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参考人(
結城康博君) 当日資料のレジュメで
説明いたします。
まず、論点、三つ用意しました。十分間しかありませんので、三つに絞らせていただきました。
今回の法改正で関連するまず一つは、包括的な
支援体制ということですが、是非、
審議に当たって、現場のことを踏まえながら
審議していただくと非常に現場としては有り難いと。
まず、
地域の互助組織をつくるということは非常に大事ですけれ
ども、
地域任せにしていきますと非常に現場が困る。特に、ボランティアとか自治会とか、この委託の
地域包括支援センターにこれを丸投げしている一部
市町村が私は見受けられると思います。やはり、きちっとこのソーシャルワーク機能というものを自治体職員がまず取るということが非常に大事かと思います。
今後、二〇三五年、団塊の世代の方が八十五歳以上になりますが、私も
地域包括支援センターで仕事をしておりましたが、まあ、ちょっと言葉がきついんですけれ
ども、
地域で出ていくと必ずしもいいお年寄りばかりではありません。性格の悪い、支えられ下手なお年寄り多いです。こういう方が処遇困難ケースとして、
地域のボランティアや自治会、非常に大変です。これは精神疾患や認
知症などの人は除きますが、こういう人たちの住民の互助組織では、恐らく住民の人はこういう人たちをできれば避けるということになります。
地域というものは、こういう処遇困難に関してはやはりしっかりとした自治体の役割というのが大事かと思います。例はここに書いてあります。
二つ目ですけれ
ども、今回、
介護保険法に絡む問題で、
有料老人ホームの問題も指摘されておりますが、無届け
有料老人ホームというのはまだあります。やはり、その背景には、経済的な問題や、そこに頼らざるを得ないというお年寄りや御
家族がいます。これらの問題も、貧困ビジネスというのもありますから、特養の多床室という
在り方もやはり再評価していくべきではないか。今、基本的には、新しくつくる特養は、多床室を
減少、はできないユニット型個室になっておりますが、やはり現場で見ると多床室の方が人気がありますし、やはり今回、補足給付の問題も関わってきておりますが、やはりこの辺の経済的な問題も同時に
審議いただければと思います。
次に、やはり、時間もないので、私は、論点三として、人材の問題というものをしっかり議論しないと、この先、
介護業界は
介護難民が続出してしまいますし、
介護保険の基本である利用者が選択するということはこのままで行くと有名無実になるだろうと。
事前の私の論壇を読んでいただければ分かりますが、これから
人口減少社会において、利用者が選ばれるのではなく、一部、利用者がヘルパーなどから選ばれる時代がやってくる可能性が非常にあるだろうと。そういう意味では、しっかり
介護人材不足対策を二〇三五年に向けてきっちりやっていかないと、
介護保険の理念、利用者が選択できるという理念は有名無実化するんではないかという危機を持っています。
人材不足の要因は、七つ、私の方で分析させていただきました。これは、詳しく事前に事務局が送っていただいた論壇をお読みいただければと思います。もちろん、賃金の低さ、これも大事です。やはりしっかりとした財源を配分していただくということ、それと②、やはり若干、私が研究している上では、
介護現場はブラック企業が幾つか見られます。やはり、賃金だけを上げるということと、やはり労働
環境を良くするという、これを二つ並行でやっていかないといけないんではないかと。
私の
結城ゼミは、一学年四年生は十七、八人います。うちの大学は
社会福祉士を取って、
介護初任者研修を取って、
介護職に行くのが毎年七、八人います。私も十四年教員をやっておりますが、毎年七、八人いますが、かなり辞めます。
私は、四、五年前からいろいろ卒業生のヒアリングを聞いて、次のページの四ページ、安心して卒業生を送り出せる
介護事業チェック二十項目というのを、授業でこれを
説明します。
介護職員に行くのであれば、この二十項目をきっちりチェックして、就職試験で逆に質問してこいと。このうち十個大体当たれば大丈夫だろうということにしています。ですから、賃金の保障と財源の配分と同時に、やはり
介護現場の労働
環境を良くしていくということ、これ同時にやっていかないと、恐らく少子化
社会の労働市場に
介護分野は勝てないと思っていますので、ここも大事かなと思っています。
最後に、
介護人材不足のポイントを四つ挙げました。
やはり、
介護報酬の引上げの財源
確保、これは言うまでもありません。今回、コロナ問題で、
政府による一律五万円の給付、これは非常に高く評価したいと思います。しかも、これ、全額国庫
負担であります。しかし、やはり次期改定がこれでプラマイゼロになってしまえば、これは僕は意味がない。やはり、次の改定もしっかりプラス改定して、人材の
確保、定着をしっかりしていく。
それから、健全な
介護職場、やはり人事マネジメントをしっかりやっていく職場。実は、給料も大事ですが、
介護現場の中間管理職というのが余りいい人が育っていない場合があります。本人はそのつもりではありませんが、パワハラになってしまう。ここ大事なんですが、三十歳代以下と四十代、五十代の価値観は今違います。これは
介護だけではありません。できれば、育てるといった場合に、先輩の背中を見ておむつ交換や入浴介助を勉強する、これは今の私の現場にいる学生では通用しません。しっかりとしたマネジメント機能も、これも公共政策として
事業所任せでなくやっていくことが大事だと思います。
三つ目ですが、外国人
介護士の協力は歓迎すべきです。私も研究がてら外国人
介護士の研究をしておりますが、今回の法案も、一つ、
介護福祉士国家試験の
経過措置ということが議論になっているかと思いますが、私は原則延長すべきでないという考えです、正直言うと。やはり、質の担保からいって、これは延長すべきではないと考えますが、しかし、昨今の
介護福祉士養成校、この実態を見ると、約二、三割、外国人に依存しています。私も
社会福祉学科で高校を回りますが、担当の進路指導の先生や保護者は福祉には相当行かないという声があります。ここにもたくさんいらっしゃいますが、実際、めいやおいや孫が
介護福祉士になるといった場合、やっぱりいっとき考えるんではないでしょうか。やっぱり、この
環境を直さない限り、私は
介護人材というのは集まらないと思います。
五年間ということはやむを得ないんですが、この期間にしっかりとした
介護福祉士のなろうという
環境をつくるということ。このまま何もしないと、うちの大学も短期大学がありますが、いつも定員割れで、半分も集まるか集まらないかです。このまま何もしなければ、恐らく養成校はなくなってしまうだろうと、かなり激減すると思います。貴重な養成校というのは、やはりなくしてはいけない。ここをしっかりやるために、是非
先生方で御議論していただく。なぜこのことを言うかというと、やはりサービスの質を担保するには、しっかりとした
介護福祉士がいなければできないということです。ここは人材が大事だと思います。
そして四つ目、訪問
介護、ヘルパー、これが非常に今危機的
状況です。施設も大事で、危機的
状況ですが、更にヘルパー業界は非常に危機的です。正規職員でない人が七割。もうこの体制は
介護保険下ではなかなか一部難しい、地方都市では難しいので、
介護保険以前の公務員や社協がやっていた準公務員などのそういう体制を、
介護保険ともう一つの枠をつくらない限り、
地域包括ケアシステムは恐らく、僕はヘルパーあっての包括ケアシステムだと思っていますので、有名無実化しないように、このヘルパーの制度構築もやっていかないといけないんではないかと思います。
特にこれからは、二〇三五年、先ほ
どもボランティアから選ばれる利用者となるということも言いましたが、ヘルパーから選ばれる利用者になってしまうんではないかという危機もありますので、是非ここのところも
審議の一つポイントにしていただければと思います。
以上でございます。