○古賀之士君
山本委員長の御指名によりまして、
委員派遣について御
報告を申し上げます。
本
委員会の
山本委員長、こやり
理事、佐藤
理事、松川
理事、難波
理事、岩井
委員、
高橋克法委員、藤井
委員、本田
委員、礒崎
委員、岸
委員、熊谷
委員、
高橋光男
委員、新妻
委員、清水
委員、伊藤
委員、ながえ
委員及び私、古賀の十八名は、去る二月十七日及び十八日の二日間、多様な主体による連携を含む
我が国国際協力に係る
取組等に関する実情
調査のため、大阪府及び兵庫県に
派遣され、
関係者からの
説明聴取並びに
意見交換のほか、関連施設等の視察を行いました。
以下、日程に沿って
概要を御
報告いたします。
一日目は、最初に、大阪府庁を訪問し、大阪府における
SDGsの
取組について
説明を聴取し、
意見交換を行いました。大阪府では、二〇二五年の万博開催を
SDGs達成に向けた
取組を加速させる絶好の機会と捉え、
SDGs推進本部を設置し、先進的な
取組を行っており、中でも地方自治体の
SDGs達成状況の自己分析モデルの構築については、第三回ジャパン
SDGsアワードの副本部長賞を受賞するなど、優れた
取組として評価されているとの
説明がありました。
派遣委員からは、ゴール
達成に向けて様々なステークホルダーを組み合わせていくための具体的な方策、ゴール
達成に向けた数値目標の設定方法、
SDGs推進に当たっての
実施体制の在り方、
SDGs推進に府民を巻き込んでいく方法、大阪府の重点ゴールである健康と福祉における具体的な施策等について
質疑が行われました。
次に、大阪府東大阪市に赴き、株式会社大同工業所において、
JICAの中小
企業・
SDGsビジネス
支援事業に採択された、同社の血液保管と輸送システムの技術を生かしたミャンマーにおける事業展開等について
説明を聴取し、
意見交換を行いました。
派遣委員からは、中小
企業の
海外展開において必要な公的
支援の在り方、
政府の中小
企業支援施策の利便性を向上させる方策、製品の製造に対する
新型コロナウイルス感染症の影響等について
質疑が行われました。その後、工場を視察し、同社の血液保管機器等を実際に
確認しながら、その特性等について
説明を受けました。
次いで、兵庫県尼崎市に赴き、音羽電機工業株式会社において、
アフリカの若者を対象にした産業人材育成プログラムによって来日したルワンダ人留学生のインターンシップ受入れを契機とした同国への事業展開について
説明を聴取し、
意見交換を行いました。同社も
JICAの中小
企業・
SDGsビジネス
支援事業を利用し、ルワンダにおいて
インフラへの雷害対策技術を生かした事業展開に向けた
取組を行っているとの
説明がありました。
派遣委員からは、雷の発生と地球温暖化の
関係、今後のルワンダでの事業展開における元留学生の
役割、
JICAによる雷被害など
各国の様々な
開発課題に関する情報収集及び
企業等への情報発信の在り方などについて
質疑が行われました。その後、同社の避雷器の性能等を
確認する試験センターである雷テクノロジセンター等の関連施設を視察し、避雷器の
役割等について
認識を深めました。
続きまして、二日目は、最初に兵庫県神戸市の人と防災未来センターを視察しました。同センターは、国の
支援の下、兵庫県が二〇〇二年に設置したもので、今年が二十五周年となる阪神・淡路大震災の
経験を語り継ぎ、その教訓を生かすため、様々な展示を行っているほか、関連資料の収集や防災研究、災害対策専門職員の育成なども行っています。例年五十万人前後となっている利用者の中には外国人も多く含まれ、館内には防災への
取組の
重要性を
認識したとの外国人利用者からの多くの感想が紹介されていたほか、
JICA関西が行う防災研修では必ず同センターを訪問するなど、同センターが震災の教訓を内外に発信、共有していく上で大きな
役割を果たしていることを
確認いたしました。
次に、
JICA関西において、業務の
概要について
説明を聴取し、
意見交換を行いました。
JICA関西からは、産業
開発、防災、環境管理の
分野を中心に研修を行っていること、近年は民間連携事業に力を入れていること等の
説明がありました。
派遣委員からは、
JICA関西内に設置されている国際防災研修センターの活用
状況、
途上国の
発展段階に応じた戦略的な
支援の在り方、民間連携事業において利用が多い
分野、
日本製品の
海外展開後のメンテナンスを含めた継続的な
支援体制の在り方、青年
海外協力隊に対する帰国後の
支援の
状況等について
質疑が行われました。
その後、防災行政に携わる
途上国の公務員を対象とした
JICAの「総合防災行政」研修に関し、ネパール人研修生による研修成果の模擬発表を視察しました。発表終了後、
派遣委員から、帰国後の研修成果の活用方法、地震発生の被害予測の根拠、八つのステップによって防災
計画を作成する意義等について
質疑が行われました。
最後に、
JICA関西の施設内において、様々な
分野において活躍する兵庫県の
国際協力関係者八名と
意見交換を行いました。
派遣委員からは、物資が不足する中で青年
海外協力隊が
活動する際の苦労と工夫、青年
海外協力隊の就職
支援の在り方、外国人研修生に研修
分野に限らず
日本と出身国とのつながりなども学んでもらう機会の提供や帰国後の連携の在り方、神戸情報大学院大学において外国人留学生が減少している原因、
日本人が国連職員を志す上で処遇を改善する必要性、国連の
活動を市民へ発信していくことの
重要性、防災と環境を関連させた
ODA施策の可能性等について
質疑が行われました。
調査の
概要は、以上でございます。
今回の
調査では、
開発協力における多様な主体との連携に着目しましたが、地方自治体が国際的な
開発目標である
SDGsに積極的に取り組み、大きな
役割を果たしていくためには、大阪府のように
SDGsを絡めたより具体的な目標を共有していくことが重要であると
確認されました。
また、
企業との連携では、
日本の中小
企業の優れた技術やノウハウが
途上国の
課題解決に役立つことを
確認した一方で、中小
企業の
海外展開には資金や人員などで壁があり、
ODA等を効果的に活用し、種まきだけでなく、長期的な視野を持った
支援も必要であると
認識されました。
また、
開発協力において、防災は、災害の多い
我が国の特性を生かし、
経験に裏付けられた知見を
国内外に発信していくことで大きな
役割を果たすことができる
分野であり、自治体や
NGOなどとも連携し、
日本らしい防災の
取組を主流化していくことは、
日本の
国際社会における
プレゼンスを向上させる
意味においても重要であると再
確認されました。
最後に、今般の
委員派遣に際し、御
対応いただきました
関係者の
皆様に心から感謝を申し上げ、御
報告といたします。