○
山添拓君
日本共産党を代表し、二〇二〇年度
補正予算案に
賛成の
討論を行います。
初めに、
新型コロナウイルスで亡くなられた方への哀悼とともに、闘病中の方へお見舞いを申し上げます。
感染爆発と
医療崩壊を食い止め、命と健康、
生活となりわいを守り抜くことが最優先の
政治の責任です。一律一人十万円の
現金給付は、いち早く分かりやすい
給付をという世論の力が実現させたものです。フリーランスを含む
中小事業者への
持続化給付金、
地方自治体への
臨時交付金などは、更なる
拡充を課題としつつ、一刻も早く実現するべき
施策です。我が党は、現下の
必要性と緊急性を踏まえ、本
補正予算案に
賛成するものです。
同時に、
本案は未
曽有のコロナ
危機への
対応に不十分であるばかりか、不急の
予算を多額に計上しています。以下、
提案を含め指摘します。
医療崩壊を阻止するための
予算は、極めて乏しいと言わなければなりません。
いまだに多くの人が
PCR検査を受けられず、結果として市中感染が広がり、院内感染が多発し、
医療崩壊が始まりつつあります。
総理はようやく
PCR検査センターの設置へと方針転換しました。
本案にその費用を計上したといいますが、それは
患者の負担軽減分であり、人件費や備品費、
感染防止対策費などセンターの運営費用は含まれません。東京都医師会が目標とする都内二十か所だけでも月十億円、全国に横展開するには大胆な
予算措置が必要です。
東京杉並区の試算では、コロナ
患者を受け入れる
病院は月平均二億円の減収です。全国千二百の指定
病院で同様に補填すれば一月で二千四百億円。
総理は緊急包括
支援交付金を創設したといいますが、一千四百九十億円では全く足りません。
コロナ
患者を受け入れていない
地域医療を担う診療所や
病院も深刻です。
マスクや消毒液は依然不足し、東京保険医協会のアンケートでは、外来
患者が激減、保険診療の収入が九割以上減るといいます。このままでは経営困難で閉院という
現実がすぐそこに迫っています。
医療費削減
政策の下で、多くの
病院がふだんからぎりぎりの経営です。そこを襲ったコロナ
危機です。
総理が、
医療体制は国が責任を持って守る、コロナ
対応で
病院経営が困難になることがあってはならないと言うのであれば、日々
最前線で奮闘されている
医療関係者を支えるために、桁違いの
予算を組むべきです。
自粛と一体の
補償をという圧倒的多数の声にもいまだに背を向けています。
都内のタクシーは、約半数が休車、営業中止に追い込まれ、四月の収入は五割から二割にまで落ち込んでいます。そもそも低賃金で、六割の
休業手当ではとても
生活できないと悲鳴が上がっています。
雇用調整助成金の助成率を十分の十に引き上げるといいます。しかし、
事業者負担が完全にゼロになるのは、
休業要請を受けている、上限の八千三百三十円を超える持ち出しがないなど、複数の条件をクリアするごく限られたケースだけです。要件を緩和し、上限額を引き上げ、
事業者への事前
支給を可能とするべきです。
雇調金のモデルとされたドイツの操業短縮手当
制度は、
影響の長期化を見据え大幅に
拡充されています。通常六割の
補償額が、四か月目に七割、七か月目に八割と引き上げられ、
子供がいる場合の加算もあります。
日本でもコロナ特例で賃金の八割
補償を実現すべきです。
ミニシアター、小
規模映画館は観客ゼロでの上映が続き、
休業要請による休館のまま閉館につながりかねないと危惧されています。
セーブ・ザ・シネマ・プロジェクトに一週間で五万三千人が賛同署名を寄せました。あるミニシアターには、九十四歳の常連客が、映画は私の大学と書き記し、再開を待つ手紙を寄せています。多様性を育む、
日本に独特の文化芸術拠点は、多くの人々にとって心の糧です。
政府はこれまで映画やアニメ、音楽やゲームをコンテンツ産業と位置付け、クールジャパンと称して海外にも売り込んできました。
総理、文化の灯は絶やさないと言うなら、
給付金二百万で、あるいは借金でしのげではなく、必要な
補償を行うべきです。
バーやナイトクラブ、ライブハウスなど、
政府が名指しで利用
自粛を求めた業種を始め
補償なき
緊急事態宣言の下で多くの
事業者が苦境に立たされています。
質疑を通じて、
持続化給付金の
売上げ五割以上減少という要件に具体的根拠はなく、
予算上の制約にすぎないことが明らかになりました。
総理は、長引けば更なる
対応も考えると言いますが、つい先ほど、
緊急事態宣言の延長方針を自民党に伝えたといい、長期化は必至です。少なくとも
予算を倍加し、
対象も拡大し、一回きりではなく、文字どおり持続可能な
支給とするべきです。
まともな
補償がない下で、最低限の生存すら脅かされています。
生活保護の相談などを行う団体では、日雇派遣で仕事がなくなった人やDV被害者など、手持ち金百円以下という方の相談が急増しています。ネットカフェの休業で住まいを失い、電話料金が払えず、無料WiFiが使える場所からメールでSOSが送られてくるといいます。
申請しても水際作戦で追い返され、どうにか受理されても、十数人相部屋で三密の無料低額宿泊所を案内されるなど、感染
リスクを踏まえない
対応も相次いでいます。
連休中も
生活保護や各種貸付けの
窓口対応を行うとともに、失業
給付や住居の無償提供など、災害時と同様に応急
対応するべきです。
全国百七十一の大学で学費減額などを求める運動が広がっています。
政府による一律学費半額と大学への
予算措置を求める署名に、五日で一万人が署名しました。
高等教育無償化プロジェクト、FREEによる実態調査の最新集計では、退学を検討する学生が五人に一人、現に退学を決めた学生もいるといいます。アルバイト収入が激減し、元々高い学費と
生活費、さらにはオンライン講義の環境
整備など追加負担も生じ、学生は追い込まれています。
本案の学費減免
予算は七億円です。大学、短大、
専門学校に通う学生は約三百六十九万人、一人二百円足らずです。文科
大臣も必ずしも十分でないと述べました。大学が独自に行う
支援を後押しするためにも、抜本的に
拡充するべきです。
全ての妊婦が安心して安全に出産できるよう、国の
支援が必要です。産科が院内感染で閉鎖され転院先が見付からない、転院により分娩費用が跳ね上がるということがないよう、バックアップが求められます。
保健所の業務が逼迫し、乳幼児健診や両親学級、新生児訪問などの機能が損なわれており、その
回復は
子供にとっても親にとっても急務です。
本案では、配偶者暴力の相談体制強化に一・五億円が計上されていますが、DV、虐待防止に特化した
予算はこれだけです。電話やSNSによる相談体制、シェルター、人員体制の
確保に従来の延長でない
対策を求めるものです。
こうして不十分な点が多数ある一方、
収束後のゴー・ツー・キャンペーンには一兆七千億円、大
企業支援に使われてきたリバイバル成長基盤強化ファンドには一千億円も計上しています。しかし、今、
政治に求められるのは、目の前の命と暮らしを救うことであり、
政策も財政もそこに集中すべきです。
当初
予算にも改めるべき項目があります。辺野古埋立てやイージス・アショア、カジノ推進など、不要不急の
予算は
執行を停止し、
医療と
補償に回すよう求めます。
野党は、
衆議院で、
持続化給付金の倍増、雇調金の
改善、
地方創生臨時交付金の抜本的増額など、
予算の組替えを
提案し、
家賃支援法案も
提出しました。党派を超えて既に
必要性を共有している課題です。
政府も真摯に検討するよう強く求めて、
討論を終わります。(
拍手)