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2020-02-26 第201回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年二月二十六日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  二月十九日     辞任         補欠選任      田村 まみ君     矢田わか子君      塩田 博昭君     若松 謙維君  二月二十五日     辞任         補欠選任      高階恵美子君     滝波 宏文君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         宮沢 洋一君     理 事                 阿達 雅志君                 岩井 茂樹君                 森屋  宏君                 斎藤 嘉隆君                 平木 大作君                 梅村  聡君                 山添  拓君     委 員                 こやり隆史君                 高野光二郎君                 高橋はるみ君                 滝波 宏文君                 長峯  誠君                 三浦  靖君                 宮崎 雅夫君                 岸 真紀子君                 古賀 之士君                 塩村あやか君                 浜野 喜史君                 矢田わか子君                 杉  久武君                 若松 謙維君                 音喜多 駿君                 市田 忠義君                 嘉田由紀子君    事務局側        第三特別調査室        長        亀澤 宏徳君    参考人        秋田大学大学院        国際資源学研究        科教授      荒戸 裕之君        関西大学社会安        全学部教授    小澤  守君        認定NPO法人        環境エネルギー        政策研究所所長  飯田 哲也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○原子力等エネルギー資源に関する調査  (「資源エネルギー安定供給」のうち、エネ  ルギーの安定供給我が国エネルギー安定  供給))     ─────────────
  2. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、塩田博昭君、田村まみ君及び高階恵美子君が委員辞任され、その補欠として若松謙維君矢田わか子君及び滝波宏文君が選任されました。     ─────────────
  3. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 原子力等エネルギー資源に関する調査を議題といたします。  本日は、「資源エネルギー安定供給」のうち、「エネルギー安定供給」に関し、「我が国エネルギー安定供給」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  御出席いただいております参考人は、秋田大学大学院国際資源学研究科教授荒戸裕之君、関西大学社会安全学部教授小澤守君及び認定NPO法人環境エネルギー政策研究所所長飯田哲也君でございます。  この際、参考人皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にいたしたいと存じておりますので、よろしくお願いをいたします。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、荒戸参考人小澤参考人飯田参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力よろしくお願いいたします。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず荒戸参考人からお願いをいたします。荒戸参考人
  4. 荒戸裕之

    参考人荒戸裕之君) 御紹介いただきまして、ありがとうございます。秋田大学荒戸裕之と申します。本日は、このような機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。  スライド中心に説明をさせていただきます。(資料映写)  この際に、簡単に自己紹介をさせていただきます。  私の専門地質学でございまして、大学では、石油地質学、すなわち、油田とかガス田がどのようにして成立しているか、それから、どうやってそれを探すかという辺りのことを指導しております。  本日のテーマに向けて、我が国エネルギー安定供給というお題の中で、特に私が専門としております石油天然ガス安定供給について、地質学立場から意見を述べさせていただきたいというふうに思います。  まず初めに、石油天然ガス資源の基本的な事項の確認でございますけれど、石油天然ガスとは、定義で申しますと、地質学立場からは、天然地下から産する炭化水素混合物というふうに定義されております。ここで言う炭化水素とは、有機炭素水素を主体とする化合物でございます。石油天然ガスはその炭化水素化合物混合物でございますので、天然に産するときには一定の決まった組成を持つものではございません。  成因有機成因説というのが主流でございまして、そのもとになった根源物質は、地質時代生物遺骸プランクトンとか、植物プランクトンとかあと陸上高等植物とか、そういったものの体をつくっている有機物であるというふうに考えられております。  生物遺骸海底等地層の中に濃集して保存される場合がございまして、そうした地層根源岩というふうに申します。地層の中の生物遺骸は、地層地下深部に埋没するに伴って熱に長くさらされますと、有機熟成作用というものを受けましてケロジェンという物質に変化します。そのケロジェンから炭化水素分子が発生し、分離してくると。その分離してきた炭化水素分子は、隙間の多い地層の中、岩石中にしみ出して拡散していきます。拡散するんですが、一定条件が整う場所がございますと、そこにトラップされて、長い地質時代の間に石油鉱床、すなわち油田ガス田が形成されるというふうに考えられております。  以上を概念に表現したものがこの図、ちょっとビジーな図で申し訳ないんですが、全体を石油システムというふうに総称いたします。厚い地層が堆積する場所、これ堆積盆地と申しますが、そのある場所根源岩がたまり、熟成し、炭化水素が排出、移動してきて、トラップ石油天然ガスがたまる、これが油田ガス田になっていくわけです。  現在までの研究ではこのように考えられておるのですけれども、どこにどれだけ賦存しているのかということをピンポイントで言い当てることができるかと問われますと、それはかなり難しいというのが現状でございます。  というのは、私たちが足を踏み入れたことのない地下深部自然現象を取り扱っておりますし、長い地質時代を経た地質現象を扱っておりますので未解明の点も多々あるというのが現状で、というわけで、石油探査は、確立した技術としての面があるだけでなくて、今後解明されるべき科学としての面も併せ持つというふうに御理解いただきたいというふうに思うわけです。  さて、次に、エネルギー需要予測、これは一般的なデータでございますけれども、これを見ていきたいと思うんですが、石油天然ガス安定供給のために、エネルギー需要種類別依存度現状と将来予測で見てまいります。  直近の二〇一六年のデータ、これは八割以上が再生不可能エネルギーに依存している、石炭石油天然ガスなどの再生不可能エネルギーに依存しておると。そのうちの半分以上が石油天然ガスであるわけです。それが二〇四〇年になる頃には、再生可能エネルギー需要全体の二〇%程度まで賄い得るようになると。その分、石油石炭天然ガス、いわゆる化石エネルギーへの依存度が減少すると予測されております。  もちろん将来予測前提にはいろんな見解がございますので、これ以外の予想も成り立つということは御承知のとおりです。しかし、これだけ見ても、石油天然ガスエネルギーとしての重要性は当面は揺るがないというふうに理解できると思います。  これ、同じデータ需要量というふうに量で見てまいりますと、二〇四〇年までに需要自体が三〇%も増加するというふうに言われておりまして、ですから、割合として石油天然ガス需要割合は減るんですが、量として見たときには、今までよりも更に多い量が必要になっていくというふうにみなすことができるわけです。ですから、現在と同じかそれ以上の量の石油天然ガス供給し続ける努力をしないといけないという意味であります。  このような見通しを理解した上で、国のエネルギー基本計画は、石油を今後とも活用していく、天然ガス役割を拡大していく重要なエネルギー源として位置付けております。  さきに確認してまいりましたとおり、石油天然ガス探査科学としての側面も有するわけですから、今後活用を続けていくためには、これまでの知識や技術の上に黙ってあぐらをかいているわけにはいかないと。  しかしながら、残念なことなんですが、エネルギー基本計画には、これら在来型の石油天然ガス探査についての今後の施策については余り多くは述べられておりません。新たな技術開発最新技術によるデータ取得努力が続けられてきたからこそ、可採埋蔵量が維持されてきたということをよく理解する必要がございます。  では、石油天然ガス資源について抱く私たちの懸念、第一に枯渇問題ですね、第二に地球環境問題、本日はこの地球環境問題は余り触れませんが、それともう一つ我が国としては輸入依存問題があると。私たちはこれに対してどのように対応していくべきなのか、次に見ていきたいと思います。  ここにお示ししたのは、世界石油の可採年数の変遷でございます。縦軸年数横軸が一九二〇年から今までの時間の流れを示しております。  一九二〇年代から四〇年くらいまでは大体可採年数は二十年程度と言われてきたものが、年を経るに従ってだんだん延びてきて、今は直近データで五十年というふうに言われております。なお、これは使った分以上に毎年新たに見付かっているなどの理由によります。  一時期、ピークオイル論というのがございまして、悲観的な見方もございましたけれども、その後、御存じのとおりのシェール革命とかそういったものがございまして、事態は一変したというふうに理解されます。  可採年数というのはどういうものかというのを一応、御承知とは思いますが確認しますと、分子の方に確認可採埋蔵量、今現在見付かっていて、これを取ることができると分かっている油の量を置きます。分母の方に、昨年末、十二月三十一日までに使った年間の生産量、これを置くわけですね。ですから、昨年と同じペースで使い続ければ見付かっている量は何年もつかという数字になるわけなんですが、実は様々な要因でこれは変動して大きくなったり小さくなったりします。  分子側が増える要因は、一つには技術進歩向上で新たなものが見付かっていく、あるいは油価が上がることによって開発可能な油田が増えていくというようなこともあります。  技術のその進歩向上というのは例えばどのようなものであるかというのを少し考えていきたいと思います。  ちょっとごちゃごちゃした図で申し訳ありませんが、まず図の左上の方から御覧いただくんですが、この図は石油探査の在り方を歴史的に見たものでございます。  昔は、地表にしみ出した油を使っていたわけです。黙ってすくって使っていたわけですね。それがやがて、油がしみ出している場所を掘るようになるわけです。最初は手で掘る、要するに人が掘るわけですね。だんだん深くなっていくと、それでは間に合わなくて機械で掘るようになると。だんだん深部まで見ていくようになるわけです。  次の段階としては、地表に兆候のないところにおいても、この場所地下に油があるに違いないと考えてそこに掘るようになる。その確認のために、地質学それから地球物理学的な手法が用いられるようになります。そうした技術の発展で、地下のより深部へ、それから陸上から海域へ、海域でも浅い海から深い海へと探査の領域が広がってまいりました。  例えば、約三十年前くらいの海域探査というのは大体水深二百メートルくらいまでの大陸棚の上で行われていた、それが中心でしたけれども、現在でははるかにそれを超えて、水深三千メーターくらいのところまで探査が行われるようになっております。こういった状況は、在来型の油田ガス田探査技術の話でございます。  では、在来型だけでなくて、非在来型も含めた新たな技術とは具体的にどのような姿をしているものかということをこの図で、シェールオイルシェールガスの例を地下断面イメージで考えてみたいと思います。  この図の一番下側に黒い層がございますけれども、これが石油根源岩層、すなわち生物がつくり出した有機物が濃集している地層でございます。これが熟成帯、要するに、ある程度の深さまで埋没すると油が出てきて、更に深くまで埋没すると天然ガスが発生するということでございます。  油や天然ガスは、先ほども申しましたが、隙間のある地層の中にしみ出して、油、天然ガスというのは水より軽いですので、浮力で浅い方へ移動していきます。どこまでもそういう地層がつながっていればどんどん拡散するんですが、行き止まりの場所があるとそこに後ろから来たものが次々とたまっていく、これが在来型の油田ガス田のでき方なわけです。  これに対して、この最初に説明しました黒い層の、この根源岩層の中に取り残される炭化水素というのも実はたくさんあるわけです、ということが以前から実は分かっています。この熟成根源岩からしみ出さなかった炭化水素、これを最新技術で取り出したものがシェールオイルとかシェールガスと言われるものなわけです。  その最新技術とは何かといいますと、地表から井戸を掘るわけなんですが、その井戸を自由自在に曲げて水平にも掘るという技術があると。これは、水平坑井とか大偏距掘削とか申します。それがまず一つ。もう一つは、坑井の中に大きな水圧を掛けて地下地層にひびを入れる技術、これは水圧破砕、フラクチャリングというふうに言っております。この二つの技術があってシェールオイルシェールガスが取り出されるようになったと。  ですから、全体の資源としての流れを見る限り、シェールプレイといいますけれども、シェールオイルシェールガスは、在来型の油田ガス田が形成される途中の段階資源を利用するようになったものだというふうにみなすこともできると思います。  それをもう少し炭素サイクルという観点から見てまいりますと、この図のようになっております。これは横軸が、右が発散、左が集積というふうに御覧いただきたいと思います。縦軸サイクルの進行を示しております。サイクルというのは、石油天然ガスを作っている主成分である有機炭素無機炭素からできる、そしてまた無機炭素に戻っていく、そのサイクルのことを言っています。  在来型のプレイでは、この図の右上からスタートして、有機炭素植物によって固定されて濃集し、一旦、根源岩層というところに、この左上の方の箱の部分に濃集されるわけです。そこでできた炭化水素は発散していく、ところが途中でトラップがあるとまた濃集すると、こういう段階を踏みます。ですから、最初の濃集を一次濃集というふうに考えますと、二番目の濃集が二次濃集でありまして、二次集積とも言っていいかと思いますが、ですから、在来型は二次集積産物であると。それに対して、シェールオイルシェールガスは一次集積産物と。このサイクルで見ていくと、ある意味とても違うものを取り扱っているんだということになります。  こういったものが日本でどのくらいの余地で見ることができるのかというのを次のマップで御覧いただきたいと思うのですが、日本全体の産油ガス地を示しております。  日本海の東縁に当たる例えば秋田、新潟、山形、それに北海道の中軸部から東北日本太平洋岸にかけて、そのほかに、関東、それに東海、九州と各地に広がっているわけです。これは何を示しているかというと、日本には石油天然ガスが生成される地質学的な条件はそろっているんだということを示しているとも見られるわけです。  時間もありませんので、私の今の職場があります秋田の話とかはちょっとスキップさせていただいて。  日本に実際に幾つかある油田ガス田で稼働しているものも当然あるわけですが、それが賄う、自給率ですね、はどのくらいかということなんですが、石油でいうと約〇・三%、天然ガスで三%というふうに言われております。少ないというふうに言えば少ないのですが、日本にも油田ガス田石油天然ガスが賦存している、それが実際に稼働しているんだということを御理解いただければと思います。  それの探査というのは実際に続けられておりまして、資源エネルギー庁が実はある海域での調査をきっかけに導入した三次元物理探査船資源」というものがございました。これ、日本周辺海域で基礎的なデータを収録してきているわけです。  どのくらいかというと、このマップの左と右、比較しながら御覧いただきたいんですが、資源エネルギー庁のワーキンググループによると、探査対象となり得る日本周辺海域というのは大体どのくらいかというと、水深が二千メートル未満、そのほかに、海底面から厚さが二千メートル以上の堆積物があるエリアですね、そういう石油天然ガスが生成していても不思議ではない海域というのがどれくらいあるかというのを調査して、これが約八十万平方キロを超えるとかなりの面積あるんだということが言われているわけです。  これに対して、先ほどの「資源」がどれだけ十年間で調査を行ったかというと、その海域は大体五万四千平方キロと言われていまして、可能性のある海域の六%程度にすぎないと。すなわち、探査対象海域の大部分は十分な詳細な探査がなされないまま余地として残されているんだと。それらのデータを取る必要があるというふうに考えるわけです。  もう一つ、よく言われるのがメタンハイドレートのことなんですが、メタンハイドレート日本近海にこのように分布しているということが一応言われております。分かっているわけです。  メタンハイドレートも、先ほどの炭素サイクルの話で見ると、一次集積産物というふうにみなすことができます。メタンハイドレートは今すぐに国産のエネルギー資源として役割を任せるという段階にはないわけですけれども、数十年先あるいはその先の将来のために地道な研究をやはり続けていく必要があるというふうに考えます。  そういったことも含めて、「資源」の後継機として導入された「たんさ」という船が引き続きデータをどんどんと収録するものというふうに期待されるわけですが、そのデータというのは何かというと、三次元地震探査というデータになります。これは、収録しただけでは石油天然ガスの胚胎が特定できるわけではなくて、それに対して地質情報を加えて、石油地質学的に分析してやる必要があります。総合的な判断によってその海域有望性を評価していくということが可能になるわけです。  そのためにはある程度規模技術者の集団が必要になります。日本石油探査技術者地質技術者及び物探技術者といいますが、正確に把握できていないんですけれども、大体規模として五百人くらいのスケールというふうに考えられています。この数が、例えばエクソンモービルとかBPとかロイヤル・ダッチ・シェル、それからシェブロンなどというスーパーメジャーがそれぞれ数万人規模探査技術者を抱えていることと比べますと、余りにも少ないというふうに言わざるを得ないところです。  若い石油探査技術者を積極的に養成して、例えば、JOGMECなどの公的な組織を充実させるとか、産総研とか大学研究組織をフル活動させて探査を引き続きやる必要があるというふうに考えております。  これ、最後の、まとめの前のスライドですが、自給率を今後大幅に上げるということはなかなか簡単ではないのですが、海外産油ガス地において日本企業開発に参画するいわゆる自主開発原油の比率、これを比較的早く向上させることは可能であろうというふうに考えております。ただ、これを担う民間企業に目を向けますと、技術者不足というのはやはり顕著でありまして、十分な検討体制を取れない場合もあるということで、これを補っていく必要があります。  また、民間企業が保有する開発技術といいますのは、自主開発原油の確保だけではなくて、資源外交のカードとしても重要だと。すなわち、産油国油田開発への技術協力、それから産油国技術者育成すること、こういったものは自国が技術を持っていないとかなわないというふうに言えます。  まとめ、三つ書いてございます。今後とも活用していく、あるいは役割を拡大していく重要なエネルギー源、これを維持していく、そして確保していくためには、在来型資源探査を引き続き日本国内、周り、あるいは世界で継続していき、増強していく必要がございます。我が国周辺海域にはその余地はまだまだあるというふうに考えて構わないというふうに思います。これを長期的かつ粘り強い緻密な計画で立案して実施していく必要があると。  また、非在来型プレイの創出、これは新たなプレイタイプというものを創出し得るわけだと考えていますが、そのためには創造力あふれる有能な人材の育成が必要であると。そのことが、石油外交技術者育成技術協力前提として日本技術を高めるということにつながっていくというふうに考えております。  以上、雑駁でございましたが、私の意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。
  5. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) ありがとうございました。  次に、小澤参考人お願いいたします。小澤参考人
  6. 小澤守

    参考人小澤守君) 関西大学小澤でございます。  私は、元々が機械工学学部の名前は社会安全学部という安全問題を扱うところにおりますが、出身は機械工学でありまして、ボイラーとか原子炉とか、そういうところの技術に関係するような仕事、研究をやっておりました。(資料映写)  まず、一ページ目を開けていただきますと、これは経産省の資料でありまして、我が国国際競争力の図面があります。  丸の大きさが日本が稼いでいるお金の金額に相当するもので、一番大きいのは自動車でありまして、その左側に医薬品とか等々あります。右の方にハイブリッドのグループがありますが、結局、日本競争力を維持しようとすると、自動車も含めて鉄鋼とか重工、重電分野が非常に強力でないと日本全体の経済規模を維持することはできないと。将来にわたって省エネとかそういうようなことを図ろうとするときに、日本は何で飯を食っていくのかということをよく考えた上で産業構造をつくっていく必要があるだろうというふうに思います。  だから、将来にわたって、例えば、CO2を削減するとかゼロにするとか原発をゼロにするとかいろいろな問題があると思いますが、そのときに、そこへの道筋をどう立てるかというのは非常に重要な問題であるというふうに思います。  半導体分野なんかではかつては日本世界のトップクラスであったんですが、ほとんどが中国とか韓国、あちこちの国々に渡ってしまって、最近では、パソコンとかそういう分野も含めて、携帯なんか典型ですが、ほとんど海外にやられてしまっていると。例えば、デジカメなんかを見ますと、世界の中でのシェアは一〇〇%ですが、金額の額を見たりしていますとせいぜい一千億とか二千億ぐらいなものでありまして、非常に小さいものになる。  少なくとも、そういうことを維持しようとすると結局は、一番上に書いていますように、大型技術、基盤技術をしっかりしたものを持っていかないといけないと。私は、感覚的にはいわゆるエネルギー問題というのは、ある意味日本の外交問題であり、同時に日本の国防問題であるというふうに思っております。  次のページを開けていただきますと、最近の、最近というか平成の十一年ぐらいからのエネルギー原単位、重化学工業の省エネがどういうふうになっているかというふうなことを表したグラフでありまして、一番下にありますのが、緑の業務部門全体、それから産業部門全体では青ですね、濃紺のグラフがありますが、要するに、数%ずつではありますけれども、全体としては省エネが行われているというのは間違いもございません。  さて、その次のページ見ていただきますと、日本におけるエネルギーの消費の割合で、縦軸がトータルのエネルギーでエクサジュール、十の十八乗ジュールというオーダーが書いてありますが、横軸に年度、一九六五年から二〇一七年までのデータでありますが、下の方の大部分化石エネルギーで、非化石エネルギーが上の方にごく僅かございます。  原子力が一九七〇年頃から実用化されて日本国内で発電を開始しましたが、三・一一以降その分が非常に少なくなっていると。最近、その後、特に自然エネルギー、太陽光とか風力なんかが導入されてきておりますが、依然として、先ほど荒戸先生のお話にありますように、石油天然ガス、それから石炭の重要度はかなり高いと言わざるを得ないというふうに思います。将来的にこの辺を、CO2の発生をゼロにするという方針を置くとするならば、それらをどういうふうに日本の経済の中で、あるいは日本エネルギー問題の中で軟着陸させるかというのは非常に大きな問題だというふうに思います。  さて、次のページ見ていただきましたら、どの分野エネルギーを使っているかというのが一覧表になっています。産業分野、業務分野、家庭分野、運輸分野と。  運輸に関しましては、結局、ガソリンであったり軽油であったりするのが、まあ船の場合は重油使いますが、オイルを主として使うと。要するに、体積当たりの保有エネルギーが大きいものを持っておかないと長距離の輸送ができないということがあります。そういうことがあって、程々の大きさがありますが、大体、全体としては横ばい状態。  それに対して、赤の線が日本のGDPの推移でありまして、GDPそのものはこれからどんどん上昇するかどうかは別として、ある程度のところに維持しようとするとエネルギーの量を確保せざるを得ないと。エネルギーとGDPの関係というのは非常に密接に関係しているというふうに言わざるを得ないというふうに思います。  先ほど、私のタイトルの中に、オイルと天然ガスを看板に挙げて、石炭の名前を入れておりませんが、その中で石炭重要性というのは非常に高いというふうに私は思っております。先頃、CO2の発生とか環境問題等々で石炭に対する風当たりが余りよろしくないと。COPとかあちこちで日本は、何というんですか、石炭をまだ使用しているのでとんでもない国だというような評価をしている海外のところもありますが、それは広報の問題であって、石炭を捨てるということは僕は選択肢にはないというふうに思っております。  次のページを見ていただきますと、中東依存性が非常に高いというのが現状であります。  先ほどの荒戸先生のお話にありますように、日本近海にいろんな資源があるとは思いますが、それはまだまだこれからの問題であって、当面、これから二十年、三十年の間に中東依存性が軽くできるかどうかというのは非常に難しい問題がある。特に最近ですと、ホルムズ海峡はどうするかとか防衛省から護衛艦が行っているとかいろんな話がございますが、外交上の問題というのが非常に大きく作用すると。  そういう意味では、石油等に対するいわゆる政治上のリスクあるいは外交上のリスクが非常に高くて、これからも継続されるだろうと。そのときに、エネルギー、いわゆる化石エネルギーとして石炭そのものをどうするのかということを国としてしっかりと位置決めをしないといけないというふうに思っております。  次の絵は、太陽光発電で、大分資料は古いですが、二〇一二年のエネルギー・環境会議で出てきた資料でありまして、太陽光発電は例えば、皆さん御承知のように、本日ですと非常に発電量は少ないし、晴天で天気がいいとそこそこ発電はしてくれると。そもそも、太陽光から降ってくるエネルギーは一平方メーター辺り一キロワットぐらいあるわけです。ところが、雲があったり水蒸気があったりして、結局、地上に降り注ぐのはそれの三割ぐらい、せいぜい三割ぐらいしか入ってこないと。そうすると、しかも夜になると使えないというので、太陽光発電そのものに本当に将来性があるのかどうか、余り大きくすると大変なことになりかねない。というのは、要するに不安定な電源ですから、バックアップを持たないといけないと。  それは風力に関しても基本的には一緒でありまして、ヨーロッパの諸国のように偏西風がある一定の速度で大体ほぼ平準化されたような状態で吹いている国と、台風だとかいろんなことで大きな変動がある日本の状況で風力発電が主力になるというのは、かなりの蓄電池、いわゆるバッテリーであったり、平準化をする道具が必要だろうと。  最近ではスマートグリッド等いろいろな方法があって、それで言わばエネルギーをデジタル化する、それによって全体の平準化を図りというような方法もありますが、それが、いざという、いわゆる自然災害なんかが多様な、いっぱい出てくるような時代になってきますと、本当に機能するのかどうか。大きな災害がありますと、ネットワークシステムそのものが簡単に壊れてしまいますから、そういう電線で結ばれたような、あるいは無線で結ばれたようなエネルギーシステムというのはちょっと危ないところもないわけではないというふうに思います。  さて、次の絵を見ていただきますと、この辺は先ほど言うたものをまとめているもので、原子力が非常に少なくなっていますよということを表しているだけであります。  その次、太陽光の実質上の系統への接続がどのくらいかというのを表したのがこのグラフでありまして、これは二〇一五年のデータですから若干これから変動しているかもしれませんが、それぞれの電力会社はバックアップを取らないといけないということから、接続可能量には現状では限界があるよということを表しているだけであります。  次、開けていただきますと、そもそもエネルギー、いわゆる熱を使った発電というのはどういうものかというのを漫画的に表したものがこの図でありまして、ポンプで水をボイラー、若しくは原子炉の場合ですと炉心に供給をして、そこで蒸気を発生させる。加圧水型原子炉ですと蒸気発生器というのがありますが、基本的には同じであります。それで蒸気の温度を上げて蒸気タービンに導入して、それで発電機を駆動する、蒸気タービンから出た蒸気を、日本の場合ですとほとんどが海水で冷却して元の水に戻すと。  こういう熱サイクルを使うわけですが、原発で大体せいぜい三三%ぐらいな熱効率ですし、通常の火力で四〇から四二%ぐらい。最近ですと、ほとんど天然ガスを使ったガスタービン、蒸気タービンのコンバインド発電で、基準をどこに置くかにもよりますが、五五%から六〇%ぐらいというようなところが限界でありまして、全ての熱エネルギーあるいは核の発生するエネルギーを発電できるわけではないということが、これは熱力学の基本から出てくるものでありますのでどうしようもないところもありますが、少しでも効率を上げるという努力はこれからもされるべきだとは思いますが、そういう限界があるということを御承知おきいただきたいというふうに思います。  次のページは、エネルギーのどういうサイクルを通るかによって効率がどの程度のものかというのをざっと表したものです。  先ほど言いましたように、化学エネルギー、あるいは化石エネルギーとも言いますが、核エネルギーから熱エネルギーを介して動力エネルギー、そして電気エネルギーに回している、それで先ほどの効率になるわけですが、光から直接、いわゆるソーラーセルの場合は直接電気エネルギーを起こすことになりますが、まあいろいろ技術開発が行われて新しいものが出ていますが、せいぜい一〇%オーダーのものであります。  あちこちにソーラー発電のサイトがありますが、いろいろな蓄熱とか平準化というようなことを考えると、光エネルギーから、つまり、太陽光から太陽熱を使って熱エネルギーに換えてそれで平準化をして、最終的には電気エネルギーに換えるというルートがないわけではないと。多分、恐らくその方が効率は高いと思いますが。  例えば、ジーメンスなんかが開発した、溶融塩を使って、溶融塩を温めて、それを移動させて蒸気を発生させて発電をするというシステムを開発していますが、スペインなんかでたしか実用化していたと思いますが、値段が非常に高いもの、いわゆる設備費が非常に高いものになっていると。今後の技術開発に依存するとは思いますが、この辺が非常に大きな問題だというふうに思っております。  さて、次のページには現在の原発の許認可の状況を表しています。  現状動いているのは、伊方の仮処分申請で止まっているというのは別にしまして、関電と九州電力の加圧水型原子炉が主として動いているだけでありまして、規制庁の審査になかなか通らないとか、通っても、地元の同意を得るのに時間が掛かるとか等々で、原発がエネルギーの基本計画では二〇%という話になっていますが、今の状況ではなかなかそれが前には進まない。規制の在り方そのものももう一度見直す必要があるだろうというふうに私は思っております。  エネルギー基本計画が全てではありませんが、原子力も一つの選択肢としてきちっとやっていかないといけないと。つまり、技術というのは、過去五十年、あるいは五十年以上原子力に関しては技術を積み重ねてきたわけですが、そのことを重要視する。つまり、技術開発というのは簡単にはいかない、あるいは技術者の養成はそう簡単ではないということも踏まえて考えると、この辺の問題はどうするのか、国としてきっちりとした方針を出すべきだというふうにも思っております。  次のページ見ていただきましたら、これは震災直後、つまり三・一一直後の状況でありまして、要するに、原発が止まることによって非常にたくさんの燃料代、つまり、主として火力発電用の燃料代が海外に出ていっているという状況であります。これは、まあそれだけの話でありますので。  それと、もう一つは、現在の石油の値段あるいは天然ガスの値段、石炭の値段がどんなふうに変動しているかと。これだけではございませんが、少なくとも、特に天然ガス石油に関しては非常に値段の変動が多いということは皆さん御承知のとおりであります。  次のページに日本の現在の発電の系統が書いてあります。九州電力、沖縄電力からずっと東の方へ行きまして、青のところが六十ヘルツ、右側の緑のところが五十ヘルツの領域でありまして、先頃、二年前ですか、北海道のブラックアウトの問題がございましたが、基本的には、日本のこういう系統、あるいは中部電力と東京電力の間の周波数の変換所等々に関しましても平時を、つまり災害がない状態を想定して造られていると。  直流送電なんか特にそうでありまして、北海道のブラックアウトの中で、もし交流で北海道と東北電力が結ばれておれば直ちにその六十万キロワットを使えたわけですが、直流であったために、しかも他励式という、交流電力がないと交流に変換できないシステムであったために、結局は北海道電力の全域においてブラックアウトが起こってしまった。現在では青函トンネルを通じて三十万キロワットの自励式の直流が結ばれていて運用されていますが、北海道そのものの状況を考えるともっと全体的に増やさないといけない。しかも、できれば、緊急対応を考えると、私は、交流電力で、ロスは多いかもしれませんけど、交流で結ぶべきだというふうに思っております。  次のページ見ていただきますと、この辺から本当は私が言いたいことでありまして、これは、いわゆるクリーンコールテクノロジーという石炭技術開発の全体像を何年か前に作ったものであります。  例えば、今、石炭技術で一番先端を走っているのが石炭ガス化複合発電、IGCCと言われるものですが、スタートは一九七四年頃であります。そこから、最初は空気吹きとか酸素吹きとか等々をやって、現在、千三百度の勿来のプラントのものが今建設中、あるいはおおよそ終わりつつあるという状況ですので、見ていただきましたら、七四年から二〇二〇年、四十年以上関わると。現場で働く技術屋さんからすると二世代ぐらい、場合によっては三世代ぐらいの技術屋さんがこれに関わっているということになります。  だから、技術開発というのは容易ではないと。つまり、人を養成するというのは物すごく大きな問題で、紙に書いたものがあるからそれで技術が維持できるというものでは決してないということを皆さん方に特に御承知いただきたい。そういう意味では、大学の教育であったり企業における教育、あるいは産業の育成、国の政策そのものが非常に重要な役割を果たすだろうというふうに思います。  次のページ開けていただきますと、先頃、オーストラリアで褐炭から水素を作って日本へ、特に私が住んでおります神戸に陸揚げするというプロジェクトが進行しつつあります。水素というのは、液化させようとするとかなりの低温にしないといけないと。天然ガスでマイナス百六十度でありますから、それよりもかなり低い温度まで下げて液体にして運ばないといけないと。何で水素なのだろうと。水素社会というのはいろいろ考えられていて、燃料電池車とか等々いろんなものが開発されていますし、実際に燃料電池車をトヨタなんかは販売もしております。  ところが、私からすると水素にして運ぶから面倒くさいのであって、例えば、石炭火力の発電所でCCSによってCO2を取って、そこで発生させた水素と合わせてジメチルエーテルにしてやれば、これはプロパンと同じようなものでありまして非常に運びやすいと。ジメチルエーテルは普通の火力燃料にも使えますし、最近ですと、ボンベの、いわゆるスプレーの噴射剤としても使っております。  しかも、もう随分になりますが、かつて経産省の石炭課あるいは石油流通課でジメチルエーテルのプロジェクトが進んで、新潟にプラントを造ったり、それよりも前に釧路にジメチルエーテルのプラントを造ったりして、ある程度技術開発ができ上がっていると。それが一向に進まない。ジメチルエーテルと、これは国プロを進めながら、少しだけやってできたらもう終わりだというようなことをやっていては、エネルギー政策は成り立たないというふうに思います。  さて、最後に私の結論ですが、電力、LNG、オイルの安定供給の諸問題としまして、高度産業社会維持には信頼性の高い安定電源が必要であると。燃料価格の変動、それから国際的な政治リスクに対応する必要があると。それから、太陽光、風力などの自然エネルギーの利用による発電の出力変動の不確実性対応、これ、バックアップの問題ですね。それから、電力システムの複雑化対応、つまり、脱炭素とか分散化、それからエネルギーの多様化、それから組織そのものが配電会社と発電会社が別になったりしておると。あるいは、さらにはスマート化というかデジタル化と。そういうようなときに、大災害が起こるような時代に、災害多発時代に対応して、ちゃんといわゆるタフなシステムになり得るかどうかというのが大きな問題だというふうに思います。  最後のスライドですが、原発規制の見直しが必要であるだろうというふうに私は思っております。安定電源維持のみならず、高レベルの廃棄物処理、廃炉を含む原子力技術技術者養成のために重要である。これは何も、いわゆる大学における原子核工学科あるいは原子力工学科を維持するということを意味するわけではありません。機械工学であるとか化学工学の関連分野の人間が原子力技術に関わればいいので、少なくともそれがちゃんと技術力として維持されないといけない。  それから、石炭利用技術の維持、発展、これも必須のものであるというふうに思います。  それから、電力システム、いわゆる電気のシステムからエネルギーシステムへの変換が必要である。つまり、本来、熱として来るものを熱と、そのまま使えばいいと、何も全てが電気に変える必要はないだろうというのが発想であります。  最後に、赤字で書いていますが、事実と技術に立脚したエネルギーに関する議論の展開が必要で、感覚的に、言わばポストトゥルース的な議論は極力避けるべきだろうというふうに思います。長期を展望して短期、中期の戦略を立てると。技術はすぐには育たない。せっかく国プロで育てた技術がそのまま放置されて消えてしまうというようなことがあっては、僕はそれこそ国富の損失であるというふうに思っております。  以上です。雑駁な話になりました。どうもありがとうございました。
  7. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) ありがとうございました。  次に、飯田参考人お願いいたします。飯田参考人
  8. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) 環境エネルギー政策研究所の所長の飯田哲也と申します。本日は、お招きいただきまして、ありがとうございます。(資料映写)  私の方からは、一枚めくっていただいた要旨に沿ってお話をさせていただきたいんですが、特に冒頭の、エネルギーの急速な大転換が今進んでいる、これまでの十年、二十年がそうですし、これからもなお加速度的に進んでいると。実はこれに、政治家の皆さん、政策担当者、そして専門家の皆さん、むしろ専門家であるがゆえに付いていけていないという、その認識のずれが、非常にその対応が今後、日本としても問われていると、そういう領域にあるんじゃないかというふうに思います。  一年前に、日本国政府も重要なメンバーで入っておりますIRENA、国際再生可能エネルギー機関ですが、「ア・ニュー・ワールド」と、これ、アイスランドの元首相を代表とする国際的な研究チームで出版されたんですが、今、日本語版も出ております。  もうエネルギー地政学は、これまでは言ってしまえば石油をめぐる国際政治であったと。でも、これが再生可能エネルギー技術と市場をめぐる政治に大きく変わるというのが、一言で言うと、それが今大転換しつつあると。むしろ、下の赤い、下のグラフの、それこそ中東とかあるいはロシアのようなこれまでの石油、ガスの輸出国は、今後市場が崩壊するので政治的な大混乱に見舞われると。まあ、むしろそれはそれで非常に大きな地政学的なリスクなんですが。  一方で、日本、ヨーロッパ、アメリカ、中国、これは上のグラフですが、再生可能エネルギーの特許の数イコール技術のある国というふうに解釈をすると、これらは非常に優位な立場にあると。ましてや日本は、化石燃料の輸入で年間おおよそ、年によって違いますが、GDPの五%を言わば失っている、それを言わば取り返せるという意味では非常に有利なポジションだということが指摘してあります。  これは昨年の九月にカーボントラッカーが出したレポートですが、これから十年単位で世界の二百兆円規模の化石燃料市場が大崩壊を起こす可能性があるという指摘をしています。  このグラフ、若干解説しますと、青色で下がっている上のグラフがいわゆる太陽光発電の発電コスト、これは後で見ていきますが、これは初期費用プラス運転費用ですが、もう運転費用は実質ゼロです。その下の緑色のグラフは、今度、太陽光プラスバッテリーの発電コスト、これも初期費用プラス運転費用ですが、実質、運転費用ゼロです。ああ、逆ですね、上がプラスバッテリーで、下が太陽光です。  もう既に太陽光の新設及びいわゆる発電コストにならしたコストは、新たに石炭火力を造るよりは安くなっている。これはもう世界中のほとんどでそうなっている、日本は若干まだ違うんですが。これからしばらくすると、既にある石炭火力を動かすよりも太陽光を新たに造った方が安くなるというのがもう数年で来ると。その次に来るのは、太陽光プラスバッテリーのコストが新たに石炭火力を造るよりも安くなる。そして、二〇三〇年代の前半には、既にある石炭火力を動かすよりも太陽光プラスバッテリーの方が安くなると。もうこういう変化がこれから十年で起きるわけです。たった十年ですよ。そうすると、世界の、まあこれ、石油はもうそもそも発電には使えませんけれども、ガスそして石炭といった発電市場というのはもう大崩壊を起こすと。  次のグラフ、これはリアル、実データですが、最後の、去年の末の太陽光と風力はまだ国際的な正式なレポートは出ていないので私どもの研究所の推計ですけれども、これを見ていただくと、原子力はほとんど、むしろこれから減っていくんですが、太陽光と風力がこの勢いで増えているわけです。  グラフをちょっと見ていただきますと、下に、二〇〇〇年という年は、これは、日本に今導入されている固定価格買取り制度を、最初に私が草案を作って、参議院法制局で審議していただいたのが二〇〇〇年です。その頃は太陽光と風力がこんなに大きくなるって誰も思っていなかったです。それが、三・一一の起きた二〇一一年、グラフちょっと当てていただくと、それでもまだ大したことなかったんです。  それがもう今や、二〇一五年に風力は原子力の設備容量を抜き、二〇一七年には太陽光が設備容量を抜き、もう今やどちらも倍以上の設備容量に、倍にはなっていないですね、一・五倍ぐらいの設備容量になり、しかもこの勢いで増えていくわけです。毎年毎年、風力は大体毎年五十五ギガワットぐらい、およそ五千五百万キロワット世界全体で増えるのでほぼ安定化しつつあるんですが、太陽光はおととしが百二ギガワットで、去年が百二十、今年は百四十という勢いで増え方が増えていっているわけです。これを何と言うかというと、皆さんが学生の頃に習われた指数関数的と、いわゆる倍々ゲームで増えるような勢いが増えていっています。  こちらも、IRENA、国際再生可能エネルギー機関の展望では、二〇五〇年に風力と太陽光を、これは左側のグラフですが、これは電力だけの話、電力の八六%が再生可能エネルギーで、そのほとんどを風力と太陽光だろうというのが、これは国際機関である再生可能エネルギー機関、しかも日本政府も入っているところが言っているんですが。  ドイツのエネルギー・ウオッチ・グループとフィンランドのLUT大学の、これは去年四月に出たレポートの予測では、こちらは一次エネルギーです。つまり、エネルギー全体の、二〇五〇年には全てを再エネで賄うことができて、その七割は太陽光だと、二割は風力だと、あとはその他の再エネがちょぼちょぼと。二〇三〇年、あと十年でも世界の一次エネルギーの三二%を太陽光だけでも供給できるだろうと、この勢いで伸びるとですねという、まあこれは予測であり、ある意味研究機関なので、そういう期待もあると思うんですが。  それを裏付けているのは、これはアメリカのラザードという金融機関、投資機関の非常に有名な、毎年毎年、各種エネルギーのいわゆるコスト、コストといっても、専門用語ではLCOEと言って、初期投資プラス運転コストをいわゆる発電コストに置き直したそういう指標なんですが、この十年間でなぜこんなに増えたかというと、風力はコストが七割落ちているんです。つまり、十分の三になっていると。太陽光に至っては九割落ちているんです。十分の一のコストになっている。それで終わりじゃなくて、まだまだこの先もコストが下がるわけです。  それを同じラザードのほかのエネルギーも入れたグラフが八ページ目ですが、原子力は逆にどんどん上がっています。しかも、このグラフというのは、太陽光と風力だけは補助金のない裸のコストです。ところが、原子力や化石燃料は補助金の入ったコストなので、実は本当はもっと高いということです。  原子力はもうはっきり言って、私も実は元々、京都大学の原子核工学を修士で出ておりまして、神戸製鋼で原子力、廃棄物の事業経験もやり、電力中央研究所で原子力規制と電気事業連合会の仕事もやりましたが、私もそういう意味では原子力、いろんな分野を経験しましたが、もうはっきり技術として未来はないと。というのは、このコストです。  これは九ページ目ですね。これは、アメリカとフランスで初期投資が、これは横軸ですが、造れば造るほどどんどんどんどん、縦軸は初期建設コストが、それぞれ対数グラフでうなぎ登り、コイの滝登りのように上がっていって、およそ市場の中でもう使い物にならないと。  このグラフって実は古くて、東芝がウエスチングハウスを買う前に公表されているので、本来、企業の経営者であればこんなことは見ておくべきなんですが、何を間違ったか、ウエスチングハウスを買収して、東芝はもうほぼ倒産のようなところまで行ってしまったと。  最近の例でいうと、下のところに書いていますが、フィンランドのオルキルオト三号機。二〇〇五年、これはもう国会を二分して、ほとんど数票差で造ることになってしまって、五年間で三十七億ユーロでできる予定が、まだ今になってもできていないと。もう砂漠の蜃気楼のように、毎年毎年運転開始は、つい最近出て、来年になりましたという。で、多分来年になると、また来年になりましたということになると思うんですが。建設コストが一応八十億ユーロなんですが、一説には百数十億ユーロ、つまり一兆数千億になっていると。たった一基ですよ、原発。  同じアレバが造り始めたフランスのフラマビルも、二〇〇七年に造り始めて、二〇一〇年に三十億ユーロでできると言っていたのが今になってもできておらず、つい最近これもニュースが出て、二〇二二年、コストは何と四倍以上、百三十億ユーロ。  イギリスのヒンクリーポイントCも、これも大もめにもめて一昨年着工しましたが、着工した時点で、完成時二〇二五年、二百二十億ユーロの発電コストが、今現在イギリスの沖合で造られている洋上風力より既に高いんですね。洋上風力、まだこの先も安くなりますが、原発のこれが、実際にヒンクリーポイントができる頃には、多分、二〇二五年と言っているので、実際できるのは二〇三〇年か、永遠にできないかもしれませんが、実際の発電コストは更に恐らく高くなるだろうということで、これはもうイギリス史上最大の愚かな投資だというふうにBBCが批判をしておりました。  これはアメリカのデータなんですが、既に原子力は、じゃ、せめて、ある原子力は動かした方がいいんじゃないかという議論があります。ところがもう、アメリカの事故を起こしていない、日本のような追加投資をしていない原子力の運転コストが既に、新しく造る太陽光よりも高くなっているんです。ということは、原子力の再稼働に日本のようにお金を掛けるのであれば、そのお金と時間を新たな再エネ、特に風力と太陽光に費やした方がはるかに時間とお金と人の資源を節約できるということを意味します。  それに加えて、蓄電池の話が先ほど小澤先生からも出ましたが、私も蓄電池は、蓄電池はちょっと前まで、二、三年前まで消極的だったんですが、やはり世界的な電気自動車の投資の勢いで、これ実は太陽光と風力と全く一緒で、蓄電池も非常に速いスピードで、先ほど、風力は十年で十分の三、太陽光は十分の一、蓄電池は大体十分の二・五というか、四分の一のコストというスピードで下がってきています。  この三つは、原子力と全く違うのは、原子力は造れば造るほど高くなっていましたが、何が違うかというと、コストが安くなるメカニズムが違うわけです。つまり、皆さんが今お手元に持っているスマホであるとか、あるいはコンピューターであるとか、つまり小規模分散型の技術というのは、作れば作るほど技術の言わば学習効果が進んで結果として安くなる、安くなるからますます普及し、普及するからまた技術がどんどんどんどん洗練されていくという。十年前のスーパーコンピューターのチップに入っていた、それこそ、かつて二番じゃ駄目なのかという話がありましたが、その頃のチップは今の皆さんのスマホに入っているというぐらいの勢いで進化しているわけです。  これもアメリカの投資機関のグラフですが、大本のグラフはこういう感じで、下は化石燃料です。つまり、天然ガスとか褐炭とか原油が、皆さんも御記憶の方もいらっしゃると思いますが、第一次石油ショック、第二次石油ショック、そして最近ではリーマン・ショックと、そういうイベントごとに化石燃料、特に石油価格とそれと連動する天然ガス価格は変動するわけですが、そこに空から隕石が降るように落ちてきている、これが何かというと、太陽光なんです。この勢いで下がってきているわけです、コストがですね。  この変化が何をもたらすかということをやっぱり、特に政治家の皆さんというのは正確にやっぱり考えられた方がいいと。これに私が書き足したのが、風力と蓄電池を書き足すとですよ、この三つはまさに、地下から掘り出す資源とか、まさにウランもそうなんですが、とは違って、人間の知恵と技術と経験によってどんどん洗練されていく、しかも、ほぼ無限にある太陽エネルギーを基本的に活用するエネルギーなんですね。もう完全にエネルギーのパラダイムが変わろうとしていると。  一昨年、国のエネルギー基本計画でも再生可能エネルギーの主力電源化という、これは、このキーワードは非常に私は高く評価しているんですが、主力電源化するのは何かというと、実は太陽光と風力なんです、今の勢いから見てもですね。しかも、太陽エネルギーというのは一日分で、一日じゃない、一時間分で、一時間に降り注ぐ太陽エネルギーで今世界全体が使っているエネルギーと同じ量が降り注いでおりますので、事実上、無尽蔵ですし、ほぼ無限。太陽がある限り無限ですし、何といっても放射能も出さない、二酸化炭素も出さないと、大気汚染もしないと。やはり、しかも純国産、原子力のような準優勝の準ではなく、純粋な純国産エネルギーですから、これを活用しない手はないと。ただ、ほかの、地熱が好きな方も多くて、あるいはバイオマスの好きな方、小水力の好きな方多いんですが、これは成長することないです。これはもうじわっと育てればいいと。大きく大別されたのはもうはっきりしています。  もう一つ、これはもう三年前に出たレポートですが、エネルギーに非常に密接なんですが、輸送が大胆に変わろうとしていると。つまり、電気自動車が今急速に普及していますが、もう既にアメリカのテスラがトヨタに次ぐ世界で二番目の株式時価総額に一気に成長してきましたが、これは電気自動車だけじゃないんだと。同じペースでというか、もっと速いスピードで進化しているのが自動運転車です、これは経産省も取り組んでいますが。そして、もう一つが、ライドシェアと言われる、まあスマホで呼べる白タクというか、私も海外へ行くとウーバーとかリフトとか活用させていただいていますが。この三つが重なると移動のコストが十分の一、つまり車を買う時代が終わろうとしているということですね。これも十年単位で一気に変わるんじゃないかと。  そうすると、石油市場は三割減で、まあ大変なことになるでしょうし、先ほど小澤先生のプレゼンの最初にあった日本自動車日本だけではないですが、実はドイツもそうですし、アメリカのビッグスリーもそうなんですが、自動車産業そのものも非常に今後大激変するかもしれない。あるいは、税収の在り方とか都市計画の在り方とか大幅に変わる可能性があるんですが、これ今日、本題じゃないので飛ばします。  日本は、たまたま三・一一、もうすぐ九周年を迎えますが、の日の当日に閣議決定が行われて、その日の午後に固定価格買取り制度が国会に送られることが決まり、その年の八月二十六日に参議院で可決をされて、固定価格買取り制度が成立をしたと。その結果として、大半、九五%は太陽光発電が普及し、ほかがじわじわと伸びていると。この太陽光発電、非常に伸びたことは良かったんですが、光と影があるということですね。  一つは、日本の中で、先ほどありましたが、特に九州に太陽光が一番集中をしていると。実は先ほど、変化のスピードが速いので頭の中の考え方を変えなきゃいけないということに、もう一つは、自然エネルギーが不安定とか予測不可能だと、これはもうはっきり言って、そんなことが言われているのは日本だけなんです。それは後でちょっと御紹介しますが。  九州はその中でも非常に多いと。それは、第一段階、第二段階、第三段階、第四段階と。つまり、太陽光と風力というのは、不安定なのではなく、自然変動するんだと。自然変動する太陽光と風力を送電系統の中にどれだけ高い比率で入れるのかというのが世界の今競争になっているわけですが、日本は非常にまだ遅れている、第二段階。九州は、ヨーロッパの大半の国と同じ黄色の第三段階にようやく入ったところ。そして、後で御紹介しますが、デンマークと南オーストラリア、これはもう五〇%を実は超えています。このグラフはちょっとデータが二年前ので古いんですが、既に五〇%を超えて、第四段階。その二つの国が何をやっているのかと。  九州は原発が特に四基再稼働していることもあって、太陽光の抑制をおととしの十月から始めました。確かに九州電力は頑張っています。まずは、昔は原発のために造った揚水発電で頑張って昼間の太陽光のピークを吸収して夕方放出していますし、関門連系線を使って送り出しているんですが、それでも、まだ石炭火力いっぱい残っているのに太陽光を抑制しています。  下のグラフを見ていただくと、太陽光の抑制、去年の三、四、五とかなり頻発をしまして、玄海三号機が再稼働された瞬間に抑制がなくなって、また原発が再稼働されると抑制が始まるという非常に悲しい関係にあるわけですが、これドイツもそうですしフランスもそうなんですが、原子力よりも先に抑制して太陽光と風力を最後まで残す、これは経済合理性からなんです。メリットオーダーという市場用語があって、つまりランニングコストです。運転コストは、太陽光、風力、水力はただなんです。原子力はちょっと掛かるんです。だから、一番安い太陽光と風力を残すのが一番経済合理的なんです。しかも、放射能を出さない。最もメリットがあるんですが、日本はなぜか逆にしていると。  そのパラダイムの変化を表したグラフがこの十九ページ目で、左上がいわゆる古い、ベースロードと、これはもう完全に古い考えというふうに指摘されています。ベースロードというのはもう今や通用しないんだと。下のグラフが九州ですね。ベースロードの考えのまま、電力需要を太陽光が上回ったから止めちゃえと、これが日本の、まだ今やっている。でも、発想の転換して、それ上下ひっくり返したらいいじゃないかと。今までベースロードとして頑張っていたものが、逆にもうちょっと柔軟に変動を吸収してくれればいいじゃないかというような考え方が最後の右下のいわゆる柔軟性という考え方で、こういうふうにちょうどパラダイムが変わったわけですね。  その柔軟性の一つとして、オーストラリア、これは、北海道、先ほどブラックアウトの話が出ましたが、その二年前、二〇一六年の九月に、同じ九月にブラックアウトが起きました。これは、暴風雨によって送電線がなぎ倒されてブラックアウトが起きたんですが、その対応として、これだけじゃないんですが、幾つかやったうちの、世界最大のビッグバッテリーというのを造りました。百メガワット、百二十九メガワットのビッグバッテリーをテスラが半年で造って、実はこれによって、一つはおととしの、これが建設した後、二〇一八年八月に、あわや停電というときにこの蓄電池が一瞬にして周波数変動を吸収したので、やっぱり停電防止に効果があったということが立証されたのと、何といっても、七十五億円投資して年三十億円節約できたので、二年半で投資回収ができるということを立証したので、今、オーストラリアはこのビッグバッテリー、投資ブームになっていて、しかもここは五一%の既に風力と太陽光を入れて、来年中には七〇%、そして二〇二五年には風力と太陽光で一〇〇%にするとこの南オーストラリア州は言っています。  もう一つは、先ほど熱の話も出たので、デンマークです。  デンマークは、実は風力と。実はデンマークも別に偏西風で一番なだらかではあるんですが、下のグラフを見ていただくと灰色なんですが、これ、横軸一か月で、一目盛り一日です。  やっぱり風力は、まさに風任せと言われるとおり、変動します。需要の倍ぐらい出るときもあれば、ゼロの日もあると。でも、それを、デンマーク全土に広がる地域熱供給の熱源であるコージェネレーションがそれに相殺する形で運転されて、しかも、それでもなお余る風力発電は、上のグラフの緑ですが、お湯に変えて地域熱供給熱源として、つまりCO2フリーの風力で作られた熱として供給されると。これなんかまさに、北海道なんかはどんぴしゃのインフラですね。  今、デンマークが何をやろうとしているかというと、もう北海からのガスは、化石燃料由来のガスはやめて、バイオガスを十倍増させて、しかもそのバイオガスに含まれる二酸化炭素を再エネ、風力から作る水素でメタンにして、つまりバイオガスと風力ガスにして、今の化石ガスを全てCO2フリーのメタンにするという構想が今デンマークでは始まっていると。それをセクターカップリングというふうに言います。  つまり、風力と太陽光はもう主力電源は決まっているわけですが、安く、限りなく安くなる風力と太陽光の恩恵を、給湯と暖房それから輸送は、電力はそうですし、メタンにすればディーゼルとかも動かせますし、さらに今、グリーンガスを使った製鉄なんかもスウェーデンとかドイツで実証が始まっていますし、それからアンモニアを作って農業に活用するとかという形で、この風力と太陽光をいかにますます安くしながら拡大していくのかというのが非常に重要で、そういう意味でグリーン水素と、これは去年、東京で開かれたグリーン水素の国際会議で、先生方も出られた方もいらっしゃるかもしれませんが、その方向に今、方向性としては動いていると。  そして、あと、何といっても重要なのは、地域にとって再エネが非常に大きなメリットがあると。これ、環境省のレポートになりますが、日本、国全体もエネルギーの使用によってGDPを五%失っていますが、地域でいうと五%から最大二〇%ぐらい、エネルギーを使うことで地域のGDP、グロス・リージョナル・プロダクトというふうな、GRPといいますが、を失っているわけですね。これを地産地消していくと、まさに地域の経済にとっても雇用にとっても非常に大きなメリットがあるので、これを活性化するというのが非常に重要で。  パリ協定、日本も調印していますが、先進国に求められているのは、この急角度で今後二酸化炭素を減らせということで、もう先進国は石炭火力を造るどころか早期閉鎖に、あの中国ですら、ですらと言うと失礼ですが、もう閉鎖の方向に走っていると。  やはりそれをしっかりやらなきゃいけないんですが、日本は再エネ普及、非常に遅れている上に目標値が非常に少ない。かつ、しかも、日本は、一九九〇年時点では石炭火力少なかったんですね。先進国では唯一石炭火力を増やした国、今やドイツに次いで二番目に大きい。なおかつ、まだ増やそうとしていると。結果として、二酸化炭素削減に先進国の中ではアメリカと並んで失敗した国ということで非常に大きな批判を、先日もあのCOPで化石賞を何度も受賞して……
  9. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 飯田参考人、相当時間が延びておりまして、そろそろおまとめいただけますか。
  10. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) 済みません、はい。あと一、二分で。  そういう意味では、環境と経済というのは、実は、デカップリングといってほとんどの国は、添付資料に大量に付けていますが、日本だけが、GDPの成長を十分にこなせないのに、二酸化炭素を増やしエネルギーを増やしているという非常に残念な国になっていますので、あと原子力もちょっと、これは後でまた補足があればあれですが、三・一一前に先祖返りしつつある状況で、やはり国会事故調の精神に立ち返る必要がありますし、太陽光発電は今、日本の国の見直しではどちらかというと規制する方向になっていますが、改めて飛躍的な普及のための政策見直しが必要で、最後のまとめはちょっと時間がないので省略しておりますが、お目通しいただければと思います。  どうもありがとうございました。
  11. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと思います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  また、質疑者にはその都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力お願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いします。  宮崎雅夫君。
  12. 宮崎雅夫

    ○宮崎雅夫君 自民党の宮崎雅夫でございます。  今日、三人の先生方には、それぞれの視点から大変貴重な御意見をいただきまして、まず御礼を申し上げたいというふうに思います。  私からは、農村の再生可能エネルギーについてお話をお伺いをしたいと思います。  荒戸先生は特段再生可能エネルギーというようなお話ではなかったわけでございますけれども、小澤先生も含めて、技術の大切さということを最後におっしゃったわけでございまして、私も分野は違いますけれども技術者の端くれとして、やはり技術というのは継続してしっかりやっていかないといけないということを改めて認識をさせていただいたわけでございますので、そういう観点も含めてお伺いできればと思います。  再生可能エネルギーについては、先生方からもお話がございましたけれども、もちろん、化石燃料の重要性はもちろん高いということでございますけれども、主力電源化に向けた取組が進められているわけでございまして、エネルギー安定供給という観点から、その重要性は増しているんだろうというふうに思っております。  それから、小澤先生からもお話がございました一昨年の胆振東部の後のブラックアウトもございましたし、昨年の台風十五号では千葉県で相当長期にわたる停電もあったということを踏まえていけば、そういうリスクをやはり下げていかないといけないということを考えれば、地域分散型のエネルギーとしても大きな役割というのも果たせるんじゃないかなというふうに思います。  それから、ある意味、私の専門部分になるわけですけれども、農村には、いろんな、まさしく多種多様、これは有形無形も含めて地域資源があるということでございまして、それをやはり適切に保全管理をしながら、持続的に最大限活用するということによって地域資源自身の循環を活発化させるというようなことも期待できるんじゃないかなというふうに思っておりまして、農村振興というような観点からも、飯田先生は太陽光と風力というお話でございましたけれども、農業用水を活用しました小水力発電でございますとか、林地残材、それから家畜の排せつ物、こういったものを活用したバイオ発電なんかも含めて再生エネルギーを農村部で活用を進めるべきじゃないかなというふうに思っております。  まさしく、FITが始まって、太陽光を始めとして単価がもう全然違うわけですから、相当進んできたということでございますけれども、今やはりちょっとそのスピードは実際落ちているわけでございますし、FITの見直しということも行われてくるわけでございますけれども、今後、農村部で再生可能エネルギーを進めていくということとした場合に、やはりこういうことを是非やっていくべきじゃないかというようなことにつきまして、三人の先生方から、それぞれ御意見があればお話をお伺いをしたいと思います。
  13. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) それでは、まず、荒戸参考人からお願いいたします。
  14. 荒戸裕之

    参考人荒戸裕之君) 再生可能エネルギーのお話になっていますので私の分野とかなり実は違いますが、農村といいますか、都市部と違うところのそのエネルギーに関する話ということで少し私なりに捉えますと、日本のその石油天然ガス資源というのは、かなりやっぱり分布が偏っているんですね。  秋田県なんかで見ていますと、実際には今もうほとんど人が住んでいないような場所に実は昔何万人も住んでいた、そういうところに油田があったというような状況も実はあります。地下資源ですから、どんどんと場所が変わっていくというのは当然なんですが、実際にそれは全てなくなったからそこが終わったかというと、実はそうでもなくて、まだ残しつつ終わっているんですね。その時点で採算ベースを切ってしまったので終わっていると。  これは、今の例えば海洋の油ガス田でもそうで、埋蔵量を残しつつ、でもそれはビジネスですから、やめなきゃいけないときは経営者はそのように判断してやめてしまうわけですね。それを国として、その資源を一体どういうふうに見ていくのかというところはもう少し考える余地があろうかなというふうに思います。
  15. 小澤守

    参考人小澤守君) 農村と今おっしゃいましたけれども、いわゆる都市近郊の農村と、本当に日本で一番問題になっている、農業政策の問題になっている本当の山の中の田舎、私が生まれましたのは兵庫県のど真ん中で、山の中で生まれましたので、ほとんどが言わば限界集落に近い状態になっていると、そういう場所でのエネルギーの問題、あるいは交通の問題含めて、経済的な問題も含めてと、それから都市近郊で比較的大規模農場ができるようなところとは少し分けて考える必要があると思うんですね。  昔は、それぞれの家の屋根に太陽熱を集めて、それで農作業の後、風呂の湯に使うとかいうようなことをやっていた。ある意味、自分たちエネルギーを生み出すというわけではないですが、うまく活用するようなことがあったわけですけれども、農業政策そのものが随分変わってしまって、そういうところでは結局、農村にありながら農業をやらないで、車に乗って近くの町へ仕事に行くという、そういう生活になってしまっていると。  それから、バイオなんかも、大規模に乳牛なんかを育てているようなところ、あるいは牛を育てているようなところは、そこからバイオガスを使ってメタンを発酵させてというようなこともできますし、それから、比較的なだらかな山林ですと木材のチップなんかを使って蒸気を発生させるというようなこともできますが、急峻な山が非常に多い日本の中で、一概に全体としてというような形ではなかなかいかないと。個別個別にそれぞれの対応を考える必要があるだろうと思いますね。  再生可能エネルギーをうまく活用するというのは特に地方では非常に重要なことで、それがスマートグリッドなんかみたいな形になるかどうかはともかくとして、積極的に活用すべきだとは思っています。何でもかんでも石油天然ガス、原子力でやれというふうに私は思っているわけではないんですね。よろしいでしょうか。
  16. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) まず、私が申し上げたのは、風力と太陽光はまさに主力電源なんですが、先ほどのちょっと絵でお見せしたように、バイオマスや地熱、温泉熱、小水力は地域の大切な資源として活用するということで、私自身も全国のいろんな土地改良区さんとか地元の農協さんとか農家の方々と小水力や温泉熱発電とか一緒にいろいろやらせていただいているんですが、そのときにやっぱり非常に重要になるのは、基本的にはまず、地域のオーナーシップというか参加が非常に重要だなと。  お手元の資料では三十三ページ目に、デンマークがいわゆる大規模集中型から地域分散型に変わっていると。見かけが分散に変わっただけではなくて、風力発電が六千五百基、コジェネが千基あるんですが、風力発電のこの八五%は、地域の人たちが、そういう農家の人が一人で持っていたり、あるいは風力協同組合という形で持っているので、売電収益もそこに入っていくんですね。  ですから、そういう形を、しかもデンマークは法律で一五%は地域の資本が入らないといけないということを義務付けていますので、そういう形で、地域の中にエネルギーだけではなくてお金も回る構図をやはりつくるということが、その農村を改めて活用することが非常に重要で、それこそデンマークで農業大臣とかそれから専門家あるいは農家の方に会って、みんなが共通のコンセプトとして持っているのは、太陽エネルギーと土から生まれるのは農産物エネルギーなんだと、つまりエネルギーも農産物だというふうに捉えているんですね。  それが非常に、私は、考え方の転換が必要で、日本も農水省が営農型発電、ソーラーシェアリングを一応二〇一三年から認めて今二千件ぐらいにはなっているんですが、あれをもうちょっと私は、もっと開放した方がいいと思います。耕作放棄地七十万ヘクタールあるわけですから、耕作放棄地に農家の方が、農業の方がやる太陽光発電は農業の一環として、農地転換せずに自由にできるようにすると。それが外資のもうけになっちゃいけないので、そこの規制をしながら逆に農家の人たちが農業の一環としてやるような、そういう思い切った大胆な転換をすればその七十万ヘクタールだけでも日本の電力全て賄えますので、やっぱりそういう形に大胆な方針転換を是非先生の方からも御提言いただければと思います。
  17. 宮崎雅夫

    ○宮崎雅夫君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  18. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 古賀之士君。
  19. 古賀之士

    ○古賀之士君 立憲・国民.新緑風会・社民合同会派の古賀之士でございます。  三人の参考人の方々には、大変知見のあるお話をいただきまして、ありがとうございます。私からも感謝申し上げます。  では、お時間の関係もありますので、早速伺います。  荒戸参考人に伺います。  いわゆるピークオイル論、こちらのお話も先ほどございましたけれども、いわゆる石油掘削はいずれピークを迎えてその後は下落、いずれ枯渇するというものでございますけれども、先ほどのお話を伺うと、今は全くそういった認識はないということで確認をしてもよろしいものでしょうか。
  20. 荒戸裕之

    参考人荒戸裕之君) 全くないというふうに言うと、ちょっと言い過ぎかなというふうに思います。  ただ、ピークオイル論というのはとても分かりやすい話で、地下資源ですから当然そこに一定の決まった量があるんだということは、誰でもそう思うわけですね、無尽蔵だとは思わない。それがどのくらいのレベルのものか。すなわち、私たちが今の人類の文明を続けている限り使えるものなのか、あるいはその間に途中でなくなってしまうのかと。  そこら辺の考え方なんですが、見付かっているもののサイズですね。油田ガス田のサイズって、一応、統計学的に分布決まっていまして、大きなものはそんな必ずしもたくさんないわけですね。そういったものを見ながら、あとどれだけ、どのくらいのものが見付かりそうかということをピークオイル論を主張していた方々は見ていたわけです。これは在来型の話なんですね。  そこに、アメリカで、新しい技術を使って、シェールオイル、今まであるとは分かっていましたけど、取れなかったものです。それを、取れる技術を使って取ったんですね。それによって話ががらっと変わってしまったというのが現状だというふうに思っております。
  21. 古賀之士

    ○古賀之士君 ありがとうございます。  今お話がありましたそのシェールオイルの分も含めてですが、日本の周辺海域で、先ほど地図も見せていただきましたその石油天然ガスについて、掘削について、技術的な課題というのはどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。  それから、そのシェールオイルと同様に、今後は商業ベース、採算性が取れていく期待、この辺についても御所見を伺いたいですが。
  22. 荒戸裕之

    参考人荒戸裕之君) 去年の夏前だったと思いますけれども、経済産業省が掘った基礎試錐というのがございました。日高トラフ、要するに北海道の南の沖で掘った井戸ですが、これはガスの産出が確認されたものですね。そこのエリアは、BSRというふうにいいますが、これはメタンハイドレートがあるぞという兆候、サイスミックの上で兆候が見えるんですが、それがたくさん見える場所なんですね。井戸はそんなにたくさん掘られていなかった。今は新しくそこでガスが出ることが分かってきたんですね。そういうことを積み重ねていく必要があるんですね。  日本資源の少ない国だと私たち刷り込まれていますけれども、実際に例えば、石油天然ガスだけじゃなくて、レアアースとかあの手のものも日本の排他的経済水域の中で大発見されたというのが何年か前にございましたですよね。ああいうことで、資源が少ないと思っていたことが必ずしもそうではないかもしれないと。資源が少ない理由を私たち、ちゃんと確認しているかというと、データでそれを確認できていない場所が結構多いんですね。先ほど言いました、八十万平方キロでしたっけ、ああいうものも僅かなデータ確認されているのであって、細かい詳細なデータというのはまだこれから取らないといけないと。  日本地下の形なので結構複雑な形をしていて、大規模なものが見付かるかというふうに、本当に見付かるのかと言われれば、それはちょっとそうですとなかなか言いにくいものはありますが、ある程度規模のものがあれば、それを幾つも見付けていくということができれば埋蔵量自体は増やしていく可能性はあると、そういうふうに思います。
  23. 古賀之士

    ○古賀之士君 それによって商業ベースもまた見えてくるという理解でよろしいですか。
  24. 荒戸裕之

    参考人荒戸裕之君) 商業ベースは、これはそのときの油価云々の問題がございますので、一概には言えない。ただ、油価がぐっと上がって採算性がぐっと近づいてきたときに、じゃ、それからやればいいかというとそんなことはなくて、常にやっぱりそれを見ていないと、チャンスのときに動き出せないわけですね。  ですから、私たちは、技術的にはやっぱりどれだけのものがそこにあるのかというのをきちんとふだんから押さえていく必要があって、経済情勢が許したときにそこで動き出せるように準備をしておくということだろうと思っております。
  25. 古賀之士

    ○古賀之士君 ありがとうございました。  まだまだ伺いたいんですが、お時間の関係もありますので、小澤参考人に伺います。  一番言いたいことと先ほどおっしゃっていた中の一つに、火力発電所のお話もございました。御存じのように、原子力発電所については運転開始から四十年を経過して延長ができるということはありますが、この火力についても、発電開始からもう既に四十年以上たって、老朽発電所あるいはその予備軍とも言える発電所が増えております。  これ、安全性ですとか現在のその発電能力、こういったものに関して何か危惧されること、こういったものもおありになるのでしょうか。先ほど先生から、二五%、今火力発電所でシェアが直近あるという事例も見せていただいたので、お伺いをいたします。
  26. 小澤守

    参考人小澤守君) 火力の場合は、現状で確かにCO2とかそういうものを排出するのはございますが、放射線とかそういう問題がありませんので、古くなって採算性が悪いものについては、電力会社によってはさっさと天然ガスの要するにコンバインドに変えて、それで発電効率を上げるというようなことをやっておりますね。  それから、ただ、要するに、例えばブラックアウトを起こした北海道電力のように、経営規模が非常に小さい、小さい割にカバーしているのが非常に広域をカバーしている、送電線当たりの発電量が非常に少ない電力会社ですが、そういうところになりますと、そこに投資するお金があるかどうかという。  今、泊原発を再稼働させようと一生懸命、先ほどの飯田先生の話に逆行するような話かもしれませんが、再稼働させるために一生懸命やっていると。要するに、どのくらいお金が、実際に使っているのか分かりませんが、二、三千億、数千億使っているんじゃないかというふうに思いますが、そうすると、そちらに、火力のリパワリング若しくは改修とか高効率のものにするというのがなかなかできない。北海道電力の場合は、石狩湾新港の天然ガスの新しい火力発電所が、去年でしたか、もう稼働していますので、更に二号機、三号機を動かす予定になりますから、随分変わるとは思いますが。  いわゆる災害とかそういうことによって何かが壊れるというようなことは東日本大震災でも普通に起こることでありまして、ただ、改修はそんなに難しい話ではない、お金と時間と技術力さえあればそんなに大きな問題にはならないと思いますが。ただ、それを再稼働あるいは改修することが経済的にメリットがあるかどうかというのは、それぞれの電力会社がどう判断するかによります。よろしいでしょうか。
  27. 古賀之士

    ○古賀之士君 ありがとうございました。  飯田参考人にもお話をお伺いしたかったんですけれども、お時間がどうやら来たようでございます。以降の質問の皆様方にお預けをしたいと思っております。  あと、個人的には、フランスで建設が進んでいるITERの問題ですとか、あるいは小型モジュール原子炉、これはアメリカのベンチャーなどでやっておりますが、こういうお話なども伺いたかったです。  以上で質問を終わります。
  28. 宮沢洋一

  29. 若松謙維

    若松謙維君 公明党の若松謙維と申します。  今日は、荒戸先生、小澤先生、飯田先生、それぞれ御専門を発揮されながら特徴ある発表をありがとうございます。  最初荒戸先生に、そして次に飯田先生、そして小澤先生の順番で御質問させていただきたいんですが。  まず、荒戸先生は、秋田大学のいわゆるマイニングですか、これ、たしか国内には二つしか大学がないと、いわゆる鉱物ですね、ということで、私も東北を担当しておりますので、大変貴重な先生だということを理解させていただきました上で質問していきたいんですが、先生のお話聞くと、現在使っているいわゆる化石燃料ですか、石油なりLNG、やっぱり必要だし、かつ今後も伸びていく上において、当然、技術革新も含めながらやっぱりそれは大事に使わなくちゃいけないと、そんな主張だったと思います。  そこで是非お伺いしたいのが、御存じのように、今エネルギーミックスという考え方がございますけれども、これ、どういうふうに評価されているかということをまず聞きたいのが一点です。  二つ目は、いわゆるこれから再エネ、変動ですね、変動エネルギー一つ活用するにはやはり蓄電池という、非常にこれは高コストという認識があるんですけど、特にリチウムとかマンガンとか、日本は鉱物がないわけでありますけれども、この蓄電池戦略というんでしょうか、やはり再エネ、恐らく飯田先生も何かお考えあるかと思うんですけど、これ、どれだけ下げなくちゃ、結論としては下げなくちゃいけないと思うんですけど、この蓄電池と併せたいわゆる鉱物、マイニングの資源確保、これ、どういうふうに柱を持っていけばいいのかというのが二点目であります。  じゃ、まず荒戸先生、その二点お願いいたします。
  30. 荒戸裕之

    参考人荒戸裕之君) 最初の御質問、エネルギーミックス、その中で石油天然ガスの果たす役割というのがいろいろの見方が恐らくありまして、三・一一の前は石油、まあ石炭ほどではなかったですけど、結構悪者でして、CO2出すしねと、環境も汚すねということを大分言われていて、そういう意味では、もうこの先、再生可能エネルギーの方に移っていくのかなということは気にしていたんですが、そのときに一つ忘れてはいけないのは、ここはエネルギーに関するお話をされていますので、ちょっと関係ないといえば関係ないですが、石油の場合は化学原料としての性格が一つありますよね。  日本が使っている石油の量の四分の一から三分の一くらいですか、このくらいは化学原料として、例えばペットボトルになっていたり化学繊維になっていたりするということで、それの重要性再生可能エネルギーとは切り離して考えないといけないわけですね。そのときに、一緒に、再生不可能エネルギープラス工業原料としての資源と、これを一緒に扱うんだというのが一つまず私の考えです。  それから、蓄電池云々に関しましては、実は私、専門じゃないので全く分からないんですが、私のところの学部にはそういうレアメタル、レアアースを専門としている教員もおりまして、今度はそういう教員を呼んでいただいて話を聞いていただければと思います。
  31. 若松謙維

    若松謙維君 ありがとうございます。  次に、飯田先生にお伺いしたいんですが、飯田先生はかなり強烈に再エネ、かつそれも低コストで、それに非常に日本はキャッチアップしていないということを強調されていたと思います。ですから、当然エネルギーミックスはかなり厳しい見解を持っていらっしゃるのかなと思うんですけれども、いわゆるこの再エネ主力電源化、現実にこれ進めると、先ほどの蓄電池とかいろんな設備とか、いっぱいあると。  そういう中で、やっぱり確かに諸外国の、この際、特にデンマークとかドイツとか、日本の再エネ導入遅れています、そういうことも含めてこの再エネ重視というお立場で、さっきのエネルギーミックスの御意見も含めて、何が足りないのか、そこ何を踏み切れないのか、そこら辺、ちょっと思いを語っていただければと思います。
  32. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) そうですね、先ほど最後、後半、駆け足で行ってしまったのですが、お手元二十六ページ目の各国の再エネ拡大の歴史と目標の中で、日本が非常に低迷している、特に固定価格買取り制度、二〇一一年、施行二〇一二年が入るまではほとんど遅々たるもので、その後、太陽光が進んだといってもまだこの程度なんですね。これを本当に大胆に増やさなきゃいけない。  政策とそれから様々な人材育成や規制とか、特に風力と太陽光にどこまで力点を置くのかということが、どこまでというか、力点を本当に置いて増やすための政策というのが非常に必要で、その一例を先ほど宮崎先生に申し上げたような農地、特に耕作放棄地を徹底的に活用するというのがまずやっぱり非常に必要なんですが、風力の場合は、台湾がたった数年でもう数ギガの洋上風力を造ったような、本当に大胆な施策というのが必要だろう。今、経産省も頑張って秋田の方の洋上風力とかやられていますが、全体として非常に中途半端な感じがあります。  やっぱりそういう意味では、この二〇三〇年のエネルギーミックス、実は太陽光はもうほとんど追い越しているのにまだ見直されていない。ただ、ほかのエネルギーは相当厳しいので、このバランスも見直して、今の、それから原子力も厳しいです、現実論から見て。そうすると、原子力はもっと減らし、再エネを増やすんだけれども、それは多分、太陽光の比率を相当増やし、風力も本当は増やしたいんだけれども、そのためには様々な施策が必要だと。  あと、資源論にちょっと戻りますと、一つだけ申し上げると、リチウムに関しては、大体、今、アルゴンヌ国際研究所が、大体四百万トンぐらい二〇五〇年ぐらいまでの採掘可能量があって、一番多いところは数千万トンぐらいあるだろうと。塩水湖から取れる部分と鉱山から取れる部分があるんですが、これから十年でもそのうちの一%ぐらいしか使わないだろうということで、リチウムの資源は相当心配はないと。  ただ、蓄電池に直結しなくても、先ほどの柔軟性という考え方に電力会社の送電の運用を百八十度発想を転換させれば、これはドイツのアゴラとか系統運用者が言っていますが、太陽光と風力という自然変動型電源を三〇%程度までは特段の問題なく受け入れられると。今、日本はただ、九州が一〇%、日本全体はまだ八%なんで、まだまだ余裕があります。その間に蓄電池とか様々な手段を取っていけばいいと。  先ほど、私、御紹介したオーストラリアの蓄電池がなぜ七十五億円をたった二年半で投資回収できるかは、これは、電力としてためる蓄電池ではなくて、電力は電力なんですが、周波数調整用なんですね。周波数調整というのは非常にコストが掛かるので、その代わり瞬時にできるので、ほかの天然ガスとか様々な周波数調整手段に係る燃料費とか瞬間的な価格の高騰を全部蓄電池がならしてしまうので、僅か一年で三十億円の節約効果があったということで、この周波数調整市場って日本にないんですね、そういったいわゆる電力市場も日本は非常に後れているので、様々なものをまだまだ、それこそ欧米からまだ学ばなきゃいけないというところはちょっと残念なんですが。  まずはキャッチアップして、それからまた日本が再エネ、先ほど先生にいただいたようなこういう構想、実現を是非向かっていければというふうに期待しております。
  33. 若松謙維

    若松謙維君 ありがとうございました。  ちょっともう時間ないんで……
  34. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 指名されてから御発言ください。
  35. 若松謙維

    若松謙維君 小澤先生、もう、ちょっと時間がないんで。スマートグリッド、私も北海道、翌日、行ってまいりました。特に、日本の大型発電で長距離で送配電するというこのリスクですか、これから災害多発時期ということでのスマートグリッド、大変重要なんで、あわせて、これから再エネ、主力電源になりますと、地産地消ということで、ますますスマートグリッドは重要になってくるし、IoTと活用すれば低コストになっていきますので、是非先生の活躍を期待して、質問時間がこれで終わりましたので、私は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  36. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 梅村聡君。
  37. 梅村聡

    ○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。  今日は、三人の参考人の先生方、貴重なお話をありがとうございました。  お一方ずつお伺いをしたいと思うんですが、まず、荒戸参考人に、今日は、従来型のプレイのお話と、それからタイトプレイの比較ということでお話をいただきました。  今日お話しいただいた中で、シェールオイルも含めて技術の問題と、それからコストに実際見合うかどうかでそれを商業ベースに乗せれるかというお話をいただきましたが、今日いただいたこの絵を見させていただきますと、ぱっと見た感じではいわゆる従来型の油田の周りにそういったタイトプレイというのが存在するのかなと、ちょっとこの絵だけを見るとそういうふうな感覚を得たんですけれども、そう考えると、そういうものを、例えば、今までもう既に開発した油田の近くを集中的に探すとか、あるいは日本の場合なんかも、今ある、産出している油田の近くも探していけば地質としては可能性があるのか、ちょっとその辺りの御所見をお伺いしたいんです。
  38. 荒戸裕之

    参考人荒戸裕之君) 周りを探す、おっしゃるとおりで、それは大原則であると思います。  アメリカのシェールオイルシェールガス、あれが見付かってきた理由は、元々知られていたんですね。そういうところのシェールというのは、要するに、非常に緻密な岩石なんですが、その中に油やガスがあるんだと、そこを掘り抜いたときに兆候は見付けているんです。だけど、それを取り出せなかったわけですね、昔の技術では。なので、それを新しい技術で取り出せるようにした。それはもう一つ重要なポイントがあって、何かというと、インフラが既にそこにあるということなんですね。その場所油田開発がもう既にされていた、在来型の油田開発されていた、そこに、そのそばに新たなタイトプレイが見付かったと。  ということで、周りを追っかけるということをやって、技術をそれに付け加えて、それで資源として使えるようにしたというのがアメリカのタイトプレイの歴史なんですね。これ、中国の奥地でいきなりタイトプレイができるかというと、これはかなり厳しい、要するにインフラがないからですね、という関係にあると思います。  日本の中を見ると、例えば、秋田県に八橋油田とか、今、あと由利原油ガス田とか、幾つも稼働している油田ガス田がありますが、それの根源岩になっている地層というのは、名前でいいますと女川層という名前の地層です。これがシェールなんです。ここの中に油兆、ガス兆があることは昔から知られています。  ですから、これにフラクチャリングをやって水平掘りをすれば出るんじゃないかということで、それは実際に石油会社がやっています。ただ、これは、なかなか実はアメリカと一緒の扱いにはならなくて、地質時代も違うし、たまった場所の環境もかなり違うんですね。だから、そこのところはもう少し研究余地があるというふうに思っています。  でも、日本にもそういう似たようなものがあるということはおっしゃるとおりで、周りを狙う、これは重要なことだと思います。
  39. 梅村聡

    ○梅村聡君 ありがとうございます。またこれから注目して見ていきたいと思います。  それでは、次に小澤参考人にお伺いしたいと思うんですが、今日お話をいただいた内容とはちょっとずれるかもしれないんですが、小澤参考人の著書を幾つか拝見しますと、防災のことを書かれておられます。  今、病院とか老人ホームも含めて非常用電源があるんですが、これ、ほとんど重油を使っていることが多くて、水害とかそういうときには一定役割を果たすんですが、東日本大震災とか、阪神大震災もそうなんですが、やっぱり道路が途絶えてしまうとほかの物資と同じで孤立化をしてしまうという中で、この非常用電源の重油というものがこれから先、何か別の可能性というか、リスクマネジメントとしてあるのかどうか、ちょっと御所見をお願いしたいと思います。
  40. 小澤守

    参考人小澤守君) 重油を使っているのは、ディーゼルエンジン、ディーゼル発電機ですね、それを使っているためであって、それぞれの場所にかなりしっかりしたオイルのタンクを置いてやれば長期間もつわけですが、消防法の関係もありまして余り大量に置けないと。だから、安全問題を考えるときに、いわゆる火災とかそういう消防的な問題の論点と、それから危機対応の問題とが必ずしもマッチした法体系になっていないんですね。そこのところが非常に大きな問題で、それをまず少し考え直して、災害多発時代にもちゃんとタフなシステムにしないといけないだろうと。  もう一つは、ディーゼル以外に何かあるかという話になると、バッテリーという線がないわけではないんですが、これはどうしても短時間になってしまう。大量に非常に大きなキャパシティーのバッテリーが開発できればいいんですが、それもなかなか難しいと。  それぞれの病院に最近新設すると必ず屋根にソーラーパネルを置いたりして自家発をするようなこともやっていますので、災害のときにうまくすれば使えるかもしれませんが、大規模な地震災害のときにそのソーラーパネルがやられてしまうということもないわけではないわけですね。この間のあの台風の、去年の台風のときにパネルがやられて、しかしパネルそのものは全体が壊れても発電はし続けますから、下手をすると漏電をして火災になるということも起こり得ます。  だから、安全から考えるとディーゼルが一番可能性が高くて、現状技術でですよ、現状技術で考えるとディーゼルエンジンを置いていく。そうすると、重油若しくは、まあ重油でなくても軽油、小型だと軽油になると思いますが、そういうものをそこそこ備蓄をして、あとは何とか燃料供給をするという話になると思うんですね。  現状で非常用電源のもたないといけない時間数というのが、基本的に決まっているのは大体最低限十時間ほどだったと思うんですが、それをやっぱり二、三日まで延ばせるようなまずルールを作らないと僕はいけないと思っています。十時間では、とてもじゃないけど短過ぎます。よろしいでしょうか。
  41. 梅村聡

    ○梅村聡君 一番最初におっしゃった、やっぱり法整備をもう一回考えることが大事かなと思っております。  それでは最後に、飯田参考人で。  ちょっと最後、お話が途切れたところがありまして、先ほど農地の規制ということがありましたが、農地以外にも恐らくいろいろ規制があって、私が知っているのでは、例えば、地熱発電と、昔、国立公園の話とか、防災林と風力発電とか、いろんな規制緩和というのが必要になってくると思うんですが、ちょっと日本と比較するのでいえば、ドイツがやはり再生可能エネルギー、非常に規制緩和も含めてやっておられると思うんですが、そういうものを含めて、ちょっとほかに規制緩和のテーマがもしあられましたら教えていただきたいんですが。
  42. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) 再生可能エネルギーと規制の関連で申し上げると、単純に規制緩和というよりも、いわゆる規制の合理化という視点が必要かなというふうに思います。  まず、農地に関して言うと、日本は農地だけは非常にがちがちの規制で、先ほどのいわゆる第一種若しくは農振地域というのは元々全く転用できないんだと。そういった中で、営農型太陽光発電と、あと一部風力発電を隅っこで使う部分だけは、そこだけ一時的な転用という、若干、それはそれで非常に成果を上げているんですが、非常にギミックというんですかね。そこはもうちょっと発想を変えて。  一方で、もう二種、三種は、農業委員会、管理が面倒くさいから、どんどんどんどん一般の雑種地とか原野に変えちゃうんですね。それは私、本末転倒じゃないかというふうに思っていて、というのは、農地は農地で、現状、実は明らかに農地じゃないところも、農地のところを守るか雑種地かという二分法で考えているんですが、いざ、いざ鎌倉というときに食料生産能力があるという、その能力を維持するというふうに発想を変えれば、例えば太陽光であれ風力であれ付けておいて、後で撤去できる形だけ取っておけば、農業を継続しなくても、本当に食料を自給しなきゃいけないというときには生産能力さえ維持していればいいんですが、それが普通の商業施設や道路や工場に変わったらもう何もできなくなっちゃうと。ちょっとそういう意味での農地管理という発想を変えた方がいいなと、再エネに関してはですね。かつ、再生可能エネルギーは農業資源だという発想にも是非変えてほしいと。  ほかの規制でいうと、風力発電だけがやっぱり環境アセスメントが非常に厳しいと。一方で、環境アセスメントは必要なんですが、そこのプロセスの合理化というか、一方で、地域の人たちが、その風力発電ができて景観が壊れる、音がうるさいというのもやっぱり心配だと。  そういう意味で、ちょっと今日、参考資料にデンマークの事例をお付けしたんですが、実は風力も太陽光も、日本の土地の本当僅かがあれば実は十分な資源量があるんですね。そのためには、自然環境と社会環境を最優先して、それでまず網掛けをした上で、残った場所で非常に素早く合理的に、しかも地域参加型でできるようにしないと、今は非常に不幸な、風力発電会社は好きなところに造ろうとして地域の方が反対をするという非常に不幸な関係なので、まず、地域が大事にする自然環境と社会環境をまず明確にした上で、あとはその残った場所でしっかり素早くできるようにするというような、そういう合理的なアプローチを是非御検討いただければというふうに思います。
  43. 梅村聡

    ○梅村聡君 終わります。
  44. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 山添拓君。
  45. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  参考人の皆さん、今日は大変ありがとうございました。  初めに、三人の皆さんにそれぞれ同じ質問で伺いたいと思います。  地球的規模での気候変動が極めて深刻です。二〇一五年のパリ協定では、世界の平均気温の上昇を産業革命の前と比較して二度より十分低く抑え、一・五度に抑制する努力目標を定め、そのために、二十一世紀の後半までに温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにするという方向を打ち出しました。  一・五度の上昇でも地球環境に深刻な影響が生じるとされております。しかし、現在、各国が提出している目標の合計では今世紀末に約三度の上昇が予測をされ、その結果は計り知れないものです。気候危機と言える事態は、資本主義の経済システムそのものの存亡を問う課題だと国際的には指摘をされておりますし、日本共産党も同じように考えています。  こうした中で、安倍政権は、実質排出ゼロの期限を示さず、また二十二基に上る石炭火力発電の新設計画を見直さず、成長戦略といって輸出まで進めるという、これはもう世界的には逆行と言うしかない姿勢を取っています。  そこで伺いたいのですが、日本エネルギー政策を気候変動抑制の国際的な目標に沿うものに改めるということは、これはもう必須だと思うんですけれども、いかがでしょうか。飯田参考人からはその旨御発言ありましたので、もし補足があればお願いをしたいと思います。順にお願いします。
  46. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) まず、荒戸参考人
  47. 荒戸裕之

    参考人荒戸裕之君) 世界のそういう流れと私の専門とちょっと微妙に分野が違うんですが、私たちの地球のシステムを科学として理解するというところがまず前提としてあるべきなんですね。  例えば、地球の温度、平均気温ですね、これって、地質時代ずっと遡っていくと、例えば、皆さん、子供たちが大好きな恐竜のいた時代というのは暖かかったというのは御存じですよね。それから、人類が出てくる少し前の時代に氷期、間氷期というのがあった。暖かい時代、寒い時代が繰り返していたと。地球にはそういう温度のサイクルというのがあるわけですね。それらの研究とそれの成果を踏まえることなくして、世界で温室効果ガスがどういうふうな影響を与えているかという議論にいきなり行くところに実は問題があるというふうに私は思っています。  実際に平均気温が上がっているというのはデータとしては出てきていますので、確かに気温は上がっているんだと思うんです。でも、それが例えば、今年の冬は雪が少ない、これは温暖化だと、これだからCO2減らさなきゃいけないと。これは非常に短絡的な発想で、むしろそこのところをちゃんとサイエンスとして突き詰めた上で世界の合意があるべきだと。ちょっと世界の合意を批判した形になりますが、そんなふうに思っております。
  48. 小澤守

    参考人小澤守君) CO2が今おっしゃったようにCOP21の中で主たるターゲットになっていますが、結局は地球上の気温の上昇には、CO2だけじゃなしに、水蒸気とかいろいろなものが関与しているわけですね。赤外線の吸収から考えると、CO2だとかそういうのよりも、水蒸気が物すごくよく吸収すると。太陽から入ってくるエネルギーの波長と地球から出ていくときのエネルギーの波長というのは全然違うわけですね、光のエネルギーと。いわゆる放射冷却はかなり波長の長い光で出ていきますから、それの長い年月における、先ほど荒戸先生がおっしゃったように、バランスの中で微妙にじわじわじわと動いているのが地球の温度であって、我々が平均と呼んでいるのは、何が平均なのかというのは非常に難しい問題があると思います。  だから、一方で人間が生活するために産業構造そのものも維持しないといけないし、片一方で余りCO2を出さないというのには、それはそれにこしたことはないんですが、どうやってそれを減らしていくかというのは非常に難しいと思います。  先ほど、石炭火力を海外にも輸出しようとしているというお話がありましたが、日本だけで減らさなくても、海外の例えば発展途上国の石炭火力の装置を最新鋭のものにすることによって全体としては減ることになるわけで、CO2は、日本だけが減らす、あるいはヨーロッパ諸国だけが減らすという問題じゃなしに、地球全体でバランスを取りながら減らすというのが一番最適な話で、その中で日本の立ち位置はどうあるべきかということを議論するべきなんじゃないかなというふうに思っています。よろしいでしょうか。
  49. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) まず、私が事前に配付させていただいた資料、私も共著者の一人で原発ゼロ・エネルギー転換戦略の、下のところに五十九ページという今日の資料の打ってあるところで、この政策を取れば二〇三〇年で五五%削減可能で、二〇五〇年には九〇%削減できるので、国際的な責任も果たせますよというのは一応出しておりますが、これも結局は政策と政治次第なわけですね。  科学論争というのは全てに関してあるわけで、進化論ですらありますし、地動説と天動説すらアメリカにはあったりするので科学論争はやっぱりやった方がいいと思うんですが、そうはいっても、世界のIPCCを始めとして査読付論文の圧倒的多数は、温暖化は人為起源だということがまず有力だということをやっぱり政治家としては踏まえておくということがまず大前提だと思います。  その上で、実は、このパリ協定がなぜ締結できたのかというのは、その六年前に遡る、ちょうど当時民主党政権が成立して、アメリカはオバマ政権、コペンハーゲンでCOP15というのがあったわけです。  COP15は、それまで非常に日本は後ろ向きだったのが、一応、二〇二〇年までにマイナス二五%という公約で当時の鳩山政権ができて、アメリカも、石油のブッシュ政権から、温暖化とそれからオバマケアをやるオバマ政権に替わって、世界の温暖化政治だけから見ると、温暖化政治上問題児と言われた日本とアメリカが前向きな政治に変わったので、コペンハーゲンでは大胆な合意ができるだろうと思ってみんなが乗り込んで、私も実は行ったんですが、大失敗に終わったと。  しかし、パリ協定は、もうレームダックしたオバマで、かつ日本は今現状と同じ政治で、中国の経済は圧倒的に大きくなり、政治的にはより難しい中でなぜパリ協定が合意できたのかというのは、実はこの再生可能エネルギー、特に太陽光と風力がもう一〇〇%という道のりがかなり見えてきたからなんですね。世界の認識が変わったからなんです。  だから、その前の年、二〇一四年から、もうそれこそアップルとかグーグルとかイケアとか世界的な大企業からRE一〇〇という、つまり、自然エネルギー一〇〇%で事業活動ができるんだという国際的な大企業のイニシアティブもあり、そして都市単位では、コペンハーゲンやソウルやバンクーバーとか都市のレベルでも再エネ一〇〇を目指そうと。それは、その五年前、コペンハーゲンのときにはリアリティーがなかったものが、二〇一五年にはリアリティーを持ったわけです。  それがまず大きな政治的な背景にあって、かつ、再エネをやればやるほど、今日、私、冒頭の最初の一枚目で御紹介したように、日本にとって経済的にも環境的にも社会的にもメリットがあるわけです。やればやるほどメリットがあるんです。  これをやらない国があるのかというと、実は日本が一番消極的だという非常に皮肉な現実があって、やはりこれは政治的に、まあいろんな問題はありますし、古い政策がなかなか変わらないという問題があるんですが、それを変えるのはやっぱり政治主導であるべきではないかというふうに思います。
  50. 山添拓

    ○山添拓君 ありがとうございます。  続けて、飯田参考人に伺いたいと思います。  福島原発事故で明らかになりましたように、原発が一たび事故を起こすと、その被害は空間的、時間的、そして社会的に制御できなくなるという、ほかの事故や災害とは違った異質の危険をもたらします。そのことが国民的に共有されたからこそ、今でも、どんな世論調査を行っても、再稼働反対が五割を超える状況です。私は、このことを抜きに日本エネルギー政策を考えることは、これは許されないと思います。  原発ゼロ基本法、そして再エネ推進法については、日本共産党も会派として共同提出をいたしました。ところが、この間、国会ではたなざらしで、審議入りすらしていない状況です。これ自体は国会の問題ですけれども、再稼働をやめ、原発ゼロへの道に進むのを阻んでいる最大の要因は、飯田参考人は何だとお考えでしょうか。
  51. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) ちょっと正しい答えは分かりませんが、やはり一つには、直接的には、やはり既存の原子力事業者、電力会社、それから国及び政治家の一部の方々の、やはり原子力でこれまで言わば飯を食ってきた人たちというか、それが直接的にはあるんだろうというふうに思います。  ただ、より奥深いところは、戦艦大和現象というか、やっぱり日本のエリート層の中に、もうこれまで信じてきたことを変えられない、現実を見ないという、まあ、旧海軍であれば、まさにもう航空戦の時代に入っていたのに戦艦大和を造って、しかも最後は沖縄に向かって自滅的な突進をさせてしまった。それと全く同じことが、もう完全に再エネの時代に変わっているのに、まだ政治も役所も、特に経産省も、そして電力会社も変わらないんですね。  そこが最大の、奥にある、何というか、神話というか、そこが最大の問題で、やはりそこを、それはでもなかなか、その人たちの神話をやっぱり変えるのはなかなか難しいので、新しい革袋に新しいものを作るということがやっぱり必要だと思います。
  52. 山添拓

    ○山添拓君 ありがとうございました。今後の参考にさせていただきたいと思います。
  53. 宮沢洋一

  54. 嘉田由紀子

    嘉田由紀子君 碧水の嘉田由紀子でございます。  お三方の皆様、ありがとうございます。  私が準備していた質問、既にもう皆さんが済んでいるので、十分しかありませんので、荒戸参考人には、まさに山添議員が質問なさったような、言わば脱炭素社会にどういう立場でいくのかということで既にお答えをいただきました。サイエンスとしてIPCCの、まあこの温度の、地球環境に問題があるんじゃないのかという御意見でした。それから、小澤参考人にも災害時のエネルギーの継続性というところで質問を準備していたんですが、ここも梅村議員が既に御質問なさっておられましたので、私はちょっと、十分しか時間がありませんので、この再生可能エネルギーをどういうふうに広めていくかということを、自治体の知事経験者の言わば経験を踏まえて質問を飯田参考人に集中させていただきたいと思います。  実は、二〇〇六年に私、滋賀県知事にならせていただいたときに、自分は環境とかあるいは地域の問題いろいろやっていたんですけど、とても認識不足だったなというのは、エネルギー政策はほとんど自治体は関われなかったんですね。当時のエネルギー基本計画、六十五ページほどあるんですけど、自治体のことを書いているのはたった半ページでした。その自治体の役割は、環境部局に太陽光を増やしなさいということで、滋賀県三千人ほど職員いるんですけれども、たった二人です、担当者は。それくらい言わばエネルギー政策に自治体が関わる余地がなかった。  そこで二〇一一年を迎えるわけですが、そのときに、私は改めて、今日、飯田参考人が、地域経済を見たときに、県の総生産の中で何割エネルギーが、そしてそれがどれだけ外へ出ているのか。滋賀県の場合には大体年間五兆円です。それの一割、五千億円が石油とそれから電気で外へ出ている。これを定着させるため、つまり地域経済を元気にさせるためには、ある意味ではドイツ方式の問題が必要であろうと。自治体を経営する側からいきますと、エネルギーは三つの原則がある。コストが安い、それから安定供給、それと環境保全、環境適応ですね、そういうことを考えると、もう原発の時代ではないだろうと。  石油はもちろん石油としていろいろかなりの分お願いをしていたんですけれども、ちょうど若狭の原発が、滋賀県、一番近いところ、十五キロです。もう福島の地元のようなところなので、福島並みの事故が起きたらもう琵琶湖が大変なことになるということで、県民の皆さんと話合いをしながら、新たな県としてのエネルギー方針を立てました。そのためには、先ほど言いましたように、県庁の中に専門家がいないんです。そして、知事として若いやる気のある職員を、一週間一緒にドイツに行きまして、そして二〇一二年にかなり現場を見てきて、で、作ってきたのが滋賀県のエネルギー基本計画ですけれども、そこでは、方針は、まず災害に強い、それから経済をきちんと回すことができる、地域経済、キロワットアワー・イズ・マネーなんだと。それから、人材育成というようなところで、二〇三〇年を目標に三割、再エネあるいは地産地消型のエネルギーに変えるということで方針を立て、今地道にやっております。  ただ、そこで課題が三つありますので、飯田参考人お願いしたいんですが、まず一つは、再生可能エネルギー供給する体制の中で、先ほどの土地利用計画とかあるいは環境保全との対応、ここ意外と難しいんですね。そして、森林を伐採して太陽光、地元の反対もあります。それから、風力の場合にはバードストライキングなどある。この土地利用計画との適合の問題。  それから二点目は、やはり農村が確かに経済豊かになる、エネルギーも農産物ですと。ただ、そのための具体的な地域での経済的なインセンティブを入れ込む仕組み。  それから三点目は、やはり人材です。本当に行政、県庁にも人材がなかなか育っていない、国だけがエネルギー政策をやってきたというところで、人材育成。  その三点について、ちょっと教えていただけたら有り難いです。
  55. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) まず、三点の御質問をいただいた中でまず共通する、最後の人材育成というか、その進展の中でちょっと御紹介したいのは、私、東京都とか福島県、それから横浜市とかいろんなところの自治体の政令指定都市、県庁レベルの、滋賀県にも何度かお邪魔しましたけれども、アドバイザーをした中で、今現時点で一番参考になるのは長野県ではないかというふうに思います。  長野県、二〇一〇年に今の現行の阿部知事が就任されたときに私もアドバイザーで入って、そのときは滋賀県よりもっと少ないたった一人の温暖化対策係しかいなくて、その後、現状は多分、環境エネルギー部になって、多分数十人の人がいらっしゃいますね。  地域経済がまさに文字どおりよく回る事例として当初私が提案して制度化されたのが、新しく住宅を建築若しくは改築、今日ちょっと省エネの方の話はできなかったのであれなんですが、するときに、その住宅に導入できる再エネ、太陽光とか太陽熱とかの選択肢を設計者とか工務店は必ず説明しなきゃいけないという説明義務。これ、実はドイツは導入義務なんですが、日本は導入義務にはできないので一応説明義務にしたことと、それから、どれだけのエネルギーを使うかを計算して表示しなきゃいけないんです、光熱費が一年間この住宅だと幾ら掛かると。そうすると、ちょっと安い住宅でも光熱費がむちゃくちゃ高いのに対して、ちょっと高い住宅でも光熱費がほとんどただ同然だと、もう数年で元が取れるというのが分かると。  それで、実は長野は今、断熱住宅の工務店が一番多い。建設も一番多くて、その工務店さんがもっと規制を厳しくしてくれというふうに今言われていますし、先ほどデカップリングという、経済の成長とエネルギーを切り離すのが先進国の特徴で、日本はそれができていないんですが、長野は県レベルで統計を取って、ちゃんとエネルギーを減らしながら経済が県レベルで進んでいるんです。その省エネ、住宅政策が非常に成功しているというふうに県の人も自慢をしています。  そういう意味で、政策をやって、それをフィードバックするという、まず県庁レベルの人材育成をちゃんとやられるのがまず一番良くて、もう一つの事例は、小水力発電って規制の塊なんですけれども、そうすると、県庁に行くと、あそこに行け次にここ行けということで、事業者はなかなか進まないと。長野県が取ったのは、その現場に関係部局の担当者全部集めてその場で規制の問題を解決させるという、縦割りを解決させるような政策もされていたというような形で、もちろん制度的に、政策的に全部縦割りを解消できるルールができたらいいんですが、まずは、できない間はそういう関係部局を全部集めるということをさせたとかですね。  それは、今の人材、農村、御質問いただいた三点全部私が回答できるかどうか分かりませんが、多分、そういった形でまずは政策担当者の人たちのレベルアップをすることによって解決できるんじゃないかというふうに思います。  土地利用は、本当にいろんな、日本とデンマークは一様には比較できないけれども、今日、三十六ページで、先ほど御質問に答えさせていただいたように、まずは社会環境と自然環境を優先したゾーニングを、これもやはり県庁の、実際には土地利用計画の権限は市町村に下りていることが多いんですが、まず県庁レベルでそういう自然環境と社会環境を全部網掛けしたマップを作って、その残ったところで太陽光や風力つくるんだよということを、例えば滋賀県なり長野県なりでそういう先行例をつくっていただくことによって、逆に残ったところで優遇するのは、例えば地域の参加型のものを優先してやりますよとか、何かそういうルールをやっぱりローカルルールとして作ることが、日本の場合はあとはそれを横に広げていくことに役立っていくんじゃないかというふうに思います。  ちょっと全てお答えできませんけれども。
  56. 嘉田由紀子

    嘉田由紀子君 ありがとうございます。  時間が過ぎておりますので。お三方、どうもありがとうございました。
  57. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  高野光二郎君。
  58. 高野光二郎

    高野光二郎君 自由民主党の高野光二郎と申します。よろしくお願いします。  まず、荒戸先生にお伺いさせていただきたいと思います。  私は高知県選出でございまして、去年の七月は高知県と徳島県、二県の代表として選出をいただきました。高知県というのは、非常に南海トラフ巨大地震に対してかなりの恐怖感を持っている県民性でございまして、様々なハード対策とソフト対策を充実してやっております。  その一方で、メタンハイドレート、これには非常に可能性というのか、期待がされておりまして、それによる当然その経済的な価値、例えばプラントの新しい設置であるとか、それによるインフラの整備であるとか、新たな雇用であるとか、様々なその波及効果が考えられておりまして、民間も盛んにいろんな研究をしているところでございます。  その一方で、平成三十年五月十五日の閣議決定の海洋基本計画では、平成三十年代後半には商業化が可能ではないかというふうなことが書かれているわけでございますが、これはちょっと実態と比べてどうなのか、そういった所感をひとつお伺いをしたいというのが一つでございます。  もう一つは、この探索とか掘削をすることによって、メタンハイドレートを掘削することによって南海トラフ巨大地震の発生のトリガーになる可能性がないのか、これはネガティブな考え方でございますが、それと、例えば地球温暖化に対して、あの氷の結晶を燃やしたらどういった悪い影響があるのか、そういったものも併せてお伺いさせてください。
  59. 荒戸裕之

    参考人荒戸裕之君) 南海トラフとメタンハイドレートというお題目だと思うんですが、メタンハイドレートに関して言えば、今研究としてやられて、かつ資源エネルギー庁が頑張って予算を付けてやってきたことというのは、どれだけのものがどこにあるかということを決めようとしている。これは、どこにあるかということが分かっても、取れるということを言っているわけじゃないんですね。取るための技術も、これもやらないといけないというので最近始めておられる。そこのところは、私のこれは個人的な意見だと思っていただきたいんですが、簡単じゃないと思います。  すなわち、あれ、温度、圧力の条件で低温高圧な場所安定なものなんですね。それを取り出すというのはなかなか大変、かつそれが地層の中に分散して分布していますので、そこに井戸を掘ったら簡単に取れるかというと、なかなかそうはいかないので、そこの技術をどうするか。それ次第で決まると思うんですが、平成三十年代後半というのは、私も生きているうちに是非見たいとは思いますけれども、難しいというのが実は私の個人的な意見です。  メタンハイドレートを探す方の関わりはあるんですが、開発する技術については直接関わっていませんので、そういう意味では素人的な意見で申し訳ないです。  それと、それの地震への影響、地震のトリガーになるかと、なる可能性は、危険性はないかという御質問だと思うんですが、なくはないと思います。  ただ、どっちがどっちかというのが実はありまして、地震が起きたからメタンハイドレートが分解して、それが更にトリガーになるということもあり得ます。メタンハイドレートというのは海底面の直下の比較的浅いところにありますので、深部の地震のトリガーになるということはなかなか考えにくいんですが、浅い地震ないしは海底の地すべりのトリガーになるということはあります。  海底の地すべりというのは、起きると一つの津波の危険性を伴っている。例えば、日高トラフに実際に地すべりの跡がありますが、これ、起きると、それが津波に、大きな津波を導くということが指摘されているんですね、その可能性がですね。歴史時代の津波、ずっとひもといていくと、巨大地震とリンクしていない津波というのが時々記録にあるんです。これは、地すべり津波ではないかとも言われる。危険性があるとすれば、メタンハイドレートを取ったことによって地震が起きるというよりは、そういう津波を招く危険はあるだろうと。そこのところは考えておく必要があると思います。  それから、最後に、もう一つおっしゃっていた温暖化について。  温暖化については、あれメタンなので、メタンの温室効果というのは相当なもので、CO2よりも多分強いものがある。ですから、あのまま分解して空中に放散しますと大変良くないんですが、できれば燃やした方がまだいいという意味ではあります。  それは、CO2の量に関して言えば、ほかの天然ガスなんかと同じと。要するに、再生可能エネルギーには悪者扱いされかねない部分だと思います。
  60. 高野光二郎

    高野光二郎君 お三人の先生方のお話を聞いていて大変参考になって、是非同じテーマでディベートしていただいて、どれが一番正しいのかなということを聞きたいというふうに思っているんですが。  飯田先生にお伺いさせていただきたいんですけど、私も自民党の再生可能エネルギー普及拡大議員連盟の事務局次長をやっておりまして、九電力会社と昨年、二十七回に分けて視察、意見交換をして、地域別に再生可能エネルギーを普及していくためにはどういったことが必要なのかということをしっかりと調査をして、官房長官に具体的な提言をさせていただいております。  一方で、地元でこの再生可能エネルギーの普及について関心が非常に強いのは、それをやろうとしている事業者と若しくはそれらを整える建設会社関係が非常に強くて、一般の住民がまだまだ、その再生可能エネルギーの普及に対しての意識がまだまだ追い付いていないのかな、やった方が私はいいと思うんです。  そういった状況の中で、先生は国民の再生可能エネルギー普及の意欲であるとかいったものがどの程度まで来ているのか、肌感覚踏まえて教えてください。
  61. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) そうですね、世論調査等を見る限りにおいては、基本的には、国民の大勢、まあ調査によって違いますけれども、本当に八割、九割の方々は特に再生可能エネルギーに関しては支持をしておられると。  ただ、一方で、細かく見ていくと、それこそまだ大きな、何というか、数量にはなっていませんが、声としては、やはり最初の、二〇一二年から施行された固定価格買取り制度の特に初期の三年、四年ぐらいの施行が非常にある意味ずさんというか、それは普及加速しようとした部分もあるんですが、ある意味誰でもどこでも登録できるという制度だったものですから、結果として、その様々な自然とか景観を害するような、しかも巨大プロジェクトなんかがもう日本中で勃発していて、それに対するネガティブな声というものが一方であって、そこが、結果論ですが、今から振り返るとやはり失敗であったなという部分は非常に残念なことですね。  やっぱりそこを、その問題をこれから解消しながら、やはり既に人の手の入った土地、とりわけ農地、それから屋根等、そういったものをしっかり活用して普及させつつ、それが一般の方々の目に見えるメリットになっていくという制度設計に改めてもう一回見直すことによって、まだ大宗としてはエネルギー再生可能エネルギーにしていくべきだという、この国民の声を具体的なメリットにつなげていくということが必要ではないかなというふうに思います。
  62. 高野光二郎

    高野光二郎君 もう一問よろしいですか。やめますか。
  63. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) もう時間ですね、そろそろ。
  64. 高野光二郎

    高野光二郎君 やめましょうか。じゃ、やめます。先生に聞きたかったんです。
  65. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) よろしいですか。
  66. 高野光二郎

    高野光二郎君 はい。
  67. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  塩村あやか君。
  68. 塩村あやか

    塩村あやか君 共同会派の塩村あやかでございます。各参考人皆様、本日は大変に貴重なお話をありがとうございました。  今日は、私からは再生可能エネルギーの主力電源化についてお伺いをしたいと思います。  現在、日本の再エネ比率は、二〇一八年度ですが一七%と、震災前の二〇一〇年度の九%からは約二倍へと増加して、二〇三〇年には二二から二四%へと引き上げるという目標にしています。一方、原子力の構成比率も再エネとほぼ同等の比率としているのは、飯田参考人もおっしゃっていましたが、原発回帰と言わざるを得ないなというふうに少し懸念をしているところです。  国際再生可能エネルギー機関、IRENAは、気候変動に対応するためには、二〇三〇年に再エネ全体で四五%のシナリオを発表しています。日本は、今お伝えしたように二二から二四%とかなり低いんですよね。  当委員会に招いた京都大学大学院特任教授の安田参考人が指摘をするように、技術立国あるいは環境立国の看板を掲げるのであれば、世界平均より更に高い数値を設定しなくてはリーディングカントリーとは言えないとおっしゃっていまして、私も同じだと思います。  そこで、各参考人皆様にお伺いをしたいと思います。  まず、再生可能エネルギーは、将来的に日本で主力電源となることができるかどうか。時間が大変限られておりますので、イエス、ノー、そして理由を手短にお伝えいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
  69. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) それじゃ、立場がはっきりしているから、まず、飯田参考人からお願いします。
  70. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) もちろん、できるかできないかをイエス、ノーで言えば、もちろんできます。  ただ、現実的にそれが達成可能かどうかというのは、もうまさに政治、政策次第ですので、今のままでは無理だというふうに思います。
  71. 小澤守

    参考人小澤守君) 飯田先生と同じでありまして、政策の問題だというふうに思うんですね、政策をうまく、どうやって誘導するかという。  ただ、それに至るまでのプロセスも同時に考えないといけないです。再生可能エネルギーを考えると同時に、従来の火力とかそういうエネルギーをどういうふうに持っていくのか、原子力をどうするのかという、全体的な政策決定をまずやらないといけない。  エネルギー基本計画は単なる看板でありまして、具体策はほとんど入っていないんですね。そこのところの道筋をどうするかと。大事な問題だと思います。
  72. 荒戸裕之

    参考人荒戸裕之君) 私も、飯田参考人小澤参考人とほぼ同じ気持ちなんですが、一つだけ申し上げておきたいのは、石油天然ガスというのはほかのエネルギー源と違ってかなり成熟したエネルギー源なんですね。残念ながら、いろんな失敗をやってきている。例えば光化学スモッグの原因になったとか、環境汚染をやっている、例えばタンカーで原油をまき散らしてしまったなどなど、失敗をさんざんやってきてそれを乗り越えてきているわけですね。  だから、これから再生可能エネルギーが大きなボリュームを担うときにどんな問題が出てくるかということには注意をした方がいいぞというのが先輩側の意見です。
  73. 塩村あやか

    塩村あやか君 ありがとうございます。あの……
  74. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 指名されてから御発言お願いします。
  75. 塩村あやか

    塩村あやか君 はい、済みません。  ありがとうございます。三人の先生方が、皆さん、イエスだけどノー、政治に原因があるということだというふうに私は受け止めました。  次に、技術革新について必要なことを飯田参考人にお伺いをしたいと思います。  原発は構成比率ももう既に低くて、いずれ全廃は不可能ではないと私は思っています。その際に、先ほど小澤参考人がおっしゃっていました、安定供給を考えながらちゃんと原発ゼロへの道筋、ロードマップを描くことが重要だというふうに私も思います。  まずは、日本の電源構成の八割程度を占める火力発電所の脱炭素化、特に石炭火力の高効率化やガス火力への転換等を進めるべきですが、ガス火力も化石燃料であり、一段の技術革新が求められていると思います。  先ほどお伝えしました前期の参議院、この調査会で昨年五月に、資源エネルギーに係る諸問題の解決のため、技術革新の実現に向けた研究開発の強化の必要性と、こう提言も取りまとめているんですね。私も、現在の資源エネルギーの問題を解決するためには、技術革新の実現が必須だと考えています。  その実現に向けてどのような取組が必要なのかお伺いしたいのと、先ほど戦艦大和シンドロームみたいなお話がありました。これまでの延長線上で物事を考えていては、イエスだけどノーみたいな話と同じで、前に進まないなというふうに感じているところです。再エネを、ベースロード電源といいますか、しっかりと位置付けていくためには、日本、特に政治という問題がありました。これ、何か断ち切っていかなければいけないと思っているんですけれども、もう一歩踏み込んで飯田参考人からお話を伺えればと思います。
  76. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) まず、技術革新というキーワードが実は落とし穴で、まず再生可能エネルギーに関していえば、これ、英語で言うと技術革新はいわゆるRアンドD、リサーチ・アンド・ディベロップメントとよく言われるんですが、なぜ太陽光と風力、そして、今となっては蓄電池がここまで安く現実的になってきたのかは、RアンドDはもちろん背景にはあるんですけれども、力を入れたのは、これはIEA、国際エネルギー機関やIRENAのレポートにもありますが、英語で言うとディプロイメント、普及させることなんです。  とにかく市場をつくって普及させれば、いわゆる巨大技術開発ではなくて、場合によってはちょっとした小さな工夫だったり改良だったり、それが世の中の企業、大学研究所で本当に小さなささやかな工夫がどんどんどんどん積み上がって言わば技術進歩していくので、いかにそのディプロイメント、いわゆる普及によって成熟させる環境をつくるのかということが重要で、そのために政策が、つまり市場形成と無駄な規制の排除、それから縦割りを乗り越えていく、その市場のバリアを、これ、市場原理主義ではなくて、市場をきちんと整えていくということが大事なんだと。固定価格買取り制度はそのための最大の強力なツールだったということが、まず一番目にあります。  それから、それは、もう一つは先ほどの、技術開発というと本当にハード技術をイメージしますが、例えば先ほどの電力市場は、日本は非常に特殊な遅れた技術になっていて、そういったものをちゃんと本当に、経済合理的で環境合理的なものが優先されるこれは制度設計と、それから本当にIT技術と情報、もういろんなものをミックスしたものなんですが、一昨年の北海道の停電、ブラックアウトも、もちろん様々な要因一つはこの電力のコントロールがきちんと完全にIT化されていなかった問題とか、そういうのもあります。やっぱりそういったことが非常にまだまだ電力会社の古い体制の中に、内側に閉じていますので、それをきちんとオープンな、オープンプラットフォームでヨーロッパやアメリカや最新技術レベル、技術水準にしていくということも必要で、それも何か内側で研究開発をするというものではないんではないかと。  そして、最後に、天然ガス石炭火力の高効率化だけを見ると、それはいいことかもしれませんが、一方で、これだけ速いスピードでこれからエネルギー転換が進む中で、例えば新たに天然ガス、新たに石炭火力を造るということ自身が巨大な座礁資産、いわゆる不良債権になっていく可能性があるわけなんですね。  そういったことも加味しながら、既存の天然ガス、既存の石炭火力が一番重要なのは、太陽光と風力の変動を柔軟に受け止めるような運転技術とか、これからの時代を見据えて本当に必要なテーマは何なのかということを見据えないと、何か全く新しい戦艦大和を造ってしまったのでは意味がないというふうに思っています。  以上です。
  77. 塩村あやか

    塩村あやか君 ありがとうございます。  先ほどコメントの中でも紹介をした安田参考人なんですけれども、安田参考人は昨年の調査会の中で、何が障壁となって導入が進まないのかというときに、技術的な問題ではなくて制度設計や市場設計が大きな障壁になっているということで、今日の話、皆さん、聞いても、やはり政治がしっかりと動いていけば再生可能エネルギーをしっかりと主要なところに位置付けられるというふうに分かりましたので、もう一問したかったんですけれども、時間になりましたので終わります。  ありがとうございました。
  78. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言ありませんか。  杉久武君。
  79. 杉久武

    ○杉久武君 公明党の杉久武でございます。  三名の参考人の先生方、本日は貴重な御意見をいただきまして大変にありがとうございます。  様々、私もお伺いしたいこと、既に皆さん御質問していただいたので、少し絞って質問をさせていただきたいというふうに思っております。  やはりエネルギーの問題については、安価で安定したエネルギーをしっかりやっぱり供給していくという大きな課題がある中で、再生可能エネルギー、太陽光や風力のやっぱりウエートを上げていかないといけないという方向性は誰もが考えているところだと思うんですが、やはり恐らく、今日お伺いしている参考人の先生方の中でもそのスピード感というか、そこは若干違いはあるのかなというふうに感じたところであります。  電力に焦点を当てますと、この需給のバランスをしっかり保つ、ここがやはり課題になってくると思います。太陽光、風力は供給量の、需要に合わせた供給調整が難しい電源という中で、これまでベースロード電源という形で火力や、また以前は原子力もそういった形で使われてきたわけですけれども、やはりこの再生可能エネルギーのウエートを上げていくには、やはりこの需給の調整をどういうふうに進めていくのかというところが一つ大きな課題になろうかと思いますが。  そういった観点で、需給の調整、特に電気の場合は、これが崩れるとブラックアウトという形で全く使えない状態に陥る、足りないという状態じゃなくて使えないという状態になってしまうわけですので、その点についての課題や克服の在り方の点について、小澤参考人飯田参考人にお伺いしたいと思います。
  80. 小澤守

    参考人小澤守君) 電力のバランスを取るというのは非常に難しい話で、だから、現在言われているようないわゆるスマートグリッド、分散化してスマートグリッドして、それを全体として別のループで大電力が、いわゆる電力会社がバランスを取るというような構造は実際には考えられますが、それで本当にうまく機能するのかという。個々にいわゆるスマートメーター入れたり調整したりするということは可能かもしれませんけど、全体としてどういうふうにするかというのは、かなり法整備とかいろんなものが必要なんじゃないかなというふうに思います。  それと、確かに、安定電源化させようとすると、単純に電気だけじゃなしに熱利用とかコジェネみたいなものも入れる必要がありますし、ただ、それが入れられるのはある程度人口が集まっているところでないといけないし、じゃ、田舎のかなりへき地のところはどうするのかというような問題とか、それもひっくるめて全体としてのバランス、電力のバランスだけじゃなしに、そういう地域のことも考えた上でのバランスの取り方というのが何かあるんかなというふうに思いますが、なかなか難しい問題だと思いますね。容易にはいかないと。  だから、当面は、大きなシステムの中に組み込みながら少しずつ少しずつというのでは、それしか仕方がないんじゃないかなと。飯田先生ほどドラスティックに私は物を考えませんので、機械屋ですので、着実に一つずつやらないといけないというふうに思っていますので。  そういう意味で、旧来の石炭火力なんかも、IGCCなんかを導入することによってCO2を減らすということも可能ですし、要は石炭のガス化なんですが、ガス化することによって、ガスだけじゃなしに、燃料だけじゃなしにいろんな使い方もまたできるようになりますし、それらもトータルに含めて考える必要があるように思うんですが。あと、産業構造そのものも変える必要がありますねと。よろしいでしょうか。
  81. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) 需給バランス、特に再エネ、とりわけ太陽光と風力というのは自然変動型電源というふうに、英語ではVREというふうに言われるわけですが、これをいわゆる送電系統の中に入れていく上では需給バランスが非常に重要だ、まさに御指摘のとおりで、これにつきましては、先ほど十九ページに私、図をお示ししたとおり、いわゆる、もう諸外国はフレキシビリティー、柔軟性というキーワードで電力の需給を見ていこうというふうにまずパラダイムを変えていますが、日本の電力会社がまだベースロードの頭なので、まずここを変えなきゃいけないというのが一点目です。  需給といっても、基本的には時間単位なわけですね。もう何秒単位、要は、東日本は五十サイクル・プラマイ二サイクル、西日本は六十サイクル・プラマイ二サイクルにどうやって調整していくのかというのを秒単位、それから分単位、時間単位、まあ一日単位はもう需給というかあれですけれども、それによって対応策が変わってくるわけですが、現状は今どうやっているかというと、瞬時の変動というのは、火力発電所が遊びがあるわけですね、ガバナーフリーというんですが、その遊びで調整をしていると。これはもう勝手にやっちゃうんです。さらに、LFCという、これもコンピューターの世界なんですが、数分単位までは火力発電で自動である程度出力を変動させると。  周波数というのは、最初に申し上げればよかったんですが、自転車と同じなんです、実質。自転車をこいでいる回転数が周波数で、坂道に、上り坂に達するというのは需要が増えるということなんですね。そうすると、同じ力でこいでいるとスピードが遅くなる、周波数が遅くなるので力を増す。逆に、下り坂になると、同じ力でこぐとどんどん速くなる、周波数速くなるので、回転、こぐ力を遅くするという形で、需要供給と坂道というのはそういう関係にあるので、これまでは発電側だけでやっていた、しかも、火力発電とあと揚水発電が主にやっていたということですね。  それに対して、今度、太陽光、風力が入ってくると、まず一番重要なのが気象予測なんです。御承知のとおり、気象予測ももうビッグデータとスーパーコンピューターの世界で、予測精度がどんどん上がっているんですね。  ドイツやデンマークはどうやっているかというと、二十四時間前、あしたの風力と太陽光の全国の発電量を予測するわけです。二十四時間前、十二時間前、六時間前、一時間前という形で、予測精度、時間が近づけば近づくほどどんどん精度が上がっていって、それでその太陽光、風力の出力に対してほかの調整力を今度対応させていくと。ほかの調整力は、先ほどあったような、天然ガスは非常にクイックですし、揚水発電は日本ほど余りないんですが、それから電力の輸出入もありますし、そもそも市場が、市場はもうどんどん切ったり入れたりできるので高い電源からどんどん、需要が少ないときは高い電源はどんどん切り離しますし、需要が大きくなったら高い電源も入れていくという形で、市場そのものが需給調整の役割を果たすと。  さらに、ベースロード、つまり原子力も、これはドイツもフランス、まあフランスは昔から有名ですが、ドイツも原子力は結構激しく動かします、太陽光と風力の変動に合わせてですね。という形で、ほかの手段、あと、更に今広がっているのが、いわゆるデマンドレスポンスと言われる需要側を変動させると。そのあらゆる手段の共通のキーワードはコストなんです。全体のコストをいかに下げるかということで、一番コストを安くするのは、太陽光と風力を最大限入れるのが一番安いということなんですね。  オーストラリアの先ほどの例は、その中に蓄電池が入って、最初のもう瞬時に行われる周波数変動は全部蓄電池が吸収できるようになったというのがオーストラリアの例ですし、それを温熱でカバーしているのがデンマークの例ということです。  以上です。
  82. 杉久武

    ○杉久武君 貴重な御意見ありがとうございました。  もう時間が来てしまいましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございます。
  83. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  矢田わか子君。
  84. 矢田わか子

    矢田わか子君 本日はありがとうございました。共同会派、矢田わか子と申します。  もうほとんど質問出尽くしていますので、一点に絞ってお伺いをしたいと思います。  経済産業省は、この我が国におけるエネルギーの政策、よく3EプラスSという表現をしております。今日のテーマは、特に安定供給ということがテーマですので、安定供給ということをこの前提に見た場合にどうしていくべきなのかという観点でお伺いをしたいと思います。  飯田参考人、特に今日のお話を聞いておりますと、大胆なというか、済みませんが、再生可能エネルギー供給割合ですね、二〇三〇年で四〇%以上、二〇五〇年で一〇〇%という目標を設定すべきという。日本も、当然のことながら、環境問題への対応とか国際的な観点から見ても、やはり発電部門において、おっしゃるとおり、脱化石燃料、脱原発に向けて努力はしていかなければいけないという、同じ立ち位置でございます。ただ、本当にそれが可能なのかという点が私はどうしてもお聞きしたい観点なんです。  私も長くそうした省エネ技術それから再エネ技術の現場を見てまいりまして、これ、達成しようと思うと、太陽光と風力が中心だというふうにおっしゃったんですが、バイオマス、小水力、いろんなものを抱き合わせてやったとしても、本当にその三〇年で四〇パー、五〇年一〇〇という数字が現実的なものなのかということが心配でなりません。  発電に関しては、本当に科学技術が飛躍的に進歩、ブレークスルーするとかそんなものを想定されているのかどうかということと、それから、蓄電技術、省エネ技術、私も現場で見てきましたけど、一生懸命技術開発者やっていますよ、各企業の努力でしっかりやっていますけれども、それだけの企業努力で本当に達成できるのかというふうに思えてならないわけであります。  この点は小澤参考人技術は人なりというふうにおっしゃっているとおり、一気にやはり開発というのは進まないので、徐々にやはり投資してきたことが花開いていくということで、これから先もしっかりと技術人材に対して投資をしていかなくてはいけないわけです。  ところが、今の現場を見ると、やはりいろいろ原子力に対するいわゆる悪評というのか、がある中で、現実的に企業では、技術者を採用しようにも、原子力に関わるようなこととかも含めて、もういいんじゃないかというふうな風潮もあるわけです。要は、確保ができない。  そんな中で、再エネを伸ばしていくということプラス原子力を終息させていくという技術、これも必要なわけですので、この辺り、現実的な、塩村さんも言ったロードマップを描く上で、見解をそれぞれからお伺いしたいと思います。小澤参考人からお願いいたします。
  85. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) どなた。
  86. 矢田わか子

    矢田わか子君 飯田参考人。済みません。
  87. 飯田哲也

    参考人飯田哲也君) 現実的かどうかというのは過去を振り返ればある程度分かるんですが、二〇〇〇年当時、私は実は固定価格買取り制度の法案のドラフトを作らせていただいたんですが、そのときに、多分、二〇二〇年、今日を見通して、太陽光と風力が原子力を追い越す日が来るとは私は当時思いもしませんでした。  何が現実的かということが大事なんですが、実は、今起きている世界全体の現実は、予想を超えるというか、想像を超えた現実が今起きているんです。今我々が現実的だろうと思うことをはるかに超えることが起きているということをまず認識していただいて、世界の趨勢、とりわけ普及が進んでいる中国やヨーロッパ、ドイツ、デンマークといった現実の趨勢に日本が追いかけれるのであればこれは極めて現実的ですし、ただ、今の政策のままやっていれば、二〇三〇年、二二から二四も私は無理だと思います。それはもう本当に、先ほどの質問に戻りますが、政策、政治の問題にまた立ち返ってくるんだろうというふうに思います。  明らかに日本は今世界の趨勢から遅れていて、かつては太陽光、世界最大の生産国、風力発電もかつて三菱重工、カリフォルニアに昔、八〇年代に大量に輸出していたときの、あれ、三菱重工、一九八〇年代で二百五十キロワット機というのはもう本当に世界最高技術だったんですね。それがもう今や風力発電会社は日本に一社もなく、こんな惨たんたる状況を生み出してしまったのは、もうエネルギー政策と産業政策の大失敗です。やっぱりそれを繰り返してはならないというふうに思います。
  88. 小澤守

    参考人小澤守君) 人材の問題が今御指摘のとおりで、一朝一夕にはなかなか集まらない。原子炉、最終的には非常に難しい問題で、高レベル廃棄物なんかを数万年にわたって管理しないといけないというのは、これはなかなかできる話ではないんで、そういう意味では原子力はそのうちやめていかないけない技術かもしれないんですが。  それと、その原子力分野に人が確保できないかどうかと。要するに、飯田先生は京大の原子核の出身ですけれども、原子核工学科あるいは原子力工学科がなくなっても、現実に原子炉の、原子力発電所の現場で働いているのは、工学でいうと化学工学科あるいは機械工学科の分野の人間が大部分でありまして、要するに、原発の要員として採用したいというと来ないかもしれませんけど、私の身の回りでも、関西だと関西電力にやっぱり就職したいという人間はいっぱいおるわけですから、それは余り心配しなくてもいい。  ただ、入ってきた人間をどう養成するかというのはなかなか難しい問題だというふうに思います。子供の教育と一緒で、テキスト並べて勉強しなさい言うたさかいって人が育つわけでは決してないんですね。やっぱり夢と希望のあるような、ある種のパラダイムみたいなのを見せるようにしないと技術屋さんはなかなか喜んで動かないという、そういう性質のところがありますから、やっぱりそういうのを見せてあげるという政策、それが一つのロードマップで、その結果、我々の生活が豊かになり、地球環境がよろしくなるんだというのが現実的に感じられるようなロードマップが必要なのかなというふうに思います。  一つだけ追加したいんですが、日本の例えば火力発電技術、物をつくるという意味では世界最高の技術を持っています。でも、例えば、ベンソンボイラー、フォスターウィラーのボイラーというのはいまだにライセンス料を払っているわけです。ベンソンはジーメンスに払っています。IHIなんかがやっているようなフォスターウィラーのボイラーというのは、アメリカのフォスターウィラーというボイラー会社に払っていると。あるいは、バブコックタイプとかですね。独自技術でライセンス料を払っていないのは三菱重工だけでありまして、ほとんどがライセンスを払っていると。同じことをやらないようにしないといけないと。  つまり、結果的に再エネを導入するにしても、新しい技術入りましたよ、IT技術入りましたよ、よその技術買いましょうかと。これ、今まで日本がずっとやってきたことですね。それが例えば、全く分野は違いますが、あの三菱の飛行機がなかなか着地しないのと同じことではないかという、自分たちで苦労してしんどい目をして、汗水垂らして技術開発をやらないといけないと。それは、日本、忘れているように思います。安直にやり過ぎてはろくなことがない。  以上です。
  89. 矢田わか子

    矢田わか子君 ありがとうございました。
  90. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 質疑も尽きないようでございますが、予定の時刻も近づいておりますので、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  参考人皆様に一言御礼を申し上げます。  皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十三分散会