○音喜多駿君
日本維新の会の音喜多駿です。
所得税法等の一部を
改正する
法律案について、我が党を代表して
質問をいたします。
冒頭、今般の
新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた
方々に心よりお悔やみを申し上げます。
初めに、
税制に関連して、新型
感染症に係る
経済対策についてお伺いをいたします。
昨年十月に強行された
消費税の増税以降、景気の落ち込みが顕在化しています。二月十七日に内閣府が発表した昨年十月から十二月の国内総生産の速報値は、実質で前期比一・六%減、年率換算では六・三%の減でした。この結果は到底、暖冬や災害の
影響だけであるとは考えられません。さらに、今回の
新型コロナウイルスの発生は、景気に更なる悪
影響を及ぼすことは確実です。
三月二日時点において
政府が示している新型
感染症に係る
経済対策の
予算規模は二千七百億円であり、諸外国とは比較にならないほど小規模なものにとどまります。香港は一兆七千億円、シンガポールは五千億円といった
予算額が示されており、対GDP比でいうとそれぞれ一%を超える規模のものとなっています。
日本政府は休業
補償など散発的な政策を打ち出しているものの、市場に対するメッセージとしては極めて脆弱であり、このままでは更なる景気の後退を避けることができません。
そこで、我々は、
軽減税率を全品目に
適用し、
消費税を実質八%に戻す
減税政策を提案いたします。昨年の
消費税の増税は明確な失敗でした。しかし、過ちては改むるにはばかることなかれ、
軽減税率という複雑で不合理な仕組みを是正し、
消費税の
減税を景気
対策における最大の意思表示とするべきと考えますが、
安倍総理の御決断を求めます。
また、一斉の臨時
休校に伴う休業
補償については、既にフリーランス等が
対象に含まれないとの指摘があり、十分なものとは言えません。組織所属の
有無にかかわらず、漏れなく機動的に直接給付できるスキームを
早期に講じ、発表すべきと考えますが、
安倍総理の
見解をお伺いいたします。
あわせて、こうした
減税や
補償などの大胆な
財政出動を行うに際して、十兆円規模の早急な
補正予算の編成を視野に入れるべきと考えますが、
安倍総理の
見解をお伺いいたします。
次に、5G
投資促進税制に関連して、ICT活用についてお伺いいたします。
我が国の医療・教育現場におけるICT活用は極めて不十分であり、とりわけ今回の
感染症対応については改善点が幾つも散見されます。
医療については、何よりオンライン診療の活用が急務です。今すべきことの一つは、軽症あるいは
感染症の疑いの低い方については、
感染拡大防止のため、病院での受診も含めて外出を控えていただくことです。そのためにも既存のオンライン診療等を活用するべきですが、課題が山積みとなっています。
先日の
予算委員会でも、我が党所属で医師でもある梅村聡議員が、特定の管理料の算出
対象となる患者、すなわち病名でオンライン診療の
対象が絞られている問題点を指摘し、
大臣は、安全、安心の
観点から病名で制限、区分していることを
答弁されました。
しかしながら、病名でオンライン診療を絞ることにより、例えば、一過性脳虚血の発作の患者もオンライン診療可能となっています。この発作は、早い時期に脳梗塞に移行する病気であり、対面が必須、入院も検討されるものです。これは、安全、安心確保の
観点から矛盾していると考えますが、
政府の
見解を伺います。
また、こうした例もあることから、病名でオンライン診療の
対象を絞ることは合理的ではなく、かつオンライン診療
普及の妨げになっており、改善が必要と考えますが、
総理の
見解を伺います。
そして、今般の
感染症の危機は、何よりオンライン診療
普及の契機でもあります。
新型コロナウイルスの
感染症治療においては、軽症であればオンライン診療を活用できる、あるいはオンライン受診勧奨を保険
適用できるなどして、移動や受診における
感染が広がらないよう、柔軟かつ機動的な診療体制を構築するべきと考えますが、
総理の
見解をお伺いいたします。
次に、一斉
休校に密接に関わるオンライン授業の推進についてです。
教育現場におけるICT活用についても、我が国は心もとないのが
現状です。今般の
感染症拡大により、
中国や台湾では遠隔教育のための環境
整備が進められています。我が国においても、この一斉
休校を機に、児童生徒の学習が滞ることがないよう、十分に配慮する必要があります。
既に、文部科学省は
臨時休業期間における学習
支援コンテンツを公式サイト上で公表し、民間でも無料でオンライン授業を提供する
事業者が出てきています。このような民間
企業とも連携し、国は遠隔授業を積極的に推進するべきと考えますが、
政府の
見解をお伺いいたします。
一方で、そもそもの教育のオンライン化には、まず教員や
学校そのもののICTスキルを高めることが必要です。残念ながら、我が国の教育現場におけるICT活用の意識は極めて低く、授業のオンライン化、ICT機器の活用以前の問題になっています。
例えば、今回の一斉
休校に際して、その説明を行うために全校
保護者会を
開催した
学校があります。これは、
感染を防ぐためには全く逆の
対応です。いまだに
日本の
学校は、人を集める、プリントや連絡帳を渡すというアナログな情報伝達手段が主流であり、私の娘の小
学校でも、欠席するときはお友達に連絡ノートを預けに行きます。こうした
対応が常態化している
社会では、人から人へ
感染症が爆発的に広まることは容易に想像できます。
今回の一斉
休校を契機に、
学校と
保護者の伝達は原則オンラインで行うなど、文部科学省は明確なガイドラインを早急に策定し、自治体に通知すべきと考えますが、
政府の
見解を伺います。
また、現在
政府が進めるGIGAスクール構想において、児童生徒一人一台の学習PC、タブレットを配付することが推進されています。
家庭で
利用できる環境が重要であり、自宅への持ち帰りを推奨すべきと考えますが、
政府の
見解を伺います。
そして、5G
社会でこうした教育のICT化、遠隔授業
導入を進めるに当たっては、自宅でのネット環境は言うまでもなく重要です。
他方、現在、香川県では
子供たちのネット、ゲーム
利用を一日一時間に制限する条例を定める動きがあり、
時代に逆行していることを懸念しています。ネットやゲームを時間制限することに対しては、依存症防止に資するという科学的根拠が乏しく、慎重な
対応が必要と考えますが、
総理の
見解をお伺いいたします。
次に、一人親
家庭への
支援について伺います。
今回の
所得税法の
改正において、
寡婦控除の
対象拡大や
所得制限に関する
男女間の格差が撤廃されることを評価し、賛同いたします。
しかしながら、これはやはり小さな一歩にすぎません。厚生労働省の
国民生活基礎調査によりますと、一人親
家庭の相対的貧困率は過去二十年間ほとんど改善しておりません。私の妻は元シングルマザーです。まさに政治の不作為によって長きにわたって困窮しているこの問題の当事者たちから、切実な思いを長く聞いてまいりました。
令和元年度における厚生労働省の一人親
家庭等自立
支援関係の
予算は約四千三百億円となっているものの、状況が長
期間にわたって全く改善しない以上、そもそもこの
施策に費やす
予算額が絶対的に不足しているのではないでしょうか。
予算を策定するに当たり、各種統計などを参考にしていると思われますが、一人親
支援に関して諸外国と比較した適正な
予算規模の検証を行っているのか、そもそもそうした比較調査のデータを持っているのかどうか、
政府に
現状を伺います。
大阪市では、一人親
家庭に対して、全国の市区町村、国に先駆けて養育費の受取保証を打ち出すなど、総合的な
支援を行ってまいりました。国は、長年の課題でありながら進展が見られなかった一人
親世帯の貧困解決のために、その
支援に資する
予算支出の大胆な拡充を検討し、貧困率の抜本的な解決に乗り出すべきと考えますが、
総理の
見解をお伺いいたします。
最後に、関連して、選択的夫婦別姓についてお伺いいたします。
離婚後の一人親の
負担軽減のためにも、選択的夫婦別姓の
導入は重要です。再婚
家庭、ステップファミリーである我が家の長女は、二度、名字を変えています。私との間に血のつながりはありません。選択的夫婦別姓に難色を示す人の中には、
子供との関係を反対
理由とし、親と名字が異なる
子供がかわいそう、家族の一体感が保てないと主張される方がいます。親と子で何かが異なれば、家族の一体感は保つことができないのでしょうか。自信を持って申し上げます。家族のきずなに、人間関係のきずなに、名字の
同一性や血のつながりは全く関係がありません。
かねてから我が党が指摘してきたとおり、選択的夫婦別姓といっても、戸籍筆頭者の氏を用いるのか、出生時に
子供の氏を決定するのか、様々なバリエーションが存在します。選択的夫婦別姓を
実現させるためには、抽象的な賛否だけではなく、現時点で不利益を被る方の立場に立ち、子の氏や民法、戸籍法に係る
制度設計レベルの議論を始めるべきだと考えますが、
総理の
見解を伺います。
また、裁判官が旧姓で判決文を書くことが可能であることを踏まえると、公的にも別姓を用いることには既に何ら弊害はないと考えますが、
総理の
見解をお伺いいたします。
日本維新の会は、一月の段階で
新型コロナウイルス関連
肺炎対策本部を設置し、二月三日にはいち早く提言を取りまとめ、提出いたしました。この未曽有の国難に対しては、批判すべきは指摘しながらも、
政府・
与党に建設的な政策提案を行っていくことをお誓いいたしまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕