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2020-03-05 第201回国会 参議院 国土交通委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
令和
二年三月五日(木曜日) 午後零時八分開会 ─────────────
委員
の
異動
一月三十日
辞任
補欠選任
加田
裕之
君
末松
信介
君
柳ヶ瀬裕文
君
室井
邦彦
君 二月六日
辞任
補欠選任
増子
輝彦
君
舟山
康江
君 三月四日
辞任
補欠選任
金子原二郎
君
三木
亨君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
田名部匡代
君 理 事
朝日健太郎
君
酒井
庸行
君
舟山
康江
君
伊藤
孝江君
武田
良介君 委 員 足立 敏之君
青木
一彦
君 岩本
剛人君
清水 真人君
末松
信介
君
鶴保
庸介君 豊田 俊郎君
三木
亨君
和田
政宗
君 小沢
雅仁
君 長浜 博行君 野田 国義君 浜口 誠君 森屋 隆君 里見 隆治君 宮崎 勝君
室井
邦彦
君 上田 清司君
国務大臣
国土交通大臣
赤羽
一嘉
君 副
大臣
国土交通
副
大臣
青木
一彦
君
国土交通
副
大臣
御法川信英
君
大臣政務官
国土交通大臣政
務官
門 博文君
国土交通大臣政
務官
佐々木 紀君
国土交通大臣政
務官
和田
政宗
君
事務局側
常任委員会専門
員 林 浩之君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
理事補欠選任
の件 ○
国土
の
整備
、
交通政策
の
推進等
に関する
調査
(
国土交通行政
の
基本施策
に関する件) (
派遣委員
の
報告
) ─────────────
田名部匡代
1
○
委員長
(
田名部匡代
君) ただいまから
国土交通委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 昨日までに、
柳ヶ瀬裕文
さん、
加田裕之
さん、
増子輝彦
さん及び
金子原二郎
さんが
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
室井邦彦
さん、
末松信介
さん、
舟山康江
さん及び
三木亨
さんが
選任
されました。 ─────────────
田名部匡代
2
○
委員長
(
田名部匡代
君)
理事
の
補欠選任
についてお諮りいたします。
委員
の
異動
に伴い現在
理事
が一名欠員となっておりますので、その
補欠選任
を行いたいと存じます。
理事
の
選任
につきましては、先例により、
委員長
の指名に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
田名部匡代
3
○
委員長
(
田名部匡代
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、
理事
に
舟山康江
さんを指名いたします。 ─────────────
田名部匡代
4
○
委員長
(
田名部匡代
君)
国土
の
整備
、
交通政策
の
推進等
に関する
調査
を議題といたします。
国土交通行政
の
基本施策
について、
国土交通大臣
から
所信
を聴取いたします。
赤羽国土交通大臣
。
赤羽一嘉
5
○
国務大臣
(
赤羽一嘉
君) おはようございます。
通常国会
もどうかよろしくお願いいたします。 それでは、
国土交通行政
につきまして、私の所信を申し上げさせていただきます。 初めに、
新型コロナウイルス対策
について申し上げます。 まず、今般の
新型コロナウイルス
によりお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、直接的、間接的に
被害
を受けられた全ての
皆様
に心よりお見舞い申し上げます。 また、一連の
対策
に御協力をいただきました
交通
・
宿泊事業者
や地元の
皆様
に心から御礼を申し上げます。
国土交通省
では、空港、港湾における
水際対策
、
交通事業者
、
観光関連事業者
における
従業員
の
感染予防対策
、
テレワーク
、
時差出勤
の呼びかけによる
通勤混雑
の緩和、企業の申出に応じた
公共工事等
の工期の延長、許認可や免許、資格の
特例的取扱い
などの措置を講じております。 加えて、大きな打撃を受けている
観光関連産業
につきましては、
全国
の
地方運輸局等
に
特別相談窓口
を設置し、プッシュ型で
被害状況
や
要望事項
をお伺いしつつ、
セーフティーネット貸付制度
、
保証制度
の
要件緩和
などによる資金繰りの
支援
や、
雇用調整助成金制度
の
要件緩和
などによる雇用の維持に取り組んでまいります。 今後も、
関係省庁
などと緊密に連携を図りつつ、
感染拡大
の
防止
を徹底するとともに、
風評被害
の
発生防止
に全力を挙げて取り組みます。 そして、
状況
が落ち着き次第、
反転攻勢
に転じ、国内外から多くの
観光客
に日本の各地を訪れていただくことができるよう、現場の
皆様方
のニーズにしっかりと耳を傾けた上で、効果的な
支援策
を講じてまいります。 昨年も、
令和元年房総半島台風
や
令和元年東日本台風
など、相次ぐ大規模な
自然災害
により、
全国各地
で甚大な
被害
が発生をいたしました。 犠牲となられた
皆様
に謹んで哀悼の意を表します。また、
被害
に遭われた全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
国土交通省
としましては、
被災者
の
皆様
の目線に立ち、
改良復旧
を積極的に活用しながら、早期の
復旧復興
に全力で取り組んでまいります。 また、
地方管理道路
の国による
権限代行
の拡充など、実情に応じた
制度
の見直しも進めます。
東日本大震災
などで被災した
地域
の
復興
にも、引き続き全力で取り組んでまいります。 続いて、重点的に取り組む四本の柱について、申し上げさせていただきます。
一つ目
は、
防災
・
減災
が主流となる安全、安心な
社会づくり
です。 国民の命と
暮らし
を守ることは、
国土交通省
の最大の使命です。 二十五年前の一月十七日、午前五時四十六分。夜明け前の静寂を突然襲った恐怖の揺れ、耳をつんざく家具の
破壊音
、助けを求める悲痛な叫び、燃え尽き
瓦れき
の山となった神戸の町並み。 私は阪神・
淡路大震災
で、自ら被災し、以来二十五年、一日も早い
復旧復興
、そして
生活再建
に全身全霊を傾けてまいりました。この体験から、
現場主義
が私の一貫した信条となりました。 私は、昨年、
大臣就任
直後から、延べ二十一道県の台風、地震などの
被災地
に足を運び、
皆様
の声に耳を傾け、甚大な
被害
を目の当たりにしてまいりました。
我が国
は、
気候変動
の影響で大雨の
発生頻度
の増加が予測されており、
災害
の更なる
激甚化
、
頻発化
が懸念される
状況
です。 こうした中、まずは三か年
緊急対策
や今般の
経済対策
による緊急に講ずるべき
対策
を着実に推進いたします。 加えて、国民の命と
暮らし
を守るためには、
令和
三年度以降も含め、今般の
災害
の教訓を踏まえた抜本的な
防災
・
減災
、
国土強靱化対策
の
強化
が必要です。 本年一月、私を
本部長
として、
国土交通省
の全部局が連携し、総力を挙げて取り組む
防災
・
減災対策本部
を設置いたしました。「いのちとくらしをまもる
防災減災
」をスローガンに、
分野別
の
取組
に横串を刺しながら、国民の視点に立った抜本的、総合的な
対策
を今年夏頃までに取りまとめ、
防災
・
減災
が主流となる安全、安心な社会の実現に全力で取り組んでまいります。 今般の
災害
でも、八
ツ場ダム
や
狩野川放水路
などの
社会資本
が
被害
を大きく軽減し、
事前防災
の
重要性
が再認識されました。
治水計画
を過去の
降雨実績
から将来の予測に基づくものに転換するとともに、流域全体を見据えたダム、堤防の
整備
、
強化
などを進めます。
令和元年東日本台風
により甚大な
被害
が発生した信濃川、阿武隈川など七水系では、ハード、
ソフト一体
となった
緊急治水対策プロジェクト
に着手します。 また、大
規模地震等
も視野に、岸壁の
強化
、道路の無
電柱化
、
高速道路
の四
車線化
、道の駅の
防災機能強化
、
住宅
、宅地の
耐震化
などを推進いたします。
ソフト面
の
対策
も重要です。
大雨特別警報解除
後の
洪水情報
の発信など、住民の
皆様
への
情報提供
の
在り方
を更に改善するとともに、
実効性
のあるマイ・
タイムライン
などの
避難体制づくり
を進め、
住民相互
の自助、共助の
取組
を促します。 さらに、
まちづくり面
での
対策
を
強化
いたします。
災害危険エリア
における開発の抑制や
住宅
の移転の促進など、
防災
に重点を置いた
コンパクトシティー
の
取組
を加速いたします。
既存インフラ
の
老朽化
が加速度的に進行する中、適切な
維持管理
により、
機能
をしっかりと
確保
する
取組
も重要です。不具合が生じてからの
事後保全
から、計画的に
事前対策
を講ずる
予防保全
への転換を早急に実現するとともに、
維持管理
の分野でも、新技術の活用を積極的に進めます。 こうした
取組
により、
維持管理
・
更新費
の縮減や
平準化
を図りながら、長く、大切に
インフラ
を活用いたします。
災害対応体制
の
強化
も重要です。
令和
二年度の
予算案
では、
災害
が頻発する中で、役割や
地域
の期待が増している
地方整備局
について、平成十三年の発足以降初めて、対前年度比百一名の純増となりました。また、
宮城南部復興事務所
、
久慈川緊急治水対策河川事務所
などの
事務所
、出張所を新設することとなりました。 こうした定員などを最大限活用しながら、
地方整備局
などのテックフォースや気象庁、海上保安庁について、体制、
機能
の
拡充強化
を進めます。
中国公船
の
尖閣諸島周辺海域
での
領海侵入
や大和堆
周辺海域
における
北朝鮮漁船
の
違法操業
、
木造船
の漂流、漂着、大量の覚醒剤の密輸など、厳しさを増す
我が国周辺海域
の
状況
を踏まえ、
海上保安体制
を
強化
し、平和で豊かな海を守ります。
二つ目
は、
観光
による
地方創生
です。 昨年秋の
ラグビーワールドカップ大会
では、世界中のファンが各地を訪問し、
地域
の方々との新たな交流が生まれました。 昨年十月に私が議長となって
北海道
で開催したG20
観光大臣会合
では、
観光
の価値を世界で共有し、
地域
の魅力を世界に発信いたしました。
観光
は成長の柱、
地方創生
の切り札です。
外国人旅行者
の拡大は、
地域
に新たな消費や雇用、
地域主体
の
取組
を生み出します。
多言語対応
の
整備
や、夜間、早朝も楽しめる
環境づくり
、雪や城といった
地域資源
の活用などにより、
外国人
の誘客を一層推進いたします。 また、
高速道路
や
公共交通機関
などによる
アクセス
の向上を図ります。 昨年頻発した
自然災害
、近年の
日韓関係
、今般の
新型コロナウイルス
などにより、
観光
を取り巻く
状況
は厳しいと言わざるを得ません。 こうした中、
風評被害
の
防止
、払拭や
観光関連産業
への
支援
などの
対策
を万全に講じつつ、
東京オリンピック
・
パラリンピック
を好機として誘客を進めてまいります。
国際競争力
の高い
MICE施設
の
整備
や
滞在型観光
の促進、
国内各地
の
魅力発信
を目的とする
特定複合観光施設区域
、IRの
整備促進
も含め、
訪日外国人旅行者
数二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人を目指し、政府、
官民一丸
で取り組んでまいります。
東京オリンピック
・
パラリンピック
まで、いよいよあと半年を切りました。円滑な開催に向け、
首都圏空港
の
機能強化
、輸送の
円滑化
、テロや
セキュリティー対策
、
感染症対策
、
災害対策
などに万全を期してまいります。 なお、羽田空港の新
飛行経路
の運用に向けては、様々な騒音、
落下物対策
を講じるとともに、引き続き、
関係自治体
、住民の方々への丁寧な
情報提供
を行うことにより、地元の理解が深まるよう努めてまいります。 大会が開催される本年を、大会のレガシーとなる真の
共生社会
の実現に力強く前進する
歴史的転換
の年にしなければなりません。
公共交通機関
や
建築物
の
バリアフリー化
を着実に進めるとともに、心の
バリアフリー
に関する施策などの
ソフト対策
を
強化
いたします。 また、
車椅子用フリースペース
の
確保
など、
新幹線
の
バリアフリー対策
を抜本的に見直す検討を進めます。 昨年焼失した
首里城
につきましては、地元や有識者の方々の御意見を伺いながら、復元に向けた
取組
を進めます。 本年三月には、
那覇空港
の二本目の
滑走路
が供用を開始いたします。飛躍の
可能性
に満ちる
沖縄
の
観光振興
に、一層注力してまいります。 今年四月には、
北海道白老
町にウポポイが開業いたします。
アイヌ文化
を積極的に発信し、
年間来場者
数百万人を目指します。
三つ目
の柱は、安全、安心な
移動環境
の
整備
です。 昨年、私は、お子様が犠牲となられた
事故
の御遺族や、
高齢運転者
の
事故
による
犠牲者
の御遺族の
皆様
とお会いいたしました。その無念と苦しみを胸に刻み、
交通事故
の撲滅と
被害者
の救済に全力を尽くしてまいります。
事故防止対策
として、
令和
三年十一月からは、世界に先駆けて、
歩行者
も検知する
衝突被害軽減ブレーキ
を新車に義務付けいたします。加えて、サポカーの
普及加速化
や
通学路
の
安全確保
、
高速道路
の逆走
対策
などを進めます。
被害者救済対策
として、重度の
後遺障害
を負った
事故
の
被害者
のための
療護施設
の拡充などに取り組んでまいります。
高齢者
が自らの運転に頼らずに移動できる
環境整備
も重要です。
地方公共団体
を中心に、
路線バス
、タクシーに加え、
自家用有償旅客運送
やスクールバスなど、
地域
の
輸送資源
も総動員しながら、持続可能な
地域公共交通
を実現するための
制度
を
整備
いたします。 また、
MaaS等
の新たなモビリティーサービスや
自動運転等
の活用を推進いたします。 JR
北海道
の
経営改善
も引き続き進めてまいります。 相次ぐパイロットの
飲酒事案
など、
公共交通機関
への信頼を脅かす事態に関する
原因究明
と
再発防止
を徹底しつつ、更なる輸送の安全の
確保
に取り組みます。 ド
ローン
については、飛行の安全を
確保
するための
登録制度
を創設するとともに、ド
ローン
の飛行に対する空港の
対応力
を
強化
いたします。
四つ目
の柱は、持続可能な
地域社会
と
経済成長
の実現です。
人口減少
・超
高齢化社会
を迎える中、
生産性
の向上や一億総
活躍社会
の実現を通じて、持続可能な
地域社会
や
経済成長
を実現することが重要です。居心地が良く歩きたくなる町中やにぎわいある
道路空間づくり
、
交通結節点バスタ
の
全国展開
などを推進し、魅力ある
まちづくり
を進めます。 また、新技術を積極的に活用し、
スマートシティー
の
取組
や
自動運転
を補助する
施設
の
整備
を推進するとともに、登録を受けた
特殊車両
が即時に通行できる
制度
を創設いたします。 住まいにつきましては、マンションの
管理
の
適正化
や再生の
円滑化
を進めるとともに、
既存住宅流通市場
の
活性化
を図ります。また、
賃貸住宅
の適正な
管理
を
確保
するため、
賃貸住宅管理業
の
登録制度
を創設し、
サブリース契約
の
適正化
を進めます。 離島、半島、
豪雪地帯
における
生活環境
の
整備
なども進めてまいります。
所有者不明土地等
が増加し、
防災
上の重大な支障となるなどの喫緊の
課題
に対応するため、適正な土地の利用、
管理
を
確保
する施策の推進や、その前提となる
地籍調査
の
円滑化
、
迅速化
を図ります。
高速道路
、
国際戦略港湾
、
リニア中央新幹線
や
整備新幹線
など、
ストック効果
の高い
社会資本整備
を重点的、戦略的に推進いたします。 世界の旺盛な
インフラ需要
を取り込むべく、
トップセールス
などにより、
インフラシステム
の
海外展開
を進めます。
国土交通分野
におきましても、新技術の活用などにより
生産性向上
を目指すi―Constructionなどの
取組
や担い手の
確保
が極めて重要です。
所轄業界
における働き方改革を一層推進するとともに、
建設業
につきましては
建設キャリアアップシステム
による
処遇改善
、
自動車運送事業
につきましては荷主との
取引環境
の
適正化
などの施策を推進してまいります。 また、
建設業
、
造船業
、
宿泊業
などの分野で、
特定技能
の
在留資格
を活用した
外国人材
の
受入れ
を適切に進めます。 以上、
国土交通行政
の基本的な所信を申し述べさせていただきました。これらの
重要政策
を確実に推進するための
関連法案
を今国会に提出し、御審議をお願いしたいと思います。
委員長
、
委員各位
の
皆様
の格別の御指導をよろしくお願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。 ありがとうございました。
田名部匡代
6
○
委員長
(
田名部匡代
君) 以上で
所信
の聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
速記
を止めてください。 〔
速記中止
〕
田名部匡代
7
○
委員長
(
田名部匡代
君)
速記
を起こしてください。 ─────────────
田名部匡代
8
○
委員長
(
田名部匡代
君) 次に、先般本
委員会
が行いました
委員派遣
につきまして、
派遣委員
の
報告
を聴取いたします。
舟山康江
さん。
舟山康江
9
○
舟山康江
君
委員派遣
について御報告申し上げます。 去る二月十九日、二十日の二日間、
国土
の
整備
、
交通政策
の
推進等
に関する
実情調査
のため、
沖縄
県を訪問いたしました。
派遣委員
は、
田名部委員長
、
酒井理事
、
朝日理事
、
伊藤理事
、
武田理事
、
室井委員
及び私、
舟山
の七名であります。 以下、
調査
の概略を御報告いたします。 初日は、まず、
那覇海上保安部
に赴き、停泊中の
PLH型巡視船
「おきなわ」を視察しました。船内では、第十一
管区海上保安部
に係る
尖閣諸島周辺海域
を含む広大な
担任水域
における
領海警備体制
や
救難活動
への
対応等
の
主要業務
などについて
説明
を聴取いたしました。視察当日は、四隻の大型の
中国公船
が
尖閣諸島沖
の
接続水域
を航行するなど緊迫した情勢でありましたが、冷静かつ毅然として対応していくとのことでありました。 また、
操舵装置
、遠隔監視採
証装置等
の
航行用機器
や
映像伝送装置等
の
通信システム
、
機関砲
など、
領海警備
や
海難救助
の現場で実際に使用されている装備を視察いたしました。 昭和五十八年に就役した同船は、さびが目立つなど
老朽化
の進行がうかがわれました。業務の合間に自ら
ペンキ塗り
などの補修を行っていると、こんなお話も伺いました。
耐用年数
を経過している観点からも、船体の更新の
必要性等
を実感したところであります。 次に、
那覇空港
において、同
空港
の
利用状況
や
就航路線
、三月二十六日に
供用開始予定
の第二
滑走路増設事業等
について
説明
を受けた後、
当該滑走路
を視察いたしました。 現在の
那覇空港
は、
乗降客数
及び
発着回数
が年々増加しており、また、
航空自衛隊那覇基地
と共用しているため、
自衛隊機
も頻繁に離発着することから、
混雑度
は極めて深刻な
状況
になっているとのことでありました。第二
滑走路
の
供用開始
により
処理容量
が飛躍的に向上し、増大する
インバウンド等
への対応が期待されるとのことでありました。 その後、
国際線ターミナル
における
CIQ施設
及び昨年三月に供用を開始した
国際線
・国内線間を結ぶ
連絡ターミナル施設
を視察いたしました。
新型コロナウイルス感染症
の
水際対策
を講じている旨の
説明
がありましたが、視察中、各
施設
ではふだんより
旅行客
が少ないと感じました。
旅行自粛
の動きが長期化した場合の
観光関連産業等
への影響が懸念されます。 次いで、
沖縄都市モノレール株式会社
において、同社の概要、ゆい
レール
の現状と
課題等
について
説明
を聴取いたしました。 同社は、専ら
自動車交通
に依存した
那覇都市圏
の
交通渋滞
を緩和し、健全な
都市機能
の
維持発展
を図るため、平成十五年の開業以来、
県内唯一
の
軌道系公共交通機関
であるゆい
レール
を運行しております。昨年十月には、
浦添区間
を延長して
沖縄自動車道
との接続が実現しました。これにより、
沖縄本島
中
北部地域
から
那覇市内
への移動時間が大幅に短縮されるなど、
定時性
の高い
公共交通ネットワーク
の拡大が図られたところであります。今後は、
輸送力強化
や
利用客
の
利便性向上
を目指し、三両
編成化
や
全国
の
ICカード
の導入に向けた
取組
を推進していくとのことでありました。 続いて、
延伸区間
のてだこ
浦西駅
に移動し、
周辺
の
土地区画整理事業等
の
説明
を聴取した後、
首里
駅までゆい
レール
に乗車いたしました。
交通アクセス
の拠点駅であるてだこ
浦西駅
の
周辺
では、
交通広場
や
パーク・アンド・ライド駐車場
が
整備
され、中北部から
沖縄自動車道
を経由して
高速バス
や自家用車で来た人が円滑に
モノレール
へと乗り継げるようになっているということでありました。 二日目は、まず、
那覇
港
国際コンテナターミナル
を視察しました。
沖縄
県の貿易は、
輸出量
が極端に少なく
輸入超過
が常態化しており、
物流コスト
が高いことが
課題
となっております。荷主に対する
支援措置
の実施や昨年五月に開業した
那覇
港
総合物流センター
の
活用
により、更なる物流の
高度化
や
迅速化
、
輸出コスト
の削減などを推進していくとのことであります。 また、視察した
新港埠頭
九
号岸壁
では、
係留施設
を
整備
したことなどにより、大型の
コンテナ船
と
クルーズ船
の
同時接岸
が可能となり、
利便性
が向上したとのことでありました。
沖縄
県は、
全国
で最も多くの
クルーズ船
が寄港する港でもあります。
那覇
港に寄港する
クルーズ船
の
大型化
及び
寄港数
の急激な増加に対応するため、来年度までに新たな
国際クルーズ拠点
を
整備
する
事業
を完了させるとのことでありました。 次に、
国営沖縄記念公園首里城地区
において、
首里城正殿等
の火災の
発生状況
や
建築物
の
被害状況
、再建に向けた作業の
取組状況等
について
説明
を聴取するとともに、現状を視察いたしました。 昨年十月の火災により、
琉球王国
の象徴であり
沖縄県民
の誇りであった
首里城正殿
を含む九
施設
が焼損しました。先月から、破損した瓦の除去や建物の
撤去等
の作業に着手しているとのことであり、現在、南殿や北殿の屋根などには壊れた瓦が散乱しており、正殿前の御庭には、積み上がった
瓦れき
とともに、
大龍柱
が風雨にさらされながらも
応急措置
が施されている
状況
でありました。これらの惨状は
報道等
では認識しておりましたが、実際にその場に立って目の当たりにすると胸が締め付けられる思いで、一日も早い
首里城
の
復興
に向けた
支援
の
必要性
を実感したところであります。
首里城再建
に当たっては、出火の
原因究明
及び防火・
施設管理体制
の
強化
、工事に必要な材料の調達及び職人の
確保
、
復元過程
の
段階的公開
などが
課題
となっております。今後は、
公開方法
の
在り方等
を地元と一体となって検討していくとのことでありました。 以上が
調査
の概略であります。 昨年、
沖縄
県を来訪した
観光客数
は、初めて一千万人を超えました。成長する
観光産業
の振興を後押ししていくことは、
沖縄
県さらには
我が国経済
の成長に大きく貢献することが期待されます。一方、
那覇空港
や
那覇
港における急増する
観光客
の
受入れ環境整備
、
那覇
市の
渋滞緩和
に資する
公共交通
の
維持
、
活性化
、
首里城
の
早期再建
などが
課題
となっております。加えて、
航空路線
の減便や
クルーズ船
の
寄港回数
の
減少等
に深刻な影響を与えている
新型コロナウイルス感染症
に対しても、
国土交通省
を始め、
関係機関
が一体となり万全の
対策
を講じていくことが急務であると実感したところであります。 最後に、
視察先
で御対応いただきました
皆様方
、
調査
に御協力いただきました
国土交通省等
に対し、厚く御礼申し上げまして、報告を終わります。 以上です。
田名部匡代
10
○
委員長
(
田名部匡代
君) 以上で
派遣委員
の
報告
は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十三分散会