○足立敏之君 ありがとうございました。重要な
道路ですので、よろしくお願いしたいと
思います。
次に、
球磨川の洪水
被害についての御
質問に参ります。
今回、
熊本県南部を流れる直轄
河川球磨川では、これまでに経験したことのないような洪水に見舞われました。
お手元の資料四の方に、人吉市内の商店街、温泉街の
被害状況をお示しをしております。人吉市の
中心街の九日町商店街というところを
馬場先生も御一緒に
視察させていただきましたけれども、特に
中心街の
被災は著しくて、建物は二階まで
被害を受けておりました。その
被害の甚大さにとても驚いたところであります。
また、資料四の右下のところにありますが、
球磨川沿いの温泉街も
被災しておりまして、老舗の温泉旅館ですけれども、水圧で川に面した側の窓ガラスが割れて内部に洪水が浸入して、泥、
土砂が大変たくさん堆積している、そんなような深刻な
状況も見て取れました。
また、次のページですけれども、青井阿蘇神社という国宝の神社が人吉市内にありますけれども、この神社は楼門とか拝殿まで
浸水したというのは、江戸時代、寛文九年、一六六九年、あるいは正徳二年、一七一二年、その大洪水以来のことだそうで、明治以来つかったことのなかった楼門だとか拝殿がつかるような大洪水、まさに歴史的な大洪水を今回迎えたというふうに言えると
思います。
さらに、下流の渓谷の区間になりますが、その次のページ、資料六でございますけれども、渓谷の中を谷いっぱい水が流れるというような
状況になりまして、
道路面から三、四メーター、場合によっては五メーターぐらいまで流水が達するなど、深刻な
被害が発生しています。
こういうようなその深刻な
被害を見ていますと、元々
計画されていた川辺川ダムというのがありますけれども、これがあれば
被害をもう少し軽減できたのではないかというふうに強く感じられます。
ここで、川辺川ダムについて御存じのない
委員もおられると
思いますので、私の方から簡単に説明をさせていただきます。少しお時間をいただければと
思います。
川辺川ダム建設事業なんですけれども、昭和四十年七月、資料の七の方にございます、昭和四十年七月の
球磨川の大出水を踏まえて
計画されたもので、昭和四十二年に実施
計画調査、そして昭和四十四年に建設事業に着手されています。
実は水没家屋が五百四十九世帯と大変多くて用地交渉が難航しましたが、平成二年に地権者と補償基準を妥結して、現時点では九九%の地権者が既にここにあります頭地代替地という高台に
整備された代替地に移転をして移転済みになっています。また、付け替え
道路も九割ほど既に完成していて、既に切替えも終わっております。また、本体工事のための、川の水を切り替える、仮排水トンネルとも言いますけれども、これも既にもう平成十一年に完成している、そんな
状況ですが、平成の初頭に
全国的にダムの反対運動が広がりまして、川辺川ダムについても反対運動が活発化したところであります。
実は、平成十九年の五月に、川辺川ダムを前提とする
河川整備基本
方針が当時の
熊本県知事の了解もいただいて策定をされています。実はその際の本省の
河川計画課長として取りまとめを行っていたのが私でございまして、このプロジェクトには強い
思いがあります。
そのときの基本的な考え方としては、
球磨川本川と
支川の川辺川の合流点にある人吉盆地には洪水が集まりやすい。下流が渓谷となっていて狭窄部となっておるので、
浸水被害が発生しやすい
状況にある。さらに、
球磨川本川には市房ダムというダムがありますが、規模が小さくて洪水調節効果が小さい。したがいまして、八千四百万トンという洪水調節容量を擁する川辺川ダムがこの流域の洪水防御のために不可欠というふうに考えていたところであります。今申しました川辺川ダムの八千四百万トンというのは、
皆さん御承知の八ツ場ダムの六千五百万トンの約一・三倍ということで、効果は非常に大きいというようなことでございます。
しかし、その後、
球磨川の流域内で最も川辺川ダムの受益を受ける人吉市だとか、ダムサイトの相良村などがダムへの反対を表明しました。それを受けまして、平成二十年九月に現知事の蒲島知事が
計画を白紙撤回し、ダムによらない治水
対策を追求するという発言をされ、検討に入ることになりました。
平成二十一年九月の政権交代を受けまして、前原元国土交通
大臣が、ダム本体工事は中止、
生活再建対策は継続との
方針を発表され、今日に至っているところであります。法的には何も問題がなかったプロジェクトが
大臣の一存で中止されるというのは、我が国ではこれまでなかったことだというふうに
思います。その影響で今回の水害が起こったとすると、これは大変なことだというふうに
思います。
同じ時期に中止された八ツ場ダムでございますけれども、流域の都県知事の反対を受けまして再度検証を行って、その結果、事業継続となりまして、昨年十月に完成して、台風十九号の
大雨で利根川の流域が洪水に見舞われた際に大きな効果を発揮したのは
皆さんの御記憶にあるところだと
思います。
球磨川につきまして、今回の
豪雨によりまして激甚な
浸水被害が発生していますが、今後、更に地球温暖化などで水害が激甚化することを考えますと、今後、
被害の大きかった人吉市だとか
球磨川沿いの町の再生と併せて、ダムを含め、川辺川ダムを含め、抜本的な治水
対策を改めて検討すべきと考えますが、
水管理・
国土保全局長の
見解を伺います。