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2020-11-19 第203回国会 衆議院 安全保障委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
令和
二年十一月十九日(木曜日) 午前九時一分
開議
出席委員
委員長
若宮
健嗣君
理事
小田原 潔君
理事
大塚 拓君
理事
長島 昭久君
理事
宮澤 博行君
理事
山本ともひろ君
理事
重徳 和彦君
理事
村上 史好君
理事
遠山 清彦君 岩田 和親君 江渡 聡徳君 大岡 敏孝君
大西
宏幸
君
大野敬太郎
君 門山
宏哲
君 北村
誠吾
君
工藤
彰三
君 塩谷 立君
鈴木
貴子
君 中谷 元君
西銘恒三郎
君 原田 憲治君 山下 貴司君 渡辺 孝一君
柿沢
未途君 篠原 豪君 照屋
寛徳
君 本多
平直
君 屋良 朝博君 佐藤 茂樹君 赤嶺
政賢君
杉本 和巳君 …………………………………
防衛大臣
岸 信夫君 外務副
大臣
鷲尾英一郎
君
防衛
副
大臣
中山 泰秀君
防衛大臣政務官
大西
宏幸
君
防衛大臣政務官
松川 るい君
政府参考人
(
防衛省大臣官房長
)
芹澤
清君
政府参考人
(
防衛省大臣官房審議官
)
村岡
猛君
政府参考人
(
防衛省大臣官房審議官
)
岩元
達弘
君
政府参考人
(
防衛省防衛政策局長
) 岡 真臣君
政府参考人
(
防衛省整備計画局長
)
土本
英樹
君
政府参考人
(
防衛省地方協力局長
)
鈴木
敦夫
君
政府参考人
(
防衛省統合幕僚監部総括官
)
加野
幸司
君
安全保障委員会専門員
奥 克彦君 ――
―――――――――――
委員
の異動 十一月十九日
辞任
補欠選任
大野敬太郎
君
工藤
彰三
君 同日
辞任
補欠選任
工藤
彰三
君
鈴木
貴子
君 同日
辞任
補欠選任
鈴木
貴子
君
大野敬太郎
君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
防衛省
の
職員
の
給与等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第七号) ――――◇―――――
若宮健嗣
1
○
若宮委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
防衛省
の
職員
の
給与等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。 この際、お諮りいたします。
本案審査
のため、本日、
政府参考人
として
防衛省大臣官房長芹澤清
君、
防衛省大臣官房審議官村岡猛
君、
防衛省大臣官房審議官岩元達弘
君、
防衛省防衛政策局長岡真臣
君、
防衛省整備計画局長土本英樹
君、
防衛省地方協力局長鈴木敦夫
君、
防衛省統合幕僚監部総括官加野幸司
君の
出席
を求め、
説明
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
若宮健嗣
2
○
若宮委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――
―――――――――――
若宮健嗣
3
○
若宮委員長
これより
質疑
に入ります。
質疑
の申出がありますので、順次これを許します。
柿沢
未途君。
柿沢未途
4
○
柿沢委員
おはようございます。
柿沢
未途でございます。 冒頭、
岸大臣
と御
質疑
させていただくのはこれが初めてでございますので、改めて、
防衛大臣
御就任おめでとうございます。また、大きな御期待を申し上げております。 きょうは
法案審議
でございますが、
法案審議
の本論は
同僚議員
にお任せをいたしまして、私
自身
の
問題意識
に基づく
質疑
を行わせていただきたいというふうに思っております。 また、
大変僣越
なんですけれども、
岸大臣
に私の著書を後ほど御贈呈させていただきたいと思っておりまして、ここにもちょっと書いた
内容
をやるものですから、別に宣伝で言っているわけではありませんので、御了承いただきたいというふうに思います。
アメリカ
の
マーク・エスパー国防長官
、
大統領選挙
の直後に首になってしまいましたが、この
エスパー国防長官
が、
民間シンクタンク
、
CSBA
、
戦略予算評価研究所
、この十月六日の
講演
で、二〇四五年における
アメリカ海軍
の姿を示す
バトルフォース
二〇四五、こういう
構想
を公表しております。 これは、従来
計画
と大きな
転換
をしている、こうした
特徴
があります。従来
計画
では、
戦闘艦艇
の総数として、今の二百九十三隻
体制
から三百五十五隻
体制
にする、こういうことが従来
計画
では示されていたんですけれども、今回の
バトルフォース
二〇四五では、これを大幅に上回る五百隻以上の
戦闘艦艇数
を二〇四五年までに目指すとしている。その上で、従来
計画
の三百五十五隻の
体制
を二〇三五年までに達成する、こうした目標を掲げています。 この
背景
にあるのは、言うまでもなく、
中国
の
海軍
の、
海軍力
の大幅な、著しい伸長があるわけであります。
中国海軍
の
近代化
は猛烈な
スピード
で進んでいて、また、高い
経済成長率
を
背景
として、
国防費
の伸びでは、
海軍力
は大幅に
増強
されております。
中国軍事力
に関する
アメリカ
の
国防総省
の
報告書
では、今や
中国
の
戦闘艦艇数
は既に約三百五十隻に達していて、二百九十三隻
体制
の
アメリカ
を抜いて
世界最大
の
海軍国
になっているということであります。 一方の
アメリカ
ですけれども、かつて、一九五〇年代では
戦闘艦艇数
が千隻を超えるような比類なき
海軍大国
でありましたが、冷戦後の一九九〇年代には三百隻台に
低下
して、そして、二〇〇三年以降は三百隻を割り込むようになって、二百九十三隻
体制
ということで今推移しているわけであります。
国防総省自身
が、
アメリカ
の
中国海軍
に対する優位は既に失われているということを
報告書
で認めているわけであります。 こうした中で出てきたのが
バトルフォース
二〇四五なわけですけれども、これは
エスパー国防長官
が
トランプ大統領
に首になったからといっていきなりうやむやになるようなそうした
構想
ではないというふうに思います。
CSBA
では、例えば
統合エアシーバトル
とか、こうした
作戦
、
戦術構想
がこれまでも示されてきた場となってきているわけでありますので、これからの
アメリカ海軍
の全体
方針
というものをあらわしているものだというふうに思います。 この
バトルフォース
二〇四五の
内容
について
政府
がどのように把握しているかということについて、まず
事務方
にお
伺い
したいと思います。
岡真臣
5
○
岡政府参考人
お答え申し上げます。
委員
から御
指摘
がございましたとおり、本年十月に当時の
エスパー国防長官
が
CSBA
で行った演説の中で、この
バトルフォース
二〇四五と呼ばれる新たな
艦隊構想
の概要を発表したわけでございますけれども、この
構想
につきまして、
エスパー長官
の
講演
の中での
説明
からいたしますと、特に、これも御
指摘
がございましたが、
中国軍
の
近代化
への
対応
、これを念頭に置いた
検討
がなされたものであるということ、そして、
米海軍
は、
無人
のものを含めて五百隻以上の
艦艇
によるバランスのとれた
艦隊構成
を目指すことや、将来の
艦隊
は決定的な
攻撃力
の
分散
や高強度の紛争における
残存性
などの
運用特性
を備えるものとなるといったことが示されているというふうに
承知
しております。 その
艦隊
の
特徴
というところにつきましては、
潜水艦部隊
の
増強
、あるいは
航空団
や軽
空母
を含めた
空母
の活用、
無人艦艇
や、
有人
と
無人
のいずれかの
運用形態
を選択できる
艦艇
の
導入
、より多くの
小型
の
水上戦闘艦艇
の
導入
といった
考え方
が挙げられているというふうに
承知
をしているところでございます。
インド太平洋地域
の
安全保障環境
が一層厳しさを増す
状況
にある中で、
地域
の平和と安定にとって
米国
の
抑止力
は不可欠でございまして、
海軍
の
艦隊構想
を含む
米軍
の
戦力整備
の
動向
について、引き続き注目してまいりたいと考えているところでございます。
柿沢未途
6
○
柿沢委員
まさしく今
局長
から御
答弁
をいただいたとおりなんですけれども、
日本
は
アメリカ
の
同盟国
であり、まさに
インド太平洋地域
の
安全保障
の大きな
役割
を今や担う、そうした国でもあるわけであります。そして、
アメリカ海軍
の
動向
というものは、
海洋国家
である
日本
の
安全保障
にまさしく直結をしているわけであります。 そうした
意味
で、ここは
基本認識
を
大臣
にお
伺い
をしたいと思いますが、こうした
アメリカ海軍
の長期的な
戦力構築
の
計画
、その
転換
が
我が国
に及ぼす影響というものをどのように見ているか、お
伺い
したいと思います。
岸信夫
7
○
岸国務大臣
御質問ありがとうございます。 まず、御本をいただけるということで、しっかり読ませていただいて
参考
にさせていただければと思います。 今
委員
御
指摘
の
バトルフォース
二〇四五についてですけれども、まだこれは
構想段階
のものでありまして、今後、
米政府
の中で更にさまざまな
検討
が行われるもの、こういうふうに
承知
をしているところでございますが、その上で、
日米
間では、二〇一九年四月のいわゆる2プラス2を始め、累次の機会に、
防衛大綱
と
米国
の
国防戦略
、
国家防衛戦略
の
整合性
を確認をして、その上で、
日米同盟
の
抑止力
、
対処力
を、一層の
強化
に努めてきた、こういうところがございます。 そして、この
バトルフォース
二〇四五は、
米国
の
国家防衛戦略
で示された
方針
のもとで、
国家
間の
競争
が顕在化する中で、この
競争
に勝ち抜いていくために、
米国
が、
米軍
が
戦力
を適合させていくための
取組
である、こういうふうに理解をしております。 今後の
検討
の進捗をしっかり注視してまいりたいと思いますが、
防衛省
としては、引き続き、
米国
と緊密に連携をして
日米同盟
の
抑止力
、
対処力
を
強化
していきたい、こういうふうに思っています。
柿沢未途
8
○
柿沢委員
御
答弁
ありがとうございます。 いわゆる
接近阻止
、
領域拒否
、A2
AD能力
の
向上
によって、
アメリカ海軍
にとっては、
正規空母
、また
強襲揚陸艦
、また
大型水上艦艇
、巡洋艦とか
イージス艦
ですね、こういうものが
中国
の
攻撃能力
によって
脆弱性
にさらされるのが
アメリカ海軍
の一番の今や懸案となり始めているわけであります。大きな
正規空母
を抱えていても
空母キラー
で一発でやられる、こういう
リスク
が実際に
中国
の
能力増強
によって高まってきているわけであります。 そういう
意味
では、
空母
というのは
アメリカ海軍
のパワープロジェクションの中核になるものですけれども、今申し上げたように、
空母打撃群
、そして
遠征打撃群
、こういうもので密集して、そして
艦隊運用
をされることになるわけですので、敵から発見されて
攻撃
を受けやすく、また、被害を受けて機能を喪失すれば致命的な
戦力低下
につながる、こういうことがまさに
懸念
をされているわけです。 そして、
潜水艦
の
能力
、
戦力
の
低下
も大きな
懸念
の一つでありまして、二〇二〇年代の終わりにかけて、
攻撃型原潜
、SSNが、二〇一六年ごろの五十七隻から、
最悪
で四十一隻まで
減少
が見込まれている。つまり、
新型
の
バージニア級
が旧型の
ロサンゼルス級
をリプレースする、その退役の
スピード
に建造が追いつかない、こういうことで
潜水艦
の数が減っていくということが
指摘
をされています。 片や
中国
は、この間、性能はともあれ、七十から八十隻の
潜水艦
の大
艦隊
を構築すると見られていて、まさに
攻撃型原潜
が
中国
のA2
AD能力
を打ち砕くこうした
戦力
であることを考えると、この
海洋領域
における事態は私は深刻になっているというふうに思います。 このため、
統合エアシーバトル
とか、また
統合作戦アクセス
といった
構想
が
米軍
全体として示されて、
アメリカ海軍
としても、
攻撃力分散構想
、後にDMOになる、こうした
構想
が示されてきた。敵に発見されにくく、そして
攻撃
を受けにくい比較的
小型
の艦に高い
攻撃力
を持たせて、そして、
分散運用
をしてA2
AD能力
の
脅威
を克服する、こういう
考え方
が示されるに至ったということであります。 この
バトルフォース
二〇四五では、
攻撃型原潜
を七十から八十隻に大幅かつ迅速に
増強
する
方向性
が打ち出されていて、これは、計算すると、これから
バージニア級原潜
を毎年三隻ずつ建造し始める、こういうことになる、これぐらい急ピッチでの
潜水艦戦力
の
増強
が今打ち出されているわけです。
正規空母
も、今の十一隻から、場合によっては八隻
体制
にこの
正規空母
が減らされる、これはまさに
時代
の大きな
転換
になり得るものだと思います。そのかわりに、
短距離離陸垂直離着陸
、
STOVL機
を
搭載
した軽
空母
、
ライトキャリア
を、また、
新型強襲揚陸艦
の
アメリカ級
、こうしたもの、今、第一号機というか第一
号艦
は佐世保にあるわけですけれども、十二機程度のF35Bを
搭載
したこうした軽
空母等
について
増強
する、これが六隻
配備
をされるということが想定をされています。 また、
水上戦闘艦
についても、
小型
のものが今五十二隻の
計画
ですけれども、それが六十から七十隻の
体制
にやはり上乗せされるということで、
アメリカ海軍
は、その始まりとして、
新型
の
誘導ミサイルフリゲート艦
の九隻の調達を含めて、五十六億ドルの契約を既に行っています。
攻撃型原潜
の数をふやして、
小型
の
水上戦闘艦
や、また、後ほどお話ししますけれども、
無人
の
艦艇
、
無人機
、こうした数をふやすというのは、まさに先ほど申し上げた
分散運用
の形によって
中国
のA2
AD能力
に対抗するためということであります。これはまさに、今の
中国
のいわば
脅威
に対する
対処
の方法の
転換
を示しているというふうに思います。 私は、どちらかというと
エネルギー政策
を
専門
にしていまして、
自然エネルギー
一〇〇%、RE一〇〇の
日本
をつくるということを言っているんですけれども、三・一一以降、原発や
大型火力
のような大
規模集中電源
が一発でダウンすると、やはり
リスク
が大きい、
首都圏
がブラックアウトしかねない、こういうことで、
分散
型の、ネットワーク化した
エネルギー供給
の
体制
、これを
自然エネルギー
で提供するということが、災害や、あるいは有事における
リスク
に対するレジリエンスになるということを、私
自身
もいろいろと発言をさせていただいてまいりました。 戦争においても
軍事
においても、今や同じことが言えて、大きなものをどおんということではなくて、むしろ、小回りがきいて、なおかつ
攻撃力
が高い、こうしたものを
分散
的に運用するということがまさにトレンドになりつつあるわけです。しからば、
アメリカ海軍
の
作戦
、
戦術構想
、
戦力構築構想
の変化に対して
我が国
はどうなのかということをちょっとお
伺い
をしたいというふうに思うんです。 現行の
防衛大綱
の
別表
によれば、
海上自衛隊
が目指す
護衛艦
の数は、
イージス護衛艦
八隻を含めて五十四隻、
潜水艦
は二十二隻、こういうことであります。もっとも、
イージス・アショア
の
配備撤回
に伴って、その
代替
として
新型イージス艦
を二隻ふやす、こういうことになっていますので、本年内にはこれを踏まえた
防衛大綱
の
小幅改定
が見込まれていると思いますが、
別表
の
内容
としては、
イージス
十隻を含む
護衛艦
で五十六隻、そして
潜水艦
二十二隻ということになるのだろうというふうに思います。 ただ、
防衛大綱
の
別表
で
護衛艦
の数を規定するこの
やり方
に、私は、今若干問題が生じているのではないかというふうに思います。
護衛艦
といっても非常に今多岐にわたっていて、それは「いずも」や「ひ
ゅうが
」のようなものもあれば、先ほど申し上げたような
ミサイルフリゲート艦
、三千九百トン
護衛艦
みたいなものもあるわけですね。
大型
から
小型
のものまで、一律にこれを
護衛艦
ということで数を規定しているものですから、これは、運用する側の
防衛省
あるいは
海上自衛隊
の思考としては、数の上限に定めがあるんだったら、個々の艦の
規模
を大きくして
艦隊
の充実を図ろうということにどうしても傾きがちだと思うんですね。 ですから、
中国
のA2
AD
の
対応
を想定した、
小型
で
攻撃力
の高いそうした艦を多数
分散運用
するという、この
攻撃力分散
の発想がなかなか採用されにくい、こういうことになっているのではないかと思います。 結局のところ、海自の
戦力構成
は、
別表
の結果として、どうしても
大型艦重視
になりがちではないかと思います。例えば、
ヘリ搭載護衛艦
、
イージス
、そして
汎用護衛艦
、こういうものであります。私は、言っちゃなんですけれども、その象徴が「いずも」であり、「ひ
ゅうが
」だと思うんですね。 そういう
意味
では、この
護衛艦
を一くくりにして、そして
別表
に示すという
やり方
によって、残念ながら、
アメリカ海軍
の
構想
に対して、
海上自衛隊
の今の
あり方
、あるいは将来の
方向性
というものに乖離が生じ始めてしまっているのではないか、こういう
懸念
を持っております。 ですから、
日本
の
海上自衛隊
も、せっかく
防衛大綱
を小幅にせよ改定するこうした
タイミング
があるわけですから、
小幅改定
に終わらせずに、こうした
構想
を取り込んだ、より
小型
で
攻撃力
の高いこうした
艦艇
を
導入
する、多数
導入
する、こうした
方向性
を示していくべきときではないかというふうに思います。お
伺い
したいと思いますので、御
答弁
お願いします。
岸信夫
9
○
岸国務大臣
まず、
イージス・アショア
の
代替案
についてでございますけれども、現在のところ、
移動式
の
洋上プラットホーム
に
搭載
をするという
方向
で、
米政府
や
日米
の
民間業者
を始め、あるべき方策を取りまとめるべく鋭意
検討
をしているというところでございます。 その上で、
防衛大綱
及び
中期防
の
見直し
についても、現時点では決まっていない、予断を持ってお答えすることは差し控えたいというふうに思っております。 その上で、
我が国
を取り巻く
安全保障環境
は非常に厳しさを増している中で、
海上自衛隊
としては、現
大綱
に基づいた
護衛艦
五十四隻
体制
への
増勢
を進めております。また、この
増勢
に向けて、多様な
任務
への
対応能力
の
向上
と船体の
コンパクト化
、
省人化
を両立させた
新型護衛艦
、いわゆる
FFM
を今
中期防期間
中において十隻取得する
予定
でございます。 また、現
大綱
に基づいて、
警戒監視
に特化した
哨戒艦
を十二隻整備する
予定
であります。このほか、
我が国周辺海域
の
水中
における
情報収集
、
警戒監視
、
哨戒
及び
防衛
を有効に行うために、
潜水艦
二十二隻に
増勢
するということでございます。
柿沢未途
10
○
柿沢委員
今、
FFM
の話がありましたが、三千九百トン
型護衛艦
という、
小型
の
護衛艦
ということで、
フリゲート艦
でありますが、一部の
指摘
には、
アメリカ
でどちらかというとうまくいかなかったというふうに見られている
沿海域戦闘艦
、LCSを
参考
にして
構想
しているために、これはミサイルフリゲートというようなものではなくて、むしろ
平時
の
警戒監視
に当たる汎用的な
護衛艦
ということで
位置づけ
られているわけです。
アメリカ
の
構想
を見ますと、どちらかというと、こういう
小型
の
護衛艦
に、ある種、全面での
分散型攻撃力
を持たせる、こういうことで進められているようでありまして、いわば
日本
の
フリゲート艦
は
平時
の
ローエンド対応
に対して、こちらはハイエンドのまさに
対応
ということで、
位置づけ
が大分違うということが言われております。 また、
潜水艦
に関してでございますが、これはちょっと御
答弁
をお願いしたいと思いますけれども、今、二十二隻にふやすという話はありましたが、今、
最悪
四十一隻まで減るかもしれないという
アメリカ
が、今から七十から八十隻という
体制
に上げていくわけですね。今の
タイミング
で、
日本
がその二十二隻の数で所要に足りるのかということについてはアセスメントを行うべきではないかと思います。 また、
潜水艦
の
位置づけ
というか、先ほどの話でいえば、
分散攻撃力
の中でどのような
役割
を持たせるのかということについての
研究
も必要ではないかと思います。 この
潜水艦
の
体制
について、今後、
アメリカ
の
海軍
の
構想
を踏まえてどのように考えていくのか、お
伺い
します。
岸信夫
11
○
岸国務大臣
現在のこの
安全保障環境
のもと、
我が国周辺
の
海域
の
水中
における
情報収集
、
警戒監視
、
哨戒
、
防衛
を有効に行うための
潜水艦部隊
の
増強
というものは不可欠である、このように考えております。
防衛省
としては、
防衛大綱
で定められましたこの
潜水艦
二十二隻の
体制
の、まず
早期
の完成に向けて引き続き進んでまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。 先般、十月十四日に
命名式
、
進水式
が行われました二十九年度の
計画
の
潜水艦
の「
たいげい
」という
潜水艦
が
令和
三年度末に
就役予定
でございますので、これをもって
潜水艦
二十二隻
体制
が実現するという見込みになっております。
柿沢未途
12
○
柿沢委員
次に、
無人
又は
無人
有人
切りかえ可能な
艦艇
の
導入
についてお
伺い
をしたいと思います。 これは、
バトルフォース
二〇四五でも非常にメーンのポイントとして掲げられているところであります。そのための
実験艇
として、
アメリカ海軍
はシーハンターと呼ばれる
無人
の
水上艇
の
実験
を始めております。 航空機においても、やはり
戦闘行動半径
の長い
無人機
、例えば、
戦闘機
、
空中給油機
、あるいは
早期警戒機
、そして
電子攻撃機
、こうしたものの
無人機
を
導入
する必要がある、こういうこともあわせて示されております。
日本
としても、こうした
水上
の
無人艇
、
無人艦船
あるいは
無人機
を含めて、もっと多くの
無人機
あるいは
無人
有人
切りかえの
艦艇
というものを
導入
していくべきではないかと思うんです。 元来、
海上自衛隊
は、
少子高齢化
の上に、
人材リクルート
の面でも大変重い課題を抱えていて、
イージス艦
を二隻ふやすといっても
人材確保
をどうするのかといって頭を抱えているようなそんな
状況
だと
承知
しております。 そういう
意味
では、
海上自衛隊
こそ、この
攻撃力分散
の
構想
、
バトルフォース
二〇四五の
アメリカ
の
方向性
を先取りして、
艦艇
の
無人化
、
無人
有人
切りかえ
艦艇
の
導入
、そして
省力化
、
省人化
ということを追求していくべきであると思いますが、残念ながら、今の
海上自衛隊
にそうした
方向性
を大きく見出すのは難しい現状にあるのではないかと思います。ここにおいても、
防衛大綱
を小幅といいながら改定するわけですから、ぜひ打ち出していくべきではないかと思いますが、
大臣
の御所見を
伺い
ます。
岸信夫
13
○
岸国務大臣
繰り返しになりますけれども、
大綱
と
中期防
の
見直し
ということについては、何も決まったものではございませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、現在の
我が国
の
人口減少
という
状況
、それから最近の情勢の中で、
警戒監視活動等
の
各種任務
が
長期化
をしてくる中で、
無人装備
の
重要性
というものは一層高まっている、こういうふうに
認識
をしております。
海上自衛隊
においては、広大な
海域
、
我が国
の
周辺
の
海域
における常続
監視体制
を
強化
し、そして、
海上自衛隊
が現有する
有人
のヘリコプター、例えばSH60Kなどのパイロットの負担を軽減するために、その
代替
として、艦載型の
無人機
を、
今期
中、
今期
の
中期防
の
期間
において三機
取得予定
でございます。 そのほかに、
太平洋
の広域における
洋上監視能力
の
強化
の観点から、滞空型の
無人機
の
導入
について
検討
していくとしております。 また、
無人
の
水中
航走体、いわゆる
UUV
については、隊員を危険にさらすことなく、
警戒監視
、
海洋観測等
の多様な
任務
に
対応
可能なこの
UUV
に必要な技術の
研究
について、
令和
元年度から着手をしたところでございます。
防衛省
としては、限られた
人材
を最大限有用、有効に活用して
防衛力
を最大化していく、そのためにも、今後とも
無人化
の、あるいは
省人化
の
取組
を推進していきたいと考えております。
柿沢未途
14
○
柿沢委員
御
答弁
ありがとうございます。 ぜひ
別表
の
あり方
について
見直し
を考えていただきたいと思います。今の、
護衛艦
というので十把一からげにしている、その
状況
は、言うなれば戦車やダンプカーと軽自動車を一緒のカテゴリーとして示しているというような、こういうことになっていると思うんですね。正直言って
時代
に合わないというふうに思いますし、それが
戦力構想
、
体制整備
の、ある
意味
では足かせというか邪魔になってしまっているのだとすれば、これは
時代
に合わせた
見直し
をやはり
検討
すべきではないかと思います。それを最後に申し上げておきます。 台湾についてお
伺い
をいたします。 台湾については、
岸大臣
も、大変国会でも随一のそうした交流をされておられる方だというふうに
承知
をいたしております。私も十二月に、超党派の訪問団で、昨年台湾を訪問してきたんですけれども、そのときにゴショウショウ、ジョセフ・ウー外交部長からいただいた御提言というか宿題についてお
伺い
をさせていただきたいと思います。 今、
アメリカ
大統領選挙
の後の混乱した
状況
が続いているわけですけれども、これに乗じて
中国
が台湾を武力で脅かすかもしれないということをゴショウショウ外交部長
自身
が具体的に言及をしているような状態です。万が一にも台湾有事となれば、
日本
にとっては他人事ではありません。そういう
意味
で、昨今の
中国
の台湾
周辺
における活動
状況
を
日本
政府
としてどう評価しているか。 また、第一列島線の延長線上に台湾もあれば
日本
列島もあるわけであります。勝手にこんな線を引かれて大変迷惑なわけですけれども。しかし、台湾で有事となれば、これは
日本
にとって極めて影響が大きい、あるいはみずからの
安全保障
に直結する事態になるわけです。そもそも台湾有事を想定して当初の
周辺
事態法は制定をされているわけでありまして、これはもちろん重要影響事態に認定され得ることになるというふうに思います。 ここについて、ぜひ
大臣
の御
答弁
、また明言をしていただきたいと思います。
岸信夫
15
○
岸国務大臣
ジョセフ・ウーの発言については
承知
をしているところでございますが、台湾有事といった仮定の御質問にはなかなかお答えすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げます。
中国
が最近台湾
周辺
の海空域において
軍事
活動を活発化させている。例えば、本年四月には
空母
遼寧などを含む
中国軍
の
艦艇
がバシー海峡を経て南シナ海において訓練を実施していた。またそのほか、本年二月、八月、九月には、
中国軍
機が台湾海峡の中間線を越えて台湾側に侵入していたということも
承知
をしております。 近年、
中国
が
軍事
力を
強化
させている中で、中台の
軍事
バランスは全体として
中国
側に有利な
方向
に変化をしている、そして、その差というものがどんどん毎年広がってきているという厳しい
状況
になっているということでございます。 そういう
意味
で、
防衛省
としても引き続きこの関連
動向
というものを注視してまいりたい、こういうふうに思います。 そして、今台湾有事となれば重要影響事態になるかという御質問がございました。これも、この重要影響事態というものについて、
政府
が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断するということになっておりますので、一概に述べるということは困難でありますが、その判断要素について申し上げるならば、実際に武力紛争が発生し又は差し迫っている等の場合において、個別具体的な
状況
に即して、主に、当事者の意思、
能力
、事態の発生場所、事態の
規模
、態様、推移を始めとして、当該事態に対する
日米
安保条約の目的の達成に寄与する活動を行う
米軍
その他の外国軍が行っている活動の
内容
等の要素を総合的に考慮して、
我が国
に戦禍が及ぶ可能性、国民に及ぶ被害等の影響の
重要性
などから客観的、合理的に判断をするということになると考えておるところでございます。
柿沢未途
16
○
柿沢委員
こういう御
答弁
をせざるを得ないのは
承知
をしておりますが、ここは
岸大臣
のお心のうちを表情から読み取るべきなのかなと思って、残念ながらマスクで半分隠れてしまっているので若干読み取りにくい部分もありますが、私は読み取ったつもりでおります。 台湾の側も、蔡英文総統みずからが、
日本
との間で
安全保障
の実務における対話を高めたいということを語っておられます。しかるに、
日本
政府
は、
安全保障
の面で台湾と対話をする、こういう意向を持っているのかどうかということをお
伺い
をしたいと思うんですね。 まさに同じ
海域
、そして、第一列島線と
位置づけ
られて、ある
意味
では共通の戦略的利害を抱え、また
脅威
に直面していると言ってもいいこの台湾との間で、はっきり言えば、ミリミリで何かを情報共有するとかそうしたことが今できているのかといえば、私はできていないというふうに言わざるを得ないと思います。これで、仮に、万が一、もしかして有事になってしまった場合、本当に的確な事態
対処
が、台湾も
日本
もそして
アメリカ
もできるのかということを
懸念
をしております。 この点について、
大臣
、もう一度御
答弁
をいただきたいと思います。
岸信夫
17
○
岸国務大臣
昨今、南シナ海や東シナ海での
中国
の、
中国軍
の活動が非常に活発化をしている、そして台湾は、その南シナ海、東シナ海の結節点に位置しているわけですから、当然、そういう
意味
で、この
地域
全体の
安全保障
の
状況
、これは非常に我々も注視をしているところでございます。 一方で、台湾は、
我が国
にとって、自由や民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有している、緊密な人的往来、そして経済関係を有しています極めて重要なパートナーという
位置づけ
であります。そして、大切な友人でもあるところです。 その上で、
我が国
の台湾に対する基本的立場というものが、一九七二年の日中共同声明にあるとおり、台湾との関係を非
政府
間の実務関係として維持していくということで一貫をしているということでございます。 御
指摘
の点を含めて、台湾との関係については、
防衛省
・自衛隊としてもこうした立場に基づいて適切に
対処
をしてまいりたい、こういうふうに思います。
柿沢未途
18
○
柿沢委員
表情から読み取らせていただきました。 言うまでもなく、
アメリカ
は、台湾関係法というのがあるわけですね。兵器の供与なりあるいは訓練なりを、それに基づいて台湾との間で行ったりしているわけですが、ここの二条に、同
地域
、台湾の平和と安定は、合衆国の政治、
安全保障
及び経済的利益に合致し、国際的な関心事であることを宣言する、こういうふうに書かれていて、これが台湾との協力、あるいはさまざまなパートナーシップといいますか、こうしたものの根拠になっているわけですね。 この
認識
は、
岸大臣
、政治家としてもお
伺い
したいと思うんですけれども、共有しているかということについてお
伺い
したいと思います。
岸信夫
19
○
岸国務大臣
米国
の場合は、国連において
中国
を承認、台湾と断交したところで、関係法というものを一方で国内法として設けたわけであります。
日本
の場合はその
状況
がちょっと違ったと思うんですけれども、今、いわゆる台湾関係法というような、あるいはそれに相当するような
法律
というものは有していない。そういう
意味
では、台湾に対する関係という
意味
においては、
米国
と台湾の関係、あるいは
日本
の
状況
、これは違うものだということは思っています。 ただ、台湾をめぐる、あるいは
地域
の情勢ですね、そういった
状況
については、
米国
とは常にすり合わせを行っており、
認識
としては共有をしている、こういうふうに考えております。
柿沢未途
20
○
柿沢委員
御
答弁
ありがとうございました。 冒頭御紹介申し上げました私の本でも、台湾を重視せよという、この一章を設けさせていただいております。これは、かなり切迫した、いつ起こるかわからない
リスク
であり、危機だと思います。その
状況
下において、公式見解だけを唱え続けていて本当に事態に的確に
対処
できるのか、その点を私は大変気になっております。 もちろん、ここでは、表で
答弁
できないようなさまざまな水面下でのお
取組
があるものと
承知
をしておりますけれども、ぜひそこを、むしろ
日本
の姿勢として表に出してでも示していくということが今や求められつつあるのではないか、こうした
認識
を披瀝をさせていただいて、私の質問は終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
若宮健嗣
21
○
若宮委員長
次に、村上史好君。
村上史好
22
○村上(史)
委員
立憲民主党の村上史好でございます。 まずは、
岸大臣
、御就任おめでとうございます。今後の御活躍を期待をしたいと思います。 きょうは、初めての
質疑
ということで、
法案審議
を中心に、あわせて、
岸大臣
の
安全保障
にかかわるさまざまな問題について基本的な
認識
をお
伺い
をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 それでは、上程をされております給与法改正案について、まずお
伺い
をさせていただきたいと思います。 私も久しぶりに
安全保障
委員
会に籍を置いたわけでございますけれども、いろいろな、必要に応じて、
防衛省
職員
給与法改正案というものはその都度出されてまいります。また、そのときに、毎回のように、自衛隊の充足率はどうなんだとか、今の募集
状況
はどうなんだということを聞いてまいりました。 前回も同じようにお聞きしたと思いますけれども、前回からはどのような
取組
をなされたのか、そしてどのような改善があったのか、まず御
説明
をいただきたいと思います。
岸信夫
23
○
岸国務大臣
自衛隊の募集、また充足率等々について御質問がございました。 平成二十七年度から三十年度にかけては、入隊者が採用
計画
数を下回っておりました。
令和
元年度においては、採用
計画
数を上回る入隊者を確保しているというような
状況
でございます。 他方で、自衛官の採用については、少子化による採用対象の人口の
減少
、高学歴化によって厳しい
状況
というものは続いている、こう
認識
をしているわけでございます。 充足率の方は、
令和
元年度末時点で九二%であります。これは、おおむね、近年と比べても横ばいというような
状況
になっております。 これらを踏まえて、
防衛省
・自衛隊としては、自衛隊の充足を
向上
するためにさまざまな施策をとっておるわけですけれども、隊員の採用、流出防止、そして有効活用に関する総合的な
取組
という形で考えてきていることでございます。 具体的には、例えば、より多くの若者が目にするSNS等を活用した積極的な採用広報の展開、地方公共団体や関係各機関等との連携の
強化
など、採用に係る
取組
を
強化
するとともに、隊員の生活、勤務環境の改善、女性自衛官の活躍推進、ワーク・ライフ・バランスの推進、処遇の改善、ハラスメント防止、メンタルヘルスの施策の推進、こういったことで自衛隊の魅力の
向上
を図りつつ、
人材
の流出を抑えてきているところでございます。そして、定年の引上げそして再任用の拡大等によって即
戦力
となる
人材
を有効活用していく、こういった
取組
を今推進しているところでございます。
村上史好
24
○村上(史)
委員
ありがとうございます。 今
大臣
が言われましたように、本当に、人員の確保また
人材
の養成、確保というのが喫緊の課題だという
認識
のもとに、いろいろな
取組
をされてきたと思います。そういう
意味
での努力には評価をさせていただきたいと思いますけれども、まだまだやらなければならない課題があると思います。 やはり、自衛隊員の待遇をよりよくしていく中で、魅力のある職場として国民にアピールをする。あるいは、自衛隊そのもののイメージチェンジ。どうしても、かたいとか、また規律が厳しそうだとかいうイメージでとられてしまって、そういうところに身を置くのはどうかなとか、そういう方もいらっしゃると思います。そういう面で、明るく開かれた自衛隊だというようなイメージ。余りイメージにそういうことを強く出し過ぎると、自衛隊が弱いようにイメージされることもあるかもしれませんけれども、イメージチェンジをしていくということも、新たな人員を確保するという
意味
でも必要なことではないかなというふうに思います。 そういう視点に立って、今回の法案の対象となっております陸上自衛隊高等工科学校についてお尋ねをしたいと思います。 今、いろいろな人員確保に努力をされているということなんですけれども、工科学校については、
海上自衛隊
、航空自衛隊については平成二十三年に既に廃止をされております。陸上自衛隊の工科学校も、年々応募者数が
減少
しているという
状況
でございます。その原因と対策についてお尋ねをしたいと思います。
岸信夫
25
○
岸国務大臣
まず、
委員
のおっしゃられた、自衛隊を魅力的な組織にしていくということ、これは常に考えていかなければいけないと思います。国民の皆さんから愛される自衛隊でなければいけないな、こういうふうに思っておるところでございます。 今お問合せの工科学校について、これは、中学校卒業者等を対象として、将来陸上自衛官になるべき者を養成するための機関であるということでございます。近年、高等工科学校への募集者数は
減少
傾向にあります。これは、少子化によって募集対象者の人口が
減少
しているということ、それから大学への志望者がふえているということが原因になるものと考えられております。 このような
状況
のもとで、高等工科学校の応募者を確保するために、応募対象者の保護者、学校に向けたパンフレット等の作成、配布、また採用
説明
会等の継続的な実施等に取り組んでいるところでございます。 また、今年度の試験については、試験日程や試験会場を増加させることによって、受験者の利便性の
向上
を図ってまいります。 今後、自衛隊、自衛官等の募集環境が厳しさを増す中で、優秀な
人材
を将来にわたり安定的に確保するために、引き続いてさまざまな
取組
を行ってまいりたい、こういうふうに思っています。
村上史好
26
○村上(史)
委員
あわせてですけれども、
令和
三年度予算では、本校のシステム・サイバー専修コース、三十人が定員と聞いておりますけれども、新設をされると聞いております。この
内容
について若干教えていただきたいなというふうに思います。
岸信夫
27
○
岸国務大臣
陸上自衛隊高等工科学校は、将来陸上自衛官になるべき者を養成する学校として、普通科高校と同様の教育を行う一般教育、そして工業高校に準ずる
専門
的技術の教育を行う
専門
教育、そして陸上自衛官として必要な
防衛
に関する教養や各種訓練を行う
防衛
基礎学を主たる教育として実施をしているということでございます。 一般教育については、最終学年、三年のときに教養、理数、国際のいずれかの専修コースを履修することとなっておりますが、
令和
三年度からは、これらのコースに加えて、サイバー等に関する基礎的な教育を行うシステム・サイバー専修コースというものを新設し、サイバーに関する教育
体制
を整備していくということになっております。 そして、ここにおいては宇宙や電磁波、AIに特化した教育は現在行っておりませんけれども、陸上自衛隊について申し上げれば、電磁波については陸上自衛隊の通信学校において
専門
的な教育を行っているところでございます。 新領域やAIにおける
人材
の育成、確保は喫緊の課題であります。今後も
人材
育成の
あり方
について不断に
検討
してまいりたいと思います。
村上史好
28
○村上(史)
委員
ありがとうございます。 まさに、新領域の領域でも
人材
がもう必要な
状況
になってきております。まだまだ先の長い話ではあるんですけれども、将来を担う自衛隊、自衛官を養成するという
意味
においても、この工科学校の充実は図るべきではないかなというふうに思っております。 その一方、先ほど
大臣
も
指摘
をされましたけれども、
少子高齢化
社会の中で、募集人員も減ってきている、自衛隊全体に対する募集も横ばい状態であるという
状況
でございます。 そういう
状況
であればこそ、今、この工科学校は男子校でございます。そういう
意味
で、女性の活躍の場を広げるという
意味
においても、また
人材
を広く確保するという
意味
においても、この学校を男女共学にすべきではないかというふうに思うんですけれども、それに対する御見解はいかがでしょうか。
岸信夫
29
○
岸国務大臣
今
委員
御
指摘
のとおり、陸上自衛隊の高等工科学校、こちらでは男子のみを今採用しています。これは、一般に、技術系を選択する女子が男子に比べて少ないということ、また技術関係の知識、技能を有する女性自衛官については、一般曹候補生や自衛官候補生の枠組みで入隊した者の中から確保していることなどによるものであるというふうになっております。 いずれにいたしましても、
防衛省
・自衛隊として、技術要員の確保の
あり方
については、今後の
状況
を踏まえつつ
検討
を続けてまいりたいと思います。
村上史好
30
○村上(史)
委員
女性は工学系に少ない、それを選択される方が少ないというような御
答弁
でありましたけれども、そこは先入観を持たずに、先ほど申し上げましたように女性の活躍の場を広げるという側面もありますので、ぜひ男女共学の高校に編成を変えるということをお約束いただければなというふうに思いますが、お答えは結構でございます。 それで、私が平成三十年の三月二十三日に質問させていただきました。そのときの質問の中身は、サイバー
防衛
隊について、サイバーセキュリティーを担う
人材
をいかに確保するかということで
質疑
をさせていただきました。その中で私は、
防衛
大学にそういう
専門
の科があるのかというふうに申し上げましたら、講座でしかないということでございました。いわゆる新領域の
人材
を確保する、スキルアップをする、技術力を
向上
させていくという面では、やはり
防衛
大学にそれ
専門
の学科を創設すべきではないかということを提案をさせていただきました。 そのときの御
答弁
では不断に
検討
をしてまいりますということでございましたけれども、その後、
状況
はどのようになっているのか、フォローアップさせていただきたいと思います。
岸信夫
31
○
岸国務大臣
まず、
防衛
大学校におけるサイバー教育についてでございますが、全学年必修科目であります
防衛
学の授業科目において、サイバー戦に関する基礎的な知識の付与を目的とした授業を平成二十七年から実施をしております。サイバーに関する一定の知見を有した幹部候補生、幹部候補要員の育成に努めておるところでございます。また、電気情報学群の情報工学科においては、情報システムやサイバーセキュリティーに係るより高度な
内容
について学ぶための授業を平成二十六年から実施をしております。 サイバー
人材
の育成の
あり方
については不断の
検討
を行っているところですが、現時点までの
検討
において、
防衛
大学校にサイバー分野に特化した学科を新設するという結論には至っていないところです。 いずれにせよ、サイバー分野における
人材
の育成、確保を一層積極的に推進していく中で、
防衛省
・自衛隊におけるサイバー分野の教育
体制
の
あり方
について引き続き
検討
を行っていきたいと考えております。
村上史好
32
○村上(史)
委員
先ほど工科学校ではシステム・サイバー専修コースを設けているということで、将来に備えておられるにもかかわらず、その上の上級の大学にその科がないというのも、ちょっとそれは
整合性
がとれないんじゃないかなと思います。 そういう面では、高校からその大学に行けるのかどうかちょっとわかりませんが、
防衛
大学に行ってその分野で勉強したいと思っても、その学科がなければせっかくこのコースにいても、現場ではいろいろな活用はできると思いますけれども、より高度な
人材
を確保するという
意味
においては、やはり
防衛
大学校にそういう学科を創設すべきだということを改めて
指摘
をして、次の質問に参らせていただきたいと思います。 ちょっと時間の方は
予定
より経過をいたしておりますので、次の質問に移りたいと思いますが、新領域と
日米
安保条約について何点か、
大臣
の御見解を
伺い
たいと思います。 昨年、二〇一九年なんですけれども、四月に
日米
の2プラス2の会談で、サイバー
攻撃
が
日米
安保条約の適用対象になると確認したとの報道がございます。両国にとってどのような拘束力、また効力があるのか、お尋ねをしたいと思います。 あわせて、具体的に、
日米
安全保障
条約第五条に照らして、
米国
の具体的な行動はどのように想定をされているのか、お尋ねします。
岸信夫
33
○
岸国務大臣
昨年の2プラス2会合では、領域横断
作戦
のための協力として、サイバー分野における協力を
強化
していくということで一致をしたところでございます。サイバー
攻撃
が
日米
安保第五条に言う武力
攻撃
に当たる場合があるということを確認いたしました。 自衛隊と
米軍
の協力を含めて、
米軍
の行動の具体的な
対応
や詳細については、事柄の性質上お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、こうした点を確認したことは、サイバー空間における
日米
共同
対処
の可能性を明確にするものであり、抑止の観点から意義が大きいものと考えております。 いずれにしましても、サイバー空間における
日米
協力については、
日米
防衛
協力のための指針で明示されておるとおり、
日本
に対するサイバー
攻撃
事案が発生した場合には、
日本
は主体的に
対処
し、緊密な二国間の調整に基づいて、
米国
は
日本
に対し適切な支援を行う。このほか、
日米
両
政府
において、関連情報の迅速かつ適切な共有を行うということとなります。また、
日本
の安全に影響を与える深刻なサイバー事案が発生した場合には、
日米
両
政府
は、緊密に協議し、適切な協力行動をとり
対処
するということになっております。 自衛隊と
米軍
の間においても適切に協力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
村上史好
34
○村上(史)
委員
具体の話はできないということなんですけれども、サイバー空間においては、なかなか有事と
平時
の差がわからない。我々素人でももちろんわからないんですけれども、わかりにくいんですけれども、ただ、
攻撃
を受けたということの認定を一体誰がするのか。ケース・バイ・ケースだといえば、そのときに恣意的にこれを認定すると、サイバー
攻撃
だと認定するということになってしまって、政策の安定性が保てないんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
岸信夫
35
○
岸国務大臣
境目がはっきりしない場合ということでございますが、いずれにしても、武力行使の三要件を満たす場合には、憲法上、自衛の措置として武力の行使が許容されると考えられています。いかなる場合にこの武力行使の三要件を満たすかについては、そのときの情勢、相手国の明示された意図、
攻撃
の手段、態様等、具体的な
状況
を踏まえて判断をしていくということになります。 したがって、一概にお答えすることはなかなか困難でございますけれども、いずれにしても、新領域における
対応
を含めて、
我が国
の
防衛
に万全を期してまいりたいというふうに思います。
村上史好
36
○村上(史)
委員
まさに、今の
答弁
をお聞きしても物すごく曖昧で、これということを明確にお答えできないのが今のサイバーを取り巻く現状だと思います。 そういう面で、やはりきっちりと、この領域においても、何をもって
攻撃
とみなすのか、そしてそれに対して反撃をできるのかできないのか、どこまでできるのかということは、今後やはりこの
委員
会でも議論を深めていかなければならないと思います。きょうは時間の制約もありますので、またその議論は後日に譲りたいと思いますけれども。 それにやや関連をいたしますが、宇宙は安保条約の適用の内でしょうか、外でしょうか。
岸信夫
37
○
岸国務大臣
宇宙領域においてということでございますが、先ほど申しました武力行使の三要件を満たすかどうかということでございます。満たす場合には、憲法上、自衛の措置としてこれが許容される、武力の行使が許容されるということでございます。そのときの国際情勢や相手国の明示された意図や
攻撃
の手段、態様等、個別具体的な
状況
を踏まえて判断をしていく。 したがって、御
指摘
の与件のみによって、憲法上の武力行使が許容されるか、また、
日米
安保第五条に規定する武力
攻撃
に該当するかどうか、一概に論ずることは困難であります。 いずれにしましても、
日米
防衛
協力の指針にあるとおり、
日米
両
政府
においても、宇宙空間における
脅威
に
対処
するために協力していくこととしております。宇宙領域に関するものも含めて、引き続き
日米
の協力関係を深化させていきたいと考えております。
村上史好
38
○村上(史)
委員
私の質問とはちょっとずれているんですけれども、先に進みたいと思います。 河野前
防衛大臣
、ことしの四月の十六日に参議院の外交
防衛
委員
会で、
米国
などの衛星が
攻撃
された場合、集団的自衛権行使の可能性があると
答弁
をされました。
岸大臣
も同様のお考えでしょうか。 また、具体的に、
日本
の行動をどのように想定をして集団的自衛権の行使の可能性を言っておられるのか。 また、逆に、
日本
の衛星が
攻撃
された場合、
米国
に集団的自衛権行使を要請するのか。 この三点、お
伺い
します。
岸信夫
39
○
岸国務大臣
まず、御
指摘
の河野前
大臣
の御
答弁
については、憲法上の自衛の措置としての武力の行使が許容されるのは武力行使の三要件を満たす場合に限られる、そして、いかなる場合にこの三要件を満たすかについては個別具体的な
状況
を踏まえて判断する必要があるという
答弁
をした中で、宇宙やサイバー、電磁波領域においても、仮に武力の行使の三要件を満たす場合には、法理上、武力の行使が許容されるという旨を
答弁
したものと
承知
をしております。 したがって、御
指摘
の与件のみによって、憲法上の武力行使が許容されるかどうかについては、一概に論ずることは困難であると考えておるところでございます。 いずれにいたしましても、
日米
防衛
協力の指針にもあるとおり、
日米
の両
政府
は、宇宙空間における
脅威
に
対処
するためにも協力をしていくということでございます。自衛隊と
米軍
の具体的な
対応
については、個別具体的な
状況
に応じて判断するという必要がありますので、一概に申し上げることは困難ですけれども、宇宙領域に関するものも含めて、引き続き
日米
の関係
強化
をさせてまいりたい、こういうふうに考えております。
村上史好
40
○村上(史)
委員
今の御
答弁
でも私は感じるんですけれども、一方で、宇宙空間においては
日米
安保条約は適用されるかどうかまだわからないというような、また
軍事
攻撃
もケース・バイ・ケースだ、しかし一方で、集団的自衛権だけは行使しますよというのは、国内法の整備もされていない
状況
の中でその集団的自衛権の行使だけが先行するというのは、ちょっと危険な行為ではないかなと思います。 やはり、二国間であろうと宇宙空間のさまざまなルールは必要だというふうに思いますけれども、まず国内の法整備をした上で、
日米
の協力はどうあるべきかというところに、そこに進んだ上で、宇宙での協力をどのようにしていくかということが決められなければならないと思います。 今の
答弁
をお聞きしていても、全てがやはりまだまだ曖昧な
答弁
になるというのは、今、現状がまさに混沌としていて、また法的な領域も確定していないということの証左だと思いますので、この点についても今後、当
委員
会で議論を進めていこうと思っております。 それでは、時間も大分経過をいたしましたので、最後の質問に移らせていただきたいと思います。まず、米中関係と台湾、尖閣有事についての質問をさせていただきたいと思います。 まず、
大臣
の御
認識
をお
伺い
するんですけれども、御
承知
のとおり、バイデンさんが新大統領になるということがほぼ確定をしております。そういう中で、米中関係も変化が予想をされます。一部には、米中が融和に向かうのではないかという観測もございます。 融和はいいんですけれども、やはり
中国
にとって、融和政策がさまざまなハードルを下げることにもなりかねません。また、そのことによって、冒険的、野心的な行動をとることも十分考えられます。そうなりますと、台湾問題について、今までよりも強硬になるのではないかと心配をしております。 今後、米中関係と
中国
の
動向
について、
安全保障
を所管される
岸大臣
としての御所見を
伺い
たいと思います。
岸信夫
41
○
岸国務大臣
バイデン政権における米中関係、あるいは台湾をめぐる
中国
の
動向
について、政権発足前でもあります、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、ただ一方で、
米国
全体として、
中国
に対する見方に対しては、厳しい見方が増しているというふうに
承知
をしております。現実に厳しい
安全保障環境
ですので、そういった
意味
からも、新政権で打ち出される対中政策、これに対しては注視をしてまいりたい、こういうふうに思います。 その上で、今申しました
中国
の情勢ですけれども、台湾
周辺
の海空域、
軍事
活動を活発化をさせています。先ほども述べました
空母
の遼寧がバシー海峡を通過したりしている、あるいは、
中国軍
機が中間線を越えて台湾側に進出をしてきているケースがふえております。
中国
が
軍事
力の
強化
を急速に進めている中で、この中台の
軍事
バランスというものも全体として
中国
側に有利な
方向
に推移をしているということでございますので、台湾をめぐる
中国
の
状況
、
動向
について引き続き注視をしてまいりたいというふうに思います。
村上史好
42
○村上(史)
委員
まだまだこれからの不確定な要素がございますので、この議論は余りこれ以上は進めようとは思わないんですけれども、やはり大きな政治の
転換
になると思います。
トランプ大統領
の手法は御
承知
のとおりでございますし、バイデン新大統領は外交の
専門
家とも言われております。そういう面で、今までの
アメリカ
の外交とは大きくさま変わりする可能性があるということで、我々も注視をしていかないといけないと思いますし、また、それに伴う
安全保障
政策についても議論をしていきたいと思っております。 続きまして、尖閣諸島に関して質問をさせていただきます。
中国
の全人代の常務
委員
会は、
中国
海警局の
任務
や権限を初めて明文化をし、外国船への調査、差押えに加え、
中国
の主権が侵害されるおそれがある場合、武器使用も含む一切の必要措置をとることができると規定している法案が明らかになりました。 今後、尖閣
周辺
で活発に行動する
中国
海警により、緊張が高まると予想もされますけれども、
大臣
の御
認識
はいかがでしょうか。
岸信夫
43
○
岸国務大臣
中国
の海警法についてですけれども、
中国
の意図についてお答えする立場にはございませんけれども、御
指摘
の法案を含めて、
中国
海警局をめぐる
動向
については、引き続き高い関心を持って注視していきたいと考えております。 その上で、最近の尖閣諸島をめぐる情勢について申し上げますと、
中国
公船が、
海軍
艦艇
の恒常的な活動のもとで、
我が国
の強い抗議にもかかわらず、尖閣諸島
周辺
の
我が国
領海に繰り返し侵入をしている、そして接続水域への連続入域日数は過去最高を更新している、こうした
状況
については断じて容認できるものではありません。 さらに、近年の尖閣諸島近海に派遣される公船の
大型
化が図られている。そして、機関砲と見られる武器を
搭載
した公船の侵入も繰り返されている。運用
体制
は着実に
強化
をされているのではないかな、こういうふうに思います。
防衛省
としては、尖閣諸島をめぐる情勢に関して、事態をいたずらにエスカレートさせることがないように冷静に
対応
を継続したいと思いますが、一方で、
我が国
の領土、領海、領空を断固として守り抜く。引き続き、海上保安庁など関係省庁との連携を行って、
警戒監視
、
情報収集
に万全を期してまいりたいと考えております。
村上史好
44
○村上(史)
委員
ありがとうございます。 殊さらこの
海域
での緊張を高める必要は全くありません。我々としては、全くそうだと思います。 ただ、
中国
がどういう形で
対応
してくるかというのは不確定な要素がございますので、これこそ不断の
安全保障
政策、海上保安庁の方も努力をいただいておりますけれども、やはり自衛隊として、有事の際はどういう
対応
をするのか、また、そういう用意がきっちりとあるぞというところも明確に示す必要があると思います。あえて紛争を起こさないためにも、我々の立場というものをより明確にしていく必要もあると思います。 そういう中で、先般、菅総理とバイデン大統領と電話会談が行われまして、尖閣諸島は
日米
安保の第五条の適用範囲だということをバイデン大統領の方から言及があったということで、何かこれでもう一安心だというふうな雰囲気があるようでございますが、この安保条約の第五条を改めて読んでみますと、
日本
国の施政のもとにある領域における、いずれか一方に対する武力
攻撃
、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手順に従って共通の危険に
対処
すると。いわゆる
アメリカ
の
防衛
義務について記されているわけですけれども、
アメリカ
の憲法に従って、そしてまた議会の承認を得て行動をするということになります。 NATOなんかでは、締約国が受けた
攻撃
は自国へ武力行使をされたものとみなして直ちに反撃するということで、タイムラグはないわけです。ただ、
日米
安全保障
条約においては、この間がタイムラグを生じるというおそれがあるのと、それと、本当に
アメリカ
が尖閣諸島の有事に出動してくれるのかどうか、これはあくまでも不安定な要素だと言わざるを得ません。 この現実を認めるか認めないかによって
我が国
の
安全保障
の
あり方
も変わってくると思うんですが、この現状、安保条約の現実を、今私が申し上げた現実を
大臣
はお認めになりますか。
岸信夫
45
○
岸国務大臣
まず、バイデン次期大統領と菅総理との間での電話会談において、安保条約五条の尖閣への適用についてのコミットメントがあったということでございます。 私
自身
も、先週実施をしましたミラー国防長官代行との電話会談において、同様の確認を、改めて確認をしたところでございます。
米国
は、累次の機会に、この安保条約五条の、尖閣適用されるということ、また、
日米
安保条約のもとでの
米国
の条約上の義務へのコミットメント、これを確認をしてきているというところでございます。
政府
としては、
米国
が
日米
安保条約上の義務を果たすことに信頼を置いておるということでございます。
日米
安保条約五条に規定されている
米国
の対日
防衛
義務につきましては、条約を承認した、条約自体が
米国
議会によって承認をされております、そういう
意味
で、この義務の履行を妨げるような措置をとるとは考えていないところでございます。
村上史好
46
○村上(史)
委員
時間が参りましたけれども、お認めになることはなかなか難しいと思うんです。ただ、やはりこの議論はしていかないと、
アメリカ
が必ず来てくれる、支援、応援をしてくれるものだと思っているからこそ、
アメリカ
の方から、
日本
、ただ乗りやないか、駐留予算をもっとふやせという議論になっちゃうけれども、現実に
アメリカ
が本当に来てくれるかどうかわからないのに、ただ乗り論なんて成り立たないわけですね。 そういうことを含めて議論を今後進めていかなければならないということで、次の機会にぜひまた議論させていただきたいと思います。 ありがとうございました。
若宮健嗣
47
○
若宮委員長
次に、照屋
寛徳
君。
照屋寛徳
48
○照屋
委員
共同会派、社民党の照屋
寛徳
です。 前回の外務、
防衛
両
大臣
の所信に対する質問の機会がありませんでしたので、今回、野党筆頭
理事
の御配慮を得て質問をいたします。 冒頭、本日の議題となりました
防衛省
の
職員
の
給与等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
については、一時金について二〇一〇年以来十年ぶりの引下げとなったことは極めて残念でありますが、民間給与の調査を踏まえた
内容
と受けとめ、賛成いたします。
防衛大臣
に
伺い
ます。
大臣
は所信表明の中で、沖縄の基地の負担軽減を目に見える形で実現するという
政府
の
取組
について、全力で取り組むと述べております。
大臣
は、沖縄に膨大に駐留する
米軍
基地の実態をどのように
認識
しているのでしょうか。また、
大臣
が所信で述べた沖縄の基地の負担軽減というのは具体的に何を指しておられるのでしょうか。
伺い
ます。
岸信夫
49
○
岸国務大臣
戦後七十年以上を経た今でも、国土面積の〇・六%の沖縄県内に全国の約七〇%の在日
米軍
専用施設・区域が以前として集中している。沖縄の皆様には大きな基地負担を負っていただいている、まずこのように
認識
をしております。この現状については、到底是認できるものではありません。沖縄の基地負担軽減については、私としても全力で取り組んでまいりたいと思います。 先日、沖縄を訪問いたしまして、
米軍
施設の現状を視察をいたしました。沖縄県の皆様ともお会いをした。沖縄の基地負担の軽減に関する
考え方
について御
説明
するとともに、直接皆様の御意見を、御要望をお
伺い
したというところでございます。 これまでも、沖縄の基地負担軽減は着実に進んでいると思います。普天間飛行場の
空中給油機
十五機、今、これは岩国飛行場への移駐が完了したところです。北部訓練場の過半の約四千ヘクタールの返還、これも実現をされました。嘉手納以南の人口密集地に所在する
米軍
基地について、その約七割の返還
計画
を発表し、これに基づいて返還を進めてきています。さらに、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にあります普天間飛行場の固定化というものは絶対に認められません、避けなければならないことであります。
政府
として、辺野古への移設を着実に進めていくことで普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現していきたいと考えております。
防衛省
としては、今後とも一つ一つ着実に結果を出すことによって沖縄の負担軽減を進めてまいりたいと考えております。
照屋寛徳
50
○照屋
委員
それでは、次に、これは外務副
大臣
かな、十一月十六日付の琉球新報朝刊によりますと、戦後、
米軍
に居住地を強制接収された読谷村旧牧原集落の人々は、去る十月二十五日、
米軍
嘉手納弾薬庫地区内にある拝所、チチェーン御嶽前で例祭を行い、フェンス越しに手を合わせ、いつの日かもう一度、ふるさとの地を踏み締めてみたいと願ったようです。牧原住民は、かつてフェンス内に自由に出入りし、拝所で祈願したり、旧盆にはエイサーを奉納していたようです。 旧牧原集落の出身者は、せめてフェンスから約三十メートル先にある御嶽前で拝めるように、読谷村や国に対してフェンスの移動を求めております。基地負担の軽減と戦後処理の一環として、住民らの要求を実現するんだという決意をお聞かせください。
岸信夫
51
○
岸国務大臣
委員
御
指摘
のチチェーン御嶽の拝所についてですけれども、以前は立入りが認められていたところでございます。しかしながら、二〇〇一年の九・一一同時多発テロ以降、
米軍
の施設の警備が
強化
されたということから立入りが困難になって、現在はフェンス越しに例祭が認められていると
承知
をしております。 このチチェーン御嶽を囲む形でのフェンス設置につきましては、地元の皆様の御要望をよくお
伺い
した上で適切に
対応
してまいりたいと考えております。
照屋寛徳
52
○照屋
委員
大臣
、この旧牧原集落は、かつて琉球王府の牧場だった。廃藩置県前後に失職した士族が入植し、開墾して形成されました。終戦後、全域が
米軍
に接収されたんです。だから、戦後七十五年たって、どうか、旧牧原住民の願いを実現できるように、
大臣
に再度決意を
伺い
たいと思います。
鈴木敦夫
53
○
鈴木
政府参考人
ただいま
大臣
からございましたように、現在はフェンス越しに例祭が行われているというところでございますけれども、チチェーン御嶽を囲む形でフェンスを設置するということについては、地元の皆様の御要望をよくお
伺い
した上で適切に
対応
してまいりたいというふうに考えてございます。 他方、こちらのフェンス越しというか、外ではなく、御地元の方から、昨年の十月に、自治会長様等から立入りについての御要望を受けまして、本年十月の例祭に向けて現地
米軍
との間で立入りの調整が進んでおりました。ところが、米側より、
新型
コロナウイルス感染症対策という観点から、今回ちょっと立入りが認められないという連絡があったところでございます。 本年の立入りは実現しませんでしたけれども、
防衛省
といたしましては、引き続き地元の皆様の御要望を
伺い
ながら、立入りについても米側に働きかけてまいりたいというふうに考えてございます。
照屋寛徳
54
○照屋
委員
次は、
防衛大臣
、非常にロマンチックな話をやりましょう。
アメリカ
の次期大統領に民主党バイデン氏の当選が確実になりました。そして、副大統領には女性初となるカマラ・ハリスさんが就任いたします。 沖縄市には、カマラ・ハリスさんと読み方が同じ嘉間良という集落がございます。玉城デニー沖縄県知事は、カマラ・ハリスさんを招聘して、各国の女性リーダー的な方々によるサミットを沖縄で開催したいと表明しております。沖縄県民もその実現を待望しております。 加藤官房長官も、十一月十日の記者会見で、読み方が同じというのは一つの縁ではないかと思うと述べ、玉城県知事のサミット開催の意向を
承知
しておるとしております。 カマラ・ハリスさんを招聘して沖縄で女性サミットを開催することについて、どのようにお考えでしょうか。
鷲尾英一郎
55
○鷲尾副
大臣
アメリカ
の副大統領に就任が
予定
されておりますカマラ・ハリス上院議員のファーストネームと呼び方が同じ嘉間良という地区が沖縄県沖縄市にあること、そして、そのことが地元でも大変話題になっていると
承知
しております。また、玉城沖縄県知事が御
自身
のツイッターで、ハリス上院議員を沖縄に招聘し女性リーダーサミットを開催したい、そういう意向を示していると理解をいたしているところであります。 外務省といたしましては、今後、さまざまな機会を通じまして、地方レベルにおいても国際交流及び協力が一層進展していくことを期待したいと思います。
照屋寛徳
56
○照屋
委員
ぜひ、実現へ向けて、
政府
の大きな力をかしていただきたいと思います。
大臣
、この嘉間良地区には、現在、千四百人ぐらい住んでいるんです。もちろん国道も通っております。ただ、残念ながら、上空にはF15
戦闘機
などが爆音をもたらしております。 かつて、沖縄には黒人街、白人街というのがあった。そして、けんかが絶えませんでしたが、ウチナーンチュが間に立てばけんかがおさまるんです。
大統領選挙
で争点になった多様性が沖縄にあった、その満ちた縮図が嘉間良であるということを御理解いただいて、
大臣
の大きな力をかしていただきたいと思います。 何かありますか。
岸信夫
57
○
岸国務大臣
先ほど外務副
大臣
からも
答弁
があったところでございますが、新バイデン政権のもとでカマラ副大統領が果たされる
役割
、人種の分断とか、そういうものに対する
問題意識
、そういったものも、
委員
おっしゃるとおり、その嘉間良の地区に凝縮をされていると今おっしゃられましたけれども、そういう
問題意識
も含めて、いろいろ
政府
として考えてまいりたいというふうに思います。
照屋寛徳
58
○照屋
委員
大臣
に
伺い
ます。 去る十一月五日、全国知事会がウエブ
会議
を開き、
米軍
基地に関する提言を決議をしております。二〇一八年七月に初めて決議をした
日米
地位協定の抜本的改定などを求める
内容
を踏襲しつつ、今回は、
米軍
機の飛行について、人口密集地や休日、学校行事を避けることなどを求めるなど、より詳細な要求になっております。
防衛大臣
は、全国知事会の提言を重く受けとめ、その実現に向けて取り組むお考えはありますか。
岸信夫
59
○
岸国務大臣
今
委員
御
指摘
の全国知事会の決議については、知事会の御意見としてしっかり受けとめてまいりたいと思います。 その上で、大事なことは、基地負担軽減について、できることを全て行い、目に見える形で実現をしていくこと、そして
周辺
住民の方々のさまざまな御不安を払拭していく、このために全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。 この決意を胸に、
防衛大臣
として、沖縄県を始めとする関係自治体、関係省庁、
米軍
との緊密な連携を行いながら、事件、事故の防止、また
新型
ウイルスの感染対策の徹底、そして負担軽減、こういったことに全力で取り組んでまいりたいと考えています。
照屋寛徳
60
○照屋
委員
大臣
、この
日米
地位協定の改定問題というのは、それは、沖縄のみならず、主権
国家
日本
の大きな課題でございます。 私は、当初、一九九五年七月に参議院に当選をいたしました。その後、衆議院に移ってから今日まで、この不平等、不公平な
日米
地位協定を抜本的に改正する、その中で主権
国家
として
日本
の矜持を守っていく。そして、今なお
日米
地位協定は不平等、不公平で、ウチナーンチュの人間としての誇りと尊厳を傷つけております。
大臣
、どうか全国知事会の提言をしっかり
大臣
として国政に生かしていただきたい、このようにお願いを申し上げます。 次に、
防衛省
の
政府参考人
に
伺い
ます。 去る十一月四日夜、うるま市の津堅島訓練場水域で
米軍
のパラシュート降下訓練が強行されました。十月十六日にも夜間の降下訓練を実施したばかりで、常態化しております。 津堅島訓練場水域の訓練は、沖縄県が確認を始めた一九九七年から二〇一六年までは年間一回程度しか実施されませんでしたが、二〇一七年から急増しております。昨年まで三年連続で年間に九回の訓練が確認され、今回の訓練強行で、ことし十回目となります。これまでの年間最多回数を更新しました。
防衛省
に尋ねます。訓練急増の理由は何でしょうか。
鈴木敦夫
61
○
鈴木
政府参考人
御
指摘
の津堅島訓練場水域におきましてパラシュート降下訓練が近日も実施されたことは
防衛省
としても確認してございます。 津堅島の訓練場水域につきましては、昭和四十七年の
日米
合同
委員
会合意におきまして、使用主目的が訓練場とされまして、また、その使用条件の中ではパラシュート降下訓練は禁止されておらないというところでございます。このため、同水域においてパラシュート降下訓練を実施すること自体が当該合意に照らして問題があるとは考えてございません。 ただ、しかしながら、
米軍
の訓練に当たりまして、公共の安全に妥当な配慮を行うのは当然のことでございます。
米軍
に対しては、安全面の確保と
周辺
住民への影響を最小限にとどめるよう累次の機会に申入れを行っているところでございます。
防衛省
といたしましては、引き続き、
米軍
と緊密に連携を図りながら、安全面に最大の配慮を求めるなどして適切に
対応
してまいりたいというふうに考えてございます。 さらに、御
指摘
がございました回数でございますけれども、この回数につきましても、津堅島の訓練場水域は、先ほど申し上げました昭和四十七年の
日米
合同
委員
会において年間百二十日まで使用することが認められてございまして、従来よりこの範囲内で訓練が実施されているものと
承知
してございます。 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、
防衛省
といたしましては、引き続き、米側と緊密に連携をとりながら、安全面に最大の配慮を求めるなどして適切に
対応
してまいりたいというふうに考えてございます。
照屋寛徳
62
○照屋
委員
私はうるま市に住んでいるんです。津堅島訓練場水域
周辺
は、本島と津堅島を結ぶ定期船が航行し、モズクなどの収穫で漁船が頻繁に行き来をしております。そのため、地元うるま市やうるま市議会は、住民の安心、安全を守る観点から、何度も抗議し、沖縄
防衛
局を通じて訓練中止を求めてまいりました。沖縄県も同様の立場です。
防衛大臣
、地元住民の悲痛な叫びに耳を傾け、
米軍
に中止を求めていくお考えはありますか。
鈴木敦夫
63
○
鈴木
政府参考人
御
指摘
でございますけれども、まさに
米軍
の訓練に当たりまして、公共の安全に妥当な配慮を行う、払うというのは、これは当然のことでございます。
米軍
に対しまして、
防衛省
からも安全の確保と
周辺
住民への影響、これを最小限にとどめるよう累次の機会に申入れを行っております。 最近におきましても、今月十六日ですけれども、沖縄
防衛
局から
米軍
の関係部署に対してこうした旨の申入れを行っているというところでございます。
照屋寛徳
64
○照屋
委員
大臣
、玉城デニー沖縄県知事は、去る十月十日に来県した加藤官房長官に対し、
米軍
那覇港湾施設、いわゆる那覇軍港の浦添埠頭地区への移設
計画
について、那覇軍港は遊休化しているとの話もあります、浦添の施設ができてから返還するという時間のかかる
計画
ではなく、軍港の返還を前倒しして進めてほしいと述べ、
日米
両
政府
が返還条件とする浦添移設が完了する前に先行返還するよう求めております。 玉城知事の提案に対する
防衛大臣
の受けとめをお願いします。
岸信夫
65
○
岸国務大臣
那覇港湾施設につきましては、二〇一三年の四月の沖縄統合
計画
において、その機能を浦添埠頭地区に建設される
代替
施設へ移設した後に返還されることとされております。
防衛省
としては、この返還条件を満たすよう進めていくことが返還に向けた早道である、こういうふうに考えておるところです。 また、那覇港湾施設の移設を着実に進めていくためにも、同地区の民港の港湾
計画
に関する地元間での
検討
が進むことを期待をしておるところでございます。 いずれにしても、
防衛省
として、那覇港湾施設の返還に向けて全力で引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
照屋寛徳
66
○照屋
委員
大臣
、十月十二日の官房長官記者会見で、那覇軍港について、実際に使用されており、遊休化していないとした上で、二〇一三年四月に
日米
合意された沖縄における在日
米軍
施設・区域に関する統合
計画
に定められた返還条件に沿って浦添移設を進める考えを示しております。
政府
が、那覇軍港が実際に使用されており、遊休化していないとする根拠は何でしょうか。
防衛大臣
に尋ねます。
鈴木敦夫
67
○
鈴木
政府参考人
事実関係でございますので、私の方から御
説明
させていただきたいと思います。 この那覇港湾施設につきましては、平素から実際に使用されており、遊休化していないというふうに我々
承知
してございます。 この運用に関して、
米軍
の運用に関して網羅的に把握しているわけではございませんけれども、例えば最近でも、十一月九日ですとか十六日に
米軍
艦艇
が使用しているというのを確認しておるということでございます。 また、こうした施設につきましては、事態が緊迫した際の使用というのも当然に想定されてございますので、平素の使用
状況
のみから施設の要否を判断することは必ずしも適切ではないというふうに
認識
してございます。 いずれにいたしましても、平素から実際に使用されているということが実態でございます。
照屋寛徳
68
○照屋
委員
防衛大臣
に尋ねます。
米軍
は、平成十四年、二〇〇二年の三十五隻を最後に、那覇軍港への
米軍
艦の出入りについて公表していないと
承知
しています。
米軍
が公開を拒む理由は何でしょうか。
政府
はこの間、
アメリカ
側に公表するよう求めてきたのでしょうか。
鈴木敦夫
69
○
鈴木
政府参考人
米軍
による那覇港湾施設への入港隻数につきましては、御
指摘
のように二〇〇二年まで公表されておりましたが、二〇〇三年以降は、
米軍
の運用上の理由ということによりまして公表されていないというふうに
承知
してございます。 ただ、先ほども申し上げましたように、那覇港湾というものは、これは事態が緊迫した際の使用というのも当然想定されておりまして、平素の使用のみから施設の要否を判断することは適切ではないのではないかというふうに我々は
認識
しておるところでございます。
照屋寛徳
70
○照屋
委員
最後に、
防衛省
、遊休化していないと言うのならば、那覇軍港への
米軍
艦の入港実績や物資の積卸し実績を明らかにすべきではありませんか。
日米
地位協定第二条三項には、「必要でなくなつたときは、いつでも、
日本
国に返還しなければならない。」とあります。遊休化している那覇軍港は、
代替
施設をつくらずに速やかに返還すべきではありませんか。お尋ねします。
鈴木敦夫
71
○
鈴木
政府参考人
まず、まさに網羅的に運用の実績というものを公表するということにつきましては、先ほど申し上げましたように、運用上の理由といわゆるセキュリティーの関係を理由に公表されていないということでございます。 ただ、網羅的ではございませんけれども、実際に、例えば、先ほど申し上げましたけれども、十一月九日ですとか十六日に
米軍
艦艇
が使用しているというのを確認しておるところでございます。 このように平素から実際に使用されておるということでもございますし、先ほど申し上げましたように、事態が緊迫した際の使用も当然に想定されておりますので、平素の使用
状況
のみからその施設の要否ということではないというふうに考えてございます。 いずれにいたしましても、この問題のことにつきましては、まさに御
指摘
の二〇一三年の沖縄統合
計画
におきまして、その機能を浦添埠頭地区に建設される
代替
施設に移設した後に返還されることとされておりまして、先ほど
防衛大臣
から御
答弁
ございましたように、この返還条件を満たすよう進めていくことが返還に向けた早道であるというふうに考えておるというところでございます。
照屋寛徳
72
○照屋
委員
これでつえつき老人の質問は終わります。どうか
大臣
、所信で述べられたように、沖縄の基地負担というのは、
米軍
人・軍属の犯罪だけではなく、沖縄に雪は降らぬが飛行機は降ってくる、これが沖縄の基地負担の現状なんです。だから、しっかり
大臣
として基地負担の現状を見聞して、国際で頑張ってもらいたいと思います。 以上です。
若宮健嗣
73
○
若宮委員長
次に、赤嶺
政賢君
。
赤嶺政賢
74
○赤嶺
委員
日本
共産党の赤嶺政賢です。 辺野古新基地建設とジュゴンの保護について質問をいたします。 沖縄本島の
周辺
では、辺野古の事業を実施する前には三頭のジュゴンが確認されていました。このうち、個体Cについては二〇一五年六月を最後に、個体Aについては二〇一八年九月を最後に確認できなくなりました。個体Bについては、昨年三月に今帰仁村の漁港で死亡が確認されています。 南西諸島のジュゴンの絶滅が現実味を帯びる極めて深刻な
状況
にあると思いますが、
大臣
はその点をどのように
認識
しておられますか。
岸信夫
75
○
岸国務大臣
ジュゴンは、環境省のレッドリストにおいて平成十九年から、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種、いわゆる絶滅危惧の1A類に指定されているものと
承知
しております。 普天間飛行場
代替
施設建設事業では、平成十九年から、約五年間の環境影響評価手続を行っております。その中で、沖縄島沿岸のジュゴンの生息
状況
を調査した上で、ジュゴンについて特に配慮して、環境への影響の予測、評価を行っているところでございます。 この予測、評価を踏まえて、本事業の実施に当たっては、部外の
専門
家から成る環境監視等
委員
会の指導助言を得ながら、ジュゴンの生息
状況
の把握や工事
海域
へのジュゴンの来遊の監視に努めているなど、これまでもジュゴンへの影響について適切に配慮して工事を進めているところでございます。 引き続き、適切に
対処
をしてまいりたいと思います。
赤嶺政賢
76
○赤嶺
委員
絶滅が危惧される極めて深刻な
状況
ではありますが、ことし二月以降、大浦湾の施行区域内で、ジュゴンの可能性が高いとされる鳴音、鳴き声が継続的に検出されています。一縷の望みをかけて、その動きを見守ってきた方もたくさんいらっしゃると思います。 これまでの検出
状況
、そしてジュゴンの鳴音、鳴き声かどうかの特定には至ったんですか。その点を明らかにしていただけますか。
土本英樹
77
○
土本
政府参考人
お答え申し上げます。
委員
御
指摘
の点でございますが、本年二月以降、施行区域内のK4地点及びK5地点に設置した
水中
録音装置からジュゴンの鳴音である可能性が高い音が検出されているというのは、まさに御
指摘
のとおりでございます。 具体的には、K4地点におきまして、二月に三日、三月に五日、四月に七日、五月に十日、八月に一日、検出されております。また、K5地点におきましては、六月に一日、検出されております。 そして、これら全ての音につきまして、経験豊富な調査会社による識別に加え、海洋生物の
専門
家から、個体の識別はできないものの、ジュゴンの鳴音の可能性が高いとの意見を得たところでございます。 他方、これまで古宇利島や嘉陽沖でジュゴンの鳴音である可能性が高い音が検出された際には、いずれもその前後にジュゴンの姿やはみ跡などの痕跡が確認されてきましたが、本年二月以降に検出されたものにつきましては、頻度をふやしまして範囲を拡大するなどしながら各種調査を行っているにもかかわらず、姿やはみ跡などの痕跡は確認されておりません。 このような
状況
を踏まえまして、本年七月に開催されました第二十七回環境監視等
委員
会におきまして、人工物の影響を含めて検証するべきとの指導助言をいただいたことから、その後の環境監視等
委員
会におきまして、引き続きジュゴンの生息
状況
や大浦湾のはみ跡の
状況
を把握するための調査を継続するとともに、並行して、人工物の影響も念頭に置いた発生源の
状況
の確認も実施することといたしております。 その上で、ジュゴンが大浦湾内に来遊することは過去にも確認されておりまして、環境保全図書におきまして予測の前提にもなっていることから、今般検出された音がジュゴンの鳴音であると特定されていなくても、引き続き環境保全図書に基づきまして環境保全措置を講じることで、ジュゴンへの影響を適切に考慮できると考えております。 さらに、今般のジュゴンの鳴音の可能性が高い音の検出を受けまして、環境監視等
委員
会におきまして、ジュゴンの生息
状況
調査の範囲を拡大するとともに、
警戒監視
を
強化
しつつ、現在の環境保全措置を継続していくことにつきまして了承をいただいているところでございます。
赤嶺政賢
78
○赤嶺
委員
長い
答弁
でしたけれども、ジュゴンかどうかの特定への努力が足りない。この半年、同じような
説明
を聞かされてきました。
防衛省
はこれまで、ジュゴンに関する調査は、実績豊富な
専門
コンサルタントが実施し、海洋生物の
専門
家からも助言をもらっていると
説明
しております。海洋生物の
専門
家というのはどなたですか。
土本英樹
79
○
土本
政府参考人
お答え申し上げます。
専門
家からの助言につきましては、大変恐縮でございますが、氏名等を非公表にすることを条件に当該助言を得ているため、氏名等を開示することは困難であることを御理解いただきたいと思います。
赤嶺政賢
80
○赤嶺
委員
専門
家の名前は言えないと。 それで、皆さんがいつも意見を聞いています環境監視等
委員
会の
委員
の皆さんに、この鳴音が録音された音声データは聞いてもらったんですか。
土本英樹
81
○
土本
政府参考人
お答え申し上げます。 普天間飛行場
代替
施設建設事業におきましては、適切な環境保全措置を実施する前提といたしまして、ジュゴンの生息
状況
を把握するために、航空機や
水中
録音装置などを用いたジュゴンの生息
状況
の調査を行っておりまして、その調査結果につきまして環境監視等
委員
会に報告しております。 このうち、
水中
録音装置による調査につきましては、受託業者が録音データを分析し、周波数や持続時間など音響特性も考慮してジュゴンの鳴音の識別を行い、必要に応じて
専門
家の意見も確認した上で、整理した結果を沖縄
防衛
局が提出を受け、これに基づいて環境監視等
委員
会に報告しているところでございまして、録音データそのものは環境監視等
委員
会に示しておりません。 環境監視等
委員
会では、これまでも、航空機や
水中
録音装置などを用いた調査の結果としてジュゴンの行動範囲や行動生態などの知見を総合的に考慮しながら分析、
検討
し、ジュゴンの生息
状況
を確認していただいているものと
承知
しております。 以上でございます。
赤嶺政賢
82
○赤嶺
委員
音声データについて、環境監視等
委員
の皆さんからは聞かせてほしいという要望は出ていないんですか。
岸信夫
83
○
岸国務大臣
これまで、環境監視等
委員
会から録音データの提出は求められておりません。 環境監視等
委員
会では、これまでも、航空機や
水中
録音装置などを用いた調査の結果とジュゴンの行動範囲や行動生態などの知見を総合的に考慮しながら分析、
検討
しており、ジュゴンの生息
状況
を確認していただいているものと
承知
をしております。
赤嶺政賢
84
○赤嶺
委員
防衛大臣
にこの機会にお願いしておきたいんですけれども、この音声データについては、立憲民主党の近藤昭一議員が会長を務めておられる沖縄等
米軍
基地問題議員懇談会、ずっと会合を重ねておりますが、その中で繰り返し提出を求めてきました。国際的にも関心が高く、内外の
専門
家から提供を求める強い要望が出されておりますが、提出に至っておりません。 大事なことは、ジュゴンが存在するかどうか、まず事実を特定することです。
防衛省
において特定に至っていないというわけですから、広く
専門
家の知恵と協力を求めていく必要があると思います。協力したいという
専門
家の方はたくさんいらっしゃいます。 既にあるもの、音声データ、これを提出するだけのことですから、新たに予算がかかるわけでもありません。拒む理由はないはずです。音声データの提出をぜひ御
検討
いただきたい。
大臣
、いかがですか。
岸信夫
85
○
岸国務大臣
沖縄
防衛
局は、受託業者から録音データの識別を終えて整理した結果の提出を受けておりますが、当該業務の契約において、録音データの提出を受けることにはなっておらず、沖縄
防衛
局が保管するものではないために、録音データを提出することは考えていないところでございます。
赤嶺政賢
86
○赤嶺
委員
いえいえ、
大臣
、違いますよ。ちゃんとチェックしてください。音声データの提供を受ける契約にはなっていないと。ところが、契約関係書類を見ますと、
防衛省
が途中段階までの成果物の提出を求めた場合には受注者はその指示に従う、このように明記されているわけですよ。
防衛省
が求めさえすれば提出はできるはずであります。 環境に配慮しているということを、言葉だけでなくぜひ行動で示していただきたいということを、
大臣
、強く要望いたします。契約書で皆さんが求めれば提出できるんですよ。それをやはり
大臣
の決意で出すように、ちゃんと指示していただくようにお願いをしたいと思います。 次に、ジュゴンの姿が確認されなくなったことと工事との因果関係についてでありますが、これまで
防衛省
は、ジュゴンが確認されなくなった時期は、
水中
音や振動を発する工事がピークのときほどではなかったことを理由に、工事の影響とは考えられないと
説明
してきました。ところが、九月八日の環境監視等
委員
会では、この
説明
に疑問を呈する発言が相次ぎました。
防衛省
が公表した議事録によりますと、
委員
の一人は、作業による影響とジュゴンの在、不在の間の関連性について、不確実性があって確証はできないと述べております。別の
委員
は、工事がジュゴンにどう影響を与えるかについては知見は少ないというのが現状である、このように述べております。さらに、別の
委員
は、余りこの中に考察のようなことを書くと事実関係を正しく言い切れないとして、
防衛省
が評価を述べた部分を割愛するよう、このように提案しています。 これらの意見は工事の影響を否定する
防衛省
の見解と矛盾する
内容
になっていると思いますが、
大臣
、そういう
認識
はございますか。
土本英樹
87
○
土本
政府参考人
お答え申し上げます。 今
委員
御
指摘
の環境監視等
委員
会における
委員
の発言につきましては、工事中の環境の実態を把握するための事後調査に関する
令和
元年度の
報告書
の案を御
説明
した際に、形式的な記載ぶりにつきまして、事実関係といわゆる評価、考察が同一の文書内に記載されていることから、より正確な表現となるように、これを区別すべきとの趣旨でいただいたものと
承知
しております。 御
指摘
の発言は、環境監視等
委員
会の
委員
がジュゴンに対する具体的な工事の影響を認めているものではなく、実際、
委員
の指導助言
内容
を反映し、
委員
の確認を得て提出した
報告書
におきましては、工事がジュゴンに影響を及ぼしたとは考えにくいとの評価を記載しているところでございます。
赤嶺政賢
88
○赤嶺
委員
複数の
委員
から出された意見というのは、因果関係については、工事が影響があると言ったとは別に言っていないんですよ、私も。不確実性がある、このように言っているわけです。あるいは、そもそもジュゴンに関する知見が少ない、こう言っているわけです。要するに、ジュゴンのことはまだよくわからないのだから、安易に工事の影響はないなどと結論を導き出すべきではない、これが議論の核心部分であったわけです。 それで、今回公表された
報告書
を見ると、工事の影響とは考えられないとしてきた今までの表現を、考えにくいという表現にトーンダウンさせてはいますけれども、引き続き否定的な見解を示しているわけです。結論を導き出すこと自体ができないと言っているのに、何を根拠に否定的な見解を示し続けているんですか。これは
大臣
にお願いします。
土本英樹
89
○
土本
政府参考人
お答え申し上げます。
令和
元年度事後調査
報告書
第九章のジュゴンの総合的な評価につきましては、先ほど申し上げましたように、事実と評価、考察を書き分ける観点から修正を行ったものでございます。 その結果、
令和
元年度も、平成三十年度から継続工事を実施していることから、ジュゴンが定常的に確認されていた時期を上回る影響があったとは言えないと考えているとの当初の表現は、まず、事実の記載といたしまして、
令和
元年度は、傾斜堤護岸の工事において基礎捨石投入や消波ブロックの設置を行いましたが、上記ピーク時の施工量を上回るものではありませんでしたといたしました。 その上で、評価、考察の記載といたしまして、以上のことから、少なくとも、
令和
元年度に実施した工事がジュゴンに影響を及ぼしたとは考えにくいとの表現に修正をいたしました。 この修正につきましては、本年九月八日の第二十八回環境監視
委員
会の終了後、
委員長
や御意見をいただいた
委員
等に修正案を御確認いただいた後、同年九月三十日に沖縄県に事後調査
報告書
を提出いたしておるところでございます。
赤嶺政賢
90
○赤嶺
委員
大臣
にも
伺い
ますけれども、ただ、今の
事務方
の
説明
はおかしいですよ。今までもこういう
説明
をしてきたわけですよ。環境監視等
委員
会でその
説明
に
異議
が出てきたわけです。ピーク時の施工量を上回る工事をしていなかったからといって、それを根拠に結論を導き出すことはできないだろう、これが
委員
の皆さんから出た今回の意見の核心部分ですよ。それを覆すような新たな根拠を示すことができないと思いますよ。 今までは、工事の影響とは考えられない、こういう表現を、考えにくいという表現に変えたのはなぜですか。その違いも
説明
してくれますか。
岸信夫
91
○
岸国務大臣
委員
の御
指摘
の点ですが、いずれにいたしましても、環境監視等
委員
会では、これまでも、航空機や
水中
録音装置などを用いた調査の結果とジュゴンの行動範囲や行動生態などの知見を総合的に考慮しながら分析、
検討
をいたしまして、ジュゴンの生息
状況
を確認していただいているものと
承知
をしているところでございます。 本事業の実施に当たっては、これまでもジュゴンの影響について適切に配慮して工事を進めてきたところでございますが、引き続いて、環境監視等
委員
会の指導助言をいただきながら、適切に
対応
してまいりたいと考えております。
赤嶺政賢
92
○赤嶺
委員
今までの工事の影響はあるかないか、さんざん議論になって、工事の影響は考えられない、ジュゴンがいなくなったことと関連は考えられないと。ところが、環境監視等
委員
会の中で
専門
家の人たちのいろいろな意見が出て、表現が、考えにくいという言葉に変わりました。その違いは何かということを聞いたんですが、お答えはありませんでした。 しかし、環境監視等
委員
会の議論の経過から見ても、皆さんがジュゴンがいなくなったことと工事の影響はないんだという結論の間には大きな疑問と乖離があるということを
指摘
して、質問を終わりたいと思います。
若宮健嗣
93
○
若宮委員長
次に、杉本和巳君。
杉本和巳
94
○杉本
委員
維新の杉本和巳であります。 きょうは
法案審議
ということでありますが、前回の
大臣
所信で積み残しというか御提言というかあったので、一つだけそれをさせていただいて、
法案審議
という形に進めさせていただきたいと思います。 まず、
新型
コロナウイルス、COVID―19、思い起こしていただくと、ことしの一月、
中国
春節、そして二月に入ってダイヤモンド・プリンセス、そして三月を置いて、四月に緊急事態宣言が発せられるということがありました。夏、八月一日に第二波のピークがあり、そして、昨日ですね、第三波と言われるこの秋のピークなのか、もっと先にピークがまだあるのかわかりませんけれども、第二波を超えるような罹患者数というような
状況
になっているということで、きょうの新聞では、二千二百三という数字だったり、別の新聞では二千二百八という数字が出ていたりしましたけれども、何が正確なのか、新聞報道もよく確認する必要があるというふうに思います。 そういった大変厳しいコロナウイルスの
状況
下にあって、もう皆さん十分御案内かと思いますが、
防衛省
・自衛隊のこの二月にあったダイヤモンド・プリンセスでの
対応
、罹患者ゼロのオペレーション、これは、国際的に見て、台湾の
対応
、今も台湾は非常にすばらしい
状況
にあると思いますけれども、これに匹敵する
防衛省
・自衛隊の
対応
、オペレーションであったというふうに私は
認識
させていただき、多くの方もそう思っていらっしゃると思います。 菅内閣が標榜されているいわゆる縦割り行政の打破という点にもつながるかと思いますけれども、うまくいったことを広く十分
認識
いただくことがやはりピークを抑え目にするし、今後また第四波と言われるようなピークがあったりする可能性も十分あると思いますので、そういった
意味
から確認させていただきたいんです。 現行、厚労省や地方自治体あるいはその関連の保健所並びに各地のコロナ取扱病院、医療施設、これは民間病院等も含んで、あるいは民間の介護、保育の施設等も含んで、そういった方々あるいは機関、組織に対して、
防衛省
・自衛隊のオペレーションのノウハウを共有すべきと感じておりますけれども、そのようなことは実施していただいているかとも聞いておりますけれども、現在、どのような
状況
にあり、より更にそれを強めるなりしていただけるのかどうか。この点、大事なことだと思いますので、ちょっと確認を
大臣
からさせていただければと思います。
岸信夫
95
○
岸国務大臣
今
委員
から御紹介をいただきましたとおり、自衛隊としては、クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号において、延べ約二千七百名の隊員が乗客等に対する医療支援等を行いました。隊員に一人の感染者も出すことなく、
任務
を完遂することができました。この
背景
としては、隊員一人一人が、細やかな手指消毒、またマスクそして感染防護衣の着脱など、基本事項を徹底し、厳しい感染防護基準を満たすしっかりとした防護措置を行った、その結果だと考えておるところです。
委員
御
指摘
のとおり、これらの知見や経験を共有するということは大変有用であると考えています。本年四月以降、自治体からの要請に基づいて、三十三の都道府県の延べ二千三百名の自治体
職員
あるいは医療機関関係者等に対して、手指消毒や感染防護衣の着脱要領などの感染防護に関する教育支援を実施してきております。 また、自衛隊の活動においても、このような知見や経験を生かして、感染防護に万全を期した上で活動を実施しているところでございます。例えば、
令和
二年七月の豪雨に係る災害派遣活動においても、
新型
コロナウイルスの市中感染が広がる中で、活動する隊員の日々の健康確認、マスクの着用を徹底し、災害被災者等と隊員が三密の
状況
にならないように入浴支援や給水支援などを実施することなどによって、一名の感染者も出すことなく、
任務
を完遂することができました。
防衛省
・自衛隊としては、自治体等からのニーズを踏まえて、今後とも、これまで蓄積してきた知見や経験を積極的に共有してまいりたいと思います。
杉本和巳
96
○杉本
委員
御
答弁
ありがとうございます。
防衛省
・自衛隊の存在、憲法上どうなんだとかいろいろ議論もありますけれども、やはりそういったことをしていただくこと、さらに、継続、
強化
していただくことによってその存在の意義といったものが理解、促進されると思いますので、ぜひ
強化
、促進、かつ継続をお願いしておきたいと思います。 次に、私も、この
安全保障
委員
会、久々という感じでございますので、改めて勉強しなきゃいけないということで、言葉の難しさというか、きょうは
柿沢
議員からまた海上の問題というか、
米海軍
の二〇四五年などの問題について御提言がありましたけれども、単語だけでも、ハイブリッド戦とか超限戦とか智能化戦争、インテリジェントウオーフェアというような、長島先生は十分御存じだと思いますが、私にとっては聞きなれない言葉がやはりこの
安全保障
の世界にはあるなというふうに思っていますが、そういう一環で今次法案について確認しておきたいと思います。 宇宙、サイバー、電磁波といった領域、あるいはそれらの統合領域といった分野は極めて重要になっていて、村上議員からは宇宙はどうなんだというような
質疑
もあったかと思うんですけれども、こういった分野、そして、その統合分野について
人材
を育成、養成するということは喫緊の、急務の課題というふうに私は理解しておりますけれども、
防衛省
のその現状
認識
。 現在、陸自の高等工科学校はありますけれども、海自、空自の育成機関は平成二十三年度をもって廃止されているというようなことだと
伺い
ました。こういった海空とか、あるいは宇宙、サイバー、電磁波といった統合領域も含めて、今は陸自だけの高等工科学校でいいのかどうか。海空、あるいはそれ以外の統合領域等のことも踏まえて、機関の再興ないし共同機関の設置等、必要があるのではないかと私は感じておりますけれども、
防衛省
の
認識
を
大臣
から御
答弁
いただければと思います。
岸信夫
97
○
岸国務大臣
今
委員
御
指摘
の宇宙、サイバー、電磁波といった新しい領域における優位性を確保していくこと、これは、従来の延長線上ではない、真に実効的な
防衛力
の構築という
意味
におきまして大変重要である。
大綱
、
中期防
を踏まえて、この新たな領域における
能力
の獲得、
強化
、これを着実に進めていかなければいけませんけれども、そのための
人材
育成、これは重要な課題だと
認識
をしております。 宇宙、サイバー、電磁波といった新領域について、部内の教育や
米軍
への要員の派遣、国内外の留学等により、これを、しっかり
人材
の育成に努めているところでございますが、その上で、
委員
御
指摘
の
人材
育成に係る組織等について申し上げますけれども、陸上自衛隊については、技術関係の知識、技能を有する要員を多数確保する必要があるために、一般曹候補生や自衛官候補生の枠組みで入隊した者の中から、技術関係の知識、技能を有する曹や士を育成しているほか、高等工科学校を設置し、技術関係の知識、技能を有する要員を高校生の年代から育成をしているというところでございます。 一方で、海自、空自についてですけれども、一般曹候補生や自衛官候補生の枠組みで入隊した者の中から、技術関係の知識、技能を有する曹や士を育成しているというところでございます。 このように、高等工科学校は陸上自衛隊のみの組織となっていますが、いずれにいたしましても、
防衛省
・自衛隊として、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域における
人材
育成の
重要性
も踏まえて、優秀な
人材
をいかに育成していくかについて不断に
検討
をしてまいりたいと思います。
杉本和巳
98
○杉本
委員
不断に
検討
いただくということですが、サイバーなんかの分野というかコンピューターの分野というかは、年をとっていくとついていけなくなるという一方で、本当に、小学校、中学校、そのぐらいのときから一種秀でた人があらわれてきている。将棋の世界もそうかもしれないんですけれども。そういった
意味
で、高等学校というところで陸自はありますけれども、むしろ中学校とかそういうときから本当に
人材
をつくっていかないと、いわゆる智能化戦争と
中国
側が言っているような世界で
防衛
を考えていかなきゃいけない世の中になってきているという
意味
からは、具体的にやはりこのことも考えていかなきゃいけないということを申し上げさせていただきたいと思います。 次に、今次
給与等
の引下げに当たり、
防衛大臣
政策参与という方のことも今法案で諮られているということの中で確認しておきたいんですけれども、
防衛省
内に三人以内置くことができるというふうにうたわれておるようです。 ちょっと確認ですけれども、
岸大臣
御就任後、この政策参与というお立場の方の異動などがあったかどうか、現況どうなっているんでしょうかということで、具体的に、どのような方が、どのような御経歴で、何というお名前の方が着任しているのか、ちょっとこの国会の場で確認させていただきたいです。 加えて、
大臣
が期待されているような
役割
というのは、もしそういう方々があるとすれば、どんな
役割
を期待されて今
大臣
の職にあられるかということを確認させていただければと思います。
岸信夫
99
○
岸国務大臣
今現在、
防衛大臣
政策参与につきましては、任命している方はおられません。 この参与は、
防衛省
の所管における重要な事項について、
防衛大臣
に対して直接進言をし、意見具申をしていただくための制度である、こういうふうに理解をしております。 今後、制度の趣旨を踏まえつつ、必要に応じて任用については考えてまいりたいと思います。
杉本和巳
100
○杉本
委員
官邸にいろいろそういった方々はたくさんいらっしゃるようなので、過剰に人件費がかかるという点は留意しなきゃいけないかもしれませんが、本当に、
我が国
の平和と安全、そして領土、領海、領空を守っていただくという
意味
からは、
大臣
も十分御見識をお持ちと拝察しておりますけれども、やはり客観的にアドバイスをもらうといったことも考えていただいてもいいのではないかというふうに思います。 最後、ちょっと概観で一言だけ、これは
防衛省
に御
答弁
いただきたいんですけれども。一昔前に空自の幹部から施設、宿舎などの老朽化が激しいというようなことを言われているんですが、昨今は大分改修等進んでいるやに聞いていますけれども、自衛隊のアコモデーションの
状況
について、概観で結構ですので、御
答弁
いただければと思います。
岩元達弘
101
○
岩元
政府参考人
お答えいたします。 自衛隊の施設、宿舎等の老朽化の問題についての御質問でございます。 自衛隊員がその
能力
を十分に発揮し、士気高く
任務
を全うするためには、隊舎、宿舎等の老朽化対策を始めとした生活、勤務環境の改善を推進していくことが重要であると
認識
しております。
防衛大綱
及び
中期防
において、自衛隊員の生活、勤務環境の改善を最優先事項の一つとしており、これを踏まえまして、毎年度、隊舎、宿舎等の生活、勤務環境施設や老朽化した宿舎の改善を推進しております。 引き続き、自衛隊員の円滑で活発な活動にも資するよう、隊員の生活、勤務環境の改善を推進し、働きやすい環境の整備に取り組んでまいります。
杉本和巳
102
○杉本
委員
ありがとうございます。 もう終わりますが、自衛隊員の募集とか、そういった点からも、アコモデーションについては留意を引き続きいただきたいとお願い申し上げます。 以上です。ありがとうございました。
若宮健嗣
103
○
若宮委員長
これにて本案に対する
質疑
は終局いたしました。 ――
―――――――――――
若宮健嗣
104
○
若宮委員長
これより討論に入ります。 討論の申出がありますので、順次これを許します。赤嶺
政賢君
。
赤嶺政賢
105
○赤嶺
委員
私は、
日本
共産党を代表して、
防衛省
職員
給与法一部改正案に反対の討論を行います。 本法案は、一般職の例に準じて、裁判所
職員
や国会
職員
などと同様に、特別職
国家
公務員である
防衛省
職員
の給与を改定するものです。 人事院は、十月、今年度の一般職
国家
公務員の期末手当について、年間の〇・〇五月分の引下げを勧告しました。この勧告に沿って、
防衛
大学校、
防衛
医科大学校の学生と陸上自衛隊高等工科学校の生徒などの期末手当を一般職と同様に引き下げるものです。
国家
公務員全体の給与切下げの一環をなす本法案には反対であることを申し述べ、討論を終わります。
若宮健嗣
106
○
若宮委員長
次に、杉本和巳君。
杉本和巳
107
○杉本
委員
日本
維新の会の杉本和巳です。 私は、我が党、会派を代表して、今次法案について反対の立場から討論いたします。
我が国
の
安全保障環境
は、宇宙、サイバー、電磁波といった新領域及びそれらの統合領域が惹起していることもあり、日々厳しさを増し続けております。 その中にあって、国民の皆さんの生命財産と領土、領海、領空を徹底的に断固として守り抜くことは、そして平和を堅持することは、
防衛省
・自衛隊に課せられた最大の
任務
、使命であり、かつ極めて難度の高い課題であります。 昨今は少子化が急速に進む社会環境である中、自衛官の
人材確保
、そして将来自衛隊として活躍しようとする学生や生徒の
人材
育成、養成や入学を慫慂することは、
我が国
安全保障
上、必達の課題でもあります。 今次法案は、
令和
二年十月七日の人事院勧告に沿って期末手当を減じようとするものですが、申し上げているように、
安全保障環境
及び社会環境を鑑みると、一般職の公務員の取扱いに準じて
防衛省
関連の大学や高校の学生生徒の手当等を減じることは妥当ではないものと思料されます。むしろ、一般職
職員
と将来の
我が国
防衛
を担う有為の
人材
を分けて措置することが妥当であると思料されます。 よって、今次法案を首肯することは適切ではないのであります。 以上申し上げた理由から、ひっきょう、今次法案には
日本
維新の会及び会派は反対いたします。
若宮健嗣
108
○
若宮委員長
これにて討論は終局いたしました。 ――
―――――――――――
若宮健嗣
109
○
若宮委員長
これより採決に入ります。
内閣提出
、
防衛省
の
職員
の
給与等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
若宮健嗣
110
○
若宮委員長
起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました
法律案
に関する
委員
会
報告書
の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
若宮健嗣
111
○
若宮委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――
―――――――――――
〔
報告書
は附録に掲載〕 ――
―――――――――――
若宮健嗣
112
○
若宮委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十八
分散
会