○内閣
総理大臣(
安倍晋三君) 玉木議員にお答えをいたします。
IRについてお尋ねがありました。
副
大臣も務めた現職の
国会議員が逮捕、起訴されたことはまことに遺憾です。
かつて副
大臣に任命した者として事態を重く受けとめておりますが、個別の事案の捜査に影響する
可能性があることから、詳細なコメントは差し控えます。
IRは、
カジノだけでなく、国際
会議場、展示場や大規模な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設として、観光
先進国の実現を後押しするものと考えています。
同時に、IRの推進に当たっては
国民的な理解が大変重要であり、議員御指摘の基本方針についても、現在、国土交通省において、
関係省庁との協議を加え、今月発足した高い独立性を有する
カジノ管理委員会や
国会での御議論も踏まえつつ、丁寧に策定作業を進めているところです。
希望出生率一・八の実現についてお尋ねがありました。
少子化の問題は、結婚や出産、子育ての
希望の実現を阻むさまざまな要因が絡み合って生じており、その
一つ一つを粘り強く取り除いていくことで、できる限り早期に
希望出生率一・八の実現に取り組んでまいります。
このうち、若い世代の結婚をめぐる
状況を見ると、男女ともに多くの人がいずれ結婚することを
希望していながら、適当な相手にめぐり会わない、資金が足りないなどの
理由でその
希望がかなえられていない
状況にあります。
こうした
希望がかなうような環境を整備するため、若い世代の
経済的基盤の安定を図ることはもとより、出会いの場の提供、結婚資金や住居に関する支援など、
地方公共団体が行う取組への後押しなどに引き続きしっかりと取り組んでいきます。
また、
待機児童の解消は待ったなしの課題であり、子育て
安心プランに基づいて最優先で取り組んでいます。その保育の受皿整備三十二万人分については、女性の就業率が他の
先進国並みの八割まで上昇することを想定したものであり、
無償化等の要因によって保育ニーズの増大があったとしても、十分対応可能なものと考えています。
引き続き、二〇二〇年度末までの
待機児童解消に向けて全力で取り組んでまいります。
選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
夫婦の別氏の問題については、我が国の家族のあり方に深くかかわる事柄であり、
国民の間にさまざまな意見があることから、引き続き、
国民各層の意見を幅広く聞くとともに、
国会における議論の動向を注視しながら、慎重に対応を検討してまいります。
いわゆる内密出産についてお尋ねがありました。
内密出産制度は、例えばドイツにおいて、予期せぬ妊娠をした妊婦が、妊娠相談所での相談後もなお実名を伏せて出産することを
希望する場合に、医療機関において実名を伏せて出産できることとし、養子縁組につなぐ制度であると承知しています。
こうした諸外国の制度について、厚生労働省において
調査研究を実施しているところですが、一般論として、
子供の出自を知る権利をどう考えるか、出産後に実親が養育しない
子供が増加するのではないかなどの課題もあると考えています。
政府としては、予期せぬ妊娠に際して、妊婦の孤立化を防止し、母体と
子供の安全を確保していくため、教育や相談体制の整備なども含め、総合的に検討を進めてまいります。
養育費の確保対策についてお尋ねがありました。
離婚した一人親家庭の生活の安定と
子供の健やかな
成長のため、養育費の確保は重要です。
このため、これまで国や自治体などにおいて、養育費の取決めを促すための情報提供や養育費に関する相談支援の実施等を行っているところです。
また、昨年五月に成立した改正民事執行法により、養育費の支払いについて、これまでよりも容易に強制執行の申立てを行うことができるようになりました。
今後は、さらに、養育費の確保に向けて、諸外国における法制度を研究するとともに、
地方自治体における先駆的な取組を把握することを通じて、必要な検討に努めてまいります。
性犯罪の要件の見直しについてお尋ねがありました。
性犯罪は、
被害者の人格や尊厳を著しく侵害する悪質、重大な犯罪であると
認識しています。
平成二十九年に成立した刑法の一部を改正する法律の附則においては、施行後三年を目途として施策のあり方について検討を加えることが求められており、御指摘の点を含めて、性犯罪の実態を把握した上で適切に対処してまいりたいと考えています。
女性活躍の現状
認識についてお尋ねがありました。
安倍内閣では、女性活躍の旗を高く掲げ、女性活躍推進法の制定などに取り組んできた結果、女性の就業者は二百八十万人以上ふえました。保育の受皿整備を進めるなどにより、M字カーブも確実に解消に向かっています。出産や育児に
関係なく女性が働き続けられる環境を整えることは、確実に、将来、指導的地位につく女性の増加に資するものであると考えています。
また、有価証券報告書に女性役員数の
記載を義務づけたほか、取締役のうち少なくとも一人は女性が含まれるようコーポレートガバナンス改革にも取り組んできたところです。その結果、この七年間で、上場
企業の女性役員は三倍以上にふえました。
政権交代前と比べて、増加のペースは四倍となっています。
現時点で、
社会のあらゆる分野において、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%
程度となるよう期待するとした水準には到達していませんが、こうした具体的な政策を進めたことによって、三〇%目標の実現に向けた道筋はしっかりとつけることができたと考えております。今後とも、早期の実現に向けて、
政府一丸となって、女性活躍政策に全力で取り組んでまいります。
二十代の若者の
所得税を減免する案についてお尋ねがありました。
個人
所得課税は、さまざまな
経済活動を通じて得られた
所得に税を
負担する能力を見出し、その大きさに応じて累進的に税
負担を求めるものです。
二十代である者に対してだけ、同じ
所得を得ている他の年代の者よりも低い
所得税を課すこと又は全く課さないようにすることについては、こうした税の公平性の観点に加え、それが将来の
負担増を懸念する若年層の不安を実際に払拭できるかどうかといった点も踏まえ、慎重な検討が必要であると考えています。
七十五歳以上の
高齢者の
医療費窓口負担の見直しについてお尋ねがありました。
二〇二二年にはいわゆる団塊の世代が七十五歳以上の
高齢者となる中で、現役世代の
負担上昇に歯どめをかけることは待ったなしの課題です。
そのため、全世代型
社会保障検討
会議の中間報告において、七十五歳以上の
高齢者であっても
一定所得以上の方については、新たに
窓口負担割合を二割とし、
高齢者の疾病、生活
状況等の実態を踏まえて、具体的な
所得基準等について検討を行うこととしています。
今後、その方向性に基づきまして、具体的な検討を進め、夏までに成案を取りまとめたいと考えています。
ゲーム依存症について御質問がありました。
昨年十一月に公表されたゲーム依存症に関する実態
調査においては、過度なゲーム使用が日常生活や
社会生活に重大な支障を及ぼし得ることが改めて浮き彫りになったところです。
御指摘の香川県においては、条例制定に向けた議論が行われているものと承知していますが、
政府においては、実態
調査を踏まえつつ、正しい知識の普及や相談支援体制の整備に取り組むとともに、
関係省庁やゲームの供給を行っている
企業を含む
関係団体との協議の場を設け、ゲーム依存症への対策を推進してまいります。
脱化石燃料への政策についてお尋ねがありました。
我が国は、五年連続で温室効果ガスの排出量を削減しています。これは、G20の中で
日本と英国のみであります。合計で一一%を超える削減は、G7の中で英国に次ぐ大きさであり、パリ協定に基づく削減目標の実現に向けて、
日本は世界の中で積極的に取り組んでいます。
地球規模での気候変動問題への対応は、喫緊の課題であると
認識しています。長期戦略に掲げた脱炭素
社会を早期に達成するため、人工光合成を始めとした革新的イノベーションによるビヨンドゼロにも挑戦し、世界における気候変動問題への対応をリードしていく考えであります。
営農型太陽光発電、いわゆるソーラーシェアリングについてお尋ねがありました。
営農型太陽光発電は、農業生産と
再生可能エネルギーの導入を両立することにより、荒廃農地の解消のみならず、農村地域の
所得の向上や地域
社会の持続的な発展に資する有用な取組であると考えています。
このため、
政府においては、固定価格買取り制度による支援に加えて、パネルの設置に必要な農地法上の許可
期間を延長するなどの促進策を講じているところです。その結果、導入事例は毎年増加を続けており、二〇一三年度以降、累計で約二千件となっています。今後とも、こうした取組を全国各地に展開すべく、しっかりと後押ししてまいります。
日本の住宅に係る断熱性能についてお尋ねがありました。
各国の住宅の省エネ基準は、それぞれの気候風土や生活様式等を踏まえたものとなっており、単純な比較は困難ですが、ドイツなどのように気候が比較的冷涼な地域を中心に、住宅、建築物の省エネ基準への適合の義務づけなどの積極的な取組がなされていることは承知しております。
我が国においては、住宅の省エネ基準の適合率がいまだに六割にとどまっており、全ての住宅を
対象とする一律の規制強化ではなく、まずは、高い省エネ性能を有する住宅への誘導措置の拡充など、実効性の高い総合的な対策を講じてきているところです。
なお、森林環境譲与税の使途については、
地方公共団体が地域の実情に応じて幅広く弾力的に事業を実施することができ、既に木製サッシを含めた木材の利用の促進に活用することも可能となっています。
農政についてお尋ねがありました。
安倍内閣では、農業を魅力ある
成長産業にしていくための産業政策と、農業、農村の多面的機能の発揮を進める地域政策を車の両輪として総合的に実行してまいりました。
こうした政策を進めていくには、しっかりとした生産基盤が欠かせません。昨年十二月に決定した農業生産基盤強化プ
ログラムに基づき、中山間地域の中小・家族経営も含め、幅広く生産基盤の強化を進め、国際
競争や災害にも負けない強い農業、農村を構築してまいります。
農地や森林は、食料や木材の安定供給のほか、国土の保全や景観の維持等の多面的機能を有しています。
日本型直接支払制度による地域の共同活動の促進や間伐等の森林整備により、こうした多面的機能の維持、発揮を図ってまいります。
農林水産物の輸出額は六年連続で過去最高を更新し、昨年、EUへの牛肉や米の輸出は約三割ふえました。先月には、中国への牛肉輸出について、解禁令が発出されました。今月発効した日米貿易協定とあわせ、
日本の農林水産物が世界に羽ばたくチャンスはますます広がっています。
一方、昨年十一月までの輸出実績は、
最大の輸出先である香港の政情不安や我が国の水産物の不漁等により、伸び率が前年に比べ低くなっていると承知をしています。今後、農林水産
大臣を司令塔として、各国の輸入規制の緩和などにオール・ジャパンで取り組む体制をつくり上げ、農林水産物・食品の輸出拡大に
政府一体となって取り組んでまいります。
本年三月に予定している食料・農業・農村基本計画の見直しに当たっては、産業政策と地域政策を車の両輪とする現行計画の考え方を基本としつつ、農業、農村が直面している諸課題に的確に対応した施策を検討してまいります。
A―FIVEを始めとする官民ファンドの廃止についてお尋ねがありました。
官民ファンドについては、現在、その運営について毎年度検証作業を実施し、特に累積損失の大きなものについては、昨年四月に累積損失解消のための新たな計画を策定させたところです。
そのうち、A―FIVEについては、最近の出資
状況、過去の投資の実績等を踏まえ、監督官庁である農林水産省において、
令和三年度以降は新たな出資の決定を行わず、可能な限り速やかに解散するとの判断をしたものと承知しています。
政府としては、事業の実施
状況を絶えず検証しつつ、損失が生じる事態が発生した場合には、それを極力最小化していくことも重要な
責任と考えています。
また、他の官民ファンドについては、今後とも計画の進捗
状況を厳しく検証し、仮に改善が見られない場合には、事業や組織の抜本的な見直しも含めた事業運営の徹底した見直しを行う方針です。
実質賃金指数についてお尋ねがありました。
賃金については、長きにわたり景気が低迷する中で、今世紀に入って名目、
実質ともマイナス傾向が続いていました。
こうした中で、第二次
安倍政権の発足以降、雇用情勢は改善に転じたものの、
実質賃金については、
アベノミクスによる雇用拡大で女性や
高齢者などが新たに雇用された場合は、平均
賃金の伸びも抑制され、さらに、デフレではない
状況をつくり出す中で、物価が上昇すれば、一層抑えられるという
状況にあります。
他方、七年にわたる
アベノミクスの取組の結果、連合の
調査によれば、六年連続で今世紀に入って最も高い水準の賃上げが実現しており、雇用の大幅な増加と相まって、
国民みんなの稼ぎである総雇用者
所得は名目でも
実質でも増加が続くなど、雇用・
所得環境は着実に改善をしております。
こうした流れを継続し、デフレ脱却と
経済再生を確かなものとするため、AIやビッグデータなどを活用できる人材の育成、長時間労働の是正や同一労働同一
賃金の実現といった働き方改革、中小
企業の生産性向上に向けた支援などに取り組むこととしており、こうした施策を通じて、
成長と
分配の好循環を更に強化し、より幅広く賃上げの波が行き渡るよう、引き続き全力を尽くしてまいります。
国債発行による財源調達についてお尋ねがありました。
現在、
政府は、財政健全化目標としてプライマリーバランスの黒字化を掲げており、この意味においては、赤字国債と建設国債を区別することなく、その全体の縮減に努めているところです。
他方、
競争力向上や人づくりなど、我が国
経済の持続的な
成長のために必要となる施策については、財源を確保しながら大胆に投資していくべきことは言うまでもありません。
政府としては、引き続き、プライマリーバランス黒字化目標を堅持しつつ、
経済最優先で取り組むことで、
成長と財政健全化の両立を図ってまいります。
ポイント還元事業及び給付つき税額控除についてお尋ねがありました。
ポイント還元事業について、利用者の
所得階層別の
調査は行っておりませんが、ポイント還元の
対象となった全ての決済のうち、その六割が決済額千円未満であります。全体の平均でも一件当たり二千円余りとなっており、主として日常的な買物に使用されていると考えられることから、高
所得者優遇との御指摘は当たらないものと考えます。
ポイント還元事業の効果については、事務局が実施した御指摘のアンケート
調査によれば、
消費税引上げ前から駆け込み、まとめ買いの意思を持っていた旨を回答している
消費者に絞れば、その半数が、ポイント還元があったから結果としてまとめ買いをしなかった旨を回答したものと承知しています。
また、
参加店舗に対するアンケート
調査では、約四割の中小事業者が、ポイント還元は売上げに効果があったと回答しており、
消費税引上げ対策として
一定の効果が出ていると考えています。本年六月末まで本事業を継続することで、
消費税率が一〇%となった中でも、景気に万全を期してまいります。
給付つき税額控除は、軽減税率制度とともに、
消費税率引上げに伴う低
所得者への配慮の観点から検討課題の
一つとされていましたが、
消費税の逆進性の緩和を図りつつ、
消費者が日々の生活の中で痛税感の緩和を実感できることが特に重要であるとの判断により、軽減税率制度を導入いたしました。
昨年九月の日米共同声明にある今後の交渉についてお尋ねがありました。
今後の交渉については、どの分野を交渉するのか、その
対象をまず協議することとしており、現時点において、その交渉開始のタイミングも含めて、予断を持って申し上げることは差し控えます。
他方で、自動車・自動車部品については、既に、日米貿易協定において、単なる交渉の継続ではなく、さらなる交渉による関税撤廃を明記しています。今後、関税撤廃がなされることを前提に、具体的な撤廃
期間等について交渉を行うこととなります。
いずれにせよ、我が国として、国益に反するような合意を行う考えはありません。
日中
関係についてお尋ねがありました。
日本と中国は、地域や世界の平和と繁栄に、ともに大きな
責任を有しています。日中両国がこうした
責任を果たしていくことが、現在のアジアの
状況において、そして国際
社会からも、強く求められています。習近平国家主席の国賓訪問を、その
責任をしっかり果たすとの意思を内外に明確に示していく機会としたいと考えています。
同時に、中国との間には、御指摘のものも含め、さまざまな懸案が存在しています。こうした懸案については、これまでも私から首脳会談等の際に、中国側に累次にわたり提起してきています。引き続き、主張すべきはしっかりと主張し、中国側の前向きな対応を強く求めてまいります。
日ロ
平和条約交渉についてお尋ねがありました。
北方四島においては、過去一年の間に、長門合意に基づき、かつてない日ロの協力が実現しています。
具体的には、共同
経済活動について、昨年初めて、北方四島への観光パイロットツアーを始めとするパイロットプロジェクトを実施しました。航空機による元島民の方々のお墓参りについても、昨年は、泊、留別、ポンヤリといった、これまで何年も訪問できなかった場所に訪れることができました。
このように、
一つ一つ成果は生まれており、領土交渉を後退させたとの指摘は全く当たりません。
北方領土は、我が国が主権を有する島々です。
政府としてこの立場に変わりはなく、
平和条約交渉の
対象は四島の帰属の問題であるというのが
日本側の一貫した立場です。
一九五六年の共同宣言を基礎として
平和条約交渉を加速させ、領土問題を解決して
平和条約を締結するという方針に、全く揺らぎはありません。(発言する者あり)これからお答えいたします。
北方四島における共同
経済活動は双方の法的立場を害さないことが大前提であり、この点は二〇一六年十二月のプレス向け声明においても確認されています。これを踏まえ、さまざまなレベルで、プロジェクトを実施するための法的課題について、十分な時間を割いて議論を進めてきています。
いずれにせよ、プーチン大統領とは、領土問題を次の世代に先送りすることなく、みずからの手で必ずや終止符を打つとの強い意思を共有しており、私と大統領との手でこれをなし遂げる決意であります。
中東地域での自衛隊の武器使用を含む活動についてお尋ねがありました。
御指摘のホルムズ海峡において、今般の自衛隊による情報収集活動を行うことは考えておりません。また、昨年十二月の閣議決定で示した情報収集活動の海域以外での海上警備行動の発令については、慎重に判断していくこととしています。
また、我が国は、中東地域の
関係国との間で良好な二国間
関係を維持しており、地域情勢等に係る
認識を最新の状態に保ちつつ、現在の中東地域の緊張緩和と情勢の安定化及び我が国と地域の
関係国との良好な二国間
関係の維持強化に向けた外交努力をあらゆるレベルで
最大限払うこととしています。
私自身、我が国の取組については、昨年十二月に、イランのローハニ大統領に対して直接
説明し、その意図につき理解を得たほか、今月十一日から十五日までサウジアラビア、UAE、オマーンを訪問し
説明を行い、支持を得ているところです。
こうした点等を踏まえれば、
特定の国家等が、
日本関係船舶であることを
認識し、これらの船舶に対して武器等を使用した不法な侵害行為を行うことは、基本的にないと考えています。
今般の活動も含め、自衛隊による活動は、憲法を含む我が国の
国内法令等に従って行われるものであり、自衛隊の武器使用が憲法第九条が禁ずる武力の行使に該当するおそれはありません。
その上で、自衛隊員の使命は
国民のリスクを下げることであり、このため、自衛隊員の任務は常にリスクを伴うものですが、今般の活動においても、きめ細やかな準備や安全確保対策により、対応に万全を尽くしてまいります。
なお、今般の活動は現行の法令に基づいて実施可能であることから、特別措置法の制定を含む新たな立法措置は必要ありません。
主体的、戦略的外交及び中東全体の非核化についてお尋ねがありました。
我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際
社会の取組をリードしていく使命を有しています。これは私の揺るぎない信念であり、我が国の確固たる方針です。
かかる観点から、我が国は、中東に非核地帯を創設する旨の一九九五年のNPT運用検討
会議で採択された決議を、今日に至るまで一貫して支持しています。
こうした立場に基づき、我が国は、イスラエルに対し、イスラエルが非核兵器国としてNPTに
参加することを求めてきています。また、イランに対しても、核合意を遵守し、そのコミットメントに即座に戻るとともに、IAEAと完全に協力するよう、引き続き求めていきます。
我が国としては、今後とも、中東全体の非核化に向け、主体的、戦略的に取り組んでまいります。
自民党が提示した憲法改正のたたき台についてお尋ねがありました。
自民党が提示したたたき台の取扱いについて、私が内閣
総理大臣としてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、お尋ねですのであえて申し上げれば、憲法改正は、
国会が発議し、最終的には主権者である
国民の皆様が
国民投票で決めるものです。それゆえ、憲法審査会において、各党がそれぞれの案を持ち寄り、与
野党の枠を超えた活発な議論を通じて
国民の皆様の理解を深めていくことが重要であると考えております。
九条を始め、自民党の案はあくまでもたたき台であり、これに問題があるということであれば、御党の案や考え方を憲法審査会の場で御提示をいただきたいと思います。
もとより、憲法改正についての合意形成の過程において、
特定の党の主張がそのまま通ることがないことは当然のことと考えております。
国民投票法の見直しについてお尋ねがありました。
国民投票法は、平成十九年に議員立法で制定されたものでありますが、その際、各党各
会派でさまざまな議論がなされた結果として、
国民投票運動については、基本的に自由とし、投票の公正さを確保するための必要最小限の規制のみを設けることとするなど、現在の制度となったものと承知しています。
いずれにせよ、御指摘の広告放送や寄附に関する規制を含め、
国民投票運動のあり方などについては、
国民投票制度の根幹にかかわる事柄であり、憲法審査会等において御議論をいただくべき事柄であると考えます。(拍手)
――――◇―――――