○篠原(豪)
委員 それでは、この問題は引き続きしっかりとちょっと確認をしたいと思いますけれども、質問に移らせていただきます。
北朝鮮、今、
イージス・アショアの導入の話、きょうありましたけれども、本当にそこで、
ミサイルの脅威を受けてやっていくのかなということで、お伺いしたいのは、
イージス・アショアの導入について、北朝鮮による
ミサイルの脅威を受けて二〇一六年に
検討が始まりました。
当時、イージス艦から発射する迎撃
ミサイルであるSM3、そして地対空誘導弾のPAC3、この二段構えの弾道
ミサイル防衛、これはBMDです、にもう一枚追加するために、米軍の地上配備型のイージスシステム、これは
イージス・アショアですね、これと在韓米軍に配備されようとしていた高高度迎撃
ミサイルシステムのTHAADが当時有力視をされていたんだと思います。
そのTHAAD導入が見送られて
イージス・アショアが決まったのは、報道によると二〇一七年の六月で、
関係経費を二〇一八
年度当初
予算に計上することが決まったとされています。そして、その年の八月に
アメリカのワシントンで開かれた2プラス2、
日米の外相と
防衛担当閣僚会合のことですけれども、ここで小野寺
大臣が、当時の
防衛大臣ですね、マティス国防長官に購入の方針を伝えたということになっていると思います。
イージス・アショアの導入の
理由として、小野寺
大臣は、二〇一七年の北朝鮮による
ミサイル危機を挙げて、その後の
政府による導入
理由の
説明でも、この一七年の
ミサイル危機がわかりやすいので挙げられているということになっていると思います。そうですね。
しかし、
日本に導入される
イージス・アショアが、北朝鮮に対する
ミサイル対策であるということばかりがクローズアップされてきているんですけれども、そういうふうに思っている国民の皆さんが多いんだと思いますが、これは私は疑問があると思っています。
イージス・アショアは、イージス艦に搭載されているレーダーや
ミサイルを発射するための垂直発射管、束になっているやつですね、MK41VLSという発射管なんですけれども、それをほぼそのまま陸上に移植した
施設ということになります。なので、構造上はイージス艦と同様、多種多様な
ミサイルを発射することが可能なんです。
具体的には、この発射装置を採用していると、スタンダード艦対空
ミサイルだとか、トマホーク
巡航ミサイルとか、アスロック対潜
ミサイルとか、こういったものも、幅広い種類の
ミサイルを運用することができるということになっています。
ところが、東欧を見てみますと、東欧の
イージス・アショアというのは仕様が大きく異なっていて、これは専用のソフトウエアなどを用いて、ベースライン9Eと言われているやつなんですけれども、この仕様に改修することで、MK41VLS、垂直発射管から発射可能な
ミサイルをBMD専用のSM3に制限しているんです。ですので、自制的な運用というふうになっているわけで、この背景にはINF条約との
関係があるんだと考えています。
まず、東欧に配備されている
イージス・アショアは、イランの弾道
ミサイルの脅威から欧州諸国を
防衛することを目的とした計画ですので、なので、ロシアのICBMを迎撃する能力はない、その戦略抑止、対米打撃力ですね、戦略抑止に
影響を及ぼすことはないというふうに
説明をしてきた。したがって、ソフトウエアとか電子システムをイージス艦と同様のものにしてしまうと、
巡航ミサイルや
航空機、短から中射程の弾道
ミサイルにも対処可能となる、これはSM6、そしてトマホークの発射すらも可能となって、INF条約に当時これは違反するという可能性があったんだということで、そうなっているんだと思います。
北朝鮮は、二〇一六年、一七年に四十発の
ミサイルを発射してきました。いずれも弾道
ミサイルでしたけれども、それにもかかわらず、
日本の
イージス・アショアは、SM3と、
巡航ミサイルにも
対応できるとされる次期迎撃
ミサイルのSM6、この混合による総合
ミサイル防衛能力、IAMD能力を付与することを前提に導入が
検討されていました。
なので、
日本全土をカバーするには、THAADは六基要るんですよ。THAADの場合、六基。
イージス・アショアの場合は二基あれば済むので、
イージス・アショアに軍配が当時上がったんだというふうに言われていますけれども、本当は、THAADがBMD専用で、
巡航ミサイルに対処能力がないことが真の
理由だったんじゃないかというふうに思っています。
BMD対処能力、これは、対北朝鮮の対処能力を超える仕様の
イージス・アショアを二〇一八年、一九年段階で導入するということだったと思いますけれども、この意図は本当は何だったのかということを教えていただければと思います。