○
参考人(
飯田哲也君)
環境エネルギー政策
研究所の所長の
飯田哲也と申します。本日は、お招きいただきまして、ありがとうございます。(
資料映写)
私の方からは、一枚めくっていただいた要旨に沿ってお話をさせていただきたいんですが、特に冒頭の、
エネルギーの急速な大転換が今進んでいる、これまでの十年、二十年がそうですし、これからもなお加速度的に進んでいると。実はこれに、政治家の皆さん、政策担当者、そして
専門家の皆さん、むしろ
専門家であるがゆえに付いていけていないという、その認識のずれが、非常にその対応が今後、
日本としても問われていると、そういう領域にあるんじゃないかというふうに思います。
一年前に、
日本国政府も重要なメンバーで入っておりますIRENA、国際
再生可能エネルギー機関ですが、「ア・ニュー・ワールド」と、これ、アイスランドの元首相を代表とする国際的な
研究チームで出版されたんですが、今、
日本語版も出ております。
もう
エネルギー地政学は、これまでは言ってしまえば
石油をめぐる国際政治であったと。でも、これが
再生可能エネルギーの
技術と市場をめぐる政治に大きく変わるというのが、一言で言うと、それが今大転換しつつあると。むしろ、下の赤い、下のグラフの、それこそ中東とかあるいはロシアのようなこれまでの
石油、ガスの輸出国は、今後市場が崩壊するので政治的な大混乱に見舞われると。まあ、むしろそれはそれで非常に大きな地政学的なリスクなんですが。
一方で、
日本、ヨーロッパ、アメリカ、中国、これは上のグラフですが、
再生可能エネルギーの特許の数イコール
技術のある国というふうに解釈をすると、これらは非常に優位な
立場にあると。ましてや
日本は、化石燃料の輸入で年間おおよそ、年によって違いますが、GDPの五%を言わば失っている、それを言わば取り返せるという
意味では非常に有利なポジションだということが指摘してあります。
これは昨年の九月にカーボントラッカーが出したレポートですが、これから十年単位で
世界の二百兆円
規模の化石燃料市場が大崩壊を起こす
可能性があるという指摘をしています。
このグラフ、若干解説しますと、青色で下がっている上のグラフがいわゆる太陽光発電の発電コスト、これは後で見ていきますが、これは初期費用プラス運転費用ですが、もう運転費用は実質ゼロです。その下の緑色のグラフは、今度、太陽光プラスバッテリーの発電コスト、これも初期費用プラス運転費用ですが、実質、運転費用ゼロです。ああ、逆ですね、上がプラスバッテリーで、下が太陽光です。
もう既に太陽光の新設及びいわゆる発電コストにならしたコストは、新たに
石炭火力を造るよりは安くなっている。これはもう
世界中のほとんどでそうなっている、
日本は若干まだ違うんですが。これからしばらくすると、既にある
石炭火力を動かすよりも太陽光を新たに造った方が安くなるというのがもう数年で来ると。その次に来るのは、太陽光プラスバッテリーのコストが新たに
石炭火力を造るよりも安くなる。そして、二〇三〇年代の前半には、既にある
石炭火力を動かすよりも太陽光プラスバッテリーの方が安くなると。もうこういう変化がこれから十年で起きるわけです。たった十年ですよ。そうすると、
世界の、まあこれ、
石油はもうそもそも発電には使えませんけれども、ガスそして
石炭といった発電市場というのはもう大崩壊を起こすと。
次のグラフ、これはリアル、実
データですが、最後の、去年の末の太陽光と風力はまだ国際的な正式なレポートは出ていないので私どもの
研究所の推計ですけれども、これを見ていただくと、原子力はほとんど、むしろこれから減っていくんですが、太陽光と風力がこの勢いで増えているわけです。
グラフをちょっと見ていただきますと、下に、二〇〇〇年という年は、これは、
日本に今導入されている固定価格買取り制度を、
最初に私が草案を作って、参議院法制局で審議していただいたのが二〇〇〇年です。その頃は太陽光と風力がこんなに大きくなるって誰も思っていなかったです。それが、三・一一の起きた二〇一一年、グラフちょっと当てていただくと、それでもまだ大したことなかったんです。
それがもう今や、二〇一五年に風力は原子力の設備容量を抜き、二〇一七年には太陽光が設備容量を抜き、もう今やどちらも倍以上の設備容量に、倍にはなっていないですね、一・五倍ぐらいの設備容量になり、しかもこの勢いで増えていくわけです。毎年毎年、風力は大体毎年五十五ギガワットぐらい、およそ五千五百万キロワット
世界全体で増えるのでほぼ
安定化しつつあるんですが、太陽光はおととしが百二ギガワットで、去年が百二十、今年は百四十という勢いで増え方が増えていっているわけです。これを何と言うかというと、皆さんが学生の頃に習われた指数関数的と、いわゆる倍々ゲームで増えるような勢いが増えていっています。
こちらも、IRENA、国際
再生可能エネルギー機関の展望では、二〇五〇年に風力と太陽光を、これは左側のグラフですが、これは電力だけの話、電力の八六%が
再生可能エネルギーで、そのほとんどを風力と太陽光だろうというのが、これは国際機関である
再生可能エネルギー機関、しかも
日本政府も入っているところが言っているんですが。
ドイツの
エネルギー・ウオッチ・グループとフィンランドのLUT
大学の、これは去年四月に出たレポートの
予測では、こちらは一次
エネルギーです。つまり、
エネルギー全体の、二〇五〇年には全てを再エネで賄うことができて、その七割は太陽光だと、二割は風力だと、あとはその他の再エネがちょぼちょぼと。二〇三〇年、あと十年でも
世界の一次
エネルギーの三二%を太陽光だけでも
供給できるだろうと、この勢いで伸びるとですねという、まあこれは
予測であり、ある
意味研究機関なので、そういう期待もあると思うんですが。
それを裏付けているのは、これはアメリカのラザードという金融機関、投資機関の非常に有名な、毎年毎年、各種
エネルギーのいわゆるコスト、コストといっても、
専門用語ではLCOEと言って、初期投資プラス運転コストをいわゆる発電コストに置き直したそういう指標なんですが、この十年間でなぜこんなに増えたかというと、風力はコストが七割落ちているんです。つまり、十分の三になっていると。太陽光に至っては九割落ちているんです。十分の一のコストになっている。それで終わりじゃなくて、まだまだこの先もコストが下がるわけです。
それを同じラザードのほかの
エネルギーも入れたグラフが八ページ目ですが、原子力は逆にどんどん上がっています。しかも、このグラフというのは、太陽光と風力だけは補助金のない裸のコストです。ところが、原子力や化石燃料は補助金の入ったコストなので、実は本当はもっと高いということです。
原子力はもうはっきり言って、私も実は元々、京都
大学の原子核工学を修士で出ておりまして、神戸製鋼で原子力、廃棄物の事業経験もやり、電力中央
研究所で原子力規制と電気事業連合会の仕事もやりましたが、私もそういう
意味では原子力、いろんな
分野を経験しましたが、もうはっきり
技術として未来はないと。というのは、このコストです。
これは九ページ目ですね。これは、アメリカとフランスで初期投資が、これは
横軸ですが、造れば造るほどどんどんどんどん、
縦軸は初期建設コストが、それぞれ対数グラフでうなぎ登り、コイの滝登りのように上がっていって、およそ市場の中でもう使い物にならないと。
このグラフって実は古くて、東芝がウエスチングハウスを買う前に公表されているので、本来、企業の経営者であればこんなことは見ておくべきなんですが、何を間違ったか、ウエスチングハウスを買収して、東芝はもうほぼ倒産のようなところまで行ってしまったと。
最近の例でいうと、下のところに書いていますが、フィンランドのオルキルオト三号機。二〇〇五年、これはもう国会を二分して、ほとんど数票差で造ることになってしまって、五年間で三十七億ユーロでできる予定が、まだ今になってもできていないと。もう砂漠の蜃気楼のように、毎年毎年運転開始は、つい最近出て、来年になりましたという。で、多分来年になると、また来年になりましたということになると思うんですが。建設コストが一応八十億ユーロなんですが、一説には百数十億ユーロ、つまり一兆数千億になっていると。たった一基ですよ、原発。
同じアレバが造り始めたフランスのフラマビルも、二〇〇七年に造り始めて、二〇一〇年に三十億ユーロでできると言っていたのが今になってもできておらず、つい最近これもニュースが出て、二〇二二年、コストは何と四倍以上、百三十億ユーロ。
イギリスのヒンクリーポイントCも、これも大もめにもめて一昨年着工しましたが、着工した時点で、完成時二〇二五年、二百二十億ユーロの発電コストが、今現在イギリスの沖合で造られている洋上風力より既に高いんですね。洋上風力、まだこの先も安くなりますが、原発のこれが、実際にヒンクリーポイントができる頃には、多分、二〇二五年と言っているので、実際できるのは二〇三〇年か、永遠にできないかもしれませんが、実際の発電コストは更に恐らく高くなるだろうということで、これはもうイギリス史上最大の愚かな投資だというふうにBBCが批判をしておりました。
これはアメリカの
データなんですが、既に原子力は、じゃ、せめて、ある原子力は動かした方がいいんじゃないかという議論があります。ところがもう、アメリカの事故を起こしていない、
日本のような追加投資をしていない原子力の運転コストが既に、新しく造る太陽光よりも高くなっているんです。ということは、原子力の再稼働に
日本のようにお金を掛けるのであれば、そのお金と時間を新たな再エネ、特に風力と太陽光に費やした方がはるかに時間とお金と人の
資源を節約できるということを
意味します。
それに加えて、蓄電池の話が先ほど
小澤先生からも出ましたが、私も蓄電池は、蓄電池はちょっと前まで、二、三年前まで消極的だったんですが、やはり
世界的な電気
自動車の投資の勢いで、これ実は太陽光と風力と全く一緒で、蓄電池も非常に速いスピードで、先ほど、風力は十年で十分の三、太陽光は十分の一、蓄電池は大体十分の二・五というか、四分の一のコストというスピードで下がってきています。
この三つは、原子力と全く違うのは、原子力は造れば造るほど高くなっていましたが、何が違うかというと、コストが安くなるメカニズムが違うわけです。つまり、皆さんが今お手元に持っているスマホであるとか、あるいはコンピューターであるとか、つまり小
規模分散型の
技術というのは、作れば作るほど
技術の言わば学習効果が進んで結果として安くなる、安くなるからますます普及し、普及するからまた
技術がどんどんどんどん洗練されていくという。十年前のスーパーコンピューターのチップに入っていた、それこそ、かつて二番じゃ駄目なのかという話がありましたが、その頃のチップは今の皆さんのスマホに入っているというぐらいの勢いで進化しているわけです。
これもアメリカの投資機関のグラフですが、大本のグラフはこういう感じで、下は化石燃料です。つまり、
天然ガスとか褐炭とか原油が、皆さんも御記憶の方もいらっしゃると思いますが、第一次
石油ショック、第二次
石油ショック、そして最近ではリーマン・ショックと、そういうイベントごとに化石燃料、特に
石油価格とそれと連動する
天然ガス価格は変動するわけですが、そこに空から隕石が降るように落ちてきている、これが何かというと、太陽光なんです。この勢いで下がってきているわけです、コストがですね。
この変化が何をもたらすかということをやっぱり、特に政治家の皆さんというのは正確にやっぱり考えられた方がいいと。これに私が書き足したのが、風力と蓄電池を書き足すとですよ、この三つはまさに、
地下から掘り出す
資源とか、まさにウランもそうなんですが、とは違って、人間の知恵と
技術と経験によってどんどん洗練されていく、しかも、ほぼ無限にある太陽
エネルギーを基本的に活用する
エネルギーなんですね。もう完全に
エネルギーのパラダイムが変わろうとしていると。
一昨年、国の
エネルギー基本計画でも
再生可能エネルギーの主力電源化という、これは、このキーワードは非常に私は高く評価しているんですが、主力電源化するのは何かというと、実は太陽光と風力なんです、今の勢いから見てもですね。しかも、太陽
エネルギーというのは一日分で、一日じゃない、一時間分で、一時間に降り注ぐ太陽
エネルギーで今
世界全体が使っている
エネルギーと同じ量が降り注いでおりますので、事実上、無尽蔵ですし、ほぼ無限。太陽がある限り無限ですし、何といっても放射能も出さない、二酸化
炭素も出さないと、大気汚染もしないと。やはり、しかも純国産、原子力のような準優勝の準ではなく、純粋な純国産
エネルギーですから、これを活用しない手はないと。ただ、ほかの、地熱が好きな方も多くて、あるいはバイオマスの好きな方、小水力の好きな方多いんですが、これは成長することないです。これはもうじわっと育てればいいと。大きく大別されたのはもうはっきりしています。
もう
一つ、これはもう三年前に出たレポートですが、
エネルギーに非常に密接なんですが、輸送が大胆に変わろうとしていると。つまり、電気
自動車が今急速に普及していますが、もう既にアメリカのテスラがトヨタに次ぐ
世界で二番目の株式時価総額に一気に成長してきましたが、これは電気
自動車だけじゃないんだと。同じペースでというか、もっと速いスピードで進化しているのが自動運転車です、これは経産省も取り組んでいますが。そして、もう
一つが、ライドシェアと言われる、まあスマホで呼べる白タクというか、私も
海外へ行くとウーバーとかリフトとか活用させていただいていますが。この三つが重なると移動のコストが十分の一、つまり車を買う時代が終わろうとしているということですね。これも十年単位で一気に変わるんじゃないかと。
そうすると、
石油市場は三割減で、まあ大変なことになるでしょうし、先ほど
小澤先生のプレゼンの
最初にあった
日本の
自動車、
日本だけではないですが、実はドイツもそうですし、アメリカのビッグスリーもそうなんですが、
自動車産業そのものも非常に今後大激変するかもしれない。あるいは、税収の在り方とか都市
計画の在り方とか大幅に変わる
可能性があるんですが、これ今日、本題じゃないので飛ばします。
日本は、たまたま三・一一、もうすぐ九周年を迎えますが、の日の当日に閣議決定が行われて、その日の午後に固定価格買取り制度が国会に送られることが決まり、その年の八月二十六日に参議院で可決をされて、固定価格買取り制度が成立をしたと。その結果として、大半、九五%は太陽光発電が普及し、ほかがじわじわと伸びていると。この太陽光発電、非常に伸びたことは良かったんですが、光と影があるということですね。
一つは、
日本の中で、先ほどありましたが、特に九州に太陽光が一番集中をしていると。実は先ほど、変化のスピードが速いので頭の中の考え方を変えなきゃいけないということに、もう
一つは、自然
エネルギーが不
安定とか
予測不可能だと、これはもうはっきり言って、そんなことが言われているのは
日本だけなんです。それは後でちょっと御紹介しますが。
九州はその中でも非常に多いと。それは、第一
段階、第二
段階、第三
段階、第四
段階と。つまり、太陽光と風力というのは、不
安定なのではなく、自然変動するんだと。自然変動する太陽光と風力を送電系統の中にどれだけ高い比率で入れるのかというのが
世界の今競争になっているわけですが、
日本は非常にまだ遅れている、第二
段階。九州は、ヨーロッパの大半の国と同じ黄色の第三
段階にようやく入ったところ。そして、後で御紹介しますが、デンマークと南オーストラリア、これはもう五〇%を実は超えています。このグラフはちょっと
データが二年前ので古いんですが、既に五〇%を超えて、第四
段階。その二つの国が何をやっているのかと。
九州は原発が特に四基再稼働していることもあって、太陽光の抑制をおととしの十月から始めました。確かに九州電力は頑張っています。まずは、昔は原発のために造った揚水発電で頑張って昼間の太陽光のピークを吸収して夕方放出していますし、関門連系線を使って送り出しているんですが、それでも、まだ
石炭火力いっぱい残っているのに太陽光を抑制しています。
下のグラフを見ていただくと、太陽光の抑制、去年の三、四、五とかなり頻発をしまして、玄海三号機が再稼働された瞬間に抑制がなくなって、また原発が再稼働されると抑制が始まるという非常に悲しい関係にあるわけですが、これドイツもそうですしフランスもそうなんですが、原子力よりも先に抑制して太陽光と風力を最後まで残す、これは経済合理性からなんです。メリットオーダーという市場用語があって、つまりランニングコストです。運転コストは、太陽光、風力、水力はただなんです。原子力はちょっと掛かるんです。だから、一番安い太陽光と風力を残すのが一番経済合理的なんです。しかも、放射能を出さない。最もメリットがあるんですが、
日本はなぜか逆にしていると。
そのパラダイムの変化を表したグラフがこの十九ページ目で、
左上がいわゆる古い、ベースロードと、これはもう完全に古い考えというふうに指摘されています。ベースロードというのはもう今や通用しないんだと。下のグラフが九州ですね。ベースロードの考えのまま、電力
需要を太陽光が上回ったから止めちゃえと、これが
日本の、まだ今やっている。でも、発想の転換して、それ上下ひっくり返したらいいじゃないかと。今までベースロードとして頑張っていたものが、逆にもうちょっと柔軟に変動を吸収してくれればいいじゃないかというような考え方が最後の右下のいわゆる柔軟性という考え方で、こういうふうにちょうどパラダイムが変わったわけですね。
その柔軟性の
一つとして、オーストラリア、これは、北海道、先ほどブラックアウトの話が出ましたが、その二年前、二〇一六年の九月に、同じ九月にブラックアウトが起きました。これは、暴風雨によって送電線がなぎ倒されてブラックアウトが起きたんですが、その対応として、これだけじゃないんですが、幾つかやったうちの、
世界最大のビッグバッテリーというのを造りました。百メガワット、百二十九メガワットのビッグバッテリーをテスラが半年で造って、実はこれによって、
一つはおととしの、これが建設した後、二〇一八年八月に、あわや停電というときにこの蓄電池が一瞬にして周波数変動を吸収したので、やっぱり停電防止に効果があったということが立証されたのと、何といっても、七十五億円投資して年三十億円節約できたので、二年半で投資回収ができるということを立証したので、今、オーストラリアはこのビッグバッテリー、投資ブームになっていて、しかもここは五一%の既に風力と太陽光を入れて、来年中には七〇%、そして二〇二五年には風力と太陽光で一〇〇%にするとこの南オーストラリア州は言っています。
もう
一つは、先ほど熱の話も出たので、デンマークです。
デンマークは、実は風力と。実はデンマークも別に偏西風で一番なだらかではあるんですが、下のグラフを見ていただくと灰色なんですが、これ、
横軸一か月で、一目盛り一日です。
やっぱり風力は、まさに風任せと言われるとおり、変動します。
需要の倍ぐらい出るときもあれば、ゼロの日もあると。でも、それを、デンマーク全土に広がる地域熱
供給の熱源であるコージェネレーションがそれに相殺する形で運転されて、しかも、それでもなお余る風力発電は、上のグラフの緑ですが、お湯に変えて地域熱
供給熱源として、つまりCO2フリーの風力で作られた熱として
供給されると。これなんかまさに、北海道なんかはどんぴしゃのインフラですね。
今、デンマークが何をやろうとしているかというと、もう北海からのガスは、化石燃料由来のガスはやめて、バイオガスを十倍増させて、しかもそのバイオガスに含まれる二酸化
炭素を再エネ、風力から作る
水素でメタンにして、つまりバイオガスと風力ガスにして、今の化石ガスを全てCO2フリーのメタンにするという構想が今デンマークでは始まっていると。それをセクターカップリングというふうに言います。
つまり、風力と太陽光はもう主力電源は決まっているわけですが、安く、限りなく安くなる風力と太陽光の恩恵を、給湯と暖房それから輸送は、電力はそうですし、メタンにすればディーゼルとかも動かせますし、さらに今、グリーンガスを使った製鉄なんかもスウェーデンとかドイツで実証が始まっていますし、それからアンモニアを作って農業に活用するとかという形で、この風力と太陽光をいかにますます安くしながら拡大していくのかというのが非常に重要で、そういう
意味でグリーン
水素と、これは去年、東京で開かれたグリーン
水素の国際会議で、先生方も出られた方もいらっしゃるかもしれませんが、その方向に今、方向性としては動いていると。
そして、あと、何といっても重要なのは、地域にとって再エネが非常に大きなメリットがあると。これ、環境省のレポートになりますが、
日本、国全体も
エネルギーの使用によってGDPを五%失っていますが、地域でいうと五%から最大二〇%ぐらい、
エネルギーを使うことで地域のGDP、グロス・リージョナル・プロダクトというふうな、GRPといいますが、を失っているわけですね。これを地産地消していくと、まさに地域の経済にとっても雇用にとっても非常に大きなメリットがあるので、これを活性化するというのが非常に重要で。
パリ協定、
日本も調印していますが、先進国に求められているのは、この急角度で今後二酸化
炭素を減らせということで、もう先進国は
石炭火力を造るどころか早期閉鎖に、あの中国ですら、ですらと言うと失礼ですが、もう閉鎖の方向に走っていると。
やはりそれをしっかりやらなきゃいけないんですが、
日本は再エネ普及、非常に遅れている上に目標値が非常に少ない。かつ、しかも、
日本は、一九九〇年時点では
石炭火力少なかったんですね。先進国では唯一
石炭火力を増やした国、今やドイツに次いで二番目に大きい。なおかつ、まだ増やそうとしていると。結果として、二酸化
炭素削減に先進国の中ではアメリカと並んで失敗した国ということで非常に大きな批判を、先日もあのCOPで化石賞を何度も受賞して……