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2020-11-13 第203回国会 衆議院 安全保障委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年十一月十三日(金曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長 若宮 健嗣君    理事 小田原 潔君 理事 大塚  拓君    理事 長島 昭久君 理事 宮澤 博行君    理事 山本ともひろ君 理事 重徳 和彦君    理事 村上 史好君 理事 遠山 清彦君       井出 庸生君    池田 道孝君       岩田 和親君    大西 宏幸君       大野敬太郎君    門山 宏哲君       木村 哲也君    北村 誠吾君       塩谷  立君    杉田 水脈君       高木  啓君    出畑  実君       中谷  元君    丹羽 秀樹君       西銘恒三郎君    野中  厚君       原田 憲治君    山下 貴司君       渡辺 孝一君    柿沢 未途君       篠原  豪君    照屋 寛徳君       本多 平直君    屋良 朝博君       佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君       杉本 和巳君     …………………………………    外務大臣         茂木 敏充君    防衛大臣         岸  信夫君    外務大臣        鷲尾英一郎君    防衛大臣        中山 泰秀君    環境大臣政務官      神谷  昇君    防衛大臣政務官      大西 宏幸君    防衛大臣政務官      松川 るい君    政府特別補佐人    (内閣法制局長官)    近藤 正春君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 遠藤 和也君    政府参考人    (外務省総合外交政策局長)            山田 重夫君    政府参考人    (外務省総合外交政策局軍縮拡散科学部長)   本清 耕造君    政府参考人    (外務省北米局長)    市川 恵一君    政府参考人    (環境省大臣官房審議官) 森光 敬子君    政府参考人    (環境省大臣官房環境保健部長)          田原 克志君    政府参考人    (防衛省大臣官房長)   芹澤  清君    政府参考人    (防衛省大臣官房審議官) 村岡  猛君    政府参考人    (防衛省防衛政策局長)  岡  真臣君    政府参考人    (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君    政府参考人    (防衛省地方協力局長)  鈴木 敦夫君    政府参考人    (防衛省統合幕僚監部総括官)           加野 幸司君    政府参考人    (防衛装備庁長官)    武田 博史君    安全保障委員会専門員   奥  克彦君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十三日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     丹羽 秀樹君   大岡 敏孝君     杉田 水脈君   西銘恒三郎君     木村 哲也君   原田 憲治君     野中  厚君 同日  辞任         補欠選任   木村 哲也君     高木  啓君   杉田 水脈君     出畑  実君   丹羽 秀樹君     井出 庸生君   野中  厚君     原田 憲治君 同日  辞任         補欠選任   井出 庸生君     江渡 聡徳君   高木  啓君     池田 道孝君   出畑  実君     大岡 敏孝君 同日  辞任         補欠選任   池田 道孝君     西銘恒三郎君     ――――――――――――― 十一月十二日  防衛省職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  防衛省職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第七号)  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 若宮健嗣

  3. 若宮健嗣

    若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 若宮健嗣

    若宮委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大野敬太郎君。
  5. 大野敬太郎

    大野委員 自由民主党大野敬太郎でございます。  きょうは、菅政権発足後初めての安全保障委員会質問ということでございまして、こういう機会をいただきました理事先生方には改めて感謝を申し上げる次第でございます。  一方、同時に、岸大臣にとっても、初めての国会というか、初めて大臣としての質問に当たるということで、対戦相手が私ごときで大変がっかりされたかもしれませんが、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。  まず冒頭、先般、香川県で発生いたしました鳥インフルエンザ緊急災害派遣の要請に対しまして本当に御尽力をいただきました自衛隊の皆さんあるいは関係省庁皆さんには、改めて、この場をおかりして感謝を申し上げたい、このように思っています。  さて、先ほど菅政権発足後初めてのと申し上げましたけれども、アメリカに目を向けますと、大統領選がございました。まだ結果をめぐってくすぶっているところがあるようでありますけれども、いずれにせよ、新しい体制が築かれるということに相なるんだと思います。  動向を見ますと、やはり安全保障戦略というのも恐らく大なり小なり、何かしらは変わっていくんだろうということも想像はできるわけでありますけれども、改めてでありますけれども、大臣として、日本安全保障戦略、特に日米同盟、この深化に向けて一体どのような取組をなされるのか。所信にもお触れになられましたので、改めてお聞きをさせていただきたいと思います。
  6. 岸信夫

    岸国務大臣 大野委員にお答えをいたしたいと思います。  初めての答弁ですので、どうぞよろしくお願いします。  大統領選につきましては、先般、バイデン候補が当選確実というような状況になっております。  昨日、菅総理からも、バイデン次期大統領との電話会談が実施されて、その中で、バイデン次期大統領に対して祝意が述べられた、こういう状況であるということでございます。  いずれにいたしましても、日米同盟我が国安全保障基軸であるということに変わりはない、インド太平洋地域の平和と自由、また安定、繁栄のまさに礎である、こういう状況であります。  防衛省としては、日米防衛協力のための指針、また防衛大綱を踏まえて、日米同盟抑止力対処力の一層の強化に取り組みますとともに、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえて、日米基軸となって望ましい安全保障環境創出に取り組んでまいりたい、こういうふうに思います。  また、幅広い分野における日米防衛協力という観点から、具体的には、宇宙サイバー電磁波といった新たな領域における協力、これをしっかり進めていかなければいけない、インド太平洋地域における能力構築支援で緊密な連携をとっていく、そして、そういった新たな領域についてもしっかり取り組んでいくことは何より重要である、こういうふうに考えております。
  7. 大野敬太郎

    大野委員 実はきのう、たまたまインターネットを見ていまして、急遽ちょっと理事先生方お願いをさせていただいたんですけれども、アメリカ国内の、まあアメリカ人ですよね、が一体中国をどう見ているのか。これはこの委員先生方もよく御存じのとおりでありまして、かなり厳しい見方が年々高まっている。厳しい見方が高まっているというのは共有されているんだと思いますが、政党支持ごとのそういう傾向というのを改めて、これは実は、ピュー・リサーチ・センター、これは結構有名なシンクタンクでありますが、ここの中に載っていました。結構びっくりですね。  実は、否定的に見ている人は、共和党は八三%、民主党は六八%。一五%ぐらいギャップがありますよ。中国コロナ対応は悪かったんだと思う人は、共和党八二、民主党五四。これは二八ポイントぐらいあるんですかね。  次のページに行きますと、中国は敵だと思っている人は、共和党三八、民主一九。一方で、下に行きまして、経済分野ですよね、要するに、経済よりは圧力だというふうに考えている人というのは、ここも強烈なんですよね、六六対三三%。結構開きがあるんです。  民主主義の国ですから、やはり国民の声というのは物すごく、我々もそうでありますが、慎重にその皆さんの声を拾い上げていかなくちゃいけない。ある種、国民皆さんの方向にしっかりと向いていかないといけない部分になってしまう部分もある。こういったことを考えたときに、もちろん、安全保障戦略ですから、国民がこう思うんだといって直ちにこれに過敏に反応するとは思えませんが、やはり変わらざるを得ない部分は変わらざるを得ないんだろう、こういうことを思うんです。  そう思ったときに、過去、私が初当選する前というのは、アメリカというのはもっともっと今以上に、日本よりもはるかにアメリカは融和的でありました。我々の方がはるかに中国に対しては強硬な姿勢を保っていたように思います。過去五年とかそのぐらいでもう激変してしまうんだということを改めて私、最近すごく思うんです。  そういった意味で、もちろん、例えば安全保障戦略というのが、日本が持っているものがあります。あった上で、アメリカが変わったとしても、やはりこういくんだ、ど真ん中で我々はこうしていくんだというような戦略というのはやはりしっかりと持っていかなくちゃいけない。  私、これはすごく思っているところで、アメリカ政治国内政治が右に行ったり上に行ったり下に行ったり左に行ったりということになっても、ある種、その戦略に追従するべき部分はあると思いますが、やはりしっかりと真ん中部分は保っておかなくちゃいけないというのは改めて思うところなんです。  その上では、やはり世界秩序というのを安定化するのに我が国独自の方法で、我が国なりのやり方でしっかりと貢献していくということで、努力が必要なんだと思うんです。ただ、もちろんそれは、アメリカを完全に無視してということはないので、日米同盟が前提になっていくんだろう、そう思っております。  そういった意味で、国際秩序安定化に対する貢献という意味で、大臣として、どういうツールがあって、どういう戦略を描いてやっていくべきなのかということを改めて私、御答弁いただきたいなと思いまして、ちょっとお願いをさせていただきます。
  8. 岸信夫

    岸国務大臣 我々は、何よりも国民の平和な暮らしを守っていく、こういう大きな責務があるわけです。その中で、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していく中でも、このことだけは崩せないわけですね。不確実性が増してくる、厳しさが増してくる、その中で、みずからを守っていく主体的、自主的な努力ということを抜本的に進めていかなければいけない。その果たし得る役割の拡大を図り、日米同盟抑止力対処力を一層強化していくということだと思います。  一方、防衛省として、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえて、同盟関係基軸としつつ、我が国と基本的な価値を共有する米国以外の国々との間でも、共同訓練とか演習、能力構築支援防衛装備技術協力、こういった分野我が国のさまざまなノウハウを生かして推進をしていく、幅広い防衛協力を実施していきたい、こういうふうに思います。  具体的には、自由で開かれたインド太平洋維持強化に向けて、豪州やインド、それから英、仏などの欧州諸国、ASEANや南アジア諸国島嶼国、こういったところとの防衛協力、交流に取り組みまして、インド太平洋を含めての国際社会に対しての安定と平和に向けた貢献を果たしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。  各国との安全保障協力強化我が国自身安全保障にとっても不可欠である、こういうことが言えると思います。しっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。
  9. 大野敬太郎

    大野委員 ありがとうございます。  ちょっと今、お話を伺っていてふと思い出したのが、国家安全保障戦略、何年ぐらいたつんですかね、何年かたつと思いますけれども、八年ぐらいたつと思いますけれども、これは全然改定をされていません。実は、書いている内容というのもかなり古びた内容のものになってしまっている。  もちろん、改定しにくい部分があるのは理解します。実務的にもアメリカ安全保障戦略にもかかわってくるかもしれない、その中で今変えるのか、いや、それは無理だよねとか、あるいは、今の現状とこれに書かれたことがギャップがあり過ぎて、直ちに出すとハレーションが起きる。いろいろな観点があるんだと思いますけれども、今さっき申し上げたような我が国独自のちゃんとした戦略をど真ん中で持っておくこと、これをピンどめしていくこと、これを世界にインフルエンスしていくこと、我々はこう思っているんだということを世界じゅうにインフルエンスしていくこと並びに国内の中にインフルエンスしていくことというのが非常に重要だと考えるならば、これはやはり、もうぼつぼつ、まあ、タイミングというのがありますからいつとは言いませんけれども、変えるべきだろうなということをすごく思っているところでございます。これは防衛大臣にお聞きはいたしませんので、またいつかお話ができればと思っています。  先ほど防衛大臣がお答えいただいたように、例えば、防衛協力のネットワークを張るとか、宇宙サイバー電磁波にも触れられましたけれども、この分野での日米協力、そういったある種のリンチピンといいますか、機関化ですね、部分部分での、領域領域での機関化、こういうことをちゃんとなし遂げることによって、日米同盟安定化、さらには世界秩序安定化というのに努力をしていくべきなんだろう、そういうことを思っています。  そういった意味で、きょうぜひお伺いをしたかったど真ん中の話が宇宙領域でございます。実は、今喫緊の課題日米関係といえば、やはり駐留経費負担交渉の問題なんだと思うんですけれども、これはぜひ、断固阻止をしていただければと思います、もし負担の増額なんというのを望まれるのであれば。ただ、協力できる領域、ここを協力したら価値というのがますます広がっていくという領域には積極的に取り組んでほしいなと思います。  宇宙領域、実は、経済波及効果という意味では、二〇三〇年ぐらいまで見詰めると十七兆円ぐらいになるとも言われています。アメリカなんかでも積極投資されているのはそういうことなんだと思います。これが投資が行われることによって、逆に安全保障分野での調達コストも下がっていく、そういうことがすごく重要な観点なんだと思います。  そういった観点で、きょうはこういった議論を私はしたかったんですけれども、今具体的に、SSAとかSDA、あるいはコンステレーション、最近、議連に上っています。昨日も、実は自民党の中でも議論がありましたけれども、宇宙領域というのは、例えばいろいろなオペレーションを考えたときに、キルチェーンというのがありますよね。偵察をして探索してターゲティングしてという、こういったキルチェーンというものの中に、各フェーズでそれぞれの宇宙への依存度というのが全部七割以上なんですよね。これこそまさに将来的に守っていかなくちゃいけない分野だろうな、そういうことも思いますので、将来のためにぜひここを積極的にやってほしいという観点から、ぜひここの部分現状取組についてお答えいただければと思います。
  10. 岡真臣

    岡政府参考人 お答え申し上げます。  宇宙利用関係で、まず衛星コンステレーションについて申し上げますけれども、これは委員御案内のとおりだと思いますが、アメリカにおきまして、ミサイルの探知追尾、通信、偵察、測位、宇宙状況監視といったことを行う衛星メガコンステレーション計画が進展をしているという状況でございまして、こうした取組が実現をいたしますと、いわゆる極超音速滑空兵器のようなものであっても宇宙空間から遅滞なく探知追尾できる可能性もあるのではないかといったようなことも言われているところでございます。  こうした動向も踏まえまして、防衛省といたしましては、アメリカとの連携念頭に置きながら、衛星コンステレーションによるHGV探知追尾システム概念検討を実施するために、令和三年度概算要求に約一・七億円を計上しているところでございます。  衛星コンステレーションにつきましては、宇宙領域における日米連携強化必要性ということも踏まえつつ、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。  また、SSAについてでございますけれども、防衛省におきましては、令和五年度から運用を開始すべくSSAシステムを整備しているほか、令和八年度の打ち上げを目指してSSA衛星の導入を進めるなど、宇宙空間状況を地上及び宇宙空間から常時継続的に監視する体制構築しようとしているところでございます。  その際、防衛省といたしましては、JAXAや米軍システムとの連接ということも行うとともに、民間SSAのデータも活用いたしまして、リアルタイムで情報共有できるよう相互補完的な運用体制構築を目指しております。  こうした宇宙領域における能力強化に際しましては、民間企業との連携ということも欠かせないところでございますので、先日、これは事務レベルでございますけれども、いわゆるスタートアップ企業との意見交換ということも行っておりまして、そうした事業も進めてまいりたいと考えているところでございます。  以上のような視点も踏まえつつ、引き続き、米国とも協力をしながら、宇宙領域における能力強化に取り組んでいきたいと考えております。
  11. 大野敬太郎

    大野委員 時間が残念ながら過ぎてしまいましたので、ここで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  12. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、遠山清彦君。
  13. 遠山清彦

    遠山委員 公明党遠山清彦でございます。  岸防衛大臣、御就任おめでとうございます。また、茂木外務大臣もよろしくお願いいたします。  私も久しぶりに安保委員会理事として戻ってまいりまして、また、公明党におきましても安保部会長を仰せつかっておりますので、大事な課題が多いので、この国会審議の場、また与党の審査の場でもいろいろと意見を交換させていただきたいと思っております。  本日は、最初の質疑でもございます。先ほど大野委員からもありましたとおり、アメリカの、バイデン大統領と呼んでいいんでしょうか、当選が確実となって、政権移行がこれから本格化すると思われます。この新政権の誕生によりまして、米国政治安定性が増し、予見可能性も増し、そして国際協調主義の流れが強くなること、これは期待を率直にいたしたいと思いますし、歓迎をしたいと思っております。  他方で、トランプ政権のトップダウン型からボトムアップ型に政権構造が変わる可能性が高いと専門家指摘をしておりまして、ということは、トップとだけ調整していればいい時代というのは終わるということでございます。  また、詳細は当然わかりませんけれども、バイデン次期大統領のもとの新政権は、軍事費を削減して、その裏返しとして日本負担増を求めてくる可能性があるのではないかという指摘もございます。  ちょうど今、いわゆる思いやり予算駐留米軍経費の次の負担のあり方について日米協議が始まっているところでございますし、これは来年の三月末までに決着をしなければいけないということでありますから、これらのようなことも念頭に、バイデン政権にどう向き合っていくのか、防衛大臣外務大臣、それぞれから見解を伺いたいと思います。  なお、これは通告しておりませんのでコメントは不要ですが、けさの新聞報道を読みますと、菅総理との電話会談の中で、バイデン大統領みずから、尖閣諸島に関して、安保条約第五条の適用を確約すると断言をされたと言われております。これは、まだ大統領に就任されていない方の御発言としては異例のことだと思いますが、六年前のオバマ元大統領以来の御発言でありまして、これは歓迎をしたいと思っておりますが、いずれにしても、両大臣バイデン政権に対する基本姿勢をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  14. 岸信夫

    岸国務大臣 遠山委員にお答えします。  日米関係は、いかなる政権であっても日米同盟というものが我が国安全保障基軸である、こういうことは何ら変わりはないもの、こう思っております。インド太平洋地域の平和、自由、繁栄のまさに礎でありますし、防衛省としては、ガイドラインや防衛大綱、こういうものを踏まえて、日米同盟抑止力対処力の一層の強化に取り組んでいきたい、こういうふうに思います。また、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえて、日米基軸となって望ましい安全保障環境創出に取り組んでまいりたい、こういうふうに思います。  先ほども述べましたけれども、幅広い分野での日米防衛協力強化、具体的に、宇宙サイバー電磁波といった新領域での協力推進や、それから、インド太平洋地域における能力構築支援、こうした考えのもとで緊密な連携をとっていく、防衛装備技術協力強化、こういったものにも積極的に強力に進めていきたい、こういうふうに考えております。
  15. 茂木敏充

    茂木国務大臣 日米同盟は、日本外交安全保障基軸でありまして、インド太平洋地域国際社会の平和と繁栄の基盤となるものであります。日米安保条約、ことしで六十周年を迎えるということでありまして、かつてなく強固な日米同盟次期政権においても変わらない、このように考えております。  バイデン次期大統領選挙戦を通じて、気候変動であったりとか同盟関係、これを重視する姿勢を示しておりまして、まだ政権発足前でありまして、恐らくサンクスギビングの前ぐらいには主要な閣僚等々も決まってくるのではないかなと見ておりますけれども、新政権で打ち出されます外交政策の方針、そして、外交安全保障政策を担う幹部、どのような陣容になってくるか、これも注視をしたいと思っております。  昨日の菅総理バイデン大統領との電話会談日米同盟強化であったりとか国際社会共通課題について日米で緊密に連携していくことが確認をされまして、御指摘のように、バイデン次期大統領の方から、安保条約の第五条、これが尖閣諸島に適用される、こういうコミットメントも示されたところでありまして、大変意味のある第一歩になったと思っておりまして、引き続き日本として日米同盟を一層強化をしていきたいと思っております。
  16. 遠山清彦

    遠山委員 岸防衛大臣も長く外務大臣を務められておりましたし、茂木大臣はいろいろな国際交渉をずっとされてきたお二方でございますので、ぜひ早急に新しい政権と、日米同盟が本当に強固な形で継続、発展をしていくように努力されんことを期待しております。  続きまして、多次元統合防衛力構築に関して防衛大臣に伺いたいと思います。  私、前回の防衛大綱策定与党協議のメンバーとして参画をさせていただきました。多次元統合防衛力構築が新しい防衛大綱で、今の防衛大綱で目標になっているわけでございますが、近年の急速な先端技術の開発とその軍事への適用が進む中で、日本を取り巻く安全保障環境はいよいよ厳しさを増しているという認識を我々公明党の中でも持っているわけでございます。  この認識のもとに、専守防衛を旨とする我が国も、先ほど大野委員も言及されていましたが、宇宙サイバー電磁波などの領域、クロス・ドメインとも言われておりますが、ここにおける能力を向上させる必要があると思っております。本年九月に公明党安保部会から政府に提出をした重点政策提言でもこのことは強調されております。  その上で、防衛大臣、きょう私、具体的に三つ、個人的に重要だと思う具体的な項目を例示したいと思いますが、一つは、電磁波領域連携して、相手方の指揮統制、情報通信を妨げる能力構築、これが一つ目。  二つ目は、装備品に搭載されている情報処理システムを標的とした相手方からのサイバー攻撃への対処の能力。一番わかりやすい例は、護衛艦などに、もう今はこういう時代ですから全て情報処理システムが載っているわけでありますし、情報収集システムも載っているわけですが、そこを目がけて相手方がサイバー攻撃をしてきたときに、それをどう防ぐかという能力、これを構築しなきゃいけない。  それから三つ目に、これはまだまだ初期の研究段階かもしれませんが、いわゆるEMP、電磁パルス弾等の導入の研究。  この三つをあえて強調させていただきたいと思いますが、これらの分野における能力を高めて防御的運用を遺漏なく図れるということを確立することが日本独自の抑止力を高めることにつながると考えておりますが、防衛大臣の見解を求めたいと思います。
  17. 岸信夫

    岸国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境、本当に格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増している、こういう状況だと思います。そういった中で、国民の命、平和な暮らしを守り抜く、このためには、防衛大綱、中期防を踏まえて、能力強化先端技術の獲得を進めて、いわゆる多次元統合防衛力構築を図ることがまさに重要である、このように考えております。  委員の御指摘の、新領域における相手方の指揮統制、情報通信を妨げる能力については、大綱、中期防に基づき、有事において、我が国への攻撃に際して、当該攻撃に用いられる、相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力等の新たな領域における能力強化に取り組んでまいりたいと思います。  次に、装備品に搭載される情報システムに対するサイバー攻撃については、サイバー攻撃を受けた場合でも情報システム運用可能な状態に回復するためのサイバーレジリエンス技術の研究を行っている。装備品の情報システム自体の脆弱性を排除するための効果的な取組について、今後検討を進めてまいりたいと思います。  さらに、電磁パルス弾の導入の研究でございます。電磁パルス弾を構成する要素である電磁パルス放射機構の小型化及び高出力化を目指して、技術の確立に取り組んでいるところでございます。  防衛省としては、こうした能力強化先端技術の獲得を進めることを通じて、多次元統合防衛力構築を一層進めてまいりたい、こういうふうに思っています。
  18. 遠山清彦

    遠山委員 ぜひ大臣のリーダーシップのもとにしっかり進めていただきたいと思います。  次に、両大臣に簡潔にお伺いをいたしますが、ここ数年、特定通常兵器使用禁止制限条約、いわゆるCCWの会合で集中的に議論されてきましたLAWS、これは自律型致死兵器システムでございますが、別名完全自律型AI兵器等とも呼ばれておりますが、日本政府の基本的な立場を確認したい。  これは、私の理解では、日本はLAWSを開発しないということを明言しているということであります。もちろん、有意な人間の関与を確保した上で、自律性を一定程度持つ装備品の導入を図ることには我が党も反対はしていないわけでありますが、つまり、裏返して言えば、人間の判断、関与が全くない中で、人工知能等が目標を設定して実際に攻撃命令を下すということは、これは許されない、こういうふうに思っておりますが、両大臣の見解を簡潔にお伺いをしたいと思います。
  19. 岸信夫

    岸国務大臣 委員お尋ねのLAWS、この定義については、まだ国際的にはコンセンサスが得られていないもの、こういうふうに承知をしております。  その上で、これまで答弁してきたとおり、防衛省・自衛隊においては、人間が介在しない致死性の兵器は現存せず、これに関する研究開発を行う具体的な計画はありません。  当然のことながら、国際法や国内法により使用が認められていない装備品の研究開発を行うことはございません。  他方、防衛省としては、隊員の安全確保や負担軽減を目的とした、いわゆるAIや無人装備については研究開発を進めて、積極的に技術基盤の向上に努めていく必要がある、このように考えております。  ただいま申し上げた目的での無人装備等の利活用への影響等の観点から、LAWSに係る国際的な議論に参画してまいりたいと考えております。
  20. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今、岸防衛大臣の方からもありましたように、我が国として、完全自律型の致死性を有する兵器は開発しないとの立場であります。  一方、有意な人間の関与が確保された自律性を有する兵器システムにつきましては、ヒューマンエラーの減少、そして省力化、省人化といった安全保障上の意義を有しているものである、このように考えております。
  21. 遠山清彦

    遠山委員 ありがとうございます。  大分時間がなくなってきたので簡潔で結構ですが、ことしの十二月、もう来月ですけれども、LAWSに関する国際会議を東京で開催するという意向を今年度予算編成の際に外務省は持っていたわけでございますが、このコロナの影響もございます。これを予定どおりされるのか、また、予算ということでいいますと、来年三月末、年度内にこれをやるという意向なのか、簡潔に御答弁を、事務方からで結構でございます。
  22. 本清耕造

    ○本清政府参考人 お答え申し上げます。  遠山先生御指摘のとおり、我が国としては、本邦におけるLAWSに関する国際会議の開催を今年度検討してまいりましたが、コロナウイルス感染症の状況を踏まえて、本年度は困難な状況にあると考えております。これは、やはり議論がまだ収れんしていない中で、フェース・ツー・フェースでの議論が大切だと思っているためでございます。  ただ、本年度中に開催できない場合には、御指摘を踏まえて、来年度に開催することを含めてさまざまな選択肢を検討していきたい、こう考えております。
  23. 遠山清彦

    遠山委員 ぜひ来年度に開催をされんことを期待いたしまして、私の質疑を終わります。  ありがとうございました。
  24. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、重徳和彦君。
  25. 重徳和彦

    ○重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。  伝統ある安全保障委員会におきまして、今期から野党の筆頭理事を務めさせていただくことになりました。長年の経験とリーダーシップをお持ちの茂木外務大臣、そして新たに就任されました岸防衛大臣の胸をかりる気持ちでやってまいりたいと思います。また、長島筆頭には大変お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、私からも昨日の菅総理バイデン次期大統領との電話会談内容についてお聞きしようと思ったんですけれども、先ほど、概要については遠山委員への御答弁で茂木大臣がお答えになりました。尖閣諸島安保条約五条の適用が明言されたというふうに御答弁、そして意味のある第一歩であるというコメントを茂木大臣からいただいておりますけれども、一つだけ気になるのが、現トランプ大統領の再選の可能性ということについては、政府としてどう捉えておられるのかということを確認したいと思います。
  26. 茂木敏充

    茂木国務大臣 米国大統領選挙の最終的な結果が確定するのは、まだ時間を要するものと承知をいたしております。  各州におきまして投票人が投票する、これが合衆国法典の第三編の一条の五項と七項で規定をされておりまして、十二月の第二水曜日の次に来る月曜日、これが投票する日になりまして、その六日前、これが各州において確定をする日、これがことしは十二月の八日ということになると思うんですが、いずれにしても、最終な確定には時間を要すると承知しておりますが、接戦州の状況を含め、各州の情勢を踏まえて、バイデン氏が次期大統領に就任する、勝利する、確実になっていると考えております。
  27. 重徳和彦

    ○重徳委員 わかりました。  それでは、安全保障のテーマとして、イージス・アショア、ちょっと迷走しておりますけれども、これについて質問をさせていただきたいと思います。  立憲民主党におきましては、先月から外交安全保障・主権調査会というものを立ち上げまして、そこに、今ちょっと外しちゃっているけれども、篠原豪委員が会長を務められ、私自身が事務局長を務めさせていただいておりまして、やはり必要なことは、現状認識を、これは政府との間でも、あるいは与党、野党の間でもある程度共有をしていくということが我が国の平和、安全を守るために必要なことではなかろうか、それ抜きに与野党あるいは政府との間で建設的な議論はなかなかできないんじゃないかな、こんなことを私は考えております。  そういう意味で、大事な所信への質問なので、ちょこちょこと再質問もさせていただくかもしれませんが、大臣、できるだけ御自身の言葉でお答えいただければと思います。  まず、イージス・アショアでありますが、平成二十九年、三年前に、閣議決定におきまして、北朝鮮の核・ミサイル開発がより重大かつ差し迫った新たな段階の脅威だ、こういう認識に基づいて、我が国を二十四時間三百六十五日切れ目なく守るために設置する必要がある、そういう時期だったと言うとあれですけれども、そんな認識を当時政府として持っておられたと思います。  それが、ことし六月に公表されたわけですけれども、河野前大臣の御判断もありまして、ブースターが確実に海に落下するためには、ソフトウエアのみならずハードウエアを含めシステム全体の大幅な改修が必要となり、相当のコストと期間を要することが判明して、イージス・アショア配備計画は停止をしたという経緯でございますが、この前大臣の判断は今なお正しかったというふうに岸新大臣は思われますか。
  28. 岸信夫

    岸国務大臣 イージス・アショアの配備に関しては、今、重徳議員からも御紹介がありました経緯をたどって、そして配備の停止、こういうふうになったわけでございます。  私も、配備予定地がむつみ演習場、これは山口県の中ということで、地元に近いということでいろいろと注目をしていたところなんですけれども、何より、配備に対しての説明の段階で、新屋演習場では海上に落下させる、むつみの場合は演習場内に落下させることが可能である、こういうような説明をして住民の皆さんに御理解を求めてきたことがございます。  しかしながら、五月の下旬の段階で、想定していたソフトウエアの改修のみでは不十分であるということ、そして、ハードウエアを含むシステム全体の大幅な改修が必要であって、そのためには相当のコストと期間が必要だ、こういうことになりました。このコストと期間をかけて改修することが合理的ではない、こういう河野大臣の判断でございました。  何よりも、地元に説明していたことと違っていた、違ってしまった、こういうことがあったと思います。そういう状況の中で、河野大臣の当時の判断は私は正しいものであった、こういうふうに考えておるところでございます。
  29. 重徳和彦

    ○重徳委員 判断はいろいろ、ブースターによって、もちろん地元住民との関係におきまして、これはもうもたないというような御判断もあったとは思うんですけれども、配備を停止するということであれば、それにかわるものとしてこうするからというのがあって、あわせてセットでそれを表明するというのが本来だとは思います。それは、安全保障環境に対する認識が先ほど申し上げましたとおりであることが前提ならばというふうに思います。  今また海上にイージスをというような話になりつつあると承知しておりますけれども、なぜその前に、陸上のイージスをほかの場所に配備するという、この調査もやりかけていたはずですよね、調査は終わったのか、その結果もよくわかりませんけれども、陸上イージスの配備可能な場所、ほかに再調査するということについてはどのようにお考えでしょうか。
  30. 岸信夫

    岸国務大臣 イージス・アショアの代替案につきましては、現在、イージス・アショアの構成品を移動式の洋上プラットホームに載せるという方向で、米政府や日米民間業者を交えて、あるべき方策を取りまとめていくべく鋭意検討を進めている、こういう状況でございます。  現時点においても、陸上の場合、さまざまな調査を行った上で、適切な場所がない、こういうところから判断をしたものであって、そういう意味では、きちんと調査をした上で洋上のプラットホームという案になったわけでございます。
  31. 重徳和彦

    ○重徳委員 さまざま、陸上イージスを配備するための調査を行った結果、陸上には配備しないという結論を出したという理解でよろしいですか、今のは。確認です。
  32. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、代替案としては、いわゆるイージスシステムは陸に置いて、発射装置、いわゆるVLSを海上、こういうことも、これを陸上案の代替案として検討することは行いました。しかしながら、その陸上案については、イージス・アショアの配備に適している代替地を見つけることが大変困難であった、こういうことである旨発表いたしまして、それ以降、更に省内においても調査を継続するのも、適当な代替地はないという結論に達したわけであります。  また、陸上にレーダーを設置し、洋上プラットホーム、失礼、迎撃の成否ですね、イージスウエポンシステムそれから垂直発射装置間の通信が左右されてしまう、そういう脆弱性があるという課題もございました。  配備地によって、垂直発射装置側に追加の装置がまた必要になってしまう。結果、全体経費が増加する可能性がある。  加えて、洋上に垂直発射装置を配備する場合に、常時持続的な防護体制は、定期整備や気象の関係、気象の影響を受けるということになりますので、海上案と同様の問題を包含している、こういった論点が存在する、こういう確認が終わったわけです。  このために、陸上案は現時点では困難性が高いもの、こういうふうに考えられ、現在、イージス・アショアの構成品を洋上プラットホームに搭載する方向で検討を行っている、こういうことであります。
  33. 重徳和彦

    ○重徳委員 私の印象なので、ちょっとこの後も議論させていただきたいんですが、さまざまな具体的な課題がある、そういう調査報告があるんだと思いますけれども、そもそも、もともと、二十四時間三百六十五日切れ目のない、北朝鮮からのミサイルへの防衛体制を築くんだ、それに加えて、海上自衛隊への負担だとか、南西海域の安全保障とか、そういったことも含めて陸上のイージスが必要だ、こういう現状認識に立った三年前の判断だったというふうに思うんですが、どうもいろいろな動きを見ていると、その現状認識がこの三年間で変わってきたのか、きていないのかというあたりが大変気になるわけであります。  ここで確認しますが、陸上イージスの代替策の検討状況、洋上でという話でありましたが、具体的に報道で出ているのは、イージス艦二隻を新しくつくる、こういう検討に入ったという報道が現にありますね、まだ調査中なのかもしれませんが。報道の解説なので、ここで政府のちゃんとした解説をお聞きしたいんですが、イージス艦を整備する、これはもう多機能のイージスであって、単に弾道ミサイルを撃ち落とすためだけではないというふうに、いわば現状認識が変わってきているのではないか。  つまり、今までは、弾道ミサイルを撃ち落とすために二十四時間三百六十五日安定的にやれる体制が必要だということで陸上イージスを急いでいたわけですが、ちょっと必ずしも釈然としない理由とおっしゃる有識者もいますよね。ブースターが落下するということを避けられないということをもって核抑止の鍵となるイージス・アショアを停止するというのはどうか、こういう意見もある中で、今度は多機能な、弾道ミサイルだけじゃない、人によってはIAMD、統合防空ミサイル防衛の機能を持たせるとか、もし本当にそこまで必要なんだとすれば、前提となる現状認識がもう既に変わっているというふうに理解するべき局面に来ているのではないかと思うんですが。  ここまでしゃべった上で、イージス艦二隻新造という報道はどこまで事実なんでしょうか。検討状況を教えてください。
  34. 岸信夫

    岸国務大臣 このイージス・アショアの代替案については、先ほどからも繰り返しになりますけれども、現在、イージス・アショアの構成品を移動式の洋上プラットホームに搭載する方向で調整をしております。米政府や日米民間事業者を交えて、あるべき方策を取りまとめるべく検討中でございます。まだ、逆に言いますと、それ以上のものは何も決まっておりません。  さまざまな報道はございますけれども、それ以上のものは決まっておりませんので、発言も控えさせていただきたい、こういうふうに思っています。
  35. 重徳和彦

    ○重徳委員 このイージス艦を、まあイージス艦かどうか決めつけちゃいけないのかもしれませんが、結局、洋上の船というような方向だというふうな、これは臆測も含めて伝え聞いているわけですけれども、そもそもイージス艦は、北朝鮮からのミサイルへの対応ということで、これは二〇一六年八月から二〇一八年六月までですか、イージス艦一、二隻を当時日本海に派遣をしていた。当時はまだ八隻そろっていなかったと思いますので、もっと少ないイージス艦の中で一、二隻を日本海へ、これによってほかの防衛体制に支障がいろいろと出かねないという厳しい状況だったと思います。  加えて、先ほどちょっと言いましたように、本来、そういうことがあればイージス艦をもっとふやしてということも考えられたとは、当時から考えてもよかったのかもしれませんが、そこは海上自衛隊の隊員さんの人数それから育成といったことが追いつかないんじゃないかということで陸上イージスになった、こういうような説明もいただいているわけですけれども、今回また海にということになりますと、海上自衛隊の今申し上げましたような負担の軽減とか、あるいは南西諸島への対処とか、こういったところに影響がまた出てきてしまうのではないかと思うんです。  まあちょっとこれも仮の話かもしれませんが、それなりの蓋然性だという前提で御答弁いただけることがありましたら、海上自衛隊への負担について御答弁いただければと思います。
  36. 岸信夫

    岸国務大臣 繰り返しになりますけれども、どういうものにするか、洋上プラットホームを何にするかということについては、その運用主体についても何も確定しているわけではないわけです。あるべき方策を今取りまとめるべく鋭意検討を行っているところではございます。  その上でなんですけれども、イージス艦八隻体制のみで対応する場合と、更にこの洋上プラットホームが加わった場合、こういうふうに比較をすると、イージス艦八隻にこのイージス・アショアの代替するアセットを組み合わせることで、イージス艦のBMD任務、所要を相当程度減少できるのではないか、こういうふうに考えております。  いずれにしても、詳細については今後検討していく、こういうことでございます。
  37. 重徳和彦

    ○重徳委員 ちょっと、海上自衛官、自衛隊への負担軽減という観点については、今きちっとした御答弁をいただいたとは思えないような御答弁だったと思いますよ。  まだ検討中ということでありますので、余り確定的なことをおっしゃることはできないと思いますけれども、やはり、海上自衛隊の方からもさまざまな声が届いてきておりますので、その辺の配慮もしながら整えていかなければならない課題なんだと思います。  ちょっとつけ加えますと、先ほどから、河野前大臣の陸上イージスを停止するという判断、これを肯定するのかという問いから私入りましたけれども、これを肯定するものだから、今まで陸上イージス、イージス・アショアに備えようと思っていた装備を、途中から、海で使えないかという移転のことまで考えなきゃいけなくなるわけですし、それから、イージス艦での切れ目のないミサイル防衛ということにこだわると、先ほどの洋上プラットホームも含めてですね、切れ目のないミサイル防衛にこだわり続けると、今度は海上自衛隊の負担もあわせて、南西諸島への安全保障体制にいろいろな負担がかかって輪をかけることになる。こういうちょっと自縄自縛に陥っている感じがするんです。  確かに、始まりもかなりトップダウンで、官邸主導で始まった陸上イージスだというふうに巷間言われております。その安倍前総理が、今回は総理大臣の談話ということで九月十一日に、この後よろしくということをおっしゃったわけであります。何だかちょっと、出口がどんどん狭くなってくるというか苦しくなってくる、こんな感じがいたします。  今、年末までに結論を出すということについて、これはちょっと、菅総理は必ずしも現内閣を縛るものではないということをおっしゃっていますね。正確に言うと、閣議決定を経ていないので、安倍前総理大臣の談話というのは原則として効力が後の内閣に及ぶものではないという、そんなこともこれは予算委員会で答弁されていますけれども。  安倍前総理が始めたことに対して、ちょっともう、出口がなかなか見えなくなってきているように思います。  ですから、私としては、この安全保障委員会も、再三、長島筆頭にもいろいろと要請をして、委員会をもっと開いてほしいということを申し上げておりますが、もっと、政府の対応が決まっていく過程において、さまざまな意見をもうちょっと幅広く取り入れる、あるいは反論があるならきちっと反論していただく、こういうプロセスがないと、一旦、防衛装備は導入を決めると、五年、十年、お金も何千億円とかかる話ですから、もう少しプロセスというものを大事にしながら、それから、もう少し幅広い、せっかくと言ったらなんですが、大臣もかわられたわけですから、もう一度リセットして考えていくぐらいのことも必要なのではないか、私はそう思います。  次に参りますが、関連しますけれども、また現状認識を改めてお聞きしますが、もともと計画されていた陸上のイージス配備によって、ミサイルを迎撃する能力そして全体としての抑止力というのは、果たしてどこまでの、どの程度のものだったのか。十分なものだと。  要するに、三年前の北朝鮮からミサイルがどんどん飛んでくるという状況であったその当時から、この三年間でも随分状況は変わってきております。今の岸大臣現状認識というのは、当時、三年前に計画をされた陸上イージスが、果たして今でも、もしこのままブースターの問題がなかったら十分なものだったのかどうかというあたりについてお聞かせいただきたいと思います。
  38. 岸信夫

    岸国務大臣 北朝鮮のミサイル事案でございますけれども、二〇一六年から一七年にかけて弾道ミサイルの発射を繰り返しておりました。その中に、いわゆるロフテッド軌道で発射されたものや潜水艦、あるいは発射台つきの車両を使用したもの、複数同時に発射させたもの、固定燃料を使用したものなどが存在したわけであります。我が国としては、これらは北朝鮮が発射形態の多様化や我が国を奇襲的に攻撃できる能力強化というものを図っている、こういうことを示すものだと考えておったわけです。  イージス・アショアの導入に当たっては、こうした状況の変化を踏まえて決定されたものです。これによって、ロフテッド軌道や同時発射された複数のミサイルへの対処能力が大きく向上するとともに、常時持続的な迎撃態勢を長期にわたって維持することができる、そういうことから、弾道ミサイルの迎撃能力は大きく向上すると考えておりました。  こうした迎撃能力の向上は、我が国への弾道ミサイル攻撃を断念させるという意味で、抑止力強化にまさにつながっていると考えておる次第でございます。
  39. 重徳和彦

    ○重徳委員 私は、当時から、安倍総理大臣の責任において始めたこの陸上のイージスですけれども、もちろんさまざまな意味での抑止力にも資するものであるとは思うんですけれども、ことしの九月十一日の安倍前総理の総理大臣の談話の段階では、安倍前総理の認識はもう大分異なってきているんじゃないかなというふうに感じました。  それは、安全保障政策の新たな方針を検討してきた、そしてこれからは、日米同盟、もっときずなを強くして、抑止力を高めて、我が国への弾道ミサイル等による攻撃の可能性を一層低下させていくことが必要だと。  これは、見方によれば、現状日米同盟における日本の役割だけでは十分ではないのではないかということを安倍総理が暗に示唆をし、そしてもちろんそれは、たしか八月ぐらいに自民党の政調から提言が出たりしていましたね、八月四日に政調の提言、ここでも、相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力、この保有を政府として早急に検討し結論を出すこと、こういうことを自民党の政調から出されたことにも呼応することだと思うんです。  このことはやはり、いわゆる敵基地攻撃能力にこれからの日本防衛力というものを幅を広げていかないといけないという、新たな現状認識に安倍前総理が立っておられたことなのではないかというふうに受けとめております。  そのことが今申し上げました総理大臣の談話にあるわけですから、この総理大臣の談話において、現行の日米同盟による抑止力、これを岸大臣から見るとどのように総理大臣の談話において評価をされているというふうに受けとめておられますか。
  40. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、日米安保条約に基づく日米安保体制、そして、それを中核とします日米同盟、これは我が国の平和と安全に不可欠である。我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているわけですけれども、その重要性はこれまで以上に高まっていると考えております。  我が国として、日米間の緊密な連携のもとで、宇宙サイバーといった新たな領域での協力を含めて、日米防衛協力を更に深めながら、みずからを守る体制を主体的、自主的な努力で抜本的に強化し、その果たし得る役割の拡大を図る、もって、日米同盟抑止力対処力を一層強化していきたい、こういうふうに考えています。  談話においては、先ほど御紹介をされましたけれども、助け合いのできる同盟はそのきずなを強くする、これによって、抑止力を高め、我が国への弾道ミサイル等による攻撃の可能性を一層低下させていくことが必要ではないか、こういう考えを示しております。  政府として、引き続き、談話を踏まえて議論を進めて、あるべき方策を取りまとめていきたいと考えております。
  41. 重徳和彦

    ○重徳委員 今の敵基地攻撃能力については、これも報道によるとということでありますけれども、防衛大綱への明記は見送りというようなことが報じられておりますが、一つだけ、以前、この委員会において、小野寺元大臣が、敵基地攻撃能力が、我が国の憲法とか国際法とか、あるいは専守防衛という範囲内であることを前提としながらでありますけれども、さまざまな状況の中でこれを可能とするべきではないか、こういうことを問われたことがあります。  私としてはちょっと一つ想定を、余り空想のようなことばかり言ってもいけないんですが、具体的に、北朝鮮からミサイル発射、これは着手があったなかったで常に敵基地攻撃能力というのはいい悪いという話になっちゃうんですけれども、一発目が飛来してきて、例えば迎撃できた、それはもう既に着手があったと見て、それは武力攻撃が始まったわけですから、二発目以降のミサイルについては、これはもう既に少なくとも先制攻撃ではないと見ることができるでしょうし、二発目以降を封じるために相手の国の領土にある基地をたたくということは、具体的に我が国の法理上許される範囲なのかどうか。このあたりはどのように認識をされていますか。
  42. 岸信夫

    岸国務大臣 いわゆる敵基地攻撃と憲法との関係ということになります。  あくまで一般論として申し上げるならば、政府は従来から、昭和三十一年の統一見解を踏まえて、誘導弾等による攻撃が行われた場合に、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば、誘導弾等による攻撃を防御するのに、他の手段がないと認められる限りにおいて、誘導弾等の基地をたたくことは、憲法上、法理上には自衛の範囲に含まれ、可能である、このように解してきておるわけでございます。  その上で、御指摘の点について、実際に発生した武力攻撃の規模や態様に即して、誘導弾等による攻撃を防ぐのにやむを得ないか否かという観点、これは個別具体的に判断をしていかざるを得ない、このように考えております。
  43. 重徳和彦

    ○重徳委員 答弁ラインとしてはそのあたりだろうということは想定しながらの質問ではありましたけれども、またこの問題については機会を見つけて議論させていただければというふうに思います。  ここで話題が急にかわりますけれども、一点、最近報道などでも出てきている問題について、ちょっと事実確認をさせていただきたいことがあります。  これは、鹿児島県西之表市の無人島、馬毛島が、二〇一一年の日米合意以来ずっと長く時間がかかったんですけれども、ようやく昨年末に、結果的には百六十億円で我が国政府が購入をし、そして、これが米軍空母艦載機の離発着訓練、FCLPに使われる、そのために供する、こういう話がまとまったというふうに、これは河野前大臣がたしかそのことを公表されたと思いますけれども、確認をしたいのはその売買金額なんですね。これは随分変遷をたどっていると。  国の安全保障にかかわる契約ですから、とても大事な契約だとは認識しておりますが、しかし、国民の税金を使った土地の売買契約の金額がどう積算されて、そして適正な金額で行われているかどうかというのは我々国民の重大な関心事でありますので、そして、我々国会がしっかりチェックしなきゃいけない事項なんだと思います。  確認したいのは、まず、当初、二〇一七年に防衛省が提示した土地評価額というのは四十五億円だったんですね。これが、昨年の頭に仮契約だったらしいですが、最終的に昨年末に合意された。そこに至るこの二年間ぐらいの間に百六十億円にまで上積みされたということについて、まず、事実だと思うんですが、事実かどうかということと、その価格が引き上げられた理由についてお尋ねしたいと思います。
  44. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 防衛省といたしましては、馬毛島におきまして自衛隊の南西防衛それから大規模災害時の活動拠点となる自衛隊施設、これらを整備する方針でございます。  また、この施設は、アメリカ空母がアジア太平洋地域で恒常的に活動する上で不可欠な艦載機の着陸訓練、いわゆるFCLP、これを実施するための候補地でもございます。  このように、この馬毛島の土地の取得は、地域におきますところの日米同盟抑止力維持強化我が国防衛力の強化に資する、極めて重要なものでございます。  昨年十一月に、馬毛島の土地の大部分を所有していた地権者との間で一定の合意に達しました。その馬毛島の売買額約百六十億円につきましては、適正なものと考えてございます。  なお、防衛省として、土地評価額、こうしたものを公表したということはございません。  今の百六十億円の売買額の具体的な積算根拠などにつきましては、取得に向けての調整や交渉がまだ行われているところでございまして、また、相手方との関係もあることから、現時点で明らかにすることは考えておらないというところでございます。
  45. 重徳和彦

    ○重徳委員 この馬毛島の土地には、無人島ではあるんですけれども、ある会社、民間の会社がほぼ全体を所有をしておりまして、そこに独自に滑走路をつくったと。それはそれですごいことだと思いますけれども、その建設コストなんかも含めてこの百六十億円で買い取ったというようなことを言われているわけなんですけれども、これはどうなんでしょうか。
  46. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 御指摘民間の方がつくられた滑走路は、これにつきましては、コンクリートやアスファルトによって舗装されておりません。単に整地がなされている状態ということでございますので、そのまま自衛隊施設の滑走路として使用できるようなものではございません。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、売買額の根拠につきましては、取得に向けて調整や交渉が行われているところでもございまして、相手方との関係もあることから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  47. 重徳和彦

    ○重徳委員 公表しない、交渉過程とかそういうところで公表しがたいとかいう、さまざまな実際の交渉の経過とかあるんでしょうけれども、しかし、冒頭申し上げましたように、これは国民の税金を使って土地を購入する、取得するという話でありますので、ここはやはりきちっとした根拠と、そして、一緒ですね、理由を、あるいは経過、その経過によって、仮にも最初は四十五億円だったという情報も実際出ているわけですから、そこがなぜ引き上げられたのかというあたりは、ここは明確にする必要があると思うんですね。その必要性については、必要ないということをおっしゃるんでしょうか。どうでしょうか。
  48. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 今、防衛省がまだ取得手続を進めている土地につきましては、それらの土地に係る利害関係者間で各種の調整がなされているところというところ、それから、仮登記に至っていない土地につきましても、複数の地権者の方々との交渉を行っているということがございます。  そうしたことを踏まえまして、現時点では、積算額の根拠、それについては明らかにすることは考えておりませんと申し上げましたが、その具体的な時期について、予断を持ってお答えすることはできませんが、今後、適切な段階できちんと御説明したいというふうに考えてございます。
  49. 重徳和彦

    ○重徳委員 では、適切な段階で、そう遠くない段階に説明をしていただけるということを確認をしたいということ。  それから、先ほどの、ちゃんと整地されていないという滑走路でありましたけれども、またここに新たに活用できるような滑走路をつくるということになりますと、そこには当然さらなる経費がかかる、国費がかかるということなのかどうか、その点を確認したいと思います。  二点、確認させてください。
  50. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 先ほど申し上げましたが、積算額の根拠につきましては、今後、しかるべき時点で、適切な段階で御説明したいというふうに考えてございます。  それから、滑走路につきましては、先ほど申し上げましたように、今の状態では、そのまま滑走路としてできるものではございません。  他方、今の、我々防衛省として考えておりますところの施設配置案におきまして、滑走路の配置は、御指摘の、その民間の方がつくられた滑走路と一部重なってございます。そこはきちっと整地がされているわけでございますので、そうした状況を生かして整備を行うということになる等ございます。整地されている部分に、特に撤去が必要な物件等は今設置されていないというふうには承知してございます。
  51. 重徳和彦

    ○重徳委員 今の、しかるべきときに説明をいただくということについては、これは理事会でもちゃんと取り上げていただいて、この委員会でちゃんと説明していただくということで、委員長にもお願いしたいと思います。
  52. 若宮健嗣

    若宮委員長 後刻、理事会で協議したいと思います。
  53. 重徳和彦

    ○重徳委員 では、以上で質問を終わらせていただきます。これからもよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  54. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、本多平直君。
  55. 本多平直

    ○本多委員 立憲民主党の本多平直です。  岸大臣には、御就任おめでとうございます。委員長時代、ここの場でもお世話になりましたし、視察のときには、大臣の御地元である岩国の視察などでもお世話になりました。これからもいい議論をさせていただきたいと思います。  私、大臣に、ちょっと順番を変えますけれども、お願いがあります。敵基地攻撃ですとか宇宙ですとか、大きな話をする前に、きちんと自衛隊員を見て、自衛隊の中をきちんとまず統率をしていただきたいなと。そのことがひいては防衛力にもかかわりますし、今自衛隊の大きな悩みの一つである人員不足の解消にもつながっていくと思いますので、ぜひ、そうした観点で、きょうちょっと、身近な、人に関することから質問をしたいと思います。  まず、防衛大学校の問題です。  資料をお配りしていると思うので、ぜひごらんになってください。週刊誌報道でいろいろ出ていたので防衛省に調べていただきました。週刊誌報道はいろいろ、ちょっと過剰に書いたりすることもないわけではないので、数字で調べてみましたが、やはりこの半年、大丈夫かなという事態が起こっているのではないでしょうか。  まず、自殺者、自殺未遂者ですね。自殺未遂というのは定義が不十分なので、自傷行為者というのが出ていますが、一とかゼロでずっと来ているのが、去年ちょっと多いんですが、ことし、まだ十二月ではないので、九月までで、九月三十までで五名の方が自殺未遂のような行為をされています。二千人いる学校ですから、いろいろなことが起こるんですが、他の年度と比べて明らかに異常な事態が起こっています。  もう一つ数字を見ていただきたいと思います。中退者です。過去五年のデータを出していただきました。一年生の中退者、大抵これぐらい出るんですが、これも明らかに多い数字になっています。  もとになる週刊誌の報道などによりますと、大変コロナで、狭い八人部屋に、普通の大学とは違うわけですよね、そこで授業がないのに、一月、二月、閉じ込めていたと。この対応が適切だったのかどうかという議論がここにあるんです。  私、直接これ、因果関係をなかなか証明するのは難しいんですが、ここまで数字に出ていますと、指摘をして、判断をして、善処をしていただきたいと思うんですが、大臣、今、この防衛大学校のコロナ以降の状況をどう捉えていらっしゃいますか。
  56. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、本多委員には、私がこの安保委員会委員長を務めておりましたとき、野党筆頭を務めていただいて、本当にいろいろな委員会の進行に御尽力をいただいた覚えがあります。本当に感謝をしておるところでございます。  その上で、この今御指摘課題ですね、防衛大学校の、特に自殺、自殺未遂という問題ですけれども、大変高い志を持って防衛大学校に入ってきた学生諸君が、理由はいろいろあると思うんですけれども、自殺あるいは自傷行為に行かざるを得なかった、こういう状況は本当に悲しむべきことである、こういうふうに思っております。  防衛省の、私、前、政務官を十二年前に務めておりました。そのときも、その直前がかなり、これは、大学校ということではなくて、全体の数が百人を超えたりしていた時期が何年も続いて、そのときも、しっかりメンタルヘルスをサポートしていこう、こういうことで取り組んだことを今でもよく覚えているんですけれども、自衛隊において、この自殺者というもの、本当は当然ながらゼロを目指さなきゃいけないんですが、なかなか数字が落ちてきていない、そういう実態はあると思います。  これはやはり、おっしゃられましたように、自衛隊員の士気にもかかわることでございますので、事態をしっかり改善させていかなければいけない、こういうふうには思っておるわけでございます。  防衛大学校においてさまざまな事案が起こっている、こういうことだと思いますけれども、学生による自傷行為、あるいは正式な手続を得ないで外出をしたり、校内での火災といったことは承知をしているわけですけれども、まず、こういったことについて、大変遺憾であって、防衛大学校の適切な管理運営に努めてまいりたい、こういうふうに思っています。
  57. 本多平直

    ○本多委員 防衛大学校については、実は、以前も質問通告して、時間がなくてできなかったんですが、非常にいじめでメンタルをやられて、そして退学をすることになって、訴訟されている方などもいらっしゃいます。再発防止、再発防止と言うんですが、なかなかカルチャーとして、こうしたカルチャーが残っているというのも私は前から問題点を指摘したかったんです。  ことし、やはりコロナ対応が、もちろんコロナ対応、いろいろ初めての事態ですから、試行錯誤はあったかもしれないんですが、特に特殊性のある防衛大学校において、これだけ人の命にかかわる事態になっているわけです。そして、脱走だ、放火事件だ、賭博が起こりという、閉じ込められた空間でいろいろなことが起こっているというふうに今大臣もおっしゃっていただきましたので、この際、大臣、なったばかりで、まず足元を固めるという意味でも、きちんと検証していただけないですか。この四月の対応は適切だったのか、今後は、同じようなことがあってもこういうことがないようにと。一つ一つの事案をきちんと検証していただけないでしょうか。
  58. 岸信夫

    岸国務大臣 今委員の御指摘のところ、例えば四月の時点で学生諸君が閉じ込められた、こういうような事態ですけれども、当時の判断としては、県をまたぐこと自体がよくないんじゃないか、こういう判断もあったんだと思います。その中で、集団生活を送っている中で、地元にそこから帰していくのがいいかどうか、そういう判断もあったんだと思います。何しろ最初のことですので、本当にベストだったかどうかという判断はなかなか難しいところだというふうに思います。  御指摘のかけマージャンの件なんかもございました。これについては、自衛隊の警務隊が今捜査をしているところであります。捜査に支障を及ぼすということもありますので、捜査状況についてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、できるだけ早く対応していきたい、事案の公表ということも含めてしっかり適切に検討してまいりたいというふうに思います。  これは本当に、先ほども申しました、士気にもかかわる問題ですので、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
  59. 本多平直

    ○本多委員 ぜひやってほしいんですが、実は大臣の見えないところで、防衛省という組織は、こういうことが起こると、犯人捜し、誰が週刊誌に情報を流しているんだということの方が一生懸命されているんですよ。それで、疑いがかかった全然関係ない教授、私も、その教授がちょっと変わった人だったら困るので実際に防衛大学校の先生にもお聞きをしましたら、またその人を捜さないでほしいんですけれども、立派な先生だということを確証を得たので聞きますが、何か監察隊が来て、週刊誌におまえが漏らしたんじゃないかみたいなことを調査しているそうなんですよ。  防衛の秘密を外国に漏らしたら犯罪だと思いますけれども、学校内、省内のガバナンスに関して、言う場所がなくて仕方なくこういうことをしている場合もあると思うんですよね。そういうことを、問題の解決以前に、いつもそうなんですよ、不祥事のときに必ず、誰が野党に流したんだ、誰が週刊誌に言ったんだという、そっちばかり一生懸命やるんですけれども、この教授は勇気があって、お怒りになられて、大臣に申立て書を出しているんですよね。  これはきちんと対応した方がいいんじゃないですか。こういう真面目にやっている教授を疑って、今の状況、大学の状況はおかしいということを言っていらっしゃる教授がいらっしゃるんですけれども、申立て書を受け取っていますよね。きちんと対応していただけますか。
  60. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、防衛省に対しましてはさまざまな文書が送付されております。この種のいわゆる申立て書も複数来ているところでございますが、この点については逐一お答えすることは差し控えたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、防衛省として、防衛大学校の適切な管理運営に努めてまいりたい、こういうふうに思います。
  61. 本多平直

    ○本多委員 適切に対応していただきたいと思います、ちゃんと読んで。そして、無駄な犯人捜しの前に状況の改善をしっかりやれということを言ってもらえないですか。
  62. 岸信夫

    岸国務大臣 状況の改善は当然必要なことだと思います。しっかりやってまいりたいと思います。
  63. 本多平直

    ○本多委員 大臣の野党時代の質問なんかも読ませていただいたら、東日本大震災の後、非常にたくさんの御遺体を扱ってメンタルをやられている隊員なんかにしっかり対応しろというようないい質問をされていましたので、ぜひ、大臣になって、本当に何度も言いますけれども、敵基地攻撃とか宇宙とかの前に、身近で、志を持って入ってきた学生がいじめに遭ったり、こんな対応をされて自殺未遂に追い込まれたり、そしてそういう状況をやむにやまれず外部に伝えようとした人を、全然無実の教授に監察が行ったりとか、こういう状況をきちんと大臣としてグリップをしていただきたいということを強くお願いをしておきたいと思います。  次に、もう一つ、まず防衛省の中からしっかりしてほしいという課題で、天下りの問題を質問させていただきたいと思います。  実は、この問題は、ことし初めに報道がありまして、この委員会でも私、河野前大臣にしっかり調査しろと。河野大臣は、自分が大臣になる前は、調査の仕方が、別な事件のときにですね、甘いと、与党なのに厳しい質問をされていたので、ちゃんとやるんでしょうねということを私もさんざん言いましたけれども、私がやるから大丈夫ですと言って、そのまま大臣をやめて、国会も開かれないまま、やっと報告書が出てきたんですが、何だかよくわからないんですよね、この報告書が。  今、天下りは原則自由だけれども、あっせんはしちゃだめだということになっていますよね。でも、あっせんをした課の担当者、長年、慣行として陸自の中で将官の天下りのあっせんをしていたということで処分者が出ました。  しかし、肝心のこの報告書を見ても、一体何人が天下っていたのかというのが書いてないんですよね、この紙に。とんでもない紙だと思うんですけれども、大臣、何人なんですか。教えていただけますか。
  64. 岸信夫

    岸国務大臣 将官の天下りについてということですね。(本多委員「はい、将官の方ですね。天下った人は何人いるんだと、このあっせんで」と呼ぶ)はい。  自衛隊法六十五条の二の第一項に基づき、再就職等規制違反と認定された企業等への情報提供行為は二十六件ありました。将官の数で二十五人分の情報となっております。このうちほとんどの者が情報提供を行った企業等に再就職をしております。  なお、二十五人、将官本人については、再就職等規制違反は確認されませんでした。  御指摘の、天下りの意味するところ、ちょっと不明なところもありますけれども、将官を採用することによる企業側からの見返りの提示、あるいは将官をあっせんしたことによる募集・援護課長又は募集・援護課員による見返りの要求といったものは、事実としてはございませんでした。
  65. 本多平直

    ○本多委員 河野前大臣に本当に言いたいんですけれども、行革担当になられているので、別な委員会でやれたらやりたいですけれども。  今の二十五人という数字も、この私たちがもらった概要には書いてないんですね。結局、たくさん処分されましたけれども、あっせんした、真面目に働いている人は処分をされて、違法行為をしているんだからしようがないですけれどもね。した人たちは人数も出ていない。  では、報告書の本体、私、きょう気づいたんですね、質問の準備をしていて。こんな、概要に人数も書いてないものを出させて、出て、俺も忙しくて見ていなかったんだと思ったんですけれども、本体を出せと言ったら、これから黒塗りするのですぐ出せないと言うんですよ。  結局、何カ月も待たせて、済みませんね、河野大臣に言いたいことを言わせていただきますけれども、私がやるから任せてくれと言って、とっととどっかへ行っちゃって、出された報告書は、きょう委員会質問で使うから見せろと言ったら、これから黒塗りするので、黒塗りしてから持っていきますということなんです。コロナで大きな話題にならなくて、防衛省皆さん、助かった方もいらっしゃるかもしれませんけれども、何か緩んでいませんか。本当に、文科省よりは悪質じゃないんですよ、確かに。だけど、文科省のときは事務次官だってやめているような話なんですよ。  これは、何かこんなぴらぴら紙で、人数も書かないようなのを出してきて、本当の報告書はまだ出せません、これから黒塗りですと。もう報告書が出てから何カ月もたっているんですよね。この対応、どうですか。
  66. 岸信夫

    岸国務大臣 しっかり対応していくようにいたします。
  67. 本多平直

    ○本多委員 何度も言いますけれども、敵基地攻撃とか宇宙の前に、こういうことをしっかりやらせないと、何代か前に、隠蔽で、全然大臣まで情報が上がってこなかった大臣がいたじゃないですか。ああなりますからね。  だから、きちんと、こういう具体的な防衛大学校の問題とか、この天下りの問題、何で報告書の黒塗りがまだ済んでいないんだ、このぴら紙だけで済まそうとしていたんだというようなことを、しっかり省内を、大臣になられたんだから、グリップした方が、何代か前にいて、たくさん隠蔽をされて、情報が上がってこなかった大臣がいましたよね。ああいうふうにならないように頑張っていただきたいと思います。  それで、実は私たち、今回はあっせんをした人だけが悪いということになっていますけれども、本当に今の天下り規制がいいのかという観点から、野党で合同して、各党協力をして、調査局さんにも大変な御尽力をいただいて、予備的調査というのをやったんですね。  結局、今、あっせんがなきゃ違法じゃないけれども、防衛省をめぐる天下りの状況はどうなっているのか。自分で見つけて自分で行ったんだったらいいよということにしちゃったんですよ、自民党は、天下り規制を。  しかし、その結果はどうなっているのかというのを、ちょっと資料で出しているので見ていただきたいと思います、大臣も。  毎年、この五年間、平成二十七年は、これは、少ないのは途中からなので、大体二百人ぐらい再就職をされています。そのうち、防衛省と密接な関係のある営利企業に、合計でいうと、九百三十六人のうち、半数以上、四百八十七人が営利企業、防衛省と密接な関係のある営利企業に再就職しているんですね。  もう自分からちょっと言っちゃいますけれども、これは、例えば、人数、企業別に言いますと、一位が日本電気、二位が川崎重工、三位は保険会社ですけれども、四位がIHI、五位は三菱電機、東芝インフラシステムズ、十二人ですね、七位、富士通と三菱重工が十一人。これはどれも、防衛省から、一千億、三千億、数百億、こういう受注を受けている企業なんですね。  こういうところにこの五年間で四百八十七人も再就職をして、今違法じゃなくされちゃったんですけれども、自民党の天下り規制で。これは、国民から見て、本当に何か買わされている兵器は適切に受注されているのかと疑いが生じるんですよね、これだけ多いと。  大臣、どう思われますか、この現状
  68. 岸信夫

    岸国務大臣 平成二十七年の十月以降、ルールが変わった、こういうことであります。  新しい規則として、利害関係企業等への問題としては、在職中の求職の規制というものがかかっておるところでございますけれども、こういったルールを含めて、我々としては厳格に今運用しているところでございます。  以前は、密接な関係にある営利企業への再就職は、原則二年間禁止をする、こういうルールだったわけですね。それぞれの時期でルールが違う、それに沿った形での再就職ということになっているわけですけれども、結果的に、そこに数が多くなっているということですよね。そのことがさまざまな疑念を抱く、こういう御指摘は真摯に受けとめたいというふうに思います。
  69. 本多平直

    ○本多委員 疑念のついでにもう一つ言っておくと、大臣、ちゃんと聞いてくださいね。  役職も調べたんですよね。そうすると、四百八十七人のうち、約一割の四十三人は顧問なんですよね、顧問。疑わしいでしょう。何とか部長だったら仕事するんだと思うんですけれども、何しに行っているんだと。要は、防衛省の後輩に、何となく情報をとったり圧力をかけたりとやはり思っちゃうんですよ。  それも、ここの省は、大臣、当然御承知のように、菅総理は、日本学術会議に十億、十億、十億、十億と、十億使っているからけしからぬからチェックするとおっしゃっているんですが、さっき言ったんですけれども、皆さんのところは一社で何百億、会社によっては三千億、千億ですよ。こういう会社に、お一人いらっしゃいますね、つい最近まで統幕長をやっていた方も。夜はテレビに出ながら、どこかの大企業の顧問をされていますけれども、大丈夫なのかなと私は思っちゃうんですよね。  ぜひ、今回、野党で予備的調査をかけてこういう事実が明らかになりましたから、こういう状況を把握して、私は天下り規制のやり方をもう一回考えていきたいと思うんですよね。  もう一点、ちょっと防衛大臣に言っておきたいのは、防衛省やばいですよということを言っておきたいんですよ。  それは、今回、ちょっと話が予備的調査からさっきの本件に戻りますけれども、発覚をしたときまでは、まあ、長年、慣行で続いちゃった、たまたま運が悪かったみたいなことなのかなと思ったんですよ。ところが、私、やはり許せないのは、二〇一七年、文部科学省の大規模天下りあっせん事件があって、次官までやめると大騒ぎになったんですよね。そのときに、安倍総理が、これはけしからぬ、文科省みたいなことがほかの省庁であったら大変だ、だから全省庁に調査をかけるということで、安倍前総理のかけ声で内閣人事局が全省調査しているんですよね。そのときに、この今やっていた天下りについて、どう防衛省は答えていたんですか。
  70. 岸信夫

    岸国務大臣 今、委員指摘の点、内閣人事局主導の件ということですけれども、ちょっと今手元にその資料がないので、どういう発言があったかということは後ほどまた御連絡させていただきたいと思います。
  71. 本多平直

    ○本多委員 通告しているんですが、私から答えを言うと、問題なしと答えているんですよ、そのような事案は発見できなかったと。  つまり、総理が文科省事件でけしからぬと思って全省庁調査をかけて、ぽつぽつ出て、発見された省庁もあるんですよ。ところが防衛省は、そのような事案は発見できなかったという答えを上げて、つまり、最高指揮官である総理大臣の命令を、気づいているに決まっているじゃないですか、こんなの、文科省のあの大ニュースを見ていたら。  だから、長年だらだらやっちゃったというところじゃなくて、あの事件を見て、これはやばいなというのは、この二年間、だらだらでなく、全省庁調査を欺いてきたということなんですよ。  ここは、僕はすごく重く感じていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
  72. 岸信夫

    岸国務大臣 委員指摘の件、多々、防衛省にも大きな諸課題がございます。しっかり正面から取り組んでまいりたいというふうに思います。
  73. 本多平直

    ○本多委員 今、私は、一つ二つ、例なんですけれども、何度も言いますけれども、敵基地攻撃とか宇宙とかの前に、きちんと身近なところのガバナンスをしっかり、本当にちゃんと総理大臣の言うこと聞いているのか、総理大臣がわざわざかけた命令に従っているのか、そういうことをぜひ大臣としてグリップをしていただきたいということを切にお願いをします。  さて、安全保障政策の話をしたいと思うんですが、法制局長官来ていらっしゃいますか。大変お待たせして済みません、順番を変えまして。  敵基地攻撃論の話は、ことしじゅうというのが消えて非常によかったなと思っているんですね。でも、なぜ消えたんですか。
  74. 岸信夫

    岸国務大臣 これは御存じのとおり、もともと、九月十一日の総理大臣の談話、この中で、あるべき方策を取りまとめていくと述べられておりまして、菅総理も、この総理の談話を踏まえて検討を進めていく、こういうふうに述べられておるところでございます。
  75. 本多平直

    ○本多委員 それは予算委員会でも私聞いていまして、知っています。  ことし末までにとわざわざ安倍前総理が言われたわけですよ。政治家が仕事をするときに、大事なんですよね、期限を切るということは。期限を切らないとだらだら検討が続く。だから安倍総理は、私はことし末までにやらなくていいと思っているんですけれども、でも、前総理がやめる間際にわざわざ談話で出して言ったのが、なぜそこだけ消えたんですか。
  76. 岸信夫

    岸国務大臣 これは、菅総理の御発言ですから、政府として、引き続き談話を踏まえて議論を進め、あるべき方策を取りまとめていく、この考えに変わりはない、こういうことであります。
  77. 本多平直

    ○本多委員 菅総理はことし末というのを外したんですけれども、それと違うということなんですか。
  78. 岸信夫

    岸国務大臣 政府として、引き続きこの総理の談話を踏まえて議論を進めていく、こういうことです。
  79. 本多平直

    ○本多委員 どこかの政党に気を使っているとか、報道はあるんです。選挙の前だからやらないとか。私は、そもそも安倍総理の談話はおかしいと思っていますよ。こんな大きな転換をするのに、幾ら政府内とはいえ、ことし末というのは短過ぎると思います。我々も本当は絡みたい、国会も。しかし、そういう思惑で時期をずらしていくというのも、それはそれでまたいかがなものかと私は思っています。  ちゃんと通告していないので、わからなかったら事務方からメモを入れていただいて構わないんですが、イージスの代替策、先ほど重徳委員議論していた件ですけれども、あれはことしじゅうに結論を出すということでいいんですか。どういう、洋上の、こんな感じで出るというのは、検討中で言えないというのはさっきずっと言っていたんですが、あれはことしじゅうに出るんですか。
  80. 岸信夫

    岸国務大臣 イージスの代替策、これについても、内閣総理大臣の談話の中にはございます。総理はそれを踏まえて、大臣の談話を踏まえてあるべき方策をやっていく、取りまとめていく、こういうことだと思います。
  81. 本多平直

    ○本多委員 わかりました。  敵基地攻撃とかは先送りになっているというのでいいんですけれども、イージスの代替策もことし末までに結論が出ないということでいいんですか。ことし末という縛りはないということでいいんですか。時期の話です。
  82. 岸信夫

    岸国務大臣 ミサイル阻止能力について、先送りしたということではなくて、両方とも、総理の談話を踏まえてあるべき方策を取りまとめていくということです。
  83. 本多平直

    ○本多委員 では、あわせて出てくるということでよろしいんですかね。
  84. 岸信夫

    岸国務大臣 イージスの代替とミサイル阻止の方策は、中身としては別物であります。
  85. 本多平直

    ○本多委員 中身は別ということは、別々に出るということですか。そういうことなんですね。わかりました。  きょうは、ほかのことをやっちゃったので、この問題はもっともっと議論したいことがあるんですけれども、内閣法制局長官に来てもらったのに質問しないと大変悪いので。非常に嫌みとして来てもらったんですけれどもね。  なぜかというと、今こちらの皆さんが敵基地攻撃論をやれるのは、一九五六年、鳩山総理が言った答弁をもとに、しかし、皆さん、適当な、都合のいい、前半だけ読むんですけれども、私は、他に手段がない場合に限りというところの方が大事だと思って、そのことをしっかり今後とも議論をしていこうと思っているんですが。  その大前提として、長官、日本学術会議の問題では、何か、あの大総理であられた中曽根総理の発言さえ、皆さんは変えていないと言うんですけれども、きょうはその議論をするつもりはないですけれども、上書きをされるようなものが二年前にこっそりと内閣府と皆さんの間で合意文書ができていたんですよね。  この議論はそれ以上に大きな問題なので、あの鳩山答弁、一九五六年の鳩山答弁にかかわる打合せを勝手にされて変な文書ができたら困るんですよ。  きょうのこの日までに、内閣官房、内閣府、防衛省、国家安全保障局、こういうところから法制局に、この解釈はどういうことなんだという打合せの依頼とか、万が一文書をまとめたりしていないですよね。
  86. 近藤正春

    ○近藤政府特別補佐人 私ども、意見事務をやる際には、きちっと必要な資料を残しつつ、きちっとやっておりますので、こっそりとかいうことではなくて、今回も資料をお出ししましたし、いろいろなときも必ず資料をお出しするような形でやっておりますので、そういう意味で、資料が、私どもはきちっとあるという理解を、私どもの仕事のやり方としては思っておりますが。  お尋ねがきょうあるということで、きのう、私ども一部の方で意見事務関係についてのファイルというのが過去ずっとございます。それにつきまして、この敵基地攻撃能力に絡んで、何か変更だ、何かその具体化だとか、それに絡むような、ファイルというんでしょうか、というものがないかというのを確認をさせました。私自身が、もう一部長以来、十年ぐらいたちますけれども、その間には少なくとも経験はありませんが、古い文書ですね、それも含めて探させましたが、一切ヒットするものはございませんでしたので、現時点でも、何か相談をするということは起こっておりませんし、何もないというふうに思っております。
  87. 本多平直

    ○本多委員 相談が来たら、私が問い合わせたら答えてもらえますか。最近来ていますかというのを時々電話しようと思うんですけれども。
  88. 近藤正春

    ○近藤政府特別補佐人 私ども、守秘義務がありまして、相手省庁との関係で、これは相談自身を外にはまだ言えないという議論がありますので、全て出せるような状況であれば、情報開示でいつも出してまいりますから、そういう状況がございますので、オンタイムでということではならないと思いますけれども、一定の形で固まれば、そういう形で出せるものは出していけるというふうに思います。
  89. 本多平直

    ○本多委員 ぜひ、勝手に解釈を上書きしたり変更するような文書とか口頭了解をしないでいただきたいということを強く申し上げて、私の質問を終わります。  以上です。
  90. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、篠原豪君。
  91. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 立憲民主党の篠原豪でございます。  大臣、御就任おめでとうございます。これまでも、外務委員長をやられていたときに私も理事をやらせていただいて、いろいろと御指導いただきながら、それから外交、安保でずっと御一緒させていただきましたので、本当にこれから一緒に議論させていただくことをありがたいと思っていますし、しっかりとした議論をこの国の将来のためにさせていただければと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。  きょうここまで話が幾つかありましたことですけれども、やはり私も敵基地攻撃の問題を聞いてまいりたいと思います。  岸防衛大臣が十日の所信演説の中で、抑止力強化に言及をし、安倍総理の、九月十一日の前総理の内閣総理大臣談話も踏まえてしっかりと議論を進め、そしてあるべき方策を取りまとめていくということを述べられました。これは先ほど議論が少しあったところですけれども。これは、従来、敵基地攻撃能力に関する議論と言われてきたものですけれども、まず、それについてということでお伺いしていきます。  九月十一日のこの安倍総理の談話には、「迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことが出来るのか。そういった問題意識の下、抑止力強化するため、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針を検討してまいりました。」とあります。さらに、「この検討は、憲法の範囲内において、国際法を遵守しつつ、行われているものであり、専守防衛の考え方については、いささかの変更もありません。」と述べられております。  今回の敵基地攻撃論の特徴は、従来使われてきた敵基地攻撃あるいは策源地攻撃という言葉を避けて、単に抑止力と言ったり、あるいは八月四日に自民党の政務調査会が提言をした「国民を守るための抑止力向上に関する提言」のように、相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力の保有と言いかえられていることがあるんだと思います。そこにも同じく、憲法の範囲内で、国際法を遵守しつつ、専守防衛の考えの下で抑止力を向上させるための新たな取組であるというふうに述べられています。  敵基地攻撃能力といえば、憲法が禁じる海外派兵あるいは他国領域内での武力行使、それを連想するものであるということがこれまでも議論にありました。国際法が禁じる先制攻撃ではないかというふうに言われかねないので、それを避ける意味があっていろいろな言い方をしているんだと思います。しかし、敵基地攻撃能力の保有が、憲法の範囲内で、国際法を遵守しつつ、専守防衛の考え方に全く抵触しないと言われても、最近の議論はどうも理解を超える主張が出てきているんじゃないかなというふうに見ています。  そこで、伺ってまいります。  我が国の憲法がこれまで、他国領域内の武力行使についてですけれども、我が国の憲法が平和憲法と言われるゆえん、その根拠となる原理原則の中で、私が一番大事だと思っているのは、さきの大戦の反省を踏まえて、憲法が海外派兵を禁じているということだと思います。  例えば、一九八一年の十月三日に大村襄治防衛庁長官が我が国の自衛権行使の地理的範囲について、我が国防衛するため必要最小限度の実力を行使することのできる地理的範囲は、必ずしも我が国の領土、領空、領海に限るものではないが、他国の領海までを含むものではないということは明白と答弁しています。  さらには、一九八〇年の十月二十八日の稲葉誠一衆議院議員の質問主意書に対する答弁書で、「従来、「いわゆる海外派兵とは、一般的にいえば、武力行使の目的をもつて武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することである」と定義づけて説明されているが、このような海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであつて、憲法上許されないと考えている。」と述べているわけですね。  そこでまず、以上の政府答弁はこの菅政権においてもいまだに有効であると考えているのかをお伺いいたします。
  92. 岸信夫

    岸国務大臣 政府は、従来から、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領空、領海に派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解しています。  これは、我が国に対する武力攻撃が発生し、これを排除するために武力の行使をするほか適当な手段がない場合においても、対処の手段、態様、程度の問題として、一般に他国の領域において武力の行使に及ぶことは自衛のための必要最小限度を超えるという基本的な考え方を示したものであります。政府として、現在もこの考え方に変わりはございません。
  93. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 それはやはり変わっていちゃだめなんです。今日も有効というのが当たり前の話なんですけれども、大事なところの大前提ですので確認をさせていただきました。  こういった政府見解を受けて、自衛権行使だけでなく、国連軍等の集団的安全保障においても、自衛隊が他国領域内で武力行使を行うことは憲法上できないと解釈されてきました。  実は、そうした考えの上に、一九七〇年の十月の防衛白書においてですけれども、専守防衛我が国の基本方針であると初めて明記されました。一九七〇年なんです。そこには、専守防衛防衛力は、ちょっと飛ばしますけれども、戦略守勢に徹し、そして我が国の独立と平和を守るためのものであるというふうになっています。  しかし、この戦略守勢に徹することに対して、抑止力にならないというふうに痛烈に批判したのが、当時の統合幕僚会議の議長だった栗栖弘臣陸将でした。この方は、奇襲侵略を受けた場合、第一線部隊の指揮官が超法規的に行動に出ることはあり得る、こういう発言をされて、それで当時の金丸長官に罷免されたということが歴史の中であった第十代の統合幕僚会議議長なんです。  栗栖さんは、防衛手段のみをもっては、我が行動圏外から威力を発揮する攻撃行動は有効に対処し得ないんだと、これは栗栖論ですよ。それで、基地や策源がやられるかもしれぬという心理的拘束を相手に与えない武器は、先方の攻撃企図を未然に防止する効果に乏しいものと言わねばなるまい、専守防衛抑止力保持は併存しがたい概念なのであるということを、ある雑誌で一九七八年に述べているんです。  つまり、これは何をおっしゃっているかというと、抑止力とは攻撃こそ最大の防御を認めることであって、戦略守勢に徹していては抑止力にならないというふうにも批判しているんです。  ここで栗栖陸将が述べているこの抑止力というのは、正確には、今、抑止力の考え方として、拒否的抑止力ではなくて、懲罰的な抑止力だと考えます、この考え方はですね。戦略的守勢に徹するということは、論理的に、懲罰的抑止を行わないということであるというふうに考えているんですけれども、我々はですよ。これは、行わないという考え方を政府は持っているということでよろしいんでしょうか。お伺いします。
  94. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、御指摘の栗栖元統幕議長の御発言ですけれども、これは防衛省としての公式な見解を述べたものではないと考えられることから、逐一コメントすることは差し控えたいというふうに思います。  いずれにいたしましても、政府としては、総理大臣の談話で述べた問題意識のもとで、抑止力強化するためのミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針を検討していくというところであります。この検討は、先ほども出ていましたけれども、憲法の範囲内、また、国際法を遵守しつつ、専守防衛の考え方のもとで行われるものである、こういうことで考えております。
  95. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 つまり、今までの戦略守勢の徹底は、拒否的な抑止力をどういうふうにやっていくのかという議論に多分なってきているんだと思うんですね。  いわゆる攻撃をすることを前提とした懲罰的な抑止力の使い方というものについては、これは、専守防衛の考え方を変えないで、抑止力強化するために、ミサイル阻止に、今ですよ、ミサイル防衛ということで考えるのであれば、そういったことに踏み込むということも今考えているということですか。
  96. 岸信夫

    岸国務大臣 我が国の基本的な考え方として、いずれにしても、憲法の範囲内であること、それから、日米間の基本的な役割分担を変えることなく、国際法を遵守しつつ、専守防衛の考え方のもとで行われる、こういうことでございます。
  97. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私がここでもうちょっと申し上げておきますと、米軍との役割分担というのは当然そうなっているんです。専守防衛というのが必要最小限度の実力行使であり、拒否的抑止であるミサイル防衛が限界に達している場合には懲罰的抑止も必要最小限に含まれていくということになると、これは議論がなかなか変な方向になっていくんじゃないかというふうになりますので、これはすごい大事だと思っていて、聞いています。これはどこまでがというのは次から話していきますけれども、そういった話なので言っています。  専守防衛というのは、戦略守勢の徹底であって、拒否的抑止との共通の意味合いがあっても、その反対概念につながる懲罰的抑止まで含んだ概念というのはとても言いがたいんだろうと考えています。これは攻撃こそ最大の防御とする論理がなければ説明できない考え方なので、そうだとすると、これは言葉の論理を超えた、実際との、本当にそんなことできるのかという話との議論になってくると思いますので、これは通用しないですよ。だって、できないですから。その話はしてまいります。  じゃ、お伺いしますけれども、一九五六年二月二十九日に船田防衛庁長官が、我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段として我が国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思います、そういう場合には、これは先ほどの本多先生がお話ししたところの中身をそのまま今読んでいるんですけれども、そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるべきというものでありますと答弁していることをもって、ミサイル防衛という限られた場合にはですよ、これはミサイル防衛を言っているんです、ほかのところに関係ないんです。まずここは、前提はそこなんです。その中で、限られた場合には、他国領域内への攻撃が例外的に憲法上可能であるとされてきたということですね。  しかし、この敵基地攻撃が国際法上禁じられている先制攻撃に当たらないためには、着手事態である必要があるんです、まず。  その着手事態については、一九七〇年の三月十八日の高辻内閣法制局長官がこう言っています。  まず武力攻撃のおそれがあると推量される時期ではない、そういう場合に攻撃することを通常先制攻撃という。ちょっと中略しますけれども、武力攻撃が始まったときがいつであるかというのは、諸般の事情による認定の問題になる、武力攻撃が発生したときに、これは着手が入るんだ、準備が入らぬというのは、これは当たり前のことでして、準備の場合にはまだ着手とは言えませんというふうに答弁しているんです、結局。  したがって、着手事態とは、弾道ミサイルが発射される直前直後の極めて切迫した時間帯になりますね。こうしたときに攻撃することは物理的に可能でしょうかということなんです。  まさに、かつてと違って、イージス・アショアをやめたのだって、こんなふうになって飛んでくるようになったよ、全然こうやってロフテッド軌道にいかないから役に立ちませんよ、やはりだめですよということで、これはやめたのはいいことだと思います。  こういった中で、これは前回の質疑の中でもこの質問をさせていただいているんですけれども、固形燃料になって、液体燃料から。発射台も、どこから出てくるかわからないような状態で、これは、潜水艦も出てくるし、いろいろなところから出てくるわけですよ、想定できないところから。そうなってくると、事実上、発射される直前直後の極めて切迫した、極めて短い時間を察知して、そしてこれを破壊することは、事実上可能かといえば、これはしっかり議論しなきゃいけなくて、恐らくこれは不可能ではないでしょうかと思うわけです。今難しいと思います。  なので、こうしたところに対する攻撃というのは私は現実的じゃないと思うんですが、これはどういうふうに思われますか。
  98. 茂木敏充

    茂木国務大臣 少なくとも、武力攻撃が発生した時点について、我が国に対する武力攻撃のおそれがあるだけでは足りない、これは確かだと思っております。  その上で、じゃ、着手の認定というのはどうするかということでありますけれども、それは、そのときの国際情勢であったり地域情勢のもとで、相手方の明示した意図、さらには攻撃の手段、態様によるものであって、これは当然変わってきているわけでありますから、あらかじめ定型的に、また類型的に、これは当たります、これは当たりませんと言うことはなかなか難しいと思います。  その上で、その抑止力、概念として拒否的抑止力と懲罰的抑止力があるわけでありますけれども、完全に、これは拒否的抑止力ですよ、これは懲罰的抑止力ですよ、こういう形で全てのものが分けられるものではないと理解しております。
  99. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 ありがとうございます。  では、簡単に整理しますと、拒否的抑止力というのは、どっちかというと、撃ってきたミサイルに対して対処するということの方法をどうするか。そうじゃなくて、その以前のものに対して、私たちが撃つということになったら大変なことになりますよということで向こうに撃たせないという、そのことを懲罰的抑止力と。あるいは、来た後にですね。  今のお話、ありがとうございます。ありがとうございますというのは、議論がちゃんとできるということがありがたいことでありまして。  というのは、逆に、短い時間の中で撃っていくということになったときに、向こうが先にやってきて、こっちも行くということになったときに、今いろいろと、国際法上、さっき、先制攻撃をしてはいけないという話をしたんですが、今私は、不可能ではないけれども極めて困難な作戦が、このミサイル防衛の中ではいろいろ考えなきゃいけない状況に、いろいろなところから出てきますからね、瞬時に。ということになっていて、だから、そこに対処することによって、報復攻撃能力、報復的な、状況によってはというところにつながっていく。  国際法上、もし先制攻撃をとらないでランチャーや潜水艦やブースト段階のミサイルを破壊することが実質上不可能ということになると、これは、抑止力強化するとしては、既に我が国が攻撃を受けて、憲法に基づく自衛権が発動された後、相手国に報復攻撃する能力を持つことだと考えるのが、何というんですかね、軍事的な考え、まあ一般論としてあるんだろうというふうに思います。  しかし、こうした報復攻撃は、他国領域で武力行使を行うことであって、まさに憲法で禁じられた行為であるというふうに考えます。なぜなら、敵基地攻撃が例外的に合憲であるのは、ミサイル攻撃を阻止する手段が他になく、その意味で必要最小限度の実力行使と言えるためだからです。  報復攻撃は破壊によって相手国に対して反抗心を萎縮させる攻撃を狙うもので、とても必要最小限度とは言えない、こういう作戦になる可能性がある。それを、こういった報復攻撃ととられるようなことまで、憲法上できるというふうに判断をしているのか。これは合憲というふうになるのかどうかというのはちょっと確認をしておきます。
  100. 岸信夫

    岸国務大臣 武力行使の三要件ですね。必要最小限度の具体的限度は、武力攻撃の規模、態様等から個別具体的に判断されるものである、限られた与件のみをもって判断することではないということではございます。  その上で、いわゆる敵基地攻撃と憲法との関係について、あくまで一般論として申し上げるならば、政府としては、従来から、誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとる、例えば、誘導弾等による攻撃を防御するのに、他の手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、憲法上、法理的には自衛の範囲に含まれる、可能であるというふうに考えております。  誘導弾等による攻撃を防ぐのに万やむを得ないと認められない場合については、自衛のための必要最小限を超えている、こういうふうに判断をされると思います。
  101. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ちょっと議論を整理させていただきますと、多分、もう少し大きな話からの方がいいと思うんです。  日米での役割分担というのが基本的にあるわけでありまして、日米間では、我が国防衛については、基本的に日本防衛的な作戦を実施する、一方で、他国の領域における武力の行使については米国が実施する、こういう基本的な役割分担のもとで行われ、そこで、日本の実施する防衛的な作戦の中で、限られた部分先ほど岸大臣が言った部分については容認をされる場合があるということなんです。
  102. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 これはちょっと私も、じゃ、それだったらお話をしたいと思うんですけれども、敵基地攻撃が可能とした一九五六年二月二十二日の船田防衛長官の答弁ですけれども、これは、誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるとしています。これについて、二〇〇三年の石破大臣が、このとき防衛大臣我が国日米同盟において敵基地攻撃能力米軍に依存をし、そして、自衛隊は専守防衛に徹することを基本方針としてきたので、敵基地攻撃能力は保有をしないというふうに答弁をしています。  つまり、敵基地攻撃能力を保有するには、米国の信頼性に疑問があって、先ほど限定的と言いましたけれども、恐らくここを指しているのかなと思いますが、頼りにできないことが憲法上の要件であるというふうに考えます。そうだったですよ。  したがって、米軍の敵基地攻撃に協力する目的で能力を保有するのは、まさに集団的自衛権の発動そのものであって、憲法の精神に反することであると考えます。その辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  103. 岸信夫

    岸国務大臣 政府は従来から、昭和三十一年の統一見解を踏まえて、誘導弾等の攻撃が行われた場合に、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば、誘導弾による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、憲法上、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であると解してきているわけでございます。  先ほども申しましたけれども、その上で、御指摘の点については、いかなる場合に他に手段がないと認められるかを含めて、我が国としていかなる状況において講ずるいかなる措置が自衛範囲に含まれるかということについては、実際に発生した武力攻撃の規模や態様に即して個別具体的に判断されるべきものであって、例えば、米軍等の他国の支援の有無といった限られた与件のみをもって判断できるものではない、このように考えております。
  104. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 自衛隊は専守防衛に徹することを基本方針としてきたので、敵基地攻撃能力は保有していないとしてきています。たとえ保有しても違憲とまで言えず、基本方針にも、もし、それは変更をちょこっとしたにすぎないんですよということであるのであれば、これはどうなのかなというので、また議論が必要だと思いますけれども。  今、ケース・バイ・ケースで考えていくという話をなさいましたけれども、実際に抑止力として使えるものというのがどういうものであるかということを、やはりこれはきちっとしないと、どこが必要最小限度だというときに、これはきちっと、どういう場合がどうであるというふうに話をしていかないと、論理がどういうふうに成立しているかというのが見えてこないんだと思うんです。なので、そこは、やはりしっかり国会議論した方がいいと思いますので、ぜひ、その点も含めてよろしくお願いしたいと思います。  この課題についてはまた引き続きやっていきますけれども、その際にもしっかりした議論をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  きょうは外務大臣にもお忙しい中いらしていただいてありがとうございます。ちょっと質問を、私は一つ、今度は外務大臣の所信の中で気になったところがありましたのでお伺いさせていただければと思います。  十一月十日の茂木大臣の所信表明演説に、中国との戦略的互恵関係についての言及が全くありませんでした。日本米国の同盟国ですが、中国とも深い関係にあるんだろうと思います。経済関係では、二〇一九年の対中輸出は千三百四十七億ドル、対中輸入は千九百六十二億ドルに上り、中国は最大の貿易相手国になっています。日系企業の海外の拠点数でも三万三千五十拠点で第一位となっています。さらに、二〇一九年の訪日観光客も九百五十九万人と第一位で、中国なくしては、経済というのは、日本のことを考えるときに、やはり成り立たないというのはこの数字があらわしているんだと思います。  米中の覇権争いが激化している、特にトランプ政権、これからバイデンさんになっていくんだろうかということも言われていますけれども、そういった中で、ただ米国に追随するだけでは我が国の国益は確保されないんだという声も大きいわけです。  日中の外交関係を見てみますと、まず、日中が国交正常化した一九七二年の共同声明というのがあります。一九七八年の日中平和友好条約というのがございます。そして、一九九八年に江沢民国家主席の来日された際の共同宣言、二〇〇八年の胡錦濤国家主席来日時の共同声明が四つの基本文書とされています。  戦略的互恵関係については、第四番目の基本文書である二〇〇八年の日中共同声明において、包括的に推進をし、同時に歴史を直視して、未来志向の関係を築いていくことを決意した旨が明記されています。この記述は我が国外交的な成果と評価をされており、私は、あらゆる機会を通じてやはりこれを確認していくということが必要だと思います。四つの合意というのがあります。  そうした観点から、米中関係の悪化が直ちに日中関係に及ばないようにするためには、中国の開発構想である一帯一路と日本のアジア支援とが補完し合うためにはどのような調整が必要とされるのか。あるいは、日米の自由で開かれたインド太平洋構想との、こことの衝突を避けるための信頼醸成措置というのは何が可能なのかというのを交渉のテーブルにのせる努力も必要ではないかと考えます。このことについて外務大臣のお考えをお聞かせください。
  105. 茂木敏充

    茂木国務大臣 日中間、七二年、七八年、九八年、そして二〇〇八年、四つの文書に基づいて関係を発展させてきた、そして重要な隣国であると考えております。  現在、米中対立、昨年来、通商摩擦、さらには先端技術をめぐる競争、そして新型コロナ対応など、さまざまな分野意見が対立しておりまして、米国の議会を見ておりましても、これは共和党が反対して民主党がどうというよりも、完全に超党派で、バイパルチザンで非常に厳しい姿勢、また国民もそういう状態がありまして、率直に申し上げて、急速に全ての問題を解決するというのは難しいんだろうと思っておりますが、その一方で、アメリカ中国世界第一位、第二位の経済大国でありまして、この両国が対立する、これは日本だけではなくて国際社会全体にとっても決して望ましいことではない、建設的な議論が進むことを期待いたしたいと思っております。  そして、我が国が提唱して米国含め多くの国が共有しております自由で開かれたインド太平洋、これは御案内のとおり、一帯一路に対抗するためにやっている話ではなくて、民主主義であったりとか航行の自由であったり法の支配、こういった基本的な価値を共有する多くの国、また多くのプロジェクトで、これについてはオープンである、こんなふうに考えております。  一帯一路につきましては、インフラの開放性、透明性、ライフサイクルコストを考慮した経済性、さらには債務の持続可能性といった国際社会共通の考え方を十分に取り入れる形で実施されることで地域と世界の平和と繁栄に前向きに貢献していく、こういったことを期待したいと思っております。  もちろん、日本にとりまして、アメリカは同盟国であります。そして中国は今や世界第二位の大国でありまして、この大国である中国が、その大国にふさわしい責任を果たすように促していく、これも隣国である日本の役割だと思っております。
  106. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 ぜひ、しっかりとそういったところを頑張っていただきたいと思いますし、私は、これまでの、日本中国、今言った四つの合意事項がありますから、ここをしっかりもう一回見て、どういうふうな二国間関係であったのかというところをもう一度、いろいろな交渉をするときにももう一回頭に入れて、やはり、全体像が見えていないと、どうしても手前だけで判断してしまうということがありますので、それは、大臣のお力ではそういうことはないかもしれませんけれども、担当者が交渉をこれからいろいろしていくわけですね。  例えば、千六百人のバイデンさんの外交政策政権移行チームがあって、いろいろな人がいろいろなことをやっていて、昔からの、日米関係にもいらっしゃった方もいるし、半島の担当者もいれば中国の担当者もいるし、そういった中で、総合的に見ていく中で、いろいろなことを求められるんだと思います、日本に対しての、役割というのは。ですので、そこもしっかり考えていただきたいということ。  現在、例えば、中国が沖縄の尖閣諸島、最後一言で終わらせていただきますけれども、中国尖閣諸島周辺海域で公船による領海侵入などを繰り返していることについても、一九七八年の日中平和友好条約の第一条では、相互の関係について、全ての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認すると明記しているわけですから、これを向こうに守っていただいて、これをしっかりと言っていくことで、これまでの合意に反することなく粘り強く主張していただくことを、この交渉のステージにもきちっと加えていただくことをもう一度ここでお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  107. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、屋良朝博君。
  108. 屋良朝博

    ○屋良委員 立憲民主党、屋良朝博でございます。よろしくお願いいたします。  茂木大臣には、引き続きよろしくお願いいたします。岸大臣、よろしくお願いします。  きょうは、大臣所信に関連しまして、基地周辺住民の負担軽減についてお話を伺いたいと思っておりますが、その前に、先ほど重徳委員質疑に対する答弁で、ちょっと確認させていただきたいなという項目が幾つかありまして、それを聞かせていただきたいと思います。  先ほど、契約途中の、あるいは交渉途中の土地の評価については、今は公表できないというふうなお話でしたけれども、既に売買額、合意額が決まっているという段階において、それがなぜ土地評価額が公表できないのかということをちょっと説明いただけませんでしょうか。
  109. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 先ほど私、重徳先生への答弁でございますけれども、これは、事実関係で申し上げれば、過去にもなされているものでございまして、本年の二月十八日の衆議院予算委員会におきまして、河野大臣の方からこの問題についての答弁がございました。  ちょっと読み上げさせていただきますと、「馬毛島の取得につきましては、馬毛島の土地の大半を所有する者との間で昨年に一定の合意に達し、その後、取得に向けた手続が継続しております。売買額の根拠や不動産鑑定評価額について現時点で明らかにすることは、今後の円滑な取得に影響を与える可能性があるため、現時点ではお答えを差し控えます。手続の進捗状況、所有権の移転状況を踏まえて、適切な段階で御説明をしたいと考えております。」こういう答弁をさせていただいておりまして、私も同じ答弁をさせていただいたというものでございます。  それで、今御指摘ございました、まさにここで言いますところの手続の進捗状況、所有権の移転状況ということで、今の実態で申し上げますと、本年八月七日現在で所有権を防衛省に、この馬毛島でございますけれども、登記が完了している土地は、馬毛島全体の公簿上の土地面積の八八%に達してございます。このほか、権利者を防衛省とした所有権移転請求権の仮登記を完了した土地、すなわち、防衛省が今後確実に取得する土地というものは、この馬毛島全体の公簿上の土地面積の約一一%、こうなっておるというところでございます。  ただ、現段階では、防衛省が取得手続を進めている土地について、それらの土地に係る利害関係者間で各種の調整等がなされているところでございます。仮登記に至っていない土地につきましては、まだ、まさに複数の地権者の方々と交渉等を行う必要がございます。  このように、まだ取得に向けての調整や交渉が行われている途上というところでございまして、また、相手方との関係もあることから、先ほどございましたような土地の積算根拠等につきましては、現時点で明らかにすることは考えておりませんと申し上げたものでございます。  ただ、これらの状況が、まさに手続の進捗状況、所有権の移転状況を踏まえまして、適切な段階できちっと御説明をさせていただきたいということでございます。
  110. 屋良朝博

    ○屋良委員 土地の評価をしたのかどうかということを確認させていただきたいんです。  今、その額を言えというふうなことを質問させていただくと、それは今は、ちょっと相手のあることですからということなんですけれども、普通、一般的な常識として、とりあえず相場観を自分たちで持っておいて、それで交渉するというのが一般的な話であると思うんですね。そういったものを防衛省は持って交渉したのかどうかということを聞かせてください。
  111. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 御指摘のように、昨年十一月の契約の合意、その前の時点で不動産鑑定評価を実施しておるというところでございます。
  112. 屋良朝博

    ○屋良委員 そうすると、時期が来ればその不動産評定額も出してくれるというふうに理解していてよろしいですか。
  113. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 その点につきましても、まさに、売買額の根拠でありますとか、河野大臣も、不動産鑑定額評価について、現時点では出せませんけれども、手続の進捗状況、所有権の移転状況を踏まえて適切な段階で御説明したいというふうなことでございますので、現在も同じ考えでございます。
  114. 屋良朝博

    ○屋良委員 ありがとうございます。済みません、小刻みに刻んで聞いてしまって。  その不動産評価というのは、いつの段階での評価とかというのをお答えできますか。
  115. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 昨年十一月の前の段階でということは承知しておりますけれども、どこの時点かということについては、済みません、突然のお尋ねでございますので、今はちょっと手持ちに持っておりません。
  116. 屋良朝博

    ○屋良委員 そうしたら、その時期について、提出をお願いしたいと思います。
  117. 若宮健嗣

    若宮委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。
  118. 屋良朝博

    ○屋良委員 続きまして、百六十億円で契約を結ばれた、そして今お話によると、その積算根拠についても今後時期を見て明らかにしていただけるというふうな説明だったというふうに理解しておりますけれども、先ほど、土地の形状を持ち主が変えていると。滑走路をつくったのか何かわかりません、整地されたのかとかという、とりあえず手を加えた。そういったことの費用も加味した上での金額だというふうな内容の御説明がありました。  その整地したという行為以外にも、何か加算された予算というのは、あるいは金額に加算されたものというのは、費用はあるのでしょうか。お願いします。
  119. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 先ほど私へのお尋ねの中で、民間の方がつくられた滑走路があります、それはそのまま使えるのですかというお尋ねでございましたので、それはアスファルトですとかコンクリート等で舗装されておりませんので、私どもがそのまま滑走路という形で使えるというものではございませんと。ただ他方で、そこは整地されております。それから、一部については、私どもが今の時点で考えてございます配置案と重なり合うところはございますので、そうした形での利用は可能だということで、このことが費用にどう影響するかということについては、私、ちょっと言及したつもりはございません。  ただ、いずれにせよ、この積算根拠につきましては、しかるべき時点できちっとした御説明を差し上げたいというふうに考えてございます。
  120. 屋良朝博

    ○屋良委員 そうすると、これは上物がある土地だということになっていると。そうすると、土地評価というのは一般的に下がるわけですよね、撤去費用がかかるので。そういうふうな理解でよろしいんでしょうか。一般的な売買契約というのは、土地の売買というのは上物があると評価は下がるということだというふうに理解していますが、防衛省さんの認識をお願いします。
  121. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 その点につきましても、先ほどの中で、むしろこの重なり合うところ、それから整地されている部分がございます。その部分に撤去が必要な物件は設置されていないというふうに申し上げてございますので、その意味では、撤去にかかる費用というところは生じないのではないかと考えてございます。
  122. 屋良朝博

    ○屋良委員 どうもありがとうございました。  本来の質問に戻らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  きょうは、基地周辺住民の負担軽減についてちょっと議論させていただきたいんですけれども、有機弗素化合物、PFOS、PFOAというのがございます。これは、ストックホルム条約で有害物質に指定されており、世界的に製造、使用、輸入が禁止された有害物質である。一般的には、PFOS、PFOAと呼ばれております。ということについてちょっと質問させていただきます。  お配りした資料の新聞の切り抜きなんですけれども、これは東京新聞でございますけれども、最近の紙面でございます。府中と国分寺の住民の血中から高濃度でPFOSが検出されたという内容の記事でございます。府中では全国平均の二倍、国分寺では全国平均の一・五倍、これはNPO法人が実施した血液調査の結果であるということでございます。  それからもう一つ、昨年四月に、京都大学医学部研究所が普天間飛行場の周辺住民を対象に同様の調査を行った結果、PFOSについては全国平均の四倍、そして、同じ種類の有機弗素化合物でありますPFHxSというのがありまして、それが全国平均の何と五十三倍だったというような状況でございます。  環境省はことし六月にPFOS、PFOAの全国調査の実態を公表されておりますけれども、東京立川、府中、調布の地下水で、今、環境省が設定されました暫定指針値の六倍から十一倍、神奈川県の大和市では河川で暫定指針値の四倍から五倍、沖縄は宜野湾市や沖縄市、嘉手納町などの河川や湧き水から三十倍前後の有機弗素化合物が検出されたという状況が確認をされております。  この環境省による全国調査の結果によって、こういった地域で特に高濃度の値が出たことについて、何らか地域的な特性はあると分析されますかという質問でございます。よろしくお願いします。
  123. 森光敬子

    森光政府参考人 お答えをさせていただきます。  本年六月に公表いたしました調査の結果ということでございますが、これは、全国の水環境におけますPFOS及びPFOAの存在状況を把握するということを目的に、排出源となり得る施設周辺の河川それから地下水、これを約百七十地点を選びまして調査を実施し、その結果を取りまとめたものというものでございます。  本調査におきましては、御指摘いただきました東京都、神奈川、沖縄を含む十三都府県の三十七地点で、暫定的な指針値、先ほど議員の方から御指摘いただいた指針値の超過というのが確認されたという状況にございます。  この超過した三十七地点につきまして、環境省の方でも、この中で、特にまた飲用に供されている地下水があるかどうか、これを確認をしております。今挙げております地点につきましては、地下水については飲用に供されていないということを確認しました。  また、河川の超過地点につきましても、関連します浄水場、取水している浄水場におきまして、水道水の暫定的な目標値、これを満足しているということを確認をしておるということでございまして、飲用による環境影響が生じないように対応しているということでございます。  地域的な関係につきましてということでございますが、もともと調査地点というのは、排出源となり得る可能性のある施設の周辺を選んだものでございまして、そういう結果であろうというふうに考えておるということでございます。
  124. 屋良朝博

    ○屋良委員 お配りした資料の二枚目、その裏方に全国調査の結果の数値が書いてありまして、ちょっとマーカーを入れているのが一般的にぱっと見て高い数値が出ているなというところなので、先ほど東京の府中とか神奈川の大和市とか沖縄の沖縄市、嘉手納町だとかといったところを紹介させていただいたんですけれども、大体目星はついていると思いますね。  昨年、環境省は在日米軍施設・区域環境調査というのをなされていて、その原因を突きとめようと大変な努力をなさっているというのは理解しているところでございます。  これは、一般的に言われているのは、アメリカでも物すごい問題になっているんですけれども、飛行場なんですよ、空軍の、米軍の。そこで泡消火剤を使っている。消火力が物すごく強いので。その中にPFOS、PFOAが入っている、あるいはPFASですかね、有機弗素化合物を使った泡消火剤がある。それを訓練のときに、訓練場で放出するんですね。放出したら、野外でやっているものだから、それが土壌から浸透して地下水となって、河川や湧き水に流れ込んでいるんじゃないのかというふうに言われております。  人体への影響については、低体重児が生まれる、胎児の骨格異変が生じる可能性がある、がんの原因になる、肝機能障害を及ぼす、これはアメリカ環境保護局がそういうふうな見方をしているというものなんですけれども、環境省として、この物質は有害であるというふうな認識はございますか。
  125. 田原克志

    田原政府参考人 お答えいたします。  今、健康影響のお話がございましたけれども、PFOA、PFOS等につきましては、ストックホルム条約、いわゆるPOPs条約の専門家会合におきましていろいろ知見がまとめられておりますけれども、PFOSにつきましては哺乳類等への影響が、またPFOAにつきましては発がん性等の影響が、いずれも動物実験で認められているというふうに認識しております。
  126. 屋良朝博

    ○屋良委員 そういう有害物質が国内でも地域的に発生している、傾向がわかっているわけですね。それであれば、その地域に限ってでもいいですから、国が健康チェックなどをしてその影響をつまびらかにする、もしそれが可能であれば対策もついでに、ついでというか、現状がわかれば対策が打てるというふうなことだと思いますけれども、健康チェックをするというふうなことはお考えでしょうか。
  127. 田原克志

    田原政府参考人 お答えいたします。  御指摘の地域におきましては、現時点で、お住まいの方々に健康被害が生じているというような情報はないというふうに認識をしております。  これまでも地元の地方公共団体と連携をしておりますけれども、引き続き、密に連携をいたしまして情報収集に努めてまいりたいと考えております。
  128. 屋良朝博

    ○屋良委員 アメリカでの対応というのは物すごく進んでいるというのは認識おありだと思いますけれども、汚染の蓋然性があると認められた段階でさまざまな対応をされているんですね。例えば、それを使っている消防士の健康チェックをしなさいというようなことを国防総省がやれと言ったりするんですね。そういったこともあるので、国際的な評価がという以前に、蓋然性があればやった方がいいというふうに思うんですけれども。  今、環境省も頑張って、ことし、暫定指針値ですか、厚労省は暫定目標値を設定されたということを承知しておりますけれども、その値を決めた後どんな変化があったのかというふうなことを知りたくて、ちょっと問合せをさせていただいたんですけれども、環境省は、こういうふうにしましょうよというような手引を全都道府県に配付して、汚染水の疑いがあれば飲まないようにしましょうとか、モニタリングを続けていきましょうねというふうな対応をなさっているというふうに聞きました。そのモニタリングの結果、汚染が確認されたとき、これは当然、原因を突きとめて汚染源に何らかの対応をしないと汚染はずっと続くわけですよ。  この汚染源の原因の究明、これはどちらの責任でなされるんでしょうか。環境省が手引をばっと配付された、モニタリングしましょうねというふうに言っている。お願いします。
  129. 森光敬子

    森光政府参考人 お答えさせていただきます。  個々の排出源の特定ということについてだと思いますけれども、個々の排出源の特定ということにつきましては、地域の実情に精通いたしました都道府県等において、御紹介いただきました手引、これを参考にして対応を検討していただいておるという今状況でございます。  環境省としても、技術的な助言ですとか必要な支援ということをしていきたいというふうに思っております。また、引き続き、関係省庁それから関係都道府県と連携して対応していきたいというふうに考えております。
  130. 屋良朝博

    ○屋良委員 助言なりなさるというところにとどまっているのは、恐らく、暫定的な指針値である、要監視項目であるからそこまでです、監視は皆さんお願いします、原因究明もよろしくと。その後、さあどうしようかというところでは、今のところ拘束力はないわけですよね。事業者あるいは工場を見つけました、汚染を出しているところを見つけたけれども、そこに対して何らかの強制力を持って行政が当たるということは、これはできないというか、段階だと理解していますけれども、そのとおりでしょうか。
  131. 森光敬子

    森光政府参考人 お答えをさせていただきます。  強制力という点につきましては、議員が御指摘のとおりということかと思います。  当然、その手前におきまして、御理解を求め、しっかりした対策をとっていただくようにお願いをしていくということにつきましては、しっかり都道府県と連携して環境省としても努めていきたいというふうに考えております。
  132. 屋良朝博

    ○屋良委員 先ほど調査結果の中で、飲料に供しているところはないというふうにおっしゃっておりました。東京の企業局は、高濃度のPFOS、PFOAが検出された井戸、これは飲み水に使うために取水していたんですけれども、それをとめているということですよね。沖縄でも浄水場が取水しているところにすごい高濃度の、何百倍ぐらいの高濃度の汚染がわかっていて、それを一生懸命、地域の浄水場で活性炭を使って除去しているというのが状況だと思います。だから、何らかの手だてをしないと、もはやもうこれはとめられないというのがわかっていると思います。  大臣御地元の山口県にも岩国基地がございますが、環境省の調査では汚染値はそれほど高く出ておりません。ところが、これまでにアメリカ政府の情報公開制度を使った調査では、山口県でも流出事故が起きたというふうな事実が明らかになっておりますので、これはまさに大臣の御地元にも共通する問題でありますし、基地、アメリカ軍の飛行場があるところは押しなべて大体このPFOS、PFOAの問題があるというふうに理解していいと思います。  この基準値あるいは指針値が暫定ながら設定されたきっかけは、昨年五月の環境委員会で、当時大臣だった原田大臣が答弁で、まずは調査して、その上でアメリカ軍に何を言うか、また次の話合いだろうが、しっかりと対応するというふうに述べられました。今、調査で明らかになってきました、大体。蓋然性が疑われる汚染原因者も何となくわかってきているということなんですけれども、どうでしょう。  原田大臣のイニシアチブでこの目標値、暫定ながら指針値、目標値が設定された。しかし、これは世界的に見てもかなり厳しい設定だというふうに理解しております。ただ、今のように、汚染がわかっても次の一歩が踏み出せないということでは、原田大臣のイニシアチブをこれからどうやって生かしていくかというところが宙に浮いている状態だと思うんですね。  ここは何とか政府として何らかのアクションを起こすべきではないでしょうか。政務官、お願いします。
  133. 神谷昇

    ○神谷大臣政務官 お答えします。  環境省といたしましては、昨年度、沖縄県の在日米軍施設・区域周辺におきましてPFOS、PFOAの水質調査を行ったところでございます。  また、環境省では、地方公共団体が対策を講じる場合の参考となる「PFOS及びPFOAに関する対応の手引き」を厚生労働省とともに設定をしたところでございます。調査により暫定的な指針値を超えているPFOS及びPFOAが検出された場合は、沖縄県において、この手引を活用し、対応いただいていると思っております。  環境省といたしましては、今後も、関係省庁及び関係地方公共団体と連携し、沖縄県民の皆様方が抱いている不安の払拭に最大限努めてまいりたいと思っております。  そして、今、屋良先生がお示しのように、大臣の言葉というのは非常に重いわけでございまして、環境省としましても重く受けとめておりまして、環境省だけではなかなか解決できませんので、防衛省そしてまた外務省等々と鋭意協力しながら、問題解決に努めてまいりたいと思っております。
  134. 屋良朝博

    ○屋良委員 強固な日米関係、それは大事だと思いますけれども、その足元をしっかり支えるのはやはり地元だと思うんですね。その地元でそういった、環境問題は精神的な負担もすごいじゃないですか。しかも飲み水にかかわること、それをちゃんとできていないという。しかも四年ですよ。二〇一六年にこの問題が明らかになって、ずっと沖縄県では、基地の中を調査させてくださいと言っている。そんな中で去年、原田大臣が、とにかく調査するんだというふうな言葉を発していただけた。それから、今、ちゃんと調査ができるようになっているというような経過がございますので、ぜひとも、地域の負担軽減ということをおっしゃるのであれば、しかも日米関係を強固なものにするということをおっしゃるのであれば、それを支えている地元の不安を払拭していかないとどうしようもないと私は思います。  実はこれからが本丸で、アメリカ軍とどういうふうに交渉しているんですかということを聞こうと思ったんですけれども、時間となりましたので、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  135. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、赤嶺政賢君
  136. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。  きょうは、辺野古の新基地建設について質問をいたします。  防衛大臣に伺いますが、政府は四月に、軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更申請書を沖縄県に提出をいたしました。埋立土砂の採取場所として、これまでは九州、瀬戸内地方と沖縄本島北部を挙げてきました。今回、これを変更して、県内については宮城島や南大東島、宮古島、石垣島を含む沖縄県全域に拡大をしております。引き続き九州地方も挙げていますが、沖縄県内で必要な量を満足できるとしております。  ところが、県内の調達可能量の七割を占めるのは、沖縄戦の激戦地である沖縄本島南部の糸満市と八重瀬町です。戦後七十五年を経た今なお、戦没者の遺骨が発見され、遺族のもとに送り届ける活動が続けられている地域でもあります。戦没者の血がしみ込んだ土砂を米軍基地の建設に使うのかという怒りの声が広がっています。  なぜそういう地域を土砂の採取場所に挙げたんですか。
  137. 岸信夫

    岸国務大臣 お答えをいたします。  埋立変更承認申請書に記載されております埋立土砂の一部であるいわゆる岩ズリの沖縄県内における採取場所については、沖縄防衛局から委託を受けた業者が行った採石業者に対するアンケート調査の結果、普天間飛行場代替施設建設事業に岩ズリを出荷することが可能であるとの回答を得た採石場の候補地を取りまとめたもの、こういうふうに承知をしています。  また、変更承認後の埋立てに使用する土砂の調達先につきましては、工事の実施段階で決まることでありますが、関係法令で定められた鉱山から調達されると承知をしているところでございます。  その上で、一般論で申し上げますと、沖縄本島南部における土砂等の資材については、県内のさまざまな事業で既に活用されていると承知をしておりまして、資材として用いる上で特段の問題があるとは考えていないところでございます。
  138. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 参議院の本会議でも、総理は私たちの小池書記局長の質問に対して同じ答弁をしていました。  関係法令というのは、鉱業法に基づいて許可を得た採石場から調達することを言っていると思います。もちろん、その地域の採石場はこれまでも公共事業などに使われてまいりました。  私が質問をしているのは、許可を得た場所から、さまざまな工事に採石場から調達するのは、これは当たり前のことで、私が聞いたのはそういうことではありません。今回の申請に当たって、沖縄戦の激戦地で、今も遺骨収集が続けられている地域をなぜ米軍基地の土砂の採取場所に加えたのか。沖縄の歴史や遺族への配慮は余りにもなさ過ぎると思いますが、いかがですか。
  139. 岸信夫

    岸国務大臣 沖縄はさきの大戦で大変凄惨な地上戦を経験されて、そして、特に本島南部地域においては多くの命が、とうとい命が失われました。沖縄の地は焦土と化して、我々としては、沖縄の方々の筆舌に尽くしがたい困難と癒えることのない深い悲しみ、これらを胸に刻みながら、戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない、こういう考えでおります。  このように、多くの方々がお亡くなりになった沖縄県でございます。遺骨収集につきましては、発見された御遺骨の状況に応じて、厚生労働省と沖縄県で連携して適切に対処されていると承知をしております。  この上で、変更承認後の埋立てに使用する土砂の調達先は工事の実施段階で決まります。関係法令で認められた鉱山から調達をされる、こういうふうには思っておりますが、また、一般論として申し上げれば、沖縄本島南部における土砂の資材については、県内のさまざまな事業で活用されているものと承知をしているところではございます。資材として用いる上では契約上は特段問題がない、こういうふうに考えています。  ただ、心情的な問題として、それは、先生のおっしゃることはよく理解をするところでございます。
  140. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 心情を理解しても、そこから土砂を採取して基地建設に岩ズリを使うというのは、やはり、大臣が私の心情を理解すると言っても、理解していないんじゃないかなという気持ちを持つわけです。ここではっきり、やはり凄惨な戦場になった南部地域からは土砂は米軍基地には使いませんと言うのなら、話は別ですけれどもね。  沖縄戦の遺骨収集ボランティア、ガマフヤーの代表で、四十年近く遺骨収集と遺族への返還に取り組んでこられた具志堅隆松さんという方がいらっしゃいます。私も、何度となく遺骨収集の現場に同行させていただきました。先月も、具志堅さんの案内で糸満市のガマを見てきました。日本軍兵士の衣服のボタンや靴底、下顎の骨、大腿骨などが確認することができました。この地域には今もこうした場所が数多く残っています。  今月も、魂魄の塔という戦後沖縄で最初につくられた慰霊塔がありますが、その近くの採石現場、これは新しい採石現場なんですよ、新しく開発される、恐らく辺野古を当て込んでいるんじゃないかと思いますけれども、既存の採石場でない、そういう新しい採石現場の斜面で遺骨や遺留品が見つかっています。  発見される遺骨からは、その人の最期の様子がわかるということを説明をされました。下半身しか残っていない遺骨からは、その人が手りゅう弾を抱えて自爆したということがわかります。また、母親が幼児を抱えた状態で遺骨が見つかることもあります。湿気を含んだ黒い土が出てくるのは、人間のたんぱく質を吸い込んだからだ、このように言います。  具志堅さんは、この地域が採取場所に加えられたことについて、遺族のもとに遺骨を返そうとしているのに心が痛い、戦争で亡くなった人の血や肉がしみ込んだ土や石を新たな軍事基地建設に使用するのは人間のやることじゃない、このように批判の声を上げています。  埋立土砂の採取場所の調査は、防衛省民間業者に委託して行っているものです。業者から上がってきた報告書に沖縄本島南部が入っていたとしても、政府として申請書を出すときには、そういう地域は除外すべきだ、このように考えるべきではありませんか。なぜ除外しなかったんですか。そして、そういう検討はしたんですか。いかがですか、大臣
  141. 土本英樹

    土本政府参考人 お答え申し上げます。  今委員指摘のアンケートの関係でございますが、沖縄防衛局から委託を受けた業者が行った沖縄県内の採石業者に対するアンケート調査につきましては、普天間飛行場代替施設事業に岩ズリを出荷することが可能であるかどうかにつきまして、沖縄県内全体で八十一事業者にアンケートを送付しまして、そのうち二十八事業者から回答があり、そのほかに一事業者から情報提供がございました。これをベースに、我々の方は、先ほど委員の御指摘のような形で記載させていただいたところでございます。  あと、委員の方からございました、岩ズリを採取する際に戦没者の遺骨が混入する可能性があるという観点に関しまして、まず、沖縄県における遺骨収集につきましては、発見された御遺骨の状況に応じまして、厚生労働省と沖縄県で連携して適切に対応されているものと承知をしております。その上で、一般論として申し上げれば、採掘途中における遺骨が発見された場合には、採石業者におきまして地元市町村及び警察に通報するものと承知をしております。  いずれにいたしましても、沖縄本島南部の鉱山内での採掘に当たっては、採石業者において、遺骨にも十分配慮した上で事業を行っているものと考えています。  以上でございます。
  142. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 適切に遺骨は発見していると言いますが、糸満の南部地域での遺骨の発見の大半は、このボランティア団体、ガマフヤーの皆さんですよ。厚労省がわざわざ行っているわけじゃないんですよ。厚労省もガマフヤーから連絡を受けて現場を見に行っているんですよ。適切になんて、そんなでたらめな答弁しないでくださいよ。  事は、遺骨はやはり家族のもとに帰りたいわけですよ。それは兵士であっても民間人であっても同じですよ。そういう遺骨が今でもどんどん出てくる。原野や森林のところに入ったら、今でもどんどん出てくるんですよ。そういうところから、今から採石をして岩ズリを取り出そうというわけですよ。  石灰岩と遺骨は見た目には絶対に区別がつかないと言っています。ガマフヤーの方は、手で、素手で、手袋もはかないで素手にさわって重さでわかると言うんですよ。そういう極めて専門性の高いものを、いや、私たちは注文をしました、後は業者がやってくれますよなんて、そういう戦場を体験した場所に対して、それが政府の姿勢ですか。  土砂の調達問題で、私は、この問題というのは、今の政権、安倍政権や菅政権の沖縄に対する姿勢そのものを問う問題でもあると考えております。  二〇〇〇年の沖縄サミット開催を決めた小渕首相は、学生時代、占領下の沖縄をたびたび訪れ、遺骨収集に参加しております。この南部地域です。開催決定の背景には、沖縄戦末期に大田海軍中将が大本営に送った、沖縄県民かく戦えり、後世格別の御高配を賜らんという電文に応えたいという心情があったと伺っております。以前、私が議員になったころ、まだ自民党の議員の皆さんから大田中将の話が出ましたよ。最近、全く聞いたことない。  そして、その小渕内閣で官房長官兼沖縄開発庁長官を務めた野中広務さんも、京都の園部町長時代に占領下の沖縄を訪れました。宜野湾市嘉数の高台に京都出身の戦没者の慰霊碑を建てるためであります。そのとき、空港から乗ったタクシーの運転手が、宜野湾市に入るところで車を停車させ、この場所で妹が殺された、アメリカ軍人ではない、暗に日本兵にということを言っていたそうであります。泣き続けていたと。その日から野中さんはずっと沖縄を思うようになった、このように話しております。  もちろん、小渕さんも野中さんも辺野古移設を推し進めたという人たちであります。それに対する私の感情もあります。それでも、沖縄の痛みに対する最低限の知識やあるいは配慮はあったと思いますよ。今の自民党政権からは、そうしたものが全く感じられないわけです。  大臣、沖縄の歴史や痛みに向き合っていただいて、沖縄本島南部からの土砂採取、これは取りやめていただきたいと思いますが、いかがですか。
  143. 土本英樹

    土本政府参考人 今、委員長の方から御指名いただきましたので、まず私の方から答弁させていただきます。  埋立土砂の一部である岩ズリの具体的な調達先に関しましては、先ほど大臣からも御答弁ありましたように、施工段階で確定するものでございまして、県内、県外のどちらから調達するかも含め、現時点では確定しておりません。  したがいまして、現時点では、岩ズリを南部地区から調達することが確定しているものではないということを、まず冒頭申し上げたいと思います。
  144. 岸信夫

    岸国務大臣 今、防衛省としての局長から答弁がありましたけれども、いずれにいたしましても、沖縄県における遺骨収集、これは、発見された御遺骨の状況に応じて、厚労省と沖縄県で連携して、先ほど御批判がありましたけれども、適切に対応されているものと承知をしておりますし、適切に対応されなければいけないというふうには思っております。  鉱山内で採掘に当たっては、もし遺骨が発見された場合、まずしっかり関係省庁協議をして、その遺骨を丁寧に扱わなければいけない、十分配慮しなければいけない、その上で事業を行う、こういうことだと思います。
  145. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 あの一帯は、一九七〇年代にほとんど鉱業権が設定されているんです。それで、原野や山林には一歩入ると遺骨が残っているんです。皆さんは、辺野古の埋立てに必要な七割を、あの地域から岩ズリをとろうとしている。どんどんどんどん遺骨を掘り起こしていくことになるじゃないですか。適切に処理するなんて、そんなの言葉だけですよ。  まだ、工事が始まるまで決まっていないということをおっしゃいました。でも、候補地ですよ。岩ズリの七割は糸満ですよ。候補地に挙げておきながら、まだ決まっていませんという、こんな不誠実な答弁がありますか。もしそうであれば、やめようじゃないですか、今からでも。南部地域、全部外してくださいよ。もちろん辺野古も工事はやめるべきですけれども。  ここはこことして、次の議論に行きたいと思います。  もう一点、埋立土砂の問題で、今回、採取場所を県内の離島に拡大していますが、島々によって異なる生態系を持つのが沖縄の離島の特徴です。日本自然保護協会は、設計変更申請の告示、縦覧に当たって、沖縄県に意見書を提出しています。そこでは、同じ県内であっても沖縄島とは異なる自然を持つ島々からの調達は、外来種侵入のリスクを高めると指摘をしております。  今回の設計変更申請書の提出に当たって、県内各地の採取場所の外来種の生息状況、これは調査をしたんですか。
  146. 土本英樹

    土本政府参考人 お答え申し上げます。  普天間代替施設建設事業におきましては、環境保全図書に記載したとおり、埋立土砂の供給元などの詳細を決定する段階で、生態系に対する影響を及ぼさない材料を選定することなどによって、環境に配慮することとしております。  本年四月に沖縄県に提出した変更承認申請書に記載された埋立てに用いる土砂等の採取場所につきましては、本事業に岩ズリを出荷することが可能であるとの回答を得た採石場の候補地を取りまとめたものでございまして、変更承認後の埋立てに使用する土砂の供給元は工事の実施段階で決まることになると承知しており、変更承認申請書の提出に当たりまして外来生物の生息状況についての調査は行っていません。
  147. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 そうしますと、専門家からは、離島から土砂を搬入するのであれば、県外の場合と同様に、高熱処理で外来種を死滅させる必要があるという声も上がっています。  これから調査するというわけですが、調査結果次第では高熱処理が必要になる可能性も否定できないということですね。
  148. 土本英樹

    土本政府参考人 お答え申し上げます。  普天間飛行場代替施設建設事業における外来生物の侵入対策につきましては、これも環境保全図書におきまして、埋立てに用いる購入土砂等の供給元等の詳細を決定する段階で、生態系に対する影響を及ぼさない材料を選定し、外来種混入のおそれが生じた場合に、外来生物法や既存のマニュアル等に準じて適切に対応し、環境保全に配慮すること、また、埋立土砂の種類ごとに注意すべき生態系への影響の検討は、専門家の助言を得ながら行うこと等の対策を実施することとしております。  本事業におきましては、埋立土砂等を県外から持ち込み、海域へ投入することも想定されるところ、シュワブ、平成二十七年でございますが、水域生物等調査業務におきまして、特定外来生物の侵入防止対策を検討するための基礎資料といたしまして、特定外来生物が死滅する条件を明らかにすることを目的とした実験を行ったところでございます。  この実験の結果、高熱処理によりまして特定外来生物を死滅させることができるとの知見が得られたところですが、特定外来生物の具体的な駆除方法につきましては、今後、必要に応じて、専門家等の意見を踏まえながら適時適切に対応するという考えでございます。
  149. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 残念ながら、ちょっと時間が来てしまいましたけれども、外務大臣には事件、事故についての通告もしておりましたが、今、高熱処理の駆除方法についてというお話もありましたが、また引き続きの質問で明らかにしていきたいと思います。  これで質問を終わります。
  150. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、杉本和巳君。
  151. 杉本和巳

    ○杉本委員 維新の杉本和巳です。ラストバッターで、御協力、御理解、お願い申し上げます。  岸大臣、御就任おめでとうございます。初の大臣御就任でいらっしゃいますけれども、これから恐らく重責を幾つもされていかれるということなので、激励を込めて、ちょっと書生論みたいな質疑をさせていただきたいというふうに思っています。  また、茂木大臣におかれましては、引き続きの外務大臣の御重責ということで、敬意を表させていただきたいと思います。  結論から言うとというか、私の思いとしては、やはり日米関係基軸、枢軸というか、最も大切ということで、バイデン次期大統領とも菅総理電話会談をされたということも直接の総理の言葉から伺っておりますけれども、やはり日米関係現状を更に強化していただくということはお願いしておきたいということでございますし、きょうの質疑は、お立場から、言えること、言えないことはあると思うので、そこは十分私も理解させていただく中で、将来に向けて、将来を見据えて、やはり現状並びにこれまでのトレンドというか、そういったものを御認識を共有いただけないかなという思いで質疑をさせていただきます。  理事会の中で、私、オブザーバーということで、ちょっと本を提示したいということで、若干、いいよ、悪いよみたいな話があったんですけれども、ちょっとここに置かせていただきながらお話をします。  茂木大臣、直接御薫陶を受けられたかもしれないんですけれども、グレアム・アリソンの著書「米中戦争前夜」というのが、日本語版では二〇一七年にダイヤモンド社から出ております。  それで、大塚理事からは、それは定番だというお言葉をいただいたので、恐らく多くの与野党の先生方はお読みになっておられて、ちょっと余計なことかもしれませんが、河野防衛大臣に、予算委員会で私が理事メンバーみたいな形にさせていただいていたので、ちょっと早目に、始まるタイミングが合ったときに、防衛大臣でいらっしゃったときに、お読みになられましたかと伺ったら、さらっと、読んだよと言われまして、さすがだなというふうに思いました。  その本を宣伝する意味は全くないんですけれども、大塚先生からは、三年ぐらい前に出版記念で世界ツアーがあって、その手伝いを日本側でもさせていただいたんだよと……(発言する者あり)出席をしたということですか。ということで、そういったもので、諸外国の首脳が、トゥキュディデスのわなというのを、英語なり、フランス語かわからないですけれども、そういう言葉でよく引用される、大国のパワーバランスみたいなお話がありまして、そのことが、申し上げたこの著書にございます。  それと、この著書の帯封のところに、時の人であるバイデン、この著書には元米副大統領と書いてあるんですが、菅総理は、米国次期大統領とまで、選挙結果はまだ最終確定しておりませんけれども、そういう方向にあると。時の人が、書評というか、この書に対しての賛辞としては、著者のグラハム・アリソンさんは国際問題についても最も鋭いオブザーバーの一人であり、私も上院議員、副大統領時代を通じて常に助言を求めてきたという、このグラハム・アリソン、ハーバードのケネディ・スクールの初代学長の著書であります。  アリソンさんは、御案内のとおり、「決定の本質」、キューバ危機について学術書的なものを書いておりますが、一般の方々が読めるものとして書いたのがこの「米中戦争前夜」という、三年ほど前に出て、今さら私、最近読んで、その話をするのはちょっと立場が、勉強するのが遅かったなというふうな思いでもあるんですけれども、中身は、新旧大国が衝突する歴史というんですか、その歴史の法則があって、それを回避するシナリオがやはりあるのではないかという提起が、幾つかの、十六ぐらいの国々の、衝突と衝突しなかったケースの中での研究でもそのことに触れていらっしゃるという著書であります。  ちょっと前置きが長くなって、外務大臣防衛大臣、恐縮ですけれども、そしてもう一つだけ加えたいのが、このアリソンさんの著書並びにちょっと私が調べた数字でいくと、やはりGDPが国力であり、GDPが防衛力あるいは軍事力ということは委員長も十分、副大臣とかされたり委員長をされたりしておられるので、まあみんな御存じだと思いますけれども、GDPベースで見ると、二〇一四年時点で、ワシントンで開かれたIMF・世銀年次総会、この場で世界経済に関する年次報告書が発表され、世界が驚いた。IMFの発表は、英国のFTが発表して、アメリカ経済が十七兆四千億ドル、中国経済は十七兆六千億ドルという数字になる見通しという発表をして世界が驚いたということです。  現在も、名目GDPベースですと、アメリカが二十二・二兆億ドル、中国が十七・一兆億ドルというようなGDPの数字ですけれども、このIMFベースの、二〇二〇年ベースのPPP、購買力平価で見ると、中国は二十三兆三千九百三十億ドルと一位を占めていて、米国は二十一兆四千三百三十二億ドルという二位の地位に、購買力平価ベースで見ると、既に国力としては中国が上へ行ってしまっているという現実があるかなというふうに思います。  トゥキュディデスのわなでは、ペロポネソス戦争当時、アテネが台頭してきて、大国、先に大きい国になっていたスパルタがいろいろな不安を抱く中で、最終的に、三十年間の、戦争をしない停戦期間みたいなものがあった後、やはり両国は衝突するというような事案であったということなんです。  我が国は、平和、安全を守り、そして領土、領海、領空をしっかり守るために、自衛隊あるいは防衛省、あるいは外交外務省ということで、両大臣が重責を担われている、こういう状況にあるわけなんです。  大分前置きが長くなったんですけれども、こういったGDPベース等で見た経済並びに軍事バランス等を考えて、この力関係。構造的ストレスあるいはパクス・アメリカーナが今も続き、もう何十年か続くかなと私は思っておりますけれども、冒頭私が一つの方向感を申し上げましたけれども、現状を、外務大臣防衛大臣、順番は委員長にお任せいたしますけれども、それぞれ、経済的な力、軍事的な力、そして両国の衝突のリスク、こういったものに対する我が国の立ち位置みたいなところで、今どんな思いをお持ちかどうか、言及いただける、お言葉をいただける範囲でちょっと確認をさせていただきたい。お願いいたします。
  152. 茂木敏充

    茂木国務大臣 グレアム・T・アリソン教授は、私がケネディ・スクールにいましたときの学部長、ディーンでありましたからよく存じ上げております。  トゥキュディデスのわな、基本的にペロポネソス戦争から始まりでありまして、要するに、覇権を握っている国に対して新興国がチャレンジをして新しい秩序をしようとする、その場合に、多くのケースではそれが最終的には戦争に発展をしてしまう、こういう論理を展開しているわけでありますけれども、単純に経済力だけではなくて、例えば、スパルタは陸上国家でありました。それに対してアテネは海上国家で新しい戦術をとる。  なかなか、いろいろな形で、時代時代によりまして状況というのは変わっているんだと思いますが、今、確かに、例えば中国経済力、二十年前でいったら世界のGDPの四%を占める状態でありましたが、今、それがその四倍、一六%に及ぶという中で、米中間では、これは通商だけではなくて、技術の問題、そしてコロナ対応、さまざまな対立がある。  そして、これは単にトランプ政権だから云々という問題ではなくて、アメリカの議会、さらにはアメリカ国民の間でもそういった感情がある中で、急速に全ての問題を解決していくというのは難しいんだと思いますが、世界第一位と第二位の経済大国が対立していくということは、これは国際社会全体にとっても望ましいことではないと考えておりまして、さまざまな形で、同盟国であるアメリカ、そして近隣国であって、また重要な関係を持っております中国に対しても、日本としても、また国際社会全体でも、さまざまな働きかけをやっていくことが必要であると思っております。
  153. 岸信夫

    岸国務大臣 歴史に学ぶ、歴史を教訓にする、これは大変重要なことだというふうに思っております。  その上で、委員指摘のトゥキュディデスのわなについて、これが今の米中関係にそのまま当てはまるかどうかということについては、慎重な分析をしていく必要があると思います。  ただ、いずれにいたしましても、今、外務大臣からもお話がございました世界の第一、第二の経済大国の米中間が非常に厳しい状況になっているということであります。  中国は二〇一七年十月の共産党大会において、国防と軍隊の近代化の目標として、今世紀中葉までに世界一流の軍隊を建設する、こういうことを表明していました。こうした考えのもとで、軍事力を更に発展させていくということが考えられるということでございます。  また一方で、米国は依然として総合力としては世界最大の国力を有している、こういうふうに考えております。国家間の競争が顕在化する中で、中国などとの戦略的競争が特に重要な課題である、こういう認識を示して、中国は、より大きく、長期的な課題としての強い警戒感を示している、こういうことだと思います。  我が国を含む同盟国との関係の重要性、これもここで強調している。こうした中で、米中両国の軍事動向については我々も引き続き重大な関心を持って注視してまいりたい、こういうふうに思っております。
  154. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございます。  もう御案内だと思いますが、おっしゃっているとおりだと思う一方で、やはり最近の中国の科学技術の進歩というのは、実は、中国国内で学んだというよりは、アメリカに留学に行って、中国に戻って、そして国のために貢献されている方々によって、宇宙サイバー電磁波という部分の中でも、サイバー電磁波などの分野、統合分野でありますけれども、そういったところの研究が随分進んでしまっている部分とか、あるいは無人機というかドローンというか、そういったものも、これは質問しませんけれども、いわゆる安価に兵器をつくるという意味では、軍事費という切り口と、非常に戦力というかそういう意味で、両国の軍事力を単純比較するよりも、やはりいかに安価に、敵が高い兵器を用意して、逆に戦う側がお値打ちでいろいろなものをたくさん使うとか、そんな想定もできたりしてしまうような国際情勢かなとも思っておりますので、引き続き、本当に両大臣、大変な重責だと思いますし、刻一刻、休むというか、本当に厳しい国際環境だと思っていますので、日本は引っ越せない立ち位置でございますので、引き続き御尽力をいただきたいとお願いをしておきます。  それで、ちょっとその延長線上で申し上げると、オーストラリアの防衛大臣岸大臣はお会いになられていて、近々、オーストラリアの首相が菅総理にお会いになられるという日程が入っているというふうに聞いております。  オーストラリアとは、茂木大臣は何度も出席されておられるかと思うんですが、2プラス2、それでインドとも2プラス2が始まり、そしてロシアとも、難しい関係にあるロシアとも2プラス2というのが展開されているということの中で、なかなか即答はしかねるかとも思うんですけれども、やはり中国とも直接の、外務大臣はカウンターパートと何度もお会いになって、大事なことは言っていただいていると思っておりますけれども、防衛大臣も、カウンターパートが国防部長さんに当たると思うのですけれども、直接のカウンターパートとの関係といったものも、どんな機会かはわかりませんが、できるだけ機会をつくっていただきたいというのは前提で、その上で、やはり2プラス2という点で、中国と2プラス2といったものを、定期的にというところまでいくのはまず難しくて、まず一回目ということになるかと思うんですけれども、緊張関係が領土の問題であったりすることは十分わかっているんですけれども、その上でも、やはりそういった衝突を回避するということは、我が国の平和と安全、領土、領海、領空を守るという意味からも大変重要かとも思うんです。  この2プラス2の設定の可能性について、現時点の思いなど、あるいは環境等を教えていただければ、それぞれの大臣から伺えればと思います。
  155. 岸信夫

    岸国務大臣 中国の軍事動向、最近の中国の軍事的な活動に対しては、我々としても強い懸念を持っている、こういう状況でございます。  こうした状況のもとで、先方には、我々の率直な懸念というものをしっかり伝えるべく、外務防衛合同の協議の枠組みとしては、次官級の日中安保対話を開催し、意思疎通を図っている。また、防衛当局間においても、昨年の十二月には、河野防衛大臣が十年ぶりの訪中をし、東シナ海、南シナ海を含む地域情勢について意見交換を行っています。さまざまなレベルで意思疎通を行っている状況であります。  その上で、御指摘の2プラス2の会合ですけれども、今具体的な検討ということでは行っておりませんが、防衛省としては、引き続き、防衛交流を推進し、日中防衛当局間での相互理解、信頼醸成、こうしたものを進める中で、中国が、インド太平洋地域の平和と安定に責任ある建設的な役割を果たしてもらう、国際的な行動規範を尊重する、遵守するとともに、国防政策や軍事力に関する透明性を向上させることで我が国を含む国際社会の懸念を払拭していくようにまず促していきたいというふうに思います。
  156. 茂木敏充

    茂木国務大臣 防衛大臣とダブる部分は少し割愛させていただきますが、中国との間では、外務省の次官級をヘッドとする、今お話もありました日中の安保対話、十六回、今開催をいたしております。  2プラス2の閣僚級の会合ということになりますと、今検討に入っているわけではありませんので、すぐにということにならないと思っておりますが、いずれにしても、日中両国の安全保障政策に関する相互理解であったりとか信頼醸成を進めるということは極めて重要だと思っております。
  157. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございます。  重たい答弁で、中国の側も多分その御答弁をきちっと見てくださっているかなというふうにも思います。  最後に、質問ということで防衛大臣に。  我が国防衛施設周辺あるいは国境離島土地、水源、外国人等の、その他地域と関係ない方々に売却されているなどの事案が起きています。我が国安全保障を脅かしかねない事態が生じているということで、我が党維新はこの点について問題意識を持っていて、我が党からの議員立法を提出する準備をさせていただいております。  菅内閣の大事なポイントとして、縦割りを排するということでいらっしゃいますが、外国人の土地取得とか、実質、表は日本人になっていて、裏側に中国の方とか外国の方とか、どこの国とはわかりませんけれども、安全保障を脅かすような可能性があって、それをどう規制していくかというのは難しさがあると思うんですけれども、他大臣とぜひ連携をして、我が国の安全、平和に向けて御尽力いただきたいと思うんですが、防衛大臣からこの点について御答弁いただければ、以上で終わりたいと思います。
  158. 岸信夫

    岸国務大臣 今委員の御指摘のありました、いわゆる防衛施設周辺における外国人、外国資本の土地の取得に関して、これは本当に国家の安全保障にかかわる重要な問題だ、こういう認識でおるところでございます。  現在、内閣官房において、安全保障上重要な土地の利用、管理等のあり方について課題を整理しておるところでございます。必要に応じて、法的措置を含めて、新たな制度を導入することも念頭検討に入っているもの、このように承知をしているところでございます。  いずれにいたしましても、内閣官房における検討について、防衛省としてもしっかり協力をしてまいりたい、こういうふうに思っています。
  159. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  160. 若宮健嗣

    若宮委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。      ――――◇―――――
  161. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、内閣提出防衛省職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。岸防衛大臣。     ―――――――――――――  防衛省職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  162. 岸信夫

    岸国務大臣 ただいま議題となりました防衛省職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げたいと思います。  防衛省職員の給与について、本年度の官民較差に基づく改定を実施するため、所要の措置を講ずる必要があります。  以上が、この法律案の提案理由であります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  人事院勧告の趣旨を踏まえて、防衛大学校及び防衛医科大学校の学生に係る期末手当について引き下げることとしております。  なお、自衛官及び事務官等の期末手当の支給割合の引下げにつきましては、一般職の職員の給与に関する法律の改正によって、一般職の職員と同様の改定が防衛省職員についても行われることとなります。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをよろしくお願い申し上げます。
  163. 若宮健嗣

    若宮委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十九日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会