○藤野
委員 そういう姿勢が、今、
現職の検事にもこれではだめだという声になって広がっているわけですね。
私は、この問題を考える上で、なぜ
検察官には一般公務員と異なる特別の
定年制度が定められていたのか、ここを考える必要があると思うんですね。それは、戦前の治安維持法などによる人権侵害を二度と繰り返さないという反省に立った日本国憲法に由来するものだと思います。三権分立、そして基本的人権の尊重というものに深くかかわる
検察官の地位の特殊性に結びついているからだと思うんです。
日本国憲法は、先ほど
委員からもありましたけれども、極めて詳細な刑事手続による人権保障があるわけですね。それに基づいて、この憲法に基づいて刑事訴訟法がつくられ、その刑事訴訟法を実践する部隊として
検察庁法もつくられていく、
裁判所法もつくられていくということになっております。
大臣にお聞きしますけれども、ちょっと時間の
関係で、これはもう配付
資料でちょっとかえさせていただきますけれども、配付
資料の三は刑事訴訟法の提案理由なんです。これは当時の鈴木国務
大臣が
答弁されているんです。
こういう
答弁なんですね。新憲法は、各種の基本的人権の保障について、格別の注意を払っているのでありますが、なかんずく刑事手続に関しましては、我が国における従来の
運用に鑑み、特に三十一条以下数条を割いて、極めて詳細な
規定を設けているのであります。そして、ちょっと飛びますけれども、さらにまた新憲法は、第六章におきまして、司法権の独立を強化し、最高
裁判所に違憲立法
審査権や、
規則制定権を与えるとともに、その構成にも、格別の配慮をいたしているのであります。そのため新たに
裁判所法や
検察庁法の制定が必要とされたのであります。こういう組立てなんですね。
要するに、新憲法があって、刑事訴訟法があって、そしてそれを実践するものとして
裁判所法、当時は
裁判所構成法の中に検事のことも書いてありましたけれども、司法の独立、三権分立を徹底する観点から
検察庁法というのを別途
規定する、これがスタートなんです。
その大もとは、戦前の人権侵害に、検事も、思想検事として特高警察と車の両輪として治安維持法を
運用していった、
運用を拡大していった、そういう歴史があるからであります。戦前の弾圧によって、拷問で、時に私たちの党の先輩も命を落としました。こういう痛苦の
経験を二度と繰り返しちゃいけない、だから、最高法規である憲法に、
法律でも侵せないものとして詳細な刑事手続における人権保障
規定が置かれた、そしてその精神を具体化する、その最後にあるのは
検察庁法なんですよ。
身分保障なんですね。
定年というのは身分保障の根幹であります。だから、検察については一般公務員とは異なる
定年制度がもとからあったんですね。もとからあったんです。
ところが、先日
法務省から、三月五日の当
委員会の
理事会にも提出されましたけれども、「
検察官の
勤務延長について」という、二〇〇一一六メモというのが
理事会にも提出されました。これはちょっときょうは配付していないんですけれども、私が驚いたといいますか、この中にこういうくだりがあるんですね。戦後の
検察庁法のいわば前身である
裁判所構成法(明治二十三年
法律第六号)、こういうのが出てきて、この並びで、この戦前の
裁判所構成法の
定年制度の趣旨と戦後の
国家公務員法の
定年制度の趣旨に差異はない、だから今回も適用するんだ、こういう論立てなんです。
裁判所構成法というのは明治二十三年ですから、西暦一八九〇年で、百三十年前の
法律です。
定年制度がこの
裁判所法
改正で導入されたのが大正十年ですから、一九二〇年、約百年前、もちろん大日本帝国憲法下です。
大臣、ちょっとお聞きしたいんですけれども、大日本帝国憲法下というのは、司法権は天皇に属しているんですね。
裁判所は天皇の名において司法権を行使する。裁判官や判事の
人事権、俸給などの身分保障というのは、司法
大臣、今でいう
法務大臣の監督下にありました。三権分立が極めて不十分な法体系なんですね。
こういう
法律が、戦後の、今
議論されている、全く身分保障も異なる
検察官の趣旨が同じだと持ってくるというのは私は許されないと思うんですけれども、
大臣、何でこれを持ってきたんですか。