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青山(雅)
委員 ありがとうございます。
厚労
大臣として当然の御認識をお持ちだということを、今、確認させていただきました。
その上で、あえて我が国の
状況をまず確認してみたいと思います。
現在、第三波ということが言われておりまして、
感染者数、確かに
拡大しております。重症者数もふえております。しかしながら、これは欧米と比べると、かなりの差がございます。
お手元の資料1、2、そして3をごらんください。
これは、私どもの事務所で、信頼できる統計の数字を発表しているウエブサイトからとったものですけれども、アメリカは言うに及ばず、フランス、ドイツなどと比べて、日本の
感染状況が、他国と比べると非常に、何と言ったらいいんでしょうね、まだまだ穏やかなものであるということがこのグラフで見てとれると思います。日本は、陽性者数、新規陽性者数も新規死亡者数も、アクティブ、つまり、その時点における重症者数も、グラフの一番下に張りつくような数字でございます。
結局のところ、そして今、百万人当たりの重症者、こういったものを比べていても、これは資料4、百万人当たりの新規陽性者数がアメリカなんかだと五百二十八のところ、日本は十二人しかいないわけです。それから、百万人当たりの重症者、死亡者数も、日本は他国の大体二十分の一以下。これを見ると、コントロールが実はされている。よその国は日本の十から二十倍の数字になっています。
フランスなんかも、これは大分下がってきてこの数字ですから、例えば資料1をもう一度見ていただくと、フランス、一時、五万人をはるかに超えて、多分、八万人くらい行っていたわけですね、新規
感染者が。日本はどの辺かというと、きのう現在で千八百六十一人です。だから、他国と比べると非常に、実は
コロナウイルスをよく抑えられている。
それが評価としても出ているのが、資料6、「
コロナ時代、世界で最も安全・危険な国・
地域 レジリエンスランキング」で、めくっていただきますと、ここに表が載っていて、一番が、徹底的な鎖国的な政策を当初からとったニュージーランドです。三番が、天才
大臣というふうに言われている、マスクの配付ですごく評判を上げた方がおられる台湾です。日本は実は二位です。これは物すごい高評価だなと思っております。
ところが、日本国内では、御承知のとおり、余りそのような評価にはなっておりません。
政府の対策は手ぬるいという声が、マスコミでも、また当
委員会でもそういう声が非常に多いと思います。この実感がない理由の
一つは、私は、
医療崩壊への懸念が事あるごとに持ち上がるからではないか、こう思っております。何かあると非常にやはりその点を皆さんが気にされる、これは当然のことですけれども。
一方で、海外に目を向けると、ドイツは、いわゆる第一波でも、今来ている二波でも、
医療崩壊という話は全く聞かれておりません。フランスは今回大きな波を乗り切ったという
状況です。アメリカでも、これだけの
感染者を出しながら、四月のニューヨークは確かに大変な
状況でしたけれども、今現在はそういうような
状況は伝えられず、また逼迫の懸念が、ワールドニュースなどを見ていると言われている程度です。
では、なぜ日本は、これだけ欧米と比べれば少ない数字であるにもかかわらず、
医療崩壊の懸念を日本医師会会長や東京都医師会会長が述べられたり、現場の医師の方がSNSで発信されたりという
危機感を持っているのか、そういう疑問が湧きます。残念ながら、
医療体制が、システムの問題として、EU、特にドイツあたりと比べて大変脆弱であるという現実があるからではないかということが推認されるわけですね。
私は、これはこのままにしていくことは物すごく心配です。三つ理由があります。
今、ファクターXなどということを一時言われましたけれども、なぜ日本が欧米並みの
感染率、重症化率でないかは謎のままです。ということは、逆に言うと、何らかのウイルスの変化等によって、きょうもウイルスの変異の話が出ましたけれども、欧米並みになったら、今、この人数、これを見ていただければわかるように、欧米の二十分の一のこの数字で
医療崩壊が懸念されているわけですから、欧米並みになったら、もう即座にアウトです。
それから二番目は、もう
一つは、日本のようにこれだけ良好にコントロールされている国が、それでも
医療崩壊の危機ということで経済を抑制しなければならない。ここのところ再び緊急事態宣言がとやかくされるようになっておりますけれども、そういうことがあれば、実は、今の日本の主要な産業というのはサービス産業なんですよね、飲食店などの。地方都市なんか特にそうです。こういったものを中心に、倒産、廃業、こうなれば、自殺者がただでさえ増大されているなどと言われていますけれども、もう大変な副作用が来るわけです。
それから三つ目は、世界的に見れば、これは新規陽性者のこのグラフ、最初の1をごらんいただければわかるとおり、波を描きながら
拡大しているんですね。決しておさまっていない。あれだけ厳しい外出制限だとか、マスクに罰則をつけても、
感染者数は増大する一方なんですよ。そうすると、これは当分続くと思われます。
じゃ、ワクチンがあるじゃないかと言うかもしれませんけれども、もともと日本というのは、発症率も、それから重症化率も大変少ないので、別にワクチンが打たれてそれが有効であったとしても、大したゲームチェンジャーにはならないんじゃないかと、日本の場合は。つまり、現状が続くだけではないかと私は思っているわけです。
先ほど
大臣が言われたような、国家的危機を越えた世界的危機だというのであれば、私は対策をもっともっと本腰を入れるべきだと思うんです。なぜ本腰を入れないという失礼な言い方をするかというと、ドイツを参考にするからです。
御承知だと思いますけれども、ドイツがこれだけの
医療体制を敷いているのは、何と今から八年前の二〇一二年の十二月二十一日に、日本の国立
感染症研究所に当たるロベルト・コッホ研究所が作成した、まさに今回を予言するような中国発のパンデミックシナリオ、これを立てて今日にずっと備えてきたからなんですね。これに基づいて着々と
医療体制も準備を進めて、その結果、ことしの二月の時点、まだドイツまで波及するか全然わからないときに、人口十万人当たりのICUは二十九・二床、ちなみに日本は五床です。日本の六倍の
体制をとっていた。三月初めの時点で、数として二万五千、これを四月には四万床にまでふやしているんです。四万床です。そういう見事な
対応の結果、御承知のとおり、自国の重症者を受け入れるのは余裕、それを超えて、州どころか国を越えて、イタリア、フランスの患者まで受け入れた、これは御承知の方も多いと思います。
そういうふうなナショナルセキュリティーの問題として捉えたときに、今のような短期的な政策ばかりに目を向けていていいのかと私は思うわけです。
翻って、先ほど言ったように、我が国では欧米に比べてはるかに少ない患者数で
医療崩壊が叫ばれています。この
医療体制を強靱化するというのは、短期的にも中長期的にも、今のウイズ
コロナの時代の国家的課題であることは間違いないと思うんです。なぜなら、御承知のとおり、ハーバードだったかな、これが終息するまで二年か三年かかるという予測があります。これは続くわけです、ずっと。その間に、今みたいに、やれGoToだ、自粛だ何だとかと言っていて経済を傷め続ければ、日本は欧米以上の経済的打撃を受ける可能性がある。なぜなら、先ほどから申し上げているように、産業構造が残念ながら今そうなっているからです。
じゃ、何が悪いのかということで、データをつくってみました。それが資料の7です。
これをごらんいただければわかるんですけれども、日本の
医療体制のどこが脆弱かというと、急性期病床の数は欧米より多いです。七・九あって、ドイツより多いくらいです。ただし、ICUはドイツより少ない。少ないのは、お医者さんの数です。千人当たりの医師数がドイツの半分程度で、一番大事な病院勤務医の数もドイツの半分程度しかないわけですね。だから、マンパワーが少ないから、すぐに
医療崩壊の懸念があるし、実際にも、
感染症のお医者さん、この
対応に当たっている方たちは、もう
医療現場は疲弊していると。それはそうです、少ない数で当たっているから。当たり前の話です。
じゃ、どうすればいいか。
何で病床数は多いけれども医師数が少ないかというと、これは当たり前の話ですけれども、御承知のとおり、厚労省が長年、医師数の抑制政策を続けています。大学の入学定員、平成十九年まで一人もふやさない、見事にゼロでした。二十年から三年間だけは、二十、二十一、二十二と、数%ですけれども、百人単位でふやしましたけれども、その後はまた、一%未満ぐらいしかふやしていません。
私が驚いたのは、今のこの
状況で厚労省は、
医療従事者の需給に関する検討会というのをやっておられますけれども、ことし八月でも十一月でも何を言っているかというと、そういう意識は全くなくて、「医学部臨時定員増に係る
方針について」という大項目で、「将来的な医学部定員の減員に向け、医師養成数の
方針について検討する。」として、新型
コロナによる
医療崩壊等、あるいは病院勤務医の過重
負担など全く無視して、将来的需給予測に基づく議論、医師減員の議論しかしていないんです。
私は、厚労
大臣が本気でこの話が世界的危機あるいは日本の国家的危機だと思うのであれば、そこをまず一番最初に手をつけるべきだと思うんです。ところが、そんなことは全く議論すらされていない。きょうも、そんな議論は
一つもありませんでした。普通に考えれば、今後を見据えた対策は、これはいつおさまるかわかりませんから、医師数の大幅増員です。
いい例としては、私も弁護士ですけれども、一九九九年から始まった司法試験改革、これは、弁護士偏在、やはり僻地に人が少ないというような問題でされたわけですけれども、その当時、合格者数は七百名くらいしかいませんでした。いきなり三倍の二千百人にしたんです。何が起きたかというと、十五年たった今、弁護士はもう地方都市の隅々にまで行き渡っています。最初は、どうせふやしたって都会にしか行かないよと言ったんですけれども、最初のころはそうだったんですけれども、食っていけなくなるものですから、みんな地方にも行って、ふえたと。
ですから、これを本当に国家的危機だと捉え、あるいは日本の脆弱性が今出ていると捉えるのであれば、まずやるべきことは、不足しているものを補う。つまり、医師の増加、看護師の増加に向けた検討はすぐにでも始めるべきだし、実際にすべきだと思うんですね。
そこで、
大臣にお尋ねしますけれども、先ほども言ったように、日本医師会の会長や東京都医師会の会長がみずから
医療崩壊の懸念を口にされている。ナショナルセキュリティーの観点からも、私は医師増員は考えるべきだと思います。さらに、ほかの対策として拠点病院などもありますけれども、そういったものをふやすためにも、医師供給増には医師増が欠かせない。その点についての
大臣の御見解をお伺いしたい。