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2020-11-19 第203回国会 参議院 外交防衛委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年十一月十九日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十一月十二日     辞任         補欠選任      宮崎 雅夫君     中曽根弘文君      新妻 秀規君     山口那津男君  十一月十六日     辞任         補欠選任      北村 経夫君     林  芳正君      伊波 洋一君     高良 鉄美君  十一月十七日     辞任         補欠選任      林  芳正君     北村 経夫君  十一月十八日     辞任         補欠選任      中曽根弘文君     三浦  靖君  十一月十九日     辞任         補欠選任      武見 敬三君     豊田 俊郎君      高良 鉄美君     伊波 洋一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         長峯  誠君     理 事                 佐藤 正久君                 三宅 伸吾君                 小西 洋之君                 三浦 信祐君                 井上 哲士君     委 員                 宇都 隆史君                 北村 経夫君                 武見 敬三君                 豊田 俊郎君                 中西  哲君                 松川 るい君                 三浦  靖君                 山田  宏君                 羽田雄一郎君                 白  眞勲君                 福山 哲郎君                 山口那津男君                 浅田  均君                 鈴木 宗男君                 大塚 耕平君                 伊波 洋一君    国務大臣        外務大臣     茂木 敏充君        防衛大臣     岸  信夫君    副大臣        外務大臣    宇都 隆史君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        三谷 英弘君        総務大臣政務官  宮路 拓馬君        国土交通大臣政        務官       小林 茂樹君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       藤井 敏彦君        内閣官房内閣審        議官       藤原 章夫君        警察庁長官官房        審議官      新田 慎二君        消防庁国民保護        ・防災部長    荻澤  滋君        外務省大臣官房        長        石川 浩司君        外務省大臣官房        儀典長      海部  篤君        外務省大臣官房        国際文化交流審        議官       志野 光子君        外務省大臣官房        地球規模課題審        議官       小野 啓一君        外務省大臣官房        参事官      河邉 賢裕君        外務省大臣官房        参事官      石月 英雄君        外務省大臣官房        参事官      徳田 修一君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   本清 耕造君        外務省アジア大        洋州局長     滝崎 成樹君        外務省北米局長  市川 恵一君        外務省中東アフ        リカ局長     高橋 克彦君        外務省国際協力        局長       植野 篤志君        水産庁長官    山口 英彰君        水産庁次長    神谷  崇君        国土交通省大臣        官房技術参事官  加藤 雅啓君        国土交通省航空        局航空ネットワ        ーク部長     鶴田 浩久君        海上保安庁長官  奥島 高弘君        海上保安庁警備        救難部長     瀬口 良夫君        防衛省大臣官房        長        芹澤  清君        防衛省大臣官房        審議官      岩元 達弘君        防衛省防衛政策        局長       岡  真臣君        防衛省整備計画        局長       土本 英樹君        防衛省地方協力        局長       鈴木 敦夫君        防衛省統合幕僚        監部総括官    加野 幸司君        防衛装備庁長官  武田 博史君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (イージス・アショアに係る経緯代替策に関  する件)  (駐日外交団等の使用する自動車に関する件)  (自律型致死兵器システムに関する件)  (日米関係に関する件)  (国連における核兵器廃絶決議案に関する件)  (沖縄における米軍の訓練に関する件)     ─────────────
  2. 長峯誠

    委員長長峯誠君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、新妻秀規君及び宮崎雅夫君が委員辞任され、その補欠として山口那津男君及び三浦靖君が選任されました。     ─────────────
  3. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官藤井敏彦君外二十八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 佐藤正久

    佐藤正久君 自民党佐藤正久です。  まずは、茂木外務大臣、再びの外務大臣、おめでとうございます。そしてまた、岸防衛大臣参議院OBとして、またこの当委員会OBとしての防衛大臣就任、本当におめでとうございます。  ただ、最初に実は苦言を呈しないと与党の理事としていけません。  先ほど理事会でもありました。防衛省から、イージス・アショアに係る経緯、この報告理事会でありました。実は、午前中、衆議院安保委員会の方の理事会の方でこれが説明があった。その際、これは非常に分厚い資料ですから、事前衆議院理事の方には説明があったと。ところが、参議院のこの理事会メンバーの方には説明がないと。どう考えても、参議院軽視という批判があっても仕方がない。  非常に大事な案件報告するのであれば、事前衆議院の方で説明したのと同じような形で参議院の方でもやっぱり説明すべきだと思います。ましてや、この委員会というのは、外交防衛両方の法案や条約が来て、議論をし、特に政府の方が承認あるいは可決をしてほしいという要望の下で、理事会の方で委員会運営をするわけです。そういう中において、衆議院の方だけ説明して、こちら参議院の方は説明しない、これはどう考えても私はおかしいと思いますし、これは事務方大臣をしっかり支えていない証拠だというふうにも言わざるを得ません。  大臣の御見解をお伺いします。
  7. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) どのような経緯があったか詳細には存じ上げませんが、引き続き、委員会皆様とはしっかり連携を取れるように、そして議論が深まるように、しっかり連携をしてまいります。
  8. 佐藤正久

    佐藤正久君 事務方から説明がないということ自体がおかしいと思います。  この件については、もう昨日、事務次官の方にも懸念を伝えております。報告大臣の方にないということ自体が、今回のイージス・アショアのこの経緯を踏まえてもおかしいと私は言わざるを得ません。我々も、政府意図を受けて、野党の方と調整をしながら、何とかこの委員会運営を円滑に、円満に、公正にやろうと努力している途中ですので、防衛省の方もしっかりそれは対応してもらわないといけないということを、まず最初苦言を強く呈させていただきたいと思います。  その関係で、若干質問を変えて、このアショアに関して最初質問をさせていただきます。  大臣、この報告書にあるように、ブースター落下の問題、これが今回停止の一番の大きな問題になったということでありますけれども、なぜ、今年の一月頃にこのブースター落下の問題、これは思うとおりにいっていないと、当初の説明と違うということが、担当の方でそういう情報をつかみながら、約半年間、大臣の方にこの報告がなかったのか、この原因について大臣はどのように御認識されているでしょうか。
  9. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今委員指摘の点でございますが、本年の早い時期に、防衛省が想定していたブースター落下に関する安全対策を実現するために、イージスシステムソフトウエア改修のみでは不十分なおそれがあると、そして、SM3のハードウエアを含めてシステム全体の改修が必要ではないかという懸念が生じました。  防衛省においては、従来より、ソフトウエア改修をもってブースターをむつみ演習場内又は海上に落下させるための措置をとれると、とると考えていたところでありまして、担当部局においては、これが実現できるための他の方策を本当に追求できないのか、議論前提となっている技術的な事項などについてしっかり確認をする必要があると考えましたから、米側協議を更に進めるということにしました。  その後、五月下旬に、ソフトウエアのみならずハードウエアを含めてシステム全体の大幅な改修が必要となりまして、相当のコスト期間を要することが判明いたしましたので、六月三日に防衛大臣に一報したところでございます。  本年の早い時期に大臣報告すべきではなかったかという御指摘につきましては、私自身としても、事業そのものに重大な影響を与える可能性がある情報ほど不確定であっても早く上げるべきではないかと考えております。そのため、報告の在り方も含めて仕事進め方に係る課題でありまして、これを改善していく必要があると、このように考えたわけでございます。  なお、本件は防衛省全体における仕事進め方課題でありまして、本年九月に河野大臣から事務次官を通じて省内に対して業務上の指導がなされたところでございます。私としても、防衛省全体として取り組むべき課題であると認識をしておりまして、厳しい御意見を真摯に受け止めたいと考えております。
  10. 佐藤正久

    佐藤正久君 大事な情報が上がっていないということは非常に問題で、これ民間であれば、大事なプロジェクトにおいて大きな変更を要するような事項があれば、それを速やかに報告しないとプロジェクト自体が止まってしまう。普通ならばこれ処分ですよ。しかし、処分もなされないということに私も一つ懸念がありますし、統幕長経験者も、これは自衛官なら大きな処分になったのに何で処分されないんだという意見もあるということはしっかり大臣の胸に留めておいていただきたいというふうに思います。  実は、昨日、秋田選出国会議員から防衛省に対して、この今検討している洋上案のうち、リグ形式については、ブースター落下、二段、三段目のブースター落下について大きな懸念があるということを伝えたようです。これ、大臣の方にはその報告上がっていますか。
  11. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 済みません。ちょっと質問意図がよく分かりませんでした。
  12. 佐藤正久

    佐藤正久君 昨日、秋田選出国会議員から、今検討している洋上案のうちリグ案リグ案についてはブースター落下の問題、これについて大きな懸念があると、二段目、三段目について防衛省の方に伝えたと。そういう懸念というものは大臣の方に伝わっていますか。
  13. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 済みません。その件については承知しておりません。
  14. 佐藤正久

    佐藤正久君 そういうことがやっぱりこのブースター事案、この報告書の反省が生きていないということなんですね。  要は、防衛省の中の内局の横の連携、これが悪かったと、一部の担当部署戦略企画課が中心にやってしまって内局内の横の連携が悪い、また装備庁とか、あるいは各幕との連携が悪いというのがこの教訓なんですよ。そこがまた同じことを大臣の方に上げていないと。これは大きな話であって、なぜ前の河野防衛大臣自民党部会で謝罪をし、涙ぐんだか。そういうこともそこに同席していた防衛省の幹部は見ているわけですよ。そういう流れがないとまた同じ失敗をしかねないと。  実は私、外務大臣当時、中東に出張する際に羽田空港の方にいたときに、夜中の二十四時頃ですよ、秋田会議員から電話掛かってきて、すごく怒っていました、ふざけるなと。なぜ明日、知事と市長の方には説明来るけれども、議会の方には全く説明がないと、県有地とかあるいは商業高校県立関係のを移すのであれば当然議会の方も関係あると。これは普通、私も演習担当をやっていましたけれども、地元調整やったことがある部署やそういう各幕であれば、知事説明するんだったら議長の方にも説明しますよ。そういう横の連携が悪いのがまだ全然直っているというふうには今の話聞いても思えないんですよ。そこは是非とも風通ししっかりやらないと、同じ失敗またなりますから、この教訓が全然生かされていない。  要は、処分がされないから、場合によっては、今まで契約したそういう装備品を使い回すことが自己目的化しかねないんです。何としても自分のその失敗を取り戻すために今ある契約品をそのまま使い回しする、これを目的化してはいけないわけで、大事なことは、新しい安全保障環境の中で、ミサイル技術の進展の中でいかに国民を守るかということが一番の目的ですから。  まさか、今まで契約している装備品を使い回すことを自己目的化してはいけない、その認識は共有できると思いますが、いかがでしょうか。
  15. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) その何ですか、自己目的化という部分についてはもちろん共有するところです。持っておるアセットを有効に使うということは、これはこれで必要なことだと思っています。
  16. 佐藤正久

    佐藤正久君 自己目的にしちゃいけない。ただ、使えるなら使う、それは当然です。  この資料一を見てください。今配付した資料一、これは防衛省自民党国防部会へ提出された資料から抜粋したものです。九月二十四日に、いろいろ検討した結果、今まで契約しているアショア構成品移動式洋上プラットフォームに搭載し洋上に配備するという方向で検討するということが説明ありました。  ところが、その二週間後の十六日に国防部会の方に防衛省が提出した資料がこのSPY7とSPY6の比較です。陸上から洋上移動すると言ったにもかかわらず、この比較陸上レーダー比較を出してきているんです。大臣、分かりますよね。洋上の方に移動すると、洋上案と言っておきながら、二週間後に出てきたこの資料陸上レーダー比較の表を出してきているんです。  これ、また同じ、グーグルアースの二の舞になりますよ。洋上であれば洋上レーダーとしての比較をしないといけないにもかかわらず、二週間後にこの表を出してきてSPY7がいいんだと。これ、あくまでも陸上レーダー比較ですから、当時の選定時の。そう説明がありました。  洋上移動、載せた場合、当然、陸上と違いますから揺れ補正もしないといけない、塩害補正もしないといけない、あるいは海面の照り返し、照り返しのそれを防止する、いろんなことが変わってくるわけですよ。しかも、これはあくまでもBMD専用レーダーとしての比較ですから。洋上の方で、陸と違って洋上に出して、自己防護機能としてBMD対空戦闘機能を付加すれば、また評価が変わってくるわけですよ。あのグーグルアースのような、ああいう素人的な比較、これは絶対おかしいと思いますよ。何でこういうのを出してきているか。  大臣、例えばここに連続運用性とありますよね、一番上に連続運用性説明は、例えばこのSPY7は四万時間、SPY6は四百八十時間と、だからこのSPY7がいいんだと。大臣、これ聞いておかしいと思いませんか。四万時間と四百八十時間、こんなに差があるレーダー米海軍が今から四十五隻に入れるということ自体がおかしいですよ。前提が違う。私は理系です。理系の方で、実験どきに教授から、三浦先生も防大教授ですけれども、実験で前提条件が一番大事なんですよ。前提条件をしっかりやらなければ比較にならないんですよ。四万対この四百八十、普通、聞いておかしいと思うのが普通ですよ。  これ、ずうっとレーダーを出し続けて、壊れるのは四万時間かもしれない。片やこれは、SPY6は米海軍が採用しているレーダーですから、米海軍のレギュレーションというのはありますから、そうなれば、整備期間というので、この四百八十が出ているのかもしれない。こんなにレーダー連続時間が違うはずがないし。  また、この探知距離や高度についても、これは、このSPY7というのはBMD用レーダーなんですよ。このSPY6は、これはIAMD、つまりBMD弾道ミサイル、そしてまた対空戦、巡航ミサイル戦闘機、あるいは水上艦艇、そういうものに対して全体を守るためのレーダー、これは洋上レーダーです。これ、SPY6は洋上レーダーで、これはマルチなやつなんです。このSPY7はBMD用陸上なんです。BMDでずっと一方向に出すものとマルチで全体を覆う、これを同じ比較しないと意味がなくて、このSPY6の方も同じようにBMDだけずっとやれば、それは能力違ってくるに決まっていますから、本当にこの前提が合っているのかと。  しかも、ここに経費とありますよね。より安価で、五%、SPY7の方がいいと言っていますけれども、本当ですかという部分。これも、例えばこれが洋上の場合、さっき言った洋上に置いた場合は付加機能が必要になるわけですよ、付加機能が、陸上と違いますから。そうしたときに、やっぱりそういうものを、経費を加算しないといけませんし、しかもここには試験が入っていないんです。試験入れていないんですよ、これ、わざと。そういう比較をやってしまうと、また同じ失敗をやらないといけない。  岸大臣は、今回の選定に当たっては公正に客観的にやると言われています。公正、客観にこれを比較するという方針は今後とも変わらないということでよろしいですか。
  17. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) まず一つは、イージス・アショア代替案に関して、今のところ、洋上プラットフォームに載せるということですけれども、具体的に何にするかについては決まっているものではございません。  いずれにいたしましても、イージス・アショア構成品移動式洋上プラットフォームに搭載する方向で、利点、欠点を含めた移動式洋上プラットフォームに係る運用構想及び要求性能を検討してまいります。そして、米政府日米民間業者を交えて技術的実現性等について確認、検討した上で適切なプラットフォームを決定してまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。  SPY7を含みます現在契約しているイージス・アショア構成品については、二〇一八年に実施した選定プロセスの中で、他の候補となっていた構成品比較しても、基本性能後方支援経費、それぞれの面で優れていると評価された最新鋭の装備でございます。特にSPY7は、より広い、より高い高度において目標を探知可能で、また同時に多くの目標を追尾できる、ロフテッド軌道ミサイルや同時発射された複数のミサイルへの対処能力の向上も図ることができるため、我が国のニーズに適合したものであると、このように考えておるところでございます。  いずれにしても、先ほどおっしゃられたように、しっかり公平、公正という考えでもって今後決めてまいります。
  18. 佐藤正久

    佐藤正久君 今説明あったのは、これ陸上レーダー比較の話なんですよ。で、これ洋上レーダー比較するということについては、これは同意されますよね。洋上レーダーとして比較するということについては同意されますよね。
  19. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 委員のおっしゃるとおり、SPY6は元々洋上と、そしてSPY7の前提としては陸上ということで比較をしたものでございますけれども、これもSPY7を洋上に持ってくるということを前提比較検討をしてまいりたいというふうに思います。
  20. 佐藤正久

    佐藤正久君 当たり前なんですよ。防衛省洋上プラットフォームに搭載しと言っているんですから、洋上レーダーとして比較しないといけないわけで。  そこで、例えばその経費についても、やっぱり国民に対してトータルコストを示さないと、これは非常に高いものですからトータルコストを示すこれは説明責任があると思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
  21. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 現時点では、代替案を決定し、具体的な内容を固めるには至っていないことから、代替案に関する、要する経費運用期間においてお答えすることは困難でございますけれども、今後、イージス・アショア代替案を決定し、経費等について精査をした上で、適切な時期に国民皆様に丁寧に御説明をしてまいりたいと考えています。
  22. 佐藤正久

    佐藤正久君 これはできたら、防衛省説明だと三十年以上使う装備なんです。しかも、トータルコストが何千億と掛かるというふうに言われていますから、これは、今三点を見ても、やっぱりここは大臣言われたように、国民にやっぱり説明しないとこれはいけないと思います。その中で、ここに、経費の中にこれ試験が入っていないんですよ、試験が。  一枚めくってください。この資料二。これは、このSPY7型のレーダーのLRDR、これアラスカにあるようなこういう大きなもの、これをSPY7型に小さくすると。大体一辺が五メーターぐらいのものがSPY7です。小さくする。小さくすると能力は当然小さくなるに決まっているんですよ、レーダーですから。素子が少なくなりますから、大きさ小さくすれば。SPY6は一辺が四メーター。こういうものを洋上でやっぱり比較しないといけない。洋上の場合、仮に船に載っける場合、五メーターを載っけるのと四メーターを載っけるのでは船の大きさが違ってくるんですよ。当然、大きなものをレーダーそのまま載せようと思えば、それは船が大きくなりますから、それに対するいろんな附帯する装備も大きいものが必要になる。これは理系の人間ならすぐ分かる話で。  そういう、実際に洋上に載っけたときに、今の陸上のこの五メーター、五メーターのものをそのまま載っけるのか、あるいは若干小さくしてSPY6のように四メーター、四メーターアメリカ海軍イージス艦のように載っけるのか、これによっても能力が違ってくるんです。当たり前の話です、大きさが小さくなれば。小さくすればまた経費が掛かるんですよ、今契約しているものと比べて。  さらに、じゃ、三ページ見てください。三ページは、これ米海軍関係資料なんですけれども、これがSPY6のシリーズです。SPY6の方で、これ(V)1とか(V)2とか(V)4とか、それぞれこのモジュールの大きさによってこのレーダーというのは変わってくるんです。大臣、分かりますよね、レーダーの大きさによって変わってくると。この資料三です、資料三。そのレーダーというものに基づいて米海軍はいろんな船に今SPY6を載っけると、空母あるいはイージス艦や、あるいはそういう揚陸艦等、いろんなものに大きさを変えてこのSPY6を載っけると、こういうシリーズになっているわけですよ。そういう中で考える。  この資料四見てください、資料四。資料四の上の方は、防衛省国防部会の方に出してきた洋上プラットフォームの一イメージです。リグの方でやる、あるいは商船の方にその構成品を載せる、あるいは護衛艦の方に載せると。こういう洋上プラットフォームで今比較検討しているというのは防衛省説明です。資料四の上の方。  で、この下の方は、前のこれ委員会でも出しましたけれども、これは米海軍資料です。これは新しいイージス艦SPY6を載っけた(V)1型のを載せたもので、これはポイントは、弾道ミサイルと対空戦、水上戦、ポイントはそれを同時に実施なんです。  なぜ同時に実施かというと、防護性の観点です。それで、今までも北朝鮮対応のミサイルイージス艦が対応していました。イージス艦というのは防空能力高いです。三百六十度回るレーダーミサイル対応でずっと一方向に指向すれば横が見えなくなるんです、横が、昔のタイプは。そうなると、見えないときに北朝鮮の戦闘機が近づいてきている、あったんです。だから、イージス艦を守るためにもう一隻護衛艦が必要だったんです、やられてしまいますから。だから、そういうことを避けるために、米軍の方は、一隻で守るために、弾道ミサイルとこういう巡航ミサイル戦闘機、また水上戦というものを同時に実施するというのがこの新しいイージス艦なんです。  例えば、この上の方の移動式のリグありますよね、リグ。リグ、これは、この前の国防次官、アメリカのルード国防次官も議連の講演で言っていましたけど、こういう固定式のようなこういうものは非常に生存性が悪いと、狙われやすいという話があります。この商船のようなものを、あるいは護衛艦であれ、BMD専用であれば、防護性というために、それを守るためにもう一隻必要になるわけですよ。  大臣、このリグの方にちょっと話、防衛省がせっかく出していますから、リグの方でいうと、例えばリグを沿岸の近くに置いて、そこから、そこに陸上自衛官を陸地からはしけの方で乗せて、そしてこの陸上近くの方に防空部隊を、対空部隊を置いてこれを護衛するという案も検討されたと聞きました。だけど、陸地の近くだと、今度、ブースターの、第二段、第三段のブースター問題があると。これは報告受けていますよね。
  23. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) ブースター落下場所について、これまでなかなか限定できなかったということは聞いておりますので、一方で、陸地についてこれまでもいろいろ探してまいりましたけれども適切な場所が見付からなかったと。こういうことからして、陸地のそばにもしリグを置くような前提であれば、この落とし場所がまた難しいということは想定ができると思います。
  24. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、実はこのミサイルというのは、ブースターは三段式なんです、三段式。なので、今回断念になった問題は、ブースター、一段目のブースターだけなんです。このミサイルというのは三百六十度飛んでいきますから、例えば山口の方に配備したもの、で、大阪の方に北朝鮮から三発飛んできた場合、一発目は日本海の方に行きますよ。でも、二発目、三発目の北朝鮮のを落とすために、今度は、一発撃ったら二発目が横、三発目は斜め後ろにって落とすんですよ。そうなると、二段目、三段目のブースター問題が出てくるんです、沿岸の近くだと。  だから、うちの議連の方でも、これは非常に難しいと、三百六十度飛びますから。だから、ある程度洋上に、沿岸から離さないとまた同じ問題が出てくるんです。  なぜ山口秋田に置いたかというと、二つで防衛省が北海道から沖縄まで二十四時間三百六十五日これを守ると。そのためには山口とか秋田の辺りに置かないと全部カバーできないんですよ。  これを今度洋上に置くと、本当に二十四時間三百六十五日追求するのであれば、その沖合の方に置かないといけない。これが沿岸近くであれば、例えば秋田であれば、東京に向かうのを落とすとすると、また秋田の南部、あるいは山形の方に落ちるんですよ。札幌の方に行くやつを落とそうとすると、秋田とかまた青森に落ちる可能性あるんですよ。飛びますから、三百六十度飛びますから、元々そういうものですから。山口であれば、大阪に向かうのを落とそうとすれば、島根や広島、山口へ落ちる可能性あるんですよ。だから、秋田選出国会議員がこのリグについては懸念を示したんです。なぜ河野大臣が涙流しながら謝罪したかという部分にも関係すると思いますけれども、そういうことをやっぱり下から役人は大臣の方にやっぱり説明しないといけない。  非常に大きな問題になりかねないので、昨日、そういう、防衛省の人間に説明したと。大臣の方に上がっていない。これはまた同じ、このアショア経緯と同じ問題をまた繰り返すことになると思いますよ。  大臣、このブースターの、今、二段、三段の話を私言っているんです。一段目じゃないんです。二段、三段目について、どういう説明事務方から受けているか、お答えいただけますか。
  25. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) まずは、その洋上プラットフォームの運用についてはまだ決まっておるものではございませんので、これからしっかり検討していかなければいけないわけですけれども、あえてその一般論で申し上げるならば、この迎撃ミサイルの二段目、三段目のロケットの落下位置については、風などによる気象状況、弾道ミサイルの飛翔航路、迎撃ポイント及び迎撃ミサイルの発射地点等によって大きく変わってくるものだというふうに認識をしておりますので、確定的にお答えすることは困難であると考えています。
  26. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣日米共同開発したこのブロックⅡAというのの一番のメリットは、複数回射撃ができるというのがこれがメリットなんですよ。今までみたいに、ブロックⅠのように一回ではなくて何回でも撃てると、三百六十度、これが売りなんですよ。  だから、今回、北朝鮮からまあ三発撃ったときには、ぴんぴんぴんって、で落とすというのが元々の売りなんです、開発の。だから、二段目、三段目と考えると、陸上から沖合に出すんだったら、洋上に出すんだったら、今までのように、洋上、沿岸から離さないとまた同じ問題が出てくるんです。  自衛官というのはなかなか、私もそうでした、政治に興味ありませんでした、正直言って。全然テレビも新聞も読みませんでした。でも、そういうことってやっぱり自衛官は分からないんです、運用のことしか考えませんから。地元調整がどうだ、今までの経緯で何でこうなったと、余り知らないんですよ。そういうのはしっかり内局の方と幕の方が調整しながら、そういうことも考えてトータルでやらないといけないと。だから、公正、客観的にいろんな観点から、自己防護性とか地元調整とか、そういうのをやらないといけないんです。  そして、大臣、先ほど試験の話を言いました。私は、ハワイのカウアイ島に行って、このミサイルの迎撃施設、米海軍等が使っているのを見てきました。あるのは、米海軍用のSPY6。SPY6用のレーダーとそのイージスシステムと発射装置、これ有線でつないでいるものです。SPY7のやつってないんです。  今度、日本が実は初めて洋上プラットフォームにこのSPY7型のレーダーを、しかも、それも自己防護性高めれば、BMDと対空戦用、これ一緒に合わせるのは初めてですから。カナダとかスペインは対空戦闘だけ、BMD機能ありませんから。カナダとかスペインのあの船は対空戦用だけ。で、ハワイとかアラスカは陸上なんです。日本が初めて独自にこれからこの洋上のものにSPY7、場合によっては、対空戦用というのを載せるという場合は実験しないといけないんです。  実は、このSPY6は、もう十五回、十五回ですね、実目標を飛ばして、レーダー当てて、そして不具合事項というものをデータを取って、システムとやり取りしながら合わせて、そしてこれを発射機の方としてやっているんですよ。まだSPY7は、実目標、そういうミサイルとか飛行機飛ばしてまだ当てていませんから、実験場だけですから。だから、これをやる場合、SPY7をやる場合はハワイとかどっかで実弾試験をやらないと、国民に自信を持って防衛省が守るということ言えないんですよ。  何で今回の比較表の中にその試験部分を外しているのか。これは、実弾試験というのは極めて大事なポイントだと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いします。
  27. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) まず、いずれにいたしましても、このイージス・アショア代替案の検討につきましては、米政府日米民間事業者を交えて、SPY7を含めたイージス・アショア構成品について、陸上で運用されるイージス・アショアで予定していた能力洋上プラットフォームでも発揮できるかどうか、搭載自体に技術的な問題が生じないか、改修が必要となるかどうか、必要な場合はどのような内容になるか等について確認、検討を行っているところでございます。  それで、実験のコストについては、実射試験を含めました各種試験の在り方については米政府側と引き続き議論を実施していく予定でございますが、いずれにいたしましても、適切な形で能力、性能の確認を行っていく考えであります。
  28. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣トータルコストといった場合、設計、大臣、いいですか、設計、開発、そして試験、配備、整備でトータルなんです。そこで結構お金を占めるのが試験なんです、試験なんです。当たるか当たらないか分からないものを国民の税金で何千億も掛けて整備できないんです。実際にその試験できるのはハワイしかないんですよ。このリグ、例えばリグ、どうやってハワイまで持っていくんですか。それも、造り込む前に、まずレーダーがしっかりそれを捉えて、実目標を捉えてシステムの方と連動するかというものが、目標把握が一つ、伝達が一つ。次に、そこまでシステム改修が終わった後に、今度は実際にその得た情報に基づいて発射装置から弾を出して当たるかどうかと、いろんな試験が必要なんです。このSPY6の方は、米海軍がもう既に十五回、もうある程度やっている。まだまだ実験しますよ。  今、これから新たに実験のレーダーを、SPY7のレーダーをこのハワイのカウアイ島に造り、そしてベースライン9のシステムを造り、発射装置を造り、そして実験をする。これもトータルコストに入れないといけないんです。その必要性は、大臣、分かりますよね、試験の必要性は、どの案になっても。いかがですか。
  29. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) もちろん試験の必要性については理解はしております。
  30. 佐藤正久

    佐藤正久君 そういうこともしっかり考えてこれやらないといけないんです。  もう一つは、二十四時間三百六十五日と防衛省は言っています。これは北朝鮮用、北朝鮮のミサイルに対してこの二十四時間三百六十五日ということだと思うんですけれども、中国を意識した場合、二十四時間三百六十五日、この発想は、この陸上イージスあるいはこの今回の代替案においても、中国も意識をしても二十四時間三百六十五日なんでしょうか。
  31. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 我が国の防衛能力、防衛力整備につきましては、元々、中国含む特定の国・地域を脅威とみなして、これが軍事的に対応していくという発想に立つものではございません。いかなる事態にあっても我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くための隙のない防衛体制を構築していくとの考えの下で進めてきているものでございます。  一方、一般論として申し上げるならば、当然のことながら諸外国の軍事動向を踏まえた対応をしていく必要があると、このように考えております。
  32. 佐藤正久

    佐藤正久君 当然、国会ではなかなか言いづらいかもしれませんけれども、当時、私は、実は陸上イージスを自民党国防部会で一番最初に提案したのは私なんですよ。当時、今津先生が安全保障調査会長で、それから小野寺さん、小野寺大臣、小野寺先生がPT長となって、これは言ったわけですよ。あのときのイメージは、北朝鮮のノドン、スカッドに、いかに国民を守るかというので日本海の方に配置したわけです。  大臣は、台湾と非常に関係が深い大臣です。中国の方から飛んでくるミサイル、例えば沖縄の嘉手納基地あるいは佐世保の方に飛んでくるミサイルを日本海の方にアセット置いて落とすというのは、これは普通に考えてもかなり難しいです。だから、新たな環境を考えた場合、運用の柔軟性と。これも、スウィフト海軍大将なんかも、議連の方もこういうふうに言っていましたけど、やっぱり運用が大事なんだ、柔軟性が。当時の状況に応じて、日本海あるいは東シナ海、どちらにも運用する体制を取らないといけないんです。どっちみち陸上から海に戻した段階で二十四時間三百六十五日はもう無理なんですから。もう無理なんですよ、船ですから。  で、できるだけということになるかもしれませんけれども、そのときに、北朝鮮だけではなく、やっぱり東シナ海、今、南西正面重要重要と言いながらも、南西正面に対応できないミサイル防衛では国民は守れないんですよ。特定の国は言わなくてもいいです。南西正面でのミサイル防衛というものを考えて今回私はこの選定しないといけないと思っています。せっかくやめたんですから、やめた以上は、やっぱり周辺環境に照らして、国民を守れる、信頼性のある、運用性があるものをやらないといけない。  やはり日本海正面だけではなく、もう一回言いますよ、南西正面でのミサイル防衛というものを考えて今回選定しないといけないと思いますけれども、大臣の御認識をお伺いします。
  33. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) そういう意味では、イージス・アショア選定したとき、時点と今の時点と、その安全保障の環境、またいろいろ変わっているところもあります。そういう意味で、この洋上プラットフォームに変えるということにおいて、今委員指摘のようなその運用の弾力性、柔軟性、これは大きなメリットになる部分だというふうに考えております。
  34. 佐藤正久

    佐藤正久君 その辺の中身は議連の方の提言で大臣にも直接お渡ししましたので、読んでもらえばいいと思いますけれども。  次は資料五を見てください。資料五、これはこのベースライン9と10との比較をちょっとやったものですけれども、防衛省国防部会資料では、ベースライン9と10というのは、これは、インターフェース、ほとんど同じで、インターフェースが付けているだけだというのが防衛省説明なんです。  でも、この資料を見ると、この上の資料、この黄色い部分が、これがSPY6のレーダーで取った情報です。この赤い部分、これは、艦橋のマストにありますXバンドレーダーで取った情報がこの赤です。こういうものを合わせて、このデジタルレーダー用信号処理というものを、この9と違って、どちらかというとレーダー側の方に寄せているんです。9と違って、もうこの場合、洋上でのIAMDですから。ということもあって、そこを入れているという情報もあるんですよ。  だから、客観、公正にやるというのであれば、しっかりと、ロッキード・マーチンだけではなく、米海軍とかあるいはほかの企業に言って本当に正しい情報を、やっぱり客観に公正にやるのであれば、この絵一つ取っても防衛省資料と全然違うんですよ。その辺り、ベースラインについてもやっぱり広く情報を集めて、客観、公正的に選んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  35. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) ベースライン9のイージスシステムレーダーは、どちらもロッキード・マーチン社が製造しております。同システムレーダーの接続には問題がないということでございます。  一方、レイセオン社のレーダーであるSPY6では、そのままロッキード・マーチン社が製造しているイージスシステムに接続できない、そのため、SPY6への接続を可能にするインターフェースを新たに追加するために現在ロッキード・マーチン社において開発中のものがベースライン10であると、このように理解をしております。
  36. 佐藤正久

    佐藤正久君 だから、その説明がこの絵と違うんですよ、見て分かるように。データ化して集めるわけですから。そこは違うので、しっかり情報を集めていただきたいと。今の防衛省説明とこの絵が全然合っていないんですよ。これ、私が作った絵じゃありませんから。  さらに、先ほど大臣が言われた、新たな環境に応じてやらないといけないと。この最後の資料六を見てください、資料六。これが今新たな環境に基づいて対応しないといけないハイパーソニック等々の関係レーダーミサイル関係。  要は、今あるブロックⅡAでは低く飛んでくるミサイルは落とせないんですよ、高いところで落としますから。迎撃高度の関係で、低く飛んでくる北朝鮮のKN23とかあるいは中国が配備するようなDF17のような、こういう新しいハイパーソニック関係には対応できないんですよ。だから、今、アメリカの方が、これ、下はこれみんな防衛省資料ですよ、防衛省資料で、今こういう形で今研究を行っていると。  で、考えたときに、THAAD、ペトリオット、これ、SM3、指向性エネルギー、いろいろありますけれども、二段、三段の構えをやるためには、要は防衛省の方も今はPAC3とか中SAMの方でやっていると言いますけれども、それはあくまでもフットプリントが小さいんですよ。射程が短いですから、PAC3もあるいは中SAMも。だから、前の方で落とすというものが必要なんです。  これが、やっぱりアメリカはイージス艦で、ここに書いてあるように、防衛省資料に書いてあるように、このSM3の改良型、SM3ホークというものを二〇二四年に新しいイージス艦に積んで試験を始めるんです。二層だけだとフットプリントが小さいから、移動できませんから、やっぱり前の方で落として、一回目やって、二層の防御というときに、やっぱり新型イージス艦、要は拡張性というものもなければいけない。  防衛省説明だと、大臣、新しいプラットフォーム、船であれば造るのに五年掛かるというんです。それからいろいろ試験とかやって、五年プラスアルファとなると、うまくいって三年、八年掛かるというんです。だから、今から八年後の脅威に備えて、そこから三十年なんですよ。八年後から三十年使うやつを今検討しているんですよ。  だから、今じゃなくて、もうこういうハイパーソニックなり低く飛んでくるというものに対応するような拡張性も考えて今回選定しなければ意味がないんですよ。だから、高いところも落とす、低いところも落とす、こういうものが必要になるわけで。実際、北朝鮮はこの前の軍事パレードでも、ノドンとかスカッドのような旧式のミサイルはもう出てきていないんです。新型のこういうミサイルは出てきても、旧型のミサイルは出ていないんですよ。それが全然対応しなくていいとは言いません、必要です。だから、ブロックⅡAも大事です。だけど、今から八年後の環境を考えたときには、もうこういうものが主流になっていますから、どんどん研究していますから。  そういう拡張性というもの、これも考えて今回選定する必要があると議連の方では強く大臣に提言しましたけど、拡張性について大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  37. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) イージス・アショア構成品洋上プラットフォーム移動式洋上プラットフォームに搭載するという方向ですが、これ、議員おっしゃいましたとおり、自己防護性、運用の柔軟性、相互運用性、そして拡張性等も含めた移動式洋上プラットフォームに係る運用構想及び要求性能を検討していく。そして、米政府や日本、日米民間業者を交えて技術的実現性等について確認、検討を行った上であるべき方策を決めていきたい、こういうふうに考えております。
  38. 佐藤正久

    佐藤正久君 拡張って非常に大事で、そういう観点で、公正、客観的に、トータルコスト考えて、大臣言われたように試験も費用も考えてやるといったときに、実は私一つ懸念しているのは、今まだ契約止めていないんですよ、防衛省が。今ずっとこの既契約のまま、どんどん組立て作業が進んでいるんですよ、SPY7もベースライン9も。公正、客観に止める、トータルでコスト考えたときには、そこはやっぱり一旦止めると。今説明は手戻りがしないようなところをやっていると言っていますけれども、普通、国民的な感覚からすると、今、これからやめて、選定しているんだったら今契約を一回止めて、それで検討して、決まってからそれが必要だったら再開したっていいわけですから、なぜそれを止めていないのかと。それをもっと、国民説明していないんです、防衛省は。  どんどん今造っているんです、契約、三百五十一億円のレーダー。どんどん今、ミサイル防衛庁からどんどん発注がロッキード・マーチンに行って、どんどん造っているんですよ、今。だから、既存の契約のやつも自己目的にしてはいけないという話なんです。  これ、やっぱり国民の方に、なぜ今、一回止めたのに既契約の装備品を造り続けているか、これは説明しないといけないと思いますけれども、大臣のお考えをお伺いします。
  39. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) これは、二〇一八年七月に実施しましたそのイージス・アショアレーダー等の構成品選定において、SPY6とSPY7のレーダーについても性能の比較を行いました。先ほど申しましたけれども、基本性能に加えて後方支援経費についてもSPY7の方が優れていたと。こういうことのために、防衛省としてはSPY7を選定いたしたところです。納期については同等の評価があったところですが、SPY7は、より広い、また高度の高い目標を探知可能と。同時に、より多くの目標を追尾できる。ロフテッド軌道ミサイルや同時発射された複数のミサイル対処能力の向上を図ることができるため、我が国のニーズに適合していたということでございます。  現在、そのイージス・アショア構成品洋上プラットフォームに搭載する方向で、移動式洋上プラットフォームに係る運用構想及び要求性能を検討し、米政府日米民間業者を交えて技術的実現性につき確認、検討を行っているところであります。  可能な限り速やかに代替装備の運用を開始する必要性を踏まえますと、SPY7を含むイージス・アショア構成品については、既に契約を行って一定程度のプロセスが進展しているため、これは利活用することを考えているということです。
  40. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、それじゃ説明矛盾しちゃうんですよ。これ、客観、公正にこれから評価をすると。で、トータルコストまだ分からないと大臣言われました。本当に、試験費用が、日本独自でこれから全部やるのと、アメリカがどんどん実験をしてやった、そういうものを使うのでは、全然トータルコストは変わってくる可能性があるわけですよ。これは客観的、公平に評価すると言いながら、片方でどんどんどんどん、契約に基づいてどんどん造らせているということは、これは説明が付かないんですよ。そこは、大臣、しっかり受け止めていただきたいと思います。  また、今回、この6と7の選定で、洋上プラットフォームで7の方がいいとなったら、これからあと数年後に「こんごう」型イージス艦四隻の更新の選定が始まりますから。もう三十年過ぎています。これからあと十年後には退役するということになると前倒しで造らないといけませんから、だから次のレーダーも7、SPY7になってしまう可能性あるんですよ。大臣、分かりますか。今回、SPY7が洋上でいいというんだったら、これからやるイージス艦の方もSPY7がいいに決まっているんです。そちらの方に対する影響も十分考えていただきたいと思います。これはもう答弁は結構です。  外務大臣、済みません、お待たせしました。  次、大和堆についてお伺いします。  この大和堆、今非常に大きな関心を北陸の方では寄せておりますけれども、今回の、大臣、やっぱり問題の一つは、北朝鮮公船と海上保安庁がコミュニケーションができないということにあったというふうに聞いています。やはり中国の公船とは尖閣の方で、海上保安庁と中国公船でコミュニケーションができると。だけど、北朝鮮の公船とは海上保安庁がコミュニケーションできないから、今回、安全性を考えて日本の漁船を避難させたと。日本の排他的経済水域と外務省が言っているにもかかわらず、海上保安庁、水産庁の方が安全を考慮して避難させたと。一番の原因はコミュニケーションだと。写真を見たら、本当にちんけな北朝鮮の古い船ですよ、小さな船。にもかかわらず、海上保安庁のあの大きな巡視船あるにもかかわらず、これを避難させると。  これはやっぱり外交ルートで、別に国交がなくても交渉はできますから、やはり北朝鮮の公船と海上保安庁、これがコミュニケーションがやっぱり取れるようにして、日本の排他的経済水域における漁民の、漁師の漁を安全に行うということは非常に私は大事だと思いますけれども、外務大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  41. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、海上保安庁とそれから北朝鮮の公船のコミュニケーションの事実関係については、それは海上保安庁の方に御確認いただいた方がいいと思うんですが、いずれにしても、確認されました船舶が北朝鮮公船であると、こういったことの特定を受けまして、北朝鮮に対しまして我が国の立場について申入れを行っているところであります。  外務省として、引き続き、海上保安庁、水産庁を始めとする関係省庁と連携をしながら、我が国の領海、そして接続水域、さらにはEEZでの安全であったりとか利益の確保、そして我が国の漁船の安全な操業の確保のために、北朝鮮への申入れ含め、しっかり対応していきたいと思っております。
  42. 佐藤正久

    佐藤正久君 水産庁に確認します。  今、大和堆についてどのような、今回、漁民の方から要望があるか、苦情があるか、お聞かせください。
  43. 山口英彰

    政府参考人山口英彰君) お答えいたします。  大和堆周辺水域は、イカ釣り漁業、カニ籠漁業、底引き網漁業の好漁場ですが、近年、この漁場を狙って違法操業を目的に我が国排他的経済水域に侵入する外国漁船等が後を絶たず、我が国漁船の安全操業の妨げにもなっていることから、大きな問題となっております。  このような大和堆周辺水域における外国漁船等に対する取締りは、本年、水産庁は十一月十八日現在で延べ四千百七十八隻の外国漁船等に退去警告を実施しており、そのほとんどが中国漁船となっております。  また、九月二十九日には、大和堆西方の我が国排他的経済水域内において漁業取締り船が北朝鮮公船を確認したことから、我が国漁船に対して一時的に一部水域からの移動を要請しました。今回は、自粛期間が長期にわたり漁業者の皆様に御迷惑をお掛けしましたが、その後、安全確保にめどが立ったことから、十月二十八日から段階的に自粛要請を解除したところでございます。
  44. 佐藤正久

    佐藤正久君 約一か月弱にわたって日本の海なのに漁師が漁ができなかったと。これはあってはならないことで、しかも、今、北朝鮮はコロナの関係でなかなか漁が出れないと。水産庁に聞いたら、去年は一年間で四千七隻の北朝鮮の船に対して退去警告、追い出したと。今年は一隻ですから、四千七対一隻ですよ。コロナで来れないんですよ。だから、その分、中国の漁船の方にこの漁業権を売っていると。国連安保理決議違反という話もあります。だから、二重の意味で国連安保理決議違反というものを外形的にこれ認めてしまってはいけないし、また、日本の漁師が漁ができないということでは駄目なんですよ。だから、海上保安庁にお伺いします。  やはり外交ルートを通じてでも、この北朝鮮の公船とやっぱり海上保安庁がコミュニケーション、これ、取れるような体制取らないとまた同じことが起きますから、これについての御見解をお伺いしたいと思います。私は、コミュニケーションを取るようにしてしっかり漁を守ると、これが海上保安庁の仕事だと思います。外務省と連携が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  45. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  北朝鮮公船とのコミュニケーションという課題でございます。今直ちに取れるという状況にはございません。今それは委員指摘のとおりであります。今後、どのような手段、どのようなやり方があるのかということにつきましては、関係省庁と連携を図りながら検討してまいりたいと思います。  ただ、いずれにせよ、大和堆の問題につきましては、我々の任務として日本漁船の安全確保、これが第一というふうに考えておりますので、日本漁船の安全を確保するために、外国漁船の監視能力を強化いたしますとともに、北朝鮮公船に対する更なる情報の収集、あるいは情報共有といったことを図るとともに、関係省庁と連携して必要な体制を整え、日本漁船の安全の確保に万全を期してまいりたいと、このように考えてございます。
  46. 佐藤正久

    佐藤正久君 やはり二度とこういうことを起こしちゃいけないんですよ。漁民の方も期待していますから。外務省、水産庁、そして海上保安庁、内閣官房含めてこの連携をしっかり取ってやっていただきたい、強く要望します。  次に、南西諸島防衛について残りの時間お伺いします。  南西諸島防衛を考えるときに、一つ課題国民保護計画です。国民保護計画が沖縄の市町村の方で作ることになっていますけれども、実際に避難ということを想定した国民保護計画、これを作っているのは宮古島市だけなんです。国民保護計画、これがないと、自衛隊が展開しようと思っても、防衛大臣、展開できないんですよ、やっぱり、住民がいますから。まず避難してもらうと。でも、島ですから船か飛行機じゃないと移動できないんですよ。それがまだそれ宮古島しかない。これは、やっぱり内閣官房と消防庁、総務省が連携して、早くこれを作るという必要性があると思いますけれども、御見解をお伺いします。
  47. 宮路拓馬

    大臣政務官(宮路拓馬君) 佐藤委員指摘の件は避難実施要領のことかと思います。  御指摘のとおり、沖縄では、石垣市、沖縄市、豊見城市、宮古島市、四団体の作成にとどまっておりまして、いまだ三十七団体未作成ということになっております。  総務省といたしましては、市町村のパターン作成が進むよう、消防庁では、市町村向けのパターン作成の手引を作成するとともに、南西諸島の市町村の取組が進むよう、沖縄県庁と連携し、沖縄県においてパターン作成研修会を開催し、県内の市町村職員に対し直接作成演習などを実施したところでございます。今年度も沖縄県においてパターン作成研修会を開催することとしておりまして、沖縄県市町村のパターンの作成の推進に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。
  48. 佐藤正久

    佐藤正久君 政務官、勘違いしてもらっては困るのは、武力侵攻対象の避難計画は宮古島市だけなんですよ。あとほかの三市は別な想定ですから。それも非常にあらあらなんですよ。  防衛大臣、やっぱりこの南西諸島防衛を考えるときに、やっぱり兵たんが非常に弱い、展開できない。例えば戦闘機F15が使える空港というのは那覇空港と下地島空港、二つしかないんですよ。例えば海上自衛隊のP3Cも与那国空港にも降りれません、滑走路の圧が弱いために。海上自衛隊の輸送艦、これが入れるのは、先島の方では宮古島の平良港とまた石垣港だけなんですよ。これ、となると、国民の避難もできないし、自衛隊の展開もできない。こういうことについては、国土交通省と防衛省連携して、やっぱりこれ、何とかしないと結局何にもできない。別に尖閣に触るわけじゃありませんから。こういうインフラ整備というのは、これは国土交通省のやっぱり責任ですから。  政府一丸となってやるべきだと思いますけれども、国土交通省の御見解をお伺いします。
  49. 小林茂樹

    大臣政務官(小林茂樹君) 国土交通省におきましては、これまでも、空港、港湾の整備に当たって関係府省庁、地元自治体との間で連携を図ってまいりました。例えば、空港、港湾の整備の前提となります計画の策定に当たっては、空港の設置管理者、港湾管理者、必要に応じて防衛省などの関係府省庁、あるいは地元自治体、利用者から意見を聞くなど、関係者との連携を図っております。  また、地震、津波、台風の災害に度々見舞われております我が国におきましては、空港、港湾が果たす役割は非常に大きいと認識いたしております。  今後とも、沖縄県等南西諸島における空港、港湾の管理者とも相談しつつ、関係者と連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。
  50. 佐藤正久

    佐藤正久君 これで終わりますけれども、やっぱり防衛という視点、これが全然ないんですよ。しっかり船、自衛隊の船や飛行機、航空機が降りれるという視点での対応を是非お願いします。  終わります。
  51. 白眞勲

    ○白眞勲君 立憲民主・社民の白眞勲でございます。  まず、外務省にお聞きいたしますが、いわゆる外交官ナンバーについて、自動車に付いている青ナンバーについてお聞きいたします。  このナンバーというのは国交省じゃなくて外務省が発行していると以前聞いたことがあるわけなんですけれども、その観点から外務省に聞きたいなと思っているんですが、この法的位置付けについてどうなっているのか、お答えください。(発言する者あり)
  52. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  53. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 速記を起こしてください。
  54. 海部篤

    政府参考人(海部篤君) 白眞勲先生の質問にお答えいたします。  外務省は、外交関係に関するウィーン条約、領事関係に関するウィーン条約、そして国際礼譲等を踏まえ、外務省設置法に基づき、外交団に対し外交ナンバープレートを発給してございます。
  55. 白眞勲

    ○白眞勲君 その外務省設置法では細かい内容というのは書いていないと思うんですよね。多分、内規とか何かでそういう細かいことは決められていると思うんですけれども、その辺はどうなっているんでしょうか。
  56. 海部篤

    政府参考人(海部篤君) お答えいたします。  過去に、例えば昭和三十五年ですとかいう頃に在本邦外交官、領事官等の自動車に関する規則というものがございまして、これは過去の話でございますので一部内容が大分時代遅れになっておりますけれども、そういうものがございます。  現時点におきましても、外交団車両の登録、それからナンバープレートの発給に際して提出を求める書類の内容、書式、それから実務作業のベースになる内容、手順、こういったものを記したものですとか、あとは前例のつづりのようなものがございます。
  57. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、昭和三十五年のその内規のようなものから変わっていないんでしょうか。それとも、それを少しずつ変更させているんでしょうか。その辺はどうなっているんですか。
  58. 海部篤

    政府参考人(海部篤君) お答え申し上げます。  関連の国内法令、それから各省の政令等も時代に応じて改正されてきておりますので、そういったものを踏まえながら現時点で最新の状況に基づいて様々手続を行っておると、そういうことでございます。
  59. 白眞勲

    ○白眞勲君 それは文書化されているんでしょうか。
  60. 海部篤

    政府参考人(海部篤君) 取りまとめた形で作成はしておりませんが、当然、担当の者が参照するいろんな前例のつづりといったようなものはございます。
  61. 白眞勲

    ○白眞勲君 前例のつづりというのも何かちょっとよく分からないんですけど。  委員長にお願い申し上げますけど、その前例のつづりなるものを是非当委員会に御提出願いたいということで、委員長、よろしくお計らいのほどお願い申し上げます。
  62. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 後刻理事会において協議をいたします。
  63. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務省にお聞きいたします。  現時点におけるいわゆる青ナンバーというのかな、外交官ナンバーの台数は何台になりますか。
  64. 海部篤

    政府参考人(海部篤君) お答え申し上げます。  現時点、十一月十八、昨日現在でございますけれども、千九百八十二台でございます。
  65. 白眞勲

    ○白眞勲君 警察庁にお聞きいたします。  そのうち、つまり青ナンバー車の交通違反というのは合計何件ぐらいあるのか、何件あるのかですね、違反金の回収率、これも併せてちょっと御説明願いたいと思います。
  66. 新田慎二

    政府参考人(新田慎二君) お答えを申し上げます。  外交官ナンバー車両の交通違反取締り件数につきましては把握しておりませんけれども、放置車両確認標章取付け件数につきましては、令和元年におきまして約二千六百件となっております。そのうち違反金が支払われたと思われる率につきましては約二五%となっております。
  67. 白眞勲

    ○白眞勲君 これちょっと驚きなんですけれども。千九百八十二台あるうちの、年間、一年間で二千六百回駐車違反があって、そのうち駐車、まあ何というんですか、これ、違反金というんでしょうかね、そういう違反金が二五%で、七五%は回収されていないということで、もう一回、ちょっとこれ重要なことなんで、もう一回ちょっと確認なんですが、それでよろしゅうございますか。
  68. 新田慎二

    政府参考人(新田慎二君) お答え申し上げます。  はい、そのとおりだというふうに認識しております。
  69. 白眞勲

    ○白眞勲君 要は踏み倒しですよ。これ問題じゃないでしょうかね。  これ大体、毎年この程度の率で大体来ているんでしょうか。もう一回、警察庁さん、大体でいいですけれども。
  70. 新田慎二

    政府参考人(新田慎二君) 警察庁において確認をしているのは令和元年と平成三十年でございまして、平成三十年の放置車両確認標章、外交官ナンバーに対する放置車両確認標章取付け件数は三千九百四十八件となっております。
  71. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ちょっと今びっくりした、またびっくりしちゃったんですけど。平成三十年は三千九百四十八件というふうに今おっしゃいましたけど、そうすると、車の台数よりも駐車違反の数の方が多いんですよね。ということでしょう。  いや、ちょっともう一回言いますよ。平成元年は千九百八十二台の青ナンバー車があって、駐車違反が二千六百件なんですよ。それで、平成三十年になると三千九百四十八件かな、ということですと、千九百八十二台の車で三千九百件駐車違反したということは、一台当たり二回やっているということじゃないですか。ちょっと驚きなんですよ。  ちなみに、この平成三十年のときの回収率、もしお分かりなら教えてください。
  72. 新田慎二

    政府参考人(新田慎二君) お答え申し上げます。  ちょっと今手元にはございませんので、お答えしかねます。
  73. 白眞勲

    ○白眞勲君 大体同じ程度だということでよろしゅうございますか。大体で同じ程度かどうかというのは分かりますでしょうか。
  74. 新田慎二

    政府参考人(新田慎二君) お答えいたします。  ちょっと今分かりかねる状況でございます。
  75. 白眞勲

    ○白眞勲君 それでは、これも、委員長、ちょっと後で、このパーセンテージだけ、平成三十年度の駐車違反の、何というのかな、違反金の回収率、外交官ナンバーの、これを後で理事会でちょっと協議していただいて出していただくようにお願いを申し上げます。
  76. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 後刻理事会において協議をいたします。
  77. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、もう物すごいこれ本当に大問題なんで、私もちょっと驚いちゃったんですけど。  これ、外務省としてこの件どう把握されていますか。
  78. 海部篤

    政府参考人(海部篤君) お答えをいたします。  警察庁の方で取りまとめていただいている数字につきましては、私どもも把握しております。
  79. 白眞勲

    ○白眞勲君 把握したらどうしているんですか。
  80. 海部篤

    政府参考人(海部篤君) 外務省は、駐日外交団に対しまして、駐車違反の際の罰金等の支払を含めて我が国国際法規を尊重することを、館員家族を含め、また公務であると否かに問わず確保するよう、口上書を累次にわたり発出して要請をしております。これに加えまして、罰金等の未払件数の多い外交団に対しましては、幹部職員を招致して直接伝えるとか、あるいは支払を要請する個別の口上書を更に発出するなどといった形で別途の申入れを行ってきておるところでございます。  こうした要請の結果、個別の申入れを行ったりしておる結果、例えば、先ほど二〇一九年暦年の数値ございましたけれども、まあ比較の問題いろいろございますが、対前年比で見ると、全体の違反件数は三割ほど減少しているということも言えるかと思います。また、五割近く減少になったところとか、館長自ら館員に対して、分かったと、自分が責任を持って周知徹底を図るということをおっしゃっておられる、そういうところもございます。  今後とも、駐日外交団に対して適切な形で要請、それから申入れを行っていきたいと考えております。  以上でございます。
  81. 白眞勲

    ○白眞勲君 今いろいろ、外務省としては外務省なりに努力しているんだという御答弁だと思うんですけれども、それにしたって二五%しか違反金払われていないわけじゃないですか。  これ、ちなみに、じゃ、警察庁さんにお聞きしますけれども、一般の自動車、普通の我々が運転している、一般の人たちが運転している自動車の駐車違反のときの回収率は何%ぐらいですか。
  82. 新田慎二

    政府参考人(新田慎二君) お答え申し上げます。  令和元年の取付け件数、放置車両確認標章取付け件数が約百十万件でございまして、そのうち任意納付を得たものが約八十九万件でございますので、約八一%ということになります。  以上でございます。
  83. 白眞勲

    ○白眞勲君 だと思いますよ。大体みんな、普通の一般のドライバーはちゃんと払うんですよ、八割以上払っているわけですね。  二五%しか払っていないわけですよ、七五%踏み倒しているという今の現実があるわけですよ。それも努力してこれだっていうから、これ平成三十年、三千九百四十八件のときにはもっと悪い率だったということが言えるわけですし、やはり、これ何で外務省、警察庁は取りに行けないんでしょうか、この外交官は。  これはなぜかというと、要は外交特権があるし、その外国公館の中に警察官が入ることできないわけですからということでよろしゅうございますよね。
  84. 新田慎二

    政府参考人(新田慎二君) お答え申し上げます。  ウィーン条約にのっとって対応しているため、委員指摘のとおりでございます。
  85. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務省にお聞きします。  逆に、今度は、海外での日本の外交官の交通違反というのは合計何件あるんでしょうか。日本の外交官は違反金きちんと払っているんですか、その国に。
  86. 石川浩司

    政府参考人(石川浩司君) お答え申し上げます。  まず、日本の外交官が、任国において交通違反のうち例えば交通事故を起こした場合、これについては本省から内容を遅滞なく報告することを求めておりまして、それについては把握しており、処分を含めた対応も取ってきておるところでございます。他方、その交通事故に至らない交通違反については、我々としてはその一つ一つを把握しているわけではございません。
  87. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、交通違反については報告を本省にはしていないということだと思うんですね。これもどんなものなのかなという、これはちょっと議論のあるところだなと。まあその国、国によって様々な状況もあるだろう、事情があるからというのは分かるんですけれども。  そういう中で、もう一つ聞きたいんですけど、外務省に聞きたいんです。これ、青ナンバー車、いわゆる青ナンバー車というのはこれは保険には入れているんですか、入ってもらっているんですか。
  88. 海部篤

    政府参考人(海部篤君) お答え申し上げます。  外務省に登録され、外交ナンバープレートの発給を受けた外交団車両は、自賠責保険それから任意保険の双方に加入しておりますということでございます。  以上です。
  89. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、これ、例えば任意保険の場合だと一年で大体普通は更新迎えますけれども、ちゃんと更新のときもチェックしているということでよろしゅうございますか。
  90. 海部篤

    政府参考人(海部篤君) お答え申し上げます。  外務省は、車両登録の際に保険、双方の保険に入っていることを確認いたしておりますし、双方の保険が有効であるということを確保し続けるために、年に二度、例えば五月と十一月とかに登録車両の保険証書の写しを大使館等から提出をさせて保険期間の有効性を確認するという手続を取っております。
  91. 白眞勲

    ○白眞勲君 それはしっかりしているということですね。  私、これ自分の経験なんですけど、以前、大分前なんですけど、議員する前ですけど、出会い頭に外交官ナンバーの車と衝突しそうになったことがあるんですね。その外交官の方、交通規則余り知らないんですよ。私、下手な英語でこれ教えたことがありまして、そうしたら、あっ、そうですかみたいな感じなんですね。  これ、日本政府として、他国の、つまり外交官に対して、この交通規則、日本の交通規則というのはやっぱりほかの国と違うんだと思うんですけど、そういうことに関してちゃんと周知をしているのかなというのをちょっと疑問に思ったんですよ、当時から。で、今日聞いているんだけれど、どうなっているんですか、これ。
  92. 海部篤

    政府参考人(海部篤君) 外務省は、駐日外交団に対しまして、我が国の交通ルールを尊重することを、館員家族を含め、また公務であると否とにかかわらず確保するよう、口上書を累次にわたり発出し、要請をしております。  それから、交通ルールを説明する資料、パンフレット、それから最近ではウエブのリンクといったものを、可能なものは多言語で併せて提供をしていると、そういうことでございます。
  93. 白眞勲

    ○白眞勲君 口上書で交通規則というのは、もう何か理解に苦しむんです。それは、守れよというのは言えると思うんだけど、要はどういった内容なのかということが重要だと思いますね。だから、駐車違反だって、本人たちは本当に駐車している、駐車違反だと、自分は違反だと気付かない例もあるかもしれない。そういった例も含めて、これやっぱりしっかりとするべきだと思うんですが。  今度は外務大臣にお聞きします。  今までの議論聞いてどう思われるかということなんですけど、一番ポイントは、一般国民との間で、外交官は不公平だよねという認識が広まるということは私は問題だと思うんですね。外交官特権というのは、別に交通違反をしてもいいんだという特権ではないわけでして、最低限日本のルールは守ってもらった上でということは当たり前だと思うんですが。  せめて交通ルールを守らせることと、違反したらそれなりのペナルティーを支払うのは当然だし、今も外務省の事務方の方から説明はありましたけれども、例えば、悪質な例、交通違反の常習者もいるかもしれない、そういう場合は、その国名を公表しますとか、あるいはナンバープレート返還をしてくださいくらいのことを言ってもいいと思うんですが、いかがでしょうか。
  94. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 今までの議論を聞いておりまして、違反の事例、放置車両であったりとか表示が正しくされていない、こういうことが多いようでありますけれど、どういう場合であっても、その種々の交通ルール違反事例があることは誠に遺憾であると考えているところであります。  先ほど海部儀典長の方からも説明させていただいたように、駐日外交団によります交通ルールの尊重、これが徹底されるように様々な注意喚起を行ってきておりますし、特に問題があるというところに対しては重点的な対応をしているところでありまして、白委員が議員になられる前に、苦い思いをされたというか、大変貴重な経験をされたと、こういうお話も伺いましたので、しっかり対応してまいりたいと思っております。
  95. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非しっかりと対応して、こういったことも外交の基本だと思います。一般の国民から理解のされる外交官でなければ私はならないというふうに思いますので、是非徹底していただきたいと思います。  続きましては、ちょっと東京オリパラ大会についてお聞きいたします。  先日、IOCのバッハ会長が来日されまして菅総理など多くの関係者とお会いになったとのことですけれども、そこで、東京オリパラ大会を観客を入れて開催する方向連携することを確認したと、非常に回りくどい言い方しているんですね。開催する方向連携することを確認した、一見、えっ、えっという感じだったんですけれども。  私が疑問なのは、そもそもやりたい菅総理とやりたいバッハ会長がお互いやりましょうねと合意したところで、やっぱり国民の大丈夫かという疑問は晴れないような気がするんですね。実際、今朝の新聞でもこう書かれているのがあったんですが、これ文章ですけど、そんなに単純に、そうか、よかったよかったとはなっていないみたいだ、まじで開催する気なのかな、てか、できるのか、どうやってやるんだ、終わった後えらいことになっているかもという声が多いと書かれています。  これ、初めに開催ありき、まず二人が会ってやりましょうでは、それで、やりましょう、そして、では課題はこれから解決しましょうねでは、私は話あべこべなんじゃないかなと思うんですね。要するに、まずコロナが現時点よりも、現在もそうです、もっと感染拡大したことを想定、そして相当深刻になったことを想定して、それに対応するような選手の受入れや、観客、特に外国からの観客をどうするか、また、費用面についてもある程度の結論を出して国民のコンセンサスを得てから、それならばできるよねということを確認してバッハさんと菅総理が会って開催することに合意だったら、国民も僕は納得すると思いますよ。  さらに、まだワクチンだって、恐らくできるんだろうなという感じはしますけれども、確定しているわけではないわけですよね。そもそも、選手には打ちましょうとか、そう簡単な話でもないような気がするんですけれども、今日、オリンピック担当来られていますけれども、その辺りどうですか。
  96. 三谷英弘

    大臣政務官(三谷英弘君) お答えいたします。  御案内のとおり、来年開催されます東京大会に向けました最大の課題は新型コロナウイルス感染症対策だというふうに理解をしております。  このため、九月以降、国、東京都、大会組織委員会によるコロナ対策調整会議におきまして、アスリート、大会関係者、そして観客の三つのカテゴリーについて、出入国や輸送、ホストタウン、選手村、競技会場など、それぞれの場面ごとに議論を進め、現在、実効的な対策を検討させていただいているところでございます。  この調整会議におきましては、これまで五回開催をしておりまして、その中では、大会に参加するアスリートには検査や行動管理、健康管理など必要な防疫上の措置を講じること、アスリート向けの保健衛生機能や医療体制などを強化すること、ホストタウンにおいては、国の手引を踏まえまして受入れマニュアルを作成し、感染防止対策を実施すること、そして、観客数の上限や外国人の観客の取扱いにつきましては国内外の感染状況なども踏まえて来年の春までに決定することなどの方針を提示させていただいておりまして、年内を目途に中間整理を行う予定となっております。
  97. 白眞勲

    ○白眞勲君 ありがとうございます。  ただ、私の質問にはちゃんと答えてないんですよ。要は、最初にある程度、もうこうですよねということが分かってから、いや、だったら大丈夫ですね、開催しましょうねということであって、来年四月までにというと、それは僕は逆だということを申し上げたわけなんですね。  これ、もう一度繰り返しますけれども、そもそもアスリートにワクチンを打つというのはどういうものだと思われますか。
  98. 藤原章夫

    政府参考人(藤原章夫君) お答えいたします。  ワクチンにつきましては、今後コロナ対策を講じていく上で大変重要な役割を果たすものというふうに存じておりますけれども、この東京大会との関係につきましては、ワクチンの開発、これが大会開催の前提というふうになっているわけではございません。その点につきましては、この度のIOCのバッハ会長も、ワクチン接種を条件とはしないというふうに述べておられるものと承知をしております。
  99. 白眞勲

    ○白眞勲君 だったらますます、やっぱりしっかりとその辺の対策というのを、今ワクチン対策を条件とはしていないと言っているわけですから、だったらなおさら、よりこのワクチンが開発されていないことも前提とした上で開催はどうなっていくんだろうねということを考えなきゃいけないんじゃないのかなと私は思っておりますが。  ここで、三谷さん、三谷政務官にお聞きしますけど、安倍総理は今年の四月二十九日の予算委員会において、私の質問に対してこうおっしゃっているんですよ。議事録で読みますと、やはりこれ、ここからは安倍総理ですよ、やはりこれ、世界中の国々が参加するわけでございますから、ある意味、人類がコロナウイルス感染症に打ちかったということが、このあかしとしてですね、という大会にしなければいけませんし、そういう状況でなければなかなかこの大会というのはこれは難しいわけでございますからまでおっしゃったんです。これは、私、ああ、なるほどなと思いました、そうだなと思うんですけれども。  つまり、来年にはコロナウイルス感染症に打ちかったということができるという認識なんですよ、これ。これ、お答えください。
  100. 三谷英弘

    大臣政務官(三谷英弘君) 今、白委員の方から御指摘いただいた答弁、安倍総理の議事録でございますけれども、それに関しましても、菅総理が先日のバッハ国際オリンピック委員会の会長との表敬訪問の際に申し上げた内容と符合しておりますもので、その際には菅総理大臣の方から、バッハ会長の訪日を歓迎するとともに、来夏の東京オリンピック・パラリンピックの競技大会に関しては、人類がウイルスに打ちかったあかしとして、そして東日本大震災から復興しつつある姿を世界に発信する復興オリンピック・パラリンピックとして東京大会の開催を実現する決意であるということを述べさせていただいております。
  101. 白眞勲

    ○白眞勲君 全然答えられていないんですよ、申し訳ないんだけどね。まあ、答えようがない、今の方針からいうと答えようがないということが答えだと思うんですけれども。  現時点で海外で販売したチケットは百万枚とも言われています。ということは、単純計算で要するに百万人の観客が来るということになると思うんですけど、これ、報道によりますと、十四日間の待機は免除とか公共交通機関も利用可能にするとか、この辺りどうなっているんですか。
  102. 藤原章夫

    政府参考人(藤原章夫君) お答えいたします。  観客についてでございますけれども、外国人観客の取扱いにつきましては、先般開催をいたしましたコロナ対策調整会議議論を行っているところでございます。  外国人観客の取扱いは、観客の安全と地域の安全の両立を図る観点を踏まえ検討をしていくと。そして、外国人観客については、二週間の隔離、公共交通機関不使用を条件とすることは観戦を事実上困難とするものであることから、これらと同程度の防疫措置を構築する観点に立って検討を行っていくと。  三つ観点を掲げてございまして、一つ目は、入国時点までの外国人観客の安全性を確認するため、十分なスクリーニングを行う仕組みとすること。二点目といたしまして、入国後に、外国人観客に適切な行動管理、健康管理を求める仕組みとするとともに、感染又はそのおそれがある場合に、当該ケースを迅速に把握をし、適切な隔離など医療面の対応等が行える体制を構築するなど、実効的な仕組みとすること。三点目でございますけれども、各国の感染状況等を踏まえ、二週間隔離の維持も含め、リスクに応じた適切な防疫措置を講じること。  こういった観点に基づいて今後実務的な検討を進めまして、具体的な措置の内容につきましては、今後の国内外の感染状況、我が国の海外との往来に係る状況、スポーツイベントの開催状況等を考慮し、来年の春までに決定をするというふうな方向を示しているところでございます。
  103. 白眞勲

    ○白眞勲君 だから、今の時点では何も決まっていませんよという答えですよ、要は。今ずっと長々とお話しされましたけれどね。  ここで、今スクリーニングの話がありましたけど、今日の報道だって、インドネシアから到着した十七人、インドネシア出国前の検査で陰性だった証明書を持っていたにもかかわらず、空港で陽性が確認されたという報道が出ていますよね。非常に今不安定ですよ、そういう面では。私、そう思っているんですね。  感染者が観光客やアスリートに出た場合、まず言葉の問題をクリアしなければなりません。今でも医療機関で外国の方受診しに来られると、日本語の分かる方を同伴してくれと頼んでいると聞きます。外国の観客の場合、それ無理ですから、世界百数十か国の観客の通訳、これどうするんですか、感染している可能性がある方ですよ。その通訳というのは、当然これ、通訳の方、防護服着用するとか完全な感染対策もしなければならない、当然知識持たなければなりませんけど、この辺りどうするのか。  もうまとめて聞きます、長い話してくださるから。  その方の医療機関に受診した場合の費用は誰が負担するのか。当然、在留期間が延びる可能性があります。この辺りどうなるのか。観客には十四日間の免除を、今は検討するということです。それもやらないといけないかもしれないと言っているけど、ビジネス関係の外国人どうするんですか。観光客は、何か試合見に来る人は十四日間免除するかもしれないけど、ビジネスどうするんだ。何も決まっていないわけで、このぐらいのことを思い付くわけですよ、私みたいな素人でも。これ、課題山積なんですね。今までの答弁ですと、これから決めるということですよね。  もう一度指摘しますけど、まずこれらの感染対策、最悪の流行を見越して対策を立ててから、オリンピック開きますよ、予算はこれだけ掛かりますよ、プラスでということを国民説明した方が説得力あるんじゃないでしょうか。三谷さん、どうですか。
  104. 藤原章夫

    政府参考人(藤原章夫君) お答えいたします。  ただいま委員から様々な課題を御指摘いただきました。私どもといたしましても、そうした外国人観客が来られた場合に、医療体制の問題、相談体制の問題、様々な課題があると認識をしております。そうした課題を今後更に検討を深めていく中でこの観客への対応というものを定めていきたいと考えております。
  105. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ですから、様々な検討をした上でというんじゃなくて、検討してからやりましょうということをバッハさんとやるべきなんじゃないかと私は言っているんですよ。あべこべなんです、これ。  三谷さん、どうですかと聞いているんです。三谷さん、答えてください。
  106. 藤原章夫

    政府参考人(藤原章夫君) お答えいたします。  様々な課題はあるわけでございますけれども、このコロナ対策調整会議におきまして、先ほど政務官から御答弁いたしましたように、アスリート、それから大会関係者、観客と、三つのカテゴリーに応じて検討してきているわけでございます。  そうした中で、今様々な大会が開かれつつある状況にあると存じております。来られたアスリートが安全に過ごして大会に参加できるという環境をまずしっかり確保するということで厳しい対策を講じて、入国から出国までの安全対策を講じていくと、そうした中で安全な大会を実施するということをまず基本に検討しておるところでございます。
  107. 白眞勲

    ○白眞勲君 私、昨日の質問の通告のときに、政治家が答えてください、参考人はいいですよと言ったんですよ。誰が出てきても構いませんと言ったんです。ただ、政治家に答えていただきたいときは是非政治家の方に答えていただきたいと言ったのにもかかわらず、そういう不誠実な対応をするんだったらこれから質問できなくなるんですよ、我々。  是非、三谷さん、今もう一回聞きますよ、私。  要は、あべこべじゃないかということですよ。感染対策はこうなんですということを国民に説得して、ああ、それだったらいいよね、予算もこれだけありますよね、だったら、ああ、いいって。じゃ、バッハさんと会いました、これだけできます、大丈夫ですよ、皆さんと言ったら、国民がぱっとまとまると思うということなんですよ、私は。  その辺について三谷さんの、政務官として、オリンピック担当としてどう思うか、これを聞いているんです。
  108. 三谷英弘

    大臣政務官(三谷英弘君) お答え申し上げます。  白委員の様々な御指摘、ありがとうございます。  先日の菅総理とバッハIOC会長との面談の中でも、具体的に菅総理の方から、例えば、もう現在でも、スポーツ大会に参加する外国人選手が入国後十四日間の待機期間中に当該大会に参加できる仕組みというものも実際に運用されているということも御紹介させていただいております。  また、先日は、この日本でも、野球になりますけれども、規制の上限を上げた技術実証も行わせていただいておりまして、東京大会では観客の参加を想定して規制の上限や防疫措置の在り方について検討しているというような話を御紹介させていただいた上で、総理とバッハ会長が、来年の東京大会の開催を必ず実現すると、そして安全、安心な大会に向けて今後とも緊密に協力していくということで一致をさせていただいております。  そういった方向でしっかりと議論を進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いします。(発言する者あり)
  109. 長峯誠

    委員長長峯誠君) では、速記を止めてください。    〔速記中止〕
  110. 長峯誠

    委員長長峯誠君) では、速記を起こしてください。(発言する者あり)  それでは、もう一度速記を止めてください。    〔速記中止〕
  111. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 速記を起こしてください。
  112. 三谷英弘

    大臣政務官(三谷英弘君) 委員の先ほどからの御質問の趣旨はよく理解をしております。しっかりと国民皆様からの理解を得られるようにしていくというのは当然のことでございますけれども、それと並行してしっかりと大会の準備を進めていくということを行わせていただいているところでございます。安心、安全に大会を実施できるようにしっかりと、アスリート、そして大会関係者、そして観客の皆様、の方々が安心に大会に参加する、あるいはそれを楽しんでいただくための準備を現在進めさせていただいております。
  113. 白眞勲

    ○白眞勲君 質問答えてくださいね。是非お願いしたいと思います。  外務大臣にお聞きします。  海外、特に欧米では爆発的な今流行が始まっていますけれども、まだ現時点では出口が見えない状況の中、さらには日本でも毎日のように感染者数が今激増しているという中で、外務大臣は世界の情報を収集しているお立場としてこの開催についてはどういうお考えを持っているのか、お聞かせください。
  114. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 恐らく今、新型コロナの世界的な拡大、どういうフェーズかといいますと、昨年末、武漢で新しい新型のウイルスが発見をされたと、それが一月以降、中国に拡大をする、これが第一フェーズで、三月以降、イタリアを始めとしてヨーロッパでの感染が広がる、第二フェーズですね。第三フェーズ、四月になりまして、これが北米、特にアメリカにおきまして大感染となりまして、世界最大の感染となる、これが第三フェーズだと思うんですね。そして、七月、八月と、今度は中南米、ブラジルであったりとか、さらにはインド、南アフリカ共和国と、こういったところに広がってきたと。そして、現在、アメリカでの感染者、毎日十五万人を超えるような状況であります。そして、ヨーロッパを見ましても、英国、フランス、ドイツ、イタリア等で一万五千人から、たしかイタリアが昨日三万人超えたかと思うんですけれど、こういった感染の状況でありまして、第五フェーズに入っているのかなと。こういった状況を、第五フェーズですね、きちんと見ながら、各国も必要な感染の防止対策、こういったものは取っていると、このように考えております。  オリンピックの開催等々につきましては、基本的な考え方として、オリンピックはもう来年にやる、やるとしたら来年やるということで時期が決まっているわけであります。そして、それは安心、安全な大会にしなければいけないということで、どういう形で安心、安全な大会にできるかと、そのための準備を進めていると、このように理解をいたしております。
  115. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は、オリンピックをするなということを全然言うつもり全くないんですね。ただ、政府としては当然、国民の生命、財産を守る立場としまして、これだけ国民が心配している中でどうするべきかという道筋を政府がちゃんと分かりやすく示す必要があると思います。  外務大臣、もう一度その辺についてお答えください。
  116. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 若干私の所管とは違うかと思いますが、当然、様々な例えば人の国際的な行き来にしましても感染の防止対策と両立する形で進めると、こういう形でありますし、また、オリンピック大会といいますと、当然、会場であったりとか関係者、アスリートであったりとかその関係者、さらにはチケットを持っている観客、ターゲットは絞られるわけでありますから、そのターゲットを絞った中でどういう対策をやっていくかと、こういったことが重要だと思っております。
  117. 白眞勲

    ○白眞勲君 もちろんターゲットは絞らざるを得ないと思いますけど、人数的にはもう百万人、今申し上げましたように、百万枚外国で売れているわけですから、単純計算すると百万人ということになると、相当なターゲットが多いなという感じがしますが。  そういう中で、参考資料を、ちょっと皆さん、お手元にあるものを御覧いただきたいと思いますが、これは先日の予算委員会で私の質問に対しての議事録なんですが、二十四ページ、この参考資料でいうと一ページ目ですが、一番下の方、橋本大臣のお答えですが、こうおっしゃっているんですね。オリンピック・パラリンピックは国際オリンピック委員会及び国際パラリンピック委員会が主催者でありましてと、こうおっしゃっているんですが、その次のページの真ん中にまた橋本大臣がお答えになっていただいておりまして、ここを見ると、あくまでも主催は東京都でありと書いてあるんですね。これ違うんじゃないですか。どうなっているんですか、これ。お答えください。
  118. 藤原章夫

    政府参考人(藤原章夫君) お答えいたします。  主催者ということでは、まずIOC、それから大会都市契約を結んでいる東京都及び大会組織委員会、それから日本オリンピック委員会、JOCということになっております。
  119. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、主催者は東京都も主催者なんですか。
  120. 藤原章夫

    政府参考人(藤原章夫君) はい、主催者の一つでございます。
  121. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、もう一つちょっと聞きたいんですけれども、前のページです、もう一回一ページへ戻っていただきたいんですけれども。  各国の地域のオリンピック委員会又はパラリンピック委員会がそれぞれ自国、地域の要人を招待するということになっていますと書いてあるんですが、この自国というのは何を意味するんだろうなってちょっと思ったんですね。例えば、中国のオリンピック委員会は自分の国、つまり中国の要人を招待するということなんでしょうか。ちょっとその辺、ちょっと教えていただきたいと思います。
  122. 藤原章夫

    政府参考人(藤原章夫君) お答えいたします。  招待の仕組みでございますけれども、各国・地域のどのような要人を呼ぶかということにつきましては、各国・地域のオリンピック委員会又はパラリンピック委員会がそれぞれ自国の、地域の要人を招待するという仕組みになっているところでございます。
  123. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ですから私が聞いているのは、例えば中国だったらば、中国の習近平主席を中国のオリンピック委員会が招待をするという形なんでしょうかということです。
  124. 藤原章夫

    政府参考人(藤原章夫君) おっしゃるとおりでございます。
  125. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、国際オリンピック委員会、つまりIOCや国際パラリンピック委員会が主催ですが、招待はあくまでも各国の地域のオリンピック委員会又はパラリンピック委員会が招待をするということで、IOCとか国際パラリンピック委員会はその招待する権限はないということですね。
  126. 藤原章夫

    政府参考人(藤原章夫君) 基本的なスキームは先ほどお答えしたとおりでございますが、ただ、大会自体、これはIOCが一番基本となるところを定めているわけでございますし、大会運営自体ということになりますと、この大会都市契約を結んでいる東京都、それから大会組織委員会、JOC、こうした関係者が大会運営そのものを担うということになるわけでございますので、そうした方々が連携しながら全体として取り組んでいくというふうな仕組みになっているところでございます。
  127. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと私の質問に答えてもらいたいんですけど、要は招待をしている主体は誰なんだということですよね。IOCは権限がないのかどうか、それから、その国の政府は権限がないのかどうか、これはどうなんですか。
  128. 藤原章夫

    政府参考人(藤原章夫君) これは、IOCがそのスキームを定めているわけでございますけれども、IOCの方で各国・地域がそれぞれの国の要人を招待するというスキームを定めているわけではございますけれども、最終的な権限というのはIOCが持っているということに変わりはないと思っております。そうした意味において、IOCや開催都市契約を結んでいる当事者全体としてこの大会運営を担っていくと、そういう趣旨だと存じております。
  129. 白眞勲

    ○白眞勲君 政府はどういう、その国の政府はどういう関係なんですか。
  130. 藤原章夫

    政府参考人(藤原章夫君) したがいまして、東京大会そのものにどういった方をまず招待したいかということを各国・地域のオリンピック委員会、パラリンピック委員会がまず判断をするわけでございますけれども、実際にそうした方々が日本に入ってくるということになりますと、これは入国に当たっての様々な政府との調整ということはあり得るんだろうというふうに存じております。
  131. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、本当にちょっと複雑でね、さっぱり私は理解力が不足しているんですよ。もう一回ちょっと議事録を見ながら、またこれちょっと考えてみたいというふうに思います。  そういう中で、ちょっと別の質問をさせていただきたいと思います。山本前防衛副大臣関係です。  防衛省にお聞きします。二〇一七年から一九年の副大臣在職時、在京当番の際に防衛省が用意したグランドヒル市ケ谷に公費で宿泊した件ですね。これについてちょっとお伺いしたいんですけれども、現在どうなっていますか、これ、事実関係
  132. 芹澤清

    政府参考人(芹澤清君) お答えいたします。  防衛省におきましては、政務三役は緊急事態の発生に備えて交代で待機する態勢を確保しております。  山本前副大臣は、着任のときに都内に住居がなかったものですから、待機態勢を取る場合には宿泊施設を利用しておりました。宿泊施設の利用は危機管理体制の確保というあくまで公務のためのものでございますので、公費を支出したことについては瑕疵はございません。  他方、山本副大臣は、政治家として自らの判断で宿泊費を返納することとしたと承知しております。その上で、山本副大臣は、本年九月に退任されるまでに約七十四万円を自主返納したというふうに承知しております。
  133. 白眞勲

    ○白眞勲君 幾ら残っているんですか。
  134. 芹澤清

    政府参考人(芹澤清君) 山本前副大臣の宿泊費として支出した額は約百十八万円でございますので、既に自主返納した額を引きますと、約四十四万円が残っております。
  135. 白眞勲

    ○白眞勲君 残っているんですよ。これどうするんでしょうかね。
  136. 芹澤清

    政府参考人(芹澤清君) 繰り返しになりますけれども、宿泊施設の利用それ自体は危機管理体制の確保というあくまで公務のためのものでございますので、公費の支出自体には瑕疵はなかったと考えております。  そのため、防衛省としては、従来から山本副大臣に対して宿泊費の返納を求めておらず、今後とも返納を求める考えはございません。(発言する者あり)  防衛省といたしましては、従来から山本副大臣に対しての宿泊費の返納を求めておりません。また、今後も返納を求める考えはございません。
  137. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、四十四万円は、防衛省としては、これは全額の返済を求めるべきだと私は思いますよ。  防衛大臣、どうですか、これは。
  138. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 先ほど官房長からも説明があったとおり、宿泊施設の利用自体が危機管理体制の確保というあくまでも公務のためのものでしたので公費として支出をしたと、こういうことでございまして、既に処理が行われているものでございます。  そのため、防衛省としては、従来から山本副大臣に対して宿泊費の返納という形は求めていないと、今後も求める考えはないということです。  あくまでも山本前副大臣は自主返納をしたという形になっているわけでございます。
  139. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ですから、残っている中で、これ、岸大臣、政治家としていかがお考えですか、こういったこと。そのままでいいんだと言っているんですけど、いいんですか。
  140. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 山本議員は既に防衛省の副大臣の職を離れておられます。防衛省としては、特別職の職員の給与に関する法律によって副大臣給与から返納することが可能であるものの、国会議員として議員歳費を国庫に返納するということは公職選挙法上の規定により禁止されていると、こういうことでございます。
  141. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、だから、大臣としてどう思うか聞いているんですよ。
  142. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 規定として防衛省大臣に返納を求めるということはできないわけであります。  ですから、山本議員が自主的に返納する、そういう手だてがあればいいわけですけど、今、公職を離れていますのでそれができない状態にあるということでございます。ですから、今、(発言する者あり)これは、今、ですから、どういう手も打てない状態になっているということであります。
  143. 白眞勲

    ○白眞勲君 どういう手も打てないということ自体がやっぱり大臣としてどう思っているかということ私聞いているんですけれども、ちょっとこれ、あっ、じゃ、どうぞ。
  144. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 一つは、何かしらの特別職に就いた場合またそこで自主返納すると、その超えている部分についてですね。それからもう一つは、立候補する意思がなくなった場合、一般国民として、一般国民として国庫に納めるということはできる、可能であると。
  145. 白眞勲

    ○白眞勲君 大変申し訳ないんですけど、大臣、その後ろの方から紙もらってそういうのをしゃべるのはどうかと私は思うんですけれども。  そういう中で、ちょっとさっき佐藤委員もあった、例の大和堆の違法操業の問題について、ちょっとこれ聞きたいんですけれども、これ、一部報道、今、先ほど御答弁でも、最近は北朝鮮の漁船がいなくなっちゃって、中国漁船ばっかりになっちゃったということなんですけど、これ、漁業許可証を中国漁船に売ったとの報道、今もありましたけれども、これ、政府はどのように把握しているんでしょうか。
  146. 滝崎成樹

    政府参考人(滝崎成樹君) お答えいたします。  国連の安全保障理事会の制裁委員会の発行しています報告書に、中国漁船がこの北朝鮮の発行する漁業権を購入しているという事実があるという記載があるということは承知しております。
  147. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ変な話でね、何で北朝鮮が漁業権持っているんですか。日本の漁場でしょう。それを何かほかの国が、ここいいよ、やってって言うこと自体が変だと思う。  日本政府としての考え方はどうですか。
  148. 滝崎成樹

    政府参考人(滝崎成樹君) お答えいたします。  北朝鮮がその中国漁船に対して販売していると言われているその漁業許可証自体、我々がその、それ、物自体を見ているわけではないということと、彼らが、中国漁船が、それを持っているのではないかと思われる中国漁船が操業している地域というのが、必ずしもその日本の主張している排他的経済水域の中というわけではなくて、ほかの水域も当然北朝鮮は持っているわけですので、その漁業許可証がどのような性格のものなのかということまで我々は把握しておりませんので、それについて正しいとか間違っているとかと言うような立場にはないということであります。
  149. 白眞勲

    ○白眞勲君 ただ、そうはいったって、日本の漁場もあるわけですから、これはちょっと、ちゃんと把握すべきなんじゃないでしょうか。  これについて、大臣、どう思われますか。
  150. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 北朝鮮と日本の間でEEZ、何というか画定をしているわけではありませんが、我が国としては、我が国のEEZはどこまでであると、これは明確にしているところであります。  そういう中で、仮に我が国のEEZに掛かるような漁業権の転売が行われるということがあったら、あってはいけないことだと思っておりますし、それは当然、累次にわたります北朝鮮に関する安保理決議にも違反をしていると、国際社会全体に対してもそういったことがないように働きかけをしていきたいと思っております。
  151. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非これは強力に働きかけをしていただきたいというふうにお願い申し上げたいと思うんですけど。  ちょっと別の観点から、この核兵器禁止条約についてお聞きします。  締約国会議の開催地として、来年一月に発効するこの核兵器禁止条約について、広島市や長崎市が独自に名のりを上げた場合、日本政府はどうされるんだろうかなと、ちょっと気になっているんですけど、外務大臣、どういうふうに考えられていますか。
  152. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) この核兵器禁止条約につきましては、これまで述べてきた我が国の立場に照らしまして、まず我が国として署名する考えはないわけであります。  また、御指摘の広島、長崎での開催を含め、核兵器禁止条約の第一回締約国会合に関する取組や関与の方法に関しては、こういったことから慎重に見極める必要があると思っておりますが、その上で、一般論として申し上げますと、核軍縮に関する国際会議を被爆地で開催することは、唯一の戦争被爆国である我が国として、核兵器使用の惨禍の実相を諸外国に伝え、我が国の核兵器廃絶への強い願いを世界に発信する上で有意義だと考えております。  ここ数年、国連の軍縮会議であったりとか包括的核実験禁止条約、CTBTの賢人グループ会合、さらには核軍縮の実質的な進展のための賢人会議などが被爆地で開催をされたわけでありまして、引き続き、政府としても、被爆の実相に触れる機会、確保できるように努めてまいりたいと思います。
  153. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、この前の予算委員会よりも大分踏み込んだことを茂木大臣言っていただいて、良かったと私は思いますよ。  そういう中で、広島、長崎の開催のために各締約国の元首級の要人が訪日したときは、当然外務省は対応するということでよろしゅうございますか。まあこれ儀典の関係かもしれませんけど、どうでしょうか。
  154. 本清耕造

    政府参考人(本清耕造君) お答え申し上げます。  核兵器禁止条約そのものについては、まだ政府の方針というのは、先ほど大臣から述べたとおりでございますけれども、仮に何らかの会合が軍縮関係で、大臣が御答弁いただいたとおり、軍縮会議等である場合には政府として対応していくという、こういうことになろうかと思います。
  155. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 各国の要人が日本を訪問される、そしてその要人の方がそういった被爆地を訪問したいと、そういう要望がありましたら、それに沿って対応したいと思います。
  156. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、今日は本当に茂木大臣、すばらしい、いい感じです。  それで、ちょっと、さっき佐藤委員から、非常に深掘りしたミサイル防衛のレーダーについて、イージス・アショアイージス艦について、私もこれ気になったことがあって、ちょっとこれ、事務方でもいいんだけれども、ちょっと聞いてみたいんだけど、これ、SPY7ですね、このレーダー。これ、開発費の負担していますよねということでよろしいでしょうか。幾らかどうかはいいですけど。
  157. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  委員の御指摘は、今アメリカの方で開発しているSPY7の開発費を日本側が負担しているかという意味においては、負担していることはないと承知しております。負担していないということでございます。(発言する者あり)開発費そのものはですね。
  158. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、金払っていますよね。これ、何ですか。
  159. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) 現在アメリカ側に支払っている費用につきましては、本体取得経費、二基分の経費ということで、イージス・ウエポン部分SPY7の調達費用というふうにお考えいただければ……(発言する者あり)調達の関係のですね、実際、物を製造している費用ということでございます。
  160. 白眞勲

    ○白眞勲君 防衛大臣の先日の当委員会における挨拶を見てみますと、日米同盟の強化と安全保障協力の推進等という項目で、共同訓練という言葉が二か所出てきます。実際、自衛隊は、特に海上自衛隊を中心にいろいろな場所で、日米オーストラリア、日本とかオーストラリアとか、日米オーストラリアとか、あるいはインドとの共同訓練をしていますよね。  特に、オーストラリアについては、政府としてこれらの共同訓練をどのような目的意図を持って実施しているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  161. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 他国とのこの共同訓練については、様々な国と今進めております。  これまで米軍とやっていたこと、あるいは今豪州とかインドとか、こういった面で進めているわけですけれども、これは、一つは戦術技量の向上という観点がございます。特にこの御指摘の件では海上の訓練ということでしたので、海上自衛隊が他国の海軍との間で連携強化を図ること、技量の向上を目指していくこと、こういうことで精力的に実施をしていると、こういうことでございます。
  162. 白眞勲

    ○白眞勲君 十一月十二日、当委員会防衛大臣岸防衛大臣は、普遍的価値や安全保障上の利益を共有する国々と緊密に連携しつつ、防衛協力・交流を推進してまいりますと述べられています。このような国々との防衛当局間での様々な交流を行ったり、あるいは、まあ何というんでしょうね、対話を重ねるというのは私も非常に重要なことであるというふうに思うんですけど、私はこれ、コロナ、現在のこのコロナ、コロナ対策というのも、これ防衛大臣認識聞きたいんですけれども、これ、私、我が国の安全保障において非常に重要な観点だなというふうに私は思っているんですけれども、岸防衛大臣はどうお考えでしょうか。
  163. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 白先生御指摘のとおり、部隊を運用する中で、このコロナ禍という状況をしっかりコントロールしながらやっていくということは必要だと思います。  部隊の中で感染が広がりますと、これはまさにその運用の力というものが失われていってしまうわけですから、そこは軍にしても自衛隊にしてもしっかりコントロールしながら、感染の拡大防止策をしっかり取りながら、その上で、その共同訓練にしても部隊運用にしてもやっていくということが何より必要だというふうに考えています。
  164. 白眞勲

    ○白眞勲君 もちろん、防衛大臣、それも重要だと思うんですけれども、私はもうちょっと広い意味でのコロナ対策というのも、日本国民、一般国民のやっぱり生命と安全を守るためのコロナ対策というのも重要な、やっぱり防衛、国家安全保障において重要な観点じゃないのかなという観点からちょっとお聞きしたんですけれども、どうでしょう。防衛大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
  165. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) いわゆるコロナ、これは一月、二月ですけれども、ダイヤモンド・プリンセスのとき、船内での感染防止等々について自衛隊が実際に支援に入っております。そうした形で自衛隊のノウハウも蓄積していますけれども、自衛隊自身もあの活動の中では一人の感染者も出していない、そういうことでございます。それは、いろいろな感染防止のノウハウがあった、防護服の着用の仕方とか、そういうノウハウもありました。そういうことを知見として、教訓として、今は全国の自治体等に教育をしているところであります。
  166. 白眞勲

    ○白眞勲君 岸防衛大臣は、今年一月号の雑誌インタビュー記事で、日米台湾、台ですね、日米台湾の安全保障対話をという見出しで、そこで御自身と台湾との関係について率直にお話をされている記事だったんですけれども、そこでこうおっしゃっているんですね。WHOとかICAOについても、政治とは別に、台湾が欠けたらほかの国々がリスクを背負う可能性考えて、台湾の加盟を後押ししていきたいと語っていらっしゃいます。そして、日本としても取組が不十分で、もっと積極的にやっていくべきだとも述べておられているんですけれども、実際、私、予算委員会、前回、四月の予算委員会で、安倍前総理も台湾のWHOのオブザーバー参加については肯定的な意見を持っていらっしゃった。  そこでお聞きしますけれども、今、防衛大臣、コロナ対策において、まあ安全保障の重要な観点というのを今御指摘されたんですけれども、台湾との関係において、WHO加盟についてはどのような御認識でしょうか。
  167. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) まず、台湾は我が国にとってその基本的価値を共有する大変重要なパートナーであります。大変大切な友人であるという状況でございます。  その上で、日本の台湾に関する基本的な立場というものは、一九七二年の日中共同声明のとおり、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくことで一致をして、一貫しているということでございます。  WHOについては、委員の御指摘のとおり、我が国としてWHOへのオブザーバー参加というものを支援してきたということは事実であります。
  168. 白眞勲

    ○白眞勲君 この雑誌のインタビューで、防衛大臣、こうおっしゃっているんです。今後は、日本台湾交流協会に中堅クラスの自衛隊員を派遣することも考えるべきであると思いますと。つまり、民間交流機関としての日本台湾交流機関だと思うんですけれども、台湾の軍としっかりコミュニケーションを取って、将来不測の事態があったときに備えて関係を構築していくべきですというふうに、防衛大臣が、岸さんが、当時、議員時代ですけど、そうおっしゃっているわけなんですね。  今、そのお立場になったわけですよ。これをやれるお立場になったわけなんですけれども、やる御意思はあるのかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  169. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 委員指摘の雑誌については、私のそれまでの議員の活動の中で台湾との関係に基づいて話をさせていただいたものでございます。  今は内閣の一員でございます。先ほど申しましたその日中共同声明における我が国の立場、そうしたものを踏まえて適切に対応してまいりたいと、こういうふうに思います。
  170. 白眞勲

    ○白眞勲君 時間ですので終わりますけれども、菅総理はそういうことを分かっていて岸大臣を僕は任命したということもあるのかなとも思っているんですけど、これはこの後もまた議論をしていきたいと思います。  今日はこれでおしまいにします。ありがとうございました。
  171. 三浦信祐

    三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。  外交防衛委員会で初めての質問です。先輩の方々に胸を借りる思いで質問をさせていただきます。  コロナ禍によって、将来の日本と世界との外交、世界平和を担う若者の国際交流の機会が失われております。例えば、我が国が核廃絶を世界に訴え、平和国家としての役割を果たす人材育成の機会になっている高校生平和大使も国連等での発表の機会が喪失をしており、参加するインセンティブも失われております。  国際感覚、外交力を持ち合わせた人材を育てていくためには、国際交流機会が欠かすことはできません。コロナ禍で人的交流が途絶えたことがきっかけで人材育成機会が喪失することがないようにすべきであります。長期的視点で国際人材育成を継続するためには、外務省主催であろうが後援であろうが、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  茂木大臣外務省として、今後種々後押しをしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  172. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 外務省としては、対日理解促進及び親日派、知日派の発掘、拡大を図っておりまして、海外の若い方はもちろんでありますが、日本の若者にも更に世界に目を向けてほしいと、こんなふうに考えております。  このため、今コロナ禍と、こういう状況ではありますが、オンラインなどを活用して交流プログラム、継続をしているところであります。引き続き、幅広いレベル、そして形態での交流促進を通じて我が国の外交基盤の拡充を図りつつ人的交流の拡大に努めていきたいと思っております。  委員に御指摘いただきました高校生の平和大使に対しては、外務省では被爆の実相の次世代への継承、これに関する活動として、これまでユース非核特使の名称を付与しているところでありまして、引き続きこういった活動を後押しをしていきたいと考えております。
  173. 三浦信祐

    三浦信祐君 大臣、ありがとうございます。是非、若い世代が今の話を聞いて、私もそれで頑張ろうと思う方が必ずいると思います。私たちもしっかり広めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  次に、自律型致死兵器システム、LAWSに関する国際会議について、外務省に伺います。  LAWSに関する特定通常兵器使用禁止制限条約、CCWでは、二〇二〇年から二〇二一年までの政府専門家会合、GGEの開催を決定をしております。コロナの影響を受け、本年九月にはオンラインでの開催となりました。この際、ロシアは対面での開催を主張してオンラインに参加しないという事態が生じております。これを踏まえ、来年、二〇二一年のGGEに日本政府としてどう取り組むのでしょうか。  さらに、各国の立場の隔たりが大きい現下の状況にあって、二〇二一年のGGEの結論次第では、GGEの継続を選択すべきか、それとも議定書の締結の交渉に進むべきかが問われることとなります。私はGGEの継続を選択すべきだと考えております。日本としてどのような判断とするのでしょうか。  加えて、仮に市民社会側の一部が個別条約成立を目指し日本に働きかけがあった場合の対応はどのようにするのでしょうか。  これらについて明確にお答えいただきたいと思います。
  174. 本清耕造

    政府参考人(本清耕造君) お答え申し上げます。  自律型致死兵器システム、いわゆるLAWSについては、現在、特定通常兵器使用禁止制限条約、CCWの枠組みの下で議論が行われており、昨年十一月の政府専門家会合において、国際人道法が適用されること、人間の責任が確保されなければならないことなどを内容とした指針が承認され、現在、この指針を基にして、LAWSの定義や人間関与の在り方について国際的な議論が行われているところでございます。  来年の専門家会合につきましては、本年の会合が延期となっていることもあり、その日程や方式などの詳細は現時点では未定でございます。  我が国としては、先ほど御指摘ありましたロシアも含め、米中といった主要国を含め、広く国際社会において共通の認識が得られるよう、安全保障の観点も考慮しつつ、引き続き国際的なルール作りに積極的かつ建設的に参画していく考えです。  市民社会についてのお尋ねがございましたけれども、現時点では各国の立場に隔たりがあるのが現状でございます。共通の認識が得られる状況に達していないところでございますので、法的拘束力のある文書を直ちに策定することは困難ではないかと考えているところでございます。
  175. 三浦信祐

    三浦信祐君 しっかりとここはやっていただければなというふうに思います。  大臣、シンプルに伺います。河野前外務大臣時代、市民社会側から、GGEの議長に日本が立候補し会議をまとめるべきとの働きかけがあったと承知をしております。一方で、立場を問わず、日本は軍縮についての橋渡し、紛争のない社会へ平和国家としての責務を果たすことが重要だと私は思います。  CCW、GGEにおいて、外務省は国際社会でイニシアチブを取るとの気概と行動が求められます。茂木大臣、いかがでしょうか。
  176. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) GGEにおけますLAWSに関する議論に関して、我が国として引き続き、米中ロといった主要国を含め、広く国際社会において共通の認識が得られるように、安全保障の観点も考慮しつつ、国際的なルール作りに委員おっしゃるように積極的に、また建設的に参加をしていきたいと考えております。  LAWSに関わります議論に関しては、各国の立場に、御案内のとおり、いまだ隔たりがある状況であることから、アジア諸国等の政府関係者を集めて考え方のすり合わせを行うなど、議論をできる限りリードしていきたいと考えております。
  177. 三浦信祐

    三浦信祐君 大臣の言っていただいたことは極めて重要なことでありますし、巨大な国ではないところが、これについてたくさん注目をしております。  日本の立ち位置というのは、経済の観点においても外交部分においてもかなり期待をされているところがありますので、大臣も是非リーダーシップを取っていただけるように御指示いただきたいと思いますし、国際会議の場等でもよく御発言いただきたいというふうに思います。  次に、自衛官の処遇と環境改善について質問をさせていただきます。  今後、少子高齢化が進む日本にあって、自衛官の人員確保と前線部隊への人材配置が重要となります。長年、自衛隊の最前線で任務に当たられた経験とセキュリティーの観点を持ち合わせている自衛官OBがたくさんおられます。最近では、防災の視点で基礎自治体のところに自衛官OBの方が防災管理官としても採用できる、そしてそこに対して国も支援をしているというのが実情であります。でも、まだまだ足らないと思います。例えば、神奈川県の箱根町では、自衛官OBの方が防災管理官として採用されておりました。災害が昨年台風として起きたときに、即座に指揮系統、そして情報ソース、しっかりと集めていただいて多くの町民を守ったという実態もあります。この力を使わずして、日本の国内の安心、安全を確保することに寄与できないようなことがあったら大変もったいないことだというふうに考えております。  これまで何度となく要望させていただいておりますけれども、自衛官OBの登用を加速度を増して検討し、実現をしていただきたいと思います。これは自衛隊の内部の位置付けの活用であります。例えば、教育機関、支援部隊での任務、あるいは情報通信等、経験や知見が豊富な方を登用していく体制を整えるべきだと私は思います。また、技術を持ち、装備品を運用した視点から、日本の技術情報集積に御活躍をいただけるような責任をつくっていただいて、そしてそこに力を投じていただくということも一案かと考えます。年齢が到達して、そのまま退職されて一般企業に再就職することは、セキュリティーの観点からも考慮すべき課題考えます。世界はそこまで踏まえて人材のことを考えていると私は思っております。  岸大臣、是非、自衛官OBの部内での活用、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
  178. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今、少子化の進行によります採用対象人口の減少などの影響で、自衛官の人材確保をめぐる環境は大変厳しい状況になっております。優秀な人材を将来にわたり安定的に確保し、自衛官、自衛隊に求められる多様な活動を適時適切に行っていくためにも、人材の有効活用についてより一層推進していく必要があると考えております。そのためには、防衛大綱、中期防にも示されていますとおり、高度な知識、技能、経験を豊富に備えた退職自衛官の活用というものが不可欠である、こう考えております。  定年退職した自衛官の再任用、そして中途退職した元自衛官の再採用につきましては、これまでの取組によりその数も拡大傾向にあるわけですが、今後は更に積極的に推進してまいりたいと思います。
  179. 三浦信祐

    三浦信祐君 是非、大臣、進めていただいて、目に見えるような形で、安全保障環境が変化したときにも対応できるように、しっかりと未来を見据えて進めていただきたいというふうに思います。  女性自衛官は、ライフイベントや転勤、子育てを考えたときに、退職を検討する方が少なくないのが実情であります。一方で、一定程度の経験を積まれている女性自衛官が一旦退職をされた後、復職できる体制を整え、能力を再び活用することができれば、人材確保のみならず、キャリアパス、そしてワーク・ライフ・バランスの改善にも直結をすると私は考えております。今後、二〇三〇年に、女性自衛官の比率、たしか九%だったと思いますけど、その目標を達成するためにも、従前の単年度再任用制度だけではなくて、考え方を変えて、女性自衛官の中長期的に生かせる再採用制度を整備をしていただきたいと思います。  二〇一八年に、私自身質問をさせていただいた際に、当時の小野寺大臣からは、今後しっかり検討するとの答弁もいただいております。この答弁も踏まえて、岸大臣、女性自衛官復職の環境整備、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
  180. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 採用対象人口が減少している中で、優秀な人材を安定的に確保すると、女性自衛官の採用を拡大するとともに、活躍を推進していくことも大変重要だと考えております。  そのような観点も踏まえて、これまで、育児等の事情でやむを得ず中途退職した自衛官の再採用の制度、また育児休業を取得する自衛官の代替要員として元自衛官を任期付きで採用する制度について整備をし、そして、知識、技能、経験等を備えた元女性自衛官の活用を図っていきたい、図ってきたというところでございます。  今後は、これらの制度についてこれまで以上に自衛隊の内外への浸透を図りつつ推進することで、一層の女性の採用拡大と活躍推進を役立ててまいりたいというふうに考えています。
  181. 三浦信祐

    三浦信祐君 具体的に検討して、また質問させていただきますので、こういう方向でいくということを更に深掘りしてお答えいただければなというふうに思いますので、よろしくお願いします。  子育て世代の自衛官皆様に子育てと仕事の両立を図るためにも、庁内託児所の拡充を継続的に進めるべきであります。ここで注意点があります。それは、託児所を増やしても、幾ら幼児教育、保育の無償化が適用されているとはいえ、認可外保育所等の場合には保育費用がかさむことが想定され、子育て世代の自衛官にとって経済的負担を強いることがないように配慮をする必要があります。  小職が二〇一七年の三月に陸上自衛隊の朝霞駐屯地を視察をさせていただいて、自衛官の方と懇談をさせていただきました。その際、官舎に併設をされていた保育所が認可外であったため、二人のお子さんの保育料が月十八万円、高額であるために負担が大きいとの話を伺いました。地元の朝霞市の我が党の議員さんと連携をさせていただいて、市長に直接申入れもさせていただきながら、認可保育園として朝霞市が認可するように粘り強く要望した結果、二〇一八年の四月、待機児童が多いゼロから二歳児が認可をされました。そして、事業者も変わることによって、三から五歳児の値段も低減をするということが実現できました。  このように、基礎自治体と連携をしていただいた上で順次ニーズの高い部隊に、そして地域にも、保育ニーズが高い地域がたくさんあります。そういうところに持続可能な保育施設を整備をしていただきたいと思います。是非取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  182. 岩元達弘

    政府参考人(岩元達弘君) お答えいたします。  防衛省・自衛隊といたしましては、女性隊員の更なる活用を推進することが重要と考えており、そのため様々な施策に取り組んでいるところであります。とりわけ、女性のみならず、全ての子供を抱える隊員が勤務と育児を両立できる環境を整える観点から、保育の確保は重要な課題であると認識しております。    〔委員長退席、理事三宅伸吾君着席〕  防衛省・自衛隊では、保育の確保に係る施策として庁内託児所施設の整備を進めてきており、平成十九年四月に陸上自衛隊三宿駐屯地に庁内託児施設の運用を開始し、委員からも御紹介ありましたが、平成二十七年四月に陸上自衛隊朝霞駐屯地宿舎地区に設置したほか、これまで全国八か所に整備してきたところであります。  委員指摘のとおり、認可外保育所の場合は保育費用など隊員の経済的負担が大きくなる可能性があるため、庁内託児施設の整備については、居住地域である自治体の保育所の待機児童の状況等を踏まえた上で検討していくことが重要であると考えております。  今後も、引き続き隊員のニーズ等を踏まえ、庁内託児施設の整備を検討してまいりますが、いずれにいたしましても、防衛省としましては、隊員が勤務と育児を両立できるよう、各種の環境整備に努めてまいります。
  183. 三浦信祐

    三浦信祐君 明言していただいてありがとうございます。  次に、厳しい安全保障環境下で、海上自衛隊の役割が更に高まっております。しかし、現実は海上自衛隊の艦艇希望者が激減をしているのが実態であります。この理由についてどう分析しているのか、伺いたいと思います。  私は、その一因として、出航中に家族、友人と連絡が取れないことが考えられます。現状は、家族メールができるようになっているものの、技術的運用上、回数制限があり、速度も遅いと承知をしております。現代社会においては、スマートフォンで随時素早く連絡、コミュニケーションを取るのが当たり前になっております。もちろん、任務中にそれをしろということではありませんけれども、休憩の時間帯のことを考えれば、陸上の環境とおおむね同様の通信環境の構築が必要だと私は考えております。  今後、常時接続可能であり、位置の秘匿、作戦中心への影響がない、海上自衛隊が契約をしている商業用衛星通信の活用を検討すべきだと思います。岸大臣、御検討いただけませんでしょうか。
  184. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 艦艇勤務の隊員については、その勤務環境の特殊性もありまして、人材の確保が大変厳しい状況にあります。    〔理事三宅伸吾君退席、委員長着席〕  長期間の航海に際し、艦艇勤務隊員とその家族等の連絡手段については、艦艇に設置されている家庭通信用の端末により家族等と電子メールによる連絡を行っておりましたが、平成二十九年度から無線LAN環境、いわゆるWiFiの環境を整備したことで、隊員が個人の携帯電話から同端末を介し電子メールの受送信を可能となったところでございます。現在、艦艇勤務隊員とその家族等の連絡手段には商業用の衛星通信を使用しておりますけれども、今後は通信速度の遅延が生じにくい衛星を活用するなど、通信環境の改善に向けて検討をしてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、艦艇勤務隊員が安心して任務に従事し、隊員の留守を預かる家族が不安を感じないように、隊員、家族の心理的な負担の軽減など、環境改善に努めてまいりたいと思います。
  185. 三浦信祐

    三浦信祐君 中東派遣をされている方々は、地上に降りることもできないという状況でもあったりすると、そういう厳しい任務に当たられるケースにおいては、通信というのが実は一番重要なところであります。是非、検討していただけるということなので、また、是非進めていただいて、御報告をいただきたいというふうに思います。  次に、経済安全保障体制について質問させていただきます。  十月十五日、米国NSCは、機微・新興技術国家戦略を発表をしております。いわゆる防衛装備品に関するもののみならず、デュアルユースや基礎研究分野の技術を国家覇権に直結するものとして二十分野指定し、プロテクト、保護とプロモート、推進の両面から国家安全保障イノベーション基盤を強化するための戦略と理解をしております。加えて、同志国との長期にわたる技術連携が重要だと繰り返し指摘をしております。同盟国日本として、この動きに対してどのように向き合うのでしょうか。  そもそも、日本自身の国家安全保障イノベーション基盤整備をどのように進めるべきかという観点で極めて重要なインプリケーションを持つと考えております。経済班を有しているNSSの役割が極めて大きいと考えますが、NSSとしての取組はいかがでしょうか。
  186. 藤井敏彦

    政府参考人藤井敏彦君) お答え申し上げます。  米国が先月十五日に発表いたしました重要・新興技術国家戦略、三浦先生指摘のとおり、国家安全保障上の技術革新基盤の促進、プロモート、技術優位性の保護、プロテクト、両面から何をすべきかについて取りまとめております。  今後、我が国におきましても、高い技術力を支える研究開発環境を構築、維持していく、併せて技術流出を防止する、この両面の取組が必要であると認識をいたしております。  これに関連いたしまして、統合イノベーション戦略二〇二〇におきまして、我が国の技術的優越を確保、維持する、安全、安心の確保のために幅広く活用する、こういった観点から、関連する科学技術のニーズ、シーズを知る、育てる、生かす、そして守る取組を取りまとめております。  国家安全保障局といたしましても、こういった取組を含め、安全保障と経済を横断する様々な課題に対し、政府内の各部門と連携をし、企画立案、総合調整を行い、迅速かつ適切に対応してまいりたいと考えております。
  187. 三浦信祐

    三浦信祐君 是非、迅速かつ的確に、これは世界が動いておりますので、藤井審議官、是非先頭に立ってやっていただきたいというふうに思います。  先月末、中国の党機関誌が、習近平国家主席の四月の発言として、切り札的な技術や国際的な産業サプライチェーンの中国依存強化を通じた外国に対する反撃、抑止力の形成を志向するとの中長期的経済発展戦略についての内容が発表されました。  まず、本発表に対する外務省の受け止めについて、宇都外務大臣に伺います。
  188. 宇都隆史

    ○副大臣宇都隆史君) 御指摘のこの習近平主席の発言、日本語訳、少し分かりにくいんですけれども、要は、致命的で代替不可能な技術、そういったものを中国に依存させることによってこれを外交カードにせよというようなことかと思っております。  こういった中国の経済、産業、科学技術政策の方向性は、我が国のみならず、世界の安全保障や経済にとっても大きな影響を与えるものであり、引き続き高い関心を持って注視していかなければならないというふうに認識しています。  その上で、我が国自身の重要技術の流出防止、あるいはサプライチェーンの強靱化などは、いずれもこれは今後の我が国の安全保障上も重要な課題でありまして、外務省としても、関係省庁と連携するのはもちろんのこと、産官学での連携も含めまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  189. 三浦信祐

    三浦信祐君 アメリカは、中国に対してターゲットを決めてやってきたと。中国は、これに対して全世界的な、俯瞰的に我が国の国家の利益を追求するという上乗せ上乗せの議論になっているような気がします。この発表は、まさに技術戦略が国家安全保障を左右するとした中国政府認識が表れております。  その上で、日本の安全保障当局は、防衛装備品にいまだ採用されていないデュアルユース技術に関する認識やアクセスが十分でないと考えます。日本としても、安全保障イノベーション基盤を整えるべきということであれば、どのような民生技術が将来的に軍事転用された場合に切り札的技術、安全保障上重要な機微技術となるのかをしっかり把握する必要があると考えます。  NSSとして、政府の先頭に立って安全保障上重要な機微技術を把握するべきだと私は思います。いかがでしょうか。そして、加えて、今後必要とされる政府としての対応は、重ねてお聞きしますけれども、いかがでしょうか。NSSに伺います。
  190. 藤井敏彦

    政府参考人藤井敏彦君) お答え申し上げます。  重要な技術の把握につきましては、統合イノベーション戦略二〇二〇の知る取組としてまとめられております。  国内外、まあ国内併せて海外の最先端の科学技術の研究開発動向、こういったものを俯瞰、把握し、我が国として伸ばすべき分野、また補うべき分野、そして適切に管理すべき分野を明確にするということがうたわれてございます。御指摘の体制整備といったことも含めて、重要な課題認識をいたしております。  国家安全保障局といたしましても、俯瞰的、戦略的な対応を迅速に、かつ適切に行うべく、政府内の各部門と連携をいたしまして企画立案、総合調整を行い、適切に対応を進めたいと考えております。
  191. 三浦信祐

    三浦信祐君 武田防衛装備庁長官に伺います。  安全保障上の機微技術の特定に当たっては、まさに防衛装備戦略を考える立場の防衛省のインプットが不可欠であります。政府全体としての機微技術把握、保護、育成の取組に防衛省が体制を組み貢献しなければならないというふうに思います。  まだまだこれはこれからの話だと思いますけれども、どう取り組まれるのでしょうか。
  192. 武田博史

    政府参考人(武田博史君) お答えいたします。  昨今の民生分野におけます先端技術の著しい進歩は、将来の戦い方を一変させる可能性があり、各国はゲームチェンジャーとなり得る最先端技術に積極的に投資をしていることはもう御案内のとおりでございます。  政府といたしましては、先ほどNSSからもお話ございましたが、二〇二〇年七月に閣議決定をされました統合イノベーション戦略二〇二〇において、様々な脅威に対する総合的な安全保障を実現するため、関連する技術につきまして、知る、育てる、守る、生かすための取組を推進するとされているところでございます。  防衛省は、言うまでもなく、我が国の安全保障に関して重要な役割を担うとともに、防衛装備行政も実施をしており、安全保障に関する技術について様々な施策を推進しております。  先ほどお話しいたしました、知る、育てる、守る、生かすための取組について、私どもの取組について具体的に申し上げたいと思いますが、まず、知るとしては、安全保障上機微な技術を含め、国内外の技術動向を把握し、防衛装備庁が策定しております中長期技術見積りなどに反映をしているところでございます。  次に、育てるとしては、毎年必要な予算を計上し各種事業を推進しているほか、先進的な民生技術についての基礎研究を公募、委託する安全保障技術研究推進制度や、革新的、萌芽的な技術を装備化につなげるための橋渡し研究を推進しております。  さらに、守るとしては、海外との共同研究等において関連技術の機微性の評価の実施や、国際輸出管理レジーム等の国際的な活動への参画などを通じまして政府全体の取組にも貢献し、将来の戦い方も見据えた技術管理に係る取組を一層進めてまいります。  また、生かすとしては、これらの取組を通じて得られた成果も生かし、引き続き最先端技術を取り入れた優れた防衛装備品の開発を行ってまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、防衛省としては、御指摘の安全保障上の機微技術に関する政府全体の取組について必要な協力を行い、参画をしてまいりたいと考えております。
  193. 三浦信祐

    三浦信祐君 明確に参画していただけるということ、これ大事な御答弁ですので、しっかりやっていただきたいと思います。  米国は、自国以外からの輸出に対しても域外適用可能な貿易管理を自国のみで強化し、一部企業も突然中国企業との取引を停止しなければいけない状況に追い込まれたとされております。再輸出規制への対応が企業活動に影響していることが、まさに厳しい経済安全保障上の戦いの真っただ中にあることを意味しております。  他方、中国は、独自の国家利益目的に基づき、米国同様に域外適用を根拠付ける輸出管理法が来月頭から施行することになっております。米中覇権国家の間で日本の企業が板挟みとなって、ビジネス環境の不安定性が増しております。こうした状況下で経済安全保障の確保と市場の獲得のバランスを実現することが重要であります。  外交当局として、中国の輸出管理に対してどのような懸念があると分析をしているのでしょうか。そして、両国に対してどのように働きかけ、政府として対応をどのように考えておられるのでしょうか。明確にお答えをいただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。
  194. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 確かに、ここ数年、経済安全保障と、こういう概念というのは必要でありますし、そういった取組、それぞれの国が進めるということは必要だと思っておりますが、御指摘の中国の輸出管理法につきましては、来月の一日から施行されると承知をいたしておりますが、国の安全と利益をリードする規制対象品目の範囲であったりとか、域外適用の可能性も含めて、国の安全と利益なんといったら、極端に言ったら何でも入るという話になってしまいますので、その運用がどうなるのか必ずしも明確にされておらず、運用次第では日本企業の正当な経済活動やサプライチェーンに影響を与える可能性があると思っております。  こうした問題意識につきましては、中国側に対しても様々な機会に伝達をしてきているところでありまして、外務省としては、引き続き関係省庁とかまた機関とも連携しながら、関連の動向、高い関心を持って注視をしていきたいと思っております。  今、米中様々な対立が進んでいると、そういった中で、技術覇権であったりとか通商の摩擦、続いております。それぞれの主張はあるわけでありますけれど、少なくとも、世界第一位、第二位の経済大国がずっと対立を続けると、これは世界全体にとってもいいことではありませんから、両側に対して、様々な形での対話であったりとか、それを通じた問題の解決、引き続き働きかけていきたいと思っております。
  195. 三浦信祐

    三浦信祐君 これで終わりたいと思いますけれども、是非、今のこの一位と二位が争っているところにしっかりと我が国が両方を橋渡しをして、これ以上のエスカレートをしないというところにも是非コミットしていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  196. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 茂木大臣、引き続きの就任、御苦労さまです。TPP11をまとめ、さらには極めて厳しかった日米貿易交渉も見事乗り切られ、さらに今年に入ってからは日英経済連携協定もしっかり署名されました。まさに結果を出した、私は、茂木外務大臣であったと、こう思っております。  安倍前総理はいつもこう言っていました。仕事をやらせたら茂木さんだと。是非とも大臣、しっかり国益にかなう仕事をやってきておりますので、今後とも精進されて、天下人を私は目指していただきたい、こう期待をするものであります。  そこで、大臣日米同盟の大事なことは十分承知しておりますが、アメリカではバイデン大統領の勝利が決まって、来年一月には民主党政権であります。民主党政権は、過去の例を見るとき、特にオバマさんのときを考えるとき、人権だとか民主だとか自由といって非常に厳しい言いぶりをしてきました。安倍総理にも、例えば伊勢志摩サミットの前に電話よこしてきていろいろ注文があったことも承知しておりますけど、共和党政権から民主党政権に替わっても日米関係は何の懸念もない、心配ない、こういう認識であるかどうか、成熟した日米関係とよく言われますけれども、私は、民主党と共和党政権ではスタンスは違ってくると、こう思うんですけれども、大臣認識はいかがでしょうか。
  197. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) バイデン次期大統領、新政権になっても、かつてなく強固な日米同盟、全く変わりないと思っております。  先日の菅総理とバイデン次期大統領の電話会談、ここにおきましても、日米関係を更に強化していく、さらには自由で開かれたインド太平洋の実現に向け協力をしていくと、確認はそれでできたわけでありまして、こういった首脳同士の信頼関係に基づいて、しっかり日米関係、さらには国際社会の課題に対応してまいりたいと考えております。
  198. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 今大臣から、十一月十二日の菅総理とバイデン次期大統領との電話会談にも言及をされました。まさに日米安保の適用だとか、さらには自由で開かれたインド太平洋の確認もできた。私は見事なものだったと思うんです。  ただ、今、アメリカの国務省は十分機能しているとは思っておりません。それを裏返せば、日本の外務省がしっかり対応したなと。きちっと様々なチャンネルを生かして情報を取ってこの電話会談にこぎ着けたし、また見事な中身のある交渉だったと、こういう私は認識をしているんですが、大臣はいかがでしょうか。
  199. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 恐らく、次期バイデン政権、極めてオーソドックスな手法は取ってくると思います。そういった中で、日本として、早い段階で次期大統領としっかり、日米安保の問題であったりとか、この五条が尖閣に適用されると、こういったことが確認されたり、非常にいい形が取れたと思っておりますし、もちろん、今アメリカはちょうど政権移行期でありますから、ちょうどトランプ政権から次期バイデン政権に移っていくということで、国務省、まあこれからいろんな引継ぎも行われていくんだと思いますが、そういったものを見ながら意思疎通をしっかりしていきたいと思っております。
  200. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 菅政権がスタートして、発足してもう二か月になりますね。メディア的にはよく菅総理は外交的にはどうだろうかというちょっと懐疑的な論調等もありますけれども、私は、これまでのこの二か月の間で、各国首脳との電話会談等を聞いていると、さすが七年九か月官房長官やっただけあって、外交にも極めてたけている、こう私は受け止めておりますけれども、政治家としての一期先輩ですね、当選回数からいえば。茂木外務大臣としては、この菅総理の外交姿勢をどう評価されておられるでしょうか。
  201. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 菅総理、年齢的には私より先輩になるわけでありまして、今は菅政権の下でしっかり外交関係、その下支えをしていきたいと、そのように考えておりますが、一連の電話会談でもそうでありますが、先日、初外遊、ASEANのベトナム、そしてインドネシアと、まさにASEANの議長国、さらには、このASEANの中でも大きな影響力のあるインドネシアを回ってきまして、フック首相、またジョコ大統領とすばらしい会談をされたと、このように考えております。  しっかり一つ一つ外交上の課題、コロナ等の影響もあるところでありますが、こういう二国間関係、さらには多国間の関係、バイデン次期大統領も多国間協調、こういったことも実施をするということでありますから、そういった面でも協調をしていきたいと、総理にはその先頭に立っていただいていると、そう考えております。
  202. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 もう外交は、これは政府の専管事項でありますから、菅総理、そして茂木外務大臣でのゴールデンコンビでしっかり国益を持った外交をまた展開していただきたいと思っています。  そこで、茂木大臣からも、日米関係には何ら心配ない、これからも、政権替わってもという話がありました。私は、一つ懸念するのは、アメリカの駐日大使が一年五か月不在であります。これは異常なことではないでしょうか、大臣
  203. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 確かにハガティ大使お帰りになって、この度上院議員に当選をされたと、これについてはお祝いを申し上げたいと思っておりますが、その後、なかなか次期の駐日大使が決まらず、決まったわけでありますけれど、上院の状況もあってなかなかこれが承認をされていないという状況であります。  もちろん、代理大使、しっかり活躍をしていただいておりますけれど、日本にとって重要なアメリカでありますから、一日も早く新しい大使、赴任をされることを期待をいたしております。
  204. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 日米同盟と言われながらも、何となくアメリカからは軽く見られているんじゃないかという、私なんかは素人的な考えとしてそういう受け止めするんでありますけれども、ここは厳しくやはり日本としての姿勢だけは示していただきたいなと、これはお願いしておきます。  そこで、大臣、よく、自由で開かれたインド太平洋の実現と、このフレーズは定着しております。ところが、これを言うと、メディア的には中国の封じ込めだとか中国への牽制だという話が必ず出てきますね。私は、この自由で開かれたインド太平洋の実現、これはよく分かります。あわせて、近隣バランス外交というのも必要ではないでしょうか。  我々民間人個人は、嫌な人が来たら話もしなければいい、付き合わなければいい、引っ越しもできるんです。国と国は引っ越しできませんね。そういった意味では、是非ともこの自由で開かれたインド太平洋の実現プラス近隣バランス外交というフレーズなんかも考えてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  205. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 鈴木委員おっしゃるとおりだと思っておりまして、私もこの外交防衛委員会の所信の中で近隣外交の重要性についても触れさせていただきました。  確かに、自由で開かれたインド太平洋、今、日米だけではなくて、これが豪州、インドであったり、ASEANの国々、さらにはヨーロッパからも支持であったりとか理解を得ているというのは事実でありますが、おっしゃるように隣国との関係というのは極めて重要であります。  特に、国際的に影響力を持ちます中国、さらには、鈴木委員もライフワークとして熱心に取り組まれているロシアとの関係、これをどうしていくかということは極めて日本外交にとって重要な問題だと思っておりまして、全力で取り組みたいと思います。
  206. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 是非とも大臣、この近隣バランス外交というのを頭に入れて進めていただきたいとお願いをする次第であります。  岸大臣にお尋ねします。  よく敵基地攻撃能力という言葉を使われますね。イージス・アショアが今ストップした後から、なおその安全保障の見直しの話が出ていますけれども、日本にとって敵国はあるのでしょうか。
  207. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今委員のお尋ねでございますけれども、まず、この敵基地攻撃という言葉については、我々、今使用しているということではないわけでございます。  いわゆる敵基地攻撃という言葉については、昭和三十一年の統一見解において、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところとは考えられないということで、例えば、誘導弾等による攻撃を防御するのに他に手段がないと認められる限り、誘導弾の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるという答弁をしたことを踏まえて、様々な場で使われてきている、こういうふうには思いますけれども、いわゆる敵を想定しているということではないと、こういうふうに考えております。
  208. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 今、岸大臣がおっしゃったとおり、日本は敵国は持たないというのが、これは日本外交の基本でありますから、よく承知しております。また、今の答弁でも、それは鳩山総理のときの国会答弁ですね、今、岸大臣が引用されたのは。昭和三十一年当時の話でありますから、もう時代も全く変わっておりますね。私はやっぱり、冷戦構造での頭づくりのこの安全保障というのはちょっと時代遅れだと、こういう感覚を持っております。  是非とも、敵だとか基地という言葉を使うとぎすぎすしてまいります。これからは、やっぱり宇宙だとかサイバーだとか、そういったものに対するやっぱり総合的な意味での安全保障だという意味合いをもっと外に出していただきたい。短絡的にメディアが使う敵基地攻撃能力だったらおどろおどろしく感じまして、逆に敵をつくる話であります。  私は、もっと静かな環境で安全保障というものは考えるべきだと、こう思っておりまして、今、岸大臣言ったとおり、敵基地攻撃能力というのは政府も言っていなければ防衛省も言っていない話でありますけれども、これが鳩山総理のときのフレーズを、国会答弁を生かして引用されている。ここが私は、使っている方がおかしいと思うんですよ、時代が違うんですから、もう。にもかかわらず、それがまた新聞の見出しを取るなんということが、私自身、これ日本の不幸だと思いますけど。  そういった意味では、とにかくサイバー、宇宙の平和利用、さらに、それはミサイルも入ってきますよね。こういったことをきちっとして、積極防衛外交と、積極防衛というような、専守防衛からより一歩踏み込んで積極防衛というような私は説明を是非とも国民にした方が理解を得られるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  209. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今先生おっしゃられたとおり、時代は大きく変わっています。安全保障環境も大変大きく変化をしている。一方で、安全保障環境自体は、見ますと、昔にはなかったような厳しさというものが一方で存在をしているという状況であると思います。  例えば、北朝鮮、弾道ミサイルを大変多く発射していますし、技術も進化している。そのことに対して、我が国の平和と安全をしっかり守っていかなきゃいけない、これは我々の大きな任務であると、こういうふうに考えております。  特に、ミサイル関係については、政府として九月公表の内閣総理大臣の談話というのがございました。いわゆる迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守ることができるか、こういう問題意識の下で抑止力を強化するというミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針について検討していると。まさにその抑止力を強くしていかなければいけないということでございます。  そして、サイバーのことについてもお触れになりましたけれども、これまでの陸海空というような領域じゃなくて、今は新たに、サイバー、宇宙、電磁波といった新たな領域でしっかり優位性を確保していくこと、このこと自体が地域の平和と安定に寄与すると、我が国の防衛力を高め、そして平和に寄与していくと、こういうふうに考えておるところでございます。
  210. 鈴木宗男

    鈴木宗男君 岸大臣、今年は日米安保六十年です。岸信介先生が、総理が見事に成し遂げた日米協力の大きな安保条約の改定でありましたから、自信を持って防衛大臣の職を全うしていただきたいなと、こう思っています。  最後に、茂木大臣、せっかくの機会ですから、アゼルバイジャンとアルメニアの停戦合意がなされました。私は、この背景には、茂木大臣が十月十六日、電話したことも大きな支えになっていると、こう思っているんですね。これは是非とも、日本の領土問題にも関係してまいりますので、これ、委員の先生方もアゼルバイジャンとアルメニアの話を人ごとと思わないで是非とも頭に入れていただければ有り難いなと、こう思っております。  以上、終わります。
  211. 浅田均

    ○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。  本日も、SPY7、SPY6から始まって、これBMDレーダーの話でありますが、先ほども統合イノベーション戦略とかいうお話も出てまいりました。テクノロジーの進化というのが軍事を大きく変えているというのはこれ紛れもない事実であります。この変化にどういうふうにして対応していくのかということをまずお伺いしてまいりたいと思います。  防衛大臣、先般御挨拶いただいた中で、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域での優位性確保が死活的に重要とお話しになりました。また、そのお話に先立って、ゲームチェンジャーとなり得る最先端技術の開発の重要性についても触れておられます。  そのゲームチェンジャー、先ほども総合イノベーション戦略のお話の中でゲームチェンジャーという言葉が出てまいりましたが、ゲームチェンジャーの中のゲームチェンジャーが私は電磁レールガンだと考えております。レーザー兵器が先に来るかもしれませんが、電磁レールガン。  今日の初めの方に佐藤委員質疑の中で出てまいりましたが、SM3の改良型の後にあると考えられるのがいわゆる指向性エネルギー兵器というものであります。で、この電磁レールガンというのはまさしくこの指向性エネルギー兵器であると思いますし、アメリカの政府はこのレールガンを将来世代の中心的な革新的技術と位置付けているというふうに伝えられております。  これまでの兵器の多くは火薬がメーンでした。火薬の爆発を利用して弾を飛ばすとか打ち上げるとかそういうことをやっていたわけでありますが、この指向性エネルギー兵器というのは、くぎにコイルを巻いて電流を流すと磁石になると、で、磁場が生じるわけですね。これを二つ作ると、引き合う力と遠ざける力が生じると。この遠ざける力、斥力を利用して作っているのがこのレールガンであります。  ミサイル迎撃に関しまして、先ほど来イージス・アショアが断念され、その後、洋上案とか分離案どちらがいいのか、洋上案におけるそのレーダー比較等の話が出てきているんですけれども、私は、このイージス・アショアというのは、個人的には、陸上に配備するということですので個人的には余りいい考えではないなと思っておって、それが廃止されたというのは歓迎したいんですけれども、これに代わるものですね、これに代わるものとしてこの電磁レールガンというものを考えておったんですが、イージス・アショアの代替として洋上案等を、先ほど来議論をお聞きしておりますとそれだけしか選択肢がないような気がするんですが、この電磁レールガンをイージス・アショアの代替とするお考え防衛省側には全くなかったんでしょうか、お伺いいたします。
  212. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今委員指摘の電磁レールガンについてですけれども、従来の火砲技術で頭打ちとなりましたその射程及び威力の大幅な向上を目指して、我が国も含む一部の国で以前から研究が行われているというふうに承知をしているところでございます。電磁レールガンが将来の軍事バランスを一変させるほどの効果が得られるかどうかということにつきましては、引き続き情報収集や関連する技術の研究を行っていくということとしておるところでございます。  イージス・アショアの代替につきましては、先ほども議論があったとおり、移動式洋上プラットフォームに係る運用構想洋上プラットフォームに搭載するという方向で今検討をしているということでございますが、現時点において、この実用化されているわけではない電磁レールガンを代替案として採用するという考えはございません。
  213. 浅田均

    ○浅田均君 ちょっと残念でありますが、イージス・アショアの代替として、電磁レールガンよりももっと、何というのかな、実現可能性が高い兵器、レーザー兵器はかなり使われておりますし、これが中国とかアメリカで開発が進められていますし、アメリカなんかでは既に揚陸艦に搭載して運用が始まっております。  イージス・アショアのところでブースター落下とかいうお話がありましたけれども、この指向性エネルギーというのは要するに電子ビームですから、そういうブースター落下とかいう心配は全然必要ありませんし、直進するレーザーですから物理的に考えると当てやすいと思いますし、電磁波ですから電気の速度で、光の速度で飛んでいきますから、非常に兵器としては優れているのではないかと思っております。  この高出力レーザーの開発というのは防衛省においてもかなり前から始められると思って、記憶しておりますけれども、この開発状況についてちょっと教えていただけませんでしょうか。
  214. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 高出力レーザーシステムに関します研究につきましては、ゲームチェンジャーとなり得る最先端の技術の一つであるということ、というふうに認識をしております。  具体的に研究開発、進捗状況を申し上げます。  平成二十二年度から平成二十八年度にかけて高出力レーザーシステムの要素技術の研究を実施をいたしました。平成三十年から低高度を飛翔するドローンや迫撃砲弾等に対処する高出力レーザーシステムの研究を実施をしております。  また、令和三年度概算要求に、ドローン対処の実施を念頭に置いた車両搭載型のレーザーシステムの研究に必要な経費として約三十三億円を計上しているところでございます。
  215. 浅田均

    ○浅田均君 それで、今、開発状況についてお伺いしましたけれども、具体的な適用というのは、どういうところに使うということを想定されているんでしょうか。
  216. 武田博史

    政府参考人(武田博史君) お答えいたします。  ただいま大臣からも申し上げましたけれども、現在、高出力レーザーにつきましては、研究を行っておるところでございまして、三年度の概算要求に車両搭載型のレーザーシステムの研究に着手をするという予定にしております。  この高出力レーザーにつきましては、先ほど来からございますが、ゲームチェンジャーとなり得る最先端の技術の一つであるということでございまして、三年度は車両搭載型ということで考えておりますけれども、その後、ほかの装備、例えば艦艇含めて搭載することはできる技術ではないかというふうに考えております。
  217. 浅田均

    ○浅田均君 今の御答弁についての質問なんですが、車両搭載型というのは、今までの火器、兵器に代わるものとしてそういうレーザー兵器を搭載するという理解でいいんでしょうか。
  218. 武田博史

    政府参考人(武田博史君) 三十年度から着手いたしますのは低高度を飛翔するドローンや迫撃砲弾等に対処するものでございまして、この出力自体も限界はあるということでございます。  したがいまして、現在、自衛隊が使用しております火砲等に直ちに代わるというところまではいかないものだというふうに考えております。
  219. 浅田均

    ○浅田均君 その指向性エネルギーをもって、例えばドローンを破壊するんですか。
  220. 武田博史

    政府参考人(武田博史君) お答えいたします。  破壊するというか、そのドローンの機能を無効にすることができるものと考えております。
  221. 浅田均

    ○浅田均君 ありがとうございます。まあ無力化するということですよね。  それでは次に、防衛大臣にまたお尋ねいたしますが、この間の御挨拶の中でも領域横断作戦という言葉が出てまいりました。これは具体的にどういう作戦のことなのか、また多次元統合防衛力というお話、言葉も出てまいりました。この作戦と防衛力について、国民の皆さんによく分かるような言葉で御説明をいただきたいと思います。
  222. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 厳しさを増します安全保障環境の中で、軍事力の質、量に優れた脅威に対する実効的な抑止力及び対処を可能にするためには、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域と陸海空という従来の領域、この両方の組合せによります戦闘様相に適応することが死活的に重要であるという状況になっております。領域横断作戦というのは、こうした中で、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域を含む全ての領域における能力を有機的に融合して、その相乗効果により全体としての能力を増幅させる、そういうものであると考えております。  また、厳しさと不確実性を増す安全保障環境の中での今後の防衛力については、この領域横断作戦を行えるものであること、そして平素から事態の特性に応じた柔軟かつ戦略的な活動を常時継続的に行えるものであること、日米同盟の抑止力及び対処力を強化するとともに、多角的、多層的な安全保障協力を推進し得るものであることが必要であると、こういうふうに考えております。このような性質を有するまさに実効的な防衛力として、多次元統合防衛力を構築していくことが必要であると考えております。
  223. 浅田均

    ○浅田均君 理解を求めて説明していただいたんですけれども、何か余計分からぬようになったような気がしますので、議事録をまた読ませていただいて、続編は次回やらせていただきますので、よろしくお願いいたします。  これで終わります。ありがとうございました。
  224. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。  両大臣、よろしくお願いいたします。  まず、日英EPAについては、また来週ぐらいにはこの場でも、また本会議でも議論になると思うんですが、RCEPが合意しましたので、ちょっとそのRCEPについて通告した内容をお伺いしたいと思います。  細かい、ないしはより深い話は通常国会になると思いますけれども、RCEPの第十の六条、特定措置の履行要求の禁止という条文ですね。これ、大変重要なことを中国も含む条約において合意をされたと思いますので、是非、その第十・六条の内容と、そしてその後に続く(f)項の内容をちょっと委員会で御披露いただいて、外務大臣としてどういう狙いでこれを定めたかということを御説明いただければ有り難いと思います。
  225. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) RCEPにつきましては、今週の日曜日に十五か国で署名という形になったわけでありますが、お話しいただきましたRCEP協定の第十章でありますけれど、これは、投資家の権利保護及び投資家の投資環境整備のための法的枠組みを提供して、投資家にとっての予見可能性を高めることによって締結国間の投資活動の更なる促進を目的とするルールを規定をいたしております。  その中で、十章の六条でありますが、これ日本文にしますと五ページ以上にわたるものになるんですが、相当細かい、また専門的な内容含まれておりますけど、一言で言いますと、投資受入れ国が他の締約国の投資家に対して投資の阻害要因となり得る措置の履行を強要、強制してはならないことを定めております。  このうち、(f)は非常に重要なものだと思っておりまして、第十章の六条の一(f)は、特定の技術、製造工程その他の財産的価値を有する知識を移転することを要求、強制してはならないと、こういったことを定めているものであります。  六条の一の(f)以外のことにつきまして更に説明が必要でしたら、また説明を改めてさせていただきます。
  226. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 (f)だけで取りあえずは結構でございますが、中国と初めて自由貿易協定を結ぶ中で、日本の企業なり日本全体が不利益を被らないためにどういう細心の注意を払うかという意味で、このような内容を入れられたことは結構なことだと思います。  ただ、日英EPAなんかに比べると、この部分の規定というのは極めてまだシンプルで、当然、中国側、まあ中国だけとは言いませんけれども、交渉国は、もっと詳しい内容、つまり日英EPAと同じぐらいの内容を入れることには抵抗があったという理解でよろしいでしょうか。
  227. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) このRCEPの協定はかなり長い期間掛けて議論してきたわけでありますが、元々、このRCEP、ASEANから始まって、これが日中韓、さらにオーストラリア、ニュージーランド、インドと広がる中で今回の署名に至ったわけでありますけど、このASEANの中には、カンボジア、ラオス、ミャンマーといった後発開発途上国を含めて、制度や経済発展状況が大きく異なる国々も交渉に参加した経済連携協定ということでありまして、御指摘のように、TPPであったりとか日EU・EPAとは参加国や背景、事情が異なっておりまして、まず、できる限りレベルの高い協定を目指しつつ、早期の発効と着実な実施を通じて地域の望ましい経済秩序の構築につなげていくことが重要と考え、交渉を進めて署名に至った。  当然、日本にとりまして中国というのは大きな投資相手国であります。そこの中で、先ほど申し上げたように、投資の予見可能性を高める、こういうルールを定めるということは極めて重要だと考えております。
  228. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 もう日本の安全保障にとって中国との商取引が水面下では相当深い関わりがあるということはもう御承知のとおりで、我々全員が共有している認識だと思いますので、今後、RCEPによって日中間の様々な交易が更に活発になった結果として、日本の安全保障が脅かされるということでは本末転倒の協定になりますので、そういう観点で、今日はRCEPについてはこのぐらいにさせていただいて、また、日英EPAの中で規定されている文言等についてはまたEPAの議論のときに聞かせていただきますが、当然このRCEPともそこは関わってくるという問題意識で聞かせていただきました。  それで、今日は実は、このRCEPのことを、二十分しかないので、ずっと外務大臣とやらせていただこうと思っていたんですが、佐藤委員からイージス・アショアのことについていろいろ御質問がありました。私も、ずっと財政金融委員会所属だったんですけれども、もちろん関心は持って聞かせていただいていましたし、今日理事会で初めてイージス・アショアに係る経緯についてという防衛省のペーパーが配られたので、ちょっと二、三、防衛大臣議論させていただきたいと思います。急なことなので、御存じないことであれば別に、また改めて認識をしていただければいいと思うんですが。  まず、このいただいた、今日理事会でいただいたペーパーの八ページにですね、秘書官、もしお持ちであれば、大臣にお渡しください。大臣、八ページの一番下の二行から御覧ください。ちょっと私、読み上げますので。  SM3ブロックⅡAは日米共同により開発されたミサイルであるが、今回問題となっているブースター米側が設計、開発しているものであるため、我が国にはブースター落下に関する迅速かつ正確なシミュレーションを行うための情報ソフトウエアがなく、防衛省として検証することに限界があったことも要因と考えられると。  これ、ある意味正直に認めているんですけれども、共同開発をする防衛品において、双方にその担当部分情報や設計ドキュメント等々についてブラックボックスの部分があるという理解でいいですか。
  229. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 日米共同開発の場合、様々な面で日米間で連携をしているところでございますけれども、その機微な技術等について全て共有しているということではないと理解をしております。
  230. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 安倍前総理には予算委員会でも本会議でも何度か申し上げましたが、日米同盟は私も大事だと思っていますし、当面それが基軸だと思っています。さりながら、自国の利益を犠牲にして他国の利益を守る国はないというのが国際社会の常識なので、そういう緊張感を持って是非アメリカとも向き合っていただきたいということを何度か申し上げました。そういう観点で今これお伺いしています。  さっきのやり取りでちょっと御発言になった内容を一つ確認させてほしいんですが、佐藤委員とのやり取りの中で、SPY7は陸上用だというふうに御答弁されたんですが、間違いないですね。
  231. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) イージス・アショア装備としてSPY7を考えておりましたので、当初は陸上用のものとしてSPY7を調達したということでございます。
  232. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 急なことなので、御存じなければ本当に、別に御存じないこと自体をどうこう申し上げるつもりはありませんが、SPYというのはどういう意味ですか。
  233. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) このSPYのS、P、Yですね、それぞれの意味として、Sがウオーター、すなわち海上、Pがレーダーの意味と、そしてYはサーベイランスということでございまして、いわゆる監視ということでございます。これを代表している文字だというふうに聞いております。
  234. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私も興味があったので、過去に調べたことがあって、米軍武器命名規則によるこれ付番なんですね、SとPとYと。P、Yはおっしゃるように、Pはレーダーで、Yは監視用ということでありますが、Sは、今大臣自らおっしゃったように、ウオーター、水上用なんですよ。だからSPY7という。しかも、このネーミングは去年の年末に、アメリカ国防省がロッキード・マーチンのSSRに去年の年末に付番をしたわけなんですね。それまではそういう言い方じゃなかった。  その水上用と思われるものとSM3ブロックⅡAで陸上の防衛ミサイルイージス・アショアを造ろうとしたというこの構想自体がこのネーミングからしたらそもそも矛盾ではないですか。
  235. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) その当時、様々な比較検討を行いました。各、それぞれの詳細の機能についてSPY7が優れているというふうな観点から総合的に判断をした、総合的にSPY7を採用したということでございます。
  236. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私も、何度も申し上げますが、日米同盟は大事だと思っていますし、当分の間、これは世界の平和のためにも大事な関係だと思っております。  ただ、私も、前職は日銀におったんですが、日銀のシステムインフラの担当をしたこともあって、御承知のとおり、日銀は日銀ネットという決済インフラを持って、その下には全金融機関のシステムがつながっていまして、これの暗号システムの再構築の仕事に携わったことがあって、詳細は職務上の情報なので全部は申し上げられませんが、その当時、最もハイレベルの暗号技術、当時は鍵長の長さで決まっていたんですが、これを使えたかというと、使えないんですよ。なぜかというと、アメリカ当局が特許を押さえていて使用を認められなかったと。  これは理屈上、そうすると、それより緩い暗号技術を使っていれば、それより高度な暗号技術を持っている国からすればネットワーク上のこの情報というのは読めちゃうんですね、理屈上はですね、理屈上は。そういう経験もあったのでこういう質問をさせていただいているんですが。  今、SPY7は評価としてSPY6よりレベルが高かったという、こういうお答えだったんですね。SPY7は、御承知のとおり、今名前も出ましたロッキード・マーチン。既に実用化して現に日本の防衛のために使っているSPY6はレイセオン社製ですよね。SPY6はFMSで調達していると思うんですが、このSPY7はDCSというか、直接商業売却、つまり直接取引で入手していると理解をしていますが、事実関係はそれでいいですか。(発言する者あり)
  237. 長峯誠

    委員長長峯誠君) じゃ、速記を止めてください。    〔速記中止〕
  238. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 速記を起こしてください。
  239. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今のお問合せですけれども、SPY7そのものは一般調達で、そのイージス、それ以外の全体はFMSというふうに了解をしています。
  240. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私も今日、佐藤委員とのやり取りを聞いての突然の質問なので、御確認いただければ結構なんですが。  私の理解では、既に使っているSPY6はFMS、そしてSPY7はDCSで調達すると聞いていたので、ニュースを聞いていて不思議だなと思ったんですよ。つまり、重要な防衛技術に分類されるものは、アメリカは、今FMSでしか提供しないんですよ。それをロッキード・マーチンと直接取引できるという形でSPY7を進めてきたということは、さっきの日銀の例でいうと、最も高度な技術ではなくて、それに準ずるものだからSPY7を推奨したというふうに私はニュースを聞きました。  したがって、さっき、佐藤委員とのやり取り、本当にいろんな意味で関心を持って聞かせていただいたんですが、大臣はこうやって一年とか二年交代で替わっていきますので、事務方の皆さんに情報の優位性があるのはもう当然なんですけれども、果たしてその優位性というのが、ちゃんと大臣に伝わっている、全部を伝えることでイコールフッティングまで持っていっているかどうか。  さらには、過去の情報が正しいかどうかということを検証していただくのが政務として各役所に入っていただく大臣仕事であると思いますので、これは国家の防衛に関わる本当に重要な話ですし、私もイージス・アショア断念の話を聞いたときにちょっとびっくりしましたけれども、そのブースターがちゃんと所定の域内に落ちるように変更するのに改造に十年掛かると。十年先の世界情勢はどうなっているかさっぱり分かりませんので。だから、さっき佐藤委員から中国の低空を飛ぶDF17の話もありましたけれども、おっしゃるとおりで、このSPY7、SSRは、これから開発する。しかも、さっき白委員から開発コストの話がありました。私の知っている限りでは、知り得ている、正しければという話ですが、ハワイのカウアイ島での実験費用は、実弾発射の実験費用は日本が持つようにというふうに言われているというのがその日本が負担するコスト部分ではないかと思います。  ただ、今日のこの理事会で示された資料にあるように、しかも大臣自身が御答弁されたように、機微にわたる部分情報を開示されない、そういう共同開発で、しかも実験費用だけ日本が持つというのは、これは果たして同盟国として共通の利益を守ろうとしているパートナーの立場であるかどうかというのが極めて日本の国会議員としては心配になると、そういう観点で今この質問をさせていただいております。  私の知っている範囲のことで今日質問させていただきましたが、大臣の所感と、このイージス・アショアの導入の経緯と、そして今後このミサイル防衛システムをどうするかということについて、大臣のお立場で、これから事務方とどう向き合うかということについての所見をお伺いしたいと思います。
  241. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) まず、そのイージス・アショアの導入については、厳しいこの安全保障環境ミサイルの状況等々を勘案して導入を決めたものでありますけれども、一方で残念ながらそれが断念に追い込まれたと。  これは、先ほども申しましたけれども、もちろんそのブースターの問題があって、それを住民の皆さんに対する説明と食い違いが出てしまった、そのことでそれ以上進めることができないと、こういう判断に至ったわけでございますけれども、その過程において、仕事進め方として、また情報の共有の仕方として本当に正しかったのかどうか、ここには省内での問題があると、こういうふうに考えております。その部分は今後改善をしていかなきゃいけないと。これはそのイージスだけの問題ではないと思います。全般的に、この重要な情報、特に極めて重要な情報というものは早く共有をしないといけないと、こういうこともあると思います。  そういったことを踏まえて、今後、イージスに限らず、プロジェクトを進めていく中でしっかり反省を、いい教訓にして進めていかなければいけないと、こういうふうに考えております。
  242. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 適切に対処をしていただくことをお願いして、質問を終わります。  以上です。
  243. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  核兵器禁止条約が来年の一月に発効することになりました。核兵器の非人道性を厳しく告発をして、その開発、実験、生産、保有から使用と威嚇に至るまで全面的に禁止をして違法化をする、完全廃絶までの枠組みと道筋を明記した画期的な国際条約を人類は手にすることになります。  私は、広島に育った被爆二世として、この国連での検討会議にも参加をいたしましたし、採択の瞬間にも立ち会いました。そのときのあの感動を覚えておりますし、採択後に各国が発言次々と行って、被爆者の訴えが世界を動かしたと、こういう称賛の言葉があったことも鮮明に覚えております。  この核兵器の違法性というのは国会でも長い議論があるわけですが、核兵器は無差別大量殺りくの残虐兵器であり、唯一の戦争被爆国として国際法違反であると世界に訴える責任があると、こういうような質問に対して、政府は、核兵器は人道法の原則と規制には一般に反するとしつつ、実定国際法に違反するとまでは言えないと、こういう答弁をしてきました。  しかし、この条約が発効することによって新たな段階になるわけですね。これまでの答弁と違って、同条約が発効すれば、核兵器の使用は国際法違反になると、こういう認識でよいでしょうか。新しい段階を踏まえて日本はどう対応するのか、まず認識をお聞かせください。
  244. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 一般的に申し上げて、条約が拘束力を有するのは当事国に対してのみでありまして、第三国に対しては拘束力は有しないと、このように理解をいたしております。
  245. 井上哲士

    ○井上哲士君 発効した条約が締約国だけに拘束力があると、それはそのとおりであります。しかし、発効すれば核兵器は違法だと、こういう強い国際規範が新たに生まれるわけですね。私は、これを力に核兵器国を政治的、道義的に追い詰めて、廃絶に向かうことこそが求められているし、日本は戦争被爆国としてこれを批准をして、その役割を果たすべきだと思います。  日本は、この条約に反対をしつつ、核保有国と非保有国の橋渡し役を果たすと強調してきました。その一つが国連での核軍縮の決議の提案であります。  お配りした資料を見ていただきますと、今年の先日の第一委員会での日本決議の採択結果は、賛成百三十九、反対五、棄権三十三、共同提案が二十六と、昨年より賛成が九減、棄権が七増で共同提案は三十も減りました。二〇一六年と比較をいたしますと、賛成は百六十七から二十八も落ち込んで過去最低でありますし、棄権は十七から十六増えました。共同提案は百九から実に八十三も減ったわけですね。  茂木大臣は、先日の衆議院の審議で、賛成数が予想より少なかったということは認められましたけれども、理由としてはコロナの影響でオンラインと対面を混ぜた形になったということを述べられただけでありました。しかし、私、そういう問題ではないと思うんですね。日本決議に対する各国の討論は二日間に及んで、核兵器禁止条約に触れていないことへの批判など、発言者の態度表明がこれほど集中した決議は日本の決議だけでありました。唯一の戦争被爆国の決議だということで賛成した国も厳しい意見を述べております。  資料二ページ目を見ていただきまして、具体的にお聞きしますけれども、今年の決議で批判が集中した一つが過去のNPT再検討会議での合意の履行に関する前文のパラグラフ四の記述の変更です。昨年までは、一九九五年NPT運用検討・延長会議並びに二〇〇〇年及び二〇一〇年NPT運用検討会議最終文書で合意された措置を履行することの重要性を再確認しとされておりました。  ところが、今年の決議では、この履行することが削られて、措置の重要性を再認識となりました。履行することが重要でなくなったのかということでありますが、なぜ今年の決議は履行することを削ったんでしょうか。
  246. 本清耕造

    政府参考人(本清耕造君) お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、NPT検討会議というのは締約国全てのコンセンサスが必要でございますので、核兵器国、非核兵器国双方の支持を得られる文書を調整する必要があるというふうに考えてこれまで検討を行ってきたものでございます。  そういった過程におきましてコメントを求めたところ、この履行という文言は削られたわけですけれども、過去のNPT運用検討会議の合意文書に記載された内容を実施していくことは既に各国のコミットメントになっておりますし、これらの文書は国際的な核軍縮・不拡散体制の基礎であるNPT体制を支える重要な要素であると、このように考えております。
  247. 井上哲士

    ○井上哲士君 重要な要素であると考えているのなら、履行しなくちゃいけないじゃないですか。何でそれを削ったのかと。全く理由になっておりません。  特に、この二〇〇〇年の最終文書には、自国核兵器の完全廃絶を約束するという核兵器国の明確な約束という重要な内容が含まれております。NPT再検討会議は来年八月に延びましたけれども、この約束の履行を核兵器国に迫ることが国際的に求められていると、そういう中でこの履行することを削ったということは非常に重要な後退なんです。  そして今、様々な調整と言われましたけれども、この部分の分割投票の記録を資料に記載しておりますけれども、賛成百二十四、反対十二、棄権三十一なんです。昨年は、賛成百五十八、反対二、棄権七ですから、賛成が三十四も減って、反対が十増えて、棄権が二十四増えたんですよ。  投票理由説明では、メキシコ代表は既存の合意を弱体化させかつ無視するものだと、南アフリカの代表はNPT再検討会議での従前の合意に影響を及ぼしかねないものだと、それぞれ反対した理由を述べております。さらに、この部分は、その分割投票でNATO加盟国も反対しておりますけれども、どういう国が反対したでしょうか。
  248. 本清耕造

    政府参考人(本清耕造君) 先生御指摘のペーパーにも書かれておりますけれども、本年の第一委員会で御指摘のパラに反対したNATO加盟国はカナダ、ドイツ、オランダの三か国となっております。
  249. 井上哲士

    ○井上哲士君 この国は全体の決議にも棄権をしておりますけれども、採決に際してカナダがこのドイツ、オランダ、ベルギー、スイス、チリ、ノルウェーを代表して理由を説明しております。その中で、日本決議を支持できない理由として、NPT再検討会議に向けて、我々は、一九九五年、二〇〇〇年及び二〇一〇年の再検討会議において加盟国が合意した過去NPTの約束を履行することの重要性を引き続き強調することが必要だと考えると、こう述べているんですね。  ですから、核兵器禁止条約を推進してきた国も、それから核の傘にあるNATO加盟国も、これNPTに悪影響与えると、こういうことで、この履行することの削除を支持できないと言っているわけですね。  先ほど、より幅広い国の理解と支持を得られるようにということでいろんな調整してきたと言いますけど、全く逆行しているんじゃないですか。外務大臣、どうですか。
  250. 本清耕造

    政府参考人(本清耕造君) 先ほども申し上げましたとおり、来年開催が見込まれるNPT運用検討会議はコンセンサス方式で合意文書が出されるものですから、核兵器国、非核兵器国、両方から支持される文書でなければいけないということになりますので、そういった一致して取り組むことができる共通の基盤となり得る具体的措置を見出すということで関係国と調整を行いました。  昨年に比べて賛成国数が減少したのは御指摘のとおりでございますけれども、本年の決議案は、核兵器国である米国、英国、この二か国が共同提案国になっておりますし、核兵器禁止条約を支持する国を含む非核兵器国など様々な立場の多くの国が支持を得て採択されたということは、橋渡しになる我が国の取組と考え方が一定の理解を得られたものと考えております。  いずれにしても、賛成国が減少したこと自身は担当としまして真摯に受け止め、今後の総会で採決においてはより幅広い国の支持を得られるよう、関係国に積極的に働きかけていきたいと考えております。
  251. 井上哲士

    ○井上哲士君 全く賛成国が減ったことの真摯な受け止めは感じられません。  今、アメリカが賛成に回ったとおっしゃいましたけど、この部分について、去年まで反対していたのに賛成したのがアメリカなんですよ。  一ページもう一回見ていただきますと、二〇一七年の核禁止条約の採択後に提出された日本の決議は、禁止条約にも一言も触れておりませんでした。この年の決議で、履行するということも一旦削られたんです。ところが、この決議には様々な国際的な批判が集まりまして、委員会での投票は二十三も賛成が減りました。  翌年ですね、手元の資料の三枚目見まして、翌年の決議のときの私の質疑でありますけれども、当時の河野大臣は、前年の決議への各国からのコメントを踏まえて、今年は少し核軍縮、核廃絶に向けて一歩踏み出した文書にしたと、こうおっしゃったんです。そして、具体的には、賢人会議の提言を踏まえて、全ての締約国に過去のNPT運用検討会議の合意文書の履行を要請する旨を盛り込んだと、こうおっしゃったんですね。そこを今回削っているんですよ。なぜかと。  実はこれ、二〇一八年の二月にアメリカは、トランプ政権がいわゆるNPRを発表いたしました。核兵器の役割の大幅な拡大、核兵器の近代化、小型化、これを進めたわけですね。日本はこれを高く評価したわけでありますが、要するに、過去のNPTの合意に反するそういう核戦略をアメリカが出した。そうしておいて、日本の決議は過去の合意の履行を求めていて、時代遅れの言葉に固執してはならないと、こういう発言をして、この分割投票で反対をしたんですね。ところが、この履行するが今年削られると、アメリカは賛成に回ったんですよ。  ですから、結局、核兵器の明確な約束など、過去の合意を履行したくない、ほごにしたいと、こういうアメリカの賛成を得るために履行を削ったということなんじゃないんですか。これ、大臣、ちゃんと答えてください。
  252. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) そういうふうには理解いたしておりません。  我が国の決議案のように、核軍縮を包括的に扱う決議案、ほかにも提出をされている中で、もちろんその賛成国多い方がいいですよ。ただ、それらの決議案と比較しても、我が国の決議案は最も賛成国数が多く、また、二十五年以上にわたって国際社会の立場の異なる国々から幅広い支持を得られていると、これは事実だと思います。
  253. 井上哲士

    ○井上哲士君 唯一の核被爆国の決議だから、多くの国は敬意を表して賛成しますよ。だけど、この共同提案がこれだけ毎年減っているんですね。  もう一つ言いますけれども、さらに今回批判が強かったのが、包括的核実験禁止条約、CTBTに関する主文のパラ3(d)です。下の部分ですけど、二ページ目もう一回見ていただきますと、この未批准国に対して署名と批准に向けてあらゆる努力を直ちに行うよう求めておりますが、今年の決議では、右側にありますように、二つの下線を引いた部分が付加されました、挿入されました。その結果、このCTBTの未批准国への批准を促す文言が弱まって、このCTBTより核実験モラトリアムを重視する、そういう表現に書き換えられているわけですね。なぜこういう表現を書いたんですか。
  254. 本清耕造

    政府参考人(本清耕造君) まず、我が国は、CTBTの未署名・未批准国による早期の署名、批准に向けた取組の重要性を一貫して訴えているというのが基本姿勢でございます。  その上で、御指摘のパラにおいては、次回のNPT、来年の八月と先ほど委員から御指摘がありましたけれども、次回のNPT検討運用会議までの間、各国がとり得る措置として、CTBTが求めている核実験停止に向けた取組の実施に焦点を当てたということでございまして、その一環としてCTBTの署名、批准を促しているというものになっております。
  255. 井上哲士

    ○井上哲士君 その一環としてという言い方が位置付けを弱めているという批判なんですよ。幾ら皆さん言われても、各国は厳しい評価をしております。  そこにも分割投票の結果書いておりますけど、賛成百十一、反対七、棄権四十八ですよ。去年の決議と比べて賛成が二十一減って棄権が二十七増えております。今回の分割投票でここが一番賛成少なかったんですね。オーストリア、ブラジル、メキシコ、ニュージーランドなど、核兵器禁止条約で重要な役割を果たした国々が反対していますけど、先ほど紹介したカナダがNATOの国などを代表してやった投票理由説明でもこう言っているんですよ。包括的核実験禁止条約の発効は、NPT及びCTBTにコミットした加盟国に根本的に期待されることであると、我々が曖昧な表現を使う理由はないと、こう言って、この部分に対して支持はできないと、こう言っているんですね。  ですから、先ほど言われたことと全く違うのが国際的評価になっているんじゃないですか、いかがですか。
  256. 本清耕造

    政府参考人(本清耕造君) 先ほどから申し上げているとおり、次回のNPT運用検討会議はコンセンサスが前提でございますから、核兵器国と非核兵器国、この両方から支持が得られないことには文書がまとまらないということなので、そのまとまる文書の一助になるという考えでこの決議を推し進めたと、このように御理解いただければと思います。
  257. 井上哲士

    ○井上哲士君 理解できません。  核兵器国の賛同が必要だと言いますけど、フランスはどうかと。フランスは、全体の決議、去年賛成しましたけど、今年棄権に回っているんですね。フランスはCTBTを批准した最初の核兵器国でありますけど、今回の投票理由説明で、CTBTの発効は長期間にわたって最優先事項となっている、それ自身が核実験禁止の措置だと、こう言って、このCTBTの発効の表現が弱まっているということを問題視して賛成から棄権に回っているんですよ。  そして、この部分について、去年の反対から賛成に回ったのもアメリカだけなんですね。トランプ政権は、先ほど述べた二〇一八年のNPRで、米国はCTBTの批准を支持しないとはっきり明記いたしました。その下で、昨年の日本の決議について、このCTBTに関わる部分を分割投票でも反対をして、全体は棄権に回ったわけですね。  ところが、今年はこれが弱められると、分割投票で賛成に回って、全体では共同提案に転じたと、こういうことになっているわけで、私は、CTBTを批准しないと公言しているアメリカの支持を得るためにこの文書を変えたとしか言いようがないんです。  三枚目のもう一回議事録見ていただきますと、二〇一八年の河野外務大臣の答弁は、核兵器国と非核兵器国の双方が取り組むことができる核軍縮措置を強調し、CTBTの早期発効への幅広い要請を盛り込んだとしているんですね。これを今回表現を弱めた結果、賛成が大きく減って棄権が増えたんですよ。これでは核兵器国と非核兵器国の双方の橋渡しなんといっても全く逆行しているんじゃないですか。大臣、答えてください、大臣
  258. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) CTBTの発効に向けたコミットメント、これは弱まっているとは考えておりません。一方、それぞれの国の意見というのはそれはあると思いますけれど、賛成国が減ったことについては真摯に受け止めたいと思います。
  259. 井上哲士

    ○井上哲士君 結局、真摯に受け止めるとおっしゃいますけど、なぜ各国からこんな指摘がされて、賛成が大幅に減ったのか、全くまともな説明がなかったと思うんですね。  ノーベル平和賞を受賞したICANのベアトリス・フィン事務局長が、先日、毎日新聞でこう述べられております。  国際社会は日本が変わってしまったと思っていると、毎年国連総会に核廃絶決議案を出しているが、過去五年で見比べると核廃絶を訴える表現がどんどん後退している、NPTの履行を求める文言も弱まり、CTBTの批准の呼びかけも辛うじてあるだけだと、核軍縮の橋を架けると言いながら核兵器を支持する方向に進んでいると、こういう厳しい指摘をされております。  総理は、先日の本会議では、国際社会を核廃絶でリードすると言われましたけど、そうであるならば、条約にも参加をするし、来年の八月のNPT再検討会議でこの新しい条約、国際規範を力にして核兵器国への核廃絶を市民社会や被爆者とともに迫ると、それこそが日本政府がやるべきことだと思います。  そのことを強く強調して、質問を終わります。     ─────────────
  260. 長峯誠

    委員長長峯誠君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、武見敬三君が委員辞任され、その補欠として豊田俊郎君が選任されました。     ─────────────
  261. 伊波洋一

    伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  安全保障政策について伺います。  岸防衛大臣は所信挨拶で、日米安全保障条約が六十年を迎えたとし、日米同盟の強化を述べましたが、今日の日米同盟がどのようなものであるかを確認することが必要です。  沖縄の基地負担はますます厳しくなる状況です。その背景は、米軍の演習、訓練の増加と日米共同演習や共同訓練が頻繁に繰り返されているからです。全国でも同様に訓練や演習が繰り返されています。日米同盟の強化に向けては、これまでも防衛省・自衛隊は米軍と戦略、作戦構想を一致させてきました。その結果として沖縄地域や日本国内での訓練や演習が増えているのではないかと懸念しています。すなわち、日本国土を戦場として想定する訓練や演習の増加ではないかという疑念です。  米軍は、中国のアクセス阻止・エリア拒否能力に対抗して、二〇一〇年のQDRでエアシーバトル構想を打ち出しました。これに対し、二〇一二年にハメスらが提起したオフショアコントロール戦略が対立してきました。こうした論争を受けて、二〇一九年に戦略予算評価センター、CSBAから発表されたのが海洋圧力、プレッシャー戦略です。  海洋圧力戦略とはどのような戦略ですか。
  262. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) お答え申し上げます。  委員から御質問のございました二〇一九年のCSBA、戦略予算評価センター、これが二〇一九年五月に報告書を発表しておりますけれども、その中において海洋圧力戦略と称する構想が提唱されているものと承知をしております。  この報告書におきまして、海洋圧力戦略とは、軍事的なエスカレーションを抑えつつ、特に既成事実化の取組を早期に阻止することを通じて、西太平洋地域における軍事的侵略の試みを断念させる考え方であるというふうに承知をしております。  また、その作戦構想におきましては、いわゆる第一列島線に沿って分散配置された残存性の高い精密打撃部隊と、この第一列島線の外側からこれを支援する長射程の打撃能力を有する海空戦力が連携するものであるというふうに承知をしております。
  263. 伊波洋一

    伊波洋一君 ただいま説明がございましたのは、皆さんに配付しております一ページ目のこの資料報告と一致をしておりますが、海洋圧力戦略は、九州から沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ第一列島線に配備された自衛隊の地対艦・地対空ミサイル部隊や電子戦システムなどインサイド部隊と、第一列島線と本州からグアム、サイパン、パプアニューギニアに至る第二列島線との間に分散、展開する米海空軍のアウトサイド部隊により中国軍を第一列島線内に閉じ込め、米国の西太平洋地域における覇権を維持する戦略です。  海洋圧力戦略では、紛争の第一段階では、第一列島線などへの中国による先制攻撃をトンネルや隠蔽、欺罔などで抗堪性を高め、ひたすら耐え忍んで、第二段階で第二列島線から長射程攻撃力を備えた米軍のアウトサイド部隊が進出して反撃するのを待つというシナリオが想定されています。間違いありませんか。
  264. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) このCSBA、戦略予算評価センター、民間のシンクタンクということで報告をまとめているところでございまして、先ほど申し上げましたように、インサイドフォース、アウトサイドフォースということで作戦構想を立てているということであるというふうに理解をしております。
  265. 伊波洋一

    伊波洋一君 ただいま私が申し上げましたのは、皆さんのお手元に配付してある海洋圧力戦略の、これは防衛省からの資料ですけれども、一番下のページ、域外戦力、アウトサイドフォースとして海空戦力が第一列島線以遠から域内戦力を支援をするという、こういう仕組みなんですね。  ただいま答弁されたCSBAの話ですけれども、海上自衛隊幹部学校が発行する海幹校戦略研究の論文にも、「CSBA等の民間の軍事系シンクタンクは、米国防省から研究資金を得て、非公開情報にアクセスし、国防戦略に関する研究をすることも多いため、民間シンクタンクによるレポートを分析、整理することは米国の対中軍事戦略を理解する重要な手がかりとなる。」と書いています。  実際に研究していることについて、国会では議論から逃げるという防衛省の姿勢については、やはりこれは議会軽視だと思いますし、またそれを真摯にやっぱり議論していかなきゃならないんだろうと私は思います。  このようなCSBAの論文では、九州から南西諸島にかけて第一列島線は最前線、ないしは、若しくは最前線より内、敵側にあるという認識が図で示されているわけです。文字どおり日本を戦場にする軍事戦略であり、日本の国民の生命、財産の安全を確保するという本来の意味での日本の安全保障政策とは言えません。  百歩譲って、このような米国の軍事戦略に防衛省・自衛隊が追随するなら、少なくとも住民の安全を確保するため、西日本、特に南西諸島の住民に十分なシェルターや避難先の確保を最優先に取り組むべきですが、それも国民保護法を理由に自治体任せであり、全く不十分です。日本を戦場にするような日本政府の安全保障政策は方針転換をすべきです。  こうした米国の軍事戦略に沿って、二〇一七年に海兵隊、海軍共同作戦コンセプトとして発表されたのが競争環境における沿岸作戦、LOCEであり、これに基づく海兵隊の作戦コンセプトが機動展開前進基地作戦、EABOです。今配付しております資料の二ページに示してございます。  防衛省にお伺いします。  LOCEとEABOとはどのような作戦構想ですか。
  266. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) お答え申し上げます。  まず、LOCEの方でございますけれども、米海軍及び米海兵隊が競合環境におきまして沿海域作戦構想ということでまとめているものでございますけれども、冷戦後に米軍が享受してきた海洋での優勢が低下をしてきたと、そして、海洋のコントロールの獲得が再び重要なテーマになっているという認識、あるいは兵器の長射程化に伴って海洋領域と陸上領域を一体とした沿海域として取り扱う必要があるという、このような認識の下で海軍と海兵隊が連携をしてこの沿海域における脅威に対応するための取組として打ち出されたものだというふうに承知をしているところでございます。  それから、EABOの方でございますけれども、機動展開前進基地作戦構想でございますが、これにつきましては、海軍の海洋アセットに加えて、海兵隊が陸上ベースの選択肢を提供することによって決定的な打撃力を更に分散させるということを追求するための取組として打ち出されたものというふうに承知をしております。  この構想につきましては、列島線が生み出す自然の障壁を活用しつつ、地上発射ミサイルを含む多様な機能を持つ臨時拠点を前方に一時的に設置するものとされておりまして、危機前の状況から展開することによって既成事実化の取組に対応するという考え方が示されているものと承知をしております。
  267. 伊波洋一

    伊波洋一君 ただいまの御説明のありましたLOCEやEABOといった作戦構想に必要とされるのは、在日米海兵隊基地のような中国に近過ぎる基地ではなく、中国から十分距離の離れた機動的拠点です。第一列島線は、そもそもそこが活用される場所であって、この点からも、私はやはり、辺野古新基地はあと十何年も掛けて造られるといっても、米海兵隊にとっては全く不必要なものになっていくだろうと思っております。  今年に入って、配付資料の二から四枚に示してありますように、海兵隊はEABOに基づく軍事演習を日本国内で繰り返して行っています。  まず、資料三ページにあります新聞記事のように、二月に沖縄県金武町のブルー・ビーチで、米海兵隊と自衛隊の水陸機動団、共同演習を行い、敵役を制圧後、高機動ロケット砲システム、HIMARSを陸揚げするなど、大規模な強襲上陸訓練を実施しました。  さらに、二枚目、七ページの記事にありますように、二月から三月にかけて米軍は、青森県三沢、東京都横田、沖縄県嘉手納そして普天間の各基地で、C130輸送機が基地内の滑走路ではない不整地に着陸する強襲着陸訓練を実施しました。  さらに、資料の四ページから六ページまでは、先月、十月上旬に沖縄と硫黄島、そしてその周辺海域で大規模な海軍、海兵隊の統合軍事演習、ノーブル・フューリー21が行われたことを示しています。十月から十一月には種子島や臥蛇島などで日米共同統合実動演習、キーンソード21が、さらに、これと並行して、陸上自衛隊西部方面隊が徳之島で野戦病院を設置し、九州にヘリで負傷者を転送する衛生訓練等が実施されています。  特に、この配付資料四から五ページの伊江島補助飛行場でのノーブル・フューリーでは、機動展開前進基地作戦の一環として、伊江島が敵の影響力下にあることを想定して、まず、海兵隊がオスプレイなどで展開先となる滑走路を確保し、深夜に、輸送機MC130で輸送してきた高機動ロケット砲システム、HIMARSを展開してミサイルを模擬的に発射し、数分後に同じくMC130で撤収して、その後、海兵隊も撤収するという訓練が行われました。この件について、間違いありませんね。
  268. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 本年十月上旬に、アメリカ第三海兵師団及びアメリカ海軍などが参加する演習、御指摘のノーブル・フューリー21が伊江島補助飛行場などで実施されまして、機動展開前進基地能力を示したとするアメリカ第三海兵師団の発表を承知してございます。  この発表によりますれば、米海兵隊がオスプレイを伊江島補助飛行場に展開して、夜間、MC130航空機によりまして高機動ロケット砲システムを展開後、非実射ですね、実際に撃つわけではございません、非実射の訓練を実施し、数分後にMC130により撤収したというふうに承知してございます。
  269. 伊波洋一

    伊波洋一君 この伊江島での訓練等で懸念するのは、これ我が国の領土です、確かに基地ではありますけれども。しかし、そこから発射、射程三百キロですから、HIMARSは、そこから発射をするという訓練が日常的に行われるようになるということに対して大変な懸念を私は持っているわけですね。同時に、横田でも三沢でも、あるいはいろんなところで、六百メートルあればC130は着陸できます、原野でも。そういう意味では、我が国領土、国土が、米軍のそういう緊急的な発射の、あらゆる場所にそういう展開ができるようになりかねないんじゃないかと、こう懸念するわけです。  米海兵隊第三海兵遠征軍は、公式ホームページで、ノーブル・フューリーでは海軍の未来が示されたと、この未来は軽快で機動力のある海兵隊を想定しており、インド太平洋の島々を迅速に占領し、遠征前進基地の設置を支援すると説明しています。  海洋圧力戦略に描かれたアウトサイド部隊の戦い方を実現してみせたのがこの伊江島での演習でした。滑走路だけじゃなくて、C130の強襲着陸が可能な六百メートルの空き地があれば、日本中どこでも米軍ミサイル発射場になるという事態が現実化しています。第一列島線は中国のミサイル攻撃を耐え忍ぶという戦略は、米軍にとっては対中国の軍事戦略としては問題ないのかもしれませんが、日本政府の安全保障政策としてこれを受け入れてよいのでしょうか。  南西諸島の離島には、多くの住民が住んでいます。宮古島、石垣島にはそれぞれ五万五千人と五万人の住民が暮らしています。沖縄本島や九州にはより多くの住民がいます。多数の住民が生活する地域を戦場とする現在の米軍の対中国軍事戦略に日本が乗ることは、軍民一体化のスローガンの下、四人に一人が犠牲となった沖縄戦の悲劇を繰り返すことになりかねません。  確かに、日本と中国の間には尖閣諸島問題があります。日中が尖閣問題を話合いで解決しないとすれば、武力による解決しか残りません。しかし、それは、九州や南西諸島を戦場にし、国民の生命や財産を犠牲にする全面戦争への道です。  日中の経済関係、米中の経済力、軍事力バランスなどの現実を直視し、米軍の軍事戦略をきちんと理解すれば、日中の懸案を解決するためには、米軍の軍事戦略に追随するのではなく、中国との話合いで外交決着を図る以外ないのではないでしょうか。  日中平和友好条約締結四十周年の二〇一八年には、安倍総理は日本の総理大臣として約七年ぶりに訪中し、李克強国務院総理、習近平国家主席と会談しました。首脳会談では、競争から協調へ、隣国同士として互いに脅威とならない、自由で公正な貿易を発展させていくという三つの原則を確認しました。皆さんの資料の最後のページにありますように、この八ページにありますように、七年分の課題についてそれぞれ道筋をつくって実現し、成果を得たわけです。その後がまだ十分ではありませんけれども、しかし、日中でのハイレベルの会談は継続されてきました。  また、十一月十五日には、日本や中国、韓国、ASEAN諸国などで進めてきた東アジア地域包括的経済連携、RCEP交渉がインドを除く十五か国で合意しました。世界のGDP、貿易総量、総人口の約三割、日本の貿易総額の約五割を占める巨大な経済連携です。  近々、日中防衛大臣の電話会談も計画されていると報道されております。王毅国務委員兼外相が二十四、二十五日には訪日し、総理や外務大臣と会談すると報道されています。  このようなハイレベルの会談で日中の外交関係を発展させて、両国間の懸念を適切に管理するという視点が重要ではないでしょうか。やみくもな日米同盟重視を改め、日本を戦場にする米国の軍事戦略に追随するのはやめて、日本は中国と外交交渉を通して問題解決を図ることが重要ではないでしょうか。茂木外務大臣のお考えはいかがでしょうか。よろしくお願いします。
  270. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 済みません、どこからの部分質問か分からないところがあるんですが。  一部については、現状認識について伊波委員考えを異にしておりますが、いずれにしても、日米同盟は日本外交の基軸でありまして、インド太平洋地域を含みます国際社会の平和と安定の礎だと思っております。日本としては、引き続きその強化に努めて、地域や国際社会共通の諸課題への対応や、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて米国と緊密に連携していく考えであります。  一方、中国は隣国であると同時に世界第二位の経済大国でありまして、日中関係は日本にとりまして最も重要な二国間関係一つであります。その意味でも、安倍総理の二〇一八年十月の訪中はもう大きな成果があったと考えております。  中国との間には様々な懸案が存在しておりますが、引き続き、首脳会談であったりとか外相会談、まだ決まっておりません、調整中でありますが、等のハイレベルの機会を活用して、主張すべきはしっかりと主張し、懸案を一つ一つ解決して、また中国側の前向きな対応を強く求めていくと、これが基本的な考え方であります。
  271. 伊波洋一

    伊波洋一君 茂木大臣、是非そういう方向で前向きで考えていただきたいと、このように思っております。  最後に、この最後の方のページにあります二〇一八年の合意事項、このファクトシート、安倍総理訪中の成果のファクトシートございますけれども、ここでも防衛大臣、国防部長との相互訪問やその交流という、いわゆる互いのホットラインなどについての話も確認されているわけです。  いよいよ岸防衛大臣も電話会談をされると報じられておりますが、防衛大臣としての、この安倍訪中の成果に対して、それに沿って今取り組んでいくわけですから、中国との考え方についてもし御意見が、所見があればお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  272. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 日米安保条約に基づきます日米安保体制というものは、我が国自身の努力と相まって、我が国の安全保障の基軸であります。日米同盟の強化は、我が国の安全保障、安全の確保にとってこれまで以上に重要になっていると、こういうふうに考えております。  中国について申し上げるならば、その軍事動向について、急速な作戦遂行能力の強化、活動の活発化、拡大などが、国防政策や軍事力に関する透明性の不足と相まって、我が国を含む地域、国際社会の安全保障上の強い懸念となっております。強い関心を持って注視していく必要があると、こう考えています。その上で、中国との間では、こうした懸念が存在しているという現状を踏まえて、我々の率直な懸念をしっかり伝えていくべく、意思疎通を図っていくことが必要だと考えております。  こうした観点から、防衛省としては、引き続き、中国との防衛交流を推進し、日中防衛当局間での相互理解、信頼醸成を進める中で、中国がインド太平洋地域の平和と安定のために責任ある建設的な役割を果たして、国際的な行動規範を遵守するとともに、国防政策や軍事力に係る透明性を向上させることで、我が国を含む国際社会の懸念を払拭していくよう強く促していく考えであります。  日中の防衛相会談というお話がございましたけれども、この調整については、各国との会談に係る個別の調整の状況については、相手国との関係もあり、お答えをすることは差し控えたいと、こういうふうに思っておるところでございます。  いずれにしても、我々の率直な意見を、率直な懸念をしっかり伝えるべく、意思疎通を図っていくことは重要であると、こう考えておるところでございます。  防衛省として、こうした観点も踏まえて、中国との防衛交流を進めてまいりたいと考えております。
  273. 伊波洋一

    伊波洋一君 まとめさせていただきますけれども、今日、この委員会理事会では、東アジア地域包括経済連携の署名、合意ということが報告されました。こういう経済連携、沖縄、日本の貿易総量の五〇%を持っているわけでございますが、それを実際に実行するには平和が必要です。そういう意味では日本が果たせる役割はとても大きいと思いますので、是非、そういう観点で、防衛大臣、そして外務大臣には頑張っていただきたいことをお願いいたしまして、終わりといたします。  ありがとうございました。
  274. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時六分散会