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2020-06-22 第201回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年六月二十二日(月曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  六月十九日     辞任         補欠選任      那谷屋正義君     小西 洋之君      山本 博司君     塩田 博昭君      柴田  巧君     東   徹君      柳ヶ瀬裕文君     梅村  聡君      岩渕  友君     紙  智子君  六月二十二日     辞任         補欠選任      小西 洋之君     那谷屋正義君      東   徹君     柴田  巧君      梅村  聡君     柳ヶ瀬裕文君      紙  智子君     井上 哲士君      武田 良介君     田村 智子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中川 雅治君     理 事                 長峯  誠君                 西田 昌司君                 森屋  宏君                 野田 国義君                 浜口  誠君                 三浦 信祐君     委 員                 足立 敏之君                 磯崎 仁彦君                 岩井 茂樹君                 豊田 俊郎君                 藤井 基之君                 舞立 昇治君                 三木  亨君                 宮崎 雅夫君                 山下 雄平君                 山田 俊男君                 小沼  巧君                 勝部 賢志君                 小西 洋之君                 古賀 之士君                 那谷屋正義君                 芳賀 道也君                 吉田 忠智君                 熊野 正士君                 塩田 博昭君                 宮崎  勝君                 東   徹君                 梅村  聡君                 柴田  巧君                 柳ヶ瀬裕文君                 井上 哲士君                 紙  智子君                 田村 智子君                 武田 良介君    国務大臣        外務大臣     茂木 敏充君        厚生労働大臣   加藤 勝信君        防衛大臣     河野 太郎君        国務大臣     西村 康稔君    内閣官房長官        内閣官房長官  岡田 直樹君    副大臣        内閣府副大臣   大塚  拓君        総務大臣    長谷川 岳君        法務副大臣    義家 弘介君        財務副大臣    藤川 政人君         ─────        会計検査院長   森田 祐司君        検査官      田中 弥生君         ─────    事務局側        事務総長     岡村 隆司君        常任委員会専門        員        笹嶋  正君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       藤井 敏彦君        内閣官房内閣審        議官       安居  徹君        内閣地方創生        推進室次長    長谷川周夫君        総務省大臣官房        審議官      森  源二君        総務省大臣官房        審議官      佐藤啓太郎君        総務省自治行政        局選挙部長    赤松 俊彦君        法務省大臣官房        審議官      保坂 和人君        出入国在留管理        庁在留管理支援        部長       丸山 秀治君        外務省大臣官房        長        垂  秀夫君        外務省大臣官房        儀典長      海部  篤君        外務省大臣官房        地球規模課題審        議官       塚田 玉樹君        外務省大臣官房        審議官      宇山 秀樹君        外務省大臣官房        審議官      長岡 寛介君        外務省大臣官房        審議官      小野 日子君        外務省大臣官房        参事官      山中  修君        外務省大臣官房        参事官      遠藤 和也君        外務省大臣官房        参事官      有馬  裕君        外務省大臣官房        参事官      河津 邦彦君        外務省大臣官房        参事官      曽根 健孝君        外務省国際法局        長        岡野 正敬君        外務省領事局長  水嶋 光一君        財務省大臣官房        審議官      山名 規雄君        厚生労働省大臣        官房総括審議官  佐原 康之君        厚生労働省大臣        官房生活衛生・        食品安全審議官  浅沼 一成君        厚生労働省大臣        官房審議官    吉永 和生君        厚生労働省医政        局長       吉田  学君        厚生労働省健康        局長       宮嵜 雅則君        厚生労働省医薬        ・生活衛生局長  鎌田 光明君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       村山  誠君        厚生労働省雇用        環境均等局長  藤澤 勝博君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    橋本 泰宏君        厚生労働省老健        局長       大島 一博君        厚生労働省保険        局長       浜谷 浩樹君        経済産業省大臣        官房商務・サー        ビス審議官    藤木 俊光君        経済産業省大臣        官房審議官    渡辺 哲也君        経済産業省経済        産業政策局地域        経済産業政策統        括調整官     木村  聡君        経済産業省貿易        経済協力局長   保坂  伸君        中小企業庁事業        環境部長     奈須野 太君        国土交通省大臣        官房技術審議官  江口 秀二君        防衛省大臣官房        審議官      土本 英樹君        防衛省大臣官房        審議官      町田 一仁君        防衛省防衛政策        局長       槌道 明宏君        防衛省防衛政策        局次長      石川  武君        防衛省整備計画        局長       鈴木 敦夫君        防衛省地方協力        局長       中村 吉利君        防衛装備庁長官  武田 博史君    説明員        会計検査院事務        総局第三局長   宮川 尚博君    参考人        独立行政法人国        立病院機構理事        長        楠岡 英雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○国家財政経理及び国有財産管理に関する調  査  (外務省厚生労働省及び防衛省に係る経理等  に関する件)     ─────────────
  2. 中川雅治

    委員長中川雅治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十九日、那谷屋正義君、山本博司君、柴田巧君、柳ヶ瀬裕文君及び岩渕友君が委員辞任され、その補欠として小西洋之君、塩田博昭君、東徹君、梅村聡君及び紙智子君が選任されました。     ─────────────
  3. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官藤井敏彦君外四十五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のため、本日の委員会独立行政法人国立病院機構理事長楠岡英雄君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のうち、外務省厚生労働省及び防衛省に係る経理等に関する件を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 野田国義

    野田国義君 どうもおはようございます。  十七日に残念ながら通常国会閉じられたわけであります。我々といたしましては、十二月の二十八日まで通常国会を延長するというようなことで通年国会お願いをしたいという申込みもしたわけでありますけれども、残念ながら十七日で一旦閉じられたということであります。大変残念でございますけれども、しかしながら、今日こうやってキャリーオーバー分を、決算委員会といたしまして、中川委員長西田理事浜口理事を始め多くの皆様方の御尽力によりまして開催することができたということでございまして、まず冒頭、心から感謝の意を表したいと思うところでございます。  そしてまた、加藤大臣西村大臣におきましては日頃から本当に大変な仕事を担っていただいておるということでございまして、このことに対しましても深く感謝の意を表したいと思うところでございます。  それで最初、ちょっと通告なかったんですが、ちょっと二点ほど、加藤大臣、よろしゅうございますか。  まず一点は、これは前々から質問もあっておったかと思いますけれども超過死亡の問題ですね。この問題、私、非常に気になっておりまして、いわゆる東京都が十一日発表した四月の死者数は一万百七人、過去四年間の平均死者数は九千五十二人で、超過死亡は何と千五十六人、一一・七%も増えているということなんですね。都の四月のコロナ死者は百四人にすぎなかったというようなことになっているわけでありますけれども、どうもやっぱりこの辺りのところを検証していくということが私は今後コロナ対策として非常に重要なことではないかと、そのように思うところでございますので、この辺りをどう考えておられるのか。  そしてもう一点は、今日の日経新聞のトップでございますけれども、恐らく読まれたかと思いますが、技師それから検出器不要で三十分でまた検査結果が出るという産経新聞の、これ何というんですか、SATIC法ですかね、そういうのを何か検討に入ったというようなことを、政府としてもですね、そういうことを書かれておるわけでございますけれども、これも非常に期待が大きいのではないのかなと思っております。今までのPCR法に比べて、今申し上げましたように技師も要らない、検出器も要らないと、そしてまた約三十分ほどで結果が出るということになりますと、今後、いわゆる外国の問題、いわゆる外国との渡航の問題等も解決できるのではないか、そしてまた経済活動にも大きな影響を及ぼすのではないかと思うわけでありますが、済みませんけれども、この二点について御質問させていただきたいと思います。
  9. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 済みません、今ちょっと突然の質問なので細かいことはちょっと手元にありませんが、超過死亡、今のような委員指摘のような話とか、あるいは各保健所からデータいただいているインフルエンザのときの死亡インフルエンザ等々の関する、たしかあれは肺炎について、で亡くなった数だったように記憶をしておりますけれども、それについても東京都について超過死亡があるのではないかという、こうした御指摘もいただいております。  私どもとしても、その超過死亡ってどういうふうに測っていくのか。過去四年ということでなくて、多分あれ閾値ってあって、一定閾値を設定してそれよりも高い場合、これは超過死亡という認識をしているわけでありますけれども、その辺をどう捉えていくのか。非常に国民の皆さんの関心も高いことでありますから、私も、そうした超過死亡に対して、これ海外もそれぞれ公表したり分析をされていますので、我が国においても、そうしたどういう数字を出していくべきなのか等を含めて、中でまず検討しろということで指示をさせていただいているところでございます。どういう出し方をしていくのがいいのか、死亡全体で見るべきなのか、肺炎等に伴うもので見ていくべきなのか、もちろん新型コロナウイルス肺炎だけじゃなくて血栓ができたりどうのこうのという話もありますから、その辺を含めて、ちょっと専門家も入れて早急に検討させていただきたいと。  そういった意味では、私も関心を持ってしっかり、何といいますか、どういう数字でもって語っていくべきなのか、これをしっかり我々も検討し、そして考え方を示していくべきものというふうに認識をしております。  それから二点目の検査方法産経新聞でしたかね、今日の新聞……(発言する者あり)あっ、ごめんなさい、日経新聞ですね。日経新聞に出ていたやつを含めて、今朝の新聞も読ませていただきました。  検査方法についてはもう刻々と新しい方法が出てきておりまして、今回の方法を含めて、実は直近においても抗原定量検査という新しい方式も薬事承認させていただきました。これは三十分ぐらいで答えが出てくると、こういう仕組みでもあります。刻々、あるいは、先日は簡易な検査キットというのも出てまいりました。  そうした民間において様々な研究開発をし、実践、実現化したもの、これについては、私ども実証性を多少もちろん検証する必要がありますけれども、実際の現場で使えるということであれば、あるいはこういう使い方であれば有効であるということがあれば、積極的に取り入れることによって、検査能力を拡大するということのみならず、先般の唾液もそうですけれども現場感染リスクを減らすとか様々な負担軽減ということもありますので、積極的に対応していきたいと思っておりますし、また、そうした機器等購入に対する支援も、先般お認めいただきました第二次補正予算交付金の中に入っておりますから、積極的に活用していきたいというふうに思います。
  10. 野田国義

    野田国義君 どうもありがとうございました。しっかりよろしくお願いをしたいと思います。  それから、質問の方、入らせていただきますけれども、ちょっと順番を変えまして、最後に質問予定で出させていただいているかと思いますけれども、五番目に質問予定でございましたコロナ禍にあっての一般社団法人福祉分野への保証状況についてということでお聞きしたいと思います。  一般社団法人信用保証対象にならず、一方で医業をつかさとする法人であれば対象となると聞いております。この現状とその理由を伺いたいと。あわせて、前述施策対象外となる福祉分野高齢者施設児童障害者施設等運営事業者への他の支援策などがあれば聞きたいと思います。よろしくお願いいたします。
  11. 奈須野太

    政府参考人奈須野太君) お答え申し上げます。  まず、信用保証協会でございますけれども中小企業者事業の振興に必要な資金に関する支援を通じて、会社や個人事業主などの中小企業者の成長、発展面支援を行うということを法律上の目的としておりますので、お尋ねのとおり、一般社団法人というのは信用保証対象とはなっていないということでございます。  ただ、これには経緯的なところがあるんですけれども一般社団法人であっても、従業員数が三百人以下の医業を主たる事業とする法人ということであれば信用保証対象となっております。ですから、医師看護師等医療行為を行うことを前提とする病院一般診療所などを営む法人であれば、医業を主たる事業とする法人として信用保証協会信用保証対象となり得ると、これは昭和二十八年からそのような仕切りになっているということでございます。  それから、高齢者施設、それから児童障害者施設などの運営事業者を含む一般社団法人に対する資金繰り支援については、収益事業を目途とする限りにおいては、日本政策金融公庫国民生活事業という部門ございまして、こちらの融資対象となっておりまして、要件を満たす場合、今回やっている実質利子担保融資対象となり得るということでございます。  こういった政府系金融機関分担関係、非常に難しいところがありまして、分かりづらいところがあるんだと思うんですけれども、こういったその分担関係、現在パンフレットなどで周知しているところでございますけれどもお尋ねのようなところもありますので、引き続きしっかりと分担関係を御説明してまいりたいというふうに思っております。
  12. 野田国義

    野田国義君 どうもありがとうございます。  もう御承知のとおり、一般社団法人でも医師としっかり提携をして運営をしておられるところも多数あるわけでございまして、今後の保証対象への検討もよろしくお願いをしたいと思うところでございます。  それから、引き続きまして、消費税ポイント還元事業についてお伺いをさせていただきたいと思います。  まず、この効果の検証、それから今後、御承知のとおり六月でこれがもうなくなるということでございますけれども、どのようにお考えになっておるのかということをお聞きしたいと思います。
  13. 藤木俊光

    政府参考人藤木俊光君) お答えを申し上げます。  ポイント還元事業は、消費税率引上げに伴う需要平準化、それから税率引上げ影響を受ける中小店舗への支援キャッシュレス推進という三つを目的といたしまして昨年十月から実施をしているところでございます。  その効果についてでございますが、消費税率が引き上げられた翌月、昨年の十一月に消費者それから店舗の方へアンケートを行っておりまして、例えば駆け込みで購買を行うかもしれなかったという消費者のうち半数ポイント還元理由にまとめ買いをしなかったというような回答が出ておりますし、また、店舗の方も最終的には全国で百十五万店舗対象となり得る中小店舗の約半数強まで拡大しておりまして、売上げの確保、顧客獲得業務効率化につながったという声もいただいておりまして、一定効果を上げたというふうに考えております。  ポイント還元終了後も引き続きアンケート調査等を実施して、この政策目的がきちっと達成されているかどうかしっかりと検証してまいりたいと思います。  それから、六月で終わった後ということでございます。今申し上げましたように、消費税率引上げ後の対策ということで一定の成果を上げたということをもって本年六月末で終了というふうに考えてございます。  なお、今、新型コロナウイルス感染症による深刻な影響ということで、中小店舗への支援という観点からは、持続化給付金家賃支援給付金実質利子担保融資など前例のない思い切った経営支援策を行っているところであり、また、需要の喚起という観点からは、特に影響の大きかった旅行、飲食、イベントというものを対象としたいわゆるゴー・ツー・キャンペーンを実施すべく、現在関係省庁とともに準備を進めているところでございます。
  14. 野田国義

    野田国義君 ありがとうございます。  このポイント還元につきましては、対象決済金額は六・九兆円あったわけでありますけれども還元額は二千八百三十億ですか、だから国民の実感どうだったのかなということを改めて思ったところでございます。  逆に言えば、六月で終わるということは、七月からは増税という感も否めない事実になっていくのではないかなということを私自身も心配しているところでございまして、この消費税をどう扱っていくのか、いろいろ持続化給付金とかゴー・ツー・キャンペーンも今後なされるということでございますけれども、何かああいった事業がいろいろな問題が起きておりますので、だったら、もうこの消費税のところで減税なり凍結なりとかいろいろな方法がないのかなと、私はそのように思っているところでございます。  それから、消費税につきましてもう一点でございますけれども大臣記者会見の中で、消費税を上げたのは正しかったということを発言されております。我々は、十月に上げるということは、非常に景気も厳しい状況にあるわけでございまして、この時点ではいかがなものかということを再三申し上げたつもりでございましたけれども、このことと、いわゆる十万円ですか、給付することが五%削減にもつながるというような発言もされておりますけれども、ちょっとこれは、困った方にいわゆる十万円給付するというような状況でございますので、ちょっと消費税の話とは違うんじゃないかと私は思いますけれども大臣、どうでしょうか。
  15. 西村康稔

    国務大臣西村康稔君) お答えを申し上げます。  昨年十月の消費税率引上げについてでありますけれども政治家は誰もが増税というのは本当に嫌なものでありまして、我々も本当はそれはやりたくないわけでありますけれども、言わば苦渋の選択で決断をしたわけでありますが、前回の引上げ時に大きく経済が落ち込んだという反省に立ちまして、今回はもう様々な対策を講じたわけであります。  具体的には、増収のおおむね二分の一を幼児教育保育無償化に使う、あるいは最大年六万円の年金生活者への支援給付金、あるいは介護保険料軽減特例の強化、こういった恒久的な措置を充てることに加えて、軽減税率の導入もいたしました。経済への効果はこれによって二兆円程度に抑制したわけでありますけれども、さらに、今御指摘ありましたポイント還元プレミアム商品券、あるいは自動車、住宅購入に係る減税措置ですね、こういったものでそれを上回る、そうした経済への影響を十二分に乗り越える二・三兆円分の予算、税制上の措置を講じたわけでありまして、こうした措置を講じて経済への影響を最小限にした上で消費税率引上げを行ったわけであります。  その上で、もう御案内のとおり、消費税率引上げ分はその全額が社会保障財源に充てられるということで、全世代型社会保障改革への第一歩が始まっているわけでありまして、幼児教育保育無償化がスタートしているわけであります。そういう意味で、そうした安定的財源を確保するためにどうしても必要であったという趣旨で私は申し上げたところであります。  その上で、今般のコロナのこの影響で、様々な皆さんに厳しい状況にある中で何とか負担を軽減をしようということで、様々な、持続化給付金始め行ったわけでありますけれども、そのうちのお一人十万円の特別定額給付金も、これは約十三兆円、十二・九兆円分ありますので、消費税でいえば五%分に匹敵する、それだけの金額を負担を軽減をしようということでありますので、これはこれで私は国民の皆さんの負担軽減にはつながっているものというふうに思います。そうした趣旨で申し上げたところでございます。
  16. 野田国義

    野田国義君 今、最後にもおっしゃいましたけど、負担軽減というより、本当にこれもう生活ができなくなっているというような、生きるか死ぬかの問題という国民の方々も大勢いらっしゃるわけでございますので、その辺りのところもしっかり御認識をいただきまして、よろしくお願いをしたいと思っております。  それから、再三取り上げられております専門家会議の議事録でございます。私は、本当にこの今の安倍政権というのは、記録を残す、あるいは公開するということをやらない、なぜなんだろうと。  私、この行政、政治で最も必要なものは、オープンにしていく、公平、そしてまたクリーンにやっていくというようなことが非常に重要なことであると思っているところでございまして、本当に文書管理につきましては、今の安倍内閣国民に信じてられないんじゃなかろうかなと思っているところでございますけれども、このことについて私はしっかり、やはり、歴史が判断すると中曽根元総理がおっしゃったように、そういうことが重要なことだと思うわけでございますので、この点についてお聞きしたいと思います。
  17. 西村康稔

    国務大臣西村康稔君) 私も、今回、歴史的緊急事態ということでありますので、できる限り丁寧に記録は残さなきゃいけないという認識で取り組んできているところであります。  専門家会議につきましても、これまでの過去の分についても名前を特定する形で、発言内容とそれを一致させる形で公表ができないかと、私自身も、様々な御指摘いただき、また専門家会議のメンバーからもそういった御指摘があったものですから、専門家の皆さんと相談をさせていただいたところでありますが。  ただ、これは、一回目のときに自由に率直に意見を言っていただくということで、専門家の皆さんからは、これ様々な地名とか、それから、ある発生をした、新規感染者が発生をした業種であるとか属性であるとか、これ個別のものがいっぱい出てくるわけでありまして、まさに個人情報に関わる、プライバシーに関わる部分もありますし、それから、専門家の皆さんが名前が特定されることによって、ある意味訴訟のリスクとか個人攻撃のリスクとか、そういったものを負うわけでありますので、そういう意味で、今回、名前を特定する形では、これまでのものについてはやはり専門家の皆さんの御意見としてそれは出せないということを伺ったものですから、過去についてはこれまで同様に、議事概要という形でかなり丁寧に書いておりますし、また毎回専門家の皆さん自身が一時間半ぐらい掛けて記者会見を行って、議事の内容については丁寧に説明、記者の皆さんから、これフルオープンで行っています。  こういったことも行ってきていますので、何も隠すものはないんですけれども、やっぱりプライバシーとかあるいは風評被害とか、そういうことを考え、あるいは専門家の皆さんの個人のリスク、こういったものを考えると、過去のものについては自由に率直に御発言いただくという約束の下で始めたものですから、これは出せないと。  ただし、速記録はありますので、ない部分も録音等からちゃんと起こしますので、これは記録としてしっかりと残して、やがては、時が経ればそういったリスクも減りますので、国立公文書館に移管をして公開されるということで、私自身は記録をしっかりと残していきたいというふうに考えているところでありますし、今後の会議については、専門家の皆さんの御了解もいただきましたので、個人の名前と発言内容を特定する形で残していきたいというふうに考えているところでございます。
  18. 野田国義

    野田国義君 ありがとうございます。  本当にこれは、私は非常に重要なことだと思います。これ私も、二十七年前ぐらいに市長になったときなんかは全然、議会含めて委員会とかオープンになっていませんでした。しかしながら、それ、やってしまえば意外とできるものなんですね。  だから、当然、発言ができないと逆におっしゃったけど、逆に発言をしておかなくちゃいけないという方々も、いろいろな代表で国のこういった会議に出席をされているわけでありますから、そういう方々もたくさんいらっしゃるわけなので、私はもう思い切ってこれインターネット中継辺りを、あれ大阪辺りがやりましたかね、そういうことぐらいやってもいいんじゃないかな。そうすると、ちゃんとそれが言葉として、また文字となっても、AIなんかでですね、ができるわけでございますので、私はこういったインターネット中継などを導入すべきではないかと、重要な部分はですね。  当然、出席される方というのはそれを覚悟の上で御出席をいただく、又は御承認いただいた上で御出席いただいて発言をしていただくというようなことが私は大切なことだと。オープンにもっとこの政府をしていただきたい、このことを強く要望させていただきたいと思います。  それから、ちょっとアスベストのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、通常国会で大気汚染防止法の一部を改正する法律案が成立をしたということ、もう皆さん御承知のとおりでございます。その中で、その中でというか、私も、このこと、また各地でアスベストの訴訟が行われておりまして、非常に関心を持ちながらやっているところでございますけれども、これ、御承知のとおり、この裁判等は、国の責任に加えて企業の責任、そしてまた一人親方への賠償などもこの訴訟で勝って入ってきておるということでございます。それで、本当に健康被害というものが、私はこれを防止するということ、非常に重要なことであると思っているところでございます。  それで、この法律で強化をしていただいたということは認めるわけでございますけれども、さらに、聞くところによりますと、石綿ばく露防止対策検討会報告書において提言されたこの規則ですか、の改正等も今行われているということです。もっと事前調査などの届出や、いわゆる計画届とか、調査方法を明確化するとか、資格者による調査とか、そういうことがここでまた提言をされていると。  私も本当に、いわゆるそこで働く方々、あるいは周りの環境というものをしっかり保っていかなくてはいけないと思っているところでございますけれども、この辺りのところを大臣としてどのように思っておられるのか、お聞きしたいと思います。
  19. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 建築物の解体、改修作業に従事する労働者の健康障害を防止するため、石綿の暴露防止、これは大変重要だということでございます。石綿関連疾患の労災認定件数等は全体で約千件、このうち半数が建築業、これはまあ労災を認定しているというレベルでありますけれども。したがって、厚生労働省としても、労働安全衛生法に基づいて平成十七年に石綿障害予防規則を定め、建築物の解体、改修工事に携わる労働者の方々の石綿暴露防止対策の徹底を事業者に求めているところであります。  さらに、今後、二〇三〇年にかけて石綿が使用された建築物の解体工事が増加する見込みであることから、一層の対応の強化が必要であるということで、学識者、建設関係の労使等から構成される検討会を平成三十年七月から令和二年四月までこれ八回開催させていただいて、石綿暴露防止対策について検討を行いました。  その結果を踏まえて、石綿障害予防規則に関して、石綿の有無の事前調査を行う者の要件を新設し一定の講習の修了を求めること、一定規模以上の建築物等について石綿の有無の事前調査結果を電子的に届けさせる制度を新設すること、作業の実施状況について写真等により記録、保存などを義務付けること等の改正を行うことにしておりまして、六月十日に労働政策審議会に諮らせていただいて、妥当である旨の答申をいただきました。  厚労省としては、この答申を踏まえて速やかに石綿障害予防規則を改正し、改正規則に基づく措置が徹底されるよう事業所に指導を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  20. 野田国義

    野田国義君 ありがとうございます。  このことにつきましては、私、この施工する業者のレベル、まあ当然そこで従事する方々は講習会なども受けなくちゃいけないというようなふうになっておりますが、その施工する事業所のレベルを上げることが必要なのかなと。  調べておりましたら、一般社団法人に国交省の外郭団体で日本建築センターですか、があると。そして、そこではいわゆるアスベスト粉じん飛散防止処理技術を高めようというようなことで、建設技術の審査証明書ということで出しておるというようなことでございまして、そういった施工をする技術者のところをレベルを高めないと、どうしてもそういった健康被害、あるいは周り、周辺の方々に影響を及ぼすというようなことが出てくるのではないかと非常に懸念をしておるところでございますので、御検討のほどをよろしくお願いをしたいと思うところでございます。  それから、もう時間もございませんので最後になるかと思いますけれども、この決算委員会におきまして、審議で、措置要求決議というのがございまして、下水道施設の耐震化あるいは老朽化対策、これを着実に推進しなさいというような措置要求決議をさせていただきました。  そこで、私、非常にこの老朽化、道路も橋もトンネルもそうですけれども、非常にこのインフラをどう老朽化対策をしていくかということは非常に大切なことだと思っております。そこで、上水道、これ、このまましてしまったら百三十年から百四十年掛かるというんですね、更新していくのに。百三十年から百四十年ですよ。本当にこれ大変。だから、この上水道というところも、管をいろいろと更新をしていかないと危ないということでございますので、よろしくお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  21. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 公益社団法人日本水道協会の水道の統計等によりますと、我が国の水道管路全体は、これ平成二十九年度末でありますが、七十一万二千二百九十キロでありまして、そのうち法定耐用年数、これ布設後四十年超がそのうちの一六・三%を占めております。他方で、管路の更新実績は、平成二十九年度で四千九百七十一キロメーター、すなわち水道管路全体の〇・七%ということでありますから、本来、今申し上げた今後二十年間で更新が必要な管路等を前提にしますと、管路全体の長さの一・二二%程度の更新を平均してやっていく必要がある、それに対して〇・七%ということですから、まだ届いていないということであります。  そうした状況を踏まえて、平成三十年十二月に改正水道法が成立をしまして、水道事業者等に対する計画的な水道施設の更新、更新費用を含めた水道事業に係る収支見通しの作成と公表の努力義務を設けさせていただきました。  厚労省としては、全国の水道事業者等に対して、長期的な視点に立った計画的な施設の更新、資金確保に関する取組が促進されるよう、水道事業におけるアセットマネジメント、資産管理に関する手引も作成して、その周知、配付などで技術的な支援にも努めさせていただいているところでございます。  また、経営条件の厳しい水道事業者に対しては、水道施設等耐震化事業による財政的支援もさせていただいておりまして、これは生活基盤施設耐震化等交付金という交付金の中の一部を充てるわけでありますけれども、例えば、基幹管路の耐震化分ということに対しては、令和元年度は百十九億に対して、令和二年度の、これ内示額ベースですけれども百五十一億と、二六%増をさせていただいて、こうした水道施設の更新が長期的な視点に立っても着実に進むよう更に努力していきたいと思います。
  22. 野田国義

    野田国義君 こういった老朽化対策はいろいろ、首長も目立たないことなんでなかなかやろうとしないんですね。だから、しっかりこれ指導をよろしくお願いをしたいと思います。  それから、コンセッション方式、まだやっている自治体はないということでありますが、我々は、本当に水というのは大切でございますので、コンセッション方式、ちょっといかがなものかなということを今も思っているところでございますので、その意見を表明いたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  23. 小西洋之

    小西洋之君 小西洋之でございます。  質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。  まず、国会が負担する経費の観点質問からさせていただきます。  参議院の事務総長に伺いますが、昨年の週刊文春に公選法違反が報道されました河井前法務大臣、また河井あんり議員に支払われた歳費などの総額は、この文春の報道以降、幾らになるでしょうか。
  24. 岡村隆司

    事務総長(岡村隆司君) お答えいたします。  週刊誌報道、昨年の十月三十一日ということかと思いますけれども、昨年十月三十一日から本日までに支給された歳費及び期末手当の総額は、衆議院議員の場合、一千三百七万千十七円、昨年七月に初当選の参議院議員の場合、一千百七十七万六千三百七十円でございます。
  25. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  事務総長、重ねて、一般論でございますが、国会議員が公職選挙法違反などの、つまり刑事犯罪によって有罪の確定判決が出された場合に、今答弁いただいたような歳費などの経費について、国庫に返納義務というのは負うのでしょうか。
  26. 岡村隆司

    事務総長(岡村隆司君) お答えいたします。  国会議員について、裁判で有罪が確定した場合において、過去に支給された歳費、期末手当等を国庫に返納することを定める規定はなく、返納義務は負いません。  以上でございます。
  27. 小西洋之

    小西洋之君 国会議員は歳費などについて憲法で身分保障の規定があるわけでございます。やはり、国会議員としてなおさら説明責任、特に両議員の所属する自民党の総裁である安倍総理の国会、国民に対する説明責任が問われるものと思います。  以下、その観点で伺わさせていただきたいと思います。  まず、法務副大臣、検察当局として、今回逮捕したお二人について、公職選挙法違反を犯しているという確証を持って逮捕しているのでしょうか。
  28. 義家弘介

    ○副大臣義家弘介君) お答えいたします。  検察当局としては、河井克行衆議院議員及び河井あんり参議院議員に関わる公職選挙法違反事件に関し、被疑者が罪を犯したと疑うに足る相当な理由等の刑事訴訟法に定められた逮捕の要件を満たすと判断し、逮捕状を請求し、現在、捜査を行っているものと承知しております。
  29. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  刑事司法手続があるわけでございますが、一方で、先ほど申し上げた安倍総理の総理またあるいは総裁としての国民あるいは国会に対する説明責任の問題は重要だと思います。  今日は岡田副長官にお忙しい中お越しいただいております。伺いますが、安倍総理ですが、昨年の河井参議院議員の応援のために何度広島に赴いていらっしゃるでしょうか、選挙の前後含めてでございますけれども
  30. 岡田直樹

    内閣官房長官(岡田直樹君) お答えを申し上げます。  ただいまの小西先生の御質問は総理の政治家としての活動に関わることであり、政府としてお答えをする立場にはないと存じます。  なお、その上で申し上げれば、総理は、以前の衆議院予算委員会、一月二十七日において、溝手、河井両候補の応援に入った旨の答弁をしているものと承知しております。
  31. 小西洋之

    小西洋之君 安倍総理が国会にお越しいただき、野党は集中審議を要求しているところでございますが、来ていただいて、本来は総理からきちんと、政治活動についても総理、頻繁に国会で答弁されておりますので、答弁いただきたいと思います。  重ねてですが、副長官、安倍総理は、この昨年の河井議員の応援のために、御自身の、安倍総理の秘書を何人、どれぐらいの回数で広島の選挙区に送り込んでいるのでしょうか。
  32. 岡田直樹

    内閣官房長官(岡田直樹君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問は総理の秘書の政治活動に関わることでございまして、政府としてお答えする立場にはないと存じます。  なお、その上で申し上げれば、総理は、先ほども申しました一月二十七日の衆議院予算委員会におきまして、自民党においては、参議院のときには衆議院が応援に入る、また、秘書が秘書会等を通じてそれぞれの候補に応援に入るということはよくあることであり、山口県の隣の広島県の選挙におきまして、総理の指示によって安倍事務所の職員が応援に入ったが、頻度等については承知はしていないとの趣旨の答弁をしているものと承知しております。
  33. 小西洋之

    小西洋之君 安倍総理は、先生方御案内のとおり、桜を見る会で御自身の政治団体の秘書が、まさに政治活動ですが、のためにどのような活動をしていたか事詳細に答弁いただいておりますので、やはり、週刊文春の報道などによれば四人の秘書の方を送り込んで団体回りなどをしていたということが報道されているところでございます。  じゃ、重ねて副長官に伺わさせていただきますが、河井前法相でございますが、総理補佐官時代にこの度の公職選挙法違反を行った、そういう嫌疑で逮捕されております。そうした河井前法相を総理補佐官に任命し、かつ参議院選挙の後に法務大臣に任命した責任を安倍総理自身どのように考えていらっしゃるのでしょうか。安倍総理が国会に出てきて国会と国民に対して説明責任を果たすべきだというふうに考えますが、安倍総理の河井前法相に対するその任命責任、国会に出席するその説明責任について答弁をお願いいたします。
  34. 岡田直樹

    内閣官房長官(岡田直樹君) お答え申し上げます。  この点につきまして、総理は、去る十八日の記者会見において、かつて法務大臣に任命した者としてその責任を痛感しております、国民の皆様に深くおわび申し上げますとした上で、また、国民の皆様の厳しいまなざしをしっかりと受け止め、我々全ての国会議員が改めて自ら襟を正さなければならないと考えておりますし、選挙は民主主義の基本でありますから、そこに疑いの目が注がれることはあってはならない、また、自民党総裁として、自民党においてより一層襟を正し、国民に対する説明責任も果たしていかなければならないといった趣旨を述べているところであります。  また、国会での説明については、これは国会でお決めになるものと承知をしてございます。
  35. 小西洋之

    小西洋之君 最後のところですけど、安倍総理は、いつでも国会に出席を求めることができますので、憲法上ですね、閉会中審査を週一回、各委員会で開くことを与野党合意しておりますので、国民に対する説明責任を全う、責任を痛感して国民のまなざしに思いをはせることは、それはある意味できる、誰でもできるといえばできるわけでございますので、大事なことは、そこに自分の政治責任を、任命責任を果たす意思があるかということでございますが、安倍総理に対してはなかなかそれがうかがえないところでございます。  重ねて副長官に伺いますが、今回の河井前法相、河井あんり議員のこの公選法違反の疑いでございますけれども、この河井あんり議員の選挙に際して、自民党本部から河井前法相と河井あんり議員の政治団体に対して合計一億五千万円の資金が交付されたというふうにされております。この一億五千万円は政党交付金なんでしょうか。  事前に自民党総裁たる安倍総理に対して確認の上の答弁をお願いしております。答弁お願いいたします。
  36. 岡田直樹

    内閣官房長官(岡田直樹君) お答え申し上げます。  ただいまの小西先生の御質問につきましては、これは自由民主党の政治活動に関することでありまして、政府としてお答えする立場にはないと存じます。
  37. 小西洋之

    小西洋之君 自民党の政治活動でも、総理・総裁は安倍総理一人しかいないわけですので、答弁いただかないといけないんですが。  ちょっと、選挙部長、今お越しいただいておりますけれども、ちょっと通告していないんですが、基本的なことです、政党助成法上、この広島の第七支部、第三支部というのが両氏の政党支部なんですが、その政党支部の政党交付金の使途等報告書は既に自民党本部に法律の定めに従って提出済みであると、昨年度のもの、という理解でよろしいでしょうか。
  38. 赤松俊彦

    政府参考人(赤松俊彦君) お答えを申し上げます。  法律上でございますけれども、まず支部から政党の本部の方に報告が二か月以内にあるということでございます。それも含めまして、三か月以内に私ども総務省の方に御報告をいただいて、公表は九月末日ということになってございます。
  39. 小西洋之

    小西洋之君 今、選挙部長が答弁いただいたように、実はこの広島にある両氏の政党支部の昨年度の政党交付金の使途報告書については二月末までに党本部に、自民党本部に報告されております。そして、三月末までに総務省にまとめて報告をされていると。なので、自民党本部は、一億五千万円、もちろん渡した側ですから、それは政党交付金であるかどうか、かつ、一億五千万円が政党交付金であれば、その全てについての使い道、あるいは、一億五千万円のその一部が政党交付金であればその一部についての政党交付金としての使い道について、今党本部は把握しているわけでございますけれども。  副長官、重ねて伺いますが、自民党総裁である安倍総理ですね、安倍総理は同時に政党助成法の執行の責任者でもございます、行政の責任でございますから。この一億五千万円の使途がこの公選法違反の買収目的に使われたのではないか、一部報道でも言われていることでございますが、この一億五千万円が買収に使われたのかどうか、そしてそもそもそれが政党交付金であったのかどうか、国民、国会に安倍総理は説明する責任があるのではないでしょうか。もう一度答弁お願いいたします。
  40. 岡田直樹

    内閣官房長官(岡田直樹君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問は、先ほどの御質問と同様、自由民主党の政治活動に関することであり、政府としてお答えする立場にはないと存じますが、その上で申し上げれば、一月二十七日の衆議院予算委員会において総理は、一般論として申し上げれば、政党本部から政党支部への政治資金の移転は何ら問題ないものと認識しておりますと答弁しているものと承知いたしております。  また、先ほど御質問の一部に出てまいりました、現在捜査中の個別の刑事事件に関する事柄については、これは政府としては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。  なお、その上で申し上げれば、先日十八日、総理から、自民党の政治資金につきましては、昨日、二階幹事長より、党本部では公認会計士が厳格な基準に照らして事後的に各支部の支出をチェックしているところであり、巷間言われているような使途に使うことができないことは当然でありますという説明を行われたというふうに承知をしておりますと、これは総理が述べたところでございます。
  41. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございます。  二階幹事長の国民、国会への説明ですけれども、一億五千万が政党交付金であったのかどうか、かつ、それが買収ですね、公選法違反の買収に使われたのかどうか、明確に否定されていないんですね、何ともおっしゃっていない。また、今、公認会計士の話がありましたけれども、収支報告書の監査などの監査の話だと思いますが、これ、先生方も御案内のとおり、実質的な調査権はないんでございますので、表面上をなぞるだけでございますので、それでは実態が分からないということでございます。  資料の八ページを御覧、先生方、いただきたいんですけれども、実は政党交付金を受ける政党については法律上の特別の義務が掛けられております。第四条の第二項でございますけれども、ちょっと読み上げますが、政党は、政党交付金国民から徴収された税金その他貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公正なものとするとともに、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を適切に使用しなければならないというふうに規定されているところでございます。  岡田副長官に重ねて伺いますが、一億五千万円を特定の候補者に渡して、もう片方の候補者の方には千五百万しか渡さない。そのような在り方というのが、この政党交付金を受ける政党の在り方として、組織、運営について民主的かつ公正なものかどうか、安倍総理は自民党の総裁、そして総理大臣として説明責任を負うわけでございます。かつ、それが買収ですね、公選法の買収という犯罪に使われたのではないか、そのことについても、国民の信頼にもとることがないようにしっかりと説明責任を負うわけでございます。  この政党助成法四条の規定に照らして、今回の一億五千万円の資金の供与、またそれが買収に使われたのではないかについて、安倍総理は説明責任を果たすべきではないでしょうか。
  42. 岡田直樹

    内閣官房長官(岡田直樹君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問につきましても、これはまさに自由民主党の政治活動に関することであり、政府としてお答えする立場にないと存じますが、その上で申し上げますと、一月二十七日の衆議院予算委員会において総理は、一般論として申し上げれば、政党本部から政党支部への政治資金の移転は問題ないものと認識しておりますと答弁していることと存じます。  国会での説明については国会でお決めになるものと重ねて承知をいたしております。
  43. 小西洋之

    小西洋之君 私は同趣旨の質問を、敬愛をしております副長官につらい気持ちで三回伺わせていただいているんですが、同じような答弁いただいていますので、委員会に対して、この決算委員会に対して、血税でございますので、政党交付金は、この一億五千万円が政党交付金であったのかどうか、またそれに、その使途についてこの買収に使用されたように疑われるようなものがないのかどうか、政府からこの委員会に対して説明を求めたいと思います。
  44. 中川雅治

    委員長中川雅治君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  45. 小西洋之

    小西洋之君 総務大臣にお越しいただいておりますけれども、一般論で結構なんでございますけれども、今私が読み上げました政党助成法の第四条でございますね、第四条、この組織及び運営については民主的かつ公正なものとする、国民の信頼にもとることがないように政党交付金を適切に使用する。  政党本部の代表は、一般論として、これに対して国民に対して、国会に対して説明責任を負うという理解でよろしいでしょうか。
  46. 長谷川岳

    ○副大臣長谷川岳君) それぞれの政党において適切に判断されることだと認識をしております。
  47. 小西洋之

    小西洋之君 適切に認識なんですが、常識で考えると、一億五千万円でございますので、かつ、買収に使われたのではないかという疑いも報道等されているわけでございますので、安倍総理はきちんと国会に出てきて、国会と国民に対して説明責任を全うしなければいけないと思います。  ちょっと一点、法務省に伺いますが、過去に、戦後でございますけど、法務大臣経験者が犯罪の嫌疑で逮捕されたことはあったんでしょうか。
  48. 保坂和人

    政府参考人保坂和人君) そういったケースはなかったというふうに承知をしております。
  49. 小西洋之

    小西洋之君 まあ当たり前のことでございますが、本件はそれだけ説明責任の重い事案、事件であるということだというふうに理解をさせていただきたいと思います。  会計検査院にちょっと質問と、あと要請を同時にさせていただきたいと思いますが、政党交付金は会計検査検査対象になるのかどうかということと、犯罪に使われた政党交付金は会計検査検査においてどのような評価を、まあ一般論ですが、受けるものであるかということと、あと、これまでの質疑を聞いていただいて、私として、この広島の河井前法相、また河井議員の政党支部に出された政党交付金の使途について、会計検査院として検査して国会に報告をすることを求めます。
  50. 森田祐司

    会計検査院長(森田祐司君) お答えいたします。  政党交付金は国が政党に交付するものですので、国の支出として会計検査院の検査対象となります。政党交付金の交付先である政党の会計につきましても検査をすることができるということになっております。  お尋ねの合規性の観点から当然に不当事項となるかという点につきましては、検査の結果に基づかずに申し上げることは困難であるということを御理解をいただければというふうに思います。  検査要請のことにつきましては、会計検査院といたしましては、これまで国会から検査要請が行われた場合には、要請を受諾するかの検討を速やかに行い、受諾した場合にはその検査に真摯に取り組んでまいりました。一方で、国会が検査要請を行うかどうかにつきましては、国会御自身がお決めになる問題であり、検査院が申し上げる立場にないと承知しております。  いずれにしましても、国会での御議論等を踏まえて、引き続き適切に検査を実施してまいりたいというふうに考えております。
  51. 小西洋之

    小西洋之君 今、ちょっと院長、質問なんですが、犯罪に使われた税金があった場合には不当事項になるのは当たり前のことだと思いますので、まあそれについては答弁は結構ですが。  今まで会計検査院は、この決算委員会の議決によらない、私のような一議員の質疑上における検査要請でも、議員の御指摘などを踏まえ適切に検査をし、国会に報告するという答弁をしていたんですね。そういう意味では、今の院長の答弁、ちょっとおかしい答弁だと思うんですが、ちょっと時間があれなので厳しく指摘だけして、しっかりこれまでの答弁を読んで、独立機関として、会計検査院長としての責任を全うできるように、院長、しっかり仕事してください。今までの答弁と全然違う変な答弁ですよ、今の答弁は。ちょっとそのことを指摘させていただきます。  では、新型コロナの問題について質問をさせていただきたいと思います。通告の四番から、厚労大臣、させていただきたいというふうに思います。  まず、健康局長、今日お越しいただいておりますけれども、先生方、資料の二ページなんでございますけれども、新型コロナの検査と医療体制を構築するのがある意味我が国の社会における最重要の課題になっているわけでございますけれども、その検査体制について、実は厚生労働省は六月二日に事務連絡を各都道府県に発出しております。  で、これの回答を、それぞれの各県で、検査が必要な件数のピークの件数何件で、それに対する検査能力の現状が今何件かという報告を求めているんですが、これ、十九日、報告締切りだったということですが、簡潔で結構ですので、どれぐらい報告が戻ってきているでしょうか。
  52. 宮嵜雅則

    政府参考人宮嵜雅則君) お答え申し上げます。  今委員から御指摘がありました六月の二日に、その検査体制強化に向けた指針を示しつつ、十九日を締切りとして、ピーク時の検査需要の見通しを作成していただいた上で点検状況を御報告いただくように自治体に要請したところでございますが、まだ全部の報告出そろっておりませんで、十九日の時点では二十一都道府県からということでございます。  検査需要の見通しやその評価についてどのような形でお示しできるかの判断できる段階には至ってございませんが、引き続き、精力的に都道府県への確認作業を行い、着実に検査体制が強化されるように努めてまいりたいと考えております。
  53. 小西洋之

    小西洋之君 厚労大臣、今お聞きいただいたように、今回の、西村大臣もお越しいただいておりますが、緊急事態宣言の目的は、感染拡大を阻止するだけではなくて、検査や医療の体制構築をするためであった、つまり、国民経済はもう血へどを吐く思いで耐えてきた、そして国家経済的にも莫大な予算を計上して、一定予算、我々も賛成しましたけれども、設けている。ただ、肝腎のそれを取り組んでいただく都道府県において、こういう体制の取組の締切りまでの回答が四十七のうち二十一しかない。これは非常に大きな問題だと思います。  医政局長、お越しいただいていますが、ちょっと通告していないんですけど、重要な問題なので。  医療に対する体制構築の同じような事務連絡を、六月の十九日、先週の金曜日に出しております。今私の手元にあるんですが、この六月十九日に、どのような体制を構築するか、先ほどの検査の事務連絡にあったような、このチェックリストってございますか、この通知の中。また、いつまでにこの回答を都道府県から得ることとしていますか。
  54. 吉田学

    政府参考人吉田学君) お答えいたします。  厚生労働省としましては、今御指摘いただきましたように、六月十九日に各都道府県に対して、次なる波に向けた医療提供体制についての検討事項をお示しし、技術的な助言として検討いただいているところでございますが、七月上旬からそれぞれの都道府県においてお取組をいただき、七月中に提供体制についての構築をいただいた上で、私どもとしては、それを踏まえた御報告をいただき、更なる対応をさせていただきたいということで取り組んでいるところでございます。
  55. 小西洋之

    小西洋之君 優秀な医政局長がそつなく答えたようにあれですが、七月末を目途に回答、調査をしますと、厚労省として。ただ、先ほどの検査のところに付けてあるようなチェックリストは、私が見る限り多分ないんですね、ないんだと思う。まあ、うなずいていらっしゃいますから、ないところでございます。  厚労大臣に伺いますけれども、この検査や医療の体制構築でございますけど、今御紹介したような事務連絡、都道府県に対するこの事務連絡というのは何という法律に基づいてなされているものであるのか、また、国民習慣病でありますがんや脳卒中や心臓病などについては片やどういう法律に基づいて地域の提供体制の構築がなされているんでしょうか。
  56. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 今、いわゆるPCRの検査、今PCRだけではないんですけれども検査あるいは相談体制に対する各自治体の取組に対する、我々から報告を求めている、あるいは、今回、医療提供体制、まさに保健所機能についても出させていただきました。  こうした事務連絡は、地方自治法第二百四十五条の四の第一項の規定に基づくいわゆる地方公共団体に対する技術的な助言という、こういうフレームワークの中でさせていただいているということでございます。  感染症法においても、国において感染症に係る医療の提供に対する体制の確保に関する事項等を含めた基本方針を定め、これに即して、各都道府県においても地域における感染症に係る医療提供体制の確保に係る事項等を含めた予防指針を定めるという基本スキームワークはありますけど、これは感染症全体ということであります。  また、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病及び精神疾患については、これは医療法において特に広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病として位置付けられておりまして、都道府県が医療計画を通じて、地域の実情を踏まえてその医療提供体制の確保を図るとされているところであります。  それに加えて、これは議員立法、与野党議員の皆さん方の御協力、御賛同あるいは御努力によってでありますが、がんについてはがん対策基本法、脳卒中、心臓病等の循環器病については循環器病対策基本法が地域の医療提供体制などの基本的な政策の方向性を定める法律とされておりまして、例えばがん対策基本法では基本計画を国が、また都道府県が推進計画を、さらに医療機関の整備等、こうした仕組みになっているということであります。
  57. 小西洋之

    小西洋之君 今答弁いただいています、資料三ページを御覧いただきたいんですけれども、実は、ある意味国民の文字どおり生命を預かり、そして我々国民経済の生き死にを預かるこの新型コロナのこの検査や医療の体制づくりの法律が、実は地方自治法の国が地方自治体に対する一般的なこの助言、この規定にのっとって行われているところでございますが、片や、今答弁いただいたように、この医療法という一般法あるいはがんや脳卒中や心臓病などは特別法を設けて国民の命、健康を守る体制をつくろうとしているんですが、次、四ページ以降に、これ問題提起ですが、本来、この新型コロナの検査や医療などの体制構築について、それを確保するための本来法律が必要であったのではないか。  これは、実は与党の先生方にも御相談申し上げたんですが、残念ながらちょっと会期中に間に合わなかったんですけれども、もし臨時国会が開かれるのであれば、是非与党の先生方にも御指導いただいて、こうした法律を作らせていただいて、国を挙げて、そして国会の責任において、まあ先ほど期限までに報告してきている都道府県が半分、しかもその内容がちゃんとした取組ができているかどうかも分からない。にもかかわらず、秋冬のこの感染、大きな感染期を危惧する、感染期を迎えることになってはいけませんので、厚労大臣にしっかり奮闘いただきたいと思いますし、あと、医政局長と健康局長はもう陣頭指揮執っていただいて、ある意味局長自ら現場にどんどん出かけていくような形で、医療の体制づくりが難しいのは、私も先ほど大臣が答弁いただいた医療法やあと脳卒中やがんの政策関わっておりますので、よく承知しているんですが、なおさら是非皆さんの力で頑張っていただきたいというふうに思うところでございます。  では、ちょっと時間あれなので、厚労大臣に、いわゆるアベノマスクなんですが、国民にほぼ配り終えたということなんですが、このアベノマスクがどれぐらいウイルスの防止効果があり、あるいは我々が発するこの飛沫の拡散を防止する効果があるか、何か科学的な計測をしているんでしょうか。
  58. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 我が国においてということになりますが、また、特に今マスクということでありますけど、これらの特段の計測は実施をしておりません、ところであります。  マスク全般について申し上げれば、国際機関や研究機関など専門家による検証結果を注視しつつ、今マスクメーカーとも協議してどのような対応が可能か検討させていただいているところであります。  ただ、布製マスクについては、CDCやWHOといった海外の国際機関も、この新型コロナウイルス感染症の感染を広げさせないためには一定効果を有するという見解は示されているというふうに承知をしているところであります。
  59. 小西洋之

    小西洋之君 まあ科学的な計測をしてないということでございましたけど、高齢者施設やあるいは子供たちがいる場所、あるいは妊婦さんにも配っているものだということでございますので、今大臣や我々がしているようなこの一般的なサージカルマスクと比べてどれぐらいの防止効果があるのか、計測して国民に伝えるべきではないでしょうか。
  60. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) マスク自体の効能でありますけれども、せきやくしゃみによる飛沫及びそれらに含まれるウイルス等病原体の飛散を防ぐことによる感染拡大の防止ということで、我々承知をしているところであります。したがって、マスクの種類を問わず、手と、手指が口や鼻に触れるのを防ぐ効果、あるいは喉や鼻などの呼吸器を湿潤とすることで風邪等に罹患しにくくなる効果もあるということであります。こうした観点から、サージカルマスクなどの不織布マスクと布マスク、いずれも感染拡大防止効果があるというふうに理解をしておるところでありまして、先ほども申し上げましたが、CDCやWHOといった海外の国際機関も一定効果が有するという見解が示されているところであります。  布マスクについては、先ほど申し上げましたように特段の計測はしておりませんが、そうした科学的な検証は重要であるというふうに考えております。国際機関や研究機関など専門家による検証結果を注視するとともに、必要に応じてホームページでQアンドAも出させていただきたいというふうに思っております。
  61. 小西洋之

    小西洋之君 そのQアンドAでしっかり国民説明を、西村大臣、ちょっと通告していましたけれども、先ほどの医療の検査の体制の構築など、是非大臣からもよろしくお願いを申し上げます。  質問を終わります。
  62. 古賀之士

    ○古賀之士君 国民民主党共同会派の古賀之士でございます。今日は、先ほどもありましたが、お忙しい中、加藤厚労大臣、そして西村担当大臣出席をいただきまして、私からも感謝申し上げます。  早速、新型コロナウイルスに関しての質問をさせていただきます。  資料の一を御覧いただきたいと存じます。六月十八日の総理の記者会見によりますと、人口の六割近くにアプリが普及し、濃厚接触者を早期の隔離につなげることができればロックダウンを避けることが可能とあります。この点、その資料の下にも書いてございますが、令和元年版の情報通信白書によれば、個人におけるスマートフォンの保有率は実は六四・七%となっております。つまり、ほぼ全てのスマホユーザーが利用することを前提していると考えていいんでしょうか、そして普及スケジュールやインセンティブはどうなっているのでしょうか。厚労大臣お尋ねいたします。
  63. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 今般の新しい、私どもCOCOAと呼ばせていただいておりますけれども、このアプリについては、特に大事なことは、個人情報の入力の必要はなくて、プライバシーに最大限の配慮をした仕組みであるという、こうした仕組みを入れるというのはこれまで余りなかったことでありますから、まずそのことをよく国民の皆さんに理解をしていただく必要があるというふうに考えております。おかげさまで二十一日の二十四時の時点では二百七十万件の、何といいますか、取り込みというんでしょうか、があったというふうに承知をしているところであります。  こうした参加していただける方が増えれば増えるほどこの効果は高まっていくということになるわけでありますけれども、ただ、最初に申し上げたように、まずそのためにも、今回の仕組みがどういうものなのか、そういったことをよく皆さんに理解をしていただく。重ねて、都道府県等、様々な関係者や利用者の協力をいただきながら、更に普及に努めさせていただきたいというふうに思っております。
  64. 古賀之士

    ○古賀之士君 つまり、接触確認アプリと一言で言っても、その形態や仕組みというのはお国柄やそれぞれのアプリの概要によっても随分違う、異なるというものなんです。  したがって、先日の総理の会見で、人口のおよそ六割近くが利用すればという考え方と、それからこのスマホの普及率、実は六四%余りということを考えると、もうほぼ九割以上の方がこのアプリを使わないといけないと、そうしないとロックダウンは回避できないというようなことをちょっと勘違いされる方も中にはいらっしゃるんじゃないか。つまり、その辺のアプリの違い、特徴の違いや今の現状のスマホの保有ユーザーの皆さんたちの数字をきちんと把握しないと、単純に我々が持っている、国民の皆さんたちは、ほとんど全ての皆さんたちがスマホを持っていて、そしてそれを、アプリを六割近くの方が導入すればロックダウンは解除できるんだというふうに勘違いするおそれがあると思うんですが、その辺はいかがですか。
  65. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 総理は、イギリスの研究、オックスフォード大学の研究によれば、人口の六割近くにアプリが普及し、濃厚接触者を早期に隔離につなげることがロックダウンを避けることが可能になりますという研究成果を言われた。また、そもそもロックダウンという、我が国でそのロックダウンという強制、まあ何をもってロックダウンと言うかによりますけれども、強制法規としてそれをし得る仕組みがないということは、これは再三再四御説明をさせていただいているところでございます。  大事なことは、先ほど申し上げましたように、この仕組み、この接触アプリもまさに各国それぞれいろんなやり方がある中で、我が国としては個人情報保護ということに今相当留意をした仕組みをさせていただいているところでございますので、そういった仕組みについてよく理解をいただいた上で、この仕組みが機能を果たしていくためにも多くの方々が参加をしていただく、また、多くの方々が参加していただくということがある意味では感染防止につながっていくんだ、そういったことをよく御理解いただいた上で普及促進に努めていきたいというふうに思います。
  66. 古賀之士

    ○古賀之士君 更に厚労大臣お尋ねします。  したがって、多くの方々がこのアプリを導入しやすいように、いわゆるOSの中に標準的に組み込んでいったりとか、あるいは技術的、法的にその辺の論点、今までされてこられたのか、それから今後そういうことを導入される意向はおありになるのか。いかがでしょうか。
  67. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 組み込むって、アプリの組み込みはもうそれぞれの、何というんですか、通信業者というんでしょうか、それがおやりに、御判断されるということなんだろうというふうに思います。私ども、最初に契約を、端末の契約をしても、物によって入っているアプリがあったり入っていないアプリがあったり、それぞれが御判断してやっていただいているんだろうというふうに思いますので、そのことに対して特段、今こうだ、こうでなければならないということを申し上げるつもりはありませんが。  ただ、いずれにしても、先ほどから申し上げておりますように、多くの方々が御利用いただけるように、いろんな関係者あるいは協力をしていただいている方が様々な機会に、こうしたアプリの中身、個人情報の保護には問題がなく作ってあるんだよということ、それからこれがどういう役割を果たすんだという効果ですかね、そういったことをよく説明していただける、そういう機会を様々つくっていくことによって、多くの方がそれだったら納得してそのアプリを取り込んで、スマホを使っている方がアプリを取り込んでいただく。やっぱりこれ納得していただくことが非常に大事だというふうに思っておりますので、そのことにしっかりと注力していきたいと思います。
  68. 古賀之士

    ○古賀之士君 若干誤解がないように申し上げておきますと、アプリはそれぞれ全てが選択制ではなくて、OSの中に既に組み込まれている標準のアプリというのも当然ありますので、その中に組み込んでいかれるということも広くこのアプリを使っていただくためには必要なことではないかという、そういう意味での御提案も含めてのお問いかけでございました。  しかも、アウトプット方式といいますか、オプトアウト方式を考えれば、その時点で個人の自由な意見で、私は導入したくない、してもいい、そういったことも論点で今後考えていく必要があるのではないかという、そういうお尋ねの趣旨でございますので、誤解のないようにお願いいたします。  そして、次の質問ですが、アメリカやブラジルでは第二波の懸念が大変強まっております。これから先、我が国への、日本にいらっしゃる皆さんたちにとって、このアプリの導入というのは考えていらっしゃるのでしょうか。  つまり、オリンピックの、パラリンピックの開催、それから、当然、まだ私どもとしてはインバウンド、こういったものの目標を残念ながら今は達成できない現状にありますけれども、引き続き多くの方々に日本にお越しいただく上で、このアプリを導入していくということは極めて重要な要因の一つになってくるのではないか。特に、日本がしっかりと今第二波の懸念を他国に比べると抑え込んでいるという実態があればなおさらのこと、日本にいらっしゃる皆さんたちに対してこの接触確認アプリというのの導入は、するかどうかは極めて重要な問題だと思いますが、厚労大臣、いかがでしょうか。
  69. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 感染拡大の抑止を図っていくために、こういった様々な、広い意味ではICTというんでしょうか、そういったものを活用していくということは非常に大事だと思っております。  今委員のお話は水際対策という御趣旨もあるんだと思いますけれども、まだ観光客云々というまだちょっとレベルまで至っていませんが、現時点で今ビジネストラック、ビジネスで入ってくる方に対して、先日、ニュージーランド、オーストラリア、ベトナム、タイを念頭に置きながら、現行の基本的な仕組みは維持しながら、そうした国々からビジネストラックで入ってくる方を入れていくという方針も示させていただきました。  その中では、これまでのようなPCR検査等を実施する一方で、今回の接触確認アプリとか、あるいは位置情報確認サービス等々もございます、そういったものを利用していただくということを一つの条件として入っていただく、そういったことも既にお示しをさせていただいているところであります。  具体的には今各国と交渉しながらやらせていただいておりますけれども、まさにそうしたことを一つ一つ踏まえながら、次の次か、次の次のステージへ、だんだんだんだん我々としては入国していただく方を感染拡大をしながら増やしていくと、これじゃないと経済は成り立っていきませんから。  そういったことを考えれば、当然、今回のビジネストラックを最初の一歩としながら、それをベースにまた次の拡大に向けて、そのときの議論とかあるいは別に実施をした結果踏まえながら対応していきたい。その中の大きなツールが今申し上げた今回のアプリであり、様々なそうしたICTの活用だというふうに考えています。
  70. 古賀之士

    ○古賀之士君 大臣、一つだけ。オリンピック・パラリンピックに関しては、これ導入を検討される予定や意思はおありになりますか。
  71. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) まだ正直言ってそこまで、先まで見通しているわけではありませんけれども、ただ、今回のビジネストラック、これまだだんだん広げてまいりますから、そうしたことを踏まえながら、やはり私ども、感染拡大防止を図りながら経済活動を実施していく、あるいはオリンピックというのの開催というのを見通していかなきゃならない、こういう認識ではあります。
  72. 古賀之士

    ○古賀之士君 では、次の質問に参ります。  資料の二を御覧ください。医薬品の原薬等の国内製造の支援についてお尋ねをいたします。  昨年の八月の三十日、日本感染症学会等の四学会の理事長の連名で、抗菌薬の安定供給に向けた四学会の提言が出されました。これは、セファゾリンという抗菌薬が供給困難となった事態が昨年の三月に発生をいたしまして、感染症の治療に問題が起きたためであります。この中で、セファゾリンの原薬が中国の一社でしか生産していないことが明らかになりました。提言によりますと、安全保障上の問題として提起されました。  この提言に基づいて、臨時国会で、抗菌薬の安定供給に関する質問主意書を提出させていただきました。抗菌薬を国内で製造販売する製薬企業に対しては、主な原料を含めて国内での製造を再開することに対する政府の見解を求めたわけですが、その回答は、製造を国内で行うかどうかについては一義的には各製造販売業者が判断するものと考えているというものでありました。  そこでお尋ねですが、四月七日の新型コロナウイルス緊急経済対策では、医薬品原薬等の国内製造拠点の整備のための製造設備の支援が打ち出されております。また、五月二十五日変更の基本的対処方針にも、マスクや抗菌薬の原薬を含む医薬品、医療機器等の医療の維持に必要な資材の安定確保に努めるとともに、国産化の検討を進めるとあります。これらは、質問主意書の回答を転換したものと捉えてもよろしいでしょうか。
  73. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) まず、そのときの、たしか、あれ抗生物質だったですかね、のこともありました。それから、今回は、新型コロナ感染症の世界的な蔓延に伴って、国内供給の多くを海外生産に依存した結果として、医薬品のみならず、医療機器、マスク等衛生材料も確保できない、こういう状況に直面をしたところであります。今回の経験によって、医療提供に必要不可欠な物資については、国内の医療機関に確実に供給することができるよう国内の生産体制を増強することが重要であるということを強く認識をいたしたところであります。  その結果、もちろん、国内外を含めてどのように工程、製造するか、これは民間企業が対応しておりますから最終的にはそれぞれの企業の判断ということにはなりますが、単にそうした判断に委ねるだけではなくて、医療現場で重要な役割を担う医薬品や医療物資については、民間企業による国産化の取組を国としても支援する必要があるというふうに判断をさせていただきました。  その上で、経産省においてもそうした補助金を用意をし、私ども厚労省においても、昨年供給不安になり医療現場に混乱が生じた抗菌薬を念頭に、海外で生産されている原薬、原料への依存度が高い医薬品を製造する企業に対してその国内生産に要する設備費用の一部を補助することとして、先般、一次補正予算にも計上させていただいたところでございます。  そういった意味において、前回においても、前回の中において、に比べればですね、やはり国内生産に向けて積極的な支援が必要だという認識を改めてというか、認識を明確に示させていただいたということであります。
  74. 古賀之士

    ○古賀之士君 つまり、やはり質問主意書の回答とは異なって、新たに国が積極的にこういった問題にも関与していくと、方針転換であると捉えてもよろしいでしょうか。  といいますのは、あくまでも民間企業によるものだという、当時の、去年の質問主意書の回答でしたら、設備投資の計画がはっきり言って民間企業なかなか厳しいところがあるからなんです。そこに国がしっかりとリーダーシップを取っていくのかいかないのか、これは民間企業で、皆さんたちにとっては、これはやっぱり国に対しての要請もある、そして国のためにも自分たちが生産しなきゃいけないんだ、そういう部分の新たな資本の増強とか設備投資というものは、これはもう死活問題になっています。いざ設備投資をしたからといって、いや、この質問主意書のとおりであると、方針転換していませんという考え方であったら、設備投資したときに、じゃ、どこが責任取るんだというようなことにもなりかねないからです。  是非、厚労大臣、ここは、国難とも言われる部分ですので、しっかりとその主意書の変更、転換があるんでしたら明言していただいて、民間企業がしっかりと設備投資にお金を回せるような、そういう後押しをしていただきたいんですが、お願いします。
  75. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 転換というとどこを転換したかという話になるんだろうと思います。要するに、重要である、安定供給が重要であるということは、これは全く変わりがない、ただ最初の質問主意書の答えは、まあ、ある意味では民間任せになっていたという部分があったというふうに思います。  そこに対して国は、国も積極的にそうした国内生産における流れをつくるべく関与していきますよということでありますし、またそのために必要な設備投資のみならず、物によっては生産過剰になったものも引き取りますよ、したがって安心して生産してくださいね、そういう環境をつくらせていただいたということでありますので、転換という、そこをどう捉えるかでありますが、我々としては前に大きく踏み出していったと、こういう認識であります。
  76. 古賀之士

    ○古賀之士君 ありがとうございます。  つまり、その質問主意書の回答は、あくまでも民間企業が主語だったわけですよ、もうこれ見ていただければお分かりのとおり、資料を。でも、今回に関しては政府が主語なんですよ。ですので、今大きくうなずいていただいていらっしゃいますが、大臣が、そういうところも含めた上で、今御答弁をいただいたことも含めて、背中を民間企業の皆さんたちに対しても押していただいたという理解をさせていただきます。ありがとうございます。  さて、次の質問ですが、それを受けまして補正予算では、サプライチェーンの対策のための国内投資促進事業補助金として二千二百億円が計上されております。  経産省の参考人お尋ねをいたします。  国内製造設備の支援や国産化の検討と補助金はどのような関係になっているのでしょうか。これは、つまり補助金が使えるのか使えないのか、関係性を、長く説明していただかなくても結構です、端的にお答えください。
  77. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。  新型コロナウイルス感染症が世界中で拡大いたしました中で各国における生産活動が低迷いたしました結果、自動車等の部品が不足する、あるいはマスク等医療衛生製品の生産国での需要急増によりまして輸出が低迷した結果、日本国内の供給量が制限される等の問題が生じた事実はしっかり受け止める必要があると考えてございます。こうした中で、国民の皆様が健康な生活を営む上で重要な製品等につきましては、マスクや医薬品、医療機器等も含めまして、生産拠点の供給途絶リスクを可能な限り低くしておく必要がございます。  このため、日本国内の生産拠点の整備への支援といたしまして、第一次補正予算で二千二百億円の補助金を措置させていただいたところでございます。この補助金は、議員御指摘の医薬品等に関する国内での製造設備設置や国産化の検討、これに資するものであると考えてございます。  以上でございます。
  78. 古賀之士

    ○古賀之士君 私は(三)を質問したつもりで二千二百億円の予算のことに関して質問したんですけれども、今お答えをいただいたのは(四)の二百三十五億円の質問に関しての回答ですよね。
  79. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) 二千二百億円の補助金についての御答弁でございます。よろしくお願いします。
  80. 古賀之士

    ○古賀之士君 そうしましたら、二千二百億円が使えるのか使えないのかということに関してはお答えをいただいていないような気がします。それはどっちなんですか。使えるんですか、使えないんですか。
  81. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。  マスク、医薬品、医療機器等の設備を国内で整備していただく等に使っていただけます。
  82. 古賀之士

    ○古賀之士君 じゃ、今度、(四)の質問を言いますが、同じ答えは言わないでいただきたいんですけれども、海外サプライチェーンの多元化等の支援事業について今度はお尋ねいたします。  資料の三を御覧ください。補正予算では、海外サプライチェーン多元化等支援事業として、こちらは二千二百億円ではなく二百三十五億円が計上されております。基本的対処方針におけるマスクや抗菌薬の原薬を含む医薬品、医療機器等の医療の維持に必要な資材の安定確保に努めると書いてありますけれども、これは同事業はどのような関係にあるんでしょうか。
  83. 保坂伸

    政府参考人保坂伸君) お答え申し上げます。  新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針における当該記載に基づきまして複数の予算事業が行われているものと認識をしてございまして、本事業もその一つでございまして、ASEAN諸国等におけるマスク等の生産を通じて当該物資の安定確保を目指すものの一つでございます。
  84. 古賀之士

    ○古賀之士君 では、資料の四を御覧ください。その補正予算の資料におけるAMEICC事務局はどのようなプロセスで決まったんでしょうか。海外産業人材育成協会をあらかじめ念頭に置いていたものなんでしょうか。経産省の参考人お尋ねします。
  85. 保坂伸

    政府参考人保坂伸君) お答え申し上げます。  今委員がおっしゃられました、正式名称で申し上げますと日本・ASEAN経済産業協力委員会、俗称AMEICCでございますけれども、これにつきましては、日・ASEAN諸国の経済官庁で構成された経済産業協力推進のための国際的な委員会でございます。日・ASEAN経済大臣会合の下に一九九八年に発足をしたものでございます。  この委員会の活動を支えるAMEICC事務局は、日本、ASEAN各国の政府間での連絡調整等を行うためにバンコクに設置されているものでございます。AMEICC創設時の関係諸国間の国際合意によりまして、日本の窓口として海外産業人材育成協会、委員指摘のAOTSでございますけれども、これがAMEICCの業務をサポートすることが規定されておりまして、文書にもなっております。  本事業は、日本がAMEICCに資金を拠出し、AMEICCが事業の実施主体となっております。本予算は当初よりAMEICC事務局への拠出金という形でお認めをいただいたものでございまして、AMEICC事務局がAOTSが拠出金を管理することを認めたものでございます。今回、AMEICCが本事業を実施するに当たりましては、日本における事業公募等の事務を担う業務委託の公募をAOTSが実施したものでございます。
  86. 古賀之士

    ○古賀之士君 つまり、あらかじめ、これ念頭に置いた形で文書にもう明記されているので、あらかじめやったということでよろしいんですよね。  それと、この海外産業人材育成協会の非常勤理事を含む役職員のうち、国家公務員の履歴のある者は何人いるのでしょうか。そして、その者の最終官職は何でしょうか。これも併せてお尋ねをいたします。
  87. 保坂伸

    政府参考人保坂伸君) お答え申し上げます。  本事業は、委員がおっしゃられましたように、日本がAMEICCに資金を拠出し、AMEICCが事業の実施主体となっておりまして、お認めをいただいた後にAMEICC事務局がAOTSが拠出金を管理することを認めたものでございます。  AOTSでございますけれども、AOTSが公表している役員名簿や国家公務員法の規定に基づく届出を確認したところ、AOTSの役職員のうち国家公務員を退職した者は五名であり、常勤が三名、非常勤が二名ということになってございます。  以上でございます。
  88. 古賀之士

    ○古賀之士君 ということは、プロセスについてちょっとお尋ねをしたいんですけれども、その公募を行っているのかどうか。それからもう一点は、こういう形で国家公務員のOBといいますか、そういった最終官職についてはちょっとお答えがなかったんですけれども、非常勤を含む五名がこの中にいるということで、ちょっとまとめてお尋ねします。プロセスの中に公募がしているんだったら、公募は何社応募したんでしょうか。それから、この同事業が海外人材育成協を経由しているということなんですけれども、なぜジェトロに直接委託をしなかったんでしょうか。
  89. 保坂伸

    政府参考人保坂伸君) お答え申し上げます。  ちょっと先ほど答弁漏れてしまいましたが、まず、AOTSの常勤三名の最終官職について先に御回答申し上げますと、当省地域経済産業審議官、当省大臣官房参事官、当省資源エネルギー庁長官官房総合政策課会計室長でございます。  御指摘でございますけれども、本事業、繰り返しになりますけれども、日本がAMEICCに資金を拠出した形でAMEICCが事業の実施主体となっておりまして、元々AOTSはAMEICCの業務をサポートすることが規定をされておりまして、その関係でAMEICCがAOTSが拠出金を管理することを認めたものでございまして、その関係ではAOTSについては公募は行われておりません。その後にAOTSが日本で事業を行うに当たりまして業務委託として公募を実施したと、それでジェトロが公募に勝ったということでございます。  以上でございます。
  90. 古賀之士

    ○古賀之士君 済みません、後半の質問にもちょっと答えていただいたんですけれども、ジェトロに直接委託しなかった理由というのは先ほどの御回答と変わりがないという理解でよろしいんでしょうか。  それと、更に行きますが、海外産業人材育成協会にこれ幾らで発注して、ジェトロに幾らで発注したんでしょうか、教えてください、併せて。
  91. 保坂伸

    政府参考人保坂伸君) 本事業につきましては、サプライチェーン強靱化のために海外における設備導入を支援するものでございまして、海外設備導入等を実施する場合には各種許認可等の問題が生じることがございまして、事業の実効性を確保するために工場等が立地する関係政府間の協力が不可欠だということで、AMEICC事業としているところでございます。金額としましては、全体で二百三十五億円ということで今公募したというところでございます。
  92. 古賀之士

    ○古賀之士君 なかなか納得のいく御説明が厳しいのかなというふうに思っています。  というのは、それこそジェトロさんの方が、よりこういうことに関してはやっぱりプロフェッショナルな部分でやっていらっしゃると思うんですね。それをあえてこのAMEICCを、しかもいわゆる公募なしにもう最初から、しかも五人の天下りと、言わば天下りのところにいる団体にまず公募もなしにいきなりどんと出てきて、そして後でジェトロさんが出てきていると。  ただ、このAMEICCの中にもジェトロの理事長も名を連ねているわけですね。なので、あえてそのジェトロさんに直接業務委託をお願いするということや、あるいは公募をしっかりと選定していくということを、どうもそのプロセスを何度も聞いても、四度目か五度目の質問で初めてそれが出てくるというのは、若干私は誠意をないというふうな理解をさせていただきます。こういったことがほかにも出てこないことを祈るばかりなんですけれども、きちんとしたこれ対応をよろしくお願いいたします。  それで、もう一度申し上げますが、このAMEICCというのは、じゃ、ジェトロよりも何にたけているんですか。だからこれ選ばれたんですか。
  93. 保坂伸

    政府参考人保坂伸君) お答え申し上げます。  繰り返しになってしまいますけれども、AOTSでございますけれども、AMEICC創設時の関係諸国の国際合意により、日本の窓口としてAOTSがAMEICCの業務をサポートすることが規定されているところでございます。  AMEICCに拠出金を出す形にしたことでございますけれども、各国の許認可等の権限を各国が持っているということもございまして、短い期間におきまして確実に事業を実行するためにASEAN諸国の協力が不可欠であるということでございまして、日・ASEANの政府間協力プロジェクトとして位置付けるために本事業をAMEICC事業として実施をしたものでございます。実際に、ASEANの諸国からもいろいろな関心が寄せられて、問合せ等も来ているということでございます。  他方、その上で、AMEICC事務局はバンコクにしかございませんで、関係諸国に出先機関がないため、AMEICCの業務をサポートするAOTSが日本国内における事業公募、契約、支払、ASEAN十か国における設備導入状況の確認等の事務が適切に実施できるかといった観点から事業支援事務局の企画公募を行った結果、ジェトロが選定されたものでございます。
  94. 古賀之士

    ○古賀之士君 またちょっとそれは議論を深めていきましょう。なかなかその辺が納得いくようなお答えでは今なかったという認識でございます。  時間がないので、次の質問参ります。  歯科材料における金銀パラジウムの合金の逆ざや問題についてお聞きします。  資料の六、御覧ください。歯科材料における金銀パラジウムは診療報酬において今どのように算定しているのか。時間がないので、もう併せて伺います。実勢価格との間に乖離が生じていると、資料御覧いただければ明らかです。どのようにこれから考えていかれるおつもりでしょうか。
  95. 浜谷浩樹

    政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。  金銀パラジウム合金を含む金属材料につきましては、まず、二年に一度の診療報酬改定の際に販売価格あるいは購入価格の調査を行っておりまして、実勢価格の加重平均値で告示価格を算出いたします。また、これに加えまして、その素材であります金やパラジウムが市場価格の変動を受けやすいことから、六か月に一度の四月と十月に、素材価格の変動幅がその時点の告示価格のプラスマイナス五%を超えた場合に随時改定を行ってきたところでございます。さらに、この三月二十五日に中央社会保険医療協議会におきまして急激な価格変動にも対応できる更なる仕組みにつきまして御議論いただきまして、四月と十月の随時改定に加えまして、一月と七月におきましても、素材価格の変動幅がその時点の告示価格のプラスマイナス一五%を超えた場合にも告示価格を改定することといたしました。  この結果でございますが、これを受けまして、この四月二十四日の中央社会保険医療協議会におきまして御議論いただきまして、直近の素材価格を踏まえまして、告示価格を、一月一日時点ではグラム当たり二千八十三円でございましたけれども、これをグラム当たり二千六百六十二円に改定することといたしまして、この七月一日から適用することといたしております。
  96. 古賀之士

    ○古賀之士君 時間がないので終わりますが、この逆ざや問題も後追いする形で今価格の改定が行われております。その価格の改定が行っても、資料の、御覧いただいたとおり、その逆ざやは解消されていないという現実がございます。是非責任ある対応を取っていただければ有り難いと思っております。  質問を終わります。ありがとうございました。
  97. 浜口誠

    浜口誠君 立憲・国民.新緑風会・社民の浜口誠でございます。  今日はお忙しい中、加藤大臣西村大臣、御対応いただきまして、ありがとうございます。  まず最初に、西村大臣にお伺いしたいと思います。  これまで新型コロナウイルス対策として様々な対策、政策を政府としても行ってまいりました。緊急事態宣言も発令しましたし、PCR等の検査体制の構築、さらには学校の一斉休業対応等々、いろんな施策をやってきましたけれども、やはり第二波に備えるために、これまでの行ってきた対策をしっかり検証していく、そして課題を洗い出して、その課題を次の第二波に備えていく、このサイクルを回していくことが極めて重要であるというふうに思っております。  そして、この検証も悠長なことは言っておられないと思います。いつ第二波がこれ来るか分からないので、しっかり教訓を生かすという意味でも、次の第二波が来る前にその検証を終えておくということが極めて重要だというふうに思っておりますけれども、その検証の今後の対応について政府としてどのようにお考えになられているのか、まずこの観点でお伺いしたいと思います。
  98. 西村康稔

    国務大臣西村康稔君) 御指摘の点は大変重要な視点だと思っております。  特措法改正のときの附帯決議についても、政府が取りました対応策について検証するということが求められております。全体の取組あるいは枠組みに係る検証については、これは事態が終息した後にしっかり行うということでありますけれども政府としては、もう日々様々な新しい知見が、そもそも余り分からなかったこの新型コロナウイルスがどんどんいろんなデータも出てきて、世界でいろんな知見も出てきておりますので、そうした新たな知見を基に検証を行いながら、足下の対応、これについてはどんどん進化をさせているところであります。御指摘のように、PCR検査の体制であるとか唾液とか抗原キットも承認をされております。また、病院の体制、病床体制についても、厚労省から考え方について新たに事務連絡をして、しっかりとこの間に病床の体制、提供体制をしっかり整えていこうというふうに対応しているところであります。  その上で、御指摘のこの対策、これまで打ってきた対策効果ですね、これについての分析、これ、これまでもいろんな形で議論はしてきておりますけれども、さらに、人工知能やスーパーコンピューターなども用いてシミュレーションもやりながら、これまでの対策効果分析、これも行っていきたいと。  二次補正予算でお認めいただいた十四・四億の予算も計上、確保しておりますので、既に産総研や理研、こういった、あるいは大学のAI研究者、スパコンなんかも含めてネットワークの協力も得ながら議論を始めているところでありまして、これは近々しっかりした形で中身についてもテーマを決めてこれを行い、そして、次なる第二波は小さな流行で抑えるように全力を挙げていきますが、万が一大きな波が来たときへの対応、これにしっかりと備えていきたいというふうに考えているところでございます。
  99. 浜口誠

    浜口誠君 是非、早く検証をいろんな観点でやっていただく必要があると思います。  例えば、専門家の方、学校の一斉休業に対して、かなり、本当に一斉に全国でやる必要があったのかという、こういう問題提起もいろんな会議で専門家の方の御意見聞くと結構あります。本当に子供たちは感染のリスクってそんなに高いんだろうかと。それは個々に判断する必要あるかもしれないんですけれども、一斉に全国学校休業にする必要が、次同じように感染が広がってきたときに判断するのかどうかというのは、もう一度、本当にいろんな専門家の方、知見のある方、科学的な根拠、こういったものも含めて検証していく必要があるというふうに思っていますので、先回やったから次もまたやろうという、そういうことではなくて、本当に効果と課題と、そういうのをしっかり踏まえた上で次なる二波に対応する対策を厳選していく、見極めていく、このプロセスを早急にやっていただくことを、これは加藤大臣にもお願いをしておきたいというふうに思っております。  そんな中で、今後、経済影響が長期化するかどうか、これはまだ見極めていかないと分からないと思います。足下、全国、六月十九日、県をまたぐ移動も解除されて、これから徐々に経済も動き出していくということが出てくるかと思いますけれども、一方で、企業なんかの今後の景気の動向に対するいろんなアンケートなんかを見ると、まだまだ影響は長期化するんじゃないかと、先行きに対しては相当な懸念を持たれているという今状況であります。  そんな中で、国民の皆さんの暮らし、あるいは雇用、そして事業の下支え、こういったことを考えていく上では、第三次の補正予算というのもこれ経済状況をしっかり踏まえた上で早期に編成の検討というのはしていく必要があるのではないかなというふうに考えておりますけれども、その第三次補正に対しての現時点の政府の基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。
  100. 西村康稔

    国務大臣西村康稔君) 第一次補正予算を含む緊急経済対策に加えて、先般、野党の皆さんにも御賛成、多くの野党の皆さんに御賛成をいただいて二次補正予算を成立させていただいたわけですけれども、あわせて、財政支出百二十一兆円、事業規模二百三十四兆円という、GDPの四割を超える過去最大規模の対策を今講じているところであります。非常に幅広い大きな枠組みを取っておりますので、いろんな事態が起こってもそれに対応できる枠組み、万全の枠組みを整えてきたというふうに思っております。まずは、この対策補正予算で認められた内容について迅速にしっかりと必要とする方にお届けをしていく、これが何より大事だというふうに思っているところであります。  その上で、企業の皆さんも、今、休業が六百五十万人ということで、失業ということはまだ六万人ぐらい、まあ失業された方は大変な状況なのでしっかりと応援をしていかなきゃいけないんですが、企業が今必死で雇用を守って踏ん張っている状況だと思いますので、これを雇用調整助成金で、上限も与野党の様々な提言をいただいて一万五千円まで引き上げておりますので、これでしっかり守っていく状況だと思っております。合計で一・六兆円を確保しております。リーマン・ショックのときは一・二兆円で、延べで四千万人の雇用を守ったわけですけれども、こうした対策でしっかりと対応していきたいと思いますし、我々がどうも目が届かないところがやっぱり常にあるわけでありまして、これは地方創生臨時交付金、二兆円今回増額をいたしておりますので、それぞれの県で地域の状況に目配りしていただきながら対応していただきたいというふうに考えております。  状況は、海外の状況、感染状況、これ全く予断を許しませんので、外需は期待できない、インバウンドももうゼロ、ほとんどゼロであります。ですので、内需主導で経済回復していかなきゃいけない。四月、五月を底に、緊急事態宣言の下で自粛をしていただいたそのときを底に、徐々に、御指摘のように経済活動は上がってきておりますので、感染防止策を講じながら様々な活動を広げていくという状況だと思っております。  その上で、予備費については様々御議論ありますけれども、五兆円については、その対策を取る方向性をしっかりとお示しをしておりますし、こういったことも含めて、まずはこの補正予算でしっかり対応し、この後の状況を見ながら、いろんな事態が起こってくれば、これはもう時機を逸することなく臨機応変に対応しなきゃいけないというふうに考えているところでございます。
  101. 浜口誠

    浜口誠君 是非、状況の見極め、大事だと思いますので、いろんなアンテナ立てていただいて、やるときには素早く行動できる体制を整えていただきたいなというふうに思います。  続きまして、今朝の朝日新聞にも、新型インフルエンザ対策特措法に対する四十七都道府県の知事さんへのアンケート結果も載っておられました。私も、今後、この新型インフルエンザの特措法の改正というのも、やっぱり必要に応じてやっていく必要があるんではないかなというふうに思っています。今日の新聞記事を見ると、三十四名の知事の皆さんが改正が必要だという意見を寄せておられます。  一番多かったのが、やっぱり休業を要請したり指示したりしたときの補償を、これをしっかりとやっぱり法律上も書き込むべきではないかということですとか、あるいは休業要請したときに、今は強制力ない、自粛の要請ということですね、罰則規定もない、ここをもう一歩踏み込んでしっかりと休業要請を行っていただけるような、そういう罰則規定なんかも必要じゃないかという意見もありますし、知事の権限の明確化、やっぱり国と地方の権限が今の法体系で曖昧だから、そこをもう少し明確にして、どちらがどういう役割を果たすのかというのは法律上も明記してほしいというような意見も寄せられております。  まさにこういった法律上のちゃんとした根拠を明確にすることによって、次なる第二波に、起きたときに、前回の第一波よりもより迅速に、より的確な対応が国もできるし、地方公共団体の知事の皆さんができる、そういう環境づくりを整えていくというのは極めて重要なステップだというふうに思っていますので、この新型インフルエンザ等の特措法の改正について政府のスタンスがありましたら、知事の皆さんの意見も踏まえて私は必要な改正をやるべきだというふうに思っておりますけれども、どのようなお考えを持たれているのか、お伺いしたいと思います。
  102. 西村康稔

    国務大臣西村康稔君) 今回、この特措法を初めて適用して、そして知事の皆さんと連携しながら、日々いろんな議論をしながら対応してまいりました。  私自身は、この間、それぞれの立場立場、持ち場持ち場で説明責任果たしながら、特に知事の皆さんはそれぞれの感染状況に応じて、私は適切な措置をとられてきていると思いますし、それを私の立場でサポートしてきたものというふうに思っております。  その上で、この特措法、なかなか、初めてだったものですから、最初、その相場感というか、どこまで何ができるのかということで、余り定着して、はっきりしていなかったものですから、私も法制局とも何度もいろいろ議論をしてきたところでありまして、より良い制度にしていくと、今回の事象を教訓により良い制度にしていくこと、これは是非必要だと思いますので、しっかりと議論をしていきたいというふうに思っております。  その上で二点申し上げると、知事との関係で申し上げると、今申し上げたように、大きな方針を基本的対処方針で我々お示しして、その中でそれぞれの知事が、これは裁量の範囲がありますので知事によって大分差があります。厳しくやられるところもあれば、そうでなかったところもある。全体としてはこれだけ収束できましたので、知事の皆さんの御判断、そしてとられてきた措置、リーダーシップ、これに敬意を表したいというふうに思いますけれども、私の立場からすると、知事の裁量の中でやられてきて、それをサポートしてきましたので、私は、知事との関係で、権限との関係でいうと、私は一定の今回成果があったのかなと思っております。  実は、法律上は、本部長であります安倍総理から都道府県知事に指示をすることができるんですね。これは、都道府県が余りに措置をとらなかったり、とり過ぎていたり、まあ法律の五条の必要最小限にしなきゃいけないというのもありますので、そういったときに適切な措置がとられていなければ総理が指示をすることができるんですが、今回一度もそれは発出をしておりません。日々、私が調整なりサポートする中で、それぞれの都道府県知事は裁量の範囲で対応してこられたものというふうに思っております。そうしたことの中で、知事にはそれぞれの御意見があると思いますので、都道府県、知事会とも日々連絡取り合っていますから、より良い制度になるように議論は進めていきたいというふうに思っております。  あわせて、施設の使用制限について、要請、指示で罰則はないというところ、この点についても、多くの知事の皆さんから、どうしても応じてくれないところがあるからより強い措置が欲しいということの御意見もいただいてまいりました。  まさに、国民の皆さんの命を守るために必要であるということであれば、これは私は、例えば指示の後に命令、そしてそれに聞かない場合に罰則という、幾つかの法令でそういった対応もありますので、そういったことが考えられるんだろうというふうに思っておりますが、ただ、立法事実が、今回確かに応じてくれなかったところが幾つかありますけれども、そこでクラスターが発生したという事実は今のところありませんので、非常に密集して危ない状況ではありましたけれども、そういった立法事実も確認をしながら検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  103. 浜口誠

    浜口誠君 まさに、立法事実ですとか国民の皆さんとの対話を通じて必要な改正かどうかという見極めは極めて重要だと思いますけれども、やはり今のままで、じゃ特措法がいいのかというと、課題もあったというのもこれ事実ですので、その課題をどう次に生かすのかというところはいろいろな観点で検証していただいて、しっかり必要な対応については迅速に実施をしていただきたいというふうに思っております。  このアンケートの中にも、次、緊急事態宣言を再発令するときの基準、目安について、やっぱり国が定めるべきだという知事が二十六人いらっしゃったんですね。半分以上の方は、やっぱり国がそういった基準はより分かりやすく明確に数値基準を示すべきと。  今、政府は三つの目安というのを出されています。直近一週間の十万人当たりの感染者数ですとか、あるいは倍加する、二倍になる期間の状況ですとか、あと感染経路が不明確な方の状況ですとか、そういったものを総合的に判断してと。総合的にというところが肝だと思いますけれども、でも、やはり国民の皆さんとその危機感を共有化をしていくという観点からは、より分かりやすく明確な、次こうなったら緊急事態宣言がもう一度発令しますよというのをあらかじめ国民の皆さんにもお示しをして、危機意識を共有化するというのも非常に重要ではないかなというふうに考えております。  この次の緊急事態宣言、発令するかどうかまだ分かりませんし、第二波が来るかどうか分かりませんけれども、次そういったものが必要となった場合の判断基準、これの数値基準を明確化していくということに対してのお考えがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  104. 西村康稔

    国務大臣西村康稔君) まず第一に申し上げたいのは、今後も小さな流行は起こり得るということですね。このウイルスをゼロにすることはもう難しい、できないわけでありますので、何かの拍子に出てくる。これは、愛媛県で突然ゼロだったのが二十人出てきた、あるいは北九州で突然二、三十人一遍に出てきたケースもあります。そうしたときに、検知体制、PCRや抗原キットなどを使いながらしっかりと検知をして、そしてそれをクラスター対策で小さな波に抑え込んでいくということが何より大事だと思います。大きな波にはしたくはないと、しないという決意で対応しているところでありますが、緊急事態宣言はできればもう出したくない思いであります。しかしながら、大きな波が来る可能性も、各国見ていても、北京でも、そして韓国でも、イランでも出ていますので、そういった事態に備えていかなきゃいけないわけであります。  そこで、どういう場合に再発出をするかということですけれども専門家の皆さんともずうっと議論を重ねてきました。専門家の皆さんの御意見は、一つは数字が独り歩きすることを非常に心配をされています。例の解除するときも、十万人当たり一週間で〇・五人、〇・五人の上か下かとマスコミも毎日毎日そればかりやるんですけれども、実は大事なことは、もちろんその一定の目安は必要だと思うんですけれども、医療体制がどうなっているのか、あるいはPCRの体制の検知が解除した後もできるのかというところを、これまさに総合的に見ないと、医療の方も数値も設けています、重症の患者さんが減っているというふうなこととか、病床数がしっかり確保できているかとかあります。ですので、いずれにしても総合的に見ることが大事だと、独り歩きしてしまうということを専門家の皆さんは心配しております。  しかしながら、御指摘のように、国民の皆さんも都道府県知事もやはり一定の目安は欲しいということで、あえて私からは、四月七日の段階と同じような状況ということを前提に十万人当たり例えば五人という基準、一週間の基準が五人というものをお示しをさせていただきましたとか、幾つか指標を示させていただきましたけれども、それも、それだと四月七日と同じですので、ずっと増えて、感染大爆発はないですけれども、オーバーシュートはないですけれども、非常に大きな波になってしまうので、より厳しい目で見なきゃいけないということも申し上げました。  しかし、その後、例えば北九州でも濃厚接触者はもう全員検査を行っています。これまで症状ある方やっていますけれども、非常に二次感染を防ぐために前向きにやってきています。また、東京でも、いわゆるバーやクラブなど接待を伴う飲食業について、より広く協力を求めて二次感染を防ぐためにやっていっています。PCR検査を受けてもらっていますので、勧奨していますので、その結果、どうしても数はこれまで以上に増えていきます。ですので、前と同じ基準でいいというわけでもないと思いますので、そういった辺りを、新しい技術、PCR、抗原キット、いろんなものも出てきていますので、そうした新しい知見に基づいて判断をしていかなきゃいけないということも専門家の皆さんの御指摘のとおりだと思いますが、一定の目安を私も頭に置きながら対応していきたいというふうに考えているところであります。
  105. 浜口誠

    浜口誠君 是非、専門家の意見も聞きながら、どんどん技術も進化していますし、環境も変わっていますので、従来どおりの基準ではなくて、より分かりやすい数値基準というのを是非御検討いただいて、国民の皆さんにあらかじめお示しをしていただくというのが大事だというふうに思っておりますので、重ねて要望しておきたいと思います。  接触確認アプリについてお伺いします。  先ほど、古賀委員との、加藤大臣との答弁で二百七十万件の方が既にダウンロードしていただいたということですけれども、やっぱりこの接触確認アプリを広く、六割が目標と政府はおっしゃっていますけれども、やっぱり広く活用していただくためにはインセンティブも何か考えるべきではないかなというふうに思います。  例えばですけれども、その接触確認アプリを使っておられる方が、濃厚接触者だよという情報が来たときには優先的に検査をその方には受けられるようにするとか、あるいは検査の費用を一定程度そのアプリを使っておられる方については補助していくだとか、何かそういうインセンティブも必要ではないかなというふうに考えますけれども、そういったお考えはありますか。
  106. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) まず、接触確認アプリ、六割、何か目標は私どもは持っていないということでありまして、先ほどのは、オックスフォード大学のそのコメントを総理が引用されたということで議論のやり取りをさせていただいたということであります。  その上で、やはり一番大事なことは、この接触確認アプリに多くの方が入っていただく、それから、どこかで陽性者が発生して自分が濃厚接触であれば、その方が確実にPCR検査を受けていただくということが、これはインセンティブ云々じゃなくて、これはこのためにやっているわけでありますから、したがって、今スタートしたところなので各地区で全部すぐにできるわけではありませんが、今の段階では相談支援センターも活用しながら、もう一歩進めれば、相談支援センター飛ばして外来とかPCRセンターに直接接触していただけるような仕組みを全国的に構築すべく、今それぞれの都道府県と調整をさせていただいているところでございますので、それ、ある意味では、優先と言っても、今は全員にPCR検査、すべき人にはみんなしていただくことが前提でありますけれども、少なくとも、このアプリを使っていただければ、最終的には、どこで検査してくださいということが、その方に情報が行って、そこで検査を受けていただく、こういう環境をしっかりつくっていくということが、これはまず大事なんだろうというふうに思っております。  それ以上のインセンティブということになると、これはなかなか難しいところあるんだろうと思いますけれども、利用されている方とか、あるいはそれぞれの場を管理されている方がこれをうまく活用していただきながら、その場における感染防止も含めて同時にこれを勧誘をしていただくとか、何かそういった流れが出てくればなというふうに思っております。
  107. 浜口誠

    浜口誠君 検査体制の件について引き続き加藤大臣にお伺いしたいと思いますけれども、やっぱりPCR等の検査体制、これから第二波に備えて拡充していくのは非常に重要だと思います。  例えば、PCRでいいますと、六月の頭時点で日当たりの能力は二万七千ちょっと超えるぐらいの能力があるというふうに認識をしておりますけれども、大事なのは日当たりの能力よりも、日々どれだけ検査ができるか、実行の数を増やしていくというのが大事だと思うんですね。日当たりの検査二万七千あっても、実際日当たり実施できるのが一万件では何の意味もないと思います。やっぱり二万七千の能力をフルに実施をしていく、その能力を上げていく、実施能力を上げていくというのが極めて重要だというふうに思います。  そんな中で、これまでボトルネックということでは、試薬が足りないとか検査機器が少ないとか臨床検査技師の方の数が少ないとか、そういったことがボトルネックになっているというふうに認識していますけれども、これ第二波来る前に徹底的にそういったボトルネックを解消していく取組が極めて重要だというふうに思っております。そこがないとこの日当たりの検査実施数が上がっていきませんから。  そこについて、現状どのような取組をボトルネックの解消についてやられているのか、お伺いしたいと思います。
  108. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 検査能力と今まで申し上げてきているのは、まさに分析機関においてどのくらい分析ができるかということで使わせていただいて、現在、PCRでいえば一日当たり二万八千件、また、別途抗原検査キットを使うと、これが一日当たりで約二万六千件平均で供給されますから、そういった数はこなすことはできると、その分析ということにおいては。  ただ、分析に至るプロセスとしては、例えば、相談行ったときにきちんと相談に乗ってもらって次のPCRセンター等へつながっていくのか。それから、PCRセンター、今は唾液等様々なやり方を開発しておりますけれども、いずれにしてもそこで検体を採取するという能力が掛かってまいります。それから、場合によっては運送していかなきゃ、搬送しなきゃいけないので、それに掛かる所要日数があります。それから、結果が出て、そして陽性が出たときに、しかるべきところへしっかり入院等の手続ができると、これは保健所機能とも絡んでまいります。  それぞれいろんなところに、目詰まりと言い方をさせていただきましたけれども、これまで我々も、あるいは専門家会議からも指摘をしていただいていますから、それを一つ一つ解消すべく努力をするとともに、今回、各都道府県に対してその辺のチェックも含めた依頼を出させていただいて、六月十九日までの締切りということで、先ほどまだ半分ぐらいしか出てきていないというお話がありましたけれども、さらに都道府県とも連携を取りながら、それぞれの地域でまずどういう体制をつくるのか、そしてそれのために必要な予算的な支援、これは交付金等活用できますから、そういったことで一日も早く体制をつくっていきたいと、より体制の強化を図っていきたいというふうに思います。
  109. 浜口誠

    浜口誠君 是非、PCR、病床の確保、それぞれ第二波に備えてしっかりと取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  110. 東徹

    東徹君 日本維新の会の東徹でございます。  今日は、決算委員会で、まず会計検査院のことについてまずは質問させていただきたいと思います。  会計検査院の役割というのは、私は非常に大事な役割を担っていただいているというふうに思っております。我々やっぱり国会議員の一人の力というのは限界がありますし、やっぱり会計検査院が国の予算の使われ方、正しく使われているのかどうか、そしてまた不正はないのか、そしてまた無駄な使われ方はされていないのか、こういったことをやっぱり会計検査院がしっかりと調査していただく、こういったことに非常に重要な役割を担っていただいているというふうに思っております。  まず、田中検査官にお伺いをさせていただきたいと思います。  昨年の九月に検査官に御就任をされました。それから十か月がたとうといたしております。この十か月を振り返って、外から見たときと違っていたことは何なのか、そしてまた、また会計検査院の役割というのはどういうものと感じたのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
  111. 田中弥生

    検査官(田中弥生君) 御質問ありがとうございます。  まず、検査官という大変重要な任務に就く機会を頂戴いたしましたこと、改めて御礼申し上げます。  そして、御質問の就任前に考えていたことと違っていたことは何かということなんですが、ここでは大きく二つ、一つは検査対象について、そしてもう一つは検査のアプローチについてお答え申し上げたいと思います。  まず、検査対象ですけれども、国の資金が入っているものであれば広く検査対象になるという認識はありましたけれども、これは私の想像を超えるものでありました。マクロであれば、国家財政、日銀あるいは政府系の金融、政府系の機関について、財政の状況予算の執行について、またその成果について検査をするわけですけれども、ミクロになると、個々の病院だとか学校ですね、さらには町中の商店までも検査を行っているというのは、これは新鮮な驚きでありました。  そして、アプローチであります。これ、やっぱり会計検査院は専ら会計経理にフォーカスを当てて検査をしているというふうに理解しておりましたが、確かに会計経理を切り口にはしているんですが、その間口というのは想像を超えるものでありました。例えばですが、税の制度や税金の徴収の仕方、それから防衛、土木技術、あるいはITなど、それぞれに特有の知識や技術というものを要する検査を行っております。  こういった多様な知識や技術を要する中で、それらを共通にする検査の指針というものがありまして、これが検査の五つの観点になります。これは、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性に係るものですけれども、特にこの昨今の動向を見ておりますと、この有効性に関わる検査が増えているように思います。  ただ、有効性に関しましては、事業や施策の目的に照らして、その成果や効果が上がっているのかということを確認するものでありまして、合規性や正確性などのいわゆるオーソドックスな検査とは異なる調査方法あるいは分析の視点が求められますので、この点については今後も切磋琢磨していく必要があるのではないかと思います。  それから、会計検査院の役割でありますが、これは日本の財政民主主義を支える大事なインフラの一つでありまして、これは所信質疑で御質問いただいたときと変わらぬ答えかと存じます。昨今、コロナ禍影響が大きく、日本の社会は大きな変化に直面していると思います。その意味で、政府は今、国民の理解と信頼を得るということがますます重要になっていると思います。こうした中で、会計経理の監督をして国民への説明責任を果たすというために会計検査院として貢献してまいりたいと存じます。
  112. 東徹

    東徹君 ありがとうございます。  十か月ということで、民間から来られて、会計検査院の役割は非常に、実際に携わっておられて難しさを感じておられるんだなということは重々何か感じた次第でありますが。  我々も、会計検査院が毎年、決算検査報告書を作成、公表していただいております、それを見て委員会質疑に使わせていただいたりとかしております。例えば、厚労省から、会計検査院からですね、国保連合会のレセプト審査が不十分であるというような御指摘がありました。そういったものを使わせていただきました。  会計検査院の指摘というのは非常に私は大事ですし、非常に重たく厚生労働省の方も受け止めていただいているというふうに思っておりますが、検査対象、どのようにこれ選んでいるのか、また税金の無駄遣いなくすために各省庁が取り組むべきことは何なのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  113. 田中弥生

    検査官(田中弥生君) 御質問ありがとうございます。  検査対象の選定と、それから無駄遣いをなくすためにどうしたらいいかという御質問かと思います。  まず、検査に当たりましては、限られた検査資源の下で、より効果的、効率的に検査を行うために、検査対象となる事務事業予算などの規模や内容、それから過去の検査状況、そして国会における御議論の状況などを鑑みまして検査対象を選定させていただいております。  会計検査院は、その検査の成果を、毎年、検査報告を作成しておりまして、その中で、制度、事業効果などに関する事項、あるいは予算の適正な執行、会計経理の適正な処理などに関する事項など、幅広く指摘や問題提起をさせていただいております。  会計検査院としては、府省において適正な会計経理の執行に更に特段の努力を払っていただきたいと希望しております。そのために、検査報告で指摘された事項を対岸の火事と考えずに、自らの事業の改善の材料に役立てていただく、あるいは同じような事態の再発防止をしていただくために役立てていただきたいと期待しております。  そのために、会計検査院としても、各府省に対しまして検査報告説明会を開催するなどして指摘した事項の共有を図り、周知徹底を図っているところでございます。
  114. 東徹

    東徹君 会計検査院がより効果を上げていっていただくためにも、会計検査院の検査能力、これどうすれば向上していくと考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  115. 森田祐司

    会計検査院長(森田祐司君) お答え申し上げます。  会計検査院といたしましては、国の財政状況が厳しい中で、検査能力の質的な向上を図ることや、機動的、弾力的に検査体制を構築することにより、現在の人員及び予算をできる限り効果的に活用することが重要であると考えております。  会計検査におきましては、実地検査により、事務事業の実施現場を見られるということが会計検査院にとってのある種の強みとなっておりますので、その現場における問題発見能力の向上と、それを支えますICTの活用とが重要な課題であるというふうに考えております。  このため、検査手法や検査領域を多様化するための調査研究でありますとか、専門分野の検査に対応できる人材の育成や外部の専門家の活用に努めるとともに、業務全般のICT化を進めることで検査をより効果的かつ効率的に実施できますよう、引き続き努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  116. 東徹

    東徹君 是非、実地検査が非常に大事で、そしてまた、ICTの活用、業務全般をICTを活用していく、非常にそういったところは私も大事だというふうに思いますので、是非そういったところに予算を重点化していって、会計検査院の能力を向上させていっていただきたいというふうに思います。  今回も、経産省が所管している新型コロナの対策でありました持続化給付金がありましたけれども、これも、サービスデザイン推進協議会というところが電通に委託して、そしてまた再委託していくというふうな、再委託、再委託していくというふうな問題がありました。これ、このサービスデザイン推進協議会ですけれども、これ過去にも、経産省から委託受けたIT導入支援補助金、こういったものでも再委託の問題があったわけなんですね。  こういった再委託の段階で重複の無駄がなかったのか、これ非常に確認しづらいんですね。予算の使い方とか、非常にこれ再委託ありきの委託事業について、これは会計検査院としてどのようにこれ考えているのか、これは税金の無駄遣いがないのか、このチェックどのようにしていくのか、お伺いしたいと思います。
  117. 森田祐司

    会計検査院長(森田祐司君) 会計検査院は、国が実施しております事業に係る委託契約等の会計経理についても多角的な観点から幅広く検査を実施して、その結果を検査報告に掲記するなどしているところでございます。その際には、再委託先等についても、相手方の協力を得て、必要に応じてその状況を確認しているところでございます。  委員お尋ねの点につきまして検査の結果に基づかずに意見を申し上げることは困難でありますが、一般論として、国が委託する、締結する委託契約の検査においては、契約が経済的なものとなっているか、契約の委託先における履行体制が適切なものとなっているかについて確認をしているところでありまして、再委託がされた場合においても、これらの点が確保されているのかということが、これらの点を確保されているということが必要であるというふうに考えております。  委託契約に係る国の会計経理につきましては、国会等で様々な御議論が行われていることは承知しており、これらの御議論等も踏まえて、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。
  118. 東徹

    東徹君 是非、会計検査院の活躍に期待をいたしておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  それでは、決算のことでありますが、両立支援助成金、ちょっと時間の関係で、先に両立支援助成金のことについてお伺いしたいと思います。  これは昨年も質問させていただきました。平成二十九年度の決算内容についてでしたが、今回、平成三十年度の決算内容についてお伺いをさせていただきます。  助成金、幾つかのコースありますけれども、そのうち二つのコースについて、これは配付資料にありますが、支給実績となっています再雇用評価処遇コースについて、平成二十九年度の段階で、支給件数がたった四件、支給額がたった八十一万円、執行率にしますと〇・〇二二%であったものが、平成三十年度予算を平成二十九年度の四倍までこれ拡充しています。当時の根本大臣、四回分の申請が一気に来るから予算額も四倍にしたというふうに言っておりましたが、申請状況を確認しますと、こんな予算が要らなかったということはもう明らかであります。  厚労省が予算の組み方がいかにこれいいかげんかということはよく分かるかと思いますが、平成三十年度においても、この再雇用評価処遇コース、件数がたった二十件で四百万円ですかね。ですから、予算を非常に大きくしたにもかかわらず全く使われていないと。この予算の組み方が非常にいいかげんだというふうに思います。  この実績を踏まえて、厚労省全体として予算を、もうちょっときちっと実績を踏まえた予算の組み方というのが必要かと思いますが、これ大臣、お伺いしたいと思います。
  119. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) この再雇用評価処遇コースは、育児、介護等を理由に退職した労働者の方が、その職務経験や能力を適切に評価した上で再雇用し、適切に処遇した企業に助成金を支給しようということで、平成二十九年度からスタートしたところであります。  二十九年度当初は、最初のスタートということもあり、また、三十年度、今委員お話しのように、これ二回に分けて支給されている等々を踏まえて、四倍の百五十三・三億円を予算に計上したわけでありますが、実績としては四百万件、二十件にとどまっているということで、令和二年度、この予算では、もうその金額を縮小して、四億円ということで見直しをさせていただいたところでございます。  最初、当初においてはそれなりな需要を見込みながらやらせていただいているわけでありますけれども、常にそうした中での成果、実績、効果、こうしたものをしっかり検証して、また次の年の予算要求に反映していく必要があるんだろうというふうに思っております。  これについても、再雇用を促進するということは非常に大事でありますけれども、それにどこまでこの制度がプラスになっていたか、効果があったか、こういった点もしっかり検証していく必要があるというふうに思います。
  120. 東徹

    東徹君 こういう予算の立て方も、実際にこれだけの予算立てておいて執行されたのが四百万円という、非常にお粗末な結果になっているということですね。  もう一つあるのが、介護離職防止支援コースです。  政府として介護離職ゼロというのを掲げておりますけれども、この支給実績見ますと、平成二十九年がたった五十三件で二千八百九十二万円、平成三十年度がプラス三件になって五十六件で三千十一万円ですね。執行率がこれ二・三四から四・六九に上がったように見えますけれども、これはもう予算が減ったことによるものでありまして、このコースの利用者が少ないということを考えると、こういう助成金の在り方そのものが、じゃどうなのというふうな気もしますが、そもそもこれ、介護離職について、親の介護と、会社を辞めるときに親の介護が理由というふうに言いながらも実際は親の介護ではないという人もやっぱり結構いるんではないのかなというふうに思ったりもします。  そういったことをしっかりと本来調査して、こういった政策というものを考えていくべきというふうに考えますが、これ大臣、この結果を見てどのようにお考えになられるでしょうか。
  121. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 介護離職ゼロというのは私どもも大きな柱の一つとして挙げさせていただいているところでありますので、それに対しては様々な取組が必要でありまして、まずは介護サービスが必要な方に行き届くようにしっかりと確保していく、またそのための介護人材を確保し処遇改善を図っていく、こういったことと同時に、やっぱりそれぞれの企業においてもこうした理解を深めていただく、そういったことでこうしたコースもつくらせていただいているところであります。  ただ、実際の、実際件数が、平成二十九年度が五十三件、平成三十年度が五十六件ということで、当初の予算に比べても数%ということであります。予算規模は令和元年、令和二年と縮小させていただいているところでありますけれども、こうした介護離職をどう防止することにこのまさに支援コースがつながっているのか、周知が足らない等々の御批判もあります。そうしたことをしっかり踏まえながら、この介護離職の防止につながるような仕組みといったものを更に、なるように更に工夫をしていきたい、改善していきたいというふうに思います。
  122. 東徹

    東徹君 これ、国が、介護離職年間十万人、これをゼロにすると言っているんですよ。で、これに使われている件数が平成二十九年度でたった五十三件、これではいかぬということで指摘したら、今度予算を十二億から六億に、約半分にしてきたんですよ、厚生労働省が。そうしたらどうなったかというと、たった三件増えて五十六件しかないんです。  十万人の介護離職をゼロとしようと厚生労働省が言っていてですよ、たったこれだけしか使われていないというこの現状をやっぱりもうちょっと厚生労働大臣として、やっぱりおかしいなと、こういう助成金の在り方ではやっぱり駄目なんだなとか、もっと改善するためにどうしたらいいんだとか、これやっぱり考えるべきと思いますが、これ大臣、もう一度御質問させていただきたいと思います。
  123. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) いや、ですから、先ほど御答弁させていただいたように、介護離職ゼロ、様々な施策を総合的に推進をしていかなければこれは実現できないということは、これはいろんなところで申し上げているわけでありまして、そうした中で、こうした企業における取組も推進をして、理解を深めていくという意味においても推進をしていくという、それが今回の介護離職防止支援コースということでもあります。  ただ、委員指摘のように、利用が五十件少々にとどまっているということ、それを含めて、よりそれぞれの取組が進む、何が課題なのか、何でこれが利用が少ないのか、こういったことをしっかり検証しながら、まあこれも一つの手法、これで全部が介護離職止まるわけではありませんから、これも一つの手法としながら、全体として介護離職ゼロが達成できるように当然努力をしていかなきゃなりませんけれども、その一つのツールとしてこれも更に利用していただける、そういった中身、それに向けて更に改善すべきところはしっかり改善をさせていただきたいというふうに思います。
  124. 東徹

    東徹君 是非、先ほどの再雇用評価処遇コース、二十九年度がたった四件、それで三十年度二十件、この介護離職の防止コースも、二十九年度が五十三件、三十年度が五十六件ということで、本当に国としてやるべき事業として一体どうなんですかということをやっぱりしっかりと考え直していただいて、そして政策そのものをやっぱりきちっと見直すということが私は大事ではないのかなというふうに思います。  是非、政策の見直しから検討していただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  125. 梅村聡

    梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。  本日は決算委員会ということで、特にこの通常国会の新型コロナ対策、これをもう一度振り返ってみて、またこれからの対策にも是非役立てていただきたいというふうに思っております。  まず、今、私の地元の大阪でも、大阪府庁に専門家の方に集まっていただきまして、今回の対策についての検証ということをスタートしております。専門家の方から、いろんなデータを見る中で、今回の自粛要請あるいは休業要請が本当にどれぐらいの効果があったのかと、こういうことの議論もスタートしているわけなんですが、今日まず確認をしたいことは、四月十五日の北海道大学の西浦博教授の記者会見です。  この記者会見の中では、接触を減らす等の対策を全く取らなければ国内での重症者の数が八十五万人、そして約四十二万人の方が死亡するおそれがあると、こういう発表がありました。  まず確認は、四十二万人亡くなる可能性があるということについてのこの意見表明は、西浦先生の個人的な意見表明なのか、それとも、西浦先生は厚生労働省のクラスター班あるいは専門家会議のメンバーですから、そういった立場での立ち位置での意見表明だったのか、まずこの確認をさせていただきたいと思います。
  126. 宮嵜雅則

    政府参考人宮嵜雅則君) 御指摘のございました試算は、厚生労働省クラスター対策班に所属する専門家が一専門家として説明したものでございまして、厚生労働省としての公式見解ではございません。    〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕
  127. 梅村聡

    梅村聡君 ここが非常に難しいところで、厚生労働省としての公式の見解ではないんだけれども、それを聞いた国民は、やっぱりクラスター班のメンバーの方あるいは専門家会議の方が言われたことですから、厚生労働省もある程度はこのことが前提としているのじゃないかという印象は当然持ったんじゃないかなというふうに思います。  じゃ、この接触を減らす等の対策を全く取らなければという前提が果たしてあり得るのかということを考えたいと思うんですが、今月の六月十一日のニューズウイーク日本版、ここに西浦教授が投稿されているんですね。特別寄稿ということで投稿されていまして、このインタビュー記事の中には、何も対策をしないという現実にはあり得ないシナリオでありというふうに述べられているわけなんですね。  ですから、これ二つの前提が混乱していまして、記者会見の内容は接触を減らす等の対策を全く取らない場合、これが記者会見だったんです。ところが、今、インタビュー記事では、現実にはあり得ないシナリオだというふうに言われていまして、これ随分違う前提を出されているかと思うんですが、これ厚生労働省の公式見解じゃないとしても、この二つの全く違う前提の中で出されているということに関して、厚労省の見解をお伺いしたいと思います。
  128. 宮嵜雅則

    政府参考人宮嵜雅則君) お答え申し上げます。  まず、御指摘の試算は、繰り返しになりますけれども厚生労働省クラスター対策班に所属する専門家が一専門家として説明したものであり、厚生労働省としての公式見解ではございません。  なお、この発言等について専門家に確認したところ、四月十五日の記者会見でも、人と人との接触を減らすなどの対策を全く取らない場合という現実的にあり得ないシナリオの場合に四十二万人が死亡するおそれがあると伝えたつもりというふうに聞いておりまして、六月十一日の特別寄稿で記載したことと前提条件に違いはないという認識であるというふうに承知してございます。
  129. 梅村聡

    梅村聡君 人と人とが全く接触しないことが前提でといっても、あり得ない数字が出てくるというのは、やっぱりこれ非常に危険なことだと思いますね。  例えば、交通事故でもそうですね。交通事故の死亡者が今年間三千人か四千人おられますけれども、全く対策を取らなければこれぐらいの交通事故の死亡者が出ますよということをもしある方が言われたら、これ大混乱になると思うんですね。つまり、今の前提の対策以上に何もしなければという話なのか。例えば、交通事故だったら、じゃ高速道路も逆走していいですよと、免許証もなしで運転してもいいですよということが前提で何十万人亡くなりますという話を、これ出されることに私はほとんど意味がないと思うんですね。  だけど、これがやっぱり独り歩きをして、じゃ、ここまでの対策をしようかということが前提で、この第一波、まあ第二波なんですけれども、されてきたということですから、やっぱりこういった発信がどういった責任の下で行われているのかと。これ、厚生労働省の公式見解じゃないとしても、やっぱり全国の特措法の下での全国の自治体の長はやっぱりこれに対応していかざるを得ないわけですから、やっぱりそこの情報発信についてはしっかり考え直していただきたいなというふうに思います。    〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕  それでは、次の話題に行きますけれども、最近余り触れられなくなったんですけれども、アビガンの臨床研究の進捗状況がどうなっているのかということについてお伺いをしたいと思うんですが、これ、元々は企業治験、九十六名が参加予定の企業治験は一応六月末までされるということだったんですが、安倍総理のいろんな意見表明の中で五月末を目指すということで、そこにいろんな臨床研究のデータを加えて五月末を目指すということだったんですが、現時点ではまだ承認は下りていないと。  ですから、今この九十六人の企業治験の状況がどうなっているのか、あるいは大学で今行われている特定臨床研究のデータ集積がどこまで進んでいるのかと、そしていつ頃をめどにこの薬事承認の可否の結果を出すことを今現時点で目指しているのか、この辺の状況についてお伺いをしたいと思います。
  130. 鎌田光明

    政府参考人(鎌田光明君) アビガンにつきましては、御案内のとおり、観察研究、特定臨床研究、そして企業による治験がそれぞれの目的、それぞれの設計において進められているところでございます。  お尋ねの特定臨床研究の進捗でございますが、臨床研究実施計画・研究概要公開システム、これは研究の概要なり進捗状況を適宜登録するものでございますが、それによりますと、進捗状況としては募集が終了という旨公開されているところでございます。  また、企業が行っている治験につきましては、企業が公開、説明していること以上のことを把握できないのでございますが、企業に確認しましたところ、現在、治験施設、地域や数の拡充を行っているところであること、具体的な終了時期については、確約はできないができるだけ早期の終了を目指しているとの御説明がございました。  我々としては、引き続き、こうした臨床研究や治験の進捗状況を注視し、企業からの申請を受け、有効性が確認されれば迅速に薬事承認を行っていく所存でございます。
  131. 梅村聡

    梅村聡君 できる限り迅速にお願いをしたいと思いますが、これ、承認の話ですので、必ず一〇〇%承認されるということは確約されているわけじゃありません。  そうなりますと、今この緊急経済対策の一環としてアビガンの備蓄量を今二百万人分まで増やすということを決定されていると思うんですけれども、この生産量今徐々に上がってきています。報道によりますと、七月には約十万人分、九月には約三十万人分にまでこの生産量を引き上げられると。  増産に関わる企業もたくさん関わっているんだと思いますけど、これ仮にこの薬事承認がされなかった場合、この増産した分、これは国が買い上げるということを想定されているのか、あるいは途中で増産を止めてくださいということを考えておられるのかどうか、この辺についてもお伺いをしたいと思います。
  132. 宮嵜雅則

    政府参考人宮嵜雅則君) お答え申し上げます。  アビガンにつきましては、現状、観察研究、特例臨床研究、企業治験がそれぞれ実施されていると承知しておりまして、観察研究等に参加している医療機関において医師が必要と判断した場合に限って投与が認められているところでございます。  また、アビガン錠の備蓄に関する予算、これは一次補正でございますが、万が一の感染拡大といった事態に備え、国家の危機管理観点から、新型コロナウイルス感染症の治療薬の候補である薬を購入し、備蓄を進めるためのものでございまして、当該予算の執行につきましては、メーカーの生産状況等も踏まえて適切に行いたいというふうに考えております。  なお、仮にアビガンが薬事承認されなかった場合について御質問いただきましたが、企業から薬事承認の申請もなされていない現時点におきましてはちょっとお答えすることは差し控えさせていただければと思います。
  133. 梅村聡

    梅村聡君 旗振っているので今言いにくいんだとは思うんですけれども、これ二百万人分をどうするかというのは、元々、新型インフルエンザ用ですから、ですから、これかなりの、飲む量も多いわけですから、かなりの量がだぶつく可能性もあります。ですから、国家管理という観点予算の執行ということから考えても、ここはしっかり検討を進めておいていただきたいなというふうに思います。  そして、少し話が飛びますけれども、今回の新型コロナのクラスターですね、クラスター対応というのを今されているかと思いますが、これ具体的にどんな場所でクラスターが何件起きているのか。医療機関で何件、介護施設で何件と、こういう分類をしていただいて、ちょっとこの件数を教えていただきたいと思います。
  134. 宮嵜雅則

    政府参考人宮嵜雅則君) お答え申し上げます。  感染拡大防止のためには、早期にクラスターの発生を把握し、積極的疫学調査により感染源と濃厚接触者を同定し、感染拡大を防止するための対策を実施していくことが重要であると考えておりまして、自治体のプレスリリース等を基に集団感染等として報道されている事案を収集、集計いたしますと、六月十九日の時点で合計で二百九十三件でございまして、その内訳は医療機関で百三件、それから高齢者とか障害者とかの福祉施設で六十一件、それから飲食店で三十三件、その他の施設で九十六件というような状況でございます。
  135. 梅村聡

    梅村聡君 そうしますと、その他の施設も含めて、今医療と介護と飲食店言われましたけれども、その他で発生したところも含めて、これ屋外でクラスターが発生したという事例というのはあるんでしょうか。
  136. 宮嵜雅則

    政府参考人宮嵜雅則君) お答え申し上げます。  先ほどのその他の施設九十六件は、屋内の運動施設とかライブ施設等でございますが、屋外につきましては、大規模イベントの開催の自粛等が要請されてきたというような事実もございますので、そういう状況も勘案しながら、勘案しないといけないとは思いますけれども、報道されている事案等においては屋外で集団感染等が発生した事例は把握してございません。
  137. 梅村聡

    梅村聡君 昨日、都道府県をまたぐ移動というものも、これも全面的に解禁になりました。今まで自粛ということだったんですけれども、解禁になりましたけれども、一方では、今年の夏の甲子園は、これはもう高野連さんがいろいろ検討された結果だと思いますけれども、中止になったと。普通に考えれば、屋外でのクラスター発生というものは、これ全く報道されていない、少なくとも把握をされていないわけですよね。  あるいは、全国のこれからの夏の花火大会もお祭りも、これ、もちろんそこに人が集まるまでのその公共機関とか、公共交通機関等の感染防止ということはもちろんあるのかもしれないけれども、だけど、早々とクラスターが一件も発生していない屋外のものがどんどん中止をされていっていると。  普通に考えたら、これは批判をするわけではないですけれども、十七歳、十八歳の一番元気な高校生が、あのさんさんと輝く青空の下で、甲子園で、あれだけ広いところでやる運動大会が、これは何を、まあ宿泊とかそういうものを心配したんだと思いますけれども、一件もクラスターが発生していないのに中止に追い込まれていくと。  もちろん十分な注意はしなければいけませんけれども、私はやっぱり何か判断基準が、クラスター、クラスターと、人が集まればクラスターということばかりが着目をされてしまって、総合的に考えてどう考えても安全なことまでが中止に追い込まれていくと。私は、こういうことをきっちりもう一度整理をして、科学的に判断をして、中止の方向なのか開催か、開催するならばどういう注意事項があるのかと。私は、やっぱりそこは科学的な判断というものが大事なんだと思います。  ですから、厚労省にちょっとお願いしたいのは、今もクラスターのお話をしましたけれども、基本的には屋外でそういったものは発生していないんだと、だからそういうことを判断の科学的な材料として使ってくださいと。こういうことは厚労省のホームページとか、あるいは厚労省からのメッセージとしてしっかり発信をすべきだと思うんですが、この点に関してはどうお考えでしょうか。
  138. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) これまでクラスターの発生、クラスターについては当該場所で五人という一つの判断をしながら、私ども、マスコミ情報を含めてさっきの数字を申し上げさせていただいているわけでありますので、なかなか、あることは指摘できますけれども、ないというのはなかなか難しいというのは、もう委員よく御承知のところなんだろうというふうに思います。したがって、そこをどういうふうに発表していくのか。  それから、大規模イベントも、大規模イベントのその瞬間だけ見れば、例えば屋外でみんなばらばらにいたら、それはかなりリスク低いかもしれませんが、そこに行くプロセスの中で、例えば一定の時間に人が集中してある場所に集まってしまう、あるいはそこに行く電車が非常に混んでしまうということになれば、それはリスクの可能性もある。だから、トータルとしてどう見ていくのかが大事なんだろう。その上で、それぞれの皆さんが、甲子園等も含めて、じゃ、そこに行くバスの中で感染したらどうだろうか等々を御判断して最終的な結論を出されたんだろうと思います。  我々としては、委員指摘のように、必要な情報あるいは我々が分かっている情報、これを的確に公表させていただく中で、それぞれ皆さん方が、まさに感覚ではなくて一つのデータ等に基づいて判断でき得る、そういった状況はつくっていきたいというふうに思います。
  139. 梅村聡

    梅村聡君 やってもいいということを厚労省が言ってくださいということじゃなくて、事実としてクラスターが発生しているのはこういう場所なんだということを分かりやすく発表していただいたら、これ可否を判断する方も科学的に判断ができるということを是非お願いをしたいなというふうに思います。  最後に、今回、こういう感染症に対応する医療や介護の課題というものも浮き彫りになってまいりました。特に厚生労働委員会なんかでは、地域医療構想を、やっぱり病院の病床をどうしていくかということに関しては、感染症が起こったとき、新興感染症が起こったものに対して、それだけの余裕を持つような、そういう計画にしていこうと、委員の方からもそういう意見はたくさん出ているんですけれども、私はあえて申し上げましたら、これやっぱり医療計画というのが元々あるわけですから、この医療計画は今五疾病五事業の下でされていますけれども、この五事業というのは救急医療であったり災害医療、あるいはへき地医療、こういったものが必ずその地域でやらなければいけないと。  その計画の中に是非今回の新興感染症というものも加えて、あえて言えば五疾病六事業という形で地域医療計画を立てる、そういった方向にしていくのが私はこれからの感染症対策には必要なことじゃないかなと考えておりますが、この点についても大臣の見解を教えていただきたいと思います。
  140. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) まさに全体を見通した中で、地域医療構想等あるいは医療計画等を進めていくというのは当然のことなんだろうと思います。  ただ、その中で、感染症に係る医療の提供体制については、感染症の規定に基づいて都道府県が定める予防計画、そして都道府県においてそれを含めた必要な体制整備に取り組んでいくと。ここは法的なスキームがあって、それとは別に医療法に基づいて都道府県が策定する医療計画。ただ、これについては、がん、心疾患等五疾病、あるいは救急等の五事業について書かれている、ちょっと分離されているという格好になっている。ゆえに、こっちで一応感染症は感染症と決めているがゆえに医療法の中ではそれを取り組んでいないと、こういう仕組みなんだろうというふうに思います。  ただ、これから議論する中にあって、また今回の感染症に係るこうした様々な知見、経験、これを踏まえて、感染症に係る医療提供体制だけではなくて、それ以外も含めた総合的な意味での医療体制を構築していく必要が当然あるわけでありますから、医療計画あるいは地域医療計画を含めて必要な検討を、その中で必要な検討を行っていきたいというふうに思います。
  141. 梅村聡

    梅村聡君 五疾病六事業が私は適切ではないかなと思っておりますので、そのことを申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  142. 紙智子

    紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  まず、新型コロナウイルス対策についてお聞きします。  札幌市では四月二十六日に介護老人保健施設茨戸アカシアで入所者が新型コロナウイルスに感染したのが判明し、五月三日には五十一名にまで広がりました。翌日、五月四日に北海道からの依頼を受けてクラスター対策班が派遣されました。クラスター班が入ったので感染の流行を早期に終息させることができるのかと思いましたけれども、感染拡大は収まらず、十二日後の五月十六日には八十四名まで広がり、札幌市は施設内に現地対策本部を設置するという事態になり、その後、九十名を超えました。なぜ感染拡大したのか。  厚生労働省は四月七日に原則入院とする通知を出しましたが、入院させなかったわけですね。お父さんがお亡くなりになった男性は、入院治療を受けていれば助かったんではないかと訴えておられます。しかも、クラスター班が入った日、五月四日に原則入院とする通知を更新して、やむを得ず施設での入所継続を行う場合もあるというただし書を入れたんです。  感染者の受入れ病床を調整しているというのが理由なんですけれども、この未知の感染症が発生しているのに、施設に留め置くことが可能だというただし書を行って対応したことに問題はなかったんでしょうか、お聞きします。
  143. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) まず、感染の中で、感染したのと発症したのとかなりずれがありますので、そこはよく踏まえながら対応していかなきゃいけない。今回のケースも、既に一定程度感染はしてまだ発症には至っていない方、その方々がまた発症していって拡大していった。そういった意味においては、いかに早期に介入していくのか、その必要性を我々も認識をさせていただいているところであります。  その上で、ただし書云々というお話がありましたけれども、まず、あるべき姿からいえば、入院が逼迫することがないような必要な医療提供体制をしっかり確保していくということ、これはこれからもしっかり進めていかなければなりません。しかし、当該事象が発生したときにどう対応するか、限られた制約条件の中でどうするのかという中では、一時的にどうしても入所を継続せざるを得ない場合も出てくるわけであります。  ただ、その場合においても、それはあくまでも入院が原則であって、それの例外的な取扱いだと。そして、その期間において都道府県が人員体制、物資などに関する支援体制を構築していくこと、また、症状や状態に変化があった場合の医療提供体制、入院方針を明確化していくこと、期限の目安を定めていくこと等々を求めているものでありますので、言わば、本来であれば全員が入院をしていくことが当然ではありますけれども、様々な地域的な条件あるいはそうした地域の医療の逼迫の状況の中でやむを得ずといった場合に対する対応をお示しをさせていただき、しかし、その中でも、あくまでもやむを得ずであって、こうした措置をしっかり講じていただきたい、このことも併せて申し上げているところであります。
  144. 紙智子

    紙智子君 やはり、そうはいっても、亡くなられた方や家族の方の苦しみや介護施設を支える職員の気持ちを考えますと、原則入院とする通知を変更したということで何が起こったのか、やはり実情をつかんで見直すべきではないかというふうに思います。  クラスター班についてお聞きします。  クラスター班は、感染拡大防止対策の提案、関係機関との調整、疫学調査などを行うというふうになっています。札幌の茨戸アカシアに入って何を教訓にしたのかというのは明らかじゃありません。なぜなら、報告書の作成は自治体任せになっているからです。なぜクラスターが発生したのか、なぜクラスター班が入ったのに感染が広がったのかということさえ分からない。  クラスター班は、感染の流行を早期に終息させるために徹底した対策を講じるという方針を受けて設置をされています。それなのに報告書がないと。これでは迅速な対策を取るための疫学調査が共有化されないんじゃありませんか。
  145. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 感染拡大の防止のためには、早期にクラスターの発生を把握して積極的疫学調査を行っていく、そして感染源と濃厚接触者を同定して感染拡大を防止していくための対策を実施していくことが必要でありまして、そのため、厚労省においては、要請を踏まえてそうした専門家の方々で構成されているクラスター対策班を設置をし、それぞれの地域に要請に基づいて派遣をさせていただき、感染拡大の可能性についてのリスク評価あるいは感染拡大の提案等の支援を行っているところであります。  具体的にどういった提案をしたのか、調査支援報告を公表するか等は、これはまず一義的にはその自治体において御判断されるべきものというふうに考えているところであります。  また、厚労省は厚労省で、派遣で得られた知見を踏まえて、例えば新型コロナウイルス感染症に対する感染管理、あるいは医療従事者向けの感染の注意喚起に関する周知等に努めさせていただいているところでありますし、また、五月一日には、医療機関における新型コロナウイルス感染症に備えた体制整備及び発生時の初期対応として、医療機関が行うことが推奨される事項を取りまとめた周知も行わせていただいているところでありまして、そうした経験についてはそれぞれ活用させていただいていると。  ただ、具体的な対応については、基本的には自治体が中心になり、それの言わば支援として入っているわけでありますから、全体としての対応等については自治体において取りまとめて公表されるべきものというふうに考えております。
  146. 紙智子

    紙智子君 自治体においてということを言われるんですけれども、国のクラスター班が入ったのに収まらないで広がったわけですよ。国が調査に入っているのに、報告なり調査メモを作らないなんてあり得ないと。報告ないんですかと言ったら、それは出せないという話でありまして、なぜかといったら自治体がまとめるんだと。これではよく分からないわけですよ。是非直ちに疫学調査が教訓化されて、徹底した対策を取るように求めておきたいと思います。  次に、国立八雲病院の機能移転計画についてお聞きします。  国立八雲病院は、北海道で唯一の筋ジストロフィー、重症心身障害者、障害児、障害者の専門病院です。新型コロナのクラスターの発生が収まらず第二波に備えた体制が急がれるときに、国立病院機構は、今年八月十八日から筋ジスや重心の患者さんを二百四十五キロ離れた札幌の国立北海道医療センターと、八雲から八十五キロ離れた国立函館病院に移送するといいます。明日も、六月二十三日にもリハーサルを行うといいます。新型コロナウイルスの感染症のさなかに、この治療薬もワクチンもまだないのに免疫力の低い患者さんをなぜ移送するのかと、移転するのかと。  患者家族の会のある方は、現在、コロナ感染防止のために家族とは面会できず、患者はつらく寂しい日々を送っていると、八雲に残る選択肢があれば残りたいと言われています。一方、家族有志の会の方も、機構はコロナ禍にあっても移転計画は一歩も立ち止まることなく、ウイルス感染に対して何のちゅうちょもないまま進められている、重度の障害を持つ八雲病院の子供たちの命を危険にさらすことになる、子供の命を軽視しているとしか思えないと言われています。  コロナ禍の移転は子供の命を軽視している、この意見に理事長さんはどう思われますか。
  147. 楠岡英雄

    参考人楠岡英雄君) お答えいたします。  今回の移転の趣旨といたしましては、入院患者さんが今非常に高齢化されております。生活習慣病等の合併症がかなり増加が見込まれておりますし、また、今後とも他の併存症の発生も考えられる中で、現在の立地及び現在の医療機能ではそれを十分対応できる専門医の確保、充実が極めて困難な状態になっております。また、御家族の方自身の高齢化も進んでおり、非常に長距離に面会等での移動に関しても非常に負担になっているという声も聞いております。以上のような理由から、筋ジストロフィー患者の方々などから移転の要望をいただいたところもございます。  これらを踏まえて、平成二十七年六月の基本構想の公表以降、北海道医療センター及び函館病院への機能移転に向けた検討、調整を進めており、本年九月一日の機能移転を予定している最中でございます。  御指摘のとおり、八月中下旬に患者移送を予定しておりますけれども、これはあくまで予定であって、今後のコロナの状況をしっかり見極めながら随時それに対しては必要な措置をとっていきたいというふうに思っております。
  148. 紙智子

    紙智子君 私は、現場から出されている、命を軽視しているんじゃないかという意見に対してどう思うかということを聞いたわけですよね。  函館や札幌への移転というのは、これ大移送計画になるんですよ。移送する患者数、移送に関わる人員が何人になる予定なのか。八雲病院だけでは対応できないと聞いています。どこから何人程度応援に来るんでしょうか。
  149. 楠岡英雄

    参考人楠岡英雄君) お答えいたします。  北海道医療センターには、延べ百九十二名のスタッフにより百三十六名の患者を移送する予定にしております。また、函館病院には、延べ六十五名のスタッフにより五十四名の患者を移送する予定にしております。  現在のこの計画では、看護師については延べ九十五名、医師については延べ十一名の応援が必要となるため、北海道、東北グループ内の国立病院機構の病院へ協力要請をしているところでございます。
  150. 紙智子

    紙智子君 八月十八日から二十一日までの四日間で、延べ三百人体制だというふうに聞いてきました。医師や職員以外に、移送業者は、これ日本通運の運転手百二十名、車の台数でいうと百二十程度と、大移送計画ですよ。  それで、応援部隊のための宿泊施設も必要になるんじゃないか。患者、あるいは移送に関わる医療関係者、移送に関わる運転手、応援部隊が泊まる宿の感染対策は一体どうするのかと。PCR検査、移送二週間前からこれ隔離するんでしょうか。  医者、看護師、運転手、付添人、宿の職員、それぞれにどうなるのかということを説明いただきたいと思います。
  151. 楠岡英雄

    参考人楠岡英雄君) まず、患者移送に関わる職員につきましては、移送業務を行う時点で新型コロナウイルスに感染していないことを確認することは極めて重要なことであり、それに対しましては、移送実施前の二週間前から健康状態をチェックするスクリーニングフォームを作り、それを提出していただく。それから、移送前のPCR検査等の実施については、その対象範囲を踏まえ現在検討しているところであります。  御質問の宿舎に関してでありますけれども、現在確保している宿舎におきましては、どのような感染防止対策を取っておられるのかを確認しているところであります。  感染防止対策としては、消毒薬の設置、あるいはビュッフェ形式による食事ではなく通常の個別の食事、その際の座席間隔の保持、従業員の健康管理、清掃の強化、あるいは換気等に関しまして、どのようなことが行われているか今確認を行っておりますし、既に多くのところではそういうようなことが取られていることも確認しております。また、それらに加えまして、応援スタッフに対しましては、宿泊する際に部屋の換気を小まめに行う、あるいは手指消毒などを徹底するように周知し、リスクの軽減を図るようにしております。  移送の状況に関しましては、車内を運転席側と、患者さん、スタッフが入る側は、そこに仕切りを置いてその区分けを行う。それから、それぞれにおいては十分な換気を行うということによって感染予防を行うとともに、輸送の、いわゆる運転手等が直接患者に接触することがないように設定していきたいというふうに考え、今その準備を進めているところでございます。
  152. 紙智子

    紙智子君 PCR検査については今まだ検討しているというふうに、まだ決まっていないということなわけですよね。  病院には、移送の準備をするコンサル会社や引っ越し業者が来ると思います。患者の家族は面会禁止になって今までいるわけですよね。で、業者は、それで病院に入れるのか、患者の部屋に入って荷物の整理を行うんでしょうか。検温はするのかもしれませんけれども、業者が新型コロナウイルスを持ち込まないためにPCR検査一定期間隔離をする必要があるんじゃないかと思いますけれども、そこはどうなんですか。
  153. 楠岡英雄

    参考人楠岡英雄君) PCR検査を行うことは確実に行うことにしておりますけれども、どの手法を使うのか、あるいは時期としてどの時期が妥当であるかというのは、現在のところいろいろ検討している最中でございます。  特に、八月という、移送時期は今から二か月先ですので、その時点でのコロナの状況、北海道におけるコロナの状況あるいは周辺におけるコロナの状況を見ながらPCR検査を必要とする者の対象者を絞っていくと、絞るというか決めていくというふうに考えております。  それから、業者の方ですけれども、基本的に移動に伴う患者さんの荷物の取りまとめ等は病院職員の方で行い、直接的に業者がその患者さんの荷物をまとめるために病棟の方へ入るようなことはないように行いたいというふうに考えております。
  154. 紙智子

    紙智子君 それをどうやってやるのか、よく分からないんですよね。  厚生労働大臣にお聞きしますけれども、基本的なことなんですが、新型コロナ感染を防ぐ知見というのは確立されているんでしょうか。
  155. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 新型コロナ感染症についてはいまだ不明な点が多い感染症でありますけれども、その時点における国内外の情報を収集しつつ、また、例えば今のは院内、病院のお話をされておりましたけれども、発生した院内の感染事例、また派遣された感染症の専門家の方々の知見も踏まえて、新型コロナウイルス感染症に関する感染管理のガイドライン、これを作らせていただき、また逐次改訂、公開をし、また厚労省としても自治体に通知するなど、院内感染に万全を、院内感染のための方策について周知を図らせていただいているところであります。  したがって、あくまでもまだ不明な点は多いわけでありますけれども、しかし、分かったこと、それを踏まえながら必要な感染症の予防は講じていただけるよう対策を講じているということであります。
  156. 紙智子

    紙智子君 今大臣も不明な点が多いというふうに言われました。リスクは、だからあるということですよね、ゼロじゃないわけですよね。  新型コロナウイルス、症状のない人もいると。これがやっぱり難しいところでもあると思うんです。だから、自分が感染しているかもしれないと考えることが大事だというふうに言われてきました。移送計画に関わる引っ越し業者や宿泊施設の職員や医療関係者、誰もがそういう意味で不安を抱えているわけです。ましてや、安全のための知見は確立をされていないし、治療法や薬が特定の病気、症状に効果がある、そういうエビデンスも確立されておりません。そういう中で免疫力の低い患者さんを移送するんでしょうか。  コロナ禍のこの移送計画の強行については中止あるいは延期するように、大臣、言うべきじゃないんでしょうか。
  157. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 先ほど国立病院機構からも御説明をさせていただいたように、そもそもこの移転というのは、患者や御家族の方々の声なども踏まえて、こうした合併症が増加する中で、同病院の立地あるいは現在の医療機能では対応できる専門医の確保、充実がなかなか難しいということ、また、高齢化が進む家族との長距離移動の負担にも配慮が必要であること等々を踏まえて、こうした移転計画が進められてきているわけであります。  今回のその言わば患者搬送については、新型コロナウイルス状況も十分考慮していただきながら、その方の安全、安心、それを確保し、万全の体制を講じていただくよう、六月十八日付けで国立病院機構に対して、私どもの医政局長から事務連絡も発出をさせていただいたところであります。  今、機構からの逐次いろんな説明もありました。そうしたことをしっかり、体制を更に、感染防止に対する体制をしっかり取っていただく上で、また、具体的な中身について患者、またその御家族に丁寧な説明をして、不安の解消に努めていただきたいというふうに思っております。
  158. 紙智子

    紙智子君 やはり、命を優先するのが私は厚生労働省だと思うんですよ。その厚生労働大臣がしっかりと言うべきことは言うというふうにしなきゃいけないと思うんですね。それで、ちゃんと担保できるのかというと、まだはっきりしないわけですよ。しかも、患者、家族、職員の皆さんから繰り返し上がっている不安というのは解消されていません、今でも。  機構のホームページから理事長の挨拶が掲載されておりますけれども、理事長はこう言っていますよね。病院機構は医療を通じて地域の安全と安心に貢献してきた、患者の目線に立って、患者の目線に立って懇切丁寧な医療体制を提供するというふうに言われているわけです。  理事長、このコロナ禍で免疫力の低い患者さんの移送計画は、これやっぱり中止かあるいは延期すべきではないかと思いますけれども、いかがですか。
  159. 楠岡英雄

    参考人楠岡英雄君) 現在のコロナの状況が今後どのように展開するかに関しては、全く未知と言ってもいいような状況かと思います。  先ほども申し上げましたように、現在、北海道においては、新規患者発生数は五人以下、それから、いわゆる市中感染症と思われる患者さんは昨日では一名のような状況、それから、入院患者数は現在八十名程度ということで、北海道の方で定めている、ある意味警戒基準に相当する三つの基準のいずれも半分以下のような状況になっております。  このような今の状況が今後どのように展開するか全く分かりませんので、こういうデータを見極めながら慎重に判断することは今までどおりでありまして、絶対に移転を行うということを決めているわけではございません。  ただ、このコロナに関しまして、もし今後、国内である意味季節性インフルエンザのような定着状況がもし発生すれば、そうしますと、それを前提にした移送計画を考えなければならない。もちろん、今後予想されるような第二波、第三波の最中に移送することは絶対にできませんが、ある程度見極めの付いたところでは行わざるを得ないというふうに思っております。それが先ほど最初に申し上げました患者さんの将来のためということもありますので、そこは慎重に判断をしていきたいというふうに考えております。
  160. 紙智子

    紙智子君 未知という話もありました。そして、知見は、何よりもこの確立されていない中では決して無理をしないようにということを改めて申し上げておきたいと思います。  残り、財務省の方に来ていただいたんですけれども、申し訳ありません、時間がなくなりましたので次回とさせていただきます。  ありがとうございました。
  161. 武田良介

    武田良介君 日本共産党の武田良介です。  JR東海が進めておりますリニア中央新幹線の建設工事に関わって質問をさせていただきたいというふうに思います。  独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構、いわゆる鉄運機構でありますけれども、これはこのリニアの建設工事にどのように関わっているのか、国交省に説明お願いしたいと思います。
  162. 江口秀二

    政府参考人(江口秀二君) お答え申し上げます。  リニア中央新幹線の工事におきましては、鉄道・運輸機構は、建設主体であるJR東海より、これまで七件の建設工事を受託しているとの報告を受けています。うち六件につきましては請負業者と工事契約を締結しており、一件は現在発注手続を行っているとのことでございます。  また、鉄道・運輸機構は、JR東海に対し、財政投融資資金を活用した計三兆円の資金の貸付けを行っております。
  163. 武田良介

    武田良介君 今答弁にありました七つの契約工事、資料に付けさせていただきました。一言申し上げておきたいと思いますけれども、十九日の金曜日の時点でこの資料の提出していただきましたけれども、そのときには、この下の注釈の部分ですね、今答弁にあった発注手続中というここの部分についてはこれ記載がなく、二十日ですかね、土曜日の夜になって資料の訂正ということでいただきました。正確な資料の提出、これ是非お願いをしたいというふうに思いますので、一言申し上げさせていただきたいというふうに思います。  次に、会計検査院に確認したいと思いますけれども、会計検査院の検査対象、これは国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計と、これありますよね。これは、会計検査院が必ず検査しなければいけないものだと。ここに独立行政法人が含まれておりまして、鉄運機構というのはこの独立行政法人の一つだというふうに思いますけれども、間違いないでしょうか。
  164. 宮川尚博

    説明員(宮川尚博君) お答え申し上げます。  委員御理解のとおり、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、国が資本金の二分の一以上を出資している法人でございますので、会計検査院法第二十二条第五号の規定に基づきまして、会計検査院の検査を必要とするものでございます。
  165. 武田良介

    武田良介君 確認をいたしました。  つまり、先ほどの答弁もありました鉄運機構の行う事業のうち、リニアに関わっては三兆円の財投の部分、それから、この資料に付けました七件の契約したこの工事ですね、これは対象になる会計だということだと思います。そのことを確認したいと思います。  この資料に私、付けました七つの会計、これ対象ということでよろしいですね。
  166. 宮川尚博

    説明員(宮川尚博君) お答え申し上げます。  国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に該当いたしますので、リニア事業に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が契約しております工事についての会計は、委員御理解のとおり、検査対象でございます。
  167. 武田良介

    武田良介君 確認をいたしました。  会計検査院にもう一つお聞きしたいと思います。  通常、会計検査報告は、その指摘事項として最終的に結論付けたものだけを掲記するというふうになるわけですが、国民関心が非常に高いものについて、関心が高いものについて、結論が出ていなくても業務報告的なものとして検査状況や所見を示すことがある。これ、特定検査状況。  この新設した理由と、その第一号になっています、二件あったと思いますけれども、そのうちの一件、東北新幹線の御徒町トンネル事故について、その検査報告の概要について、ポイントで結構ですから御説明いただけますか。
  168. 宮川尚博

    説明員(宮川尚博君) お答え申し上げます。  お尋ねの特定検査対象に関する検査状況は、会計検査院の活動状況国民の皆様に対して十分説明するために、国民の皆様の関心が極めて高い事項について、その検査状況を報告する必要があると特に認めた問題について検査報告に掲記しているものでございます。  委員が言われましたとおり、この特定検査対象に関する検査状況は平成二年度決算検査報告から掲記しているものでございまして、会計検査院に対する国民の皆様のより一層の理解と関心を高めていただくなどの目的から、指摘事項として検査報告に掲記するには至らないものについても社会的な関心を勘案して記述しているものでございます。  また、お尋ねの御徒町トンネル工事の件についてでございますけれども、平成二年一月に、当時、国から間接的に出資を受けておりました東日本旅客鉄道株式会社が施行しておりました東北新幹線の御徒町トンネル工事におきまして、トンネル内部から圧縮空気が大量に噴出するとともに道路が陥没し、通行人等が負傷するなどした事故が発生いたしました。その後、この工事においてトンネル掘削時に施工した薬液注入工、これにおきまして薬液の注入不足が明らかになりましたので、会計検査院はその施工の実態、施工管理体制などを中心に検査いたしました。  そして、薬液注入工事におきましては、その特殊性から、施工の隅々まで常時監視する体制を取ることや薬液の注入量を事後に検証することが困難であることから、監査体制の充実のほか、薬液注入を常時自動的に管理することにより不正操作ができないようにして、この種事態の根絶を図ることが今後の課題であると、このように検査報告に記述したところでございます。
  169. 武田良介

    武田良介君 私も調べましたけれども、この御徒町トンネル事故というのは、当時マスコミでも大変取り上げられた事故であります。国会でも繰り返し取り上げられていることを私も調べましたけれども、第百十八回国会から百二十六回国会にわたってずっと取り上げられている。それも建設だとか運輸、予算、決算、法務委員会、もういろんなところで取り上げられている、そういう事故であります。  業務が終わっていなくても、社会的関心が極めて高い問題については会計検査対象となり得るということでありまして、これ非常に重要なことだと思うんです。  今回のリニアの建設ではどうかということでいいますと、鉄運機構がこれ受託しております例えば岐阜県の中津川市の山口トンネルというところですね、これは昨年の四月に崩落事故が発生をしております。岐阜県の環境影響評価審査会地盤委員会というところで事故の調査を行ってきましたけれども、その経過の中でも、これ、JR東海が、事故原因の調査に必要なボーリング調査、その箇所だとか柱状図、これ十分なかなか示されないということもあった。  私は、やっぱり、この不十分な調査のまま現状あるし、そのまま工事が再開されている、こういう事案も発生しているということだと思うんですね、リニアについて見ると。  もう一つ、リニアの中央新幹線というのはそもそもペイしないという話があるようなところであった。その上、今回の新型コロナの感染拡大という事態も受けて大きく減収をするということも含め、本当にこれ事業として成り立つのかということが今次々と指摘をされる状況になってきているというふうに思うんですね。既に国民的な関心になっているんだということをここで申し上げておきたいというふうに思います。  静岡工区についてもう少し聞いていきたいと思うんですが、六月の二十六日の日に静岡県知事と今度JR東海の社長が懇談するということが報じられております。JR東海は、六月中にヤードの整備ができなかったら二〇二七年の開業は困難になるんだということをおっしゃっておられます。しかし、知事とそれから流域の十市町の首長さんたちが十六日の日に行った意見交換会、ここでは、リニア中央新幹線静岡工区有識者会議、ここの結論が出ていない段階で工事に同意するのは時期尚早だと、こういう見解で一致したということなんですよね。  そこで、その有識者会議について、どういう運営しているのかということをただしていきたいと思うんですが、この会議、その静岡県とJR東海の議論の間に国交省が協議の交通整理をするということで入ってきたといいますか、静岡県が行司役やってほしいと要請する形で入ってきた、国交省も提案して設置したものですよね。既にこれ三回開催されているんですけれども、その公開の在り方ということについてちょっと聞きたいと思うんです。  静岡県は、これ会議は全面公開というのを求めている。つまり、ウエブで全国配信をしてほしいということを求めているわけですが、国交省はこれはできないというふうにされているんです。その理由は何でしょうか。
  170. 江口秀二

    政府参考人(江口秀二君) お答え申し上げます。  リニア中央新幹線静岡工区有識者会議につきましては、本年一月、静岡県より、会議は透明であることとの要請がありまして、国土交通省から三月に、会議は原則として公開で行うこととする、報道関係者の傍聴可と回答し、透明性を確保することとしたところでございます。  その後、新型コロナウイルス対応のため、有識者会議はこれまでウエブ会議方式で開催しておりますが、静岡県からいただいた御意見を踏まえまして、五月十三日には有識者会議の公開の在り方について国土交通省の考え方を改めて発表させていただいたところです。  その中では、ウエブによる全国配信については、委員から生配信後の各委員の御発言の取り扱われ方等について懸念が示されており、そのような公開の仕方は委員の忌憚のない自由な発言を阻害する要因になり得ると考えていること、また、事務局である国土交通省としても、委員個人への匿名者による非難、中傷等が発生するおそれ等は生じないようにするべきであると考えていること等を示したところでございます。  有識者会議は科学的、工学的に議論する場と考えておりまして、そのためには、委員の方々からそれぞれの専門分野に基づき御自身のお考えを忌憚なく自由に御発言いただき、議論を進めるよう、深めるような落ち着いた環境を整備することを最優先とする必要があると考えております。  国土交通省としましては、ウエブによる全国配信によらずとも、報道関係者の傍聴、会議後の記者ブリーフィング、議事録の速やかな公表によりまして透明性を確保することで、会議の中での委員各位の自由闊達な議論を確保しつつ、静岡県が求めておられる会議の全面公開との要件は基本的に満たしているものと考えております。
  171. 武田良介

    武田良介君 ちょっと率直に分からないことがありますのでお聞きしますが、報道関係の方はこれ傍聴するわけですよね。報道関係の方は傍聴して、忌憚のない自由な発言はできて、全国配信するとできなくなると、これはどういうことなんですか。
  172. 江口秀二

    政府参考人(江口秀二君) お答えいたします。  先ほどとちょっと繰り返しになりますけれども、報道関係者の方は報道関係者としての役割を持って傍聴をすると、それに基づいて記事が書かれるというふうに思っております。  一方で、これがウエブによる全国配信いたしますと、その行きどころというものが非常に不明確になっておりまして、不明確に、その配信される、誰がそれを聴取しているとかということも分からなくなりますし、また、その配信を受けた人たちが匿名でもって、先ほどと繰り返しになりますけれども、匿名者による非難、中傷等が発生するおそれ等が生じるのではないかということも考えまして、当方といたしましては、報道関係者へは傍聴は可としていますけれども、こういったウエブ方式による全国公開というものについては控えているところでございます。
  173. 武田良介

    武田良介君 静岡県の川勝知事は、その科学的な議論の公開には何の問題もないだろうということをおっしゃられているわけですよね。全面公開で忌憚のない自由な発言ができない委員は一人もいないと私は確信していると、自由な発言を阻害すると国交省が考えるなら、学者委員の皆さんに対して失礼だというコメントもありました。  これ、大体、国交省が行っているリニアの問題に関して誹謗中傷が発生した事例はないというふうに国交省の環境対策室長もおっしゃっていると私、認識しておりますけれども、ちょっとやっぱり分からないんですよね。  今、先ほどの答弁の中にもありましたけど、この有識者会議は専門家の皆さんのその科学的、工学的な議論をする場なんですよね。科学的、工学的に議論することを公開して非難される、中傷されるってやっぱり分からないんですけど、いかがですか。
  174. 江口秀二

    政府参考人(江口秀二君) このような有識者会議の公開の仕方につきましては、これまで、先ほど申し上げたように、ウエブ会議での開催となりましたが、その際には、先ほどの繰り返しになりますが、報道関係者の傍聴、それから会議後の記者ブリーフィング、議事録の速やかな公表等の方法によるということにつきまして、事前に事務局から各委員へきちんと御説明をして御賛同いただく、又は御異議がありませんでした。すなわち、委員に確認を取っているということでございます。
  175. 武田良介

    武田良介君 委員に確認を取っている。そうしたら、お聞きしますけど、国交省は、その有識者会議の委員を依頼するときに、静岡県の方は全面公開を求めているということをこれ事前に説明していたということでよろしいですか。どういうふうに説明していたんですか。
  176. 江口秀二

    政府参考人(江口秀二君) まず、この委員を選定するに当たりまして、我々事務局の方としましては、静岡県に対しては、会議は原則として公開で行うこととする、報道関係者の傍聴は可というふうに最初説明しておりました。
  177. 武田良介

    武田良介君 ちょっとよく分からないんですけど、報道関係者に知らせるから全面公開だと、静岡県の言っている全面公開と違う説明されていたということですか。
  178. 江口秀二

    政府参考人(江口秀二君) 当初、この会議を開催するときには、まだこのコロナの影響というものがどういうふうになるかというのが分からない状況でございまして、我々としましては、国交省の会議室で皆さんお集まりいただいて、そこで議論をすると。その場には報道関係者も傍聴は可とするという形で当初整理をしていたわけでございます。  その後、新型コロナの対応ということで、会議の方式がウエブ会議方式という開催になりました。その際には、報道関係者の傍聴、会議後の記者ブリーフィング、それから議事録の速やかな公表と、こういう形でさせていただきたいというようなことを事務局の方から各委員にも照会し、先ほど申し上げたように、委員からは、そういったやり方の御賛同又は御異議ありませんという回答をいただいているということでございます。
  179. 武田良介

    武田良介君 委員の方の認識ということもあるわけですけれども、少なくとも、静岡県の中央新幹線環境保全連絡会議のメンバーでいらっしゃいます二人の委員の方、これは傍聴制限のない静岡の会議にも出席されておりますので、この方たち、そういう方たちもいらっしゃるということだと思うんです。  やはり川勝知事も、住民の、地域住民の不安を払拭して、国民に水資源の保全の重要性を理解してもらうためには、全面公開で議論の過程を全て公開する必要があるということをおっしゃっていますよ。さらに、知る権利ということもおっしゃっています。地域住民並びに国民は、国費を使って行われる会議の内容を知る権利があるんだというふうな指摘もされている。私、これ、やっぱりそのとおりだというふうに思うんですよね。  もう一点だけお聞きします。  有識者会議第一回、ここで静岡県から怒り買う出来事が起こったわけですけれども、JR東海の金子社長が会議の趣旨に反する発言を行ったということですが、これ、どんな発言でしょうか。
  180. 江口秀二

    政府参考人(江口秀二君) お答えいたします。  第一回有識者会議では、説明責任者であるJR東海の社長から、会議の開始に当たり挨拶をしたいという申出があり、発言がありました。その中には、有識者会議においては、静岡県の提起されている課題自体の是非、すなわち、幾ら何でも事業者にそこまで求めるのは無理なのではないかという点も含めて審議いただければ幸い、あわせて、それが達成できなければ工事を進めてはならないという県の対応について、事業を主管される国土交通省においても、法律の趣旨を踏まえて適切に対処をお願いしたいなどの発言がございました。  国土交通省としましては、この有識者会議の趣旨は、これまで静岡県とJR東海の間で行われてきた議論等の検証でございまして、特に大きな水資源に関する二つの論点でありますトンネル湧水の全量の大井川表流水への戻し方及びトンネルによる大井川中下流域の地下水への影響について科学的、工学的に議論する場であることを、会議の発足に当たり確認させていただいたところです。  しかしながら、JR東海社長の発言は、このような有識会議の趣旨や説明責任者とのJR東海の立場に必ずしもそぐわないものであったと認識し、誠に遺憾と考えています。
  181. 武田良介

    武田良介君 そういう発言、私もとんでもないと思いますし、その後、国交省も対応されていますが、五月七日付けの文書でありました。江口審議官もその有識者会議、御出席だったと思います。  その場でなぜ正さなかったのだろう、なぜその場で正さなかったのだろうかと、そういう御発言をですね、後から文書で指導するだとかということじゃなくて、その場で正す必要があったんじゃないかということも思います。  今回のリニアの工事、本当に事業そのものがどうなっていくのかということも言われている中でありますので、今、国交省は行司役ということを言われているけれども、この間でも推進というか、もう早期実現というのは国交省の立場ですよね。それで本当に行司役務まるのかということを私は考えておりますので、是非そのことも含めて指摘をさせていただき、今後とも質問させていただきたいと思いますけれども、またよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  182. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  183. 中川雅治

    委員長中川雅治君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、東徹君、梅村聡君、小西洋之君、紙智子君及び武田良介君が委員辞任され、その補欠として柴田巧君、柳ヶ瀬裕文君、那谷屋正義君、井上哲士君及び田村智子君が選任されました。     ─────────────
  184. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 休憩前に引き続き、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のうち、外務省厚生労働省及び防衛省に係る経理等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  185. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 立憲・国民.新緑風会・社民の勝部賢志でございます。  通告はしておりませんけれども、今日午前中に同僚議員からも質疑がありました、河井克行衆議院議員、そして河井あんり参議院議員に係る公職選挙法違反の事件について、閉会後に逮捕ということがございましたので、今日は両大臣お越しになっていただいていますので所見をお伺いしたいというふうに思いますが。  報道では、九十四名に対して約二千五百七十万円、本人が配って歩いたということで、本当に前代未聞の事件だというふうに思っています。河井克行議員は前法務大臣ということであり、法の下でのしっかりとした役割を担わなければならない、そういう大臣でありましたからなおのことであります。  政治と金の問題については私たちも厳しく身を律していかなければいけないと思っておりますが、両大臣の所見をお伺いいたします。
  186. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 河井克行衆議院議員、そして河井あんり参議院議員が公職選挙法違反の容疑で逮捕された事案につきましては、現在捜査中でありますので大臣としてのコメントは差し控えたいと思いますが、いずれにしても、国会議員、衆参を問わず、与野党を問わず、自らの政治活動についてはしっかり国民の皆さんに説明していく必要があると、このように考えております。
  187. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 防衛省、公職選挙法を所管しておりませんので、特に発言はございません。
  188. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 今大臣からありましたが、茂木大臣からありましたように、説明責任をしっかり果たしていくというのは、本人ももちろんでありますが、党としても、今日はお越しになっておりませんけれども、自由民主党の総裁である安倍総理にも、安倍代表ですか、安倍総裁ですね、失礼しました、安倍総裁にもしっかりその説明責任を果たす必要があろうかというふうに思っていますが、今日はこの場ではこの程度にさせていただきます。  それで、通告をいたしておりますけれども、ちょっと順番を変えて、イージス・アショアの問題についてから先に質問をさせていただきたいと思います。  六月十五日、河野大臣がイージス・アショアのプロセスの停止を表明されました。参議院では初めての質疑となりますので、改めて幾つか確認をさせていただきたいというふうに思います。  まず、停止の判断に至った経緯と理由を改めてお聞かせいただきたいと思います。
  189. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 二〇一七年八月、九月、北朝鮮が弾道ミサイルを続けざまに発射をいたしました。日本の上空を飛び越えるという事態にもなりまして、二〇一七年の十二月にイージス・アショアの配備ということを決定をしたわけでございます。  その後、このイージス・アショアの防護範囲を確認する中で、日本の国土全域を最も効果的に防護するためには、山口県、そして秋田県にイージス・アショアを一基ずつ配備するのが最も望ましいということで、配備候補地を選定をいたしました。その際、秋田県の新屋の演習場、山口県のむつみ演習場、ここを配備の候補地として選定をし、地元に御説明を申し上げてきたところでございます。  その中で、新屋の演習場につきましては、この第一段ロケットに当たりますブースター、海上に落下させる、むつみの演習場につきましては、このむつみの演習場内にブースターを確実に落下させる、そういう御説明を地元に対してしてきたところでございます。  当時の認識といたしましては、このイージス・アショアのソフトウエアの改修でそれを実現できるという認識でおりました。ところが、確実に、秋田の場合には、今、候補地、再調査をした上で、ゼロベースで決めるということにしておりましたものですから、山口県のむつみの方、むつみ演習場の方は、実は確実にむつみの演習場内にブースターを落下させるためには、ソフトウエアの改修だけでは確実に落下させると申し上げられない、ハードウエアの改修をせざるを得ないという結論を得るということになりました。  そのためには、ミサイルの改修に、SM3ブロックⅡA、日米で二千億、十二年というコストと期間を掛けましたが、それに匹敵するようなコストと時間になるであろうと。それは残念ながら合理的な改修とはもはや言い難い、そう判断をいたしたわけでございますが、むつみの演習場並びに秋田の地元の皆様に、ブースターに関して確実に演習場の中に落下させる、そういう御説明をしてきたわけでございまして、そうならないということでございますので、この配備のプロセスを停止せざるを得ないということになりました。  二〇一七年の十二月、国家安全保障会議並びに閣議で決定をしたものでございますので、防衛省といたしましては、今般のこの配備プロセスの停止ということをまず国家安全保障会議に報告をし、そこで議論をしていただく、そのようにしてまいりたいというふうに考えております。
  190. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 予定をされていた山口県、それから秋田県に対しては、週末に大臣が直接訪問して説明をし、謝罪をされたというふうに報道にも載っておりますが、具体的にどのようにお伝えになり、どのような反応があったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  191. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 山口県並びに秋田県にこのイージス・アショアの配備をお願いをしているそのプロセスの中で、一つは防衛省において不適切な対応がございました。まずそのことをおわびを申し上げると同時に、二年半にわたりこういう配備のプロセスを進めておいて、当初はソフトウエアの改修でブースターを確実に落下できるという判断をしておりましたが、結果としてそうならない、またハードウエアの改修の費用と期間を考えればそれは合理的でないということでこの配備のプロセスを止めるということになり、地元の皆様に御迷惑を掛けると同時に、大勢の方々に配備に向けて御尽力をいただいておりました、そういうことについてもおわびを申し上げたところでございます。  地元からは、この配備のプロセスの停止ということについていろいろと御意見を頂戴をいたしました。これは、防衛省としては、先ほど申し上げましたように、国家安全保障会議で決定したことでございますので、防衛省として今申し上げられるのは、配備のプロセスを停止をするということと国家安全保障会議でこの件について御議論をいただくということでございますので、防衛省といたしましては、なるべく速やかに国家安全保障会議を開催していただいて議論をしていただきたい、そういうふうに考えているところでございます。
  192. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 私も報道でしか知らないんですけれども、山口県村岡知事、花田町長、甚だ遺憾だ、受入れ、イージス・アショアの設置についてはですね、こういう状況であれば受け入れられない、中止の判断をしてほしいというような記事が載っておりました。  秋田県でも、計画策定の最初の段階でしっかり検証していればこういうことはなかったのではないかという苦言も呈されて、大変ずさんだと、こういうふうな記事が出ておりましたけど、そのような発言があったということで間違いないでしょうか。
  193. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) いろいろと地元のお気持ちをそのような感じで承ったわけでございます。  確かに、なぜブースターが確実に演習場内に落下できるということを確認してからこの配備のプロセスを進めなかったのかという御意見は当然あろうかと思いますが、あの二〇一七年の当時、北朝鮮が弾道ミサイルを毎週のように発射をしている中で、我が国の国民の命と平和な暮らしを守るためにやはりこの弾道ミサイル防衛というのは急務でございました。ソフトウエアの改修を行って、確認の後に配備のプロセスということになりますと、時間が非常に長くなります。当時は、ソフトウエアの改修でこのブースターを確実に落下させられる、そう判断をしておりましたので、プロセスを、ソフトウエアの改修の協議と配備のプロセスを並行して行おうということで進めてまいりましたが、結果としてこのような事態になりました。誠に申し訳なく思っているところでございます。
  194. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 地元からは、そうであれば、できるだけ早く結論を出してほしいという意見もあったというふうに伺っております。それも間違いないでしょうか。
  195. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 国家安全保障会議は、総理が主宰され、総理が議長を務める会議でございますので、防衛省としてなるべく早い段階でこの国家安全保障会議の開催をお願いをしてまいりたいと思っております。
  196. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 そのことについては後でもう一度お伺いをしたいというふうに思いますが、もう一つ気になるのは、プロセスを停止することによって経費はどうなるんだろうかと。契約は既に一千八百億円というふうになっていて、それで、これまでに既に百二十数億円が使われ、支出していると。  全体の予算は五千億円とも六千億円とも言われているところなんですけれども、これらの経費が、このプロセスを停止し、あるいは変更することによってどのようになっていくのかということについて、御説明をいただきたいと思います。
  197. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 要員の教育訓練費ですとか維持管理のコストなどを合わせると、恐らく四千五百億程度になるのではないかとたしか見積もっていたというふうに思いますが、平成二十九年度から令和二年度までにおけるイージス・アショアに関連する予算の総額は千九百二十一億円、契約が済んでいるものは千七百八十七億円、既に支払っている金額は、これはアメリカに対して、あるいは国内において、合計して百九十六億円になります。  これまで契約したものの取扱いにつきましては、これから日米間で協議をしてまいりたいと思っております。
  198. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 ちょっと私の認識も違っていて、百九十六億円はもう既に支出されているということですね。  そして、ちょっと細かい話になりますけれども、これから協議をされるということなんですが、例えば違約金みたいなものはあるんでしょうか。
  199. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) アメリカ側とはこのイージス・アショアの配備についてかなり緊密に連携をしてまいりました。その中でこういう金額の契約をしておりますので、その取扱いについてどうするかということはこれから協議をするわけでございますが、既にこの米側の企業が製造に向けて使っているコストですとか、あるいはアメリカ政府の中でこのイージス・アショアの配備に向けて支払っている事務費といったようなものについては、これは当然我々の方で負担をしなければならなくなるというふうに思っております。
  200. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 例えば、イージス・アショアに使う予定だった経費をこれから別のミサイル防衛に転用していくというんでしょうか、そういうことは可能でしょうか。
  201. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 予算の方につきましては、この契約額の取扱いをどうするかというようなことも議論が必要になりますし、また、イージス・アショアのシステムですとか、その中には高性能のレーダーなども含まれるわけでございますので、今後そうしたものをどのようにしていくか、これはまず日米の協議を行った上でということになろうかと思います。  協議の結果については速やかにお知らせを申し上げたいと思います。
  202. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 計画が進んできていて突然その停止というか変更ということになっていくと、相手のある話なので、それをそのとおり、ああ、いいですよというふうに受け止めてくれるのか、それとも、それについてはいかがなものかというふうに受け止めているのかによって、対応ってこれから随分変わるというふうに思うんですね。  今のところアメリカとはある意味友好的に協議が進められているのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  203. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 日米の間で、当然のことでございますが、このイージス・アショアに限らずミサイル防衛全般について、あるいは日米同盟について、日頃からかなり緊密に様々なレベルで協議をしているところでございますので、日本側の事情というのはアメリカもよく分かっていると思います。  日米同盟の中で、この北東アジアの平和と安定にどのようにこれから日米で共に歩んでいくのか、そうしたことを含め、しっかりと議論をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  204. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 近く本格化する在日米軍駐留経費の交渉、これにも影響が出るのではないかという声もあるんですけれども、その点、大臣、今どのようにお考えですか。
  205. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 駐留経費につきましてはまだ何ら日米間で交渉が始まっているわけではございませんが、我々としてはこれまでも適切にこの費用負担行われてきているというふうに思っております。  日米共にこの日米同盟の重要性については認識をしておりますので、今回のことがそうした交渉に悪い影響を及ぼすというふうには考えていないところでございます。
  206. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 ちょっと時間が限られておりますので、済みません。  それで、私はこれまでの経過ちょっと確認をさせていただいたんですけれども、私は、河野大臣の判断というのは、唐突ではありましたけれども、私は妥当だというふうに思っています。そう思っている方々も結構いらっしゃるというふうに思っています。  ただ、なぜこのように二年半経過しなければ答えが出なかったのかということについては、やはりここはしっかり検証も必要ですし、そもそも、導入を決めた一七年の閣議決定が余りにも、何というんですかね、十分な検討なしに進められたのではないかということも今更ながら問われなければいけないというふうに実は思っているところであります。  それから、予算は要するに国民の税金を使ってのことでありますから、一円の無駄もやはり許されないわけで、今日は決算委員会でありますからなおさらですけれど、その状況については国民が注視をしておりますので、是非そういう考え方でこれから進めていかなければいけないというふうに指摘をさせていただきたいというふうに思います。  先ほどちょっと触れましたが、今後の見通しなんですけれども、地元からはできるだけ早くその答えを出してほしいと、中止あるいは撤回ということの判断をいつするのか、あるいは、加えてですね、あるいはでなくて加えて、ミサイル防衛も一刻の、まあ何というんですか、空白も許されないというふうに思いますので、そのことに向けて今後どのような協議をどのような会議体で進めていこうというふうに考えておられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  207. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 先ほど申し上げましたように、このイージス・アショアの配備は国家安全保障会議並びに閣議で決定されたことでございますので、今の段階で防衛省防衛大臣として申し上げられるのは、この配備のプロセスの停止、そして国家安全保障会議にその旨を報告し、国家安全保障会議で御議論をいただくということでございます。  防衛大臣といたしましては、なるべく速やかに会議を開催をしていただいて御議論をいただきたい、その結果をしっかりと地元にも報告をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  208. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 もう一点併せてお聞きをしたのは、その後のミサイル防衛などについてどのように議論を進めていくかということ、併せてお願いします。
  209. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 失礼いたしました。  現在、弾道ミサイル防衛につきましては、イージス艦とPAC3でその防護体制を取っているところでございますので、これはこのまましっかりと維持してまいりたいというふうに考えております。  イージス艦八隻体制にはなりますが、かなり海上自衛隊の要員に負担の掛かることでもございますので、今後の弾道ミサイル防衛についてどのようにするか、防衛省としては、まずこのイージス・アショアの配備について結論を得た上で、速やかに今後の議論してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  210. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 ちょっと確認をさせていただきますが、まずはそのイージス・アショアの配備について結論を出すとおっしゃいましたので、そのこととその後のミサイル防衛の在り方についての検討は切り離して考えていくということでよろしいですか。
  211. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 弾道ミサイル防衛につきましては、現在でもイージス艦とPAC3でこれはしっかり防護体制を取っております。元々、イージス・アショアを導入するにしても今後しばらく数年間その体制でやっていくということでございましたので、そこに大きな変化はございません。  我々として、まずイージス・アショアの配備について地元に御説明をし、先ほどお話のありましたような地元からの御要望もございますので、我々の責任として、まずこのイージス・アショアについて国家安全保障会議の結論をしっかりと地元へ伝えるというのが我々のまずやらなければいかぬことだと思っておりますし、日本の安全保障に責任を持つ防衛省として、今後のミサイル防衛についてどうしていくか、これもしっかりと国民の皆様に現在の状況ですとかあるいは今後の方向性といったものをお示しをしながら、政府としてしっかりと議論を進めていく必要があると思っておりますので、しっかりそこはやってまいりたいと思います。
  212. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 ちょっと最終的に確認をさせてもらいますけれども、先ほどちょっとおっしゃっていましたけど、NSCを開催をすると、そして閣議決定で最終的には決めるということで、できるだけ早いうちにということでありますが、それがいつ頃を今めどとしてお考えかということをお聞きをしたいと思います。
  213. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) これは総理が議長を務めているものでございますので、防衛大臣としてはなるべく速やかに開催をお願いをしているところでございまして、いつ頃というのを、これはなかなか私から申し上げられないということを御理解いただきたいと思います。
  214. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 地元の声もありますので、できるだけ早く、報道では来週中にもというような報道もあるようでありますけれども、ここはできるだけ早くということであります。  それから、国家安全保障戦略、いわゆるNSSの初改定もするのではないかという記事も出ていたり、あるいは防衛計画の大綱、あるいは中期防衛力整備計画などの見直しも必要ではないかというようなこともあり、そして、それに加えて、敵基地攻撃能力の保有についても議論が必要だと、安倍総理は受け止めていかなければならないという発言もされていて、にわかにそういった議論もということに声が上がっているようでありますけれども、そのことについて大臣はどのように受け止めておられますか。
  215. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 総理の会見での御発言については承知をしております。もちろん、憲法の枠内でいかに日本の国を守っていくか、こういう議論がされることになるというふうに思っております。
  216. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 このことについては、私は非常に危ういことになりかねないというか、憲法の枠をはみ出ない敵地を攻撃する能力というのはどういうものかということがちょっと私には理解ができないところが実はあって、そういうふうに思っておられる国民も多くいると思うんです。  ですから、これについては引き続き私たちも注視をしていきたいですし、与党の中にも慎重論の考え方を持っておられる方もいらっしゃるということでありますので、少なくとも拙速な結論を出すようなことはあってはならないということも併せて申し上げておきたいというふうに思います。  予定をしていた質問がまだ幾つかございますので次に進みたいというふうに思いますが、いずれにしても、今回のイージス・アショアの突然の方針転換によるこの動きについて、先ほど申し上げた説明責任をそれぞれの立場でしっかり果たしていくこと、それから予算の問題、そして今の言った今後の課題、そういったことを引き続き私どもも議論してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、茂木大臣に、通告の順番でいうと北方領土の問題についてお聞きをしたいと思うんですが、実は先週、沖北の委員会がございまして、そこでも質疑をさせていただきました。その続きということでありまして、若干経過をお話をさせていただきますと、私は北海道出身で、まあ北海道出身だからということじゃありませんけれども、北方領土の問題については地元の方々ともいろいろな運動をこの間取り組んできた経過がございます。高齢化が進んでいて、元島民は平均もう八十五歳というふうな状況になっていて、一刻も早い解決をということを願っている一人であります。  この間、日本政府がロシアとの交渉で、北方領土が我が国の固有の領土であるとか、主権を有する島々とか、帰属するというような、領土に対する基本的な認識をしっかり踏まえて対応することが必要だということを大臣にも確認をさせていただいてきたところであります。  外務省が発行している「われらの北方領土」という本には、択捉、国後、色丹、歯舞群島から成る北方四島は、我が国民の父祖伝来の地として受け継いできたものであって、いまだかつて一度も外国の領土になったことがない我が国固有の領土ですという記載が冒頭にあります。  それから、小学校の学習指導要領の解説には、領土については北方領土の問題についても取り上げ、我が国固有の領土である歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島が現在ロシア連邦によって不法に占拠されていることや、我が国はその返還を求めていることなどについて触れるようにという記載もございます。これは二〇一七年の改訂で更にそこが強調されているところであります。  こういった状況にありますが、二〇一九年の外交青書には、これまで書いてあった日本に帰属するという記載が削除されたり、あるいは総理や外務大臣の挨拶などで我が国固有の領土というような表現も使われなくなってきて、遠慮しているのではないかとか、あるいは交渉に対して弱腰なんじゃないかというふうな批判の声も上がってきたというような状況もございまして、そういった状況を変えていく意味でも、大臣などは公の場面でしっかりとそういう基本的な認識を示すべきではないかというふうなことを実は確認をしてきたところでありますけど、改めて茂木大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、北方領土に対する基本的な認識について御所見をお伺いしたいと思います。
  217. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 勝部委員が北方領土の問題、これまでも熱心に取り組んでこられたと、敬意を表したいと思っております。  まず、主権とは何かということでありますけれど、自らの法律、そして管轄が及ぶ、統治の確立をしていく、そして、その統治の確立、事実というのを内外に示し、他からクレームも来ない、こういう状況をつくるということだと、こう思っておりまして、まずその観点から北方領土について申し上げますと、我が国、既に十七世紀前半に、国後島、そして当時の呼び方で言いますとエトホロ島、今の択捉島でありますが、等の地名を明記した地図などを編さんしまして、当時の松前藩が徐々に統治を確立していったわけであります。また、当時の幕府は択捉島及びそれより南の島々に番所を置きましてこれらの島々を統治するなど、父祖伝来の地として受け継いできたものであります。  こういった歴史、さらにこれまでの経過などを踏まえまして、領土問題を解決し平和条約を締結する、こういった基本方針の下、しっかり交渉に臨んでいきたいと思っております。
  218. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 そこで、我が国の固有の領土であるというその根拠は我々としてどこにあるのかということを共通理解する必要があるというふうに思っています。この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
  219. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 先ほど主権につきまして一般的な国際法上の考え方ということを申し上げたわけでありますが、統治の確立、そしてそれを内外に示す、どこからもクレームが起こってこない、さらには、細かく言いますと、条約上どう締結した、いろんな問題、それに派生して出てくるわけでありますが、先ほどお示しをしました十七世紀前半以来の様々な経過というものを考えまして、北方領土が日本が主権を有する島々であると、これは間違いのないことだと思っております。
  220. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 中学校の歴史、地理、それから高校も同じように、まあ公民でも扱っておりますが、その歴史的な事実をやっぱりしっかり確認をしつつ、それが国民全体に共有されていくような取組というのがまた改めて私は必要ではないかというふうに思っています。  その上で、是非今後の、何というんですか、根拠の一つに、考え方の一つに加えていただきたいなというふうに思っておりますのは、それはアイヌの問題なんです。  大戦前から北方領土には千島アイヌとか樺太アイヌというアイヌが生存しておりました。これはもう十一世紀、十二世紀ぐらいから史実としては残っていて、今、アイヌは我が国の先住民族であるということがアイヌ新法でも確認をされております。そして、そのアイヌが北方領土に元々先住民族として住んでいたと、こういう事実をもって、やはり北方領土は我が国固有の領土だ、言ってみれば倭人よりも先に住んでいたアイヌ人がいたというこの事実をしっかり受け止めてこれからの交渉に生かしていただきたいというふうに思いますが、大臣の見解を伺います。
  221. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 先住の権利、これをどう考えるかと、いろんな考え方あると思いますが、それは重いと思っております。  例えば、アメリカにおけますアメリカンネイティブ、カリフォルニア等々におきましては、取水権、水の権利というのが一番重要でありますけれど、その原権を持っているのはアメリカンネイティブだと、こういうふうにも言われているところでありまして、アイヌ民族、そして現在の日本人、どういった形で定義をするか、歴史的にも考えていかなければいけないと、こんなふうに思っておりますが、今後の交渉に当たりまして、委員の御意見も参考にしながらしっかり交渉していきたいと思っております。
  222. 勝部賢志

    ○勝部賢志君 済みません、ちょっと時間が過ぎてしまいまして、予定をしていた質問できませんでしたが、済みません、わざわざ来ていただいた厚労省の皆さんにおわびを申し上げたい、別の機会にさせていただきたいと思いますので。  終わります。
  223. 小沼巧

    ○小沼巧君 立憲・国民.新緑風会・社民の小沼巧でございます。  冒頭、通告の順番入れ替えまして、まず内閣府の大塚副大臣にお伺いしたいと思ってございます。お伺いしたいことは、地方創生の臨時交付金でございます。  本日、外務、防衛、委員会でございますが、コロナの状況で国会が閉じられているということ、その状況であることを鑑みて、お許しいただいて、質問をさせていただきたいと思ってございます。  地方創生臨時交付金でございますが、一次補正で一兆円、二次補正で二兆円ということを積み増して、大きな金額積み増していただいたかと思っております。が、衆議院であっては大きな予算を積み増したところで満足してもよいかもしれませぬが、ここ、決算を重視する参議院においては、それだけでなく、それがいかに有効に使われるか、ここまで配慮しなければいけないということだと思っております。  そして、このことについて、特にこの件、執行までどうするか、党派を超えて、それこそみんなで守ってきた、そして今後もつなげていかなければならない参議院の伝統であると思いますので、この点についてをあえてお聞きいたしますが、この一次補正のときに決定された、これが四月三十日に補正予算成立いたしまして、地方自治体向けへの限度額の決定、これが翌日の五月一日でございました。他方、二次補正、六月十二日に決定されたところでございますが、一週間たった先週末の六月十九日時点で限度額の決定には至っておりません。タイムラグが生じているのであります。  この件について、私、茨城は鉾田の出身でございますけれども、週末にもテレビで町の紹介をされまして、野菜を一番多く作る町であり、またメロンでありというところの出身でございますが、そこからも、一体いつになったら決まるんだということで苦情が上がってきてございます。なぜこのようなタイムラグ、一次補正と二次補正で生じてしまったのか、その件について御見解をお願いいたします。
  224. 大塚拓

    ○副大臣(大塚拓君) 交付限度額の決定にお待たせをしていることについて、全国の自治体の首長さんも、どうなるんだろうというふうに気をもんでおられるというふうに認識をしておりますけれども、今回はいろいろ御意見ございました。感染症の影響が大きい大都市部に多く配分するべきだというかなり強い御意見もありましたけれども、あわせて、これはやっぱり地方創生のための臨時交付金だという、元々のベースもあるわけでございます。  この中で、どのような配分をするのが最も適切に各自治体のニーズに応えていくことができるだろうかということで、かなりぎりぎりの調整をやってきておりまして、まあ期待としては本当にもう間もなく結論を得ることができるかなと思っておりますけれども、まだちょっとその段階に、今のこの答弁をしている時点では残念ながら至っておりませんので、近々にお示しすることができるだろうというふうに思っております。  その中で、できるだけ、これ各自治体の皆さんが自由度を高く、自治体のニーズに合った形で執行できるような配分にできればと思っておりますので、御理解をいただければと、このように思っているところでございます。
  225. 小沼巧

    ○小沼巧君 そのできる限り早くという答弁では不十分だと思っております。  何でかというと、やっぱりそのできるだけ早くというのは人によって解釈がばらばらであります。実際に、国としてできるだけ早くと言ったとしても、実際に住民と向き合い、様々な計画を策定しなければならない自治体の職員及び首長の方々の気持ちはどうなっておるのか。何かやりたいと思っている、何かやりたいと思うんだけれども、限度額が示されなければ、どういう計画をやったらいいのか、重複を、国の事業との重複を排除しながら設計していかなければならないんだけど、それもできない。県に聞いても、何も国が示してくれないから分からぬということで、現場は混乱しているのであります。  そういう状況で、住民一人一人も、どうなってくれるんだろう、どういう事業がやられるんだろう、どう助けてくれるんだろう、こういうような不満や不安の声、上がっておりますが、それに直接向き合うのは自治体なのであります。そういう自治体に対して、できるだけ早くできるだけ早くと言ったところで、どうやって信用すればいいのか、本当に自治体現場の苦悩というのを真剣に考えておられるのか、これが今の答弁からでは分からないのであります。少なくとも、できるだけ早くとおっしゃるのであれば、めどを示すべきだと思います。  更に言えば、実際にヒアリング等々でやっているとおっしゃっておりますけれども、私の承知しているところによりますと、もう既にヒアリングは終了している、内閣府の地方創生事務局の中での実際の決裁作業になっている。つまり、ボトルネックは内閣府の地方創生事務局の中にあると断ぜざるを得ないと私は考えます。  改めて問います。めどについて今ここで明言するべきではありませんでしょうか。
  226. 大塚拓

    ○副大臣(大塚拓君) これ、私が答弁するときには、これは決着が付いたものしか答弁できないということがございます。私としては、もう本当の近々に結論を得ることができるだろうとは思っておりますけれども、何月何日何時何分までという約束の下に調整をしているわけではないので、それが決着していない段階で私の口からいつまでということを申し上げることはできないのは御理解をいただければ有り難いと、このように思っております。  ただ、自治体でも、計画を立てるのに非常に苦慮されるということはよく認識をしているところでございまして、少なくとも、一次補正のときよりも財源二倍になっております。また、厚生労働省の方の交付金の裏負担千五百億円というのが、一次補正のときにはこの地方創生臨時交付金から賄われていたわけですけれども、その部分が今度なくなるわけであります。だから、実際の自治体向けの配分額は、自由に使える配分額という意味においては二倍以上になってくるわけであります。その中で、財政力指数をどの程度見るかとか感染力の影響、感染症による影響というのをどれぐらい見るかという、その指数の部分の調整が今最終段階にあるということでありますので、この調整によって二倍も三倍も開きが出るようなことにはなりません。  おおむねこういう事業をやっていこうかなということは各自治体で今御準備をされていると思いますけれども、それがしっかりと確定できるように、これはできるだけ早く、申し訳ありませんが、今はできるだけ早くとしか申し上げられませんが、できるだけ早くお示しできるように頑張っていきたいと、このように思っております。
  227. 小沼巧

    ○小沼巧君 それでは、らちが明かないので、聞き方及び求め方を変えます。  せめて、自治体のせいではなくて国の方で遅れているせいだということを広報してはいかがかと思うのであります。  実際問題、例えばこの事業、所管は違いますけれども、一律十万円給付の話がございましたね。それで自治体現場は混乱しておりました。何で混乱しているかと事の本質を考えてみますと、霞が関のイメージと自治体現場とのイメージのギャップがあるのではないかと思うのであります。住民サービスの最前線は自治体であります。そこに対して、実態とか実情とか、それに対しての配慮というものがなければならないし、また時間的な配慮も必要だ、財政的裏付けの配慮も必要だと、こういうような配慮の裏付けが余りないまま十万円の話を先に走ってしまって、マイナンバーでの話でも混乱しました。ほかの自治体は先にやっているんだけれどもうちはできていない、じゃ、うちの自治体の怠慢じゃないかみたいなことの苦情とかクレームを真に受けて、そして精神的な不調も来さざるを得ないような状況に陥っている、そういうようなことも聞いておりました。  その意味で、今回においても、まだ限度額、国の方で設定しておりません。自治体の方としてはまだなかなか動けません。改めて、できるだけ早くということはもう伺いましたので、今できていないということは自治体の怠慢ではないのだと、内閣府の地方創生事務局の方で手続が手間取っているのだということを今ここで明言なさってはいかがでしょうか。
  228. 大塚拓

    ○副大臣(大塚拓君) 交付限度額の算定ができていないのに自治体の責任があるかといえば、それはないのは明らかでありまして、私どものところで調整に時間が掛かっているということは、これはもうはっきりしていることでございます。  あわせて、自治体の実情をしっかり把握をするべきだということをおっしゃっておりましたけれども、自治体の実情というのはこれは自治体によって様々であります。本来であれば地方創生という観点からは余り手を差し伸べていない自治体であっても、今回は感染症の影響が非常に大きいと、こういう自治体もあるわけであります。そういう自治体と、従来から非常に過疎に苦しんでいて何らかの手を打っていかなければいけないと、こういう問題意識の中で、地方創生の枠組みの中で一生懸命頑張ってきた自治体、いろいろある中で、全ての自治体への配分を一つの算定式で決めなければいけないということで、そこに調整に時間が掛かっているということでございます。  繰り返しますけれども、自治体に何ら責任があるとは考えてはもちろんいないわけでございます。
  229. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございます。  よかった、良い答弁をいただけてよかったです。ボーゲル塾でのつながりがありまして、私、後輩でございますが、先輩に甘えさせていただきまして、誠に良い答弁をいただきまして、ありがとうございました。  内閣府に関する質問はこちらで終了いたしますので、委員長の方、お取り計らいいただければ幸いでございます。
  230. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 内閣府関係の方は退室いただいて結構です。
  231. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございます。  それでは、北朝鮮政策に関して主に茂木大臣に伺ってまいりたいと思います。  茂木大臣とは、実は、個人的には中心市街地活性化の法改正のときお支えさせていただきましたし、また同じ戦略コンサルの業界での先輩でございますので、またそして、著書でお書きになった「都会の不満 地方の不安」、これから三十年たったときに中心市街地活性化はどうなるんだということの議論を個人的にはしたいのでありますが、今日は外務大臣というお立場でございますので、北朝鮮政策に限って質問させていただきたいと思ってございます。  さて、北朝鮮政策といえば、拉致、核、ミサイル、それぞれについての問題があるということでございます。私自身が経産省に入って最初にやった仕事、これは北朝鮮の核実験やミサイルに対して日本の経済制裁を強化する、今までは奢侈品の輸出禁止だけだったんですが、それを全面禁止にするというような閣議請議をさせていただいたということが私の経産省における最初の仕事でありました。その意味で、この北朝鮮制裁の、北朝鮮の問題、どう解決していくのか、私もかつてこの政策を担った一部の担当者としてしっかりとこれ議論させていただきたいと思っているんですが、まず冒頭お伺いしたいのは目標設定でございます。  この拉致、核、ミサイルそれぞれについて何をゴールと設定しているのか、そして、それぞれに対しての進捗状況は今どうなっているのか、これについて御認識をお伺いいたします。
  232. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 目標設定が重要であると、まさに同じコンサルタントを経験した人間としてそのように今考えておりまして、拉致問題につきましては、この認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者、それの一日も早い帰国ということであると考えておりますし、また、核・ミサイル問題につきましては、全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全、検証可能な、かつ不可逆的な方法での廃棄、CVIDだと、これが目標であると思っております。
  233. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございます。  それでは、一つ一つ分けて、現状とそれへの対策、そしてその評価について伺っていきたいと思います。  まず、拉致に関してでございます。政府が認定している拉致被害者、十二件十七名でございまして、このうち帰国者五名を除く十二名が引き続き安否不明のままとなってございます。また、北朝鮮による拉致の可能性を否定できない特定失踪者、これ警察庁が公表しているだけでも八百七十八名、そして民間団体でありますところの特定失踪者問題調査会が公表しているところでは約四百七十名あるところでございます。  このような現状に対して、前までだったら一部進展の兆しが見えていたと思っております。具体的には二〇一四年五月のストックホルム合意でございます。しかし、そのストックホルム合意までは良かった、調査するということで北朝鮮がのんでくれたと言っていたのですが、二年後の二〇一六年二月に再調査の中止をこれ一方的に通告してきた。一七年四月においては、先方の大使がストックホルム合意なんて既になくなったと、こういうようなことを言ってございます。同じ二〇一七年九月、衆議院の方でおきますけれども、国難突破内閣、国難突破解散だということで威勢のいいこと、耳触りのいいことを言われたのでありますが、本日までいかなる進展があったのか、正直な話、私には分からないのであります。  その後どのような進展があり、今現状どうなっているのか、現状についてお伺いいたします。
  234. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) この対北朝鮮の問題、これは日本に限らず、例えばアメリカにとっても、ある意味対話が実現をしたり、これはKEDOのプロセスのときからずっと繰り返され、また前言を翻すと、こういったことも続いているところでありますが、特にこの拉致問題、これは我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題でありまして、先ほども申し上げたように、一日も早い全ての拉致被害者の帰国を実現するべく、日本が主体的に今取り組む問題として全力を尽くしているところであります。  外交面におきましては、もちろん日本も働きかけをしますが、トランプ大統領、そして習近平国家主席、文在寅大統領と、それぞれ、日本の立場、安倍総理から説明をし、理解を得て、またその考えを直接、金正恩委員長にトランプ大統領等々から伝えてもらっているところであります。三月二十五日にはG7の外相会合、テレビ会議でありましたが、開催をされまして、その際、私から拉致問題の早期解決に向けて改めて各国外相の協力と理解を呼びかけ、賛同を得たところであります。  二〇〇〇年代の前半、アブダクションといっても率直に申し上げて理解されていない国もあったのに対して、今アブダクションといえば何のことなのかと、何をしなきゃいけないのかと、こういう国際的な理解は広まっていると思っております。  我が国自身としても、北朝鮮に対しましては様々なルート、そして様々な働きかけを行ってきております。なかなか、水面下のものも含めて、まさに今後解決しなけりゃならない問題でありますので、この場で全てをつまびらかにすることはできませんが、一つ一つ、やれること、それは全てやり尽くす、あらゆるチャンスを逃すことなく果断に行動していきたいと、このように考えております。
  235. 小沼巧

    ○小沼巧君 後段でそこについて実は議論したいと思っておりました。そのつまびらかにしなくていいのかどうかということについて、実は私、疑義を覚えているのであります。ただ、その問題に行く前に、残りのミサイルと核についてもちょっと現状をお伺いしたいと思いますが、まず核について私の認識申し上げます。  先週、ちょうど先週、一週間前、スウェーデンにありますストックホルム国際平和研究所が世界における核兵器の数、発表しました。世界においては一万三千四百発核兵器があります。そのうち一番核兵器を持っているのはロシアであります、六千三百七十五発。三番目が中国、これ今年にフランスを抜いて三百二十発あります。北朝鮮、九番目、最下位でございますが、これ推計によりますと三十発から四十発あるというような発表がされております。優に、この三つのところだけを考えると、日本の周りに約五〇%以上を超えるような核兵器が置かれているというような現状があるのであります。  北朝鮮に対しては、様々、経済制裁、もちろん日本独自の取組、加えて国連安保理決議に基づく取組、様々やってきました。様々やってきたにもかかわらず、なぜ北朝鮮の核保有というのは増え続けているのであろうか。今までいろんな努力をしてきた、私もその一端を担わせていただいたこともございましたが、一生懸命やってきたつもりではあった、でも、効果という意味ではなかなか成果が上がっているようには見えないのであります。  この件について、現状の評価、お聞かせください。
  236. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、北朝鮮に関します一連の国連の安保理決議に基づきます特定品目の輸出入の禁止措置、さらにはその資金移動防止措置に加えまして、委員冒頭触れていただきましたが、我が国としては更に北朝鮮との全ての品目の輸出入の禁止等の措置をとっておりまして、北朝鮮への人、物、金の流れを厳しく規制する措置を実施をしているところであります。  この効果、これを完全に定量的に、何というか、把握したりすることは難しい部分もありますが、例えば、一例といいますか、お示しをしますと、北朝鮮にとりまして一番の貿易相手、これは中国であるのは間違いありませんし、中国との関係といいますか、これが途絶えたときには北朝鮮に経済等様々な影響が出るのは間違いないと、このように考えておりますが、例えば、昨年、二〇一九年の中朝の貿易総額、これはその二年前、二〇一七年比で約四四%減少しておりまして、特に二〇一九年の北朝鮮から中国への輸出額、外貨を獲得するために必要でありますが、これは二〇一七年比で八七%減。顕著に今減少していると、こういう情報もあるところでありまして、今、北朝鮮が様々な、何というか、対外的に強硬な言動といいますか、繰り返したり、また連絡所を破壊する、こういう行為を取るのに対して、これも様々な見方、分析もあるところでありますが、ある意味、これは北朝鮮の経済がどうなっているか、また対米との、米の交渉が進まない、思ったように南から協力が引き出せない、様々な思いというのが出ている一端ではないかなと、このようにも考えております。
  237. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございます。  確かに、その貿易統計の面では効果が出ているんだなということ、おっしゃるとおりだと思っております。ただ、やり方については極めて巧妙化しているというようなことは共通認識かなと思います。例えば、瀬取りの話、例えば迂回輸出の話、こういったことがございます。  そして、ではミサイルに関してもあえてお伺いいたしますが、先ほどの同僚議員との答弁の中で、河野大臣からも北朝鮮のミサイルの事案、二〇一七年にたくさん撃っていたというようなお話がありました。北朝鮮、私が調べたところによりますと、今までに合計百四発、弾道ミサイルを発射しております。特に、二〇一九年におきましては二十五発でありまして、二〇一七年、一八年を超える過去最多の発射をしているところでございます。二〇二〇年においても八発撃っております。防衛省が公表している資料も見ますと、北朝鮮の核・ミサイル能力に本質的な変化は生じていないと、こういうような記述もございました。  経済制裁をしっかりやっている、核不拡散とかミサイルに関するMTCRみたいな取組というのもしっかりとやっている、にもかかわらず、なぜ、国連安保理、北朝鮮、国連安保理決議や日本独自の制裁をしっかりとやっているのにもかかわらず、北朝鮮の核とかミサイル、特にミサイルの能力をそぐに至っていないのか、ここがいまだによく分からないのでありまして、この件について御説明お願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  238. 遠藤和也

    政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、様々な形での制裁の措置をとり、制裁の結果といたしまして貿易関係等においての数字は変化しておるというところでございます。一方で、先ほどおっしゃられたとおりでございまして、北朝鮮のミサイルにつきましては、昨年の五月以降も弾道ミサイルの発射、繰り返し行う等、累次の国連安保理決議に従った廃棄を依然として行われていないというところでございます。  こちらの理由云々というところにつきましては、様々、引き続き情報収集等も含めて努力をしてまいる必要があろうかとは思いますけれども、引き続き、その拉致、核、ミサイル、包括的な諸懸案の解決に向けての努力を、あらゆる形で努力もしてまいるという所存でございます。
  239. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 若干補足をさせていただきますと、当然、委員おっしゃるように、なぜ北朝鮮が我々が求めるような行動をしないのかと、このことも分析をする必要がありますが、結果的に先ほど言いましたようなCVIDをどう達成するか。そのためには米朝プロセスを後押しすることが必要でありますし、国連安保理決議、先ほど出ました瀬取りの問題も含めて各国がきちんと守らせると、こういうことが極めて重要なんではないかなと思っております。  なかなか、体制の違う場所、北朝鮮についてその合理的な意思決定プロセスがどうなっているのか、これをこちら側で分析するというのは難しいところがありまして、例えば、キューバ・ミサイル危機が起こったと、あのときにどうしてキューバがSSのミサイルをすぐにアメリカの偵察機から分かるような形で配備をしたのかと。これは、合理的意思決定モデルで考えても組織モデルで考えてもゲームの理論で考えても、一定説明は付きますけれど、どれが正しい説明かと、あれはカストロにしか分からなかった。今、金正恩にしか分からないという部分はありますが、いずれにしても、そういう中にあっても我々が求めることをやらせるということが何より重要なんだと思っております。
  240. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございます。  まさに、どういう、一応理屈は付くけれども、本当に相手が我々が望むような行動をしてくれるかよく分からないと。おっしゃるとおり本当に悩ましい問題です。私も経産省にいてやっていたときに同じことを痛感しておりました。  ただ、やはり、経産省においては外為法に基づく輸出入というパートが、コンサル用語でいうとモジュールとでも言うんでしょうかね、モジュールをやっておりましたので、その全体をどう見るかということについてやっぱり外務省のリーダーシップに基づいてやらなければいけなかった。  しかし、改めて振り返って考えてみますと、例えばアメリカを頼っていて大丈夫なんだろうか、例えば国際協議なんかを頼っていて大丈夫なのかということを不安に覚えるわけであります。アメリカとの協議で申しますと、先ほど茂木大臣もおっしゃいました、米朝首脳会談で安倍総理の意向を伝えたということは、たしか二〇一九年の二月の会談だったと思います。しかし、これに関して、二〇一九年十月、実務者協議が行われたんですが、交渉は決裂したと北朝鮮が言って、何かよく分からないような状況になってしまっている。  アメリカは、トランプ政権に替わってから、例えばTPPは離脱する、例えばパリ協定から離脱する、あるいはWHOからも離脱するみたいなことを言っている。また、あしたなんでありましょうが、元国務長官務めていたボルトン、ボルトンさんですね、が暴露本を出すというようなことになって、差止め請求を行ったんだけれども、それは棄却されたということでありますが、その中で、何でもアメリカのトランプ大統領の再選を求めるために何か中国に対してリクエストしたとか、そういうことをやっていたということが報道されているのであります。  また、国連安保理決議におきましても、様々制裁決議、働きかけてやってもらっている。いろんな機会、バイの会合、マルチの会合、様々機会を利用し、やっていただいていると思っておりますが、少なくとも今回の二〇二〇年の北朝鮮のミサイル発射、何度もやっておりますが、これに関して新たな制裁措置を出すということに至っていない。そういう意味で、本当にアメリカとの関係大丈夫か、また国際関係との関係大丈夫かということは正直不安に思うところなのであります。  また、今回のこの手の話で、やっぱり外務省防衛省から話を聞いておりますと、どうも気になる答弁というのは何度かある。それは、答弁を差し控えるという答弁であります。交渉に関わることだから答弁を差し控える、我が国の手のうちをさらすことになるから答弁を差し控える、こういうこと、十年も続いてきたわけでありますが、本当に今それでよいのだろうか。行政府によるそういう答弁で立法府は許してしまっていいのだろうか、本当に大丈夫なのかということを疑問に感じざるを得ない。  実際問題、拉致にしろ、ミサイルにしろ、核にしろ、明確な成果というものは上がっているとはとても言い難い状況であるということは皆さん共通の認識だと思っております。そういう意味で、何となくやってもらっている、何となくやってもらっているんだよというようなことだけを振りまいていて、成果がないままに別のアドバルーンをどんどんどんどん打ち上げていると、これが現状、これが実態なのではないかという疑義を呈さざるを得ないのであります。  その点について是非、茂木大臣、私を含めていま一度全国民に対して、北朝鮮問題はこのように解決するんだと、その決意だけではなくその具体的なプロセス、戦略、これらを一連を披露することによって我々を説得していただきたい、このような答弁を最後に求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
  241. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 委員の懸念については十分共有をしております。  今日御質問いただいて、私なりに、例えば経済制裁の効果についてどう御説明しようかと考えた上で、例えば具体例を示して、中国との貿易がどうなっている、北朝鮮からの輸出がどうなっている、ある程度数字でお示しできるものは示したりとか、じゃ北朝鮮に関する考え方、一九六二年のキューバ危機となぞらえて、ある意味イメージが湧くようにお話しできる範囲ではさせていただいたつもりであります。  もちろん、何というか、明確に何というか日時を設定して、何日までに全ての被害者をお返しできる、こういうことを申し上げられぬのはじくじたる思いでありますが、一日も早い解決に向けて、また一日も早いCVIDに向けて、全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  242. 小沼巧

    ○小沼巧君 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  243. 古賀之士

    ○古賀之士君 国民民主党共同会派の古賀之士でございます。午後もよろしくお願いいたします。  外務省、それから防衛省対象のこの審査でございますけれども、今日、総務省の参考人にもお越しいただいております。ありがとうございます。  早速伺ってまいります。  マイナポイントについてでございます。最大五千ポイント付与されるというこのマイナポイントですが、現在、予約の状況というのはどうなっているでしょうか。想定と比べて高い割合なのでしょうか、想定よりも低い状況なのでしょうか、お答えください。
  244. 佐藤啓太郎

    政府参考人佐藤啓太郎君) お答えいたします。  マイナポイントの予約数につきましては、直近の数字が六月十一日現在でございますが、六十四万五千百九人となっております。マイナポイントの利用についてはマイナンバーカードの取得を前提としておりまして、その交付枚数は、マイナポイント事業の実施に向けて、七月末までに三千万枚から四千万枚と想定をしているところです。  お示しをいただきましたマイナポイント予約の時点ごとのこの想定というものは行っておりませんが、マイナンバーカードの取得状況は、これも六月十一日現在で二千百六十万枚余りでございまして、引き続き、多くの方にマイナポイントを御利用いただけるよう、マイナンバーカードの取得、マイナポイントの予約を促進してまいりたいと考えてございます。
  245. 古賀之士

    ○古賀之士君 ありがとうございます。  現状では六十四万人余りということで、その数字に関しては大丈夫なのかという思いもございますが、まず、この中で幾つか疑問が生じておりますので、お答えを願います。  まず、今御答弁ありましたように、マイナポイントを取得するためにはマイナンバーカードと、それからもう一つ大事なのはマイキーIDというものが必要だということを伺っております。パソコンでマイナポイントを予約をするためには、そのマイキーID作成の登録準備ソフトというのが必要になります。その際、OSはウィンドウズ、ブラウザはインターネットエクスプローラーの11に指定されています。  なぜこの限定をされていらっしゃるんでしょうか。ほかのOSやブラウザに拡張する予定はないのでしょうか。
  246. 佐藤啓太郎

    政府参考人佐藤啓太郎君) 今御指摘をいただきましたように、マイナポイントの予約には、現在、一般に普及しておりますウィンドウズパソコンに標準搭載されているインターネットエクスプローラー、これを利用して予約を行っていただけるということにしてございます。やはり、御指摘ございました他のブラウザへの拡張については、これは必要と認識をいたしておりまして、現在その取組を進めているところでございます。可能な限り早期に対応できるように取り組んでまいります。  また一方で、高齢者を含めまして手続の支援を必要とする方々がおられますことから、身近な場所で支援を受けていただけますように取り組んでおります。具体的には、自治体における支援に加えまして、郵便局やコンビニなど約九万の拠点の民間事業者の店舗などにおいて予約を可能とする端末を設置することといたしております。  今後も、こうした対応について国民の皆様に十分かつ丁寧に周知を図りまして、多くの方々が円滑にマイナポイントを利用できるように努めてまいりたいと考えてございます。
  247. 古賀之士

    ○古賀之士君 ありがとうございます。  一旦確認なんですが、調べていただきたいのは、OSは現在ウィンドウズが指定、ブラウザはインターネットエクスプローラーの11。ただ、今ウィンドウズの最新のOSを入れると、ブラウザというのはインターネットエクスプローラー11が推奨ではなくて、逆にインターネットエクスプローラー11だと不具合が起きて、エッジというマイクロソフトの独自のブラウザを逆にやってくださいということが言われるケースがあります。逆に言うと、今お国でやられている、政府でやられていることは、今、時代の流れですね、インターネットエクスプローラー11で今動かないんですよ、止まっちゃうんですよ。そういうケースが頻発している。その打開策にエッジを使ってくださいと言っているにもかかわらず、相変わらずこういう状況が続いていると。  これについては、さっき前向きな御答弁をしていただきましたけど、是非早急に、そういった一般のパソコンの利用者でも、あれっと疑問を呈さざるを得ないような、しかもこれ重大な個人情報が含まれていますので、この辺についてもう一度だけ御答弁いただけないでしょうか、そこら辺しっかりやるということを。
  248. 佐藤啓太郎

    政府参考人佐藤啓太郎君) お答えいたします。  御指摘のようなインターネットエクスプローラーの状況についても仄聞をいたしているところでございますが、他のブラウザ、お示しのございましたエッジでありますとか、あるいはクローム、サファリ、こういったものについて対応可能となるように全力で取り組んでまいります。よろしくお願いいたします。
  249. 古賀之士

    ○古賀之士君 最新のパソコンブラウザのシェアを調べてみますと、実は今推奨されているインターネットエクスプローラーの11、11には限らずインターネットエクスプローラーということでいえばシェアは僅か六・四%です。エッジが六・七%、ファイアフォックス八%、クロームに至っては六八%です。そういった意味でも、一人でも多くの方々に使っていただきたいということに関しては、若干疑いを持たざるを得ないという状況でございますので、是非至急取りかかっていただきたいと、そういうことを要望させていただきます。  さて、次の質問ですが、申込み後に別のキャッシュレス決済に変更することができないとされておりますが、来年三月の末までにキャッシュレス決済サービス事業者が万が一事業終了した場合はどうなるのでしょうか。引き続き、総務参考人お尋ねします。
  250. 佐藤啓太郎

    政府参考人佐藤啓太郎君) 御指摘ございましたように、一度申し込んだキャッシュレス決済サービスを変更することは原則としてできないこととしているところでございます。  一方で、これもお示しのありました、申し込んだキャッシュレス決済サービス、この事業終了してしまうといったような場合、こういうやむを得ない事情がある場合には、受取額、残余がある場合について、その残余の受取分のマイナポイントについて必要な手続を取っていただいた上で、他のキャッシュレス決済サービスで受け取ることを可能とするよう予定をしているところでございます。
  251. 古賀之士

    ○古賀之士君 ありがとうございます。是非柔軟な対応をお願いいたします。  総務省さんに更に質問ですが、せっかくですから、こういったシステムを使って特別定額給付金の支給ですとか、あるいは更なる何か給付されるような場合にこのマイナポイントを活用することができるのではないかと、そういったことを今後検討されるおつもりはないのかという点と、それから、併せてちょっとお尋ねします。(五)です。マイナンバーカードの機能を、今既にクレジットカードの多くがスマホの中に搭載されていますけれども、スマホの中にこのマイナンバーカードを格納するということを、技術的、法的、可能かどうか、今後検討する予定はおありになるのか、御答弁お願いします。
  252. 佐藤啓太郎

    政府参考人佐藤啓太郎君) まず、前段の方の質問について私からお答えを申し上げます。  マイナポイントは、申し上げましたように、マイナンバーカードを活用することを前提とした仕組みでございます。したがいまして、現在のマイナンバーカードの普及状況、約二千百六十万枚でございますが、こうした状況を踏まえますと、今回の特別定額給付金のように、住民基本台帳に記録されている住民の方全員、これは一億二千万人余でございますが、これを対象とした給付にマイナポイントを活用することは、現状においては困難であると考えてございます。  今後、より多くの皆様がマイナンバーカードを保有していただける、そういう状況になっていきますれば、一般的な議論としては活用する給付サービスの範囲というものは広がるものと考えてございますので、御指摘も踏まえましてしっかり検討してまいりたいと思います。
  253. 森源二

    政府参考人(森源二君) マイナンバーカードの電子証明書機能のスマホ搭載の関係でお答えさせていただきます。  公的個人認証法に基づきます利用者証明用電子証明書をスマートフォンに搭載することにつきましては、その手法を含め技術面での累次の検証を行ってきているところでございます。その結果、例えば二〇一九年度以降の国際標準に対応したFeliCaチップのように安全性が確認された搭載方法もございますが、その導入端末がまだ極めて限定的であるなどの課題があるというふうに認識をしているところでございます。また、仮にマイナンバーカードに搭載されている利用者証明用電子証明書と同様の電子証明書をスマートフォンに搭載する場合においては、その根拠となる制度改正等が必要となるものと考えております。  なお、署名用電子証明書につきましては、その中に住所、氏名などの個人の四情報を含みますほか、電子署名法に基づきまして、真正な本人意思が推定されるという法的効果が認められるものでございますので、これを常時インターネットに接続されるスマートフォンへ搭載することはセキュリティー上課題が大きいというふうに認識をしておるところでございます。  現在、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンが令和元年十月にはアイフォンも対応するなど順次拡大しておりますので、現在百四十六機種で署名用、利用者証明用共にスマートフォンでの活用が可能となっております。当面は、このような読み取り可能な端末の拡大と、これによる電子証明書の利用の促進に努めてまいりたいと存じます。
  254. 古賀之士

    ○古賀之士君 ありがとうございます。  セキュリティー上問題もあるという御答弁もございましたけれども、実際、クレジットカードを何枚もスマホの中に格納しているという現実もございます。  それから、あと、いわゆる住民サービス、行政サービスの中では、このいわゆるマイナンバーカードだけではなくて、それから住基ネット、年金、あるいは免許証、パスポート、こういった様々な、今後スマホの中に格納していってもいい分野も随分あるんじゃないかと思います。是非、総務省さん、先鞭を切っていただいて、そういう研究で先駆けてやっていただけたら大変有り難いと思いますし、また、そういうことを大いに宣伝、周知、ここをしていただけるように、ちなみに民放の出身ですので、テレビコマーシャルも是非活用いただけたら大変有り難いと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、続きましては、防衛省・自衛隊におけるコロナ対応等についてお尋ねをいたします。河野大臣、大変お待たせをいたしました。順次伺ってまいります。  まず、防衛省そして自衛隊のPFI事業についてお尋ねをいたします。  防衛省がチャーターをいたしました「はくおう」の運用ですが、どのように行われたんでしょうか。運航や業務において、防衛省・自衛隊と民間企業との役割の分担が具体的にどのようなものがあったのか、防衛省参考人お尋ねいたします。
  255. 町田一仁

    政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  防衛省がPFI契約を行っている民間船舶「はくおう」は、当初、新型コロナウイルス感染症が拡大する中国からの帰国邦人等の一時停留場所として活用することができるよう、一月の三十一日に兵庫県の相生港を出港し、二月四日に海上自衛隊横須賀地区に到着いたしました。  その後、自衛隊は、二月七日から新型コロナウイルスの感染者が確認されたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客乗員に対する医療支援や生活支援を実施することになりました。このため、これらの任務に従事する自衛隊員の活動拠点が必要となり、「はくおう」の用途を変更し、これを活用することといたしました。  この活動での役割分担におきましては、事業者側が「はくおう」の運航や船内における食事や宿泊などの役務の提供を行い、隊員は「はくおう」乗員との接触感染を避けるためにごみの回収や風呂、トイレの掃除を自ら行いながら、この役務の提供を受けることにより生活基盤を確保することができました。
  256. 古賀之士

    ○古賀之士君 ありがとうございます。  質問を続ける前に、総務省の皆様方への私からの質問は先ほど終わりましたので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。
  257. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 総務省関係の方は退室いただいて結構です。
  258. 古賀之士

    ○古賀之士君 では、引き続きPFI事業について防衛大臣にお伺いをいたします。  防衛省・自衛隊の業務において、この「はくおう」のほかにどのようなものがおありになるんでしょうか。そして、その制限というのはあるんでしょうか。戦闘行為や支援行為を民間企業に委託することというのは、具体的に実際には可能なんでしょうか、御答弁お願いいたします。
  259. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 防衛省におきましては、PFI法を活用して「はくおう」などを対象とした民間船舶の運航・管理事業のほか、海上自衛隊呉史料館建設維持管理運営事業、これ、てつのくじら館と言われているやつです、Xバンド通信衛星中継器などの整備・運営事業、この合わせて三つの事業を現在PFIで行っているところでございます。  PFI法において、庁舎、宿舎などの公用施設、船舶、航空機などの運送施設及び人工衛星についてPFI事業として実施できるということになっております。  また、現在実施中の三事業におきましては、防衛省と民間事業者との間で契約を締結してそれぞれ事業を実施しているところでございますが、いわゆる戦闘行為あるいはその支援行為を民間事業者に行わせる内容の契約は締結しておりません。
  260. 古賀之士

    ○古賀之士君 ありがとうございます。  そのPFI事業についての深掘りは後ほどまた防衛大臣に伺いますので、よろしくお願いいたします。  ちょっと視点を変えまして、外務省参考人お尋ねします。  在日大使館や在日米軍の関係者でこの新型コロナウイルス感染者が出た場合、我が国の政府、自治体等に通知されるんでしょうか。また、これまでの感染者数を把握していらっしゃるでしょうか。外務省参考人お尋ねします。
  261. 海部篤

    政府参考人(海部篤君) お答え申し上げます。  外務省は、在日の各国大使館等、これは総領事館なども含みますけれども、外交官、現地職員、領事、それからそれらの家族を含め、感染が確認された場合の外務省への通報を要請しております。この要請に応じた通報を基にして感染者数を把握してございます。  それから、各大使館などは、感染が疑われる事例が生じた場合には所在地の管轄自治体や保健当局の指示に従って対応するということになっておりますので、各自治体はこの過程を通じて状況を把握することになるというふうに理解をしております。  在日米軍につきましては、同僚の政府参考人から答弁申し上げます。  以上でございます。
  262. 古賀之士

    ○古賀之士君 では、その新型インフルエンザ特措法の緊急事態宣言による外出自粛要請や施設使用制限というのは、在日大使館、それから在日米軍の関係者にも適用されていたんでしょうか。  また、感染者数を把握しているということでしたけれども、公表をされているのかいないのかを、済みませんが、それだけでもちょっとお答えお願いします。
  263. 海部篤

    政府参考人(海部篤君) お答え申し上げます。  最後の質問でございますけれども、公表はされておりません。  それから、緊急事態宣言による外出自粛要請、それから施設使用制限要請等は、私どもの方から外交団向けの説明会、それからメールやファクスといった、一斉送信といったいろんな手段を通じまして我が国の政策とそれから現状、逐一情報提供をしてきております。これは、緊急事態宣言の概要ですとかその関連情報、それから各自治体が行っておりますいろんな特別の個別の情報につきましても、それが発信され、更新され、変更されるたびごとに私どもの方から丁寧に周知をしてきております。  それから、幾つかのところからは個別の照会もございますので、その個別の照会に応じた説明を私どもの方からさせていただいているところでございます。
  264. 古賀之士

    ○古賀之士君 在日の大使館、それから在日米軍に関しては公表されていないということですので、その公表の必要の有無については、非常に慎重な取扱いとともに、公表の判断に対しては引き続きしっかりと対応をお願いします。よろしくお願いいたします。  それから、次は防衛大臣お尋ねをいたしますが、先ほどのXバンドのいろいろな、も含めてのPFI事業についての関連の質問にもなりますけれども、いわゆる防衛関連企業のサイバー攻撃対策とサプライチェーンの対策について、それぞれ一問ずつお尋ねをします。  三菱電機やNTTコミュニケーションズにサイバー攻撃があり、情報が流出した可能性があります。また、他の企業でもサイバー攻撃を受けたことが明らかになっております。防衛関連企業へのサイバー攻撃、情報流出について、報告義務や調査の権限など法的対応を含め、防衛省はどのような対策を講じているのでしょうか。また、今後どのような対策を講ずるお考えなのでしょうか。  それから、先ほどのXバンドの人工衛星のお話がございましたけれども、いわゆる民間の企業がそういう形で人工衛星を上げている。ただ、御存じのようにGPS、それから地理だけではなくて様々な通信ネットワーク、そういったものを最初の、今のこの現代社会での戦争状況、戦闘状況の中には、真っ先にそういった通信関連やライフラインとも言える情報を満載した人工衛星を狙い撃ちにして戦闘を開始するとも言われております。こういった状況も踏まえて、潤滑な戦闘行為に対する対応が防衛省は必要とされていると思います。その辺ももしよろしければ所見を伺えれば幸いです。よろしくお願いいたします。
  265. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) Xバンド通信衛星の業務について、この契約において、事業者の生命や財産の安全が脅かされるような状況が生じたと防衛省が認めた場合には、その業務を速やかに自衛隊が引き継ぐということが定められているところでございます。タイミングあるいは引き継ぐ部隊などについてちょっと個別にお答えするのは困難でございますが、情勢の変化あるいは企業の意見、部隊の活動状況などを踏まえ、適切に判断をしてまいりたいというふうに思っております。  また、サイバー攻撃の御質問でございますが、企業に秘密などの情報を取り扱わせる場合、当該企業との契約に付す特約条項に基づいてこれらの情報を保護させているところでございます。この特約条項に基づいて、企業に対して秘密などの情報を取り扱う際の保全規則を作成させる、社員への保全教育を実施させる、保全施設を設置させる、防衛省による検査の受検を企業に義務付ける、また当該秘密などの情報を外部とは切断されたシステムで取り扱う、こうした保全措置を講じさせているところでございます。さらに、この特約条項におきまして、秘密などの情報の漏えいなどの保全事故、おそれなどのある場合を含んでおりますが、こうしたことが発生した場合における迅速な防衛省への報告義務、防衛省による調査への協力義務も定めているところでございます。  今般、一連の不正アクセス事案が生起したことを受け、再発防止策の一環として、これまでに防衛関連企業に対し防衛装備庁長官から文書を発出し、外部から切断されたシステムでの取扱いの徹底など、企業におけるより一層の情報の適切な管理について周知徹底を図っているところでございます。
  266. 古賀之士

    ○古賀之士君 緊急事態が起きた場合は、そのXバンドの人工衛星の業務を自衛隊が引き継ぐという極めて重要かつ貴重な御答弁をありがとうございました。  さらに、サプライチェーンのリスクマネジメントについても今大変重要視されております。例えば、パーツが一つなくて例えばレーダーが機能しない、あるいは部品が一つないために防衛の機器が動かない、車両が動かない、こういったケースがないようにしなければならないと思いますが、このリスクマネジメントについて防衛大臣はどのようにお考えでしょうか。
  267. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 我が国の防衛産業は、装備品の生産、運用、維持整備、これに必要不可欠な基盤であると考えているところでございます。我が国の防衛装備産業基盤の強靱化に取り組んでいく上で、この装備品のサプライチェーンのリスク管理の強化、維持強化を図っていくということは極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。  防衛大綱におきまして、産業基盤の強靱化の施策の一つとして、装備品のサプライチェーンのリスク管理の強化を明記しているところでございます。また、中期防におきましては、装備品に係るサプライチェーンの調査などを通じてその脆弱性などに係るリスク管理を強化するというふうにしているところでございます。  これを受けまして、防衛省としては、主要装備品のサプライチェーン調査を実施してきておりまして、あわせて、この調査結果をデータベースにすることによりまして、供給途絶などのリスクを早期に把握するための恒常的なモニタリング体制の構築を進めているところでございます。  令和二年度予算で、倒産などのリスクの兆候を早期に察知し適切に対応するため、サプライチェーンを構成する企業の財務データを入手する経費として約一千万円を、また、あわせて、倒産や事業撤退などにより、ある装備品のサプライチェーン構成企業が欠けた場合に、当該装備品の生産を継続しようというほかのサプライチェーン構成企業の取組を支援する施策の調査研究のために、同様に令和二年度予算に二千万円を計上しているところでございます。
  268. 古賀之士

    ○古賀之士君 御答弁ありがとうございました。  貴重なその防衛の様々なオペレーションシステムがパーツ一つ、部品一つで機能しなくなるような、そういうような不幸な事態は是非避けていただくように、引き続きよろしくお願いを申し上げます。  それでは、質問を変えます。  障害者の就労移行支援事業と就労定着支援事業との関係についてお尋ねをいたします。厚労省の参考人にも今日お越しいただいております。お待たせをいたしました。  まず、(一)です。就労移行支援事業終了後で、就労定着支援事業の開始前の谷間にある六か月間において、支援や調整等が事業者の義務とされているにもかかわらず、サービス費等の報酬について算定できない仕組みとなっているのはなぜなんでしょうか。
  269. 橋本泰宏

    政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきましたように、就労移行支援事業所につきましては、厚生労働省令におきまして、利用者が就職した日から六か月以上、職場への定着のための支援を実施するというふうにされてございます。これは、就職後も一定期間の支援を実施することで職場への定着を促進するための仕組みでございまして、平成十八年の制度創設当初から設けている仕組みでございます。  就労移行支援の報酬につきましては、このような就職後の一定期間の支援の実施なども踏まえまして、ほかの就労系障害福祉サービスと比較して報酬単価を高く設定をさせていただいているところでございます。  また、就職後の六か月以上定着率が高い事業所ほど高い基本報酬が支払われるように設定されてございまして、この六か月間の間に効果的な職場定着支援を行った事業所に対してはそれに応じた報酬が支払われる取扱いになっているというふうに考えてございます。
  270. 古賀之士

    ○古賀之士君 さらに、(二)、伺います。  就労定着支援事業の利用者について、本人の自己負担が生じる場合がありますが、どの程度の割合で発生しているのでしょうか。また、自己負担のその負担軽減策というのはあるのでしょうか。
  271. 橋本泰宏

    政府参考人(橋本泰宏君) 就労定着支援事業でございますが、これについて自己負担が生じている方の割合については、システム上、これだけを取り出して把握してございませんので回答できないのでございますが、通所系サービス全体ということで見てみますと、本年二月の国保連のデータによりますと、障害福祉サービスを受けるに当たって自己負担が生じている方の割合は全体の六・六%ということでございます。  また、自己負担につきましては、ほかの障害福祉サービスと同様でございますが、所得に応じて一か月当たりの負担限度額を設定しております。通所サービスの利用者全体の八割以上を占める市町村民税非課税世帯ということでございますれば、ゼロ円ということになってございますので、その負担が過大なものとならないように配慮をさせていただいております。  就労定着支援事業につきまして、これは就職後も安心して働き続けられるようにするためのサービスでございますので、一定以上の収入がある方についてはこの自己負担についても御理解いただく必要があると考えてございまして、私ども丁寧な周知を図ってまいりたいと考えてございます。
  272. 古賀之士

    ○古賀之士君 時間がありませんので終わりますが、一般的に就職や転職、新たに環境が変わる場合にはそれなりのやはり自己負担というのが衣食住それぞれに掛かってくるものでございますので、どうか障害者の皆様方にとりましてもより潤滑な就職、そして転職等ができるように引き続き努力いただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  273. 浜口誠

    浜口誠君 立憲・国民.新緑風会・社民の浜口誠です。  今日は、茂木大臣、河野大臣、ありがとうございます、御対応いただきまして。  では、早速質問に入りたいと思います。  まず最初に、先ほど我が会派の勝部委員の方からもありましたイージス・アショアの配備計画の停止につきまして御質問させていただきたいと思います。  河野大臣からいろいろ経緯の御説明がございました。二〇一七年の十二月に閣議決定で二基の配備が決まって、その後、導入のステップを踏んできたということですけれども、改めて確認させていただきますけれども、米側と今回のイージス・アショア二基を導入する計画を契約をした、この契約をした日時をまずお伺いしたいと思います。  その契約時に、ブースターの落下場所について、米側から防衛省側に、日本側にどのような説明がその時点であったのか、その内容についてお聞かせいただきたいと思います。
  274. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 済みません、ちょっと具体的な契約の日付はないんですけれども、配備を正式に決めたのが二〇一七年十二月十九日、国家安全保障会議及び閣議において決定をしたところでございます。  ブースターの落下につきましては、その後、日米の間で様々協議を行ってきたということでございます。
  275. 浜口誠

    浜口誠君 じゃ、その契約した、二〇一七年の十二月十九日、ここでNSCと閣議で正式に決定したということですけれども、その契約したときに、ブースターの落下の場所、あるいはどういう対応が取れるのかというのは、米側とは日本側は何も確認していないんですか。その時点で、このブースターの落下場所についての対応、どこまで確認されたのか、それを確認したいと思います。
  276. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) ちょっと具体的にどこまでということは今の段階で定かでないんですけれども、様々日米間で協議をしている中で、防衛省認識として、ソフトウエアの改修で落下をコントロールすることができると認識をしたわけでございますが、こういう事態になりましたので、その認識が甘かったのではないかと言われれば、そこはもうおわびを申し上げるしかないということだと思います。
  277. 浜口誠

    浜口誠君 二〇一八年の六月から山口と秋田の地元への説明会が始まったと認識しております。その説明会の中で、やはりこのブースターの落下場所に対しての安全性に対して住民の方からもいろんな懸念の声があって、その後、夏ぐらい、同じ二〇一八年の夏ぐらいに、これ報道ベースで、ちょっと確認したいんですけれども、夏ぐらいに米側から日本側に対してはソフトウエアの改修で落下場所についてはコントロールできるというような説明があったという、報道にはそういう記載がありますけれども、この事実関係はどうなっているんでしょうか。
  278. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 日米で様々能力的なやり取りをしておりますので、やり取りの詳細を申し上げるのは差し控えたいと思いますが、防衛省側の認識として、ソフトウエアの改修で落とせるのではないか、そういう認識の下、地元に御説明をしてきたということでございまして、そのソフトウエアの改修で確実に落下できるということを確認してからなぜ配備のプロセスを進めなかったかという疑問があると思うんですが、当時の北朝鮮の弾道ミサイルの発射の状況に鑑みて、弾道ミサイル防衛の整備は急務でございました。ソフトウエアの改修、それと配備のプロセスを同時並行的に進めることによってこの配備を早くやっていく、そういう意図があったわけでございますが、こういう状況になりまして、おわびを申し上げたいと思います。
  279. 浜口誠

    浜口誠君 では、なぜ防衛省側がソフトウエアの改修だけで対応できると判断されたのか、その根拠は何なんですか。何かがあったからそういう判断をされたということだと思います。米側からの説明があったから、それを信じたから対応したのか、あるいは、違う、こういうのがデータとしてあったから、これに基づいて防衛省としてはその当時は演習場内あるいは海に落とせるという判断をしたんですと、根拠を教えてください。
  280. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) そこは、日米間の協議の中でそういう認識に至ったということでございます。
  281. 浜口誠

    浜口誠君 これも報道によりますと、二〇一八年の夏に、そういう懸念はあったんだけれども、ソフトウエアの改修で対応できると。そこから一年半以上空いた二〇二〇年の今年の二月に、要は米側からソフトウエアだけじゃ駄目だと、いわゆるブースター本体、ハードウエアの改修も併せてやらないと、当初言っていたエリアに、海若しくは演習場内に落とせることはできないと。  この期間、一年半ぐらい空いているんですけれども、なぜこんなに一年半の空白の期間があるのか、その理由、教えていただけますか。
  282. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 配備に向けて協議はずっと続いておりましたので、空白というよりは様々な協議を進めていたわけでございます。その中で、どうもこれはソフトウエアの改修だけではブースターを確実に落下させることができない、ハードウエアの改修が必要だ、五月の下旬にそういう判断をせざるを得ないということになったわけでございまして、この間、技術的なことを含め、ずっと日米の間の協議というのは続いておりました。
  283. 浜口誠

    浜口誠君 では、どうしてハードウエアの改修が必要だということが分かったのか、その経過はどういうことなんですかね。日本側からそういうのが分かったのか、米側からのいろいろな説明の中で、やっぱりハードも併せてやっていかないといけないということになったのか、その辺のハードまでやらなきゃいけないという事実が把握された経過を踏み込んで教えていただけますか。
  284. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 能力を含め様々な協議をしている中で、今年の少し早い時期にソフトウエアだけで確実とは言えないのではないかという疑念が協議の中で生じ、五月の下旬、五月の末にハードウエアの改修が必要だという結論に達したわけで、そこは日米で様々技術の協議を行っている中でそういうことになったわけでございます。
  285. 浜口誠

    浜口誠君 いろいろ経過はなかなかクリアに御説明いただけない部分はあろうかと思います。  ただ、今回、閣議決定したから、NSCで決めたからということで最後まで走るんではなくて、やっぱりその都度しっかり確認した上で、やっぱりこのまま行ってはまずいということ、軌道修正されたというところは妥当な判断ではなかろうかというふうに思っております。  ただ、その一方で、先ほどの議論にもありましたけれども、既に百九十六億円が支出されている、さらには、今後の、もう既に開発が進んでいる部分については、追加の負担を日本側もせざるを得ないということは当然あり得るだろうという御答弁ありましたので、いわゆる国民の税金が本来の目的に使われることなく、言い方ちょっとあれですけれども、無駄に使われてしまうということに今回なるわけで、今回のこういった一連の経過を踏まえて、誰が今回の停止、あるいは将来的に撤回、中止になるかもしれませんけれども、今回の一連のイージス・アショアの配備についての責任を誰がどのような形で取るのか、大臣の御所見がありましたらお伺いしたいと思います。
  286. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) このような事態になりましたことを誠に申し訳なく思っております。国民の皆様におわびを申し上げたいと思います。  責任はひとえに防衛大臣にあるわけでございまして、私としては、まずこのイージス・アショアの配備のプロセスの停止を国家安全保障会議にお諮りをしてしっかりと議論をしていただく、その後、この弾道ミサイル防衛について、日本の国民の命と平和な暮らしをしっかり守れるように今後どのようにしていくか、しっかり議論を国民の皆様にお示しをしながらまとめてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  287. 浜口誠

    浜口誠君 そんな中、週末、大臣、山口、秋田それぞれ訪問されて、首長の皆さんにはお会いをして一連の経緯を御説明をされたというふうに認識しておりますけれども、地元の住民の方にはお会いされておるんでしょうか。その点、お伺いしたいと思います。
  288. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 秋田の方は、新屋演習場の地元の住民の皆様の代表の方にも来ていただいたところでございます。
  289. 浜口誠

    浜口誠君 是非、地元の皆さん、この二〇一八年からの一連の配備に当たってはいろんな議論もあったというふうに思っておりますし、いろんな不安の中で、今回の、まあ唐突と言えば本当唐突だと思いますけれども、配備計画の停止ということになりましたので、是非、大臣自ら足を運んでいただいて、地元住民の方にも今回の一連の経過、そして今後どういう形の対応を取っていくのか、河野大臣御自身の言葉で地元住民の方にも是非御理解いただくまで御説明をしていただきたいなと思いますけれども、いかがでしょうか。
  290. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) まず、国家安全保障会議で議論をしていただいて、その結論が出た上でどのようにするか、地元と御相談してまいりたいと思います。
  291. 浜口誠

    浜口誠君 では、次の質問に移りたいと思います。是非、大臣、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、防衛関係費につきまして少し防衛省認識をお伺いしたいと思います。  令和二年度、最新の防衛関係費につきましては過去最大です。五兆三千百三十三億円と過去最大の防衛関係費になっております。その中でも、新分野ということで、宇宙関連では五百六億円、サイバーでは二百五十六億円が計上されています。ただ、やっぱり全体見ると、使途の内訳、どういう使途で予算が構成されているかというと、約八割ぐらいがやっぱり糧食費とか人件費とか歳出化経費、これで八割。で、残りの二割ぐらいが一般物件費となっています。  要は、いわゆる硬直的な予算になっていて、単年度で防衛費を大きく見直すことがなかなか難しい、こういう予算の中身になっているなというふうに感じております。  こんな中で、今後の防衛予算の見通し、そして、先ほど言ったサイバーとか宇宙といった新しい分野の予算措置を今後どう考えていくのか、さらには、硬直化しているこの防衛関係費の予算を今後見直すような方針を持たれているのかどうか、この辺りについて、防衛省の考え方をお伺いしたいと思います。
  292. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  委員御案内のとおり、我が国を取り巻く安全保障環境は格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増しており、真に実効的な防衛力としての多次元統合防衛力の構築に向け、防衛力を着実に強化していく必要がございます。  委員指摘の新たな領域、宇宙、サイバー、電磁波といった分野につきましては、領域横断作戦を実現するため、優先的な資源配分や我が国の優れた科学技術の活用によりまして各種能力を獲得、強化することとしております。  今後とも、現在の大綱、中期防に基づきまして新領域における優位性を確保しまして、従来の延長線上ではない真に実効的な防衛力を構築すべく、着実に整備を進めていくという考えでございます。  また、委員指摘予算の硬直化の関連でございますが、中期防の枠組みの中で、今中期防を実現するために新たに必要となる事業に係る契約額につきまして、おおむね十七兆一千七百億円程度の枠内とするという表現で明確な歯止めとした上で、後年度負担を含めまして計画的な予算編成を行っており、予算の硬直化を招かないよう、適切に防衛関係費を管理しつつ、従来とは抜本的に異なる速度で防衛力の強化を図ることとしております。  防衛省・自衛隊といたしましては、我が国を取り巻く安全保障環境が刻々と厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、一層の効率化、合理化を徹底しつつ、所要の経費の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  293. 浜口誠

    浜口誠君 是非、河野大臣にも、新たな領域、先ほど宇宙ですとかサイバー、こういった領域に対して今後どのような考え方で防衛費の対応をしていくのか、河野大臣の御自身のお考えがありましたら是非お聞かせください。
  294. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 日本の防衛予算、この二十年近くほぼ横ばいという状況でございます。  ただ、この北東アジアの状況を見ますと、例えばお隣の中国は十年間で国防関係予算が二・四倍ぐらい増えている。一九九一年には、第四世代、第五世代と言われている戦闘機を中国は保有をしていませんでした。近代的な潜水艦、あるいはフリゲート艦というのも持っていなかった。この二〇二〇年、戦闘機、潜水艦、フリゲート艦、自衛隊をはるかにしのぐ、そういう数量を中国が保有するに至っているわけでございます。また、サイバーですとか宇宙といった新領域でも中国は相当な人員、予算を割いている、そういう現状がございます。  そういう中で、防衛省・自衛隊としても、これまでの陸海空のみならず、やはり新領域、サイバー、宇宙、電磁波といったところでも必要な能力をしっかりと身に付けるということは極めて大事だと思っております。そういう中で、この厳しい財政状況の中、これから防衛予算が飛躍的に拡大するということが考えにくい、そういう中にあって、やはり優先順位をしっかりと付けた上で必要なところにきちんと予算を回していく、投資をしていく、そういうことは不断の見直しをやらなければならないというふうに思っておりまして、聖域なくそうした見直しはやってまいりたいと考えております。
  295. 浜口誠

    浜口誠君 是非、防衛費に掛けられる予算というのも限りがありますので、不断の見直ししっかりやっていただいて、必要なものは何なのかという見極めを是非お願いしたいなというふうに思います。  今年、令和二年度は在日米軍の駐留経費負担の協定の見直しが行われる年になります。米国のトランプ大統領は、在日米軍の駐留経費について、日本側の負担を増額してほしいというのは繰り返し言及されています。  平成三十年度決算で見ると、在日米軍の駐留負担の経費、日本側で負担は三千四百九十七億円となっていますけれども、この在日米軍の駐留経費に関して、現状の在り方ですとか水準に対して河野大臣としてどのような認識を持たれておるのか、そして、今年度その協定の見直しということがこれから行われますけれども、先ほどの御答弁の中では今後の話ですからということでお答えをされていましたけれども、今後の協定改定に向けての基本方針、現時点でどのような考え方で交渉に臨んでいくのか、河野大臣としてのスタンスがありましたら御答弁お願いします。
  296. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 日本を取り巻く安全保障環境、非常に厳しくなっている中で、この日米同盟というのが日本の安全保障の礎であるということに変わりはございません。在日米軍の即応性あるいは機動性といったものをしっかり確保するというのがやはり我が国の防衛に非常に重要になってくるわけでございます。  そういう意味で、この駐留経費というのがそういうことに役立っているわけでございますが、この駐留経費の負担というのは、日本あるいはアメリカのどちらかが一方的に得をするということではやはり長くもたないんだろうというふうに思います。そういう意味で、この在日米軍の負担というものを日米間で適切に分担しながら、この日米同盟を基軸とした我が国の安全保障をしっかりとやってまいりたいというふうに考えております。
  297. 浜口誠

    浜口誠君 では、続きまして、茂木大臣にお伺いしたいと思います。  まず、先ほど来議論をしておりましたイージス・アショアの配備計画停止、これについて、日米の安全保障を考えたときに、外務省のお立場として今回の配備計画の停止についてどのような受け止めをされておられるのか、外務省の立場での御判断なり見解がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  298. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 今、河野大臣の方からも答弁ありましたように、我が国を取り巻きます安全保障環境、一層厳しさを増す中、国民の生命、財産を守ること、政府の重大な責務でありまして、これまで同盟国であります米国と様々な協力によりまして切れ目のない体制構築をしてきたところであります。  今年は、一月十九日に、日米安保条約、この署名六十周年、その式典も開かさせていただきましたが、締結六十周年の年を迎えて、日米同盟、かつてなく強固でありまして、今回の決定がこのような米国との協力であったり日本の安全保障に影響を与えるとは考えておりませんけれど、我が国としては引き続き米国と緊密に連携をして、日米同盟の抑止力、対処力を一層強固、強化をしていきたいと思っております。  ホスト・ネーション・サポート、まさに今後の協議ということになるわけでありますが、現在、費用負担、適切に分担をされていると考えておりますが、今、安全保障をめぐる問題、通常の兵力から、宇宙であったりとかサイバー、電磁波、様々な領域に広がっておりまして、そういった中で日米でどう協力していくかと、こういったことについても安全保障の観点から、また日米同盟の観点からよく議論していく必要があると思っております。
  299. 浜口誠

    浜口誠君 もう一つ懸念点としてあるのが、朝鮮半島のやっぱり情勢がちょっと緊張感高まっております。南北の緊張が高まるというのは、日本の安全保障を考えたときにも大きな懸念の一つだというふうに思っております。  政府として、外務省として、今の朝鮮半島の南北の緊張状態、これをどう安定させていくのか、日本政府として今後どのような役割を果たそうとされておるのか、朝鮮半島の情勢についての御認識と併せてお伺いしたいと思います。
  300. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 北朝鮮、韓国に対する批判的な言動を繰り返しておりまして、最近の表現とか見ると、口が十個あっても何とかとか、すごい言葉を使うんだなと、こんなふうに思ったりもいたしますけれど、六月十六日午後には、開城の南北の共同連絡事務所、爆破をしたと承知をいたしております。その後の北朝鮮側の一連の発表であったりとか韓国側の反応など、本件については、公開情報はもちろんでありますが、インテリジェンスを含みますものまで様々な情報に今接しているところであります。また、最近の北朝鮮の動向と北朝鮮の経済の状態、また対米方針、対韓国政策などにどのような関係があるかについても分析を進めているところであります。  もちろん、南北関係がこれ以上緊張しないということを望んでいるわけでありますが、引き続き、米国そして韓国とも緊密に連携をしながら必要な情報の収集、分析に全力を挙げるとともに、我が国としても万全な対応をしてまいりたいと考えております。
  301. 浜口誠

    浜口誠君 是非、日本としてできることというのはある一定の限度があるかと思いますけれども、やはり朝鮮半島の安定というのは非常に重要だというふうに思っておりますので、そういった視点でできる限りのネットワークを駆使しながら御対応お願いしたいなというふうに思います。  では、続きまして、日本とイギリスとの、英国との通商協定についてお伺いしたいと思います。  六月の九日から日英の通商交渉が本格的にスタートしたという認識をしております。政府としてはできるだけ早くこの通商協定取りまとめて発効したいというお気持ちがあるというふうに認識しておりますけれども、具体的にこれからどのような交渉方針で今後の日英の通商交渉を進めていかれるおつもりなのか、その我が国の基本方針についてお伺いしたいと思います。
  302. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 浜口委員おっしゃるように、六月九日に英国のトラス国際貿易大臣とテレビでの閣僚会談行いまして、英国との新たな経済パートナーシップの構築のための交渉を立ち上げたところであります。  英国がEU離脱をすると、そうなったときに、浜口委員も自動車産業にお詳しいんでよく御案内だと思いますが、日英間のビジネスの継続性確保のために、日EU・EPAに代わります新たな日英間の貿易、投資の枠組みを迅速につくることが重要だと。英国とEUの期限というのがあるわけでありますから、それもにらみながら当然交渉というものは進めていかなきゃならないと。同時に、日EU・EPAというものがあるわけでありますから、それを踏まえて交渉していくということだと考えております。
  303. 浜口誠

    浜口誠君 そんな中で、英国向けの農産品の新たな輸入枠は設定しないという考えはもう既に茂木大臣表明されているという認識をしているんですけれども、その考え方は堅持されると、農産品について英国と新たな輸入枠はもう設けないというお考えでよろしいですねと、これは確認です。
  304. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まさにこれから交渉始まるところでありますが、こんなふうにお考えいただければいいと思うんですが、TPP11が発効したと、そのときアメリカはTPPを離脱をしておりました。その下で、日米の貿易交渉、TPP11をにらみながら交渉を進めさせていただいた。今回、英国がEU離脱ということで、その日EU・EPAを踏まえながら、またにらみながら、英国との間のパートナーシップ交渉を進めたいと考えております。
  305. 浜口誠

    浜口誠君 是非、英国との間で新たな農産品の輸入枠を設定するということのないように、いわゆる日EUの枠の中での交渉ということですので、その基本方針に沿って御対応いただきたいというふうに思います。  その一方で、英国とEUも通商交渉、これから離脱するに伴って行っていくということになります。日本から英国に出ている企業からすると、こちらも非常に重要なんですね。今後英国への投資を続けるかどうかというのは、英国とEUとの間の通商協定がどうなるかと、要は関税ですとか非関税障壁がない状態が続くのかどうかというのが極めて重要なポイントになっていますので、ここに対しての関心も非常に高いという認識をしております。  日本政府としても、この英国とEUの通商交渉においても、日本企業が引き続き安心して英国に投資ができる環境づくりを整えるという観点で様々な支援を是非お願いしたいなというふうに思っておりますけれども、この英国とEUの通商交渉に対して日本政府としてどのような関わりをしていこうと考えておられるのか、この辺りのスタンスについてお伺いしたいと思います。
  306. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 今、世界の一部に保護主義の動きと、こういうのが台頭する中で、自由で公正な経済圏を構築していく、これ、自由貿易の旗手であります日本としての強い立場でありまして、また、企業にとりましては、透明性、予見性を持って投資であったりとかビジネスが行えるというのは極めて重要なことだと考えております。こうした我が国の考え方につきましては、EU側にも、さらには英国側にも明確に伝えさせていただいております。
  307. 浜口誠

    浜口誠君 是非、その自由な貿易をいかに維持していくかというのは非常に重要な観点だと思いますので、是非日本側のスタンスもしっかり伝えていただいて、今後の英国とEUとの交渉がよりスムーズな形で、多くの企業の皆さんが、ああ、いい結論が出たなと思っていただけるような交渉になるように働きかけをお願いしたいなというふうに思っております。  日本を取り巻く環境として、もう一点だけ、韓国の元徴用工の関係ですね。時間が来ましたので一言だけ大臣の見解いただきたいと思いますけれども、差止めがされた資産について、この夏、現金化されるという可能性もあります。こういった韓国側の対応に対して日本政府としてどのような対応をしていくのか、最後、それをお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  308. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 時間ですので簡潔にお答えしたいと思うんですが、まず、旧朝鮮半島出身労働者問題に係ります韓国の大法院判決及び関連する司法手続、明らかに国際法違反だと考えております。  その上で、資産の差押手続イコール現金化の手続に着手ということではありませんが、現金化は深刻な状況を招くので避けなきゃならないと。このことは、今月三日に行いました日韓外相会談を含めて日本側から繰り返し強く韓国側に指摘をしているところでありまして、今後とも韓国側に早期に解決策を示すよう強く求めていきたいと思っております。
  309. 浜口誠

    浜口誠君 では、終わります。ありがとうございました。
  310. 柴田巧

    柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。  まず最初に、モバイル領事館についてお尋ねをしたいと思いますが、今年の一月から二月にかけて、新型コロナウイルスの感染症の流行に、感染拡大に伴って、中国武漢からの邦人帰国の際に、これは史上初めて、感染症に伴うチャーター機の派遣が行われることになりました。八百二十八人、まあ八百人余り中国から脱出をさせたということですが、現地には拠点となる総領事館もなく、また、この感染拡大で空港や高速道路の封鎖というような特殊事情もあり、しかも、今までの人質事件や治安悪化による邦人保護と比べても非常に大規模な対応を迫られたということになりますが、この中国以外にも、国際線の運航停止等で海外に足止めされた約一万人、一万人強か、の邦人が政府支援で帰国をしたわけでございますが、二〇一八年のデータによれば、海外にいる日本人、邦人は百三十八万とも九万とも言われているわけでありまして、いつ何どきこういうことがまた今後起きるとも限りません。  そこで、外務省も、今回のこの事態を受けて、邦人保護の拡充の観点から、緊急事態への機動的対応を行うモバイル領事館を立ち上げて、邦人、海外の邦人保護の体制強化に乗り出すということになったわけでありますが、そこで、どのようなこれは活動を行う組織で、いかなる人員体制で構成されるのか。また、このモバイル領事館は今後、今回はいわゆる新型コロナの感染拡大によって、その必要性でできてきたと思いますが、災害やテロなどにも活用されるのか、併せて外務省にお聞きをしたいと思います。
  311. 水嶋光一

    政府参考人(水嶋光一君) お答えいたします。  海外に渡航、滞在する邦人の保護は外務省の最も重要な責務の一つでありまして、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大を受け、外務省としては、在外邦人に対して適切な情報提供、安否確認、出国の支援等、可能な限りの支援を行ってきております。  一方で、在外公館から遠く離れた場所や孤立した場所などにおいて、感染症を含みます危機的な状況が拡大をし邦人保護事案が発生する場合等、在外公館の既存の体制では対応が難しいケースも考えられます。そのような場合に、在外邦人の所在、安否の確認、また現地当局との交渉、場合によっては退避の支援などを行うために、領事業務、また現地の言語の専門家、それから医務官などによって構成をされる機動性を持ったユニットを速やかに派遣することとしております。現在、具体的な準備を進めているところでございます。
  312. 柴田巧

    柴田巧君 今これを新たにつくろうということでありますが、一方で外務省は、二〇一三年にアルジェリアで邦人が巻き込まれたテロ事件がありましたが、これを受けて、やはり邦人支援や情報収集に当たる海外緊急展開チーム、ERTと言っていますが、これを設置して第一次、今回の補正でも強化をしているわけです。  それで、このモバイル領事館も第一次補正でつくろうということなんでありますが、このERTはこれまでも既にバングラデシュとかスリランカにも派遣をされているやに聞いていますけれども、このERTはこのモバイル領事館と果たす役割はどこがどう違うのか、そしてまた、これは場合によっては連携して何か事に当たろうということもあり得るのか、そこら辺の御説明お願いをしたいと思います。
  313. 水嶋光一

    政府参考人(水嶋光一君) お答えを申し上げます。  今御指摘ありました海外緊急展開チーム、ERTと呼んでおりますが、これは、緊急事態が発生したときに速やかに現地に駆け付けて邦人保護等の対応に当たるために、領事業務の専門家や医務官などの構成員をあらかじめ指名しているものでございます。毎年一回見直しをしてございますが、今年度は現時点九十二名の方が登録をしてございます。  一方で、御指摘のいわゆるモバイル領事館の方、こちらの方は、今申し上げましたERT、海外緊急展開チームを含みます構成員が、必要な機材あるいは非常食などの備品とともに現地に派遣された上で、各種領事業務などを行うことを想定しているということでございます。
  314. 柴田巧

    柴田巧君 それで、ちょっと、じゃ教えていただきたいんですが、このモバイル領事館を新たにつくるに当たって、これまでの既存のERTを拡充、機能強化することでできないがゆえにこの新たなものをつくるという認識で、理解でいいんでしょうか。そこをちょっと教えていただきたい。
  315. 水嶋光一

    政府参考人(水嶋光一君) お答えを申し上げます。    〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕  今御説明いたしました海外緊急展開チーム、こちらの方は、まさにその専門家の方をあらかじめ登録をしていてその人に出張してもらう、そういう体制でございます。  今回その予算を認めていただきましたいわゆるモバイル領事館の体制でございますが、今回は、今回の武漢の反省に立ちまして、いわゆる人を派遣するだけではなくて、いわゆるミニ大使館、ミニ在外公館のような体制をやはり整える必要があるということで、それに必要な機材なんかも今回は持っていけるようにすると、そういうことで、併せてより効果的な事業を行いたいと、そういうふうに思っております。
  316. 柴田巧

    柴田巧君 まあ何となく、今回の事件があってそれに対応するためにそういう組織を急いでつくったというような感が拭えないんですが、いずれにしても屋上屋を架すことのないように、いざというときに同じような組織があって現場が結局動かなかった、対応できなかったということにならないように気を付けていただきながら、またどういうふうに具体的にこれからものがつくられていくのか、しっかりチェックもしていきたいと思います。  そこで、大臣に北朝鮮の今の、昨今の現状認識をお聞きをしようと思っておりましたが、既に小沼議員、浜口議員から同様の質問があって御答弁をされましたので、それは取りあえず割愛をさせていただいて、お聞きをしたいのでございますが、韓半島でいわゆる北朝鮮と韓国などとの大規模な軍事衝突がないことを願っておりますが、強く、現状ではそうならないんだろうという希望も持っておりますが、しかし、専門家などによれば、北朝鮮による挑発のレベルとトランプ大統領の対応によってはこの韓半島は予測不可能な状況に陥る可能性があるという指摘もあります。  いずれにしても、海外で邦人が危機にさらされたとき、この邦人の保護、救出に全力で当たることは国としての当然の責務でありますが、そこでもし、余り考えたくないことではありますけれども、韓国への大規模な攻撃などが行われれば、恐らくはその韓国内の空港は閉鎖される可能性が極めて高いわけで、今回のように飛行機で邦人を保護、退避させるということはなかなか難しいと思います。  したがって、どういう想定をしておくかということが求められるわけですが、やはり二年前に韓半島情勢が大変厳しくなったときに、これは報道ベースでありますけれども、取りあえず韓国のシェルターで日本人を避難させた上で、それでアメリカ軍なども協力を得て釜山まで輸送する、そして釜山からこの日本にピストン輸送するというような案も報道はされておりましたが、これに加えて、今回は、前回と違うのは、この新型コロナの感染がまだ終息していない中で万単位の韓国の邦人をどうスピーディーに、そして安心、安全に移送させるか、退避させるかというのは大きなテーマになると思っていますが、大臣としてはどのようなそういう想定をしていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。    〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕
  317. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 海外に渡航、滞在する邦人の保護であったりとか安全の確保、これは外務省の最も重要な責務の一つでありまして、その重要性は更に現在高まっていると考えておりまして、今、柴田委員の方から御質問いただきましたERTとそれからモバイル領事館の違いにつきましても、何か一つのニーズがあることを想定して一つのチームを募集していくというよりも、本来だったら、何というか、世界の各地によりきめ細かく在外公館、派遣をして、領事業務であったりとか現地の言葉の専門家、医療の専門家、置いておきたいんですが、予算の制約上それができないということで今回モバイル領事館と、こういったものをつくっていきたいと、こんなふうに考えておりますから、そんな中、政府としては、平素から在外邦人の保護であったりとか退避が必要となる様々な状況、まあこれはコロナだけじゃないと思っておりまして、そういったことを想定して必要な準備、検討を行っておりまして、邦人保護の強化を図っているところであります。  仮にでありますが、仮に今、朝鮮半島におきまして邦人の退避が必要となる事態に至った場合は、まずできる限り商用定期便、これが利用可能なうちに出国又は安全地域への移動が行われるようにすることと、これが最初にやることだと思っておりまして、そのための情報提供であったりとか注意喚起も当然外務省として行っていくことになるわけであります。  その上で、どれくらいの規模になるかということにもよるんですが、商用定期便での出国が困難あるいはそれだけでは不十分な状況に至った場合には、個別具体的な状況に応じて、あらゆる可能性を追求しながら、最も迅速かつ安全な手段を活用して邦人の退避支援に最大限努めることになると思っております。  今回のコロナオペレーションにおきましても、海外の定期便、こういうのが停止をする中で、これまでに一万六百十人という方の出国、帰国と、こういったことを実現しておりますし、様々な注意喚起もしてきておりまして、さらに今、経験、ノウハウと、こういったものは積み重なっていると思っております。  武漢のオペレーションにつきましても、領事局長、謙遜して、非常に反省と言っておりましたが、相当頑張ったと思います。千二百キロの距離、十七時間掛けて現地に入ったり、それから、日本に戻ってきたら十四日間退避、いわゆる自主隔離しなくちゃならないことを覚悟で、手を挙げて本省からも現地に乗り込むと。様々な支援外務省の職員、またそれを支えるチームで頑張ってくれたと、このように考えておりますが、そういったノウハウなり経験を今後の邦人の安全確保にも生かしていきたいと思っております。  その上で、御質問の内容につきましては、事案の性格からしても、じゃ、どういう準備しているんだとか、どういう検討をしているんだと、なかなか具体的に今明らかにすること、これが邦人の安全確保にも関わってくる問題でありますからこれ以上の詳細については控えたいと思いますが、いずれにしても事態は起こり得ると、あらゆる事態は起こり得ると、そういう観点から準備なり検討というのは進めたいと思います。
  318. 柴田巧

    柴田巧君 ありがとうございました。  今大臣もおっしゃったように、韓国には数万の邦人がいるやに聞いておりますが、それらの人たちを日本に保護して移送する、退避させるというのは大変なことだと思います。そして、韓国政府あるいは在韓米軍、それと韓国の国民の皆さんの理解、協力も必要なことでありまして、詳細はここでなかなか御答弁はされなかった、できなかったところもあると思いますが、いずれにしてもしっかりと想定をしていただいて、いざというときに、まあ、ないことを願いますが、しっかり機能するようにしていただきたいと思います。  それでは次に、国際機関に関することでお聞きをしたいと思いますが、我が国は平成三十年度でいうと国際機関等に四千三百七十九億円に上る拠出金などを出資をしているわけでありますが、これも国民の皆さんが払っていただいている税金でありまして、平成二十七年に閣議決定された開発協力大綱においても、実施状況や評価等に関する情報を公開するとともに、国民に分かりやすい形で丁寧に説明すると書いてあるわけですが、いろいろとこの評価を見させていただきましたが、正直分かりにくい、よく理解できないところが多々あるというのは正直な感想でございます。  この活動の成果、影響力等四つの評価の基準ごとにその結果が文章形式で記述されているわけですが、その上で、全体的な最終的な評価がAやらBやらCやらいろいろあるわけですが、だからどうしてAになるのかBになるのかというのは、よく読んでもその因果関係が明確に読み取れないというのは正直なところです。また、意義や成果等に関する評価などでは、非常に意義深いとか大きな意義があるとか、海外展開の促進に貢献することが期待されるというような表現もあったりして、非常に漠としていると言わざるを得ません。  イギリスなどは非常に、この金額に見合う価値があるのかという観点からの評価手法を取っていまして、イギリスの開発目的への貢献や組織の強靱性を判定するための要素が複数設定されて、各々の評価を行ってその平均値で総合的な評定をしているということで、非常にグラフや図を多用して、その調査機関全体の中でどういう位置付けになるのか、優先度はどうして高いのかということが非常に分かりやすいんですね。  したがって、我が国においてもそういったことを見習って、定性的な評価だけでなくて定量的かつ客観的な評価制度をやっぱり構築していくべきじゃないかと思いますが、外務省お尋ねをしたいと思います。
  319. 垂秀夫

    政府参考人(垂秀夫君) お答えいたします。  委員指摘外務省による国際機関評価は、我が国の外交政策を推進していく上で国際機関を戦略的に活用することを目的として、平成二十七年度から導入されたものでございます。  評価の実施に当たりましては、先ほど委員指摘のように、当該国際機関の活動の成果、影響力、あるいは日本外交政策にとって有用であるかどうか、こうした点に限らず、最近では当該国際機関における日本人職員数の増減の状況等、可能な限り定量的指標も取り入れるようにしております。  引き続き、年に一度、外部有識者の意見を聞く機会設けておりますが、そうした外部有識者等の知見も活用しつつ、評価制度の改善についてしっかりと検討していきたいと存じます。
  320. 柴田巧

    柴田巧君 先ほども申し上げたように、やはり国民も、なるほど、そういう理由だから、それだけ役に立って効果があるなら、それだけ金額を投じても、出資しても不思議じゃないなという、そういうことが理解できるような評価方法をしっかりまた工夫をしていただきたいと思います。  次に、この国際機関の幹部人事というか、これについて大臣お尋ねをしたいと思いますが、国際機関は約百ぐらいあると言われておりますが、そのうち、特に国連の専門機関などの主要機関のトップは選挙で決まるということになっております。  近年、非常に中国の影響力が国際専門機関は特に強くなっていまして、今十五の専門機関のうち四つはトップは中国人が占めています。世界第二位の経済大国がその世界の平和と安定のために出資金も増やし、いろんな貢献すること自体は決して悪いことではありませんが、ややもすれば、その中国人がトップになったところは中国の政策に即したものになりつつあるというところが否めません。国際民間航空機関もそうですし、一五年に中国人の人がトップになって台湾が次の年から呼ばれなくなった。あるいは、ITU、国際電気通信連合では、中国の一帯一路との連携を公然と中国人トップが主張するということになっていますし、WHOについては皆さんも御存じのとおり、感じていらっしゃるとおりであります。  本来は各国の利害を中立的な立場で調整すべき国連が、この専門機関が、ある特定の国の権益拡大に悪用されるということになっては、あってはならないと思っています。したがって、まずは日本も、今国連の専門機関、トップがいませんが、積極的に、戦略的にやっぱり獲得を目指していくべきだと思っていますし、世界のいろんな貢献をしていくべきだと思いますし、自由と民主主義を共通の価値とする欧米諸国などとも足並みをそろえてこのトップの選挙に当たっていくということもあり得るだろうと思っていますが、大臣の御見解をお尋ねをして、最後の質問にしたいと思います。
  321. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、先ほどの柴田委員の御質問を聞いておりまして、維新に属される柴田議員らしいなと、非常に重要な指摘だと思っておりまして、今後、国際機関への対応、拠出に当たってどんな評価の仕方がいいのかと、それはよく検討していく必要があるなと、こんなふうに拝聴したところであります。  その上で、委員おっしゃるように、今国連には十五の専門機関がありまして、それぞれの分野において専門的な見地から国際的な取組をリードする役割を担っております。日本はこうした重要性を踏まえて、これまで四つの国連専門機関で日本人のトップを輩出しておりますが、中国は今だけでも四つ持っているわけでありますから、今後も各機関の主管官庁とも緊密に連携して、適切なポスト獲得に取り組んでいきたい考えであります。  現在、UPU、万国郵便連合、この選挙が本年行われる、事務局長選挙が行われるわけでありまして、日本人候補を立てておりまして、関係省庁と連携してポストを獲得していきたいと思います。  また、単発のポストの獲得ではなくて、長期的に国際人材を育成をする、そしてまた、国際機関で幹部ポストを経験を一回して、日本に戻ってきて、より高いポストであったり経験を積んでやはり選挙に出ると、こういう流れをつくっていくことが必要なんじゃないかなと。北欧の取組とか見ておりまして、日本も学ぶところは非常に多いな、こんなふうに思っているところであります。  同時に、やはり考え方であったりとか価値観を共有する国々との連携というのは重要でありまして、先日のWIPOの事務局長選挙におきましても、今後の知財戦略の重要性等を踏まえて、関係国とも連携をして大きな成果を上げることができたと思っておりまして、今後もそういったトップを出していくと、また、その後の運営ですね、これに適切なものとなっていく、ガバナンスがきちんと取れると、このために関係国としっかりと連携をしていきたいと思っております。
  322. 柴田巧

    柴田巧君 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  323. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文でございます。  防衛関連企業へのサイバー攻撃対策及び防衛省の情報管理について何点か質問させていただきたいと思います。  本年三月十日に、私は委員会で、三菱電機へのサイバー攻撃問題についてお聞かせをいただきました。防衛装備庁はそのときに、安全保障上の影響については精査中であるという答弁でありました。その後、防衛省が研究を進めている高速滑空ミサイルの性能に関する情報が三菱電機側から漏えいした疑いが強いという報道がされています。  防衛装備庁が試作品の発注先を入札で決めるのに先立ち、三菱電機を含む複数の防衛産業に貸し出した性能要求事項がサイバー攻撃で漏えいした可能性が高いというふうにされているわけですけれども、まずこの高速滑空ミサイルの性能に関する情報が三菱電機側から漏えいした事実があるのかどうなのか、また三菱電機の調査状況は現在どうなっているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  324. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  三菱電機に対する不正アクセス事案につきましては、企業側において流出した可能性のある情報が記録されたデータファイルを精査していたところ、防衛省の装備品に係る研究試作の入札に関する情報で、総合評価落札方式の評価基準や研究試作を行う装備品に対する性能等の要求事項に関する注意情報が含まれていたことが判明しております。  この事業や概要については、これを公表した場合にはこの情報の更なる拡散を誘発することも考えられることから、お答えを差し控えさせていただいているところでございます。  現在、三菱電機と防衛省におきまして、流出した可能性のある情報約二万件、重複等を含めると約九万件でございますが、この情報を引き続き調査をしているところでございます。
  325. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 この高速滑空ミサイルの情報が漏れたのかどうかというのは、これはそれを言うことによって、公表することによって更なるダメージを負うことになるということから公表できないということですよね。  私、最初に、これレクのときも感じたんですけれども、であるならば、なぜこの高速滑空ミサイルの性能に関する情報が漏れた可能性が高いという情報が漏れたのかということが、そこが不審に思うわけですね。これ、メディアも、新聞、朝日新聞でありますけれども、朝日新聞には同社から漏えいした疑いが強いことが分かったということが書かれているわけであります。  これは、やっぱり防衛省から何がしかの情報が漏れたのではないかということが懸念されるわけでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  326. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  報道につきましては私も承知をいたしております。その装備品の名称がどうして出たのか、部内から出たのか会社側から出たのか、私どもとしては承知しておりませんが、いずれにいたしましても、この装備品に関する情報について、公表した場合には更なる拡散を誘発することも考えられるため、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  327. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ですので、このメディアの情報が正解なのか間違っているのかというのは分かりませんけれども、こういった話が外に漏れ出ている、そしてそれがどうして漏れ出たのか分からないということが、まずその防衛省の情報管理の在り方をもう一度これは見直していただきたいなということ、これをまず申し上げたいというふうに思います。  そして、これ、例えばNECがサイバー攻撃を受けた件は、中国のハッカーグループが関与して、国家ぐるみの疑いがあるということが言われておりました。  そこで、今回の三菱電機の件に関しては、防衛省として攻撃元を把握しているのか、また今回の件の安全保障上の影響、これはその後どのように考えるに至ったのかということについてお伺いしたいと思います。
  328. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  今回の三菱電機に対する不正アクセス事案につきましては、三菱電機の中国拠点のサーバーが攻撃を受け、同社のネットワークに侵入されたものと承知をいたしております。  攻撃元に関する事柄について把握しているのかという御質問につきましては、我が国の、我が方の手のうちを明かすということにつながることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。  また、安全保障上の影響についてでございますけれども、この研究試作を行う装備品につきましては、研究開発の各段階におきまして、運用者と研究開発担当者との間で直接議論を交わして性能等を決定していく方法により進めております。これは運用実証型研究と申し上げておりまして、一般的な研究とは異なるやり方で進めておるところでございます。したがいまして、この性能等の要求事項につきましては、今後具体化され、変わり得るものでございます。  また、先ほども申し上げたように、現在、三菱電機側と防衛省において、流出した可能性のある情報約二万件を引き続き精査しておるところでございまして、こうした状況も踏まえて、引き続き安全保障上の影響について精査をしてまいりたいと考えております。
  329. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ここで、大臣にお伺いしたいのでちょっと質問を飛ばすんですけれども、攻撃元については、把握できているのかできていないのかはちょっとよく分かりませんでした。攻撃元把握できていたらそれはすばらしいというふうに思うんですが、これ安全保障上の影響についても今もよく分からぬというお話がございました。  これ、結局、ファイルが膨大だということはよく分かるんですけれども、これ発覚したの去年の六月なんですね。で、今年の六月になりまして、もう七月になろうとしているわけです。つまり、一年間掛かっているわけですね。この重要事項が漏れ出ているかどうかもいまだに分からない、そして攻撃元もよく分からない、このような状況で一年間やってきて、いまだにこれ安全保障上の影響があるかどうか分からないという答弁となっているわけですけれども、なぜここまで時間が掛かるのかということと、このような状況であるということに対してどのような認識をお持ちなのかということを大臣にお伺いしたいと思います。
  330. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 今回、三菱電機の社内のネットワークの中で不審な動きを探知したということで、この三菱電機の社内ネットワークにつながっているパソコンが二十五万台近くあるという報告を受けておりますが、それら全てについて外部との不正な通信が行われていたかどうかというのを調査をした、また、外部との不審な通信があったと分かった端末について、そこからどういう情報が流出したのか、流出した可能性があるのか、そういう調査を行ったということで防衛省に報告を受けております。  今回の攻撃は、これどこまで言っていいのか分かりませんが、かなり従来の検知の手法ではなかなか検知ができない、つまり従来の監視あるいは外からのアクセスの監視や検知を擦り抜けて入ってくるかなり巧妙な手法であったために気が付くのが遅れた、あるいは、だからこそこの調査を慎重にやらなければいけなかったということで、ある程度の時間が掛かる、ある程度時間を掛けて徹底的に調べたということなんだろうというふうに考えております。そういう意味で、しっかり調査をした上で都度報告が上がってきているということでございます。  防衛省として、三菱電機としっかり協力をしながら全容解明と再発防止に努めていきたいというふうに思っておりますが、このサイバーの分野が新領域と言われている、そういう分野になっているわけでございますから、防衛省としても、このサイバー部隊、しっかりと拡充をし、レベルを上げていかなければならないと思っておりますし、関係する防衛産業とそこは足並みをそろえてやはりこの防護の技術というものを高めていく必要があるというふうに思っております。  サイバーの分野について、防衛省として人材育成を含めできる限りのことをやっていかなければいけない、そういう時代になっている、認識をしていきたいと思います。
  331. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。丁寧な御答弁ありがとうございました。  この再発防止をしていかなければいけないということだと思います。ですので、この手口はどんどん巧妙化していく、さらに、今回のような件があると、二十五万台ということを今大臣おっしゃいましたけれども、まさに膨大な労力を掛けて、どこに攻撃があって何の情報が漏れたのかということを知るだけで今一年間掛かっているということであります。ですから、この再発防止をしっかりとやっていくということが大事だというふうに思うんですけれども。  その上で、これ、そもそも三菱電機が、今回リリースの中で、今回流出した可能性のある情報について、防衛省の指定した注意情報であり、当該情報は貸与された紙のまま保管すべきでしたということが書いてあるわけですね。  お伺いしたいんですけど、三菱電機との契約で、当該情報どのような取扱いをすることとなっていたのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  332. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  三菱電機から流出した可能性のある情報の貸出しに際しては、その取扱いに当たって保全を徹底する旨の情報セキュリティーに関する誓約書を同社から提出させているところでございます。  この誓約書におきましては、保護すべき情報が漏えい等しないよう保全を徹底すること、必要最小限の者への必要な限度での供覧をすること、保全の状況に関する検査を受け入れること、漏えい等発生時又はその疑い、おそれがあった場合の速やかな報告といったことを取り決めているところでございます。
  333. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 その誓約書を取っているんだということで保全を徹底するという約束を交わしているということなんですけれども、であるならば、今回の案件を受けて三菱電機は何らかの処分を受けるであったりとか、何らかの罰則を付すといったことに至るのでしょうか。
  334. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  先ほど申し上げたように、現在、まだ三菱電機側と防衛省におきまして情報について確認をしておるところでございまして、そうした調査が今後取りまとめられた後に同社に対する不正アクセス事案の全容が明らかになるということでございますので、そうした段階で検討し、判断をしてまいりたいと考えております。
  335. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 まだその精査中であるということなんですけれども、もし今のような情報が、注意情報でありますけれども、漏れ出ていたということが明らかになった場合でも、余り効果のある制裁というか処分というか、そういったことを科すことはできないというふうに私は聞き及んでいるわけであります。ですから、ここは、しっかりとその誓約書の実効性を担保するためにその部分をしっかり強化をしていただきたい、見直しをしていただきたいということ、これを申し上げておきたいというふうに思います。  それから、これ、情報の流出の可能性があった場合に、先ほど大臣も答弁されていらっしゃいましたけれども、速やかに報告されるようになっているんだということでありますけれども、これ即時報告の義務付けということになっているのかどうなのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  336. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  企業に秘密等の情報を取り扱わせる場合には、当該企業との契約に付す特約条項に基づきましてこれらの情報を保護させているところでございます。  その特約の中には、秘密等の情報の漏えいなどの保全事故、おそれ等のある場合を含みますが、こうした事故が発生した場合における迅速な防衛省への報告義務を定めておるところでございます。
  337. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 この特約条項を見ますと、速やかにその詳細を報告しなければいけないということが書いてあるんですけれども、今回の事案であれば、六月にこの三菱電機が不審な動きを察知して、防衛省に対しては八月の報告だったということなんですけれども、これは速やかに報告ということに当たるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  338. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  企業側においても、そうした情報を察知し、確認する作業を行っていたと承知いたしております。私どもに報告があったまでの期間において、企業側においてはそうした精査を進めていたということで承知をいたしております。
  339. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 これは速やかじゃないと思いますよ。  経済産業省、三菱電機さんはいろんな分野にまたがって製造をしていまして、防衛関連企業だという位置付けだけではなくて、重要インフラも造っているわけですね。実際には、所管する経済産業省には、六月にあって、八月に防衛省にあった、だけれどもその翌年の一月にこれ報告があったということなんですね。もう極めて遅い報告だったというふうに聞いておりまして、経済産業省もかんかんに怒っておるということは聞いているわけですけれども。そういった意味では、この速やかに報告というのがいつからいつまでが速やかなんだという基準がこれ明確ではないわけですね。ですから、この特約条項も、この速やかにということは入っているんですけれども、じゃ何が速やかなのかというのはよく分からないということですので、この特約条項もしっかりこれは精査をしていただきたいというふうに思います。  そして、もう一つ重要なことは、先ほど申し上げたんですけれども経済産業省は、所管する経済産業省は、その次の年の一月に報告があったんですね。ですから、その間知らなかったんです、このサイバー攻撃を受けたということをですね。ですから、本来であれば六月に、まあ八月に防衛省がこの報告を受けた、そのときに各所に対してこれ展開をしていくということが必要だったんではないか、また、内閣府にサイバーセキュリティーの司令塔があるわけですから、そこに報告をして、そこから各所に展開をするということが必要だったんではないかというふうに思いますけれども、こういった情報の共有について見解を伺いたいと思います。
  340. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  今般、防衛省が指定した秘密等の情報を取り扱う防衛関連企業に対する一連の不正アクセス事案が生起したことを踏まえまして、再発防止策の一環として、防衛関連企業から秘密等の情報に係る不正アクセス事案が報告された場合における防衛省内及び内閣官房のNISCを含む関係省庁等との間の速報体制等をより万全なものとするためのルールの改正を行ったところでございます。  防衛省といたしましては、引き続き、不正アクセス事案が生じた際の政府内における適切な連絡、情報共有に努めてまいりたいと考えております。
  341. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 是非、情報共有をお願いしたいと思います。  最後に、大臣に、ちょっと質問半分しかできなかったんですけれども、サイバー防衛隊を拡充していってサイバー防衛部隊にするんだという話がございました。これ反撃能力を持つ人員の育成をするんだということがありますけれども、こういったコンテストを開催するということも聞いております。この高度な人材を確保するということは極めて重要だというふうに思いますけれども、この件についてのお伺いをしたいと思います。
  342. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) サイバーに関しましては、やはり人材の確保というのがこれは最大の要点だと思っております。防衛省内で人材の教育もやらなければいけませんし、外からそういう人材を採ってくるということもこれは積極的にやらなければいけませんので、コンテストなどを開いてそういう人材を発掘をする、あるいは官民の交流をしっかりやっていく、あるいは優秀な人間を一度大学などのコンピューターサイエンスの部門に送り戻して教育をしてもらう、また次官並みの給与まで払えるようにルールを作っていただきましたので、そうしたことを踏まえながら、この人材の獲得、育成、しっかりやってまいりたいと思います。
  343. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 時間が来ましたので、終わります。
  344. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  イージス・アショアの計画が突然停止となりました。地元住民と地方自治体が粘り強い反対の運動を続けてまいりましたが、この間のずさんな調査に怒りが広がって、さらにブースター落下問題で、安全だとしてきた従来の説明が破綻をしたというものであります。配備ありきの中で、地元自治体と住民は振り回されて多大な負担を強いられてきました。  大臣は、山口、秋田両県を訪問されました。昨日の秋田県の訪問では、知事は、住民説明会での様々なトラブルや二転三転する説明と、防衛省のこれまで二年以上の対応は大変ずさんだったと述べて、計画撤回の早期判断を求めておられます。この言葉をどう受け止めているのか、そして、この言葉どおり早期の撤退を決めるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  345. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 先ほどから申し上げているとおり、二〇一七年八月、九月にかけて北朝鮮の弾道ミサイルが毎週のように発射され、日本の上空を弾道ミサイルが飛び越えていく、そういう状況が起きたわけでございます。国民の命あるいは平和な暮らしを守るためにどうするかという議論の中で、二〇一七年の十二月、イージス・アショアを配備をする、そういう政府としての決定を行いました。  イージス・アショアの配備場所の検討の中で、山口県、そして秋田県にイージス・アショアを配備することによって、この日本の国土全域を最も効果的に防護することができる、そういう判断がなされ、山口県のむつみの演習場、秋田県の新屋演習場が候補地として選定をされたわけでございます。  地元の皆様への説明会の中で、この第一段ロケットに当たりますブースターを、むつみの場合には演習場の中に、新屋の場合は海上に確実に落下させる、そういう御説明をしてきたところでございます。  当初の認識は、ソフトウエアを改修することによってこのブースターをしっかりと落下させることができるという認識でございましたが、日米間で協議をする中で、ソフトウエアの改修だけでは確実にむつみの演習場内に落下させると言い切れない、秋田の場合は、再調査、そしてゼロベースで検討をするということでございましたので、詳細にはあれでございますが、むつみの場合にはハードウエアの改修をしなければ演習場の中に確実に落下させると言い切れないということが分かりました。  そのためには、恐らくSM3ブロックⅡA、日本側で一千百億円、アメリカで恐らく同額あるいはそれ以上の開発費を使っております。また、ブロックⅡA開発期間十二年ということがございました。  今回もそれに近い改修が必要になる、二千億の費用と十年以上の歳月を掛けてこのブースターをコントロールをする、これはなかなか合理的とは言えない、そういう判断をするに至りまして、これまで地元の皆様にはブースターを確実に演習場に落下させる、そう申し上げてきたところでございますので、防衛省としては、このイージス・アショアの配備のプロセスを停止をする、そういうことを申し上げ、金曜日、日曜日に山口県と秋田県に私、出向きまして、おわびと御説明を申し上げてきたところでございます。  この二〇一七年の十二月の決定は、国家安全保障会議と閣議による決定でございますので、防衛省としてまずイージス・アショアの配備のプロセスを停止をしたことを国家安全保障会議に報告をし、そこで議論をしていただきたいと思っております。  防衛省としては、なるべく速やかに国家安全保障会議の開催をしていただく、そういうことを求めてまいりたいと考えております。
  346. 井上哲士

    井上哲士君 イージス・アショア、当時の中期防には盛り込まれておりませんでしたけれども、二〇一七年、トランプ・アメリカ政権から、米国本土防衛のために導入を求められました。十一月にトランプ氏が訪日をして、重ねて米国製武器の大量購入を求めるという中で、直後の十二月に閣議決定をされたものです。  それで、今、計画停止の理由として、現状ではブースターが演習場内や海に確実に落下する保証がないというふうに言われました。当時はソフト改修で可能と考えていたと言われますが、当時がいつのことなのか、今日の議論でもはっきりしないわけですね。  まず聞きますけれども、このSM3ブロックⅡAは共同開発ですけれども、ブースターを安全な場所に落下させるということは、このイージス・アショア導入に当たっての要求性能にちゃんと含まれていたのでしょうか。
  347. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) イージス・アショアを配備するに当たって、このブースターの落下についても何らかの措置をとることによって安全を担保することが必要だ、そういう認識であったと考えております。
  348. 井上哲士

    井上哲士君 契約するわけでありますから、明確に要求性能に入れていたのかどうかということをお聞きしています。入っていたんでしょうか。
  349. 中村吉利

    政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。  大臣から御答弁申し上げましたとおり、導入の決定当時におきましても、ブースターの落下に関する影響について何らかの安全措置が必要との認識でございました。  ただ、この要求性能といたしまして、演習場内に確実に落下させるということは書き込まれていたということではございません。
  350. 井上哲士

    井上哲士君 当初の要求性能にはないんですね。元々、まともに認識をしていなかったんではないか。  河野前統幕長が、六月十七日付けの日経でこういうふうに言われています。ブースターの落下については当時は焦点になっておらず、地元調整の中で出た話だと言っているんですね。実際、一八年六月の防衛省のこの住民説明の資料を、私、手に持っていますけど、この中にはレーダーの電波の住民への影響についてしか書いていないんです。小野寺大臣がハワイに行ったことも書いてありますが、そこでもレーダーのことしか書いていないんですよ。  結局、この一八年六月の住民説明会で住民から危惧の声が出て、そこからアメリカと具体的な協議を始めたということではないんでしょうか。
  351. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 二〇一八年の八月の、八月だったと思いますが、説明会で、ブースターの落下について、演習場の中に落下させるという御説明をしたというふうに、したんだと思います。それまでの間に日米間でこのブースターについて協議を始めたというふうに私は認識しております。
  352. 井上哲士

    井上哲士君 説明では、一八年六月以降具体的協議を始めたというのが防衛省の方の説明でありました。しかし、その後も、この危険性に対する認識に相当乖離があるんですね。  十月の住民説明会の席上で防衛省の課長が、このブースターの基地の外への落下、陸上への落下について、二、三段目が落ちる可能性はゼロでないと、そうであったとしても、弾道ミサイルが我が国を直撃することに比べると可能性も被害も比べ物にならないと、こういう発言をいたしまして、住民、町民の激怒を買ったんですね、自分たちの安全はいいのかと。  当時は、やっぱりブースターの落下について危険性はこの程度の認識だったというのが実態だったんじゃないですか。
  353. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 防衛省として、イージス・アショアの配備に当たっては周辺住民の皆様に影響がないように配備、運用をすることが大前提と考えており、配備候補地の住民を犠牲にして配備するという考えは全くございません。  こうした考えは当時も今も変わっておりません。
  354. 井上哲士

    井上哲士君 この発言が非常に大きい怒りを呼びました。  当時も、ちょうど一年前のこの委員会などでも、これは不適切な発言だったと、こういう謝罪の言葉もあったんですね。しかし、私は、その後の事態を見れば、こういう認識だったのだとしか思えないわけです。  先ほどありましたように、当初の説明資料には全くこのブースターの問題はありません。住民の不安が広がる中で、二〇一九年の五月の住民説明会で安全だという説明がされるようになります。手元には十二月の資料を配付しておりますけれども、この電柱が、分かりやすくするために電柱柱の絵がありますけれども、五月は、これ以外は全く同じ資料が一九年五月に配られました。  この中で、ブースターを演習場内に落下させるための措置をしっかり講じますとして三つの計算方法を示して、これらを基にブースターの落下位置をあらかじめ予測することができますとしております。  この三つの計算方法で落下位置を予測することができるというのは、アメリカと合意した内容だったんでしょうか。そのアメリカ側の判断はいつ日本に示されたんでしょうか。
  355. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) ブースターの落下、これをソフトウエアの改修でむつみ演習場の中に確実に落下させることができるという認識は、日米協議の中でそういう認識に我が方として至ったものでございます。
  356. 井上哲士

    井上哲士君 私の質問は、この三つの計算方法で予測することができると、この説明の紙に書いてある中身はアメリカ側と一致している内容だということなんでしょうか。
  357. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 日米で協議をする中で、ソフトウエアを改修することによってブースターを演習場の中に落下させることができるという認識に立ったものでございます。
  358. 井上哲士

    井上哲士君 それはいつ日本に示されたんでしょうか。
  359. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 日米間で、イージス・アショアの配備に関しては、技術的なことを含め緊密に協議をしてきたところでございます。その協議の中で我が方としてそういう認識に立ったということでございます。
  360. 井上哲士

    井上哲士君 協議の中で我が方としてそういう認識に立ったと言われるんですけど、果たしてアメリカ側がそういう、確実に予測できるというふうに認識していたのかどうかということなんですね。大体、イージス・アショアというのは、住宅地周辺への配備を予定していないんじゃないかと。  秋田魁新報が、一八年九月二十九日付けで、ルーマニアにあるアメリカのイージス・アショアの基地を訪問して司令官を取材したことを報道しております。それによれば、アメリカ軍は、ルーマニア政府に対して基地周辺にブースターが落下する危険性を説明しているというんですね。そして、取材に対して司令官は、ブースターの落下位置を制御する難しさについてこう述べています。統計に基づく落下予測はあるが一〇〇%想定の範囲内に収まるとは言えない、最も確実な安全策は基地の周りに住宅を造らないことだと。これが世界で唯一実戦配備されているこのイージス・アショアの米軍の基地の司令官の言葉なんですよ。  一〇〇%の予測はできないと、安全なのは基地の周りに住宅を造らないことだと、これがむしろアメリカ側の認識だったということではないですか。
  361. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) アメリカ側の認識についてお答えする立場にございません。
  362. 井上哲士

    井上哲士君 アメリカと協議してソフトだけでできるとおっしゃるから、本当にそうだったのかということを私はお聞きしているんですよ。  そもそも、こういうアメリカ側の認識にかかわらず、この一九年の五月の説明会以降、防衛省は安全を明言するようになります。直後の六月三日のこの決算委員会で、当時の我が党の仁比議員に対して岩屋大臣は、演習場内に落ちるような運用を行ってまいりたいと明言をされました。河野大臣も十二月に、山口県知事らの質問に、風向き、風速を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御することは可能だと明言をされました。十二月十三日の会見でも、むつみ演習場は安全に配備、運用ができる場所と認識していると述べられております。  ところが、お手元のこの配付資料を見ていただきたいんですけど、注として、見えにくい字でありますが、アメリカ政府と連携しながら検討、分析を引き続き進めてまいりますと、こう書いているんですね。要するに、検討途中だということを書いているんですよ。検討途中なのにもかかわらず、なぜ安全な配備、運用ができるんだと、こう明言をされたんでしょうか。
  363. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 当初、ソフトウエアの改修でブースターを演習場内に落下させることができると、そう認識をしておりました。
  364. 井上哲士

    井上哲士君 それは検討途中と書いているじゃないですか、自分たちが。果たして、そういう、じゃ、検討ができる状況にあったのかということなんですね。  イージス艦の導入にも関わった海上自衛隊の元海将香田洋二氏が、一九年五月二十八日のNHKでこういうふうに述べているんですね。ブースターというのはミサイルを加速するためのロケットで、誘導する機能はないので、それを特定の場所に落とすということになると相当なシミュレーションを重ねて検証する必要があると。しかし、新型迎撃ミサイルは迎撃能力のテスト中で、ブースターがどこに落ちるかという検証の段階には至っていないと。これ五月の時点ですよ。  つまり、当時、岩屋大臣が安全な運用ができるという発言をした時点で、そもそもまだ検証の段階に至っていないという状態だったと。にもかかわらず、何で安全な運用ができる、ソフトの改修でできると、検証もせずにどうしてこういうことが断言をできたのかということをお聞きしています。
  365. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) その方がどういう理由でそういう発言をされたかはよく分かりませんが、防衛省としてはソフトウエアの改修で演習場内に落下させることができると認識をしておりました。
  366. 井上哲士

    井上哲士君 香田さんは、安保法制のときに与党推薦の地方公聴会にも来られた方であります、元海将と。その方がこういう発言をされているんですね。  何でこういう状況でソフトの改修で運用できると日米間のことで判断ができたのか。そもそもアメリカ側は、先ほど来いろいろ挙げました、こういうことをそもそも想定しないという中でそういう判断に本当に立っていたのかと。私は、日米間でいつどのような協議が行われて、アメリカからどういう判断が下されたのかと、そのことをきちっと資料にして提出をしていただきたいと思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  367. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) イージス・アショアの能力について公にすることは差し控えたいと思います。
  368. 井上哲士

    井上哲士君 能力じゃありません。ブースターの安全問題についてどのような協議が行われてきて、アメリカからどのような判断が下されたのかを示していただきたいと言っているんです。
  369. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 技術的な協議の内容を外に漏らすことは日米間の信頼関係を壊すことにもなりますので、差し控えたいと思います。
  370. 井上哲士

    井上哲士君 確定的でないことを安全かのように、そしてそれが日米間の合意であったかのように住民に言っていることの方が国民との信頼関係壊しているんですよ。だから私聞いているんですね。こういうことを、先ほど甘かったという答弁もありましたけど、それで済ませたならば、これから防衛省が言うことを信用できなくなりますよ、住民は。本当にきちっと検証が行われたのか。だから私は求めているんですね。ブースター落下の危険性などを考慮しないままにこの住宅周辺に設置計画を決めて、住民から安全について危惧の声が広がったら、検証の段階にすら至っていないにもかかわらず安全だと断言をして、結局住民を欺いて進めようとしてきたと。そのことの責任は極めて重いと思います。  それで、なぜこういうずさんな計画が合意になった、行われたのか。冒頭述べたように、アメリカからは本土防衛と米国製武器の爆買いを求められる中で導入決まりました。しかも、その迎撃能力は限られていて、多弾頭とか超高速度の弾道ミサイルには対応できないという指摘もされてきたわけですね。  安倍政権との関係も深いアメリカのシンクタンク、戦略国際問題研究所が昨年五月、「太平洋の盾 巨大なイージス艦としての日本」と、こういう題名する文書を発表いたしました。要するに、日本が巨大なイージス艦として盾になってアメリカを守るんだと、それでアメリカの財政負担も減るんだと、こういうことを言ってきたんですね。  こういうまさに要求に応えたものだから、とにかく配備ありきだということで、ずさんな説明で進められてきたと、こういうのが実態ではないでしょうか。いかがですか。
  371. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) アメリカのシンクタンクが発表したことについてお答えする立場にございません。
  372. 井上哲士

    井上哲士君 このシンクタンクは自民党や政府とも大変深い関係があるところでありますし、アメリカの下院の公聴会でもアメリカ軍太平洋軍の司令官が、イージス・アショアの配置によって米軍の負担が減るんだと、こういうことをはっきり述べているんですよ。こういうことがあるから、結局まともな説明なしに強引に進めようとしてきたと。  こういうことに対して明確な説明をして、停止ではなくて、一刻も早く撤退という決定をすることを強く求めまして、時間ですので質問を終わります。
  373. 田村智子

    田村智子君 日本共産党の田村智子です。  在日米軍の新型コロナ感染の問題について伺います。  米国防総省によれば、六月十五日現在、新型コロナウイルス感染者は、米兵八千九十四人、軍属一千九百三十四人、家族や請負業者を含めると一万二千人を大きく超えます。  在日米軍の感染者について、河野防衛大臣は三月三十一日の記者会見で横須賀海軍施設と嘉手納飛行場に所属する計八人の感染を明らかにしましたが、米国防総省が感染者の基地別や部隊別の人数や詳細について非公開とする方針を発表したことから、これ以降、政府からの情報公表は一切行われていません。  四月三日、衆議院安保委員会で我が党の赤嶺議員が、感染発生を隠すことは日本の感染症対策上問題であると質問しましたが、茂木外務大臣は次のように答弁をされています。新型コロナウイルス感染症対策については在日米軍と緊密に連携している、日米合同委員会合意に基づいて米側から適切に連絡を受けている、感染者が発見された場合、在日米軍の各病院の責任者からその地域を所管する日本の保健所長に通報され、日本の衛生当局間で対応を協議していくと。この答弁は資料としても配付しましたので、繰り返していただかなくて結構です。  二点、お答えいただきたいんです。  一つは、それでは日本政府は米軍基地ごとの感染者数を公表はしていないが全て把握しているということなのか、そして二つ目に、米軍各病院から保健所への通報を外務省及び厚労省は把握をしているのか、お答えください。
  374. 有馬裕

    政府参考人(有馬裕君) お答え申し上げます。  新型コロナウイルス感染症対策につきまして、日本政府としては、在日米軍と緊密に連携しており、これまでも日米合同委員会合意に基づいて国内における在日米軍関係者の感染者数や感染者の出た施設・区域などの必要な情報について米側から情報提供を受けております。  その仕組み等につきましては、平成……(発言する者あり)分かりました。それでは、先生から御指摘がありました三月三十一日、米国防省は米軍関係者の新型コロナウイルス感染症に関する情報の公表についての指針を策定しております。  この中で、各地域において米軍と地元の保健当局との連携を改めて指示する一方で、感染状況の個別の事案の詳細、個々の部隊、基地における感染事案の総数について対外的に明らかにすることは、安全保障上、米軍の運用に影響を与えるおそれがあるとの理由から、軍種別を含む世界における感染者の総数のみを公表するとの全世界的な統一の指針を示しました。同時に、この指針は、透明性と運用上の安全のバランスを保てるように最善を尽くすとも述べております。  日本政府といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、国内における在日米軍関係者の感染の数や感染者の出た施設・区域などの必要な情報については、その時々の状況について緊密に米側から提供を受けております。他方、各施設・区域の詳細を公表することにつきましては、我が国の安全保障や米軍の運用に影響を与えるおそれがありますので、お答えは差し控えさせていただきます。
  375. 吉永和生

    政府参考人(吉永和生君) お答え申し上げます。  新型コロナウイルス感染症対策につきましては、公衆衛生上の観点から、日米合同委員会合意に基づきまして、米軍施設・区域の医療機関と地元の保健所との間で、感染者の行動履歴等の追跡を含めて必要な情報共有を行い、感染拡大防止のために緊密に連携していくことを確認していくこととなっております。  在日米軍関係者の感染に関する個別事案の状況につきましては日米間で調整の上公表されることでございまして、御指摘の点につきましても厚生労働省からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  376. 田村智子

    田村智子君 つかんでいるかどうかもお答えできないというのはちょっといかがなものかと思いますし、これは外務省にお聞きしましたら、保健所にいついつ通報が行ったというのはつかむシステムになっていないというふうに言っているんですね。そうすると、本当に保健所にちゃんと連絡が行っているのかどうか、私たちチェックもできないんですよ。  アメリカ海軍協会の四月二十三日付けニュースでは、横須賀基地に整備のため停泊中の空母ロナルド・レーガンで十六人が感染していると報じています。これは誰でも見ることができる情報です。インターネットで今でも見ることができます。ところが、横須賀基地の感染者として公表されているのは六人です。  外務大臣外務省はこの十六人、全て情報をつかんでいるんでしょうか。そして、横須賀市保健所には十六人の情報は全て報告されているのかどうか、分かりますか。
  377. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、田村議員御指摘の米海軍協会、USネーバル・インスティチュート、これ米政府とは直接関係ない非営利研究機関でありまして、様々な研究機関、様々なレポートを出しているわけでありまして、そのニュースレポートの一つ一つに対して政府としてはお答えする立場にございません。
  378. 田村智子

    田村智子君 それは、でも、米軍から情報を得なかったら、こんなの出せるわけない情報ですよね。誰でも見ることできるんですよ、十六人感染。空母や戦艦でクラスターが起きていますからね、そういう情報としてあるんですよ。これも答えられないんですかね。  六月十七日、朝日新聞デジタル版、米軍三沢基地で複数人がコロナ陽性、県側に詳細伝えずと報じています。県によると、十七日早朝、米軍三沢基地から、米軍関係者の感染が確認され、基地の公式フェイスブックに情報をアップしたとの連絡が危機管理局にあった、三沢市を所管する上十三保健所を通じて詳しい情報提供を求めているが、夕方までに回答はなく、基地外での濃厚接触についての情報もないと。こういう報道なんです。  フェイスブックを見てくれと。これは三月に嘉手納基地で感染が確認されたときも同じような対応が行われたんですね。保健所が問い合わせてもなかなか回答をよこさない。外務大臣、これが適切な対応なんですか。
  379. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 先ほど申し上げましたのは、そのニュースレポートを見ることができないと私は申し上げておりません。あたかも委員が、米海軍協会、これが政府の機関であるような御質問をされたので、このUSネーバル・インスティチュートは米政府と関係のない非営利研究機関でありまして、そのニュースレポートの一つ一つについてお答えすることは政府の立場としてはできない、このようにお答えをしたところであります。  また、三沢飛行場の件につきましては、六月十五日に三沢飛行場に到着した一時展開部隊に所属する複数の軍人が新型コロナウイルスにウイルス感染症の陽性反応を示したと。いずれも症状は示していないものの、米軍の指針に基づき、施設・区域内で医療隔離されていると発表したと承知をいたしております。  また、三沢市は、隔離施設外におけます感染者の行動履歴はなく、接触者は一部に限られていることから、感染拡大の可能性はないものと考えていると発表したと、そのように承知をいたしております。  米側からは、現在、当該感染者の三沢飛行場到着後の行動については調査中であり、その結果、必要となれば統一軍法典に基づいて処罰をする、他方で、当該感染者は米軍施設・区域外には出ていないと、そのように説明を受けております。また、感染者の濃厚接触者の追跡調査及び施設の消毒を行うため、全ての関係者について原則二十四時間自宅待機とするなどの感染拡大防止措置をとったと承知をいたしております。  なお、この事案につきましては、保健所、さらに三沢市にも通報が行われていると、このように承知をいたしております。
  380. 田村智子

    田村智子君 いや、フェイスブック見てくれというのが最初の通報ですからね。これが適切なんですかとお聞きしたのに、それもお答えにならないんですね。私、適切じゃないと思いますよ、フェイスブック見てくれ。保健所に連絡が行ったのは保健所が問い合わせて半日以上たってからなんですよ。  これ、報道見てみますと、十五日にアメリカの本土から三沢基地に航空機で到着をしたと。アメリカの部隊で感染者が確認されたことから、十六日にPCR検査を行い、十七日未明に陽性者が数名いると。人数分かりません。この間、基地の中の一部施設を利用していたことから濃厚接触者の確認を急いでいるという記事なんですよ。これは三沢基地の司令官の説明に基づく報道なんですけれども。隔離と言いながら基地の中の一部施設は利用していたんですね。だから、基地の中の濃厚接触者の確認を急いだということです。  奥本菜保巳三沢市議、我が党の三沢市議から、じゃ米軍から市への通知、その後どうなっていますかということで資料をいただきました。六月十九日には濃厚接触者を隔離、移動制限、二週間の経過観察を行うという通知があったとあるんですね。日本では濃厚接触者は今PCR検査全部やるんですけれども、これやっていないのかなという疑問も浮かびます。それから、六月二十日にはまた新たな感染者が数名出たと。十五日にアメリカ政府のチャーター機で到着した別の部隊で感染者がいたようなんですね。それについての通知は、機内で近くに座っていた人を検査した、結果は陰性だったと。そうすると、チャーター機全部をすぐにPCR検査するわけでもないのかなと。  これ、相当に日本と検疫のやり方、検査の仕方が違うんだろうかという疑問も湧いてくるわけですね、まあアメリカにはアメリカのやり方あるかもしれませんけれども。もちろん、アメリカ軍だって自分のところで感染拡大がしたら大変ですからね、適当なことをやっているとは思いませんよ。だけども、そういう情報が、一体どこで何人感染していて、どういうふうな隔離やどういうふうな検査やっているのかということを、私は当該自治体にさえちゃんと通知していないということは大変問題だというふうに思います。  大体、アメリカ軍は、パンデミックで国際的に人の移動が厳しく制限している中でも、日本の検疫当然なしに自由に国境を越えて基地の中に入ってきていました。このことも、四月三日、外務大臣は安保委員会で聞かれて、衆議院の安保委員会で聞かれて、六十日間あらゆる国との移動を禁じているというふうに答弁されたんですけれども、米空軍機機動軍団の公式トラベルページで確認できるものだけでも、アメリカ本土、グアム、ハワイ、韓国、ディエゴガルシアなどから日本への移動は、四月から六月八日で三沢基地で十七回、横田基地で二十七回、嘉手納二十一回、岩国十回と。全然制限、まあこれでも制限なのかもしれませんけどね。じゃ、その制限が終わったら一体どれだけ移動しているんだろうということにもなるわけですよ。  これ、地元では、やっぱり基地の中に日本人の従業員も入るわけですから、不安が広がっているという声もお聞きしています。もっとちゃんと基地ごとの感染者、それに対する対応、詳細な情報をやっぱり求めるべきだと思うんですけれども大臣、いかがですか。
  381. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 六十日間の話については、今突然お話しになりましたが、答弁の中で、恐らく私として、原則とか必要がない限りとか、きちんとそれは注釈を付けて申し上げていると、そのように思っております。  そして、在日米軍からは、米軍関係者によります我が国への入国については水際対策を含む日本政府の方針に整合的な措置をとることとしており、厳格な渡航制限措置を維持している旨の説明を受けております。
  382. 田村智子

    田村智子君 それで国民の不安に応えることができるのかということなんです。  さっき基地の中での日本人の感染が不安という声紹介しましたけれども、では在日米軍基地で働く日本従業員の感染の状況はどうなっているんでしょうか。
  383. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 在日米軍従業員、これまでに七名が感染し、全員が回復し職場復帰しております。
  384. 田村智子

    田村智子君 もう少し詳細にお聞かせいただけませんか。キャンプ座間ではクラスターが起きたんではないですか。
  385. 河野太郎

    国務大臣(河野太郎君) 米軍の横須賀海軍施設所属の二名、米陸軍キャンプ座間所属の五名が感染をし、いずれも回復して既に職場に復帰しております。
  386. 田村智子

    田村智子君 私が防衛省にお聞きしましたら、このキャンプ座間の五人というのは基地の中の感染だと。基地の中の消防隊の活動をしている方だというふうにも聞いているんですけれども、そこには米軍の方も入ってきている活動なんですよ。だから、そういう感染がどうなっているのかということをなぜちゃんと知らせないのかなんですよね。  横須賀の場合、六人の感染者のうち、これは公表されているものです、三人が米軍施設外に居住をしていて、二人が池子住宅地から基地に通っていたということ、これ横須賀市のホームページで分かるんですね。  やっぱり、在日米軍に対して、どのように検疫が行われているのか、感染者が何人なのか、それすら当該自治体も詳細に知ることができない。国会でも、こうやって答弁求めても、ほとんど詳しい答弁得ることができない。どうやって私たちは日米合意がちゃんとやられているということを確認することができるんでしょうか。  ちょっと先に進めますけれども、今アメリカ軍の基地がある十五都道府県知事、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会は、外務大臣防衛大臣に、五月二十七日、新型コロナウイルス感染症に係る感染者情報の取扱い等に関する緊急要請、提出をしています。その中に、在日米軍基地における新型コロナウイルス感染症の発生状況や米側の措置について、積極的に公表されるよう米側に働きかけるとともに、国の責任において情報収集に努め、適時適切に公表することと、こういう要望書も提出をされているわけですよ。  これはアメリカ側に求めるべきだと思います。そして、日本側だって場合によっては適切に公表すると、これやるべきだと、要望に応えるべきだと思いますが、いかがですか。
  387. 有馬裕

    政府参考人(有馬裕君) お答え申し上げます。  先ほど御説明申し上げましたとおり、三月三十日、米国防総省は、米軍関係者の新型コロナウイルス感染症に関する情報の公表についての指針を作成しております。その際に、この指針の中で、透明性と運用上の安全のバランスを保てるように最善を尽くすとも述べております。この方針に、指針に従いまして、在日米軍も必要に応じ情報を公表しているところでございます。
  388. 田村智子

    田村智子君 要望するということもおっしゃらないわけですか。  アメリカは公表していない公表していない言いますけど、例えば在韓米軍はこれ基地ごとに何人出ましたということをそのたびホームページに出していると思われるんですよ。例えば、五月八日の発表、米国政府のチャーター便で日本から韓国に到着した際、陽性反応を示した、こういう情報もあるんですよ。つまり、日本の基地にいたときには既に感染していたということなんですよね。一体どこの基地からの移動なのかなというふうに思いますね。  また、これアメリカ軍の兵士だけじゃないんですよ。米軍の家族や基地で働く米国の請負業者の感染についても詳細に情報が公表されているんです。例えば、六十一歳の女性の患者はキャンプ・ウォーカーの売店を訪れました、接触者追跡を積極的に行っているなど、一人確認されるごとにそういう情報を出しているんですよ。  ところが、日本では、アメリカからフェイスブック見てくれですよ。そこに感染者の人数も書いてないんですよ。もうちょっと言うと、それどころか、アメリカ軍の岩国基地では、基地の中の感染防止のためだといって、日本人従業員に対して、六月七日までおたくの子供さんを公立小中学校に登校させないようにと、こんな要請までしているんですよ。自分たちは基地の中の感染情報を明かさない、それで日本の従業員の子供は感染持ち込まれたら困るから学校に行くなと言うと。  これが私は主権国家の姿なのかと情けなくなるような思いなんですけれども外務大臣、いかがでしょう。
  389. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 在韓米軍の関係につきまして、米側からは、在韓米軍によります対応は、先ほど来説明をさせていただいております三月三十日付けの国防省の指針に基づいたものであって、米軍の運用に影響を与えるおそれのある情報については公表していないと、このように説明を受けております。
  390. 田村智子

    田村智子君 本当に、地位協定を見直して、日本が検疫できるように、そしてせめて韓国と同じぐらいの対応をさせるように、これ政府を動かさなきゃいけないと思います。  終わります。
  391. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会