○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
二〇一〇年十二月八日に、さいたま新都心
郵便局員の自死事件が起きました。この事件について、本年三月三十一日、埼玉県労働局労災保険
審査官が、さいたま労働基準監督署長の判断を覆して、業務上災害と認める決定をしました。
資料をお配りしましたので、御覧ください。この件についての西日本新聞、本年三月三十一日付けの記事です。ノルマで過重業務、
郵便局員を過労自殺認定と報じています。
埼玉県在住の
郵便局員Kさんは、二〇〇六年五月にさいたま新都心
郵便局への
異動を命ぜられました。この記事にもあるように、当時のさいたま新都心
郵便局は、
郵政民営化後、職場環境が大きく変わりまして、トヨタ方式、つまり、立ち作業や、また配達に掛かる時間等を厳しく制限をするなど、取り入れていました。加えて、
仕事でミスをすると、百五十人以上の職員の前でお立ち台という台に立たされて、そんな謝り方ねえだろう等と上司から大声で叱責され、追及を受けるということが日常的に行われていました。また、年賀状の販売ノルマが一人七千枚から八千枚と課せられて、ノルマ達成のために自分で買い取ったり金券ショップに売ったりするいわゆる自爆営業と呼ばれることも横行していました。
こうした
郵政の職場環境の中で、Kさんは、営業成績を上げるというノルマを押し付ける圧力に精神的ストレスを重ねていきます。明るかったKさんからは笑顔が消えました。二〇〇八年二月にとうとううつ病を発症、病休と復職を三回繰り返した後、二〇一〇年十二月八日、
郵便局の四階から身を投げて死亡しました。自死したその日も上司から罵声を浴びていて、御遺族に対して、ありがとう、いつも、何々ちゃん、この何々ちゃんというのは妻の名前です、ごめんね、行ってきますという最後のメールを送っていました。
実は、このさいたま新都心
郵便局は私の自宅からも見えますので、事件のことは頭から離れたことはありませんし、思い出すたびに胸が締め付けられる思いです。
御遺族は、二〇一三年十二月に
日本郵便に対して損害賠償請求訴訟を起こし、様々な苦労の末、二〇一六年十月に和解が成立をしました。さらに、二〇一五年十一月に埼玉県労働基準監督署に遺族補償年金等を請求しましたが、不支給決定。さらに、二〇一七年十一月に埼玉県労働局に
審査請求をしました。そして、とうとう本年三月三十一日に埼玉労働局労災保険
審査官が業務上災害と認定をしました。
この事件について、
民営化後に二つの出来事、
一つは達成困難なノルマが課せられたこと、二つは
仕事内容、
仕事量の大きな変化があったことが近接して生じていることから、業務による心理的負荷の全体
評価は強と判断するとして業務上災害と認定されたもので、大変重要な内容を持っていると思います。こうして
日本郵政のノルマ押し付けに明確な判断が下りました。
日本郵便、このさいたま新都心
郵便局自死事件で一家の大黒柱であった夫を失った御遺族に対して、業務上災害認定後、
会社として面会することも謝罪することもしていません。理由は何なんですか。