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吉良委員 ありがとうございます。
今、具体的な
取組として挙げていただいたことについては、こうやって新しい時代の新しいシステムをつくっていくときは、きょうからあしたに一遍に変わるわけじゃなくて、ある
意味、長方形があったとすれば、その長方形を斜めに切って、今あるシステムが少しずつ減っていって、その間に新しいシステムをつくり始める、技術を
開発して実用化していく、そうやって併存期間があると思っています。
今、萩生田
大臣が答弁していただいた技術の中で、私の認識としては、核融合というのはある
意味ではもう二〇五〇年ぐらいからの重要な電力源、そして、それ以外のことで触れていただいた技術については、ちょうど今言った、古いシステムと新しいシステムが併存する中で新しいシステムをより推進していく、そういう位置づけだというふうに思っています。
きょうは、この場は
経済産業
委員会ではないんですけれども、私は、さっき言ったように、この二〇五〇年カーボンニュートラルは極めて大事だと思っている一方、エネルギー安全保障という観点からすると
課題も多いと思っています。だからこそ、将来的なエネルギーとしての核融合発電、これをどんどん進めてほしいという
お願いをしたいと思っていますが、その
課題ということについての私の
問題意識をちょっと披露させていただきたいと思っています。
多くの国民、政治家も多いと思いますけれども、再生可能エネルギーを、蓄電池だったりバッテリー機能を含む電気自動車だったり、これを組み合わせていけば
日本の必要な電力需要を賄っていける、再生可能エネルギーというのは気まぐれな要素がありますので、それを蓄電池、バッテリーで補っていけば何とかなる、このように思っている人が多いというふうに思っています。
そして、再エネを語る
専門家の多くの方が、例えばドイツの場合はこうだという先進事例を披露します。ただ、私は、ドイツをある部分は参考にしてもいいけれども、
日本の特殊事情を考えたら、正直言って参考にならないと思っています。
一つは、地理的、地形的問題です。それからもう
一つは、例えば、
日本は化石燃料を事実上産出していない、それから電力系統が他国とつながっていない、そして近隣諸国がEUとかとは違って必ずしも友好的な国ばかりではない、こういう特殊事情があると思っています。
地理的、地形的なことでいいますと、六年前か七年前になりますけれども、オーストリアのウィーン、ザルツブルクと来て、スイスのチューリヒに向かうときに、ずっと列車で行っていました。そうすると、左側、要は南側ですけれども、まあ、大きな林、場合によっては森と見えるぐらいの風力発電の設備、風車が並んでいるわけです。本当に驚くべき数です。
皆さんもヨーロッパの地図を思い浮かべていただければいいんですけれども、オーストリアは、あんな内陸にあって、何十、何百という風車が回るだけの北海側から来る西風がそこまで届くんです。
再生可能エネルギーを普及させるためには、主に太陽光、風力、風力も洋上風力も含めて推進していかなければいけませんけれども、例えば
日本の場合は、人口一億二千万、国土が三十七万平方キロメートルですかね、その中で、いわゆる人が住める可住面積は二七%しかありません。これに対して、イギリスは、半分の六千二百万人、国土面積は三分の二ぐらいの二十四万平方キロ、人が住める可住面積は八五%です。フランスは、同じく人口は六千三百万、それから、
日本より大きな五十四万平方キロメートルで、七二%。よく例に出されるドイツは、人口は三分の二、八千二百万で、ほぼ面積は同じ三十五万平方キロメートルですけれども、六七%、三分の二が人が住める地域です。
考えていただければいいんですけれども、
日本の場合は、これだけ狭いので。そこに住居地があり、市街地があり、農地があり、そして工業地帯がある。
ですから、私自身は、西ヨーロッパというのは特に再生可能エネルギーの最適地だと思っているんですけれども、
日本の場合は、今言ったように、地形的に非常に難しい問題がある。これ以上太陽光を広げていこうとしても、なかなか適地がない。風についてもなかなか難しい。もちろん、それだけに洋上風力というのは期待できるわけなんですけれども。
それともう一点。
環境問題を克服するために再生可能エネルギーをふやしたいということなんですけれども、例えば、私の大分、空港と大分市を結ぶ間、車で走っていますと、かつては、春は山桜、秋は紅葉で美しかった山が、いつの間にか太陽光パネルでぴかぴか光り始めているんです。この
状況は、万葉の昔から、自然をめで、自然と共生してきた
日本人の、自然とまさに共生したいという
日本人の心根に果たして合うことなのかという
問題意識があります。
これを解決しようとすると、実はもはや、一軒家の屋根の上に、もうほぼ全戸につけていくというようなことしかなくなってくる。けれども、それには、バッテリーというか蓄電池と合わせればコストが二百万、場合によっては三百万かかります。それを一人一人負担できるのか。総論は、カーボンニュートラル賛成だけれども、じゃ、二百万負担してくださいなといった途端に、それは、そんなこと考えていなかったということに陥るのではないかというふうに思っています。
あと、ごめんなさい、繰り返し、
経済産業
委員会ではないんですけれども、プラス、ドイツは、例えば天然ガスにしても石油にしても、ロシアから来るパイプラインが、ドイツを含めてヨーロッパじゅう張りめぐらされています。そして、電力系統がつながっているので、水力発電由来のノルウェーから電気を買うことができる、原子力発電由来のフランスから電気を買うことができる。
ところが、
日本は、まさに隔絶され、電力系統もつながっていない。繰り返しますけれども、じゃ、例えば電力系統をつないでいこうにしても、近隣諸国は必ずしも友好的な国だとは限らない。
それから、長くなって恐縮ですけれども、さらに、私が一番この問題を取り上げている最大の理由は、今回、
コロナに直面しました。実は、南米チリに
世界最大の露天掘りの銅鉱山、チュキカマタ銅鉱山があります。私も二十六歳の冒険旅行をしたときにそこを実際訪れていますけれども、それはどでかい露天掘り銅鉱山です。その銅鉱山が、ことしの六月、操業を停止しました。労働者
たちが
コロナにかかったからです。クラスターが起こったからです。
そのことを考えたときに、不幸中の幸いという表現が適切かどうかわかりませんが、
コロナというのは感染力は極めて強いけれども、弱毒性なので致死率は極めて低い。ところが、この
コロナは、いつ変異をしたりして、場合によってはエボラ出血熱並みの、エボラは二五%から時によって九〇%ぐらいの致死率があって、平均でも五〇%です。二人に一人が亡くなるというようなパンデミックになった場合には、実は、中東を始め
世界各国の化石燃料の輸出がとまる。つまり、
日本からしてみると輸入途絶が起こる。
この輸入途絶もそうですけれども、トランプさんが大統領じゃなくなったので、中東でのイラン絡みの紛争というのは少し減じたと思っていますけれども、それでも中東でいつ紛争が起こらないとも限らない。あそこで紛争が起これば、輸入途絶が起こることに加えて、化石燃料が三倍、五倍に高騰してしまう
可能性がある。
日本経済はもうひとたまりもない
状況に陥ります。
さっき言った再生可能エネルギーというのは、バッテリーがあれば、蓄電池があれば何とかなると思っている方が多いんですけれども、例えば、石油は百八十日間の備蓄がありますが、電気は、御承知のとおり、備蓄できる限界があります。
これだけの気候変動が当たり前になってくると、
日本において、六月は一度もお日さまが出ませんでした、太陽が顔を出しませんでしたという
状況があり得る。そうすると、仮の話として、一日当たりの電力需要を賄うだけの蓄電池を全部
日本がそろえたとしても、肝心の蓄電池に電気をためるための電気をつくることができないという
状況もあり得るわけです。先ほど言いました、カーボンニュートラルを目指していくときに再生可能エネルギーの普及
促進というのは絶対条件ではありますけれども、一方で、それだけを頼りにして、ある
意味、
日本の長期にわたる需要を賄っていくことには限界がある、これが私自身の認識です。
そういう
意味では、先ほど挙げていただいた技術の
最後の核融合施設、核融合を炉とした核融合発電というのは、我が国にとってまさに生き死にのかかった、生きるための絶対条件、必要不可欠な技術であり、発電源になるというふうに私は思っています。もちろん、もう一方、原子力というのもその機能を持っているわけですけれども、福島第一原発以来、国民の理解がなかなか得られない。ただし、今言ったリスクがある以上は、当面は原子力も使わざるを得ないと私は思っていますが。
将来的には、核分裂に比べて融合というのは人体に及ぼす影響が極めて軽微、かつ、マネジャブルといいますか、制御がきく技術でもありますので、私は、この核融合というものを、段階的に、この結果がよければ次に、この結果がよければ次にということではなくて、今回の二〇五〇年のカーボンニュートラルという目標を設定した時点で、二〇五〇年には必ずこの核融合技術を使って発電までやるんだというような意気込みで、意気込みというよりか、もうそのことを決めて、この施設に対する投資をしていただきたいと思っています。
ちなみに、私自身は、先日、茨城県の那珂市にある核融合研究所を視察してきました。その前には、ことしの一月には、
世界的な七つの国というか地域で今実験炉をつくろうとしていますITER
計画、
日本がその中の主要部品を輸出したんですけれども、その初輸出にも立ち会わせてもらいました。さっき言った
問題意識があるからです。
視察して私が思ったのは、まだ夢の技術だとか言っていた過去の話ではなくて、もう夢じゃなくて、これは
実現し得る、実用化し得るという確信を持ってきたんですね。
話が長くなって恐縮でありましたけれども、この核融合技術を、先ほど言いました、段階的に、これが終わったら次のステップ、これが終わったら次のステップではなくて、二〇五〇年の発電というところまで目指して投資をしていく、推進していくということについて、ぜひ、私の今の
問題意識に対するコメントも含めて、萩生田
大臣の答弁を求めたいと思います。