議会の記録に関してですけれども、議事録に関してなんですが、次の資料九を御覧いただきたいと思います。  ちょっと急ぎ足で参りますけれども、アキタフーズ秋田正吾社長でございますね、臨時メンバーとして参加していますけど、どのような理由からメンバーとして参加したのか、教えてください。
  58. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  二〇一八年の十二月に開催いたしましたOIEの連絡協議会でございますが、臨時メンバーとしてアキタフーズ秋田正吾氏が参加をしております。  このOIEの連絡協議会のメンバーの選定でございますけれども、通常メンバーというのがまずございまして、通常メンバーにつきましては、動物衛生、アニマルウエルフェア又は畜産物安全の分野を対象に作成されるOIEコードについて、技術的な知見や関連意見を積極的に述べることができる有識者となっております。こういった方をメンバーとして選定するとなっておるところでございます。また、議題に応じて参加するメンバー、これ臨時メンバーでございますが、必要があれば専門的立場から積極的に発言ができる、議題に関連するその他事業団体等からの推薦者の有識者を臨時メンバーとして選定するとなっておるところでございます。  この秋田正吾氏につきましては、日本養鶏協会から推薦がありまして、採卵鶏の飼養管理技術に造詣が深く、専門的立場から積極的に発言できる者として臨時メンバーの一人に選定をしたというものでございます。
  59. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 OIEの連絡協議会で利害関係者に当たるような人物が臨時メンバーとして、これまで、例えば豚の検討、牛の検討の中で、メンバーとして、臨時メンバーとして呼ばれたことというのはあるんですか。
  60. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  これまでに、肉用牛及びブロイラーのアニマルウエルフェアに関するOIEコードを議論する際にも、業界団体の構成員、これを招致をした経緯がございます。
  61. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 業界団体、直接の利害関係にある方も含めて、それは現場意見を聞くという点では大事だと思いますけれども、今ここの、籠の、ケージ飼いがいいかどうかというか、今後の方向性どうするかというときに直接関わる方がこうやって臨時メンバーとして呼ばれて意見をする、その意見が取り上げられて結局は日本の意見として国際機関のOIEに提言されているという事実があるわけでございますけれども、結局、この検討の経緯の結果、現在は第四次案まで提示されていて、第二次案の段階で止まり木であるとか巣箱であるとかついばみエリア、砂浴びの設置の必須から、これは推奨事項に少しランクを落とされて、今この第四次案まで来ているという段階です。  この冒頭にあった五百万円が賄賂として渡されたのではないかどうかという話が関わってくるわけですけれども、この検証をしていくための資料すらまともに提示していただかないので、吉川大臣がそこにどのような意図あったのか、関わったのかは、これは、ここでは何とも分かりません。しかしながら、こういう疑義が生じている以上、やはり農水省として、そしてまた委員会としてもしっかりと検証していかなければならないという、こういう、今質問させていただいた経緯からも御理解いただけるのではないかと思います。  アニマルウエルフェアについてお話ししましたけれども、私、ペットであろうと家畜動物であろうと、基本、命であることには変わりないという、そういう基本に立ちつつ、でも、やっぱり自分の命を維持する上でその命をいただかなければならない家畜動物に関しては、単にかわいそうだからという理由からアニマルウエルフェアを、未来の畜産の在り方を考えていくべきだと、アニマルウエルフェアの考え方を持って未来の畜産業の在り方を考えていくべきだというふうに申し上げているわけではなくて、個人的にはもちろんすごく大事なことだと思います。身動きもできないような環境で肥え太らされて屠殺場に送られていく牛とか豚とか、一度も土を踏むことのないまま狭いケージでひたすら卵を産んで短い一生を終えるような鶏を見て胸が苦しくないわけではありませんけれども、しかしながら、現状としては、そうした食肉、鶏卵の生産体制が私たちの日々の食生活を支えているというのも事実でございます。それをまずは事実として受け止めなければならないと。じゃ、その上で、アニマルウエルフェアの考え方は、私たちの食の安全、すなわち私たちの健康にも、これ心身の健康にも直結する問題として考えていただきたい、捉えていただきたいと思います。  今日のこの質疑を踏まえて、野上大臣から一言いただきたいと思います。本当に政策決定の過程、妥当だったというふうにお考えでしょうか。
  62. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 時間が参っておりますので、答弁簡潔にお願いいたします。
  63. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) 政策決定は妥当だったと考えておりますが、今委員指摘があったように、アニマルウエルフェアにつきましては、家畜を快適な環境下で飼育することによって家畜のストレス、病傷等々を減らす重要な取組でありますので、しっかりと進めてまいりたいと考えております。
  64. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 終わります。
  65. 高橋光男

    高橋光男君 公明党の高橋光男です。本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。  私、まず、和牛肥育農家支援についてお伺いしたいと思います。  コロナ禍により、和牛、とりわけ高級ブランド牛、私の地元兵庫でも、但馬牛、神戸ビーフの枝肉価格影響を受けています。  お配りした配付資料一を御覧ください。これは、本年四月以降のブランド牛の枝肉価格肉用牛肥育経営安定交付金、いわゆる牛マルキン交付額、そして一頭当たりの実質負担額の推移を示したものです。  まず、枝肉価格につきましては、四月以降、いずれの和牛も持ち直しつつありますが、但馬牛の半年間の回復割合、これ一二七%、四月と十月の価格を比較したものでございますが、これは、和牛の東京市場価格一三二%、また、他のブランド牛、仙台牛一三一%、飛騨牛一三二%と比べても低い水準にあります。  一方、国は四月から牛マルキン事業生産者負担金実質免除していただいております。但馬牛も一頭当たり全国最高額の九万五千円を免除していただいているところであり、これは大変有り難く思っております。しかしながら、それでも農家には依然多額の負担額が生じています。直近九月も約十五万六千円の負担が生じておるところでございまして、他のブランド牛と比較してもその赤字額は顕著となっています。生産者の積立金自体も既に枯渇しており、このままの状態が続けば、肥育農家の減少も避けられない危機に直面していると思います。  もちろん、国はほかにも増頭奨励金や様々な需要喚起策などの支援を行っていただいているところでございます。一方、コロナの先行きが見通せない中、こうしたブランド牛ごとの実態を踏まえたきめ細やかな支援が今後極めて重要になると考えます。  つきましては、是非、但馬牛のように厳しい環境に依然としてある和牛生産者への支援を国としても最大限継続していただくようお願いいたします。少なくとも、当面の間は生産者負担金納付免除期間を延長すべきだと思います。もし仮に免除がなくなるような事態になれば、但馬牛などは大打撃を受けます。そのような場合でも、全国一律で免除にするというようなことではなくて、産地の実情に応じた柔軟な扱いをしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
  66. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) 牛マルキン生産者負担金納付猶予につきましては、当面六か月ですね、すなわち四月から九月まで行われることとしておりましたが、肥育農家資金繰り観点、今先生指摘観点等々もあって、十月以降も延長することといたしております。  このような中で、最近の和牛肉枝肉価格は十月には昨年とほぼ同じ水準まで回復しておりますし、肥育農家資金繰りは改善しつつあると考えられますが、実際に子牛価格も一頭当たり八十万円ほどまで上昇している状況であります。  このような状況のために、牛マルキン生産者負担金につきましては納付再開を視野に入れて検討を始めているところでありますが、各都道府県状況もありますので、各都道府県の御意見を聴取した上で、納付再開する具体的な条件等については検討を行ってまいりたいと考えております。
  67. 高橋光男

    高橋光男君 ありがとうございます。  まさにそうした各都道府県実情をよくよく踏まえた御対応、よろしくお願いいたします。  特に但馬牛は、この九万五千円がなくなると二十五万円になります。今、購買意欲が子牛については伸びているというような話、今日もありましたけれども、一頭八十万円する中で二十五万円負担しないといけないというようなことになれば、これは大きな負担になりますので、そうした増頭意欲というものをそぎかねないということを、こうした状況をしっかりと政府としてもフォローしていただいた上での御対応是非ともよろしくお願いいたします。  そして、私、この但馬牛について御紹介したのは、単に地元の牛だからという理由だけではございません。  兵庫美方地域の但馬牛システムというのは、平成三十一年二月、畜産分野で日本初の農業遺産に認定されました。これは、全国に先駆けた牛籍簿、牛の戸籍簿の整備や、美方郡という限られた郡内産にこだわって和牛改良を行うことで独自の遺伝資源を保全するなど、全国有数のシステムが評価されたものです。この取組は、人と牛が共生する但馬牛の飼育システムとして、昨年十月、世界農業遺産認定に向けてFAOへ申請がなされたところです。  政府には、是非コロナ禍にあっても我が国が世界に誇る但馬牛のようなこのブランド牛、こうしたものをしっかりと次代に継承していくためにも、世界農業遺産の早期認定に向けた働きかけの加速化や、こうした高級ブランド牛の魅力、歴史を国内外に発信し、輸出促進等に向けた一層の支援をお願いしたいと思いますが、取組状況並びに支援方針につき御答弁願います。
  68. 熊野正士

    大臣政務官熊野正士君) お答えいたします。  御質問の兵庫美方地域における但馬牛飼育システムにつきましては、昨年二月に日本農業遺産として認定されるとともに、世界農業遺産の申請承認がなされ、委員指摘のように、昨年十月に国連食糧農業機関、FAOに申請を行ったところでございます。FAOからは、牛籍簿などの知識システムは高く評価されているものの、畜産水田農業との関連性を明らかにすべき等の指摘があり、現在、継続審査中となっております。  引き続き、世界農業遺産への認定に向け、FAOからの指摘に対し、申請地域とも連携をして、迅速かつ適切に対応してまいります。
  69. 高橋光男

    高橋光男君 ありがとうございます。引き続き御対応よろしくお願いします。  そうしたブランド牛のこうしたものというものは、まさに政府の最近の五兆円輸出戦略におきましても和牛がこの重点品目とされたように、しっかりと和牛肥育農家がこのコロナ禍に負けないように支援をしていただく必要がございます。生産基盤を強固にしていく様々な支援、既にやっていただいているところでもございます。畜産クラスター事業、強い農業づくり交付金等、こうした予算をしっかり確保していただいて、来年以降も継続していただくことをよろしくお願いいたします。  続きまして、鳥インフルエンザ対策についてお伺いしたいと思います。  先月、香川での一例目の発生以降、福岡、兵庫、宮崎、奈良、広島などで発生しており、急速に感染が全国的に拡大しているところでございます。対応に当たられている関係者の皆様には、深く感謝を申し上げたいと思います。  公明党としましても、先週二日、野上大臣に緊急対策の申入れを行ったところです。既に発生した地域においては、まずは被災農家への支援、すなわち、手当金や互助基金等の支給、風評被害対策、鶏卵、鶏肉の輸出再開等に向けた支援、これはしっかりと行っていただきたいと思います。同時に、対応に当たっている自治体職員等への心身のケアも支援願います。  また、今後、更なる全国的な拡大の可能性に備え、早期通報の徹底に加え、自治体間での経験の共有など、しかるべく行っていただきたいと思います。特に経験の共有は、今年は福岡、兵庫、広島など、これまで未発生の県で発生していることからも重要かと思います。  大臣自身も、今年十月、そうした都道府県関係団体向けの会合に参加された、この鳥インフルエンザも含む防疫対策についてそうした会議を行われたというふうに思いますが、書面の通知のみならず、そうした会議を改めて行うとか、今年の事態を踏まえまして防疫演習といったようなものを実施していただくことも必要かと考えます。  つきましては、政府の最新の対応状況並びに対処方針についてお伺いします。
  70. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) 今シーズンの高病原性鳥インフルエンザ発生につきましては、既にこれで国内十九例目の発生となっております。先週の段階で殺処分した鶏の総羽数は二百万羽を超えておりますので、これは二〇〇三年以降で最大となるということでありまして、大変厳しい状況が続いていると認識をしております。  このような中で、先週の十二月二日に公明党鳥インフルエンザ対策本部、農林水産部会の先生方にも農水省にお越しをいただきまして、率直に意見交換をさせていただきました。その緊急申入れも踏まえまして、早期通報を含む飼養衛生管理の徹底、これは引き続き指導してまいりたいと思いますし、経営支援対策の周知徹底など、これ高い緊張感を持って対応してまいりたいと思います。  また、昨日、防疫対策本部においては、各都道府県から確実に各農場の飼養衛生管理者に連絡を取って、それから飼養衛生管理の自主点検を実施してもらった上で、その内容について各都道府県から報告を求めるように緊急指示を行ったところであります。  何よりも迅速な飼養衛生管理の対応が必要なわけでありますが、これまで発生した県に専門家、職員等々も派遣をしております。物的、人的支援も行っておりますので、これまで様々得られた情報、経験につきましては、適切に各県とも共有できるように取り組んでまいりたいと考えております。
  71. 高橋光男

    高橋光男君 ありがとうございます。  今回の鳥インフルエンザ発生地域の特徴として、ため池の多さが指摘されているところでございます。実際、私の地元兵庫は、渡り鳥が集まりやすいため池が二万四千か所、これ全国最多です。広島が第二位、また香川も第三位の多さとなっています。  十一月二十四日付けの家きん疾病小委員会の緊急提言におきましては、ため池等の地理的条件から野鳥の集団が持ち込んだウイルス量が環境中に高まっていることなどが想定されると指摘されています。  こうしたことから、兵庫県でも、発生しました淡路市のみならず本州サイドにおきましても、JAや全農さんが中心となって鶏舎周辺の消毒や金網、防鳥ネットの設置などが行われているところでございます。  そして、こうした防疫対策は、提言でも指摘されていますように、発生農場周囲の主要道路に加えまして、ため池周辺の消毒や野鳥対策なども含めた、広範囲にわたる地域一体となった取組が求められているところでございまして、国としても、県の自主的、積極的な対策を最大限支援していくべきかと思います。  つきましては、そのための必要な予算、しっかり確保するとともに、県独自の事業に対する特別交付措置も含め、万全の支援を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  72. 熊野正士

    大臣政務官熊野正士君) お答えいたします。  委員も御指摘いただきましたが、十一月二十四日、家きん疾病小委員会の専門家の皆様に御議論いただきまして、香川県の三豊市で続発状況を踏まえまして、地域における消毒等、ウイルス量を下げるための取組について、地域関係者、住民が一体となって実施していくとともに、引き続き、ウイルスを農場に侵入させないための取組実施していくことが緊急提言をされたところでございます。  農林水産省としては、野鳥などにより農場へのウイルスの侵入防止に必要な防鳥ネットや、人、車両に対する動力噴霧器の整備、さらにため池や周辺の緊急消毒について、消費・安全対策交付金等により支援をしているところでございます。また、消費・安全対策交付金等の地方負担分につきましては、あるいはまた関連して地方団体が実施する単独事業につきましては、特別交付措置が講じられているところでありまして、引き続き、所管する総務省とも連携をして対応してまいりたいと考えております。
  73. 高橋光男

    高橋光男君 ありがとうございます。  初めて経験している県などにおきましては、国がこうした措置をとれるといったようなことがなかなかまだ周知されていないような実態もあろうかと思いますので、引き続き、国として御対応のほど、よろしくお願いいたします。  続いて、CSF、豚コレラ対策について、ワクチンの接種体制及び手数料についてお伺いしていきたいと思います。  現在、豚熱の予防的ワクチンの接種は、家畜伝染病予防法に基づき、都府県の職員で獣医師でもある家畜防疫員が行っています。しかしながら、各農場において、繁殖豚等は六か月間隔、肥育豚等は子豚期に一回と、定期的かつ的確なタイミングでの接種が必要であり、免疫効果の確認も半年ごとに求められています。  一方で、家畜防疫員の数は限られておりまして、国のアンケートによれば、二十四都府県のうち十の団体が確保できていません。背景として、家畜防疫員になるには公務員としての任命が必要となりますが、所属団体の兼業禁止、勤務先への休暇申請などがハードルとなっており、担い手が不足している状況です。  こうしたことから、現在のこの家畜防疫員限定によるワクチン接種を改め、民間獣医師による接種を可能とし、適切なタイミングで免疫付与することができるような体制にする必要があると考えます。そうした体制を各都府県において整備されるよう、国として、予算的手当ても含めて責任を持って対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  74. 新井ゆたか

    政府参考人新井ゆたか君) 豚熱のワクチン接種につきましては、ワクチンの用法、用量では、一か月から二か月の間での接種を推奨しているところでございます。  しかしながら、飼養豚へのワクチン接種を開始した昨年十月以降、専門家の方々に、飼養豚へのワクチンの接種時の日齢と、それから免疫付与率の関係について解析をしていただきました。委員指摘のとおり、まさに適切なときに打つということが大変重要でございますけれども、そういう観点から、専門家からの御指摘としては、五十日から六十日齢での接種が望ましいという結論を得たところでございます。これが八月三十一日でございます。  これを踏まえまして、ワクチン接種のために農場へ巡回する頻度を従来の月一回から月三回程度に高めるということが必要になってまいりました。このような状況を踏まえまして、私どもも確実かつ継続的なワクチン接種体制を構築していかなければならないと考えているところでございます。  このため、初回接種を除く豚熱のワクチン接種につきましては、令和年度中に防疫指針を改正をいたしまして、面的かつ確実な接種が行われていること、それからワクチンの横流しができないような厳格な管理が行われるということを前提といたしまして、都道府県職員である家畜防疫員に加えまして、都道府県知事の管理の下に置かれる一定要件を満たした民間の獣医師が実施するということで制度を改めたいというふうに考えているところでございます。これにつきましては、予算的手当ても含めまして確保してまいりたいと考えております。
  75. 高橋光男

    高橋光男君 ありがとうございます。  今、そうした本当に現状を踏まえると体制強化というものは必要であり、民間獣医師の皆様のお力も借りないといけないわけでございますので、しっかりと国としてそうした体制を組んでいただくようにお願いいたします。  最後に、ワクチン接種の手数料についてお伺いします。  かつて、ワクチン接種は国が全国的に管理、制御する形で実施されていました。しかしながら、地方分権の流れで都道府県の自治事務とされました。その結果、配付資料二にございますように、ほぼ同一のワクチンを接種する際の一回当たりの手数料、これが大きく都府県間で格差が生じております。これ、ゼロ円から三百五十円まで、これは極めて大きな差があるところでございます。これ一頭当たりでございます。この点、国は各都府県の条例で定められているので是正できないとしていますが、このままでは安定的な豚熱対策を推進することは難しくなると言わざるを得ません。  国として、各都府県任せにするのではなくて、生産者の側に立ち、現場に寄り添った改善を図るべきではないでしょうか。少なくとも、都府県別料金の公表のみならず、比較検証を行い、特に価格が高い県におきましては是正に向けた技術的助言を国が行うなどして横断的な取組を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
  76. 新井ゆたか

    政府参考人新井ゆたか君) まず、豚熱のワクチンに対します国及び地方公共団体のそれぞれ助成について御説明をさせていただこうと思います。  家畜防疫員が行う豚熱のワクチンの接種費用につきましては、都道府県が負担をするワクチンや資材の購入費の半額、家畜防疫員の旅費の全額を国が、家畜伝染病予防費も法定で補助をしております。その残り、都道府県の負担分につきましては、五分の四について特別交付税を措置をしているということでございます。残りにつきまして、各都道府県がそれぞれの実情に応じまして、生産者が受益者負担ということで手数料を徴収しているという制度になっているところでございます。かつて豚熱のワクチンを打っていたときもこの制度自体は同じでございまして、各県の条例に基づいて手数料を徴収していたということでございます。  今回の豚熱の接種につきましても、各県におきまして都道府県議会の議決を経てそれぞれ手数料条例が制定されているということでございますので、国が一律にどの程度の価格が適切かということを申し上げるのはなかなか適当ではないというふうに考えているところでございます。しかしながら、国が一定の補助を入れているということ、それから生産者方々からも都道府県ごとの手数料に差があるのはなぜかという御指摘がありましたので、当省で手数料を調査いたしまして、委員配付していただきました資料をホームページに、まずは情報の透明化を図ったところでございます。  都道府県によりましては、既に手数料の積算の根拠につきまして、生産者の方、農家の方に説明しているという事例もございます。農水省としては、その他の都府県におきましても生産者にしっかりと根拠が説明されるように助言してまいりたいと考えております。
  77. 高橋光男

    高橋光男君 ありがとうございます。  確かに都府県でやっていただいている、これが原則なわけでございますが、やはりその生産者の側に立った、まさにこれからまた改善というものが必要になってくるというふうに思われますので、その説明責任を果たしてもらうことについても、国としてしっかりその都道府県対応を求めていく、技術的助言をしていく、これをしっかりやっていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。     ─────────────
  78. 上月良祐

    委員長上月良祐君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、豊田俊郎さんが委員辞任され、その補欠として馬場成志さんが選任されました。     ─────────────
  79. 石井苗子

    ○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。  本日は締めの質疑ですので、時間の許す限り、日頃から私が関心を持っております牛のゲノム操作、遺伝子編集と言いますが、これに関するマニアックな質問をさせていただきます。少々退屈かもしれませんが、お付き合いいただきたいと思います。  しかしながら、先ほどからアニマルウエルフェアという言葉が出ておりまして、考えさせられております。育てながら食べて、そして食の安全も考えていかなきゃならないということですね。  生き物の育つ環境と同時に食の安全も考えるということですと、自然環境、放牧なんかもそうなんですが、野生生物に接触する可能性が高くなるということになりますと、これで、科学的根拠として、いろいろな動物の感染の問題も出てくると。このバランスがすごく大事ではないかと思いまして、一つ質問をさせていただきます、それに関する、アニマルウエルフェア。  飼養衛生管理基準というのがありまして、畜産農家方々は、放牧の停止や制限があった場合に備えて準備を整えておかなければならないというふうに書いてありまして、大臣指定地域の放牧場では、給餌場所、餌やり場でいいんですか、給餌場所で、防鳥、鳥ですね、防鳥ネットの設備及び家畜を収容できる避難用の設備の確保もしなければならなくなると書いてあります。  これは豚の放牧に関してなんですが、ちょっと調べましたら、百四十ぐらい豚の放牧をやっていらっしゃる畜産農家の方いらっしゃいますね。こうなりますと、先ほどのバランス、このような設備をするための補助金というのは、補助の制度というのは、大臣、考えていらっしゃいますでしょうか。
  80. 新井ゆたか

    政府参考人新井ゆたか君) お答え申し上げます。  大臣指定地域、いわゆるイノシシが存在している地域におきましては、野生動物からの感染を防ぐという観点から、放牧の農場につきまして、今お話がありました給餌場所における防鳥ネットの設置、それから家畜を収容できる避難用の施設の整備というものを飼養衛生管理基準に設けまして、本年十一月から施行しているところでございます。  この場合の防鳥ネット、避難用の簡易な設備につきましては、設置に掛かる費用の二分の一を国が支援する制度がございます。
  81. 石井苗子

    ○石井苗子君 やはり補助ということも制度としてしっかり整えていっていただきたいと思います。  それでは、遺伝子の話ですけど、遺伝子編集とは、自然の交配に頼るだけではなく、DNAを組み換えたり付け加えたりすることを編集と言っております。植物で試した方法を肉用の牛でやってみるなど、遺伝子編集というのは多くの有望な応用分野があると言われておりますが、自然で片っ方で育てるという中で、片方では改良して増殖をするという、こういう人工的に我々がいただいている動物を育てるということなんですけれども、中でも、味が良くて高く売れる牛を早く育てるということができるようになる。畜産農家の将来的な発展を探ろうとする一つのSDGsのアイデアなんですけれども、問題も結構ございます。  豚や牛の場合は、遺伝子編集の応用で、温暖化が進む中で暑さに強い家畜、あるいは我々が苦労しておりますCSFやASFに耐久性のある豚の開発などができれば画期的なんですが、一方で、肉用牛の業界では、特定の種雄牛、種牛ですね、種雄牛の精液が集中的に用いられますと、疾患原因の遺伝子が潜在的に広まってしまうという危険性があります。つまり、いい牛をつくろうとしたために片っ方で疾患原因をつくってしまうというジレンマが生じるわけですが、その疾患原因遺伝子の修復をするためにゲノム編集を用いることができるんですが、残念ながら、まだそこまで編集が進んでおりません。  そこで、大臣に御答弁の御用意をお願いしているんですが、この編集技術による家畜を遺伝的に改良していく、家畜育種と言います、家畜育種は現在どのような状況にあるのか、国民の皆様に分かりやすく御説明をお願いします。
  82. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) 現在、農研機構におきましては、植物では多収米など、ゲノム編集技術を利用した品種改良を目指した研究が進められているところであります。  一方で、動物にあっては、平成二十七年度から二十九年度まで牛の遺伝子疾患の抑制等を目的とした研究を実施しておりましたが、事業の事後評価におきまして、基礎的研究とはいえ、ゲノム編集は人為的な遺伝子改変のため消費者の忌避感が強く、今後は消費者利益を追求した研究を行うべき等の評価を受けたことから、実用化が困難と考えまして、家畜改良を目的とした牛、豚のゲノム編集技術に関する研究開発は行われておりません。したがって、生産段階においても活用はされていない状況であります。
  83. 石井苗子

    ○石井苗子君 そうなんです。つまり、豚や牛でも味が良ければいい、たくさん生まれればいいとばかりは限らないということなんですね。  遺伝子を編集するということは大きなリスクを伴うわけなんです。どのようなリスクが伴うのか、ゲノム編集に対して生物多様性の影響観点から規制を行っていかなければならないんですが、大臣、もう一度お聞きいたします。  先ほどの御答弁にはなかったと思いますが、どのような規制を行っていらっしゃいますか。
  84. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) このゲノム編集技術におきましては、自然界で起きている突然変異を狙った場所で起こすことのできる技術でありますが、これによって品種改良が効率化されることから、新たな病害虫や気候変動への対応など、農林水産業の課題解決あるいは発展に役立つことが期待をされておりますが、一方で、ゲノム編集技術は新規の技術でありますので、健康や生物多様性に影響はないのかといった心配の声もあることから、正確な情報発信を通じて国民の理解を得ながら活用を進めていくことが重要であると考えております。  このために、ゲノム編集技術で得られた農林水産物につきましては、その栽培、流通に先立ちまして、開発者が、食品安全の観点からは厚生労働省に、それから、生物多様性への影響観点からは農林水産省環境省に、また、飼料安全の観点からは農林水産省にそれぞれ届出をする枠組みとなっております。  そのような中で、農林水産省としましては、今後、専門家の意見を伺いながら、生物多様性への影響がないことを確認をして、国民の理解が得られるよう、正確な情報を公表してまいりたいと考えております。
  85. 石井苗子

    ○石井苗子君 つまり、通知を発して任意で届出をお願いしているということなんで、先ほども申しましたように、遺伝子編集で優秀な家畜を育てるのは画期的イノベーションとも言える反面で、何らかの規制を加えないと怖い面もあるわけです。やってはいけないことをやって勝手なルールを作って研究しているとどういうことになるかというと、ちょっと調べますと、アメリカでは角の形がおかしい牛が生まれてきたという実験的な例も発表されています。  と申しましても、一方で、ゲノム技術を使って日夜、肉用の牛の改良はしております。ゲノミック評価というのがありまして、今注目されている手法なんですが、余りなじみはございません。DNAの僅かな差、SNP差というんですが、これを解析して分析して評価をします。これによって牛の肉質やおいしさが子牛のときから分かるということですね。何がすごいかというと、能力評価という言葉を使っておりますが、これを可能にしますと、子牛の段階で選抜して高値が付くので、生産性と収入を早く計算できることが可能になります。  この画期的なゲノミック評価、これが安全かどうかということなんですけれども、まずゲノミック評価、どのような利点があるか、御答弁をお願いします。
  86. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  我が国固有の肉用牛でございます和牛の改良でございますが、これまで育種価というものを活用しておりまして、これは、種雄牛ですね、雄の種牛から生まれた子供の枝肉の成績、ですから子供を肉にした後の枝肉の成績、そして血統の情報ですとかこういったものを分析して算出する育種価というものを求めまして、これを活用して進められてきたわけでございますが、この育種価が出るまでにはおおむね四、五年は掛かるということでございます。  こうした中で、この育種価と高い相関関係、相関が認められる遺伝子解析を活用した遺伝的能力評価でありますこのゲノミック評価、これを使いますと、従来の遺伝的な評価、この育種価よりも早期に評価を行うことができるということでございます。それから、従来の育種価評価ではなかなか評価することができなかった兄弟の能力差を判明することができる、こういったことが利点として挙げられているところでございまして、和牛の主産県や民間事業者において活用がされているということでございます。  具体的には、平成三十年に行った都道府県へのアンケート結果によりますと、三十二道県がこのゲノミック評価を実施しておりまして、これを用いまして、繁殖雌牛の改良ですとか、種牛、種雄牛の造成ですとか、あるいは交配計画の指導、こういったものを行いまして家畜の改良を進めているということでございます。今年三月に改定いたしました家畜改良増殖目標におきましても、このゲノミック評価を推進するということとしているところでございます。
  87. 石井苗子

    ○石井苗子君 そうなんです。結構やっているんですね。子牛のときからその兄弟、姉妹まで大体どのくらいの値段でどのくらい高く売れるかというのが分かるということなんですけれども、四、五年掛かっていたものが、子牛のところで、早い段階でもう計算することができるんですが、次に問題になるのは、良い牛だけを掛け合わせているとどうなるかということなんですね。  こういうのは近親交配すると有害な劣性遺伝子が出現しやすくなるという問題なんですけれども、このゲノミック評価で選別すること、これにも弊害がどのようなものがあるのか、お答えいただきます。
  88. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  ゲノミック評価の弊害といたしましては、このデータの母数が少ない場合に評価の正確度が低くなってしまって、誤った評価で種雄牛を選抜するといったおそれがあることがございます。それから、特定の形質に重点を置いて選抜を行うと、遺伝的多様性の喪失と申しますか近交退化につながってくるという、同じようなものばかり出てくる、遺伝的な多様性がなくなってくると、こういった点が挙げられるところでございます。  このため、引き続き関係データをできるだけ蓄積をするということでデータの蓄積に努めるとともに、脂肪の質などの牛肉の食味ですとか繁殖性の向上による子牛の生産性の向上など、枝肉の形質以外の形質、こういったものの改良の推進にも活用いたしまして、遺伝的な多様性というものの確保にも向けて取組を進めていきたいと考えております。
  89. 石井苗子

    ○石井苗子君 とはいうものの、結構市場を操作しているんですね。種牛、種雄牛の子牛の出荷頭数というのを見ていますと人気が非常に偏っておりまして、上位十五頭の種牛の子牛で市場取引頭数の六割を占めているのが現実です。つまり、人気が集まって偏っているということで、美津照重、美国桜とブランド名が並んでおりまして、お相撲さんの名前みたいですけれども。  そこで、次の牛の資料、私お配りしたのを見てください。牛の写真がある方です。こちらは、和牛の中でも黒毛和種といって、希少価値と言われている格の高い和牛でございます。和牛の中でも栄光号など名前に号が付いているというぐらい血統書付きの立派な牛たちで、高額で売れます。つやつやでございますけれども。  この黒毛和種において少しでもブランド化して市場で高く売ろうと考えるという、これは市場の傾向でございますが、そうすると、ほかのいろいろな牛と交ざって交配させてしまい、遺伝子が失われてしまう可能性があります。これ、確率高いです。そうすると、こういうことをやりっ放しにしていると、いつの間にか黒毛和種の遺伝子がなくなってしまうということがあり得ます。  希少系統の遺伝子を一割、一割とは言いません、一定割合以上保つ種雄牛の保存、維持など、この点のSDGsは今後どのようにやっていくおつもりか、そして補助金制度についてもお答えいただきます。
  90. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  和牛の改良でございますけれども、今先生からお話がございましたように、改良がどんどんどんどん進んでいきます。肉質に特化した改良が進められてきております。こうした結果、特定の血統に利用が集中をいたしまして、いわゆる近交係数というものが上昇してくる、そして和牛の遺伝的な多様性が失われてくるということが懸念をされているところでございます。  和牛は我が国固有の品種でございまして、今後とも、国内の遺伝資源、しっかり活用して改良増殖を進めていく必要があるわけでございますので、こういった近交係数が上がってくるのを抑えまして、抑制いたしまして、遺伝的な多様性というものを確保しつつ、この遺伝資源の保護、国内利用を推進していくということが重要であると考えております。  このため、全国的、そしてかつ長期的な視点に立ちまして、独立行政法人の家畜改良センターなどによりまして遺伝的な特徴を有する多様な育種資源を確保しておく、そしてそれをうまく利用するということ、それから、遺伝的な多様性の確保に配慮いたしました繁殖雌牛を導入するのに対して支援をするということと、さらには、血統情報と併せまして遺伝子レベルでの情報も活用いたしましてこの遺伝的多様性を分析をしていくと、こういった取組を推進しているところでございます。
  91. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  でも、よく調べてみますと、やっぱり市場主義といいますか、目先で高く売ろうとしていることでこの遺伝子編集というのが使われております。高く売って今もうけたい、しかし多様性というのも大事にしたい、ジレンマがここに付いて回るわけなんですが、次の資料のグラフを見てください。右肩上がりにずっとなっております。これは何を示しているかといいますと、遺伝的不良形成、遺伝性疾患が出るリスクです。右肩上がりは遺伝的疾患を持つリスクが高いという意味です。  先ほどの黒毛和種の希少性を保つために近親交配の度合いが高くなると、つまり近交係数というのが右肩上がりになってまいりますと、遺伝性疾患を持った牛が発生するリスクが高くなるということなんです。つまり、おいしい、いい牛で高く売れる、だけど弱い牛が多くなってくる、なぜなら近親交配の度合いが高いからだというジレンマを、ジレンマと言いましたけれども、今右肩上がりになってきてしまっているわけです。  味は良いかもしれないけど死んでしまうような弱い牛になってくる、子孫も生まれにくくなってくるということで、資料を見てみますと、平成二十五年まで、近年、和牛の近交係数が上昇しています。近交係数、近親交配の度合いを示す数値だと言いましたが、それが高くなると遺伝的不良形成の形質が発現するリスクが高くなるということなんですね。和牛というのは、現状は繁殖集団が海外の有力品種と比べても非常に小さいことから、今後近交係数が上昇する可能性が私は考えられると思うんですね。  これ、私が最初に言ったようにバランスすごく大事だと思うんですけれども、近交係数がおおよそどのくらいの数値になるとリスクが高いと考えられるのか、このままちょっと上がっていってどの辺が歩留りとお考えなのか。私は、何らかの基準を作った方が今後のSDGsが保たれると思うんですね。  増殖というのは、改良していい牛をというのは、先ほどからアニマルウエルフェアの考えもありますけれども、片っ方で何とか生産性も上げて日本の産業も維持していかなければならないのですが、どの程度の数値になったら危険だという明確な基準があるかどうか。ちょっと最後の質問になりますが、よろしくお願いいたします。
  92. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  一般的に、近交係数が上がってくると、委員指摘のように、遺伝的な不良形質、例えば死産になったりとか発育不良になったりとか、そういったケースが出やすくなることが分かっておりますが、一概に数値的な指標を申し上げるということは困難な状況でございます。一概に数値的な指標というものがあるわけではございません。
  93. 石井苗子

    ○石井苗子君 時間が来ましたから終わりますけれども、これは、ちょっとこのグラフは危ないと思うんですね。  自然に育てるということと遺伝子の編集、真反対のような形でありますけれども、やはりここで輸出とかそういうことも、和牛とか日本のブランドということを考えますと、均衡を保ってこれから政策をつくっていくことも大切だと思っております。  ありがとうございました。終わります。     ─────────────
  94. 上月良祐

    委員長上月良祐君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、舞立昇治さんが委員辞任され、その補欠として本田顕子さんが選任されました。     ─────────────
  95. 舟山康江

    ○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。  今日は、畜産物等価格安定等に関する件という議題でございますので、畜産絡みで私からも、アキタフーズグループから吉川農林水産大臣への現金提供疑惑などについてまずお聞きしたいと思います。  いろんな方が大臣室に要望に行くというのは、これは普通な話だと思います。先ほど高橋委員大臣に要望に行かれたと、そんな話をされていましたし、いろんな団体、業界の方がやはりこういった要望をしに行くというのは普通のことだと思うんですね。  そういう中で、これ、行った行かないというのは隠すことでもないと思うんですけれども、先ほどもやり取りありましたこの秋田代表が大臣室を訪問していた回数、日時等について、これ客観事実ですから教えていただきたいと思います。別に現金云々ということは何も聞いておりませんので、普通に要望等に来たその日時、回数について教えてください。
  96. 横山紳

    政府参考人横山紳君) お答え申し上げます。  報道によりますと、アキタフーズ検察当局から家宅捜索を受け、捜査協力しているということも公表されています。こうした状況下でございますので、お尋ねのアキタフーズと元農林水産大臣との関係でそういう訪問があったかどうかということも含めて捜査活動の内容に関わるため、当省としてはコメントを差し控えさせていただいているところでございます。
  97. 舟山康江

    ○舟山康江君 私、別に吉川農林水産大臣に限った話ではなくて、その前、現在含めて、大臣室に来たことがあるのか、どのぐらい来たのか、いつなのかということを客観事実として教えていただきたいと思いますし、大臣室訪問、かなり厳格に管理していると思うんです。アポを取って、時間を調整してということですから、記録はあるはずなんです。そこを是非出していただきたいと思いますけれども、もう一度、いかがでしょうか。
  98. 横山紳

    政府参考人横山紳君) お答え申し上げます。  吉川農林水産大臣にかかわらずということでございますが、アキタフーズについては今ほど申し上げたように家宅捜索を受けているという状況でもございますので、御質問の点については捜査活動に関わる可能性があるものと考えているところでございます。
  99. 舟山康江

    ○舟山康江君 何か隠せば隠すほど怪しさが浮き出てくるんですけれども。  是非委員長、これ客観事実をお聞きしているだけですので、この委員会に、日時、訪問記録ですね、日時等の訪問記録を出していただくようお取り計らいいただきたいと思います。
  100. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 後刻理事会において先ほどの件と併せまして協議いたします。
  101. 舟山康江

    ○舟山康江君 そして、OIEの指針案に関して、昨年、令和元年五月九日の参議院農林水産委員会での小川勝也委員質問に対して、当時の枝元生産局長が、「有識者、また生産者等の意見を聴取の上で、科学的な知見にも基づいて、営巣の区域や止まり木の設置等が必須とならないように、コメントを本年一月にOIEに提出いたしました。」と答弁されています。  ここで言う有識者、また生産者というのはどういう方なんでしょうか。
  102. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  OIEの案に対してコメントを提出する際には、OIE連絡協議会といった有識者の方々にお集まりいただきまして御意見を賜る場を設けているところでございまして、そこに養鶏の生産者団体あるいは消費者団体や学識経験者の多くの方々、こういった方々が参加されておりますので、そういった方々の御意見を踏まえてコメントを出したということだと考えられます。
  103. 舟山康江

    ○舟山康江君 先ほど、石垣委員からの質問に対する答えとして、秋田代表から大臣に対してアニマルウエルフェアに関する要望書を提出したことに関しては調査中だというお話でしたけれども、この有識者、また生産者等といったときの生産者等に、このアキタフーズグループ若しくは日本養鶏協会というのは入っているんでしょうか。
  104. 水田正和

    政府参考人水田正和君) 御質問の趣旨は、そのOIEの連絡協議会の中に秋田さんが入っているかということでしょうか。
  105. 舟山康江

    ○舟山康江君 そこも含めて、ですから、アキタフーズグループ秋田代表若しくは日本養鶏協会の声もこのコメントを出した際に参考にしているのかという質問です。
  106. 水田正和

    政府参考人水田正和君) OIE連絡協議会で二〇一八年の十二月に開催した連絡協議会にはアキタフーズ秋田正吾氏が出席をしておりまして、このメンバーの選定に当たりましては、OIE連絡協議会の開催要領におきまして、議題に応じて参集するメンバーということで、必要があれば専門的立場から積極的に発言ができる、議題に関連するその他事業者、事業団体等からの推薦者の有識者を臨時メンバーとして選定するとなっているところでございまして、この秋田正吾氏につきましては、日本養鶏協会から推薦があり、採卵鶏の飼養管理技術に造詣が深く、専門的立場から積極的に発言できる者として臨時メンバーの一人に選定をしたというものでございます。
  107. 舟山康江

    ○舟山康江君 確認ですけれども、ということは、秋田代表の意見は農水省がOIEにコメントを提出する際の参考になっているということですね。
  108. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  このOIEの連絡協議会には、その秋田代表の、秋田さんのほかにも様々な方が入っております。生産関係の団体、それから消費関係方々、それから学識経験者、大勢の方が入っておりますので、そういった方々の御意見を参考にさせていただいたということでございます。
  109. 舟山康江

    ○舟山康江君 ほかの人もいたけれども、秋田代表の意見もここには反映されているということが確認できました。  さて、ここからは疑惑なんですけれども、大臣室にて現金授受が行われていたんではないかということですけれども、もし仮に大臣室で現金授受が行われたとすると、これはまさに大臣という職務に対しての現金提供ということですから、もうこれはアウトということになると思いますけど、大臣、いかがでしょうか。
  110. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) 先ほどから御議論ありますとおり、報道の件につきましては承知をいたしておりますが、捜査活動に関することでもありコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、農林水産省としても、捜査活動について協力要請があれば、これは適切に対応してまいりたいというふうに思って考えております。
  111. 舟山康江

    ○舟山康江君 疑惑の舞台ですからね、農林水産省。やはりしっかりと調査しなければいけないと思っています。  そして、これまでの答弁の中でも政策判断の正当性を大臣始め農水省の皆さん強調されていましたけれども、これ法務省にお聞きします。  決定された政策の内容が正当であればお金をもらっても収賄罪等にはならないのか、適用されないのか、ここについてお聞きします。
  112. 保坂和人

    政府参考人保坂和人君) 賄賂罪の成否ということで、犯罪の成否につきましては、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございますので、お答えは差し控えます。  その上で、あくまでも一般論として申し上げますと、要件で申し上げますと、刑法百九十七条一項前段のいわゆる単純収賄罪の要件といたしましては、公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたというものになっておりまして、ここで言う職務につきましては、それが違法あるいは不正なものという限定はされておらないところでございます。
  113. 舟山康江

    ○舟山康江君 ありがとうございます。  これ、賄賂罪の適用に関しては、結果的に政策が正当であっても不当であっても、またその依頼が正当なものであっても関係ないということなんです。つまり、やはりここでお金をもらっていたら、もう職務に関してということでアウトなんですよ。そういったことを、まさに先ほども言ったように、舞台が農林水産省だということですから、しっかりとこれ調査していただきたいと思いますし、少なくとも、冒頭の話はこれに関係ない一般論としての面会の事実の話ですから、是非出していただきたいと思います。  加えて、これ前回、理事会協議事項としてお願いをしておりましたけれども、七月にも報道されました西川元農林水産大臣ほか農水省幹部がアキタフーズから接待を受けていたという件に関しては、調査していないという返事を先ほどの理事会でいただきましたけれども、これも当然調査すべきだと思います。なぜか。OBだからということではないんですよ。西川元農林水産大臣は現在も内閣官房参与で農林水産を担当されておりますし、日本養鶏協会の顧問なんですね。そして、この農水省幹部もやはり畜産に大いに関係している方ですから、やはりこれは、いや、調べて何でもなきゃいいじゃないですか、しかし、疑いの目が向けられていて、同じ養鶏というつながりもある。やっぱりここは調査すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  114. 横山紳

    政府参考人横山紳君) お答え申し上げます。  今委員から御指摘のあった方、西川内閣参与、それから当省のOBということで御指摘があったわけでございますけれども、省外の方でありますし、既に退職された方、言わば民間の方ということでございますので、我々としては調査を行っていないというところでございます。
  115. 舟山康江

    ○舟山康江君 それは政策に対する信頼の失墜につながっていくと思いますよ。こういった疑いが掛けられている中で、やっぱり調査ぐらいしないというのはおかしいと思いますし、改めてこの件に関してももう一度委員会として調査を依頼していただきたいと思います。
  116. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 後刻理事会において協議いたします。
  117. 舟山康江

    ○舟山康江君 やはり政治というのは信頼の上で成り立っていると思うんですね。疑惑、単なる疑惑で終わればいいじゃないですか。でも、事実だったらただしていかなければいけない。そういう中で最低限の調査をするというのは私は責務だと思いますし、そこは大臣、リーダーシップを発揮して取り組んでいただきたいと思っています。  さて、畜産でいろんな新しい政策も打っておりますけれども、ただ、現実は全ての畜種に関して家族経営の離農が止まらない状況です。飼養戸数がどんどん減っているという状況は、これ紛れもない事実です。  総飼養頭数を維持する前提、一度減って、今少し増えておりますけれども、それでもこういったほとんど総飼養頭数が牛、豚、鶏、どれも変わらないような状況の中で国が推し進める規模拡大が進めば、おのずと農家戸数が減りますよね、多頭化を進めればその同じ頭数を飼うのに少ない戸数で済むわけですから。こういった農家戸数の減少は望ましいとお考えなんでしょうか。
  118. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) 高齢化ですとかあるいは後継者不足を背景に離農が進んでおりまして、畜産農家戸数は減少しておりますが、これに対しまして、畜産生産基盤強化するためには、大規模経営体に限らず、これは家族経営も含めた多様な経営体を育成していくことが重要と考えております。  特に、中小規模経営体が持続的な経営を行っていくためには、収益力の強化ですとか、あるいは生産現場における労働環境の改善が重要であるということから、農水省としましては、例えば畜産クラスター事業による飼料収穫機械等の導入支援、また労働負担軽減を目的とした搾乳ロボット等の省力化機械の導入。私も、先般北海道の現場に参りまして、搾乳ロボット等々の現場を見て生産者の方と意見交換をしてまいりましたが、やはり非常に労働時間も減る、働き方改革も進むということで効果が大きいという話もありました。  また、キャトルステーションですとか酪農ヘルパーに対する御要望も非常に大きいわけでございますが、このような外部支援組織の育成強化等々、中小規模家族経営も含めてしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。
  119. 舟山康江

    ○舟山康江君 どこか、何か大きいことはいいことだと、どんどん多頭化多頭化という方向が、私、余りにも進み過ぎていると思います。  実際に地元で昨年も秋の褒章を受けた方、そして中央畜産会でも優良畜産技術発表会で最優秀賞を取った、これ養豚農家ですけれども、百頭規模なんですよ。百頭規模で非常に飼料効率を上げたりとか、まさにアニマルウエルフェアで、広い一頭当たりのスペースを取ることで肉質改善して飼料効率上げてということで非常にいい経営をされている。  そういったことを考えると、多頭化が必ずしもいいというわけではありませんし、それは、何というんでしょうか、そういった支援を、単に多頭、増頭を支援するんではなくて、今回畜産クラスターでも少しこの要件緩和していましたけれども、そういう方向にそろそろかじを切っていかないと、無理な飼い方で、要は、農家も疲れる、動物も疲れるということではこれ元も子もないと思うんですよ。そういった方向に私はかじを切るべきだと改めて思いますので、しっかり要望させていただきたいと思います。  そして、今大臣から言及ありましたけれども、やっぱりこれ酪農に関しては、ヘルパーを増やしてほしいということ、疲れ切ってもうやめざるを得ないという声もたくさんありますので、改めてこのヘルパーの活用拡大に向けた国の取組強化していただきたいと思っています。  そのアニマルウエルフェアですけれども、これ確かに、飼養管理の基本的な考え方、課長通知があったりとか、あと各畜種ごとの家畜の飼養管理指針はありますけれども、具体的に、何というんですか、面積基準とかそういったものがあるのかどうなのか。  他国、先ほど鶏の例がありましたけれども、もうほかの国はこういった本当に動物福祉に反するようなバタリーケージなんていうのは少なくなっているわけですし、私もかつてデンマーク等にも視察に行きましたけれども、非常に厳しいんですよね。一頭当たりの面積を広く取らなきゃいけない、これがかなり酪農畜産農家にとっては厳しいという話でしたけれども、こういった具体的な基準が日本にあるのか、他国に比べてこれどうなのか、その辺について教えてください。
  120. 水田正和

    政府参考人水田正和君) アニマルウエルフェアにつきましては、畜産課長通知とか、それから団体の方で作成しております基準がございますけれども、面積基準といったようなものについては設定しているわけではございません。
  121. 舟山康江

    ○舟山康江君 今後しっかり検討して具体的に設定する必要があるんじゃないんでしょうか。恐らくこれ、日EUの関係の中でも、そういった動物福祉にしっかり配慮したものでなければ、輸出したくてもできないということにもなると思いますよ。その辺を具体的に基準を作るべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  122. 水田正和

    政府参考人水田正和君) 現在のところ、そういった面積基準という形ではなくて、例えば家畜が自由に動けるというような、そういった目安を定めているところでございまして、そういった取組で今のところは進めているところでございますので、今後ともしっかりとこのアニマルウエルフェアは進めてまいりたいと考えております。
  123. 舟山康江

    ○舟山康江君 大臣、これ本当に大事な問題だと思うんですね。先ほどのこのバタリーケージの写真なんか見ても、もうこんなの海外の人見たらひっくり返っちゃうと思いますよ。そういう中で、具体的にそれぞれの畜種ごとに基準を作るべきだと思いますので、大臣の御決断で、リーダーシップでしっかり前に進めていただきたいと思います。  そして、食肉の消費量が増加傾向にある中、牛、豚については、飼養頭数がさっき言ったように減少傾向、一方で輸入量が増加しています。チーズについても、消費量は増えているのに国産は横ばい、輸入に押されているような状況なんですね。TPP11、それから日EU・EPA等、関税率が下がる中で、この傾向は残念ながら今後も続くんじゃないかと思われますけれども、現状認識と打開策についてお聞きします。
  124. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) 御指摘のとおり、今、牛肉や豚肉の需要、これは増加傾向にありますが、我が国の畜産物需要対応できずに輸入が増加傾向で推移をしております。  このために、需要に応える供給を実現するためには、やはり生産基盤強化を進める必要があると考えております。特に、海外需要も含めて需要の拡大が見込まれる和牛につきましては、繁殖基盤の大宗を占める中小規模の、家族経営も含めて、増頭増産を進めることが重要だと考えております。  このため、畜産クラスター事業等の施策を講じてきた中で、肉用牛の供給の元となります繁殖雌牛頭数は、これ平成二十七年度を底に近年は増加傾向で推移をしてきておりますし、このような動きが確固たるものになるように、引き続きこの生産基盤強化に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  125. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 時間が参っておりますので、おまとめください。
  126. 舟山康江

    ○舟山康江君 今の大臣の御答弁の中にも増頭増産という話がありました。先ほど指摘させていただきましたけれども、必ずしも大きな規模農家がいい経営をしているわけではありませんので、そういった優良事例もしっかりアピールしていただきながら、そこに縛られない新しい政策打っていただきたいと思いますし、もう一つ、やはり畜産で問題なのがふん尿処理なんですよね。このふん尿の有効活用についても、石井委員が何度も指摘していましたけれども、そういった新たな技術の革新等にも力を入れていただきたいということをお願い申し上げまして、質問終わります。  ありがとうございました。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初に、畜産物価格の問題から聞きます。  今年は新型コロナウイルス感染症拡大で、国民生活も日本経済も大きな影響を受けました。外食需要インバウンド需要が落ち込んで、保存が利かない生鮮食品は加工品以上に大きな影響を受けました。  生乳は、小中学校の一斉休校に伴って学校給食用牛乳への出荷が止まったために、酪農への影響が心配されました。この点では、指定団体を始め関係者の御努力と政府の支援によって生乳を破棄することなく乗り切ることができたということです。農協を始め関係者の機動的な対応に敬意を表したいと思います。同時に、指定団体需給調整に大きな役割を果たしてきました。その重要性が確認できたんじゃないかと思います。  政府のコロナ対策全体には感染拡大防止策など異論があるところですけれども、新型コロナ感染症の拡大が続いている中で今年のこの畜産価格の決定がどうなるのかということは、畜産関係者は注視していると思います。かつて経験したことがないコロナ禍での価格決定なので、経営的にはもちろんですけれども、畜産業を励まして、やはり優れた農畜産物を広く国民的に知ってもらって広げる対策が必要だというふうに思います。  新たな酪農肉用牛近代化方針は、十年後の生乳生産量を七百八十万トンにするというふうに明記しました。北海道では増頭して、生乳四百万トン時代が到来したと言われています。政府の方針に沿って増頭しているさなかのこの新型コロナによる需要の減少ということであります。  加工原料乳生産者補給金は現行水準を下回らないということ、それから集送乳調整金は、ドライバー不足なども言われていて続いていますので、現行水準を上回る設定にしていただきたいということを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
  128. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) 加工原料乳生産者補給金等につきましては、この補給金単価は加工原料乳の生産地域の再生産が可能となるよう生産コストの変動や物価動向を考慮して、そしてもう一つの集送乳調整金単価につきましては、あまねく集送乳の確保が可能となるように集送乳に要するコストの変動や物価動向等を考慮して、これはいずれも食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて決定することになりますが、本年度についてもこれらのルールにのっとって決定をしていくことになりますが、今御指摘のあった状況があります。生産者が安心して生乳生産に取り組めるように、また輸送コストも上昇する中でもこれ確実に集送乳が行われるように、適切な算定に努めてまいりたいと考えております。
  129. 紙智子

    ○紙智子君 令和元年、二〇一九年の牛乳生産費が公表されましたが、搾乳牛一頭当たりの全算入生産費は前年度よりも増加しています。現行水準以上の設定を求めたいと思います。  次に、新型コロナ生乳は保存の利く乳製品に仕向けました。そのために、バターや脱粉、脱脂粉乳共に在庫量も増加していると思うんです。新型コロナの収束が見えない中で、脱脂粉乳の飼料用等での活用や、脱脂粉乳、バターの輸入品との置き換えなどの対策が必要ではないですか。
  130. 水田正和

    政府参考人水田正和君) 委員指摘のとおり、今年の三月から六月にかけまして、学校の休校とか緊急事態宣言の関係で、業務用の牛乳製品の需要が減退をいたしております。学校給食の関係もございます。この中で生乳廃棄を極力回避するということで、何とか回避をしようということで、長期保存が可能なバターや脱脂粉乳に仕向けてまいりました。その結果でございますが、十月末の時点でバターの在庫数量は三万八千トンございます。それから、脱脂粉乳の在庫数量は八万トンと、前年を大きく上回る水準になっているところでございます。  こうした中でございますけれども、バターにつきましては、一つは年末のクリスマスの最需要期をこれから迎えるところでございまして、需要の増加が見込まれることがございます。それから、国家貿易、輸入枠数量につきまして、二万トンから一万四千トンに六千トンを削減をいたしました。  それから、脱脂粉乳の方でございますけれども、これも国家貿易の輸入枠数量について、四千トンから七百五十トンに三千二百五十トン減らしました。さらには、今年の四月、第一次補正予算と同時に措置をいたしましたALICの事業で、脱脂粉乳の在庫につきまして、これを飼料用等に活用するということで価格差を支援をするという事業を今行っているところでございまして、これで今後約二万トン程度が消費される見込みでございます。八万トンの在庫数量のうち二万トンが消費されますとほぼ適正在庫数量という形になるということでございますので、今後ともこの需給動向を注視しながら必要な対応検討してまいりたいと考えております。
  131. 紙智子

    ○紙智子君 それでは、肉牛についてもお聞きします。  今年九月の牛肉の枝肉卸売価格が、和牛でキロ当たり二千八十七円ですが、交雑種で千三百五十一円、乳牛は九百二十三円です。和牛に比べて交雑種と乳牛の価格というのは戻っていないんですね。保管対策など必要ではないでしょうか。
  132. 水田正和

    政府参考人水田正和君) 新型コロナウイルスの影響でございますが、外食とかインバウンド需要の減少に伴いまして和牛肉需要が低下をいたしまして、在庫が積み上がって枝肉価格下落をしたということでございます、まずは。  それに伴いまして交雑種や乳用種の価格も連動するようなことでございまして、こういう中で、まずは枝肉価格下落の主な要因でございます和牛肉在庫解消に向けまして、和牛肉の保管在庫支援緊急対策事業というものを措置をいたしまして、和牛肉の保管料とかを支援するとともに、販売促進という形で取り組んだところでございます。  それから、国産農林水産物の販売促進緊急対策事業というものにおきましては、学校給食とか子供食堂に供給する場合の支援でございますけれども、これにつきましては、和牛のみならず、交雑種や乳用種につきましても支援の対象として取り組んだというところでございます。  こうした取組あるいは経済活動回復等によりまして、今年の十一月時点の交雑種と乳用種の枝肉価格でございますが、前年同月に比べまして、それぞれマイナス二・六%、マイナス三・五%の水準まで回復してきているところでございますが、引き続き価格の動向に注視してまいりたいと考えております。
  133. 紙智子

    ○紙智子君 北海道では、この乳牛とか交雑の牛肉というのは多いんですよね。それで、やっぱり低い状況が続いているということですから、是非これ以上下がらないようにしっかりと対策を打っていただきたいと思います。  次に、生乳の流通改革についてお聞きします。  二〇一八年度から加工原料乳生産者補給金制度が変わって、指定生乳生産者団体の一元集荷が撤廃されました。指定団体以外の流通が可能になった結果、昨年十一月には、群馬県の生乳卸、ミルク・マーケット・ジャパン、いわゆるMMJが北海道の九戸の酪農家から集乳を停止をして、大量の生乳が破棄されるという事態になりました。  安倍前総理は、二〇一六年の十一月七日に開かれた規制改革推進会議で、生乳の流通改革は酪農家が販路を自由に選べ、流通コストが削減できる公平な事業だというふうに言っていたわけなんですね。  今回、生乳が廃棄されたと。流通改革は、これ、生産者にとってはリスクがあるんじゃないですか、大臣
  134. 水田正和

    政府参考人水田正和君) 北海道におきます集乳停止による生乳廃棄でございますけれども、これにつきましては、昨年冬から今年の春にかけまして、北海道で一部の集乳業者の集乳停止によりまして生乳廃棄が生じたものでございます。  農林水産省といたしましても、その当該集乳業者を始め、生産者が属する組織あるいは生産者に対して聞き取りを行いました。その結果、その集乳業者からは、生産段階で生乳への異物混入が原因でこの受入先、販売先の乳業者から生乳の受入れを断られた生産者がおりまして、その生乳が廃棄されたといった報告を受けましたが、一方で、生産者の側からは、異物混入は事実でありますけれども、既に改善しておりまして、その後はその集乳業者を経由せずに乳業メーカーへ出荷して受け入れられているというお話をいただいたところでございます。  この生乳廃棄の事例につきましては、この廃棄された生乳の費用をどちらが負担するかということについて論点となっておりまして、契約当事者間の取引上の問題であるというふうに考えております。
  135. 紙智子

    ○紙智子君 異物混入というお話されるんだけど、異物混入は九件のうち三戸だけなんですよね。  それで、安倍総理は、所得が増やせる改革だとも言っていたわけです。しかし、実際にこれ生乳を廃棄した場合に、これで農家の所得が増えるなんというふうには思えないわけで、これで農家の所得増やせるということなんですか。
  136. 水田正和

    政府参考人水田正和君) 生乳が廃棄された場合に農家の所得が増えるということではございませんけれども、農家の所得そのものにつきましては、生乳需給ですとか、あるいは生産資材価格等の要因により変動するということでございますけれども、農林水産省といたしましては、この改正された畜安法によりまして、生産者方々には、出荷先を自由に選べる環境の下、創意工夫による所得増大の機会、こういったものを生かしていただくということを期待しているところでございます。
  137. 紙智子

    ○紙智子君 何か、異物混入されていたから問題で、今はそれは変えてちゃんと元に戻っていますよみたいな説明されるんだけれども、ちょっと違うと思うんですよね。  生乳のこの需給の安定、あるいはこの畜産経営の安定、これを目指した改正畜安法の趣旨からいっても、これ逸脱する事態だと思うんです。そして、制度の信頼性をやっぱり揺るがす、そういう、現場に混乱を招いたということでもあると思うんですね。  安倍前総理の肝煎りで進められた規制改革推進会議が主導した改悪だというふうに思うんですけれども、これについてやっぱり点検もし、検証を強く求めておきたいというふうに思います。  それから、昨年に続いて、ヨーネ病の対策についても聞きます。  北海道でヨーネ病の感染拡大が止まっていません。二〇一九年の発生状況は全国で千六十六頭だったんですが、そのうち北海道は九百四十五頭で、三百二十戸で発生しました。  市場で購入した牛から陽性反応が出て殺処分をした事例も発見されています。ヨーネ病の潜伏期間は、発症するために時間が掛かるわけです。牛の市場取引の段階でヨーネ病の感染牛を発見をして感染拡大を防止する対策が必要ではありませんか。
  138. 新井ゆたか

    政府参考人新井ゆたか君) お答え申し上げます。  牛のヨーネ病、慢性的な下痢によりまして牛が痩せ細り、乳量が低下するといった被害を起こす病気でございまして、委員指摘のとおり、発生まで、発症するまでの期間が六か月から数年と長く、急性疾病に比べまして管理が非常に難しいという特徴がございます。  ヨーネ病の検査につきましては、家畜伝染病予防法に基づく定期的な検査によりまして感染牛を摘発するとともに、農場への導入牛によって疾病の持込みを予防する対策として、ヨーネ病の清浄農場からの牛の導入や、検査して陰性が確認された牛の導入というものを指導しているところでございます。  委員指摘の検査、事前検査でございますけれども、牛を導入する前に行う検査を徹底していくということも有効な手段であるというふうに考えておりますので、農林水産省といたしましては、家畜生産農場衛生対策事業におきましてその検査費用を支援しているところでございます。
  139. 紙智子

    ○紙智子君 通過菌対策という問題もあるんですけど、遺伝子検査でふん便中のヨーネ菌の遺伝子が基準に満たない量の場合は、これ患畜扱いはしないわけですよね。しかし、北海道のようにヨーネ病の発生が増えている地域、遺伝子量が少ないというふうには言っても、やっぱり感染拡大を防ぐ対策というのは強化すべきなんじゃないかと思うんですよ。  それで、感染が多発している地域は、これ、やっぱり集中的な感染防止策を取っていただきたいということを求めておきたいと思います。これに一言お願いします。
  140. 新井ゆたか

    政府参考人新井ゆたか君) 発生農場におきます高リスク牛、今お話がありました遺伝子検査の結果、検体中に一定量未満のヨーネ菌遺伝子が確認されたもの、それから患畜と疫学的に関連が高いもの、エライザ法による検査で陽性となったもの、これらの高リスク牛につきましては早期更新というのを進めているところでございます。  この高リスク牛の淘汰を強化するために、農林水産省といたしましては、当該家畜の評価額から健康畜として利用可能な畜肉等の金額、いわゆる出荷額を控除した額の三分の二というのを支援しておりまして、これらを御活用いただきたいと思っております。
  141. 紙智子

    ○紙智子君 引き続きしっかり対応していただきたいと思います。  では最後に、吉川貴盛元農水大臣疑惑についてお聞きします。  報道によれば、三回に分けて現金の授受が行われたというふうになっています。一回目は二〇一八年の十一月とされています。この時期というのは、OIEのアニマルウエルフェアの二次案が提示をされて、それを受けて十一月十二日に日本養鶏協会と国際養鶏協議会が当時の吉川農水大臣に要請書を提出した月です、十一月。それから、二回目は二〇一九年の三月に大臣室で二百万円と。現金授受の前の二〇一九年の一月は、日本がOIEに対して巣箱と止まり木の義務化をやめるようにコメントを提出した、まあお礼の疑いもあると。三回目は二〇一九年の八月に百万円。これ、七月には、八月の前、七月に日本がOIEにコメントを提出した直後なんですね。このとき日本のコメントというのは、ケージで飼う養鶏の密飼いを認めないとする二次案に問題があるとするアメリカのコメントに賛同する中身だったわけです。  こう見ていくと、献金をしている時期というのは、要望を受け取った時期、あるいは日本がコメントを出した時期に符合してくるんですね。OIEにコメントを出すに当たって、吉川大臣から何か指示があったでしょうか。
  142. 水田正和

    政府参考人水田正和君) 捜査に関わることでございますので、コメントは差し控えたいと思います。
  143. 紙智子

    ○紙智子君 こういう今の系列、時系列で符合するという話をしたんですけれども、係争中のことだということなんだけれども、コメント大臣が一人で勝手に判断して出すということはちょっとないと思うんですね。当然、コメントを出すときには議論があったと思うんですけど、農水省で議論はあったんですか。
  144. 水田正和

    政府参考人水田正和君) OIEにコメントを出す際に当たりましては、例えばOIEの二次案に対するコメントを出す場合にはOIEの連絡協議会というものを開催をしているところでございまして、平成三十年十二月十九日あるいは令和元年の六月十七日、二回開催しておりまして、消費関係の方、あるいは学識経験者の方、そして産業界の方、生産者の方、そういった方々が入っていただいて御意見をいただきまして、それを踏まえて農水省として意見を提出したというものでございます。
  145. 紙智子

    ○紙智子君 要望を受け取ったということは、これは間違いないんだと思うんですよ。そういう受け取った事実はあるんだと思うんです。  それで、日本養鶏協会が出している日鶏協のニュースというのもあるんですよ、業界のニュースが。そのニュース見ますと、二〇一九年の二月号にアニマルウエルフェア対策協議会発足という内容があると。同協議会では、二〇一八年十一月十二日に吉川農水大臣に要望書を提出し、十二月二十日には農林水産省畜産振興課長、動物衛生課長に要望書を提出し、政治行政へ力強く働きかけましたと書かれているんですね。力強くというのはこれどういう力なのかというふうに思うんですが。そして、更に続けて書いてあるのは、二〇一九年の一月十一日には、こうした協議会の活動が功を奏し、OIEの採卵鶏のアニマルウエルフェア条項の修正二次案に対する力強い反論が農林水産省からOIEに提出されましたとニュースに書いてあるわけです。  これ、もしかして、裏金で政治がゆがめられた疑い出てくるんじゃないのかと、そういう疑念というのがどうしても起こってくるんですけれども、こういう重大な疑念に対して大臣はどう思われますか。
  146. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) 捜査活動に関することについてはコメントは差し控えさせていただきますが、その上で、御指摘の件につきましては、アニマルウエルフェアに関するOIEへのコメントについては、その検討に当たっては、養鶏の生産者団体、消費者団体や学識経験者等の多くの方から出された意見を踏まえて、多様な飼養形態を認めるべきとの旨のコメントを提出しているということでありまして、妥当なものだと認識をしております。
  147. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 時間が参っておりますので、おまとめください。
  148. 紙智子

    ○紙智子君 疑念が出ているわけですから、やっぱりちゃんと農水大臣として責任を持って調べるべきだと思うんですよ。  そして、加えて言うならば、西川元農水大臣の問題も、先ほどありましたけれども、現在は内閣官房参与で、身分は一般職の非常勤公務員だと、その担当は農林水産省の振興となっていると。これ、利害関係者であるアキタフーズからクルーザーで接待を受けていいのかという問題もある中で、私は、やっぱり歴代の大臣二人が関わっていたとすれば、これ深刻な問題だと思います。  疑惑の解明には、是非ともこれ、吉川氏と西川氏御本人から話を聞くべきだというふうに思いますので、是非、参考人として委員会に、閉会中ということになるかもしれませんけれども、出席を求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  149. 上月良祐

    委員長上月良祐君) もう時間が参っておりますので。(発言する者あり)  ただいまの件につきましては、後刻理事会にて協議をいたしたいと思います。
  150. 須藤元気

    ○須藤元気君 こんにちは。須藤元気です。  本日は、有機畜産物についてお聞きします。  有機畜産物とは、家畜では牛、豚、馬、羊、ヤギ、家禽では鶏、ウズラ、アヒル及びカモが対象となります。薬剤に頼らず有機栽培された飼料を与え、密飼いなどのストレスを与えずに、家畜の行動要求に沿い十分留意した飼育方法を行う畜産業を指しており、家畜に不必要な苦痛を与えず良い生活を保障するアニマルウエルフェアの考え方に基づいています。  先ほど、石垣議員の質問で、養鶏場のケージでの飼育率が九四・二%ということでしたが、やはり少しでも何か放し飼い鶏増やしたいなと思いました。私も格闘家の頃、ケージファイトと呼ばれる金網の中で闘っていたんですが、今こうして無事に金網から出れて、よかったと思っています。  さて、私は二〇一一年にアメリカの縦断の旅をしたことがあります。そのときに、バージニア州シェナンドー・バレーにあるポリフェース・ファームという農場へ立ち寄りました。この農場は、グラスフィニッシュと呼ばれる育て方で、生まれてから母乳と牧草、干し草で育てられています。もちろん成長促進ホルモン剤、抗生物質などは与えられていません。パーマカルチャーも取り入れた農場づくりで、持続可能な農業をしながら六千世帯と五十のレストランに農作物を提供しています。  経営者であるジョエル・サラティンさんは、自分のことを牧草農家と呼んでいます。通常、家畜農家であれば、利益率も考えて育てる面積決めていると思いますが、ジョエルさんのアプローチは、家畜たちは牧草地をより肥沃に良い状態を保つためのパートナーという考え方で育てております。あと、プロモーションもなかなか上手でして、オーガニックビーフや放し飼い鶏と呼ばれるものが工業的なものになってきているのを感じ、独自の視点で新しい名前を付けています。牛が毎日牧草地で草を食べ放題ということで、自分が飼っている牛のことをサラダバービーフと変わった名前を付けて、独自の手法をアピールしています。  ジョエルさんと働いている人たちと農場で夕御飯を一緒にさせてもらいましたけど、本当に食事もおいしく、働いている人たちもみんな楽しそうでして、そのとき、日本も有機畜産業を何か推進していきたいなと思いました。  さて、現在は、日本の有機農産物に比べて有機畜産物は非常に少なく、求めていても手に入れるのが難しい状況です。有機ではない畜産物は飼料の多くを輸入に頼っており、遺伝子組換え飼料などが使われています。恐らく、コストや販路など、有機に取り組むハードルの高さもあるのか、推察されます。  そこで、まずお聞きしますが、現在の日本の有機畜産農家の数はどれぐらいあるか、教えてください。
  151. 太田豊彦

    政府参考人(太田豊彦君) お答えいたします。  本年十一月の取りまとめ時点で、有機畜産物のJAS認証を受けた方、認証事業者数は十八事業者となっております。
  152. 須藤元気

    ○須藤元気君 では、日本全体の畜産農家数はどれぐらいあるんでしょうか。
  153. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  畜産農家の数ということでございますが、直近の畜産統計によりますと、酪農家で一万四千、肉用牛農家で四万四千、養豚農家が四千、採卵鶏農家が二千、それから肉用鶏の農家が二千戸ということになっております。
  154. 須藤元気

    ○須藤元気君 恐らく有機畜産農家さんは〇・〇一%未満だと思うんですけれども、アメリカ、EUに比べて大きく後れを取っていると思いますので、是非スピード感を持って取り組んでいただきたいです。  世界の有機食品の売上げは、スイス有機農業研究所と国際有機農業運動連盟の調査によれば、この十年間で約二倍になるなど右肩上がりの状態にあります。また、スイス農業局の本年の四月の調査結果によれば、有機畜産物価格は、有機でないものに比べて食肉、食肉製品が四二・八%、卵が三八・八%、乳製品が三五・六%高くなるなど、農業者の所得向上に貢献しております。  一方、日本では、平成三十年において、有機畜産物を含む有機食品の国内市場は約千八百億円、国民一人当たりの年間消費額は約千四百円です。そのうち有機畜産物になると、ごく僅かにすぎません。平成二十九年度農林水産省消費者を対象に行ったアンケート結果によれば、購入経験のある有機食品としてハム、ソーセージ類は二二%と、野菜の六二・五%と比較すると国民の認知度もまだまだ低いものと思われます。  そこで、有機畜産物について、国民の認知度が低い理由、国内生産が少ない理由をどのように分析しているのか、農林水産省の見解をお伺いします。
  155. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  有機畜産生産でございますけれども、化学肥料とか農薬とかを使わない、使用が制限されるということでございます。それから、動物用医薬品の使用も制限をされると。これは、飼養管理の面でもいろいろと制限があるということでございまして、環境負荷軽減にはつながるわけでございますけれども、やはり始めて直後は、有機でない普通の慣行の農法に比べまして、やり方に比べまして生産性が低下するということになります。こういったことから、多くの農家の方が実施するというのは難しい面があるのではないかと考えておるところでございます。  したがって、その有機畜産物の国内生産については現時点で取組が限られておりまして、そういった意味で、消費者の方も目にすることも少ないということがあるのではないかというふうに思っておるところでございます。  ただ、農業の自然循環機能というものを利用して、それを大きく増進させるとか、環境への負荷を軽減する取組であるとか、そういった面もございますし、また、我が国におきます有機の食品市場規模、こういったものは拡大していくことが見込まれておりますので、今後、この有機畜産物につきましても消費者の関心が高まっていく可能性があるというふうに考えておりますので、個々の農家経営判断、こういったものも尊重しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  156. 須藤元気

    ○須藤元気君 ありがとうございます。どんなものでも導入期というものはやはり難しいですけれども、是非プロモーションをしっかりして、認知度を高めていただければと思います。  続きまして、JAS認証についてお聞きします。  有機畜産物は主にアニマルウエルフェアや環境保全の観点から欧米を中心に広がっておりますが、平成十三年のコーデックス総会では、有機畜産物は国際基準として採択されました。日本でも、このような国際情勢や国内の生産者団体からの要望等を踏まえ、平成十七年十月に有機畜産物の日本農林規格が制定されました。また、東京オリンピック・パラリンピックの食材調達基準では有機畜産により生産された畜産物が推奨されるとされ、有機食品の関心が高まっております。これまで、有機畜産物についてはJASの認証なしでも有機の表示が可能でしたが、本年七月十六日のJAS法の改正以降は有機畜産物のJASが必要となり、認証を取得したものでなければ有機畜産物と表示ができなくなりました。  そこでお聞きしますが、平成十七年から本年七月まで、なぜJASの認証制度を採用しなかったのでしょうか。そして、これまで必要のなかったJASの認証が必要になった背景には何があったのか、お聞かせください。
  157. 太田豊彦

    政府参考人(太田豊彦君) お答えいたします。  JAS法におきましては、例えば有機牛乳といった名称を表示することで付加価値が高まるものにつきましては、国内の流通量が増大するとともに消費者の適正な商品選択に支障が生じないように、JAS認証を受けたもの以外はJASで定められた名称、これは有機○○といった名称を表示することを禁止することができる仕組みとなっております。  近年、この有機畜産物で有機○○といった表示がなされた畜産物、あるいはその加工品の国内の流通量が増大をしてきております。その結果、有機○○の表示の真偽の判別が困難となってきているのではないか、そのため消費者の適正な商品選択に支障が生ずるおそれがある状況になっているのではないか、これが背景ということになりますけれども、そういった状況を踏まえまして、有機畜産物やその加工品につきまして、有機JAS認証を受けたもののみを有機○○と表示してよいこととし、それ以外につきましては禁止するということをしたところでございます。
  158. 須藤元気

    ○須藤元気君 有機農業の場合、JAS法に基づく登録認証機関に申請し、書類審査や実地検査等を受ける必要があり、金額的にも小規模家族経営者には大きな負担になるのではないかと前回の臨時国会で指摘させていただきました。  同じように、この有機畜産業の小規模家族経営生産者も大きな負担にならないでしょうか。JAS認証手数料はどれぐらい掛かるのかも含めて教えてください。
  159. 太田豊彦

    政府参考人(太田豊彦君) お答えいたします。  有機畜産物JAS、これを取得するための認証手数料につきましては、JAS法に基づく登録認証機関が自ら設定するということになっております。認証手数料につきましては、外部の検査員を活用するなど、規模や効率によって認証手数料に差がありますが、現地調査に掛かる旅費を除くと、現在四万六千円から三十万円となっております。単純に平均をいたしますと十三万七千円ほどということになると承知をしております。認証手数料につきましてはそれぞれの登録認証機関のホームページでこれは有機農産物と同様に公表されておりますので、生産者が認証を受ける際は、これらを見て自ら登録認証機関を選択するということができます。  委員指摘のとおり、この費用負担というのは重要な問題、重要な点であるというふうに考えておりまして、有機畜産物JASの認証を取得する生産者にとって、認証手数料を支払ってでも認証を取得する意欲が高まるように、引き続き、ホームページなどを活用した広報によりまして、有機畜産物のJAS制度、あるいはその有機畜産物の普及推進、こういったことに努めてまいりたいというふうに考えております。
  160. 須藤元気

    ○須藤元気君 現在のこのJASを取得している畜産農家さんが十八件しかないという現実を見て、是非、支援等を含めいろいろと考えていただきたいと思います。  話は少しそれますが、私が格闘家としてデビューしたときに、まだ総合格闘技というものもエンターテインメントとしての基盤がありませんでした。幾ら自分が練習して技を磨いても、プロの格闘家としてやっていくには、安定した練習場所の確保やサポートスタッフの確保、トーナメントを企画して運営してくれる興行主、そしてトーナメントをコンテンツとして買ってくれるテレビ局、あとは広告主などがそろうまで待たなきゃいけない状況でした。運よくちょうどブームが来たからよかったんですが、この有機畜産業は今そのときと同じような状況にあると思います。  有機農産物では、昨今では消費者への直接販売による販路の確保や常温での流通が可能である一方、有機畜産物については、有機畜産対応した屠畜処理、冷凍、冷蔵による保管、流通ルートの確保、そして有機飼料の確保も必要です。畜産農家さんが単独で頑張っても、有機畜産を安定的なビジネスとして確立するのは難しいかと思います。畜産関係者全体が、有機に対応したサプライチェーン、フードシステムを構築していく必要があるのではないでしょうか。  そこで、有機畜産に取り組もうとする畜産農家に加え、畜産農家を核とする関係者の連携の必要性について農林水産省の見解を伺うとともに、国の支援策について教えてください。
  161. 宮内秀樹

    ○副大臣宮内秀樹君) お答えをいたします。  まさに、畜産物生産する上では、生産者だけではなくて、乳業メーカーとか屠畜場など、畜産関係事業者が不可欠であるというのは当然でございます。有機畜産物を販売する上でも、こうした事業者との連携は大変重要なことであるというふうに認識をしているところでございます。  一方で、有機畜産に取り組んでいます農家等に対するアンケート調査をいたしますと、消費者の理解に基づいて適正な価格転嫁ができる販売力が必要といったような課題、こういうことも取り上げられているところでございますので、まずは有機畜産物の意義につきまして、消費者の理解、この醸成に取り組むことが大変重要であるというふうに認識をいたしております。  このため、その意義を理解をしていただくために、国産有機畜産物を扱う事業者、いわゆる国産有機サポーターズの消費者への周知とか事業者間のマッチング、それから消費者理解醸成のための取組に対して支援しているところでありますけれども、引き続き、この取組を通じまして、生産者事業者の連携をしっかり進めていきたいというふうに考えております。
  162. 須藤元気

    ○須藤元気君 ありがとうございます。  今マッチングというふうに出ましたが、次の質問なんですが、有機飼料の生産支援、そしてマッチングについてお聞きします。  牛、豚、鶏等の家畜、家禽には濃厚飼料等の飼料が給与されますが、経営コストに占める飼料料の割合は三割から六割に及んでいます。意外と高いですね。有機畜産を行う場合には高価な有機飼料の調達が必要となるため、更に経営を圧迫することになると思います。正直、有機畜産物を推進していく上でここが一番ネックになるのかなと思います。  私も魚屋と飲み屋やっていますが、店の売りが生の本マグロでして、しかし、生の本マグロは採算性が悪く、ほとんど利益になりません。そこで、ほかの商品とバランスを取ることによって利益を上げています。多くの飲食業も、ほとんどの飲食店さんも同じです、商品の多様性でバランスを取っております。ですから、相対的に高額な有機飼料を使うことでコストが高くなってしまう有機畜産物も、こうした高級マグロのような感じで、購入する側の値頃感とのマッチングがなかなか難しいのではないでしょうか。  そこで、調べてみたところ、山形県にある平田牧場というところが飼料用米プロジェクトというものに取り組んでいました。このプロジェクトでは、リサイクルや有機農業を取り入れた環境保全型の畜産経営で、安定的な生産と流通を目指しています。休耕田を利用し餌用の米を作って、それを豚の飼料にしています。町と牧場が協同で取組を始めて十年以上たつそうですが、これまでに着実に成果を上げて、二〇一六年には作付面積千八百八十五ヘクタールを実現し、一万千三百三十三トンの飼料用米を集荷しました。一頭当たりの飼料用米の給餌量は、プロジェクト開始当初の十九キロから七十三・五キロにまで増加しています。さらに、このお米を食べる豚の尿を発酵させて肥料として利用するという環境保全型農業に取り組み、上手にコストダウン、そして量産を図っております。  そこで、有機飼料の生産を振興するとともに、有機畜産農家と有機飼料生産者のマッチングなどの取組が必要と考えますが、農林水産省の見解を伺うとともに、国の支援策について教えてください。
  163. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) 有機畜産物生産におきましては、今お話あったとおり、有機JAS圃場等において生産される有機飼料が必要になってまいります。今先生が御指摘のあったそういう事例もあると思いますし、例えば北海道の津別町では、七戸の酪農グループが有機JAS認証を取得した生乳生産に取り組むとともに、その地域内でその有機飼料の生産を行っていると、こういう事例もあります。  このような様々な事例があって、その有機飼料生産等の取組を推進するために、農林水産省としましては、放牧等有機畜産物生産のそういう様々な事例がありますが、その事例の調査ですとか、あるいは有機飼料生産の課題についての検討会ですね、いろいろな方が集まっている検討会の開催ですとか、あるいは酪農における有機飼料生産等に対する支援等々を行っているところでありまして、多様な生産者がこの有機畜産物生産に取り組めるように支援をしてまいりたいと考えております。
  164. 須藤元気

    ○須藤元気君 ありがとうございます。有機農産物とともに有機畜産物を推進して、人にも動物にも自然にも優しい未来をつくっていただければと思います。  私の質問は以上になります。ありがとうございました。
  165. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  田名部さんから発言を求められておりますので、これを許します。田名部匡代さん。
  166. 田名部匡代

    田名部匡代君 私は、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及び日本共産党の各会派並びに各派に属しない議員須藤元気さんの共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する決議(案)   我が国の畜産酪農経営は、畜産クラスター等の地域関係者が一丸となった取組の成果として、乳用牛、肉用繁殖雌牛の飼養頭数が増加に転じる一方、担い手の高齢化、後継者不足は深刻さを増しており、特に、中小・家族経営においては経営継続の危機にさらされている。こうした事態に対処しつつ、輸出目標の実現に取り組むため、新たな食料・農業・農村基本計画並びに新たな酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針を踏まえた生産基盤のより一層の強化や次世代に継承できる持続的な生産基盤の創造が急務である。また、規模の大小を問わず、生産者生産性向上等を強力に支援するとともに、より多くの若手が就農を目指す魅力ある労働環境を構築することが重要な課題となっている。   このような中での新型コロナウイルス感染症の拡大は、畜産酪農経営に大きな影響をもたらしている。また、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)等のEPAが発効、締結又は署名され、我が国の畜産酪農の将来に対する懸念と不安を抱く生産者も多い。   よって政府は、こうした情勢を踏まえ、令和年度畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 新型コロナウイルス感染症による畜産酪農経営への影響を克服するため各種支援策を強力に実施すること。また、新型コロナウイルス感染症の影響により乳製品在庫が高水準にある中、酪農経営の安定と牛乳・乳製品の安定供給の確保が図れるよう、非需要期における国産乳製品の需要拡大等の取組に対し、機動的な支援を講ずること。さらに、近年頻発する大規模災害に対応するため、飼料穀物の備蓄をはじめとする配合飼料の安定供給のための取組や施設での非常用電源設備の導入を支援すること。  二 高病原性鳥インフルエンザ、豚熱の感染拡大防止は、現下の家畜伝染病の防疫上、最重要課題である。そのため、各種対策を強力に推進し、農場における飼養衛生管理基準の遵守の徹底を図り、感染リスクを低減させる取組を支援すること。また、高病原性鳥インフルエンザ等の発生農場及び移動・搬出制限を受けた農家に対する万全の支援を行うとともに、風評被害対策に万全を期すこと。アフリカ豚熱については、水際での防疫措置を徹底すること。これらの措置を着実に進めるため、地域の家畜衛生を支える家畜防疫員や産業動物獣医師の確保・育成を図ること。  三 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)、経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU経済連携協定)、日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定(日米貿易協定)、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定等が、我が国畜産酪農経営に与える影響について、輸入実績など統計データを基に、分析を行い、これを公表すること。また、新たな国際環境下において、関税削減等に対する生産者の懸念と不安を払拭し、生産者経営の継続・発展に取り組むことができるよう、実効ある経営安定対策を講ずること。その際、実施した施策の効果を検証し、適宜必要な見直しを行うこと。  四 加工原料乳生産者補給金・集送乳調整金の単価及び総交付対象数量については、中小・家族経営を含む酪農家の意欲が喚起されるよう、再生産確保を図ることを旨として適切に決定すること。また、期中における一方的な出荷先変更により集送乳の調整に混乱を来す事例は減少傾向にあるが、生乳取引の安定や適切な需給調整が図られるよう、引き続き、必要な措置を講ずること。  五 肉用子牛生産者補給金制度における保証基準価格等については、中小・家族経営を中心とする繁殖農家経営努力が報われ、営農意欲が喚起されるよう、再生産確保を図ることを旨として適切に決定すること。  六 世界中で評価の高まっている和牛肉等の輸出拡大に向け、生産・流通・輸出事業者が連携したコンソーシアムの組織化・販売力の強化や、輸出先国・地域の衛生条件を満たす食肉処理施設等の整備を促進するとともに、輸出先国・地域の輸入規制への対応については、政府一体となって、戦略的かつ迅速に進めること。また、国産畜産物需要拡大等に対応するための施策を継続的に措置すること。  七 中小・家族経営をはじめとした地域関係者が連携し、地域一体となって収益性の向上を図る畜産クラスター等について、引き続き、現場の声を踏まえた事業執行に努めつつ、収益性向上等に必要な機械導入や施設整備、施設整備と一体的な家畜導入等を支援すること。また、乳業工場・食肉処理施設の再編整備、国産チーズの競争力強化に向けた取組等を支援すること。  八 酪農経営など、特に中小・家族経営にとって不可欠な存在であるヘルパーについては、その要員の育成や確保・定着の促進のための支援を行うとともに、外部支援組織の育成・強化を図ること。また、ロボット、ICT、IoT、AI等の新技術の実装を推進し、生産性向上に加え労働負担の軽減等を図るとともに、次世代を担う人材を育成・確保するための総合的な対策実施し、既存の経営資源の継承・活用に向けた取組を強力に支援すること。さらに、畜産GAPの普及・推進体制の強化を図るための指導員等の育成やGAP認証取得等の取組を支援すること。  九 家畜のストレスや疾病を低減し、畜産酪農生産性や畜産物の安全性を向上させるため、アニマルウェルフェアに関するOIEの科学的知見に配慮して、適切な飼養スペースの確保等家畜の飼養管理の普及を図ること。  十 資源循環型畜産の実践に向け、家畜排せつ物処理施設の整備や堆肥等の利用推進等の取組を支援するとともに、これらの取組に資する微生物の活用など新技術の活用を図ること。  十一 家畜能力等の向上を図る取組を一層支援すること。また、家畜改良増殖法及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律に基づき、関係者の長年の努力の結晶である和牛遺伝資源の適正な流通管理及び知的財産としての価値の保護強化を図ること。  十二 輸入飼料に過度に依存した畜産酪農から国産飼料に立脚した畜産酪農への転換を推進し、飼料自給率の向上を図るため、優良品種の普及、気象リスクに対応した飼料生産水田等の活用、放牧を支援するとともに、大型機械による飼料生産を可能とする草地整備等を推進すること。また、畜産酪農経営の安定に資するよう、配合飼料価格安定制度の安定的な運営を図ること。  十三 国際社会において、SDGsに基づく環境と調和した持続可能な農業の促進が求められていることを踏まえ、地球温暖化防止や生物多様性保全等の環境負荷軽減に取り組んでいる生産者を力強く支援すること。  十四 原発事故に伴う放射性物質の吸収抑制対策及び放射性物質に汚染された稲わら、牧草等の処理を強力に推進すること。また、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  167. 上月良祐

    委員長上月良祐君) ただいまの田名部さん提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  168. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、野上農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野上農林水産大臣
  169. 野上浩太郎

    国務大臣野上浩太郎君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいります。
  170. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十六分散会