○古賀友一郎君 自由民主党の古賀友一郎です。
私は、自由民主党・
国民の声を
代表して、ただいま議題となりました
令和二年度第二次
補正予算案の
財政演説に対して質問いたします。
まず冒頭、
拉致被害者救出運動のリーダーであった
横田滋さんの御逝去を悼み、心から御冥福をお祈り申し上げます。
四十年以上、
めぐみさんの帰りを待ち続けながらついに再会を果たせなかった無念を、私たち
日本国民は共有しなければなりません。この
拉致問題の解決は、まさしく時間との戦いにもなっています。一日も早く
拉致被害者の方々が
帰国できるよう、
安倍総理を先頭に、
政府におかれてはなお一層の御尽力をお願いいたします。
そして、
新型コロナウイルス感染症につきましても、亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、御遺族、
関係者の方々に衷心よりお悔やみ申し上げます。また、現在も闘病中の
皆様に心からお見舞い申し上げます。
さらに、現場において
感染拡大の
防止、感染者への治療に
全力で当たっていただいている
医療、
介護等関係者の
皆様の献身的な御尽力に心からの敬意と感謝を申し上げますとともに、日々の
生活に欠かせないお仕事に従事されている
皆様にも深く感謝申し上げます。
先月二十五日、
緊急事態宣言が全国で解除されました。これからは、感染第二波を十分警戒しながらも、徐々に
生活と経済を取り戻していく段階となります。そのためにはまず、これまでに受けた経済的ダメージを的確に手当てすることから始めなければなりません。
今回の
補正予算案の作成過程では、我々自民党も党内でかんかんがくがくの議論を積み重ね、先月二十一日、自民党政務
調査会の提言を
政府に申し入れました。
その結果、
雇用調整助成金の抜本的拡充、企業、
事業者の
資金繰り対応の
強化、
家賃負担の
支援や学生の学びを継続するための新たな給付金の
創設、
医療機関や介護施設に対する
支援措置、地方創生
臨時交付金の拡充、
持続化給付金の
対象拡大、一人親
世帯、農林漁業者、文化芸術・スポーツ団体、地域公共交通機関への
支援措置等々のほか、感染第二波を含め、今後の
状況変化にも的確に
対応できるよう十兆円の
予備費も計上されており、あらゆる方面に配慮した
内容となりました。また、
家賃の
支援において融資と公費負担を組み合わせたいわゆるハイブリッド方式を採用するなど、三月に申し入れた参議院自民党政策
審議会の提言
内容を取り入れていただいたことにも感謝申し上げます。
そうして積み上げられた
事業規模は百十七兆円を超え、四月に成立した第一次
補正予算と合わせると、実に我が国のGDPの四割にも匹敵する二百三十四兆円という、空前かつ世界的に見ても最大
規模の
対策となります。この上は、本
補正予算案を速やかに成立させ、一日も早く困っている方々にお届けしなければなりません。
しかし、もう既に各申請の窓口は第一次
補正予算の執行で
職員の方々に休日返上かつ夜遅くまで頑張っていただいている目いっぱいの状態であり、今回の
補正予算を加えて迅速に執行するには更に抜本的な
対策が必要と考えますが、どのように取り組まれるのか、
安倍総理に伺います。
また、困っている方々に
支援が行き届くには、今回の
内容が分かりやすく周知されなければなりませんが、そのための
取組についても併せて
総理に
お尋ねします。
他方、
緊急事態宣言が解除されたからといって、まだまだ警戒を緩めるわけにはいきません。一旦収束には向かっていますが、国内でも感染者が再び
増加した地域もありますし、海外でもまだ
感染拡大は続いているほか、収束したかに見えた国でも再び感染クラスターが発生しています。先週から厚労省による大
規模な抗体検査が始まっていますが、まだ多くの人が抗体を持っていないと考えられる我が国では、第二波に襲われる
可能性は十分にあると考えなければなりません。
緊急事態宣言の解除は、
事態の収束ではなく、第二波に
備えるためのモラトリアム期間の開始と考えるべきであります。
そこで、これまでの
対応の中で得られた教訓や反省点、さらには新たに分かってきた知見等も踏まえ、感染第二波にどのように
備えていくのか、
総理に伺います。
先月から沖縄、九州南部、四国と梅雨入りし、これから全国的に雨のシーズンとなってきます。この時期は、近年の西
日本豪雨、九州北部豪雨など大雨の災害に見舞われやすく、住民の方々が避難を余儀なくされる季節でもあります。また、地震国である我が国では、いつどこで大
規模な地震に襲われても不思議ではありません。不幸にもそうした自然災害が感染第二波と重なってしまい、人が密集する避難所においてクラスターが発生したり、あるいは、広域的に人が密集するポイントができることによって第二波発生の端緒となるような
事態は何としても避けなければなりません。
避難所の感染
防止対策を徹底し、住民の方々がちゅうちょせずに安心して避難してもらえる環境を整備しておくことは、災害から命を守る上で不可欠であります。この点、
政府も、パーテーション、段ボールベッド、
マスク、消毒液の備蓄や、ホテル、旅館等を避難所として活用することも進めているようですが、災害時はただでさえ救助・救急活動や傷病人の手当てなどで混乱しやすい
状況となりますから、災害とウイルスの両方から住民を守るには入念な準備が必要と考えます。
そこで、避難所の整備を始め安全、安心な避難のための現在の準備
状況と今後の
取組について、
総理にお伺いします。
今回の
感染拡大では我が国でも多くの尊い命が失われてしまいましたが、それでも、
国民各位の御理解と多大なる御協力をいただくことによって、諸外国に比べるとかなり少なく抑えることができています。都市封鎖など強制的な規制もせずに七週間弱で
緊急事態宣言の解除にまで至った我が国の
取組に対しては、グテーレス国連事務総長から、
日本の
感染症への
対応は世界において卓越した模範であると称賛され、また、WHOのテドロス事務局長も我が国の
対策を
成功しているとコメントするなど、世界中から高く評価されています。
そうした中、
安倍総理は、治療薬やワクチンを透明性の高い国際的な枠組みの中で途上国も使えるようにするため、特許権プールの
創設を提唱しておられます。これは近年、ただでさえ内向きになりがちな国際情勢の中にあって、世界各国が同じ船に乗っていることを自覚してもらうすばらしい提案と
思います。
人類共通の利益である
感染症対策を通じて、我が国がリーダーシップを発揮し、世界の平和と安定に向けた
取組の先頭に立つことは誠に有意義であります。今月、
総理御
自身が提案される予定だったG7サミットの開催
日程は現在調整中とのことですが、どういう形であれ、この提案は是非成就させていただきたいと
思います。
総理の御
決意を伺います。
そして、
感染症対策をリードしようとする我が国としては、それにふさわしい国内体制も整備していかねばなりません。国立
感染症研究所、地方衛生研究所、保健所等の体制拡充はもとより、特に近年、エボラ出血熱、鳥インフルエンザ、SARS、MERSのように動物に由来する人獣共通
感染症が人類の大きな脅威となっていることを踏まえると、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の動物衛生研究部門も含めて、それらの機能と体制を充実していくことが急務と考えます。
そこで、それらの機能を統合
強化し、人獣共通
感染症にも迅速に
対応できる
日本版CDCの
創設に向けて取り組んでいくべきと考えますが、
総理のお考えを伺います。
今回の感染が収束したとしても、新たなウイルスとの闘いはこれからも永久に続きます。しかも、人の流れのグローバル化などに伴い、その発生のサイクルがだんだん短くなっていくことも私たちは覚悟しなければならないと考えます。
したがって、私たちは今後、
感染症に対するレジリエンスを
備えた新しい
社会経済システムをつくっていく必要がありますが、その柱の一つとなるのが、今回改めてその意義が見直されているテレワークであります。
今回、通勤や職場での密を回避する感染予防策として注目されているテレワークですが、私は、そのこと以外にも、我が国の様々な
重要課題解決の方策として期待できるものと考えています。
そのように感じたのは、おととし、総務省の政務官として総務
大臣表彰を行うため、テレワークのイベントに出席したときでありました。その受賞企業の中に、岡山市の株式会社WORK SMILE LABOという事務機器を扱う従業員三十名ほどの会社がありました。
その会社は百年以上の歴史があるのですが、リーマン・ショックや東
日本大震災の影響もあり、一時は倒産寸前まで追い詰められながらも、その苦境を何とか脱した後は、テレワークを中心に取り組むことによって業績を回復させ、地元新聞社が毎年行っている地元就職人気企業ランキングでも、並みいる大企業の中、年々順位を上げ、今年は第四位にまでなっている会社であります。テレワークだけに県外からの求職者も多いというその会社の
取組は、地方の企業が人材を集めて成長していく地方創生のモデルになり得るものであります。
また、テレワークは、育児や介護との両立を図ることによって少子化
対策や介護離職の
防止対策にもなり得るほか、特に、大都市においては大地震への
備えとなる過密の緩和、また大雨や雪などで交通機関が麻痺した場合の帰宅困難者
対策にもなり、防災、国土強靱化にも資すると考えられます。
そのように多面的な効果が期待できるテレワークでありますが、今回は感染
防止策として急遽
取組を求められることとなったため、戸惑う職場も多かったのではないかと
思いますが、その過程で具体的な課題が見えてきたこと、また
思い掛けない効果を実感できたことも収穫ではないかと
思います。いずれにしても、このテレワークは、今回一過性のものとしてではなく、
コロナ後の
社会経済活動改革の重要な柱として中長期的に腰を据えて取り組んでいく必要があると考えますが、
総理に御所見を伺います。
最後に、質問ではありませんが、
安倍総理のお
言葉をいただきたいと存じます。
この
コロナ禍の影響で、
国民的行事ともいうべき夏の全国高校野球選手権大会が戦後初めて中止になりました。小さい頃から甲子園を夢見て日夜練習に打ち込んできた高校球児の悔しさたるや察するに
余りあります。特に、最後の集大成の大会となるはずだった三年生にとってはなおさらです。
高校野球だけではありません。高校総体も、文化部の全国大会も中止が相次いでいます。高校生だけではありません。中体連、全国中学校体育大会も、また大学生の全国大会も中止が相次いでいます。
大人たちにとっては毎年の中の一回の大会であっても、当人たちにとってはかけがえのない一回であります。突然目標を奪われた若者たちは計り知れない喪失感に襲われていることと
思います。そのことが春秋に富む彼らの心に長く影を落とし、洋々たる将来をゆがめてしまわないか、誠に心配であります。
そこで、そうした若者たちに対して、
安倍総理御
自身の心からの励ましのメッセージをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕