○渡辺喜美君 まあ実質的に債務性がないということを申し上げているわけです。
日銀法改正の翌年でしたか、九七年のちょうどこれも今頃ですが、すごい
状況でしたよ、拓銀がコール
市場で資金取れなくなってね。あの頃のコール
市場というのはたしか時点決済方式とかいう、まあ丼勘定ですよ、早く言ってね。十一時に決済、十二時にまとめて、何時に決済。つまり、コール
市場の誰が出した
お金がデフォルトされたのか全く分からないというので、あっ、これは
金融恐慌が起きたなと。三洋証券が裁判所に放り込まれた翌日、コール
市場が悲鳴を上げたんですね。
そこで、私は、これは基本、流動性の問題ではなくてソルベンシーの問題だと、バケツの底に穴が空いているかどうかの問題だということで、公的資金の注入という提案をした記憶がございます。
その頃ですかね、翌年だったか、塩漬け金庫株ファンドという提案もしたんですね。まあ、持ち合い株式というのは当時相当あったので、そういうのを
銀行から引き取って、
日銀の資金で、で、塩漬けにしちゃえと。ちょうど今のETFの買取りみたいな話ですよ。
そして、
国債を大量に発行すべきだと。
国債の大量発行、最終的にこれ
日銀が引き取るというのも、これまた塩漬け金庫債みたいな話ですよ。
予算総則にちゃんと書かれているように、償還の来た
国債というのは乗換えができるわけですからね。事実上のこれ
日銀引受け。ですから、これはもう金庫債、塩漬け金庫債でいいわけであります。
ですから、
国債が非常に今足りなくなってきているというのが、いつも申し上げますように、マイナス
金利の背景なのであります。
お手元の一ページの、このいつもお示しをするグラフ。おむすび山になっていますね。これは保有長期
国債のグラフであります。
黒田総裁が誕生したのが一三年の三月だったですかね、その頃から、保有長期
国債は物すごい勢いで伸びてきた。あっ、これはいい線いくなと思いましたよ。
つまり、
期待インフレ率というのが高まってくれば、実質
金利はどんどん低下をしてくるはずだと。で、八十兆円の買取り
目標というところまで行って、残念ながら
国債の玉が足りなくなっちゃったんでしょうね、察するに。そこで、苦し紛れというか苦肉の策といいますか、イールドカーブコントロールというのを始めた。その頃から保有長期
国債はどんどん減ってきているというのが現実であります。最近ちょこっと増えて、十二兆ぐらいが底だったのでありますが、十六兆ぐらいじゃないですか、今でもね。
そうすると、これは、FRBがこの新型
コロナショックでもって再び急激な資産拡大を始めましたので、これは
緩和負けするということが出てきてしまったわけです。
今日は為替相場は百四円台ぐらいでしょうか。先週は百三円台ぐらいでしたね。
麻生大臣に聞きましたら、いや、それはドル安というものだと言っておられましたけれども。明らかに
緩和負けということになりますと、いつ百円を突破されてもおかしくはない。
元財務官であられた
黒田総裁にはもう釈迦に説法でありますが、
黒田財務官の頃はたしか百二十三円か四円ぐらいだったんじゃないですかね。その頃、たしかカウンターパートのアメリカのテーラー財務次官ですか、テーラー・ルールのテーラーさんですね、と
黒田財務官が話をされて、何兆円か介入をされた記憶があります。
大体、為替相場というのは内閣の通信簿。あの頃は小泉内閣で、恐らく百二十円台。次の第一次安倍内閣も百二十円台。福田内閣が百十円台。麻生内閣が百円飛び台。鳩山内閣九十円台。菅内閣八十円台。野田内閣七十円台。そして、第二次以降の安倍内閣になって再び百円飛び台ぐらいになって今日来ているという
状況じゃないでしょうかね。
それではお尋ねをしますが、
緩和していると、
日銀の資産
規模は増えているんだと言いながら、保有長期
国債が余り増えていないのはどうしてでしょうか。