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伊藤孝恵君 私は、
会派を代表し、ただいま議題となりました
令和二年度
予算三案に対し、反対の立場から討論を行います。
冒頭、森友学園国有地売却問題で決裁文書の改ざんを強要され、自ら命を絶った
財務省近畿
財務局赤木俊夫さんの手記や遺書が明るみに出てもなお再調査は必要ないと強弁される
安倍総理、
麻生大臣始め、
安倍内閣の
対応に強く抗議いたします。
人生最後の日に、誰に何を伝えていくか。赤木さんは、最愛の妻に、そしてその人の母にもわびながら逝きました。一行目には義母と書き、二行目には母と書いたのは、血のつながりはなくとも、義理ではなく本当の母のように思っていることを伝えたかったのだと感じます。
真面目に生きてきた自分の家族がなぜ死ななければならなかったのか、寝ても覚めても問いながらこれからも生きていく遺族の苦しみを思い、改めて、第三者
委員会による再調査、
関係者全員の参考人招致を強く求め、以下、本
予算に反対する理由を申し述べます。
第一の理由は、歳出
予算が実態と懸け離れていること、また、それを分かっていながら修正する努力を怠った点です。
我々は、衆議院で、与党内に逮捕者も出たカジノを推進するための費用など不要不急の
予算を削り、
新型コロナウイルス感染症対策費とする
予算案の組替え動議を提出いたしましたが、
政府はこれを一顧だにしませんでした。参議院での審議を進める中では
東京オリンピック・パラリンピックの
延期が決まり、歳出項目の大幅な修正はもはや疑う余地はありません。
自粛要請によって、
イベント関連
事業や外食産業、観光業界、百貨店等のみならず、様々な分野の中小企業・小規模
事業者への深刻な
影響も鮮明となりました。今必要なのは、融資ではなく、返済不要の直接的な資金支援や、年度末における納税、銀行債務の大幅な支払猶予であることは明らかです。
加えて、唐突に決定された一斉休校により仕事を休んだ保護者への所得補償、特にフリーランスの
方々への支援に関しては、とにかく早く、とにかく家計に直接届く緊急
経済対策が必要であるにもかかわらず、米国を始め多くの国々が迅速かつ大胆な財政出動に踏み切っているのと比べ、はるかに劣るスピード、はるかに劣る規模、はるかに劣る具体性で、
生活者を安堵させるには至りませんでした。
今や、貯蓄ゼロの単身世帯は三八%、二人以上世帯では二三・六%です。家計や消費の停止は
日本経済の停止であり、それは
国民の命に直結します。
政府は、大規模な
対策を年度内に可能とすべく本
予算の修正を行うべきでした。
第二の理由は、歳出のみならず、歳入
予算も実態に合っていない点です。
過度に楽観的な
経済見通しを前提とした
予算である上に、ここには
新型コロナウイルス感染症の
影響が加味されておりません。
政府は、二年度の税収を過去最高の六十三・五兆円と見込んでおりますが、この前提となっているのが五百七十・二兆円という名目GDP
見通しです。一方、現実に目を転じると、名目GDP成長率は、昨年七―九月期がプラス〇・四%、十―十二月期がマイナス一・五%と、さしてなかった駆け込み需要に対しての反動減が非常に大きく、年率で見ると、十―十二月期には三十兆円
程度のGDPが吹き飛んだ計算になります。
見通しの
維持には今後三・七%という非現実的な高成長が必要ですが、一―三月期以降は、当然、コロナ
ウイルス感染症の
影響が顕在化してきます。
このように、
経済の実情を反映していない
予算に賛成することは到底できません。
以上、
令和二年度
予算三案に反対する主な理由を申し述べました。
審議を通じて、
東京高検検事長の勤務延長問題や、集団的自衛権の行使を認める驚くべき憲法解釈変更をした前
内閣法制局長官を
国家公安委員に充てる人事など、検察と警察の私物化を疑われるような
事案もまた明らかになりました。
偉くなりたい、豊かな老後を送りたい、個人が抱く欲望を逆手に取って権力の濫用に利用する、一瞬己の正義を封印すれば優遇される社会、政治や行政の核にいる者が皆それを横目で見ている社会の行く末など暗黒です。
政府には、
国民の生命と暮らしを守るための
予算編成と
経済財政運営を抜本的に改めることを求め、私の討論を終わります。(拍手)