○武田良介君 私は、日本共産党を代表し、
地域公共交通活性化再生法等一部
改正案について、
赤羽国交大臣に
質問いたします。
冒頭、検察庁法改定案について述べます。
政府・与党は、野党と
国民の声に押され、検察庁法改定案の今
国会成立を断念しました。これは、民主主義の底力を示した重要な一歩です。
検察庁法改定案は、検察の政治的独立性、中立性を侵し、三権分立を踏みにじるものであり、断じて許されません。
国民世論は沸騰し、ツイッターでの抗議の声は数百万を超える巨大なうねりとなりました。多数の弁護士、元検事総長など検察OB、特捜OBの
方々も良識の意見を表明されました。これらの力が政治を動かしたのです。
総理は、批判にしっかりと応えていくことが大切だと述べました。ならば、単なる先送りであってはなりません。
内閣の一存で、
検察幹部の定年、役職定年の延長を可能とする
特例部分の撤回、そして黒川弘務東京高検検事長の定年延長の撤回を強く求めるものです。
まず、新型コロナウイルス
感染拡大による
観光業への影響について、大臣に伺います。
政府が呼びかけた外出自粛の影響から、多くの旅館や温泉施設、お土産物屋さんなど、多くの
事業者が経営の危機に立たされています。大臣は、反転攻勢に向けて準備のときと言われますが、準備しているうちに潰れてしまうというのが
現場の声です。大臣は、この声をどう受け止めますか。
インバウンド
観光客の落ち込みは大変な規模になっています。私は、各地の温泉街の
方々から、インバウンドだけを当てにするのは危険、もっと国内旅行に目を向けるべきだとの声をお聞きしてきました。大臣、インバウンド頼みの
観光政策は転換すべきではありませんか。
新型コロナウイルス
感染拡大の下、リニア中央新幹線の建設をこのまま続けていいのかが問われています。JR東海は、リニア中央新幹線の建設について、東海道新幹線が収益を上げる中で建設費用を賄うと想定してきました。しかし、
政府が行った外出自粛の影響を受け、東海道新幹線を始め
鉄道利用者は大きく減少しています。しかも、
政府自身が長期戦を覚悟しなければなりませんと言っているとおり、影響は長引くことになります。新型
コロナ感染拡大の下でリニア建設をそのまま進めるのは無謀ではありませんか。
政府が国家的プロジェクトと位置付けているリニア新幹線には、既に
鉄道建設・運輸施設
整備支援機構を通じて三兆円もの財政投融資資金が投入されています。新型コロナの影響は、その返済
計画を根底から揺るがすものです。リニア建設はきっぱりと断念すべきです。そんなお金があるなら
地域公共交通の
充実に
予算を充てるべきと
考えますが、大臣の
認識を伺います。
以下、
法案について
質問いたします。
地域鉄道や
路線バスの廃止、
縮小が相次ぎ、
地域住民の
生活と
地域経済基盤を支える
地域公共交通の
衰退は深刻な
状況にあります。国、自治体が住民の
移動する権利を保障する
観点から、
地域公共交通の
活性化、
再生は待ったなしの
課題です。
一方、
地域公共交通の
衰退は、
地域住民の足となるべき
鉄道や
バス、
タクシー事業に、もうけ優先の市場
競争原理である規制緩和
路線を持ち込むことによって加速されました。
地域住民の
移動を支えてきた
路線バスはこの十年間で約一万三千キロが廃止され、
地域鉄道は二〇〇〇年以降、
全国で約八百九十五キロ、四十一
路線が廃止されました。
バスも
鉄道もないいわゆる
公共交通空白地は日本全体の三割にも及びます。大臣は、今日の
地域公共交通衰退の要因に国が進めてきた規制緩和
路線があるとの
認識はありますか。
答弁を求めます。
現状では、
バス路線の廃止は、六か月前に届け出ればそのまま廃止されてしまうことになっています。これに対し、本
法案は、
路線バス等の
維持が困難と見込まれる段階で
地方公共団体が
関係者と
協議して
サービス継続のための実施方針を
作成し、公募により新たな
サービス提供事業者等を選定する
地域旅客運送サービス継続事業を
創設するとしています。
また、
乗合バスの
新規参入による過当
競争に対しても、現状は野方図に許可されているものの、本
法案では、申請があれば国は
地方公共団体に通知をし、通知を受けた
地方公共団体は
地域の
協議会で
議論した上で国に意見を
提出することとなっています。
大臣、
乗合バスの廃止や
新規参入に対して地方自治体の
関与を強めている理由は何ですか。また、
バス事業者間の
共同経営などについて独禁法の
適用除外とした理由は何ですか。これらの措置は規制緩和による
地域公共交通のひずみを修正せざるを得なくなったからだと思いますけれども、大臣の
答弁を求めます。
自家用有償旅客運送についてお聞きいたします。
自家用有償旅客運送は、
バスや
タクシーなどの
公共交通がない
地域で住民の
移動を
確保することを
目的に、二〇〇六年の
改正道路
運送法によって例外的、限定的に
導入されたものです。その際、この
制度が第二種免許を持たない者が
自家用車を使い料金を取って
旅客を運ぶいわゆる白タク行為に当たることから、
旅客対象や
運送地域について厳しい制限が設けられたという経緯があります。白タク行為は
法律上
禁止された行為であり、だからこそ、
自家用有償旅客運送はその
対象を一の
市町村の区域内の住民に限定しているのです。
ところが、本
法案は、
観光旅客その他の当該
地域を来訪する者として、事実上、限定をなくすことになります。なぜ限定をなくすのですか。
法案は白タク行為を
拡大することになるのではありませんか。
さらに、
法案は、
事業者に
運行管理などを委託する
事業者協力型
自家用有償旅客運送を明記しています。しかし、現行法の下でも既に八割以上の
市町村が、
事業者に委託して
自家用有償旅客運送を行っています。現行法で可能な
事業者への委託をなぜ法定する必要があるのですか。
法案は、際限のない白タク行為の
拡大に道を開くものであり、
ライドシェア解禁の突破口になりかねないとの危惧が広がっています。昨年三月七日の未来投資
会議で竹中平蔵氏は、金丸議員のペーパーで
自家用有償旅客運送制度を
改善する提言がなされているけれども、これは突破口として非常に重要なポイントになると思うと発言をされています。
政府は、
ライドシェアとは
自家用車のドライバーのみが
運送責任を負う形態を
前提としていると矮小化をし、
自家用有償旅客運送とは違うとあえて区別しています。しかし、第二種免許を持たない者が料金を取って
旅客を
運送するという点で、
自家用有償旅客運送も
ライドシェアと同じ性質を有するものであり、
ライドシェア解禁の突破口になるのではありませんか。大臣の
答弁を求めます。
地域公共交通は、誰もが行きたい場所に自由に
移動できるよう、
移動の権利が
確保されることが必要ではないでしょうか。大臣は、
移動の権利を
交通政策基本法に明記すべきとの
認識はありますか。
新型コロナウイルス
感染拡大という経験をし、今多くの方が日本
社会の矛盾が一気に噴き出していると感じておられるのではないでしょうか。医療体制の脆弱さ、不安定雇用の
拡大、高過ぎる学費、災害発生に対する不安など、多くの皆さんが今、日本が乗り越えるべき
課題を
認識されていると思います。ポストコロナの新しい
社会を共に切り開く決意を申し上げ、
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣赤羽一嘉君
登壇、
拍手〕