○森ゆうこ君 立憲・
国民.新緑風会・社民共同会派、
国民民主党の森ゆうこでございます。
私は、会派を代表し、
安倍政権の提唱するAIやビッグデータを活用して実証実験する丸ごと未来都市、スーパーシティ、
国家戦略特別区域法の一部を
改正する
法律案に対し、反対の立場から討論を行います。
国、
自治体、民間で構成する強力な
推進機関を設ける必要がある、
推進機関とは従来の国家戦略特区の
区域会議を更に充実
強化した言わばミニ独立
政府、その
推進機関には域内での独自の規制の設定などを含め強力な権限を与えること、これが竹中平蔵氏を会長とするスーパーシティ
構想実現に向けた有識者懇談会による最終報告の一部です。
ミニ独立国家を目指すというスーパーシティにおける主権者は誰ですかという私の極めてシンプルかつ通告ペーパーどおりの質問に、北村大臣が曖昧な
答弁を繰り返し、委員会は何度も中断しました。
地方
自治体の条例が国の法令を凌駕して
特例をつくることができるという有識者懇談会の案は、
内閣法制局から憲法九十四条違反の可能性を指摘されてトーンダウンしましたが、
提出法案では、スーパーシティの
事業計画に当たる
区域計画を
計画案の段階で
内閣総理大臣に
提出して認定を受け、複数の規制の
特例措置を一括かつ迅速に実現することが担保されています。
例えば、ライドシェアについて、去る五月二十日の参議院本
会議における
地域公共交通の
活性化及び
再生に関する
法律等の一部を
改正する
法律案の質疑の際、赤羽国土交通大臣は、安全性が
確保できないのでライドシェアは認めないと断言をしましたが、特別委員会では、例示されたA市の後期高齢者の通院
対策を図る提案に関する
福島みずほ議員の質問に対して、
内閣府は、ライドシェアが一つの規制改革の
要望となり
議論することとなると、実現することを否定しませんでした。赤羽大臣の
答弁との整合性は一体どうなっているんですか。国会の
審議をないがしろにするもので、到底容認することはできません。
スーパーシティ
構想では、データ連携基盤
整備事業により、国、
自治体の持つ行政・
住民データ、企業保有データ、さらには空間座標などの
地域データなど、膨大な個人情報を含む広範囲なデータが収集、整理され活用されて最先端のサービスが提供され、理想の未来社会を追求するとされていますが、問題は、本人の同意なしに個人情報の目的外使用や第三者への提供などが可能となる場合があることです。それにもかかわらず、最も重要な
住民の合意形成が具体的にどのように図られるのか、法案には明記されていません。
内閣府は、
区域会議に
住民が参加することが条文のどこにあるのかという私の質問に対して、
法律二十八条の四、二項の
住民の意向を踏まえなければならないという
規定を担保するために参加してもらうことを想定していると曖昧な
答弁を繰り返していましたが、最後には、第七条あるいは第二条三項二号などで解釈できると
答弁を変更しました。
しかし、
閣議決定でいとも簡単に
法律の解釈を変更して、余人をもって代え難いと
黒川前東京高検検事長の定年を違法に
延長し、それを正当化するために
検察庁法の
改正案を強行採決しようとしていたにもかかわらず、まさかのマージャン
賭博で
黒川氏が辞任するや否や、法
改正そのものが間違いかもと恥ずかしげもなく言い出す
安倍政権の法解釈を信用することなど到底できません。明らかな欠陥法案であり、採決はやめて出し直すべきです。
最先端の技術を活用して快適な
生活を送ることに誰も異論はないでしょうが、その代わりに自由とプライバシーを差し出すことはできません。
区域会議には、実質的な
責任者、都市の設計、運営全般を統括するアーキテクトを置き、体制を構築しますが、ミニ独立国家の実質リーダーとなるアーキテクトがどうやって選ばれるのか、明確な
規定も
答弁もありませんでした。
スーパーシティの旗振り役であった片山前大臣は、委員会で質問に立ち、データのローカライゼーションの確約、つまり
国民のデータが海外の
事業者によって域外に持ち出されることがないようにと力説していましたが、私は大きな違和感を覚えました。なぜなら、昨年
締結された日米デジタル貿易協定にはローカライゼーションの義務を課すことを禁止する条項があるのではないですか。少なくとも、米国の巨大IT企業が参入した場合には、協定により、ローカライゼーションを主張することはできないのではないでしょうか。また、竹中会長は最先端の技術を持つ海外の
事業者を想定している
趣旨の発言をしており、北村大臣も国内の
事業者に限らないとしております。
今やデータ、特にビッグデータ及びそれを加工したものは高額で売買される商取引の
対象となっています。そして、その取扱いについては
世界的に様々な
議論があり、人権を守り、個人情報保護により配慮するようなルールを設けようとするEUなどの
取組もあります。また、前のめりな使い方が、人工知能、AIが人類を支配するシンギュラリティー、技術的特異点を招き、映画「マトリックス」や「ターミネーター」のような未来社会が現実的なものになると警鐘を鳴らす科学者もいます。
残念ながら、国家戦略特区や「スーパーシティ」
構想の実現に向けた有識者懇談会の議事録に、人々の権利を守ることについて真剣に
議論をした部分を探すことはできませんでした。一方で、岩盤規制を打ち破る国家戦略特区が不当な攻撃を受けている、これをはね返す必要があるという部分には苦笑してしまいました。
やましいことがないのなら、議事録は全て公開すべきです。獣医学部新設のときには、最初の
会議から加計学園
関係者が同席し発言していましたが、議事録が改ざんされてその存在が隠蔽されていたことを我々が突き止めました。また、一昨年の
漁業法
改正後に、国家戦略特区ワーキンググループの議事メモが水産庁から
提出され、何の行政権限も持たない民間委員が、非公開にした
会議の席で厳しく水産庁の
職員に指示を出している実態が明らかになりました。それにもかかわらず、
安倍総理も含めて、いまだに議事録は全てオープンで一点の曇りもないと言い張っています。
それにしても、首相官邸有識者懇談会は、なぜいつも同じ顔ぶれなのでしょうか。特に、竹中平蔵氏は、未来投資
会議の下部
会議を非公開にして、国土交通省が入札予定価格を類推させるようなことになるという理由で
提出を拒んでいた空港コンセッションにおけるEBITDA倍率を、竹中会長限りという注釈を付けて
提出させました。その資料を私も国土交通省から
提出してもらいましたが、正当な選挙で選ばれた
国民の代表であるはずの国
会議員には黒塗りで、肝腎のEBITDA倍率は読み取ることができません。
竹中会長は、空港コンセッションに参入しているオリックスの社外取締役であります。守秘義務のない利害
関係者を、国家公務員のような倫理規程を課されることもない民間有識者を、
政府の重要な政策決定
会議に参加させることは許されません。即刻、竹中平蔵氏などの利害
関係者を解任することを強く求めます。今だけ、金だけ、自分だけ、
安倍総理のお友達だけが得をするそんたく政治はもう終わらせましょう。
新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が解除されました。しかし、
国民はいまだに感染症とそれによってもたらされた経済危機などで苦しい
生活を余儀なくされています。
実際の
施策を行うのは地方です。
地方創生担当大臣の今やるべきことは、地方の
財源を
確保することであると申し上げまして、反対討論を終わります。
御清聴、誠にありがとうございました。(
拍手)