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2020-02-26 第201回国会 参議院 国際経済・外交に関する調査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年二月二十六日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  二月二十五日     辞任         補欠選任      塩田 博昭君     高橋 光男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         鶴保 庸介君     理 事                 小野田紀美君                 柘植 芳文君                 二之湯 智君                 小林 正夫君                 新妻 秀規君                 柳ヶ瀬裕文君                 伊藤  岳君     委 員                 朝日健太郎君                 猪口 邦子君                 河井あんり君                 中西 健治君                 中西  哲君                 中西 祐介君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 石川 大我君                 小沼  巧君                 木戸口英司君                 田島麻衣子君                 浜口  誠君                 牧山ひろえ君                 秋野 公造君                 高橋 光男君                 伊波 洋一君    事務局側        第一特別調査室        長        清野 和彦君    参考人        東京大学名誉教        授        国際資源開発研        修センター顧問  浦辺 徹郎君        熊本県立大学理        事長       白石  隆君        佐賀大学海洋エ        ネルギー研究セ        ンター教授    石田 茂資君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国際経済外交に関する調査  (「海を通じて世界とともに生きる日本」のう  ち、海洋資源エネルギー確保など海洋の利  活用及び開発在り方海底資源海洋再生可  能エネルギー管理利活用と今後の展開)に  ついて)     ─────────────
  2. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ただいまから国際経済外交に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、塩田博昭君が委員を辞任され、その補欠として高橋光男君が選任されました。     ─────────────
  3. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 国際経済外交に関する調査を議題といたします。  本日は、「海を通じて世界とともに生きる日本」のうち、「海洋資源エネルギー確保など海洋利活用及び開発在り方」に関し、「海底資源海洋再生可能エネルギー管理利活用と今後の展開」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  御出席いただいております参考人は、東京大学名誉教授国際資源開発研修センター顧問浦辺徹郎君、熊本県立大学理事長白石隆君及び佐賀大学海洋エネルギー研究センター教授石田茂資君でございます。  この際、参考人皆様に一言御挨拶を申し上げたいと思います。  本日は、御多用のところ御出席賜りまして、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にさせていただきたいと思います。自由に御発言をいただければと思います。よろしくお願いいたします。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、浦辺参考人白石参考人石田参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっております。議事録関係でお名前をお呼びせねばなりません。その関係でございますので、発言の途中でも私から名前をまた改めてお呼びすることも多少あるかもしれませんが、よろしく御協力お願いいたします。御承知おきをいただきたいと思います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず浦辺参考人からお願いをいたします。浦辺参考人
  4. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 浦辺でございます。御紹介ありがとうございます。  このような席で発表させていただきますこと、大変光栄に思っております。(資料映写)  今日はこういうタイトルで話をしたいと思います。  まず、私のおります国際資源開発センターでございますけれども、我が国鉱物資源安定供給に期するために、海底鉱物資源開発基礎講座の開催であったり、秋田県の小坂鉱山の跡地にあります国際資源大学校で、我が国非鉄資源産業の若手の方を対象とした資源開発・製錬・リサイクル研修等を実施している団体でございます。  これが本日の内容でございます。  まず最初に、今日、ここが参議院の超党派調査会ということで、英国の同じ超党派国際国会議員連盟報告書紹介から始めたいと思います。それで、まず陸上鉱山がどうなっているのか、それから将来の低炭素社会に向けて、それと、その金属資源関係はどうなっているのか、それから海底資源ということで話を進めてまいりたいと思います。  まず、英国超党派国際議員連盟報告書、二〇一六年ですけど、この内容は、ローマクラブが一九七二年に出版しました「成長限界」という有名な本の、その後どうなったのかというのがタイトルでございます。  このローマクラブの「成長限界」は、今でいえばAIみたいな最新の手法を使って解析をしたものでございますけれども、その結論は、資源枯渇により社会は永遠に成長することはできないという思いもしなかった結論だったわけです。この本には別に何年にそういうことが起こると書いていないんですが、標準シナリオだと二〇一五年に限界が始まるということになっていました。  これは一九七五年の第一次石油ショックを引き起こしたと言われるほどの本でございますけれども、引き続く一九八〇年代は、先進国日本も含めまして高度成長が終わった時期で、コモディティー価格は全部下落をしました。それで、この本のことは忘れられていたわけです。  その後、中国を始めとする新興国経済発展があって、終わってみると、現実の世界がまるで予測されたシナリオを追従するかのように変化してきたということが指摘されて、経済学者予測でこんなに長期にわたって当たっている例はほかにないと言われたわけです。  この報告書結論でございますけれども、地球の容量の限界が近づいているという証拠が幾つも明らかになっている、最も重要な結論一つは、社会の崩壊が、資源の絶対的な枯渇からではなく、既に兆候が始まっている資源の質の低下から生じ得るということであるということなんです。この資源の質の低下、余り聞き慣れない言葉です。  次に、それで、世界の銅の二七%、四分の一以上を産出しているチリの例をちょっとお目にかけます。  この左手の方はチリ北部地図でございます。黒い点がありますが、これが皆、銅鉱床です。  チリで最も大きな会社というのは国営企業コデルコという会社ですけれども、コデルコは二十世紀の間はずっと品位、これは含有量のことですけど、銅品位が大体一%の鉱石をずっと掘ってきた。ところが、二十一世紀に入るとつるべ落としにずっと下がって、今は〇・六%の鉱石しかないということを言っているわけです。つまり、品位低下鉱山高地化、様々な問題をチリが抱えている、これはチリだけの問題ではないということです。  実例を見ていきますと、ケブラダ・ブランカというチリのアンデスの本当の頂上にある鉱山です。これがオープンピット、掘り場ですけれども、高度が四千四百メーターです。港からは百六十キロ離れていて水がないものですから、港湾施設を造って海水を淡水化し、百六十キロパイプで送って、鉱山では何と〇・四%の銅を掘ると。非常に低品位でございます。それを向こうで破砕して、浮遊選鉱ということをして、精鉱を作って、それをまた百六十キロパイプ流送して港湾設備に持ってくる、これをまた日本に運んで製錬をして銅を回収するという大変なことがやらなければいけないわけでございます。  じゃ、世界で、〇・四%じゃなくて一%の鉱石、昔の二十世紀鉱石はないのか。それは、あることはあるんです。これが北米最大銅鉱山開発レゾリューション銅山というところでございます。場所はここですけれども、この図は断面図地質断面図で、この上が、白いところと茶色の境が地表でございます。一%の鉱石は、この下に三日月形のものがあります、これが一%の鉱石ですが、地下二千メーター、しかもそこには七十六度の温泉が湧いていてとても人が行けない。しかも、その地表の部分はネーティブアメリカンの聖地ということで大変強い反対運動が起こっている。  このように、巨大鉱床というのはいずれも多くの問題を抱えているわけです。つまり、これが質の低下ということの具体例一つでございます。  じゃ、陸上はこういう状況ですけれども、海に目を転じてみるとどうなるか。これは一つの例で、日本のEEZの中の沖縄トラフにありますごんどうサイトという海底熱水鉱床です。これは久米島から四十キロぐらいのところにあって、水深は千四百メーターです。ですので、人間はもちろん行けないわけですけれども、先ほどの二つの例でも、高地であったり地下であったり、人間がなかなかアクセスできないということで全自動化を目指しておりますから、こういうものの開発も夢ではないということでございます。  いいところは、品位がめちゃくちゃに高い。一三%と書いてあります。これはちょっとげたを履いている値でございまして、現在、経産省傘下JOGMECがボーリングをしておりまして、数分の一ぐらい平均品位がなるというふうに言われています。  この下の図は、海中ロボット、まあドローンのようなものでございますけれども、そういうもので作った地形図精密地形図で、ここに底径二百八十メーターの小山がありますが、これが全部鉱石、高品位鉱石でございます。こういうものを開発できないだろうか、そういうことを考えているわけでございます。  さて、世界の銅を例に取ってみますと、この茶色で描いてありますように、これは十九世紀半ばからのデータで見るともううなぎ登りで、現在二千万トン年間銅を使用しております。  この上の緑色の図というのは、あと何年掘れるか、生産可能年数ライフと言っておりますけれども、ライフ年数を示したものです。大体第二次大戦が終わった頃は五十年を超えておりましたけれども、それが長期低落傾向でずっと減っています。これを、じゃ、この後大丈夫なのかということを考える上で、楽観的な見方、悲観的な見方二つがございます。  まず、楽観的な見方ですけれども、この図で、ここは二〇一〇年でございますけれども、累積生産量、この青で描いたところはもう掘ってしまった分。ただ、その上に赤で描いてある推定埋蔵量というのがありまして、これを年数年間生産量で割ると大体二十年分ぐらいはあると。しかし、楽観的な見方は、その上にピンクのゾーンが乗っております。これは低品位でなかなか掘れないというところですけれども、将来技術開発されコストを下げれば掘れるようになるんじゃないのということで、楽観的な見方でございます。  それに対しまして、悲観的な見方、この三角形の山のようなものがありますが、この一番右の端は二十二世紀です。このチリオリーブグリーンチリとそれぞれの国の産出額をずっとやっていきますと、大体二〇三〇年代に生産量ピークを迎える、これをピークミネラルと言っておりますけれども、迎えるであろうと。それに対して、黒い点線で描いてある需要量の方ですね、これはオーバーシュートして更に伸びていくだろうと。今までは需要生産が非常にバランスされていたわけだけれども、二〇三〇年代になるとそのバランスが崩れるという予測でございます。  ただ、こういう予測というのは、どういう社会をつくっていくのか、景気はどうするのか、成長率はどうなるのかという様々な要素があって、一概には言えないものでございます。  そこで、次は、シナリオ別に銅の需要供給を計算してみようというのが次の図でございます。  この図で灰色で描いてある山のようなマークは、先ほどのノーゼイの二〇一四年のデータそのものでございます。こういう図を見ると必ず皆さんおっしゃるのは、リサイクルすればいいじゃないか。そのリサイクルが、この青で描いてある二次生産でございます。圧倒的に量は足らない。これは伸びていくわけですけれども、この一次と二次を足したものが黒で描いてある銅の総生産量でございます。  これに対して、需要量はどうなるのかというのが赤で描いてあります。一番需要が要るのはEWと書いてあるもので、これは、SDGsで言います誰も取り残さない、途上国であっても先進国同様の高い経済のエンジョイできるようなシナリオですと、もちろん一番使用量が高くなります。一番少ないのはSFと書いてある、赤のSFですが、これは、途上国は今のままいてくださいという非常に社会緊張をもたらすシナリオでございます。  何がいい悪いということではありませんで、単なるシナリオなんですが、いずれのケースでもやはり、需要の多寡はございますけれども、それは総生産量を上回らない、総生産量よりもはるかに多いということで、二〇四〇年前後に銅の大きな問題が発生するんではないかというシナリオ別試算でございます。  ヨーロッパの国々は、これに対してどういう政策を取っていくべきかということを決めております。キーワード循環経済への転換でございます。元々、線形経済というように、原材料があって生産をして多くのものを捨てるということですけれども、捨てるんではなくて、一番下にありますように廃棄物の再資源化をすることによって、最終的にはこの原料の注入をなくして全てリサイクルだけでぐるぐる回そうということでございますけれども、なかなかこううまくはいかない可能性もあるわけです。  それで、最近、サセックス大学ソバクールという教授の方が今年論文を書きまして、提言をしました。このタイトルにありますように、世界銀行が言っているように、クリーンエネルギーへの移行は鉱物を大量に消費するということでございます。  それで、EUにおけるキーワード循環経済でございますけれども、一次生産も必要ではないかということで、現在、EUあるいは米国で、後で説明しますように重要鉱物への関心が高まっています。重要鉱物というのは、日本語ではレアメタルとよく言われるような鉱物資源でございます。  低炭素技術需要には、短期的には陸域での採掘で十分対応可能でございます。しかし、長期的には海底鉱物資源の抽出を慎重に検討する必要がある。その際には、サイエンスに基づいた環境保護策を設定するまれなチャンスであると。  つまり、環境問題というのを負担と考えるのではなくてチャンスと捉えるべきだと、そして、将来の低炭素技術の普及に対しては鉱物金属供給が不可欠なので、今までヨーロッパが取っているような気候変動に対応する政策の中にそういうものを積極的に組み込むべきであると、そして、鉱物サプライチェーン全体の透明性確保する必要がある、こういう提言をされたわけでございます。  ちょっとこれは忙しい図でございますけど、この図の左側の方は、石油、石炭、天然ガスを燃やして発電をするとこれぐらい金属が要りますよと。この右側の棒がたくさん立っている方は、バイオマス、風力、太陽光というような再生可能エネルギーを使うとこのようにいろんな金属がたくさん要ると。これ、縦軸は対数でございますので、数十倍から数百倍のこういうレアメタルが必要になってくるという試算が出ているわけでございます。銅の比ではない、非常にめちゃくちゃな量が要るということになります。  そこで、アメリカですけれども、トランプ大統領が二〇一七年の末に大統領命令を出しました。これは、重要鉱物の安全かつ信頼性の置ける供給確保する連邦政府戦略でございます。その内容の一番上にありますように、重要鉱物の確実な供給及びそのサプライチェーンのレジリエンスは、米国経済的繁栄と国防にとって必要欠くべからざる点であるというふうに書いています。下の方にありますように、こういうことで、鉱山開発であるとかサプライチェーンの強化など様々なことをやって、二十四のゴールと六十一の勧告を出したということでございます。  これに対してソバクール教授はこういうことを言っています。米国戦略が、同盟国やパートナーとの貿易の重要性を強調する一方、鉱物産出の場への生態学的な配慮に欠けていると、環境問題を無視していると批判をしているわけでございます。  これがリスト。米国重要鉱物三十五、EUの二十七で、アンダーライン書いてあるのは両方に重複するもので、ほぼ重複している。これは日本レアメタルとも重複しております。  このうち、EU重要鉱物二十七のうちで、この地図にありますように、ここに中国があります。中国は、その二十七の重要鉱物のうち十四、半分以上で五〇%以上のシェアを有している。さらに、リチウムイオンバッテリーなんかで重要なコバルトというのは、コンゴ民が三分の二のシェアを有している。こういうリスクがあるということでございます。  さらに、赤い四角で囲っておりますように、中国は自国に豊富な鉱物資源を有するのみならず、アフリカ、南米等において積極的に鉱山権益獲得を行っていて、日本はしばしば負けているわけでございます。自分で持っているのに、更にほかの国の権益も取っているということです。  それで、じゃ、海はどうなのか。そういうふうな陸上状況になって、海はどうなのかということで、これは海底鉱物資源の種類でございます。まず、海底熱水鉱床、それから真ん中、ちょっと長いあれになっていますが、コバルトリッチクラスト、それからマンガン団塊、それにレアアース泥というような様々な海底資源がございます。  この中で、EU等でいろいろと検討がなされて、最も経済的に開発が近いだろうというのが海底熱水鉱床、その次にコバルトリッチクラストということになっています。マンガン団塊は非常に積極的にやられているんですけど、その後になるだろうというふうに言われています。この理由は後で説明いたします。  日本は幸いなことに、海底熱水鉱床、これ沖縄トラフ、先ほど言ったごんどうサイトもここに入っております。それから、伊豆、小笠原の島弧、こういうところに海底熱水鉱床がありますし、この赤で描いてあるコバルトリッチクラストも非常にたくさんあります。先進国の中でこれだけの海底資源を有している国は日本だけでございます。  これはなぜかというと、日本大陸棚陸上国土の十二倍程度ございますけれども、これがもし陸上にあるとすると、インドよりも広くてオーストラリアよりは少し狭い非常に広大な大陸棚を有しておりますので、そういうものがあっても不思議ではないということになりますので、狭い国土日本にとっても海底というのがそういう新たなフロンティアになっているわけでございます。  じゃ、そこからどういうものが取れるか。これは量的なことを除いて、OECDの五十一の重要鉱物についてプロットしています。  これは、五十一というのは、OECDヨーロッパ米国だけではなくて、様々な二十七の国が入っていますので数が増えているわけですが、この縦軸は、代替の可能性が低いリスクが上に書いてあります。それから、横軸は、中国コンゴ民といったような地政学的なリスクの高いものが右の方に書いてありまして、上から右にかけてリスクの高い重要鉱物ということになります。  この赤で書いてありますのが海底熱水鉱床に含まれる元素、青はコバルトリッチクラストに含まれる元素、それからグレーは海底資源では取れない元素ということになりますけれども、日本大陸棚にあるこの二つのやつをやれば、大体、上の方、右の方にあるものはカバーできるということが分かります。これは量的なことはもちろん含まれておりません。  それで、先ほど、マンガン団塊というのもある、量的にはこれが一番多いわけでございますが、このほとんどは深海底、公の海の下にあります。そうしますと、日本大陸棚にあるものはもちろん国内法で対処できるわけでございますが、そういうふうな国家管轄権の外にあるものについては、国連海洋法条約UNCLOSというものでコントロールされるわけでございます。  UNCLOSは、その下に管理機構として国際海底機構、ISAというものをつくっておりますが、そこで今現在開発規則を準備中でございますが、そこにある鉱物資源は、赤で書いてありますように、人類の共通財産ということでございます。ですので、そこで得られた利益に関しては、内陸国であっても分配しなければいけないということが書かれているわけでございます。  さらに、関連する法律にありますように、今、BBNJ、国家管轄権外域海洋生物多様性ということで、多様性を保護する、海底環境を保護するために、こういう資源開発はやるべきではないという意見も出てきているわけで、大変難しい状況にあるわけでございます。  それをビジュアルに示したのがこの図でございまして、海底資源開発をめぐる代表的ステークホルダーの間で、今では、バランスが取れるべきものが、環境NGOの力が非常に大きくなって、環境問題が非常にクローズアップされているということでございます。  海底熱水鉱床開発する際、リスクというのは幾つもございます。  一番は、十分な資源量があるか。日本は、今五千万トンの、概略、資源量獲得を目指して頑張っております。その探査法についても、SIP、海のジパング計画でできているわけでございまして、今現在約二千万トンぐらいありますので、これから増やしていく。  それから、開発する技術。これは、JOGMECが二〇一七年に揚鉱パイロット試験というのをやりましたし、選鉱パイロットプラント、それから製錬も終わって、亜鉛地金の製錬もできていますので、小規模ではありますけれども一気通貫技術ができています。  経済性があるのか。これは、今のJOGMEC試算では赤字であるということですが、諸外国の同様の計算では黒字、内部収益率が非常に高いという試算もなされておりますので、これは解決ができるだろうと。  それから、環境影響評価。これについても、日本環境モニタリング技術、非常に世界でも一番いいものを持っていて、技術的にはこういうものに対する用意ができているということでございます。  結論ですけれども、上の三つは飛ばして四番目、海底資源開発はまだ採算性が不明でありますけれども、様々な技術開発ができていると。それは今、世界でトップクラスである。ただ、こういうふうな優位というのはちょっと油断をすると失われてしまうものでございますので、政策的な後押しが必要だろうということで、海洋環境に対する配慮を十分にしながら、こういうものを目指す、開発を目指していく、そのための日本海底下国土技術もある、そういうふうに思っております。  以上です。
  5. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ありがとうございました。  次に、白石参考人からお願いをいたします。白石参考人
  6. 白石隆

    参考人白石隆君) 白石でございます。  ちょっとお待ちください。
  7. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  8. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
  9. 白石隆

    参考人白石隆君) それでは、私は、済みません、パワーポイントは使わないで、お手元にございますスライドでお話しさせていただきます。  私の今日お話しさせていただくテーマはかなり広く取っておりまして、世界の動向と日本の安全保障というふうにしておりますが、実際には、日本外交と安全保障とそれから国際経済、これ全てについて触れさせていただくつもりでございます。  大きく申しまして、世界の動向ということでは、世界全体の動きが今どうなっているのか、それから米中対立というのがどうなっているのか、それからアジアが今どういうふうに動いているのか、それをかいつまんでお話ししまして、その後に、それでは日本としてはどういう政策的対応が私の見るところ求められているんだろうかと、そういう形でお話ししたいと思います。  まず、一枚めくっていただきますと、これはマクロの構図でございまして、世界全体の動きでございます。  二枚目に参ります。  新興国の台頭、アジアの台頭というふうに書いておりますけれども、ごく簡単にまとめますと三点ございまして、二十一世紀に入ってちょうど今年で二十年目でございますが、第一番目に、先進国が地盤沈下して新興国が台頭している。大体二〇二三年ぐらいになりますと、つまり三年後ぐらいにはG7の経済規模と新興国途上国経済規模が同じになるというふうに予測されております。  二つ目に、いろんな言い方がございますけれども、最近の日本政府の言い方に従いますとインド太平洋、あるいはもっと一般的にはアジアが台頭していて、既に二〇一〇年にはヨーロッパ、北米よりも経済規模としてはアジアの方が大きくなっており、二〇二〇年代の半ばには恐らく世界経済の三分の一を占めるようになるだろうと。  それから三番目に、アジアの中では、残念ながら日本経済は停滞しておりまして、存在感も落ちておりますが、中国が非常に台頭しており、しかも、ASEAN、インドも順調に経済成長しておりまして、二〇二〇年代の終わりまでには日本経済規模を超えるだろうというのが、これが予測でございます。  一枚めくっていただきまして、今申し上げたのは経済の規模でございますが、今度は、一人当たりの所得が世界全体でどうなっているのか。  これ、非常に有名な、象の頭ということでよく使われる資料でございますけれども、世界の人口を所得の上の方から五%ずつに二十に切りまして、それぞれの所得層の一人当たり所得が二十年間、これ少し古いです、一九八八年から二〇〇七年までの二十年間でどのくらい伸びたのかということを見ますと、A、これは世界のまさに中産階級、国としましては中国、ベトナム、インドネシア、マレーシア、あるいはバングラデシュ、それからインド、こういう国でございますけれども、ここの言わば世界の中産階級あるいは中間層の所得が七五%ぐらい伸びたと。B、これは先進国日本も含めた先進国の所得の中の下層以下のところの人たちの所得というのはほとんど伸びなかったと。それから、C、これはいわゆるグローバルエリート、大体世界の所得のトップの〇・二%というふうに言われておりますけれども、ここの所得が六五%伸びたと。  ということは、また一枚めくっていただきますと、先進国では、中下層の所得が伸び悩んでエリートの所得が伸びましたから、当然のことながら格差が拡大して、ポピュリズムになって、反グローバリズムになって、排外的なナショナリズムが高まっていると。新興国の方では、中間層が拡大してグローバル化の恩恵を非常に大きく受けたんですけれども、決してグローバル主義にはなっていなくて、二十一世紀は自分たちの時代だということでナショナリズムが強くなり、しかも現在の先進国主導の世界秩序に対する不満はあると。  地球温暖化についてはその一つの例でございまして、先進国が地球温暖化で脱炭素といって例えば石炭火力を使うなと言いますと、ヨーロッパはそれは十九世紀に発展して、そのときには好き勝手にやったじゃないかと、何で我々は同じことできないのかという、こういう形でナショナリズムが出てきていると。これは、正直申しまして、決して理不尽だといって片付けるわけにはいきません。ですから、そういう非常に大きな亀裂が今先進国新興国の中で起こっていると。  また一枚めくりまして、新興国の課題と書いておりますが、これはもっと正確に言いますと新興国台頭がもたらす課題でございまして、いろんな課題がございます。  まず最初に、新興国それ自体の課題としましては、新興国の人たちというのは、過去二十年ないし三十年、非常に生活水準が向上しましたので、当然これからも生活は良くなると思っております。この期待に応えられないと政治は不安定化します。これが実は非常に大きな問題でございます。  ただ、そのときに、それじゃ、国民の課題に応えるために経済成長をどうするのかというところになりますと、これは二〇四〇年まで、ごめんなさい、ここに二〇二〇年までと書いております、これ間違いでございます。二〇四〇年まで、これから二十年先まで見通しますと、今の趨勢が続けば、中国、インド、ASEANのエネルギー消費はそれぞれアメリカ、ヨーロッパ日本の現在の消費量程度また伸びていく、大変な量伸びると。  その結果、二〇四〇年になっても化石燃料の消費というのは先進国で五三%程度新興国で六五%程度、つまり化石燃料消費というのは六〇%ぐらいにとどまると。決して再生エネルギーで全て賄えるということには遠い、つまり化石燃料は重要なままであるというのが、これが一つエネルギーについては申し上げたい点でございます。  と同時に、現在の中東の混迷、これは格差、拡散、特にイランの核開発が恐らくまだしばらく掛かると思いますけれども、これが仮に現実に至ったときには、中国の格差、核拡散、それから中東の混迷というのは今よりももう一つ深刻なものになります。そういうところで、アジアの新興国には、化石燃料を中心とするエネルギー調達が決して順調にいかないような事態になったときに直ちに危機に陥るような国もございます。  ですから、その意味で、今まで日本エネルギーの自立ということで自分たちの、我々の国だけのエネルギー消費、エネルギー調達を考えておりましたけれども、日本経済がアジア大に拡大していることを考えますと、アジア全体を考えたエネルギー安全保障を考える必要があるだろうというのが、これが一つ、ここには、レジュメでは書いておりませんけれども、申し上げたい点でございます。  それから、もう一つは石炭についてでございまして、今政府の方で高効率の石炭火力技術、これを輸出するかどうかということについて議論があるのはよく承知しておりますけれども、脱炭素というのは、これは石炭を使わないということと同じではございません。石炭は世界中にございます。問題は、石炭のCO2をどう技術的に有効利用するかと。いわゆるカーボンリサイクルについての技術的な投資を行うということが、私としては非常に重要な課題ではないだろうかというふうに考えております。  次に、世界の動向の二つ目、今度は米中対立でございます。  もう二枚めくっていただきまして、米中対立は、アメリカから見るのと中国から見るのでは少し景色が違います。  アメリカから見ますと、現在の米中対立というのは、要するに、アメリカを中心としてつくり上げた戦後の秩序が中国とロシアによって挑戦されているというふうに見えておりまして、その前提としましては、一九九〇年代に、クリントン政権のときに、中国経済成長をすればそのうち民主主義で市場経済になると、そういう言わば前提の上に中国に対する関与政策をやってきておりましたけれども、これは間違えていたというのが、これが非常に根本的な判断でございます。  現在は、その上に立って、中国は地域覇権を目指していると、それから産業と安全保障の鍵となる先端技術、新興技術の優位を目指していると、しかも米国の雇用を奪っているんだというのが、これがアメリカから見た対中政策の基本的な判断でございます。  ここで一つ、一枚めくっていただきまして、私は、この米中対立で特に、アメリカの方から見ましても、中国から見ても、実は日本にとっても、大事なのは技術の問題だろうと。今出てきております技術は新興技術というふうに言われますけれども、これは英語で申しますとエマージングテクノロジーという言葉でございまして、エマージングというのは今登場しつつある技術でございまして、したがって、これが将来誰が何のために使うのかということはまだはっきりとは分からない技術でございます。だけれども、安全保障にとっては、例えば脳波で動くドローン一つ考えていただきましてももう明らかでございますけれども、二十一世紀の産業と安全保障にとっては物すごく重要な意義を持っていると。これをどう守り、どう育てるのかというのが非常に大きな争点になっていると。  一枚まためくっていただきまして、アメリカはこの十四の技術分野というのを新興技術の分野として指定しております。  また一枚めくっていただきまして、これを中国の方から見るとどう見えるかと。少なくとも、習近平主席が政権を掌握しましたときには、あるいはその直前ですね、二〇〇八年から二〇〇九年の世界金融危機の頃には、中国の指導者は、中国はこれからも台頭する、アメリカは衰退する、だから今チャンスだと。しかも、アメリカがつくり上げた国際システム、これは通商システムとか金融システムがございますが、こういうのにはまだただ乗りできるという、こういう判断があって、韜光養晦、自分の能力を隠すということから自己主張するというふうに移ってきたということだろうと思います。  その結果、特に二〇一〇年代に入りまして、先生方御承知のとおり、中国は、南シナ海において人工島を建設し軍事化をしましたし、それから新興技術あるいは先端技術を持つヨーロッパ日本、あるいはアメリカの企業を買収しましたし、それから一帯一路ということで勢力圏の構築に動いた。  だんだんとそれが難しくなっているというのが、これが現状でございまして、その結果、習近平政権は、現在、自力更生ということを言うようになり、同時に、これは余り日本のメディアでははっきり指摘されておりませんけれども、必ずしもアメリカの攻勢に正面から対応するんではなくて、むしろ、中国版のGPSを整備するだとか、中国の企業に海底ケーブルを整備させるだとか、それからファーウェイの5Gの通信規格を世界中に広めるだとか、あるいは監視システムを輸出するだとかということをやっていると。つまり、アメリカと同じゲームはしないようにしながら自分に有利な地歩をつくっているというのが、これが現在の中国の対応だろうと思います。  また一枚めくっていただきまして、それじゃ、かつての冷戦と今の米中対立、あるいは人によっては新冷戦と言いますけれども、この違いというのは何かと。  冷戦は、もう御承知のとおり、かつて自由陣営と社会主義陣営というのがあって、この二つの陣営の間、特に米ソの間では熱核戦争の可能性がございました。だけれども、現在の米中対立では、私は熱核戦争の可能性というのは極めて小さいと。むしろ、それよりは、インド太平洋を自由で開かれたものとして維持できるのか、技術の優位はどちらが取るのか、貿易はどうなるのか、それからデータの流通のためにどういうシステムをつくるのか、こういうことが大きな課題になり、その最も根本のところには、どういう国内体制をそれぞれつくっていくのかという問題があるというふうに考えております。  ただし、ここに一つ、レジュメで書いておりませんけれども、是非強調しておきたいことは、こういう米中対立、あるいはそれに影響を受けて世界は今非常に大きく変わっておりますが、にもかかわらず、人類全体が直面するグローバルな課題というのは現にございます。私は、新型肺炎というのは今そういう問題として登場しつつあると思いますし、気候変動への対応、脱炭素への対応、脱炭素をどうするかということも、これもグローバルな課題だろうというふうに考えてございます。  また一枚めくっていきまして、それでは日本にとってこういう冷戦と新冷戦というのはどういうふうに違うのかと。  ちょっとここではドイツとの比較を考えておりましたが、時間も押しておりますので日本についてだけ申しますと、日本は、新興国がいっぱい集まっているアジアの中にあって、しかも最も台頭した中国の隣国であって、そのため、日本の外部環境というのはこの三十年でがらりと変わったと。  それにどう対応するのかというのが大きい課題で、安全保障のためには海洋、特に海洋の安全保障と科学技術の振興が極めて重要ですが、同時に、日本の貿易を見てみますと、中国、それからASEAN、アメリカ、それからヨーロッパ、大体非常にバランスよく貿易しておりますので、世界の自由な貿易体制をどう維持するのか、それを支える金融体制をどう維持するのかというのは二番目に大きな課題でございますし、三番目に、アジア、この成長するアジアをどう自由で開かれて、しかも繁栄するアジアにするかというのが実は日本の安全保障にとって極めて重要だろうと思っております。私は、アジアのエネルギー協力ということは、これは決してアジアの他の国々のエネルギー安全保障だけではなくて、日本の安全保障、日本経済安全保障にとっても極めて重要だろうと。  一枚めくっていただきまして、それじゃ、今の課題は何かと。  もう時間ないので特には申しませんが、今、メディアではよくデカップリングという言葉が言われますけれども、実際に企業の経営者などと話しておりますと、例えばある製品を作るときに、その部品、部材のまた部品、部材のそのまた部品、部材になると、どこで誰が作っていて、それをどうやって調達するのか分からなくなってくると。今のサプライチェーンというのはそのくらい深いものでございます。ですから、デカップリングと簡単には言えますけれども、これは本当に始まりますと大変なことになります。ですから、そこのところをやっぱりよくよく考えておく必要があると。  最後に、三つ目、もう時間なくなりましたので、アジアの現状と展望についてはごく簡単に申し上げますが、大きく申しますと四点ぐらいあります。  中国経済的に台頭しております。ASEAN、インドも成長しております。大体、ASEAN、インドはもう二〇二〇年代の末までには日本よりも大きくなります。消費も伸びております。ここは日本のこれからの非常に重要なマーケットでございます。中産階級も拡大しております。その中で期待が膨らんでおりまして、この期待に応えられないとアジアは不安定化いたします。  一番最後のページに移っていただければと。  じゃ、その中で日本はどうしたらいいのか。課題のところで、日本としては、世界の安定、アジアの安定、成長を守りつつ、いかにして豊かで自由で安全な生活を守るか、あるいは維持するかというのが課題だというふうに私は考えております。  これはどういうことかと申しますと、アメリカは、豊かで自由な生活というのが、これがアメリカの国民に対する約束でございます。中国は、豊かで安全な生活というのが国民に対する約束でございます。だけど、この二つは実は対立するものではございません。日本だとかあるいはスカンジナビアの国だとか、こういうところは豊かで自由で安全な生活を現につくっております。これをどうやって守るのかということが、我々にとっては日本外交国際経済政策、あるいは安全保障、これを考える上での一番根本であるのではないかと思います。  申し訳ありません。時間を少し超過いたしましたが、これで私の報告は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  10. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ありがとうございました。時間せかしてしまいまして、大変申し訳ありません。  次に、石田参考人からお願いをいたします。石田参考人
  11. 石田茂資

    参考人石田茂資君) 佐賀大学の石田でございます。  今日はこのような席にお招きいただきまして、ありがとうございます。手際よく進めたいと思います。(資料映写)  これは、今日御出席の先生方は御覧になったことがあるんじゃないかと思うんですけれども、日本エネルギー自給率は一〇%で、電力に限りましても再エネの割合は主要国に比べて低いと。それから、赤で書いておりますけれども、導入目標がちょっとそもそも低めであるということを指摘させていただきたいと思います。  本日、海洋エネルギーということでございますので、我が国海洋における発電ポテンシャルということで、これはちょっと古くて十年ぐらい前のデータでございますし、エネルギーによって算出方法がちょっと違ってきますので倍半分ぐらいすぐ違っちゃうんですけれども、一目見て風力が圧倒的に大きいということはよく分かると思います。  一応千六百ギガワットという数字になっていますけれども、比べるものとして、例えば原発一基が普通一ギガワットというふうに言われております。それから、日本の発電、日本全体ですね、設備容量二百六十ギガワットということなので、非常に大きなポテンシャルを持っていると。あとのエネルギーはもうちょっと小さいんですけれども、そうはいっても、変動が少ないとかいろいろな特徴がございますので、うまく組み合わせていくことが必要ではないかなというふうに思っている次第です。  この風車の千六百ギガワットというのは、EEZ全部計算したとかではございませんで、右下にちょっと書いてありますけれども、大体離岸距離三十キロメートル未満ということでございまして、EEZ全体ですともっと膨大な風力エネルギーがあるということでございます。  ちょっと関連するものとしては、これ、洋上だけじゃないんですけれども、国内の風車設置のトレンドということでグラフを載せております。これ、二〇〇七年から二〇一六年までの年間のどれだけ風車を建てたかということでございますけれども、非常に大きな変動をしているということがお分かりになると思います。  幾つか要因があるんですけれども、二〇〇七年から補助金が三三%ですかね、出るようになったのが非常に大きいと。そして、二〇一一年にがくっと落ちていますけれども、これは環境アセスが強制化されたことによるものでして、環境アセスは風車に対しては非常に厳しくて、短くて三年、長くて五年掛かるというようなことで、その間は停滞したと。それで、二〇一四年ぐらいからは固定価格買取り制度ございましたのでまた伸び出しているということで、右の四角に書いてございますけれども、昨年末現在の累積導入量は大体四ギガワットということでございます。このグラフでいうと、ちょうど一番てっぺんのところまで行くわけですけれども、このように、政策や規制によって非常に大きく影響を受けるということが分かっていただけると思います。  じゃ、その政策ということでいきますと、長期エネルギー需給見通しというのがあるわけですけれども、風力のところは、その真ん中のところの紫、一・七%程度と。これが二〇三〇年のめどということになっているわけですけれども、欧米の方にこれを見せますと、これは一七%の間違いなんじゃないかというふうなことを言われる、余りに低いんじゃないかということを言われるわけですけれども。  右の方に赤く囲ってございますけれども、具体的には一千万キロワット、十ギガワットということでございまして、そのうち洋上は十分の一以下の八十二万キロワットということになっておるわけですけれども、現在の実際の動きを見てみますと、洋上の風力発電で環境アセスメントに既に入っているものが十三ギガワットございます。さっきの二〇三〇年度の洋上八十二万キロワットのもう既に十六倍がアセスに入っているというようなことで、こういった実態を見据えた見直しが早急に必要ではないかというふうに思います。  それから、去年の四月に施行されました再エネ海域利用法というのがございます。これは、三十年間、港湾区域以外の一般海域をその再エネ、具体的にはほとんど風力だと思いますが、風力のために使っていいという枠組みをつくるための法律でございますが、そこに手を挙げているところが既に、まだ一年たたないうちにこれだけございまして、五島市沖におきましては促進区域の第一号に指定されました。この海域は風車用に使ってよろしいということが早くもオーソライズされたというようなことでございます。  これを受けまして、民間投資が一部で活発化しています。一部といいますのは、ここに書いてあるようにマリコンさんなどの方ですけれども、例えば、一番右上に書いてあります清水建設の方は世界最大級の作業船を今建造中でございまして、価格はたしか三百億円だか四百億円だかという投資をなさっているということでございます。  真ん中のところに書いてありますけれども、これは港湾法、港湾区域を開発するための法律ですね、の改正、あるいは再エネ海域利用法によって三十年間その海域を風車のために使えるよという枠組みができたことと、それから現在FITが洋上風力三十六円でございますので、今設置すればこれを高い価格でずっと買ってもらえるということなので、チャンスと見て非常に民間が動き出しているわけでございますが、FITが高いということは、それだけ国民の皆さんに高い電気料金を負担してもらうということになりますので、これはいつまでも続けるわけにはいきませんので、脱FITを見据えた長期的な政策や産業育成が必要だということでございます。  その黄色の中ほどに書いてありますけれども、ヨーロッパの洋上風力では既に陸電、従来の電力とほとんど同じレベルまで価格が下がっているということなので、それを教科書というか、参考にしながら日本も進めていく必要があるだろうというふうに思うわけでございます。  こちら、風車産業の産業面ということで、一つの予想でございますけれども、二〇四〇年までに、左側の絵は全エネルギーに対する投資の予想ということで、風力が石油とかガスとかよりも大きくて、二・五兆ドルというふうに予想されています。右はその地域別のグラフでございますけれども、何といっても紫の中国が大きいんですけれども、そこを中心に非常に伸びていくだろうというようなことが予想されているわけでございます。  これは国内の予想で、これは今日、サブの資料でもお配りしました風力発電協会さんの予測で、一種の業界団体なので多少割り引いて考えないといけないかもしれませんが、非常に増えていくだろうと。特に、建設費もそうなんですけど、OアンドM、つまり維持管理の方がどんどん増えていくんじゃないかという予想になっております。  先ほど申しましたように、建設するところが非常に活気付いているんですけれども、じゃ、風車そのものはどうかといいますと、こちらは世界のそういった主な風車のメーンのパーツをどこで造っているかというものでございますが、欧米が圧倒的だったんですけど、最近は中国が非常に大きくなっておりまして、日本は日立製作所、一か所ちょろっと高くなっているということでございます。  上の黄色のところに書いてございますけれども、日立はドイツメーカーと協業と書いてありますけれども、要は、もう自分のものは自前では造らぬよという宣言をされました。それから、日本製鋼所さんも事業撤退を発表されて、日立さんが今受注している分を造り終わった後は日本でメガワット級の風車を造る会社はなくなります。  じゃ、部品の方はどうかといいますと、このグラフは横軸が国内出荷額、縦軸が海外輸出額でございますけれども、軸受は非常に元気なんですけれども、そのほかは横軸に張り付いていると。ほとんど国内消費だけで、しかも丸が小さいということは余り元気がないということでございます。  それから、こちらは人材のグラフですけれども、これも非常に、一番外側の円が八百人ということなので非常に心細いということでございまして、よく風車というのは、自動車ほどではないけれども、非常に多数の部品を使う総合産業で裾野も広いと言われるんですが、それを支える国内は非常に心細い状態になっているということで、赤字で書いておりますけれども、これから日本にも洋上風車が建っていくんだけれども、風車本体はもう全部輸入ということが予想されるわけでございます。  ちょっと時間もあれなので、ここはパスします。  次は、洋上風車の事業費ということでございますけれども、陸上と違って洋上風車は海上工事が多いということなので、そこの風車本体ではなくてその他の部分で頑張っていく余地があるだろうということで、一番下のオレンジ色のところは基礎工事と書いておりますけれども、先ほど申し上げたように、その分野では非常に投資が今行われているという現状にあります。  ここでちょっと技術的な話ですけれども、洋上風車というのは大きく二通りに分かれまして、まず着床式というのは、これは海底に基礎を置いて、そこから海の上に基礎を出して、その上に風車を建てるという方式でございます。これは水深が大体六十メートルぐらいが限界と言われております。  日本は比較的遠浅の海岸が少なくて、ちょっと離れると深くなってしまいますので、そういったところは浮体式というのがございまして、こちらは、ここに一部例を載せておりますけれども、世界的に研究を見ますと三十ぐらいは出てくると思うんですけれども、物すごいアイデアがあって、今どれがいいかというのが競っている最中と言ってよろしいかと思います。日本も、ちょっと赤い四角で出しておりますけれども、今三つの実証が動いておりますので、この面では是非世界をリードしていきたいと、そういう状態だろうというふうに思います。  ということで、洋上風車の基礎のまとめということでございますけれども、ヨーロッパは遠浅の海が広大で、海底地質が比較的フラットで、ほとんどの風車が、モノパイルといって直径十メートルぐらいのくいをがんがんと海底に三十メートルぐらい打ち込んで、そこに風車を建てるという方式でございます。  参考として右の方に載せておりますけれども、世界最大の洋上ウインドファームというのが今工事中でございます。イギリスの地図が薄く載っておりますけれども、東の方に約百二十キロ離れたところに百七十四基、一・二ギガワットの設備を今造っている最中でございます。驚くべきは、百二十キロ離れても水深が二、三十メーターしかないということで、ちょっと日本ではあり得ないような条件があるからこそできるというところがございます。  日本の場合は、黄色のところの下の方ですけれども、遠浅の海岸が狭いということがございます。あと、結構堆積層が少なくてすぐ岩に当たってしまうとかいういろいろな条件がございますので、日本日本の独自の工夫をしなくてはいけない、そして、更に大規模にやるためには浮体式が不可欠だということだろうと思います。今のところ、浮体式は着床式よりもちょっと建造コストが更に高くなるということが大体分かっておりますので、どうやって安いものを造るかということが技術的な開発競争の中心になっているかということでございます。  ということで、洋上風力発電発展への提言ということでございます。よく業界の人とかに聞くと、まず一にも二にもマーケットだと、マーケットが大きければその分民間も投資するし、技術開発も進むし、その分コストも下がるというような話を聞いております。これに対しては、先ほど一・七%という目標が余りに小さいと申しましたけれども、この辺を早急に引き上げて、明確化、そして具体化していくということが大事かなと思います。  サブの資料をちょっとお配りさせていただいたんですけれども、その十一枚目をちょっと見ていただきたいんですが、参考としまして、イギリスの洋上風力セクターディールの概要というのがございますけれども、これは、イギリス政府とそれから洋上風力の産業界がある合意をしたということでございまして、その下の四角の方に具体的な内容が書いてありますけれども、どれぐらい、何ギガワットぐらい入れるかと。それで、政府もある程度、幾らぐらいの支援を行うと。それから、あと調達比率ですね、国内の調達比率をどのぐらいにするとか、その代わり風車メーカーの方はとにかく値段を下げるとか、そういったようなことで合意をしているわけですけれども、こういったような非常に具体的なものがばんと出てきますと、日本でも非常に投資がしやすくなるし、活気付くんじゃないかなというふうに思います。  元のスライドに戻っていただきまして、二番目に国内マーケットの拡大とコスト削減のための環境整備ということで、ちょっと余り時間もありませんので具体的には余り申し上げられないんですけれども、まず最初のセントラル方式というのは、これはサブ資料の方の九番目のスライドを後で見ていただきたいと思います。  それから、スライドの二の四番目のポツなんですけれども、再エネ海域法は、今、促進海域を領海の中、つまり離岸距離でいうと大体二十数キロぐらいの中で風車を設置する海域としてできるんですけれども、さっきのイギリスほどではございませんけれども、ある程度離れたところにも拡大して大規模にやりたいと、その方がコストが下がるというニーズは当然あるわけでございまして、せっかくEEZがあるわけですので、この十二海里という領海という制限を取り払って、もう少し沖までできるようにしたらよろしいんではないかなというふうに思います。  このスライドのセントラル方式の説明のちょっと上の、括弧してございますけれども、スピード感が重要ということなんですが、実は今、台湾の方で五・五ギガワットぐらいの洋上風力を着々と進めております。二〇二五年には五・五ギガワットができます。それで、台湾もやっぱり調達比率ということをいろいろやっていて、それはやっぱりマーケットが大きいから言えるわけですね。ヨーロッパの風車メーカーが工場を幾つか台湾にも造りつつあるということも聞いております。  要するに、何を言いたいかというと、中国に非常に大きなパワーがあって、台湾もそういうことでだんだん力を付けてきて、韓国も付けてくるということになると、もう日本に風力を投資しようと、更に工場を造るというニーズがもうなくなってきてしまいますということもございまして、もう日本は本当に風車はどんどん建つんだけれども全部輸入ということになりかねないということになりますので、是非スピード感が必要だということも御理解いただきたいなというふうに思っております。  時間が参りましたので、その他のエネルギーはちょっと軽く触れるだけになるんですけれども、その他が潮流・海流発電ということで、これも世界的にいろんなところがいろんなことをやっております。国内でもやっております。  それから、次のスライドで波力発電ですね。これもいろいろな試みが国内外でされております。  それから、海洋温度差発電ですね。これは深層水と表層の温度差を使って発電するというわけですけれども、これは、右上にある久米島実証プラントというのが、これが一応世界のトップクラスということでやっております。いろいろやっているんですけど、まだなかなか価格的にペイするところまでは行っていないということで、もう少し長期的に見ていただかないといけないんじゃないかなというふうに思います。  風力除く、まとめなんですけれども、とにかく単価を下げるための技術開発をする必要があるということが共通課題でございます。  それから、個別課題についてはちょっと細かく説明する時間がございませんけれども、それぞれ特徴がございますので、ポテンシャルは必ずしも大きくなくても地産地消で使うとか変動性の少ない電力として使うとか、いろいろ得意なところもありますので、そういった中長期的な観点でもう少しやっていく必要があるというふうに思います。  これ最後ですけれども、風車とか置こうとすると、よく漁業の邪魔になるとかいう話もあるので、やっぱり地方との、元々その海域のステークホルダーだった方々の共生ということが非常に重要になると思います。これは、今、五島に浮いている風車ですけれども、右下の写真はそれを下から見たところですけれども、非常に豊かな生態系、単に魚が寄ってくるだけではなく、非常に豊かな生態系ができているという写真でございます。こういった共存関係をしっかり見ていくことも必要です。  それから、海洋温度差発電は海洋から大量の深層水をくみ上げるわけですけれども、これを発電に使うだけではなく、実際に今ある久米島ではいろいろなところに、冷暖房に使うところから、いろいろな養殖に使うところから、非常にきれいで栄養に富んでいるという特性がございますので、こういったことで、久米島ではもっとたくさん欲しいということで大型化するという動きもあるやに聞いておりますけれども、そういった道も考えながら発展させていく必要があると思います。  以上でございます。
  12. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いたいと思います。  まず、大会派順に各会派一名ずつを指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人様十分以内となるように御協力お願いをいたします。  質疑のある方は順次御発言願います。  吉川ゆうみ君。
  13. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 自由民主党、吉川ゆうみでございます。  三名の参考人皆様、本日は貴重な意見を、様々な貴重なお話賜りまして、本当にありがとうございました。  まず、浦辺参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。  浦辺参考人がプログラムディレクターをお務めになられました内閣府の戦略イノベーション創造プログラム、SIP、こちらにおきまして次世代海洋資源調査技術により世界海底資源調査技術開発された現在、それを我が国大陸棚のみならず、先ほどのお話もございましたけれども、大陸棚だけでも相当な世界の中でも大きい部分がありますけれども、世界全体に対して活用していく、このような施策が望まれるのではないかというようなことを述べていただいております。  今後、国内外で海洋資源調査の市場開拓、これを戦略的に取り組んでいくということが、世界に先駆けてこういったことを確立していく、これが大変重要であろうというふうに思っておりますし、調査の加速、こちらも重要であろうというふうに思っております。  海外展開に向けた政府間のトップセールス、こういったものも大切ではなかろうかというふうに考えますけれども、浦辺参考人の、現在の我が国状況、是非とも、この海洋資源調査技術の優位性の継続ということも含めまして、特に採算性でありますとか、お話ございました中国との関係の、台頭というところも含めて現在の状況と、今後どのような政策的後押し、これ、我々はこの調査会も含めて検討していけばいいのか、どのようにお考えか、お聞かせを願えればというふうに思います。
  14. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 質問、大変ありがとうございます。力を得ることができるような質問でございます。  まず、SIPの第一期で開発した技術というのは、海底熱水鉱床がメーンのターゲットでございます。これは、海底にありますのでなかなか人間は行けないわけですけれども、ただ、何か水中ロボットなり潜水艇で潜って見付けるということを超えて、陸上でやられているような、物理探査といいますけれども、この手法を海でできないかということでございました。  ただ、海水というのは電磁波を通しませんので、通常のやり方はなかなか難しゅうございます。これを改良して海底でもできるようにして、幾つかの足が速い、広い広域なエリアを探査するのに適した方法、それから、海底に設置した機器で詳しくその地下の性質を調べる方法、こういうものを幾つか組み合わせて一つのパッケージにしたのが統合海洋資源調査システムというもので、これをSIPの一期でつくり上げたわけです。  最後の年には、それを使って沖縄トラフの全く未知の海域でそのシステムを当てはめて、本当に見付かるのかということをやりました。結果、見付かりました。非常に残念ながら小さいもののようですけれども、海底面下四十メートルの堆積物の下に隠れている海底熱水鉱床を見付けることができたということで、ボーリングで確かめることができたわけです。  このシステムを外国に持っていこうということで、御質問にありましたように、似たような地質がある部分というのが太平洋の島嶼諸国でございます。例えば、トンガであるとかフィジーであるとか、そういうところですね。そこに我々も出かけていって、何とか使ってもらえないかということをやりました。それから、外務省さんにもお手伝いをいただいたわけですが、残念なことに、なかなか資本がないということで今は成功しておりません。  ただ、例外はノルウェーでございまして、ノルウェーは彼らの大陸棚の中に海底熱水鉱床を持っていて、何度か相談をして、我が国技術を輸出することはできなかったんですが、大分相談に乗って、彼らはその我々のやろうとしたことを彼らなりの方法でやって、見付けることができています。  今後、この日本技術的優位がある中で様々な努力をしております。特に、UNCLOSの下でつくられている国際海底機構、ISAのサイドイベントでは何回か出かけまして我々の技術紹介し、何とかこういうものを使ってもらえないかということをセールスをしました。  というのは、我々の技術というのは、技術がそこにあるだけではなくて、国内の企業に全て技術移転がなされているので、すぐに、例えばそういうオーダーがあれば民間の方が、大学、研究所ではなくて、民間の方が行ってできるように全部技術移転がされています。最終的に沖縄トラフで見付けたのも民間の方が見付けておられるわけで、そういう体制はできているんですが、マーケットがなかなかできていなくて、今後是非お力添えをいただいて、やはり先ほど御質問ありましたようにトップセールスでやっていただかないとなかなか、草の根で何度も何度もやっているんですが、なかなかマーケットがまだ少ないということで、この良さというのを理解いただけていない状況がございます。大変残念なんですけど、是非お力添えをいただいてやっていきたいというふうに思っています。
  15. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 ありがとうございます。  それでは次に、白石参考人に、同様の趣旨でございますけれども、我が国戦略的にどのような形でやっていけるかというところで、先ほどエネルギー安保、これを我が国の中で考えるのではなくアジア全体において、我が国のためにもエネルギーの安保ということを考えていかなければいけないというお話ございました。  大変そのとおりだというふうに思ったわけでございますけれども、その中において、我が国の、今様々な意味でエネルギー資源に乏しい我が国の中でどのような形でこのエネルギーの安保の分野でリードしていくことができるのか、我が国の求められている部分といいますか、できる部分あるいは可能性というところ、お教えいただければと思います。
  16. 白石隆

    参考人白石隆君) 白石でございます。どうも、非常に重要な質問ありがとうございます。  いろんなことができると思いますけれども、二点申し上げたいと思います。  御承知のとおり、今、日本政府は、インド太平洋という言葉でもって、特に海のアジアですね、具体的な国・地域で申しますと、台湾、フィリピン、ベトナム、インドネシア、マレーシア、シンガポール、インド、スリランカ、この辺りがずっと非常に重要で、実はマレーシア、インドネシアの辺りは資源豊かで、化石燃料豊かでございますけれども、それ以外のところはほとんどございません。  そういう中で、二つ私として早急に必要だなと思っておりますのは、一つは、実は多くの国でまだ日本が持っているようなエネルギー基本計画のようなものはございません。幸い、もう十五年くらい前に日本政府がイニシアティブを取って、未来の、あるいは将来のアジア版のOECDだということで、ERIAというものができております。エコノミック・リサーチ・インスティチュート・フォー・ASEAN・アンド・イースト・アジア、ASEAN・東アジア経済研究所ということで、これ今国際機関としてジャカルタに本部がございまして、それで、日本だけではなくてオーストラリアだとかインドが研究資金も提供しております。ここがイニシアティブを取って、是非やはりそれぞれの国がエネルギー基本計画を作り、さらには、それを踏まえてアジアとしてどういう協力すればいいかということはもうかなり重要なテーマであって、早急にやれることだろうと思います。  それからもう一つは、日本は既に国内消費量の二百日超の備蓄をやっておりますけれども、これをもう少しアジアのほかの国とも協力して増やして、これ別に日本国内に置く必要ございません。どこかエネルギー調達がうまくいかなかったときにそれを融通するようなシステム、これもすぐに対応できるんではないかと考えております。
  17. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 大丈夫ですか。
  18. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) どうぞ。
  19. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 済みません。ちょっともう時間なので心配しましたけれども、ありがとうございます。  最後に、石田参考人、私、三重県でございますので、風力のところ大変勉強になりました。一方で、メタンハイドレートのようなところについてどのようにお考えかということを、端的にで結構でございますので、お教えをいただければと思います。
  20. 石田茂資

    参考人石田茂資君) メタンハイドレートは私それほど詳しくございませんけれども、今のところ確認されている埋蔵量はたしかそれほど多くなかったような気がするんですけれども。  やっぱり再生可能エネルギーは一応永遠といいますか、使って減るものではないということなので、なるべくそちらの方をやっていくのがいいかなと私は思っております。
  21. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 ありがとうございます。  終わります。
  22. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 小林正夫君。
  23. 小林正夫

    ○小林正夫君 立憲・国民.新緑風会・社民の小林正夫です。  今日は、三名の方から貴重なお話を承りました。本当にありがとうございました。  私は、国が平和である、この根本は、エネルギーと水と食料の供給、これだと私は思っております。そして、今日のテーマのエネルギーについて考えますと、我が国の一次エネルギーの自給率が九・七%しかない、したがってほぼ外国に依存している状況だと、このように私は受け止めております。したがって、我が国の最たる弱点はエネルギーである、このように私は考えております。  そういう中で、今日これから御質問したいのは、エネルギーをどう確保していくのか、この視点で何点か質問をさせていただきたいと思います。  まず、白石参考人に質問をいたします。  参考人は、経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会の座長を務められており、昨年末に新たな国際資源戦略の策定に向けた提言案をまとめられたと承知しております。  国内の電源構成を見てみますと、石炭、石油、LNGは、二〇一八年度七七%となっています。国際社会が大きく変化していく中で資源外交を一層強めていくことが必要ではないか、中東情勢が緊迫化している中で国際資源戦略のポイントは何か、これが一点と。  もう一つ提言では、気候変動問題に関して、経済性エネルギーセキュリティーの観点から、アジア、アフリカを中心に今後も化石燃料を利用する状況は継続される見通しと、このように示されておりますけれども、脱炭素化について、特に石炭火力の今後の見通しについて参考人はどのようにお考えになっているか、お聞きをいたします。
  24. 白石隆

    参考人白石隆君) 白石でございます。  非常に重要で難しい質問でございます。  まず最初に、資源外交の強化、これはまさにそのとおりでございます。ただ、非常に日本の場合に難しいことは、資源を輸入しておりますのは、これは民間の企業でございまして、例えば中国のように国有企業に指示して中東からそれ以外の地域にもその資源開発に投資しろと、なかなかそういうことは言えないというのが、これが日本の事情でございます。  ですから、その中でどうするのか。私は、やはりJOGMECの役割を拡大するというのは、これは一つの方策だろうと。それからもう一つは、必ずしも、ちょっとこの提言にはそこまで、この提言は、これは委員会の提言でございますので、私の考えておることがもちろん全て反映されているわけではございませんので、ちょっと私自身の考えを申し上げますと、例えば日本のこれからにとってインド太平洋の国々の安定と繁栄が非常に重要であると。ということからすれば、例えば日本とオーストラリアの協力、特にLNGの分野での協力というのは非常に重要ではないだろうかというふうに考えております。  それからもう一つ、石炭火力、あるいは脱炭素と石炭の問題でございますが、これにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、確かに先進国では石炭は駄目だという方向に国際世論的に動いておることは事実でございますが、実際に、私のようにアジアを専門といたしまして、それでベトナムだとかあるいは南アジアの国々の指導者と話をする機会がございますと、彼らは必ずしもそうは考えていないと。やはり石炭というのは、CO2の問題すら対応できるんであればこれは考えるべきであるということでございまして、私は、現在の日本政府のスタンス、これ自体について政府部内でいろいろ議論があることは承知しておりますけれども、私は、このスタンスというのはこれでしかるべきではないだろうかと。  ただ、先ほども申し上げて、是非強調いたしたいことは、これから十年、十五年先を見渡しますと、もっと技術開発に投資をすべきだろうと。それでもって石炭がむしろカーボンリサイクルの形で有効利用できるようにするということが、日本にとってもアジアにとっても、もちろん世界にとっても重要なことではないだろうかというふうに考えております。
  25. 小林正夫

    ○小林正夫君 ありがとうございました。  石田参考人にお伺いいたします。  洋上風力のお話、大変興味深く聞かせていただきました。我が国でも、この国会でも、洋上風力を促進していくための法律が随分整備をされてきました。  それで、参考人は、風力発電が海に向かっていると、このようなことを講義をされたと、このように私お聞きをいたしましたけれども、我が国の洋上風力発電で考えてみると、遠浅の海が少ない、そして、欧州と違って海面に浮かべる浮体式が中心になるんではないかと私考えます。  それで、二月五日のこの調査会で伊波洋一先生がこの風力に対して御質問をしたときに、政府参考人の方が、浮体式風力発電はチェーンを付けて、上に浮かした形で風車を建てるというのが浮体式風力であると、これはまだ現在技術的に開発途上であり、ヨーロッパが非常に先行しているが、日本は実験を進めているところ、こういう状況であるというふうに政府の参考人がお答えになりました。  それで、先ほどの参考人のお話で、主力部分を造る、言わば風力の主力部分を造る人材が少ないんだということと、着床式より浮体式の方が費用が掛かるんだと、このようにおっしゃいました。日本は四方を海に囲まれておりますけれども、我が国は欧州のように風力発電が再エネの主力になるとお考えでしょうか。教えていただきたいと思います。
  26. 石田茂資

    参考人石田茂資君) 御質問ありがとうございます。  まず一番最初のお話でございますけれども、ヨーロッパが進んでいるか日本が進んでいるかという話は、私はまだはっきり言えないと思います。  日本で今浮いている風車が全部で四基ございまして、福島沖に三基浮いてございます。それから、響灘に今一基浮いております。  それから、五島の風車は、環境省の事業として約五年前に浮いたものが今も元気で発電しておりまして、これは環境省から五島市の方に移管されまして、今ずっとFIT価格で売っておりますので、建設費は環境省持ちですが、一応商用運転ということでやっておりますので、これはあくまで予定でございますけれども、促進区域に今、五島沖が指定されましたけれども、あそこは同じタイプの風車が浮く予定だというふうに私は聞いております。すなわち、その段階では完全に商用運転になるということになりますので、そういう意味では、純商用運転という意味では、実は日本世界で初めて成功するんじゃないかと私は思っております。  二番目の御質問で、御承知のように、確かに浮体で浮かすと何らかの係留をしなければなりません。チェーンも、もちろん水深にもよるんですけれども、長いものですと浮体からアンカーのところまで千メートル、二千メートルになったりする場合もございます。そうすると、例えば底引き網をやっているような方には近寄らないでくれとか、そういういろいろな問題がちょっと出てくる可能性はございます。そこはどううまくやっていくかということだと思いますね。  あと、費用に関しまして言うと、いろんな試算がございまして、かなり大量生産効果があると。例えば、ヨーロッパのウインドファームのように百基ぐらいまとめてやると実は物すごく値段下がるという試算もありますので、それはこれからの課題であって、その辺がうまくいけば日本の海はかなり風力発電に利用できるんじゃないかというふうに考えております。
  27. 小林正夫

    ○小林正夫君 浦辺参考人に一問だけお聞きいたします。  日本大陸棚世界で見ても第一級の豊かな資源であることが知られていると、先生そのようにおっしゃっていました。  海底熱水鉱床については、先ほど技術的な開発について触れました。全体の資源開発海洋資源開発、要は取り出す技術、これは現状どうなっているんでしょうか。それで、将来そういうものが取り出せることができれば少資源国から資源が豊かな国になる、こういうような日本になるんでしょうか。どのようにお考えでしょうか。
  28. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 現在知られている限りは、まだ海底資源資源量というのは陸上に比べて量が少ないということになります。ですので、陸上資源を全て海底からの資源で賄うということはなかなか難しいのではないかというのが今現在皆が思っていることです。  一番多いのはマンガン団塊でございますので、これを掘り始めると大分様子が違ってきますが、マンガン団塊は先ほど説明しましたように国際的な海域でございまして、なかなか対立が激しい状況で、今すぐは難しいということになります。日本大陸棚の方が、そういう意味で、国内法を整備していくことによって足が速いということになります。  それで、海底熱水鉱床に関して言えば、もし五千万トンの資源量が見付かれば商業的に始めることができる。まあ量的には、なかなかそれで輸入を全て賄うということは難しいというふうに今思っています。  コバルトリッチクラストに関して言えば、取れる元素が全く熱水鉱床とは違うものが取れますので、どちらが先に商業的になるかというのは、将来の社会がどういう元素を必要とするかによってやっぱり変わってくるというふうに思っています。コバルトリッチクラストに関しても、JOGMECが今年からどういうふうにして取るかというふうな検討が進められて、技術的な問題が解決すれば将来的な見通しが出てくる、まだそれが海底熱水に比べると少し遅れているという段階だというふうに思っています。  ちょっと答えにならなかったんですが。
  29. 小林正夫

    ○小林正夫君 ありがとうございました。  終わります。
  30. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 秋野公造君。
  31. 秋野公造

    ○秋野公造君 公明党の秋野公造でございます。  三人の先生方、今日はありがとうございました。  まず、浦辺先生、お伺いをしたいと思います。  先生のSIP、毎年楽しみにさせていただいておりまして、特に始まった頃などには沖縄で海底資源シンポジウムなども開かれたりしまして、国会での答弁の状況でありますとか、そういったことの説明を担わせていただいたりしていたこともあったわけですが、あの頃ちょっと、たくさんの関係者がそのシンポジウムに集まっていました。廃棄物関係者でありますとか、いろんな仕事が沖縄で増えるのではないか、こういった期待感を持って多くの方がすごく関心を持っていたんですけど、だんだんだんだん参加する層が変わってきまして、産業化というよりも資源自体に関心がある方が今度は多くなってくるような、そういう変遷であったんです。  二十九年に揚鉱に成功いたしまして、それがどこに運ばれるかといったことは大変関心が高かったんですけど、秋田県まで運ばれたということで、沖縄に運ばれたならば沖縄の産業を盛り上げる、そういうことにすごく寄与するのかなと思ったんですが、残念ながら、地元からは声も手も挙がらなかったということでありますけれども。  先生、この先に、先ほどの小林先生の御質問にもちょっとかぶるんですけれども、どういう形で商業化に進んでいくのか、それは、例えば自治体などが手を挙げて、自治体、公営とは言いませんが、そういう形で進んでいく形になるのか、それとも専門的な業者で、これ外資などが入ってくると何だか残念だなという気持ちもちょっとあるわけですけれども、どういう形で今後、技術はもう世界で有数のものがどんどんできている状況で、これが国民の生活を豊かにする、その途中の過程というのはどういうことが考えられるか、先生、お考えがありますれば教えていただきたいと思います。
  32. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 御質問ありがとうございます。  まず、海底にある鉱物ですけれども、これ誰のものかといいますと、陸上ではもちろん会社の持ち物なんですが、海底鉱物に関しては、鉱業法が改正されまして特定鉱物という呼び方になっていて、これは明治の頃の鉱業法と同じように国のものになります。明治の頃は、国のものを民間に渡して、三菱とか住友だとか三井、日鉱という会社開発をしたわけです。それと同じような形が今後出てくる、海の底ではそういう形になると思います。  ただ、法的な整備はまだ進んでおりません。それで、鉱業法はできているんですけれども、鉱山保安法に相当するようなもの、それから環境基本法に相当するようなものがまだできていませんので、この法律の整備、非常に急がれます。特に環境に関しては、ガイドラインがきちっとできないと大変怖いものがございます。何か途中で石を投げられたり、何か環境がまずいという形で企業に対して罰則が掛かったりすると、これは大変まずいということになりますので、まずその法的な整備、これが一番大事でございます。  その次に、掘り始めて、この間、揚鉱したものは秋田に運びました。これは、秋田県の花岡鉱山、松峰鉱山という鉱山にちょうどそういう選鉱の設備があったものですから、小さな部屋、このぐらいの部屋のところにパイロットのものを造ったわけで、本格的な操業になるとまた大きな選鉱場というのを建てる必要が出てきます。その場所がどこかというのは、もちろん全く決まっておりません。  ですので、鉱石を海面まで揚げてくる揚鉱とその以降のシステムは全然別のことになります。これは全くの私見ですけれども、海面まで鉱石が揚がってくると日本鉱山会社は大変興味を持っておられるんですが、揚げるところは全く経験がないので、そこに関してはまだ未解決の問題がたくさんあるということで、何かコンソーシアムをつくってやっていくことになるのかなと。  鉱石日本鉱山会社に入ればそれでいいのではないか。もう少し視野を広げて、どういうコンソーシアムが可能かというのはこれから検討していく必要があると思いますし、その段階で、沖縄でそういう拠点ができると、これはもう間違いないことでございますし、また、先ほど紹介しましたごんどうサイトは陸から、島の海岸から四十キロしか離れていないので、ケーブルをやったり、いろんなことを、陸から延びていくということも十分考えられる、そういう非常にユニークな鉱床でございますので、これから様々な検討がされていくというふうに思っております。
  33. 秋野公造

    ○秋野公造君 先生、ありがとうございました。  白石先生にお伺いをしたいと思います。  海を通じて世界とともに生きるということで、今日先生のお話を伺うと、これから日本が立ち向かっていくためには、自国でできることは自国できっちり行うという仕組みづくり、少々高くとも、安くて、そして連携をしていくということが重要という方向性で多分世界と仲よく安定をしてきたということになろうかと思いますけど、今日のデータなどを見せていただきますと、やっぱり国内で物を作るということが非常に重要な状況なのかなと思いました。  これも小林先生と重なるんですけど、例えば食料とかエネルギーといったものは特に自前で努力をすることを上げていく、これが当面我が国に求められていることになるのか、ちょっとそこら辺を、先生、御指導いただきたいと思います。
  34. 白石隆

    参考人白石隆君) どうもありがとうございます。  全くそのとおりだと私も考えております。自分で、日本ができることは日本ですると、しかも国と民間が一緒になってすると、それがあって初めてほかの国との協力も信頼されるし、できるようになるということだろうと考えております。先生のおっしゃるとおりだと思います。
  35. 秋野公造

    ○秋野公造君 先生、ありがとうございました。  それでは次に、石田先生の資料の国内産業の空洞化のお話がありました。  響灘で、まさに港湾法の改正が行われたときには、北九州市は仕事が増えると物すごく大きな期待が高まりましたけれども、さあ実際に、今日、先生のお話のとおりで、輸入されるものが非常に多いんだという現実も市民がだんだん受け止め始めているところなんですけれども、これも、先生、今から追いかけていって盛り返すことができるのか、盛り返すべきなのか、ここらを先生にお伺いしたいと思います。
  36. 石田茂資

    参考人石田茂資君) 大変難しいというか、ちょっと端境期というか、今ここで弱ってしまうとなかなか難しいのかなというふうに思います。それで、日本技術力がないわけじゃないんですよね。やっぱりサプライチェーンがある程度できている中であえて日本の部品を使う必要はないとか、そういうこともあるかと思います。  それで、先ほどちょっと申し上げたのは、台湾ですと、今五・五ギガワットの洋上ファームを造りつつあって、政府もこれは非常に力を入れていて、内製率、調達率、何か四、五〇%か何か、すごい高いところに置いているとかいう話も聞きました。それでヨーロッパのメーカーがもう工場を造らざるを得ないみたいな話もございましたけれども、やっぱりマーケットがあると発言力強くなるので、そういった中でちょっと後押しをしていただいて、やっぱりそういう技術をなるべく残していくということは非常に大事なことじゃないかなというふうに思っております。
  37. 秋野公造

    ○秋野公造君 終わります。ありがとうございました。
  38. 鶴保庸介

  39. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文でございます。  ありがとうございました。  まず、浦辺先生にお伺いしたいんですけれども、海底資源開発がなかなか簡単じゃないなということ、これはずっと感じてきたことでありますし、今日も、なかなか様々な課題があるということ、これを教えていただいたと思います。採算性もなかなか不明であるといったことでした。ただ、私は、その中でもしっかりとこれ初期投資をするべきだというふうには考えておりますけれども、先生が長期資源戦略を持つことが必要だということをおっしゃっております。  そこで、これはその海底資源開発をしていく上で、どのタイミングでどれくらいの自給率というか、どれくらいの採掘ということなのか、輸入と自給のバランスですよね、これを、どの辺りをどのタイミングで目指していくのが妥当という、その目標を持つのが妥当だというふうにお考えになるのかどうなのか、この点についてお聞かせいただければと思います。ちょっと漠としていますけれども、済みません。
  40. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 経済産業省では、ちょっと時代は古いんです、平成三十年代後半以降に民間が参画する海底資源開発をやるということでございます。令和に変わりましたので、令和十年くらいまでにはそういうことをやるという形で、今のところ資源エネルギー計画、開発計画というのは着々と進んでいるので、その分を進めていけば十年ぐらいで何らかの形ができてこなくてはいけない。技術的なものはそのように着々と進んでいるんですが、それ以外の様々な体制に関しては少しまだ、何というか、後ろから押す力がまだできていないのかなという感じはしております。  ですので、タイミングとして見ると、今政府の決めておられるのはあと十年ということでございますけれども、こういうものはほったらかしておくと十年たったらできるというものではありませんので、やはり次々後押しをしていくことは非常に必要だというふうに思っています。それが一番大事かなと思っております。
  41. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。  そういった意味では、今、十年間である一定の形ということをおっしゃったわけですけれども、例えば、私たちは隣国の中国等々とこれ競合するということになってくると思いますけれども、そういった他国のこのスピード感と我が国のスピード感といったものを比較したときにどのように見えていらっしゃるのかなということをお聞かせいただければというふうに思うんですが。
  42. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 中国は、二百海里、EEZは隣国とほぼオーバーラップするところが多くて、その中にはエネルギー資源はあると考えられますけれども、鉱物資源に関しては全くありません。  それで、いわゆる深海底、公の海の底に移っておりまして、今ISAの元には約三十の国が申請をしているわけでございますけれども、鉱区の申請をしておりますが、中国はその中で五つも出している最大の国でございます。  それで、中国は、公の海、深海底での資源開発を目指しておりまして、それに向けて着々と法律の整備を進めております。習近平主席の掛け声の下、今までやはり環境問題はいいかげんだというような風評があったわけでございますけれども、環境問題に物すごくきちっと対応するという法律も作り、それに伴う様々な法整備を進めていて、技術的な開発も物すごく速いので、もう直ちに抜かれてしまうような、そういう焦りを感じております。  ただ、中国だけが前に進んでも、やはり国際的な同意がなければできないので、最終的にはやはり大陸棚の中で開発ができる日本の方が有利だと思いますので、是非そこのところは中国に負けないような法整備をきちっとやって、第一番目に日本海底資源開発をすべきだというふうな、そういうふうなメリットを生かしていくべきだというふうに信じております。
  43. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございました。  白石参考人にお伺いしたいんですけれども、アジアのエネルギー協力が重要なんだという話、エネルギー安全保障の話ですね、よく聞かせていただきました。ありがとうございました。  そこで、これは先ほどもおっしゃっていたんですが、グローバルな課題にアジアとしても対峙していくんだという話がありました。その中で新型肺炎対策という話が先ほど出てきたわけですけれども、現状のこの新型肺炎対策を御覧になっていて、アジアの中での日本の取るべき役割、そして現状どのようにこの役割を果たしているように御覧になっているのか、そして足りない部分はどうなのかといった観点からちょっとお話をいただけるとうれしいんですけど、いかがでしょうか。
  44. 白石隆

    参考人白石隆君) どうもありがとうございます。  なかなか微妙な問題でございますが、率直に申し上げまして、これはある意味では、私、この分野の専門ではないので、私が臆測するにということで受け止めていただきたいと思いますけれども、やはり新しいタイプのウイルスでこういうことになったので、専門家も含めて、これがどのくらいの感染率であって、どのくらいの致死率を持っていて、どのくらい深刻なものになる、誰も分からない、そういう中でこの二か月広がってきたと。  今から振り返ってみていろいろ政府駄目だと言うのはこれ簡単なんですけれども、私の印象ですと、手探りしながらそこそこ対応はしてきたのかなと。ただ、クルーズ船の問題は、これは、ほかにどういう対応の仕方があったのかと言われれば、私は、正直申しましてほかに何か対応の仕方があったかどうか分かりませんが、少なくとも外国に対する説明というところでは日本政府は打たれっ放しになっているというふうには考えております。  それからもう一つ、ここは是非先生方にも注意していただきたいんですけれども、日本の場合にはやはりテクノロジーが非常に進歩しておりますので、恐らく十五年とか二十年前だったら分からなかった微量のウイルスでも検出できるようになっていると。それが感染ということでは非常に大きい感染者が出ている私は一つの理由じゃないかと実は考えておるんですけれども、必ずしも感染者が全部発症するわけではございませんし、こういうテクノロジーを持っていない国も多くございます。  実際に、今世界でどこにどのくらい感染者がいるかという地図を見ますと歴然でございまして、全く出ていないところが本当に一人も感染者いないのか、そんなことはもうあり得ない話だと私は思いますので、この辺りはやはり非常に注意して、私自身はそもそも大学の研究者でございますので、こういう問題については、こういう状況のときに自分だったらどこまでできるのかなと、そのときにどこまで説得力があるのかなということを是非考えて対応をすべきだろう。  それで言いますと、やはり残念なのは、もっと批判に対しては毅然と、この状況ではこういう判断があるんだということは言ってよかったし、それからもう一つ、ちょっと繰り返しになりますけれども、これからキットや何かが出てくると思いますので、こういうものはどんどん国際協力の一部としてやはり出していくべきだろうと考えております。
  45. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございました。  私は、日本はこの公衆衛生上の問題でこそ、このアジアではリーダーシップを持って、様々、支援等も含めて先頭に立つべきなのではないかというふうに考えているということなんですけど。  あと一問だけいいですか。済みません。  日中関係なんですけれども、経済的に非常に結び付きが強いと、端的に申し上げますけれども、なんですけれども、価値観という意味では、ウイグルの人権問題や香港の問題、また、台湾との関係といったことがあると思います。今後、日中関係において何を考えていけばいいのか、ちょっと漠としていますけれども、御示唆をいただければと思います。
  46. 白石隆

    参考人白石隆君) ありがとうございます。  これ、極めて重要な問題でございます。私自身は、先ほども少し申し上げましたけれども、安全保障と産業の両方に関わりのある先端それから新興技術が米中対立の焦点になっております。これは、日本の立場から見ますと、サプライチェーンがどこまで分断されていくのかというところで恐らく一番はっきり出てくると思います。これ、産業の分野によって違います。私は、正直申しまして、半導体のような分野というのは相当これから難しい、いわゆるデカップリングの問題に直面するのではないだろうかと考えております。  ただ、じゃ、一般消費財のところでどうか。私は、そんなことはないし、そういうところでは協力すべきだろうというふうに考えております。これは、決して中国を利するということではなくて、やはり日本にとっても中国にとっても利益になるところは協力した方がいいという、非常にそういう、言ってみればプラグマティックな考えでそう考えております。
  47. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございました。
  48. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 伊藤岳君。
  49. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。  参考人のお三方、ありがとうございました。  環境保全に配慮した開発が私は重要だと思っております。そこで、伺います。  海洋基本法では、海洋環境の保全を図りつつ海洋の持続的な開発及び利用を可能とすることとされ、海洋政策はこれに従うことになっています。環境省は二〇一六年に生物多様性の観点から重要度の高い海域を公表していますし、自然環境保全法では海洋保護区も位置付けられています。  こうして指定された海域や保護区と開発エリアが重なったとき、海洋基本法が定めた海洋環境の保全はどのように守られるのか、守られるべきなのか、浦辺参考人白石参考人のお考えをお聞きしたいと思います。
  50. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 御質問ありがとうございます。  この海洋環境については、もうこれは守っていく、開発をする前に必ずそういうことをやるということは、もうこれは必然だと思っております。  ただ、懸念もございます。それは、いわゆる観念的といいますか、一歩も手を付けてはいけないというような観念的な環境保護というのは、必ずしも人類の福利と合い、うまく組み合わさっていくものではない。それで、基本的にはきちっとサイエンティフィックにどういう影響があるか、あるいはその影響を減らす方法があるのかということをモニタリングし、エビデンスベースドでやっていくという必要がございます。  それを、今の議論の中ではそれがなしにいろんな変な議論が行われることも間々あるということでございますので、日本としては、きちっと環境を見ていく技術をまず開発して、それでスタンダードを作ってガイドラインを作って、ここから以上は駄目ですよということをやった上で開発に取りかかる必要がございます。  一例を挙げさせていただきますと、深海底でこういう開発が行われるわけですけれども、深海底で一年間、春夏秋冬、余り季節の影響はないとはいえ、一年間そこでどういう環境なのかを見て、それから開発計画を立てる必要があるわけですけれども、世界的に見て、日本しかそういう一年間ずっと見れる機械を開発した国はない。SIPではそういう機器を開発して、今世界中でそれは売れているんですが、そういうものをベースにした上で作っていく、開発をしていくということが必要で、それが今できるのは我が国だけだというふうに思っていますので、エビデンスベースドでやっていく。    〔会長退席、理事二之湯智君着席〕  それから、保護区の問題も、今、海洋保護区、八%ぐらいつくっておりますけれども、開発地域からは少し離れております。ただ、こういう問題に関しても、非常に柔軟的に順応的管理をしていくことによって、様々な多重の用途が海底にはございますけれども、それを解決していくことは可能だというふうに思っております。
  51. 白石隆

    参考人白石隆君) ありがとうございます。  海洋開発環境については、今、浦辺参考人が言われたことで大体私も尽くされていると思いますが、一点だけ付け加えさせていただきますと、環境の問題あるいは脱炭素、気候変動の問題、確かに一方では人類にとっての非常に大きな課題ですが、同時に、国際政治のレベルで見ますと、こういうものを言わば使いながら自分たち、自国にとって有利な形でゲームをつくっていこうという、そういう動きがあることも間違いございません。  ですから、日本としましては、それをただ制約条件だというふうに受け止めるんではなくて、先ほどからSIPのお話が出ておりまして、私はあれは非常にいいプログラムだったと考えておりますけれども、こういうもので国としてもやはり科学技術に投資して、この制約条件を逆に日本の優位にどうやって転換していくのかという、そういう政策的な考えが要るというふうに考えております。
  52. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 ありがとうございます。国会で議論を重ねていきたいと思います。  洋上風力発電と環境の保全についてお聞きします。  洋上風力発電計画が今秋田で一気に進んでいますが、環境面において不安の声が広がっていると聞いています。由利本荘市の計画では、八十八基の風車が陸から僅か一キロ余りのところに二列で並ぶというもので、これだけ風車が建ったら夕日を見れる状態ではないという声が上がっていると聞いています。漁業への影響にも心配の声が出ています。再エネ海域利用法では、発電事業の実施により漁業に支障が及ぼさないことが見込まれることとガイドラインを定めていますが、由利本荘市などでの調査はいまだ行われていません。  石田参考人にお聞きします。  秋田で進んでいるこの洋上風力発電計画について、環境面での影響について御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  53. 石田茂資

    参考人石田茂資君) 秋田でどうというところまではちょっと私詳しくは存じ上げないんですが、一般論として言えば、そういった不安が出るというのはこれは当然だと思います。日本でまだそういった大規模なウインドファームというのは存在しない以上、それはそのとおりだと思います。  当然、環境アセスの対象になるわけですけれども、今の再エネ海域法ですと、まず、促進海域に指定された後がたしか環境アセスに入る手順になっているので、まだその辺は、どういうアセスをしていくかというところははっきりしていないと思うんですが、当然、漁業問題はそれでは対象になります。それはやっぱりそのときの知見を総動員してやるしかないんだと思います。  それから、やはり一番問題になるのは景観の問題ですね。これは、数字で割り切れるものではございませんし、別に平気だという人もいれば、自分が愛してきたふるさとの夕日が汚される、断じて許せぬという人はもちろん当然いるわけでございまして、それは私のところの佐賀県でもちょっとそういったところはあるんですけれども、そこは本当に私も正解はちょっとございません。やはりどう折り合いを付けていくかということであろうかと思います。  あと、漁業影響を一点だけ言えば、ヨーロッパの海では今四千五百ぐらい風車が建ってございますけれども、取りあえず、そんなに大きな影響があったという話は一応出ておらないようですので、もちろん、日本の海とヨーロッパの海で違いますし、魚も違いますので、そこはきちっと検証はしていかないといけないんですけれども、個人的には、それで魚が捕れなくなるとか、そういうことはないと思っております。  ただ、先ほど申しましたように、特定の漁法がちょっとやりにくくなるとか、そういったことはあると思いますので、それはその地域地域でまた見ていかないといけない問題だろうというふうに思っております。
  54. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 長崎県五島市、先ほど紹介があった、営業運転が開始された洋上風力発電設備ですが、市民との協議を繰り返して信頼関係も生まれているという話も聞いています。この市民参画という点での教訓や、また更なる課題もあると思いますが、石田参考人の御所見があればお聞きしたいということが一つ。  また、この五島市の例は、先ほどの秋田の着床式とは違って、いわゆる浮体式と呼ばれる海底に基礎を置かない方式でありまして、沖合五キロのところに敷設をされて、漁業への影響調査でも、海中の支柱部分に海藻が繁茂し、魚が集まり、魚礁になる可能性も出ているという報告もあると聞いています。同時に、コスト面などの課題も指摘されています。  この浮体式の設備について、環境保全との関係での展望や課題の御所見、石田参考人にお聞かせいただければと思います。
  55. 石田茂資

    参考人石田茂資君) 環境問題ということでいいますと、着床式の、例えばパイルを打つようなケースですと、流れがあると、いわゆる洗掘というか、ちょっとえぐられたりとか、そういったようなことがあったりします。そういった対策をしたりします。  それから、一番影響が大きいと言われているのは打ち込むときですね。これはさすがに音と振動がしますので、そういったところの対策をヨーロッパでも取っているところがございます。例えば、周りにあぶくがばっと上がるようにして、そういうところで音が拡散しないようにするとか、いろいろな工夫がされているところでございます。  浮体式はそういうところがないわけですけれども、やはり係留というところですね、先ほど申しましたように、チェーンがある程度長く海底をはうようなことがありますので、浮体式ですので、例えば台風が来たときとか、ある程度動いたりします。そうすると、チェーンがちょっと海底をこすったりするようなこともございますので、一般的には浮体式の方が環境影響は小さいと言われてございますけれども、そういうところも少し見ていかないといけないかなというふうに思います。  それから、魚礁効果ですけれども、おっしゃったように、非常に藻がいっぱい付いているということでございまして、何か魚礁というと魚がただ集まってくるような印象があるんですけれども、そうではなくて、そこで餌をついばんで卵を産んで子育てをするというか、そういう増える要素が非常にあそこではあるというふうに聞いておりますので、そういったところは是非伸ばしていけたらいいんじゃないかなというふうに思っております。
  56. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 ありがとうございました。  質問を終わります。
  57. 二之湯智

    ○理事(二之湯智君) 伊波洋一君。
  58. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。  三名の参考人の皆さん、本当にお話ありがとうございました。  最初に石田参考人にお伺いしたいと思います。  説明の中で、洋上風力環境アセスメントが一・三ギガキロワット分、二十五か所ですかね、現在進行しているということで、長期計画の見通しも変えるべきじゃないかという御質問でした。これについては、基本的に風力発電の装置そのものは主に外国から輸入するようになっているんでしょうかね、そして今FITで三十六円で買い入れられているということなんですけれども、先日の資料、別の委員の資料を見ますと、ヨーロッパでは四・四円から五円ぐらいでコストを見積もられているという話なんですけれども、国外から輸入してくると、この装置そのものですね、いわゆるそれだけの同じ効率のいいものができ上がってくるんでしょうかね。そこら辺の状況、このアセスメント、事業主体側も現にやっていらっしゃると思うんですけれども、その見通しはどうなんでしょうか。
  59. 石田茂資

    参考人石田茂資君) アセスメントは、これは事業者が地方自治体の了解を得ればできるわけでございまして、一言で言えば、やろうと思えばできるということでございますので、全部が全部実現するかどうかはまた別問題ということでございます。  そこに持ってくる風車ですけれども、先ほど四・五円とおっしゃったのがちょっとどういう意味か私は分かりかねるんですけれども、先ほど申しましたように、ヨーロッパの洋上風力はもう既に陸電と同じレベルになっていると。実勢価格でいうと、八円、九円ぐらいじゃなかったかと思うんですね。そこまで、四円はちょっと安過ぎるんじゃないかと思うので、例えば、何ですかね、一キロワット当たりの風車の建造費とか、何かそういう話とちょっと混じっちゃっているのかなという気はいたします。    〔理事二之湯智君退席、会長着席〕  それで、昔から日本の風車とヨーロッパの風車と比べると実は輸入の方が安かったというのがありまして、日本の風車メーカーが元気だった頃も、国産風車の割合は二割、三割ぐらいだったという時代がございます。  そういう意味で、やっぱり海外メーカーの方がもう年間何千基みたいに造っているので、やっぱり大量生産効果で安かったんじゃないかなと思うんですけれども、そういう意味で、輸入風車はもちろんリーズナブルな値段で入ってくるとは思いますけれども、その四円とかそういう話はまたちょっと別かなと思います。
  60. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 焼却施設とかあるいは水の浄化施設のメーンの大きなものは大概中国等で造られて、装置が据え付けられると。日本のメーカーにしても多いんですね。  そういう意味では、ヨーロッパの方が進んでいて、それを持ってきても、エネルギー自給率、いわゆる一〇%にも満たない自給率というような状況の中で、それで、プラス、先ほど、一・七じゃなくて一七%ぐらいとか二〇%ぐらいの風車の自給率を上げる効果があれば、風は日本の風ですから、それはいわゆる自給率の中に入るんでしょうか、どうでしょうか、風車となると。
  61. 石田茂資

    参考人石田茂資君) それは統計上は入るんじゃないかと思います。私は統計の専門家ではございませんけれども、それは自給に入ると思います。
  62. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 分かりました。  それじゃ、この一・三ギガのやはり洋上風力等をきちんとやれば、風力発電の、要するに火というのかな、スタートが、付くのじゃないかなと思うんですが、それと別の浮体式の方ですね、これは全部浮体式じゃないですよね、まず。浮体式の方の可能性というのはコストの面からいうとどうなんでしょうか。
  63. 石田茂資

    参考人石田茂資君) まさにそこが一番のネックだと思っておりまして、先ほど申しましたように、日本でも福島沖に三基、正確に言うと、更に変電所も浮体で造っておりますので四基やって非常に高かったという話になっておりますけれども、五島のいわゆるスパー型という釣りの浮きのようなやつは非常に形が単純ですので、あれはかなり安くできそうだと。あそこのは、下半分はコンクリートで造っておりまして、これは日本で初めて始めたことなんですけれども、コンクリートですと、割と地場産業というか、遠くから持ってこなくても造れるということもありまして、ある程度数をそろえれば安くなるという話は聞いております。  ですから、着床も、ヨーロッパの決まり切った、くいをがんがん打てば終わりというところならともかく、日本のような複雑な海底地形でどうなのかという優劣はまだこれからもう少し見ていかないといけないんじゃないかなというふうに思っております。
  64. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 海の風車と陸の風車というのは違うんでしょうかね。つまり、陸の風車はよく見ますよね、日本国内でも。日本国内の風車もほとんどやっぱり今、欧米からの輸入なんでしょうか。
  65. 石田茂資

    参考人石田茂資君) そうですね。実態としては八割以上ですかね、輸入になっていると思います。
  66. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 エネルギー自給率の面では、陸の風車も含めて風車は一応カウントされているんですよね。それはどのくらいなんでしょうかね。
  67. 石田茂資

    参考人石田茂資君) 現在は一%行かなかったと思います。〇・八とか、そのぐらいだったと思います。
  68. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ありがとうございました。  次に、浦辺参考人の方にお伺いしたいと思っております。  先ほどの資料の中で、再生エネルギーを使うときには金属が必要であるという。強力な磁石とか、そういうのにかなり希少な金属が必要だということがよく報じられますが、磁石やあるいは太陽光発電の素子とかで特にこの金属が必要なんだということが特定されているんでしょうか。
  69. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) こういう再生エネルギーをベースにした電気社会でございますけれども、これは、特に目立つのはコバルトであるとかリチウムであるとか、リチウムイオンバッテリーというのが、の二つ元素に関しては非常にはっきりしております。  ただ、ほかのものに関してはまだ、特定のこれがあれば十分というものはなかなかありませんで、送電、発電、それからいろんなデバイスを作っていくという中で様々な元素が必要になってくる。今現在知られている元素はもうほとんど何らかの要素を持っておりまして、それを足し算していって作ったのがこの図なんですね。ですので、どれか一つあればいいというものではありません。全部必要ということです。
  70. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 海底の熱水鉱床とか、沖縄伊是名沖であるとか、あるいはごんどうサイトとか、何かごんどうサイトですか、沖縄に関する場所なので、沖縄の周辺の海底がそういう資源の海なんだなということを理解いたしましたけれども、実用化の見通しといいますか、大体いつ頃を目指しているんでしょうか。
  71. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 大変難しい問題です。私もなるべく早くそういうことが起こればいいなということで、一応先ほどもお答えしましたように十年ということを考えているわけでございますけれども、そうですね、やはりこれは民間が決断をしなければいけないということになります。  今、各鉱山会社資源企業というところにいろいろと話をしておりますけれども、やはり海底という新しい環境で揚鉱するということに対する抵抗感というのがすごくあることも事実です。  片方では、四千四百メートルのところに行って〇・四%を掘るのに対しては非常に多額の投資をする決断をされているわけですし、ほかにも〇・四%の鉱山チリ幾つかあって、それはみんな日本の企業が参入しているんですね。なんだけれども、高品位だといえ海底ってなかなか難しくて、やはりそういう海底のマリンテクノロジーみたいなものは特にヨーロッパ、アメリカでは盛んですので、そういうものとジョイントを組むということもあり得るんではないかなと。特に、対象としては沖縄の海域ということになるので、そこら辺の可能性も少し検討しないと、なかなか今のところ前に進まないのかなという印象は持っております。
  72. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ありがとうございました。  最後に、白石先生に一問だけ質問させていただいてよろしいでしょうか。  白石先生のお話で、今、アジアの経済サプライチェーンも含めてかなり密接に結び付いているということがございますし、そういう中でデカップリングの、いわゆる切離しの問題がありました。  米中の間で、はざまで日本が、私はどちらかといいますと、日本経済は本当にそういうサプライチェーンが東南アジアや中国にも張り巡らされている。東南アジアと中国の貿易総量はアメリカの二倍あるわけですよね、今や日本はですね。むしろ、私の方は、防衛、安全保障の方を少しデカップリングした方がいいんじゃないかと。つまり、東南アジアもかなりデカップリングしておりますので、そういう相手とつながっていくということであるならば、もういつも安全保障がまずぼんとあって、そのほかの経済関係がそれに従うようなことからちょっと離れた方が日本はいいんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  73. 白石隆

    参考人白石隆君) これについて、我々日本国民の中に大きな対立があるということは間違いないと思いますけれども、アジアの国際関係の一番根本的な特徴、これは二十一世紀に入ってみんなに分かる形で見えるようになったのは、今先生が言われたとおり、アメリカを中心とする地域的な安全保障の仕組みと、それから、もうこの三十年進んでまいりました通商、投資、サプライチェーンの仕組みが構造的に言わば矛盾しているというか、緊張がどんどん高まっているというのが、これが現実でございます。  私自身は、過去七十年以上にわたって日本は、アメリカとの安全保障条約体制、さらにはアメリカの同盟国、パートナー国との連携によってこの地域の平和と安全を維持してきたので、これは守った方がいいだろうと。だけれども、それは経済的に全てデカップリングを受け入れるということにはならないだろうと。ですから、一言で申しますと、日米同盟、日中、何というんですかね、協商とでも言うんでしょうか、こういう関係を考えた方がいいんではないだろうかと考えております。
  74. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ありがとうございました。
  75. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 以上で各会派の一巡目の質疑は終了いたしました。  他に質疑のある方は挙手を願います。  石川大我君。
  76. 石川大我

    ○石川大我君 立憲・国民.新緑風会・社民の石川大我でございます。  三名の参考人皆様、お忙しい中、貴重なお話をいただきまして、誠にありがとうございます。  浦辺参考人にお伺いをしたいというふうに思っております。  参考資料の御著書を読ませていただきました。海の中のお話ということで、宇宙と同じように何か未知の部分があってロマンのあるお話だなというふうに思いました。  その中でも、先ほどもちょっとお話が出ましたが、日本には延長大陸棚を含めて国土の十二倍を超える大陸棚があるというふうに御指摘をされまして、日本は、採鉱技術調査技術、そして環境モニタリング技術開発されていて、世界に例を見ないというふうにされております。  海洋環境配慮した海底資源開発を進めるべきというふうにお話をされておりますけれども、具体的にこの優れている点、先ほど一年を通してモニタリングができるというようなお話も出ておりましたが、この日本の優れている点を教えていただければというふうに思っております。また、政府への要望などもあれば併せてお聞かせいただきたいと思います。  環境保護の問題ですけれども、地上と違いまして海中というのは誰も住んでおりませんので、何か環境破壊のようなものが起こったときには、地上ですと人々が何か告発をするとかそういったことができると思うんですが、なかなか海中ですとその開発をしている人たちのみしか知らないという部分で、私たちに知られないという部分も多いと思いますが、その点、注意すべき点というものがあればお聞かせ願えればと思います。
  77. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 御質問ありがとうございます。  技術という意味では、海の底で物を、資源を探すということは、科学的な、大学の先生であるとかそういう人が科学的目的でずっとやっていましたけれども、商業的に探査をするという方法がなかったわけですね。それが一つのシステムとしてできたというのが一番大きな成果かなというふうに思っています。さらに、それが民間に渡って、民間の手で実際に全くバージンフィールドでやってみると一応見付かるということで実績もできた、それが一つの非常に誇るべき成果だというふうに思っています。  それで、もう一つは、やはり開発をする上で環境の監視というのは非常に重要だということで、全く同じ努力をして環境モニタリング技術もずっと開発して、八つぐらいのそういう技術をつくり上げました。これを組み合わせることによって、こういう環境を守らなくちゃいけない、例えば音だとか、それから振動であるとか、それから掘ったときに粉がばあっと舞い散るとか、そういういろんなモニタリングございます。そういうふうなものも、一応全てのものに対応できるだけのものができていて、それを組み合わせれば幾つかのことができるということになっています。  それで、重要なことは、開発を、もう探査をする、同時に環境モニタリングも始めるということで、例えば、一年間はモニタリングする必要がありますから、探査をする時点でもうそういうことを先に始めるということを進めております。  この環境モニタリング技術に関しては、これは当然のことですけれども、世界的なスタンダードになる必要があるわけですね。我々が先に開発をしたので、これが世界中の人に使ってもらわなければいけないと。そのために、ユネスコの下にありますIOC、インターガバメンタル・オセアニック・コミッションという政府間海洋会議のところにその技術をマニュアル化して持ち込んで、そこのホームページに出ていて、今ISAに関してもそういう技術を売り込んで、基本的にはこれを使ってもらえるような技術にしてスタンダードにしていくということをやって、これはうまくいっております。  国際標準機構にも委員会をつくりまして、日本主導で委員会をつくって、そこでの認証も幾つかの技術については得られる、あるいは得られる予定になっていて、スタンダーダイゼーションという意味ではうまくいっていると思います。  これを実際に日本で使うときには、各省庁それぞれ担当ございますけれども、こういうものを使って、日本大陸棚あるいはEEZではこういうガイドラインを作りますよという法律を作っていただく必要があります。ただ、現在の状況ではなかなか、洋上風力の場合、それから洋上の、オフショアの石油開発の場合、金属の場合と、状況がすごく違うので、どういうガイドラインを作っていいかという合意がなかなかできないので、SIPをやっているときにも、話合いを始めたんですが、全く皆さんの意見が一致するということはなかったわけです。  これを統一的に海底での環境ガイドラインというものを作って、そのときには、いい悪いじゃなくて、こういうデータを取って、ここよりも以下ならばいいとか、そういう具体的にエビデンスベースドでそのガイドラインを作っていく、これがすごく必要なことなので、是非これはやっていただきたいなと。これをやれば、統一的に日本の周辺の海底石油を取るのか、ガスを取るのか、金属を取るのか、あるいはそれ以外のものを取るのかという利用の中でガイドラインができるだろうというふうに思っています。それは是非やってほしいと。  だから、探査の技術開発技術、これも、開発世界日本しかやっておりません。JOGMECがやっておりますけれども、それしかやっていないので、全ての面において今のところは前に進んでおりますけれども、中国の後追いはもう物すごい勢いで、人数的にも日本の数十倍の方がおられて、すごいスピードです。
  78. 石川大我

    ○石川大我君 ありがとうございます。  ちょっとお時間が迫ってまいりましたので、石田参考人にお聞かせいただきたいんですが、自然エネルギーを進める立場としては、風力発電、日本も頑張っていただきたいなというふうに思っているところなんですけれども、なかなか、日本のメーカーなど大きく後れを取っているというのが現状かと思いますが。  先ほども福島沖のお話がありましたけれども、風力開発ではブレードの、羽根の部分ですね、これの大型化が必須であるというふうにしていますが、福島沖での世界最大級の直径百六十七メートルの七メガワットの風車がうまく稼働できなかったというふうに聞いておりますけれども、一方で、二メガワット、五メガワットの風車については良好な結果だというふうに聞いております。その原因は何だというふうにお考えでしょうか。  大型風車実現には技術力と経験が不足しているのではないかと感じておりますが、実証実験の結果から、日本の洋上風力についての今後の打開策についてお聞かせくださればと思います。
  79. 石田茂資

    参考人石田茂資君) 福島の七メガワットについては、これはちょっと特殊事情があるというふうに聞いておりまして、普通の風車というのは頭のところにナセルというのがありまして、これは非常に重いわけですね。三百トン、四百トンになります。  特に浮体の場合、余り頭が重いと浮体を大きくして安定を取らないといけないので、発電機の部分だけでも下に下ろして、上で回ったエネルギーを油圧にして、油でもって下に力を持っていってそこで発電しようという、そういうコンセプトだったんですね、油圧ドライブということでやったんですけれども。それが、あそこに持っていったのが一号機か二号機かで、非常にこなれていない機械であったということで非常に故障が多かったというふうに聞いております。  なので、大きい風車を大きい浮体に載せるのが単に難しいというよりも、新しい技術に挑戦したんだけれども、ちょっとうまくいかなかった。もう少し、開発と国側のプロジェクトと、それから三菱さんの開発するフェーズがちょっと合わなかったというのが根本原因だというふうに聞いておりますので、今もう洋上の十二メガワットまで世の中出てきていますので、それはちゃんとやればできるものだというふうに考えております。
  80. 石川大我

    ○石川大我君 ありがとうございます。  ちょっと時間が迫ってまいりましたので、白石参考人に端的に一点だけお伺いしたいと思います。  先ほどのお話にもありましたが、新興国では生活水準向上のために国民の期待が高くなって、当然エネルギーの消費が拡大していく。先進国との調整が必要で、我々が通った道を通るなというのもなかなか言いづらい部分も我々あると思うんですが、その中で、解決のキー幾つかお示しになりましたが、その辺り詳しく、この解決のキーポイントというのをお聞かせくださればと思います。
  81. 白石隆

    参考人白石隆君) 私としましては、一番重要なことは何か。世界は必ず危機がまた、いろんな形の危機が起こりますので、そのときに危機に共同で対処できるような、そういう協力の仕組みというのをつくっておくと。  ということは、先ほどもう申し上げたことですけれども、例えばエネルギーの場合には、エネルギー基本計画のようなものをそれぞれの国がまず作っていて、それを踏まえて協力ができる、この体制が私は今一番アジアでは求められているというふうに考えております。
  82. 石川大我

    ○石川大我君 ありがとうございました。
  83. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 小林正夫君。
  84. 小林正夫

    ○小林正夫君 小林正夫です。  白石参考人に二問質問をさせてください。  カーボンリサイクルの必要性について先ほど述べられました。これは、二酸化炭素を回収し、有効利用して貯留していくという、こういうカーボンリサイクルの国際ルール策定への関与並びに国内におけるカーボンリサイクル技術に関する制度的な地位の位置付けの明確化を先生は提言されておりますけれども、現状におけるカーボンリサイクルの国際ルール、さらには国内における制度的な位置付けで、分かっている範疇で教えていただければ有り難いと思います。これが一問です。  もう一つ。冒頭の参考人のお話で、世界の中の日本、アジアの中の日本について述べられました。参考人は、昨年の四月、あるマスコミに、かつてアジアのガリバーだった日本経済大国の地位は失いつつある、これは別な言い方をすれば、我々日本をこれからどんな国にしたいか、世界とアジアでどんな位置に占めたいか、これを考えるときだということであると、このようなことが寄稿されておりますけれども、参考人が考える日本はどのようなものなのか、また、そのためには何をすべきであると考えているのか。  この二問について質問をいたします。
  85. 白石隆

    参考人白石隆君) どうもありがとうございます。両方とも非常に重要な質問でございます。  カーボンリサイクルについては、私自身が個人的に非常に重視しておりますのは、国としてもっと技術に投資すべきだろうと。今のところ、残念ながら、カーボンリサイクル、例えば褐炭から水素ガスだとか合成ガスを作るということはコスト的に非常にまだ高いわけでございますけど、理論的にはできる話でございます。これをいかにその技術開発によってコストを引き下げるか。同時に、それを日本だけでやるのではなくて、むしろほかの国の研究機関、大学等とどうやって一緒にやっていくかというのが、私は、国際的なルールや何かを作る上でも一番ベースになるのではないだろうかというふうに考えております。  日本は大国ではない、特に経済大国ではもうないと、これはもうそのとおりでございます。もう二〇二〇年代の末までには、先ほども申しましたけれども、日本はインドよりもASEANよりも小さい経済規模の国になります。  だけれども、同時に、先ほども申し上げたことですけれども、我々は豊かで自由で安全な社会をつくったと。これは誇っていいことですし、実際、例えば中国における日本についての印象というのは良くなっております。これは、私はやはり、日本に来た中国の人たちが実際に日本社会というのはどういうものかを見て、日本というのは聞いていた国じゃないと、こういう国を自分たちもやっぱりつくりたいんだというふうに考えておられる方が増えているためだろうというふうに考えております。  ですから、決して日本は将来大国になりたいとは思わないけれども、言わばほかの幾つかの国と同様に、こういう現にいい社会をつくったんだと。それを、言わばモデルとしても皆さんに売り込むと言うとあれですけれども、理解していただいて、それが逆に日本のビジネスにもプラスになるという、そういう生き方。一言で申しますと、ちょっと日本語ではなかなか言えないんですけれども、ミドルパワーですね、というのがこれからの日本の生き方ではないだろうかと考えております。
  86. 小林正夫

    ○小林正夫君 これで終わります。ありがとうございました。
  87. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 高橋光男君。
  88. 高橋光男

    高橋光男君 ありがとうございます。  非常に各参考人の御説明、大変参考になりました。  私からは、次期エネルギー基本計画を策定していくに当たって日本としてどのように取り組んでいくべきかという観点から幾つか御質問、更に申しますと、それを実際実行していくに当たって、そういう技術革新や人材育成をどのようにやっていくかという観点から各参考人の方にお伺いしたいと思います。  まず、白石先生の方ですが、先ほど来から、アジアにおいて、日本がインド太平洋という文脈においても、非常にエネルギー基本計画を他国と連携して、そういったないところも含めて策定に、ERIA等を活用してやっていくべきだと。私も、それはすごいすばらしいアイデアだというふうに思います。一方で、日本エネルギー基本計画がやはり他国から見てリーダーシップを発揮できるような内容でなければ、やはり日本のそういった先導する、そういった協力というのもなかなか難しいのではないかというふうに思います。  私の誤解でなければ、日本政府の様々なエネルギー開発の中で、やはり、パリ協定における二〇三〇年までに二〇一三年比で二六%を達成していくための今想定されているエネルギーマトリックスというのがあります。この中で、再エネ、新エネと言われるものが占める割合というものは二二%から二四%と言われていて、一方で、今現在見ると一七%ぐらいであると。一方で、やはり何かその二二%から二四%を達成できればもうそれでいいんじゃないかみたいなですね。それを目指してまずやること、これも大変なことだと思うんですけれども、そういう中で、やはり更にその次を見据えたそういった開発というものが必要になってくるのではないか。  今、再生可能エネルギーを主力電源化と言っている中で、主力電源の意味が、その全体に占める割合がほかに比べて一%でも多ければ何か主力電源化みたいなふうに、多くなることが主力電源化みたいな、そういった何か消極的なものでなくて、やはり取り入れられる、導入できる技術はどんどん生かして、そして商業化というか運用していくことが大事ではないかというふうに思います。  その中で、白石参考人にお伺いしたいのは、これまで様々なそういった、政府の中でこういったエネルギー関連、資源関連の御提言もされてきた中で、これから日本がアジアを始め主導していけるそういったエネルギー基本計画を作っていくに当たって、どのようなやり方、どういった関係者を含めてやっていくべきか、そのお考えを是非まずお伺いできればと思います。
  89. 白石隆

    参考人白石隆君) ありがとうございます。  非常に難しい質問でございます。二点だけ申し上げます。  一つは、先ほどもこれ申し上げたことですけれども、基本計画というときには、いかなる国でも、特にアジアの国を、例えばインドだとかバングラデシュだとかあるいはベトナムだとかという国を考えますと、化石燃料の問題を避けてエネルギー計画というのは考えられません。特に、化石燃料の中でも石炭をどうするのかという問題は間違いなく出てくる問題でございます。これについて、やはり日本としてしっかりした考えを持つ。  私の考えは、一方で、高度の火力発電所というのが私は幾つかの条件を満たしたときの一つの答えであり、長期的には、先ほどから繰り返して申し上げておりますけれども、CO2のカーボンリサイクルに対する投資というのが、これが鍵だと思っております。  もう一つは、実は、あれですね、原子力発電所でございます。好むと好まざるとにかかわらず、アジアの多くの国ではこれから原子力発電所を造っていきます。これは、もう主権国がやることですので日本としては何ともできない。これは中国だけではございません。ほかの国も造るようになります。そのときに、じゃ、日本の経験をどう生かすのかと。  私自身は、今の日本エネルギー基本計画が達成できない一番簡単な理由は、やはり原子力発電所をどう使うかということについて日本国民の合意ができているとはとても言えない、非常に合意から遠い状態にある、これが一番大きい理由だと思っていますけれども、ここのところでやはり何らかの日本としての立ち位置を持たないと、他の国々で原子力をどう使うかという問題についても責任を持った発言はできないだろうと。  じゃ、そこで何が鍵かと。私は、やはり技術だと思っております。三・一一のその経験を踏まえて、じゃ、これから先、日本として技術的に安全を確保するには何ができるのかということは、これは考えるのが我々の責任だろうと考えます。
  90. 高橋光男

    高橋光男君 ありがとうございます。  では次に、時間も限られていますので、石田先生にお伺いできればと思います。  様々な新しいそういった再生エネルギーを導入していく中で、今日御紹介いただいた様々な洋上風力発電という、この技術は非常に日本にとっても重要なこれから可能性だというふうに思います。  御説明いただいた英国の洋上風力セクターディールを拝見して非常に興味深いなというふうに思ったんですが、この中で、やはりこういった新しい技術を導入していく、そのために必要な人材を確保していく、育成していく、そのために今、日本がどのような政策的な介入ができるのかといったようなことをお考えをお伺いしたいのと、あと、英国のこの中で面白いのは、女性比率を三分の一以上に増やすという、こういったことまで含めている。さらに、輸出を、国内需要だけではなくて輸出を五倍にまで増やす、ここまで意欲的な内容となっている。  こういったことが果たして日本でも可能なのかどうかということ、そういうこの開発に女性参加が可能なのかという点、また、輸出まで含めた日本はポテンシャルを持っているのかという点について、お聞かせいただければと思います。
  91. 石田茂資

    参考人石田茂資君) 輸出ということについて言いますと、先ほどから申し上げていますように、風車そのものは一応もう大手メーカーが手を引いたということは、そこにいた人材もばらばらになってしまうということですので、これをもう一度立て直していくということは、少なくともすぐにはちょっと見通すことはできないですね。  それで、輸出で見れば、その風車を洋上で支える部分としての浮体の技術とかということについては、そういう余地はないことはないと思っておりますけれども、それはどのぐらいの確率があるかがちょっと私にはまだ見通せないんですけれども。  というのは、実は、NEDOさんとかが結構実証事業されていますけれども、例えば今、響灘に浮いているコンセプト、あれはフランスなんですよね。なかなか日本の浮体メーカー、昔の造船をやっているようなところがいいコンセプトを出せなくて、向こうのコンセプトで試したりということもございまして、非常に競争関係になりますということで、そこは何とか頑張って輸出をできるようにしたいなと思うんですけれども、そこはなかなかまだ見通せないというところだと思います。
  92. 高橋光男

    高橋光男君 時間が来ましたので、以上で終わります。
  93. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もなければ、参考人に対する質疑はこの程度とさせていただきます。  参考人皆様には一言御礼を申し上げたいと思います。  皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十二分散会