○小野寺
委員 こういう形で、私どもとしては、正確に法制局の解釈を聞くということは、自衛隊がしっかりと任務を遂行するためには重要だと思いますので、きょう、この国会で改めて
確認をさせていただきました。
さて、このような中で一つ気になることがあるのは、実は、私は、今回、自衛隊を派遣する、特に海上自衛隊、二機のP3Cと隊員六十名が活動しておりますし、また、今後、護衛艦「たかなみ」と隊員二百名を派遣するということなんですが、よくこの派遣についてアセットという
言葉を使うことがあります。これは、防衛省の専門家が特に、アメリカでよく使っている、自衛隊アセットの派遣という言い方をするんですが、私は、このアセットという
言葉が大変冷たく無機質に感じます。
現地に派遣されるのは血の通った自衛官であります。米国に対して説明する場合を除いて、アセットの派遣はなるべく使わないでほしい。
自衛隊員は、
国民の代表として、
日本の生命線である海上交通路を、そして
我が国の国益を守るために派遣をされております。こうした自衛隊員
たちの任務への献身的な
取組に、防衛省、
政府、そして
日本国として、ふさわしい名誉ある扱いをしてほしいと思っています。気候的にも厳しい地域への派遣であることを踏まえ、派遣される期間への配慮、適切な処遇をしっかりする、そして、隊員
たちの留守を守る御
家族の不安や
心配を払拭していただけるよう、組織としてしっかりとしたケアを
お願いしたいと思っております。
さて、自衛隊派遣のことについては少しここで終了させていただき、拡大する自衛隊の役割について、そして日米安保の六十周年について少し
お話をしたいと思います。
本年一月十九日に、日米安保条約改定の署名から六十年を迎えました。日米の外交・防衛担当者が集い、
外務省飯倉公館で盛大にレセプションが開催をされました。
総理はここで、日米安保は不滅の柱であり、アジアとインド太平洋、世界の平和を守り、繁栄を保証する不動の柱と仰せられました。
私は、日米安保に関して忘れられない思い出があります。それは、十年前、日米安保五十周年の年であります。実は、十年前、日米安保五十周年の式典は行われませんでした。当時、なぜ記念すべき五十周年なのに式典も何もないのか、私は
外務省の担当者に聞いたところ、担当者は、とてもそんな話を米側に言える雰囲気ではないと言っていました。当時、日米
関係は最悪で、特に、当時の鳩山首相のトラスト・ミー発言は決定的だったそうです。
その当時、自民党は野党でした。ですが、谷垣総裁、石原幹事長の判断で、自民党は、安保条約五十周年を記念して、
安倍総理を自民党特使としてワシントンに派遣することを決めました。
安倍総理は、ワシントンで
政府関係者との意見交換をし、その後、ハドソン研究所で日米の
関係者を前に講演をされました。演題は、日米
関係がいかに大事な同盟であるかだったと思います。その中で、日米の信頼をどのように高めていくか、具体的に話されました。そのときの構想どおり、第二次
安倍政権下で、日米同盟は今やかつてない強固な
関係を築くことができました。
他方、日米安保ができた六十年前と現在では大きく
状況が違うのも事実です。六十年前は、アメリカの軍事力は圧倒的であり、また、米ソ冷戦構造という世界規模の対立の中で、
我が国の守りの多くは米軍に任され、自衛隊に期待された役割は極めて限られておりました。
しかし、今や世界的なパワーバランスが変化する中で、
我が国の守りにとどまらず、
日本の各種政策を進める上で自衛隊の活躍がなくてはならないものになっています。
安倍政権の七年間で平和安全法制が制定され、今や日米は互いを守り合う
関係になりました。
また、自衛隊は、海賊対処活動、南スーダンで活動を行い、さらに現在は、大火災に見舞われているオーストラリアを
支援するため、国際救援活動を行っています。
毎日のように空自の戦闘機がスクランブルを行って
日本の空を守り、全国のレーダーサイトで、二十四時間三百六十五日、国籍不明機や弾道ミサイル監視を行っています。東シナ海、南シナ海で監視や訓練を行い、
我が国の領土を守り、海洋秩序を守っています。
毎年、気候変動の影響が考えられる
台風災害や豪雨災害、地震災害が続いており、多くの自衛隊員が災害派遣で人々を救っています。
このように、今や自衛隊は、国の守りや安全保障のみならず、
国民の生活を支えるのになくてはならない存在となりました。
世論調査では、信頼できる組織として、毎年のように自衛隊がトップに評価されています。
国民は、これほど自衛隊を信頼し、頼りにしています。
しかし、このように
国民から信頼を得ている自衛隊ですが、憲法に関しては、多くの憲法学者から、自衛隊は違憲である、あるいは違憲の疑いがあると指摘されています。でも、その中には、実は自分は自衛隊が好きだ、必要だとも思う、だが、憲法の条文を解釈すればやはり違憲であると言う学者も多くいらっしゃいます。
これだけ
国民を守り、
国民に信頼されている組織に対して、憲法の条文解釈上違憲とされる余地を残しておいてよいのか。このことは、私は、
国民に信を問う政治の責任だと思っております。
総理にお
伺いいたします。拡大する役割に対し黙々と任務に当たって責任を果たしてきた自衛隊に対し、憲法の上でもそれにふさわしい地位を与え、必要な
予算を措置し、必要な権限を付与するのが政治の務めであると思います。
総理のお考えをお
伺いいたします。