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参考人(
さかなクン君)
さかなクンと申します。
本日は、大変貴重な
ギョ機会を頂戴いたしまして、心よりありがとう
ギョざいます。
この貴重な
機会、「海を通じて
世界とともに生きる
日本」ということで、私も魚が大好きで、小さな頃から海を通じてたくさん
感動をいただいてきました。海に行くと、分からなかったこと、また様々な魚の
感動、そして私
たちがふだんいただいている水産物の、どうやって捕れているか、そういった
漁法や、それぞれの
魚種を大切に守る
保護活動など、たくさんのことを実体験で学ばせていただくことができます。
日本は本当に魚が豊かな国でありまして、
日本だけでも四
千種を超える魚の
種類があると言われています。しかしながら、私
たちがふだん
食用としていただいている魚というのは、およそ一年を通して二十種、三十種ぐらいではないかと言われています。特に、大きな
量販店の
鮮魚コーナーなどで扱われている
魚種というのが大体年間通して二十種、三十種ということを伺っています。
しかし、
日本には本当にたくさんの
種類の魚がいまして、その数四
千種ほどとも言われていますので、私が
北海道から
沖縄県まで
日本の
各地を伺わせていただくと、あっ、こんなお魚が捕れるんだ、あっ、こんなに多種多彩なお魚が捕れる中で
市場で流通されている魚というのは本当にごく僅かしかないんだということが、
各地の港に行くとすごく目の当たりにすることが多いです。
ここ近年は、
気候変動、特に
温暖化の影響と思われる
水温上昇によって
各地の海でかなりの異変が生じていることが日々
ニュースでも報道されていますし、私も
各地を伺わせていただきますと、おお、この場所でこんなお魚が捕れているんだ、あっ、今まで捕れている魚の旬の
季節、捕れる
季節が変わってきてしまっているのではないか、あるいは、本来
漁獲される魚が少なくなってしまって、違う魚が多くなっているということが非常に多くなっているように感じます。
例えば、
北海道では、
サケを捕る時期、主に秋の
季節に、
サケを捕る
定置網漁で
サケが全然捕れなくなってしまいまして、逆に南方の魚、クロマグロ、マンボウ、シイラ、そういった暖かい
海域に暮らす魚がどんどんどんどん北上して、
サケを捕るはずの
漁師さんの
定置網にたくさん入ってきてしまっているということが、
ニュースでは知っていたんですが、実際に
北海道に伺ったところ、あっ、本当にこういったことが起きているんだということが分かりました。
また、すぐ近くの身近な海であります
東京湾なのですが、
東京湾では、ここ近年、今まで余り見慣れなかった魚が目にすることが多くなってきました。
例えば、
沖縄県では、とてもおいしい
沖縄県ならではの
県魚としても親しまれています、グルクンという名で親しまれているタカサゴという魚が、
はるか沖縄県や暖かい
海域からどんどん黒潮に乗ってやってくるんでしょうか、
東京湾の
漁師さんの網にたくさん入ってくることがしばしばあります。
そして、このような魚が、ここ近年、
東京湾でも目にする
機会が多くなりました。(
資料提示)
ギマといいます。
ギマという魚は、カワハギなどに近い
仲間なのですが、頭の辺りに大きな角のような
とげ、
おなかにも
とげのように太く変化した
腹びれがありまして、正面から見ていただきますと、頭、そして
おなかのひれが左右一対ありますので、三つの
とげがあることが分かります。このことから英名はトリプルスパインと呼ばれるんですが、この
ギマという魚が、従来は暖かい
海域に暮らす魚としては知られていました。従来の図鑑では、分布が静岡県以南となっていました。
しかし、ここ近年は
東京湾でも定着するようになったことが知られています。
研究者の
先生方によって、
東京湾で小さな小さな仔魚や稚魚、ちっちゃなものもたくさん目にすることが多くなったということで、恐らく
東京湾でも産卵して増えているのではないかと言われています。
この魚が
東京湾で今多くなってしまっているということが、どういったことが起きるのかといいますと、実は、この頭の
とげ、そして
おなかの
とげが非常に頑丈で、しかも先が鋭くなっています。ですので、
漁師さんの
定置網など
漁網に様々な
魚介類が入ってきますと、この
ギマの
とげが刺さってしまいます。すると、せっかく入ったイカも
マダイもブリも、みんな
とげで傷が付いてしまったりして
商品価値が落ちてしまうんですね。さらには、多量の
粘液を出します。
粘液を出してしまったり、体の表面がやすりのようにざらっとしていますので、それだけでも
漁網が汚れてしまったり、ほかの
魚介類が傷ついてしまったりといったことが起きています。
しかし、この
ギマという魚は、実は食べてみるととってもおいしいんですね。
フグ目ギマ科に属する魚ですので、
フグの
仲間ですので、おいしい白身ですので、浜名湖の周辺では古くからおいしい
食用魚として人気の魚です。
是非とも、こういったふだん見慣れなかった魚、こういった
気候変動によってだんだん
漁師さんの網に入ってくるようになった魚、こういった魚が未
利用魚として、せっかく網に入ってもほとんど
活用されないことが多いとは思うのですが、こういったお魚も
活用して、おいしく有り難くいただくということも今後大切なことかなと思っております。
また、
日本海側では、例年、
大型クラゲが大挙として押し寄せて
漁師さんの
定置網にたくさん入ってしまって問題になることが度々
ニュースでも報じられています。
このエチゼン
クラゲという
クラゲは、傘、この丸い傘の直径だけでも一メートル余り、そして重さも百キロを超えるほどに成長します。こんなに大きな
クラゲでありまして、重くて
大型で、しかも
クラゲですので毒を持っています。この
クラゲがたくさん網に入ってしまいますと、
漁師さんは、おお、重たくて網が上がらない、うおっ、どうしよう、全然網が上がらねえぞと、上げるのも大変です。せっかく、よし、頑張るぞと網を上げたとしても、
クラゲの重みで魚が傷ついてしまったり、そして、
クラゲですので、
刺胞、
刺胞毒という毒を持っています。一緒に入ってきた魚は、みんな毒で弱ってしまったり死んでしまうことが多いんですね。
ですので、
漁業としては非常に甚大な
漁業被害をもたらす厄介な存在としては知られているんですが、しかし、山形県にある
加茂水族館さんは、だったらこの
クラゲをおいしく食べてみようということで
クラゲ食堂をつくられて、何と
加茂水族館さんでは、
クラゲ入りのようかんや
クラゲ入りのアイスクリーム、今ではラーメンやコーヒー、様々な
クラゲの食品もレストランでお出しされて大人気となっています。ですので、
着目点を変えるとみんな喜ぶことにつながるんだなということを
加茂水族館さんから学ばせていただきました。
また、
自然界では、
イボダイの
子供、
アジの
子供などは
クラゲの毒の
周り、毒のある触手の
周りで大きく育っていきます。毒のある
クラゲに寄り添えば大きい魚に食べられる心配が減りますので、小さな
アジや
イボダイは
クラゲがいるとみんな喜んで集まって、そこですくすく大きくなっていきます。
クラゲが多いとマ
アジの
漁獲量も上がってくるということも知られています。
また、
クラゲが余りにも多いと大変だということで、
研究者の
先生方が、だったら
クラゲを食べる
ウマヅラハギにもう
クラゲを食べてもらおうということで
ウマヅラハギ魚礁を造って、
魚礁に
クラゲがやってきますと
ウマヅラハギが
ばくばくと食べて、そして
クラゲがだんだん食べられて小さくなると海底に沈んで、それを今度は
マダイやイシダイが食べに来るということも知られています。そういった
活用法もあるんですね。
ここ近年はそういった今まで見られなかった魚が
漁師さんの網に入ってきたり、
クラゲやヒトデ、また
ウニなど、ある
特定の
生き物が海の中で
生態系を大きく変えてしまっているということが言われています。
例えば
ウニですね。ここ近年は
海藻が
日本の
各地の海からどんどん減ってしまって、
いそ焼け現象が問題視されています。そして、
海藻が減ってしまいますと、今度はその減ってしまった
海藻を
ウニが食べてしまいます。そこで、
ウニは
悪者だということで、ここ近年は
ウニが、何というか、かわいそうな見られ方をしているんじゃないかなと思っておりました。実は、
ウニというのはもう私
たちよりも太古の昔から海で栄えて、太古の昔から
海藻を食べていたわけであります。それが、今
海藻が減ってしまって
ウニが
悪者にされています。何でなんだろうと思いました。
そして、NHKの
報道番組で岩手県の
洋野町を訪ねさせていただきました。
洋野町では、何と
ウニ牧場をつくっているということを見せていただきました。
洋野町の種市の
漁師さん
たちは、
ウニが今
悪者になっているというのは、
海藻が少なくなっているから、その
海藻を食べてしまうから
悪者扱いされている、だけど、実は
ウニも
食べ物が少なくて困っている、そこで、
ウニの
牧場をつくって、ワカメや昆布をたくさん茂らせて、そこに赤ちゃんから育てた
ウニの
子供たちを放して、そしてそこで大きく
ウニを育てて、おいしく身のいっぱい詰まった
ウニを大きく育てて、それを
漁師さんが
漁獲されて、
洋野町全体、
漁師さんみんなが元気に、そして
世界にも
洋野町からおいしい
ウニを発信されるということをされていることを学ばせていただきました。
ウニがなぜ
悪者になっているかということが私は余りどうしてなのか深くは知らなかったんですけれども、
研究者の
先生に伺ったところ、実は、近年の
水温上昇によって、
ウニは本来はこの寒い冬の
季節は冬眠のようにじっとして食餌も余りしなくなるそうなんです。ところが、ここ近年は
水温が暖かくなるものですので、冬の間も
ウニは
海藻を食べ、そしてやっと生えてきた新芽も
ウニが食べてしまうということが分かったそうなんです。
ですので、考えてみると、
ウニも本当は冬はちゃんと休む時期があって、そして暖かくなったらまた
海藻を食べてというサイクルがあるのですが、暖かくなってしまったものですので、僅かでも残っている
海藻でもしっかり食べなければと頑張ってそういう結果になって、悪循環になってしまっているということが分かりました。
神奈川県の
水産高校の
皆様は、何とその
ウニたちを、
いそ焼けで
食べ物も少なくなっておいしい身が少ない
ウニ、それを野菜の切れ端などで育てておいしくしましょうということで、そういった
活動もされていることを見せていただきました。
ですので、本当に見方を変えていけば、全部プラスの方向に変えることができるのではないかということをたくさん学ばせていただいております。
また、ここ近年は、大きな問題としては
プラスチック問題であります。
海洋の
ごみの多くは
プラスチックが問題となっています。大きな
プラスチックというのは、主には買物の
レジ袋又は
プラスチックでできた飲物の容器、こういったものがしばらくの間は形のままで漂っています。この形のまま漂っていますと、実は多くの
海洋生物がそれを間違えて食べてしまうことが分かっています。
例えば、この
ミズウオという魚、
ミズウオというのはふだんは深海に暮らしているのですが、
水温が低くなる冬の
季節は
浅場にやってきます。
浅場にやってきますと、
海洋プラスチックを食べてしまうんですね。そして、
ミズウオだけでなく、
ウミガメ、また
イルカや鯨の
仲間、また海鳥の
仲間、そういった
仲間がみんな
海洋ごみを食べてしまうということで、一体何でこの
プラスチックの
ごみを食べてしまうんだろうと私も疑問には思ったんですが、実際、海の中に潜ってこういった
プラスチックの
ごみが漂っている光景を見ますと、あれ、
クラゲかなと、遠くから見ると
クラゲにしか見えないんですね。でも、近づいてみると、あっ、これは、あっ、そうか、
レジ袋なのかと、大分近くなると分かるんですが、魚や
イルカや鯨、
ウミガメなどは、多分
クラゲと間違っているのかもしれません、食べてしまうんですね。そうしますと、食道に突っかかったり胃袋が
ごみで満たされてしまったりして弱って、やがて死んでしまうことがほとんどなんだそうです。
そして、この
海洋プラスチックの
ごみというのはやがて小さく砕けてしまいますので、
イワシ類など小さな魚はそういった小さくなった
プラスチックの
ごみを食べてしまうことが分かっています。
東京湾のカタクチイワシが
マイクロプラスチックを食べてしまっているということも明らかになっているということでありまして、今後、私
たちは
プラスチックの
ごみなどを本当に改めて外に出さないようにしていかなければならないなと強く思っております。
そして、今までお話しさせていただきました、そういった魚の捕れる
季節が変わってきたり、捕れる
魚種が変わってきてしまったり、
クラゲや
ウニ、そしてそういった
特定の
生き物が海の
悪者扱いされてしまっているということが起こっている、こういったことをしっかりと一人一人が認識していかないと、今の海で起こっている
生態系の問題というのは改善されないのではないかなと思っております。
そこで、やはり私が思うところは、一人一人が
知的好奇心をしっかりと持って、
魚離れを何とか食い止めて、おいしいお魚をいただくこと、そして、
日本は四方を海に囲まれて、海だけでなく、すばらしい川や池や沼や湖があるということもしっかりと外に出て体感して、そして
知的好奇心を持って、こんな魚がいるんだ、あっ、この魚食べてみたいなと、あっ、この魚釣り上げてみたいなとか、自分で料理してみたいなという、そういった
気持ちを
是非とも一人一人がしっかり持てるようなことができたら、それがとても大きな力になるのではないかと思っています。
私も魚が大好きで、魚がすばらしいということを日々お話しさせていただいたり、絵を描かせていただいたり、そういった貴重な
機会をいただいておりますので、これからも、
是非ともこの
魚離れを何とか食い止めて、さらには、小さなお子様からお父様、お母様、若い世代のお兄さん、お姉さん、そしておじいちゃま、おばあちゃまも、もう全ての方に、もう
日本はこんなに魚のたくさん体感できるすばらしいお
魚大国だということを、
情報発信を
是非ともさせていただきたいなと思っています。
とともに、ふだん、
漁師さん、そしてすばらしい
研究者の
先生方、たくさんの魚の
専門家の
皆様から学ばせていただいているものですので、本当にこの魚の喜びというのは一人で
感動しているだけだとすごくもったいないと思うんですね。
是非とも、共感することが、ああ、うれしいな、楽しいな、よし、だったら川や海を汚さないようにしていかなければと、次につないでいくことになるんじゃないかなと思っています。
日本は、四季を通しておいしい魚があって、
北海道から
沖縄、もう本当に南北に長いすばらしい国ですので、本当に魚の国の幸せだという
気持ちをこれからも
是非とも共にさせていただきたいなと思っております。
また、もう今や
世界規模で
地球温暖化の問題もありますし、
プラスチック問題もありますので、持続可能な社会をしっかりと考えていくために、やはり一人一人が、本当の自然の美しさと、今本当に何が起こっているのかということを、外に、一歩外に出てみると様々なことが体感して、
ギョ感で、いや、五感でしっかりと学べると思いますので、
是非ともみんなで外に出てみましょうという、もうそんな
気持ちで、
是非ともこれからも本当にギョ一緒させていただきたいなと思っております。
あとどのぐらいお時間いただいてよろしいでしょうか。