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大門実紀史君 この新しい
仲介業が始まって、こういうターゲティングも含めていろんなことが広がるわけですよね。車と違って、車買いませんかと違って、
金融商品はいろんな被害があって縛りが掛かっておりますので、そういう
関係でやっぱりきちっと考えておかなきゃいけないんではないかと思います。
この新しい
仲介業がやっていく上で、もう
一つ、ターゲティング広告とともに信用スコア、この問題が、もちろん、この新しい
仲介業者だけじゃありませんが、
金融全体の問題でもありますけど、信用スコアの活用というのが大変広がってくるだろうと思われます。
信用スコアというのは個人の信用に点数を付ける話で、年齢、性別、学歴、年収とか、さらにはスマホで何を、あるいはパソコンで何を閲覧したか、閲覧履歴、何を買ったか、購買履歴、位置
情報、行動軌跡、そこまでこれから、もう中国ではやっていますけど、そこまでビッグデータでやってAIで分析して、その人に点数を付けるというようなことですね。要するに、AIが人間を点数化するというようなことになるわけであります。
「幸福な監視国家・中国」というNHK出版新書が出て、大変私興味深く読んだんですけど、最先端、この点では、いい
方向じゃないですけど、悪い
方向での最先端はやっぱり中国だと思うんですけど、この信用スコアがどんなことになっているかというのをこのNHKの新書では興味深く書いてございます。
一番の中国の信用スコアのモデル都市は山東省の栄成市、栄える成る、栄成市というところなんですけど、ここはもう交通違反とかごみを捨てただけで、監視カメラが見ていますからすぐ捕まります。それが信用スコアに反映されるんですね、その人の。で、マイナス点になるわけですね。ただ
罰金払うんじゃなくて、その人間のスコアになるわけでございます。公務員だったら、態度悪いと通報されて、それが本人のスコアがまた減点になるということですね。逆に言うと、信用スコアが高いと融資が受けられやすいとか、限度額が上がるとか、あるいは市の
サービスが受けやすくなる、補助金が早くもらえる、たくさんもらえるというふうに、そういう社会ですね。
ですから、市民はみんないつも自分の信用スコアを上げておかなきゃいけないということに駆られて、その分いい
サービスを受けられるというのもあるんでしょうけど、絶えず自分の信用スコア、点数を気にして、ボランティア活動も、冬は雪かきのボランティア活動に自ら出たら点数上がると。本来のボランティアのためじゃなくて、点数を上げるためにそういうことをやるというふうな社会になっておりまして、また、いい結婚相手見付けたければスコアを上げると。もっと進んで、もうAIに結婚相手を探してもらうと、AIに気に入られるような人間になっていくというようなところまで、まあ息苦しいですね、見事な監視社会ですけど、そこまでつながるのがこの信用スコアなんですね。
そういうことも本当に考えて、この新しい、イノベーション、イノベーションと言いますけど、どんな社会になるかということも本当に分析してこういう法案も提案されているのか、多分分析されていないというふうに思いますけど、そういうことまでちゃんと考え抜かなきゃいけないというふうに思います。
そういう点で、具体的な話で資料をお配りしましたけど、今大きな問題になっているのはヤフーとLINEの統合の問題ですね、今、公取案件になっておりますけれど。このヤフーとLINEの、これ、もちろん、巨大IT
企業の結合ですから独禁法上のいろいろな問題あるんですけれど、書いていますとおり、公取委にとっては初の大型案件というようなことありますが、これ信用スコアの面から見るとすごいことになっております。このヤフーもLINEもヤフースコアというのとLINEスコアをやっておりまして、この二つの巨大グループが一緒になると個人データがどうなってしまうんだろうということがあります。
この点に関わっては、二枚目に、公取が、さすがだなと思いますけれど、新しいこのITの時代に応じた
審査のポイントを出されました。去年の十二月ですね、デジタル経済の時代に
対応するために独禁法上の運用指針というのを改定されました。
要するに、いろいろ書いていますが、その信用スコアのことでいいますと、こういうIT大
企業が合併したり買収するときの判断に公取が見るのは、単に市場の独占度だけではなくて、このデジタル
サービスの特徴を踏まえた競争を分析するということを出されております。その特徴の
一つがネットワーク
効果だというふうに書かれております。ネットワーク
効果というのは、
顧客が増えれば増えるほどネットワークの価値が高まると、その
情報の精度が高まって、さらにその
情報、精度を
求めてまたお客が来ると、ヤフーにしろLINEにしろですね、そういうネットワーク
効果のことですが、これをやっぱり物差しにする必要があると、そのネットワーク
効果の面で市場にどういう独占的な影響を与えるかということを見る必要があるという、大変すばらしい、公取のちゃんと先を見た指針が出たわけであります。
今回、ネットワーク
効果としか書いていませんが、私が申し上げたいのは、信用スコアも、今申し上げた信用スコアも、こんな大手が
一つになりますと信用スコアも精度が高まると、精度が高まっていくということがありますので、これは公取に確認したいんですけど、この信用スコアという点、面もこのネットワーク
効果としてカウントして、この市場独占とか市場の競争を阻害するかしないかという物差しとしてネットワーク
効果ということがあれば、この信用スコア問題も
一つのその材料になるのではないかと思いますが、公取の
見解を
お願いしたいと思います。