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内閣総理大臣(
安倍晋三君) 中島
議員にお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症対策に関するこれまでの
取組について
お尋ねがありました。
PCR検査については、医師が必要と判断した方が確実に検査を受けられるようにすることが重要と
考えており、機器の
整備等により、検査能力の一日二万件への増強を行うこととしています。
検査の
実施件数については、特に東京などの大都市圏において、検査、採取を行う人員や拠点も限られる中、更に効率的に
実施することが必要であると
考えており、PCR検査センターを設置し、
地域の医師会等へ委託する形で運営することや、歯科医師にも検体採取に御協力をいただくことなどの
取組を
推進することにより、検査拠点の
確保を図っていくこととしています。
政府としては、こうした
取組を財政面で
支援するため、緊急包括
支援交付金を新たに
創設し、さらに、
地域のPCR検査センターの運営等に要する費用等についても別途補助
対象としているところです。
これらに加えて、現行のインフルエンザ検査と同様な形で迅速な結果判定が可能な抗原検査も有用であると
考えており、あすにも薬事承認の予定です。このほか、抗体検査キットの性能評価及び疫学調査についても速やかに
実施してまいります。
御指摘の相談、受診の目安については、PCR検査を
実施する
基準ではなく、帰国者・接触者相談センター等に御相談いただく際の目安です。そうしたことについての
国民の
皆様への周知が足りなかったことについては真摯に反省し、今般、専門家の御
意見もお伺いした上で、
国民の
皆様にとってよりわかりやすいようなものとするよう
見直しを行うこととしたものです。
国民の
皆様に御理解いただけるよう、しっかりと周知を図ってまいります。
これまでの対策について
お尋ねがありました。
本年一月に、
中国経由の第一波がありましたが、WHOの公衆衛生上の
緊急事態が宣言された直後、
我が国は、世界に先駆けて
中国湖北省からの入国制限に踏み切りました。さらに、二月末には、大規模イベントの自粛要請、学校一斉休校などのほか、徹底したクラスター対策によって、先日、国立
感染症研究所が発表したゲノム分析によれば、
中国経由の第一波の流行は抑え込むことができたと推測されているところです。
入国制限も、学校一斉休校も、大規模イベントの自粛も、本邦初の
取組であり、
国民の
皆様には御迷惑もおかけをし、また、一部に拙速だとの御批判もいただきましたが、早目の大きな
対応が成果につながったと認識しております。
他方、三月に入ってから、
感染の第二波があり、三連休の緩みも加わって、
感染が全国的な広がりを見せることになりました。しかしながら、
緊急事態宣言によって強い外出自粛を
お願いした結果、実効再生産数が一を下回り、収束への道を着実に進んでいると
考えております。
このように、
国民の
皆様の大変な御協力により着実に成果があらわれている一方で、新規
感染者数の
減少がまだ十分な水準に達しておらず、また、
医療現場では過酷な
状況が続いています。こうした
状況などを踏まえ、
緊急事態宣言を、全国を
対象として五月三十一日まで延長することとしたものです。
これまでの
国民の
皆様、
医療従事者や保健所の
職員等の関係者の
方々の努力により、これまでの
取組は間違いなく成果を上げています。
緊急事態のその先にある出口に向かって、
国民の
皆様とともに一歩一歩前進してまいります。
各種の
支援策について
お尋ねがありました。
厳しい
状況の中にあっても歯を食いしばって頑張っておられる
事業者の
皆さんに、何としても、
事業を継続していただくため、さまざまな
支援策をスピード感を持ってお届けすることが重要であると
考えます。
そのため、最大二百万円の持続化給付金について、補正予算成立の翌日、五月一日から受け付けを開始し、一週間後の五月八日から入金をスタートしたところです。まずは、この使い道が自由な現金を一日も早くお手元にお届けできるよう全力を尽くす
考えです。
雇用調整
助成金についても、これまで特例
措置の
拡充を図ってまいりました。これに加え、御指摘の上限額の
見直しについても、与党における議論を踏まえ、また、野党の御
意見も伺いながら、
政府として早急に具体化してまいります。
一人親家庭を含む子育て
世帯に対しては、緊急小口資金等の特例貸付制度を
実施するほか、緊急
経済対策で、一人当たり十万円の特別定額給付金や子供一人当たり一万円の一時金により、
支援を行っていく
考えです。
その上で、今回の
感染症の影響によって子供たちの学びの機会が奪われるような事態は決してあってはなりません。このため、
生活に窮した学生に対しては、先月スタートした高等教育の無償化の枠組みの中で、入学金や授業料のみならず、家賃支出なども加味した学生
生活の費用をカバーするために返済不要の十分な給付型奨学金を
支給するとともに、
感染拡大などの影響を受けて家計が急変した場合は、それを反映した所得を見込んで
支援の
対象とすることとしています。
さらなる
支援についても速やかに
実施し、意欲ある全ての子供たちが家庭の
経済事情にかかわらずしっかりと学びを続けることができるよう、全力で取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症の治療薬について
お尋ねがありました。
治療薬、ワクチンの研究開発については、
日本じゅう、世界じゅうの企業、研究者の英知を結集して研究開発を進めているところであり、一日でも早く
国民の
皆様の不安を解消できるよう、
政府としても、さまざまな候補薬について、決め打ちをすることなく開発
支援を行っているところです。
御指摘のレムデシビル、アビガン、イベルメクチンに加え、例えば
我が国で開発されたオルベスコ、フサンなどを含め、幅広い選択肢の中で、有効性と安全性が確認された治療薬を一日でも早く
国民の
皆様にお届けできるよう、研究開発を力強く後押ししてまいります。
危機管理の観点から、
医療体制の
整備について
お尋ねがありました。
感染症に係る
医療管理体制を
強化していくことは重要な視点であり、これまでも
感染症指定
医療機関の
整備や
感染症専門医の養成等を進めてきたところですが、今般の
感染拡大を踏まえ、危機管理への
対応力を一層高めていきたいと
考えております。
今後の
感染拡大や新たな
感染症発生への備えの観点からは、マスク等の
医療防護具や医薬品、
医療機器など
国民の健康にかかわる重要な物資の生産、そしてそのサプライチェーンはしっかりと国内で
確保することが重要であり、引き続き、産業界と
連携して、国内生産体制や備蓄の増強等に全力を挙げていくこととしています。
また、
我が国のICU等の
状況は、適切な国際比較によれば、欧州の主要国を上回る
整備水準となっておりますが、引き続き、
感染拡大に備えた治療体制を
整備してまいります。
地域医療構想の
取組においても、
感染症対策も含め、
地域において必要とされる
医療提供体制の議論を深めていただきたいと
考えております。
さらに、
感染症に適切に
対応するためにも、日常診療を通じて患者の基礎疾患等を把握し、発熱時の相談
対応や適切な
医療機関への紹介を行うかかりつけ医を持つことは重要であり、引き続きその育成を
推進してまいります。
引き続き、
感染の収束に向けて全力で取り組み、危機管理の観点から、
医療体制の
構築に向けてもしっかりと
対応していきます。
障害福祉に関する
お尋ねがありました。
地域共生社会の
実現のためには、
障害福祉現場や
サービスを
利用する
障害者の
ニーズを踏まえた
対応を行っていくことが重要であると
考えております。
このため、
食事提供体制
加算や
送迎加算については、昨年度
実施した実態調査の結果や関係団体へのヒアリングなどを踏まえ、今後、丁寧に議論してまいります。
また、
重度障害者を含む
障害者の
就労支援については、これまでも福祉施策と労働施策が
連携して
対応してきたものの、特に、
通勤や
職場等における
支援については制度の谷間となっており、働く機会を得られないとの指摘もありました。
そこで、
令和二年度においては、意欲的な企業や
自治体を
支援するため、
障害者雇用
助成金の
拡充を図るとともに、
自治体における
地域生活支援事業を活用する新たな
取組を
事業化したところです。
政府としては、こうした新たな
取組が円滑に
実施されるよう努めるとともに、その利活用の
状況等を踏まえ、必要な
対応について
検討してまいります。
介護、
障害福祉現場における
感染拡大の
状況と対策について
お尋ねがありました。
新型コロナウイルス感染症で
介護施設やそこから病院への搬送後に亡くなられた方については、クラスター等の監視を通じて把握を行っているところでありますが、現状においては
自治体からの
報告体制に限界があり、その総数や割合等について現在明確に述べることは困難です。
介護や
障害福祉の施設においては、
感染拡大防止を徹底する観点から、手洗い、消毒などの予防に加え、
感染が疑われる入所者が発生した場合の
対応などについて具体的な
取組方針を示すとともに、マスク等の物資についても
支援を行っているところです。
また、
職員の
処遇改善については、これまでの累次の
処遇改善に加え、昨年十月にも月額最大八万円のさらなる
処遇改善を行ったところであり、この定着に努めてまいります。
さらに、
介護報酬等の特例的な弾力化
措置を講じるとともに、
感染者が発生した
介護施設等が
感染予防を図りながら
サービス提供を継続するため、
介護職員の
確保に関する費用などのかかり増し経費については全額公費で助成を行うこととしています。この
支援策を最大限活用いただけるよう、
自治体や
事業者にしっかりと周知してまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響により休業している通所、短期入所系の
介護事業所は、
緊急事態宣言の
対象地域を全国に
拡大した後の四月二十日の調査で八百五十八カ所、全
事業所の約一%であり、多くの
事業所で
サービス提供を継続いただいているものと承知しています。他方で、休業している
事業者を
利用されている方に対しては、ケアマネジャー等により、必要な代替
サービスの
確保が行われるよう周知等を徹底しているところです。
引き続き、
現場の
状況も踏まえながら、機動的に必要な
支援を講じてまいります。
検察官の定年引上げを含む国家公務員法等
改正案について
お尋ねがありました。
まず、大前提として、検察官も一般職の国家公務員であり、検察庁法を所管する法務省において、一般法たる国家公務員法の勤務延長に関する
規定が検察官にも適用されると解釈することとしたところです。
その上で、今般の国家公務員法等の
改正法案の
趣旨、
目的は
高齢期の
職員の豊富な知識、経験等を最大限に活用する点などにあるところ、検察庁法の
改正部分の
趣旨、
目的もこれと同じであり、一つの
法案として束ねた上で御審議いただくことが適切であると承知しております。
今般の
法改正においては、検察官の勤務延長に当たって、その要件となる事由を事前に明確化することとしており、みずからの疑惑隠しのために
改正を行おうとしているといった御指摘は全く当たりません。
なお、
法案審議のスケジュール等については国会でお決めいただくことであり、
政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。(
拍手)
〔岡本充功君
登壇〕