○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
私は、日本共産党を代表して、
地域共生社会の
実現のための
社会福祉法等
改正案に反対の討論を行います。
新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が出される中で、介護、障害、保育など、福祉
事業は私たちの社会にとって不可欠の存在であることが明らかになりました。同時に、
現場で働く人たちの強い
責任感によってどうにか維持されている
地域の福祉基盤は、とても脆弱であることが露呈しました。
今、第二波に向け備えるのであれば、
政府がやるべきは、助け合いを求めることではなく、危機にあっても生存権を保障し得るセーフティーネットの
強化と、
地域福祉の基盤と言える介護・障害福祉を始めとした福祉
事業が安定して維持できる抜本的な対策です。
経済
活動の自粛が広がり、雇用情勢は一気に悪化しています。新型コロナ感染症の影響による解雇、雇い止めは、五月二十九日時点でも一万七千人に達する勢いです。多くの人が営業や外出の
自粛要請により仕事をなくし、収入の減少に苦しんでいます。住宅も失う人々、今日、明日の食費にも事欠くシングルマザーと子供たちが急増しています。
時間の経過とともに、生活に困窮する人たちが一気に増えることも予想されます。生存を脅かされることがないよう、生活
保護制度の入口を広げ、困った人が
利用しやすくするための対策が緊急に必要です。
一つ、申請書類の簡略化とファクスや郵送で申請も可能とすること。二つ、速やかな決定につながり、申請者のハードルを下げるために、資産要件の適用を一時的に停止すること。家族や親族に対する扶養照会の一律停止を直ちにやるべきです。生活
保護への偏見を払拭するため、権利であることを含め、積極的な
利用を促すための手だてを取ることを求めます。
新型コロナ感染症拡大に伴い、介護・障害福祉などを担う
事業所は窮地に立たされています。
きょうされんが障害児者の支援に関わる
事業所に行った
調査では、四月、五割の
事業所が減収に陥り、居宅介護では平均百十一万円もの減収になっています。今日、明日の存立に関わるところまで追い込まれている
事業所もあります。就労支援の
事業所では、働く障害者の工賃が払えない事態となっています。
全国介護
事業者連盟が行った第二次
調査では、九割以上が経営に影響を受けている、受ける可能性があると回答しています。三月以降の
利用者減少などによる大幅減収に加え、マスクや消毒等の
負担がのしかかり、事態は更に深刻化しています。このままでは感染が収束しても
事業を再開できず、長期化すれば介護崩壊につながりかねません。
これらの
事業所による支援が途絶えれば、
高齢者や障害のある人が
地域で生きることはできません。福祉
現場で働く人たちは、常に
感染リスクと向かい合いながら、
利用者の日常生活を維持するために懸命に働いています。しかし、経営難は、一時金切下げや賃金カットなど従事者にも影響が及んでいます。感染の第二、第三波への体制を準備しなければならない今、賃金が保障されず離職するなどの事態を招いてはなりません。
マスク、使い捨てエプロン、ガウン等、衛生・防護用品を国の
責任で安定供給を確保すること、必要とする
利用者、従事者がPCR検査を受けられるよう体制整備することを求めます。全ての
事業所に昨
年度の実績に見合う収入補填を早急に行うべきです。全ての福祉職に特別の手当を支給すべきです。
新型コロナ感染症が拡大する中で、
高齢者と家族の生活は激変しています。こんなときに、介護保険、医療費の
負担増などもってのほかです。撤回を強く求めるものです。
介護・障害福祉などの
事業所、職員、
利用者、家族は、
新型コロナウイルス感染症への
対応に日々追われて疲弊しています。本
法案は、
現場に大きな変化を迫るものであり、介護の
現場からも障害の
現場からも、なぜこのような余裕のないときにと声が上がっています。
私たち抜きに私たちのことを決めないでとの
原則は貫かれなければなりません。共生をうたう
法案であるなら、当事者、
関係者が知らないうちに、十分に
議論に参加できないまま成立させることがあってはなりません。
本
法案に反対する第一の理由は、
地域福祉推進の主体に
地域住民等を位置付け、複雑化した
課題の解決を求めていることです。その一方で、国、
地方自治体は、支援者や住民をつなぐ共助の場の
創設や
連携強化などの役割にとどまっています。
地域福祉の理念をゆがめ、公的
責任の更なる後退につながります。
包括的な支援体制や断らない相談支援は、その
必要性はあるものの、民間への丸投げや、財政的にも人的にも十分な裏付けがなく、このままでは
実効性が確保できません。韓国のソウル市が、同じく
制度から漏れる人をなくすよう、福祉を届ける対策として専門職の公務員によって出かける福祉を
実現したことと余りにも対照的と言わなければなりません。
八〇五〇問題やダブル介護などの問題は、社会保障
制度の後退と担い手である公務員が削らされ、
制度から遠ざけられた結果ではありませんか。自己
責任の強調で、助けを求められなくなって社会的に孤立を深めているのではありませんか。
複雑な
課題を抱えた人たちが
地域で尊厳を持って生きていくためには、まず公的支援が保障されることが不可欠です。公的
責任を前提として、住民の主体的な
活動があるべきです。自己
責任、家族
責任の更なる
強化を一方で進め、
制度を
利用できない人たちを拡大しながら、自助、互助を求め、国、
地方自治体の
責任を後退させることは許されません。
第二に、社会福祉
連携推進法人は、
社会福祉法人同士の資金融通や人材確保の協働化を進め、効率化、大規模化に向けて、中小法人の合併や
事業譲渡へ道をつくるものです。効率化のみが追求され、大規模法人を
基本とした報酬や支援
制度に変えられれば、小規模法人の経営は成り立たなくなります。小規模法人の存続が困難になれば、
地域における支援の多様性は失われ、個別性の強い支援を必要とする人々の生活は守れません。
介護・障害福祉等の
事業所は、コロナ禍にあって、
利用者と家族の命と生活を支え、
地域に不可欠な存在であることが明らかになっています。規模に関わりなく安定した経営が可能な報酬体系、財政的保障を
確立することこそ今求められています。
第三に、人材不足を理由に、介護福祉士養成施設卒業者の国家試験に係る経過措置を延長することです。福祉部会でも反対意見が多数あり、
法案審議中にも
関係者から介護福祉士の地位
向上に逆行するとの抗議の声が寄せられております。また、准介護福祉士という二重構造を前提としており、介護報酬の差別化等、介護職全体の労働条件を低水準に固定化することになりかねません。
政府がやるべきは、ケア労働を軽視する
政策を改めることです。介護
現場で働く職員の専門性を正当に
評価し、著しく低い賃金水準、
実情に合わない職員配置、人員基準の抜本的な引上げを強く求めて、討論といたします。(
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