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吉良委員 私は何事も、自発的というか、みずからがということが大事だと思うんです。今
大臣も、この
手法の中においても、今言った、
首長だけが先走るんじゃなくて、まさにその
住民が自発的に、そういう
期待を込められている、そのことはわかります。
期待をしている、こうあってほしいということはわかります。ただ、果たして
現場がそうなっていくのかということについて、私は大いに疑問を持っているんです。
いつものように
経験に基づいて、少し古い話になりますが、私は、基本的な私が持つ
問題意識、
問題点は今も生きていると思っています。
私は、三十年近く前に、当時、
商社勤めではあったんですけれども、いろいろな
思いから、いろいろな
思いというのは、
一つはバブルの真っ最中で、都心から一時間半かかる二LDKの六十平米のマンションが六千万、七千万する、それをみんな、おくれてはならじということで買ってしまう、まともに働いている人がマイホームを持てないというばかな世の中があるかと。
東京は一極集中で困る、
地方は、優秀な人材が
東京に出ていくなり、雇用がないから出ていく。はっきり言って、こんな矛盾した国、社会があるかと思って、
地方の元気がなければ、みんなが
地方に住みたくなる、また、都会に出た人も
地方に戻りたくなるような日本にしなければという
思いで、みずから
制度をつくって
大分県庁に出向したという
経験があります。
二年弱、
大分県庁に行きました。本当に多くのことを学ばせてもらい、私も
勉強になりました。そして、
大分県庁の
皆さんを含め、
地域で頑張っている
人たちの姿も見てきました。
勉強になりました。ただ一方で、多くの
課題も目の当たりにしました。
一つは
予算のつくり方です。私が属していたある課の中で、当時の課長が、去年は我が課で三十億、ことしも三十億になるような何かいい
案件はないかと課員一人一人に言っているわけです、聞いて歩いているわけです、何かいい
案件を見つけてくれと。私は
民間出身なので、まずは冗談じゃないと
思いました。これをやらなければ例えば
農業振興が成り立たない、これをやらなければ花をつくっている花卉の
振興が成り立たない、そういう
現場の声があり、切実な
ニーズ、
必要性があって、そのためにこれをやってくれということが積み上がって、その課なら課の
予算ができていると思ったら、前年度の
予算がこれだけあって、ことしは少なくともそれを確保しなきゃいけないから、ちょうどそれぐらいに積み上がるいい
案件はないのか、こうやって
予算ができていると知ってショックを受けました。
もう
一つは、当時、名知事と言われた
平松県知事ではあったんですけれども、県の
予算がどんどん大きくなることがいいことだ、それは
民間企業でいえば
売上げがふえていく、それはその
首長の力なんだと。それで、結局どういうことになるかといえば、国から
補助金が出る
事業は全部食いつけなんです。本当に
大分のある
分野のそこに必要なのか、その吟味は二の次で、国が
補助金つきの
事業を新たに
政策として出してきた、それに食いつけば県の負担は三分の一でいい、二分の一でいい、四分の一でいい、それで
事業はふえるということで食いつくんです。
ですから、私がこの
手法でいいのかという
問題意識を持っているのは、今
大臣が言った、この
政策を実際に施行して、それを受けたところの中で
幾つかは自発的に、ああ、こういう
政策があったんだ、ぜひ
自分たちの
地元でいいものを見つけて、いい
観光資源を見つけて申請しよう、これはあると思うんです。そういう
意味では
覚醒効果というのはあると思うんです。
けれども、またこういう
事業ができた、これを申請して認可されれば
補助金が受けられるかもしれない。必ずしもさっき言った
現場の自発的な
ニーズがないにもかかわらず、結局は申請してきて、何とか総研がつくったきれいな
計画書があって、それに基づいた
計画が認可される。私はそれを極めて恐れていて、それは結局、
予算が必要な、
必要性のあるものを積み上げた
予算ではなくて、今言った、
民間で言う
売上げのように捉えた
公共団体の
予算、そういうものが積み上がってきて、悪いけれども、無駄とまでは言いませんけれども、必ずしも
必要性、
必然性がないものまで
予算がついていく、このことに大きな疑問を持っているんです。
そういう
意味で、もう一度
萩生田大臣にお聞きしたいんですけれども、この
手法で、本当にこれやらなくしてはこの
地域が成り立たないというぐらいの自発的な
事業が上がってくると思われますか。