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会計検査院長(
森田祐司君)
会計検査院は、
国会法第百五条の
規定に基づき
平成二十九年六月五日及び三十年六月十八日付けで
参議院議長から
会計検査及びその結果の
報告の要請がありました「有償援助(FMS)による
防衛装備品等の調達」等、計三事項につきまして、関係
府省等を
対象に
検査を行い、
会計検査院法第三十条の三の
規定に基づき令和元年十月十八日、十二月四日及び二十日にその結果の
報告書を
提出いたしました。その
報告書の概要を御
説明いたします。
まず、「有償援助(FMS)による
防衛装備品等の調達に関する
会計検査の結果について」を御
説明いたします。
検査しましたところ、防衛省は、防衛装備品の選定結果等において比較
検討した防衛装備品を公表していなかったり、契約額に含まれる契約
管理費については互恵的な協定等を
アメリカ合衆国
政府と締結することにより減免を受けることができることとされているのに協定等を締結していないため減免を受けていなかったり、
平成二十九年度末時点で未納入ケースの件数及び未精算額は八十五件、三百四十九億余円、目標時期経過ケースの件数及び未精算額は二百八十件、五百二十億余円となっていたり、新精算方式による精算の実施
状況について納入の完了から最終
計算書受領までの経過年数等を確認したところ、三割以上のケースにおいて二年を経過していたりなどしていました。
検査の結果を踏まえた
会計検査院の所見といたしましては、防衛装備品の選定過程について十分な透明性を確保し、適切に
説明責任を果たしていくこと、契約
管理費の減免を受けることによりFMS調達に係る契約額を低減する余地がないか
検討すること、出荷予定時期を経過しても
防衛装備品等の納入がされないケースについて出荷促進を行うなど合衆国
政府と引き続き調整を行うこと、
防衛装備品等の納入の完了から長期にわたり精算が未完了となっているケース等について合衆国
政府に
計算書の送付を促進するなどして未精算額を減少させるよう努めること、新精算方式による精算が着実に実施されるよう合衆国
政府に対して引き続き精算促進を行うことなどに留意をして、より一層適切なFMS調達の実施に取り組むことが重要であると考えております。
会計検査院としては、FMSによる
防衛装備品等の調達が適切に行われているかについて、多角的な観点から今後も引き続き
検査をしていくこととしております。
次に、「東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた
取組状況等に関する
会計検査の結果について」、御
説明いたします。
この
報告書は、
平成三十年十月四日に
提出いたしました
報告書におきまして、引き続き
検査を実施して、取りまとめができ次第
報告することとするとしておりました事項に関するものであります。
検査しましたところ、大会経費及び大会の関連施策に対する経費について、
内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局が公表している二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営の推進に関する
政府の
取組の
状況に関する
報告等において、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の準備の進捗に伴い、新たに公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織
委員会と協議して実施している業務等について、記載されていないものが見受けられるなどしていました。
検査の結果を踏まえた
会計検査院の所見といたしましては、
内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局は、各
府省等から
情報を集約して、業務等の全体像を把握して公表することについて充実を図っていくことに留意するなどして、大会の準備、運営等に係る
取組を適時適切に実施していく必要があると考えております。
会計検査院としては、引き続き、大会の開催に向けた
取組等の
状況及び各
府省等が実施する大会の関連施策の
状況について総括的な
検査を実施して、その結果について、大会の終了後に取りまとめができ次第
報告することとしております。
最後に、「待機児童解消、子
どもの貧困
対策等の子
ども・子育て
支援施策に関する
会計検査の結果について」、御
説明いたします。
検査しましたところ、子
ども・子育て
支援施策の予算の
執行状況及び同施策の実施
状況については、保育士等に係る処遇
改善等加算に関して翌年度においても職員の賃金
改善に充てられていなかったり、多数の市町村で子
どもの貧困
対策に係る施策の実施
状況等の
検証、評価が十分に行えない
状況にあると思料されたりしました。また、主要施策による
効果の発現
状況については、保育施設等の整備が地域別、年齢区分別の待機児童の発生
状況等を必ずしも十分に踏まえないで実施されており、それが待機児童が解消されていない要因の一つとなっていると思料されるなどしていました。
検査の結果を踏まえた
会計検査院の所見といたしましては、
内閣府において、処遇
改善等加算に関して残額を確実に職員の賃金
改善に充てるよう保育所等に対して
指導等を行うよう市町村に対して周知すること、貧困
対策計画を策定する市町村等が容易かつ適時的確に現状値の把握等が可能となるような指標について
検討するなどすること、
厚生労働省において、地域別、年齢区分別の待機児童の発生
状況等をきめ細かく適切に把握するなどして待機児童解消に向けた
取組を着実に実施することなどの点に留意することなどにより、子
ども・子育て
支援施策を適切かつ
効果的に実施するよう努める必要があると考えております。
会計検査院としては、今後とも、待機児童解消、子
どもの貧困
対策等の子
ども・子育て
支援施策の実施
状況等について引き続き
検査をしていくこととしております。
これをもって
報告書の概要の
説明を終わります。
次に、
会計検査院は、
会計検査院法第三十条の二の
規定により
国会及び
内閣に対して、令和元年七月二十六日、十二月四日及び二年一月十五日に計三件の
報告書を
提出いたしました。その
報告書の概要を御
説明いたします。
まず、「独立行政法人改革等による制度の見直しに係る主務省及び独立行政法人の
対応状況について」を御
説明いたします。
検査しましたところ、法人の自己評価及び主務
大臣評価において、一定の事業等のまとまりの単位で評価を行っていなかったり、主務
大臣評価において資源投入量である
財務情報等のインプット
情報を活用しているか確認できなかったり、法人の長において事業年度途中における収益化単位の業務ごとの
財務情報を把握していなかったり、各法人のリスク識別から
対応までの進捗
状況に差が見られたりしておりました。
検査の
状況を踏まえた
会計検査院の所見といたしましては、主務
大臣及び法人において一定の事業等のまとまりの単位で評価を行うこと、主務
大臣においてインプットに係る評価について適切に主務
大臣評価書に記載すること、法人において法人の長に事業年度中における収益化単位の業務ごとの
財務情報の把握の必要性等について
検討すること、リスクの識別の作業が未着手の段階の法人において早期にリスクの識別から
対応までの作業に着手することなどが必要と考えております。
会計検査院としては、独立行政法人改革等による制度の見直しに係る主務省及び独立行政法人の
対応状況について、今後とも多角的な観点から引き続き注視していくこととしております。
次に、「福島再生加速化交付金事業等の実施
状況について」を御
説明いたします。
検査しましたところ、福島再生加速化交付金の
執行状況については、
平成二十五年度から二十九年度までの支出済歳出額の累計額は二千九百五十四億余円、
執行率が六九・二%、不用率が二八・六%となっていました。福島再生加速化交付金事業の実施
状況については、復興公営住宅の整備率は九六・二%となっており、おおむね県内への
避難者数に応じて復興公営住宅が配分又は整備されていました。また、
避難指示区域が設定され、又は
避難指示が解除されるなどした区域が所在する十二市町村のうち、帰還者数を把握している六町村の三十一年三月三十一日現在の帰還率は四九・二%となっており、各町村において
避難者の早期帰還に向けた環境整備等委託事業が実施されるなどしておりました。
検査の
状況を踏まえた
会計検査院の所見といたしましては、国は、引き続き、事業実施主体における事業実施
状況等を踏まえ、より着実な事業
執行に努めること、各市町村における
避難者及び帰還者の現状を踏まえ、事業実施主体と今後も
連携を図りつつ、復興及び再生に必要な
措置について
検討することなどに十分留意して、原子力
災害からの福島の復興及び再生がより
効果的なものとなるよう取り組む必要があると考えております。
会計検査院としては、今後とも、福島再生加速化交付金事業等の実施
状況について引き続き注視していくこととしております。
最後に、「国による
地方公共団体の
情報セキュリティ
対策の強化について」を御
説明いたします。
検査しましたところ、マイナンバー利用端末の一部に二要素認証等を導入していなかったり、メール本文や添付ファイル等を無害化することなく転送していたり、自治体
情報セキュリティクラウドにおいて機器等の集約及び監視が行われていなかったり、自治体
情報セキュリティ
支援プラットフォームの機能が十分に利活用されていなかったりなどしておりました。
検査の
状況を踏まえた
会計検査院の所見といたしましては、総務省において、
地方公共団体における
情報セキュリティー
対策について、二要素認証等の導入
状況を十分に把握するとともに、
地方公共団体に対して助言を行ったり、コンピューターウイルスの
感染を
防止するための方策を改めて明示したり、機器等が集約されるなどして専門人材による監視、分析が行われることなどができるよう必要に応じて
地方公共団体に助言を行ったり、自治体
情報セキュリティ
支援プラットフォームの機能及び利活用の方法等について
地方公共団体へ重ねて周知したりするなどの点に留意して取り組んでいく必要があると考えております。
会計検査院としては、マイナンバー制度において
情報連携が行われている
情報システムの
情報セキュリティー
対策の実施
状況等について、今後とも引き続き注視していくこととしております。
これをもって
報告書の概要の
説明を終わります。