○山下芳生君
レベル1、2と比べて
飛散性が相対的に低いという言葉がありました。確かにそういう面はあるでしょう。しかし、量はどうかと。これまで一千万トン
輸入された
アスベストのうち七百万トンは
レベル3
建材として
使用されてきました。私たちの身近に最も多量に存在する
アスベストは
レベル3
建材として存在するわけですね。
具体的に、
レベル3
建材がどのように存在しているのか、先日、私は大阪市西淀川区の千舟地域を視察してまいりました。
資料の二枚目にこういう大阪市西淀川区千舟地域の典型的な風景写真を紹介してあります。古い
工場建屋と新しいマンションが隣り合わせで混在している、そういう地域なんです。
工場建屋の壁に見えているのが
レベル3
建材、波形
スレートであります。この波形
スレートが大量に
工場建屋の壁とか屋根に使われているのが見えます。
資料三は、この千舟地域にではどれほど
レベル3
建材を使った
工場建屋が存在しているか、
調査した結果を載せた地図であります。黄色く塗ったところが
レベル3
建材、
スレート材の屋根若しくは壁が認められたところで、これ、大阪
アスベストセンターの皆さんが空からの写真と現地を歩く実地
調査を行って、一つ一つ
調査して作った地図であります。千舟という狭い地域に
レベル3
建材の
工場建屋が数多く存在しているということが分かると思います。
実はこの地域は、駅が新設されてJR大阪駅へのアクセスが大変良くなったということもあって、このところ古い
工場が次々
解体されて新しいマンションが建設されています。当然マンションには若い世代や子供さんが多く入居し、人口も急増している地域なんです。したがって、
心配なのは、こういう古い
工場が
解体されるときに
アスベストが
飛散する、それによって若い世帯や子供さんが暴露することであります。御存じのとおり、
アスベストの疾患は
潜伏期間が平均四十年と極めて長いですけれども、若い世代や子供さんにとっては、この長い
潜伏期間を超えて、将来大変なダメージを残す危険性があると思います。
今日、もう一つ持ってまいりましたのは、これなんですけれども、これは波形
スレートの模型であります。(
資料提示)この地域で、千舟でよく使われている
レベル3
建材、波形
スレートなんですけれども、この波形
スレートの
アスベスト含有量は、重量に対して二〇%と言われております。これ大きさが三十センチ掛ける三十センチですので、重量、この一枚だけで一・四キロありますので、この一枚の
スレート板に
アスベストが二百八十グラム含まれているということになります。これがそうなんですけど、これは
アスベスト、本物ではありません、小麦粉なんですけど。二百八十グラムってこんなもんですよ。すごいずっしりきますよ。ですから、この小さい
スレート板一枚にこれだけの
アスベストが含有されている。これが大量に住居、マンション等、隣り合わせで存在して、これから急速に
解体作業を行われるという
環境にあるわけですね。
では、
アスベストの
レベル3
建材を使った建物の
解体作業の実態はどうなっているか。
現場をよく知る複数の方から直接話を伺いました。
今回の
法案では、
レベル3
建材を壊さずにそのままの形状で手ばらしすることが基本になっていますけれども、実際はそんな手間の掛かるやり方ではなくて、この波形
スレートというのは長いですから、何メートルもある
スレート材を小さく割って、そしてフレコンバッグに詰め込むという
作業になっているそうなんですね。フレコンバッグの大きさは一・五メートル掛ける一・五メートル掛ける一・五メートルの立方体ですから、何メートルもあったら割らなければ片付けることができないんですね。中には、
アスベストの危険性を知らないまま、外国人
労働者の方なんかがどんどんどんどんこの
スレート板を足で蹴って割ったりという光景が間々見られるということになっております。これが
現場の実際の実態なんですね。
地域の住民の皆さんに、そういうやり方で、こういう
環境で
アスベストが
解体され破壊されたら、これは暴露の危険が当然出てくるわけですし、こういう
工場地帯がどんどんマンションになっているところは全国各地にいっぱいあると思うんですね。
小泉
環境大臣、今回、
レベル3
建材については、
レベル1、2と同様の
規制は見送られました。しかし、今紹介したような実態に照らして
考えるならば、たとえ
レベル3
建材であっても、建物
解体時に
アスベストが
飛散する
可能性は極めて高いと。そうすると、暴露の危険性も出てくると。しかも、これから
ピークを迎えるわけですから、私は、
大臣、
レベル3
建材であっても
レベル1、2と同様に、
作業実施の
届出、それから
隔離養生、集じん・排気装置の設置を
義務付ける必要があると思いますが、いかがでしょうか。