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2020-11-27 第203回国会 衆議院 安全保障委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年十一月二十七日(金曜日)     午後一時一分開議  出席委員    委員長 若宮 健嗣君    理事 小田原 潔君 理事 大塚  拓君    理事 長島 昭久君 理事 宮澤 博行君    理事 山本ともひろ君 理事 重徳 和彦君    理事 村上 史好君 理事 遠山 清彦君       岩田 和親君    江渡 聡徳君       大西 宏幸君    大野敬太郎君       門山 宏哲君    北村 誠吾君       佐々木 紀君    塩谷  立君       出畑  実君    中谷  元君       西銘恒三郎君    原田 憲治君       簗  和生君    山下 貴司君       渡辺 孝一君    柿沢 未途君       篠原  豪君    武内 則男君       本多 平直君    屋良 朝博君       佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君       杉本 和巳君     …………………………………    防衛大臣         岸  信夫君    外務大臣政務官      鈴木 隼人君    防衛大臣政務官      大西 宏幸君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  藤井 敏彦君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  中嶋浩一郎君    政府参考人    (外務省北米局長)    市川 恵一君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君    政府参考人    (海上保安庁警備救難部長)            瀬口 良夫君    政府参考人    (環境省大臣官房審議官) 森光 敬子君    政府参考人    (環境省大臣官房環境保健部長)          田原 克志君    政府参考人    (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       川嶋 貴樹君    政府参考人    (防衛省大臣官房施設監) 杉山 真人君    政府参考人    (防衛省防衛政策局長)  岡  真臣君    政府参考人    (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君    政府参考人    (防衛省地方協力局長)  鈴木 敦夫君    政府参考人    (防衛装備庁長官)    武田 博史君    安全保障委員会専門員   奥  克彦君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十七日  辞任         補欠選任   大岡 敏孝君     出畑  実君   塩谷  立君     簗  和生君   照屋 寛徳君     武内 則男君 同日  辞任         補欠選任   出畑  実君     大岡 敏孝君   簗  和生君     佐々木 紀君   武内 則男君     照屋 寛徳君 同日  辞任         補欠選任   佐々木 紀君     塩谷  立君     ――――――――――――― 十一月二十七日  戦争法の廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四二八号)  同(笠井亮紹介)(第四二九号)  同(穀田恵二紹介)(第四三〇号)  同(志位和夫紹介)(第四三一号)  同(清水忠史紹介)(第四三二号)  同(塩川鉄也紹介)(第四三三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 若宮健嗣

  3. 若宮健嗣

    若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 若宮健嗣

    若宮委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷元君。
  5. 中谷元

    中谷(元)委員 岸大臣、御苦労さんでございます。  現在、防衛省自衛隊は、コロナ対策において懸命に取り組んでおられると思いますけれども、今後ますます感染が予想されている中で、各自治体関係者からもいろんな要望や期待がふえてくると思います。今後、どのような姿勢で、またどのような体制で取り組んでいかれるのか、大臣にお伺いします。
  6. 岸信夫

    岸国務大臣 防衛省自衛隊としては、これまでもさまざまな形でのコロナウイルス感染拡大防止対策をさせていただいております。  市中感染への対応としては、自治体職員民間事業者に対する感染防止に係る教育支援感染者輸送支援看護官准看護師の病院への派遣等々を実施してきたところでございます。  今後、防衛省自衛隊としても、関係省庁そして自治体と密接に連携をしながら、支援のニーズを踏まえまして、これまでの活動で得られた経験を生かしつつ、新型コロナウイルス感染拡大に備えてまいりたいというふうに思います。  部隊内の感染防止ということも大変重要だと思っています。そうした観点も一層万全を期しながら、私も先頭に立って努めてまいりたいというふうに思います。
  7. 中谷元

    中谷(元)委員 感染症ウイルスは目に見えない脅威でありますので、自衛隊にしかできないこと、自衛隊に期待されることがあると思いますので、早目早目に、また頑張っていただきたいと思います。  次に、来年度予算についてお伺いします。  最近、FMS、また完全丸抱え装備品比率がふえまして、国内防衛産業に大きな影響が出ております。防衛装備輸入比率平成二十三年には七・四%あったのが、令和元年に二七・八%と急増、また予算額も、平成二十三年には四百三十二億円が、令和元年には七千十三億円で、六千億円以上ふえております。  今後、E2D、F35、KC46、またオスプレイ、イージス、長距離ミサイルなど、FMSは続きますが、F35にしても、日本側ができるのは組立てだけで、部品生産技術開示もありません。今後五年間で支払う海外からの装備品金額合計幾らになるのか、各年度予算歳出化経費としてどの程度になるのか、お伺いします。
  8. 岸信夫

    岸国務大臣 令和年度予算までに計上いたしました防衛関係費につきまして、令和年度から令和年度までの五年間における後年度負担については、合計で五兆一千二百九十億円でございます。このうち、FMS調達に係る後年度経費は五年間で合計一兆三千七百八十六億円、一般輸入等に係る後年度負担が五年間で合計四千四百二十億円となります。
  9. 中谷元

    中谷(元)委員 FMSは一兆何がしということで、防衛予算は五兆円何がしですからね、もう五分の一の額を払う、余り日本に寄与できる部分がないままアメリカに支払っているということでございます。  これについて更にお伺いしますが、いろいろとFMS契約条件がついているんですね。契約価格、期日は見積り、代金前払い米国の方で自国の利益の関係で一方的に解約できるという契約で、我が国が主体的にコントロールできない部分がありまして、契約しても、いつ部品が入ってくるのか、納期までに交換パーツが来ないという理由航空機なども飛べない状態。下手すると、間に入って、一機、ずっと部品をほかの飛行機に供給をするという、今、共食いと言われていますけれども、こういった状態もあると聞いております。  また、防衛省調査では、未納、未精算、物品が納入されていない、また、対価が確定できない、価格の変動、役務が提供されていないもの、検査書と突き合わせができない金額が相当上っていると聞いているわけでございますが、こういった事態に対して延滞金とか違約金、これはもらえるようになっているんですか。
  10. 武田博史

    武田政府参考人 お答えいたします。  御指摘違約金というようなものは、米国関係規則等には規定はないところでございます。
  11. 中谷元

    中谷(元)委員 日本国内企業がこういうことをやったらもう指名停止ですよ。こういったものにおいても、やはり対等に国と国との契約においては行うべきではないかなというふうに思います。それは防衛の実務に支障が出てきているからであります。  もう一つは、アップグレードですね。これも、アメリカ装備はどんどんどんどんアップグレードしていくのに、日本は買ったままの状態で、ずっと改良もできないし、下手すれば、部品をもうつくるのをやめましたということで、ガラパゴス化して、ミッションにも支障が出ていると聞きますけれども、非常にそういうふうな問題もあります。  また、もう一点は、アメリカの方がわざわざこちらへ来て、常駐をして技術管理とか指導をしていますし、修理はアメリカ国内で行われるために、日本でずっとその間機体がなくなってしまうということであります。  さっきも言いましたけれども、日本税金アメリカのみに使用されて、日本防衛産業のために税金が使われていませんが、この間でFMSリターンバック、これについて何か考えられることがないのか。例えば、民民同士日本国内部品製造整備などができないかどうか。これは将来の日米装備移転また共同開発国内での委託整備体制をふやしていくためにも、段階的に行うことができないかということでありますが、これは経済産業省ですね、防衛産業を扱っていますけれども、この辺の交渉等はできそうなんでしょうか。
  12. 福永哲郎

    福永政府参考人 委員指摘のとおり、防衛産業技術向上防衛生産基盤維持強化は大変重要な課題であると認識しております。  このことから、防衛装備品海外からの調達に当たって、従来より防衛省では、国内における防衛装備品ライセンス生産最終組立て検査共通整備基盤の拡充を始め、国内企業参画に関するさまざまな取組を進めてきていただいております。  経済産業省においても、国内防衛産業基盤強化観点から、中小企業政策を活用したサプライチェーン強化などに取り組んでおります。  今御指摘いただいた相手国との関係では、防衛省を始め、政府全体において総合的な見地から交渉を進めることが必要であると承知しております。経済産業省としても、関係省庁と積極的に連携して考えてまいりたいと思います。
  13. 中谷元

    中谷(元)委員 そこで、オフセット方式について伺います。  これは世界の国々ではほとんど常識であって、日本だけが取り入れていない慣行でありますけれども、例えば装備品輸入をしたら、その国に対して何かの見返りの条件を提示をする。  例えば、航空機を買うかわりに日本水陸両用装甲車を買わせるとか、あと、最新の組立てライセンス生産とか、農産物とか技術投資とか、いろいろ経済産業省としても、こういった貿易慣行において、バーター、条件契約等もできますが、タイもインドでも、欧州でも、イタリアでも、交換条件にしていろんな契約をいたしております。どうか我が国も、経済安全保障でいろいろと部署もつくっておられると思いますけれども、装備品価格を下げるためにも、FMS契約につきましては、各国と同様に、オフセット契約において、価格交渉をして下げるとか、国内産業部品をつくらせるとか、そういうことで交渉すべきだと思いますが、この点、どうなんでしょう。
  14. 福永哲郎

    福永政府参考人 お尋ねのオフセットについては、他国でいろいろな取組が行われていることは承知しております。  我が国においては、従来、防衛産業技術向上防衛生産基盤維持強化観点を踏まえ、我が国企業による防衛装備品ライセンス生産等を求めてきております。また、防衛装備、大綱においても、輸入装備品等維持整備等我が国防衛産業が更に参画できるよう努めることとの方針が示されているものと承知しております。  委員指摘のように、オフセットとして相手国技術移転生産委託を求めるかどうかについては、国益に資するかどうかの観点から、防衛省を含め政府全体で判断すべき、検討すべきものと承知しておりますが、経済産業省としても関係省庁としっかり連携してまいりたいと思っております。
  15. 中谷元

    中谷(元)委員 これは日本の国の税金ですからね。アメリカに全て吸い取られて日本キックバックがない、しかも、日本防衛産業は衰退をしてしまう、こんな話はないわけで、やはり契約するときはきちんと我が国にメリットがあるように、以前はそうでしたけれども、そういう点で、これからぜひ努力検討をしていただきたいと思います。  もう一点、セキュリティークリアランスの話ですが、アメリカの新政権は、機微技術流出に対して非常に厳しく対応しようとして、ホールガバメントとして取り組んでいます。  しかし、日本の場合は、民間会社が個々に契約に入らないと、例えば特定秘密とか、防衛秘密はなくなっちゃったけれども、特定秘密の厳守とかセキュリティークリアランス規定が通用しないということになっております。  機微技術流出について、新たなセキュリティークリアランスの制度が必要だと思いますが、この点、国家安全保障局の方はどうお思いでしょうか。
  16. 藤井敏彦

    藤井政府参考人 お答え申し上げます。  AI、量子、こういった革新的であり、かつ本質的にデュアルユース技術の登場、こういったことを背景といたしまして、安全保障の裾野が経済技術分野に急速に拡大をいたしております。かつ、その領域において新たな課題というものがさまざま顕在化しております。中谷委員の御指摘も、そういったものの大きな課題一つと認識しております。  政府といたしましては、先般、七月になりますが、閣議決定をいたしました統合イノベーション戦略二〇二〇におきまして、科学技術産業競争力最先端レベルで維持するとともに、国際共同研究を円滑に推進し、我が国技術的優位性を確保、維持する観点も踏まえ、諸外国との連携が可能な形での重要な技術情報を取り扱う者への資格付与あり方検討するということとしております。  我が国といたしましては、最先端レベル技術獲得、維持できるよう、関係府省と連携し、必要な措置の検討を進めてまいりたいと考えております。
  17. 中谷元

    中谷(元)委員 科学技術の革新はもう破壊的飛躍を遂げておりまして、どんどん進化して、他国も研究しています。インターネット、GPSしかり、やはり主導権をとらなければなりません。宇宙でのコンステレーション、ミサイル、サイバー、プラットフォーム、世界レベル実証実験が進んでおりますので、我が国もそれなりの研究開発、またスピードアップで体制整備などをやっていかなければなりません。オフセット契約もその一環でありますが。  特に、現在、イージス・アショア代替検討されておられますが、これも、BMDのみにとらわれずに、低空の巡航ミサイルや新しい極超音速滑空弾中距離弾道ミサイル飛行機などにも対応できる装備をすることが必要です。  十年先にどういう状態になって、十年先にしっかり対応できるように、そのためにも各種の御努力が必要ですが、そのためにも予算獲得や、また人員の配置が必要ですが、最後に、このためにどうされるのか、防衛省にお伺いしたいと思います。
  18. 岸信夫

    岸国務大臣 今、さまざまな御指摘がございました。まさに科学技術進歩は破壊的な進歩を遂げているという中で、将来を見据えて、しっかり我が国を守っていける、そういう体制を築いていかなければいけない、こういうふうに思っております。特に、ミサイル関係も含めて、さまざまな重要施策を遂行していくために必要な防衛予算を効率的にまた使用していく必要がある、このように思っています。  今後とも、効率的かつ効果的な予算配分、またコスト管理に努め、そして必要な予算獲得してまいりたいと思います。
  19. 中谷元

    中谷(元)委員 イージス・アショア代替も、このような見地検討していくということでよろしいでしょうか。
  20. 岸信夫

    岸国務大臣 しっかり取り組んでまいりたいと思います。
  21. 中谷元

    中谷(元)委員 以上で終わります。
  22. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、屋良朝博君。
  23. 屋良朝博

    屋良委員 立憲民主党屋良朝博でございます。よろしくお願いいたします。  前回に引き続き、私、ストックホルム条約製造輸入などが禁じられている有機弗素化合物PFOSPFOA国内河川地下水から検出されている問題について質疑をさせていただきたいと思います。  これまで米軍基地周辺で多く検出されていたことに注目し、私自身、これは基地公害一つかと思っていましたが、ちょっと認識が甘かったととても反省しております。この問題、調べれば調べるほど、基地周辺の限定的な地域的な公害問題ではなく、影響がもっと広範で、グローバルな産業公害ではないかというふうに思うようになりました。  環境省のことし六月の調査でも、国内で最も汚染濃度が高かったのは、基地周辺ではなく、大阪摂津市淀川近くの地下水。近くに化学メーカー事業所があるところですけれども、暫定指針値の三十七倍、千八百八十五ナノグラムパーリットル。同じ地点、十年前には何と二万六千ナノグラムパーリットルで、現在の指針値の五百二十倍を示しているんですね。事業所対応を問い合わせてみたんですよ。そうしたら、地下水をくみ上げて、外に地下水汚染が出ないように努力をなさっているということらしいです。  環境省が現地の状況をどのぐらい、どういったことを把握なさっているのか、教えてください。
  24. 森光敬子

    森光政府参考人 お答えさせていただきます。  環境省といたしましては、まず、大阪府からお話を伺ってきておりまして、昨年度環境省が実施しましたPFOS及びPFOA全国存在状況把握調査結果を踏まえて大阪府は本年度水質調査を実施をされたほか、地元自治体により、暫定指針値を超過した地点周辺地下水については飲用の利用がないこと、それから水道原水については水道水暫定目標値を下回っていること、これを確認されたというふうに伺っております。  また、対策の方の話でございますけれども、過去にPFOAを取り扱っていました事業所におきまして、既にこのPFOA使用を全廃をして、敷地内の地下水処理等対策が行われているというふうに承知をしております。  対策の内容でございますけれども、先生が御指摘いただいたとおり、事業所の方では、地下水を揚水いたしまして、事業所内地下水位を下げることにより周辺地域へのPFOAの拡散を防止するということ、それから、揚水しました地下水は、活性炭及びイオン交換樹脂を通しましてPFOAを除去した後に下水道へ放流するといったような対策がとられているということを承知しております。  以上でございます。
  25. 屋良朝博

    屋良委員 前回委員会環境省に確認させていただいたんですけれども、これはあくまでも暫定指針値なので法的な拘束力はなく、都道府県に手引をお渡しして、都道府県主体調査してちょうだいね、そして、その原因がわかったときには、事業者に対するアプローチも都道府県でやってくださいというふうなたてつけになっていると理解しております。  ストックホルム条約使用製造輸入などが禁止されているこの有機弗素化合物なんですけれども、国内でどれぐらいの量が今現在貯蔵されて、それがどのように管理されているのかということを、環境省、把握している範囲でいいので教えてください。
  26. 田原克志

    田原政府参考人 お答えいたします。  有機弗素化合物のうち、PFOS及びその塩につきましては、化学物質審査規制法におきまして第一種特定化学物質に指定をされて、製造輸入等が禁止されておりまして、現在、製造輸入は行われておりません。  PFOS使用した製品には泡消火薬剤がございまして、現在の在庫といたしましては、全国で約三百三十八・八万リットル泡消火薬剤在庫を確認をしております。現在、関係省庁連携をしながら、PFOSを含む泡消火薬剤代替の促進に取り組んでいるところでございます。  また、PFOAの方でございますけれども、これにつきましては、製造輸入数量につきましては近年著しく減少しておりまして、平成二十九年度では全体として十六トンというふうに推計をしているところでございます。製造輸入数量でございます。国内在庫量につきましては、今後調査を実施する予定でございます。
  27. 屋良朝博

    屋良委員 ありがとうございます。  今、使用することはとめることができないという御説明だったんですけれども、先ほどこれはグローバルな問題じゃないかというふうな指摘をさせていただいた理由をちょっと説明させていただきたいんです。  この有機弗素化合物アメリカデュポン社が一九三〇年代に開発し、後にテフロンという商標で知られて、フライパンや炊飯器表面加工、油をはじく撥油性があるためハンバーガーや揚げ物を包む紙にコーティングされ、化粧品のファンデーションとかコンシーラーなどにも利用されるなど、アメリカの報道によりますと、日常的に使うおよそ二千五百種類の製品使用されていると。その結果、アメリカ人がほぼほぼ全員汚染にさらされているというふうな警鐘を鳴らすメディアもあるくらいであります。河川から流れて海に行って、それが水蒸気となって雲をつくって、その汚染物質がばっと頭から降ってくるような、そんな汚染の広がりがあるんだよというふうなこともメディアの中では指摘されているわけでございます。  米国では、デュポン社工場周辺で住民の健康被害や障害を持った赤ちゃんの出現といったこととも因果関係が報じられているところでありまして、デュポン社は、二〇一七年二月までに、健康被害を訴えた三千五百五十件の訴訟で合計六億七千七十万ドル、およそ七百億円余りの支払いで和解をしているというふうな事態が今アメリカで起きているということなので、僕らも少し用心しておかないといけないなというふうな気になっているところであります。  沖縄も含めて、基地周辺でかなり高い濃度で検出されているのはなぜかということも、私たちまだはっきり原因を、突きとめている、できていないということがあります。  今、アメリカで、軍事施設でも対策が講じられるようになっており、七百カ所に及ぶ米国内軍事施設有機弗素化合物汚染されているというふうに言われております。  そこで、防衛省は、ことしの一月、当時のエスパー米国国防長官河野防衛大臣が会談をして、アメリカタスクフォースを設置し対策に取り組んでいることを踏まえて、日米政府の間でもこの問題について協力し対応していこうというふうなことを申し合わせたというふうに発表されております。日米間で目下どのような取組が行われているのか、御説明をお願いします。
  28. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 PFOSなどをめぐります一連の問題につきましては、これまで、政府全体として取組を進めるとともに、日米間で連携を一層強化して、在日米軍対応を含め包括的に検討を行ってきたところでございます。  先ほど御指摘ございましたように、米側は、昨年七月、国防省にこの問題を全般的に取り扱うタスクフォースを設置いたしまして、本年三月にはその中間報告を公表するなど、米政府内での検討を進めているというふうに承知してございます。特に、現在、米側は、国際的に一定の有害性が認められているPFOS等に加えて、広く一般使用されている有機弗素化合物を含む総称であるPFASについて、今後の軍における規制あり方等検討しているというふうに承知してございます。  そして、軍の施設について、非PFAS化PFAS泡消火剤交換、それからその期限を設定するとともに、訓練におけますPFAS含有泡消火剤使用を禁止している。さらに、お話ございましたように、アメリカ本国の軍事施設については、有害性に関する調査研究や汚染状況の確認など、こうしたものを積極的に取り組んでいると承知してございます。  防衛省といたしましても、こうした米政府内の動きを踏まえつつ、日米間で、在日米軍の保有する泡消火剤交換等の課題につきまして、さまざまなレベルで集中的に議論を行っているということでございますので、米国内における今申し上げました議論も踏まえながら、緊密に米側連携して、しっかりと日米間で対処していくという考えでございます。
  29. 屋良朝博

    屋良委員 タスクフォースがことし三月に発表した報告書、現状の取組についての報告書なのですけれども、そこではどのような対応がなされているというふうに書かれているのでしょうか。もし御存じでしたら教えてください。
  30. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 アメリカタスクフォースの概要でございますけれども、ことし三月に公表されてございます。その中におきましては、こうした泡消火剤使用の軽減及び排除ですとか、人の健康への影響に関する理解、それから米国防省のPFAS汚染除去の責任、その環境に関する考察等を行いまして、米国内外の軍事基地に関する方針、こうしたものに関する報告をなされているというふうに承知してございます。
  31. 屋良朝博

    屋良委員 こうしたアメリカの方針に従って、日本国内にある在日米軍基地についても同じような措置がとられるであろうというふうに、防衛省、外務省は認識なさっていますでしょうか。
  32. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 繰り返しみたいなことになりますけれども、PFOSをめぐります一連の問題については、これまで、政府全体として取組を進めるとともに、日米間で連携を一層強化して、在日米軍対応を含め包括的に検討を行ってまいりました。  引き続き、この問題をめぐる取組の中で、米国内における議論も踏まえながら、アメリカと緊密に連携して、しっかりと対応していきたいというふうに考えてございます。
  33. 屋良朝博

    屋良委員 次期大統領の就任が確実視されているバイデン氏なんですけれども、選挙の公約の中で、PFOSPFOA、総称でPFASですね、PFASを有害物質に指定すると公約しています。アメリカで有害物質に指定されると、今後、対応にはどのような変化が起きるというふうにお考えでしょうか。
  34. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 米国の大統領選挙における公約等の一つ一つについて日本政府としてコメントすることは差し控えますが、現在、先ほど申し上げましたように、日米間では、在日米軍の保有する泡消火剤交換等、これの課題についてさまざまなレベルで集中的に議論を行ってございます。  具体的には、政府として、自衛隊、消防など、我が国施設が保有するPFOS含有の泡消火剤交換を加速しているところでございます。米国に対しても、在日米軍の保有する泡消火剤の非PFOS化、これを求めているところでございます。  米国からは、在日米軍が保有する泡消火剤についても逐次交換を進めているというふうに説明を受けてございまして、本年、不幸にして、普天間飛行場においても流出事故もございましたけれども、こうしたことも踏まえまして、政府として交換プロセスを加速するように求めているというところでございます。  御指摘ございました、さらに、米国防省では、PFOS等を含む有機弗素化合物の総称であるPFASについてもその代替に向けた検討を進めているというふうに承知してございまして、在日米軍への適用も含めた将来の規制あり方等について米側と協議を行ってございます。  引き続き、この問題につきまして、問題全般に取り組む中で、米国内における議論も踏まえながら、アメリカと緊密に連携して、しっかりと日米間で対処してまいりたいというふうに考えてございます。
  35. 屋良朝博

    屋良委員 今、アメリカの方針がというか、大統領、政権がかわってどのような対応になるかというのはまだ見通せないというような御趣旨の答弁だったと思いますけれども、これは大変大きな変化を生むだろうということが言えるんじゃないかと私は思っております。  例えば、アメリカのEPA、環境保護局で指定しているのは、現在は生涯健康勧告値、一生涯でこれだけ以上飲んだら危ないよというふうな勧告値でありますけれども、これが有害物質としての指定に変わると、原因者が浄化も含めて大変な負担を負わされる。それが強制的に対策をとらされるというふうなことになってきますので。  それはアメリカでは、米軍基地施設についてはもう既に先取りして実施されていて、汚染が見つかった地域は、基地の中であろうと外であろうと、国防省がこれを買い上げないといけないというふうなことが国防権限法の中でもう既にうたわれていて、そのように動いていて、先ほど来御説明にありますタスクフォースのことし三月の報告書でも、クリーンアップしなさいというふうに言っておるんですね。  翻って、在日米軍を見てみると、そういった取組が、果たしてどのような実効性を持って取り組まれているのか、よくわからない。今の説明を聞いても、泡消火剤交換は一生懸命やりますというようなことなんですけれども、さて、どのように米側と今後、アメリカ強化される指針の見直しなり有害物質への指定なりを受けて、日本側でどう対応していくのかということの、まあ、すり合わせですかね、その辺はしっかりやっていただきたいというふうに思うんですね。  もしお考えがあれば、あるいは方針があれば、お聞かせください。
  36. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 先ほど御説明しましたような、本年三月にアメリカ国防省のタスクフォースが公表いたしました報告書は、米国政府が直ちにとる措置でありまして、まずは米国内の基地を念頭に置いたものというふうに承知してございます。  米国外の施設における対応については、現在も米国防省でさらなる検討を行っているというふうに説明を受けてございます。  防衛省といたしましては、在日米軍についてもPFASに関する規制について適切な措置が速やかにとられるよう、引き続き国防省との間で協議を継続してまいりたいというふうに考えてございますが、その上で、防衛省といたしましては、ストックホルム条約規制対象となっているなど既に一定の有害性が認められるPFOS、これなどについての皆様の不安を払拭するということが最優先の課題と考えてございまして、米側取組状況を踏まえつつ、引き続き、国内における関係省庁及び自治体と密接に連携しながら対応してまいりたいというふうに考えてございます。
  37. 屋良朝博

    屋良委員 ぜひ強力に対策を講じていただきたいと思います。  アメリカは、日本だけじゃなくていろいろな諸外国に軍事施設を持っている国ですけれども、ほかのところでどうなのかとちょっと調べてみたら、やはりドイツで問題になっていて、二〇一四年以降、アメリカ陸軍が使用するカッターバッハ飛行場で高濃度PFOS汚染が問題になったそうです。消火訓練を行っていた地点の土壌と地下水汚染が見つかって、その除去には数百億円が必要との見通しも出ていました。  それで、二〇一九年から、アメリカ陸軍は民間の検査機関に調査を委託し、基準値超えの汚染を確認して、井戸を掘って汚染水をくみ取り、基地の外に出ない対応などが検討された。これは、大阪摂津市の淀川近くにある化学メーカー事業所と同じようなことをやろう、そのときそういう計画を立てたんですね。これはことしの四月なんですけれども。  ことしの八月末に、アメリカ陸軍はカッターバッハ飛行場における浄化作業の予算獲得して、既に事業者契約をして事業を進めていく、浄化作業です、浄化事業を進めていくというふうなことが欧州陸軍のホームページに、ことし八月ですけれども、広報されていたんですね。  日本ではなぜドイツのような対応にならないのかという単純な疑問がここで浮かんできます。それを聞いたにしても、外国のことなのでというふうな答えかなと思うんですが、もし御答弁があればお願いします。
  38. 市川恵一

    市川政府参考人 お答え申し上げます。  今先生も多少御指摘されましたが、第三国の米軍基地における環境問題につきましては、その実態を詳細に把握して有権的に述べる立場にはないわけではございますけれども、その上で申し上げれば、今御指摘にあったカッターバッハ陸軍基地における環境汚染については、米軍が基地内の調査を実施したというふうには承知しております。  その上で、日米間については、二〇〇〇年に環境原則に関する共同発表というものを発出しまして、同共同発表において、米国政府は、在日米軍原因とし、人の健康への明らかになっている、差し迫った、実質的脅威となる汚染については、いかなるものでも浄化に直ちに取り組むとの政策を再確認するというふうに述べられているほか、環境保護の重要性に言及しているところでございます。  また、同じその共同発表では、在日米軍は、日米又は国際約束の基準のうち最も保護的なものを一般的に採用している、JEGSと我々呼んでおりますが、日本環境管理基準を作成することなどを確認しておりまして、さらに、二〇一五年に締結された国際約束である日米地位協定の環境補足協定においても、米国はJEGSを発出及び維持するとされておりまして、そのJEGSには漏出への対応及び漏出の予防に関する規定を含む旨が明記されております。  したがいまして、漏出、すなわち環境に影響を及ぼす事故が現に発生した場合には、米軍がJEGSを厳守することを帰結として、米軍によって適切な対応がなされることになる、そういうことで対応している次第でございます。  以上でございます。
  39. 屋良朝博

    屋良委員 日米間ではJEGSもあるし環境補足協定も締結しているよ、だから取組たてつけはありますというふうなことであるというふうに私は認識していますが、ただ、実効性の意味から、ドイツではアメリカ軍が主体的に調査をし、主体的に今まさに浄化作業が始まっている。ところが、沖縄あるいは日本国内、沖縄だけじゃないですよ、東京の横田飛行場の近くでも、それから神奈川の厚木飛行場で、大臣御地元の山口県岩国基地でも、流出事故は既に報道されているわけなんですね。だけれども、その原因を特定できない、原因が特定できないと浄化作業だってこれはままならないということが現状で、今説明された二国間の協定なり申合せなりがあったにしても、それが実効性を伴わないともうこれはどうしようもないですよね。  そこで、今御説明された環境補足協定、その規定によると、日本側による基地の中の立入調査が可能となるのは、環境事故が現に発生した場合と規定されている。しかも、米側から通報が行われたときというくくりがある。  発生する場合の状態を協定の中で、これは英文と日本語で書かれているんですけれども、英文にはspillという単語が使われている。一般的にスピルというのは、何かがぽっと漏れたよ、あるいはコップの中の水がぴちょっとはねちゃったよみたいな、そんなイメージを持ってしまう。とりあえず辞書で調べてみたら、液体などをうっかりこぼすとか、垂らすとか、流れ出すというふうな意味なんですね。日本語では漏出というふうに訳されております。だから、どうも、今まさに何かがこぼれ落ちている状態、何かが流出している状態、それを確認していないとこの環境補足協定は始動しない、効果を発揮しないというふうに読めてしまうんですね。そういうような理解でよろしいのかということ。  例えば、有害物質が容器から漏れ出しているのを見つけて、すぐにその漏出をとめて、噴き出したものを拭き取る、そうする場合、そうして現状はもう処理されているよというような状況の中で、この補足協定は果たして効果をもたらすのかどうか、あるいは何らかのアクションを引き起こしてくれるのかどうかということをちょっと御説明ください。
  40. 市川恵一

    市川政府参考人 環境補足協定の実効性にかかわる御指摘だと思いますけれども、まさに、環境関連のさまざまな事案に関しましては、これまでも政府といたしましては、地元の皆様の懸念あるいは御関心に応えられるように、さまざま日米間で協議を重ねてきているところでございます。  今御指摘なさいました環境補足協定ですとか、あるいは環境に関連する日米の合同委員会合意などを踏まえて、適切に運用していくことが重要だと思っております。  環境に関する立入調査に関して申し上げれば、一つは、米側からの情報提供を端緒として立入り申請を行う環境補足協定に基づく手続に加えて、日本側として環境汚染を疑う場合に、米側調査要請あるいは立入り許可申請等を行うことを可能とする既存の日米合同委合意も存在しておりまして、それは事案の状況を踏まえながら、政府といたしましては、周辺住民の方々がPFOS等の検出に対して不安を抱いているということを重く受けとめながら、きちんと環境対策、実効的なものとなるように、ただいま申し上げた環境補足協定に加えて、これまでの日米合同委合意、こうしたものを適切に運用して、米側連携をしながら必要な努力を尽くしてまいりたいと思っております。
  41. 屋良朝博

    屋良委員 質問は、漏出を見つけて、その現場にいた人がとめました、拭き取りました、もう今、外形的にはそういう漏出事故は起きていません、それはどうですか。それは、その環境補足協定の中で立入調査までできるというふうに読み込めるんでしょうか。
  42. 市川恵一

    市川政府参考人 今先生の御指摘になりましたケースがどれに当たるかということはさておき、確かに環境補足協定には、「環境に影響を及ぼす事故(すなわち、漏出)が現に発生した場合」ということが書いてあることは事実でございます。  先ほど御説明申し上げたのは、それ以外にも日米合同委合意で、日本側として環境汚染を疑う場合に、米側に対して調査要請あるいは立入り許可申請を行うことを可能とする日米合同合意というのは別途ございますので、それは個別の状況に応じて、事案に応じて、まさに住民の方々の懸念を重く受けとめながら、個別具体的に、米側との連携、あるいは立入調査も含めて何ができるのかということを、政府としてしかるべき対応をしていきたいと思っております。
  43. 屋良朝博

    屋良委員 どうもありがとうございました。  僕は実効性を今聞いていて、日米間の取組に対する姿勢ということはさておき、とりあえずその協定が動くのかどうかということなんですね。現に発生しているというふうな一文があるから、現に発生していない状態だったら、それは、まあ事後報告はするかもしれないけれども、これが中に立ち入ることにはつながらない。  これはもう過去に例がありまして、去年の十二月に普天間飛行場で発生したんですよ。流出しなかった、大丈夫だよということの報告で終わっている。ところが、ことしの四月には、泡消火剤の泡が民間地をふわふわふわふわ飛んでいるような状態河川にも泡がたくさんあふれ出ている状態、これはさすがに基地の中に入ることができました。  だから、現に発生している状態というのをどう解釈するかというのは、非常に、その場その場の現場の判断に任せているような感じがあって、これは、大阪淀川で事業者が自分たちで努力して水をくみ上げて外に出ないようにしていますとかというふうな対応にはつながらないのだと、私は現状を見るとそういうふうに思っておるわけです。  協定は、環境汚染対応するたてつけにはなっていますか。漏出事故には対応しましょう、漏出している現状を確認しました、そのときに通報するというふうになっていますけれども、それが環境汚染となった場合。ですから、大阪の淀川の化学メーカーが、その周辺で高濃度地下水汚染がありますというふうな状況がわかった、それで大阪府が事業所に対して何らか対応してちょうだいよとお願いしたら、メーカーは水をくみ上げた。これは環境汚染に対する対応なんですけれども、環境補足協定が、環境事故に対しては規定がありますけれども、環境汚染周辺も巻き込む環境汚染に対しての対策というのを導き出すようなつくりになっているかどうか、そこが今問題なんですよ。  地下水になるということは、かなりの年月たって、土壌から地下に浸透して帯水層に行って、それが外に出ていくわけですから。そういったタイムラグがあるような、しかも環境汚染となっているようなものにこの環境補足協定は対応しているのか、そこが今問題なんですけれども、もし何らかのお答えがあるなら、外務省、お願いします。
  44. 市川恵一

    市川政府参考人 まさに先生御指摘になりました、ことしの普天間飛行場の泡消火剤の漏出事故がございましたけれども、そのときも、環境補足協定に基づいて、国のみならず地元自治体の方も一緒に立入りいただいてサンプリング調査をやった、サンプリング調査の結果も公表されているという実態がございます。  したがいまして、やはり米軍施設の区域内それからその周辺等において、まさに住民の方々の健康あるいは安全を含む公共の安全に影響を及ぼすおそれのある事態については、環境補足協定ですとかあるいは合同委員会の枠組みを通じて相互に情報提供するとともに、できるだけそういった環境問題に適切に対応するように努力しているところでございます。
  45. 屋良朝博

    屋良委員 ドイツでは二〇一四年から問題になって、沖縄、まあ日本では二〇一六年から問題になっている。地元の自治体は、基地が発生源である蓋然性が高いので中に入れて調査させてくださいと言っているんだけれども、それが全然実現しない。なぜでしょう。  今、外務省、るる説明なさいました、たてつけはあります、協定の取決めはあります、JC、合同委員会の合意もあります、合同委員会で話し合われることになっておりますと。なっているのはわかります。じゃ、なぜ、この四年間全くそれが実行に移されていないのかということを、ずっと私、質問しているつもりなんですけれども、そこに対してはストレートな答えがないです。何か御説明いただけますか。
  46. 鈴木隼人

    鈴木大臣政務官 お答えいたします。  十分なお答えになるかわかりませんけれども、地元自治体からの要請を受けまして、政府としてアメリカ側にその要請については伝達をしておりますが、その立入調査に関する前向きな回答というものは今のところ得られていないというような状況でございます。  引き続き、住民の皆様や国民の不安を払拭するために努力は続けていきたい、このように考えております。
  47. 屋良朝博

    屋良委員 政務官、ありがとうございます。  伝達しているけれども、立入りについての回答がないという御答弁でした。そうすると、やはり実効性がこの環境補足協定では担保されていないのではないかというふうに思わざるを得ないんですけれども。  どうでしょう、補足協定をもう一度見直して、アメリカではああいう大規模な対応をしてくるわけですよ、これから。大統領がかわったら、これ、有害物質という指定にすると公約している。そうすると、アメリカではがんがんがんがん対応が進む。今でもアメリカではクリーンアップをしている、環境浄化をしているというような状態があるにもかかわらず、日本では、国内でありながら、環境問題は国境を越えるような問題じゃないですか、基地の中が多分発生源だなというようなことを思っていても、それが手も足も出せない。どうなんですか、この状態。  もし、大臣も含めて、協定の見直しについて、あるいは、アメリカタスクフォースと一緒にやっていくんだよというふうな方針もことしの一月に出されているわけですから、そこを何とかもう一歩、二歩踏み込んで、環境汚染に対する取組ができるような仕組みに切りかえていくというふうなお考えはないでしょうか。
  48. 鈴木隼人

    鈴木大臣政務官 委員指摘の環境補足協定でございますけれども、この環境補足協定で環境に関することを全てということでは必ずしもなくて、先ほど局長の方が御説明させていただいておりますけれども、環境に関する協力についての日米合同委員会合意というのがございまして、こちらで、環境汚染を疑う場合には、日本側として米側調査の要請や立入り許可申請等を行うことが可能となっております。  こういった多様な枠組みを活用しながら、環境問題に対して対応をしていきたいというふうに考えております。
  49. 岸信夫

    岸国務大臣 実際、ことしの四月、普天間飛行場での泡消火剤流出事故につきましては、環境事故について、過去に例がなかったわけですが、環境補足協定に基づく立入りを五回行った、こういうことでございます。水や土壌のサンプリングを実施し、政府関係自治体、また米側で緊密に調整の上、さまざまな取組を行ってきた。ですから、環境補足協定が実際にこの普天間のケースにおいては適用されて、向こうもそれに応じて立入調査が可能になったということでございます。  今委員からのお問合せの嘉手納については、先ほど外務省からも御答弁がありましたけれども、米側に対してさまざまな機会で伝達をしている、こういうことでございますが、このPFOSをめぐる問題については、沖縄の県民を始めとして国民全体に不安があるという状態であれば、これを拭い去らなければいけない。現在、関係自治体米側とも連携をとって、政府全体として取組を進めてまいるところでございます。
  50. 屋良朝博

    屋良委員 大臣、政務官、ありがとうございます。  大臣がおっしゃったように、これは環境問題だというふうな認識も持って、アメリカでは、与野党、共和党と民主党が一緒になって議会でタスクフォースをつくって、アメリカ国防総省に対して注文をする、ちゃんとしなさいねというふうなことを言ったりする。下院の軍事委員会では、共和、民主両党の委員が、これまた国防権限法二〇二一年、次の国防権限法で取組をちゃんとしなさいねというふうに注文をつけるような事態なんですね。  だから、どうでしょうね、これ。与党筆頭の長島先生の御地元というか選挙区でも、血中濃度が高い値で出ているんですね、このPFASは。大臣の御地元でも、報道は当時発表もされなかったんですけれども、情報公開制度でジャーナリストが、イギリス人ですけれども、それでやったら、長い時間をかけてちょろちょろちょろちょろ漏れ出していたというのがわかっておるんですよ。しかも、それだけじゃなくて、大阪淀川が全国で一番高い濃度で出ている。アメリカとかドイツではちゃんともう対応が進んでいる。これ、何で日本でできないのかということを、ちょっと僕は、非常に不思議で。  これは基地問題もそうなんですけれども、やはり環境安全保障という言葉があってもいいじゃないですか。SDGsをこれからやろうと言っているわけですよ。そんな私たちが、目の前の環境汚染、どうにも手が届かないという、そんな状態をずっとこれからも放置しておくというのが、これは主権国家として本当に大丈夫かなというふうに思うわけですね。  だから、しっかりこれ、仮に与野党一緒になって、アメリカみたいにタスクフォースをつくって取り組むようなことができたら、これは政治課題、政治のリーダーシップをすごく発揮できるようなテーマだと私は思っております。  ということを申し述べて、時間が来ましたので、ありがとうございました。
  51. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、本多平直君。
  52. 本多平直

    ○本多委員 立憲民主党の本多平直です。  衆議院の規則が改まりまして質問中のタブレットの使用も許可をされましたので、理事会の許可を得て、少し、紙の資料と同時にタブレットも使いながら質問させていただきたいと思います。  前回のちょっと追加なんですが、防衛省の天下りあっせん事案、ことし発生をいたしました、それについて追加で質問したいと思います。  前回ちょっと数字がたくさんあったので、私からも言いましたが、せっかく調査をしていただいた衆議院の安全保障調査室、当委員会の依頼を受けて調査をしていただきましたので、改めて結果を御報告いただけますでしょうか。
  53. 奥克彦

    ○奥専門員 御指摘の予備的調査は、平成二十六年成立の自衛隊法改正法の施行後の自衛隊員の再就職事例のうち、改正前の自衛隊法において原則禁止されていたもの、すなわち、離職後二年間の、離職前五年間に契約関係などにより防衛省と密接な関係にある営利企業体への再就職に該当するものについて調査を実施するものでございました。  調査の概要を述べさせていただきますと、平成二十七年十月一日から令和元年十二月三十一日までの間の自衛隊員の再就職事例のうち、調査対象となったのは九百三十六件。うち、営利企業体への再就職は六百三十三件。この六百三十三件のうち、防衛省との密接な関係に該当する営利企業体へのものが四百八十七件、再就職全体九百三十六件に占める割合は五二%。営利企業体への再就職六百三十三件のうち、防衛省との密接な関係に該当しない営利企業体へのものが百四十六件、再就職全体九百三十六件に占める割合は一五・六%。そして、営利企業体以外への再就職は三百三件、再就職全体九百三十六件に占める割合は三二・四%でございました。
  54. 本多平直

    ○本多委員 大変、調査をありがとうございました。  天下り規制が変わる前のルールでいえば違法であるような、密接な関係のある営利企業への天下りが、九百三十六のうち四百八十七。これは、天下り法が改悪、私から見ると改悪なんですが、されて、現在は合法とされた。  しかし、前回処分を受けた天下り事案、今回処分を受けた天下り事案のうち、密接な関係のある企業に今回のこの調査に該当する件数は何件ありましたか、大臣
  55. 岸信夫

    岸国務大臣 お答えいたします。  陸上自衛隊の再就職等規制違反のあっせんを受けた将官二十五名のうち、予備的調査において、密接な関係にある企業に再就職した者は十四名となっています。
  56. 本多平直

    ○本多委員 今回、あっせんを受けて、つまり、あっせんがないからオーケーだと言っていたわけなんですが、あっせんを受けて密接な関係の営利企業に天下っていた人が、二十五名のうち十四名もいた。これは本当に重要な事実なので、しっかりと反省をしてほしい。  さらに、今回調査室さんに調査をしていただいて明らかになったのは、密接な営利企業に天下っているだけでも私は問題だと思うんですが、顧問という役職、これはどれぐらいいらっしゃいますか。
  57. 奥克彦

    ○奥専門員 防衛省と密接な関係にある営利企業体に再就職した事例四百八十七件のうち、再就職先における地位の記載欄に顧問の表記があるものは、技術顧問など他の文言があるものを含めまして二百五件、四二・一%でございました。  ちなみに、調査対象となりました再就職件数九百三十六件全体で見ますと、再就職先での地位が顧問であるものは二百七十二件、二九・一%でございました。
  58. 本多平直

    ○本多委員 大臣、再就職先からもとの職場に働きかけをしたら違法行為になる場合がたくさんあるんですね、法律で。場合によっては犯罪になります、不当な働きかけをしたら。きちんとした仕事があるんだったらまだしも、顧問というのがどういうことをしているのか。しっかり、これは働きかけが行われていないと言えますか。これだけ、五年間で数百人、顧問になっているんですよ、密接な関係のある会社に。もとの職場に働きかけをしていないと本当に言えますか、堂々と。
  59. 岸信夫

    岸国務大臣 各企業で、顧問という肩書で入った方でも、ちゃんとした仕事といいますか、それにふさわしい仕事をされている方はたくさんおられるというふうに思っております。これはそれぞれの企業の問題ですので一概に申し上げることは、言えぬと思うんですけれども、いずれにいたしましても、隊員が在職中に培った専門的な知識や経験などを生かして企業に再就職することは、これは隊員が誇りを持って職務に精励できるというようにするためにも重要である、こういうふうに考えています。企業側にとっても、隊員が在職中に培った専門的知識を生かしていく、このことは意義があるものと思っております。  問題とされるのは、やはり、予算や権限を背景とした再就職のあっせんや要求、官民の癒着につながりかねない隊員のOBの口ききですね、いわゆる。等の不正な行為で、そのことが問題である、こういうふうに思っています。  再就職等規制においては、公務の公正性を確保するために、一般職の国家公務員に適用される規制と同様に、他の隊員や隊員OBの再就職依頼、情報提供等に対する規制、そして在職中の利害関係企業等への求職の規制、そして再就職者による契約等に関する働きかけの規制、こういったことを行うこととして、加えて、内閣府再就職等監視委員会及び防衛人事審査会による厳格な監視を行うこととしておるところでございます。  予備的調査の結果、防衛産業への再就職も確認されておりますけれども、全て現行の厳格な再就職等規制制度に基づいて行われた適切なものと承知をしているところでございます。防衛省から企業側への発注についても、全て法に基づいて行われた適切なものと承知をしているところでございますが、いずれにいたしましても、今後とも、自衛隊員の再就職等規制については、防衛省自衛隊に対する国民の信頼を損ねることのないように、組織を挙げて徹底して取り組んでまいりたいと考えております。
  60. 本多平直

    ○本多委員 私、今回、調査室さんに調査いただいて、天下りの数、営利企業への天下りの数もびっくりしたんですけれども、特に顧問の多さにやはり驚きました。今大臣るる答弁されましたけれども、働きかけなどの事案が起こらないようにしっかり監視するのは大臣の役目ですので、しっかりやっていただきたいということを申し上げておきます。これだけ多いと、いろいろ疑念を感じざるを得ないということを指摘させていただきます。  さて、今話題になっているイージス・アショアの後継策について質問をします。  私の立場をまず言っておきますと、私、イージス・アショアが頑張っているころから、イージス艦だけでいいと。ミサイル防衛、いろいろな問題点がある。これから北朝鮮のミサイルが進化していくと、なかなか全部は撃ち落とせない。しかし、今ある、イージス艦八隻で頑張っている程度のイージス、ミサイル防衛、阻止の能力はしっかり持つべきだということには反対をいたしておりませんし、逆に、弾数の問題など、積極的に応援をしてきたつもりです。あれで大体十分だからイージス・アショアまで要らないんじゃないかというのが私の立場でしたので、実は、皆さんの議論にのっかるつもりはなくて、後継策なんか要らないというのが私の立場です。  今の八隻体制をしっかりと充実させることでミサイル防衛を維持していくというのが私の立場ですが、今回出てきている話がいろいろおかしいので、皆さんの土俵にのっかって少し質問をさせていただきたいと思います。  今、中間報告、皆さん、ナンバースリーという紙を、筆頭ぐらいは見てください、ナンバースリーという紙を持ってきました。これで与党にも御説明をしたそうであります。一番右側にイージス・アショアの費用が載っていて、一番左側に、今与党ではこれになりそうだという話になっているプランA、「まや」型ベースでやる、二隻のイージス艦を新しくつくる、なぜかレーダーは変えないので、それに合わせて船を変えるという話らしいですが。  私は、これ、年末までにこんな巨額の話を、この短い期間で、我々にも説明ないまま決められたら困るんですね。日本学術会議の話でさえ、十億使っているといって菅総理はあれだけぎゃあぎゃあ言っているのに、二千四百億円ということは、大臣、普通の今まで使っている「まや」は大体千七百億円ですよね。これ、大体七百億円も、今まで使っている「まや」型より金額がアップするということでよろしいですか。
  61. 岸信夫

    岸国務大臣 委員、まず与党への、自民党への説明でございますけれども、今の時点でどれかに決めたというものではなくて、先般の調査の結果についてまとめて、検討した結果について御報告をした、こういうところでございます。
  62. 本多平直

    ○本多委員 プランAを採用した場合、今まで普通に使っている「まや」型よりは七百億円高くなるということでよろしいですか。  ちょっと時計とめていただいていいですか。時間が短いのでお願いします、委員長
  63. 若宮健嗣

    若宮委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  64. 若宮健嗣

    若宮委員長 速記を起こしてください。  岸防衛大臣
  65. 岸信夫

    岸国務大臣 失礼しました。  ここに記されている「まや」型のケースであれば二千四百から二千五百ということですけれども、これはあくまでも、いわゆる導入コストに当たるものでございます。これまでも購入してきた、イージス・アショアのケースにおいて既に契約をしてきた、その部分を含めての数字ということでございます。
  66. 本多平直

    ○本多委員 何だかわからないですけれども、お答えにならないので。今使っている「まや」型は千七百億円なんですよ、導入コスト。それが七百億円アップする。  それだけじゃなくて、自民党の皆さんによく聞いてほしいんですけれども、皆さんの部会に出た紙には維持整備費は書いてないんですね。しかし、維持整備費が問題なんですよ。  皆さん、ナンバーツーの紙を見てくださいよ。ぜひ、筆頭ぐらい見てくださいね。この資料は、まだイージス・アショアが生きていたころ、イージス・アショアの方がいいんだよ、イージス艦にすると高いんだよと言っていたころにはこういう数字がちゃんと出ていたんですね。もちろん、いいですか、七千億円、ライフサイクルコスト、三十年でかかるんですよ。  いいですか。このぐらいの数字、もちろん変動するんですよ、どんな機種を入れるか、どういう設計にするかで。しかし、与党にこの数千億単位、十億の学術会議に十億使っているからとけちつけている時代に、次のナンバースリーのイージス・アショアのプランA型、米印二、これ、保険会社の何か見るに見えない約款みたいなふうにこんな巨大な費用を書かれたら困るんですよ。米の二、搭載装備品等が確定していないため、代替案に関して精緻な金額を試算することは困難であるため。これ、誰も一億単位で出せと言っていないんですよ。  いいですか。旧来型の「まや」型の試算でさえ、ナンバーツーの紙では七千億かかるんですよ、三十年で。  要するに、いいですか、大臣、この試算をもとにすると、この「まや」型、プランAというのを採用したら、船の導入コストがまず七百億円アップするんですから、二隻買ったら千四百億アップするんですよ。つまり、最低でも今の「まや」型のライフサイクルコストは七千億というのは前回の試算で出ているんですね。大体でいいんですよ。しかし、大体の数字も出さないで与党審査もへったくれもないですよ。  いいですか。最低でも七千億かかるところに、船の値段、導入コストだけで、七百足す七百、千四百上がるんですよ。つまり、大臣いいですか、このプランA型と何げなく出されている案は、三十年間で最低でも八千四百億円かかる、そういうプランだということでよろしいですね。
  67. 岸信夫

    岸国務大臣 配備プロセスを停止する以前において、海上自衛隊の最新の「まや」型のイージス艦二隻の取得及び三十年間にわたる維持運用費などに要する経費は約七千億円、こういうことで見積もっている、こういうことで説明をしてまいりました。これは、イージス・アショア代替としての「まや」型という意味ではなくて、いわゆる「まや」、「まや」型のイージス艦という意味でございます。  他方、今般の中間報告を踏まえてお示ししたイージス・アショア代替案の一基当たりの総経費につきましては、導入コストについては、あくまでも仮の要求性能を設定して試算することで経費の規模感をお示ししたところでございます。  必ずしも今回お示しした四つのプランの中から選んで事業化するというわけではなくて、三十年間の維持経費、維持整備費等については、搭載する装備品の細部の仕様や運用の形態等、さまざまな要素を検討する必要がありました。このため、現時点で精緻な総経費をお示しすることは困難である、こういうふうにもお話ししたわけです。  そのため、「まや」型イージス艦の二隻のライフサイクルコストと今回お示ししたイージス・アショア代替案の総経費を比較するということは困難である、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、厳しい財政事情も踏まえつつ、運用構想や要求性能の細部の検討を通じて、イージス・アショア代替案の総経費を精査してまいりたいと考えております。
  68. 本多平直

    ○本多委員 くどくど話しましたけれども、アショアをやりたくてイージス艦が高いというときには数字を出して、今度、イージス艦を導入したいというときは与党の会議にもあらあらの、これ、七千億より、バージョンアップするんだから高くなるでしょう。こんな数字も出さないで年末までに議論をするなんて、私は全く納得いきません。そもそも、異常にこの日程感がタイト過ぎますよ。これだけの金額のものを導入するのに、何で二、三カ月で結論を出さなきゃいけないんですか。  それともう一つ。これ、勝手にレーダーはSPY7と決めているんですけれども、一応、防衛省の方から自信満々にSPY6よりSPY7の方がいいということを何度も何度も私におっしゃいますけれども、私も説明を聞くとそう思うんですよ。だけれども、参議院の外防に行くと、自衛隊出身の佐藤正久先生がおかしいと暴れていらっしゃるんですよね。与党の先生も説得しないわ、ここの横にいらっしゃる長島昭久先生もこの部屋で何度も、ちゃんと比べた方がいいと。  せっかくやめたんだったら、海に出すんだから、もしかしたらSPY6の方がいいかもしれないじゃないですか。きちんと、この比較表に何だかわけのわからないプランB、C、Dとかと出すんじゃなくて、与党内でも疑念のあるSPY6との比較、もう一回やられた方がいいんじゃないんですか、これだけ巨額のものをやるときに。それで、自信を持って提案してもらえませんか。
  69. 岸信夫

    岸国務大臣 先ほどの総経費の件についてですけれども、中間報告等を踏まえますと、導入を予定していたイージス・アショアの一基当たりの総経費については、導入コストは、これまで説明してきた本体取得経費の約一千二百六十億円に、船舶やリグといった比較対象を踏まえて、特定の配備地を前提としない形で試算した施設整備費や警備関連装備品、通信機材等の取得に要する経費を合算した約二千億円を試算してお示しをしたところです。  合計、現時点で判明している三十年間の維持経費、維持整備費等を……(本多委員「ちょっと、違う紙ですね」と呼ぶ)いやいや、先ほどのことについてです。どっちが高いかというようなお話のところですね。ただ、これらについても、現時点で判明している経費等に基づく試算であります。必ずしも精密な総経費とはならないことを御理解いただきたいというふうに思います。  イージス・アショア代替品を本年末までに決めるのは拙速ではないか、このようなお話もございました。  我が国を取り巻く安全保障環境を考えますと、非常に厳しいものがある。一方で、軍事技術の進展に伴う多様な経空脅威が顕在化をしています。そうした状況の中で、イージス・アショア代替案と抑止力の強化については、菅総理が所信表明の演説で述べられたとおり、九月十一日の内閣総理大臣の談話を踏まえてしっかりと議論をして、あるべき方策を取りまとめていきたい、このように考えておるところでございます。今、引き続き、あるべき方策を示せるように、鋭意検討を進めているところでございます。(本多委員「SPY7は。SPY6は」と呼ぶ)  SPY6、SPY7につきましては、既に精緻な検討を行っているところでございます。その上で、SPY7の方がさまざまな点においてすぐれている、こういう結論を出したところでございますので、その上でSPY7を選定をしたということでございます。
  70. 本多平直

    ○本多委員 与党の先生を納得させてから、しっかり国民に説明してほしいと思います。  七月八日、この部屋で河野大臣は、私の、こうやってどんどんイージス・アショアとかイージス艦をふやす前に、今あるイージス艦にしっかり弾を積むべきだという議論に関して、誘導弾の数が重要なのは全くそのとおり、麻生財務大臣にもそうした議論をしている、来年度の概算要求をしっかりやってまいりたいと。野党に対してよくここまでいい答弁してくれたなと私は感謝をしたんですが、七月八日。今回の概算要求、ミサイルの弾、ふやす話はどうなっていますか。
  71. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、ミサイルの弾については、必要な数をしっかり計上しているということでございます。(本多委員「しているんですか」と呼ぶ)はい、しております。
  72. 本多平直

    ○本多委員 幾らですか。  とめてもらっていいですか。
  73. 若宮健嗣

    若宮委員長 速記をとめていただけますか。     〔速記中止〕
  74. 若宮健嗣

    若宮委員長 速記を起こしてください。  岸防衛大臣
  75. 岸信夫

    岸国務大臣 今お問合せの件でございますけれども、SM3ブロック2Aということであれば、令和年度の概算要求においては、イージス・アショア代替案の検討を踏まえつつ、SM3ブロック2Aの取得時期等についてもさらなる検討が必要であること、米国調達スケジュールとの整合性を含めて、より効果的な取得のあり方についてさらなる検討が必要であることなどの状況を踏まえつつ、概算要求における精査の過程で、厳しい財政事情も踏まえて、SM3ブロック2Aの取得に係る経費を令和年度概算要求に計上することは見送ったところでございます。  ただ、過去において、例えば、二十九年には約百四十七億円、三十年は四百四十億円、〇一年度約三百三億円、〇二年度が約三百一億円、こういう形で既に計上しているということでございます。
  76. 本多平直

    ○本多委員 既にイージス・アショアをやめることがわかった後に河野大臣はこういう答弁しているんですから、私の質問に対する答弁は全く裏切られたということを残念に思います。  最後に一問。前回のこの安全保障委員会の篠原議員との質疑の中で、敵基地攻撃論の議論の中で、岸さんはこの七十年来積み重ねてきた政府答弁をひっくり返すようなことをおっしゃったんですけれども、撤回しておいていただいた方が今後の議論のためにいいと思うので、提起をしたいと思います。  いかなる場合にほかに手段がない、つまり、敵基地攻撃というのは、ほかに手段がない場合というのが七十年間積み重ねた議論です。ほかに手段がない場合、私も、合憲な場合はあると思います。この、ほかに手段がない場合ってすごく大事なのに、こういう、七十年来どの大臣も言っていないことをおっしゃいました。例えば、米軍等の他国支援の有無といった限られた要件のみを判断、できるものではない。こんな、七十年間、岸大臣のおじい様が総理のときに答弁されたこととも全く違う。日米安保がある限り、こういうことは想定できないとずっとおっしゃってきたのに、何を突然言い出しているんですか、これ。  もしこういう解釈に変えるんだったら、敵基地攻撃論というのは違憲だということになると私は思いますよ。議論できなくなるんですけれども、どういうつもりでこれをおっしゃったか。間違って言ったんだったら、撤回していただいた方がいいと思うんですけれども。
  77. 岸信夫

    岸国務大臣 従来から政府は、昭和三十一年の統一見解を踏まえて、このときは、誘導弾等による攻撃が行われた場合に、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに、ほかに手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であると解してきており、現在もこの統一見解を維持している、これは私の立場でも変わっておりません。  その上で、私、御指摘の件でございますが、この統一見解のもとで、いかなる場合に他に手段がないと認められるかを含めて、我が国としていかなる状況において講ずるいかなる措置が自衛の範囲に含まれるかということについては、実際に発生した武力攻撃の規模、態様等に即して個別具体的に判断されるものであって、例えば、米軍等の他国支援の有無といった限られた与件、要件じゃなくて与件と申し上げたんですけれども……(本多委員「議事録は要件になっていますよ」と呼ぶ)はい。与件のみをもって判断できるものではないということを述べたものであって、従来の見解を変更するものではございません。
  78. 本多平直

    ○本多委員 従来の見解を変更しているんですよ。  従来は、いいですか、米軍の支援の有無どころじゃないんですよ。過去の大臣、僕はきょう時間があったら読み上げようと思いましたけれども、日米安保がある限りと言っている大臣もいるんですよ。これ、変更するんですか。  米軍の支援の有無じゃないんですよ。岸さんのおじい様は、どういう場合かといったら、日米安保はあるけれども、アメリカ飛行機が一機もなくなった場合というのはおっしゃっていますよ。しかし、この、米軍の支援の有無といった限られた要件って、米軍の支援があってもほかに手段がない場合って、どんな場合なんですか。
  79. 岸信夫

    岸国務大臣 過去、米軍の活動がある場合、米軍の支援がある場合というケースでの答弁については、質疑のやりとりの中で、当時はまだ、朝鮮の動乱からの問題だったんですけれども、朝鮮で再び動乱が発生し、米軍が日本の基地から朝鮮に爆撃を行い、それに対して朝鮮が日本国内に報復爆撃を行ったという個別の事例について認識を述べたもの、こういうふうに考えておるところでございます。  そういうことで、さまざまな与件があるわけですけれども、今回私が申し上げたような米軍の支援の有無だけをもって判断することはできない、こういうことで申し上げたつもりでございます。
  80. 本多平直

    ○本多委員 七十年間積み重ねてきた答弁をある日突然こんなふうに変えるんだったら、今後の議論、僕は違憲論でやりますよ。  少なくとも、他に手段がない場合という話はのって議論しようと思ったけれども、そんなふうに突然、ある日突然、これはちゃんと法制局にも相談してください。与党とも相談してください。こういうふうな解釈を突然、七十年間の積み上げで、日米安保がある限りという答弁をしていた大臣がたくさんいるんですよ。それを、有無にかかわらずと答弁をするなら、私は今後もうこの敵基地攻撃論の議論なんか全くできない。違憲だということを、勝手に憲法の解釈を、一大臣の、積み重ねでやってきた答弁を変えているとしか言いようがないので、私は今後議論できない、そういうことを申し上げて、質問を終わります。  以上です。
  81. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、篠原豪君。
  82. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 ありがとうございます。篠原豪でございます。  前回委員会に引き続きまして質問をさせていただきます。  今、本多委員が言われたことについては、非常に、もし、これまでと違う答弁になっていて、内容が違うということであれば、それは違うということだと思いますので、もう一度確認させてください。
  83. 若宮健嗣

    若宮委員長 前回のやりとりでの答弁ということでお話しですね。前回の篠原委員とのやりとり。今の……(篠原(豪)委員「何か解釈を変更したのかということです。これまでの答弁、政府の。大事なことなので」と呼ぶ)わかりました。
  84. 岸信夫

    岸国務大臣 本多委員に御答弁申し上げたとおりのことを申し上げればよろしいですか。(篠原(豪)委員「これまでと変えたところがあるんだったら教えてください、政府解釈と」と呼ぶ)  そういうことであれば、申し上げましたのは、例えば、米軍等の他国支援の有無といった限られた与件のみをもって判断できるものではないということを述べたものであって、従来の見解を変更するものではありません。
  85. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 じゃ、これまで、この米軍等の他国支援の有無といったものに限られた要件のみをもって判断できるものではないということはどなたが言ってきたということですか。
  86. 岸信夫

    岸国務大臣 これまで、米軍の支援があるケースというのは答弁があったと思うんですけれども、それは、米軍の支援というのみではなくて、さまざまな状況の中で答弁として答えられたものというふうに考えております。
  87. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私が聞いているのは、盾と矛の関係で、敵基地を何かするときには日本はできない、専守防衛だから。その中で、ずっとそれをやらないということになってきているわけですよ。それについて、米軍がやるということじゃなくて、自分たちでそういうことに踏み込むということがあり得るという、こういうことをおっしゃっているんですか。
  88. 岸信夫

    岸国務大臣 これまでの議論の中で例として挙げられたものは、それぞれ個別具体的なケースとして、それぞれの答弁で述べられたものというふうに解釈をしております。
  89. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 もう一度伺いますけれども、米軍等他国支援の有無は関係ないという話をされたんです、今度。限られた要件のみをもって判断するわけじゃないから、これは関係ないと今おっしゃっているんです。  つまり、これまではそれが大事だったということを言っていて、ちゃんと御説明を。
  90. 岸信夫

    岸国務大臣 繰り返しになりますけれども、米軍等他国支援の有無のみをもって判断する、できるというものではない、こういうことでございます。
  91. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 そういうことを、今まで言ってきた政府の解釈とその答弁というのは、これまで、岸大臣が今回おっしゃる前にもあったかどうかということを確認させてください。
  92. 岸信夫

    岸国務大臣 これはもともとは、御質問の中で、米軍等の支援があった場合というのはどうなんだ、こういうような趣旨でたしか御質問があったと思います。  そのことに対して私が、この米軍等の支援の有無をもって判断できるものではないというふうに答弁を申し上げたところだったと思います。
  93. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 済みません、この問題は、今、ちゃんと過去にこういった解釈があったのかということを聞いているわけで、何かといえば、その米軍等の他国支援の有無といった限られた要件のみをもって判断しないということを政府はこれまで言ってきたのかということなので、今、時間が、通告がという話もありましたので、これは整理して、一度出していただくように理事会で協議をしていただいて、そして整理したいと思いますので、委員長、取り計らいをお願いします。
  94. 若宮健嗣

    若宮委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。
  95. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 それでは、この問題は引き続きしっかりとちょっと確認をしたいと思いますけれども、質問に移らせていただきます。  北朝鮮、今、イージス・アショアの導入の話、きょうありましたけれども、本当にそこで、ミサイルの脅威を受けてやっていくのかなということで、お伺いしたいのは、イージス・アショアの導入について、北朝鮮によるミサイルの脅威を受けて二〇一六年に検討が始まりました。  当時、イージス艦から発射する迎撃ミサイルであるSM3、そして地対空誘導弾のPAC3、この二段構えの弾道ミサイル防衛、これはBMDです、にもう一枚追加するために、米軍の地上配備型のイージスシステム、これはイージス・アショアですね、これと在韓米軍に配備されようとしていた高高度迎撃ミサイルシステムのTHAADが当時有力視をされていたんだと思います。  そのTHAAD導入が見送られてイージス・アショアが決まったのは、報道によると二〇一七年の六月で、関係経費を二〇一八年度当初予算に計上することが決まったとされています。そして、その年の八月にアメリカのワシントンで開かれた2プラス2、日米の外相と防衛担当閣僚会合のことですけれども、ここで小野寺大臣が、当時の防衛大臣ですね、マティス国防長官に購入の方針を伝えたということになっていると思います。  イージス・アショアの導入の理由として、小野寺大臣は、二〇一七年の北朝鮮によるミサイル危機を挙げて、その後の政府による導入理由説明でも、この一七年のミサイル危機がわかりやすいので挙げられているということになっていると思います。そうですね。  しかし、日本に導入されるイージス・アショアが、北朝鮮に対するミサイル対策であるということばかりがクローズアップされてきているんですけれども、そういうふうに思っている国民の皆さんが多いんだと思いますが、これは私は疑問があると思っています。  イージス・アショアは、イージス艦に搭載されているレーダーやミサイルを発射するための垂直発射管、束になっているやつですね、MK41VLSという発射管なんですけれども、それをほぼそのまま陸上に移植した施設ということになります。なので、構造上はイージス艦と同様、多種多様なミサイルを発射することが可能なんです。  具体的には、この発射装置を採用していると、スタンダード艦対空ミサイルだとか、トマホーク巡航ミサイルとか、アスロック対潜ミサイルとか、こういったものも、幅広い種類のミサイルを運用することができるということになっています。  ところが、東欧を見てみますと、東欧のイージス・アショアというのは仕様が大きく異なっていて、これは専用のソフトウエアなどを用いて、ベースライン9Eと言われているやつなんですけれども、この仕様に改修することで、MK41VLS、垂直発射管から発射可能なミサイルをBMD専用のSM3に制限しているんです。ですので、自制的な運用というふうになっているわけで、この背景にはINF条約との関係があるんだと考えています。  まず、東欧に配備されているイージス・アショアは、イランの弾道ミサイルの脅威から欧州諸国を防衛することを目的とした計画ですので、なので、ロシアのICBMを迎撃する能力はない、その戦略抑止、対米打撃力ですね、戦略抑止に影響を及ぼすことはないというふうに説明をしてきた。したがって、ソフトウエアとか電子システムをイージス艦と同様のものにしてしまうと、巡航ミサイル航空機、短から中射程の弾道ミサイルにも対処可能となる、これはSM6、そしてトマホークの発射すらも可能となって、INF条約に当時これは違反するという可能性があったんだということで、そうなっているんだと思います。  北朝鮮は、二〇一六年、一七年に四十発のミサイルを発射してきました。いずれも弾道ミサイルでしたけれども、それにもかかわらず、日本イージス・アショアは、SM3と、巡航ミサイルにも対応できるとされる次期迎撃ミサイルのSM6、この混合による総合ミサイル防衛能力、IAMD能力を付与することを前提に導入が検討されていました。  なので、日本全土をカバーするには、THAADは六基要るんですよ。THAADの場合、六基。イージス・アショアの場合は二基あれば済むので、イージス・アショアに軍配が当時上がったんだというふうに言われていますけれども、本当は、THAADがBMD専用で、巡航ミサイルに対処能力がないことが真の理由だったんじゃないかというふうに思っています。  BMD対処能力、これは、対北朝鮮の対処能力を超える仕様のイージス・アショアを二〇一八年、一九年段階で導入するということだったと思いますけれども、この意図は本当は何だったのかということを教えていただければと思います。
  96. 岸信夫

    岸国務大臣 北朝鮮は、二〇一六年、二〇一七年、弾道ミサイルの発射を繰り返しておりました。その中には、ロフテッド軌道で発射されたものあるいは潜水艦、そして発射台つき車両を使用したもの、複数同時に発射されたもの、固形燃料を使用したもの、こういったものが存在をしておったということです。我が国としては、これは北朝鮮が発射形態の多様化、そして我が国を奇襲的に攻撃できる能力の強化を図っていることを示すもの、こういうふうに考えておったところです。  イージス・アショアの導入については、こうした状況の変化を踏まえて、弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上を図る必要があることから決定をされたということでございます。これによって、ロフテッド軌道や同時発射された複数のミサイルへの対処能力が大きく向上するとともに、常時持続的な迎撃態勢が長期にわたって維持可能となる、こういうことから、弾道ミサイルの迎撃能力は大きく向上する、こう考えておったところです。  御指摘のTHAADについては、弾道ミサイルから一定の地域を保護するということを目的としています。全国を防護するために必要な、今お話がありましたけれども、必要なアセット数がイージス・アショアより必然的に多くなる、THAADを運用する隊員の人的基盤を新たに整備する必要がある、こういったことでございます。  あとは、整備、性能、費用、費用対効果等の観点から比較をした結果、最終的に、イージス・アショアを導入するということを決定したものでございます。
  97. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私がこれをなぜ聞いたかというと、二〇一八年に、総合ミサイル、IAMDの能力強化防衛大綱で打ち出されているんです。その意図するところは、従来のBMDが北朝鮮の弾道ミサイルの脅威だけを想定していたのに対して、このIAMDは、恐らく中国やロシアの多様な、きょうも話になっておりますけれども、経空脅威を視野に入れているんだというふうに思います。その第一号として導入されたのが、しようとしたのがイージス・アショアだったということだというふうに思います。  その配備断念は、だから、単に弾道ミサイル防衛を二重三重に手厚くすることができなくなったという以上の意味があって、これは、だから、いろいろな経空脅威があるわけですよ。そういった中で、これから代替案が間もなく発表されるということで、きょうも議論になっています。  中谷委員も、それを全部ひっくるめた形で出した方がいいんじゃないかみたいなことをおっしゃられたかもしれませんが、本当に、こうした観点を、私もこれは指摘させていただきますけれども、ちゃんとした代替案として、さっき本多委員が、このイージス・アショアですけれども、こんなのもう役に立たないんだ、弾道だけだという話で、それだったら今ので十分じゃないかという話もされていましたけれども、そういったところをしっかりと我々がわかるような形で、変な答弁で、何か全然違うところの攻撃をするようなことを前提にするんじゃなくて、お示しをしていただかないと、これは議論に、これから来年以降なっていかないと思いますので、そのことをお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  98. 岸信夫

    岸国務大臣 多少繰り返しになるかもしれませんけれども、二〇一七年の十二月にイージス・アショアの導入を決定いたしました。これは、あくまで我が国の弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上を図るというために行ったものでございます。  その上で、過去に何度か、イージス・アショア巡航ミサイル対処能力の付与について国会で御質問をいただいております。当時から、イージス・アショアの導入はあくまでも弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上ということが目的であったこと、イージス・アショアには巡航ミサイル迎撃機能を付加することも可能ですが、その時点でその能力を付加する考えがなかったこと、その上で、将来、安全保障環境が変わった際の能力の拡張の可能性については、確保しておくことは重要という旨の答弁をしてきているところだと思います。
  99. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 では、今の話を伺いまして、ちょっとロシアとの話をしたいと思うんです。  この当時、INFの条約はまだ有効でしたので、日本が条約の直接の当事国ではないとはいえ、実質的に米国の管理下にあると言えるイージス・アショアがINF条約違反の能力を持っているとなると、当然、今答弁の中で、これから拡張することを、備えて、いろいろと備えていくということをおっしゃっていましたけれども、当時、ロシアの反発が想定されていたわけです。  二〇一八年の七月の日ロ両政府による2プラス2で、小野寺防衛相が、我が国防衛する純粋的な防御システムで、ロシアに脅威を与えるものではないというふうに主張しているんです、2プラス2で。と強調しても、ロシアは、これは平和条約交渉を含む日ロ関係に悪影響を及ぼすとの主張をおろすことはなかったんです。  当時、ロシアからは、配備断念以外に具体的にどのような要求があったのか、それを教えていただきたいのと、あと、防衛省は、イージス・アショアの導入のコストを抑えるためにと、想定していた巡航ミサイルの迎撃能力の追加を見送りましたけれども、これはロシア対策の意味というのはあったんでしょうか。
  100. 岸信夫

    岸国務大臣 日ロの2プラス2におけるやりとりについては、外交交渉ですから、詳細にお答えすることは、相手国との関係もありますので差し控えさせていただきますけれども、この協議において、当時の小野寺防衛大臣、河野外務大臣から、我が国ミサイル防衛システムは我が国が主体的に運用しているものである、国民の生命財産を守るための純粋に防御的かつ必要最小限の手段であり、ロシアに脅威を与えるものではない、このように説明をしたところでございます。  いずれにいたしましても、この二〇一七年十二月のイージス・アショアの導入決定は、あくまでも弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上を図るために行ったものである。御指摘のようなロシアへの配慮、こういったことを理由巡航ミサイル等への対処機能の付与を見送ったということではないことでございます。
  101. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 あの当時は、日本が導入するイージス・アショアについて、ロシアのラブロフ外相は、中距離核戦力、INF全廃条約違反だというふうに否定をして、日本政府は今言ったような答弁で、答弁というかお答えをしているということがありますが、ロシアはそのときに、INF条約違反だとラブロフさんは明確に言っているというふうであったので、それは向こうがどうとるかという話もありますので。  脅威というのは、例えば、きょうも中国が、何かミサイル防衛についてお話があったかわかりませんけれども、脅威というのは、我々は脅威をつくるつもりはないんだと言ったって、それを捉えるのは、脅威と受け取る側の国のことなので、そのこともしっかり考えていかなければいけないんだろうという問題が残されるということです、この新しい代替案も含めても。  このイージス・アショアを、BMD対処能力に限定することなく、フル規格でイージス・アショアを導入するには、日本がこれを買い取る形、先ほども、FMS、これはすごいお金がかかっているじゃないかということがあったんですが、フルスペックでやるには買い取らざるを得なかったという背景があったんだと思います。  当初、米国は、ハワイのカウアイ島に設置されているイージス・アショアの試験用施設を実戦配備に切りかえることを計画していた。ですが、同施設はSM3以外にもさまざまなミサイル発射をできるという仕様になっているので、実戦配備に移行した段階でINF条約に違反する可能性がある。なので、断念せざるを得なかったんです。  しかし、日本が導入するとなると、日本はINF条約の当事国でないので、なので、そうした制約を回避することができるという考え方もあるんだと思います。だって、INF条約の当事国でないですからね、日本は。日本は、米国のそうした意図を知った上で、あえてイージス・アショアの導入に踏み切っているのかいないのか、このことについて確認させていただきます。
  102. 岸信夫

    岸国務大臣 御指摘のハワイの施設ですけれども、太平洋ミサイル実験施設には垂直発射装置を含めたイージス・アショアの試験施設が存在しますけれども、この施設は専ら試験に用いられるものでございます。現時点においても実戦に供してはいない、こういうふうに承知をしております。  いずれにいたしましても、二〇一七年十二月のイージス・アショアの導入決定は、北朝鮮が弾道ミサイル攻撃能力の強化向上を図っていたという背景があります、二〇一六年から二〇一七年。こうしたことを踏まえて、あくまで我が国の弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上を図るために行ったということでございますので、委員の御指摘のような理由ということではございません。
  103. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 東欧に配備されたイージス・アショアも、韓国に配備されたTHAADも、全て米軍が自前で配備したものですよね。なぜ日本が莫大な費用をこのときに負担をして、日本だけが自前にこだわったのか、多くの人々がやはりこれを疑問に感じている。これはやはり、今のようなことがあるんじゃないのかということですね。  日ロの関係に悪影響を及ぼして、平和交渉をやっていました、その上、六千億円とも言われる巨額の費用を負担することで得ようとしたものは、これは単に我が国防衛能力の向上だったのか、それともトランプ大統領から信頼を得たかったのか、二つですよね。爆買いと言われているんですけれども。(発言する者あり)まあ、ゴルフの話はおいておいてですね。  トランプ大統領からの信頼を得たかったというのが政府の意図としてあったのか。あるいは、今おっしゃったように、西太平洋における戦略環境の改善、こういったものを考えてきたのかということはありますでしょうか。
  104. 岸信夫

    岸国務大臣 繰り返しになって申しわけないんですけれども、イージス・アショアの導入というのは、まさに我が国の弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上を図るということで行ったものでございます。ぜひ御理解をいただきたい、こういうふうに思います。
  105. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 イージス・アショア日本の導入は、今北朝鮮の話が出てきたんですけれども、やはり対中国戦略というところの一環ということがあるんじゃないかというふうに、これは考えられると思うんです。なぜなら、日本イージス・アショアは、中国のH6K爆撃機や各種艦艇などから発射される巡航ミサイルを念頭に、SM3とSM6の混合による総合ミサイル、IAMD能力を付与することを前提に導入が検討されてきた、こういうことを言われることもあるわけですね。  核弾頭や通常弾頭を搭載する射程五百キロから五千五百キロの地上発射型ミサイルの保有を禁止したINF条約の当事国でない中国は、米ロが手足を縛っている間に、手足を縛っているという言い方がいいかわかりませんが、米ロは条約に入っていてできなかった、この間。ミサイル、いえば、パーシング2と、スミソニアン博物館に行けば並んでいるわけですよ、両方側の廃棄した中距離弾道弾が。それが、中距離ミサイルに着目をすれば、中国は既に二千発以上を今保有するということになっていて、アジアで圧倒的優位に立っているということになります。きょう、朝、調査会を我が党ではやったんですが、そのときにもこの話になりまして。  こういった危機認識を背景に、日本政府はたびたび、現状認識がどうなっているのかという話、中国はどう、わかっているかという話をみんなで勉強してきたんですが、こういった危機を背景に、日本政府はたびたび、米国政府に、中国は中距離ミサイルをどんどん開発しているのに、米国は空白の状態のままでいいのかと問うてきたとされています。これを日本政府から問うたときに米政府からどのような反応があったのか教えてください。
  106. 岸信夫

    岸国務大臣 米国とは、我が国も同盟国としてさまざまなやりとりを常に行ってきているところでございます。ただ、その具体的な内容についてはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
  107. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 中距離ミサイルに着目すれば、中国はアジアで圧倒的な優位に立っているから、米国の打撃力に依存する日本安全保障にはこれは大きな脅威になりつつあるということで、これは新聞にも書いてあって、そういうことを日本政府はずっと言ってきていると言っているので。ほかの論文にも書いてあるんです、アメリカの有名な研究者の方が言っていることなんですけれども。そのことについて、そういうことを言ってきているというのは事実だと思うので、まずその確認をさせていただきたいのと、あともう一つ……
  108. 若宮健嗣

    若宮委員長 そろそろ、時間が来ております。
  109. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 わかりました。  では、こういうことをちゃんと言ってきたのかどうかということだけ、別に中身についてはいいですけれども、そのことについて、向こうの反応はいいですから、日本政府としてそういうことを言ってきたのかということだけ確認させてください。
  110. 岸信夫

    岸国務大臣 米国との間では、東アジアの地域情勢についても含めて、頻繁に、必要に応じて意見交換をしてきておるところでございます。ただ、その中身については差し控えさせていただきたいと考えております。
  111. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 時間ですけれども、終わりますけれども、その後にINF条約をアメリカがやめるということもありまして、その辺からまたA2ADの話もありますので、引き続き議論していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
  112. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、重徳和彦君。
  113. 重徳和彦

    ○重徳委員 冒頭、野党の筆頭理事といたしまして、先ほど本多委員、篠原委員から求めのありました、敵基地攻撃能力に関する、他に手段がない場合の解釈について、これは会期中に文書で提出をいただく方向で委員長にもお取り計らいをいただきたいと思います。
  114. 若宮健嗣

    若宮委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。
  115. 重徳和彦

    ○重徳委員 よろしくお願いします。  それでは質問に入りますけれども、前回、私の質疑で、イージス・アショア配備断念について、岸大臣の答弁の中で、河野大臣の当時の判断は、その断念の判断は私は正しいものであったと考えているという御答弁がございました。  でも、九月四日に防衛省が公表しましたイージス・アショアに係る経緯に関する資料があるんですけれども、その中で、地元への説明の評価としてこう記してあります。「イージス・アショアがSM―3を発射する事態は、弾道ミサイル我が国に向けて発射されているような状況であり、このような極限の状況を想定していることに理解を得つつ、当初から住民避難等の国民保護措置を含めて安全対策に万全を期すとの考えに立って、丁寧な説明を実施することも検討されるべきであった。」と。  すなわち、我が国に弾道ミサイルが飛来するという極限のリスク状況とブースター落下のリスクとを比較して、やはり何らかの形で住民の理解を得たかった、そういう防衛省としての思いがにじみ出ているというふうに受けとめられます。  関連する話として、六月二十六日の記者会見で、河野前大臣の発言なんですが、市谷の防衛省敷地内のPAC3がミサイル弾頭をターミナル段階で迎撃したら、破片の落下で周辺の家屋に被害が出る可能性がある、そう知りながら配備しているのは、ミサイルの被害と破片の被害を比較して展開しているんだ、こういう説明があったわけであります。これは矛盾する話だと思うんですよね。  時の防衛大臣というのはもう退任しちゃって、しちゃっても、防衛省という組織は引き続きこうした矛盾を抱えながら防衛政策を遂行しなきゃいけない、こういう立場でありますから、後々のことまでちゃんと責任を持った判断を行うのが大臣の務めなのであろうというふうに思います。決して政治のおもちゃにしてはならないということでございます。  改めて、河野大臣の判断をもう一回覆して、イージス・アショア代替地を調査して、地元説明して、配備する、こういうところにもう少しこだわってみてはどうかと思うんですが、そのあたり、どのようにお考えでしょうか。
  116. 岸信夫

    岸国務大臣 これは、配備までのプロセスの段階で、地元に対する説明が、防衛省からは、ブースターを演習地内に落とすことが確実にできる、こういう御説明をしてまいりました。秋田においては、洋上に落とすことができる、こういうことだったと思いますが、特に山口県萩の方については、演習場内に落とすということが可能である、こういうことで説明をしてきたわけです。  その後、その範囲内に落とすための改修のコスト、それから期間、こういうことを考えますと、とても合理的なものではない、こういうふうに判断をして、そうしますと、地元に対する説明が根本的に間違っていた、こういうことに残念ながらなるわけでございます。  そういうようなことをしてきたということについて、まず振出しに戻らねばならない、こういうふうに考えたところでプロセスを停止をした、こういうことであると思います。  市谷のPAC3配備については、国会でもその破片の議論はたしか行われたことがあったというふうに思います。確かに、ミサイル自体が着弾することと比較すれば、破片になって落ちてくることのリスクと比較すれば、どちらがいいかというのは明らかなんだと思いますが、このSM3の場合は、萩に来るミサイルを必ずしも落とすというようなことではないということだというふうに思います。  いずれにいたしましても、地元に対する説明が根本から間違っていたような状況において、プロセスを停止せざるを得なかった、こういう判断だったと思います。
  117. 重徳和彦

    ○重徳委員 今申し上げました矛盾というものをずっと抱えながら防衛省はやっていかなくちゃいけないというのは、私は変わりないというふうに思っております。  まず、配備断念をしたときの大臣は河野前大臣でありましたが、その判断を変えないという判断をされるわけですから、今やもうこれは政治判断で決めていくしかない事柄だと思いますが、今やこれは岸大臣の判断だということを明言していただきたいと思います。
  118. 岸信夫

    岸国務大臣 確かに、この停止の判断をしたのは河野大臣でございました。その後、この代替案について検討を行い、そして、この代替案というものを最初にお示しした九月の段階では、私が大臣に就任してから間もなかったときだと思いますけれども、そのときまでには私も事務方から説明を受け、そういう判断を下す、こういうことでございました。  そういう意味において、この防衛政策、大切な防衛政策でございますけれども、私の責任のもとで行っている、こういう御理解で結構でございます。
  119. 重徳和彦

    ○重徳委員 じゃ、その責任ある御判断をされた上での話を進めていきますが、先ほど本多委員からもちょっと御紹介がありましたけれども、イージス・アショア代替案に関する中間報告書等の概要という資料が二十五日付で公表された。これは報道の話も含めて申し上げますと、民間委託した調査そのものにおいては、導入、維持整備のコストは示されなかった、導入時期とか所要人員数も示されなかったということでございました。  この中間報告書等の概要について、今の点も含めて御説明いただけますか、簡単に。
  120. 土本英樹

    土本政府参考人 お答え申し上げます。  イージス・アショア代替案につきましては、イージス・アショアの構成品を移動式の洋上プラットホームに搭載する方向で米政府日米民間事業者を交え検討を行ってきたところ、今般、十一月十三日でございますが、民間事業者から検討のために必要となる情報につきまして中間報告を受けまして、防衛省におきまして、その報告内容や米側から得た情報を踏まえて、分析、整理作業を実施したところでございます。  委員指摘の、今回の調査研究ということにつきましては、洋上プラットホームを、まず形態の観点、形の観点ということでございますが、すなわち、これは船舶とリグ、この二つのパターンと、あと機能の観点。機能につきましては、すなわち、BMD及び自己防護の最低限の機能、これが一つのパターンでございますが、それと、ある意味その対極的なものとして、BMDに対空、対水上、対潜も加えた最大限の機能としたように、このように便宜的に四種類のプランに場合分けし、前提条件を設定した上で、アショアの構成品の洋上プラットホームへの搭載に係る技術的実現性の有無、そして各プランの分析を実施したところでございます。  まず、今回の中間報告等を通じまして申し上げたいことは、いずれのプランにおきましても、イージス・アショアの構成品の洋上プラットホームへの搭載に係る技術的実現性を確認することができたというところはまず冒頭申し上げたいところでございます。  その上で、今委員から御指摘のあったコスト、建造工期、所要人員、自己防護のための装備品の搭載、船体構造の防御性能、そして稼働率といった観点から検討したところでございますが、まず導入コストにつきましては、これはイージスシステムとかSPY7レーダー、プラットホーム建造費、VLS取得費及び先ほど申しました洋上仕様への転換費用等も含むものでございますが、これにつきましては、あくまで現時点で入手可能な情報をもとに、具体的な、ある程度の、一定の規模感というもの、経費の規模感をお示しして、把握することができたというところでございます。  他方、三十年間の維持整備費等につきましては、搭載する装備品の細部仕様とか運用の形態等、さまざまな要素を検討する必要があるため、今般、具体的にお示しすることは差し控えさせていただいたところでございますが、一定の情報と傾向というのはわかったところでございます。例えば、リグにつきましては、いかりを張るための大型支援船が必要になる等といったような、それのための維持整備費が必要になる、こういうことが新たに判明したところでございます。  建造工期につきましては、全体のスケジュールは整理する必要があるものの、プラットホームの建造は五年以内との見積りが得られたところでございます。  所要人員でございますが、これにつきましては、さまざまな検討を行った結果、洋上プラットホームの形態、任務、大きさ、兵装等を決定していく中で、省人化の検討や、例えばクルー制の導入の有無とか、その場合の程度とかいった検討等をする必要があるため、現時点では具体的な数字を算出できないとの結論に至ったところでございます。  いずれにいたしましても、今般、技術的実現性が確認されたことや、各プランに関する一定の情報を得られたことを踏まえまして、イージス・アショアの構成品を移動式の洋上プラットホームに搭載する方向で、引き続き鋭意検討を進める所存でございます。
  121. 重徳和彦

    ○重徳委員 お聞きのとおりでありまして、非常に生煮えな状況、情報だと、報告書だというふうに私は思います。  コストについても、規模感と言いますけれども、プランが幾つかありますけれども、中には二千三百から二千八百億円と、五百億円も違うんですよね。だから、やはりこの規模感というところにも相当な開きがありますし、それから、先ほど本多委員指摘されていましたけれども、これから三十年間の維持整備費についても、従来の「まや」型のイージス艦では七千億円という情報は一応のオープン情報だけれども、明らかにそれよりも上回る規模のコストがかかるであろうと。人繰りについても検討が進んでいないということで、非常に生煮えな段階だ、現時点その段階だというふうに思います。  先日進水式も行われました新型の護衛艦「くまの」、FFMですね、コンパクトで多機能な護衛艦ですけれども、これも、排水量も小さいですし、省人化、九十人という定員だと。日本は、一方でこうした省人化、小規模で、海上自衛隊の人員の人繰りというものについても配慮した、その上で船の数もふやしていく、こういう方針がある一方で、今回のイージス艦を、場合によっては二隻導入するかもしれない。非常に巨大ですね、一隻三百人必要とされます。  この方針というのは非常に矛盾するんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  122. 岸信夫

    岸国務大臣 このFFMですけれども、これは従来から護衛艦が担っているような警戒監視等の任務に加えて、機雷の処理なども可能になる、多様な任務への対応能力を向上させた護衛艦でございます。  海上自衛隊においては、このFFMを二十二隻含みます護衛艦の五十四隻体制への増勢を今進めているところでございますが、これは我が国を取り巻く安全保障の環境が一層厳しさを増す中で、警戒監視等の各種任務の増加に的確に対応するための必要なものでございます。  イージス・アショア代替案については、今イージス艦というお話ですけれども、まだ移動式の洋上プラットホームの、具体的に何にするかということは決まっていることではございませんけれども、中間報告等を踏まえて、イージス・アショアの構成品を移動式洋上プラットホームに搭載する方向で引き続き鋭意検討を行っているところでございます。  その上で申し上げますと、今後、洋上プラットホームの所要人数の検討に当たっては、洋上プラットホームの形態や任務、大きさ、兵装等を決定していく中で、更に省人化の検討、クルー制の導入の有無、程度等も含めて検討していく必要がございます。また、このイージス・アショア代替案に関しては、現時点でその運用主体、そして人員面についても確定していないところでございます。  いずれにいたしましても、自衛官の人材確保については、現在、少子化等による採用対象人口の減少などもある状況、厳しい状況が続いていることも踏まえて、今後、これまで以上に、人材の確保、流出防止、有効活用に関する総合的な取組を推進していく必要があると考えております。
  123. 重徳和彦

    ○重徳委員 お聞きのとおりで、現時点では、はっきり言って何も決まっていないんですね。何も決まっていないから、新型護衛艦導入の計画と矛盾しているかどうかもわからない、こういう状況だと私は思います。  それから、今回の中間報告書の中で、これまでのイージス・アショアの構成品、これは洋上でも問題なく作動することが確認できたということなんですけれども、このハードウエア、ソフトウエア、イージスウエポンシステムのハードウエア、ソフトウエア、それからSPY7ですね、レーダーシステムについても、何かこれもありきでここの部分だけ進んでいるように見えるんですけれども、違約金なんかが多額に取られるということを想定されているんでしょうか。過去の例も含めて、何かわかる情報があればお願いします。違約金についてわかる情報があればお願いします。
  124. 武田博史

    武田政府参考人 お答えいたします。  防衛省といたしましては、可能な限り速やかに代替装備の運用を開始する必要性を踏まえると、イージス・アショアの構成品については既に契約を行い、一定程度プロセスが進展しているため、これを代替装備に利活用することを考えております。  現時点では、代替案を決定し具体的内容を固めるに至っていないことから、契約解除を前提とした違約金については、お答えすることは困難でございます。  また、一般論といたしまして、防衛装備品等の調達においては、契約上、国の解除権が認められており、国側の都合により契約を解除した場合には損害を賠償する必要があります。違約金という言い方ではなくて、損害の賠償という言い方でございます。  これまで国側の都合により契約を解除し、損害を賠償した事例はございません。
  125. 重徳和彦

    ○重徳委員 例がないだけに、どうなるかわからない、これも不確定要素だとは思いますけれども。何しろ自縄自縛で、イージス・アショアをやめて洋上プラットホームに移行する、だけれども、中身が決まっていないけれども、年末までに決定して予算要求、予算編成していくというようなことなんでしょうけれども。  とにかく、現時点では検討中、検討中という答えで、とりあえず今国会も終わってしまうと思うんですよ。年末にかけて、例えば事項要求が正式な要求になった段階でちゃんと国会に報告するとか、こういったことについて、大臣、約束をしてください。ちょっとこれだけ確認させてください。
  126. 岸信夫

    岸国務大臣 今、このイージス・アショア、もともと弾道ミサイルからの防衛ということですけれども、現在の周辺安全保障状況、環境を見ますと、大変厳しさが増しているような状況でございます。  その中で、イージス・アショア代替案と抑止力の強化については、菅総理が所信表明演説でも述べておられる九月十一日の総理談話を踏まえてしっかり議論を進めて、あるべき方策を取りまとめていくということでございます。  その上で、イージス・アショア代替案については、今回の中間報告を踏まえて、イージス・アショアの構成品を移動式の洋上プラットホームに搭載する方向で、あるべき方策を示せるように、拙速にならないように、引き続き、私の責任のもとでしっかり検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。(重徳委員「国会に」と呼ぶ)報告ができるようになれば、なった段階で、そういうことも検討してまいりたいというふうに思います。
  127. 重徳和彦

    ○重徳委員 この点、委員長にも、この場を設けていただけるよう、お取り計らいをお願いします。
  128. 若宮健嗣

    若宮委員長 理事会で協議させていただきます。
  129. 重徳和彦

    ○重徳委員 以上です。ありがとうございました。
  130. 若宮健嗣

  131. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。  質問に入る前に、当安保委員会には、一般質問は外務大臣防衛大臣、両大臣そろうというのが決まりであります。きょうは外務大臣が不在のままの質問になることについて、既に理事会でも意見は申し上げましたけれども、今後こういうことが繰り返されないように、与党筆頭におかれても、十分な努力と責任感を持ってやっていただきたいと思います。これは質問ではありませんので。  先ほどの屋良議員の質問に続きまして、私も、有機弗素化合物PFOSを含む泡消火剤の漏出事故について質問をいたします。  ことし四月十日、米軍普天間基地から、有毒で重大な健康被害を引き起こすと言われています有機弗素化合物PFOSを含む大量の泡消火剤が漏出をし、周辺市街地は騒然となりました。  事故から五カ月近くたった九月四日に、米軍の事故調査報告書が公表されました。これによりますと、今回の事故は、普天間基地の海兵隊員が格納庫の目の前でバーベキューを行い、その火に格納庫の消火システムが反応したことによるものだったとしています。  地元自治体からは、唖然とした、言葉がない、バーベキューというのは海でやるものだ、これを教えてあげなさいという声が相次ぎました。  余りにずさんな米軍の管理体制を示すものだと思いますが、大臣、どのように認識しておられますか。
  132. 岸信夫

    岸国務大臣 この普天間飛行場で起きましたPFOSの漏出事故でございますけれども、経緯については、今委員から御紹介があったとおりでございますね。米海兵隊の関係者が格納庫の前でバーベキューを行った際に、その調理器材の発した熱によって消火システムが作動し、PFOSを含む泡消火剤が漏出した、こういうことでございます。  また、事故の要因として、消火システムの一時停止ボタンの使用法の掲示が適切でなかったこと、使用法を把握していた者がいなかったこと等が書かれております。要は、消火剤をとめることができなかったということだと思います。  その上で、再発防止策として、沖縄の全ての海兵隊施設等で、格納庫の消火システムの機能についての理解向上のための教育、それから、全ての格納庫の消火システムの一時停止ボタンの標識を最新の規則と整合的なものとするための改定などを実施するとしています。  防衛省としては、この報告書によって、米側において徹底した事故調査が行われたという認識はしておりますが、地元の住民の方々の懸念を払拭するため、引き続き、米側に対して、事故調査報告書に基づく再発防止策の徹底、泡消火剤の速やかな交換を求めてまいります。
  133. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 再発防止策まで述べておられましたけれども、もうちょっと報告書を、立ち返って、今大臣も触れられたことですが、報告書の中には、泡の漏出拡大を防ぐため海兵隊員たちが非常停止ボタンを十七回以上押したものの、消火システムがとまらなかったことが明記されています。  泡消火剤の放出をとめるためには、ボタンを押した状態にし続けなければなりません。ところが、現場にいた隊員の誰一人として操作方法を知らずに、ボタンを押しては離し、放出が始まってはまた押すということを繰り返していました。  昨年十二月にも普天間基地で漏出事故が起きましたが、その際にも操作方法を知らなかったことが問題になり、米軍は再教育を徹底したと。そのときも繰り返していたんです。  再発防止のために再教育を徹底すると説明していたにもかかわらず、なぜ今回同じことが起こったんですか。
  134. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 昨年の十二月に発生しました事案の原因については、米側調査報告書におきまして、格納庫内で補助動力装置を使用していたことによって、泡消火剤による消火装置が作動したこととされております。  また、米側は、同事案の調査報告書の中で、再発防止として、屋内での補助動力装置の使用を禁止する指示を策定、それから、委員指摘ございました、要員に対する消火設備等の緊急システムの使用に関する教育等の実施について勧告しているものと承知してございます。  その上で、本年四月の普天間飛行場における流出事故の調査報告書では、昨年十二月の漏出事案を受けたこれらの勧告が四月の事故を起こした部隊に共有されていなかったとしておりまして、この点について、私どもとして大変遺憾に感じているところでございます。  防衛省といたしましては、引き続き、米側に対して、昨年十二月に発生した漏出事案への再発防止の徹底を含めまして、本年四月の流出事故についての事故調査報告書に基づく再発防止策の徹底と保有する泡消火剤の速やかな交換、これを求めてまいりたいと考えてございます。
  135. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 十二月に格納庫の中で事故を起こした部隊と四月に事故を起こした部隊は違っていたと。十二月に教育したけれども、それが四月には別の部隊が起こしたからといって、泡消火剤に対する管理やコントロールという意識が全くないですよね。全くないですよ。  問題はそれだけではありません。報告書は、事故のあった五三九という格納庫のドアが、少なくとも十年以上壊れたままになっていたことを明記しています。  格納庫には、地下の貯蔵タンクがあり、本来ならそこに漏出した泡が収容される仕組みになっています。ところが、今回、ドアが壊れ、開いたままの状態になっていたため、雨水が貯蔵タンクの四分の一近くもたまっていました。そのため、すぐに泡があふれ出して、基地の外に漏出したということです。  なぜ米軍はそのような状態で格納庫を使い続けていたのですか。余りにもずさんな管理体制ではないかと思いますが、いかがですか。
  136. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 御指摘につきましては、事故調査報告書におきまして、格納庫扉の不備により、外部から流入した雨水が格納庫用の地下タンクに既にたまっておりまして、本来地下タンクに格納されるべき分の泡消火剤の一部が格納されなかったという旨の記述がございます。また、再発防止策として、事故が発生した格納庫の整備状況に関する四半期ごとの定期報告、これを実施することになってございます。  その上で、大切なことというふうに考えてございますのは、こうした事故を二度と起こさせないということでございます。  防衛省といたしましては、引き続き、米側に対して、事故調査報告書に基づく再発防止策の徹底、つまり、ここで言いますと、事故が発生した格納庫の整備状況に関する四半期ごとの定期報告、これをきちっと実施するということと、保有する泡消火剤の速やかな交換、これを求めてまいりたいと考えてございます。
  137. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 やるべきことをやっていなかったから、起こるべくしてこういう事故が起こったという答弁にしか聞こえません。  昨年十二月の漏出事故を受けて、消火システムの取扱いを再教育すると先ほど説明があったわけです。これもまともにやられていない。ドアの改修も放置したまま格納庫を使い続ける。住民の安全に対する責任を全く果たしておりません。  米軍は、普天間基地周辺の学校や保育園に米軍機から部品を落下させる事故を繰り返してきました。普天間基地というのは、市街地のど真ん中にあるのに加えて、そこを管理している米軍が、運用も余りにもずさん。もう基地を管理する能力に欠けている。そういう米軍に普天間基地を使わせる意味が全くない。やはり、住民の命と安全を守るためには即時の閉鎖、撤去、運用停止、これになると思います。  こんな状態で、辺野古はあと十二年かかると言っておりますが、放置しておくわけにはいかないと思います。私は改めて、普天間基地の即時の運用停止、閉鎖、撤去を防衛大臣に強く求めておきたいと思います。  米軍の事故後の対応も極めて問題です。  茂木外務大臣がきょうはいらっしゃいませんけれども、十月に宜野湾市の松川市長に、米軍が来年九月末までに普天間基地のPFOS含有泡消火剤を全て交換すると伝えました。ところが、そのことを報じた沖縄の地元紙、二つの新聞の報道によりますと、外務省の担当者が、米軍が求める消火力を満たす基準に合わせた場合、新しい泡消火剤にもPFOSは一定含まれると述べたことが報じられています。  新しく交換する消火剤にはPFOSが含まれるということですか。
  138. 市川恵一

    市川政府参考人 お答え申し上げます。  現在、在日米軍を含む米軍全体として、現在所持しているPFOS含有泡消火剤から、定量可能なレベルのPFOSは含まない、より環境に優しい代替製品への交換を進めている、このように承知しております。  このような中で、普天間飛行場に存在するPFOS含有消火剤については、二〇二一年アメリカ会計年度中、すなわち二一年の九月ということになるかと思いますが、それに向けて、より環境に優しいものに交換するということで作業が進められているというふうに承知しております。  そう申し上げた上で申し上げると、アメリカの国防授権法におきましては、原則として、二〇二四年十月以降はPFOSを含むPFAS含有消火剤を使用してはならないとされていると承知しておりまして、これに基づいて、現在、国防省において、米軍の所要を満たし、かつPFASを含まない代替品を開発するための調査研究、こういうものが進められている、こういうことも承知しております。  したがいまして、現在米側が行っている交換というのは、二〇二四年の非PFAS化に向けた取組を推し進める中で、現時点でできる限りの措置として進められているもの、こういうふうに認識しております。  政府としましては、引き続き、PFOS等をめぐる問題全般に取り組む中で、在日米軍施設・区域におけるPFOS含有泡消火剤交換などの課題について、しっかりと日米間で対処していきたい、このように考えております。
  139. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 今の答弁、全く意味不明だったんですけれども。  松川市長は、四月の漏出事故を受けて外務大臣に会われたわけですよね、再発防止だということで。そのときに外務大臣が言ったということは、二〇二四年からを展望しての話であって、今すぐ直ちに事故を起こした普天間基地の泡消火剤についてPFOSを含まないものに取りかえるという意味ではないということですか。定量の何とかという、PFOSを含まないというのはどういう意味ですか。マスコミは、取材に基づいてPFOSの一部含むものにかえるということを言っていますけれども、いかがですか。
  140. 市川恵一

    市川政府参考人 ただいま申し上げましたように、アメリカの国防授権法では、原則として二〇二四年十月以降はPFOSを含むPFAS含有泡消火剤使用してはならない、こういうこととなっているんですが、それに基づいて、現在、アメリカ国防省では、米軍の所要を満たし、かつPFASを含まない代替品を開発するための調査研究を進めている、こういうことでございます。  そういう中で、現時点でできる限りの措置として進められている措置というのが、先ほど申し上げた点でございます。  定量可能なレベルというのは、濃度が特定できる最小の分量である、こういう説明米側から受けております。
  141. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 私は、報道の記事を見て、両紙の取材担当記者にも確認をしましたが、外務省の担当者は記事のとおりPFOSを一部含むと説明していたと。今の北米局長の答弁を聞いていても、その可能性が非常に高いと思いました。  米軍は、ことし九月に新しい代替製品に取りかえる契約を結んでいます。既に契約をしているのですから、外務省はそれがどういう製品かを把握しているはずであります。しかも、外務大臣が地元の市長に説明しているわけです。米軍が契約した代替製品にはPFOSが含まれていることを外務省は知っているわけですね。  だから、先ほどの説明を聞いても、一番最小限のPFOSを含むという答弁に聞こえましたけれども、今米軍が取りかえているのもPFOSを含む、だから地元紙の記者にそう答えたという理解でいいですね。
  142. 市川恵一

    市川政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど来申し上げておりますが、現在、二〇二四年の非PFAS化に向けた取組を推し進める中で、現時点でできる限りの措置として進められている作業として、定量可能なレベルのPFOSを含まない、より環境に優しい代替品への交換が進められている、こういうことでございます。
  143. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 二〇二四年からの非PFOS化。しかし、私が聞いているのは、ことし九月に米軍が契約した泡消火剤、これには定量可能なPFOSを含まないというのは、定量可能でないPFOSは含むという意味ですか、いかがですか。
  144. 市川恵一

    市川政府参考人 定量可能なレベルのPFOSは含まないということでございますので、定量可能でないレベルのPFOSというのは含まれるということではございます。  それから、泡消火剤の詳細については、現在、アメリカ軍に更に情報を確認中でございます。
  145. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 今の外務省の答弁を聞いていても非常に曖昧であります。  米軍が契約を終えて既に二カ月たっているわけですから、具体的な製品名、PFOSが、定量可能でない部分は含まれるということを言っていますが、一体どのぐらい含まれているか。これは契約した製品名が出されたらわかるわけですから、その事実関係理事会に速やかに報告していただきたいというぐあいにお願いしたいと思います。委員長、取り計らいをお願いします。
  146. 若宮健嗣

    若宮委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。
  147. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 終わります。
  148. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、杉本和巳君。
  149. 杉本和巳

    ○杉本委員 維新の杉本和巳です。  最後の質問者です。御協力、御理解、お願い申し上げます。  先般は、軍事力というか、あるいは国力というか、あるいは経済力というか、そういうものが背景にあって、米中の関係みたいなことを質疑させていただいた記憶がありますが、きょうは、島嶼防衛と、あと防衛力の研究といったようなテーマで質問させていただきます。  それでは、まず二つほどちょっと別の話をしますが、きょう、領土・主権展示館というのに行ってきました。これは虎の門三井ビルの一階であります。見ましたけれども、それなりの表示です。しかし、発信力強く我が国の主張を展開しているかというと、やはり、「選択」という雑誌に指摘もありますけれども、もっと、例えば動画を使うとか、そういう形で。ネット上も確認しましたけれども、文章が書いてあるだけですので。  そういった意味では、我が国の領土、領海、領空をしっかり守って、我が国の主権、ソブリンティーというものを本当に大事にしていただくという意味からは、この領土・主権展示館の中身については、動画を含めたコンテンツ発信とか、そういったものを民間を巻き込んでお考えいただく必要があるのではないかということをまず共有いただけないかということを申し上げます。  それともう一点。中国の外務大臣の発言というのが問題になって、きょうも参議院の本会議で山田議員が質問をされたというような指摘がある中で、一方で、大人の対応だ何だというような発言もあったりします。  ちょっと別のことを申し上げておきたいんですけれども、二十四日、三日前ですね、NHKBSの「ワールドニュース」を私見ておりましたところ、東方衛視という中国のテレビ局は、茂木外務大臣の要請に応じ訪日したという言い方をされておられました。そういう報道でした。  しかし、一昨日、二十五日のNHK「ニュースウオッチ9」を見ますと、ちょっと長い時間を割いて、中国側が強く望んで実現した今回の中国外務大臣の訪日というようなことで、我々が、日本側が発信しているような、NHKを是とすれば、何が正しいかどうかは定かではありませんけれども、推察するに、中国はある程度情報をコントロールして、自分たちの都合で、客観的とは言いがたいことを、テレビ局に限っていえばしているのではないかという感じがいたします。  我々日本人は性善説でありますけれども、十八史略というものを読んでいただいたりすると、やはり注意してかからなければならない、性悪説というものを考えなきゃいけないということも御理解いただきたいなというふうに思います。  さて、きょうは、また私もにわか勉強で恐縮なんですけれども、渡部悦和さんという、陸上自衛隊東部方面総監を最後に退官された方が「米中戦争」というのを書いておられます。この本の文頭というかはしがきに「危機管理の本質は、常に最悪の事態を想定し、万全の備えをしておくことである」、こう著書の中で考えを明らかにされておられますが、本当にごもっともだと思って、やはり最悪の事態に備えなければならないというふうに思います。  その著書の中の引用的な質問で恐縮ですけれども、南シナ海において起きた過去の事案、中国が行ってきた対ベトナム、対フィリピン、対インドネシアにおいて起きたケースを振り返りますと、尖閣諸島等の沿岸警備と防衛において、準軍事組織による作戦、POSOWと言うようなんですけれども、こういった展開というか作戦が行われる可能性が尖閣諸島に対しても想起されるということです。  このような事態は、政府はグレーゾーン事態というカテゴライズをしているようでありますけれども、こういう事態に対して、言えること、言えないこと、あると思いますけれども、十分シミュレーションをしていらっしゃるのかどうか。また、警察比例の原則とかもありますが、海上保安庁と防衛省自衛隊との関係連携、共同訓練の実施等できているのか、できていないのか。こういった点を大臣に確認させていただければと思います。
  150. 岸信夫

    岸国務大臣 質問の前に、委員からございました領土・主権展示館、私も、九月だったと思うんですけれども、見てまいりました。竹島と北方領土とそれから尖閣と、それぞれ展示がしてあって、非常にいい施設だとは思いましたけれども、確かにおっしゃるとおり、ちょっと発信という意味ではまだまだ弱いのかな。いろいろお話ししましたところ、やはり、コロナの影響で入館者の制限というものも一方でやらなきゃいけないということもあったということでございますが、それでも、いろいろな形で、多くの方が訪れていただければ、それぞれの領土に対しての理解が深まるのかなというふうにも思っております。  そして、御質問に対するお答えでございますが、武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するために、警察機関と自衛隊との連携が極めて重要である、こういうふうに考えます。  政府としては、平素より、武力攻撃に至らない侵害を含むさまざまな事態を想定し、関係機関が連携し、各種のシミュレーションや訓練を行っているというところでございます。  防衛省自衛隊と海上保安庁との間でも、これまで累次にわたる共同訓練を実施してきたところでございます。これらを通じて、海保との連携の着実な強化を図っているところであります。  防衛省自衛隊としては、グレーゾーンの事態を含みますあらゆる事態に適切に対応し、我が国の領土、領空、領海を守り抜くため、関係機関との平素からの連携を含めて、引き続き万全の体制をとっていきたいと思います。
  151. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございます。  それでは、今、防衛省のトップからお話をいただいたわけでございますけれども、ちょっと海保さんの方の事実確認をさせていただきたいと思います。やはりこの著書の中の、私は同様の疑問を持ったので質問させていただくんですけれども、中国海警局の船が巨大化、武装化され、海軍艦艇を海警局の公船に転用するケースがあるといったようでございますし、このような環境変化の中で、海上保安庁の能力、権限の強化が不可欠である、こういう指摘をされています。  もう既に充実されつつあると思いますけれども、四十ミリ機関砲を装備する高速高機能巡視船の保有はあるんですけれども、この数がきちっとふえていっているのかどうか。それから、SSTと言われる特殊警備隊の組織、陣容等、これも人数はふやされていると思いますけれども、十分なのかどうか。あるいは、武器使用基準の拡大というか緩和というかは、されているかと思いますけれども、それでも十分なのかどうか。この点を確認させていただきたいと思います。
  152. 瀬口良夫

    瀬口政府参考人 お答えします。  尖閣諸島周辺海域の接続水域においては、ほぼ毎日、中国公船による活動が確認されているほか、昨今、中国公船の大型化、武装化も進んでおります。  このような情勢を踏まえ、海上保安庁では、平成二十八年十二月、関係閣僚会議において策定されました海上保安体制強化に関する方針に基づき、尖閣領海警備体制強化等のため、四十ミリ機関砲を装備する大型巡視船の増強や要員の確保を図るなど、必要な体制整備を進めているところであります。  海上保安庁としましては、引き続き、同方針に基づく体制強化を着実に進めていくことが重要と考えており、その時々の情勢の変化を踏まえつつ、領土、領海の堅守、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいります。
  153. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございます。  今、防衛省防衛大臣、そして海保さんから拝聴しました。  今聞いた限りでは大丈夫なのかなというふうに思いましたけれども、やはり事態はどんどんどんどん厳しくなっていっているということでありますので、今、海上保安庁法二十条、警察比例というか、の部分と、あるいは二十五条で「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」ということで、二十条、二十五条とのバランスの問題がありますけれども、この二十五条について現実に即したことを考えていく時期が、中国側を見ていると、あるのではないかというふうに感じますので、同僚議員の方々にも、私もまだまだ勉強が足りませんけれども、問題意識を持っていただければというふうに、このきょうの質問はとどめさせていただきますけれども、問題意識の共有をお願いしておきます。  さて、次に、もう時間もないんですけれども、宇宙、サイバー、電磁波といった領域、学べば学ぶほどというのはどこかで聞いた言葉なんですけれども、恥ずかしながらそういう感じでございまして、やはり、制脳権とかいうのも数日前の日経にありましたけれども、GPSから北斗という機能に、中国側がとって変わって、百六十五カ国に影響を及ぼしているみたいなことが日経の一面にありました。  そういった宇宙の領域等を含めて、あるいは統合領域を勘案してこの日本国の防衛力を鑑みますと、中国側の航空、ミサイル攻撃に対する強靱性、抑止力を高める観点というのも考えなきゃいけないんですけれども、一方で、予算制約というのはどこの国もあるわけですけれども、この我が国の国力が、今厳しい状況、トレンドとして決していい状況じゃない中で、やはり防衛力は整備しなきゃいけないという中ではいろいろな工夫が必要だと思っています。  そんな意味で、こういった分野が進んでいるかどうかという点を全く著者と共有して質問させていただきますけれども、電磁レールガン、高出力レーザー兵器、高出力マイクロ波兵器の開発の加速が必要ではないかというようなことはうたっていらっしゃるんですけれども、予算制約等の関係からも、防衛力の飛躍的な強化につながるという意味から、我が国防衛という範疇でどこまで使えるのかという問題があると思いますので、我が国独自の開発研究も必要だと思いますが、一方で、日米の共同研究などのことも我々は考えていかなければならないと思いますが、こういった分野における進捗状況はいかなるところにあるか、開陳できる範囲で教えていただければと思います。
  154. 武田博史

    武田政府参考人 お答えいたします。  近年、技術革新の急速な進展に伴いまして、将来の戦闘様相を一変させる、いわゆるゲームチェンジャーとなり得る技術の実用化が予測されておりまして、米国始め各国が研究開発を急いでいるところでございます。  御指摘の高出力レーザーシステムや高出力マイクロ波発生装置は、ゲームチェンジャーになり得る最先端技術でございまして、防衛省としても研究を進めております。  具体的にこれらの研究の進捗状況を申し上げさせていただきますと、高出力レーザーシステム関連の研究といたしましては、平成二十二年度から平成二十八年度にかけて、高出力レーザーシステムの要素技術の研究、これはレーザーを用いた破壊効果や、目標を精密に照準、追尾する技術の確認でございますが、この研究を実施し、平成三十年度から、低高度を飛翔するドローンや迫撃砲弾等に対処する高出力レーザーシステムの研究、これは複数のレーザー光を合成する技術の確認でございます、この研究を実施しております。  令和年度概算要求では、ドローン対処の実証を念頭に置いた車両搭載型のレーザーシステムの研究に必要な経費として約三十三億円を計上しているところでございます。  また、高出力マイクロ波発生装置の関連の研究につきましては、平成二十六年度から令和年度にかけて、マイクロ波発生装置の高出力化、小型化及び照射方式、照射効果について研究を実施しており、令和年度概算要求では、マイクロ波を照射した際の破壊メカニズムを把握するとともに、さらなる小型化、高出力化の検討を実施するために必要な経費として約十一億円を計上しているところでございます。  このほか、御指摘のありました電磁レールガンにつきましては、平成二十八年度より、中口径電磁レールガンについて、コンピューターによる数値シミュレーションや装置の試作などを通じて、さらなる弾丸の発射速度の高速化などの研究を行っております。  また、現時点におきましては、今申し上げた高出力レーザーシステム、高出力マイクロ波発生装置、電磁レールガンに係る日米の共同研究は実施しておりませんが、研究開発に大規模な投資を行う米国との間で、技術協力の可能性について必要な意見交換を実施しております。  いずれにいたしましても、防衛省としては、引き続き、高出力レーザー等の、ゲームチェンジャーとなり得る最先端技術の研究等を推進してまいりたいと考えております。
  155. 杉本和巳

    ○杉本委員 時間となったようなので、ちょっと残余の質問というか、中谷元大臣デュアルユースのことを聞かれましたので、また別の機会にしておきますが、一言だけ申し上げますと、今、予算を何億、何億とお話しいただきましたけれども、私は財政健全化論者ではある一方で、やはり必要な予算はとらなきゃいけない、特に抑止力を高めるための予算は必要だと思っておりますので、予算要求とかはしっかりここの分野はしていただく必要があるということをはっきり申し上げさせていただいて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  156. 若宮健嗣

    若宮委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十一分散会