○
伊波洋一君 この伊江島での訓練等で
懸念するのは、これ我が国の領土です、確かに基地ではありますけれども。しかし、そこから発射、射程三百キロですから、HIMARSは、そこから発射をするという訓練が日常的に行われるようになるということに対して大変な
懸念を私は持っているわけですね。同時に、横田でも三沢でも、あるいはいろんなところで、六百メートルあればC130は着陸できます、原野でも。そういう意味では、我が国領土、国土が、
米軍のそういう緊急的な発射の、あらゆる場所にそういう展開ができるようになりかねないんじゃないかと、こう
懸念するわけです。
米海兵隊第三海兵遠征軍は、公式ホームページで、ノーブル・フューリーでは海軍の未来が示されたと、この未来は軽快で機動力のある海兵隊を想定しており、インド太平洋の島々を迅速に占領し、遠征前進基地の設置を支援すると
説明しています。
海洋圧力戦略に描かれたアウトサイド部隊の戦い方を実現してみせたのがこの伊江島での演習でした。滑走路だけじゃなくて、C130の強襲着陸が可能な六百メートルの空き地があれば、日本中どこでも
米軍の
ミサイル発射場になるという事態が現実化しています。第一列島線は中国の
ミサイル攻撃を耐え忍ぶという戦略は、
米軍にとっては対中国の軍事戦略としては問題ないのかもしれませんが、日本
政府の安全保障政策としてこれを受け入れてよいのでしょうか。
南西諸島の離島には、多くの住民が住んでいます。宮古島、石垣島にはそれぞれ五万五千人と五万人の住民が暮らしています。沖縄本島や九州にはより多くの住民がいます。多数の住民が生活する地域を戦場とする現在の
米軍の対中国軍事戦略に日本が乗ることは、軍民一体化のスローガンの下、四人に一人が犠牲となった沖縄戦の悲劇を繰り返すことになりかねません。
確かに、日本と中国の間には尖閣諸島問題があります。日中が尖閣問題を話合いで解決しないとすれば、武力による解決しか残りません。しかし、それは、九州や南西諸島を戦場にし、
国民の生命や財産を犠牲にする全面戦争への道です。
日中の経済
関係、米中の経済力、軍事力バランスなどの現実を直視し、
米軍の軍事戦略をきちんと理解すれば、日中の懸案を解決するためには、
米軍の軍事戦略に追随するのではなく、中国との話合いで
外交決着を図る以外ないのではないでしょうか。
日中平和友好条約締結四十周年の二〇一八年には、安倍総理は日本の総理
大臣として約七年ぶりに訪中し、李克強国務院総理、習近平国家主席と会談しました。首脳会談では、競争から協調へ、隣国同士として互いに脅威とならない、自由で公正な貿易を発展させていくという三つの原則を
確認しました。皆さんの
資料の最後のページにありますように、この八ページにありますように、七年分の
課題についてそれぞれ道筋をつくって実現し、成果を得たわけです。その後がまだ十分ではありませんけれども、しかし、日中でのハイレベルの会談は継続されてきました。
また、十一月十五日には、日本や中国、韓国、ASEAN諸国などで進めてきた東アジア地域包括的経済
連携、RCEP交渉がインドを除く十五か国で合意しました。世界のGDP、貿易総量、総人口の約三割、日本の貿易総額の約五割を占める巨大な経済
連携です。
近々、日中
防衛大臣の電話会談も計画されていると報道されております。王毅国務
委員兼外相が二十四、二十五日には訪日し、総理や
外務大臣と会談すると報道されています。
このようなハイレベルの会談で日中の
外交関係を発展させて、両国間の
懸念を適切に管理するという視点が重要ではないでしょうか。やみくもな
日米同盟重視を改め、日本を戦場にする米国の軍事戦略に追随するのはやめて、日本は中国と
外交交渉を通して問題解決を図ることが重要ではないでしょうか。
茂木外務大臣のお
考えはいかがでしょうか。よろしくお願いします。