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2020-06-04 第201回国会 参議院 経済産業委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年六月四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         礒崎 哲史君     理 事                 阿達 雅志君                 大野 泰正君                 太田 房江君                 浜野 喜史君                 石井  章君     委 員                 青山 繁晴君                 加田 裕之君                 河井あんり君                 高橋はるみ君                 牧野たかお君                 宮本 周司君                 小沼  巧君                 斎藤 嘉隆君                 須藤 元気君                 竹内 真二君                 新妻 秀規君                 三浦 信祐君                 岩渕  友君                 ながえ孝子君                 安達  澄君    国務大臣        経済産業大臣   梶山 弘志君    副大臣        経済産業大臣  牧原 秀樹君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       宮本 周司君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 秀樹君    政府参考人        文部科学省大臣        官房審議官    矢野 和彦君        経済産業省大臣        官房審議官    河本 健一君        経済産業省大臣        官房福島復興推        進グループ長   須藤  治君        経済産業省商務        情報政策局長   西山 圭太君        経済産業省電力        ・ガス取引監視        等委員会事務局        長        佐藤 悦緒君        資源エネルギー        庁長官      高橋 泰三君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       松山 泰浩君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        南   亮君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      村瀬 佳史君        中小企業庁経営        支援部長     渡邉 政嘉君    参考人        東京大学公共政        策大学院院長   大橋  弘君        ジャーナリスト        ・環境カウンセ        ラー       崎田 裕子君        横浜国立大学大        学院工学研究院        教授       大山  力君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○強靱かつ持続可能な電気供給体制確立を図る  ための電気事業法等の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  強靱かつ持続可能な電気供給体制確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、東京大学公共政策大学院院長大橋弘さん、ジャーナリスト環境カウンセラー崎田裕子さん及び横浜国立大学大学院工学研究院教授大山力さんでございます。  この際、参考人皆様一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、大橋参考人崎田参考人大山参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず大橋参考人からお願いいたします。大橋参考人
  3. 大橋弘

    参考人大橋弘君) 東京大学公共政策大学院院長をしております大橋弘と申します。経済学専門としております。  本法律案との関わりですけれども、総合資源エネルギー調査会に設置された基本政策分科会持続可能な電力システム構築小委員会という会議体にて委員を務めさせていただいた御縁がございます。また、電力広域的運営推進機関及び電力ガス監視等委員会においても委員を務めさせていただいております。  本日は、このような貴重な機会をいただきましたので、今後の電力システムにおける課題やそれへの対応策について愚見を申し述べたいと思います。  東日本大震災福島第一原子力発電所事故という国民の記憶から決して消え去ることのない惨事をきっかけにして始まった電力システム改革も、今年の四月の法的分離をもって貫徹を見ました。  従来の我が国電力供給システムは、各供給エリアを担う大手電力事業者が、実質的に垂直一貫責任を持ちながら国民電力を届けるものでした。この日本型垂直一貫システムを解体し、発電小売に新たな競争導入しながら消費者メリットを還元するという大事業電力システム改革で成し遂げたと評価できると思います。この間、小売事業者登録者数は六百社を超え、また、販売電力量に占める卸電力取引所での取引量も四〇%に迫るレベルになりました。  多くの消費者にとって小売事業者の選択肢が増えただけでなく、大手電力事業者は少しずつ供給者目線から顧客目線に切り替えて事業に取り組めるようになったというふうに思います。まさに、これは電力システム改革がもたらした大きな改革一つではないかと思います。  自由化とは、経済性を追求するということです。市場が開放されて様々な事業者が自由に参入するようになると、大手といえども事業者経営効率化合理化に努めるようになります。採算性の悪い設備は休廃止する、余剰設備は持たないようにするといったことが効率化の一例です。  そうした取組が自らの事業コストを低減し、消費者価格の低下やサービス品質の向上としてメリットが行き届くというのが標準的な経済学の教える自由化内容になります。  ところが、標準的な経済学が十分に考察できておらず、他方で、電力にとって重要な側面があります。それは、安定供給という概念です。安定供給とは、何か事故があっても電力が支障なく供給されるべきという考え方です。  我が国では、電力システム改革が始まる前から安定供給を何よりも重要な柱と据えてきました。発電の源を海外に依存し過ぎることのないよう、できるだけ国内で賄おうとか、国内でつくられた電気消費者に届けるために電力系統をしっかり維持、敷設しようとかということが電力政策において重要な位置付けを占めてきました。  特に、現時点の技術では、電力を在庫として大量にため込むことが困難な中、供給が逼迫しているときも、だぶついているときも、電力需要供給を瞬時瞬時に一致させて停電を防ぐことが重要とされています。  一言安定供給とは、有事のために供給体制に余裕を持っておくということになります。一見すると、経済効率性安定供給とは対立関係にあるように見えます。経済効率のためには余分な設備を持つべきではないですが、安定供給のためには何か起こったときのために余分な設備を持っておくべきということになるわけです。  しかし、電力システム改革が始まったとき以来、経済性が強く打ち出されてきました。そこにはいろいろな理由があると思いますが、それまでの総括原価方式の下で安定供給に十分な設備量を保有していたために、強く経済性を打ち出しても安定供給にひびが入ることは当面ないという現実的な判断もあったのではないかと思います。  例えば、料金に対しては、電力ガス取引等監視委員会において厳しい査定を行い、電力システム改革が目指す低廉な電力料金をともかくも実現しようとしました。そして、実際に、自由化の中で大規模電源等が稼働しなくなっても、価格が大きく上がることもなく、また停電することもなく今日があるのは成功であると評価できると思います。  しかし、こうしたやり方を何年も続けていくと、余分な人材設備も削られていきます。そして、安定供給経済効率性との間のリバランスを考えざるを得ない時点が来ます。そして、まさにその時点が到来したのが二〇一八年夏の北海道胆振東部地震であり、昨年の台風十五号、十九号による大規模停電だったのではないかと思います。  それぞれの停電には固有の原因がありますので一般化はできませんけれども、度重なる大停電経験は、安定供給を誇りにしてきた我が国電力システムが盤石ではなくなったのではないかと国民に印象付けるに十分な出来事だったのではないかと思います。  改正案電事法の箇所では、電力システム改革において平時には競争する電力事業者が、自然災害において互いに連携協力すべきという精神が見られます。安定供給のためには競争を超えて協力し合うことを災害連携計画として義務化したのは評価できると思います。  災害においては、配電中心とした現場人たちが時に自らの危険をさらしながら復旧作業に取り組みました。本来、市場経済が骨の髄まで浸透しているのであれば、対価に見合わない復旧作業には応じないという事業者がいても不思議ではありません。しかし、現場方々が、お金のためだけでなく、早くお客様に電力を届けたいという一心で昼夜を問わず復旧作業に携わっていただいたと感じています。  本改正案運用においては、こうした現場やる気を後押しすることが重要です。間違っても彼らの思いをくじくことがあってはならないと思います。  新型コロナウイルス感染拡大の中で、電気生活の上でますますなくてはならないものになっています。経済効率性も重要ですが、安定供給は人の生命にも関わります。平時において安定供給重要性は忘れられがちであり、経済効率性が先に立つこともしばしばあります。電力システム改革が一応の貫徹を見る中で、事業者間の競争が従来よりも活発化する中にあっては、行政の規制の在り方も変わっていくべきと考えます。  今回、託送料金についてはレベニューキャップ制導入がうたわれています。自由化においては事業者やる気を引き出すことが大切であり、コスト効率化に努めればその分だけ努力に報いるということは大切な視点です。しかし、こうした良い制度も、厳しい料金単価審査セットとなれば実質的に骨抜きになります。レベニューキャップ制を生かすためには、料金審査セットで考える必要があります。  料金審査経済効率性に基づいてなされるのが現行のやり方だと思います。こうしたやり方は、電力ガス監視等委員会が発足した当初の社会的背景においては正しいやり方だったと思います。しかし、システム改革貫徹し、経済効率性電力システム全体に浸透しつつある現時点においては、安定供給にも目配りしたバランスが求められると思います。安定供給監視等委員会ではなく資源エネルギー庁にて管轄しているということを鑑みれば、今後の料金審査は少なくとも監視等委員会資源エネルギー庁との共同作業で行われるべきと思われます。  いずれにしても、安定供給重要性をいま一度本法案運用上しっかり御議論いただければというふうに願っております。  再生可能エネルギーについても一言申し上げます。  さきにも申し上げたとおり、電力システム改革においては経済効率性議論が強く表に出ており、安定供給だけでなく、環境適合性についても余り意を払われていなかったというのが現実だったと思います。二〇〇九年秋に住宅用太陽光発電の余剰買取り制度ができ、二〇一二年には固定買取り制度ができましたが、共に総括原価方式を採用しており、市場の中で価格が変化するという電力システム自由化議論とは切り離されていたというのが実態だったと思います。  再生可能エネルギーの普及が少なかったときにはそれでもよかったのですが、再エネ存在感が高まるにつれて、再エネ出力変動既存電源が支えられなくなってきました。具体的には、日射や風などの天候の不確実性がある中で、事前に日が照ると予測していたのに突如曇りになって太陽光発電からの出力が見込めなくなったときに、電力需要を賄うために誰かが供給を肩代わりする必要があります。  そうした何かあったときのために肩代わりをする電源を調達するのは送配電部門になりますが、再エネ設備量が増えると肩代わりする電源も増えることから、送配電部門の負担も重くなります。この場合、送配電部門が支えられなくなると、再エネ成長に足かせになることも考えられます。また、調達価格等算定委員会という行政のさじ加減で再エネ成長率を決めるという行政主導やり方も、再エネの着実な成長には不合理になりつつあると思います。  電力システム改革において、市場中心として投資判断がなされるようになる中、市場で伸び伸びと再エネが自律的に成長する状況へと一歩近づけるのがFIP制度だと思います。ある意味で、これまでの再エネ政策は量を求めてきましたけれども、これからは国民が求める質を追求する時代に再エネ政策も入ったと言えるのではないかと思います。  最後に、将来の電力システムについて、思うところを一点申し上げます。  今次、新型コロナウイルス感染防止対策の中で、私たち国民は、都市における過密、職場における長時間労働など、これまでの暮らしや働き方に伴うリスクや不健全さを改めて認識したと思います。ポストコロナでは、こうした不健全な世界へはもはや戻らず、個を中心として新たな価値観を模索する時代になるのではないでしょうか。  そうした中で、これまでほかの公共インフラとは独立に民間の取組で整備が進んできた電力を、地域政策の中にしっかり組み込んでいくことが必要だと思います。今後、地域を核とした経済活動を進めていく必要がある中で、例えば電力データを活用してビジネスを行ったり、あるいはそうしたデータ町づくりに生かしたりということも検討していくべきと思います。  改正法案では、配電網独立運用社会課題解決のためのデータ利用が定められており、正しい方向性と感じております。この改正法案を機に、電力政策公共インフラ政策としっかり連携をして、地域経済活性化に資するようになればと強く願っております。  以上でございます。この度は貴重な機会、ありがとうございました。
  4. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) ありがとうございました。  次に、崎田参考人お願いをいたします。崎田参考人
  5. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。崎田裕子です。よろしくお願いいたします。今日は、こういう機会をいただきまして、どうもありがとうございます。  私は、このお出しをしましたレジュメを基に意見を申し上げさせていただきたいと思いますが、今回関連するエネルギー法案に関しては、全体的なエネルギー基本計画審議、そして再生可能エネルギーに関する審議、水素・燃料電池に関する審議、そして電力レジリエンスに関する審議、この辺に関係をさせていただいてまいりました。  私は、これまで市民地域目線から、環境エネルギーを大切にした持続可能な地域づくりを目指して歩んでまいりました。特に、私はジャーナリストとして仕事をしておりますが、単に伝える、発信するというだけではなく、環境カウンセラーとして実践を地域方々とともに広げるということを重視してまいりました。  具体的に申しますと、NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネットという長い名前なんですけれども、五月末まで理事長を務めておりましたが、今世代交代をいたしましたが、ここでは、市民事業者行政連携をして地域づくりを進める全国の多様な動きを支援するような活動を長年続けてまいりました。  私、もう一つは、自らの事務所があるのが東京の新宿という町なんですが、ここで環境NGO運営し、公設の環境学習情報センター指定管理者を務めております。温暖化対策や3R、自然共生など、こういう啓発するような事業を学校と連携をし、あるいは区民、事業者連携して広く参加型で展開するというような事業運営しております。私は、運営責任運営というか、指定管理責任者として職員を派遣しております。  このような取組を進める者として、今回の法案に関して意見を申し上げたいというふうに思っております。  私は、気候変動対策を重視する視点と持続可能な地域づくりを目指す視点、そして安定供給備え視点、この三つの視点からお話をしたいというふうに思っております。  まず、気候変動対策を重視する視点から申し上げますと、再生可能エネルギー主力電源化と大規模自然災害対策というこの両者は車の両輪だというふうに感じております。  昨年九月、台風十五号は本当に観測史上最大風台風というふうに言われまして、関東地方で大規模停電を起こしました。その直後の台風十九号は今度は記録的な大雨ということで、中部地方関東から東北にかけて大規模な川の氾濫を起こし、各地で停電が発生いたしました。このように、地球温暖化による気候変動の影響と考えられる大規模災害が年々増えてきているというふうに感じておられる方は多いと思っております。  このような現実の中で、日本目標として、二〇三〇年にCO2排出量を二〇一三年度比マイナス二六%というのが今の目標なんですが、これで満足することなく、二〇五〇年度にはマイナス八〇%、そして、長期成長戦略で示しておられるように、二〇五〇年以降の早期に、日本パリ協定が求めるCO2排出ゼロを目指すということは大変重要だと思っております。  そのためにも、脱炭素社会を目指して再生可能エネルギー主力電源化に向けて、今回の再エネ特措法改正、そして災害などの増加を見越した、大規模自然災害増加を踏まえた強靱な電気供給体制確立を目指す今回の電気事業法改正、これは日本の今後を牽引する大切な車の両輪、大きな契機になるというふうに考えております。  まず、再生可能エネルギーに関して申し上げますと、これまで価格を一定にして支える固定価格買取り制度というので応援してまいりました。もちろん、賦課金あります。暮らしの中では電力費用がプラスされますけれども、再生可能エネルギー促進のためということで社会は応援をしてきたというような流れがありますが、これをもう少し電力市場と連動して、電気需要の多いときの発電にインセンティブを与えるという、この新しいプレミアム上乗せ制度、こういうものも今回入っております。こういうものに関して、再エネの急増に対応する送電網費用をどういうふうに支えていくのかという制度も今回入っております。  それだけでなく、太陽光パネル廃棄時を見据えた費用もきちんと考えてくださいというふうになっていたはずですけれども、なかなか進んでいなかったということで費用外部積立てを明確にするなど、急激に増やしてきた再生可能エネルギー社会の中にしっかり定着させるということを大事にした様々な視点が入っており、こういう動きを総合的な視点で迅速に進めようとしておる今回の見直しの方向性には賛同したいというふうに考えております。  次に、災害時の連携強化情報発信に関してなんですけれども、先ほど申したように、非常に台風などあったわけですが、昨年の台風十五号の停電復旧後に招集された電力レジリエンスワーキンググループ委員として参加いたしました。お隣の大山先生委員長を務めておられましたが、その中で、私も、送配電事業者はそれぞれが災害対応備えをして、大規模停電の際は人員とか作業車を交換して派遣し合って協力しようという流れはできていたというふうに思います。  ただし、実際には、仕様が違う工具とか設備、これをそういう派遣、集まった様々な会社の職員皆さんがきちんと生かし切れたか、工具設備人材、全てを生かし切れたのかという、こういう現実課題も見えてきたというふうに感じております。  今後、地震も含めて大規模災害の多発を念頭に、送配電事業者皆さん連携して災害連携計画を策定するということ、今回のこの義務化大変意義があることと考えております。  今後、被害状況復旧の予定など、社会への適切な情報発信、これに関してはなかなかまだうまくいっていなかった事例もありますので、こういう情報発信をどういうふうに社会にちゃんと伝えていくかという、こういうところから、きちんと事業者が迅速に計画を作り、取り組んでいただければ有り難いというふうに思っております。  また、仮復旧に係る費用事前に積み立てる相互扶助制度や、災害復旧に必要な電気使用状況情報収集を可能にすること、そして電源車燃料を迅速に調達する仕組みなど、実際の災害復旧での苦い経験を踏まえた審議の下に出てきた内容だというふうに考えております。是非、今後の災害復旧時に迅速に生かしてほしいというふうに考えております。  次に、持続可能な地域づくり視点から申し上げたいと思います。  今回の法案には、分散型電力システムの定着に向けた内容も多く含まれております。地域づくり視点からもこの改正案を評価したいというふうに考えております。  環境経済社会課題を統合的に解決する持続可能な社会づくり地域社会づくりというのが大変期待されているわけですが、特にその解決には地域資源を活用することが重要というふうに考えております。その際、どこの地域にも、例えばエネルギー資源となる太陽光、風力、水力、木質バイオマス家畜ふん尿廃棄物エネルギー地熱発電、温泉など、個性豊かな資源があると思います。このような地域資源から生成した再生可能エネルギーを活用して地域経済活性化を実現する、そして、そのエネルギーを活用して、例えば地域少子高齢化など社会課題解決するためのコミュニティー交通電源に活用するなど、再生可能エネルギー地産地消の動きも多くの地域で始まっていると感じております。  今回、ふだんは系統と接続し、災害時は独立運営を行うマイクログリッド実証事業、そういうものも北海道から沖縄まで多様な再生可能エネルギー生産地域で始まっているというふうに感じております。そのほか、分散型電源を束ねて提供するアグリゲーター、こういう存在もきちんと位置付けるなど、災害時に力を発揮するということを評価しておりますけれども、この分散型電源の発展に非常に重要な視点が入っており、今回の分散型電源導入促進を目指した様々な視点も重要なことだというふうに考えております。  三番目といたしまして、安定供給備え視点から、この法案に関して意見を申し上げたいと思います。  災害などを経験し、停電経験すると、ふだん当たり前のように電気を使っていることの便利さが身にしみます。日本エネルギー資源自給率先進国の中でも非常に少ない国であるということも、日常生活の中で思い出すことはほとんどありません。  けれど、日本にとって重要なエネルギー資源供給先での有事の際はどうするのか。そういうことに関しては、国が前面に立ってまず考え、行動できるように、制度の上で担保しておくというのは当然のことと考えております。ですから、今回、災害時の発電用の燃料調達とともに、エネルギー資源の確保に向けたJOGMEC法の改正というのも入っておりますが、重要な判断だと受け止めております。  最後に一言。東京二〇二〇大会の持続可能性に関して一言申し上げたいというふうに思っております。  私は、この東京二〇二〇大会組織委員会の外部専門家として、大会の持続可能な運営計画作りに参画してまいりました。SDGsの実現ということを明確に発信しながら準備を続けてまいりましたが、新型コロナウイルス対応で一年延期になりました。この期間を活用して、より質の高い成果を目指してほしいというふうに願っております。  持続可能性の面からいって、例えば都市鉱山メダルプロジェクトのように、全国から使用済みの携帯電話などの小型家電を集めて金、銀、銅メダルを再生金属一〇〇%で作り上げる資源管理の取組もあります。  そのほか、新しい施設には再生可能エネルギー一〇〇%で運用する設備導入をするということを明確に定めているなどありますけれども、福島太陽光発電された再生可能エネルギーを水素としてためて、作るときも使うときもCO2を出さないCO2フリー水素として選手の送迎用の燃料電池自動車あるいはバスなどに活用する。それだけではなくて、選手村地区を水素社会のモデル地区として開発するなど、将来のエネルギー活用のショーケースとなるよう多様な取組を進めております。  こういうような流れの中で、今、一人一人、私たち市民エネルギーをもっと身近に感じていくということが重要だと思いますが、この電力システム改革という大きな動きの中で、そういう一人一人の役割も感じながら、そして持続可能性、持続可能な未来に向かって社会全体が大きくかじを切っていくという、こういう時代を共に歩んでいくことが大切だというふうに思っております。今回の法案がそのようなきっかけになるのではないかというふうに願っております。  どうもありがとうございました。
  6. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) ありがとうございました。  次に、大山参考人お願いいたします。大山参考人
  7. 大山力

    参考人大山力君) ありがとうございます。横浜国立大学の大山と申します。よろしくお願いいたします。  私の専門分野は、電気工学、特に電力システム工学といったものになっております。私、電力広域的運営推進機関、いわゆる広域機関の電力レジリエンス等に関する小委員会の委員長、それから、先ほど崎田委員からも御紹介ありましたけれども、国の電力レジリエンスワーキンググループの座長を務めておりましたので、その関係でこちらに呼ばれたものと考えております。そういった経緯がありますので、私としては安定供給に焦点を当ててお話ししたいというふうに考えております。  最近起きた大きな停電、いろいろ起きておりますけれども、大きく二つに分類できると思っております。一つはブラックアウト、もう一つは主として配電系の、配電系というのは電圧の低い方の系統ですけれども、主として配電系の設備損傷による停電というふうに分類できると思います。  まず、ブラックアウトですけれども、ブラックアウトというのは大きな地域停電することということですけれども、じゃ、どこまで大きければいいんだとか、そういうところについてはちょっと定義的にはっきりしないところがあるかと思いますけれども、北海道は一応ブラックアウトになるだろうということには皆さん異議がないと思いますし、北米のブラックアウトなんかもあったかと思います。  この停電、ブラックアウトというのは、突き詰めていけば需要供給供給というのは発電のことですけれども、そのバランスが取れなくなることによって起きる停電である、バランスが取れなくなったときに、ほかの手当てがうまくいかなかったときに起きる停電というふうに思っていただければいいかと思います。  北海道のブラックアウト、記憶に新しいかと思いますけれども、設備損傷もありましたが、非常に多くの設備が損傷を受けたというわけではなくて、損傷の後に需給バランスが取れなくなることによって一気に全県が停電したという事象でございます。  ブラックアウトについてよく分析されているケースとしては、二〇〇三年八月十四日の北米大停電などがございます。北米大停電は、電力自由化の後だったものですから、その影響というのがよくいろいろ話題になっておりますけれども、自由化によってメンテナンスにお金を掛けなくなって、樹木の管理が適切に行われなくなった、伸び放題になってしまった。そのために、電線が温度上昇して少し垂れたときに樹木に接触してしまってというのが直接の原因というふうに言われています。ただ、復旧したときには、隣接した健全系統から電力供給されるということによって発電所を復旧させていきました。  北海道の場合は、樹木接触ではなくて、地震によって発電所が損害を受けたことが原因でございますけれども、本州とは直流送電という特殊な設備で連系されていたために、復旧しようとしたときには全くほかから助けが得られないで、ブラックスタートということをした珍しいケースでございます。  ブラックスタートというのは、ほかからの電力供給を受けずに、自分だけで発電所が起動できることをいいます。自動車なんかはセルモーターを持っているかと思いますけれども、普通の発電所はセルモーターを持っていませんで、ほかから電気を受けることによって初めて自分を動かすことができると。限られた発電所のみがそのブラックスタート機能を持っているという状況です。  ある程度以上の大きさの系統がブラックスタートしたというのは、広域機関の調べではハワイのオアフ島、ジャマイカに次いで三例目だということで、非常に珍しいことが起きてしまったということかと思います。  なお、電力系統運用者は、北海道は以前からブラックアウトだけは起こしてはいけないという教育を受けてきていて、系統運用者は皆さん非常にショックを受けたという状況だったかと思います。  もう一つの、主として配電系の設備損傷による停電ですけれども、次のような特徴を持っているかと思います。  まず初めに申し上げなきゃいけないことは、配電線の亘長、線路の長さですけれども、それは送電に比べて桁違いに長いということになります。したがって、全ての配電線を強靱に造ることは現実的ではありません。ということで、設備損傷をゼロに持っていくというのは難しいというか、できませんということになります。経済合理的な範囲でどうやって設備損傷を減らすかというのはもちろん考えなきゃいけませんけれども、いかに早く復旧するかということを考えることが重要になってきます。  なお、昨年の台風十五号、配電設備だけではなくて送電鉄塔も倒壊しましたけれども、こちらについては設備の強度を上げる必要があるというふうに思いますし、その検討は別途行われているものと承知しております。  ということで、ブラックアウトという起こしてはならないと教育されてきたことが起きてしまったこと、それから、気象激甚化によって設備損傷による停電が今後増加すると、既に増えてきていると思いますけれども、今後更に増加することが予想されるということから、今回の電気事業法改正は必要だと思っております。  まず、設備損傷に起因する停電に対する対策ですが、先ほども申し上げましたけれども、配電設備合理的な範囲で強化することはもちろん必要ですけれども、設備損傷はゼロにはできないので、いかに早く復旧するかが重要でございます。  今回の法律の改正案というのは、台風被害時の教訓があって、電力会社間、電力会社と自治体や自衛隊の間の連携強化が提案されているものと思っております。  今回盛り込まれていることですけれども、一般送配電事業者災害時にこれまでよりスムーズに連携すること。先ほど崎田委員から仕様の異なる工具だとかそういう話がありましたけれども、そういったことも含めて、そういう連携をうまく取っていく必要があるんだと。  それから、仮復旧ということを導入して復旧を早くする相互扶助制度、応援要請や仮復旧がしやすくなるためにそういう制度が必要であると。  それから、平時も含むデータの活用、そして発電燃料の調達といったことが盛り込まれておりますけれども、これらは全て、先ほど申し上げましたとおり、最近の台風災害時の教訓からきているものというふうに思っております。  次に、ブラックアウトに対する対策ですけれども、ブラックアウトからの復旧、まず原因ですけれども、先ほども申し上げましたとおり、需要供給のアンバランスというのが最終的な原因になると。ただし、どこのエリアでアンバランスになるかと考えていきますと、エリアが広い方がアンバランスが起きにくくなりますので、ネットワークの脆弱性、どこかで容量がいっぱいになってしまうというようなボトルネックの存在も問題となってまいります。  ネットワークがより強靱になれば、周囲の系統から電力の融通を受けることができ、需給のバランスが取りやすくなり、また復旧もしやすくなってきます。そこで、必要な設備投資を着実に実施することができる制度が重要になってまいります。どこに発電所が造られるか分からない状況でも対応できるマスタープランに基づいた広域系統整備、それから設備投資がしやすくなる制度といったことが今回の改正案に盛り込まれております。  なお、小分けされた地域ごとに需要供給がほぼバランスしていれば、非常時に系統を分離することによって一部の系統が生き残り、ブラックアウトは避けることができるということが電力システム工学の分野では昔から言われております。ただ、それをやるためには、常に系統分離あるいはアイランディング、島となって生き残るという意味ですけれども、アイランディングができるように発電電力を調整していくことが必要になります。地域ごとにほぼ需要供給がバランスしていれば切り離せるということでございます。  そのためには、発電が足りない地域にある発電所は、もし燃料費が高くてもたくさん発電する必要があって、これは経済運用とはちょっと異なってきまして、燃料費の増加を招いてきてしまいます。この費用をどのように負担するかということも重要になるかと思いますけれども、今回の法律案改正案では余り明示的には含まれていないかと思いますけれども、今後検討する必要があろうかと思います。大橋委員の方から送配電に対するインセンティブのお話がありましたけれども、これもそのうちの一つになるかと思います。  もう一つの対策としては、初めから系統分離、アイランディングができるように、まとまりの良い分散型電力システムを構築しておくことです。  今回の改正案では、配電事業者の創設、それから遠隔地における配電網独立化といったことも取り上げてあります。遠隔地の配電網独立化は平常時のコスト面からもメリットが期待できると思いますが、配電事業者の創設、これは直接的なコストメリットはないかもしれません。でも、非常時に備える手段を多様化するのは評価できるというふうに考えております。  以上で私が申し上げたいことはほぼ終わりですけれども、配電線地中化あるいは無電柱化について一言だけ補足しておきたいと思います。  配電線を地中化しますと、大ざっぱに言うと、費用は倍から、経産省の資料によれば十倍ぐらいというデータもありますけれども、故障は起きにくくなります。ただ、一旦故障すると復旧時間が長くなります。それから、台風、風には強いと思いますけれども、水害には弱いです。  というわけで、実は台風十五号のときは、一部の地域停電しているけど長く停電したというのが非常に問題だったわけで、そういうことから考えると、コストを掛けて本当にその停電確率は減るけど一旦起きたら長くなることを求めるのがいいかというと、それが効く場所もあると思いますけれども、全体的な話とすれば、レジリエンスだけでは配電線の地中化ということを正当化するのはちょっと難しいかなと思っております。  ただ、配電線の地中化には美観を良くするという効果がありますので、そちらを狙っていくというのはもちろん必要だと思っておりますので、今回の改正案に含まれている無電柱化の推進を含め、計画的な更新を求める制度というのはもちろん意義があるものだとは思っております。  ちょっとレジリエンスだけからは難しいところはあるかということを一言だけ補足いたしました。  以上でございます。どうもありがとうございました。
  8. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 高橋はるみ

    高橋はるみ君 ありがとうございます。自由民主党の高橋はるみでございます。質問の機会をいただき、心から感謝を申し上げます。  参考人の三人の先生におかれましては、大変貴重な御意見をいただき、私自身大変勉強になったところでございまして、改めて心から御礼を申し上げます。  今回の電事法等の改正案は、災害の頻発、また、中東など国際エネルギー情勢の緊迫化など様々な環境変化の中で、再エネ主力電源化を始めとする我が国エネルギー供給を強靱化するためのものと、このように捉えている立場でございます。  それでは、幾つかの観点について御質問をさせていただきたいと思います。  一昨年の九月、先ほど来先生方からもお話ございました、私の地元の北海道においては北海道始まって以来の大地震がございました。震度七を経験したのは我々初めてでございます。そして、それに誘発される形で域内全電力供給途絶、いわゆるブラックアウトを我々道民は経験をいたしました。泊原発、これは約二百万キロワットぐらいあるところでございますが、これが停止中に起こった事案でございました。  関係者の皆様方の、まあ私も含めてというふうにあえて申しますが、関係者の皆様方の御努力により約二日という短期間での復旧に至ったところではございますが、当時、知事として私は、道民の命と生活を守るという観点から二度とこのような事態は起こしてはならないと、このように強く思ったところでございます。  そういう観点から、北本連系線の百二十万キロワットですかね、への増強を大いに期待すると同時に、今回御提案のございます改正法案、必要と考える立場でございます。  他方、北海道は、御案内のとおり、再生エネルギーのポテンシャルは日本一であると、このように認識をいたします。日本全体の電源構成において再エネ主力電源化を目指す上で、北海道の果たす役割は大変大きいと考えるところでもあります。  こうした観点から、まず、大山参考人にお伺いをしたいと思うわけでありますが、災害対応、再エネ主力電源化の観点から、北本連系線増強の意義をどのようにお考えでしょうか。改めてお考えをお伺いをしたいと思います。
  10. 大山力

    参考人大山力君) ありがとうございます。  北本連系線を増強するということで、いろいろなメリットがあると思っております。まず、容量的に大きくなるということは、本州からいざというときにより融通を受けられるということで、北海道内の需給のアンバランスというものを解消する力が強くなるということで、起きにくくなるということはあると思います。  北海道系統というのは、全体の系統の大きさに比べて発電所が大きいと。苫東厚真も大きいですけれども、泊はもっと大きいと。泊が動いていたら大丈夫だったんじゃないかという話がありますけれども、そうもいかないよと、泊は何かあったらすぐに逃げると思いますので。いずれにしましても、本州からの応援がたくさん得られるというのは非常に大きなことだというふうに思っております。  もう一つ、先ほどちょっと申し上げましたけれども、ブラックアウトした後で本州からの応援が得られなかった、そのためにブラックスタートしなければいけなかったということがあるんですけれども、それは実は、そのときにあった北本連系線というのは、ちょっと電気工学的な話になりますけれども、他励式という変換器で、両側に電圧がないと動かないものだと。新しいものは自励式になっているということで、片側が電圧がなかったとしても電力が送れるようになると。したがって、ブラックスタートでいろいろなところが起動する必要があるので、一部はブラックスタートする必要があるかと思いますけれども、全系全てがブラックスタートに頼るということは解消する可能性がある、これも大きいことかなというふうに思っております。  もう一つ再生可能エネルギーの面でなんですけれども、これも北海道は、先ほどおっしゃられていたように、風力、特に風力の賦存量が大きいということで、本州に電気をもし流していれば、逆に何かあったときにブラックアウトしにくくなるといったようなこともあると思っているんですけれども、そのために北本連系線を強くするのはもちろん意義があることだと思いますけれども、残念なことに北海道の場合は、特に北の方の風力というのは可能性が高いと思っているんですけれども、北海道内の系統がまだそんなに強くない。  したがって、北本連系線ももちろん役に立つんですけれども、北海道の域内の連系線、失礼、連系線じゃなくて、送電線の強化というのがセットになって行われないと、なかなか難しいかもしれません。そちらもやる手だてというのを考えていく必要があるというふうに思っております。  以上です。
  11. 高橋はるみ

    高橋はるみ君 ありがとうございました。これからも引き続きよろしくお願いをいたします。  さて、次は、崎田参考人にお伺いをしたいと思います。  先ほどのお話でも触れていただいたことと関連するわけでありますが、広大な北海道におきましては、小水力、バイオマス、また地熱なんかも小規模のものも、温泉なんかもあります。そういった一定の地域に限定された再エネも多く存在するところであります。  一昨年のブラックアウト、さっき触れさせていただきましたが、この際に大規模な酪農地域において、本当に近くにバイオマス発電があるのに、それを農業の経営、営農に必要な電力として利用できなかったんだという声も地元から私どもに届いていたところであります。  そこで、崎田参考人にお伺いをいたしますが、小水力、バイオマスなど地域活用電源災害時のレジリエンス強化、そしてエネルギー地産地消、それぞれの観点からどのように位置付けていくべきでしょうか。是非お考えをお伺いしたいと思います。
  12. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) 今御質問いただきまして、ありがとうございます。  先ほどの意見のときにも少し述べさせていただきましたけれども、地域にある資源というのは、いろいろな意味を持ちますけれども、特に再生可能エネルギー資源というのは、どこの地域にも何らかのものが特徴的にあるというふうに思っております。ですから、それをしっかり活用して地域エネルギーとして安定的に供給できるような状態にするのは、はっきり言えば地域活性化、いわゆる経済地域で回すという視点から考えても非常に重要な視点だというふうに思っております。  特に、お話のあった小水力とかバイオマスとか、今、北海道などは非常にいろいろなものがありますけれども、そういうものを地域資源としてどんどん活用していくというだけではなくて、やはり、おっしゃられたように、ブラックアウト、ああいうようなことがもし起こった場合、今まではそういうことはほとんど想定されていなかったわけですけれども、今後大災害が今以上に増えるというのは状況からいって仕方のない状況。  もちろん、それをどういうふうに防ぐかということをみんなでやらなきゃいけないわけですけれども、そういうことに対応するために、今回、そういう少し遠い地域を少しまとめて、グリッド遮断をしてマイクログリッド、こういうものを明確に位置付けていこうということが入っているというのは大変大きな意義があるというふうに考えております。  そういう意味でも、これから地域の新しい動き、そして災害対応ということで意味を持つ法案だというふうに思っております。
  13. 高橋はるみ

    高橋はるみ君 ありがとうございます。  それでは、次は大橋参考人によろしくお願いをいたします。  この国会におきまして、5G、そしてドローン導入法というのが成立をいたしました。私も、この法案についても質疑という形であのときも勉強させていただきました。ありがとうございました。  今後、こういった中で、IT技術というのは飛躍的に進展が想定されるところでありますが、こうした中で今後の電力を始めとしたエネルギーシステム転換の方向性をどのようにお考えになっておられるでしょうか。大橋参考人のお考えをお伺いをしたいと思います。
  14. 大橋弘

    参考人大橋弘君) ありがとうございます。  5GとかあるいはIT技術のお話いただきましたけれども、これまでのエネルギーシステムというのは、需要供給があるわけですけど、需要というのは取りあえず与えられたものとして、それにどうやって供給とか設備を合わせていくかというふうなのがこれまでのエネルギーシステムだったというふうに思います。  他方で、御指摘のあった技術が入ってくると、実は需要側にそういうふうなシステムを入れることで、その需要電力、例えば産業用とか業務用とかの電力を管理することができるようになる、コントロールすることができるようになると、その供給設備を増やすんじゃなくて、需要を減らすということも他方でできるようになってくるのかなと思います。  これは一部、需要側の電化を進めることにも多分なるのかもしれませんが、そうすることで実は産業用のデータも取れるようになってくるということで、それがAIとかを使って、製造業の例えばAIを活用した更なる生産性向上というものにもつながり得るのかなと。そういう意味でいうと、エネルギーシステムの転換をしながら経済成長にも実はつながり得るような、そういうような展望も見えてくるんじゃないかというふうに思っております。  ありがとうございます。
  15. 高橋はるみ

    高橋はるみ君 ありがとうございました。  今後とも、このIT技術の発展ということを私もしっかり見届けていかなければなりませんし、同時に、そういった環境の中におけるエネルギーシステムのありようということについても、また先生方の御指導をいただきながら、我々も考えてまいりたいと思います。  若干時間がございます。  現下の我々日本国民、そして、政府挙げてコロナ危機への対応というものを、全力を挙げて対応しているところでございます。  このコロナ危機、ウイズコロナあるいはアフターコロナ、いろいろなことがいろんな場で言われておりますが、明らかにいろんなことが変わってきている。そして、そのことがアフターコロナの時代にも定着するんではないかというようなことも言われている中でございますが、このコロナ危機を経験した日本国において、このことの対応を通じて今後のエネルギー政策への影響をどのようにお考えになられるでしょうか。  時間も限られております。それぞれの参考人から一言ずつお考えをお聞かせいただければと思います。
  16. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) それでは、大橋参考人からお願いいたします。
  17. 大橋弘

    参考人大橋弘君) ありがとうございます。  簡単にですが、今、足下、エネルギー価格あるいは化石燃料価格が物すごく下がっているというふうな状況が見られています。これ、需要の減少に伴うものだと思いますけれども、この状況というのは、実は、税制をグリーン税制へ抜本的に変えていく一つのチャンスなのかなというふうに思っています。  今後、地球温暖化に対する対応というのは、我が国、更に求められるところでありますので、そうしたところにも是非御議論していただければなというふうな思いでおります。  ありがとうございます。
  18. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 続きまして、崎田参考人お願いいたします。
  19. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  先日、三十七人でウエブでシンポジウムというのに参加をいたしまして、打合せ段階でそこの主催者は本当に綿密な打合せをしていたんですけれども、できた。半分ぐらいは初めての方なんですが、逆にそういうときの方が、みんな配慮し合いながら、話し方、そして時間をきちんと守ったり、いろんなことをやって、なかなかいい形で終わったという印象を持っています。  そういうふうに、単なる打合せとか会議だけではなく、様々なところでそういうウエブでミーティングというのが当たり前のように定着する時代になるというふうに強く感じました。  それを感じると、やはり都心とか都会だけではなく山間部、様々なところで、やはりエネルギーとその環境、インターネット環境さえあればいろんな方と話せるという、そういうような明確な時代の変化が起きるというふうに思っております。  それを考えれば、先ほど来申し上げている分散電源化とか、そういうことの一層の定着というのが、今までの一部の地域ではない、全体の話になるのではないかというふうな印象を持っております。  ありがとうございます。
  20. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) それでは、大山参考人お願いいたします。
  21. 大山力

    参考人大山力君) コロナの件ですけれども、今、崎田参考人の方からお話があったように、インターネットを介した仕事のやり方とかそういうのが定着してくれば、それから経済的にもある程度上向いてくれば、より、何といいますか、安定供給された電気というのは重要になってくるというふうに考えております。  ただ、それを守るということを考えますと、今のところ電力会社、ガス会社でコロナが蔓延したという話は聞いておりませんけれども、メンテナンスをする作業員の方々のコロナ対策とか、そういったことが当面は非常に大事かなというふうに思っております。将来的にはそれを克服して、違う形の社会においてもエネルギーが重要だというふうに申し上げたいと思います。  以上です。
  22. 高橋はるみ

    高橋はるみ君 どうもありがとうございました。
  23. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 国民民主党共同会派の浜野喜史です。  本日は参考人皆様、誠にありがとうございます。  まず、大山参考人にお伺いをいたします。  太陽光など変動電源の大量導入につきましては、発電も含めた電力ネットワークの安定性という点でどこかに限界があるんだろうと私は認識をいたしております。  そこで、大容量同期発電機が系統の安定化に不可欠といったようなことも言われます。そんなことも含めて御見解をお伺いいたします。
  24. 大山力

    参考人大山力君) 現状の電力システム、交流のシステムですけれども、それは大容量の同期発電機、交流の発電機をベースにしてつくられてきたという経緯がございます。太陽光に関してですけれども、二つありまして、一つは天候によって出力が変動するということ、それからもう一つは、基本的に出力が直流ですので、半導体、パワーエレクトロニクスによって交流に変換させなきゃいけないといったことがあるかと思います。  ですから、今御質問にもありましたとおり、現状のシステムに入れていくためには、やはり同期発電機がなくなってしまうというわけにはいかないよということは確かだと思います。  あと、どれだけ入れられるかというのは、たくさん入ってくると、ヨーロッパの国によっては、特にアイルランドなんかですけれども、その同期発電機が減ったことが問題になるということで、同期発電機の割合を常に計算するなんということもやっているようでございます。日本もほかの国と連系しておりませんので、そういうことが起きる可能性は大いにあるんですけれども、まだそこには至っていないと思っています。  今すぐ問題になるのは、出力が不安定というか変動してしまう。出ると思っていたのが出ない、あるいは出ないと思っていたのが出る。そうすると、電気の場合は、足りないときはもちろんまずいんですけど、余ってもまずいので、どちらにとっても非常に問題が大きいと思っていますので、日本電力系統運用を行っている、今は送配電部門ですけれども、非常に慎重にやっていると思いますが、慎重でありつつも徐々にやはり導入を増やしていくというのをやっていかなきゃいけないというふうに思っております。  よろしいでしょうか。
  25. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 ありがとうございます。  大山参考人に引き続きお伺いいたしますけれども、配電事業ライセンスの導入に関してお伺いいたします。  これによって、これがどんどん出現をして認可をされて、配電事業、そして当然、電源セットだということになろうかと思いますが、これが進んでいけば電力ネットワークに依存する者が少なくなっていくということになるんだろうというふうに思います。そうなってきますと、その送電網を維持していく意味での負担者が減っていくということにつながるんだろうというふうに認識をいたします。  ある面では送電網など電力ネットワークの強化ということに逆行するのではないかというふうに私は思うんですけれども、大山参考人の御見解をお伺いいたします。
  26. 大山力

    参考人大山力君) まさにおっしゃるとおりの側面はあるというふうに思っております。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、分散型にしていくということで独立配電をやっていくというのは、直接的なコストメリットないかもしれないよというふうに先ほど申し上げたと思います。  常時でいえば、やはり電気というのは広い地域でお互いに割合手軽にというか、それほどコストを掛けずに融通できるよということが大きなメリットになっていて、それを追求してきたのがこれまでのやり方だったかと思います。ただ、非常時を考えると、そういう分散型のことというのはメリットがある可能性があるので、非常時に対する保険としてやるのはいいかなというふうに思っております。  ただ、全てをそれにしたら、多分常時のコストは、保険料ですから、高くなってしまうということがありますので、基本は広域のネットワークを維持しつつ、非常時を重視する方が分散型のシステムを構築していくという姿が正しいと思っていますので、そのバランスが取れるような政策をやっていただきたいというふうに思います。
  27. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 もう一問、大山参考人にお伺いいたします。  補足で触れられました配電線の地中化について、メリットもあるけれども一方デメリットもあるんだという御見解でございました。もう私も全く同感なんですけれども、ちまたでは配電線地中化も全て善だというような社会的理解なんじゃないかなというふうに思います。  その辺りを是正していくために、その正確な発信というものが必要なんだろうと思うんですけれども、御見解をお伺いいたします。
  28. 大山力

    参考人大山力君) まさにおっしゃるとおりで、ちまたでそういうことになっているので、先ほど補足で申し上げたというのが私の偽らざる気持ちでございます。  私一人でどれだけできるか分かりませんけれども、特に皆様方とは一緒になって正確な情報を発信していきたいというふうに思っております。  どうもありがとうございます。
  29. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 ありがとうございます。  次に、大橋参考人にお伺いいたします。  二〇一五年からの一連のシステム改革が、Sプラス3E、そして国民の豊かさの増大にもう本当につながっているんだろうかというふうに、私は疑問なしとはいたしません。様々な改革に関わってこられました大橋参考人の率直な御見解をお伺いいたします。
  30. 大橋弘

    参考人大橋弘君) ありがとうございます。  この国民の豊かさというものはいろんな次元があると思いますので、なかなかストレートなお答えは難しいですけれども、一つ言えることは、電力システム改革の中で、特に我々のような一般家庭が少なくとも選択肢を与えられるようになったということというのは、その選択して選べるというふうなことというのは、まあ一つ、その豊かさの一端ではあるのかなというふうなところはあります。  他方で、やはり将来的には価格というのが、いろんなメニューが提供されますし、あと今後もどんどん、時間によって変わるような電力料金というのも提示されるんじゃないかと思いますので、ますます複雑になってくるという意味で本当に消費者がきちっと選択ができるような環境にあるのかというところはしっかり見ていかないと、本当にこの制度国民の豊かさにつながらなくなってしまうというところもあるんじゃないかなと思います。ここはしっかり、制度国民の理解というものも併せてやっていかないといかぬというふうに思っております。  ありがとうございます。
  31. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 引き続き、大橋参考人にお伺いいたします。  料金審査に関して、安定供給重要性も鑑みるべきではないかと、これからはということをおっしゃいました。私も基本的に同様の思いを持っておりますけれども、それを具体的に今どのように実現していくのかということについては、制度化するといってもなかなか難しいでしょうし、どのようなこの制度運用ということを参考人はアイデアとしてお持ちなのか、御説明をいただければと思います。
  32. 大橋弘

    参考人大橋弘君) 問題提起とそれの解決というのはなかなか一対一でつながらないところがあって、解決方法というのはいろんな多分、方々のお知恵借りなきゃいけないと思うんですが。  この監視委員会を、中立というかな、にすればするほどなかなか難しくなってくるという側面が多分あるんだと思うんですよね。電力政策というのは非常に、おっしゃったように、Sプラス3Eのバランスの中で成り立っているので、そういう意味でいうと、そのバランスというものを、いかにエネ庁とあと監視委員会と、あと広域もあるのかもしれませんけれども、そういうふうな中でうまくタスクアウトしていくのかということがすごく重要だと思っています。一方の組織を高みに、一段上に置いちゃうと、なかなかそこの辺りのバランスというものを保つことというのは難しくなるというふうな印象を持っております。
  33. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 引き続き、大橋参考人にお伺いいたします。  現在、ベースロード市場、容量市場、需給調整市場、非化石価値市場等々が導入されたり、検討をされてきているというところでございます。この検討にも参考人は関わられたというふうに理解をいたしますけれども、各市場の仕組みについて、評価と今後の課題、概括的に御説明いただければと思います。
  34. 大橋弘

    参考人大橋弘君) ありがとうございます。  今いただいた市場はそれぞれ問題があって、その電力システム改革の中での問題に対応する形で市場をつくり、そして新たな大手事業者以外の参入を促そうという意図でやってきた市場であって、よって、そのそれぞれの市場というのはそれぞれ非常に精緻につくられた市場のメカニズムだと思います。  他方で、電力事業者という観点でいうと、それらの市場を横並びで見て、そして基本的にはビジネスをやっていかないといけないので、整合性がそれぞれの市場できちっと取れているということが非常に重要だと思います。  他方で、そもそも課題に対する対応として市場をつくったということもあるので、そこの整合性というのを今後どうやって確保していくのか、その中で制度の微修正を図っていくということが今後の課題だというふうに思っております。  ありがとうございます。
  35. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 ありがとうございます。  大橋参考人にもう一問だけお伺いいたします。  改正案運用においては現場やる気を後押しすることが大前提であるということをおっしゃっていただきました。私も、やはりこの電力のネットワークを支えているのは職場の方々だというふうに思いますので、現場やる気ということを後押しすること、もう本当に必要だと思います。  こういうことをやはりやっていくべきではないかというアイデアがあれば、是非コメントをいただければ幸いでございます。
  36. 大橋弘

    参考人大橋弘君) 崎田委員からも御指摘あったんですけど、例えば仕様を統一化するというお話があったわけですが、この仕様を統一するという目的は何かというと、多分効率化のためだというところだと思うんですけど、他方で、仕様というのは技能と結び付いているところが多分にあって、今は担い手確保で技能継承も結構大変な中で、仕様統一と言っちゃうとなかなか、もしかすると時間軸で考えてみると大変なのかなというふうな感じを持っています。  ここは、短期的にはやはりその技能継承、しっかり担い手育てていかなきゃいけないというところと、中長期的に仕様の統一を図っていこうよというような、ちょっと時間軸を持った考え方で是非進めていかないといかぬのじゃないかというふうなことを、一例ですけれども、思っております。  ありがとうございます。
  37. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 ありがとうございました。  崎田参考人にお伺いいたします。地球温暖化対策についてお伺いしたいと思います。  我が国は八割削減と、大幅削減を求めていこうという方針を打ち出しております。そんな中にありまして、我が国が取るべき方策とはどういうものなのかということ、そして、その中で原子力発電をどのように位置付けていくべきなのかということについて、参考人の御見解をお伺いしたいと思います。
  38. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  マイナス八〇%に向けて我が国が取るべき方策というお話がありました。  先ほども申し上げたように、マイナス八〇%も終点ではなくて、今世紀後半のできるだけ早期にCO2プラス・マイナス・ゼロを目指すという、そういう世界の大きな流れにどういうふうに取り組んでいくかということが問われているというふうに思っております。  この前、今のエネルギー基本計画審議に参加をさせていただいたときに、多くの議論の中で私もはっとする思いがあるんですが、それは、やはり二〇五〇年目指すときに、二〇三〇年までのボトムアップ型のものと、やはりイノベーションをしっかりその間もしていくという、二〇五〇年あるいは長期目指すイノベーションをしっかりやっていくという、その両輪でしっかりやっていくという、そういうところが非常に大事なんだというふうに思っています。  ですから、今回のようなやはり現実をどうしっかりと考えて再エネを増やしていくかということと、例えば、さっきも申し上げました水素燃料電池などをうまく活用して新しいCO2フリー社会をつくっていくという路線、そういうことも大事だと思っています。  そこに原子力はどう位置付けるのかということなんですが、私も今、自給率の低い日本の中で原子力というのを一つの選択肢として残しておくことは必要なんではないかというふうに思っております。ただし、福島でのあの事故のように、何か事があったときのリスクが大きいということが社会みんなで分かりました。ですから、安全対策を徹底に、そしてできるだけ抑えながら、でも基本を確保するという、そういうようなバランスを取った政策を取っていただきたいというふうに思っております。  よろしくお願いいたします。
  39. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 終わります。ありがとうございました。
  40. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 公明党の三浦信祐でございます。  先生方、今日は貴重な御意見、御提言をいただきまして、ありがとうございます。  まず冒頭に、大橋参考人に伺わさせていただきたいと思います。  浜野委員からも先ほどありましたけれども、まず、我が国電気事業者、また送配電、総じて言えば、エネルギー供給する側の事業者皆さんというのは、とにかく、例えば電気ですと、電気を通すということが、入口の段階から、そして自分のされている仕事、それ全てもうそこに集約をして仕事をされています。これはもう世界に誇るべきことだと思いますし、それに日本は支えられていると思います。  一方で、競争時代にありながら本当にしのぎを削っている、一方で有事で協力ができると。これは本当に、モチベーションの問題と、そして現実的な課題両輪でありながらも、電気を通すというその一言に全て尽きていると思います。  その上で、先ほどありましたけれども、現場やる気を後押しをすることが大前提と。競争を促しておきながら現場やる気を促すと、なかなか難しい課題ではあると思います。我が国として、また政治の分野からも、行政の方としても、どういうことを具体的に支援をしていくべきかということを是非御教示いただければと思います。
  41. 大橋弘

    参考人大橋弘君) 電気を通すに当たって、電力事業者というのは何々電力だけじゃなくて、下に、裾野にいろんな電工とかを含めて事業者がいます。そうしたものを一体として電力事業を支えているというところがあるんだと思います。  経済効率性の観点から、基本的に一般競争入札というものを導入して価格が安ければ落札すると、それはどこからでもいいという形がかなり強く導入されたんじゃないかと思いますけれども、他方で、そういう事業者方々の中に、緊急時にどれだけの人が、自分が手を挙げて汗をかく人がいるのかということは、なかなか多分競争入札時で分からないんじゃないかと思います。  そこは、やはり一つ、そういうふうな非常時にも協力していただく方にしっかり取ってもらうことで健全な産業を育てていくという視点がすごく重要だと思っていまして、価格のみの一般競争入札を推進するというような考え方は、当初は総括原価から変わる変わり目でもあったので、振り子というのはこっちへ寄せないとうまくシステム動かないというのはありますけど、そろそろそういうところも含めて、業界全体をいかに足腰育てていくのかという観点での調達も一つ非常に重要な課題だというふうに思っています。
  42. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 大橋参考人に引き続き伺いたいと思います。  まさに今おっしゃっていただいたことが、国民的理解と行政的理解、二つが両立しなきゃいけないと思います。限られた予算の中でいかに安くやっていくかということと、一方で、レジリエンス性を考えて、その持続可能性のために必要な経費を出していくということ、どうしてもこれが、特に行政の入札のときには理解がされないということがあります。これは我々もしっかりと見ていかなければいけないというふうに思いますけれども。  そういう視点から考えると、安定供給災害の対応ということは間違いなく両輪であると思います。その中で、多数の事業者が関わる中でこのレジリエンスを確保するための調整機能、これが極めて重要だと思います。その司令塔を担っていくところは具体的にはどういうところが担っていく、そして災害が起きたときにどういう指揮系統をつくっていくかと、こういうことが大事になると思いますけど、是非この点について御意見いただければと思います。
  43. 大橋弘

    参考人大橋弘君) ありがとうございます。  今おっしゃった点は、この法案をどうやって魂を込めていくのかというところに非常に密接に関わるんだと思います。  基本的には、私の理解ですと、被災した地域における送配電部門がそれを担うという形になっているんだと思いますけれども、さて、その地方の電力事業者にそれが急に来た場合にできるのかと。プッシュ型の支援ということなので、物すごい物量がもしかすると来る可能性があって、それをさばき切れるのかというのは、実はちょっとこれは本当に可能なのかどうかというのはしっかり見ていかないといけないんだと思います。  基本的には、やっぱり経験のある、一回経験するといろいろな学びがあるので、そこの学びをいかに横に共有していくのか。今回ですと北海道さんあるいは東京さんとか、電力とかが知見が蓄えられたと思いますけれども、そういったちょっと血の通った経験をいかに地方電力を含めて広げていくのかというのは、一つ大きな課題として認識しておくべきだなというふうに思います。
  44. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 今お答えいただいた内容で、実は前回この委員会で質問をさせていただいたときの、訓練の重要性と、いい例と悪い事例をしっかり共有すべきではないかということを経産省にも訴えをさせていただいて、まさに今言っていただいたことに、魂を入れていくということ、これからもしっかり審議していきたいというふうに思います。  続いて、大山参考人に伺わせていただきたいと思います。  非常時に系統分離をすることが各地域でのレジリエンスを維持することにもつながって、また、そこの電気を確保するところにもつながっていくと。一方で、主たる発電力がもしこのローカルな発電力ということを考えますと、再生エネルギーのケースが多いと思います。理論上で、普通に電気が通っているところでの分離を図るということは簡単でありますけれども、その再生可能エネルギーの割合が高いところで、災害の程度、また内容にもよると思いますけれども、これが再生エネルギーとして活用できなかった場合には実効性が担保できない可能性があるかなと。  要は、アイランディングを図ったときの何で発電をされているかというリスクマネージということについて、この設計をしていく上で気を付けなければいけない点ということについてお伺いしたいと思います。
  45. 大山力

    参考人大山力君) ありがとうございます。  おっしゃるとおり、再生可能エネルギーは是非活用していく必要があるんだけれども、出力が変動するという非常に扱いにくいものであるということになるかと思います。  先ほど申し上げたそのアイランディングというか、分離できるようにある程度地域をまとめておくということからすれば、それを突き詰めていくと、非常に再生可能エネルギーが多いところは少し抑制してくれというようなことになってくる可能性があるかと思います。その辺については、やはり事前によくシミュレーションなり解析をしっかり行って、その上で、こういうことが起きたらこう対応するということを事前に決めておくというようなことで対応するしかなくて、結局、電力系統安定供給担保するためには、よく計画してよく運用するという以外にないんですけれども、その計画運用をいかにしっかり解析に基づいてやるかということに全てなってくるかと思います。  解析に基づいた上で、どこまでリスクを許容するかということを国民の間で事前に、これコンセンサス得るのが非常に難しいと思うんですけれども、そういう視点議論をしておく必要があるかなというふうに思います。  医療関係でいえばトリアージとかありますけれども、エネルギーのトリアージというのが大事だなというのも私は時々主張しているつもりではあるんですけれども。  以上でございます。
  46. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 今明確にトリアージと、これは極めて重要なことだと思います。  ところが、トリアージは、実は我が国では一回、東日本では経験したと思います。三・一一のときの計画停電。私は電気が通らないところに住んでおりましたので、町じゅうがモーター一つ動かなくなるとこんなに静かなのかと。と同時に、その静けさというのは、いかに電気が有り難いかということ、そして電気の通じている、物が動いているということに対する安心感ということはまさに表裏一体なんだなということを経験しました。  その上で、シンプルに伺いたいと思います。今回の法案の中で再エネ導入のことも触れられておりますけれども、計画停電から得られた教訓について先生方はどう捉えられているかということを全ての先生に伺いたいと思います。
  47. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) それでは、今回は、崎田先生、それから大山先生大橋先生の順に伺いたいと思います。  まず、崎田参考人
  48. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  計画停電などがありました。そういう地域に伺っていろんなお話を聞くと、そういう方は、こんなにエネルギーが大切なものだということをもう初めて気付いた、だからこそ、自分たちでも地域エネルギー資源を活用してしっかりとエネルギーをつくれる町にするんだという、そういう意見の方に大変多くお会いして、びっくりした経験があります。その辺が印象が強いです。
  49. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 続きまして、大山参考人
  50. 大山力

    参考人大山力君) 計画停電ですけれども、最初に一言日本計画停電というのは非常に珍しいものだったということだけ申し上げておきたいんですけれども。  世界的には計画停電という言葉はそれまでなくて、輪番停電というのがありました。何が違うかというと、輪番停電の基本はいつどこが停電するか教えない。それはなぜ教えないかというと、停電が起きるとセキュリティーが低下するので泥棒が来る。したがって、教えるなんてとんでもないというのが世界の常識だったのを日本は覆して、前もっていつ、どこが停電すると言ったと。それでもちゃんとうまくいっていたのは、日本国民が非常にすばらしかったのかなというふうに思っていますけれども。それはちょっと蛇足ですけれども。  計画停電、今、崎田参考人の方からもお話がありましたけれども、エネルギーの大事さというのを非常に教えてもらったかなというふうに思っております。  以上でございます。
  51. 礒崎哲史

  52. 大橋弘

    参考人大橋弘君) ありがとうございます。  電力システム改革は、そもそも計画停電から始まったと。それに対する対応で三段階やってきて、OCCTOができ、そして小売自由化が行われ、発送分離ですけれども、これは大型電源よりも分散化。今後は、先ほど御質問にあったけれども、需要も見ていこうというふうな、ある種取組をシステマチックにやってきたのかなという意味で、計画停電から学べることを我々、電力システム改革でしっかりやってきたということは、多分大前提としてあるんだろうなというふうに思っております。  ありがとうございます。
  53. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 まさにこの完成形ということに今近づいていくのかなと。あとは、本当に魂を入れてどう運用していくかということがこれからは大事になってくるのかなと思います。  崎田参考人に伺いたいと思います。  本年の四月、世界初の実用化を目指して波力発電、波の力の発電、これが神奈川県の平塚市で開始をしております。東大生産研究所と平塚市の共同で行われております。海上のところに、防波堤のところから約二十メートル先のところに機材が設置をされて、一・五メーターの波で四十五キロワット、それが来る波と返す波とということを計算をしながら使われております。これは非常に重要な取組で、海洋国である日本にとってみれば、山の地域とは別に、使えるものはしっかりと使っていこうというところの入口、そして、それが実用化できると、これが地域発電に大変貢献するかなと。今後、この再エネの定着化への課題という部分で、ちょっと大きな質問が入っておりますけれども、どうしていけばいいのかというところがあります。  その上で、系統接続ということの課題というのをどう乗り越えていけるかというのが、実は技術が進むのと同時に、コネクト・マネージというところの課題を両立しないと再生可能エネルギーのローカライゼーションというのは進んでいかないんではないかなと思います。これについて御意見いただきたいと思います。
  54. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  非常に難しいお話ですけれども、大事なところで。  やっぱり再エネをしっかりというふうに、今ももちろん主力電源化という話なんですけれども、その中で、やはり再エネ、不安定な電力が大量に入ったときにどういうふうに安定的に供給するかという、そのための設備をどういうふうに整え、どういうふうにそこのコストを払っていくのかという、そういう議論が、専門家の間ではやっておられるんだと思いますが、市民の間にそういう認識が、再エネ頑張ろうみたいな動きは強いんですけれども、その辺のしっかりとした認識がまだまだ定着していないんではないかという印象も持っております。  ですから、もう少しその辺の、この再エネを定着させるときに必要な課題をどう解決するのか、それが今回の法案だと私は思って、大事だと思って賛成をしているんですけれども、そういうところをしっかりと出していく。それが、実は今度のFITだけではなくFIPが提案されているというのも、そういうところにも非常に影響する話だと思うので、そういうことが、社会にちゃんと市民目線で分かるような情報とか対話とか、何かそういうことがもっと起こってほしいなというふうに強く思っております。
  55. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 大変参考になるお話をいただきました。我が国はスイッチを入れると必ず電気が来るということ、そして、それを必ずつけるんだという、そういう技術者、また関係する皆さんによって成り立っているということ、この電気事業法改正を通して、それは当たり前のことではない、むしろ当たり前にしてくれる努力をするということが大事だということを今お話を聞いて分かりました。  しっかりとこの後法案が成立できるように議論していきたいと思います。  ありがとうございました。
  56. 石井章

    ○石井章君 日本維新の会、石井章でございます。今日は参考人皆さん、ありがとうございます。  電力自由化によりまして、国民電気料金が僅かながら、各家庭においてはそういう感覚があると思います。また、大きな企業においては、競争によって、六百社以上の新しい電気の会社ができたことによって相当な経費が浮くというようなことをよく聞いておりますけれども、電力自由化による過当競争によりまして、事業者は安価な化石燃料の利用へと傾注し、さらに、送電線などのインフラへの投資も後回しになるというようなことが言われております。将来への不安が増していくという考え方も一つにあります。  しかし、申し上げるまでもなく、我が国にとっては電気はもう社会の源泉でありまして、安価で安定した電力供給は、豊かな暮らしを支える国家の礎でもあると思っております。特に、1Fの事故以降、原発の政策は方向転換を余儀なくされておりますが、CO2削減を重視する再エネによる発電は、逆に火力電源のバックアップに頼らざるを得ないという矛盾を抱えていると思います。エネルギー政策は、身近でありながらも非常に難解な課題とも言えると思います。  そのため、御承知のとおり、肝腎の政府のエネルギー政策も定まっていないと。第五次エネルギー計画、これ二〇一八年に作成されておりますけれども、「技術革新等の可能性と不確実性、情勢変化の不透明性が伴い、蓋然性をもった予測が困難である。」と。「このため、野心的な目標を掲げつつ、常に最新の情報に基づき重点を決めていく複線的なシナリオによるアプローチとすることが適当である。」と。  これ、普通の人が聞くと何を言っているかよく分からないんですけれども、そこで、漠然とした質問で誠に恐縮なんですが、それぞれの参考人皆さんから、我が国エネルギー政策の将来の最適なエネルギーミックスについて、各先生方の御意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いします。
  57. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) それでは、今回、大山さん、大橋さん、崎田さんの順にお願いいたします。  まず、大山参考人
  58. 大山力

    参考人大山力君) ありがとうございます。非常に難しい御質問を受けたかというふうに思っております。  基本的な路線として、CO2削減というのは当然あるべきだと思っておりまして、そういう意味からいうと、再生可能エネルギーは使えるだけ使った方がいいかなというふうに思っております。ただ、先ほどもまさにおっしゃられていたとおり、再生可能エネルギーのバックアップのために化石燃料の火力が必要だという矛盾も生じております。  じゃ、どうするんだということなんですけれども、じゃ、原子力でバックアップって、これはできない。原子力の方は、原理的に負荷追従ができないわけじゃないですけれども、設計が負荷追従を考えていない設計になっていますから、基本的には一定出力で運転すると。したがって、原子力と再生可能エネルギーというのは、こう言ってはなんですけれども、相性が余りよろしくないというふうに思っております。  その中で、でもトータルで一番CO2を削減できるのはどうしたらいいかということと、先ほど崎田参考人もおっしゃっていました、原子力に何かあったときにはリスクを最小化するということを全てやりつつ、やっぱり化石燃料を使っているのをなるべく下げていくという以外に手はないんだろうなと。下げていくだけであって、ゼロにできると申し上げているわけではないんですけれども、なるべく下げていくということをどうやったらできるかというのをしっかり考えていくしかないというふうに思っております。  以上です。
  59. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 続きまして、大橋参考人
  60. 大橋弘

    参考人大橋弘君) ありがとうございます。  おっしゃるように、供給側から考えていくと、極めて難解な問題に直面しているというのは確かだと思います。  他方で、先ほどもありましたが、IoTとか5Gとかいろんな需要を制御する技術が出てきている。あと、EVで蓄電もできるようになってきている。そういう意味でいうと、需要側に実は結構なリソースが、ポテンシャルがあるんじゃないかというふうな目線一つ重要なのかなと。  これまでエネルギーミックスというと、その電源発電機の議論をしていたわけですが、実は需要もその発電機の裏側に存在しているものなので、この需要側のリソースをいかに使っていくのかという目線で今後エネルギーミックス考えていくというのは、一つ重要な視点なのではないかなというふうに思っています。
  61. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 続きまして、崎田参考人
  62. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  今、需要側というような大橋参考人のお話がありました。それとともに、やはり供給の部分でどういうふうにするかというのを考えたときに、私も先ほどの御質問でかなりお答えしましたけれども、再エネ再生可能エネルギーはできるだけ増やす、ただし、それとともに、原子力も安全を確保した上で活用していく。  それで、その後、今非常に多くを占めている化石燃料をどうするのかという辺りが大変大きな問題になってくると思うんですが、ここをやはり水素燃料電池、この活用で、まずは水素を発電所に投入するというようなことで、少し車とかそういうのだけではない産業用、少し大規模発電のところをCO2を下げていく。その後、再生可能エネルギーを蓄電をし、あるいは再生可能エネルギーからの水素をためて、そして活用していく。  それで、どのくらいまでパーセンテージをきちんとCO2削減していけるのか、その辺をまず一回明確に次のエネルギー基本計画で数字を入れていくというのが私は必要なのではないかというふうに考えております。
  63. 石井章

    ○石井章君 三者三様、それぞれの立場での御意見、非常に参考になりました。  それでは、崎田先生に、崎田先生の一丁目一番地、水素に関してなんですけれども、福島水素エネルギー研究フィールドは稼働しておりまして、パワー・ツー・ガス施設としては世界最大ということでありますけれども、FH2Rについては実証実験後の使途がまだ決まっていないなど、デモンストレーションの域を出ないとも言われております。対して、欧州など、例えばドイツなどは、パワー・ツー・ガスプロジェクトは大手電力会社あるいはガス会社が主体的に参画しまして、製造される再生エネルギー由来の水素を活用することで事業の低炭素化を目指した事業化実証となっており、その違いは大きな違いがございます。  その指摘がありますけれども、その点について、崎田参考人からお伺いしたいと思います。
  64. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  私は、いわゆる市民目線から見て水素・燃料電池の戦略に参加をさせていただき、いつも発言しているのは、産業界の皆さん、あるいは関係者の皆さんが、次はやはりここを頑張ろうというのであれば、やはり社会を巻き込み、きちんと情報発信をし、常にそういう状況を伝えながら、そしてみんなで考えながら次の社会をつくっていく、そういう状況をつくってほしいというふうに常に申し上げています。そういう意味で、やはり今様々な取組が起こっているんだということをもう少し社会でしっかり発信をしていくということが、一部の産業界、関連の産業界だけが頑張りますという話ではなく、もっと社会に広げていくのが大事なんだと思います。  今の御質問なんですけれども、多くの産業界の方のおっしゃる流れを見ていると、やはり技術的には非常に頑張ってきたと。いろいろ技術的には非常に日本というのはインセンティブがあるんだけれども、それをどういうふうに使って発展させていくかという段階で、このままで行っては後れを取るのではないかというような危機感をおっしゃる方が大変多いです。  ですから、そういう意味で、これをどういうふうに日本発の技術としてちゃんと活用していくのか。車とかそういうのだけではない、町とかそういうところでどうしていくのか。あるいはもっとほかの業界で普通に使っていくのか。産業界の今一番CO2使う、出している産業でどんどんエネルギー電源を変えていくとか、様々な取組をしっかりと選択肢を考え取り組んでいくという、そういう時期に来ているんではないかなというふうに考えております。  ありがとうございます。
  65. 石井章

    ○石井章君 今日は崎田先生に水素のお話を聞きたくて、この後また水素の話なんですが、純粋な御答弁ありがとうございます。  それで、欧州では再生可能エネルギーを大量に導入しまして系統を脱炭素化するということで、日本では水電解装置を設置するのは太陽光発電や風力発電という設備でありまして、系統に入らない僅かな電力のみを水素化しているという根本的な違いがあるとの指摘があるわけであります。  ですから、いろんな産業界でそれを盛り上げていこうという今お話がありましたけれども、なぜ日本では系統内で再生エネルギーを水素化して需給をバランス化させる系統型パワー・ツー・ガスプロジェクトの方向にならないのか。その要因は、先生のお立場で結構ですから、どこに一番その原因があるのかをお伺いできればと思います。
  66. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  再生可能エネルギーを活用していくというときに、やはりそれを例えば蓄電池でためていくとか、今そういうふうな状況実証事業をやっているところ多いと思うんですが、非常に設備にお金が掛かるとか実験にお金が掛かる。そういうようなこともあって、なかなか、未来に必要ではあるけれども、ここでどのくらいの設備投資をし、あるいは研究開発投資をしていくのかという辺りでもう一つ思い切りが足りていないんではないかということと、あと、もちろん、今の電力皆さんがどこまでそういう系統にしっかり入れていくようなことを考えていくのかという、その辺をしっかりと話し合っていく、勉強していく、そういう機会も必要なんではないかなというふうに思っています。
  67. 石井章

    ○石井章君 確かに電力会社オンリーではこれ解決できない問題でありまして、国がここに力を入れて投資をしていかなければならないと。  日本資源が少ないわけでありますから、蓄電の設備するにしても、中国からの輸入に頼らなきゃならない、そういうことが根本的にあります。  そういった中で、非系統型のパワー・ツー・ガスプロジェクトではなくて、水素による系統制御技術の確立、あるいは将来的な制度設計に寄与できるような系統型パワー・ツー・ガスプロジェクトの実施の必要性など政府に求められると思いますけれども、その役割について崎田先生からお伺いできればと思います。
  68. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  先ほど来申し上げましたが、今後のエネルギー基本計画を考えたときに、水素燃料電池を活用して、どこまで今の将来計画の中にどういうふうに数字を入れていくのかというところもまだ議論がこれから正式にしなければいけないところですけれども、水素燃料電池のきちんとした活用でどこまで日本エネルギーの将来計画が作っていけるのか、その議論をこれからやらなければいけないという、全く、今そこの場所に来ているのではないかなというふうに思っています。  そういう中で、しっかりと系統にきちんと入れていく、そういうようなことも考えながら行く。そして、もちろんその水素全体も、できるだけ水素のCO2が少ないものをきちんと大量に日本に来るような、そういうインフラも整えていくという、そういうような全ての総合力が今問われているのではないかなというふうに感じています。  よろしくお願いいたします。
  69. 石井章

    ○石井章君 最後の質問です。  まだ最後に崎田先生に締めていただきたいんですけれども、二〇一七年に安倍総理が、我が国の総理が水素基本戦略で、日本が水素で世界のカーボンフリー化を牽引していくと、もうそういうふうに意気込みを示しております。  しかし、現在では欧州では、再生可能エネルギー由来水素をグリーン水素、CCUSを適用した化石燃料由来水素、そして原子力由来水素をブルー水素といいまして、化石燃料由来水素をグレー水素というように格付する動きがあります。日本は二〇三〇年に三十万トンの水素輸入を目指しておりますけれども、その大半が欧州がいうところのブルー水素に当たる可能性があると言われております。  もし欧州の格付が世界の基準となると日本は水素政策の後進国となってしまうおそれがありますが、日本は今後どのような手だてを講じていくべきか。特に、経済界ももちろんですが、政府に対してどのような馬力を掛けていった方がいいか、先生に最後に質問いたします。
  70. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  CO2フリー水素をしっかりと活用する手前には、今のお話のように、ブルー水素とかそういうようなものを活用しながら水素を今の発電に投入していくという、そういう時期があるというふうに思っています。  ただ、それで止まってしまってはいけないわけで、その先を見据えてしっかりと、作るときも使うときもCO2を出さないCO2フリー水素、それをきちんと量的にも使える、そういうような、蓄電とそういうものも全部セットになって系統として考えるような、そういうような明確な形をつくっていくのが今必要だというふうに思っております。  よろしくお願いします。
  71. 石井章

    ○石井章君 貴重な御意見ありがとうございました。  終わりにします。ありがとうございました。
  72. 岩渕友

    ○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。  三人の参考人皆様、本日は本当にありがとうございます。  まず、三人の参考人にお聞きをしたいと思います。  今回の参考人質疑に当たって、事前に配付された資料があるんです。その資料を読んでおりましたら、崎田参考人の資料の中に、北海道で開催をされた環境シンポジウムの概要が掲載をされていたんです。  それで、このシンポジウムなんですけれども、テーマが「自立・分散型エネルギーシステムの形成と地域社会活性化」ということで、シンポジウムの中で、バイオガスプラントを導入した鹿追町の町長さんが導入の効果について報告をするなど、その北海道のいろんな取組が報告をされていました。  それで、私は、北海道の胆振東部地震の直後にまさにこの鹿追町に伺って、バイオガス発電取組についてお聞きをしてきたんです。  それで、この鹿追町というところは、畑作農家が百戸あると。酪農家が百戸あるんですけれども、乳牛、育成牛、肉牛合わせると三万頭もの牛が町内の中にいるということで、その家畜のふん尿を発酵させて発生したバイオガスを活用して発電も行うし、売電も行うし、そして余剰熱を使ってチョウザメの飼育を行ったりですとか、マンゴーの試験栽培まで行われていたんですよね。それで、廃棄物の処理も行って、エネルギーが生産されて、二酸化炭素を削減するから温暖化対策にもなるし、できた肥料は畑に活用するということで、お話を聞いたときに一石何鳥にもなる発電方法だということで、私も実際現場を見て、ああ、そのとおりだなというふうに思ったんです。  それで、東京電力福島第一原発事故があり、北海道胆振東部地震でのブラックアウトがあって、さらには、先ほど来話があるように、台風などで長期停電があるということで、大規模な集中電源から再エネ中心の分散型の電源への転換というのが今非常に重要になっているというふうに思うんです。  その中でも、とりわけ今お話をしたような地産地消で小規模分散型電源重要性について参考人がどのようにお考えになるかというのをお聞かせいただきたいというのが一つ。  加えて、関連して、おとといの本法案の質疑の中で、同じく十勝管内の上士幌町というところの取組について私、質問をしたんです。この上士幌町では、経済産業省のマスタープラン作成事業で既に行っているバイオガス発電を活用して、停電をしたときに町内の電力を自前で供給するマイクログリッドを構築しようというふうに計画をしていたんですけれども、非常時のためだけに町単独で膨大な投資を行うのは困難だというような判断があるというようなことを地元の議員さんからお聞きをしたんですね。  そういうこともあって、地産地消の再生可能エネルギーだとか小規模分散型電源の実現に向けた課題について参考人がどのようにお考えになるか、この二点についてお聞かせください。
  73. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) まず、そうしましたら、大橋参考人からお願いいたします。
  74. 大橋弘

    参考人大橋弘君) 御質問ありがとうございます。  最初に、ふん尿等を使ったバイオマスのお話をしていただいて、これ、うまく回ると非常に、先ほど多面的なメリットがあるとおっしゃったとおりで、非常にうまく回るとふん尿の処理もできるし、電気も出るし、あと熱も使える。これを地域の異なるプレーヤーをつないでいく人が重要で、ちょうどその地域のサイズに合ったものを入れるということなので、多分、将来の成長の見通しも立てながらそうしたものがうまくつくれる人材がいるところは、おっしゃった鹿追町だけじゃなくて、例えば熊本にもそういうふうな地域あると伺って行ったことありますけれど、あるんだと思います。  ただ、全ての地域でこれが満遍なくできるのかというと、これは多分、人と、あとそれだけのリソース、異なるリソースをうまく組み合わせて、その地域に合ったものを提案できる物と人がいないといけないので、ここの辺りというのをどうやって政策で後押しするのかなと。全てにやると、これは無駄な施設入れて野ざらしになっちゃったというケースも多分過去にあるんじゃないかと思いますので、そうしたことのないような形で、ただ、その地域にそうしたリソースがあって人もいれば、きちっと後押しするようなことというのは地域活性化に非常につながるというふうに思います。  ありがとうございます。
  75. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 続きまして、崎田参考人
  76. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  今の大橋委員、かなり大事なキーワードをしっかりとお話しいただいたなと思って伺っています。  私も、地域づくりを応援しているときに、地域のいろんな環境あるいはエネルギーの様々な資源を活用してというときに、エネルギー資源というのは大変重要な、地域経済に還元する影響力が高いので、大変再エネをつくっていくというのはいいやり方だというふうに感じています。  ただし、それが地域社会の中でしっかりと定着していくためには、それの技術的にそこをちゃんと読める、分かる、技術的に計画できる人と、人を、その関係者をつないで、この地域にとってどういうふうな将来が描けるのかをきちんとストーリーを描き、話を持っていけるという、そういうようなハードとソフトと両面の人が非常に必要なんだなとこの頃考えています。  今お話しの鹿追町は非常に事例としては有名なところですけれども、あそこは最近バイオガスで活用するという、そのバイオガスをまたやっぱり水素に変換をしたものを水素として入れるような実験も町でやっていただいていたりとか、やはりそういうチャレンジもやっていますので、そういう意味でいろいろな実証事業の場としてやはり先進的に取り組んでいただいているところの役割というのは大きいし、そこにいろいろな研究費や何かを投入するということも大事なのではないかなというふうに思っています。  ただし、先ほど最初に申し上げたような、地域に本当に定着させるときの課題というのがありますので、その辺が描けない場合にはやはりここまで投資ができるのかというような議論になってしまう、そういうことはあると思います。  ですから、つくったエネルギーをどう地域に活用するか、地域の人にとってどう喜びをもたらすのかとか、そういうことをちゃんとふだんから話し合っていけるような場をつくっていくという、その辺が、地域でのメリットをちゃんと考える。そしてその上で、もちろん災害のときにそこが役に立つんだという、そういう両面をちゃんと話していけるような、そういう流れをつくっていくことが大事なんではないかなというふうに思っています。
  77. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 大山参考人お願いします。
  78. 大山力

    参考人大山力君) 私は電力ネットワークが専門ですので、その立場から申し上げますと、電気というのはやっぱり広域にネットワークを使うメリットが非常に大きいものだというふうに思っています。例えば、熱を供給するとか、そういうのはもっと狭いエリアで回すというのが当然ですし、そういうことを考えると、ちょっとエリアの切り方が違ってくるんだろうなというふうに思っています。  地産地消というのも重要な考えだと思いますけれども、熱や何かで考えているようなエリアを考えた地産地消にこだわると、非常に高いものに付くんじゃないかなという気がします。  ですから、電気も含めて考える場合には、どういうところを考えて電気地産地消をするのか、それから熱の地産地消をするのか。水素なら水素に関してもあるかもしれませんけれども、そういったところの考え方がまだちょっとはっきりしていないんじゃないかなという気がしまして、そこを含めて、電気については常時はここまでほかに頼りますよ、だけど、非常時についてはこういうふうにするので常時と同じ時期は使えないかもしれないけど頑張りますとか、いろいろあると思います。  ちょっとエリアの切り方ということで、余り狭いところでこだわらない方がいいかなというのが私の感覚でございます。  以上です。
  79. 岩渕友

    ○岩渕友君 貴重な御意見ありがとうございました。  次も三人の参考人にそれぞれお聞きをしたいんですけれども、今回の法案で、災害時などにおける電力データの提供義務化と併せて、これまで禁止されていた平時電力データの活用も解禁するということになっています。  それで、電力データの活用に当たっては、大橋参考人もメンバーになられている持続可能な電力システム構築小委員会が二月に中間取りまとめを行っていますけれども、この中でも、支持する意見があったその一方で、消費者は自分たちの個人情報がどういうふうに活用をされるのかということで不安に感じていると、こういった意見もあったと。このために、電力データの活用に当たっては、消費者保護に万全の仕組みづくりが重要であるというふうにそのまとめの中でもあります。  個人情報の利用に同意をしたその結果、当初の目的以外に個人情報が利用されるんじゃないかということだったり、別の第三者に情報が提供されているようなことにならないのかということだったり、高齢者の方たちから同意を得るといったときに不招請勧誘のようなそういった行為が生じないかとか、いろんな懸念の声が、意見が出されているわけですよね。  こうしたことから考えて、個人情報の保護であるとか消費者の保護ということが非常に重要になっていると思うんですけれども、参考人がどのようにお考えか、お聞かせください。
  80. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) それでは、今回は、崎田さん、大山さん、大橋さんの順にお伺いいたします。  まず、崎田参考人
  81. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) 個人情報のお話ですけれども、実際のその審議の方には参加をしていないんですけれども、今回、災害対応のところの情報を活用するとか、そういうところにはいたので、そういうところからお話をしますと、いろいろなデータ、今きちんとそれを活用しながら取り組んでいくというのが進んでいますけれども、やはりそこはしっかり管理をして個人情報を保護をしないといけないということで、今法律はしっかりと強く掛かっていると思うんですけれども、災害時に余りにもそこが強く掛かっていたので、停電が起こったときに、そこにどういうような家庭、家庭というか施設があって、先ほどのトリアージではないですけれども、どういうふうに災害復旧をしていったらいいのかを考えるときに全くデータがなく、そのときに個人情報保護が大事だからということで提供をしていただけなかったとか、そういう事例が非常にあったということで、そういうときにしっかりと使えるようにということに災害の方ではなったんですね。  そういうような意味を込めて、どういうときにはしっかりと使える、これ以上はやはりきちんと抑えなければいけないという辺りを明確にしていただいて、それを社会にしっかりと発信していただくという、その辺の全体のバランスなんではないかというふうに考えております。  よろしくお願いいたします。
  82. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 続きまして、大山参考人
  83. 大山力

    参考人大山力君) ありがとうございます。  私も緊急時の話についてはいろいろ伺っていました。緊急時については、もうこれはやるしかないのかなというふうに思っております。本当に被害を早く復旧するということにとっても非常に大事なことだというふうに思っております。  常時のことについては、これももし使えれば非常にいいことがいろいろあるというのは確かだと思いますけれども、最近話題になっているコロナウイルス対応でも、韓国ではこうやったけど日本はできませんよというようなことがいろいろあったかと思います。  結局は、利用する方の、電力会社が最初はそうかもしれませんし、それを全体を見ている政府に対しても、いかに国民に信用してもらうかということが非常に大事かなというふうに思っています。それがなくては使えないんじゃないかなという気がしております。  以上です。
  84. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 大橋参考人お願いいたします。
  85. 大橋弘

    参考人大橋弘君) ありがとうございます。  非常に重要な論点だと思います。これ、電力にかかわらず多岐にわたる論点、個人情報のまさに論点だと思っています。  非常時については、今、両参考人からいただいたとおりと思います。  平常時については、おっしゃるとおり、個人情報が悪用されるということに対する懸念を払拭しない限り、やはり個人情報を使うということは非常に難しいというふうに考えざるを得ないわけですが、ただ、ここは、個人情報だから使えないというふうなゼロか一かの発想になっちゃうと、なかなか、全然先へ進めないことになるのかなというふうなことを非常に危惧をしています。  やはり個人情報だとはいえ、ある程度一定のしっかりとした使い方の中で、やはり、消費者はどう使われているのか分からないけれども信じて託せる、信託するような感じだと思いますけれども、信じて託せるような形を持っていく、そして、それ提供したことによってメリットが自分に返ってくることが見えるということをしっかりつくっていく、丁寧につくっていくことで、信頼をしていただく努力をしないといけないのかなと。  個人情報だから一切使えませんというふうなことにはしないように、常に技術は進歩していっていますので、そうした進歩する技術については世界から取り残されないように、ただ、個人情報の重要性というのは、おっしゃるとおり個人の意思は大事にしないといけないので、その意思がきちっと反映されるように、利用を我々考え続けていかなきゃいけないし、そうした検討も加速させなきゃいけないんだろうなというふうに強く思っております。  ありがとうございます。
  86. 岩渕友

    ○岩渕友君 以上です。ありがとうございました。
  87. ながえ孝子

    ○ながえ孝子君 碧水会のながえ孝子と申します。  今日は、三人の参考人の先生方、貴重なお時間をいただきまして本当にありがとうございます。  それでは、まず大橋参考人にお伺いしたいんですが、先ほど再エネ前進の次なるステージということでお話を伺いました。再エネ市場中心投資判断がされる中で、今回のFIP制度、これが移っていくということで、足掛かりにして成長を、自律的に成長をしていくような道を探るべきだという非常に御提言がありまして、そのとおりだなと思っております。  やっぱり、再エネが選ばれる力、商品力と言ったらいいんでしょうか、それを付けて市場の中で育っていくというためには、やっぱりビジネスとして成り立つための環境整備も大事だろうというふうに思っております。こういうことが必要なんだというような御提案をいただければと思います。
  88. 大橋弘

    参考人大橋弘君) ありがとうございます。  これまでのFITの制度は、ある意味再エネに対する意識を、国民の意識を大きく変えたという意味で非常にある意味、何というかな、刺激が強い制度だったなというふうに思います。ある意味、非常に効果的な制度だったというふうに思います。  他方で、これは常に物事を、国民の意識を変えて物事を進めていくときに、必ずいい面ばかりじゃなくて悪い面もやっぱり出てきちゃうのかなと。それは当然、投機目的で入ってくる人とか、あるいは余り電力電力というのはやはりインフラなので、しっかりインフラマインドを持った方々に入ってもらいたいというふうに国民は思っていると思うんですけど、そうした方々だけではない、ある意味そのときのつかみ金で入ってくるような人もいたのかなというふうな感じをしています。  ただ、国民の意識もFITの制度で大きく、再エネに向けて大きく変わったので、ある意味、次のステージとしてはしっかりとした、私は質が重要だと申し上げたんですけど、しっかりとその再エネ電気のシステムとして捉えてくれるような方々に提供していただくことが今後再エネを選択する、その制度がまだ今、電気を再エネで選ぶということはなかなかまだそんなに普及はしていないですけれども、そうしたことが今後いろいろ出てくる中で非常に重要だろうと思いますので、是非その事業者方々に、市場の中での選別の中でしっかりとした質の方々に再エネ運用していただきたいというふうなことというのは、やはり次のステージとして重要なのかなというふうに考えます。
  89. ながえ孝子

    ○ながえ孝子君 ありがとうございます。  では、続いて、崎田参考人にお伺いしたいんですが、持続可能な地域づくり視点で、地域地域資源を活用して発電事業をしていくという流れができてきていますよね。そのためにいろいろ御尽力をくださっていると思いまして、私もこの動きというのは大変期待をしております。  促進していくために解決すべき問題をお伺いしたかったんですけれども、先ほど来の質疑の中で、市民の間でやっぱり課題解決の認識の必要性というのをおっしゃいました。それは、ああ本当にそのとおりだなと思っています。そのために例えば系統を整備しないといけないとなったら、その負担は誰がするのかという議論というのがある種欠けていたのかなというふうにも思っております。  だから、市民の間でそういう動きとか、新たなステージに行くための問題提起とか、それについてこういうふうにやったらいいんじゃないかというふうな御提言がありましたら、お聞かせください。
  90. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  今お話しいただいたように、再生可能エネルギーは本当にCO2削減に貢献し、もちろん地域活性化にも貢献するということで、是非広げたいというものだと私も思っておりますが、今御指摘のように、なかなかそれに伴う私たち自身が考えなければいけないことというのは、余り今情報が提供されていない。  それは、やはり、地域の中でそういうことを共有しながら、自分たちの将来に向けてどういうふうにこれを活用するのかという、そういうことが常に話せるような場をつくっていく。あるいは、先ほどハードとソフトと両タイプの人材が必要という話をしましたが、そういう方たちと地域の中で、例えば事業者さんと自治体の方と市民と、そういう皆さん連携した場をつくっていくという、そういうエネルギーのネットワークだけではなくて人のネットワークもきちんと地域の中でつくっていくことで、しっかりとそういう課題も見据え、話合いをし、次の地域づくりにつながっていくという、そういうふうになっていくように、私はいろんなところを見ていて感じますので、もちろん大規模電力、大規模というか、大規模な企業がうまく入ってくださって技術的に支えるとか、いろいろなやり方もありますけれども、今まだ非常に小規模のところもありますので、そういう形をしっかりつくっていくことが大事なのではないかというふうに思っています。  なお、済みません、いろいろな消費者が考えなければいけないことに関しては、今回かなり、送電網の増強費をどういうふうに負担をしていくかという、新しいシステムを考えるとか、幾つか入っております。  今回この法案にはそういう、これまで自分たちが余り気付かなかった、ここはどう払うのかと、コストを集める、費用を集めるのかという、そういうことがかなり入っていますので、現実社会には非常に即した流れになるのではないかなというふうに思っていますので、ここに書いてある大事なそういう、費用をどう集めるかとか、そういう部分をどうきちんと制度設計していくのか、つくっていくのか、それはこれからのこの分野の発展に大変大きく関わってくるのではないかなというふうに感じています。  よろしくお願いします。
  91. ながえ孝子

    ○ながえ孝子君 ありがとうございます。  それでは、続いて、大山参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど来、再生可能エネルギーですね、この変動性について、工学的な見地から御意見を伺いました。一方で、大山参考人も、やっぱり再生可能エネルギーについて、純国産エネルギーですから活用を図っていくことが求められているという御意見なんですけれども、先ほど聞いておりまして、この解決のために事前の協議が大事だというお話がございました。  やっぱり、よく計画してよく運用する、そのための事前の解析が大事だというお話もありましたが、私などは門外漢ですので、工学的にどのぐらい今の解析技術というんでしょうか、があるのかというのが分からないものですから、その辺りをちょっと門外漢にも分かるように、事前の、よく計画してといいましょうか、このぐらいのことはできるんだというのをちょっと教えていただいてもよろしいでしょうか。
  92. 大山力

    参考人大山力君) どうお答えしたらいいかと思うんですけれども、二面ありまして、一つは、事前に考えることというのは、何か事故が起こったらどうするんだというのはちゃんと考えなきゃいけない。それは事故を想定すればかなりしっかりと計算できるというふうに思っています。  電力システムって、発電があって需要があって、実は半分は発電ですけど半分は需要なんですね。発電側は人間がつくったもの、需要も人間がつくっているんですけど、発電側は計画してつくっているものなのである程度分かるんですけど、需要って実はよく分からない。半分よく分からないものを相手にしているので、ちょっと難しさはあるんですけれども。でも、いずれにしましても、ちょっと安全サイドに計算するということをいつもやっていますけれども、どういう事故が起きたら何が起こるというのは、ある程度事前に計算できるかなと思っています。  問題は、例えば北海道のブラックアウトなんかの話ですけれども、あれは、想定した事故までは大丈夫だけど、想定していなかったんじゃないかなというので、ちょっと心配しているところがあって、リスクマネジメント的に言うと、全てを想定して、これは駄目だというのをちゃんと知っておくのが大事なんですけど、そうじゃなくて、想定をここまでにして、それが全部大丈夫だったからいいという割と日本にありがちな話があるとまずいなと。そういう意味で、全てを考えてちゃんと計算する、解析するというのが大事だなというようなお話をしたということです。  再生可能エネルギーに関しては、これも実は特性がよく分かっていないところがあって、今どんどん入ってきているので、そのデータを蓄積しているところというふうにお考えいただいた方がいいと思います。  どういうような変動が起きるのかといったことも含めてデータを蓄積して、それに耐えられるためにはどうしたらいいんだというのを今一生懸命やっているところという段階ですので、どちらかというと石橋をたたいても渡らないようなことが多いんですけれども、そうするとなかなか再生可能エネルギー入れられないんで、ちょっと入れてみて、駄目だったら少し後戻りするというつもりでもいいんじゃないかなというのが私が思っているところでございます。  以上です。
  93. ながえ孝子

    ○ながえ孝子君 大変よく分かりました。ありがとうございました。  それでは、三人の参考人皆様に同じ質問をさせていただきたいんですが、先ほどエネルギー基本計画について崎田参考人から話もございました、次のエネルギー基本計画に入れていくと。CO2をどれだけ削減していくかとか、いろんな視点が加わってくるんだろうと思っておりますが。  現在、二〇三〇年の電源構成目標というのは、参考人皆様はよくもう重々御承知かと思いますが、再生可能エネルギーが二二から二四%、原子力が二二ないし二〇%、火力が五六%、重立ったところはこういうふうになっているんですけれども、次のエネルギー基本計画に向かってこれは検討していったらいいんじゃないかとか、そういうポイントがありましたらお聞かせください。
  94. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) そうしましたら、大山さん、大橋さん、崎田さんの順にお答えいただきます。  まず、大山参考人
  95. 大山力

    参考人大山力君) その数字が本当に実現できるかどうかと、まず、その二〇三〇年が実現できるかどうかが非常に危ぶまれていると思うんですけれども、なぜそうなるかというと、一番問題なのは原子力の部分で、原子力、本当に動かすつもりならもっと意思を持ってやるべきですし、止めるんだったら止めると言わないと、ほかが何も回っていかないというところがあります。ですから、その辺は政治の話に近いと思いますので、しっかり頑張っていただきたいというふうに思います。  今後の話でいいますと、じゃ、再生可能エネルギーで全て賄えるかということですけれども、例えば太陽電池、太陽光発電ですと、稼働率が大体一二%とかそんなぐらいになります。電力需要はピークに対して平均で六割とかそのぐらいあるので、考えてみると、一二%しか発電しないもので全部賄おうとしたらピークの五倍ないと駄目だよという計算になります。  ということは、それだけでやるのは非常に難しいということはもう明らかなので、どうやって埋めていくかという話になってくるかと思っていまして、それについてもやっぱり原子力の在り方をしっかりまず決めないことには次に進めない。今の状況ですと、電力会社としては、原子力動かせるかもしれない、だからほかの投資ができないというようなことになっていると思いますので、それをしっかりやっていくのが大事だというふうに思っています。
  96. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 続きまして、大橋参考人お願いします。
  97. 大橋弘

    参考人大橋弘君) ありがとうございます。  極めて難しい問題だとは思うんですけれど、再エネをこれ以上増やそうと、増やした方がいいと思うんですけど、そうすると、先ほどから申し上げているんですが、その需要側である程度吸収するなりということをすることで再エネを増やすよりほかないのかなと。いろいろ、波を使ったとかいろんな技術は出てきているし、そういうものというのは積極的に使いながら、その競争の中で再エネを鍛えていくべきだと思うんですけれど、そうした土壌を培う意味でも、ある意味もう少しその需要に対する考え方をフレキシブルにしていくべきなのかなというふうに思います。  また、原子力についてもお話あって、今の目標値はなかなか高いんだと思うんですが、これも軽水炉のみならず、いろんな技術が出てきているものもあり、そうしたもので国民の理解も得ながら、その新しい技術にも本当は向かっていけるような素地ができるといいのかなという思いはありますが、ここの辺りはやはり国民の理解と、あと政治の御判断も非常に大きいのかなという感じはしております。  ありがとうございます。
  98. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 崎田参考人お願いします。
  99. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  エネルギー基本計画の将来像なんですが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、水素をどういうふうに活用するのかというのを、今はこういう中で、それぞれの中、再生可能エネルギーとか火力発電とか、そういう中でうまくCO2を下げていますとか活用していますという話なんですが、それをどのくらい活用すればこの部分がきちんとCO2が下がり、エネルギーが担保できるのかという。  ですから、今後、再生可能エネルギーの方にも少し水素活用のパーセンテージが入っていくとか、火力発電の方にもパーセンテージが入っていくとか、何かそういうような新しい数字の作り方でエネルギー供給CO2の削減のバランスを取りながら、きちんとした将来像をつくっていくというのがまず次の段階は必要なんではないかなというふうに思っています。  原子力に関しては、私も今の状態から見て、原子力発電を今全てやめて安全チェックをしながら少しずつ再稼働という、こういう状況の中で見ていると、結局、全部火力発電で支えますという話になってしまいます。やはり将来の温暖化のことと日本燃料自給率の低い国だということを考えれば、選択肢としてきちんと残しながら、より安全な技術をきちんと国民に提示していただくという、そういうことも必要なんではないかなというふうに思っています。  よろしくお願いします。
  100. ながえ孝子

    ○ながえ孝子君 大変参考になりました。どうもありがとうございました。  終わります。
  101. 安達澄

    ○安達澄君 本日は、お忙しい中、大変ありがとうございました。無所属の安達澄と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  三人の参考人の方に一つずつ質問をさせていただきます。  最初に、大山参考人に質問させていただきます。  サイバーセキュリティーに関する話なんですけれども、自然災害とかのそういうレジリエンスということで、非常に話題には、対策等は取られているんですけれども、実際にそういう電力システムに対してそういうサイバー攻撃、例えば東京五輪・パラリンピックありますけれども、来年になりますけれども、実際、ロンドン五輪があったときとか、そういった攻撃が数億回あったという話も聞いております。  これから新しい電力のプレーヤーが各地でいろいろ育ってくるときに、今の日本というのはそういった攻撃に対してもしっかりとレジリエンスが、これからの部分はもちろんあるかとは思うんですが、大手電力を始め、そういう新しいプレーヤーに関してもできるのか、そういう対策がちゃんと取られようとしているのか、その辺をまずお聞かせいただければと思います。
  102. 大山力

    参考人大山力君) サイバーセキュリティー、これ非常に大事だと思うんですけれども、その前に、自然災害についてというのと対峙するものは人からの災害ということですよね。それは、サイバーだけじゃなくてテロも一緒だと思うんですけれども。  実は、日本電力会社のこれまでの考えでは、テロに対する強さって余りないと思うんですよね。例えば、中央給電指令所、どこにあるかというのはこれ非常に大事なことで、そこに攻撃があったら非常にまずいんですけど、日本ではみんなどこにあるか知っているという困った状態になっているのかなというふうに思います。  そういう意味からすると、人的災害に対する備えというのは、基本的にそんなに一生懸命やっているわけではなかったんじゃないかなというのがちょっと心配されるところではあります。サイバーセキュリティーもその一種だったということなので、より一層頑張っていただきたいというのが基本的にあります。  その上でですけれども、私も情報通信の専門家ではないので本当のところはよく分からないところがありますけれども、ほかの国に比べますと、日本電力会社の通信網とかそういうところはかなり専用線を使っているというふうに聞いていますので、汎用のものを全て使っているのに比べれば強いのではないかなと。済みません、私も専門外なので期待しているという程度ですけれども、そんな状況かなと思っています。  以上でございます。
  103. 安達澄

    ○安達澄君 ありがとうございました。  じゃ、続いて、崎田参考人にお聞きします。  私の地元は大分県の別府市なんですね。そうすると、やっぱり温泉とかバイナリーの発電、今地元でいろいろ頑張っているんですけど、可能性も非常に感じています。  これまでも地産地消、そういう地域づくりの話がありましたけれども、崎田参考人の資料、事前にちょっといただいてそれ読ませていただく中で、そういう成功事例の一つとして長野県の飯田市ですかね、を挙げられていたと思います。ちょっと詳しくは書かれてはいなかったんですけれども、もしそういった成功事例、先ほどのちょっと人の面とかも含めて教えていただければと思います。
  104. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  今、長野県飯田市のお話をしていただきました。実は、再生可能エネルギー地域で使っていこうというような動きのはしりというか、一番早い時期からやっておられる地域で、そこでなぜ多くの方に情報が広がっていくのかというのは、やはりシステムとしてきちんとやっておられるということがあったと思います。  最初に、普通は太陽光パネルは自分の家に設置をして自分の家庭で使うという、あるいは余剰、余剰というか流していくとか、そういう話だと思うのですけれども、まず、幼稚園とか保育園、公共施設、そういうところの屋根を借りて、それでみんな、おひさま発電所ということでつくっていった。地域の方にも見て分かる、みんなでつくっているんだということが分かる、そして仕組みの上でも、それをまとめて系統に流していく、あるいは使っていくということを明確に取り組む。途中から、そういう動きに対して金融機関が資金を援助するというようなことをやり始めたのも最初の地域だったというふうに思っています。  そういうような仕組みとしてきちんと成り立たせていくという力と、地域の方に、自分たちの地域がおひさま発電所になっていくんだという、そういう何か楽しさ、喜びを広めていったという、その両面が非常に地域の特徴なんではないかなというふうに思っています。
  105. 安達澄

    ○安達澄君 今の話でいきますと、やはりそういう核となるキーパーソンがいらっしゃったということになるんですか。
  106. 崎田裕子

    参考人崎田裕子君) ありがとうございます。  キーパーソンももちろんおられますけれども、その人が一人でやっているというよりは、その方、そういう地域型のキーパーソンの方と、技術の分かる方や金融機関の方、そして行政の方、みんなが力を合わせて地域の中でそういう輪をつくったという、やはりそういう地域のネットワークをつくる力、これも大事なんだというふうに思います。
  107. 安達澄

    ○安達澄君 ありがとうございました。  じゃ、大橋参考人にお聞きいたします。  冒頭の十五分の中でのお話になるんですけれども、最後の地域政策の要となる電力政策、そこの部分です。  ちょっと思ったんですけど、活用できる電力データ地域問題解決にどう生かすか知恵を絞る、あと町づくりに生かすというふうにおっしゃっていたかと思うんですけれども、電力データをその町づくりに生かすというのは、具体的に言うとどういうことなのかをちょっと教えていただければと思います。
  108. 大橋弘

    参考人大橋弘君) ありがとうございます。丁寧にフォローしていただいて、ありがとうございます。  例えばですけれど、例えば、空き家問題とかというのもあると思うんですが、その空き家について、その電力データ、実際には空き家かどうかというのもなかなか特定するのが難しいケースもあるんだと思いますけれども、犯罪とかそういうのと関係なく、空き家かどうかということをつかむということも多分できるでしょうし、あるいは店舗なり工場なりの稼働状況というものを得ることで、先ほどAIとか使ってそういうふうなものを効率化するというお話もさせていただいたところではあったんですけれども、もう少しほかの、人の流れをつくっていくようなことを町の中で検討するのに、その電力データというものが一つ核となってでき得るのではないかということも恐らくあるんだと思います。  当然、個人情報の問題は前提としてはあると思いますので、そうしたものがクリアされないといけないですけれども、そのほかにも物流であれば再配達の問題というのがありますけれども、そうしたものをある程度統計的な処理をすることで、在宅の可能性というものをある程度地域別に知ることができるとかですね。  ここの辺り、事業者さんの使い方で、個人情報を分からないようにしながらどうやって使っていくのかという工夫が必要だと思いますけれども、一応、人の動きが取れる一つデータではあるので、そうした電力データをほかのデータ、移動データってほかのプラットフォームさんもお持ちなので、そうしたものと突き合わせながら、工夫することというのは恐らくできるのではないかなというふうなところの御提案ではございました。  ありがとうございます。
  109. 安達澄

    ○安達澄君 今日は大変勉強になりまして、本当ありがとうございました。  ちょっと短いですけれども、終わります。ありがとうございました。
  110. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様一言御挨拶を申し上げます。  本日は、長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  111. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  強靱かつ持続可能な電気供給体制確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  113. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 休憩前に引き続き、強靱かつ持続可能な電気供給体制確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  114. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 自由民主党の阿達雅志です。本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。  早速、電気事業法改正案についての質問に入らせていただきたいと思います。  今日、午前中の参考人質疑の中でもいろいろ皆さんからも意見が出ていましたが、やはりこのエネルギーというのは、国にとって本当に国の礎であると、そしてまた、社会経済活動において血液という役割を果たしている極めて重要な分野であるという、そういうお話が随所に出ていたというふうに思います。それを考えた場合に、やはりエネルギー問題の大事な部分というのは、やはり単純なこれはビジネスの世界の話でなく、公益性が非常にあるということだと思います。  今日、村瀬電力ガス事業部長にも来ていただいていますが、これ、電力ガス事業部という名前の前は公益事業部という名前でございました。このことが示しているとおり、やはり電力、ガスというのはもう公益に直結するんだと。その公益の一番大事なところは何だということになったときに、もちろん環境だとか安全の問題もありますけれども、やっぱり中心に来るのは安定供給の問題ではないかというふうに思います。  そういう観点で、今回の電気事業法改正、これは、前回、非常に大きな改正としては二〇一五年の改正がございました。実は二〇一五年の電気事業法改正のときも、私、経産委員会で質問をさせていただきました。そのときも、やはりこの公益性というのをこういう電力自由化の中でどういうふうに維持していくのか、そこについてやはり国がしっかりと公益性が担保されるように見ていく、これが大事ではないかということで質問をさせていただきました。  そういう流れでいったときに、二〇一六年の小売自由化、そして二〇二〇年、今年の四月から発送電分離ということで、こういう電力システム改革というのはどんどん進んできたわけですけれども、改めてこの電力システム改革の評価ということが大事ではないかと。これは火曜日の質疑のときに浜野委員の方からもいろいろと御指摘があったと思いますけれども、重なる部分もありますが、改めてそれを聞かせていただきたいと思います。  まず、電力システム改革議論がなされたときに、強い総合エネルギー企業の育成、あるいは総合エネルギー産業の育成というのが目的の一つということで出ておりました。これについて現状をどう評価をされているか、これについてお聞かせください。
  115. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) 阿達委員御指摘のとおり、三段階にわたって行ってきました電力システム改革は、事業者事業機会の拡大を目的の一つとしております。この改革により、エネルギー企業の相互参入や異業種からの新規参入を進めて、総合エネルギー企業による国際競争力の強化を目指すとしてきたところでもあります。改革はまだ途上でありますけれども、二〇一六年四月に始まりました小売全面自由化等を受けて、以前には見られなかった地域や業種の垣根を越えた事業者による合従連衡やアライアンスの動きが出てきているところでもあります。  例えば、東京電力、中部電力燃料・火力部門が統合し、世界最大級の発電会社でありますJERAが創設をされ、そのバーゲニングパワーを活用して、メジャー、産ガス国企業などとも渡り合って燃料調達コストを引き下げる取組が進められているほか、欧州企業と組んで洋上風力事業に本格的に参入するなどの取組が進められているところであります。  また、中部電力と大阪ガスが東京エリアで電気、ガスの一括販売を開始したり、NTT、ソフトバンク、JXTGエネルギー等の他業種大手から、情報も含めて情報通信、そして石油等も含めて参入をしてきているということで、新たなビジネスモデルも生まれつつあるということであります。  この動きを更に進めるために、今般の法案においても、アグリゲーターや配電事業に係るライセンス制度導入電力、ガス活用スキームなど、新たなビジネスの選択肢を活用するような改正内容を盛り込んでいるところであります。  こうした事業環境整備等を通じて、世界に通用する強い総合エネルギー企業が我が国において創出をされ、それが付加価値の増大やコストの抑制等を通じて国民の利益にもつながるように、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思っておりますが、委員が冒頭おっしゃったように、公益性ということも考えながら、また安定供給ということも念頭に入れてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  116. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 ありがとうございます。  そういう総合エネルギー企業に向けて、今もういろんな動きが実際に出てきたと。これは、実際にそういう強い総合エネルギー企業ができるまでにはまだまだ時間が掛かると思いますし、また、そういう中で、今大臣からもお話がありました公益性、安定供給、やっぱりこれがしっかりと維持されるという前提の中で是非引き続き進めていただきたいというふうに思います。  そういう中で、小売の全面自由化、これは二〇一六年に達成をされたわけです。また、今回も競争を通じた強い総合エネルギー企業の育成というのがテーマであったわけですけれども、この競争というのを考えたときに、電力料金についてはいまだに経過措置規定が適用されております。小売の全面自由化といっても、電気料金という意味では上方硬直性がまだ残っていると、値上げについてはいまだに認可が必要であるという、こういう状態にあるわけです。  これについて、いつ終了するか、これについて、昨年の電力・ガス基本政策小委員会で電力料金の経過措置に関する報告書、これが出ております。この中でも、いまだ十分な競争圧力、これがないということで、取りあえず今年の四月、法的分離の段階では経過措置は廃止はしないと、引き続き進めるということだったわけですが、このときの報告書を見ると、十分な競争圧力という具体的な条件の中に、エリアにおける十分な供給余力があることが必須条件である、こういうふうに書かれているわけです。  そういう意味で、この電力小売競争は進んだのか、そして今後どういう状況まで行けば本当にこの経過措置を廃止するのか、これについて御意見をお聞かせください。
  117. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) お答え申し上げます。  今委員お尋ねのように、電気料金につきましては、二〇一六年四月に小売全面自由化を実施した後も、既存事業者による規制なき独占から需要家を保護する観点から、経過措置として、全国全ての地域において従来と同様の規制料金を存続させることといたしました。また、二〇二〇年四月以降は、供給区域ごとに競争状態を評価し、電気の使用者の利益を保護する必要性が特に高いと認められる地域として経済産業大臣が指定した地域については料金規制を存続させることになっております。  それで、二〇二〇年四月以降の料金規制についてどうするかということでございますが、経済産業大臣からの意見聴取の申出を受けて、電力ガス取引監視委員会の専門会合において、先ほど委員からも御指摘がございましたが、十分な競争圧力の存在があるか、消費者等の状況競争の持続的確保といった要素を総合的に勘案しまして存続の必要性を判断することといたしました。  そして、競争状態でございますが、これは相当程度進展していることが確認されました。しかしながら、先ほど御指摘がありました競争圧力の存在ということでございますが、ちょっと具体的に申し上げますと、まず一点、有力で独立した新電力、具体的には、低圧におけるシェアが五%以上で、大手電力と資本関係を有していない事業者が、東京電力エリア及び関西電力エリアでは一者のみ、他のエリアでは一者も存在しなかったこと。あともう一つ、新電力大手電力との間で電源調達のイコールフッティングへの懸念があることの二点を踏まえますと、事業者保護の観点から経過措置料金を解除できる水準には達しておらず、二〇二〇年四月時点では、全ての供給区域について料金規制を存続させることが適当との結論が得られたということでございます。こうした委員会の意見も踏まえまして、経済産業大臣料金規制を存続させる判断を行ったものでございます。  あと、お尋ねがありました今後の料金規制の扱いにつきましては、今申し上げました二点の観点を中心に、供給区域ごとの競争状態を評価した上で判断させていただくことになると思います。  以上です。
  118. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 ありがとうございます。  今お答えの中で、新電力の参入によって競争自体はある程度出てきたというふうにお答えがございました。この点も、先日の浜野委員の質問の中で、新電力がどれぐらいの数参入したかという、こういう質問をされていたわけですけれども、それとともに、私は、やはりこの新電力の参入によって供給能力そのものはどれぐらい増えたのか、これが結構大事なんではないかと。  今、競争状態は進んだけれども、有力で独立の新電力がまだ五%に達していないということで、こういう経過措置を維持をされたということで、やはりこの供給力、日本全体の供給力を考えたときに、もう一つの大きな問題というのは、今、原子力の再稼働がなかなか進んでいない。そうすると、既存電力会社からすると、新規に、じゃ、火力発電設備投資を本当にできるのかどうか、こういう今非常に悩ましい状態ができてしまっている。こういう中で、実際に今起こっていることというのは、新電力が、既存電力から変動費だけで卸購入した電力で、そしてクリームスキミング的に市場に参入するというようなことが一部の地域でも見られているわけです。  そうすると、やはり、この新規の供給能力、これをどういうふうに今後考えていくのかが非常に重要なところだと思いますけれども、この供給能力がどれぐらい増えたのか。また、七月からスタートする容量市場によって新設投資にインセンティブを与える、こういうことを予定をされているわけですけれども、実際の今の制度設計を見たときに、既設電源の固定費回収すらちょっと不透明になってきているのではないかと。多くの事業者が、この容量市場において、コストベースでなく、逆にゼロ円で入札しかねない。  また、契約期間が一年という短い中で、本当にこういう新規の設備投資というのが進んでいくんだろうかということで、この点について、その安定供給という視点でどういうふうに考えていけばいいのか、御説明をお願いします。
  119. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  今幾つか御質問いただきましたけれども、まず最初の点でございますけれども、二〇二〇年二月時点で約六百四十者の小売電気事業者、いわゆる新電力の登録が行われているわけですけれども、そのうち発電事業を行っているのは四十者にとどまってございます。その他に、グループ会社が別途発電事業だけをやっているというふうなこともありますし、新電力とは別に、発電事業として発電だけやっている再エネ事業者みたいなものも現れていると思いますが、そういったものを除きますと、この四十者の設備容量の合計は約三百三十万キロワット程度ということでございます。  こういう状況になってございますのは、やはり新規参入する新電力小売事業者でございますけれども、自らが発電所を建設するというのはなかなかハードルが高い場合が多く、自ら電源を確保する又は発電会社との相対契約によって電源を調達している割合は一割程度にとどまってございまして、その調達を卸市場に依存している新電力が大宗であるというのが実態だということでございます。  ただし、卸電力市場に依存していることが有利かと申しますと、これは釈迦に説法でございますけれども、需給が緩んでいると低価格なわけですけれども、タイトになりますとやはり価格が上がってくるということで、電源ポートフォリオが限られているということは必ずしも有利というわけではないということでございます。  委員から御指摘いただきました、やはり安定供給、公益事業として安定供給力を確保すると、これが極めて重要でございます。かかる観点で、新たに各種の市場を創設をさせていただいているところでございまして、委員も御承知のとおり、卸市場だけだと変動費をベースとして価格が形成されるものですから、卸市場からの回収だけでは十分な投資、発電投資インセンティブを確保できないと、こういう考え方に立ちまして、この七月から容量市場導入するべく準備を進めているところでございます。  この容量市場は、変動費とは関係なく、発電設備の容量に応じた費用発電事業者市場から回収できる仕組みとしているものでございますので、これにより、市場供給力を提供する発電事業者が一定の費用をこの市場から回収できる機会を与える効果はあるというように考えてございます。  この七月の初回オークションでどのぐらいの価格になるかというのは、ちょっと市場が決めるということではございますけれども、この市場ではいわゆるシングルプライスオークションという仕組みになってございまして、市場全体で需要供給が一致する単一約定価格で全ての入札者が回収できるということでございますので、仮にゼロ円で入札する人が一部にいたとしても、市場全体で一致する価格で回収ができるという仕組みになっているところでございます。  いずれにいたしましても、過度な競争から電源への投資不足に陥ってしまうというようなことは避けなければならないと考えてございます。御指摘のように、電源全体の投資を安定的に確保していく観点から、この七月の容量市場の約定結果もよくよくフォローさせていただいた上で、長期的な予見性を与える事業環境整備の在り方についても更に検討を進めてまいりたいと考えてございます。
  120. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 ありがとうございます。  やはり電力の場合は需要供給が瞬時にマッチして同量でないといけない、こういう大きな制約の中で、実際には一日の中でも昼間のピークと夜とでは全然使用量が違う、そしてまた季節によっても全く違うということで、結局、誰かがある程度の供給能力を余分に持っておかないといけない。でないとピークに合わないという、こういう宿命がある業界だと思います。  そういう中で、この容量市場制度設計というのは極めて大事なところだと思いますし、私は、ちょっとこの契約期間が余り短いと、やっぱり長期的な回収可能性を考える人たちから、しっかりと先が予見できないということで、投資をするというふうに動かないのではないかということも危惧しておりますので、この七月、実際に立ち上げて以降、この点については是非注視をいただいて、そして適切な制度設計をお願いをしたいと思います。  今、供給能力について幾つか質問させていただきましたが、あわせて、今回の改正によって電力ネットワーク、これの強靱なものをつくっていくということが、強靱かつ持続可能なネットワークということがテーマになっているわけです。その一つのやはり背景というのは、電力ネットワークの過小投資問題があるんじゃないかというふうに思います。  そういう中で、今までは広域機関の広域系統整備計画、あるいは託送料金の認可申請手続における設備増強計画、これによってネットワークへの設備投資というのをはっきり予見性を持って示していくんだという、こういうことだったと思います。  それについて、やはりどうしてもここでは効率化議論と、それからリダンダンシーを含めた強靱化の議論、これが両方成り立たせるということが必要なわけですけれども、その意味でいくと、今回のこのレベニューキャップというのはコスト効率化には働くと思うんです。それから、それ以外のところでの再エネの大量導入によるネットワークの分散化、あるいは遠隔分散型のグリッドだとか配電事業ライセンス、こういったものはやはりどちらかというとコスト効率的なところへ働いて、むしろその送電部分の設備投資を促進するということでは少し逆方向に行っているんじゃないか。  それから、先ほどの広域系統整備計画というだけで本当に事業者がそれだけの投資をしていくんだろうかということが思うんですけれども、それについてどういう考え方をされているかをお願いいたします。
  121. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答えを申し上げます。  今回の改革の問題意識の出発点といたしましては、今委員から御指摘いただきましたように、今後想定される大規模な老朽化の更新投資、それから、再エネを大量導入していく上で、それを受け止めるための系統増強、こういった投資のニーズが将来大きくある中で、これをしっかり確保しなければいけないというところから始まりまして、他方、それを投資をしますとコストが上がってしまうので、それを抑制しながら投資を確保していくと、こういう考え方に立っているところでございます。  従来の電気事業法の仕組みでは、事業法が更新投資を含めた料金値上げを伴う新たな投資にどうしてもちゅうちょ、抑制的になるという傾向、課題が見られたものですから、これを改善したいということで、欧州の制度参考にいたしまして新たに導入するのがレベニューキャップ制度でございます。  このレベニューキャップ制度の下では、例えば再エネ接続のための送配電設備の新設ですとか、需要の変動など事前に予見し難い外生的な費用の増減につきましては、これを機動的に収益上限に反映できるようにするなど、必要な投資を確保しやすくする仕組みを盛り込んでいるところでございます。  また、今委員から御指摘いただきましたとおり、電力広域機関が専門的知見に基づいて策定をし国に届け出る広域系統整備計画ですとか事業者が提出してくる設備更新計画、また設備増強計画等を踏まえまして、電力ネットワークの強靱化に資する投資や再エネ電源系統への接続を円滑化するための投資など、必要な投資についてはこれを確実に確保できるように適切な料金審査指針を設定いたしまして、この料金審査基準に基づいてしっかりと投資確保のための審査をやっていくと。そういう意味では、安定供給という基軸をしっかり置いて審査をしていくということを考えてございます。  もう一点、御質問いただきました配電網の件でございますけれども、今次改正では、御指摘のとおり、配電事業ライセンスを創設するなど、再エネ等を利用した地域分散型のビジネスの普及を促進するという要素も盛り込んでいるところでございます。  これは、御指摘いただいたような側面もありますけれども、一方で、例えば新しいITの技術、AIの技術を持った事業者エネルギービジネスに参画をすることによって、配電レベルでネットワークの高度化、次世代化に向けた新たな投資を生み出す効果なども期待されるところでございます。また、再エネとEVの充電池を組み合わせるといったようなことで需要をうまく調整できれば、送電網に対して効率的な形成の観点からもプラスに働く側面もあると思います。  こういったプラスの側面が大きく出てくるように、この制度を適切に運用し、必要な投資がしっかり確保できるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
  122. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 ありがとうございます。  このネットワークについては、こういう託送料、総括原価方式ということでその回収はできるわけですけれども、ただ、そこでやっぱり実際に、回収できるからといって系統増強を本当にしてくれるかどうか。この問題があると思いますので、やはり引き続き、ネットワークの強靱化への動きを見ながら、やっぱり必要に応じてこれはインセンティブあるいはペナルティーというものをしっかり混ぜて、ネットワークの強化というのを日本全体として広域で図っていく必要があると思いますので、よろしくお願いをいたします。  ちょっと一問飛ばします。  このところ、電力のスポット価格、これを見ていますと、取引市場での価格を見ていると非常に低迷しており、時間帯によってはほとんどゼロで取引をされている、こういう時間帯もあります。  これは、裏を返すと、必要ない発電所を稼働させているという、こういうことにもなるかと思うんですけれども、こういう状況が続くとすると、今回この議論になっているFIPを考えたときに、市場連動のFIPに移行した際に、やはりこの回避可能費用が低下して、最終的に賦課金が増加しかねないんじゃないかというふうにも思います。  この辺り、このFIPを考えるときの参照価格を卸電力市場にどこまでどういう形で連動させるのか、こういったことが大事になってくると思いますけれども、どういう対応をお考えなのか、教えてください。
  123. 松山泰浩

    政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。  委員御指摘のように、卸電力取引市場のここ数か月のスポット価格の平均でございますが、総じて低い傾向にございます。これは、今のこの時期は一年の中でも電気需要が非常に小さい時期であるということ、また、FIT制度の下での再エネ導入拡大に伴いまして、限界費用の低い電力供給が増えているということ、またさらに、新型コロナウイルス感染症の影響で電力需要が減少していることなどが背景にあると考えてございますけれども、特に日中にはゼロ円付近で取引されている実情があるのも事実でございます。  御指摘のように、FIT制度FIP制度では、買取りの価格ですとか再エネ事業者方々の収入の目安の基準、これをFIP価格、基準価格と呼ぶわけでございますが、これが設定されるために、市場価格が低下してまいりますと、その差を埋める賦課金が増加していくという懸念があるのは御指摘のとおりでございます。  中でも、とりわけ現行のFIT制度というのは、発電された再エネ電気を常に固定化の価格で買い取るという仕組みでございますので、電力の需給状況やこれに応じた市場価格とは無関係な売電になるという傾向があるのも御指摘のとおりだと思っております。  こういった問題に対応する中で、今回の法案の中に盛り込んでございますフィード・イン・プレミアム、FIPという制度では、再エネ発電事業者がまず自ら市場で売電していただきまして、その上で、市場での売電実績に応じて一定のプレミアムをお払いするという制度でございます。  このプレミアムの額の設定におきましては、その事業者の収入の目安の基準となります基準価格から一定期間のスポット市場の平均価格、こちらを基礎として算定した価格を控除することによって決定する仕組みでございます。これは、言い換えますと、参照する市場価格というものが一定期間の市場の平均という形で設定することによってプレミアムはその平均的な水準をベースとした形で固定されるわけでございますので、市場価格が一時的に仮にゼロ円近くに、低い水準になりましても、プレミアム、すなわち賦課金というのは増加しないというような形になってございます。  むしろ、これによりまして、市場価格が低いときに蓄電して高いときに売るという、いわゆる市場に連動したような行動が促されることが期待されますし、市場取引で一定程度の収入を確保できるようにスポット市場への札入れを工夫するようになるということも期待してございます。  電力システム全体のコストの低減、再エネ競争力強化とコストダウンということを実現するためにしっかりとした運用に努めていきたいというふうに、法案の成立の後でございますが、考えてございます。
  124. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 ありがとうございます。  やはりこの電力市場はまだ育って、つくってから間もないということもありますし、また、いろんな市場が絡んでいるということの中で、やはりまだ市場が完全な意味では機能していない、価格形成機能がまだ十分でない部分もこれあるような気もしますので、やはりその辺りはしっかりと引き続き注視していただきたいと思います。  今回の改正法案の中でもう一つ大きな柱というのが、災害時における電力事業の強靱化ということでございました。これについては実は私、昨年の経産委員会でも梶山大臣にいろいろと質問させていただきました。そういう中で今回の改正をいただいているわけですけれども、やはり大事なのは、危機のときには本当にこの関係者全てがしっかりと情報を共有して、そして連携して当たるんだということだと思います。  その場合に、今回の改正の中では一般送配電事業者というのが主語で出てくるわけですけれども、それ以上に、この二十八条でも、こういう電力事業者全体の相互協調ということがこれ非常に大事であると思います。その中にはもちろん持ち株会社もあれば、小売発電事業者、そして送配電事業者、これも単に同じ電力会社の系列だけじゃなくて、他地域電力会社もあると思いますし、また新電力もあると。  そしてまた、実際にはこの電気管理技術者ですね、配電のところでの仕事もある、それから電気事業者、もうこういった関連が非常にたくさんある中で、やはりこの人たちがいざというときにしっかり連携できるということが大事だと思いますので、それについてはやはりこの災害連携計画あるいは何らかの通達の中でしっかりと協調してほしいということを是非書いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  125. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、関係者の連携災害時に極めて重要だと考えてございます。  本年四月に発送電分離を行いましたけれども、その中でも、資本関係を認め、グループ一体となった安定供給を確保することが可能な仕組みとなってございまして、委員からも御指摘いただきましたように、これを災害時においても部門をまたがるグループ会社で連携した活動ができるよう、省令において行為規制の適用除外を措置しているところでございます。  また、今御指摘いただきましたとおり、電事法二十八条では、安定供給の確保などに資するよう、小売発電など電気供給を行う全ての電気事業者が相互に協調しなければならないという相互協調義務が規定されているところでございまして、その趣旨も踏まえまして、今御指摘いただきましたように、災害連携計画におきましては、発電事業者小売事業者との連携についても明記することを省令で規定を設け、義務付けるということを考えていきたいと考えてございます。  これによりまして様々な関係者の連携が進むと考えてございますし、今御指摘いただきましたように電気管理技術者や電気保安法人との連携も重要だと考えてございまして、これらの者に対し、災害時に電力会社と連携して設備の安全確認等を円滑に行うよう、協定の締結や共同訓練の実施等を促してまいりたいと考えてございます。
  126. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 幾つか質問が残りましたが、時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  127. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 国民民主党共同会派の浜野喜史でございます。  まず、再エネの普及拡大についてお伺いをさせていただきます。  太陽光など再エネの普及拡大につきましては、トータルで見た国民負担という観点のみならず、発電も含めた電力ネットワークの安定性という物理的な観点でどこかに限界があるものと推察をいたします。導入の限界につきまして、行政として冷静に研究、検討をしていくことが必要と認識をいたしますけれども、御見解をお伺いいたします。
  128. 松山泰浩

    政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。  再生可能エネルギーにつきましては、国民負担を抑制しつつ最大限導入し、主力電源化していくというのが基本方針でございまして、エネルギーミックスで示されました二〇三〇年の再エネ比率二二から二四%、さらには、これにとどまらない導入の拡大ということを追求していきたいと考えているところでございますが、委員御指摘のように、再生可能エネルギー導入というものはまだ始まって間もないところでございますし、これをどのような形で我が国社会の中に定着していくかということについては、様々な課題について検討していかなきゃいけないというふうに考えてございます。  まず、国民負担というところが非常に大きいところでございますけれども、FIT制度が始まりましてから導入は拡大しておりますけれども、初期の導入を支えるための賦課金による国民負担というのは大変大きく上昇してきているところでございます。国民負担を抑制しつつ、コスト低減の加速化を図っていくことは重要な課題でございますので、まず、この設備、再エネ産業の効率化競争力を高めていくということが重要であるとともに、委員御指摘のように、これは系統も含めた全体としてのシステムの負担ということで考えなければならないというふうに考えているところでございます。  この現在顕在化しております電力系統との兼ね合いということも大変重要な要素でございまして、この再エネ導入拡大のための系統の増強整備ということは今後必要になってくるわけでございますけれども、その際には、再エネの流通というものに対する国民負担を抑制しつつ、一般送配電事業者の効率的な系統整備を促す制度設計を、この法案の成立した暁には、この法律の中身も使いましてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。  また、この再エネというのは天候等により出力が変動するもので、太陽光とか風力があるものですから、火力によるバックアップ、電池の活用など様々な面が必要になってまいります。この実現のために、蓄電池の低コスト化、系統の制御、管理のための技術的な対応など、あらゆる意味での電力システムの3EプラスSというのが実現するようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
  129. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 電気工学的な面とか物理的な面と表現していいんでしょうか、どこかに限界点があるんだろうと思いますので、行政としてもしっかりと冷静に研究、検討をしていただくよう求めておきたいと思います。  引き続き、再エネについて伺います。  今回、競争電源FIP制度地域活用電源は引き続きFIT制度と、こんな整理になるところであります。FIPのみならずFIT分野においての国民負担の軽減の努力も行われていくべきであるというふうに思います。この認識で伺います。  現在、FIT発電事業者に設けられておりますインバランス特例とはどういうものか御説明いただきたいというのが一つ。そして、当該特例によりまして、本来は発電事業者が負担すべきインバランスリスクは最終的に再エネ賦課金として国民負担になっているものと承知をいたします。今回の法改正導入されるFIP制度では、インバランス特例の見直しが予定されていると承知をいたしますけれども、FIT発電事業者についてもインバランス特例を見直すことが国民負担の軽減につながると考えますけれども、見解を伺います。
  130. 松山泰浩

    政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。  一般に、発電事業者等には、電力システムを安定的に運用するために、あらかじめ定めた発電量の計画値と実際の発電量を一致させることが求められてございまして、この計画と実績のずれ、これがいわゆるインバランスというわけでございますが、この量に応じまして、それを代わりに補う一般送配電事業者に対しましてインバランス料金というものを支払う仕組みとなってございます。  他方、これまでのFIT制度の中の運用におきましては、長期固定価格で買取りさせていただきまして投資回収の予見可能性を担保すると、これによって再エネ導入拡大をしっかりと進めていくという趣旨を徹底いたしまして、FITに係る発電量につきましては、再エネ発電事業者に対しまして、この発電計画と実績を一致させることを不要とするというような特例の仕組みを設けてきているところでございます。この特例によりまして、FIT認定を受けた再エネ発電事業者においてはインバランスに対する料金を支払うリスクがございませんので、計画と実績のずれに起因するコストの最小化ということを意識することなく最大の発電を実現するということがこれまでの運用でございました。  他方、今回、FIP制度ということを導入しますのは、再エネをこれから主力電源化していく、電力システムの中で一翼を担うような電源にしていかなければならないという、電力市場の統合ということを促すものでございますので、その趣旨に鑑みれば、御質問いただきましたこのFIPの中の運用について申し上げますと、再エネ発電事業者に対しましても、他の発電事業者と同様にインバランスの発生を抑制するインセンティブを持たせるべきであるというふうに考えてございまして、導入の初期には負担軽減に一定の配慮をする必要はあるかと存じますけれども、特例制度を設けないこととしていくことが必要であると考えてございます。  なお、併せて御質問を頂戴しました、既にFIT認定を受けた再エネに対して事後的にインバランス特例を見直すかどうかということについてでございますが、国民負担の軽減につながるということは考えられるところでございますが、一方で、既に特例を前提に長期の運転がなされ、事業計画実施されているという現状を踏まえますれば、事後的に制度に変更を加えることには慎重に考えていかなければならないというふうに考えてございます。
  131. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 国民負担をしっかりと抑制しつつ再エネを進めるというステップに入っていると思いますので、引き続き検討を求めておきたいと思います。  次に、電力自由化システム改革という中で、様々な仕組み、制度導入され、検討されているということを取り上げさせていただきます。  従来は、大手電力発電部門、送配電部門小売部門が一体となって安定供給を始め様々な課題に全面的に対応してきましたが、自由化、送配電分社化という中で、今までどおり全て大手電力でというわけにはいかず、全ての参加事業者が公平公正に応分の役割を分担し合う必要が生じ、様々な仕組みが検討されてきているものと理解をいたします。  まず、ベースロード市場というものについて、どういうものなのか御説明いただきたいと思います。
  132. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  ベースロード電源市場は、小売競争の更なる活性化に向けまして、安定、安価なベースロード電源を持たない事業者が多い新電力電源へのアクセスを容易にすることを目的としまして、昨年七月に創設をしたものでございます。  同市場では、旧一般電気事業者大手電力会社が保有する石炭火力ですとか大型水力といった安価で安定的なベースロード電源電気の供出を制度的に求めまして、新電力が年間で固定価格で購入可能とするものでございます。  昨年度は計三回のオークションが実施されまして、約定量は約四十七億キロワットアワーとなっているところでございます。従来、大手電力が新電力に対して卸供給を行ってきた常時バックアップ制度というものがございますけれども、この制度と二〇一八年度の調達量と比較すると、半分程度に相当する規模にまで増えてきているということでございます。  現在、審議会におきまして、この昨年度のオークションの結果について評価をいただいているところでございまして、この評価も踏まえまして、今後とも、このベースロード電源における取引が更に増えるように関係者にも働きかけを進めて着実に取り組んでまいりたいと考えてございます。
  133. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 御説明ありがとうございます。  新規参入を行いました新電力は、小売電気事業を行うに当たりましては約九割の供給力を卸電力取引所から調達しているという御説明が前回ございました。加えて、大手電力との相対契約と自らの電源、これが供給力という御説明でございました。  卸電力取引所への電力の供出は、正確なところは分かりませんけれども、八割以上が九電力と電発というこの大手電力と理解をいたしますので、新電力供給力の多くを大手電力が支えているというのが実態でございます。こういう実態を更に補完するための仕組みがこのベースロード電源市場というものであろうと理解をいたすところでございます。  その上でお伺いしますけれども、このような非対称規制は将来的には廃止されていくものと理解をいたしますけれども、御見解をお伺いいたします。
  134. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、小売電気市場における新規参入を促し競争活性化させる観点から、現時点でベースロード電源市場を創設し導入したわけでございますけれども、御指摘のとおり、新規参入者を有利に扱う非対称規制としての性格を有する制度であることは事実でございます。  実際、このベースロード市場の創設、導入に向けた議論を行ってきました審議会の取りまとめにおきましても、小売競争環境が一定程度進展し、卸市場が機能し、競争が十分に活性化された段階では、当該制度措置について終了することが望ましいとされておりまして、将来的には終了していくべきものであると認識してございます。  他方、ベースロード市場は二〇一九年より取引が開始されたばかりでございまして、電力・ガス取引監視等委員会における競争状況の評価におきましても、まだ経過措置料金を解除できる水準とはされておりませんので、まずはこのベースロード市場をしっかりと機能させ、競争を促す効果を実現することに力を尽くしてまいりたいと考えてございます。
  135. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 非対称規制ということでありますので、将来的には廃止されていくものというふうに御説明をいただいたと理解をいたします。  次に、需給調整市場というもの、さらには容量市場というものについて一括、どのようなものか御説明いただきたいと思います。
  136. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  この需給調整市場と容量市場につきましては、供給力ですとか調整力をしっかりと市場に確保していくための仕組みでございます。  例えば、気象条件により変動いたします再生可能エネルギー導入を進めていく上で、出力が大幅に減少した場合のバックアップですとか、短時間の出力変動の調整を行うためには、火力発電ですとか揚水発電などの調整力の確保が不可欠となるわけでございます。  加えまして、再生可能エネルギー導入拡大に伴いまして火力発電等の稼働率が低下するということになりますので、卸市場価格が低下いたしますれば、発電事業者にとっての投資回収の予見性が低下し、必要な発電投資が進まないおそれがございます。  こういった課題に対応するため、これは欧州等でも導入が進められておりますけれども、需給の逼迫時にも発電を継続できる事業者発電能力、いわゆるキロワットに応じて収入を得られる仕組みであります。これが容量市場でございます。  もう一つ、一般送配電事業者が広域的かつ効率的に調整力を調達、運用することを可能とする調整力の市場が需給調整市場でございまして、この二つを導入することとしてございます。  容量市場につきましては、先ほど申し上げたとおり、実際に電気供給する四年前にオークションを実施するということになってございまして、本年七月に初回のオークションを実施する予定でございます。  また、需給調整市場につきましては、二〇二一年度から再生可能エネルギーの予測誤差に対応する調整力の市場取引を開始いたしまして、二〇二四年までに全ての調整力が段階的に市場取引に移行する予定でございまして、現在、制度設計を進めているところでございます。
  137. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 御説明ありがとうございます。  その上で、容量市場に関してお伺いをするんですけれども、この容量市場供給力確保を今後担い、そして費用も負担をしていただこうと、こういうふうになるわけですけれども、従来、従来というか現在、その容量市場で担おうとしておる供給力の確保を誰が担い、費用を負担してきたのか、説明をいただきたいと思います。
  138. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  制度的には、現状、小売電気事業者には、電気事業法に基づきまして、供給能力の確保義務、お客様に対して売るだけの供給力を持ちなさいという義務が課せられているわけでございます。このため、小売電気事業者は、自らの電気供給能力に加えまして、相対契約ですとかスポット市場等を介しまして、需要に応じた供給電力量、キロワットアワー価値と、供給能力、キロワットアワー価値を確保しており、その確保に要する費用小売電気事業者から発電事業者等へ支払われることとなってございます。  その整理につきましては容量市場の創設でも同じでございまして、小売事業者ということでございます。
  139. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 御説明ありがとうございます。  現在も小売事業者供給力の確保を行っており、その費用小売事業者から発電事業者へ支払われていると、その整理は変わらないという御説明でございました。  枠組みはそのような整理であるというふうに思いますけれども、供給力のキロワット価値は実質的には大手電力が担い、その費用も利用者への転嫁も含めて消化をしてきたのではないかと私は認識をしているところでございます。  その上でお伺いしますけれども、容量市場が本当に供給力確保につながるものとなるのかどうか、今後、適時適切にフォローをしていくということが必要だと考えますけれども、見解をお伺いいたします。
  140. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  その前に、先ほど、もしかしたら私、供給能力のところをキロワットアワーと言ったかもしれませんけれども、供給能力はキロワット価値でございます。  その上で御答弁申し上げますと、容量市場はこの夏から初回のオークションが開始されることになりますけれども、委員御指摘のとおり、容量市場供給力を確保するために効果的に機能しているのか、適時適切にフォローアップを行うことは必要だと考えてございます。また、電源全体の投資を安定的に確保するために、長期的な予見性を与えるための事業環境整備の在り方がどうあるべきかということも検討する必要があると考えてございまして、こうしたことをしっかりと検証してまいりたいというふうに考えてございます。  実際、本年七月に予定しておる初回オークションの翌月、八月にはまず約定価格を公表すると、このように考えてございまして、その後、市場管理者である広域機関においてオークションの結果の分析、検証を行い、検証結果を公表するとともに、検証結果などを踏まえまして制度の改善や見直しをしっかり検討してまいりたいと考えてございます。
  141. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 供給力確保につながるものとなるよう、しっかりとフォローをしていただきたいと思います。  次に、お伺いいたします。  電源投資の確保が電力システム改革の積み残し課題一つだと認識をいたしております。審議会におきましても、発電能力に応じて、稼働していない期間でも一定の収入を得られる仕組み、容量市場導入が今夏に予定されているが、電源への投資のために必要な長期的な予見可能性を付与することは困難であり、更なる措置の検討を年内に深めるべきであると整理をされております。  足らざるものをどのように構築していこうとされているのか、説明を求めます。
  142. 高橋泰三

    政府参考人高橋泰三君) お答え申し上げます。  電力自由化が進展する中で、その電力安定供給を持続可能なものとしていくと、このために中長期的な適切な供給力、それから調整力のための投資を確保していくことが必要でございます。  今回の法律案の中でも御議論いただいておりますFIP制度導入、それから、今御質問もございました再エネ出力変動に対応するための調整力確保するための容量市場導入ということで、制度導入を進めてきているところでございます。  ただ、委員御指摘のとおり、中長期的な電源投資を確保していく上ではまだまだ課題があると考えてございます。御指摘がありました審議会の取りまとめ、中間取りまとめにおきましては、容量市場単独での投資のために必要な長期的な予見可能性を付与することは困難であると。また、再エネを含めた電源全体の投資を安定的に確保するため、長期的な予見性を与える制度の措置が必要であるというふうに指摘がされているところでございます。  今後、これらも踏まえまして、電力市場価格が変動する中で、電源投資を安定的に確保するための更なる事業環境の整備につきまして具体的な検討を深めてまいりたいと考えております。
  143. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 極めて重要な課題だと認識をいたしますので、しっかりと御検討いただくよう求めておきたいと思います。  次に、非化石価値取引市場について、どのようなものか御説明をいただきたいと思います。
  144. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  これは、エネルギーミックスで示されました非化石電源の比率を的確に実現していくために導入された仕組みでございます。  エネルギー供給構造高度化法に基づきまして、小売電気事業者に対しまして、二〇三〇年度、ミックスの目標年度でございますけれども、この年度に達成する電気の非化石電源比率を四四%以上とすることを求めているものでございます。  他方、個別の事業者だけで目標の達成が難しい事業者もありますので、市場から非化石価値を購入して目標を達成することもできるよう、多様の選択肢を増やすという観点、ゼロエミッションの非化石目標達成を確実なものにするといった観点から、再エネを始めとした非化石電源の持つ環境価値を証書化いたしまして、取引できる非化石価値取引市場を二〇一八年の五月に創設したものでございます。  この非化石証書の二〇一九年度の取引量は、前年度の取引量の約十三倍となる四・四億キロワットアワーとなったところでございますけれども、更に取引の活性化を促し政策目標の達成を確実なものとするべく、今年からは二〇三〇年度目標の達成に向けて中間目標導入をしたところでございます。  こうした取組を更に充実いたしまして、適切に市場運営していく中で、非化石価値取引市場活性化し、エネルギーミックスを着実に実現してまいりたいと考えてございます。
  145. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 その上で、非化石価値取引市場について更にお伺いしますけれども、この市場につきましては、小売事業者に課せられる非化石電源調達比率の中間目標によって実効性が大きく左右されるものと認識をいたします。  今後、具体的にどのように設定していくのか、また、目標未達成時のペナルティーによっても実効性は大きく変わってくると認識をいたしますけれども、現状どのようなペナルティーが設定されているのか、説明いただきたいと思います。
  146. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたとおり、高度化法に基づきまして、二〇三〇年度四四%目標をベースといたしまして中間目標値が設定されているわけでございます。  この中間評価につきましては、これまでの審議会の議論を踏まえまして、二〇三〇年度に至るまでの三つのフェーズに分けて評価を行うことにしてございまして、二〇二〇年から二二年までの三年間を第一フェーズといたしまして、第一フェーズは本年度から二二年度の三年間で評価することとしてございます。その達成度合いなど評価も踏まえて、第二フェーズ以降の制度の在り方が検討されていくということになっているわけでございます。  そのフェーズ、第一フェーズの中で達成できなかった場合のペナルティーということでございますけれども、高度化法におきましては、事業者の非化石エネルギー源の利用の状況判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、この必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができることとされてございます。また、その勧告に係る措置をとらなかった場合には、勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができることとなってございまして、この命令に違反をした場合には罰金刑に処されると、こういうことになってございます。  さらに、未達成者を公表するなどといったような措置も含めまして、まずは各事業者がこの中間目標をしっかりと達成するように、適切に第一フェーズからの制度運用を図ってまいりたいと考えてございます。
  147. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 ペナルティーの設定も含めて、低炭素化につながる実効ある制度としていただくように、引き続きの検討を求めておきたいと思います。  加えまして、託送料金における発電側基本料金についてお伺いいたします。  この仕組みにつきましても、自由化システム改革の中、検討しなければならなくなった課題一つであろうというふうに思います。  この託送料金における発電側基本料金とはどのような制度なのか、またどのような狙いがあるのか。さらには、これまでこのような仕組みが制度化されなかった理由は何か。そしてまた、なぜこのタイミングで制度化をするということに至ったのか、御説明をいただきたいと思います。
  148. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) お答え申し上げます。  今後、再生可能エネルギー主力電源化を進めていくためには、再エネ電源を接続し、再エネ電気を流すための送配電設備の増強を進めていくことに加え、その増強分も含めた設備全体を長期間にわたって維持、運用していくことが必要不可欠でございます。  他方、送配電費用の約八割は送電線の増強、維持、運用費用などの固定費でありますが、現行の託送料金制度は、配電費用の約七割をキロワットアワー単位の従量料金で回収する構造、すなわち、電力構造が伸び悩めば費用に見合うだけの収入が得られない構造になっております。このため、電力需要の伸び悩みが見込まれる中、今後、再エネ主力電源化に向けて必要となる送配電設備の増強に支障を来すおそれがございます。また、再エネのために送配電設備の増強を進めたとしても、その費用が大きく増大すれば電気料金の上昇にも直結いたします。このため、費用の最大限の抑制と、再生可能エネルギーの拡大に必要な送配電設備の整備を両立させる仕組みが極めて重要であると考えております。  さらに、電力自由化の進展に伴い、コスト意識の高い事業者が参入している中で、現行の託送料金制度の下では、送配電設備の増強によってメリットを受ける発電設備の設置者ではなく、電気を販売する小売側が全ての費用を負担しているというゆがみが生じております。  このような費用回収構造を改善するため、発電側基本料金導入して、系統増強等によってメリットを受ける発電側の方にも送配電整備の増強、維持、運用費用などの固定費について公平に負担を求めることとしたいというものでございます。発電側基本料金導入によりまして、再エネ主力電源化に向けて必要となる送配電設備の増強、維持、運用を効率的かつ確実に進めていくとともに、再エネを含めた電源による効率的な系統利用が促進されるものと考えております。  次に、御質問がございました、なぜこのタイミングで制度化するのかということでございます。その背景として二つあると考えております。  まず一つは、今申し上げましたように、電力システム改革によって従来の発送電一貫体制を前提とした市場構造がなくなったことに加えまして、先ほど申しましたように、自由化の進展に伴いコスト意識の高い事業者が参入している中で、現行の託送料金制度の下では、送配電設備の増強によってメリットを受ける発電設備の設置者ではなく、電気を販売する小売が全ての費用を負担しているというゆがみが生じておりまして、小売事業者の方も、ゆがみが生じているという声がたくさん出ているということがございます。  二つ目でございます。これは委員極めてお詳しいところと存じますが、今後の送配電投資は主に電源起因、今までは需要の増大とか信頼度を高めるということが多うございましたが、今後は主に電源起因により増加していく見込みであることが挙げられます。  再エネ主力電源化を進めていくに当たっては、送配電設備を増強し、その設備を長期間にわたって維持、運用していくことが必要不可欠であり、今後、送配電に必要な費用が拡大していくことが想定されます。このため、発電側基本料金導入して、小売電気事業者だけではなく、系統増強によりメリットを受ける発電側にも送配電費用の一部について公平に負担を求めることとしているというので、このタイミングで制度化を今考えているというところでございます。
  149. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 自由化システム改革ということの中で検討をしなければならなくなったテーマであろうというふうに理解をいたします。  そろそろ時間も来ておりますので、最後に大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  現在、様々な仕組み、制度が検討されたり導入したりしていることになるわけでありますけれども、一つには、全体として電力利用者、使用者の利益につながるものでなければならないと、これが大切だと思います。そして二つ目には、各仕組み、制度にはそれぞれ政策目的があり、その目的に沿った検討がしっかり行われるべきであると考えます。御見解をお伺いしたいと思います。  加えて、電力システム改革がSプラス3Eや国民の豊かさの向上につながっているのか、定量的に評価をしていく必要があると考えますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  150. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) 委員御指摘のとおり、電力システム改革において整備される様々な仕組みや制度は、これまで事務方から答弁をさせていただいたとおりに、安定供給の確保を支える供給力や調整力を確保するための措置としての容量市場環境への配慮の視点から環境価値を評価し事業者へのインセンティブ形成をするための措置としての非化石価値取引市場、効率性の観点から新規参入者の電源アクセスを確保し競争を促すための措置でありますベースロード市場など、それぞれに政策目的があり、その目的に沿って適切に制度設計、検討を行うことが重要であると思っております。  また、これらの措置の実際の効果や成果についても、それぞれの政策目的が達成されているか、真に電気の使用者の利益につながっているかどうかを一定期間ごとにしっかりと検証していくことは大変重要なことであると考えております。  この点、電力市場競争状況については電力・ガス取引監視等委員会において監視を行っているところで、卸電力市場については定量的なモニタリングを定期的に実施するとともに、経過措置として存続する小売料金規制の観点からは、新規参入者や需要家のスイッチングといった定量的な指標も踏まえて実態的な競争状況の評価を行っているところであります。今後もこれも続けていかなければならないと思っておりますし、その上での評価を進めてもらいたいと考えております。  こうしたことも踏まえて、電力システム改革エネルギー政策の要諦である3EプラスSや国民の豊かさの向上につながっているかどうか、委員の御指摘も踏まえて、適切なタイミングで公開の審議会等の場において改革の検証を実施してまいりたいと考えております。  以上です。
  151. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 終わります。ありがとうございました。
  152. 小沼巧

    ○小沼巧君 立憲・国民.新緑風会・社民の小沼巧です。  今日は、エネルギーのことに絞ってやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  済みません、これ通告していなかったんですが、先ほどの質疑の中でちょっとアンクリアなところがあったので大臣にお尋ねなんですけど、発電側基本料金、あれって、衆の経産委の議論聞いておりましたら、ちょっとキロワットにするのかキロワットアワーにするのかということで一回検討するということをおっしゃっていたかと思うんですが、その検討状況ってもう終わったのかどうなのか、御確認をお願いいたします。
  153. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) これは公平性の観点から、再生可能エネルギー導入に妨げにならないようにどういった制度が望ましいのかということを検討していくということで、検討を続けている最中であります。
  154. 小沼巧

    ○小沼巧君 分かりました。ありがとうございます。よかったです。  それで、今日、エネルギーの観点で一つ、おとといでしたね、審議の後に、一つ、会館の中に投げ込みがあったんです。JAEA、日本原子力研究開発機構で何かまたトラブルがあったということであります。  初質問したときは、十一月十四日のときに、例の放射能の管理区域、指定管理区域の中でトランシーバーが盗まれちゃってネットオークションに出されちゃったという。あれの後に様々ほかにも盗まれていたらしいんですよ。予備のトランシーバーが十台、デスクトップのパソコン、これも三台、予備の監視カメラ一枚とかポータブル酸素モニター一台とかもろもろなくなっちゃっているというような、そういうのが明らかになって、中間の取りまとめというのが一月に行われたそうなんです。  最終の取りまとめにも至っていない、まさにこういうさなかで、今度は現金約四十万円がなくなっちゃったということで、ひたちなか警察署に、もしかしたら盗難の可能性があるかもしれないということで届出がなされたそうであります。悩ましいですよね。  大臣、この前の答弁のときは、所管外であることは私も重々承知なんですが、やっぱり外から見れば原子力の不祥事だと、原子力で起こったことという捉え方をされちゃうということをおっしゃっておりました。  このような状況において、事件が、事案が発生したことについて、御見解、御感想をお願いいたします。
  155. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) その案件については報道を通じて承知をしております。  現在、警察において捜査が行われているところであり、予断を持ってコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げれば、前回と同じように、原子力を扱う組織においてこのような不祥事が起こるということは、本来の業務である原子力についてどうかという疑念も出かねないということでありますし、前回の不祥事も併せて、施設全体のセキュリティー、そして施設として取り扱っている情報のセキュリティー、こういったものにも疑念が及ぶということだと思いますので、しっかりと緊張感を持って臨んでほしいと思っております。
  156. 小沼巧

    ○小沼巧君 御答弁ありがとうございます。  まさにその原子力に携わる者全てが緊張感を持って当たることが大事だと、初質問のときにも、大臣、御答弁おっしゃっていただきました。  しかし、悩ましいことに、振り返ってみますと、この経済産業委員会見てみますと、いわゆる関電の原発マネーから始まり、そして、その後の経産省における電事法の、現行の電事法の第六十六条の十一に基づく手続に関する一連のミスがあったりとか、そういったこともあって、あと、不適切な決裁もあったわけであります。緊張感を持ってやっていかなければならないというのはおっしゃるとおりなんですが、まさにその大臣がおっしゃった緊張感を持ってというものが現場に、一人一人に徹底されていないのではないかと、そういう思いを抱かざるを得ないのであります。  同じ茨城ということなので茨城弁使わせていただきますと、ごじゃっぺやってんじゃねえぞ、このでれすけがと、こう言われてしまってもやむを得ないような事情なんだと。めちゃくちゃやってんじゃねえよ、ばかなことやってんじゃねえよ、この間抜けがとか、そういう意味であります。  そういう意味で、参考人質疑なんかも聞いていますと、技術とか安全性とか、こういうのが大事だというのは、それはそうなんですが、それを扱う、そして現場で一人一人働く人たちの、人間の一人一人、進歩していないどころか、むしろ退化しているんじゃないのかと、こういうような疑念を抱かざるを得ないのであります。  やっぱり、所管は違うんですけれども、いま一度、改めてその緊張感を現場に徹底させていく、これが重要だと思いますので、大臣、改めてその御決意をいただけますでしょうか。
  157. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) 特に公共性のある電力やガス、また多くの地元の信頼から成り立つ原子力事業、こういったものにつきましては、やはりどうやってこれまで先人たちが信頼を積み重ねてきたのか。崩すのは簡単で、一瞬であります。そういったことも含めて、自分たちの仕事に責任感を持った上で緊張感を持って臨んでほしい。私からの心からのコメントであります。
  158. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございます。  信頼したいと思いますし、今後も、この件について何か問題が起こったりするのであれば、もちろん私自身もチェックしていきたいと思いますし、逐一議論をさせていただければと思っております。  さて、今日はエネルギーに関する法律に関するのでありますが、やはり実効性をどう担保していくかということが私の立場からは極めて重要なのであります。原子力の話でも、やっぱり掛け声だけあってもしようがない。大事だということは分かる、じゃ、それをどう実行していくのかということが大事なのでありまして、この今回の法改正方向性としては私も了とするところでありますので、じゃ、それをどう実現していくのかという観点で議論をしたいと思っております。  蓄電池の話が様々出ています。衆議院の話の中でも、大臣太陽光の御持論も言及していただいて、屋根の上に載せてということが持論ですけどっておっしゃっていただいて、蓄電池もしっかりやっていくということもおっしゃっていただきました。参議院の経産委におきましても、何度か蓄電池に関する議論があったときに、やっぱりしっかりやっていくということでありました。  そのしっかりやっていく、大臣のお気持ち分かるんですが、本当に経産省の中において徹底されているのかどうなのか、これがちょっと私には疑問なのであります。  というのも、私自身もエネ庁にいたときに、平成の二十四年でした、蓄電池戦略というのを作ったんですね。それで、そのときに二〇二〇年に、まさに今年ですね、世界全体の蓄電池市場規模二十兆円の五割のシェアを我が国企業が占めるんだと、こういう壮大な目標を掲げたのであります。実効性という意味で、この戦略の達成状況どうだったのかということを振り返って、問題があるんだったら直していくことが大事だし、なかったんだったらこのまま継続していくということも大事だと思います。  改めて、今二〇二〇年になりましたので、この蓄電池戦略の達成状況について現状をお伺いしたいと思います。
  159. 牧原秀樹

    ○副大臣(牧原秀樹君) お答えいたします。  まさに委員経済産業省にいらっしゃったときにそのような目標を作り、当時一八%であった我が国の関連企業のシェアを二〇二〇年には二十兆円の市場の中で五割にする、こういう計画を、目標を掲げたわけでございます。  今データがあるのは二〇一七年時点のものですけれども、二十兆と見積もっていた市場は七兆四千億という状況でございます。そこでの日本の企業のシェアは二割でございますので、二〇二〇年、今年ですけれども、五割はなかなか難しそうな状況であるというのはおっしゃるとおりだと思います。  これの原因を考えてみますと、蓄電池市場の約六割を占める車載用の電池において、主要な先進国で想定したほど市場が拡大しなかったということ、その中で、EV導入を大幅に拡大させた中国の国内市場において、中国企業がシェアを高めたということが大きな要因になっています。また、定置用の蓄電池についても想定ほど市場が拡大せず、蓄電池の価格が高いということが要因の一つにある、こう考えているところでございます。  分析まででよろしいでしょうか、対策も。(発言する者あり)分かりました。  対策につきましては、やはり蓄電池の性能の向上と、それから価格の低減、これが非常に鍵だと思っておりまして、経産省としては、EVなどの導入補助を通じて国内の電池需要を拡大をしたり、あるいは電池の性能向上や価格を低減して資源リスクなどを低減することを含め、次世代の蓄電池の研究開発に取り組んでいるところでございます。  家庭用の置かれる蓄電池につきましては、いろんな導入、実証実験をやったりして導入支援をやっておりますけれども、例えば今回の法案の中でも、この蓄電池等の分散リソースを束ねて供給力や調整力として活用するアグリゲーター事業というものを重要だと考えておりまして、法改正においてアグリゲーターを特定卸供給事業者として位置付け、これによって規制の適用関係が明確になって、この蓄電池も使ったアグリゲーターの信頼性とビジネス環境の向上が期待されることでございまして、こうした取組を通じて日本の蓄電池業界を強化し、再生可能エネルギーの普及や産業の競争力強化につなげていきたい、こう考えておるところでございます。
  160. 小沼巧

    ○小沼巧君 御答弁ありがとうございました。  かつて掲げた目標達成はできていなかったということであります。  それはしようがないと思うんですが、ちょっと今の御答弁聞いていて気になったのが、何で市場がそもそも拡大していかなかったのかということに対しての分析がないのかなと。もうちょっと言うと、それに対して、性能を上げて価格を下げれば通用するのかということのそのロジックがよく分かりません。  そこの点について改めて御解説をお願いできますか。
  161. 松山泰浩

    政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。  今、副大臣から御答弁申し上げたように、蓄電池戦略作った際に、これも産業の移り変わりでございますので、言わば脱炭素の温暖化対応というのが非常に関心が高まり、世界的な対応を進めていこうという動きがございました。同時に、電気自動車を中心といたしまして、電動車がこれから相当伸びていくだろうというような予測があったのも事実でございます。  しかし、一方で、コストダウンの限界、あと、その資源の確保の問題、もろもろやっぱりインセンティブを付けていかないと自動車の市場というのは伸びていかない。やはりこれはマーケットでございますので、それに達するだけの要は市場が育つかどうか、そこまでに至るまでの持続的な政策的な支援ができるかどうか。これは日本のみならず、特に海外、中国のマーケットが引っ張っているわけでございますけれども、アメリカ、ヨーロッパ、いろんな国々の状況によって自動車の車載の電池のマーケットというのが想定と違う状況になってきているのかなと。現在でも電動車というのは増えてはきてございますけれども、ここの将来の伸びというのは、またこの需要の変動によって大きな違いが出てくるのかなと考えてございます。  また、定置用の部分、これはエネルギーのところに直結するところではございますけれども、今回の法案の中でFIP制度導入しているというお話もございます。アグリゲータービジネスという話もございます。あと、昨年の十二月末で屋根置きの太陽光の期限が十年が切れるということで、アグリゲーションしていって、電池を活用して、地域でネットワークをつくって供給するというようなメカニズムはこれから出てくる。同時に、価格は下がってきて、要はFIT売電と自家消費、この位置付けが変わるというのがちょうど去年から始まったところでございます。  時間軸というのはとにかくマーケットをベースに我々は注視して考えていかなきゃいけないと思っておりますので、戦略の実行ということはしっかりと考えながら、状況をよく見極めて次なる対策を着実に打っていきたいと考えてございます。
  162. 小沼巧

    ○小沼巧君 御答弁ありがとうございます。  なかなかマーケットのところだから難しいなということでありますが、やっぱりそのときから今も現状として基本的な考えとしては変わっていないのは、基本この世界って政策依存度が非常に強いというような産業であります。中国とかアメリカだって、またあるいは欧州とかだって政策的に物すごく優遇しているというような状況であります。  衆の経産委でも議論ありましたが、このコロナの状況からどう復活させるかというところで、欧州の航空機業界でCO2削減させろと、その代わりにしっかり支援するぞというようなことも取組やっておったと思いますので、まさにこのコロナの状況からどう回復させていくのか、エネルギー政策かつ産業政策、真剣に考えて打ち出していくということが重要だと思っております。  その手法として、例えば技術開発、例えば実証、こういうことをやっていくのは否定はしませんが、本当に有効なのかなということを我が国国内でひょいっと振り返って考えてみますと、これは御答弁がございましたアグリゲーションビジネスとか地域課題解決とかございますが、実は、これもう二〇一一年、一二年の頃にスマートコミュニティーの四地域実証というのをやっておったんですね、実証事業として。今は終わっていると。どうもそれが、技術の実証は終わったのだけれども、ビジネスとしてそこに根付いて展開されていたかと、有効需要としてそれをつかみ取っていたかというと、どうもはっきりしない。  そのときにも新しいエネルギー産業ということで、当時三十・三兆円の市場を八十六兆円まで伸びるんだということの戦略を掲げてやっておったわけですけれども、そのスマコミ四実証との関係もいまいちすっきりしない。恐らく、じゃ、波及はしていない、普及はしていないのではないかなと思いますが、この現状とそれに対する評価についてお伺いします。
  163. 松山泰浩

    政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。  今御指摘ございましたスマコミ四地域実証、これは二〇一一年から四年間、横浜市、豊田市、けいはんな学研都市、北九州市の四つの地域におきまして行った実証事業でございまして、分散型リソースによるエネルギー供給体制の基盤となる技術の構築というための実証でございます。  具体的に言いますと、電動車から住宅に電力供給するシステムの基盤づくり、あと、分散型リソースの遠隔制御に必要となる標準インターフェースの構築、あと、さらには、容量や設置場所の異なる蓄電池を、複数ある蓄電池を統合していく技術の開発、こういったものを、標準的なインターフェースづくりですとか技術基盤をつくるというものでございました。  これは、この二〇一一年から四年間実施したところで一旦でき上がってございまして、ただ、これは、スマートコミュニティーといいますが、コミュニティーレベルの、目に見えた、北九州市のところの住宅、マンション、ステーション、これどうつなぐかという第一段階の実証だったわけでございます。  現在、この第二段階に移っておるところでございまして、もうちょっと広い、時々この委員会でも御議論いただくことあると思いますけれども、バーチャルパワープラントと呼ばれるようなバーチャルな形で、日本国中にある若しくは非常に広い場所にございます電源を、若しくは蓄電池を電動車とつなげていく、さらには市場につなげていくとなってまいりますと、更に制御要素は高まってくるわけでございまして、現時点はこのもう一段階高いレベルの実証実験に進化してきているというのが現状でございます。
  164. 小沼巧

    ○小沼巧君 御答弁ありがとうございます。  まさにVPPとか新しいビジネスというものをどうつくっていくかということは極めて重要であると思いますし、それは災害の観点とか、一連の電力システム改革とか、そういった流れでも重要だと思っております。実際、電力システム改革のところにもありますとおり、やっぱり需要家の選択肢であるとか事業機会を拡大するというイノベーションが誘発されているということ、これも目標として掲げているわけでございます。  今般の法案災害ということは強調されておりますが、それは私も否定しませんし、最後の方に一問させていただこうと思うんですが、どうも、イノベーションがしっかり生まれているかということをどう評価しているのか、そして、どう認識し、今後に生かしていくのか、これがなかなか見えないというところが正直な印象としてございます。  新電力のシェアですとかスイッチングコストであるとか、そういったことをおっしゃっていただくというのは重々分かるのですけれども、実際、今おっしゃっていただいたようなVPPのような事業はどう生まれていくのか。そして、これがどう実際に受け入れられて、それこそお金払ってでも解決したいんだというような、課題解決に、有効需要につながっていくんだということ、これがないと、技術はあってもちょっと高くて何かいいよねということになってしまって、無駄になってしまう。これはもったいない、本当にもったいないですよね。  ゾンネンという会社がドイツにあります。これは何かというと、蓄電池メーカーだったんですが、電力小売も始めまして、それで、もういい形で物すごくもうかっている。まさにVPPのゾンネンコミュニティーみたいなようなことをやり出して、それで、実際に電力供給小売化をもやっているんでありますが、これシェルに買収されまして、日本電力小売に参入して、産業用ですね、もう間もなく家庭用にも参入してくるということであります。  さて、そのゾンネンの会社なんですが、蓄電池に何使っているかというと、日本の技術なんですね。ソニーエナジー・デバイスの、今は東北の村田製作所に買収されてしまった長寿命のリチウムイオンバッテリーなんですが、そういう技術は日本、確かにあると思うんです。ただ、そういう技術があるんだけれども、ゾンネンみたいなビジネスということにはなかなか踏み出せていないと。  悔しいですよね。まさに、技術で勝って事業で負けると十年ぐらい前から言われ続けたものがまた出来しているのではないかと、こう感じざるを得ないのであります。  そういう意味で、この電力システム改革一連の流れにおいて、この新しいビジネス、新しいイノベーションを生み出すというところに対してどう評価をするのか。そして、もし課題があるのだとすればどう解決していくのか。この件についてお考えをお聞かせください。
  165. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) おっしゃるとおりで、電力システム改革、その自由化という中で、発電、送配電、そして小売と三つに分かれただけではなくて、その中に新たなビジネス、ニュービジネスが生まれてくることを期待をしているところであります。  このドイツのゾンネンも一つの形だと思っております。電池というのは非常に大きな役割、電池とネットワークというのは非常に大きな役割を果たしますけれども、そこでビジネスのチャンスが生まれてくるものだと思っております。  先ほど来お話がありますが、コストの面もあります。今、大体キロワットアワー当たり十三・五万円、これを半分ぐらいまでにしなければなかなか競争力というのは出てこないとも思っておりますけれども、それにはまた流通も伴うわけですね。例えば、EVのバッテリーどうするんだと。これはカートリッジ式で取り替えるなんという時期の話もありましたけれども、こういったものを家庭用に転用するとか、それほど高規格な精度が求められないものに転用する。そういった中で、どうやって効率的なネットワークをつくれるか、そういうことも一つだと思っております。  リチウムイオン電池の技術というのは一九八〇年代から日本が始まったものでありますし、吉野先生がノーベル賞を取ったわけでありますけれども、委員おっしゃるように、技術だけは磨いていくんですけれども、その応用のビジネスというものを広げていくということが非常に大切なことで、先般御審議いただきました5Gも、その技術面プラス、やっぱりニュービジネスどうしていくかということも含めて、これからの日本の産業の課題であると思っておりますし、しっかりとそういうビジネスを育ててまいりたいと考えております。
  166. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございます。  そうですよね、その技術をどうビジネスベースに乗せていくかということ、これは本当に悩ましいところだと思います。  ちょっと、これは今のお話で触発されたんですが、この蓄電池の話というのはあれなんですかね、コストを下げるということと比エネを上げるということなんですが、そういった方向での研究開発ということが進んでいるんでしょうか。多分、予算事業だと思うんですけれども。そういう目標設定で予算措置を講じているというような理解でよろしいですか。事実確認です。
  167. 松山泰浩

    政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。  委員御理解のとおりでございまして、やはり重要なことはコストをいかに下げていくかと、技術開発をする際にどれぐらいのターゲットで持っていくかということは重要でございまして、その前提でマーケットがつくられていると。そういう意味では、価格低減スキームと呼んでおるわけなんですけれども、補助金を出して支援をする際に年度ごとの目標価格の設定をいたしまして、これを前提に応援をしていくという仕組みを取ってございます。  例えばでございますが、二〇一八年度については目標価格をキロワットアワー当たり十八万円で設定いたしました。実際に補助対象となりましたのは十七・三万円ですので、それに沿った形で市場が動いてきていると。二〇一九年度が、今現状の足下の数字で、手元の集計でいいますと、十三・五万円の目標に対しまして十三万円程度と。まだまだ、国際的に見るとまだ高い水準だと思いますが、私どもも、政府としても、ある程度のターゲティングを置きながら価格の低減に向けた開発を進めてまいりたいと考えてございます。
  168. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございます。  価格の低減というやり方って、研究開発というやり方もあると思うんですが、私がちょっととあるコンサル会社にいたから我田引水ではないんですけれども、もう導入しまくってしまうことによって、今は正直ペイしないんだけれども、量産することによって、何だかんだで経験曲線が働いてコストが安くなる。気付いたら、普通に考えたらそんな安い価格で絶対赤字だろうとみんなが思っている。だけれども、それを覚悟で実際導入して、シェアを取ってしまった。結果、経験曲線によって価格が落ちてペイするようになった、ドミナントになったというような、そういうやり方もあるわけであると思っています。  そういうような研究開発のやり方というのも一つ案として考えられるのではないかな、また、それを実際ゾンネンが行っているようなコミュニティーのような、そういう形に応用していく、こういう支援の仕方もあり得るのではないかなと私自身、今のお話を聞いて思いましたが、それについてお考えをお聞かせいただければと思います。
  169. 松山泰浩

    政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。  委員の御指摘については大変分かるところでございまして、ちょっと御説明が十分でなかったところでございますが、現在行っておりますのは、技術開発をやりながら実証の地域を増やしていくと、できるだけマーケットを広げていくということで、それをモデルプラン、モデル的な事業として様々な事業が起こっていくということを念頭に進めているところでございます。  なおということで補足して申し上げますと、ちょうど昨年から、蓄電池を活用いたしましたバーチャルパワープラントですとか地域地産地消的なネットワーク事業ですが、最近非常に関心が高まってきてございます。  ですので、経済産業省が音頭を取りまして、こういった分散型のエネルギーシステムに関心のある発電事業者さん若しくはエンジニアリングの企業様、自治体の方々、様々な方々を一堂に会しましてビジネスをつくり出す、そういう分散エネルギープラットフォームと命名しておるんですけれども、こういった取組を進めておきまして、これと実証事業、技術開発ということを一緒に進めることによってビジネスを生み出していくと。それに対して政府も主導的な役割を果たしていきたいと、このように考えてございます。
  170. 小沼巧

    ○小沼巧君 御答弁ありがとうございます。  そういった新しいビジネスを生み出していくに当たって、今回の法改正の中でちょっと分からぬところがあるのです。  それは、今アグリゲーターのビジネス、VPPのビジネス、様々ありますけれども、あと配電も今回ライセンスとして導入されて、まさにマイクログリッドの話とか配電地域で、あるいは離島でとかということだと思います。いろいろ組み合わせることによってまさにプラットフォームとしてビジネスが生まれるということだと思うんですが、この配電事業って現行の改正案を見ますと兼業が禁止されております。  それでは、ゾンネンで申し上げたようなことであるとか、あるいは今回ゾンネンのような形ないしはシュタットベルケと言われるような、自治体とか住民とか地場企業なんかが連携して地産地消の電力供給を行おうじゃないかというビジネスに対して、阻害要因になってしまうのではないかと危惧します。  今回、兼業を禁止しているというその理由と、例外規定も設けられると承知しておりますが、どういった場合に例外としてみなされるのか、その具体的な規制基準のイメージを教えていただければと思います。
  171. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  委員御指摘いただきましたとおり、今回の改正におきまして、新たなイノベーションを生み出していくというのは大きな目的の一つでございます。ただ、配電事業については、いわゆるネットワーク事業でございますので、送配電事業と同様に中立性、公平性の確保も必要となりますことから、基本的には一般送配電事業者と同様、原則兼業禁止の規定があるわけでございます。  他方、今回の法案でも、事業規模などを勘案いたしまして、災害への対応力の向上も含め、需要家の利益のために必要と認められる場合には、経済産業大臣の認可を受けて、例外として配電事業小売事業発電事業の兼業が可能となる仕組みとなってございます。  今般の法案が成立いたしますれば、多様な事業者の参入によるイノベーションを起こしていくという観点、それから災害時のレジリエンス強化を含めた需要家の利益の確保などの観点などを踏まえまして、兼業が認められる場合の基準を定めてまいりたいと考えてございます。  その際、例えばドイツ、先ほどシュタットベルケの話もいただきましたけれども、例えばドイツでは、需要家数が一定規模以下であるような場合には、配電事業小売事業発電事業との兼業が認められるといったような仕組みとなっているように承知してございまして、こうした諸外国の先行事例なども参考といたしまして、兼業が認められる場合の基準ということを適切に検討してまいりたいと考えてございます。
  172. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございました。非常にクリアな答弁だったと思います。それは期待したいと私も今思いました。ありがとうございます。  もう時間もなくなってまいりましたので、最後に一問、角度を戻して災害対策というところで最後伺いたいと思います。  まさにその災害に対してどうやっていくのか、レジリエンスをどう鍛えていくのか、これはもう論をまたず極めて重要なことであります。そして、災害ということで、実は台風十五号、十九号と起こりましたけれども、やっぱり私のふるさとの隣にあります鹿嶋というところ、あれが台風十五号で物すごく停電の軒数も多かったし、長引いてしまったんですね。  今回の法改正によって、その災害対応で様々計画を一緒にやるとか作るとか、あるいは仕様の統一を図るとか、あるいは訓練をやるとか、そういうことを御説明いただきましたけれども、今回起こったような台風十五号、これの停電復旧というものがどう具体的に早く進むのか、この法改正によってどう具体的なイメージとして早く進むのかについて解説をお願いしたいと思います。
  173. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) 委員おっしゃるように、先般の台風十五号、十九号で鹿島地区、二日間十万戸の停電があったということであります。  これらをどう回復させるかということで申しますと、人員を事後的に逐次投入するのではなくて、台風の想定進路に応じて、あらかじめ台風通過後の現場確認、復旧に必要な十分な体制を組んで待機をして、台風通過後に直ちに初動に移れるようにする、計画ですよ、これ、計画ということでやっていく。  そして、配電線の復旧につきましては、現場の作業時間を約半分に短縮することが可能な仮復旧方式を全国統一で導入する。ということは、元々の電柱を立て直してやるというよりも、まずは接続を、安全を大前提にしたその接続をということをやっていくということと、あとは他電力からの電源車復旧要員の受入れがスムーズに行われるような体制を整備をしていくということで、これらの実際の災害時に機能するように共同訓練等を行っていくということで対応してまいりたいと考えております。
  174. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございました。  終わります。
  175. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。午前中は参考人質疑もさせていただきました。ありがとうございました。  法案審議に入る前に、少し質問させていただきたいと思います。  まず冒頭、持続化給付金について伺わさせていただきます。  持続化給付金の申込みについて、スピード重視を図るという観点で主としてインターネット経由となっているものの、例えばネット環境が整っていない、ネットに慣れていない、操作方法が理解できず申請に戸惑うなど、対応できない方が少なくないのが現場の実態であります。現在、商工会議所などを通して、それを軸として五百を超える窓口を開いて対応していただいていることは、これまでの質疑でも答弁をいただいているところであります。  本来、給付対象とすべき案件でもネット経由では給付確定できないケースもあり、窓口対応により給付判定につながったケースもたくさんあります。すなわち、企業の持続に窓口が果たす役割は重要であります。外出自粛、休業要請等が続いたことにより全国各地で経済が傷んで、また、新しい生活様式への変化等について持続化給付金を希望する方が増加すると予想をされております。  私の地元の横浜市、三百七十万都市であります。一方で、この窓口、横浜市の海側、東部にしかありません。四か所、数は多く見えても地域の偏在があります。人口から見ただけではなくて、企業立地から考えますと極めてアンバランスな状況であります。  現状、各都道府県の窓口は限られた場所、地域の偏りがあるのがこのような実態であります。今後、窓口の数を拡充すべきときに、是非柔軟に対応していただきたいと思います。  宮本務官、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
  176. 宮本周司

    大臣政務官宮本周司君) 今ほど三浦委員から御指摘された件に関しまして、お答えをいたします。  おっしゃるとおり、このコロナ禍で売上げが激減をして事業継続が大変厳しい、そういった方々にこの持続化給付金を迅速に確実に届ける、このために、この電子申請という手段を仕組みとして導入したところでございます。  ただ、他方で、委員御指摘のように、この電子申請に不慣れであったり、その環境が十分でない、何らかの支援が必要である、こういった事業者存在というものも当初から想定をしておりましたので、全国で約五千名、そして約五百か所におきましてこの申請サポート会場を創設する。ただ、ちょうどこの持続化給付金がスタートしたときに、タイミングを合わせまして、いわゆる緊急事態宣言、この措置の延長がなされたところでございますので、この会場の設営に関しましても、十分な感染防止、また三密の対策を講じるなど、多少ちょっとスタートでその分の時間を要したわけでございますが、今約五百か所を開設しております。  その周知に関しましても、地方紙の新聞一面広告、また折り込み広告、チラシ、こういったものも入れまして、多くの方々にこの体制、対応をお届けできるように取り組んできているところでございます。そして、商工会、商工会議所、こちらでも支援、サポートに当たっていただいておりますし、この委員会でも過去に議論をいただいた税理士、また行政書士さんなど、この士業の方々にも力強く応援をいただいているところでございます。  先ほど、御地元の地理的な偏りのこともございました。それに加えて、やはり各都道府県においても、この支援が行き届いていないエリア、地域、これがあることも理解をしておりますので、ここには出張サポート、キャラバン隊という形で今後も措置をしていく予定でございます。  何よりもこの事務局体制、サービスデザイン推進協議会を中心とするコンソーシアムによりまして、これまで一日もこのシステムが止まることなく、しかも五月一日からのこの一か月で百五十万件を超える受付を実現をし、そして、五月八日から給付を開始いたしましたが、たった三週間で約百万件、その額も一兆三千億を超える給付も実現をしてきておるところでございます。  このことは極めて難易度の高い業務を着実に実行できていると我々も思っておりますが、ただ一方で、まだ給付されていない、サポートセンターに電話してもなかなかつながらない、この不満、不安、これを抱えている事業者方々が多いこともしっかりと理解をしておりますので、その改善、また解消に努め、そして、引き続き、梶山大臣中心に、一日も早くこの給付金を必要とされる方にお届けできるように粉骨砕身の思いで取り組んでまいります。
  177. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 現場皆さんはこれを頼りにしている方が相当おられるのが実態であります。一日でも早くということ、国会の議論現場のニーズが合わないようなことがこの国会であっては絶対にいけないと思います。大臣の下できちっとこの現場の要望に、中身はいいものでありますから、是非しっかりと届けていただきたいというふうに思います。  その上で、サイバーセキュリティーという視点から、今、日本において考えなければいけないことがあります。この電気事業法の中でも、サイバーセキュリティーのことは事前に担保できるという前提の下で今後の拡充も図られております。このコロナ禍でありますけれども、子供たちの学びの保障のために、子供たち一人一台のタブレット、PCの整備を行うための予算が確保され、基礎自治体で対応が急がれております。  先日の決算委員会で、ハードウエアの国内調達の脆弱性回避、困難性回避とともに、サプライチェーン脆弱性対処への再構築について大臣に質問をさせていただきました。  大臣からは、電子部品の国内生産拠点の整備事業を支援することで我が国のデジタル社会を支える機器の国内における安定調達が図られると期待すると。経済安全保障の観点から、電子機器のサプライチェーンや輸出入の状況、エレクトロニクス産業の国際動向、最先端技術の開発や機微技術の管理などを十分に注視しつつ、エレクトロニクス産業全体における戦略的な政策の構築を図ってまいりたいと答弁をいただいております。この技術がどう社会実装するかというのは先ほどの議論もあったところであります。  その上で、私は、ちょっとその別な角度ですけれども、デジタル通信機材等のハードウエアの調達に際して、安全保障上のリスクを回避するためには、まさにこういうときこそ導入機材の整理をしておかなければならないと思います。基礎自治体は、学びの遅れを解消し、コロナ感染症の第二波が来たときのための対応としてデジタル機器の確保に躍起となっている中、その台数及び設備、資機材の確保だけに急いだ場合に、セキュリティーがないがしろにされるリスクは想像に難くありません。  今般のGIGAスクール構想に際しては、セキュリティー保持のために、文部科学省は基礎自治体に対してどのような取組を促しているのでしょうか。
  178. 矢野和彦

    政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。  学校のICT環境整備は子供たちの学びを保障するために必要不可欠でございまして、現在GIGAスクール構想を通じて、自治体において端末や校内LANの整備に向けた調達が既にもう開始されておりますが、自治体が適切に学校のICT環境を整備することが非常に重要と考えております。委員の御指摘、当初から我々、非常に注目しているところでございます。  この整備を円滑に進めるため、文部科学省といたしましては、昨年十二月に標準仕様書を作成し、自治体に周知しておりまして、その中で、調達に当たってはサプライチェーンリスクに対応するなど、サイバーセキュリティー上の悪影響を軽減するための措置を必要とすることといった視点も盛り込んでいるところでございます。また、この標準仕様書を基に、補助対象となる要素のみで構成される端末の基本パッケージなどが国内メーカーを始めとした事業者から数多くもう既に提案されております。  さらに、自治体が教育情報のセキュリティーポリシーの策定や見直しを行う際の参考として文部科学省が昨年十二月に改定いたしました教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインにおきまして、端末等の調達に当たってのサプライチェーンリスクへの対応について掲げているところでございます。  文部科学省としては、これまでも経済産業省などの関係省庁と連携しながらGIGAスクール構想を進めているところでございますが、引き続き、自治体における適切な環境整備を支援すべく、様々な取組を進めてまいりたいと考えております。
  179. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 今、文科省から明確に御答弁をいただきました。  文科省自体がサプライチェーンリスクにも対応して、サイバーセキュリティー上の悪影響を軽減するための措置を必要とするといった視点が既にICT環境整備の標準仕様書に盛り込まれているという、極めて重要なことをきちっと自治体に伝えていただいていると思います。  分からない方がもしかしたらいるかもしれませんけれども、サイバーセキュリティーというのは外からの攻撃だけではありません。そういう面から見たときに、若い大事な大事な学生さんが機材に慣れていくということが、将来にわたってその機材を使いやすいというふうに思ったときに、そこが、バックドアのようなものがあった場合には、これはリスクにそのまま直面をします。これから、この電気事業法の中にも、新しいアグリゲータービジネスに参加するような方々がそういう概念がなかった場合、攻撃だけのことを考えるような社会をつくってはいけないということを、ここではしっかりと考えておかなければいけないというふうに思います。  そういう意味においては、このハードウエア、ICT環境整備について、文科省の指針を実現をしていくというために支援をするのは経産省であります。経産省はどのように対応していただけるんでしょうか。明確に御答弁いただきたいと思います。
  180. 西山圭太

    政府参考人(西山圭太君) お答え申し上げます。  今委員から、特に教育現場での機材、電子機器についてのサイバーセキュリティー対策についての御質問ございました。  サイバーセキュリティーに関しましては、今サプライチェーンリスクというお話もございましたけれども、近年の技術革新ですとか情報インフラの利用が拡大することを通じまして、そもそも、そのサイバーセキュリティーの内容自身が新しい課題を生んでいると。例えば、今御指摘のございましたサプライチェーンリスクですとか、あるいはクラウドサービスを利用するといったような、そういう新しい課題が生まれてきております。  私どもとしましては、ついせんだって、まさにこの委員会でも御審議をいただきましたけれども、5Gを含むいわゆる特定高度情報通信技術システムの活用について、特に安全性、信頼性をどう確保するかということについて、今後、その法案運用するに当たって指針を策定することとしておりますけれども、その中で、まさにサプライチェーンリスクのような観点を含めた安全性、信頼性という角度を盛り込むように予定をしておりますし、また、この委員会でも御議論ございましたけれども、その点については国際的にも様々な議論が進んでいるところでございます。  また、クラウドサービスの導入につきましても、そのサイバーセキュリティーの検討あるいは広義のセキュリティーの検討も進んでおりまして、政府の中でクラウドを利用する場合の基準の策定やその運用に向けた検討が進んでいるところでございます。  したがいまして、先ほど文部科学省から御答弁ございましたとおり、この学校現場のものにつきましては、いわゆる標準仕様書やガイドラインの中でもサプライチェーンリスクへの対応や、今申し上げましたようなクラウドサービスでのサイバーセキュリティー対応といったような新たな視点も盛り込まれているというふうに承知をしております。  他方、先ほど御紹介をしましたとおり、こういった新しい課題については国際的にも様々な議論が進んでいるところでございますので、私どもとしましても、そういうような国際的な議論にも参画をしながら、最新の動向を踏まえた上でセキュリティーの向上に関する議論を進めるとともに、そうした知見が政府や地方自治体の調達などに生かされ、また教育現場のセキュリティーの向上にもつながるように、関係省庁と協力して努めてまいりたいというふうに存じます。  以上でございます。
  181. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 まさに、今のことを具体的に進めていただくのが経産省の大事な役割だと思います。  現場は調達というところが一番の大事なところです。しかし、現場では本当に物がないと困るということで、それでないと教育ができない。一方で、国内でどの物を買ったらいいかということの情報というのは、ふだんから持ち合わせないところがそういう取組をしています。  この穴を埋めるということ、是非これを機によく議論していただいて、経産省がむしろ政府を動かしていくぐらいの覚悟、調達という部分ではなかなか、民間企業の話だといってこれまでは深くやってこなかった部分もあると思います。是非そういうところにも踏み込んでいただいて、未来をつくっていただくこと、私たちもしっかり応援していきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。  大臣に伺いたいと思います。  ハードウエアなどについてのサプライチェーンの脆弱性が顕在化をしております。サプライチェーンのどの部分、どの領域が毀損をしているのか、経産省として確認、把握をしているのでしょうか。ここが明確でありませんと的確に対処ができません。  国際情勢を常ににらみつつ、時々刻々と変化をしていると言ってもいい国際貿易上のルール変更等に対応するためにも、サプライチェーンの確保、そして構成状況を常に確認しておく必要がございます。経済産業省として取り組むこと、是非大臣、御対応いただけませんでしょうか。
  182. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) 前回もサプライチェーンのお話をさせていただきました。  昨今の情報化社会の進展や新型コロナウイルス感染症に伴う物流等を踏まえますと、御指摘のとおり、サプライチェーンの把握は大変重要なことであります。特に、経済社会を支える重要インフラになっているこのIT技術、ICT技術は、強靱なサプライチェーンを構築することが重要であると思っております。  こうした認識の下に、例えば今後の経済社会の基盤となる5Gについては、ベンダーの国際競争など、サプライチェーンを取り巻く情勢を踏まえた上で、安全、安心で信頼できるインフラの構築に国家戦略として取り組むこととしております。法律、税制、予算を通じて、日本企業の強みを生かしながら海外企業との連携を促し、5Gの強靱なサプライチェーン構築を支援をしていく考えであります。  5Gに見られるように、重要インフラ等のサプライチェーンについて、世界の主要国は経済と安全保障を一体に捉えた政策を打ち出しております。昨今のいろんなニュースにも表れていると思っております。  経済産業省としても、サプライチェーンを含め、経済安全保障の観点を重視をしているところでありまして、委員御指摘のサプライチェーンの分析につきましては、機微技術に関する国際的な動向について専門的部署、技術調査室を経済産業省内に設置をして、安全保障の観点から重要なサプライチェーンの分析を進めていく予定であります。  また、生産拠点の集中度が高い製品や部素材等の国内生産拠点の整備を支援するなど、サプライチェーン強靱化に向けた施策にも予算を計上して取り組んでいるところであります。  引き続き、関係省庁とも連携しつつ、これらの施策をしっかりと進め、重要な機器等のサプライチェーンの状況把握や強靱なサプライチェーンの構築を進めてまいりたいと思っております。
  183. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 是非強力に進めていただきたいというふうに思います。  順番を入れ替えさせていただきたいと思います。ここで先に、JOGMEC法改正について伺いたいと思います。  本法改正では、金属鉱物の採掘、製鉄事業に必要な資金について、製錬事業ですね、必要な資金についてJOGMECの出資、債務保証業務の対象範囲拡大が盛り込まれております。経済安全保障の視点で、今後の技術進展への投資について、従前から必須の金属鉱物の安定供給に対する手だて、また、先んじて投資すべき鉱物のリストと充当分野との連携が不可欠であり、既に整っていなければならないと考えます。現状について伺います。
  184. 南亮

    政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。  レアメタルですが、電動車やIoTなど、今後の先端産業において鍵となります電池やモーター等に不可欠な材料である一方、各資源国も積極的に今投資を進めておりまして、国際的にも資源獲得競争が大変激化しております。  委員からも御指摘のとおりですが、我が国の産業競争力の維持強化ということを考えますと、先端産業における技術開発動向やサプライチェーン全体の構造なども踏まえながら、どのレアメタルの鉱種が今後重要となるかと、こういったことをしっかり分析しまして、戦略的にレアメタルの安定供給の確保を図っていくということが重要でございます。  そのため、本年三月に新国際資源戦略を策定しまして、レアメタルについては、鉱種ごとの特性を踏まえ、戦略的に権益確保支援や備蓄制度の見直しなどを行っていくという方向性を打ち出しております。  今般の法改正においても、我が国の産業競争力の維持強化のために重要な金属鉱物の権益確保を後押しするため、JOGMECによる採掘、さらには製錬事業への出資等の支援を拡充しているところでございます。  引き続き、我が国の重要産業に必要不可欠なレアメタルの安定供給の確保に向けた取組をしっかり進めてまいりたいと思っております。
  185. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 レアメタル、レアアースの備蓄に対して、日数目標が明示をされております。外交と経済とのバランス、また技術と需要とのバランス、価格とコストのバランスをどう整理をしていくのでしょうか。
  186. 南亮

    政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。  レアメタルですが、レアメタルの安定供給の確保のために、これは調達先の多角化とともに、供給途絶が生じた場合の備蓄の充実、これを現在も進めてきております。委員御指摘のとおりですが、昨今の国内産業構造の変化ですとか、また地政学的リスクの変化と、こういったものを踏まえまして、備蓄の対象鉱種や備蓄目標日数の弾力的な運用の必要性が高まっております。  先ほど申し上げました新国際戦略において、まさに地政学的リスクが高い鉱種の備蓄目標日数をより長く設定するなど、めり張りのある制度とするということで現在具体的内容を策定しておりまして、このような取組を通じまして、備蓄制度のより効果的な実施、努めてまいりたいと思っております。
  187. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 まさに技術の先読みってなかなか難しいことだと思います。  そういう視点から考えますと、実は日本は、いわゆる都市鉱山を有していると言っても過言ではありません。リサイクル、元素分離技術を推進、確立し、その種類が増加をすれば、レアアースの保持が可能となります。  私、大学で研究をしているときに、ジェットエンジンのタービンブレードの研究をずっとやっておりました。これ、レアメタルの塊であります。例えば、レニウムというものが添加をされると非常に高温耐用性が上がる。ところが、レアメタルの中でもモリブデンから精製をされないとレニウムは出てきません。となると、レニウムを狙っても、モリブデンが社会の中で需要がないと取れない。そのレニウムはどこがずっと確保していたかといえば、アメリカのメジャーな電機メーカーであります。  そういう面では、一面的ではなく多面的に取り組んでいかなきゃいけないといったときに、ここで分離技術が日本ではできますよと言った瞬間に、値段を下げることもできれば、新しい技術を生むこともできます。私たちがやってきたのは、レニウムによって良くなったならば、レニウムないもので良くやってやろうじゃないかという研究もずっとやってきて、それを乗り越えてくることが一歩ずつできたがゆえんにレニウムの値段も下げることができました。技術は技術で打ち返していくということが大事であります。  そういう意味では、現状はコストは高いとはいえ、積極的に技術研究開発に投資をする、そこで確保できた金属元素を国家備蓄に回していくことも重要だと思います。点で見ればコストが掛かっても、面で見たら安くなるというケースもいっぱいあります。そういう面では、大学、企業とよく連携をして、素材安全保障を図っていただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。
  188. 南亮

    政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおりでございますが、レアメタルの安定的な確保のためには、いわゆる都市鉱山と呼ばれる使用済電気製品等の中に存在するレアメタルをしっかり再資源化することも重要だと、そのように考えています。そのため、これまで、そういった回収システムの構築ですとか、レアメタルを分離、抽出する技術の開発などを進めてきております。  特に、まさに委員御指摘のとおりでありますが、レアメタルの分離、抽出工程の低コスト化は重要な課題でございまして、経済産業省としても、産学官で連携しまして、平成二十九年度から使用済製品の部品などの自動選別プロセスですとか、高効率な精錬プロセス等を構築するための研究開発、実施してきております。  引き続き、こうした革新的な研究開発を積極的に進めまして、都市鉱山からのリサイクルによるレアメタル確保が進むよう取り組んでまいりたいと思っております。
  189. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 是非、すぐ生まれなかったとしても、投資をするということはいろんな意味で価値を生み出すと思いますので、ここ、予算を執行する、取りに行くときに、その結果はどうなんですかというエビデンスベースの話だけをされると全く評価をされないことでありますけれども、その先まで是非戦略的に取り組んでいきたいと思いますし、私たちも取り組まなければいけないことだと思います。  電気事業法改正案について質問をさせていただきます。  災害時における電源車の確保の必要性は、昨年の千葉の台風等によっても明確となりました。今回の災害連携計画に盛り込むべきとして、電力会社が電源車燃料を継続的に確保できるように、電力会社と地域の石油販売業者の災害協定の締結を促進することとしております。前回の質疑においても、訓練の重要性と実施について議論もさせていただきました。  災害時の連携は、線のつながりではなく面でのつながりが重要であります。事前連携の体制確認が必要であります。そう見ると、電源車のみならず、道路啓開のために必要な車両や重機搬送、電気復旧に必要な資材搬送と各種関連車両への燃料供給体制がなければ、同時に災害復旧は行えることはできません。そういう面から見ると、これらに対する対応は今般の計画ではどこまで考慮をされているのでしょうか。
  190. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、災害に伴う停電発生時におきましては、病院ですとか避難所等の重要施設等に電気供給する電源車発電機が燃料切れを起こさないよう万全の対策を講ずることに加えまして、復旧作業に当たる関係車両、道路啓開のための必要な車両なども含めまして、関係車両の燃料供給体制の確保も極めて重要であるというふうに認識してございます。  かかる観点から、災害連携計画に加えまして、電力会社と石油販売業者との協定ですとか、電力会社と自衛隊との間の個別の協定におきまして、燃料供給の協力体制について取り決め、適切な役割分担の下、日頃から災害備えておくことが重要であると、このように認識してございます。  加えまして、災害発生時の対応の実効性を高める観点から、ただいまも御指摘いただきましたが、共同訓練の実施が極めて重要だと認識してございまして、災害連携計画においては共同訓練に関する記載も求める予定でございまして、復旧関連車両への燃料供給については、電力会社間の共同訓練ですとか電力会社と自衛隊との共同訓練の中でもしっかりと考慮され、実態に応じた備えがなされるように適切に促してまいりたいと考えてございます。  また、石油販売業者との協定締結につきましては、電力会社が災害時に復旧作業等に必要な燃料を継続的に確保できるよう、合理的な説明が可能であれば、石油販売業者との随意契約であっても託送料金の原価算入が認められる旨を審議会において確認し、電力業界に対して周知しているところでございまして、こういったことによりまして石油販売業者との協定締結も促進されていくものというように認識してございます。
  191. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 それ、すごく大事なことだと思います。  その上で、車の燃費は良くなりました。この出席委員皆さんそうですけれども、ガソリンスタンドが大変な状況になっているなと、数が減ってきたなというのが実態だと思います。まさに社会インフラ、そして安全保障の観点から考えますと、ガソリンスタンドを守らなきゃいけない。元々の前提として、ガソリンスタンドがあるからもらえるとなっていますけど、その元が弱っている。なので、生活インフラであるガソリンスタンドを守らなければいけないと思います。  そういう意味では、地域の小規模のガソリンスタンド、あるいは地域に展開している石油小売事業者こそ緊急時に機動力を発揮します。燃料タンク持ってそばまで来てくれるというのは、まさに、ふだんはもうからないけど俺らの出番だといって、心意気でやっていただいているのが実態であります。  経営支援のために、毎年、官公需として随意契約を推進する閣議決定を行っておりますけれども、実効性、これしっかりと担保をしていくということ、現場もそれ理解してもらわなきゃいけないと思いますけど、これ推しているのは経産省でありますから、実効性どこまで確認をしているのでしょうか。
  192. 南亮

    政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおりですが、まさに現在、人口減少ですとか燃費向上で国内のガソリンスタンドの数は減少傾向にございます。しかしながら、ガソリンスタンドは、エネルギー基本計画において石油をエネルギー供給の最後のとりでに位置付けていることもありまして、ガソリンスタンドは国民生活に不可欠なインフラであるというふうに考えております。  まず、需要減少という課題に対応するためには、AI等の新たな技術を活用するための支援、また、災害時にも被災地の住民生活を支えるということができますよう、住民拠点SSといった自家発電設備の配備、それから緊急配送用ローリーの配備と、そういったところを支援しているところでございます。  さらに、先ほど御指摘のありましたように、平時から自治体等と地元の石油販売業者の間に顔と顔が見える関係を構築するということが非常に有効な手段でございますので、現在、関係省庁とも連携しまして、官公需と災害協定の一体的な取組重要性について理解を促進してまいっているところでございます。  こういった取組を通じて、しっかり各地域国民生活に必要な燃料供給できる体制整えてまいりたいというふうに思っております。
  193. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 随意契約、単語の意味から見るとどきっとするシーンが実は地方議会もよくあります。しかし、町を守ると考えれば絶対にそれは必要なことでありますので、言葉尻だけで議論をするということは絶対しないということが大事だと思います。是非、経産省もアドバイスをしていただきたいと思います。  最後、シンプルに質問させていただきたいと思います。  配電事業への新規参入を促すということが今回の法律で書かれております。ところが、この許可要件、法律に記載をされておりますけれども、具体的事業を行おうとする場合にどのような要件が求められるか不明確であります。そういう面では審査を行う政府の役割は極めて重いと考えられますので、配電事業に参入しようとする者の予見可能性を高める観点から、検討の手引やガイドライン、これ定めるべきだと思います。取り組んでいただけますでしょうか。
  194. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、今回新たに導入することといたしました配電事業への新規参入を促すためには、その参入に係る予見可能性を高める観点から、求められる要件をできるだけ明確にしておくことが重要であると考えてございます。  本法案において配電事業は許可制となっておりまして、法律においても許可基準として、配電事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること、配電事業計画が確実であることなどを明記しているところではございますけれども、加えまして、本法案が成立をさせていただきますれば、今後、公開の場において、例えば技術的な能力を有するスタッフの確保ができているか、設備のリース料を含む収支計画の適切性があるかとか、需要家からの相談窓口体制ができているかなどといったような形で具体的な許可基準について詳細な設計を行いまして、関係省令や審査基準といったような形で明確化し、それを公表、公開してまいりたいと考えてございます。
  195. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 全て質問できませんでした。  これで終わります。ありがとうございました。
  196. 石井章

    ○石井章君 日本維新の会、石井章でございます。  電事法の質問に入る前に、一昨日の委員会で梶山大臣から、きちんと通告しろと、そうすればきちんとした答弁をしますよと優しいお言葉をいただいたものですから、茨城の大先輩から言われたもので、もう一度、改めて持続化給付金について質問をします。  実は、昨日の衆の方の経産委員会で私が感じたことは大山鳴動してネズミ一匹ということで、いろいろな政党からいろんな質問が出ました。今朝の新聞見ますと、それぞれマスメディアは、いろんな新聞の社説等にも書いてありますけれども、いろんな立場で書いてありますが。  これ、国民から見た目で今日は質問させていただきたいんですけれども、要は、一つは入札の流れ、そして、そこに関わっている電通との関わり合いとか。  なぜかというと、まず、地方でもそうなんですが、先ほど公明党の先生から立派な質問がありましたけれども、入札ってすごく地方でもいろいろ問題が起きまして、例えば百万の仕事取るにしても、もう中小零細企業も大変な努力をして取っているわけです。しかし、今回、A評価のデトロイトトーマツではなく、C評価のサービス協議会がまず落札したということ。そして、そういったことも踏まえて、経産省の答弁は、ほかに手を挙げるところがなかったんだということでありますけれども、果たしてそうなのかどうか。  一つまず大臣にお聞きしたいのは、今回のこの入札に関しての告知の方法、それから告知の期間、それから応募条件、これ金額によって期間がきちんと何日まで取らなきゃ駄目だという決まりがありますので、その審査方法などについてお伺いするのと、また、電通には経産省の天下りさんが何人かいらっしゃいますけれども、サービスデザイン協議会にもいるのかどうかだけ、お伺いします。
  197. 渡邉政嘉

    政府参考人(渡邉政嘉君) お答えいたします。  持続化給付金につきましては、委託に係る経緯といたしまして改めて説明させていただきますと、令和二年の四月七日に閣議決定がされました新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の内容を踏まえまして、一日も早く事業を開催し、事業者に給付金をお届けするために、入札公告を令和二年の四月八日付けで開始をいたしました。  この結果、本件につきましては二社から応募がございまして、令和二年の四月十四日に、一般競争入札、総合評価落札方式によりまして、一般社団法人サービスデザイン推進協議会が選定されたものでございます。  選定に際しましては、例えば、サービスデザイン推進協議会の業務内容や、成果を高めるための創意工夫及び類似事業経験などが相対的に高く評価されるとともに、価格面での評価も併せた結果、落札者として決定されたものでございます。  なお、公告の実施に当たりましては、落札者が正式に契約可能となるのは予算成立後である旨、留保をいただいた上で行ってございます。
  198. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) 委員から御質問ありました企業のランク付けというのは、規模、企業の資本金であるとか、そういった、あと、設立からの期間であるとか、そういったものが中心であって、能力とは別のものであります。  今回の持続化給付金に関しましては、いち早く皆さんにお支払をしたいということと、そしてより多くの方に、そして確実にということで、三密を避けながら、この状況の中でどういう審査体制を組んでいくか、どういう申請の形を取っていくか、そして、どういう給付の体制を取っていくかということをずっと考えてまいりました。そして、申請の形につきましてはウエブ申請のみということにさせていただきました。  ただ、これは、デジタルの弱者の方もおいでになりますので、その支援の窓口をつくるということで全国に五百か所、五千名を配置をするということでして、このウエブ申請に慣れてくればこういう人員は必要はないとは思うんですけれども、今は両方、人海戦術も含めてそういう形でさせていただいたということでもあります。  そして、審査体制も全国何か所かに分かれて、数十か所に分かれて審査をしているということでありまして、この事業を維持するために大体一万人ぐらいの人のオペレーションが必要だということもありまして、こういったことができるのは非常に限られているという中で、説明を聞いた上で、こういう形で、競争入札で決めさせていただいたということであります。
  199. 石井章

    ○石井章君 ありがとうございます。  先ほど、私、あっ、もう一度、漏れているのね。
  200. 渡邉政嘉

    政府参考人(渡邉政嘉君) お答えいたします。  管理職員、本省の企画官相当以上であった者が離職後二年間に再就職した場合には、国家公務員法に基づき、再就職情報の提出を行うことが義務付けられてございます。  二〇一〇年の一月以降に経済産業省の局長級以上の経験者で電通、電通ワークス、電通テック、電通ライブに再就職した者につきましてこの届出を確認いたしましたところ、一件該当がございました。二〇一二年の十二月に株式会社電通の顧問に元特許庁長官が再就職をしてございます。  同様に、二〇一〇年の一月以降にデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーに再就職をした経済産業省の局長級以上の経験者を確認したところ、該当者は確認できませんでした。
  201. 石井章

    ○石井章君 ありがとうございます。  結局、私、今回の流れで質問しているのは、いろんな国民皆さんが疑念を持っていることを優しく聞いているつもりなんですけれども。  それで、一次補正が七百九十六億、九七%が丸投げで行っていると。それで、二次補正でも八百五十億円が同法人に追加発注されると言われておりますけれども、これ、同じ二次補正の中で、これも批判が多いゴー・ツー・キャンペーンというのがあって、これ、国交大臣、赤羽大臣が経産の質問の中で、これについてやっぱりすごい国民に寄り添った答弁しているんですね。やっぱり自分が見ても、これどう見ても異常に予算が多過ぎると。これを縮小の検討を行うということを、赤羽大臣はこの内閣の一員としてそこまで踏み込んで言っているということは、私は梶山大臣尊敬していますので、今すぐ予算を削れとかじゃなくて、適正な予算でしっかり執行してもらう。  経産省の中小企業庁も優秀な職員も多いですから、丸投げじゃなくて、そこに梶山肝魂を入れて、しっかり経産省を律しながら国民の負託に応えてもらいたいということを、大臣の決意をお伺いします。
  202. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) 二次補正につきましてはこれから審議ということで、その中でしっかり考えてまいりたいと思っております。  ただ、今回いろいろ言われておりますけれども、それぞれが役割を担っておりまして、業務とその金額がそこに張り付いております。  例えば、サービスデザイン推進協議会で七百六十九億円ということですが、それは委託をすることと併せて、ここに委託をした後に二十億円残るというようなことが言われておりますけれども、もう大半は振り込み手数料、みずほ銀行の、二百二万件を想定をした振り込み手数料ということであります。  残りが一・二億円ということで、ここに二十一名の常勤の者がおりますけれども、これらの事業に従事をしておりますけれども、その事務補助の人件費ということと、あとは、全国数十か所に審査会場があり、またサポート会場もあるということでありますけれども、それらで使う事務機器のリース費等々でありまして、しっかりとした役割と金額が張り付いているということでありますので、不明確な、不透明な金額は一切ないということで私も承知をしております。
  203. 石井章

    ○石井章君 ありがとうございました。よく分かりました。  それじゃ、法案の中身について、まず、今日は宮本務官に直接お伺いします。  海洋放出、いわゆる福島原発のALPS処理水が保管されているということの前提でお伺いしますけれども、海洋放出の実施に当たっては、年間百三十兆ベクレルを超えるトリチウムを放出する月城原発を有する韓国から反発が予想されます。  放出実施を見込んで今から科学的知見に基づいた強い国際発信を行うべきだと考えますが、宮本務官の御見解をお伺いいたします。
  204. 宮本周司

    大臣政務官宮本周司君) 今ほど石井委員から御指摘をいただきました。このALPS処理水の取扱い、当然、現時点でこの海洋放出を決めた事実はございませんけれども、国内のみならず、やっぱり国外にしっかりと理解が得られるように情報発信をすべきだと、そのことは我々も重要と考えております。  政府といたしましても、やはり国際社会に対してこの風評被害を払拭すべく、様々な関係省庁と連携をしていかなければいけないと思います。在京の大使館であったり、海外プレス向けの説明会、またIAEA始め国際会議での説明の実施、これも必要だと思います。当然、経済産業省のホームページ、また動画、パンフレット、これもできるだけ多言語の媒体による情報発信にも努めていきますし、農水省と連携をした形で、諸外国の輸入規制、これの撤廃に向けた働きかけもしなければいけないと思っております。  いずれにいたしましても、IAEAからも、このALPS処理水の処分方法に関しましては、海洋放出、また水蒸気放出の二つの方法は技術的に実行可能であるという所見をいただいたり、また、その処理水の処分方針につきましても、安全性を考慮しつつ、全てのステークホルダーの関与を得ながら喫緊に決定されるべきという助言もいただいております。  これらのことを含めまして、国外への、海外の、また関係省庁へ向けてのこの情報発信、質、量共に充実をさせてしっかりと努めていきたいと考えております。
  205. 石井章

    ○石井章君 韓国は、年間百三十兆ベクレルを超えるトリチウムを放出するこの月城の原発のことを棚に上げて、恐らく国際世論を喚起して攻撃してくると思われます、今までの流れからすると。  日本には時間がありませんので、是非早めの対策を講じていただきたいことを御要望して、質問を終わりにします。ありがとうございました。
  206. 岩渕友

    ○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。  本法案では、災害時などにおける電力データの提供義務化と併せて、これまで禁止されていた平時電力データ活用も解禁するとしています。  法案内容に係る検討が行われた今年二月の持続可能な電力システム構築小委員会中間取りまとめでは、電力データの活用について支持する意見があった一方、消費者は自らの個人情報がどのように活用されるのかということに不安を感じているとの意見があった、このため、電力データの活用に当たっては、消費者保護に万全を期す仕組みづくりが重要であると、こういうふうに書いてあります。  資料一を御覧ください。全世帯に設置が進められているスマートメーターのデータによって、この丸で囲ってあるところを見ていただきたいんですが、推定可能な二次データとして世帯構成、家族人員ごとの在宅状況活動状況、ライフサイクルなどが可視化できるということで、電力データは個人情報、プライバシーそのものです。中間取りまとめでも述べているように、消費者団体関係者から強い懸念が出されています。  そこで、大臣にお聞きをするんですけれども、個人情報の利用に同意をした結果、当初の目的以外に個人情報が利用されることや、別の第三者に情報が提供されているようなことにならないのか。また、高齢者からの同意取得に当たって不招請勧誘のような行為が生じないか懸念される、こういった意見が出ていることを踏まえて、どのように個人情報の保護、そして消費者保護を図るのでしょうか。
  207. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) まず、大前提として、電力データを取り扱う事業者に対しては、個人情報保護法の個人情報を保護するための法令の規定が適用されることになっております。  その上で、今回の法案では、個人情報の保護に更に万全を期す観点から、情報利用等を適正に行う中立的な組織として、認定電気使用者情報利用者等協会を国が認定した上で、個人情報を含む電力データの提供は、この認定を受けた協会を介してのみ行うことができる仕組みとしているところであります。  さらに、情報利用等の適正化を図るために、今回の法案上、同協会には電力データの利用者に対して指導、勧告を行う権限を付与していることに加えて、国は必要な場合には同協会に対しても改善措置命令を行うことができ、命令違反の場合は認定を取り消すことも可能な仕組みとしております。  これらの法的な枠組みを適切に運用することにより、電力データの利用と個人情報の保護の両立に万全を期してまいりたいと考えております。
  208. 岩渕友

    ○岩渕友君 今大臣の答弁の中にもありました認定電気使用者情報利用者等協会、ちょっと長いので認定協会というふうに言いますけれども、これ中立的な組織だと今答弁にもありましたけれども、電力データを保持している東京電力など、一般送配電事業者と情報を使いたい事業者でつくる団体です。消費者団体から、中立的な組織が利益を出すこと、情報提供先を増やすことを優先して情報提供先の適格性の判断などが適切になされないようなことにならないか、こういった懸念が出ていますけれども、これ当然のことだと思います。  電力データの活用については、スマートメーターを始めとした全国での電力設備データ活用を推進するということで、二〇一八年十一月に東京電力パワーグリッドとNTTデータが設立したグリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合というものが既に様々な検討を進めているんですね。  資料の二を御覧ください。  これがグリッドデータバンク・ラボについて示したものになっています。これを見ていただければ分かるように、各大手電力、三井住友銀行などの金融機関、損害保険会社、三菱地所などの不動産関係や電通など既に百二十社が参画をしているということなんですけれども、そこで大臣にお伺いするんですが、実質この団体が認定協会の主要メンバーになるのではありませんか。
  209. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) 委員の御指摘にありますその大手電力三社を始めとする民間企業や自治体など、約百二十社のデータ利用希望者が参画するグリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合においては、電力データの活用方法について様々な検討が行われていると承知をしております。  まさに法案を御審議いただいているところでありますが、現時点で確定的なことをお答えすることは困難でありますが、仮にこの組合に参画する企業が中心となって認定電気使用者情報利用者等協会の認定申請をしてくるのであれば、候補の一つになり得ると考えております。
  210. 岩渕友

    ○岩渕友君 候補の一つになり得るんだということでした。  グリッドデータバンク・ラボは、二〇一九年六月二十六日の電力・ガス基本政策小委員会で、電力統計データの利用者と提供者でデータ提供方法の具体化について議論を深めるよう整理されたことを踏まえて、電力データ活用検討委員会を発足させて検討を進めて、今年二月に電力データ活用促進に向けた今後の進め方について提言をまとめているんです。  この提言の中で、統計データに関する残課題、残る課題に加えて、今後検討が進む個人データも含めた電力データ活用に係る実務課題について、専門的知見を有する第三者である有識者、データ提供者である一般送配電事業者及びデータ利用者による検討、議論の場として、本検討委員会を今後も継続するというふうにしているんです。提言を見ても、グリッドデータバンク・ラボが認定協会に移行していくということが想定をされます。  二〇一八年九月十八日に開催をされた電力・ガス基本政策小委員会では、日本全体的には個人情報保護にセンシティブになり過ぎているところもある、確かに気を付けないといけないけれどもネガティブにならずに進めてほしいと、こういった意見であるとか、データの加工方法やプラットフォームといった外部の方々に使い勝手のいいような統一的な仕組みをつくってほしいと、こういった意見が出されているんですね。  この認定協会は中立的な組織だというんだけれども、こうした議論から、個人情報そのものである電力データを活用したい事業者、提供したい送配電事業者の使い勝手がいいプラットフォームができるということになるのではありませんか。
  211. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) 個人に関する情報はあくまでも個人に関する情報ということで、これはしっかりと守っていかなければならないと思っております。  匿名加工した情報、そして統計情報という形で提供するという形になると思いますけれども、これには個人が特定できないような加工をしてあるということですので、こういったものをデータ、ビッグデータとしてどう活用していくか、統計データとしてどう活用していくかというのは、皆さんそういう認識はあると思っております。  中立性ということでありましたけれども、利用者等協会というやつができますけれども、利用者等協会は、電力データの活用が適切になされるように中立性を保持、確保しつつ、消費者保護や情報セキュリティー対策に万全を期すことが重要であります。その趣旨に照らせば、協会がその業務において、個人情報の保護に関する十分な知見、体制を備えていないことや、特定の事業者の利益を追求するようなことがあってはならないことであると思っております。  このため、今回の法案においては、協会の認定に当たっては、中立性が確保されているか否かも含めて、国がその適切性を確認をすることとしております。それに加えて、必要があれば協会に対して、先ほど申しましたように、改善措置命令や認定の取消しを行うことができる仕組みとしております。  さらに、協会には第三者諮問委員会を設置をさせることとして、消費者保護や情報セキュリティー対策の観点から、電力データ提供に係るプラットフォームを適切に運用しているかどうか、また、電力データを利用しようとする者からの申請に対しデータ提供の可否を審議することを想定をしており、これらの措置を国が定める審査基準において明記する予定であります。  こうした仕組みを適切に運用することにより、電力データ利用に係る運営の中立性や消費者保護に万全を期してまいりたいと思いますし、恣意的に個人情報が出ることは必ずやっぱり避けなければならない。それと併せて、情報のセキュリティー、その物理的なことも含めてしっかりとやっていかなければならないものだと思っております。
  212. 岩渕友

    ○岩渕友君 二〇一八年五月十八日の電力・ガス基本政策小委員会では、電力データについて、ニーズという観点でも個人情報の方がいろんな意味でこれを活用する可能性はある一方、そのために超えるべきハードルも高いという議論がありました。けれども、今回の改定で一気に解禁することになってしまいます。  昨年、リクナビが就活生の閲覧履歴等から内定辞退率を算出して採用企業に販売していた問題が明らかになって、衝撃が広がりました。このデータを購入したのがトヨタや三菱電機を始めとする名立たる大企業三十五社。情報提供先の適切性、提供情報の適格性の判断は非常に難しいものがあります。そもそも、日本の個人情報保護制度が脆弱であるということに加えて、今国会で改正案が提出されている個人情報保護法では更なる個人情報の利活用を推進する新制度が盛り込まれていて、プライバシー侵害のおそれが高まります。  さらに、二〇一八年九月十八日の電力・ガス基本政策小委員会では、統計加工化された情報については電気事業法との関係でも問題にならないと整理することが適当とされています。これ聞いて驚きました。  グリッドデータバンク・ラボが二〇一九年七月に総務省のビッグデータ利活用推進のための連携会議でプレゼンしたときに、電力データ電気利用をする全世帯の情報を網羅するために、ほかのデータと重ね合わせた分析をすることで、ほかのデータがカバーしていない領域を推測するなど、情報の土台としての活用が期待されるとしています。  資料の三を見ていただきたいんですけれども、同意は要らないとしている匿名加工情報や統計情報のデータも、その他のデータと掛け合わせることで個人情報に近づくと。  そこで、大臣に聞くんですけれども、個人情報保護について、どんな歯止めがあるでしょうか。
  213. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) 個人情報の漏えいリスクについては、まずは個人情報保護法に基づいて適切に管理されるべきものと理解をしております。委員も御承知だと思いますけれども、匿名加工情報や統計情報の形であれば、特定の個人を識別することができないために、電力データの利活用を進めたとしても個人情報が漏えいするリスクはないと考えております。  その上で、今回の法案では、国の認定を受けた認定電気使用者情報利用者等協会が、匿名化や統計化の処理を行うことなく、個人情報に該当する情報を需要家の同意を得ずに提供するなど、不適切な取扱いをするようなことがあれば、国が改善措置命令や認定の取消しを行うことができる仕組みとしているところでありまして、こうした仕組みも適切に運用しながら個人情報の保護に万全を期してまいりたいと思っておりますし、これらを構成するそれぞれの企業の信用問題にも関わることでありますから、個人情報を大切にしない企業の信頼というものがどういう形になっていくかということも考えながら、こういった運用を考えていかなければならないと思います。
  214. 岩渕友

    ○岩渕友君 電力データ提供に係るコスト試算では、データの匿名、統計加工なども含めて、システム構築費用について、三十分に一回連携で三十億から五十億円、こういった見積りがされているんですね。この費用の回収方法として、託送料金、それ以外の電気料金に上乗せできないかという検討がされているんですけれども、もうけ上げるために掛かる費用電気料金として消費者に負担を押し付ける、これ、とんでもないことです。こういうことはやめさせるべきではないでしょうか。
  215. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) 利用者等協会や一般送配電事業者電力データ提供のための要する費用は、御質問のシステム投資のような費用も含めて、受益者負担の観点から、そのデータを利用する者が負担する仕組みとするのが基本だと思っております。  他方、電力データ提供という新たな業務により一般送配電事業者に収益が発生することも考え得ることから、審議会においてはいろんな意見が出ているということであります。あくまでも審議会での議論ということでありますけれども、この法案の成立後、電力データの活用のニーズやシステム投資に必要となる費用規模等を見極めた上で、有識者や消費者団体等の御意見も伺いつつ、詳細の制度設計を進めてまいりたいと考えております。
  216. 岩渕友

    ○岩渕友君 最後に、大臣にお聞きします。  一方で、本法案で創設する新たな託送料金制度では、消費者団体から収支悪化による安易な値上げの懸念があると指摘されているんです。  そこで、これは本当に消費者にとって重大な問題なので、消費者が広く参加できる公聴会を復活するべきじゃないかということと、少なくても消費者国民に対して託送料金データ電力データ活用に係る利益や費用負担について、消費者委員会の意見を聞く仕組みで見える化するべきではないでしょうか。
  217. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 時間ですので、お答えは簡潔に願います。
  218. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) はい。  お答え申し上げます。  先ほど大臣から御答弁いただいたとおり、法案の成立後、電力データ利用の活用のニーズですとか必要となるシステム投資の規模等を見極めた上で、消費者の団体等の方々意見、それから有識者の方々意見も伺いながら詳細設計を進めてまいりたいと考えてございます。  御指摘いただきましたように、こういった形で透明性を持たせていくのは大事なことでございますので、しっかりその議論の過程は公開してまいりたいと考えてございます。
  219. 岩渕友

    ○岩渕友君 以上で質問を終わります。
  220. ながえ孝子

    ○ながえ孝子君 碧水会のながえ孝子です。  前回の質問のときにも、再生可能エネルギー市場の中でちゃんと選ばれて、消費者皆さんに、そこに新たなビジネスが生まれるようにという視点、これは電力改革の目的の一つだとも私は理解しているんですが、それを考えると、新規事業者経営が成り立つように環境整備が重要です。その点では接続の保証ということを申し上げましたら、大臣の方からもノンファームの問題の御説明がありましたし、是非このコネクト・アンド・マネージですよね、これを実現していただきたいなと思っています。  それともう一つ経営環境という面では出力抑制の問題があろうかと思っております。  調べましたら、二〇一八年で二十六回、二〇一九年で九十三回の抑制が行われています。今年、二〇二〇年は五月の二十六日までで四十五回ですね、結構な数なんですね。残念ながら、外から見えるのはこの回数のみです。どのぐらいの損失になるのかは分かりません。要請を受けた事業者も、買取りされなかった電力量というのも分かりません。これでは経営上のリスク管理といいましょうか、予測ができないんではないかと思うんですよね。  午前中の参考人の質疑も聞いておりまして、生み出されたエネルギーをいかにうまく流していくかという点では事前計画が大事だという御指摘もありまして、その中で、再生可能エネルギーというのは変動性が高いので今データを蓄積しているところなんだというお話がございました。余り安全運転し過ぎるとこのデータの蓄積の量が多くなっていかないので、少々実験のつもりでデータの蓄積というのもすることも考えてやってみることも大事ではないかという話も伺いまして、要は情報開示なんだと思っています。  ですから、揚水動力の活用なども含めて、どういう経緯でどのぐらいの出力抑制が行われたのか、見える化が行われて事後検証ができる、検証していくということが大事だと思うんですが、こういったシステムの検討の状況はいかがでしょうか。
  221. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) 先般、委員とのやり取りで、地産地消、地域電源をうまく活用するということはこれから大切だということも申し上げました。その際に必要になるのが、やっぱり接続という形になります。  ノンファーム接続というのが千葉、そして茨城、また北東北の方で始まっているということで、これを来年までには全国に広げていくということになりました。出力制限も含めて経営の予見性がないと、なかなかやっぱりこれ採算に合ってこないということもありますので、しっかりと見える化をしてまいりたいと思っております。  出力に係る透明性の確保はかなり重要なことであると私自身も認識をしております。具体的な見える化の取組としましては、現在、再エネ出力抑制が行われた場合には、その翌日に、一般送配電事業者が制御量が最大となった時間帯の供給実績、出力制御量をホームページで公表するとともに、出力制御の判断や運転がルールに照らして適切であったかどうかを国や電力広域機関において事後的に検証してまいります。その結果を公表しているところであります。  これに加えて、海外の先進事例にも学びながら、需給状況に応じて柔軟な制御ができるように、これらのデータが活用されるわけですね。そして、精緻な計算の下に出力抑制をできるだけ小さくしていこうというようなことで、いずれAI等も使って、スマートグリッドというような形になっていくでしょうけれども、そういった形で、再生可能エネルギーがかなりの数入るような仕組みにしてまいりたいと思っております。  今は、先ほど委員がおっしゃったように、いろんなデータを取りながら、まずは翌日に公表しながらも、その仕組みをつくっている最中だということで御理解をいただきたいと思います。
  222. ながえ孝子

    ○ながえ孝子君 ありがとうございます。  大変前向きな御答弁をいただいたと思っているんですが、海外のいい例も学びながらというお話がありました。  それで申し上げますと、ドイツでは優先接続のルール化と。どうしても出力抑制をする場合には、その補償措置というのも明確にされているんですよね。だからこそ、やっぱり市場活性化してくるんだとも思っておりますので、その辺も学んでいただけたらなというふうに思っています。  申し上げました接続の問題も、それから出力抑制の問題も解決をするためには、短期的にはコネクト・アンド・マネージですよね、長期的にはやっぱり系統整備だということだと思います。でも、そこには多額の費用が発生するということで、発電側基本料金という話も出てきたんだろうというふうに思っています。  このことで、設備利用率が比較的低い太陽光や風力の事業が既存の化石燃料発電施設よりも不利になる可能性があるという指摘もありますよね。そのことをお聞きしたくて、小沼委員の指摘にもありましたんですけれども、ちょっと確認をさせていただいてもよろしいでしょうか。
  223. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) お答えさせていただきます。  発電側基本料金は、再エネ主力電源化に向けて必要となる送配電設備の増強や維持、運用を効率的かつ確実に進めていくとともに、再エネを含めた電源による効率的な系統利用を促進するために導入するものでございます。このため、系統増強等によってメリットを受ける発電側にも送配電整備の増強、維持、運用費用など、固定費について公平に負担を求めることとしております。  ただ、そうなりますと、先生御指摘のように、制度設計次第では設備利用率の低い再エネについて負担が増加するとの指摘に関してはよく承知をしております。既存FITの事業者に対し過度な負担が生じないように一定の配慮や工夫が必要であり、様々な御指摘や関係者の意見も踏まえながら、先ほど小沼先生に大臣から御答弁もありましたように、調整措置や負担水準を始めとして、本制度の在り方についてしっかりと検討していくことが大事だと考えております。  いずれにせよ、発電側基本料金の適切な導入に向けて、慎重かつ丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。
  224. ながえ孝子

    ○ながえ孝子君 ありがとうございます。  ビジネスとして成功するには、やっぱり商品力というのが大事かなと思うんですね。そのときには、商品の差別化という意味では、電源表示というのは大変重要だと私は思っています。ですが、自然エネルギーという表示は禁止されているということですよね。  ヨーロッパなどは表示の義務化をやっておりまして、やっぱりそれが一つの、何でしょう、市場で選ばれていくための武器ともなっていくとは思うんですけれども、それと同時に、私はやっぱり発電事業者としての説明責任ではないかとも思っています。  どうして自然エネルギーが表示が禁止されているのというのは、本当に理由を読んでもよく分からないというところがあります。ですし、FITの制度の中では、その付加価値というのは負担を背負っている需要者みんなが薄く広く持っているものだからというような説明もされていますけれども、これ、制度が少し変わってまいります。  そういった中で、やっぱり自然エネルギーという表示は禁止なんでしょうか。
  225. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) お答え申し上げます。  FIT制度を利用している再生可能エネルギーがどうしてFIT電源としか書けなくて、再生可能エネルギー電源というふうに表示はできないのかというお問いだというふうに認識をしております。  まず、現行の小売営業ガイドラインにおいて、自然エネルギーと表示すること自体を禁止するような規定はございませんが、需要家に誤認を招くような電源表示を小売電気事業者が行うことは問題になるとされております。  それで、一般的な再生可能エネルギー、FITじゃなくて一般的な再生可能エネルギー電気については、これを調達した小売電気事業者から電気を買い取った需要家に、ゼロエミッション電源であるといった環境価値が帰属することになるのは当然のことでございます。  そうしますと、FIT電気についてはどういうことかということでございますが、先ほど先生も御指摘のように、FIT電気につきましては、その電気の買取りに必要な一部が、全ての需要家が負担する賦課金によって賄われているということになりますので、FIT電気を調達した小売電気事業者から電気を買い取った需要家に、一般的な再生可能エネルギーじゃなくてFIT電気については環境価値が帰属するものではないと整理をされております。  そうしますと、FIT電気について再生可能エネルギーとの表示を認めた場合、今申し上げたように、FIT電気を買い取った需要家が環境価値を有しているとの誤認を招くおそれがまさになってしまいますので、このような事態を防ぐために、FIT電気に関してはFIT電気と表示することを求めているところでございます。
  226. ながえ孝子

    ○ながえ孝子君 私、何度聞いてもよく分からないんですね。  確かに、そういう議論の経緯とかはあろうかと思いますけれども、ヨーロッパの方ではこれは表示が義務付けられております。その中では、やっぱりちゃんと分けて考えないといけないのではないかと思っています。といいますのは、やっぱり環境付加価値というのはちょっと別物で、電源を表示するというのは電気を売る側の説明責任ではないかというふうに、分けて考える必要があるのではないかなというふうに思っています。  ですから、電力会社は自分の売る商品については責任を持ってそれを説明すると。そして、消費者は、電力会社だけではなくて、せっかく自由化になったんですから、電気も選べるんだというふうな方向を目指していくのが一番消費者にとっても分かりやすい説明というか仕組みではないかなと思っておりますので、とにかく、国民皆さんが使っていく仕組みであったりとか理解を得ないことには、これいろんな改革も前に向いて進まないものですから、しっかりとその辺りを考えていただきたいなと思っております。  では、ちょっと次に移らせていただいて、電力データの個人情報のことについてお聞きしたかったんですが、先ほど岩渕委員から大変深い質問もありまして、もうシンプルにちょっとお聞きしたいなと思います。  確かに事業者側にとってはこの電力データというのは宝の山ですけれども、先ほど説明もありましたように、消費者側からいえば非常にセンシティブな個人情報の塊であります。今、個人情報は配慮して使っていきましょうといいましょうか、ちゃんとこれ配慮しなければならないという流れが大きくなっている中で、今回はこの使用状況データを有効活用する制度を整備するという方向が出ております。  午前中の参考人の方にいろいろお話を伺った中でも、個人情報を、何と言ったらいいんでしょうかね、ちゃんと使用、悪用されないような、不安を払拭するようなことが大事ではないかという御指摘がありました。個人情報の提供がその個人にとってもメリットになるような、そういう信頼が置けるようなシステムをつくっていくことが大事ではないかということがありまして、これは大事な視座だなというふうに私も思っております。ということは、認定電気使用者情報利用者等協会、これ難しいですね、の仕事が大変重要だなというふうに思っています。  ですから、いかに消費者保護、個人データを保護するのかという仕組みと同時に、さっきの視座を生かしてこれから前向きに考えていくとすれば、どう消費者の理解を求めていくか、その個人情報の使用のフィードバックをしっかりとやっていくシステムをつくるかということだろうかと思っています。そういった意味では、ここの協会がしっかり仕事をすることが大事ですし、その認定や指導に当たる経産省の役割は非常に重要だなというふうに思っております。  その辺のシステムづくりについて、何かお考えがあれば聞かせてください。
  227. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  委員から御指摘いただきましたとおり、利用を図っていく上で、やはり個人情報がしっかり保護されるということが大前提でございます。その大前提がしっかり確保される体制をこの認定協会にも求めていくということでございます。  先ほど大臣からも御答弁いただきましたけれども、同協会に対しては電力データの利用者に対して指導監督等を行う権限を付与するということにしておりますが、国が必要な場合には同協会に対しても改善措置命令を行うということができる、それから命令違反の場合には認定も取り消すことができるということで、強い監督権限を持っているわけでございます。  また、利用の大前提といたしまして、本人の同意をいただくと、これを大前提としてございますので、電力データを利用したいという方はその利用目的等を提示して、これを受けて、その利用されるデータを持っておられる方が同意をした場合のみ使えると、こういうことになっているわけでございます。また、需要家の方がその同意を取り消したいという場合にも取り消せると、こういうスキームを想定してございまして、この同意がある場合にのみ情報を電力データ利用者に提供すると。  先生がおっしゃったように、やはりリターンがないとなかなか提供するということにはならないと思いますので、例えば自治体とかでは、電力データを使わせてもらえれば避難計画をしっかり立てて、そのエリアの方々の利益につながるように使っていきたいと、こういうこともありますので、例えば、自治体の方々がその使用目的を明確にして、それに同意する場合にのみそれを認めると、こういう仕組みであることを審査基準として規定をいたしまして、その審査基準として満たされるものであることを確認した上で認可を行うということになります。  その体制としても、必要な業務の方法を決めるということ、それから適確にそれを実行できる知識、能力、財産的基礎を有するものであること、それから個人情報の保護がしっかりとできる体制ができていること、これを国が確認して認めていくと。その上で、また運用でおかしなことがあれば、先ほど、戻って、指導監督をしっかり行えると、こういう強い権限の下で制度を組んでいるところでございまして、これをしっかりと、個人情報の保護が確保されるという前提での運用を図ってまいりたいと考えてございます。
  228. ながえ孝子

    ○ながえ孝子君 申し上げたいこともあるんですけど、ちょっと時間が参りましたので、重々よろしくお願いをいたします。  終わります。
  229. 安達澄

    ○安達澄君 無所属の安達澄です。どうぞよろしくお願いいたします。  ちょっと順番を入れ替えて、前回の託送料金の続きのところから最初に話を進めさせていただきます。  前回、答弁の中で、賠償への備えの不足分、いわゆる過去分の話ですけれども、福島第一原発事故の対応費用ですね、それがこの四月から託送料金に上乗せして回収できるようになったというふうに答弁をいただきました。  これは、元々その対応費用というのが十一兆円から二十一・五兆円に増えて、その中の賠償金が五・四兆円から七・九兆円、ですから二・五兆円増えたわけですけれども、それを四十年掛けて全国で徴収していくというお話をいただきました。沖縄以外は全国で原発の恩恵を受けてきた、ですので、それをみんなでシェアをするんだというお話だったと思うんですけれども、簡単に言うと、ただ、やっぱり、いざ蓋を開けてみると不足、足りなかったので、それを追加徴収するということになるのかなと思うんですけれども、そこはちょっと腑に落ちない部分があるんですが。  ちょっと確認なんですけれども、この福島第一原発事故の対応費用には、ほかにも除染費用があるかと思います。これは合計すると四兆円あります。これについては、国が保有する東電株の売却益で返済をしていくということになっているかと思います。ただ、そのために必要な東電の時価総額は七・五兆円。今、足下どれぐらいかというと、約六千億円ぐらいかと思います。  ちょっと確認なんですけれども、後々、やっぱり足りませんでしたということで、今回のような託送料金に上乗せすることはないんですよねという確認をさせていただければ。
  230. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  御質問いただきました備えの不足分、賠償の備えの不足分につきましては、この二・四兆円が上限でありまして、つまり過去のものでございますので、将来にわたってこれは上振れすることは一切ございません。これは閣議決定の中でも明確に上限として規定をされてございます。  したがいまして、この不足分が将来に増えて、それを託送で解消するというようなことはないということでございます。(発言する者あり)  除染費用の四兆円につきましては、東電が抜本的な経営改革を通じて企業価値を向上させた上で、機構が有する東電株式の売却益により回収するということにしております。  まだ株価がそこまで上がっていないのは事実ですけれども、東京電力経営改革の方針で総合特別事業計画というものを作って国の認可を受けています。これから大胆な改革をして企業価値を上げていくという途上でございますので、これはしっかりこの経営改革を成し遂げて企業価値を上げていくということでございます。  かなり大きな企業価値の向上が必要なのは事実でございますけれども、過去、同様の規模で企業価値を向上させた例ございますので、しっかり国もこの東電改革を監督しながら実現をしてまいりたいと考えてございます。
  231. 安達澄

    ○安達澄君 確認といいますか念押しになるんですけれども、二〇一六年十二月、財務会計ワーキンググループ、まさに今回の話をいろいろされたワーキンググループで、その中で、当時、東京大学の社会科学研究所の教授の松村先生からの意見なんですけれども、このようにおっしゃっていました。  今回のものが先例となって、本来発電部門が負うべき費用、あるいは過去分とみなす費用が次から次へと託送料金に乗ってくることになったとすれば、このワーキングは相当罪深いことをしたことになる、本当に今回を最後にしてもらいたいと。途中ちょっと省略しますけれども、もし今後、託送料金にまた乗るなどということになったら、このワーキンググループの議論を全て無視して新たに乗せたという位置付けにしてもらわないと、とても納得しかねますという発言がありました。  こういった過去の蓄積の上でこの話があるわけですから、そこを重々再認識していただければというふうに思います。ありがとうございました。  続いて、五月二十二日の衆議院の経産委員会の田嶋議員とのやり取りの中で、この原発関連コストの表示を明細票にしっかり明記することを求めてまいりたいと、そのとき梶山大臣がそのように答弁をされていたんですけれども、具体的に何をどうなるのか、そこを教えてもらえればと思います。
  232. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  先ほどの福島費用の支弁の仕方を審議した審議会におきましても、この審議会の報告書において、これらの費用については、小売電気事業者に対し、需要家の負担の内容料金明細票、これ御家庭に届いているあの明細票でございますけれども、に明記することを求めていくということで明確化されているところでございまして、これまでも電力会社に対して、その負担の内容料金明細票、負担が発生した時点ででございますけれども、明記することを求めてきたところでございますが、今後、これらの負担が具体的に発生する前に、審議会等のオープンな場で改めて事業者に対し、料金明細票において明記するよう求めていくこととしたいと考えてございます。
  233. 安達澄

    ○安達澄君 そうやって明記していくことは非常に重要だと思います。  やはりエネルギーはもう本当に重要なテーマだと思いますので、見える化、国民に分かりやすさというのが重要だと思うんですが、一方で、今、料金票は再エネ賦課金というのが、大体今電気料金の一割ぐらいだと思いますけど、それがはっきり明記されていまして、今回、仮にこの費用が、これは四十年で割りますから金額的には十八円とか二十円ぐらいだと思うんですけど、どういう形で載るのか分かりませんが、それが併記されたときに、ぱっと見たときに、ああ、やっぱり再エネって高いなというふうに思ってしまう、誤解してしまうことって十分あると思うんですね。やはりそこは違うと思うんですね。  ですから、そういった表記一つにしても、国民にちゃんと正しい理解を持ってもらうために十分御配慮いただきたいというふうに思っておりますので、そこもお願いしたいと思っております。  エネルギー関係、最後に一つ、サイバーセキュリティーの質問をさせていただきます。  先ほどもちょっと参考人質疑で聞かせていただいたんですけれども、来年に延期となってはしまいましたけれども、オリンピック、パラリンピックがあります。ロンドン大会のときはやはりそういった攻撃が数億回あったと。結果的には何もなかったんですけれども、というふうに認識しています。これから日本への攻撃が増えてくるのも間違いないのかなと思っていますけれども。ウクライナとかでも二〇一五年とか一六年に大規模な攻撃があって、実際、停電がありました。  そこで、お聞きしますけれども、一七年に電力ISACですかね、そういったものを防ぐんだということで立ち上がっています。四十社程度と認識していますけれども、具体的なその活動とか実効性を教えてください。
  234. 村瀬佳史

    政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘いただきました電力ISACでございます。これ、インフォメーション・シェアリング・アンド・アナリシス・センターということで、欧州とかアメリカで先行的に業界対応とセキュリティー対応のためにつくられていたものを日本でも立ち上げたものでございます。  この電力ISACは、電力業界全体でのサイバーセキュリティー対策強化を目的に、御指摘のとおり二〇一七年三月に設立をされまして、現在、大手電力会社を始めまして、それだけじゃなくて、ガス会社等の大型発電設備を有する会社など三十七社が会員として参加してございます。  この電力ISACでは、例えば情報処理に関する安全性及び信頼性の確保を担うIPA、これは独法の情報処理推進機構等から入手をいたしました最新の脆弱性情報ですとかマルウエア情報等を会員企業に共有をしたり、会員企業が具体的に受けたサイバー攻撃の情報を管理した上で直ちに共有をするといったこと、それからサイバー攻撃発生を受けた場合の対応等、グッドプラクティス、非常に優れた対応などを紹介し、会員企業間で対応レベルをお互いに高め合うといった活動を実施しているところでございます。ただ、こういう機微な情報を扱いますものですから、まず特定の四十社の会社が参加をしているということでございます。  このような中で、委員から御指摘いただきましたように、東京オリンピック・パラリンピック競技大会期間中に向けて、それを、具体的なインシデントを想定した実践的な演習なども行っておりまして、二〇一九年の十二月にはこのインシデント演習を行った上でサイバーセキュリティー、今後もサイバーセキュリティー演習を継続的に行っていくということにしているわけでございます。これらを通じて、電力業界全体として、実効性のある電力サイバーセキュリティー対応の実現に向けて自主的な取組を進めているわけでございます。  先ほど申し上げた欧州、米国等とも覚書を結んで、ISAC間、国際的なISAC間の連携をしまして情報交換を実施するなど、我が国も他国の例を倣って対応を強化しているというようなことを取り組んでいるところでございます。  政府としましても、電力会社のトップを集めた会合を開いて対応を具体的に政府としても求めていくといったようなこと、それから今回の電気事業法改正の中でもサイバーセキュリティー対応を求めることにしているわけでございますけれども、こういったことを紹介しながら、業界全体で適切なサイバーセキュリティー対応が進むよう取り組んでいるということでございます。
  235. 安達澄

    ○安達澄君 ありがとうございます。  御存じのとおり、サイバー、最近はサプライチェーン攻撃といいますか、大手ではなくて、やはりその辺が脆弱な中小を狙ってからということが多いので、今の話は大手中心取組だと思うんですが、今回のこの電事法改正で新しいプレーヤーが地域で増えてくるわけですから、是非そのセキュリティーの観点からもよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。  じゃ、最後、ちょっと残り時間少ないですけれども、この間もちょっと話をした持続化給付金の委託金の件で、昨日、中小企業庁の方から資料をいただいたりとか、話を聞かせていただきました。いろいろとあるんですけれども、とにかく後日精算と、後払いということなので、とにかく、今七百ウン十億とありますけれども、そのコストを下げていってやるということがもう重要だと思いますので。  ですので、もう何か私の方から追及するとかそういうことではなくて、ちょっと一つ提案なんですけれども、やはり二次補正にしても八百五十億円の事務経費が掛かる、これもやっぱり大きいと思います。先ほど大臣の話で、今人海戦術中だと。ですので、二次補正になればその辺は慣れてくるし、大分コストカットができるはずだと思います。  あともう一つは、やっぱりゴー・ツー・キャンペーンですね。これが三千億とあるわけですけれども、これに関して言うと、やはり何でそこまで事務経費が掛かってしまうのか、非常にやっぱり残念というのがあってですね。  なぜなら、私、もう四月の末のときに、ちょうど赤羽国土交通大臣の衆議院での予算委員会の話を聞いていまして、すごくいいことをおっしゃっていたんですね。ちょっと読み上げますと、全国規模大手旅行会社とか地域の中小旅行会社ももちろん救うけれども、旅行会社を介さずにもう直接地域のホテルや旅館が商品の販売を行う場合もこの対象としていく制度にしたいと、そういう声も強いとおっしゃっていました。旅行会社に支払われる手数料についても、今回のこうした大変な苦境を救うために旅行需要を喚起するという今回の政策の性質上、共に苦境に陥っている旅行会社、宿泊事業者双方が納得できる水準になるものというふうに私は理解しているというコメントをされていたんですけれども。  私、なぜこの発言が非常に、地に足付いているなと思ったんですね。なぜなら、私自身が四年前に、ちょうど地元の大分にいるときに熊本、大分の地震があって、観光業が大変な目に遭いました。私、ちょうどそのときは自分で旅行会社をやっていたんですけれども、ふっこう割というのに本当に助けられたんですね。ただし、そのふっこう割の反省点が、やはり大手のネット旅行会社を通じての申込み。結果的に、やはり地元の方々が困るのは、手数料がどうしてもやっぱり八%とか一割近く取られたりとか、あとは、やはり地元の旅行会社さんとかバス会社になかなかお金が回らなかったという実態があります。それを非常に踏まえたコメントだなと思っています。  だからこそ、この赤羽大臣の思いを形にするんであれば、三千億円というのはやはり事務経費に掛け過ぎですし、本当にその思いを現場の方が分かっているのかどうか、そこは私、非常に疑問であります。  私も、実は以前、こういったいろんなキャンペーンといいますか、プロモーション関係の仕事とかしていたものですから、是非私もお手伝いをさせていただくというか、いろんな形でアドバイスを、それこそ渡邉さんとかにもさせていただいて、一緒にいいものをつくっていって、地元の皆さんに本当にお金が落ちていく、そういうキャンペーンにしていきたいなと。結果をちゃんと残す、決算が大事だと思うので、是非手伝わせていただきたいと思っておりますので。  よろしいですかね、大臣
  236. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) お時間ですので、簡潔にお願いします。
  237. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) これ、経済産業省だけではなくて、国交省、内閣府と一緒にやる事業でありまして、そういうことも念頭に入れてしっかりとやってまいりたいと思いますし、地方では是非、安達議員にも応援をいただきたいと思っております。
  238. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) お時間ですので、おまとめください。
  239. 安達澄

    ○安達澄君 ありがとうございます。じゃ、しっかりと私も手伝わせていただきますので、いいものをつくりたいと思います。  ありがとうございました。
  240. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  241. 岩渕友

    ○岩渕友君 私は、日本共産党を代表し、エネルギー供給強靱化法案に反対の討論を行います。  東電福島第一原発事故を契機とした電力システム改革から七年、原発と石炭火力の大規模集中電源から再エネ分散型電源への転換の重要性は、北電ブラックアウト、台風等の長期停電を受け、いよいよ明らかになりました。  ところが、本法案は、第五次エネルギー基本計画の具体化を図って原発と石炭依存を将来にわたり固定化し、費用負担を消費者に転嫁するとともに、再エネ導入の抑制になりかねないもので、国民の願い、気候変動への対応、国際的潮流に逆行しています。  反対理由の第一は、将来を見据えた広域系統整備計画策定をOCCTOの業務に追加することで国の関与を強め、原発と石炭火力発電をベースロード電源とする第五次エネルギー基本計画に基づく大規模集中型の送配電網増強を進めるものだからです。  第二は、新たな託送料金制度は、電力会社が必要な設備改修を怠ってきたツケを電気料金として国民に転嫁し、安易な値上げにつながりかねないものだからです。電気料金の四割を占める託送料金には、既に多額の原発費用が転嫁されている上、原発の廃炉費用や賠償負担金も上乗せされます。さらに、電力データ活用のシステム構築費用の押し付けが懸念されます。公聴会を復活することを始め、消費者国民に見える化すべきです。  第三は、平時のビジネス活用を解禁する家庭の電力データは個人情報そのものであり、脆弱な個人情報保護制度の下では本人の承諾なしに大企業のもうけ本位の活用が懸念され、断じて容認できません。  第四は、電力市場環境整備も不十分なままFIP制度に移行することは、市民地域主体の再エネ事業を阻害しかねないからです。また、再エネ導入に必要な送電網の増強、接続を拒んできた電力会社の責任を問わず、系統増強費用を再エネ賦課金として国民に転嫁することも許せません。原発による送電線の空押さえをやめ、再エネ、とりわけ小規模の最優先接続、最優先給電に見直すべきです。  第五は、JOGMEC法改正は、石炭開発を拡大し、LNG需要をビジネスチャンスとする巨大企業の投資リスクを国に肩代わりさせるものだからです。  市民地域主体の再エネ導入推進こそが、災害にも強く、再エネ主力電源化に向かう道です。EU並みの導入目標を掲げ、原発ゼロ基本法案、分散型エネルギー法案の実現を求め、反対討論といたします。
  242. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  強靱かつ持続可能な電気供給体制確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  243. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、浜野君から発言を求められておりますので、これを許します。浜野喜史君。
  244. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 私は、ただいま可決されました強靱かつ持続可能な電気供給体制確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲・国民.新緑風会・社民、公明党、日本維新の会及び碧水会の各派並びに各派に属しない議員安達澄君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     強靱かつ持続可能な電気供給体制確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 事故等により電気供給に支障が生ずる場合に備え、一般送配電事業者が速やかに支障を除去するために講ずべき対策について、予め検証を行うとともに、関係省庁間又は関係省庁と地方公共団体の間の調整等、国の役割を明確にしつつ必要な支援を行うこと。  二 一般送配電事業者が共同して作成する災害連携計画については、公衆安全並びに作業現場における労働安全衛生の確保を大前提とした上で、真に災害復旧の迅速化・円滑化に資するものとなるよう現場の実態や関係者の意見等を踏まえながら検討を進めること。その際、今後の災害復旧経験から得られる改善点等について、速やかに情報共有が行われ、災害対応力の全国一律の向上が図られるよう指導すること。    また、同計画で定める電気工作物の仕様の共通化の検討に当たっては、作業の安全確保を大前提とし、現場の混乱や作業効率の低下等に繋がることのないよう配慮すること。  三 災害時等における地方公共団体等への一般送配電事業者等の電力データの提供に当たっては、災害復旧現場の混乱や作業効率の低下等に繋がることのないよう、予めデータ提供の様式や手順等を定めるとともに、地方公共団体の要望集約等、国の役割を明確にしつつ必要な支援を行うこと。  四 平時における電力データの提供に当たっては、節電やエネルギー需給の効率化のための需給管理等を推進する観点も含めて、その活用を進めるとともに、個人情報の万全な保護及び事業者間の公正競争の確保に配慮しつつ、新たな事業展開に繋がるよう取り組むこと。  五 電力広域的運営推進機関による広域系統整備計画の策定等については、電力システム改革が進展する中で、レジリエンスの強化や再生可能エネルギーの大量導入を促しつつ国民負担を抑制する観点から、一般送配電事業者による送配電網設備の整備が効果的に行われるよう、検討を行うこと。  六 送配電網の強靱化とコスト効率化を両立するための新たな託送料金制度の詳細な検討に際しては、電力安定供給の継続的な確保とこれを支える人材の確保・育成等に支障が生じないよう、現場の実態や地域特性など関係者の意見等を踏まえながら検討すること。  七 地域においてエネルギー地産地消や災害に強い電気供給体制確立等に資する分散型電力システムの円滑な導入が図られるよう、社会的コストの増大を招かないことを基本とした上で、地域の意向を十分踏まえつつ、配電事業者及びアグリゲーターによる事業参入の円滑化に向けた環境整備を図ること。    その際、アグリゲーターに対しては、災害発生時のリスク対応など電力安定供給確保やサイバーセキュリティ確保に万全を期すよう、適切な指導監督に努めること。また、配電事業の許可を行う際には、事業の開始が電気事業の総合的かつ合理的な発達その他の公共の利益の増進に資するよう適切に審査するとともに、事業の休廃止により電気の使用者の利益が損なわれることのないよう必要な措置を講ずること。  八 FIP制度導入に当たっては、再生可能エネルギーの最大限の導入国民負担の抑制の両立、主力電源化に向けた電力市場への統合という制度改正の趣旨が堅持されるよう、対象となる電源規模、プレミアムに係る参照価格の見直し期間等について定めるとともに、制度導入後も不断の検証を行い必要な措置を講ずること。  九 再生可能エネルギー主力電源化に向けた取組国民の理解と協力の下により健全かつ効果的に進められるよう、未稼働案件対策、設備廃棄対策、地域の理解を得られにくい開発案件対策、長期安定発電を可能とするような産業育成について、関係省庁の密接な連携により進めること。  十 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の改正に伴い発生する、電気事業者が現に締結する特定契約の変更その他の事務処理及びそれらに要する費用について、当該電気事業者の負担が軽減されるよう配慮すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  245. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) ただいま浜野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  246. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 多数と認めます。よって、浜野君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、梶山経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。梶山経済産業大臣
  247. 梶山弘志

    ○国務大臣(梶山弘志君) ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。
  248. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  250. 礒崎哲史

    委員長礒崎哲史君) 速記を起こしてください。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会