○木村英子君 れいわ新選組の木村英子です。会派を代表いたしまして
質問いたします。
本日は、体調のため、肺活量が少ないために、秘書に代読をしていただきます。
本日は、特定
車両停留施設の設置に当たってPFIのコンセッション方式を
導入している点について、障害当事者の観点から
質問したいと
思います。
コンセッション方式は、PFIの
一つとして公共施設の運営権を
民間事業者に設定するものですが、
内閣府のホームページによれば、
民間の資金、経営能力、技術的能力を
活用することにより、国や
地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ
効果的に公共
サービスを提供できる
事業についてPFI手法で実施しますとあります。また、PFIの
導入により、国や
地方公共団体の
事業コストの削減、より質の高い公共
サービスの提供を目指しますと記載があり、効率性やコストの削減の面が強調されています。
しかし、海外の事例では、PFIの
導入によりむしろコストが増加したり
サービスの低下を招いているものがあり、イギリスでは一部再公営化していると聞いています。
障害者の
人たちにとって、PFIの
導入により
民間事業者への運営管理を委託することによる
影響は、
社会の中でまだまだ障害者への理解が広まっていない現状において差別が助長してしまうのではないかという懸念があります。また、旅客特定
車両停留施設はバスという公共交通の基点となるものですから、国が
民間に管理運営を任せることで、障害者が交通機関を利用する際に必要な合理的配慮や
サービスが低下し、障害者が安心して利用することができなくなってしまいます。
また、今国会で
改正されたバリアフリー法には心のバリアフリーが設けられ、新たなスタートを切ったばかりであり、障害者への理解や差別的取扱いは道半ばであり、いまだ改善に至っていませんし、障害者が外へ出たときに差別を受けて、交通機関や公共施設などで利用を断られることが日常的に起こっています。
差別的取扱いの事例を幾つか
お話しします。
二〇一三年に、ある公民館のホールを利用する際に、車椅子を使用する障害者に対して健常者には付さない条件を付けて公民館のホールの使用を制限させられました。
この公民館の貸しホールは、舞台の床や座席の転換ができる方式になっており、その
作業に一時間半掛かるそうですが、車椅子を使用する障害者の
人たちが公民館のホールを利用する際に、舞台の転換
作業に時間が掛かるので時間外の転換をお願いしたところ、予約している時間の中でしか
作業ができないということで、利用開始からの一時間半と片付けの一時間半、合わせて三時間
作業が掛かると言われました。
午後一時から五時までの利用に際して三時間も転換
作業に取られたら一時間しか舞台を利用することができず、公民館に抗議しました。そのときに、公民館の職員にホールの運営管理は
民間の
事業者がやっているので公民館としては口が出せないと言われ、ほかの市民が使っていない曜日や、利用料が掛かるけど転換に時間が掛かるので午前と午後の二こま取ってくれと言われ、利用者の利便性ではなく、
事業者の都合を押し付ける始末でした。このことは、何度も市役所や公民館と話し合い、現在は改善しています。
次に、
資料一を御覧ください。コンセッションの事例ではありませんが、指定管理者
制度によって公益財団法人が管理していた熱海市の青少年教育施設において、聴覚障害者の宿泊が拒否されたという事件が二〇一八年にありました。
聴覚障害者は火災報知機が聞こえないから
災害時に安全を
確保できないという理由で宿泊を拒否したとありますが、火災報知機が聞こえなくても代替できる手段は考えられ、合理的配慮が十分に可能だった事案と
思いますが、管理者は安易に宿泊を拒否しており、これは明らかに差別だと言えます。
この聴覚障害者の宿泊拒否の事件では、熱海市の指導が入り、受入れ体制を整えたとのことですが、このような差別的取扱いを受けたという障害者の相談が多い中、多くの障害者が泣き寝入りしている
状況だと
思います。
今
お話ししたように、公共施設を
民間に委託した場合、障害者に対する理解が不足しているために、差別的取扱いや合理的配慮に欠ける
事業者がいて困っているというのが障害者の現状です。そんな障害者の現状において公共施設の運営を
民間に任せた場合に、効率性や利益性ばかりを追求することによって障害者に対する合理的配慮の促進が遅れ、ますます障害者が
社会から切り離されてしまうおそれがあります。
PFIのコンセッション方式を
導入するに当たっては、差別解消法にのっとり、障害を理由に差別的取扱いをされないように心のバリアフリーを促進するための具体的な政策が確実に保障されなければ基本的には反対の立場です。
今回の
道路法改正により、旅客特定
車両停留施設の運営権を
民間事業者に設定した場合であっても、心のバリアフリーの推進を図るためにも職員研修としてバリアフリー教室の実施を義務付け、当事者しか分からない合理的配慮の提起などの当事者参画を重視した上での相談窓口の設置や、見守りを含めた介助等の人員配置などの体制
整備を行政が指導監督するよう当然責任を持っていただきたいと
思いますが、いかがでしょうか。
また、運営権を持った
民間事業者に対しても、行政の責任と同じ、管理運営に際しての義務と責任を負っていただきたいのですが、そのための具体的な方法を示していただけますでしょうか。