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内閣総理大臣(
安倍晋三君) 柳ヶ瀬裕文
議員にお答えをいたします。
政府の
緊急対応策に関する
お尋ねがありました。
新型コロナウイルス感染症については、今がまさに国内の急速な
感染拡大を回避するために極めて重要な時期であるとの
認識の下、あらゆる手当てを講じているところです。
このため、
感染拡大防止の徹底に加えて、
経済の面において、
雇用の維持と
事業の継続を当面最優先に
全力を挙げて取り組むこととしており、昨日、四千三百億円の
財政措置を伴う第二弾の
緊急対応策を決定しました。
中小・小
規模事業者に対する実質無利子、無担保融資を始めとする一・六兆円の強力な資金繰り支援や
国民生活にとって最も重要な
雇用を守るための
雇用調整助成金の大幅拡充など、必要な
対策を直ちに実行しているところです。
今般の
新型コロナウイルス感染症が
景気全体に与える
影響に対しては、
経済の下振れリスクに備えて策定した二十六兆円の
総合経済対策を着実に実行していくとともに、世界
経済の動向も十分に注視しながら、そのインパクトに見合うだけの必要かつ十分な
経済財政政策を行ってまいります。
新型コロナウイルス感染症の国内での流行
状況等の把握について
お尋ねがありました。
新型コロナウイルス感染症については、現在、
PCR検査を実施し、患者が確認された場合には全て
報告を求めるとともに、積極的疫学
調査により濃厚接触者を把握することで国内の感染
状況を把握しており、これは
現状において有効かつ合理的な手法と
認識しております。
他方、
基本方針においてサーベイランスの仕組みを整備としているのは、今後、仮に
地域で患者数が継続的に
増加する
状況になった場合には、全数把握が困難となるため、別の仕組みで感染
状況を把握することを
方針としてお示しをしているものです。
その場合において、具体的にどのような仕組みでサーベイランスを行うかについては、新型インフルエンザで実施することとしている方法等も参考にしつつ、専門家の
意見も踏まえながら、今後検討していくこととしています。
検査体制の整備について
お尋ねがありました。
PCR検査については、
検査がしたくても保健所で断られ、
検査をしてもらえないという御指摘をいただいていると承知しています。
このため、これまでも
政府として、医師の判断において感染を疑う場合には
検査を行うよう繰り返し依頼を行うとともに、
PCR検査の
検査能力の
拡大に取り組んでまいりました。また、その
地域の
検査能力に限界があるために断られるといったことが断じてないように、広域融通によって必要な
検査が各
地域で確実に実施できるよう、国において仲介を行っております。
さらに、保健所を経由することなく民間の
検査機関に直接
検査依頼を行うことが可能となるよう、三月六日より
PCR検査について医療保険を適用したところであります。このことにより、民間
検査機関の
検査能力が大幅に増強されることを期待しております。
こうした
取組を総動員することにより、かかりつけ医など身近な医師が必要と考える場合には、全ての患者の皆さんが
PCR検査を受けることができる十分な
検査能力を
確保してまいります。
疫学
調査については、現在、御指摘の定点把握や抽出
検査ではなく、
PCR検査で陽性となった方全てについて
報告を求める形で感染の
拡大の
状況を把握しています。
また、迅速診断が可能な抗体
検査の
導入については、その開発に向けた研究等に対する支援を実施しているところです。
重症者に
対応するための医療
体制の構築について
お尋ねがありました。
感染拡大防止と同時に、仮に国内で患者数が大幅に増えたときに備え、重症者
対策を中心として
医療提供体制を強化することとしています。
現在、治療のために必要な病床として、感染症指定
医療機関の病床を
最大限動員し、
現状において五千床を超える病床を
確保しています。さらに、
都道府県には、
ピーク時に備えた
医療提供体制等の検討をお願いしており、この結果も含めた必要となる病床の
確保や医療機器等の
導入については、昨日まとめた第二弾の
緊急対応策において支援することとしています。
また、
基本方針では、仮に今後、
地域で患者数が大幅に増えた
状況では、軽度者は自宅での安静、療養を原則としております。その際、現行の政令も軽度者も含めた全ての患者を入院させることまでは求めていないため、入院者を重症者に限定することは政令を
改正せずとも実施可能であると考えており、今後の感染
状況を踏まえ、適切に
対応してまいります。
新型コロナウイルスの高齢者への
感染拡大防止のための
取組について
お尋ねがありました。
新型コロナウイルス感染症については、御高齢の方、持病がある方は重症化するリスクが高いため、高齢者施設を始めとする福祉施設では感染防止の
取組の徹底を図ることが重要であると考えています。
このため、高齢者施設等において、発熱等の症状が見られる
職員は出勤しないこと、緊急やむを得ない場合を除き入所者の面会を制限し、発熱が認められる場合には面会を断ることなどの
取組を行うことを周知しており、引き続きこれらの徹底に努めてまいります。
また、
新型コロナウイルスの感染予防のため、一般の方に対しては手洗いやせきエチケットを行うよう周知をしておりますが、持病がある方、御高齢の方に対しては、これらに加えて、できるだけ人混みの多い場所を避けるなど、一層の注意を呼びかけているところです。
引き続き、
感染拡大防止策を
国民に分かりやすく周知してまいります。
中国に対する情報開示要求について
お尋ねがありました。
中国からの必要な情報の収集や把握については、これまでもWHOの国際保健規則に基づく情報連携の仕組みの下で実施してきているほか、直接、中国のCDCからの情報収集にも努めております。
今後とも、国内外の知見を集めながら、
関係機関とも連携しつつ、新たな治療法の早期開発につなげてまいります。
地方税の充実と
消費税の
地方税化について
お尋ねがありました。
地方自治の強化のためには、自らの
財源である
地方税によって
財政運営を行うことが理想であり、
地方税の充実
確保を図りつつ、偏在性が小さく
税収が安定的な
地方税体系の構築に取り組むことが重要であると考えています。
消費税については、社会保障・税
一体改革において、引上げ分の
税収について
全額社会保障
財源化されるとともに、年金、医療、介護、子育てといった社会保障における役割分担に応じて国と
地方に配分することとされました。
消費税がこのように国、
地方それぞれの社会保障の
財源とされていることを踏まえれば、
消費税の
地方税化については慎重な検討が必要と考えています。
道州制と憲法
改正について
お尋ねがありました。
道州制は、
地方経済の活性化や行政の効率化を
実現するための手段の一つであり、国と
地方の在り方を根底から見直す大きな改革です。
これまでも与党において道州制に関して検討がなされてきたところであり、
政府としても、与党と連携しつつ取り組むとともに、今後の国と
地方のあるべき姿については、御党の御主張なども含めて、建設的な議論を進めてまいりたいと思います。
その上で、憲法
改正の具体的な内容等について、私が
内閣総理大臣としてこの場でお答えをすることは差し控えさせていただきますが、御党が憲法
改正について具体的な考え方を示し、各論に踏み込んで真摯に議論されていることに敬意を表します。
御指摘の点も含めて、是非、憲法審査会の場において、与野党の枠を超えて活発な御議論をいただきたいと考えております。
残余の
質問につきましては、
関係大臣から
答弁させます。(
拍手)
〔
国務大臣高市早苗君
登壇、
拍手〕