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坂本委員 とにかく
酪農がやはり一番きついんですね。朝夕の搾乳、それから
ふん尿処理も含めて、そして
労働時間も長い、これを何とかクリアすれば、やはり誇りある
酪農業。でも、
酪農家の
方々というのは、青い草を食べて白い牛乳を出すわけですので、本当に誇りを持ってやはりこの魔法の液体というのをつくっておられます。ぜひ、この
ヘルパー制度、これから非常に大切な
制度でございますので、
農業に特に造詣の深い
大臣が就任時期に、何らかのきっかけをつくっていただけたらというふうに思います。
続きまして、
集落営農と
消費税につきまして御
質問させていただきます。
私の町は
熊本県菊池郡
大津町というところでございます。そこで生まれて育ちました。そこに、
集落営農組織、
ネットワーク大津株式会社というのが
設立をされております。
設立時期は
平成十九年一月。地域の
専業農家の中堅、若手によって
設立をされ、既に十三年を経過いたしました。
その構成は、十三の
集落が参加をしておりまして、
農地の総
面積はおおむね三百三十ヘクタール。
社長、副
社長を置き、それぞれ十三
集落の
代表者が取締役となっております。十三の
集落持ち株会と
大津町、そしてJA菊池が株主で、十三
集落の会員は二百八十七人、そのうち百四十九人がオペレーター及び
補助員として登録をし、契約社員というふうになっております。専従社員として若者十人を雇用いたしまして、将来の
農業後継者を目指す人材も
育成をしているところでございます。
まず、
年間の作付計画を取締役会で決定をいたします。昨年の場合は、水稲、主食用米ですが、五ヘクタール、そして大豆が百二十ヘクタール、そして飼料用米、これは飼料にするためのソフトグレーンサイレージ用の飼料米が六十ヘクタール、そして玄米の飼料用米が九ヘクタール、さらにはWCS、飼料稲が七十ヘクタールを、それぞれ輪作体系で決めました。そして、裏作として、麦が二百三十五ヘクタール、さらには牧草類などを作付けております。各
集落の作付にはバランスをとっておりまして、
一つの
集落が同じ作物をずっとつくり続けるということがないような工夫はされているところでございます。
平成二十五年からは、飼料米から、
水田飼料、いわゆるもみ米、発酵するやつを収穫した上で、そして今年度から、その発酵の飼料用米に、エコフィード、焼酎かすの濃縮液やビールかすを主原料として、自給飼料型活用のTMR飼料を製造、販売しております。
熊本県の
農業研究機関や大学の専門家の指導を受けて、質の高い発酵飼料づくりを目指しているところであります。地域の一帯は畜産
酪農が盛んでありますので、需要は旺盛であります。
そして、この
集落営農それぞれの作付に対して、耕うん、代かき、田植、播種、稲刈り、麦刈り、消毒などがあるわけでありますけれども、一連の特定農作業は、オペレーター、
補助員として登録をいたしました百四十九人の契約社員が、決定された計画のもとに作業を行っております。タイムカード管理方式によりまして、毎月十日締めで賃金が支払われます。もちろん、各
水田には
利用権が設定してありまして、小作料が
農地中間管理機構を通して各地権者に支払われるという仕組みになっております。
ネットワーク大津株式会社は、あくまで、地域の自然や環境、そして文化や伝統を次
世代へとつなぎ、それぞれの農村
集落と農村生活、文化の一体性を守り抜こうという目的のもとに
設立をされたものであり、ビジネスにより利益を出そうとする一般的な株式会社とは明確に違います。
設立時に、株式会社
組織にするのか、それとも農事
組合法人組織にするのかということで大分検討をいたしました。しかし、地域全体への貢献度を高めるという趣旨を考えますと、農事
組合法人の場合には、員外
利用というのは二割に限定をされますので、同時にまた、一人一票制の決議権でありますので意思決定や合意形成に時間がかかるということで、すぐれた経営手腕を持った経営者がいても合理的な
運営ができないだろうということで、株式会社を選択いたしました。しかし、株式会社といいましても、いわば公益
法人である社団
法人や財団
法人に近い性格を持つものであります。
実際、総収入の九割は
交付金であります。公的
支援によるものであります。例えば、
平成三十年度の総収入は七億一千万円でありました。そのうち、
交付金の公的
支援が六億三千万円でありました。農産物売上収入、いわゆる品代は七千三百万円しかありません。公的
支援が八九%、品代が一一%になっております。
一方、支出は、あぜ切りなどの作業委託管理費が三億円、そして小作料が千三百万円、構成員への配分額は三億二千万円で、配分率が四五%であります。そのほかの支出は、機械購入費や原材料費、あるいは共済掛金積立金、こういったものを計上いたしまして、税引き後の当期利益が五百三十万円でございました。ただ、三十年度は、大きな
設備投資をしたために構成員への配分率が四五%でありましたけれども、例年ですと六〇%であります。
しかし、このように順調に見える
集落営農組織も、営利を目的としない社会的な
組織であるにもかかわらず、今、非常に
消費税に対して危機感を持っているところであります。特に、二〇二三年から導入予定のインボイス方式による課税におきましては、これは深刻であります。
インボイス方式といいますのは、商品の売上げに対しまして、仕入れにかかった経費を仕入れ時の
消費税も含めて適格請求するというようなものであります。ですから、一万五千円の商品を売った、それには千五百円の
消費税がかかっている、仕入れは一万円であった、それには千円の
消費税がかかっているということで、最終的には、総売上げと、そして税額控除を提出をいたしまして、千五百円マイナス千円で五百円を納付するということであります。そして、請求後、残りの五百円につきましては還付金として戻ってまいります。
これで仕入れ税額控除というのを提出するわけでありますけれども、
集落営農の場合に、仕入れにかかる費用は構成員が提供する
労働力であります。
労働が仕入れであります。これには、先ほど言いましたように、三億二千万の支出をしております。そういうことで、これまではそれに対して還付金
制度がありましたけれども、今後、インボイス
制度が導入されることになりますと、構成員はほとんどが低額
所得者でございますので、免税
事業者となります。免税
事業者となれば、やはりそれに対して還付金が参りません。
先ほど言ったように、七億円の売上げ、そして三億円の人件費あるいは構成員への支払いということを考えると、これまでだと、その一〇%で七千万円、そして三千万円、その差引きの四千万円を支払い、残りの三千万円が還付金として戻ってくる、それで何とか息をついていたわけでございますけれども、二〇二三年からインボイス
制度が導入をされますと、
労働提供者、構成員は免税
事業者が多いということになりますので、仕入れ税額控除が消滅をいたします。ですから、これまで戻ってきていた還付金がなくなるということであります。そうすると、
集落営農の存続ができないということになります。非常に深刻な問題であります。
現在の
集落営農数は
全国で一万四千九百四十九、このうち
法人化された
集落営農法人は五千三百一であります。残りの九千六百四十八は非
法人で、いわゆる
交付金の受皿となっているだけの仕組みであります。これまで、農林省が
農地中間管理機構をつくって、そして土地の大区画化を進めてきた、さらには、そこに
集落営農法人を
設立する、
法人組織としてやってくださいというようなことでその政策を進めてきたところでございますが、これが、農林省の方針に沿って大
規模化し、あるいは
集落営農化したところが、今度のインボイス方式でやはり経営が立ち行かなくなる、次々に倒産をするということが考えられ、一方で、受皿として非
法人の九千を超す
組織、そこが生き残るという、本末転倒の状況になってくることが十分考えられます。
二〇二三年が導入時期でございますので、あと三年ありますけれども、もう三年しかありません。インボイス
制度に対する対応策を早急に作成し、そして、経営意識が高く社会的使命を持った、こういった若い人たちが
運営する
集落営農組織をしっかり守っていかなければ、本当に米麦
農家も含めて地域の
集落は崩壊していくというふうに思いますけれども、どういう対応策を考えておられるのか、お伺いをいたします。