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2020-11-19 第203回国会 衆議院 安全保障委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年十一月十九日(木曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 若宮 健嗣君    理事 小田原 潔君 理事 大塚  拓君    理事 長島 昭久君 理事 宮澤 博行君    理事 山本ともひろ君 理事 重徳 和彦君    理事 村上 史好君 理事 遠山 清彦君       岩田 和親君    江渡 聡徳君       大岡 敏孝君    大西 宏幸君       大野敬太郎君    門山 宏哲君       北村 誠吾君    工藤 彰三君       塩谷  立君    鈴木 貴子君       中谷  元君    西銘恒三郎君       原田 憲治君    山下 貴司君       渡辺 孝一君    柿沢 未途君       篠原  豪君    照屋 寛徳君       本多 平直君    屋良 朝博君       佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君       杉本 和巳君     …………………………………    防衛大臣         岸  信夫君    外務副大臣        鷲尾英一郎君    防衛大臣        中山 泰秀君    防衛大臣政務官      大西 宏幸君    防衛大臣政務官      松川 るい君    政府参考人    (防衛省大臣官房長)   芹澤  清君    政府参考人    (防衛省大臣官房審議官) 村岡  猛君    政府参考人    (防衛省大臣官房審議官) 岩元 達弘君    政府参考人    (防衛省防衛政策局長)  岡  真臣君    政府参考人    (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君    政府参考人    (防衛省地方協力局長)  鈴木 敦夫君    政府参考人    (防衛省統合幕僚監部総括官)           加野 幸司君    安全保障委員会専門員   奥  克彦君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十九日  辞任         補欠選任   大野敬太郎君     工藤 彰三君 同日  辞任         補欠選任   工藤 彰三君     鈴木 貴子君 同日  辞任         補欠選任   鈴木 貴子君     大野敬太郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  防衛省職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第七号)      ――――◇―――――
  2. 若宮健嗣

    若宮委員長 これより会議を開きます。  内閣提出防衛省職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として防衛省大臣官房長芹澤清君、防衛省大臣官房審議官村岡猛君、防衛省大臣官房審議官岩元達弘君、防衛省防衛政策局長岡真臣君、防衛省整備計画局長土本英樹君、防衛省地方協力局長鈴木敦夫君、防衛省統合幕僚監部総括官加野幸司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 若宮健嗣

    若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 若宮健嗣

    若宮委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。柿沢未途君。
  5. 柿沢未途

    柿沢委員 おはようございます。柿沢未途でございます。  冒頭、岸大臣と御質疑させていただくのはこれが初めてでございますので、改めて、防衛大臣御就任おめでとうございます。また、大きな御期待を申し上げております。  きょうは法案審議でございますが、法案審議の本論は同僚議員にお任せをいたしまして、私自身問題意識に基づく質疑を行わせていただきたいというふうに思っております。  また、大変僣越なんですけれども、岸大臣に私の著書を後ほど御贈呈させていただきたいと思っておりまして、ここにもちょっと書いた内容をやるものですから、別に宣伝で言っているわけではありませんので、御了承いただきたいというふうに思います。  アメリカマーク・エスパー国防長官大統領選挙の直後に首になってしまいましたが、このエスパー国防長官が、民間シンクタンクCSBA戦略予算評価研究所、この十月六日の講演で、二〇四五年におけるアメリカ海軍の姿を示すバトルフォース二〇四五、こういう構想を公表しております。  これは、従来計画と大きな転換をしている、こうした特徴があります。従来計画では、戦闘艦艇の総数として、今の二百九十三隻体制から三百五十五隻体制にする、こういうことが従来計画では示されていたんですけれども、今回のバトルフォース二〇四五では、これを大幅に上回る五百隻以上の戦闘艦艇数を二〇四五年までに目指すとしている。その上で、従来計画の三百五十五隻の体制を二〇三五年までに達成する、こうした目標を掲げています。  この背景にあるのは、言うまでもなく、中国海軍の、海軍力の大幅な、著しい伸長があるわけであります。中国海軍近代化は猛烈なスピードで進んでいて、また、高い経済成長率背景として、国防費の伸びでは、海軍力は大幅に増強されております。中国軍事力に関するアメリカ国防総省報告書では、今や中国戦闘艦艇数は既に約三百五十隻に達していて、二百九十三隻体制アメリカを抜いて世界最大海軍国になっているということであります。  一方のアメリカですけれども、かつて、一九五〇年代では戦闘艦艇数が千隻を超えるような比類なき海軍大国でありましたが、冷戦後の一九九〇年代には三百隻台に低下して、そして、二〇〇三年以降は三百隻を割り込むようになって、二百九十三隻体制ということで今推移しているわけであります。国防総省自身が、アメリカ中国海軍に対する優位は既に失われているということを報告書で認めているわけであります。  こうした中で出てきたのがバトルフォース二〇四五なわけですけれども、これはエスパー国防長官トランプ大統領に首になったからといっていきなりうやむやになるようなそうした構想ではないというふうに思います。CSBAでは、例えば統合エアシーバトルとか、こうした作戦戦術構想がこれまでも示されてきた場となってきているわけでありますので、これからのアメリカ海軍の全体方針というものをあらわしているものだというふうに思います。  このバトルフォース二〇四五の内容について政府がどのように把握しているかということについて、まず事務方にお伺いしたいと思います。
  6. 岡真臣

    岡政府参考人 お答え申し上げます。  委員から御指摘がございましたとおり、本年十月に当時のエスパー国防長官CSBAで行った演説の中で、このバトルフォース二〇四五と呼ばれる新たな艦隊構想の概要を発表したわけでございますけれども、この構想につきまして、エスパー長官講演の中での説明からいたしますと、特に、これも御指摘がございましたが、中国軍近代化への対応、これを念頭に置いた検討がなされたものであるということ、そして、米海軍は、無人のものを含めて五百隻以上の艦艇によるバランスのとれた艦隊構成を目指すことや、将来の艦隊は決定的な攻撃力分散や高強度の紛争における残存性などの運用特性を備えるものとなるといったことが示されているというふうに承知しております。  その艦隊特徴というところにつきましては、潜水艦部隊増強、あるいは航空団や軽空母を含めた空母の活用、無人艦艇や、有人無人のいずれかの運用形態を選択できる艦艇導入、より多くの小型水上戦闘艦艇導入といった考え方が挙げられているというふうに承知をしているところでございます。  インド太平洋地域安全保障環境が一層厳しさを増す状況にある中で、地域の平和と安定にとって米国抑止力は不可欠でございまして、海軍艦隊構想を含む米軍戦力整備動向について、引き続き注目してまいりたいと考えているところでございます。
  7. 柿沢未途

    柿沢委員 まさしく今局長から御答弁をいただいたとおりなんですけれども、日本アメリカ同盟国であり、まさにインド太平洋地域安全保障の大きな役割を今や担う、そうした国でもあるわけであります。そして、アメリカ海軍動向というものは、海洋国家である日本安全保障にまさしく直結をしているわけであります。  そうした意味で、ここは基本認識大臣にお伺いをしたいと思いますが、こうしたアメリカ海軍の長期的な戦力構築計画、その転換我が国に及ぼす影響というものをどのように見ているか、お伺いしたいと思います。
  8. 岸信夫

    岸国務大臣 御質問ありがとうございます。  まず、御本をいただけるということで、しっかり読ませていただいて参考にさせていただければと思います。  今委員指摘バトルフォース二〇四五についてですけれども、まだこれは構想段階のものでありまして、今後、米政府の中で更にさまざまな検討が行われるもの、こういうふうに承知をしているところでございますが、その上で、日米間では、二〇一九年四月のいわゆる2プラス2を始め、累次の機会に、防衛大綱米国国防戦略国家防衛戦略整合性を確認をして、その上で、日米同盟抑止力対処力を、一層の強化に努めてきた、こういうところがございます。  そして、このバトルフォース二〇四五は、米国国家防衛戦略で示された方針のもとで、国家間の競争が顕在化する中で、この競争に勝ち抜いていくために、米国が、米軍戦力を適合させていくための取組である、こういうふうに理解をしております。  今後の検討の進捗をしっかり注視してまいりたいと思いますが、防衛省としては、引き続き、米国と緊密に連携をして日米同盟抑止力対処力強化していきたい、こういうふうに思っています。
  9. 柿沢未途

    柿沢委員 御答弁ありがとうございます。  いわゆる接近阻止領域拒否、A2AD能力向上によって、アメリカ海軍にとっては、正規空母、また強襲揚陸艦、また大型水上艦艇、巡洋艦とかイージス艦ですね、こういうものが中国攻撃能力によって脆弱性にさらされるのがアメリカ海軍の一番の今や懸案となり始めているわけであります。大きな正規空母を抱えていても空母キラーで一発でやられる、こういうリスクが実際に中国能力増強によって高まってきているわけであります。  そういう意味では、空母というのはアメリカ海軍のパワープロジェクションの中核になるものですけれども、今申し上げたように、空母打撃群、そして遠征打撃群、こういうもので密集して、そして艦隊運用をされることになるわけですので、敵から発見されて攻撃を受けやすく、また、被害を受けて機能を喪失すれば致命的な戦力低下につながる、こういうことがまさに懸念をされているわけです。  そして、潜水艦能力戦力低下も大きな懸念の一つでありまして、二〇二〇年代の終わりにかけて、攻撃型原潜、SSNが、二〇一六年ごろの五十七隻から、最悪で四十一隻まで減少が見込まれている。つまり、新型バージニア級が旧型のロサンゼルス級をリプレースする、その退役のスピードに建造が追いつかない、こういうことで潜水艦の数が減っていくということが指摘をされています。  片や中国は、この間、性能はともあれ、七十から八十隻の潜水艦の大艦隊を構築すると見られていて、まさに攻撃型原潜中国のA2AD能力を打ち砕くこうした戦力であることを考えると、この海洋領域における事態は私は深刻になっているというふうに思います。  このため、統合エアシーバトルとか、また統合作戦アクセスといった構想米軍全体として示されて、アメリカ海軍としても、攻撃力分散構想、後にDMOになる、こうした構想が示されてきた。敵に発見されにくく、そして攻撃を受けにくい比較的小型の艦に高い攻撃力を持たせて、そして、分散運用をしてA2AD能力脅威を克服する、こういう考え方が示されるに至ったということであります。  このバトルフォース二〇四五では、攻撃型原潜を七十から八十隻に大幅かつ迅速に増強する方向性が打ち出されていて、これは、計算すると、これからバージニア級原潜を毎年三隻ずつ建造し始める、こういうことになる、これぐらい急ピッチでの潜水艦戦力増強が今打ち出されているわけです。  正規空母も、今の十一隻から、場合によっては八隻体制にこの正規空母が減らされる、これはまさに時代の大きな転換になり得るものだと思います。そのかわりに、短距離離陸垂直離着陸STOVL機搭載した軽空母ライトキャリアを、また、新型強襲揚陸艦アメリカ級、こうしたもの、今、第一号機というか第一号艦は佐世保にあるわけですけれども、十二機程度のF35Bを搭載したこうした軽空母等について増強する、これが六隻配備をされるということが想定をされています。  また、水上戦闘艦についても、小型のものが今五十二隻の計画ですけれども、それが六十から七十隻の体制にやはり上乗せされるということで、アメリカ海軍は、その始まりとして、新型誘導ミサイルフリゲート艦の九隻の調達を含めて、五十六億ドルの契約を既に行っています。  攻撃型原潜の数をふやして、小型水上戦闘艦や、また、後ほどお話ししますけれども、無人艦艇無人機、こうした数をふやすというのは、まさに先ほど申し上げた分散運用の形によって中国のA2AD能力に対抗するためということであります。これはまさに、今の中国のいわば脅威に対する対処の方法の転換を示しているというふうに思います。  私は、どちらかというとエネルギー政策専門にしていまして、自然エネルギー一〇〇%、RE一〇〇の日本をつくるということを言っているんですけれども、三・一一以降、原発や大型火力のような大規模集中電源が一発でダウンすると、やはりリスクが大きい、首都圏がブラックアウトしかねない、こういうことで、分散型の、ネットワーク化したエネルギー供給体制、これを自然エネルギーで提供するということが、災害や、あるいは有事におけるリスクに対するレジリエンスになるということを、私自身もいろいろと発言をさせていただいてまいりました。  戦争においても軍事においても、今や同じことが言えて、大きなものをどおんということではなくて、むしろ、小回りがきいて、なおかつ攻撃力が高い、こうしたものを分散的に運用するということがまさにトレンドになりつつあるわけです。しからば、アメリカ海軍作戦戦術構想戦力構築構想の変化に対して我が国はどうなのかということをちょっとお伺いをしたいというふうに思うんです。  現行の防衛大綱別表によれば、海上自衛隊が目指す護衛艦の数は、イージス護衛艦八隻を含めて五十四隻、潜水艦は二十二隻、こういうことであります。もっとも、イージス・アショア配備撤回に伴って、その代替として新型イージス艦を二隻ふやす、こういうことになっていますので、本年内にはこれを踏まえた防衛大綱小幅改定が見込まれていると思いますが、別表内容としては、イージス十隻を含む護衛艦で五十六隻、そして潜水艦二十二隻ということになるのだろうというふうに思います。  ただ、防衛大綱別表護衛艦の数を規定するこのやり方に、私は、今若干問題が生じているのではないかというふうに思います。  護衛艦といっても非常に今多岐にわたっていて、それは「いずも」や「ひゅうが」のようなものもあれば、先ほど申し上げたようなミサイルフリゲート艦、三千九百トン護衛艦みたいなものもあるわけですね。大型から小型のものまで、一律にこれを護衛艦ということで数を規定しているものですから、これは、運用する側の防衛省あるいは海上自衛隊の思考としては、数の上限に定めがあるんだったら、個々の艦の規模を大きくして艦隊の充実を図ろうということにどうしても傾きがちだと思うんですね。  ですから、中国のA2AD対応を想定した、小型攻撃力の高いそうした艦を多数分散運用するという、この攻撃力分散の発想がなかなか採用されにくい、こういうことになっているのではないかと思います。  結局のところ、海自の戦力構成は、別表の結果として、どうしても大型艦重視になりがちではないかと思います。例えば、ヘリ搭載護衛艦イージス、そして汎用護衛艦、こういうものであります。私は、言っちゃなんですけれども、その象徴が「いずも」であり、「ひゅうが」だと思うんですね。  そういう意味では、この護衛艦を一くくりにして、そして別表に示すというやり方によって、残念ながら、アメリカ海軍構想に対して、海上自衛隊の今のあり方、あるいは将来の方向性というものに乖離が生じ始めてしまっているのではないか、こういう懸念を持っております。  ですから、日本海上自衛隊も、せっかく防衛大綱を小幅にせよ改定するこうしたタイミングがあるわけですから、小幅改定に終わらせずに、こうした構想を取り込んだ、より小型攻撃力の高いこうした艦艇導入する、多数導入する、こうした方向性を示していくべきときではないかというふうに思います。お伺いしたいと思いますので、御答弁お願いします。
  10. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、イージス・アショア代替案についてでございますけれども、現在のところ、移動式洋上プラットホーム搭載をするという方向で、米政府日米民間業者を始め、あるべき方策を取りまとめるべく鋭意検討をしているというところでございます。  その上で、防衛大綱及び中期防見直しについても、現時点では決まっていない、予断を持ってお答えすることは差し控えたいというふうに思っております。  その上で、我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しさを増している中で、海上自衛隊としては、現大綱に基づいた護衛艦五十四隻体制への増勢を進めております。また、この増勢に向けて、多様な任務への対応能力向上と船体のコンパクト化省人化を両立させた新型護衛艦、いわゆるFFMを今中期防期間中において十隻取得する予定でございます。  また、現大綱に基づいて、警戒監視に特化した哨戒艦を十二隻整備する予定であります。このほか、我が国周辺海域水中における情報収集警戒監視哨戒及び防衛を有効に行うために、潜水艦二十二隻に増勢するということでございます。
  11. 柿沢未途

    柿沢委員 今、FFMの話がありましたが、三千九百トン型護衛艦という、小型護衛艦ということで、フリゲート艦でありますが、一部の指摘には、アメリカでどちらかというとうまくいかなかったというふうに見られている沿海域戦闘艦、LCSを参考にして構想しているために、これはミサイルフリゲートというようなものではなくて、むしろ平時警戒監視に当たる汎用的な護衛艦ということで位置づけられているわけです。  アメリカ構想を見ますと、どちらかというと、こういう小型護衛艦に、ある種、全面での分散型攻撃力を持たせる、こういうことで進められているようでありまして、いわば日本フリゲート艦平時ローエンド対応に対して、こちらはハイエンドのまさに対応ということで、位置づけが大分違うということが言われております。  また、潜水艦に関してでございますが、これはちょっと御答弁をお願いしたいと思いますけれども、今、二十二隻にふやすという話はありましたが、今、最悪四十一隻まで減るかもしれないというアメリカが、今から七十から八十隻という体制に上げていくわけですね。今のタイミングで、日本がその二十二隻の数で所要に足りるのかということについてはアセスメントを行うべきではないかと思います。  また、潜水艦位置づけというか、先ほどの話でいえば、分散攻撃力の中でどのような役割を持たせるのかということについての研究も必要ではないかと思います。  この潜水艦体制について、今後、アメリカ海軍構想を踏まえてどのように考えていくのか、お伺いします。
  12. 岸信夫

    岸国務大臣 現在のこの安全保障環境のもと、我が国周辺海域水中における情報収集警戒監視哨戒防衛を有効に行うための潜水艦部隊増強というものは不可欠である、このように考えております。  防衛省としては、防衛大綱で定められましたこの潜水艦二十二隻の体制の、まず早期の完成に向けて引き続き進んでまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。  先般、十月十四日に命名式進水式が行われました二十九年度の計画潜水艦の「たいげい」という潜水艦令和三年度末に就役予定でございますので、これをもって潜水艦二十二隻体制が実現するという見込みになっております。
  13. 柿沢未途

    柿沢委員 次に、無人又は無人有人切りかえ可能な艦艇導入についてお伺いをしたいと思います。  これは、バトルフォース二〇四五でも非常にメーンのポイントとして掲げられているところであります。そのための実験艇として、アメリカ海軍はシーハンターと呼ばれる無人水上艇実験を始めております。  航空機においても、やはり戦闘行動半径の長い無人機、例えば、戦闘機空中給油機、あるいは早期警戒機、そして電子攻撃機、こうしたものの無人機導入する必要がある、こういうこともあわせて示されております。  日本としても、こうした水上無人艇無人艦船あるいは無人機を含めて、もっと多くの無人機あるいは無人有人切りかえの艦艇というものを導入していくべきではないかと思うんです。  元来、海上自衛隊は、少子高齢化の上に、人材リクルートの面でも大変重い課題を抱えていて、イージス艦を二隻ふやすといっても人材確保をどうするのかといって頭を抱えているようなそんな状況だと承知しております。  そういう意味では、海上自衛隊こそ、この攻撃力分散構想バトルフォース二〇四五のアメリカ方向性を先取りして、艦艇無人化無人有人切りかえ艦艇導入、そして省力化省人化ということを追求していくべきであると思いますが、残念ながら、今の海上自衛隊にそうした方向性を大きく見出すのは難しい現状にあるのではないかと思います。ここにおいても、防衛大綱を小幅といいながら改定するわけですから、ぜひ打ち出していくべきではないかと思いますが、大臣の御所見を伺います。
  14. 岸信夫

    岸国務大臣 繰り返しになりますけれども、大綱中期防見直しということについては、何も決まったものではございませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、現在の我が国人口減少という状況、それから最近の情勢の中で、警戒監視活動等各種任務長期化をしてくる中で、無人装備重要性というものは一層高まっている、こういうふうに認識をしております。  海上自衛隊においては、広大な海域我が国周辺海域における常続監視体制強化し、そして、海上自衛隊が現有する有人のヘリコプター、例えばSH60Kなどのパイロットの負担を軽減するために、その代替として、艦載型の無人機を、今期中、今期中期防期間において三機取得予定でございます。  そのほかに、太平洋の広域における洋上監視能力強化の観点から、滞空型の無人機導入について検討していくとしております。  また、無人水中航走体、いわゆるUUVについては、隊員を危険にさらすことなく、警戒監視海洋観測等の多様な任務対応可能なこのUUVに必要な技術の研究について、令和元年度から着手をしたところでございます。  防衛省としては、限られた人材を最大限有用、有効に活用して防衛力を最大化していく、そのためにも、今後とも無人化の、あるいは省人化取組を推進していきたいと考えております。
  15. 柿沢未途

    柿沢委員 御答弁ありがとうございます。  ぜひ別表あり方について見直しを考えていただきたいと思います。今の、護衛艦というので十把一からげにしている、その状況は、言うなれば戦車やダンプカーと軽自動車を一緒のカテゴリーとして示しているというような、こういうことになっていると思うんですね。正直言って時代に合わないというふうに思いますし、それが戦力構想体制整備の、ある意味では足かせというか邪魔になってしまっているのだとすれば、これは時代に合わせた見直しをやはり検討すべきではないかと思います。それを最後に申し上げておきます。  台湾についてお伺いをいたします。  台湾については、岸大臣も、大変国会でも随一のそうした交流をされておられる方だというふうに承知をいたしております。私も十二月に、超党派の訪問団で、昨年台湾を訪問してきたんですけれども、そのときにゴショウショウ、ジョセフ・ウー外交部長からいただいた御提言というか宿題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  今、アメリカ大統領選挙の後の混乱した状況が続いているわけですけれども、これに乗じて中国が台湾を武力で脅かすかもしれないということをゴショウショウ外交部長自身が具体的に言及をしているような状態です。万が一にも台湾有事となれば、日本にとっては他人事ではありません。そういう意味で、昨今の中国の台湾周辺における活動状況日本政府としてどう評価しているか。  また、第一列島線の延長線上に台湾もあれば日本列島もあるわけであります。勝手にこんな線を引かれて大変迷惑なわけですけれども。しかし、台湾で有事となれば、これは日本にとって極めて影響が大きい、あるいはみずからの安全保障に直結する事態になるわけです。そもそも台湾有事を想定して当初の周辺事態法は制定をされているわけでありまして、これはもちろん重要影響事態に認定され得ることになるというふうに思います。  ここについて、ぜひ大臣の御答弁、また明言をしていただきたいと思います。
  16. 岸信夫

    岸国務大臣 ジョセフ・ウーの発言については承知をしているところでございますが、台湾有事といった仮定の御質問にはなかなかお答えすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げます。  中国が最近台湾周辺の海空域において軍事活動を活発化させている。例えば、本年四月には空母遼寧などを含む中国軍艦艇がバシー海峡を経て南シナ海において訓練を実施していた。またそのほか、本年二月、八月、九月には、中国軍機が台湾海峡の中間線を越えて台湾側に侵入していたということも承知をしております。  近年、中国軍事力を強化させている中で、中台の軍事バランスは全体として中国側に有利な方向に変化をしている、そして、その差というものがどんどん毎年広がってきているという厳しい状況になっているということでございます。  そういう意味で、防衛省としても引き続きこの関連動向というものを注視してまいりたい、こういうふうに思います。  そして、今台湾有事となれば重要影響事態になるかという御質問がございました。これも、この重要影響事態というものについて、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断するということになっておりますので、一概に述べるということは困難でありますが、その判断要素について申し上げるならば、実際に武力紛争が発生し又は差し迫っている等の場合において、個別具体的な状況に即して、主に、当事者の意思、能力、事態の発生場所、事態の規模、態様、推移を始めとして、当該事態に対する日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行う米軍その他の外国軍が行っている活動の内容等の要素を総合的に考慮して、我が国に戦禍が及ぶ可能性、国民に及ぶ被害等の影響の重要性などから客観的、合理的に判断をするということになると考えておるところでございます。
  17. 柿沢未途

    柿沢委員 こういう御答弁をせざるを得ないのは承知をしておりますが、ここは岸大臣のお心のうちを表情から読み取るべきなのかなと思って、残念ながらマスクで半分隠れてしまっているので若干読み取りにくい部分もありますが、私は読み取ったつもりでおります。  台湾の側も、蔡英文総統みずからが、日本との間で安全保障の実務における対話を高めたいということを語っておられます。しかるに、日本政府は、安全保障の面で台湾と対話をする、こういう意向を持っているのかどうかということをお伺いをしたいと思うんですね。  まさに同じ海域、そして、第一列島線と位置づけられて、ある意味では共通の戦略的利害を抱え、また脅威に直面していると言ってもいいこの台湾との間で、はっきり言えば、ミリミリで何かを情報共有するとかそうしたことが今できているのかといえば、私はできていないというふうに言わざるを得ないと思います。これで、仮に、万が一、もしかして有事になってしまった場合、本当に的確な事態対処が、台湾も日本もそしてアメリカもできるのかということを懸念をしております。  この点について、大臣、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  18. 岸信夫

    岸国務大臣 昨今、南シナ海や東シナ海での中国の、中国軍の活動が非常に活発化をしている、そして台湾は、その南シナ海、東シナ海の結節点に位置しているわけですから、当然、そういう意味で、この地域全体の安全保障状況、これは非常に我々も注視をしているところでございます。  一方で、台湾は、我が国にとって、自由や民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有している、緊密な人的往来、そして経済関係を有しています極めて重要なパートナーという位置づけであります。そして、大切な友人でもあるところです。  その上で、我が国の台湾に対する基本的立場というものが、一九七二年の日中共同声明にあるとおり、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくということで一貫をしているということでございます。  御指摘の点を含めて、台湾との関係については、防衛省・自衛隊としてもこうした立場に基づいて適切に対処をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  19. 柿沢未途

    柿沢委員 表情から読み取らせていただきました。  言うまでもなく、アメリカは、台湾関係法というのがあるわけですね。兵器の供与なりあるいは訓練なりを、それに基づいて台湾との間で行ったりしているわけですが、ここの二条に、同地域、台湾の平和と安定は、合衆国の政治、安全保障及び経済的利益に合致し、国際的な関心事であることを宣言する、こういうふうに書かれていて、これが台湾との協力、あるいはさまざまなパートナーシップといいますか、こうしたものの根拠になっているわけですね。  この認識は、岸大臣、政治家としてもお伺いしたいと思うんですけれども、共有しているかということについてお伺いしたいと思います。
  20. 岸信夫

    岸国務大臣 米国の場合は、国連において中国を承認、台湾と断交したところで、関係法というものを一方で国内法として設けたわけであります。  日本の場合はその状況がちょっと違ったと思うんですけれども、今、いわゆる台湾関係法というような、あるいはそれに相当するような法律というものは有していない。そういう意味では、台湾に対する関係という意味においては、米国と台湾の関係、あるいは日本状況、これは違うものだということは思っています。  ただ、台湾をめぐる、あるいは地域の情勢ですね、そういった状況については、米国とは常にすり合わせを行っており、認識としては共有をしている、こういうふうに考えております。
  21. 柿沢未途

    柿沢委員 御答弁ありがとうございました。  冒頭御紹介申し上げました私の本でも、台湾を重視せよという、この一章を設けさせていただいております。これは、かなり切迫した、いつ起こるかわからないリスクであり、危機だと思います。その状況下において、公式見解だけを唱え続けていて本当に事態に的確に対処できるのか、その点を私は大変気になっております。  もちろん、ここでは、表で答弁できないようなさまざまな水面下でのお取組があるものと承知をしておりますけれども、ぜひそこを、むしろ日本の姿勢として表に出してでも示していくということが今や求められつつあるのではないか、こうした認識を披瀝をさせていただいて、私の質問は終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  22. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、村上史好君。
  23. 村上史好

    ○村上(史)委員 立憲民主党の村上史好でございます。  まずは、岸大臣、御就任おめでとうございます。今後の御活躍を期待をしたいと思います。  きょうは、初めての質疑ということで、法案審議を中心に、あわせて、岸大臣安全保障にかかわるさまざまな問題について基本的な認識をお伺いをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは、上程をされております給与法改正案について、まずお伺いをさせていただきたいと思います。  私も久しぶりに安全保障委員会に籍を置いたわけでございますけれども、いろいろな、必要に応じて、防衛省職員給与法改正案というものはその都度出されてまいります。また、そのときに、毎回のように、自衛隊の充足率はどうなんだとか、今の募集状況はどうなんだということを聞いてまいりました。  前回も同じようにお聞きしたと思いますけれども、前回からはどのような取組をなされたのか、そしてどのような改善があったのか、まず御説明をいただきたいと思います。
  24. 岸信夫

    岸国務大臣 自衛隊の募集、また充足率等々について御質問がございました。  平成二十七年度から三十年度にかけては、入隊者が採用計画数を下回っておりました。令和元年度においては、採用計画数を上回る入隊者を確保しているというような状況でございます。  他方で、自衛官の採用については、少子化による採用対象の人口の減少、高学歴化によって厳しい状況というものは続いている、こう認識をしているわけでございます。  充足率の方は、令和元年度末時点で九二%であります。これは、おおむね、近年と比べても横ばいというような状況になっております。  これらを踏まえて、防衛省・自衛隊としては、自衛隊の充足を向上するためにさまざまな施策をとっておるわけですけれども、隊員の採用、流出防止、そして有効活用に関する総合的な取組という形で考えてきていることでございます。  具体的には、例えば、より多くの若者が目にするSNS等を活用した積極的な採用広報の展開、地方公共団体や関係各機関等との連携の強化など、採用に係る取組強化するとともに、隊員の生活、勤務環境の改善、女性自衛官の活躍推進、ワーク・ライフ・バランスの推進、処遇の改善、ハラスメント防止、メンタルヘルスの施策の推進、こういったことで自衛隊の魅力の向上を図りつつ、人材の流出を抑えてきているところでございます。そして、定年の引上げそして再任用の拡大等によって即戦力となる人材を有効活用していく、こういった取組を今推進しているところでございます。
  25. 村上史好

    ○村上(史)委員 ありがとうございます。  今大臣が言われましたように、本当に、人員の確保また人材の養成、確保というのが喫緊の課題だという認識のもとに、いろいろな取組をされてきたと思います。そういう意味での努力には評価をさせていただきたいと思いますけれども、まだまだやらなければならない課題があると思います。  やはり、自衛隊員の待遇をよりよくしていく中で、魅力のある職場として国民にアピールをする。あるいは、自衛隊そのもののイメージチェンジ。どうしても、かたいとか、また規律が厳しそうだとかいうイメージでとられてしまって、そういうところに身を置くのはどうかなとか、そういう方もいらっしゃると思います。そういう面で、明るく開かれた自衛隊だというようなイメージ。余りイメージにそういうことを強く出し過ぎると、自衛隊が弱いようにイメージされることもあるかもしれませんけれども、イメージチェンジをしていくということも、新たな人員を確保するという意味でも必要なことではないかなというふうに思います。  そういう視点に立って、今回の法案の対象となっております陸上自衛隊高等工科学校についてお尋ねをしたいと思います。  今、いろいろな人員確保に努力をされているということなんですけれども、工科学校については、海上自衛隊、航空自衛隊については平成二十三年に既に廃止をされております。陸上自衛隊の工科学校も、年々応募者数が減少しているという状況でございます。その原因と対策についてお尋ねをしたいと思います。
  26. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、委員のおっしゃられた、自衛隊を魅力的な組織にしていくということ、これは常に考えていかなければいけないと思います。国民の皆さんから愛される自衛隊でなければいけないな、こういうふうに思っておるところでございます。  今お問合せの工科学校について、これは、中学校卒業者等を対象として、将来陸上自衛官になるべき者を養成するための機関であるということでございます。近年、高等工科学校への募集者数は減少傾向にあります。これは、少子化によって募集対象者の人口が減少しているということ、それから大学への志望者がふえているということが原因になるものと考えられております。  このような状況のもとで、高等工科学校の応募者を確保するために、応募対象者の保護者、学校に向けたパンフレット等の作成、配布、また採用説明会等の継続的な実施等に取り組んでいるところでございます。  また、今年度の試験については、試験日程や試験会場を増加させることによって、受験者の利便性の向上を図ってまいります。  今後、自衛隊、自衛官等の募集環境が厳しさを増す中で、優秀な人材を将来にわたり安定的に確保するために、引き続いてさまざまな取組を行ってまいりたい、こういうふうに思っています。
  27. 村上史好

    ○村上(史)委員 あわせてですけれども、令和三年度予算では、本校のシステム・サイバー専修コース、三十人が定員と聞いておりますけれども、新設をされると聞いております。この内容について若干教えていただきたいなというふうに思います。
  28. 岸信夫

    岸国務大臣 陸上自衛隊高等工科学校は、将来陸上自衛官になるべき者を養成する学校として、普通科高校と同様の教育を行う一般教育、そして工業高校に準ずる専門的技術の教育を行う専門教育、そして陸上自衛官として必要な防衛に関する教養や各種訓練を行う防衛基礎学を主たる教育として実施をしているということでございます。  一般教育については、最終学年、三年のときに教養、理数、国際のいずれかの専修コースを履修することとなっておりますが、令和三年度からは、これらのコースに加えて、サイバー等に関する基礎的な教育を行うシステム・サイバー専修コースというものを新設し、サイバーに関する教育体制を整備していくということになっております。  そして、ここにおいては宇宙や電磁波、AIに特化した教育は現在行っておりませんけれども、陸上自衛隊について申し上げれば、電磁波については陸上自衛隊の通信学校において専門的な教育を行っているところでございます。  新領域やAIにおける人材の育成、確保は喫緊の課題であります。今後も人材育成のあり方について不断に検討してまいりたいと思います。
  29. 村上史好

    ○村上(史)委員 ありがとうございます。  まさに、新領域の領域でも人材がもう必要な状況になってきております。まだまだ先の長い話ではあるんですけれども、将来を担う自衛隊、自衛官を養成するという意味においても、この工科学校の充実は図るべきではないかなというふうに思っております。  その一方、先ほど大臣指摘をされましたけれども、少子高齢化社会の中で、募集人員も減ってきている、自衛隊全体に対する募集も横ばい状態であるという状況でございます。  そういう状況であればこそ、今、この工科学校は男子校でございます。そういう意味で、女性の活躍の場を広げるという意味においても、また人材を広く確保するという意味においても、この学校を男女共学にすべきではないかというふうに思うんですけれども、それに対する御見解はいかがでしょうか。
  30. 岸信夫

    岸国務大臣 今委員指摘のとおり、陸上自衛隊の高等工科学校、こちらでは男子のみを今採用しています。これは、一般に、技術系を選択する女子が男子に比べて少ないということ、また技術関係の知識、技能を有する女性自衛官については、一般曹候補生や自衛官候補生の枠組みで入隊した者の中から確保していることなどによるものであるというふうになっております。  いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊として、技術要員の確保のあり方については、今後の状況を踏まえつつ検討を続けてまいりたいと思います。
  31. 村上史好

    ○村上(史)委員 女性は工学系に少ない、それを選択される方が少ないというような御答弁でありましたけれども、そこは先入観を持たずに、先ほど申し上げましたように女性の活躍の場を広げるという側面もありますので、ぜひ男女共学の高校に編成を変えるということをお約束いただければなというふうに思いますが、お答えは結構でございます。  それで、私が平成三十年の三月二十三日に質問させていただきました。そのときの質問の中身は、サイバー防衛隊について、サイバーセキュリティーを担う人材をいかに確保するかということで質疑をさせていただきました。その中で私は、防衛大学にそういう専門の科があるのかというふうに申し上げましたら、講座でしかないということでございました。いわゆる新領域の人材を確保する、スキルアップをする、技術力を向上させていくという面では、やはり防衛大学にそれ専門の学科を創設すべきではないかということを提案をさせていただきました。  そのときの御答弁では不断に検討をしてまいりますということでございましたけれども、その後、状況はどのようになっているのか、フォローアップさせていただきたいと思います。
  32. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、防衛大学校におけるサイバー教育についてでございますが、全学年必修科目であります防衛学の授業科目において、サイバー戦に関する基礎的な知識の付与を目的とした授業を平成二十七年から実施をしております。サイバーに関する一定の知見を有した幹部候補生、幹部候補要員の育成に努めておるところでございます。また、電気情報学群の情報工学科においては、情報システムやサイバーセキュリティーに係るより高度な内容について学ぶための授業を平成二十六年から実施をしております。  サイバー人材の育成のあり方については不断の検討を行っているところですが、現時点までの検討において、防衛大学校にサイバー分野に特化した学科を新設するという結論には至っていないところです。  いずれにせよ、サイバー分野における人材の育成、確保を一層積極的に推進していく中で、防衛省・自衛隊におけるサイバー分野の教育体制あり方について引き続き検討を行っていきたいと考えております。
  33. 村上史好

    ○村上(史)委員 先ほど工科学校ではシステム・サイバー専修コースを設けているということで、将来に備えておられるにもかかわらず、その上の上級の大学にその科がないというのも、ちょっとそれは整合性がとれないんじゃないかなと思います。  そういう面では、高校からその大学に行けるのかどうかちょっとわかりませんが、防衛大学に行ってその分野で勉強したいと思っても、その学科がなければせっかくこのコースにいても、現場ではいろいろな活用はできると思いますけれども、より高度な人材を確保するという意味においては、やはり防衛大学校にそういう学科を創設すべきだということを改めて指摘をして、次の質問に参らせていただきたいと思います。  ちょっと時間の方は予定より経過をいたしておりますので、次の質問に移りたいと思いますが、新領域と日米安保条約について何点か、大臣の御見解を伺いたいと思います。  昨年、二〇一九年なんですけれども、四月に日米の2プラス2の会談で、サイバー攻撃日米安保条約の適用対象になると確認したとの報道がございます。両国にとってどのような拘束力、また効力があるのか、お尋ねをしたいと思います。  あわせて、具体的に、日米安全保障条約第五条に照らして、米国の具体的な行動はどのように想定をされているのか、お尋ねします。
  34. 岸信夫

    岸国務大臣 昨年の2プラス2会合では、領域横断作戦のための協力として、サイバー分野における協力を強化していくということで一致をしたところでございます。サイバー攻撃日米安保第五条に言う武力攻撃に当たる場合があるということを確認いたしました。  自衛隊と米軍の協力を含めて、米軍の行動の具体的な対応や詳細については、事柄の性質上お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、こうした点を確認したことは、サイバー空間における日米共同対処の可能性を明確にするものであり、抑止の観点から意義が大きいものと考えております。  いずれにしましても、サイバー空間における日米協力については、日米防衛協力のための指針で明示されておるとおり、日本に対するサイバー攻撃事案が発生した場合には、日本は主体的に対処し、緊密な二国間の調整に基づいて、米国日本に対し適切な支援を行う。このほか、日米政府において、関連情報の迅速かつ適切な共有を行うということとなります。また、日本の安全に影響を与える深刻なサイバー事案が発生した場合には、日米政府は、緊密に協議し、適切な協力行動をとり対処するということになっております。  自衛隊と米軍の間においても適切に協力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  35. 村上史好

    ○村上(史)委員 具体の話はできないということなんですけれども、サイバー空間においては、なかなか有事と平時の差がわからない。我々素人でももちろんわからないんですけれども、わかりにくいんですけれども、ただ、攻撃を受けたということの認定を一体誰がするのか。ケース・バイ・ケースだといえば、そのときに恣意的にこれを認定すると、サイバー攻撃だと認定するということになってしまって、政策の安定性が保てないんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  36. 岸信夫

    岸国務大臣 境目がはっきりしない場合ということでございますが、いずれにしても、武力行使の三要件を満たす場合には、憲法上、自衛の措置として武力の行使が許容されると考えられています。いかなる場合にこの武力行使の三要件を満たすかについては、そのときの情勢、相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様等、具体的な状況を踏まえて判断をしていくということになります。  したがって、一概にお答えすることはなかなか困難でございますけれども、いずれにしても、新領域における対応を含めて、我が国防衛に万全を期してまいりたいというふうに思います。
  37. 村上史好

    ○村上(史)委員 まさに、今の答弁をお聞きしても物すごく曖昧で、これということを明確にお答えできないのが今のサイバーを取り巻く現状だと思います。  そういう面で、やはりきっちりと、この領域においても、何をもって攻撃とみなすのか、そしてそれに対して反撃をできるのかできないのか、どこまでできるのかということは、今後やはりこの委員会でも議論を深めていかなければならないと思います。きょうは時間の制約もありますので、またその議論は後日に譲りたいと思いますけれども。  それにやや関連をいたしますが、宇宙は安保条約の適用の内でしょうか、外でしょうか。
  38. 岸信夫

    岸国務大臣 宇宙領域においてということでございますが、先ほど申しました武力行使の三要件を満たすかどうかということでございます。満たす場合には、憲法上、自衛の措置としてこれが許容される、武力の行使が許容されるということでございます。そのときの国際情勢や相手国の明示された意図や攻撃の手段、態様等、個別具体的な状況を踏まえて判断をしていく。  したがって、御指摘の与件のみによって、憲法上の武力行使が許容されるか、また、日米安保第五条に規定する武力攻撃に該当するかどうか、一概に論ずることは困難であります。  いずれにしましても、日米防衛協力の指針にあるとおり、日米政府においても、宇宙空間における脅威対処するために協力していくこととしております。宇宙領域に関するものも含めて、引き続き日米の協力関係を深化させていきたいと考えております。
  39. 村上史好

    ○村上(史)委員 私の質問とはちょっとずれているんですけれども、先に進みたいと思います。  河野前防衛大臣、ことしの四月の十六日に参議院の外交防衛委員会で、米国などの衛星が攻撃された場合、集団的自衛権行使の可能性があると答弁をされました。岸大臣も同様のお考えでしょうか。  また、具体的に、日本の行動をどのように想定をして集団的自衛権の行使の可能性を言っておられるのか。  また、逆に、日本の衛星が攻撃された場合、米国に集団的自衛権行使を要請するのか。  この三点、お伺いします。
  40. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、御指摘の河野前大臣の御答弁については、憲法上の自衛の措置としての武力の行使が許容されるのは武力行使の三要件を満たす場合に限られる、そして、いかなる場合にこの三要件を満たすかについては個別具体的な状況を踏まえて判断する必要があるという答弁をした中で、宇宙やサイバー、電磁波領域においても、仮に武力の行使の三要件を満たす場合には、法理上、武力の行使が許容されるという旨を答弁したものと承知をしております。  したがって、御指摘の与件のみによって、憲法上の武力行使が許容されるかどうかについては、一概に論ずることは困難であると考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、日米防衛協力の指針にもあるとおり、日米の両政府は、宇宙空間における脅威対処するためにも協力をしていくということでございます。自衛隊と米軍の具体的な対応については、個別具体的な状況に応じて判断するという必要がありますので、一概に申し上げることは困難ですけれども、宇宙領域に関するものも含めて、引き続き日米の関係強化をさせてまいりたい、こういうふうに考えております。
  41. 村上史好

    ○村上(史)委員 今の御答弁でも私は感じるんですけれども、一方で、宇宙空間においては日米安保条約は適用されるかどうかまだわからないというような、また軍事攻撃もケース・バイ・ケースだ、しかし一方で、集団的自衛権だけは行使しますよというのは、国内法の整備もされていない状況の中でその集団的自衛権の行使だけが先行するというのは、ちょっと危険な行為ではないかなと思います。  やはり、二国間であろうと宇宙空間のさまざまなルールは必要だというふうに思いますけれども、まず国内の法整備をした上で、日米の協力はどうあるべきかというところに、そこに進んだ上で、宇宙での協力をどのようにしていくかということが決められなければならないと思います。  今の答弁をお聞きしていても、全てがやはりまだまだ曖昧な答弁になるというのは、今、現状がまさに混沌としていて、また法的な領域も確定していないということの証左だと思いますので、この点についても今後、当委員会で議論を進めていこうと思っております。  それでは、時間も大分経過をいたしましたので、最後の質問に移らせていただきたいと思います。まず、米中関係と台湾、尖閣有事についての質問をさせていただきたいと思います。  まず、大臣の御認識をお伺いするんですけれども、御承知のとおり、バイデンさんが新大統領になるということがほぼ確定をしております。そういう中で、米中関係も変化が予想をされます。一部には、米中が融和に向かうのではないかという観測もございます。  融和はいいんですけれども、やはり中国にとって、融和政策がさまざまなハードルを下げることにもなりかねません。また、そのことによって、冒険的、野心的な行動をとることも十分考えられます。そうなりますと、台湾問題について、今までよりも強硬になるのではないかと心配をしております。  今後、米中関係と中国動向について、安全保障を所管される岸大臣としての御所見を伺いたいと思います。
  42. 岸信夫

    岸国務大臣 バイデン政権における米中関係、あるいは台湾をめぐる中国動向について、政権発足前でもあります、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、ただ一方で、米国全体として、中国に対する見方に対しては、厳しい見方が増しているというふうに承知をしております。現実に厳しい安全保障環境ですので、そういった意味からも、新政権で打ち出される対中政策、これに対しては注視をしてまいりたい、こういうふうに思います。  その上で、今申しました中国の情勢ですけれども、台湾周辺の海空域、軍事活動を活発化をさせています。先ほども述べました空母の遼寧がバシー海峡を通過したりしている、あるいは、中国軍機が中間線を越えて台湾側に進出をしてきているケースがふえております。  中国軍事力の強化を急速に進めている中で、この中台の軍事バランスというものも全体として中国側に有利な方向に推移をしているということでございますので、台湾をめぐる中国状況動向について引き続き注視をしてまいりたいというふうに思います。
  43. 村上史好

    ○村上(史)委員 まだまだこれからの不確定な要素がございますので、この議論は余りこれ以上は進めようとは思わないんですけれども、やはり大きな政治の転換になると思います。トランプ大統領の手法は御承知のとおりでございますし、バイデン新大統領は外交の専門家とも言われております。そういう面で、今までのアメリカの外交とは大きくさま変わりする可能性があるということで、我々も注視をしていかないといけないと思いますし、また、それに伴う安全保障政策についても議論をしていきたいと思っております。  続きまして、尖閣諸島に関して質問をさせていただきます。  中国の全人代の常務委員会は、中国海警局の任務や権限を初めて明文化をし、外国船への調査、差押えに加え、中国の主権が侵害されるおそれがある場合、武器使用も含む一切の必要措置をとることができると規定している法案が明らかになりました。  今後、尖閣周辺で活発に行動する中国海警により、緊張が高まると予想もされますけれども、大臣の御認識はいかがでしょうか。
  44. 岸信夫

    岸国務大臣 中国の海警法についてですけれども、中国の意図についてお答えする立場にはございませんけれども、御指摘の法案を含めて、中国海警局をめぐる動向については、引き続き高い関心を持って注視していきたいと考えております。  その上で、最近の尖閣諸島をめぐる情勢について申し上げますと、中国公船が、海軍艦艇の恒常的な活動のもとで、我が国の強い抗議にもかかわらず、尖閣諸島周辺我が国領海に繰り返し侵入をしている、そして接続水域への連続入域日数は過去最高を更新している、こうした状況については断じて容認できるものではありません。  さらに、近年の尖閣諸島近海に派遣される公船の大型化が図られている。そして、機関砲と見られる武器を搭載した公船の侵入も繰り返されている。運用体制は着実に強化をされているのではないかな、こういうふうに思います。  防衛省としては、尖閣諸島をめぐる情勢に関して、事態をいたずらにエスカレートさせることがないように冷静に対応を継続したいと思いますが、一方で、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜く。引き続き、海上保安庁など関係省庁との連携を行って、警戒監視情報収集に万全を期してまいりたいと考えております。
  45. 村上史好

    ○村上(史)委員 ありがとうございます。  殊さらこの海域での緊張を高める必要は全くありません。我々としては、全くそうだと思います。  ただ、中国がどういう形で対応してくるかというのは不確定な要素がございますので、これこそ不断の安全保障政策、海上保安庁の方も努力をいただいておりますけれども、やはり自衛隊として、有事の際はどういう対応をするのか、また、そういう用意がきっちりとあるぞというところも明確に示す必要があると思います。あえて紛争を起こさないためにも、我々の立場というものをより明確にしていく必要もあると思います。  そういう中で、先般、菅総理とバイデン大統領と電話会談が行われまして、尖閣諸島は日米安保の第五条の適用範囲だということをバイデン大統領の方から言及があったということで、何かこれでもう一安心だというふうな雰囲気があるようでございますが、この安保条約の第五条を改めて読んでみますと、日本国の施政のもとにある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手順に従って共通の危険に対処すると。いわゆるアメリカ防衛義務について記されているわけですけれども、アメリカの憲法に従って、そしてまた議会の承認を得て行動をするということになります。  NATOなんかでは、締約国が受けた攻撃は自国へ武力行使をされたものとみなして直ちに反撃するということで、タイムラグはないわけです。ただ、日米安全保障条約においては、この間がタイムラグを生じるというおそれがあるのと、それと、本当にアメリカが尖閣諸島の有事に出動してくれるのかどうか、これはあくまでも不安定な要素だと言わざるを得ません。  この現実を認めるか認めないかによって我が国安全保障あり方も変わってくると思うんですが、この現状、安保条約の現実を、今私が申し上げた現実を大臣はお認めになりますか。
  46. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、バイデン次期大統領と菅総理との間での電話会談において、安保条約五条の尖閣への適用についてのコミットメントがあったということでございます。  私自身も、先週実施をしましたミラー国防長官代行との電話会談において、同様の確認を、改めて確認をしたところでございます。  米国は、累次の機会に、この安保条約五条の、尖閣適用されるということ、また、日米安保条約のもとでの米国の条約上の義務へのコミットメント、これを確認をしてきているというところでございます。  政府としては、米国日米安保条約上の義務を果たすことに信頼を置いておるということでございます。日米安保条約五条に規定されている米国の対日防衛義務につきましては、条約を承認した、条約自体が米国議会によって承認をされております、そういう意味で、この義務の履行を妨げるような措置をとるとは考えていないところでございます。
  47. 村上史好

    ○村上(史)委員 時間が参りましたけれども、お認めになることはなかなか難しいと思うんです。ただ、やはりこの議論はしていかないと、アメリカが必ず来てくれる、支援、応援をしてくれるものだと思っているからこそ、アメリカの方から、日本、ただ乗りやないか、駐留予算をもっとふやせという議論になっちゃうけれども、現実にアメリカが本当に来てくれるかどうかわからないのに、ただ乗り論なんて成り立たないわけですね。  そういうことを含めて議論を今後進めていかなければならないということで、次の機会にぜひまた議論させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  48. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、照屋寛徳君。
  49. 照屋寛徳

    ○照屋委員 共同会派、社民党の照屋寛徳です。  前回の外務、防衛大臣の所信に対する質問の機会がありませんでしたので、今回、野党筆頭理事の御配慮を得て質問をいたします。  冒頭、本日の議題となりました防衛省職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案については、一時金について二〇一〇年以来十年ぶりの引下げとなったことは極めて残念でありますが、民間給与の調査を踏まえた内容と受けとめ、賛成いたします。  防衛大臣伺います。  大臣は所信表明の中で、沖縄の基地の負担軽減を目に見える形で実現するという政府取組について、全力で取り組むと述べております。  大臣は、沖縄に膨大に駐留する米軍基地の実態をどのように認識しているのでしょうか。また、大臣が所信で述べた沖縄の基地の負担軽減というのは具体的に何を指しておられるのでしょうか。伺います。
  50. 岸信夫

    岸国務大臣 戦後七十年以上を経た今でも、国土面積の〇・六%の沖縄県内に全国の約七〇%の在日米軍専用施設・区域が以前として集中している。沖縄の皆様には大きな基地負担を負っていただいている、まずこのように認識をしております。この現状については、到底是認できるものではありません。沖縄の基地負担軽減については、私としても全力で取り組んでまいりたいと思います。  先日、沖縄を訪問いたしまして、米軍施設の現状を視察をいたしました。沖縄県の皆様ともお会いをした。沖縄の基地負担の軽減に関する考え方について御説明するとともに、直接皆様の御意見を、御要望をお伺いしたというところでございます。  これまでも、沖縄の基地負担軽減は着実に進んでいると思います。普天間飛行場の空中給油機十五機、今、これは岩国飛行場への移駐が完了したところです。北部訓練場の過半の約四千ヘクタールの返還、これも実現をされました。嘉手納以南の人口密集地に所在する米軍基地について、その約七割の返還計画を発表し、これに基づいて返還を進めてきています。さらに、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にあります普天間飛行場の固定化というものは絶対に認められません、避けなければならないことであります。政府として、辺野古への移設を着実に進めていくことで普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現していきたいと考えております。  防衛省としては、今後とも一つ一つ着実に結果を出すことによって沖縄の負担軽減を進めてまいりたいと考えております。
  51. 照屋寛徳

    ○照屋委員 それでは、次に、これは外務副大臣かな、十一月十六日付の琉球新報朝刊によりますと、戦後、米軍に居住地を強制接収された読谷村旧牧原集落の人々は、去る十月二十五日、米軍嘉手納弾薬庫地区内にある拝所、チチェーン御嶽前で例祭を行い、フェンス越しに手を合わせ、いつの日かもう一度、ふるさとの地を踏み締めてみたいと願ったようです。牧原住民は、かつてフェンス内に自由に出入りし、拝所で祈願したり、旧盆にはエイサーを奉納していたようです。  旧牧原集落の出身者は、せめてフェンスから約三十メートル先にある御嶽前で拝めるように、読谷村や国に対してフェンスの移動を求めております。基地負担の軽減と戦後処理の一環として、住民らの要求を実現するんだという決意をお聞かせください。
  52. 岸信夫

    岸国務大臣 委員指摘のチチェーン御嶽の拝所についてですけれども、以前は立入りが認められていたところでございます。しかしながら、二〇〇一年の九・一一同時多発テロ以降、米軍の施設の警備が強化されたということから立入りが困難になって、現在はフェンス越しに例祭が認められていると承知をしております。  このチチェーン御嶽を囲む形でのフェンス設置につきましては、地元の皆様の御要望をよくお伺いした上で適切に対応してまいりたいと考えております。
  53. 照屋寛徳

    ○照屋委員 大臣、この旧牧原集落は、かつて琉球王府の牧場だった。廃藩置県前後に失職した士族が入植し、開墾して形成されました。終戦後、全域が米軍に接収されたんです。だから、戦後七十五年たって、どうか、旧牧原住民の願いを実現できるように、大臣に再度決意を伺いたいと思います。
  54. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 ただいま大臣からございましたように、現在はフェンス越しに例祭が行われているというところでございますけれども、チチェーン御嶽を囲む形でフェンスを設置するということについては、地元の皆様の御要望をよくお伺いした上で適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。  他方、こちらのフェンス越しというか、外ではなく、御地元の方から、昨年の十月に、自治会長様等から立入りについての御要望を受けまして、本年十月の例祭に向けて現地米軍との間で立入りの調整が進んでおりました。ところが、米側より、新型コロナウイルス感染症対策という観点から、今回ちょっと立入りが認められないという連絡があったところでございます。  本年の立入りは実現しませんでしたけれども、防衛省といたしましては、引き続き地元の皆様の御要望を伺いながら、立入りについても米側に働きかけてまいりたいというふうに考えてございます。
  55. 照屋寛徳

    ○照屋委員 次は、防衛大臣、非常にロマンチックな話をやりましょう。  アメリカの次期大統領に民主党バイデン氏の当選が確実になりました。そして、副大統領には女性初となるカマラ・ハリスさんが就任いたします。  沖縄市には、カマラ・ハリスさんと読み方が同じ嘉間良という集落がございます。玉城デニー沖縄県知事は、カマラ・ハリスさんを招聘して、各国の女性リーダー的な方々によるサミットを沖縄で開催したいと表明しております。沖縄県民もその実現を待望しております。  加藤官房長官も、十一月十日の記者会見で、読み方が同じというのは一つの縁ではないかと思うと述べ、玉城県知事のサミット開催の意向を承知しておるとしております。  カマラ・ハリスさんを招聘して沖縄で女性サミットを開催することについて、どのようにお考えでしょうか。
  56. 鷲尾英一郎

    ○鷲尾副大臣 アメリカの副大統領に就任が予定されておりますカマラ・ハリス上院議員のファーストネームと呼び方が同じ嘉間良という地区が沖縄県沖縄市にあること、そして、そのことが地元でも大変話題になっていると承知しております。また、玉城沖縄県知事が御自身のツイッターで、ハリス上院議員を沖縄に招聘し女性リーダーサミットを開催したい、そういう意向を示していると理解をいたしているところであります。  外務省といたしましては、今後、さまざまな機会を通じまして、地方レベルにおいても国際交流及び協力が一層進展していくことを期待したいと思います。
  57. 照屋寛徳

    ○照屋委員 ぜひ、実現へ向けて、政府の大きな力をかしていただきたいと思います。  大臣、この嘉間良地区には、現在、千四百人ぐらい住んでいるんです。もちろん国道も通っております。ただ、残念ながら、上空にはF15戦闘機などが爆音をもたらしております。  かつて、沖縄には黒人街、白人街というのがあった。そして、けんかが絶えませんでしたが、ウチナーンチュが間に立てばけんかがおさまるんです。大統領選挙で争点になった多様性が沖縄にあった、その満ちた縮図が嘉間良であるということを御理解いただいて、大臣の大きな力をかしていただきたいと思います。  何かありますか。
  58. 岸信夫

    岸国務大臣 先ほど外務副大臣からも答弁があったところでございますが、新バイデン政権のもとでカマラ副大統領が果たされる役割、人種の分断とか、そういうものに対する問題意識、そういったものも、委員おっしゃるとおり、その嘉間良の地区に凝縮をされていると今おっしゃられましたけれども、そういう問題意識も含めて、いろいろ政府として考えてまいりたいというふうに思います。
  59. 照屋寛徳

    ○照屋委員 大臣伺います。  去る十一月五日、全国知事会がウエブ会議を開き、米軍基地に関する提言を決議をしております。二〇一八年七月に初めて決議をした日米地位協定の抜本的改定などを求める内容を踏襲しつつ、今回は、米軍機の飛行について、人口密集地や休日、学校行事を避けることなどを求めるなど、より詳細な要求になっております。  防衛大臣は、全国知事会の提言を重く受けとめ、その実現に向けて取り組むお考えはありますか。
  60. 岸信夫

    岸国務大臣 今委員指摘の全国知事会の決議については、知事会の御意見としてしっかり受けとめてまいりたいと思います。  その上で、大事なことは、基地負担軽減について、できることを全て行い、目に見える形で実現をしていくこと、そして周辺住民の方々のさまざまな御不安を払拭していく、このために全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。  この決意を胸に、防衛大臣として、沖縄県を始めとする関係自治体、関係省庁、米軍との緊密な連携を行いながら、事件、事故の防止、また新型ウイルスの感染対策の徹底、そして負担軽減、こういったことに全力で取り組んでまいりたいと考えています。
  61. 照屋寛徳

    ○照屋委員 大臣、この日米地位協定の改定問題というのは、それは、沖縄のみならず、主権国家日本の大きな課題でございます。  私は、当初、一九九五年七月に参議院に当選をいたしました。その後、衆議院に移ってから今日まで、この不平等、不公平な日米地位協定を抜本的に改正する、その中で主権国家として日本の矜持を守っていく。そして、今なお日米地位協定は不平等、不公平で、ウチナーンチュの人間としての誇りと尊厳を傷つけております。  大臣、どうか全国知事会の提言をしっかり大臣として国政に生かしていただきたい、このようにお願いを申し上げます。  次に、防衛省政府参考人伺います。  去る十一月四日夜、うるま市の津堅島訓練場水域で米軍のパラシュート降下訓練が強行されました。十月十六日にも夜間の降下訓練を実施したばかりで、常態化しております。  津堅島訓練場水域の訓練は、沖縄県が確認を始めた一九九七年から二〇一六年までは年間一回程度しか実施されませんでしたが、二〇一七年から急増しております。昨年まで三年連続で年間に九回の訓練が確認され、今回の訓練強行で、ことし十回目となります。これまでの年間最多回数を更新しました。  防衛省に尋ねます。訓練急増の理由は何でしょうか。
  62. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 御指摘の津堅島訓練場水域におきましてパラシュート降下訓練が近日も実施されたことは防衛省としても確認してございます。  津堅島の訓練場水域につきましては、昭和四十七年の日米合同委員会合意におきまして、使用主目的が訓練場とされまして、また、その使用条件の中ではパラシュート降下訓練は禁止されておらないというところでございます。このため、同水域においてパラシュート降下訓練を実施すること自体が当該合意に照らして問題があるとは考えてございません。  ただ、しかしながら、米軍の訓練に当たりまして、公共の安全に妥当な配慮を行うのは当然のことでございます。米軍に対しては、安全面の確保と周辺住民への影響を最小限にとどめるよう累次の機会に申入れを行っているところでございます。  防衛省といたしましては、引き続き、米軍と緊密に連携を図りながら、安全面に最大の配慮を求めるなどして適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。  さらに、御指摘がございました回数でございますけれども、この回数につきましても、津堅島の訓練場水域は、先ほど申し上げました昭和四十七年の日米合同委員会において年間百二十日まで使用することが認められてございまして、従来よりこの範囲内で訓練が実施されているものと承知してございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、防衛省といたしましては、引き続き、米側と緊密に連携をとりながら、安全面に最大の配慮を求めるなどして適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。
  63. 照屋寛徳

    ○照屋委員 私はうるま市に住んでいるんです。津堅島訓練場水域周辺は、本島と津堅島を結ぶ定期船が航行し、モズクなどの収穫で漁船が頻繁に行き来をしております。そのため、地元うるま市やうるま市議会は、住民の安心、安全を守る観点から、何度も抗議し、沖縄防衛局を通じて訓練中止を求めてまいりました。沖縄県も同様の立場です。  防衛大臣、地元住民の悲痛な叫びに耳を傾け、米軍に中止を求めていくお考えはありますか。
  64. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 御指摘でございますけれども、まさに米軍の訓練に当たりまして、公共の安全に妥当な配慮を行う、払うというのは、これは当然のことでございます。米軍に対しまして、防衛省からも安全の確保と周辺住民への影響、これを最小限にとどめるよう累次の機会に申入れを行っております。  最近におきましても、今月十六日ですけれども、沖縄防衛局から米軍の関係部署に対してこうした旨の申入れを行っているというところでございます。
  65. 照屋寛徳

    ○照屋委員 大臣、玉城デニー沖縄県知事は、去る十月十日に来県した加藤官房長官に対し、米軍那覇港湾施設、いわゆる那覇軍港の浦添埠頭地区への移設計画について、那覇軍港は遊休化しているとの話もあります、浦添の施設ができてから返還するという時間のかかる計画ではなく、軍港の返還を前倒しして進めてほしいと述べ、日米政府が返還条件とする浦添移設が完了する前に先行返還するよう求めております。  玉城知事の提案に対する防衛大臣の受けとめをお願いします。
  66. 岸信夫

    岸国務大臣 那覇港湾施設につきましては、二〇一三年の四月の沖縄統合計画において、その機能を浦添埠頭地区に建設される代替施設へ移設した後に返還されることとされております。  防衛省としては、この返還条件を満たすよう進めていくことが返還に向けた早道である、こういうふうに考えておるところです。  また、那覇港湾施設の移設を着実に進めていくためにも、同地区の民港の港湾計画に関する地元間での検討が進むことを期待をしておるところでございます。  いずれにしても、防衛省として、那覇港湾施設の返還に向けて全力で引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
  67. 照屋寛徳

    ○照屋委員 大臣、十月十二日の官房長官記者会見で、那覇軍港について、実際に使用されており、遊休化していないとした上で、二〇一三年四月に日米合意された沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画に定められた返還条件に沿って浦添移設を進める考えを示しております。  政府が、那覇軍港が実際に使用されており、遊休化していないとする根拠は何でしょうか。防衛大臣に尋ねます。
  68. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 事実関係でございますので、私の方から御説明させていただきたいと思います。  この那覇港湾施設につきましては、平素から実際に使用されており、遊休化していないというふうに我々承知してございます。  この運用に関して、米軍の運用に関して網羅的に把握しているわけではございませんけれども、例えば最近でも、十一月九日ですとか十六日に米軍艦艇が使用しているというのを確認しておるということでございます。  また、こうした施設につきましては、事態が緊迫した際の使用というのも当然に想定されてございますので、平素の使用状況のみから施設の要否を判断することは必ずしも適切ではないというふうに認識してございます。  いずれにいたしましても、平素から実際に使用されているということが実態でございます。
  69. 照屋寛徳

    ○照屋委員 防衛大臣に尋ねます。  米軍は、平成十四年、二〇〇二年の三十五隻を最後に、那覇軍港への米軍艦の出入りについて公表していないと承知しています。  米軍が公開を拒む理由は何でしょうか。政府はこの間、アメリカ側に公表するよう求めてきたのでしょうか。
  70. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 米軍による那覇港湾施設への入港隻数につきましては、御指摘のように二〇〇二年まで公表されておりましたが、二〇〇三年以降は、米軍の運用上の理由ということによりまして公表されていないというふうに承知してございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、那覇港湾というものは、これは事態が緊迫した際の使用というのも当然想定されておりまして、平素の使用のみから施設の要否を判断することは適切ではないのではないかというふうに我々は認識しておるところでございます。
  71. 照屋寛徳

    ○照屋委員 最後に、防衛省、遊休化していないと言うのならば、那覇軍港への米軍艦の入港実績や物資の積卸し実績を明らかにすべきではありませんか。  日米地位協定第二条三項には、「必要でなくなつたときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。」とあります。遊休化している那覇軍港は、代替施設をつくらずに速やかに返還すべきではありませんか。お尋ねします。
  72. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 まず、まさに網羅的に運用の実績というものを公表するということにつきましては、先ほど申し上げましたように、運用上の理由といわゆるセキュリティーの関係を理由に公表されていないということでございます。  ただ、網羅的ではございませんけれども、実際に、例えば、先ほど申し上げましたけれども、十一月九日ですとか十六日に米軍艦艇が使用しているというのを確認しておるところでございます。  このように平素から実際に使用されておるということでもございますし、先ほど申し上げましたように、事態が緊迫した際の使用も当然に想定されておりますので、平素の使用状況のみからその施設の要否ということではないというふうに考えてございます。  いずれにいたしましても、この問題のことにつきましては、まさに御指摘の二〇一三年の沖縄統合計画におきまして、その機能を浦添埠頭地区に建設される代替施設に移設した後に返還されることとされておりまして、先ほど防衛大臣から御答弁ございましたように、この返還条件を満たすよう進めていくことが返還に向けた早道であるというふうに考えておるというところでございます。
  73. 照屋寛徳

    ○照屋委員 これでつえつき老人の質問は終わります。どうか大臣、所信で述べられたように、沖縄の基地負担というのは、米軍人・軍属の犯罪だけではなく、沖縄に雪は降らぬが飛行機は降ってくる、これが沖縄の基地負担の現状なんです。だから、しっかり大臣として基地負担の現状を見聞して、国際で頑張ってもらいたいと思います。  以上です。
  74. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、赤嶺政賢君
  75. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。  辺野古新基地建設とジュゴンの保護について質問をいたします。  沖縄本島の周辺では、辺野古の事業を実施する前には三頭のジュゴンが確認されていました。このうち、個体Cについては二〇一五年六月を最後に、個体Aについては二〇一八年九月を最後に確認できなくなりました。個体Bについては、昨年三月に今帰仁村の漁港で死亡が確認されています。  南西諸島のジュゴンの絶滅が現実味を帯びる極めて深刻な状況にあると思いますが、大臣はその点をどのように認識しておられますか。
  76. 岸信夫

    岸国務大臣 ジュゴンは、環境省のレッドリストにおいて平成十九年から、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種、いわゆる絶滅危惧の1A類に指定されているものと承知しております。  普天間飛行場代替施設建設事業では、平成十九年から、約五年間の環境影響評価手続を行っております。その中で、沖縄島沿岸のジュゴンの生息状況を調査した上で、ジュゴンについて特に配慮して、環境への影響の予測、評価を行っているところでございます。  この予測、評価を踏まえて、本事業の実施に当たっては、部外の専門家から成る環境監視等委員会の指導助言を得ながら、ジュゴンの生息状況の把握や工事海域へのジュゴンの来遊の監視に努めているなど、これまでもジュゴンへの影響について適切に配慮して工事を進めているところでございます。  引き続き、適切に対処をしてまいりたいと思います。
  77. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 絶滅が危惧される極めて深刻な状況ではありますが、ことし二月以降、大浦湾の施行区域内で、ジュゴンの可能性が高いとされる鳴音、鳴き声が継続的に検出されています。一縷の望みをかけて、その動きを見守ってきた方もたくさんいらっしゃると思います。  これまでの検出状況、そしてジュゴンの鳴音、鳴き声かどうかの特定には至ったんですか。その点を明らかにしていただけますか。
  78. 土本英樹

    土本政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘の点でございますが、本年二月以降、施行区域内のK4地点及びK5地点に設置した水中録音装置からジュゴンの鳴音である可能性が高い音が検出されているというのは、まさに御指摘のとおりでございます。  具体的には、K4地点におきまして、二月に三日、三月に五日、四月に七日、五月に十日、八月に一日、検出されております。また、K5地点におきましては、六月に一日、検出されております。  そして、これら全ての音につきまして、経験豊富な調査会社による識別に加え、海洋生物の専門家から、個体の識別はできないものの、ジュゴンの鳴音の可能性が高いとの意見を得たところでございます。  他方、これまで古宇利島や嘉陽沖でジュゴンの鳴音である可能性が高い音が検出された際には、いずれもその前後にジュゴンの姿やはみ跡などの痕跡が確認されてきましたが、本年二月以降に検出されたものにつきましては、頻度をふやしまして範囲を拡大するなどしながら各種調査を行っているにもかかわらず、姿やはみ跡などの痕跡は確認されておりません。  このような状況を踏まえまして、本年七月に開催されました第二十七回環境監視等委員会におきまして、人工物の影響を含めて検証するべきとの指導助言をいただいたことから、その後の環境監視等委員会におきまして、引き続きジュゴンの生息状況や大浦湾のはみ跡の状況を把握するための調査を継続するとともに、並行して、人工物の影響も念頭に置いた発生源の状況の確認も実施することといたしております。  その上で、ジュゴンが大浦湾内に来遊することは過去にも確認されておりまして、環境保全図書におきまして予測の前提にもなっていることから、今般検出された音がジュゴンの鳴音であると特定されていなくても、引き続き環境保全図書に基づきまして環境保全措置を講じることで、ジュゴンへの影響を適切に考慮できると考えております。  さらに、今般のジュゴンの鳴音の可能性が高い音の検出を受けまして、環境監視等委員会におきまして、ジュゴンの生息状況調査の範囲を拡大するとともに、警戒監視強化しつつ、現在の環境保全措置を継続していくことにつきまして了承をいただいているところでございます。
  79. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 長い答弁でしたけれども、ジュゴンかどうかの特定への努力が足りない。この半年、同じような説明を聞かされてきました。  防衛省はこれまで、ジュゴンに関する調査は、実績豊富な専門コンサルタントが実施し、海洋生物の専門家からも助言をもらっていると説明しております。海洋生物の専門家というのはどなたですか。
  80. 土本英樹

    土本政府参考人 お答え申し上げます。  専門家からの助言につきましては、大変恐縮でございますが、氏名等を非公表にすることを条件に当該助言を得ているため、氏名等を開示することは困難であることを御理解いただきたいと思います。
  81. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 専門家の名前は言えないと。  それで、皆さんがいつも意見を聞いています環境監視等委員会の委員の皆さんに、この鳴音が録音された音声データは聞いてもらったんですか。
  82. 土本英樹

    土本政府参考人 お答え申し上げます。  普天間飛行場代替施設建設事業におきましては、適切な環境保全措置を実施する前提といたしまして、ジュゴンの生息状況を把握するために、航空機や水中録音装置などを用いたジュゴンの生息状況の調査を行っておりまして、その調査結果につきまして環境監視等委員会に報告しております。  このうち、水中録音装置による調査につきましては、受託業者が録音データを分析し、周波数や持続時間など音響特性も考慮してジュゴンの鳴音の識別を行い、必要に応じて専門家の意見も確認した上で、整理した結果を沖縄防衛局が提出を受け、これに基づいて環境監視等委員会に報告しているところでございまして、録音データそのものは環境監視等委員会に示しておりません。  環境監視等委員会では、これまでも、航空機や水中録音装置などを用いた調査の結果としてジュゴンの行動範囲や行動生態などの知見を総合的に考慮しながら分析、検討し、ジュゴンの生息状況を確認していただいているものと承知しております。  以上でございます。
  83. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 音声データについて、環境監視等委員の皆さんからは聞かせてほしいという要望は出ていないんですか。
  84. 岸信夫

    岸国務大臣 これまで、環境監視等委員会から録音データの提出は求められておりません。  環境監視等委員会では、これまでも、航空機や水中録音装置などを用いた調査の結果とジュゴンの行動範囲や行動生態などの知見を総合的に考慮しながら分析、検討しており、ジュゴンの生息状況を確認していただいているものと承知をしております。
  85. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 防衛大臣にこの機会にお願いしておきたいんですけれども、この音声データについては、立憲民主党の近藤昭一議員が会長を務めておられる沖縄等米軍基地問題議員懇談会、ずっと会合を重ねておりますが、その中で繰り返し提出を求めてきました。国際的にも関心が高く、内外の専門家から提供を求める強い要望が出されておりますが、提出に至っておりません。  大事なことは、ジュゴンが存在するかどうか、まず事実を特定することです。防衛省において特定に至っていないというわけですから、広く専門家の知恵と協力を求めていく必要があると思います。協力したいという専門家の方はたくさんいらっしゃいます。  既にあるもの、音声データ、これを提出するだけのことですから、新たに予算がかかるわけでもありません。拒む理由はないはずです。音声データの提出をぜひ御検討いただきたい。大臣、いかがですか。
  86. 岸信夫

    岸国務大臣 沖縄防衛局は、受託業者から録音データの識別を終えて整理した結果の提出を受けておりますが、当該業務の契約において、録音データの提出を受けることにはなっておらず、沖縄防衛局が保管するものではないために、録音データを提出することは考えていないところでございます。
  87. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 いえいえ、大臣、違いますよ。ちゃんとチェックしてください。音声データの提供を受ける契約にはなっていないと。ところが、契約関係書類を見ますと、防衛省が途中段階までの成果物の提出を求めた場合には受注者はその指示に従う、このように明記されているわけですよ。防衛省が求めさえすれば提出はできるはずであります。  環境に配慮しているということを、言葉だけでなくぜひ行動で示していただきたいということを、大臣、強く要望いたします。契約書で皆さんが求めれば提出できるんですよ。それをやはり大臣の決意で出すように、ちゃんと指示していただくようにお願いをしたいと思います。  次に、ジュゴンの姿が確認されなくなったことと工事との因果関係についてでありますが、これまで防衛省は、ジュゴンが確認されなくなった時期は、水中音や振動を発する工事がピークのときほどではなかったことを理由に、工事の影響とは考えられないと説明してきました。ところが、九月八日の環境監視等委員会では、この説明に疑問を呈する発言が相次ぎました。  防衛省が公表した議事録によりますと、委員の一人は、作業による影響とジュゴンの在、不在の間の関連性について、不確実性があって確証はできないと述べております。別の委員は、工事がジュゴンにどう影響を与えるかについては知見は少ないというのが現状である、このように述べております。さらに、別の委員は、余りこの中に考察のようなことを書くと事実関係を正しく言い切れないとして、防衛省が評価を述べた部分を割愛するよう、このように提案しています。  これらの意見は工事の影響を否定する防衛省の見解と矛盾する内容になっていると思いますが、大臣、そういう認識はございますか。
  88. 土本英樹

    土本政府参考人 お答え申し上げます。  今委員指摘の環境監視等委員会における委員の発言につきましては、工事中の環境の実態を把握するための事後調査に関する令和元年度の報告書の案を御説明した際に、形式的な記載ぶりにつきまして、事実関係といわゆる評価、考察が同一の文書内に記載されていることから、より正確な表現となるように、これを区別すべきとの趣旨でいただいたものと承知しております。  御指摘の発言は、環境監視等委員会の委員がジュゴンに対する具体的な工事の影響を認めているものではなく、実際、委員の指導助言内容を反映し、委員の確認を得て提出した報告書におきましては、工事がジュゴンに影響を及ぼしたとは考えにくいとの評価を記載しているところでございます。
  89. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 複数の委員から出された意見というのは、因果関係については、工事が影響があると言ったとは別に言っていないんですよ、私も。不確実性がある、このように言っているわけです。あるいは、そもそもジュゴンに関する知見が少ない、こう言っているわけです。要するに、ジュゴンのことはまだよくわからないのだから、安易に工事の影響はないなどと結論を導き出すべきではない、これが議論の核心部分であったわけです。  それで、今回公表された報告書を見ると、工事の影響とは考えられないとしてきた今までの表現を、考えにくいという表現にトーンダウンさせてはいますけれども、引き続き否定的な見解を示しているわけです。結論を導き出すこと自体ができないと言っているのに、何を根拠に否定的な見解を示し続けているんですか。これは大臣にお願いします。
  90. 土本英樹

    土本政府参考人 お答え申し上げます。  令和元年度事後調査報告書第九章のジュゴンの総合的な評価につきましては、先ほど申し上げましたように、事実と評価、考察を書き分ける観点から修正を行ったものでございます。  その結果、令和元年度も、平成三十年度から継続工事を実施していることから、ジュゴンが定常的に確認されていた時期を上回る影響があったとは言えないと考えているとの当初の表現は、まず、事実の記載といたしまして、令和元年度は、傾斜堤護岸の工事において基礎捨石投入や消波ブロックの設置を行いましたが、上記ピーク時の施工量を上回るものではありませんでしたといたしました。  その上で、評価、考察の記載といたしまして、以上のことから、少なくとも、令和元年度に実施した工事がジュゴンに影響を及ぼしたとは考えにくいとの表現に修正をいたしました。  この修正につきましては、本年九月八日の第二十八回環境監視委員会の終了後、委員長や御意見をいただいた委員等に修正案を御確認いただいた後、同年九月三十日に沖縄県に事後調査報告書を提出いたしておるところでございます。
  91. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 大臣にも伺いますけれども、ただ、今の事務方説明はおかしいですよ。今までもこういう説明をしてきたわけですよ。環境監視等委員会でその説明異議が出てきたわけです。ピーク時の施工量を上回る工事をしていなかったからといって、それを根拠に結論を導き出すことはできないだろう、これが委員の皆さんから出た今回の意見の核心部分ですよ。それを覆すような新たな根拠を示すことができないと思いますよ。  今までは、工事の影響とは考えられない、こういう表現を、考えにくいという表現に変えたのはなぜですか。その違いも説明してくれますか。
  92. 岸信夫

    岸国務大臣 委員の御指摘の点ですが、いずれにいたしましても、環境監視等委員会では、これまでも、航空機や水中録音装置などを用いた調査の結果とジュゴンの行動範囲や行動生態などの知見を総合的に考慮しながら分析、検討をいたしまして、ジュゴンの生息状況を確認していただいているものと承知をしているところでございます。  本事業の実施に当たっては、これまでもジュゴンの影響について適切に配慮して工事を進めてきたところでございますが、引き続いて、環境監視等委員会の指導助言をいただきながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
  93. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 今までの工事の影響はあるかないか、さんざん議論になって、工事の影響は考えられない、ジュゴンがいなくなったことと関連は考えられないと。ところが、環境監視等委員会の中で専門家の人たちのいろいろな意見が出て、表現が、考えにくいという言葉に変わりました。その違いは何かということを聞いたんですが、お答えはありませんでした。  しかし、環境監視等委員会の議論の経過から見ても、皆さんがジュゴンがいなくなったことと工事の影響はないんだという結論の間には大きな疑問と乖離があるということを指摘して、質問を終わりたいと思います。
  94. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、杉本和巳君。
  95. 杉本和巳

    ○杉本委員 維新の杉本和巳であります。  きょうは法案審議ということでありますが、前回の大臣所信で積み残しというか御提言というかあったので、一つだけそれをさせていただいて、法案審議という形に進めさせていただきたいと思います。  まず、新型コロナウイルス、COVID―19、思い起こしていただくと、ことしの一月、中国春節、そして二月に入ってダイヤモンド・プリンセス、そして三月を置いて、四月に緊急事態宣言が発せられるということがありました。夏、八月一日に第二波のピークがあり、そして、昨日ですね、第三波と言われるこの秋のピークなのか、もっと先にピークがまだあるのかわかりませんけれども、第二波を超えるような罹患者数というような状況になっているということで、きょうの新聞では、二千二百三という数字だったり、別の新聞では二千二百八という数字が出ていたりしましたけれども、何が正確なのか、新聞報道もよく確認する必要があるというふうに思います。  そういった大変厳しいコロナウイルスの状況下にあって、もう皆さん十分御案内かと思いますが、防衛省・自衛隊のこの二月にあったダイヤモンド・プリンセスでの対応、罹患者ゼロのオペレーション、これは、国際的に見て、台湾の対応、今も台湾は非常にすばらしい状況にあると思いますけれども、これに匹敵する防衛省・自衛隊の対応、オペレーションであったというふうに私は認識させていただき、多くの方もそう思っていらっしゃると思います。  菅内閣が標榜されているいわゆる縦割り行政の打破という点にもつながるかと思いますけれども、うまくいったことを広く十分認識いただくことがやはりピークを抑え目にするし、今後また第四波と言われるようなピークがあったりする可能性も十分あると思いますので、そういった意味から確認させていただきたいんです。  現行、厚労省や地方自治体あるいはその関連の保健所並びに各地のコロナ取扱病院、医療施設、これは民間病院等も含んで、あるいは民間の介護、保育の施設等も含んで、そういった方々あるいは機関、組織に対して、防衛省・自衛隊のオペレーションのノウハウを共有すべきと感じておりますけれども、そのようなことは実施していただいているかとも聞いておりますけれども、現在、どのような状況にあり、より更にそれを強めるなりしていただけるのかどうか。この点、大事なことだと思いますので、ちょっと確認を大臣からさせていただければと思います。
  96. 岸信夫

    岸国務大臣 今委員から御紹介をいただきましたとおり、自衛隊としては、クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号において、延べ約二千七百名の隊員が乗客等に対する医療支援等を行いました。隊員に一人の感染者も出すことなく、任務を完遂することができました。この背景としては、隊員一人一人が、細やかな手指消毒、またマスクそして感染防護衣の着脱など、基本事項を徹底し、厳しい感染防護基準を満たすしっかりとした防護措置を行った、その結果だと考えておるところです。  委員指摘のとおり、これらの知見や経験を共有するということは大変有用であると考えています。本年四月以降、自治体からの要請に基づいて、三十三の都道府県の延べ二千三百名の自治体職員あるいは医療機関関係者等に対して、手指消毒や感染防護衣の着脱要領などの感染防護に関する教育支援を実施してきております。  また、自衛隊の活動においても、このような知見や経験を生かして、感染防護に万全を期した上で活動を実施しているところでございます。例えば、令和二年七月の豪雨に係る災害派遣活動においても、新型コロナウイルスの市中感染が広がる中で、活動する隊員の日々の健康確認、マスクの着用を徹底し、災害被災者等と隊員が三密の状況にならないように入浴支援や給水支援などを実施することなどによって、一名の感染者も出すことなく、任務を完遂することができました。  防衛省・自衛隊としては、自治体等からのニーズを踏まえて、今後とも、これまで蓄積してきた知見や経験を積極的に共有してまいりたいと思います。
  97. 杉本和巳

    ○杉本委員 御答弁ありがとうございます。  防衛省・自衛隊の存在、憲法上どうなんだとかいろいろ議論もありますけれども、やはりそういったことをしていただくこと、さらに、継続、強化していただくことによってその存在の意義といったものが理解、促進されると思いますので、ぜひ強化、促進、かつ継続をお願いしておきたいと思います。  次に、私も、この安全保障委員会、久々という感じでございますので、改めて勉強しなきゃいけないということで、言葉の難しさというか、きょうは柿沢議員からまた海上の問題というか、米海軍の二〇四五年などの問題について御提言がありましたけれども、単語だけでも、ハイブリッド戦とか超限戦とか智能化戦争、インテリジェントウオーフェアというような、長島先生は十分御存じだと思いますが、私にとっては聞きなれない言葉がやはりこの安全保障の世界にはあるなというふうに思っていますが、そういう一環で今次法案について確認しておきたいと思います。  宇宙、サイバー、電磁波といった領域、あるいはそれらの統合領域といった分野は極めて重要になっていて、村上議員からは宇宙はどうなんだというような質疑もあったかと思うんですけれども、こういった分野、そして、その統合分野について人材を育成、養成するということは喫緊の、急務の課題というふうに私は理解しておりますけれども、防衛省のその現状認識。  現在、陸自の高等工科学校はありますけれども、海自、空自の育成機関は平成二十三年度をもって廃止されているというようなことだと伺いました。こういった海空とか、あるいは宇宙、サイバー、電磁波といった統合領域も含めて、今は陸自だけの高等工科学校でいいのかどうか。海空、あるいはそれ以外の統合領域等のことも踏まえて、機関の再興ないし共同機関の設置等、必要があるのではないかと私は感じておりますけれども、防衛省認識大臣から御答弁いただければと思います。
  98. 岸信夫

    岸国務大臣 今委員指摘の宇宙、サイバー、電磁波といった新しい領域における優位性を確保していくこと、これは、従来の延長線上ではない、真に実効的な防衛力の構築という意味におきまして大変重要である。大綱中期防を踏まえて、この新たな領域における能力の獲得、強化、これを着実に進めていかなければいけませんけれども、そのための人材育成、これは重要な課題だと認識をしております。  宇宙、サイバー、電磁波といった新領域について、部内の教育や米軍への要員の派遣、国内外の留学等により、これを、しっかり人材の育成に努めているところでございますが、その上で、委員指摘人材育成に係る組織等について申し上げますけれども、陸上自衛隊については、技術関係の知識、技能を有する要員を多数確保する必要があるために、一般曹候補生や自衛官候補生の枠組みで入隊した者の中から、技術関係の知識、技能を有する曹や士を育成しているほか、高等工科学校を設置し、技術関係の知識、技能を有する要員を高校生の年代から育成をしているというところでございます。  一方で、海自、空自についてですけれども、一般曹候補生や自衛官候補生の枠組みで入隊した者の中から、技術関係の知識、技能を有する曹や士を育成しているというところでございます。  このように、高等工科学校は陸上自衛隊のみの組織となっていますが、いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊として、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域における人材育成の重要性も踏まえて、優秀な人材をいかに育成していくかについて不断に検討をしてまいりたいと思います。
  99. 杉本和巳

    ○杉本委員 不断に検討いただくということですが、サイバーなんかの分野というかコンピューターの分野というかは、年をとっていくとついていけなくなるという一方で、本当に、小学校、中学校、そのぐらいのときから一種秀でた人があらわれてきている。将棋の世界もそうかもしれないんですけれども。そういった意味で、高等学校というところで陸自はありますけれども、むしろ中学校とかそういうときから本当に人材をつくっていかないと、いわゆる智能化戦争と中国側が言っているような世界で防衛を考えていかなきゃいけない世の中になってきているという意味からは、具体的にやはりこのことも考えていかなきゃいけないということを申し上げさせていただきたいと思います。  次に、今次給与等の引下げに当たり、防衛大臣政策参与という方のことも今法案で諮られているということの中で確認しておきたいんですけれども、防衛省内に三人以内置くことができるというふうにうたわれておるようです。  ちょっと確認ですけれども、岸大臣御就任後、この政策参与というお立場の方の異動などがあったかどうか、現況どうなっているんでしょうかということで、具体的に、どのような方が、どのような御経歴で、何というお名前の方が着任しているのか、ちょっとこの国会の場で確認させていただきたいです。  加えて、大臣が期待されているような役割というのは、もしそういう方々があるとすれば、どんな役割を期待されて今大臣の職にあられるかということを確認させていただければと思います。
  100. 岸信夫

    岸国務大臣 今現在、防衛大臣政策参与につきましては、任命している方はおられません。  この参与は、防衛省の所管における重要な事項について、防衛大臣に対して直接進言をし、意見具申をしていただくための制度である、こういうふうに理解をしております。  今後、制度の趣旨を踏まえつつ、必要に応じて任用については考えてまいりたいと思います。
  101. 杉本和巳

    ○杉本委員 官邸にいろいろそういった方々はたくさんいらっしゃるようなので、過剰に人件費がかかるという点は留意しなきゃいけないかもしれませんが、本当に、我が国の平和と安全、そして領土、領海、領空を守っていただくという意味からは、大臣も十分御見識をお持ちと拝察しておりますけれども、やはり客観的にアドバイスをもらうといったことも考えていただいてもいいのではないかというふうに思います。  最後、ちょっと概観で一言だけ、これは防衛省に御答弁いただきたいんですけれども。一昔前に空自の幹部から施設、宿舎などの老朽化が激しいというようなことを言われているんですが、昨今は大分改修等進んでいるやに聞いていますけれども、自衛隊のアコモデーションの状況について、概観で結構ですので、御答弁いただければと思います。
  102. 岩元達弘

    岩元政府参考人 お答えいたします。  自衛隊の施設、宿舎等の老朽化の問題についての御質問でございます。  自衛隊員がその能力を十分に発揮し、士気高く任務を全うするためには、隊舎、宿舎等の老朽化対策を始めとした生活、勤務環境の改善を推進していくことが重要であると認識しております。  防衛大綱及び中期防において、自衛隊員の生活、勤務環境の改善を最優先事項の一つとしており、これを踏まえまして、毎年度、隊舎、宿舎等の生活、勤務環境施設や老朽化した宿舎の改善を推進しております。  引き続き、自衛隊員の円滑で活発な活動にも資するよう、隊員の生活、勤務環境の改善を推進し、働きやすい環境の整備に取り組んでまいります。
  103. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございます。  もう終わりますが、自衛隊員の募集とか、そういった点からも、アコモデーションについては留意を引き続きいただきたいとお願い申し上げます。  以上です。ありがとうございました。
  104. 若宮健嗣

    若宮委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  105. 若宮健嗣

    若宮委員長 これより討論に入ります。  討論の申出がありますので、順次これを許します。赤嶺政賢君
  106. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、防衛省職員給与法一部改正案に反対の討論を行います。  本法案は、一般職の例に準じて、裁判所職員や国会職員などと同様に、特別職国家公務員である防衛省職員の給与を改定するものです。  人事院は、十月、今年度の一般職国家公務員の期末手当について、年間の〇・〇五月分の引下げを勧告しました。この勧告に沿って、防衛大学校、防衛医科大学校の学生と陸上自衛隊高等工科学校の生徒などの期末手当を一般職と同様に引き下げるものです。  国家公務員全体の給与切下げの一環をなす本法案には反対であることを申し述べ、討論を終わります。
  107. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、杉本和巳君。
  108. 杉本和巳

    ○杉本委員 日本維新の会の杉本和巳です。  私は、我が党、会派を代表して、今次法案について反対の立場から討論いたします。  我が国安全保障環境は、宇宙、サイバー、電磁波といった新領域及びそれらの統合領域が惹起していることもあり、日々厳しさを増し続けております。  その中にあって、国民の皆さんの生命財産と領土、領海、領空を徹底的に断固として守り抜くことは、そして平和を堅持することは、防衛省・自衛隊に課せられた最大の任務、使命であり、かつ極めて難度の高い課題であります。  昨今は少子化が急速に進む社会環境である中、自衛官の人材確保、そして将来自衛隊として活躍しようとする学生や生徒の人材育成、養成や入学を慫慂することは、我が国安全保障上、必達の課題でもあります。  今次法案は、令和二年十月七日の人事院勧告に沿って期末手当を減じようとするものですが、申し上げているように、安全保障環境及び社会環境を鑑みると、一般職の公務員の取扱いに準じて防衛省関連の大学や高校の学生生徒の手当等を減じることは妥当ではないものと思料されます。むしろ、一般職職員と将来の我が国防衛を担う有為の人材を分けて措置することが妥当であると思料されます。  よって、今次法案を首肯することは適切ではないのであります。  以上申し上げた理由から、ひっきょう、今次法案には日本維新の会及び会派は反対いたします。
  109. 若宮健嗣

    若宮委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  110. 若宮健嗣

    若宮委員長 これより採決に入ります。  内閣提出防衛省職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  111. 若宮健嗣

    若宮委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 若宮健嗣

    若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  113. 若宮健嗣

    若宮委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十八分散