○緑川
委員 これは、何か変な人じゃないんですね。ブローカーに専念していたような人でなくて、この持ち出しを行っていたという
畜産家は有名なブリーダーでありました。まさか不正輸出に関与しているとは思わなかったと。これはやはり業界を揺るがす事件になりました。ブリーダーとしての顔があり、さまざまな
畜産関連団体等、私地元秋田ですけれども、秋田県内の団体とも、取引を全国的にされていた人です。
そこで手に入れた中で、どの精液が、どの受精卵が事件にかかわっているかは明らかにはなっていませんけれども、いずれにしても、四回、常習的な手口で過去四回持込みに成功した、それで報酬を受け取っていたということは、六年も前からそういうことが行われていたということは、やはり相当
現実味を帯びている話であると思います。
市場が開放されてこなかった
中国でやはり
和牛の人気が高いのはなぜかというのは、これは香港とかベトナム、カンボジアなどを経由して、食肉として
日本が輸出した
和牛が
中国国内に
流通しているからなんですけれども、この人口十四億人の巨大な市場に、今回のそういう疑いが事実であれば、その事件で持ち込まれた
中国産の
和牛が大量に
生産されて出回るだけでなくて、輸出事業にまで展開されることになれば、それはやはり
日本の国益、本家のこの
日本の
和牛生産には大きなダメージになりかねないというふうに思います。
この国益にかかわる話、確認できないという一点だけで終わらせる話ではないと思いますので、この
和牛の登録制度、これは、情報の特定は客観的なデータよりも追いやすい、そういう話もありますので、事実
関係の把握のためにあらゆる手を尽くすことを求めていきたいというふうに思います。
畜産家の長年の品種
改良の成果と言えるこの精液、受精卵、遺伝資源ですけれども、その
保護のあり方、
知的財産としての位置づけがやはりなかなか難しい。植物と違って、
和牛の精液や受精卵の
段階で生まれてくる個体の数はやはり均一ではない。同じ能力を持つ牛が生まれてくるかもわからぬ。その能力にばらつきがある。
保護の裏づけとなるような国際条約もない。遺伝資源などを守る制度設計の難しさがこれまで
議論されてきた中でまとめられた二つの
法案であるというふうに
認識をしております。
その上でお尋ねをしたいと思いますが、
改良増殖法
改正案の方で、現行法で言う受精卵や精液を取り出して凍結して保管するという処理をその人がしていなかったとしても、新たな
規定によって、凍結された精液や受精卵を保存する、つまり持っているだけでも違反であるということを明文化しました。
確かに、人工授精所以外のブローカーとか
農家への譲渡は禁止されているんですが、例外として、学術研究のために利用する場合とか、また、
生産者が自分で飼っている、自家利用のために雌の牛に注入をする、あるいは移植をする場合には、自家利用の
目的のためには持っていてもいい、この場合は保存が認められて違反にはならない。同じ、実はおととしの事件でも、真っ当とされていたブリーダーがその自家利用を装って遺伝資源を保存していたものが海外へ持ち出されたという事件でありました。
これを防ぐために、あわせて、
新法の方で
不正競争行為を定めて、不正に遺伝資源を取得した場合、また契約の範囲を超えて輸出した場合には、差止め請求とか
損害賠償の対象とする、悪質な場合には刑事罰が科されるということで、その抑止力には期待したいというふうに思いますし、あわせて、この
家畜改良増殖法の
改正でも、精液や受精卵を譲り渡したときの記録をその都度
関係者に義務づけることで
流通管理を厳格化していく、この合わせわざでしっかりと
防止を図っていくということは大事だと思います。
ただ、現場では、飼っている
家畜の数に比べて明らかに、保管している精液とか受精卵の数が異様に多いという
畜産家がいると聞いています。目の届いていないところで、今回の事件のような、ブローカーとして暗躍をして流出の温床となっているようなところが存在をしているわけです。
まず伺うのが、この
不正競争防止法について、契約に違反して遺伝資源が悪用されていることを察知したけれども、それが既に国外に持ち込まれていた場合に、その精液や受精卵を使用することによってつくられた子牛、またその子牛から採取された受精卵や精液、そしてそれを使って生まれた孫牛、いわゆる派生物については、国外ではどこまで差止め請求が及ぶんでしょうか。簡潔にで
お願いします。