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2020-11-27 第203回国会 衆議院 文部科学委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年十一月二十七日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 左藤  章君    理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君    理事 小渕 優子君 理事 白須賀貴樹君    理事 原田 憲治君 理事 菊田真紀子君    理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君       安藤  裕君    石川 昭政君       泉田 裕彦君    上杉謙太郎君       尾身 朝子君    大串 正樹君       神山 佐市君    櫻田 義孝君       繁本  護君    柴山 昌彦君       高木  啓君    谷川 弥一君       中村 裕之君    丹羽 秀樹君       馳   浩君    福井  照君       船田  元君    古田 圭一君       三谷 英弘君    宮澤 博行君       八木 哲也君   山本ともひろ君       吉良 州司君    篠原  孝君       寺田  学君    中川 正春君       谷田川 元君    山内 康一君       吉川  元君    笠  浩史君       古屋 範子君    鰐淵 洋子君       畑野 君枝君    藤田 文武君     …………………………………    文部科学大臣       萩生田光一君    財務大臣政務官      船橋 利実君    文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君    文部科学大臣政務官    兼内閣大臣政務官    三谷 英弘君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 千原 由幸君    政府参考人    (文部科学省大臣官房総括審議官)         串田 俊巳君    政府参考人    (文部科学省総合教育政策局長)          浅田 和伸君    政府参考人    (文部科学省初等中等教育局長)          瀧本  寛君    政府参考人    (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君    政府参考人    (文部科学省科学技術学術政策局長)       板倉 康洋君    政府参考人    (文部科学省研究振興局長)            杉野  剛君    政府参考人    (文化庁次長)      矢野 和彦君    政府参考人    (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           岸本 武史君    文部科学委員会専門員   吉田 郁子君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十七日  辞任         補欠選任   根本 幸典君     宮澤 博行君   下条 みつ君     篠原  孝君 同日  辞任         補欠選任   宮澤 博行君     高木  啓君   篠原  孝君     下条 みつ君 同日  辞任         補欠選任   高木  啓君     泉田 裕彦君 同日  辞任         補欠選任   泉田 裕彦君     八木 哲也君 同日  辞任         補欠選任   八木 哲也君     根本 幸典君     ――――――――――――― 十一月二十六日  無償教育実現に関する請願山本和嘉子紹介)(第一九〇号)  豊かな私学教育実現のための私学助成に関する請願高木美智代紹介)(第二三七号)  同(手塚仁雄紹介)(第二三八号)  同(菅直人紹介)(第三〇九号) 同月二十七日  無償教育実現に関する請願畑野君枝紹介)(第三五七号)  豊かな私学教育実現のための私学助成に関する請願伊藤俊輔紹介)(第三九〇号)  同(松原仁紹介)(第三九一号)  同(道下大樹紹介)(第五五九号)  給付制奨学金学費負担軽減に関する請願畑野君枝紹介)(第四七九号)  教職員定数改善学校ICT情報通信技術環境整備等に関する請願金子恵美紹介)(第五五八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  文部科学行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 左藤章

    左藤委員長 これより会議を開きます。  文部科学行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として内閣大臣官房審議官千原由幸君、文部科学省大臣官房総括審議官串田俊巳君、総合教育政策局長浅田和伸君、初等中等教育局長瀧本寛君、高等教育局長伯井美徳君、科学技術学術政策局長板倉康洋君、研究振興局長杉野剛君、文化庁次長矢野和彦君及び厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長岸本武史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 左藤章

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 左藤章

    左藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。笠浩史君。
  5. 笠浩史

    笠委員 おはようございます。笠でございます。  この国会で、私にとっては恐らくきょうが文科委員会での最後質疑だと思いますので、ちょっと幾つかポイントを絞って確認をさせていただきたいと思います。  まず、このコロナの第三波、もう本当に急速にこれが拡大をしておりまして、大変、本当に心配をしておりますし、それぞれの分野で政府としても万全の対策をとっていただきたいというふうに思っておるわけでございますが、一部、やはり学校学級等でクラスター的なものも発生しているというような状況もございます。  西村担当大臣も、今後の状況によっては緊急事態宣言をというようなことにも触れられておりますけれども、大臣に改めて確認をさせていただきますけれども、例えば、緊急事態宣言が出るような状況、あるいは全国的に更に状況が悪化をしたときに、学校に対する一律の休業要請というものは出すことは考えていないということでよろしいでしょうか。
  6. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症に関しては、これまで文科省に報告された感染者の報告などから、児童生徒発症割合重症割合は他の年代に比べてともに小さいこと、また、感染経路家庭内感染が多く、現時点では学校を中心に地域に広がっている状況ではないなどの状況がわかってまいりました。  春先には、全く未知のウイルスで、これはどうなるんだろうかと、専門家意見もさまざまだったことから、全国一斉休校という判断をしましたけれども、今後、仮に緊急事態宣言が出されたとしても、これからは、今までの経験を踏まえて、現時点において文科省全国一斉の休業要請することは考えておりませんで、感染地域などの状況を踏まえて、学級閉鎖ですとか学校閉鎖ですとか、そういった柔軟な対応をしていただきたいと思っております。
  7. 笠浩史

    笠委員 本当に、その地域によってさまざまなことが、いろんな課題にもなってくるかと思いますけれども。私自身も、一斉休業というものは、少なくとも全国一斉にということは行うべきではないと思っておりますし、大臣におかれましても、そういった形の中で、またそれぞれの地方の自治体とも協力をしながら、学校の、そして児童生徒たちの安心、安全、もちろん教職員の方もですけれども、万全を期していただきたいというふうに思っております。  そして、もう一点お伺いをしたいのは、一斉休業を行ったために、やはり学習の面でもいろんな、ちょっとおくれというものがございました。夏休みあるいは放課後あるいは土曜日等々を活用しながらそれぞれの教育委員会等々の中で対応してきておられるわけですけれども、受験も控えている最終学年も含めて、大体このおくれというものはもう取り戻せているのかどうか、その点をどのように把握をされているのか、文科省にお伺いをしたいと思います。
  8. 串田俊巳

    串田政府参考人 お答えいたします。  新型コロナウイルス感染症への対応に当たりましては、感染症対策を徹底しつつ、最大限子供たちの健やかな学びを保障するといったことが重要でございまして、六月に「学びの保障」総合対策パッケージを取りまとめたというところでございます。  文科省といたしましては、この考え方に基づきまして、各学校において、進路の指導の配慮が必要な中三、高三などの最終学年児童生徒の優先的な分散登校実施や、長期休業期間見直し授業における学習活動重点化等の工夫によりまして、指導を充実していただくようお願いしてきているところでございます。  都道府県教育委員会等に伺ったところ、各学校におけるこれまでの御尽力の結果、多くの地域におきまして現時点例年どおりの進度に戻っており、それ以外の地域においても年度内には取り戻せるという認識である、その一方で、おくれを取り戻せているという地域でありましても学習内容の理解や定着には懸念があるといった声も聞こえてきているという状況にあると承知しております。
  9. 笠浩史

    笠委員 今、一部懸念の声あるいは心配の声というものもあるということでございましたけれども、その点はしっかりと、これからもまたフォローをしていただきたいと思いますし、冬休みというのも控えておりますので、万全を期していただきたいと思います。  それで、このコロナ感染拡大で非常に心配されるのが、これから更に寒くなっていきますし、ひょっとしたら、いろんな形でもっと拡大をしていくかもしれない。そのときに、やはり、来年の一月に入りましたら、早速に大学入学共通テストが一月十六、十七、第二回目が三十、三十一で、ほとんどがこの一回目のテストの方で大体受験をされるということのようでございますけれども。ことしも、コロナ感染のために、北海道大学であるとか一部私立大学であるとか、例えば一般入試の方が中止になって、そしてこの共通テストの成績で合否を判定をしたり、あるいは受験のやり方を急遽変更するような幾つかのケースがもう既にあったわけです。こういう状況というものが想定される中で、やはりことしよりも来年の冬というのは本当に厳しい状況を迎える可能性がかなり高いんだろうというふうに私は思っております。  そういった意味では、まずは、この共通テストというものの意味合いが、ある意味ではセーフティーネット的な大事な意味を持ってくるので、しかも、これは都道府県で完結をしますので、一般入試とか、あるいは私立になると長距離の移動というものも出てくるので、果たして本当に、その感染状況によっては、受験生が皆受けることができるのかというような懸念も非常にあります。  そういった意味では、さまざま対策は講じておられることはよくわかっておりますけれども、大臣記者会見において、共通テストを中止するということは想定をしていないけれども、本当に最悪の場合には延期なりいろんな見直しというものも余儀なくされる可能性もある、そういったことも、しっかりと備えていきたいというような趣旨の発言をされておったというふうに承知をしておりますけれども、本当に万全の対策を講じていくために、今どのようなことを考えられているのか、あるいはどういったことを対策として講じていくお考えなのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  10. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 大学入学共通テストに関しては、厳格な感染予防策を講じた上で、現段階では予定どおり実施をさせていただく方向準備をしています。  このことについて、十月十五日の新型コロナウイルス感染症対策分科会において共通テスト感染症予防対策等を御審議いただいた際には、専門家皆さんからも、入試はほかのイベントと異なり感染のリスクが低いこと、大学受験人生にとって重要であり、感染拡大のステージが上がった地域の場合でも試験実施できるよう準備をしてほしい、また、感染がかなり拡大する場合にはむしろ事前の健康管理を厳格に実施すべきなど、試験実施前提にしっかりと準備をしていくことが重要であるという趣旨の御意見があったと承知をしているところでございます。  また、十九日には、私自身、各大学団体代表の方に、各大学個別入試について、感染症対策を含めて入念に準備をしていただくように要請をさせていただきました。  今後の感染状況を注視しつつ、引き続き、受験生皆さんが安心して受験できるよう、大学入試センターを始めとした関係各所と緊密に連携しながら、必要な準備をしっかりと進めたいと考えております。  仮に全国的な感染拡大があって、共通テスト予定どおり実施できない場合であっても、これは日程を変更してでもやる準備を、いろいろシミュレーションはしております。現段階では、予定どおり準備をさせていただいて、実施をしようと思っています。
  11. 笠浩史

    笠委員 本当に大事な、人生というか一生を左右するような場面でありますので、その機会が奪われることがないように、万全に対策を講じていただきたいと思います。  次に、今まさに政府の中で、来年度の予算編成の、それぞれ財務省ともいろんな協議が行われていると思いますけれども、とにかく、これはこの委員会多分総意だと思いますけれども、来年度から少人数学級をしっかりと実現をしていくということで、まず、萩生田大臣にお伺いをしたいわけでございますけれども、この少人数学級実現ということについて、大体やれるというようなめどが立っているのかどうか、その辺のところをまずお伺いをしたいと思います。
  12. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 新たな感染症の発生など、今後どのような状況においても子供たち学びを保障するとともに、ICT活用した個別最適な学び実現することが必要です。  また、少人数によるきめ細かな指導体制計画的な整備については、例えば、三十人学級実現といった要望を地方団体からもいただいておるところでございまして、学校現場において高いニーズがあると確信をしております。  特に、GIGAスクール構想のもと、一人一台端末活用した、個に応じた指導が可能となる。教育が変わるわけですから、これを更に前に進めていくためには、きめの細かな指導を行うことが教員皆さんにも求められる。このことから、学級編制標準引下げを含め、しっかりと検討してまいりたいと思います。  また、実施に当たっては、地方自治体が長期的な見通しを持って教員を採用しやすくなるように、一定期間をかけて段階的、計画的に進める必要があり、定数改善計画の策定が必要であると考えております。  学校におけるICT活用と、その効果を最大化する少人数による指導体制は、まさに車の両輪であります。多様な子供たちを誰一人残すことなく、全ての子供たち可能性を引き出す個別最適な学び協働的学び実現することができるよう、令和日本型学校教育の構築に全力で取り組んでまいりたいと思います。
  13. 笠浩史

    笠委員 大臣、どうですか、大丈夫ですか。私はその点を、今交渉中だとは思うんですけれども、いかがですか、改めて。
  14. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 関係各所と丁寧な打合せ、交渉をしておりますので、私自身は、今申し上げたとおり、その方向で前に進んでいきたいと思いますし、いみじくも笠先生おっしゃっていただいたように、これは、私は、国民代表する国会皆さん総意だと申し上げても過言ではないと思っておりますので、自信を持って、しっかり前に進んでまいりたいと思います。
  15. 笠浩史

    笠委員 最大限、これはもうみんなで応援していきたいと思います。  それで、きょうは財務省からも、ごめんなさい、アウエーのようなところにお呼びしたんだけれども、まあ、仲間だから、済みません。  今もあったように、本当にこれは、我々国民代表として、全て、各党、もう政党の枠を超えて、全員がやろうと。あるいは、地方公共団体もしかりだし、もちろんPTAの皆さん方学校現場皆さん方。そういう中で、特にこのコロナ禍という、もうコロナ禍じゃなくても必要なんですよ、しかし、このコロナに直面をする中で喫緊課題となっているということなんですけれども。  財務省として、この少人数学級が本当に必要だ、そして喫緊課題であるという認識をお持ちかどうかをまずお答えをいただきたいと思います。
  16. 船橋利実

    船橋大臣政務官 お答えいたします。  少人数学級、少人数によるきめ細やかな指導体制計画的な整備など、新しい時代学び環境整備につきましては、今ほど文科大臣お答えにもございましたけれども、関係者間で丁寧に検討してまいりたいと存じます。  その際、端末一人一台を生かしてどのような授業を提供をするのか、教員採用倍率が低下をする中、教員の質をどのように確保するのか、加配定数を含めた教員全体の配置をどのように最適化をするのか、ICT活用等により公務をどのように効率化するかなどを総合的に検討し、費用効果を含め丁寧に議論をしていく必要があると考えております。
  17. 笠浩史

    笠委員 丁寧な議論というのは当たり前の話なんだけれども、そうじゃなくて、政務官自身も、恐らく学校現場に何度も行かれていますよね、地元で。このコロナの問題もそうだけれども、やはり少人数学級というものはもっときちっと進めていかなければならない、実現しなければならないという認識はお持ちですか。
  18. 船橋利実

    船橋大臣政務官 認識については持ってございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、関係者間で丁寧に協議をしてまいりたいと思います。
  19. 笠浩史

    笠委員 ちょっと通告していないんだけれども。  政務官がもし教員立場だったときに、四十人相手授業するのと、こういった状況の中で、三十人、二十五人相手授業するのと、あるいは子供たちと向き合うのと、どちらがいいですか。
  20. 船橋利実

    船橋大臣政務官 通告のないお尋ねでありますので、御答弁としては非常に難しいかと思いますが、個人的な見解ということでございますけれども、私自身は四十人学級の中で学んでまいりました。それから、私のこれまでの政治経験の中では、少人数学級というものも見てまいりました。したがって、それぞれによさと課題というものがあるというふうに認識をいたしております。
  21. 笠浩史

    笠委員 極めて財務省的な答弁であったということだけは評価をしておきたいと思いますけれども、まあ、立場があるんではっきりとしたことは言えないと思いますけれども。  ただ、もうやはり、これは我々もそうなんだけれども、これまでいろんな皆さん方が、この少人数学級実現にはそれぞれの時々で努力をしてまいりました。ただ、残念ながら、先ほど萩生田大臣もおっしゃったように、この定数改善計画、これはもう本当に、一九八〇年に、第五次でしたか、これで四十五人から四十人に引き下げられて、平成時代、私もちょうど平成二十二年に、二十三年度の要求として、当時大臣政務官として、小学校一年生だけ三十五人にというところを定数改善できたんだけれども、そこから先が進まなかったんですよ。平成二十三年度から三十年度までの計画を当時も立てていたわけだけれども、残念ながら力不足で、私たちもそこから先に進めることができなかった。平成時代にほとんどこの少人数学級というものがやはり進まなかったという現実があります。  だからこそ、本当に、今回は定数改善計画まで含めてしっかりとこれを実現するということで、改めて政務官に、財務大臣にもそのことを強く、きょう、この文部科学委員会で私は今代表して質問しているけれども、委員会、各会派のまさに総意として、しっかりやってくれということをお伝えいただきたいと思います。
  22. 船橋利実

    船橋大臣政務官 お答えいたします。  ただいまの委員からの御意見につきましては、財務大臣の方にも私の方からお伝えしたいと思います。  以上です。
  23. 笠浩史

    笠委員 政務官、結構でございますので、ありがとうございました。
  24. 左藤章

    左藤委員長 どうぞ御退席お願いします。
  25. 笠浩史

    笠委員 それで、委員長、ちょっと確認をさせていただきたいんですが、先般、我が会派中川委員の方が、本当に、私たちがこの定数改善をしっかりと、あるいは義務標準法を改正して、この定数改善計画をしっかりと策定していく、この二つのことをしっかりやるように、委員会でも、決議等も含めてみんなでバックアップしていこうというような提案を、前回の委員会であったわけですけれども、それについてはどういうふうな結論になったかだけ確認させてください。
  26. 左藤章

    左藤委員長 その話はまだ理事会で詰めておりませんので、また理事会でしっかりと詰めさせていただきたいと思います。
  27. 笠浩史

    笠委員 本当だったら、きょうあたりの委員会でやらないと、もうひょっとしたら最後場面かもしれないんです。  しかし、いずれにしても、そういったことを何らかの形でしっかりとやれるように、引き続きというか早急にまた御判断をいただきたいということを要請をしておきたいというふうに思っております。  それで、次に、デジタル教科書導入について伺わせていただきたいというふうに思います。  これは来年度からいよいよ導入をされ、実証研究も進んでいくということで、二〇二四年度から本格的な導入を目指すというような方針でございますけれども、これはやはり、ある一定期間は、現在の紙の教科書とこのデジタル教科書というものを併用していかなければならない。そして、この移行期間というものをどのように対応していくのかということがやはり非常に難しい課題だというふうに思っております。発達段階によっても子供たちの年齢等々によってもさまざまな違いがあると思いますし、そういった、一律に対応できないというような難しさもございます。  そういった点も含めて、現在どういうような方針でこれを進めていくのかをまずお伺いしたいと思います。
  28. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  GIGAスクール構想により一人一台端末環境が早期に実現することを見据え、次の小学校用教科書の改訂時期である令和六年度における本格的な導入を目指し、学習者用デジタル教科書の今後のあり方については、現在、有識者会議において議論をしているところでございます。  有識者会議でのこれまでの議論では、現在の学校現場状況に鑑みれば、紙の教科書と併用しつつデジタル教科書実証を行った上で検討することが必要との意見をいただいておりまして、デジタル教科書導入については丁寧かつ確実に進める必要があると考えております。  このため、令和三年度概算要求においては、デジタル教科書普及促進に向けた実証事業等を計上しているところでございまして、発達段階を踏まえた活用あり方も含めた具体的な方策については、この有識者会議における検討や実証研究の成果を踏まえまして適切に判断をしてまいりたいと考えております。
  29. 笠浩史

    笠委員 あと、やはり費用負担というのが最大の問題となると私は思うんです。  現在、紙の教科書に約四百六十億円というような予算が使われているわけですけれども、今回の概算要求の中でも、デジタル教科書価格というのは二百円程度から二千円程度までと、今後いろんな形でこれを普及させていく中で、この価格を、なかなか設定が、どういうふうになるのか、今現在では見通せないと思います。ただ、恐らくこのデジタル教科書を、まあ、移行期間は、併用期は別として、将来的に両方無償ということは多分あり得ないと思うんです、これは財政的に。  そういう状況の中で、将来的にはデジタル教科書無償化して、そして紙の教科書を今の教材的な活用みたいな方向性で取り組んでいくのか、あるいは、この二〇二四年度段階では、まだやはり紙の教科書、現在の教科書無償で、そしてデジタルを教材的な位置づけのままいくのか、その辺の見通しというのをお伺いしたいと思います。
  30. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  学習者用デジタル教科書を今後クラウド配信した場合には、これまでの紙や印刷の費用が不要となる一方で、児童生徒一人一人のアカウントの管理や、配信のためのクラウドやシステムの運用に係る経費が必要となることが見込まれます。そのため、令和三年度には、クラウド配信前提とした実証事業を行い、学習者用デジタル教科書に係る適正な経費についても検証をさせていただくこととしております。  一方で、学習者用デジタル教科書の今後のあり方について、現在進めております有識者会議におけるこれまでの議論では、紙の教科書と併用しつつデジタル教科書実証を行った上で検討することが必要との意見をいただいておりまして、紙の教科書との関係、あるいは無償給与の対象とするか否かなどの具体的な方策につきましては、この有識者会議における検討及び来年度予定をしております実証研究の成果を踏まえて適切に判断をしてまいりたいということで、現在、まだ明確な方針というものはまとまっていない段階でございます。
  31. 笠浩史

    笠委員 最後に、大臣に一つ要請をしておきたいんですが。  二〇二四年度からということになれば、これは令和六年度ということで、小学校教科書のちょうど改訂の時期と重なり、翌年が中学ということになるわけですけれども、もう既に、恐らく来年から教科書の編集作業というものが始まってまいります。それから検定があって採択ということで、当然、教科書が最終的に採択され、そして印刷されるまでには、もう来年からその作業が始まっていくということでございます。  この本格導入のタイミングで、私は、ある意味では十年ぐらいのスパンで、二段階、まず、令和六年度を見据えながらまず一定のスタートをして、その次に、最終的なゴールというものをどういう形にするのかというような、段階的な措置というものをとる必要があるのじゃないかと思いますけれども、その辺のスケジュール感というか、やはり現場皆さん、大変、どうなるんだろうという心配の声も聞かれますので、その辺の大臣のお考えを最後にお伺いをしたいと思います。
  32. 左藤章

    左藤委員長 萩生田大臣、簡潔にお願いします。
  33. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先生御指摘の令和六年度の改訂に向けて、教科書の編集、検定、採択を、それぞれ令和三年、四年、五年度に行う必要性があるというスケジュールを考慮しますと、検定の範囲は、動画などを含めずに現行の紙の教科書と同様にしてはどうだろうか、その上で、デジタル教科書に動画等を入れることについて将来的に検討すべきものとすることが適当なのではないかとの方向で、今、有識者の会議において議論がなされているものと承知しています。  いずれにしましても、新しい教材としてスタートするので、フルスペックで全てを用意ドンでやると想定を超える課題というのも出てくると思いますので、まさに来年度から実証実験の枠を広げてしっかり検証した上で、有識者会議において年度内に中間まとめをまずしていただいて、来年七月に最終まとめを予定しております。それを踏まえて、お話があった紙の位置づけをどうするか、どちらを公費負担にするのか、あるいは両方可能なのか、こういったことも含めてしっかりやっていきたいと思いますので、焦らず丁寧に、しかし、しっかり急いでやっていきたいと思っております。
  34. 笠浩史

    笠委員 終わります。どうもありがとうございました。
  35. 左藤章

    左藤委員長 次に、畑野君枝君。
  36. 畑野君枝

    畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  十一月十三日の当委員会で、学生支援を求めました。学生支援緊急給付金について、予備費を活用し、事業の継続や要件緩和を行い、支援が必要な学生に行き渡るようにするべきだと求めました。  その後、新型コロナウイルス感染症拡大が広がり、第三波という状況になっております。  政府新型コロナウイルス感染症対策分科会は、十一月二十五日、政府への提言を行いました。現在の感染状況について、「このままの状態が続けば、早晩、通常の医療で助けられる命を助けられなくなる事態に陥りかねない。」、「介入が遅れれば遅れるほど、その後の対応の困難さや社会経済活動への影響が甚大になるため、迅速かつ集中的な対応が求められる。」といたしました。  そして、GoToトラベル事業の一時停止、GoToイート事業の運用見直しやイベント開催制限の変更等の検討、医療提供体制や保健所のさらなる負担軽減のための対策など、政府に対して具体的な提言をいたしました。これらの提言を踏まえて迅速な対応を行って、現在の感染拡大を何としても鎮静させなければならないと思います。  一方、提言の中で、飲食店における営業時間の短縮要請なども盛り込まれています。  この間、学生の皆さんは、頼みのアルバイトができなくなり、日々の食費にも事欠く状況です。神奈川の青年に聞きましたら、日本民主青年同盟のアンケートで、一日の食費が三百円未満が一五%いると。これはテレビでも報道されておりましたけれども、こういう事態です。  今後、この年末、一層アルバイトが見つけにくくなる年末年始ですね、そして困窮状態が長期化する懸念が拭えないと思います。年末、これから本当に、きょうも寒いですけれども、寒い季節を迎えます。暖房費もかかる。そして、体力維持のためには、また学ぶ活力のためには、食べ物もしっかりとっていく必要がある。カップラーメンというわけにはいかないんです。そして、家賃もかかる。外で暮らすわけにはいかない。そして、後期の授業料の引き落としもされるわけですね、この時期。  ですから、もう本当に、多くはついこの間まで十八歳の高校三年生、それが大学一年になって、大学もなかなかあかないという状況もありますから、うつ的な状況になっているという事態もある。  そういうときに萩生田光一文部科学大臣から、大丈夫だ、大臣としても応援する、予備費も使ってやる、やはりこういう宣言をしていただく必要がある。十一月十三日に求めましたけれども、事態は推移していると思います。  大臣、いかがでしょうか。決断していただきたいと思います。
  37. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症の影響で経済的に困難な学生が修学、進学を諦めることのないよう、しっかりと支えることが何よりも重要であると考えております。  学生支援緊急給付金につきましては、現在、各学校に対して、既に要望のあった皆さんにはお配りを完了しておりますが、これまで支給を受けておらず、現在支援が必要としている学生等の人数について調査実施をしておりまして、十二月上旬には再追加配分を実施する予定です。  その上で、更に何らかの措置を行うかどうかについては、まずは新型コロナウイルス感染症状況や学生の修学の状況、追加で実施している中途退学者に係る調査などを注視しながら、これらを踏まえながら必要な対応を検討してまいりたいと思います。  先生は、補正予算等でしっかりお金を積んだ方がいいんじゃないかという御提案をいただいたように記憶しておりますけれども、何があっても、冒頭申し上げたように、学生の皆さんが今回のコロナ学校を諦める、学修を諦めることのないように、その対応はしっかりやっていく、このことだけはお約束したいと思います。
  38. 畑野君枝

    畑野委員 大変大事な御答弁をいただきましたので、ぜひ具体的に早く発表していただきたいということを重ねて申し上げておきます。  次に、教育デジタル化推進について伺います。  萩生田光一大臣と、平井デジタル改革担当大臣や河野太郎改革担当大臣との間で、意見交換がされていると伺っております。教育分野におけるデジタル化に関して、小中学校教科書を原則デジタル教科書にすべきとの要望があったと伺っております。  しかし、デジタル教科書については、子供たちの健康面への影響や、授業における効果的な活用の研究、教科書無償化との関係など、課題が山積しており、慎重な検討が必要だと考えますけれども、萩生田大臣、いかがでしょうか。
  39. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 今ほど笠委員にもお答えしましたけれども、私は、学習者用のデジタル教科書導入につきましては、児童生徒学びの充実を図る観点から、学校現場状況を踏まえつつ、丁寧に進めていく必要があると考えております。そのため、一人一台端末環境を踏まえた今後のデジタル教科書あり方について、紙の教科書との関係も含め、現在、有識者会議において議論をいただいているところでございます。  また、現状では実際にデジタル教科書活用している学校が大変少ないわけですから、その普及促進を図るとともに、学校現場においてしっかり実証研究を行って、それらの状況も踏まえながら必要な検討を進めていくことが重要と考えております。  先生御懸念の、例えば目に対する影響なども、こういった実証研究の中からしっかりエビデンスをとっていく必要があると思っています。
  40. 畑野君枝

    畑野委員 それで、デジタル教科書について引き続き伺いたいんですが、まず、紙の義務教育教科書価格についてです。  原価計算が行われたのは六十年前だということです。過去十年の引上げ率は毎年一%程度にとどまっているということです。  資料をおつけしましたけれども、日本出版労働組合連合会の、一ページ当たりの金額というのがございます。現行中学校教科書各種平均値ですけれども、一番下のところに、欄外にコミックというのがありまして、オールカラー、ページ単価五・二円です。しかし、上に戻りまして、音楽でいうと〇・八円、一番高いものでも美術の五・一円。伺いますと、美術の教科書は著作権料がそれぞれかかって物すごく大変なんだということでした。昔は二色刷りだったのが、今はもうカラーで、写真も豊富に盛り込まれる、コストも相当かかっております。ですから、教科書価格の算定が、今の実情に合っていないんじゃないかと思います。  教科書会社などからは価格の適正化を求める声が寄せられていますが、どのように対応されますか。拡大教科書とか高校の教科書についてもいろいろ要望を伺っているんですが、価格決定に当たっては教科書出版業界などの実情を把握するべきだと思いますが、いかがでしょうか。  また、先ほども議論になりましたが、デジタル教科書価格をどのように考えるか。それから、教科書会社のサーバーにアップロードされたデジタル教科書学校で使用するとなると、サーバーの運用費用、この負担がある、どうするのかということも言われておりますので、その点について伺います。
  41. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  義務教育段階教科書価格の算定に当たりましては、毎年度、教科書発行者から製造原価に関する資料を提出していただいております。教科書価格については、それをもとにした増減要素に加えまして、物価指数の変動を反映するとともに、学習指導要領の改訂時には特にページ数の増加に伴う製造原価の上昇を加味するなど、適正な定価の改定に努めてきたところでございます。また、高校の教科書価格に関しても、義務と同様の算定方式に基づきまして、毎年度、適正な定価の改定に努めているところでございます。  学習者用デジタル教科書クラウド配信をした場合には、紙の教科書に必要な紙や印刷、運搬に係る経費が不要となる一方で、御指摘のとおり、児童生徒一人一人のアカウント管理や、配信のためのクラウドやシステムの運用に係る経費が必要となることが見込まれます。  いずれにしましても、デジタル教科書の今後のあり方につきましては、現在、有識者会議において議論をいただいておりまして、クラウドやシステムの運用に係る経費負担あり方デジタル教科書の位置づけに関する当該議論の結論、若しくは、来年度から始めます大規模な実証事業の成果等も踏まえて検討を加えていく必要があるだろうと思っているところでございます。  以上です。
  42. 畑野君枝

    畑野委員 しっかりやっていただきたいと思います。  萩生田大臣伺いたいんですけれども、学校現場でオンラインを使うと、今までの学校の場を用意することへの懐疑が必要ではないか、疑ってみようなどという話が出てくるわけですね。私は、これは違うというふうに思っておりまして、文科省が進めるGIGAスクール構想など学校ICT化は、学校現場教員の存在意義を否定するものではないと思うんです。いかがでしょうか。  また、学校現場でのICT活用に当たっては、そうしたツールを教員効果的に活用してどのように授業に生かしていくかという、教員の裁量、自主性や専門性が基本に据えられるべきだと思いますが、いかがでしょうか。一言でお答えください。
  43. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先生のおっしゃるとおりだと思います。
  44. 畑野君枝

    畑野委員 ありがとうございます。  それで、最後の質問に、伺わせていただきます。  十一月二十五日に、財政制度等審議会の建議が出されました。建議では、教育ICT化について、例えば個々の理解度に合わせた出題を選択するAI、人工知能型ドリル教材は個別最適化された質の高い教育実現し同じ教育効果を得るに当たって必要となる時間を効率化するとか、学習動画やデジタル教材等の作成、準備を民間事業者に外部委託することにより教員授業準備や採点業務等が大幅に軽減可能となるなどと述べているんですね。まるで、ICT化すれば教員はふやす必要がないと言っているようにも聞こえるような中身だと思うんです。私は、これは違うと思います。  河野大臣も、教育新聞によりますと、十一月二十三日付ですが、違うというふうに言って、秋の行政レビューから、教職員の合理化を進めるべきだという有識者の意見を入れない、削除を指示したと、大変大事な記事が載っておりました。  私は、一人一台端末ということになれば、個々の子供たち状況に応じたよりきめ細かな指導が求められるし、それを進めようと思えば少人数学級は絶対に必要だと思いますけれども、大臣、いかがですか。
  45. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 学校ICT、GIGAスクールは、あくまで教員、生徒の学びのツールとして整備をするのであって、それが全てを代替するわけではありません。そこにはやはり人が、ぬくもりを持って児童生徒に接していただいて、そのツールを上手に使っていただいて習熟度を上げていただくことが大事でありますので。  いろんなことを言う人はいらっしゃいます。河野大臣も当初は、ICT化が進めば、言うならば行革にもつながるんじゃないかという御意見があったんですが、私とのたび重なる話合いの中で、大変理解をしていただいていると思います。  したがって、学校業務全体を考えたときには、圧縮できる部分も出てくると思うんですよ。ですから、全てを今と全く一歩たりとも変えないんだ、そういう硬直的な考えは持っていないんですけれども、もし、例えば採点などが、今まで先生が丸をつけていたものがボタン一つで採点結果が出るわけですから、そういうもので効率がよくなるものはあると思いますけれども、いずれにしても、先生にかわるものではありません。  私はやはり、人である先生が現場にしっかり立っていただいて子供たちと向き合っていただく、逆に言えば、今まで向き合う時間が少なかった先生が、このICTと少人数によって向き合う時間をふやすことができるということを期待をしておりますので、その方向で頑張って、努力をしていきたいと思っています。
  46. 畑野君枝

    畑野委員 河野大臣も、教員の数の問題とデジタル化は一つの線を引いて考えるべきだと思っていると。萩生田大臣が一生懸命説得をしていただいてきたんだろうと思いますけれども、ぜひそういう点で、少人数学級で頑張ると、重ねて言っていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  47. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 何度も申し上げていますけれども、頑張ります。よろしくお願いします。
  48. 畑野君枝

    畑野委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  49. 左藤章

    左藤委員長 次に、菊田真紀子君。
  50. 菊田真紀子

    ○菊田委員 おはようございます。立憲民主党・社民・無所属の菊田真紀子です。  質問時間も短いので、早速質問に入りたいと思います。  今国会では、菅総理による日本学術会議の会員任命拒否問題が大きなテーマとなっています。菅総理は、任命拒否の理由に、会員選考が閉鎖的だとか会員は既得権益だとたびたび述べられておりますが、私は、政権に盾突く学者を排除したのが本当の理由であって、菅総理の言われることは後づけの苦しい言いわけでしかないと思います。  萩生田大臣は、本会議予算委員会で、この問題のやりとりを閣僚席から聞かれておられましたが、菅総理による日本学術会議の指摘はもっともだとお考えでしょうか。大臣の見解を伺います。
  51. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 所管外の団体の任命にかかわることなので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  52. 菊田真紀子

    ○菊田委員 大変残念です。  学問の自由を守る、これは、どのような立場であっても、党派を超えて、私は、国会議員としてぜひ守っていただきたい、これを大事にしていただきたいと願います。  日本学術会議と同じく税金で運営されている政府の機関で、文化庁に設置されている日本芸術院という機関があります。こういう立派なパンフレットがあるんですけれども、きょうは、皆さんのお手元にも資料をコピーさせていただきました。  まず、その概要について説明をいただきたいと思います。
  53. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答え申し上げます。  日本芸術院は、院長一名と会員、これは終身会員でございますが、百二十名以内で構成されており、会員は、第一部、美術、第二部、文芸、第三部、音楽、演劇、舞踊のいずれかに属するということになっております。  日本芸術院の一般会員には年金といたしまして年間二百五十万円が支給されておりまして、令和二年度の予算額は約五億二千六百万円でございます。  日本芸術院は、芸術の発達に寄与する活動を行うとともに、芸術に関する重要事項を審議し、これに関し文部科学大臣又は文化庁長官に意見を述べること、卓越した芸術作品と認められるものを制作した者等に対して毎年恩賜賞と日本芸術院賞を授与すること、そのほか、所蔵作品の公開展示、日本芸術院賞受賞作品展、会員による講演会の開催、そういったことを役割としているところでございます。
  54. 菊田真紀子

    ○菊田委員 明治四十年からの歴史を持つ我が国最高の栄誉機関に対して若輩者の私がこの国会の場で取り上げることには、正直、とてもためらいがありました。しかし、この機関を調べ、文化庁から説明を受け、果たしてこれまでどおり前例踏襲のまま国民の税金が投入されていいのか、そういう思いが拭えません。  新しい令和時代が始まったのです。私は、ここで一旦立ちどまって、国民生活も財政も大変厳しい昨今、菅政権が、国民のために働く内閣国民のために改革する内閣、これを標榜するのであれば、当該機関が広く国民の理解を得られる組織として改革されるべきではないかと思い、このように質問させていただいております。  先ほどの説明で、芸術に関する重要事項を審議しこれを文部科学大臣又は文化庁長官に意見を述べることができる、このようにありましたが、これまでどのような意見がどれくらい出されたのでしょうか。
  55. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答え申し上げます。  昭和二十四年に入場税の免税に対する建議、また、昭和三十五年に日本芸術院会員定数の増員についてと題する建議が院長から文部大臣宛てに提出されたとの記録がございます。
  56. 菊田真紀子

    ○菊田委員 昭和二十四年、昭和三十五年、それぞれ一回ずつ意見が述べられたということでありますけれども、日本学術会議が近年答申を出していないと批判される与党の先生がいらっしゃいましたが、日本芸術院は、はっきり言って、この法律に書かれた役割を、責任をしっかりと果たしているというふうに言えない実態であります。  次に、日本芸術院会館は、JRの上野駅駅前、東京都の上野公園内に、文化勲章を受章され日本芸術院会員でもあった亡き吉田五十八氏の設計で、昭和三十三年に建てられています。日本におけるモダンムーブメントの建築百選にも選ばれた立派な建物です。  文化庁の説明によると、会館が建てられている土地は東京都から賃貸で借りているということですが、月額幾らでしょうか。年間の賃料もあわせてお答えください。
  57. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答え申し上げます。  日本芸術院の敷地については、東京都より公園施設使用許可及び公園占有許可を得ておりまして、これは東京都立公園の条例に基づき、土地借料及びガス管等埋没物占有料として、月額七百二十三万五百二十円、年額八千六百七十六万六千二百四十円を支払っているところでございます。
  58. 菊田真紀子

    ○菊田委員 月額七百二十三万円、年間約八千七百万円、国民の税金から賃料が支払われています。  日本芸術院のホームページを見ると、会館にはすてきな庭園や講堂があり、かつ日本を代表する芸術家の作品もたくさん所蔵されているわけですが、一般の人に対しては、昨年度は三十九日間しか開放されていません。今年度も三十四日間の予定とのことであります。  繰り返しになりますが、国民の税金から年間八千七百万円も支出しているにもかかわらず、一年間のうちわずか一カ月程度しか開放していないという現状は、非常に閉鎖的であり、いかがなものかと指摘したいと思います。  次に、日本芸術院の会員選考に関連してお伺いします。  会員選考の俎上に上がる前に会員推薦という規則がありますが、どのような内容でしょうか。
  59. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答え申し上げます。  日本芸術院会員推薦並びに選考規則というものがございますが、これは日本芸術院会員の会員候補者を選考する手続等を規定した内部規則でございまして、会員総会の議決を経て制定されているところでございます。  この規則等に基づきまして、日本芸術院の会員推薦に当たっては、補充すべき会員数と候補者推薦の時期は会員総会において定める、会員は自己の所属する部に属すべき候補者を日本芸術院長に推薦する、全会員で組織する会員候補者選考委員会を設置し、同委員会の全体会議及び部会ごとに設けられる選考部会での審査選考を経て会員候補者の絞り込みを行う、各部会は、絞り込まれた候補者につき所属部会員全員による投票を行い、過半数の投票者を会員総会に推薦する、各部会から推薦された候補者は、会員総会の承認を経て院長から文部科学大臣への任命の上申が行われる。こういった手順で会員を推薦するということになっております。  なお、同規則には、部が必要と認めた場合には部外からの意見を聞くことができるということとされております。
  60. 菊田真紀子

    ○菊田委員 資料一の「組織」をごらんいただきたいと思います。  今御説明がありましたけれども、日本芸術院は三部から成り、それぞれの部の下に分科会がぶら下がっています。各部の推薦と説明されましたけれども、例えば、第一部の美術では、日本画もあり洋画もあり、書、建築まで六つの専門分野があります。当然ながら、同じ第一部でも日本画の芸術家は書のことは門外漢でありますので、日本画で功績を残された芸術家は日本画の会員に推薦されることになります。同様に、書は書の会員に推薦されなければ会員選考に上がれません。  では、日本画の会員が何人いらっしゃるかといえば、二〇二〇年四月一日現在八名であります。書に至っては三名です。この限られた会員の先生に認められなければ推薦してもらえない制度になっています。逆に言えば、数名の会員の誰かに認められれば推薦してもらえるということであります。  比較して申しわけないですが、菅総理は、日本学術会議の選考を、会員約二百人、連携会員約二千人と関係、つながりを持たなければ会員になれない仕組みだから閉鎖的で既得権益だと国会答弁されていましたが、私は、日本芸術院の選考の方が比較にならないほど閉鎖的で既得権だと思います。  この会員選考制度は昭和の時代から変わりなく、その閉鎖性ゆえに小説の題材にもなりました。直木賞作家の黒川博行さんが、「蒼煌」という小説で、日本芸術院の会員選考を舞台に、お金が飛び交う様子を書かれています。  そして、過去の国会でもたびたび取り上げられています。昭和五十年の衆議院予算委員会第二分科会では、長谷川正三先生が、一当八落とは芸術院会員になるのには一億なら当選で八千万円じゃ落選だというのですねと、生々しい選挙運動の実態をあらわす議事録が残っています。  最近でも、二〇一五年の予算委員会分科会で、当時私と同じ党だった緒方林太郎議員がこの問題を取り上げました。現会員の覚えがめでたい人でなければ選考の俎上にのらないのは問題であり、かつ、日本芸術院会員推薦並びに選考規則では部外より意見を聞くことができるとされているのだから幅広く選考できるように変えていくべきではないかと、当時の下村大臣に質問をされました。  下村大臣答弁は、そのまま読みます。「これは御指摘のとおりだと思います。 今後、芸術院会員の選考に当たりましては、外部の意見を適切に反映されるようにすることが望ましいため、会員候補者の推薦に当たっては、もともと規定があるわけですから、外部の意見が取り入れられるよう、日本芸術院に検討を求めてまいりたいと思います。」と明確に述べられました。  しかし、この二〇一五年の質疑から五年経過した今、なお、日本芸術院は、外部の意見を取り入れるかどうか検討中なんです。文化庁の説明によると、五年間で三十四回の会議を重ねながらも、いまだに結論を出していないということです。  そもそも、身内の会員だけで検討していることは適切だと言えるんでしょうか。一体いつまで会議を続けていくのでしょうか。この間、文化庁は何をしていたんでしょうか。
  61. 矢野和彦

    矢野政府参考人 日本芸術院におきましては、外部の意見を取り入れる方策等について検討を行ってきたところでございますが、特に、平成二十九年の四月に、日本芸術院長、各部からの代表を加えた専門委員会を設置し、平成二十九年六月以降、九回の専門委員会を開催するとともに、計十五回の各部会を開催し、検討を行ってきているところでございます。  それらの検討の成果として、本年度の選考から、外部の意見を取り入れるべきとの御意見が最も強かった第一部におきまして、これは美術でございますけれども、部内のほかの専門領域、他分科からも会員推薦、要するに、ほかの分科の推薦を行いやすくできるようにするといった取組が行われているところでございます。  文化庁といたしましては、検討に当たって、専門委員会及び各部会へ出席の上、必要に応じて意見を述べ、日本芸術院の検討を促してまいりました。  現在、芸術院全体での他部推薦の実現に向けて更に検討を進めているところであり、文化庁としては、このような、芸術院内における検討を促すこと等により日本芸術院会員の選考において外部の意見が取り入れられるよう、検討を加速させてまいりたいと考えております。
  62. 菊田真紀子

    ○菊田委員 任命権者である文部科学大臣が指示をしているにもかかわらず、五年も結論を出していない組織はあり得ません。本当のところは、外部の意見を取り入れると会員の既得権益が失われてしまうから、のらりくらりと議論を続けているのではないかと疑ってしまいます。このようなことを放置したまま、日本芸術院が上申する新会員候補を大臣がそのまま任命するなんて、あってはいけないと思います。  日本芸術院には年間五億円、十年で五十億円の予算がついて、文化庁は職員まで兼務で置いているのです。毎年十二月に日本芸術院の新会員を任命しているそうですが、昨年大臣が任命するに当たって、日本芸術院にこのような課題があることは文化庁から説明を受けておられたでしょうか。そういった問題があると把握された上で任命されたのでしょうか。大臣伺います。
  63. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 日本芸術院は、芸術上の功績顕著な芸術家を優遇するための栄誉機関であり、日本芸術院会員は、芸術上の功績顕著な芸術家から選考すべきものと位置づけられております。  その会員の選考に当たっては、近年の文化芸術に対する国民の関心なども考慮し、時代のニーズを踏まえ、より広い視野で検討することが必要だと考えております。  今次長から答弁をさせましたとおり、会員の選考に当たって外部の意見を取り入れることについて、長い時間をかけて検討しているというふうに承知をしております。今、一部取組は変わりましたけれども、科を超えて内部の人たちが推薦するのでは、これは外部の意見を聞いていることにならないと私も思いますので、引き続き、しっかり結果を出せるように方向性を決めていただきたいなと思っています。  昨年十二月に私は新会員の任命をしました。誤解を恐れず申し上げれば、芸術院に選ばれる皆さんというのは、その分野でやはり立派な方で、素人の私でもどこかで名前や作品に接している、そういう顕著な方であると思います。したがって、それはそれで任命しましたけれども、しかし、問題意識については私は大臣になる前から持っておりましたし、また、文化庁も同様の問題意識を持って一定の、詳しい説明があったかどうかはちょっと記憶にないんですけれども、そのことのやりとりはしたという記憶はございます。
  64. 菊田真紀子

    ○菊田委員 次長に伺います。  昨年、今大臣答弁ありましたけれども、十二月に新会員を任命するに当たって、どのような説明をどういう形でなされたのか、お伺いします。  そして、ことしは、いつ、どのような形で説明をされたのか。こういった問題、課題国会でさまざま指摘を受けてきたこと、そして下村大臣が指示を出したこと、それらを含めて正確に大臣に説明されたのかどうか、確認したいと思います。
  65. 矢野和彦

    矢野政府参考人 昨年の十二月の時点の規定に基づきまして、新会員の任命について昨年大臣に説明しているということでございますが、日本芸術院の会員選考に当たって外部意見を取り入れるかどうかについての検討状況について、明示して説明したかどうか、残念ながら確認できておりません。  なお、日本芸術院の選考に当たって外部の意見を取り入れることについて課題がある、このことについては、今月の中旬ぐらいだったかと思いますが、その検討を行っていることについて大臣に説明を行い、大臣からも問題意識が示されたところでございます。
  66. 菊田真紀子

    ○菊田委員 明示して説明したかどうかは確認できないということでありますので、ぜひこれはしっかりと確認をしていただきたい。その上で、当委員会に資料を提出するように委員長に求めたいと思います。  さらに、下村大臣以降の文部科学大臣に対して文化庁はきちんと説明をしていたのか、あるいはしていなかったのか、この件についても、あわせて当委員会に資料を提出するように委員長に求めます。
  67. 左藤章

    左藤委員長 理事会協議します。
  68. 菊田真紀子

    ○菊田委員 菅総理は、日本学術会議は年間約十億円の税金を使っているから国民に理解される存在でなければならないと日本学術会議を批判しましたが、日本芸術院は国民の税金が年間五億円投入され、会員になれば年間二百五十万円の年金が終身で授与されるのです。その会員になるためには、自身の芸術分野の現会員から推薦を受けなければ選考に上がることすらできません。院に与えられた役割を十分に果たしているとは言えないし、何よりも、文部科学大臣国会の場で選考過程の見直しを検討せよと述べてから五年たってもいまだに見直されていない、これが実態です。  私は立派な芸術家の先生方を批判したり冒涜するつもりは毛頭ありません。しかし、旧態依然としたこの組織のありように、国民の多くが賛同し理解を示すとは思えないのです。今年度の任命が例年どおり来月十二月にありますが、大臣、日本芸術院がきちんと結論を出すまでは、最低でも会員の任命を見送るべきではないでしょうか。国民のために働く内閣として早急に改革をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  69. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答え申し上げます。  先ほども申し上げておりますけれども、現在に至るまで、日本芸術院におきまして、会員の選考に当たって外部の意見を取り入れることについての検討を行っているところでございまして、本年度の選考に当たって、部内の他の専門領域からも推薦を行いやすくするようにといった取組が行われているところでございます。  言うまでもなく、既存の制度につきましては、よりよい制度とすべく不断の見直しを行うということが重要でございまして、日本芸術院の会員選考についても、外部の意見を取り入れる工夫など、さらなる改善を図ることが望ましいと考えております。  他方、現行制度が存在する以上、その見直しを図りつつも、現行制度にのっとった運用を行う必要がございまして、改革検討の結論が出るまで新会員の任命を見送るべきだとは考えていないところでございます。
  70. 菊田真紀子

    ○菊田委員 私のこの問題提起に関して、大臣からぜひ御答弁をいただきたいと思います。
  71. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 私、先生の問題意識は理解できます。  実は、ことしの四月に新国立美術館で日本の二百人という書道展を行いまして、大臣になる前にずっとお手伝いをさせていただいたんです。  例えば書の世界でいいますと、大手の新聞社系列の人たちがこういった高い評価を受けて、そこに所属をしていない団体の皆さんはなかなか日の目を見ないということがあったので、オリンピックの年でしたので、大同団結をして、そういった系列、党派を超えて、本当にお互いに認め合う二百人を選ぼうじゃないかということで、皆さんが垣根を越えてお互いを推薦し合って、二百人の書の代表の方が国立美術館で展示会を行いました。これは業界にとっても画期的なことだったんだそうです。  古く歴史のある団体ですから、それなりに権威もあり、また実力もある皆さんがたくさんいらっしゃいますし、私も先生と同じで、一人一人の方を批判をするつもりは全くありませんけれども、やはり文化とか芸術の概念というのもどんどん時代の変化とともに広がってきていて、我々が想定していなかったジャンルで世界からも評価をされる分野というのも出てきているわけですから、私は、そういった意味で、この令和時代の新しい芸術の評価のあり方というものはやはり必要なんだと思います。  この組織は、下村大臣時代から、選考過程を明確にして外部の意見も聞くようにと言っているにもかかわらず、いまだに答えが出ていないということは、ちょっと私は残念だと思いますので、文化庁はしっかり事務局を果たさせていただいて、新しい方向というのを示していただくことを期待をしたいと思います。
  72. 菊田真紀子

    ○菊田委員 ありがとうございました。  時間が来てしまいましたので、最後に一問、新型コロナが学生の就職活動に与える影響について伺いたいと思います。  当委員会でもたびたび指摘されていますけれども、大変厳しい状況に学生が置かれているわけであります。とりわけ、二度と就職氷河期世代をつくらないために、しっかりと文科省としても支援をしていただきたいというふうに思います。  いわゆる就職留年という学生がいますけれども、こうした学生が引き続き日本学生支援機構の奨学金を借りる、又は給付型対象の学生が引き続き支給を受けること、こうした経済的な支援というのが現行制度では不可能だということでありますので、ぜひこれを柔軟に活用することができないか。せめて、貸与型の奨学金を引き続き就職留年をする学生が借りられるようにしてほしいと思うんですけれども、大臣の見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  73. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 未曽有のコロナ禍にあって、残念ながら就職を希望したい企業の求人すらなくて、本当に悩んでいる学生さんも大勢います。  先日も、経済四団体の皆さんに、何とか、新卒・既卒扱い、三年間の猶予を、いい意味で実際にきちんと見てもらいたいということをお願いをさせてもらいました。  また、文科省としても、頼みっ放しじゃなくて霞が関を挙げて、言うならば就職浪人をせざるを得ない皆さんに対してそのつなぎをどうしていくのかということも、いろいろ具体的に、今、実は考えております。例えば、学校現場に行って、一定程度働いていただく中で求職活動ができるような仕組みというのもぜひつくっていきたいなと思って、今そんな作業もしていますが、御指摘の、このコロナを原因にやむを得ず留年をせざるを得なかった人たちが直ちに貸与型も含めて奨学金を切られるというのは、これはちょっと気の毒な話なので、一定の時限を決めて、やはり、コロナ禍にあって、特別な事情でさまざまな状況が生じた学生に対しては支援策が継続できるようなことを、ぜひ検討を急いでしてまいりたいと思います。
  74. 菊田真紀子

    ○菊田委員 よろしくお願いします。  質問を終わります。ありがとうございました。
  75. 左藤章

    左藤委員長 次に、藤田文武君。
  76. 藤田文武

    ○藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。  きょうは、他党の委員からも何問かありましたデジタル教科書について少しお話をしたいと思います。  GIGAスクール構想が進んでいきまして、教育ビッグデータの活用をどうしていくかというような議論も進む中で、デジタル教科書に注目が集まっているわけですけれども。今、デジタル教科書と一くくりに申しましても、いわゆる今の紙の教科書が、ただ同じ内容が電子書籍化された、平たく言えばPDF化されたようなもので、電子媒体で見られるというところから、更に発展形でいうと、もっと、それがクラウド上につながっていて、学習データが全部裏でビッグデータ等で分析、解析できて、それに伴ってより効果的な教材が提案される、そして更新されていくというような、そういったいわゆるソサエティー五・〇時代デジタル教科書というものも、将来が目に見えるところまで来ているというところでございます。  ちょっと、デジタル教科書について細かくやりたいなと思うんですが、まず、デジタル教科書の定義をお話しいただけたら。確認したいと思います。
  77. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  デジタル教科書の定義についてのお尋ねですが、学校教育法第三十四条第二項においては、いわゆる学習者用デジタル教科書について、「教科用図書の内容を文部科学大臣の定めるところにより記録した電磁的記録である教材」と規定をしているところでございます。また、学校教育法施行規則の第五十六条の五においては、学習者用デジタル教科書には、紙の教科書の全部をそのまま記録するよう定めております。  なお、紙の教科書の内容以外の内容については、今御説明申し上げました法令上の学習者用デジタル教科書には該当せず、補助教材であるデジタル教材として扱われているところでございます。
  78. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  今議論されているデジタル教科書というのは、単純に同じ内容が電子化されたものということだと思います。  教科書というのは、例えば著作権の権利制限等も法的にも整理されていまして、そこは現段階でもデジタル教科書も整理されているというふうに認識するわけですけれども、今後、デジタル教科書あり方を考えていく中で、今、デジタル教科書は使用制限がありまして、各教科書等の授業時数の二分の一に満たないこと、半分以下にしなさいよ、こういうことなんですけれども、これは、検討会議等の、この何で二分の一になったのかということを私もいろいろ調べたり見聞きしたりしたんですが、そこまで科学的な合理性がある数字でもないけれどもスタート時に二分の一で始めようかというようなニュアンスなのかなというふうに理解しているんですが、今後、やはりこの進捗状況に伴って、この二分の一制限というのを緩和すべきときが近い将来来るんじゃないかというふうに思うわけでございます。  ですから、この二分の一としている理由、そしてまた緩和すべきではないかという意見に対しての御見解、そして、これは法律事項じゃないと思うので、意思決定によっては省内の意思決定で多分できることだと思うので、そのあたりを確認させていただきたいんですが、お願いをいたします。
  79. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 学習者用のデジタル教科書の使用制限についての御質問ですが、これについては、段階的にその導入を進めていくことが適当であろうということで、導入当初にはその使用を各教科の授業時数の二分の一未満とされていたと理解をしております。  他方、現在進められておりますGIGAスクール構想によりまして、一人一台端末環境が大きく進むこと、あわせて来年度は小中学校教科書の約九五%でデジタル教科書が発行見込みであることなど、これまでとは大きく環境が変わってまいります。こうした環境整備の進展を踏まえれば、デジタル教科書をより有効に活用できるようにする制度の見直しも必要と考えております。  このため、デジタル教科書の使用を各教科等の授業時数の二分の一未満とする現行の基準につきましては、萩生田大臣の方から検討を加速するよう指示をいただいたところでございまして、現在議論をされております有識者会議において、年内を目途に一定の方向を示していただく予定で議論が加速をされているところでございます。  また、実際に見直すこととなる場合については、委員御指摘のとおり、法律ではなくて告示でございますので、この基準を定めている告示を改正をすることを予定しておりまして、有識者会議においてお示しいただく方向性の結果を踏まえて、私どもとしては今年度中に必要な措置を講じさせていただきたいと考えております。
  80. 藤田文武

    ○藤田委員 有識者会議意見次第ということもあるかと思うんですが、ぜひこれは、私自身は、自由度をもう少し上げて加速させた方がいいんじゃないかなという意見です。  このデジタル教科書導入段階的にというのが先ほど大臣からも答弁があって、予測不能な混乱みたいなものを避けることは確かに合理的だと思いますが、やはりこれは、テクノロジーが進化していまして、どんどんどんどん新しいやり方、教授法なんかについていかなければならないという中で、私はそのスピード感は速めるべきだというふうに思いますが、この段階的にというのはどれぐらいの時間軸を考えておられるのか。  あと、将来的に紙とどう整合性をとっていくか。いつまでも併用制のようなものでいくのか、又は、原則デジタルで例外的に紙なのか、原則紙で例外的にデジタルなのか、この辺は非常に重要なことかなというふうに思いますので、今省内でどのような検討がなされているか、お聞かせいただけたらと思います。
  81. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  学習者用デジタル教科書の今後のあり方については、現在、有識者会議において議論をしているところでございます。次の小学校用教科書の改訂時期が令和六年度にございますので、その六年度における本格的な導入を目指して検討を進めているということでございます。  デジタル教科書普及促進を図るということは児童生徒学びの充実の観点からも重要なことと考えておりまして、紙の教科書との関係も含めた今後のあり方についても、この有識者会議において議論がなされているところでございます。  現在の学校現場状況に鑑みれば、まずは紙の教科書と併用しつつ、デジタル教科書に関する実証研究を行わせていただいた上で、その成果も踏まえまして検討を加えるということが重要と考えておりまして、その上で、必要な取組を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。
  82. 藤田文武

    ○藤田委員 今、実証研究の話がありましたので、ちょっと一問飛ばして、教育上の効果とか健康面への影響等ですね。調査研究等の結果を踏まえることが必要であるということが検討会議でも指摘等されているんですけれども、これは実際に調査研究等は進んでいたりするものでしょうか。
  83. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  大規模な実証研究というのは来年度概算要求の中で現在折衝中でございますが、令和元年度でいうと六校、本年度でいうと五校という、極めて小規模な実証研究はこれまでも行ってきたところでございます。  成果としてあらわれている令和元年度の小規模な実証研究においては、児童生徒を対象に実施をしたアンケートでは、学ぶことに興味や関心を持つことができる、あるいは、学習を振り返り次の学習につなげることができる、自分の考えを繰り返し書き直したり考え直したりすることができるとか、書き込んだり消したりを繰り返せることは考えるときに大変便利であるという意見とか、さらには、書き込みをしたデジタル教科書を見せることは自分の考えを説明をしたり話合いをしたりする際に役立つと、学習上の効果のようなものも含めて、そういった答えを書いた児童生徒も多く見られたところでございます。  また、もう一方で、健康面についてですが、健康面への影響を調査するアンケートでは、よい姿勢ができた、あるいは画面と目の距離を三十センチ以上離せた、これは離すように指導をできるだけしているわけですけれども、そういうことができたと回答した生徒の方が目が疲れていないと感じている傾向が見られたところでございます。  今年度、令和二年度におきましても、学習者用デジタル教科書の使用による教育上の効果、影響を把握、検証するための小規模な実証研究実施しておりますが、来年度の令和三年度概算要求においても、一人一台端末環境が今後整備されますので、これも見据えまして、デジタル教科書効果、影響を検証しながらさらなる普及促進を図るための経費を計上しており、引き続きこれらの実証研究等を着実に進めてまいりたいと考えております。
  84. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  きょうの本題が次の問いなんですけれども、大臣にちょっと感覚を聞きたいなというところなんです。  最初に申し上げましたように、このデジタル教科書、今のくくりで言うと、内容がそのまま電子化されたもの。でも、私は、本丸はその先にあるというふうに思っていまして、やはりテクノロジーによって裏側にビッグデータがつながっていて、より質の高い教材、教科書というものが生まれつつあると。世界でもそういう方向に進んでいます。  わかりやすい説明をすると、例えば歴史の教科書だったら、ヨーロッパの地図なんかが出てきて、それをぱっぱっぱっとクリックしたら年代別の領土地図みたいなのがぱっぱっぱっと変わったりして、クリックしたら一番重要なところが動画で二分ぐらい流れたりして、そこに小テストがまとめでついていて、その結果なんかが、どこのページを見た人が正答率が高いかとか、そういうものが全部裏側でつながっていたりして、より注目度が高まるような、そういうようなコンテンツを更新していけるとか、個別最適を考えたら、その子に合ったような表示がされるとか、そういうところまで進む可能性があるわけです。  実際に、これはスーパーシティーやスマートシティーでもそうなんですけれども、テクノロジーをいかに社会実装するかというのがこれから私たち課題であって、こういうことを、やはり課題を整理、そして解消していかないといけないというのが私の問題意識なんです。  なので、それを考えれば、今実際に、今話したようなことは、技術上はもうできます。実際にそれに近いことが、民間の、例えば私、発達障害の療育にちょっとかかわっているんですけれども、そういうところではもう既にそれに近いようなものが使われています。ですから、技術的にはできる。でも、これをどういうふうに位置づけていくかというのは、これは非常に重要な課題であると私は認識をしております。なので、ただ電子に置きかわった、いわゆるPDF化されたものをどうするかということは、その先にあるものも含めて、スケジュール感のイメージ、時間軸のイメージも考えないといけないんじゃないかという問題意識がございます。  そのあたり、この先のデジタル教科書についての御見解を大臣にお聞きしたいと思います。
  85. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 現行の学習デジタル教科書では、紙の教科書の内容を全て掲載し、その同一性を担保するようにしておりまして、今先生御指摘の動画などの情報は、補助教材であるデジタル教材として提供されています。  有識者会議では、令和六年度からのデジタル教科書の本格的な導入に当たって、デジタルのよさを最大限に生かしながら使用することができるようにする必要があり、相対的に自由度が高く多様かつ迅速な提供ができるデジタル教材との連携を図っていくことが重要だという議論がなされております。  また、令和六年度から使用される教科書については、編集、検定、採択をそれぞれ令和三、四、五年度に行う必要があるというスケジュールなどを考慮すれば、議員御指摘のような最先端のデジタル教科書については、将来的に検討すべきものとすることが適当ではないかとの方向有識者会議において議論がなされているものと承知をしております。  先ほどもお答えしましたけれども、GIGAスクール構想皆さんの御支援で単年度で完了することになりました。一人一台の配備まではいきますけれども、これ、四年間でやる予定だったものを前倒ししたので、デジタル教科書についても、並行していろんな検討をしていくはずだったのを、今早回しでいろんなことをやっています。先ほどお答えしたように、せっかくデジタル整備されるんですから、使えることを使わないで後ろ足をそろえるのはもったいないことなので、いろんなことはチャレンジしてみたいと思うんですが、他方、想定を超える課題というのも出てくる可能性もあるので、先ほど申し上げたように、慌てずに慎重に、しかし急いで、このデジタル教科書あり方については対応をしっかりやっていきたい、有識者会議においてもその方向で取りまとめをいただきたいというふうに考えているところです。
  86. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  ちょっと質問が残りましたが、終わりましたので。  ただ、検定の問題、デジタル教科書を検定していくのかとか、さっき言ったような、最新テクノロジーは検定の中におさめるのは非常に難しい。ですから、このあり方なんかをやはり整理していかなければいけないという課題意識がございますので、引き続き詳しくやりたいと思います。  ありがとうございました。
  87. 左藤章

    左藤委員長 次に、上杉謙太郎君。
  88. 上杉謙太郎

    ○上杉委員 自民党の上杉謙太郎でございます。(発言する者あり)ありがとうございます。  きょう質問の機会をいただきまして、理事の先生方、先輩委員の皆様に感謝申し上げます。  ちょっと質問の順番を変えて質問させていただきます。きょうは、科学技術関係二問と、あと学校コロナ関係で六、七問という形になっておりまして、先にちょっと科学技術についてお話を伺いたいと思います。  大臣所信の中にもありましたが、ムーンショット型研究開発と。これから日本はさまざまに科学技術、テクノロジーを進展させていって、ある意味、それを国の基幹としていかなければならないというふうに思っております。  また、例えば夢のような話ですと、私たち子供のころとか、例えば鉄腕アトムでしたら、鉄腕アトムのアニメの中で博士と腕時計でしゃべるようなシーン、皆さん覚えていると思うんですけれども、当時、子供のころはまさかそんなことが実現するとはなかなか思っていませんでした。でも、今実際にアップルウオッチとかでもうそれは実現されているわけでありますし、皆様が当然のように今持っているiPadとかタブレット、そういったものも、これだけ便利になりましたけれども、十年、二十年前は想像ができなかった。  今、目まぐるしくテクノロジーが進歩、急進しているという状態であります。そういった中で、GIGAスクール構想もそうでありますし、国会においても、どんどん電子化していこう、またデジタル庁、いろんなことが進んでおります。  そういう実現が近いものというものが一つと、このムーンショット型というのは、そのもっと先にある、実現不可能かもしれないけれども、研究していく上ではハイリスクかもしれないけれども、でも、これがもし実現して、かつ社会に実装されれば相当なインパクトがあるというものを野心的に、文科省さん、そして内閣府さん、また経産省さん等々進めていってくださっております。  このムーンショット型研究について、きょう内閣府さんにお越しいただきましたので、概要について教えていただけますか。
  89. 千原由幸

    千原政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のムーンショット型研究開発制度につきましては、超高齢化社会や地球温暖化問題などの重要な社会課題に対しまして、国が野心的な目標を設定し、その達成に向けて、従来技術の延長線上にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発を推進するものでございます。  本年、総合科学技術・イノベーション会議及び健康・医療戦略推進本部で、二〇四〇年又は二〇五〇年までに実現すべき七つのムーンショット目標を決定したところでございます。  例えば、目標一では、アバター等の先進技術を活用し、誰もが時間や空間等の制約を超えて多様な活動に参画できる社会の実現を目指しているところでございます。
  90. 上杉謙太郎

    ○上杉委員 ありがとうございます。  このムーンショット型の資料を見ますと、七つの目標を掲げていて、今御説明のあったこともそうであります、アバターもそうでありますし、パワードスーツとか、ちょっと体の不自由な方がロボットを体につけて不自由なく歩行をしたりですとか、物をつかんだりすることができるですとか、いろんな研究が進んでいるということです。  量子コンピューターもそうでありますし、地球環境もそうでありまして、CO2を例えばゼロにする、今ちょうど二〇五〇年の目標が出ましたけれども、大気中のCO2を直接回収して、かつ資源化する、さまざまなすばらしい取組が計画に入っているわけであります。  しかも、ちょうど今、まさにこの時期に、この秋冬で、その研究者も選定が決まったり、一つ一つの研究がスタートをしたということでありますので、非常にタイムリーだなというふうに思っております。  今、その進捗状況についても教えていただけますか。
  91. 千原由幸

    千原政府参考人 お答え申し上げます。  本制度では、目標ごとにプログラムダイレクターが最適なプロジェクトを組み合わせた研究計画を構築しまして、そのもとで、複数のプロジェクトマネジャーが失敗を恐れず挑戦的な研究開発を推進することとしております。一部の目標は、プロジェクトマネジャーとの契約を締結して研究を開始しておりまして、残る目標についても、順次研究を開始する予定でございます。  また、若手の柔軟かつ自由な発想によりまして、ポストコロナの未来社会を見据えた新たな目標の候補を検討することといたしておりまして、若手中心の検討チームの公募を行い、現在、選定を行っているところでございます。  今後とも、関係府省、関係法人と連携をいたしまして、ムーンショット目標の達成に向けて、着実に研究開発を推進してまいります。
  92. 上杉謙太郎

    ○上杉委員 ありがとうございます。  補足すると、各省庁さん、基金を積んで、一千億円の基金の中で十年かけてやっていくということでありましたが、未来投資でありますので、桁をもう一個ぐらいふやして研究を進めていくべきだなというふうに思っております。アメリカにしても中国にしても、先進的な企業の研究も含めてどんどん進んでいるわけでありますから、日本の科学技術振興のために、さらに、来年度以降は予算をもっと増額する等々検討していっていただきたいというふうに思います。  続いて、話を当初のものに戻しまして、学校教育現場についてでありますが、先ほど笠先生からも御質問がありましたので、ちょっと重複する部分ではあるんですけれども。  これから十二月になって、インフルエンザもはやってくる。コロナについても、休校の扱い、質問がありましたけれども、学校保健安全法があって、例えばインフルエンザであれば、何人かが出たら学級閉鎖、その後学年閉鎖、今度学校閉鎖という、去年まではそういうのがあった。  コロナについては、一人出ただけで一発休校という形をとっておりましたが、やはり、学校保健安全法の中であれば、感染症ということで、同じようにコロナもインフルエンザも位置づけられていて、これから、各市町村の教育委員会にしても、校長先生を始め学校にしても、どういうところで休校措置をしたらいいのか、学級閉鎖にしたらいいのか、そういうところについてはしっかりと事前に文科省さんの方で指針なりを示しておく必要があるというふうに思います。  学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル「学校の新しい生活様式」というのもありますから、例えばこれを改定するということも含めて、そろそろしっかり、ことしは、子供たちもしっかりマスクをしたり新しい様式でやっていますから、インフルエンザの去年までのような感染拡大というのは恐らくないといいますか、そこまで感染も広がらないかもしれませんけれども、いずれにしても、でも、インフルエンザに対すること、コロナに対することで、休校なり学級閉鎖なりをどうするかというのをしっかり指針を示す必要があるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  93. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 新型コロナウイルス感染した児童生徒が出た場合、出席停止の措置は校長、臨時休業の措置は教育委員会等が行うこととなります。  新型コロナウイルスに関しては、児童生徒発症割合重症割合は他の年代に比べてともに小さいこと、また、感染経路家庭内感染が多く、現時点では学校を中心に地域に広がっている状況ではないことなどの状況がわかってまいりました。  文部科学省としては、児童生徒学びの保障と感染症対策を両立する観点から、臨時休業について、真に必要な範囲にとどめるよう、委員御指摘のとおり、衛生管理マニュアルを改定をして、臨時休業の考え方を改めて示させていただきたいと考えております。  以上でございます。
  94. 上杉謙太郎

    ○上杉委員 ありがとうございます。ぜひお願いします。きょう十一月二十七でありますから、早目に、二学期中に、もう来週、再来週にはぜひ出していただきたいというふうに思います。  また、感染者が出ると、その感染者に対して、また御家族に対して、偏見や差別等、どうしても出てきてしまうんですね、村八分にされたりとか。子供たちに対してそういうことはしちゃいけないんだよということを教えていかないといけない、もうやっていらっしゃるとは思うんですけれども。  私たち、例えば福島県であれば、十年ほど前、東日本大震災があって、いわきナンバー、福島ナンバーというのはいろいろ偏見を受けたという過去があります。だからこそ文科省さんは、放射線に対する正しい理解ということで、学校教育現場に小学生用、中学生用のパンフレットを、放射線副読本をつくってくださいました。  そこまでは必要ないかもしれませんけれども、しっかりと学校の中で、そういう偏見等をしてはいけないんだよ、そういう取組をしているとは思うんですが、すべきだと思いますけれども、御説明いただけますか。
  95. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答えいたします。  新型コロナウイルス感染者等に対する差別や偏見等は決して許されないものであり、また、感染したことを言い出しにくくなると、かえって感染拡大にもつながってしまうということから、その防止に努めていく必要があります。  このため、文部科学省としては、八月に萩生田大臣から、児童生徒や学生の皆さんへというもの、それから、教職員を始めとした学校関係者の皆様へ、もう一つ、保護者や地域の皆様へと、大きく三つのメッセージを発出をさせていただいたところでございます。  また、先月十月には、学校向けの啓発動画、子供たちにとってわかりやすい、動画による差別、偏見をなくそうと訴えるものと、加えまして、この動画をもとにした授業用のスライドや指導例、ワークシート、掲示用のポスターや保護者向け便りなど、セットで作成をさせていただいて、その活用に向けた周知に努めているところでございます。  今後とも、関係省庁とも連携をしながら、この偏見、差別等の問題についてはしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  96. 上杉謙太郎

    ○上杉委員 ぜひよろしくお願いいたします。道徳の時間ですとかそういうところを活用して、ぜひ進めていっていただきたいというふうに思います。  続いて、学校外のことですけれども。学校が休校しているときに、今は学校は再開していますけれども、例えば子供食堂とか子供宅食についてなんですけれども。  万が一また学校を休校するですとか生活の制限が入ってくるというときに、今まで、子供食堂でいえば、御飯を食べに子供食堂にみんな来ていましたけれども、何か制限が入った場合、子供食堂に行って御飯が食べられないという状況も出てくるかもしれませんので、そうすると、子供宅食といって、子供のいる家庭に御飯を届けてあげるという、今こういうのもスタートしているんですけれども、これは、子供の見守りとかにもプラスになりますし、ぜひどんどん進めていくべきだというふうに思うんですね。  本来であれば、子供に特化することなく、ひとり暮らしのおじいちゃん、おばあちゃんに対してもこういうのを幅広くやっていくべきだと思うんですけれども、子供宅食について、きょう厚生労働省さんにもお越しいただいていますので、どういうふうに対応されているのか、御説明いただけますか。
  97. 岸本武史

    岸本政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、子供の見守りの機会が減少し、児童虐待リスクが高まっていることから、民間団体などにも協力を求め、さまざまな地域のネットワークを総動員して、地域の見守り体制を強化することが必要であると考えております。  そのため、ことしの四月に子どもの見守り強化アクションプランを策定いたしまして、さらに、子供食堂や子供に対する宅食等の支援を行う民間団体等が支援を必要とする子供の居宅を訪問するなどしまして状況把握や食事提供等を通じた子供の見守り体制を強化する、そういった経費を支援する支援対象児童等見守り強化事業を本年度の第二次補正予算で計上させていただいたところでございます。また、各自治体で本事業を実施していただくため、これまでも民間団体等とも連携して事業の周知を行ってきております。  厚労省といたしましては、この事業が一層活用されますよう、引き続き、民間団体等とも連携し、好事例の収集や横展開に取り組むとともに、自治体において子供を見守る体制を引き続き確保できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
  98. 上杉謙太郎

    ○上杉委員 ありがとうございます。  補助率は十分の十でありますし、すごく使い勝手のいい事業でありますので、単年度でなくて継続的に進めていっていただきたいというふうに思います。ぜひよろしくお願いいたします。  続いて、GIGAスクール構想についてなんですけれども、補正で組んで、今、各自治体ごと、iPadなのかタブレットなのかPCなのかで準備が進んでいるというふうに思いますけれども、その端末の配備状況というんですかね、進捗状況は今どういうふうになっているのか、教えていただけますか。
  99. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  文部科学省としては、GIGAスクール構想実現に向けまして、二度の補正予算を通じて大幅に前倒しを行っており、一日も早く確実に子供たちの手元に端末を行き渡らせることが重要と認識しております。  このため、関係事業者への協力依頼でございましたり、自治体への整備加速の要請や好事例の紹介などの取組を行っておりますが、八月末の時点での調査によりますと、年内に配備、調達が終わるというところが大体二九%、年度末までにほぼ一〇〇%という見込みで、現在納品が進んでいるところでございます。  文科省としては、ICT活用教育アドバイザーの派遣等も通じまして、端末の早期かつ確実な納品に向けて自治体に対して助言、支援を行うとともに、関係の事業者に対する協力依頼、更に努めてまいりたいと考えております。  以上です。
  100. 上杉謙太郎

    ○上杉委員 ありがとうございます。  年度内にほぼ全て、一〇〇パーですね、全ての学校生徒たちに行き渡るということを確認いたしました。であれば、来年の四月の授業から、タブレットを活用して授業がスタートするというふうに理解をさせていただきました。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。  いろいろ問題はありますけれども、まずは一人一台行き渡らせる、そういう授業をスタートさせるということに今文科省さんで重点を置いているわけでありますから、じゃ、そうすると、来年の小学校六年生が一年後、中学校一年生に行ったとき、そのタブレットは新しい一年生に渡すのか、人によっては画面が割れている子もいるかもしれませんし、多分いろんな問題が出てくると思うんですよね。タブレットも、二年、三年たてばどんどん壊れていったり、もっと新しいものが出てくるので、更新といいますか、そういうこともいろいろ出てくると思いますので、そこは引き続き、お互い議論をしながら、学校現場にいい環境をつくっていけるようにさせてもらえたらありがたいというふうに思います。  また、一個質問を飛ばして、自分で言わせていただきますけれども。  一人一台端末は、貸与であるので、その子供に上げるというわけではないですよね。ですので、学校端末であると。ただ、その子一人一人にしっかりとアカウントをとってもらって活用してもらうということであるというふうに思いますので、一応、そこは自分一人で話をさせて、次の質問に行きたいと思います。  この端末なんですけれども、少し幅広に、いろんな点で利用した方がいいと思うんです。  一個目は、その支援員というんですか、ICT活用教育アドバイザーですとか支援員の方にいろいろサポートをしてもらって、セッティングも何かやってもらうみたいな話を伺ったんですけれども、子供たちの最初の授業で、箱をあけるところからやってもらった方がいいと思うんです。箱をあけて、自分で充電をして、電源を入れて、アカウントを登録することも、これも一つの授業になりますよね。  そういった形をとっていただきたいというふうに思うんですけれども、ここは大臣どのようにお考えか、教えていただけますか。
  101. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 議員御指摘の初期設定については、学校現場負担とならないように、ICT端末の納入事業者やGIGAスクールサポーター等によって実施されているものと承知をしておりますが、例えば、小規模な学校において、教師や専門家の支援を受けながら、児童生徒がみずからICT端末の初期設定などの作業を行った取組事例もあると承知しています。  こうした取組は、端末を大切に扱おうとする態度の醸成や情報通信技術の理解促進等を図る側面もあると考えられることから、文科省としては、教職員負担児童生徒状況等を勘案しながら、創意工夫の一つとして、学校現場ごとに判断していただくことが適当だと考えております。
  102. 上杉謙太郎

    ○上杉委員 ありがとうございます。学校現場判断したら、確かにいいと思います。  恐らく、端末の納入事業者が実施しているものというのは、多分そこのお金も取られていますよね。四万六千円で端末だけ購入した自治体というのは、自分たちでやらないといけないんだというふうに思います。例えば、そういうところは、開封するところから先生も生徒も一緒になってやったら、ともに勉強になるというふうに思いますので、本来はそこから全部全ての学校でやったらいいというふうに思います。  次の質問なんですけれども、同じく幅広に、iPadなりを活用する一つの例としては、子供たちの安心、安全という点でなんですけれども、質問時間が終わりましたので、これを最後の質問に、大臣にいたします。  地域コミュニティー制度もありますけれども、例えば、子供が下校してちゃんと家に帰る、そこの安心、安全を実はタブレットで管理することもできるんじゃないか。管理と言うとよくないかもしれませんけれども、GPS機能を使って、自宅に着いたら通知が来る、先生もわかる、お父さん、お母さんもわかるというふうにすれば、こういう端末活用して、更に子供の通学の安心、安全、防犯というのを図れるというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。大臣、よろしくお願いします。
  103. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 まず、小学校でお使いいただくタブレットなどのスペックでは、GPSは基本的には入っていないという前提でおります。  また、持ち帰りをすることが是か非かというのは、教育委員会学校現場判断していただこうと思っています。我々としては、とにかく皆さんが自由度高く使っていただくことが大事だと思っていますが、あらかじめ文部科学省が、家に持ち帰ってそれを使うようにとか持ち帰らせてはならないとか、そういうことを決めるつもりは全くありませんので、そこは柔軟に各自治体で対応していただきたいと思います。  したがって、GPSで子供たちの居場所の管理をするというのは、安全上は必要なことなんですけれども、やはりプライバシー等にもかかわることなので、これは、今後そういう時代がどんどん来るんでしょうから、それに合わせて、ふさわしいやり方というものはしっかり検討はしていきたいと思っています。
  104. 上杉謙太郎

    ○上杉委員 ぜひよろしくお願いいたします。  これで質問を終わります。ありがとうございました。
  105. 左藤章

    左藤委員長 次に、浮島智子君。
  106. 浮島智子

    ○浮島委員 公明党の浮島智子です。よろしくお願いいたします。  時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。  私は、全ての子供たち学びのチャンスを提供する、これは教育行政の大きな役割の一つだと思っております。さまざまな事情で義務教育を修了することができなかった方々の学びの場である夜間中学校というのは、その役割を担う重要な仕組みであると思っております。  実は、公明党の衆議員でありました池坊保子さんがずっとこれにかかわってこられましたけれども、勇退された後、この夜間中学に誰も携わってくる方がいらっしゃらないということで、全国夜間中学校研究会の方が私のお部屋にお越しくださいまして、どうか超党派の皆さんで夜間中学をしっかりと守っていただけないかというお話をいただき、二〇一三年の八月の六日に、私の方で代表呼びかけ人とさせていただきまして、各会派の皆様方に御出席をいただき、義務教育学習機会充実に関する議員立法の成立に向けた超党派参加・国会院内シンポジウムというのも開かせていただきました。そして、その後も長くずっと、各県に最低一校はということで超党派で訴えてきたところでございます。  地方地域現場を大事にするという菅内閣だからこそ、この夜間中学校の設置促進、これは国と地方が心を一つにして取組を加速する必要があると私は思っております。  今、この夜間中学というのは、昔は外国人の方が多いとかお年寄りの方が多いとか言われておりましたけれども、今は、不登校であったり、いじめに遭ったり、そして、学校に中学校のときに行けなかった、卒業したけれども、もう一回学び直しをしたいという、さまざまな大きなニーズが含まれているところでございます。  私は、きょう、大臣にはしっかりとこの夜間中学、推進をしていっていただきたいというお願いとともに、また、昨年度と今年度のGIGAスクール構想といたしまして四千六百十億円という国費が投入されたところでございますけれども、新しい教育が動き始めていると思いますけれども、義務教育で学ぶ子供たちの中では、経済的に厳しく、そして、家庭で情報端末を使って学ぼうとしても、通信料が支払えないとか、またデジタル教科書の教材のお金がないといった事情も多く聞かれます。  市町村の教育センターで各学校のインターネット回線を集約するため、実際に各教室で子供たちが自分の端末をインターネットに接続したら全ての回線が切断されてしまうローカルブレークアウト、この間も、先駆的にやっている戸田市でも回線がパンクしてしまったということがありましたけれども、こういうローカルブレークアウトの問題を解決しなければ、この四千六百十億という投資が無駄になりかねないと私は思っております。  さらに、義務教育だけではなくて、高校生にとっても一人一台の情報端末が必要だと思います。高校生の間では家庭環境によって情報端末に大きな差がありまして、学び環境を分断すること、これを招くことがあってはならないと私は思います。  また、専門高校で学ぶ学生たちにとって、産業教育の施設整備喫緊課題だと思っております。私のところにも、全国都道府県の、会長や現場の皆様から、しっかりと整備してもらいたいというお声をたくさんいただいております。  そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますが、全ての子供たち学びのチャンスを提供するという観点から、一つは、夜間中学の設置の促進、そして、二つ目にはまた、GIGAスクール構想実現のためには、小中におけるオンライン授業実施の把握と、家庭環境の困難さに向かい合っている子供たちへの支援の充実、いわゆるローカルブレークアウト対策の徹底、そして、高校生についても一人一台の情報端末整備と、あとは、専門高校の施設設備の刷新を図ることが必要だと思います。  この点について、補正予算における対応を含めて、大臣の取組をお聞かせいただきたいと思います。
  107. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 全ての子供たちに質の高い教育を保障するためには、学びのセーフティーネットに加え、教育の質の向上を図るための取組を加速させる必要があります。  先生御指摘の夜間中学につきましては、設置促進に向けて、不登校などのさまざまな事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方や、外国籍の方を含む、義務教育を修了できなかった方などに対して、夜間中学は、教育を受ける機会を保障する重要な役割を果たしているものと考えております。  政府としては、各都道府県、指定都市に少なくとも一校は夜間中学が設置されるよう、引き続き、夜間中学の新設や教育活動の充実のための支援を行ってまいります。  また、令和時代にあって、デジタル化の推進は、質の高い教育実現する上で必要不可欠です。  これまで文部科学省では、オンライン教育を含め、各地域におけるICT活用した取組事例を収集、周知するとともに、GIGAスクール構想において、経済的にICT環境整備が困難な家庭に学校が貸与するモバイルルーター等の整備を支援しており、こうした取組を進めておりますし、デジタル庁を目指すわけですから、将来的には、WiFiフリーの日本国家、国土というのをつくっていく必要があると私は思っております。  さらに、一人一台端末環境実現し、本格的な活用が行われた際に、通信環境が原因となったふぐあいが生じないように対応することは極めて重要であると考えており、ICT活用教育アドバイザーを通じて、クラウド活用に向けて、自治体に通信環境の増強に向けた取組を促すなどの方策を進めてまいります。  加えて、さらに、高校生等も含めた全ての子供たちに対するICT環境整備が急務と考えておりまして、高等学校における端末整備については、地方自治体が独自の財源を確保して端末の調達を進めている事例や、BYODを進めている事例等の多様な実態も踏まえつつ、引き続き、GIGAスクール構想に基づき、高等学校も含め、学校ICT環境の一日も早い整備に向けて最大限努力をしてまいりたいと思います。  専門高校における産業教育施設整備の充実は、ソサエティー五・〇時代地域産業界を担う職業人育成に向けて大変重要であり、今後とも、国として果たすべき支援を進めてまいりたいと思います。  文科省としては、全ての子供たち可能性を引き出す個別最適な学び協働的学び実現に向けて、引き続き、あらゆる機会を捉え、スピード感を持ってこのような取組を推進してまいりたいと思います。
  108. 浮島智子

    ○浮島委員 ありがとうございます。  誰一人置き去りにしないという観点からも、全ての子供たちにしっかりとした学びのチャンスの提供をしていただくよう、改めてお願いをさせていただきたいと思います。  次に、この学びのチャンスを提供しなければならないのは、初等中等教育だけには限られません。大学、特に大学院で研究に励む学生さんたちから、さまざまな声が私のところに来ております。ウイズコロナ状況の中で、研究室が閉鎖されてしまって、論文のために実験をしなければならないけれどもできない、途方に暮れたという声をたくさんいただきました。  そのため、今年度の二次補正予算では、研究室に行かなくても遠隔で実験できたり、実験を自動化できたりするスマートラボラトリーのための経費、これは二十一億円というのを計上していただき、二十一機関を支援しようというところでございましたけれども、実に九十一機関から申請があったと聞きました。このスマートラボの実現によっては、各大学大学院で学ぶ学生さんたち皆さんの強いニーズになると私は思っているところでございます。  文科省としては、令和三年度の概算要求に、二次補正に計上した予算額の約五倍に当たる百十億円というのを盛り込みました。文科省のこの積極的な取組には、私は評価をしたいと思います。  そこで、学生や教職員などを新型コロナウイルス感染症の脅威から守り、そして研究活動の維持強化を図るとともに、世界的に進む研究環境デジタル化に対応するため、オートサンプルエクスチェンジャーやクライオ電子の顕微鏡などの活用による研究設備の遠隔利用そして自動化の推進に向けて、これから編成される第三次補正予算や来年度予算案にしっかりと所要の経費を確保すべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  109. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 コロナ禍において、大学等では学生や教職員の研究活動が制限され、博士課程の学生やポスドク等の若手研究者の研究活動が停滞してしまうと、研究成果が上がらず、研究者としての将来が見通せない状況に陥ってしまうことが危惧されます。  文科省では、第二次補正予算として二十一億円を計上し、研究設備の遠隔利用や自動化を推進してまいりましたが、先生も御披露いただいたように、九十一機関から応募がありました。更に多くの大学等からも御要望をいただいているところでございますので、引き続き、補正予算等を使ってしっかり対応していきたいと思っています。  研究設備の遠隔利用や自動化の推進は、若手研究者を研究設備の管理から解放するとともに、研究環境デジタル化を推進し、これまでの研究環境に変革を起こすものです。  そのため、令和三年度概算要求において、オートサンプルチェンジャーを含む研究設備の遠隔利用や自動化の推進のための設備経費として百十億円を始め、必要な経費を計上しております。また、クライオ電子顕微鏡についても、公明党の皆さんから御提言いただいた創薬支援基盤の抜本強化に向け、自動化の技術開発と整備台数の強化を両輪で進めるために必要な経費を計上しているところです。  今後、調整の過程において、第三次補正予算も含め、必要な予算を確保すべく、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
  110. 浮島智子

    ○浮島委員 ありがとうございました。  最後に、これは私からお願いですけれども、現場にいろんな意見を聞きますと、スクールサポートスタッフ、学習指導員の件でございますけれども、予算をつけてくれたのは非常にありがたい、だけれども人がいないということで、大変皆さん困っておられます。  そこで、私からのお願いですけれども、コロナ禍においてバイトがなくて困っている大学生も非常に多いです。なので、しっかりと全国大学教育委員会をマッチングさせて、スクールサポートスタッフを確保する、学習指導員をしっかり確保するという点に関しまして、学生にもメリットがあると思いますので、学生、大学生等をしっかりと御活用というか使っていただき、学生にもメリットがありますので、予算があっても人がいないということではなくて、しっかりとこれが動くようにしていただきたいということをお願いをさせていただき、質問を終わります。  ありがとうございました。
  111. 左藤章

    左藤委員長 次に、寺田学君。
  112. 寺田学

    ○寺田(学)委員 寺田です。  貴重な貴重な質疑時間をいただきましたこと、本当に、小渕理事、牧理事を含めて、関係者の皆様には心から感謝申し上げたいと思います。  どうしてもちょっと質問時間をいただきたいと申し上げたことは、きょうを含めて三回目になりますけれども、医学部医学科を受けた女子受験生を不利に扱った、世界に恥ずべきような女性差別に関して、残念ながら望ましい方向に進んでいないということがあったので、ぜひとも質疑をさせてほしいということでありました。  医学部医学科を受けた女子学生を不利に扱うような採点をしたというようなことがありまして、文科省としても、大臣としても、男女別の合格率を開示するということを答弁されましたし、政府の男女共同参画においても、その男女別の合格率を開示する旨、最近も高らかにうたっておりますが、実態はどうかと申し上げると、後ほど、お渡ししているクロノロジーに沿ってお伝えしますけれども、AJMC、全国医学部長病院会議の自主的な開示を望んでおりましたけれども、男女別、大学別は開示しないという返事がこの間ありました。  そういう意味においては、もう文科省としての責任というところに問題は移ると私は思っています。  二枚あるうちの一枚、お渡ししているうちに、時系列に並べたものがあります。全部説明すると時間がないのであれですけれども。  二月二十五日、大臣に、予算の分科会で非常に力強い御答弁をいただきました。全国医学部長病院会議で自発的に実施されることをまず期待したい、先生の御指摘の議論云々とありますが、しばらくは皆さんきちんとやるだろうと。実際のところ、最初からやっていませんけれども。これを見逃しちゃいかぬということで入試情報の開示を徹底してまいりたいと思います、結果として比率は出てくると。出てきませんでした。結果として比率は出てくることになると思います、いずれにせよ今回のことを一過性にしないで文科省としてしっかりウオッチしていくと、力強い御答弁と問題意識をいただきました。  これで私は何とかなるだろうと思ったんですが、その後、うちの事務所の方でこのAJMCの方に連絡をすると、八月の段階ですけれども、個別データは公表しないと言ってきました。そのことに関して文科省にはお伝えをし、文科省も重い腰を上げて、何度かつついていただいたんですが、十一月二十日、この間ですけれども、文科省がAJMCに確認をしたところ、時期未定で、大学別の公表はしないという判断をしました。  それを受けて、文科省として、お手元にもう一枚渡してあるアンケート用紙ですが、男女別の合格者比率の調査ではなくて、おたくの大学はそれを自主的に公表していますかというアンケートを出すというのにとどまっています。自主的にも公表しない。  このクロノロジーの最後に載せていますけれども、きのうの段階で、改めて、医学部医学科に関して入試情報を何かしら文科省として調べていないんですか、男女比問わず、そういうことをお伺いしたんですが、問題が起きた平成三十年の緊急調査以外にはないと思いますという御回答をいただきました。  局長にお伺いしたいんですが、文科省として、医学部医学科の入試状況をどのように把握されていますか。
  113. 伯井美徳

    伯井政府参考人 先生御指摘いただきましたように、医学部医学科の入試情報に関する調査といたしましては、まず、二十九年度に実施されました平成三十年度の入学者選抜につきましては、調査を行いまして、不適切な事案、また不適切である可能性が高い事案と指摘した大学以外の大学では適正に行われたということを確認しております。また、不適切な事案、不適切である可能性が高い事案と指摘した十大学については、実地調査等を行いまして、改善がなされたことを確認いたしました。  現在、今御指摘いただきましたけれども、八十一大学全てについて、平成三十年度に実施された令和元年度入学者選抜と、令和元年度に実施された令和二年度入学者選抜における男女別の合格率等の入試情報について、各大学における積極的な開示を求めています。  それ以前のものについては、調査はしてこなかったということでございます。
  114. 寺田学

    ○寺田(学)委員 男女別にかかわらず、医学部医学科の入試情報に関して調査はしていませんか。済みません、時間がないので、それはイエス・オア・ノーでいいです。どちらですか。
  115. 伯井美徳

    伯井政府参考人 ただいま申し上げたもの以前については、していなかったということでございます。
  116. 寺田学

    ○寺田(学)委員 そういうような説明を受けていて、うちの事務所で調べたんですけれども、今手元にあって、本当は皆さんに配りたいんですが、八十枚刷らなきゃいけない、刷っていませんけれども。  平成二年度、平成元年度分は調べられましたけれども、医学部医学科入試状況ということで、ああ、ごめんなさい、令和二年度です、あと令和元年度医学部医学科入学状況ということで、文部科学省医学教育課調べということでインターネットに載せていますよね。一般入試、AO入試、特別選抜等ということで、北海道大学、国立大学から私立、公立まで含めて全部出しているじゃないですか。募集人員、志願者数、受験者数、合格者数、入学者数まで全部調べています。何でこれを隠すんですか。  局長、こういうような調査を、おたくの局で調査をことしの分まで出しているんですよ、インターネットに、九月の段階で。こういう調査をやっていることを大臣にお伝えしていますか、局長。
  117. 伯井美徳

    伯井政府参考人 医学部の入試実施状況という意味調査でございますが、男女別までは調べたものではないということでありますし、そのことを大臣にはお伝えはしていないところでございます。
  118. 寺田学

    ○寺田(学)委員 いや、男女別を調査していたら、はっきり言って、自主的に開示を求める必要はないじゃないですか。当たり前ですよ、そんなの。  大臣に上げていないんですか、これ。我々にも教えてくれませんでしたよ。きのうの段階でも、医学部医学科に関して男女別にかかわらず何かしら文科省調査していませんかと聞いたら、調査していませんと言っていましたよ。調査しているじゃないですか。御丁寧に、この不正があった後、令和元年度、令和二年度、ことしの分まで含めて、男女別の合格者比率だけを抜いて全部調査して、もうでき上がって公表しているじゃないですか。何で大臣に上げないんですか。大臣はこの存在を知らないで、まずは自主的に頼ろう、そういう方針になってしまいましたよ。文科省自身で調べているんだったら、男女別、聞けばいいじゃないですか。  何にも文科省で医学部医学科の受験状況について調べていない、だからこそ、最初はまずは皆さんに自主的に任せましょうというのは、少しは理屈はわかりますよ。ただ、文科省の方で、知らなかったと言わせないですけれども、今、担当課長というのは、前はここの課長でしょう。調べていることはわかっていますよ、絶対、今の担当課長、西田さん。それなのに、上に上げない。局長は知っていたわけですよね、じゃ。何で大臣に上げないんですか。  私は、大学自体が自主的に公表しない姿勢というのは、物すごい不正をやっておきながらですよ、もちろん全大学がやっているとは言いませんよ、ただ、地に落ちましたよ、信用なんて。女性の学生だけ何で点数が低く見積もられるんですか。こんな男女差別ないですよ。それをやって信頼を少しずつでも医学部医学科として回復しなきゃいけないというときに、自主的に公表しないという方針をAJMCは出してきましたけれども、文科省だってやる気ないじゃないですか、今までうその説明までしてきて。やっているじゃないですか。  大臣、申しわけないです、もう十分しかないので、最後の質問になっちゃいますけれども。  文科省で、もうやっているんですよ、男女別合格率を除いては、全て。今お手元に、後で持っていきますけれども、小渕さんにも牧さんにも持っていきます。全部調べて、九月の段階できれいに、去年もことしも公表しているんですよ、お隣の課で。  もう文科省で、男女別、調べましょうよ。まずは、追って令和元年、令和二年度、調査するとともに、来年からも文科省でやるということ、そのことをお約束していただきたいのと、ぜひ、もう一回、理事会でも、前回提案申し上げましたけれども、理事会に報告をすると、こんな文科省ですよ、今。  ぜひとも、そういう厳しい姿勢を国会としても持っていただきたい、委員会としても持っていただきたいので、大臣委員長からお話をいただきたいと思います。
  119. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 この問題に限らず、例えば大学での対面の推進など、大学の自主性というのはできる限り重んじて、自分たちでしっかり方向性を決めてもらいたいというのが基本的な姿勢です。  したがって、各大学の、医学部に限らず、受験者数だとか合格者数だとかという資料があることは私は承知していますけれども、男女別については、もともと全国医学部長病院長会議で自発的に調査をする、実施をするということを、我々そういうことを期待をしておりましたので、その結果を待っていました。  しかし、残念ながら、個別の大学名を公表しない予定であるということが明確にわかりましたので、文科省として、今月二十四日に、平成三十一年度入学者選抜における男女別の合格比率の入試情報の開示状況についてフォローアップの開始をしました。(寺田(学)委員「開示状況ですか」と呼ぶ)はい。  自主的にやってくれないんだったら、文科省が責任を持って調べるということになると思います。
  120. 左藤章

    左藤委員長 今の、寺田委員、前回もございましたので、理事会協議している途中でございます。しっかり対応できるように頑張ります。
  121. 寺田学

    ○寺田(学)委員 以上で終わります。
  122. 左藤章

    左藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時九分散会