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2020-05-21 第201回国会 衆議院 東日本大震災復興特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年五月二十一日(木曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 伊藤 達也君    理事 小里 泰弘君 理事 小田原 潔君    理事 高橋ひなこ君 理事 冨樫 博之君    理事 根本  匠君 理事 落合 貴之君    理事 谷田川 元君 理事 浮島 智子君       あべ 俊子君    青山 周平君       安藤 高夫君    安藤  裕君       伊藤信太郎君    上杉謙太郎君       鴨下 一郎君    神田  裕君       木村 次郎君    黄川田仁志君       国光あやの君    小寺 裕雄君       古賀  篤君    津島  淳君       中曽根康隆君    長坂 康正君       古川 禎久君    穂坂  泰君       堀内 詔子君    本田 太郎君       三谷 英弘君    宮澤 博行君       阿久津幸彦君    小熊 慎司君       岡本あき子君    金子 恵美君       岸本 周平君    玄葉光一郎君       近藤 和也君    階   猛君       本多 平直君    矢上 雅義君       山崎  誠君    國重  徹君       高木美智代君    高橋千鶴子君       杉本 和巳君     …………………………………    国務大臣    (復興大臣)       田中 和徳君    復興大臣        菅家 一郎君    復興大臣        横山 信一君    財務大臣        遠山 清彦君    農林水産大臣      伊東 良孝君    経済産業大臣      松本 洋平君    環境大臣        石原 宏高君    復興大臣政務官      藤原  崇君    復興大臣政務官      青山 周平君    財務大臣政務官      井上 貴博君    厚生労働大臣政務官    小島 敏文君    経済産業大臣政務官    中野 洋昌君    政府参考人    (復興庁統括官)     石田  優君    政府参考人    (復興庁統括官)     小山  智君    政府参考人    (復興庁審議官)     奥  達雄君    政府参考人    (財務省大臣官房審議官) 小野平八郎君    政府参考人    (財務省主計局次長)   阪田  渉君    政府参考人    (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  寺門 成真君    政府参考人    (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君    政府参考人    (資源エネルギー庁次長) 平井 裕秀君    政府参考人    (環境省環境再生資源循環局次長)        森山 誠二君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君    政府参考人    (防衛省大臣官房審議官) 町田 一仁君    参考人    (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)            小早川智明君    衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     武藤 裕良君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   矢上 雅義君     本多 平直君 同日  辞任         補欠選任   本多 平直君     矢上 雅義君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  復興庁設置法等の一部を改正する法律案内閣提出第三三号)      ――――◇―――――
  2. 伊藤達也

  3. 伊藤達也

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 伊藤達也

    伊藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。玄葉光一郎君。
  5. 玄葉光一郎

    玄葉委員 おはようございます。玄葉光一郎です。立国社の会派に所属をしております。  本日は、復興庁設置法等の一部を改正する法律案ということでございます。十年間の復興庁存続というものを柱とする法律案でございます。  私、復興庁ができたときに、その制度設計に直接かかわった者の一人でございます。御承知のように、他の省庁よりも一段高い位置に置こう、総合調整プラス司令塔役割復興庁に果たしてもらおうということで設計をしたわけでありますけれども、結論から申し上げると、私、今回、そういった意味で、創設にもかかわり、かつ福島復興がまだまだ十分じゃないし、これから本格化するということに鑑みれば、復興庁が十年間存続するということの決定について評価したいというふうに思っております。  その上で、田中大臣に、まずは、この復興庁創設からこれまでの間についての、いわば復興大臣としてのこの九年の評価をまずお尋ねをしたいと思います。
  6. 田中和徳

    田中国務大臣 皆さん、おはようございます。  お答えをさせていただきたいと思います。  玄葉委員には、草創期から、また地元の議員としても、大変復興庁はお世話になってまいりました。  未曽有複合災害となった東日本大震災に対処するために、復興庁総合調整機能を担いつつ、ワンストップ窓口役割を果たし、被災地実情に寄り添った、前例のない手厚い支援実施をさせていただいてまいりました。  こうした復興取組は、被災地の方々の御努力と相まって効果を上げ、被災地復興は着実に前進をしていると認識をしておるところでございます。被災自治体からも復興庁役割について御評価をいただいておるところでございます。  今後も、こうした復興庁司令塔としての役割を果たしながら、地震津波被災地域の残された課題にも取り組むとともに、中長期的な対応が必要である、原子力災害被災地域の特に復興に引き続き全力を注ぎ込んでいかなければならない、この思いでございます。  新型コロナウイルス感染症のこともございまして、一層気を引き締めて取り組んでいかなければならないと思っております。  以上でございます。
  7. 玄葉光一郎

    玄葉委員 今も田中大臣がおっしゃったとおり、また、冒頭申し上げたとおり、司令塔役割復興庁が果たすということが肝の一つなわけです。正直申し上げて、この間、誰が大臣かということで真の意味司令塔役割を果たせたかどうかというのもかなり決まってきているなというふうにも思うところもあります。ぜひ、田中大臣、ほかの省庁あるいはほかの大臣との関係で力を発揮をしてもらいたいというふうに思っています。  その上で、あの当時、東日本大震災復興構想会議というものができたわけでありますけれども、そのときの議長代理御厨先生が、ことしの三月十一日の直前にインタビューに応じて、お手元にあるようなことをおっしゃっているわけです。それは、簡単に申し上げれば、自分たちが目指したものは創造的な復興であって、復興の過程で先進化し、全国のモデルにする発想だったということです。  私流に解釈すれば、人口減少時代日本全体がこれから入る中で、そのモデルをこの地域につくろうということだったんじゃないかというふうに思います。  その意味で、御厨先生はどうもそううまくなっていないんじゃないかというような評価のようにこのインタビューは見受けられるのでありますけれども、田中大臣はこのインタビューをどうお読みになりますか。
  8. 田中和徳

    田中国務大臣 復興庁の目指すべき姿としては、課題先進地である被災地において、町に人が戻ることを目指すのみならず、魅力あふれる地域を創造すること、また、地方創生施策を始めとする政府全体の施策活用することによって、コミュニティーを再生し、持続可能で活力ある地域社会をつくり上げていくことと考えておるところでございます。  一方で、被災地における復興事業は、将来の人口動態等も見据えて取り組むことが重要でございますし、被災自治体においてコンパクトシティーに取り組む事例だとか、既存の計画を見直して縮小した事例などがございますし、適切な事業推進に努力されていると認識をしておるところでございます。  いずれにしても、復興の目指すべき姿をしっかりと見据えながら、人口動態などの実情も踏まえつつ、復興に着実に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  9. 玄葉光一郎

    玄葉委員 田中大臣、このインタビューを私自身はこう読んだんですね。福島はこれからだけれども、宮城、岩手についてちょっと拡大型が過ぎたかな、もっと率直に、人口が縮小する、減少するということを前提にしたプランを取り入れなきゃいけなかったんじゃないかなというふうに少なくとも御厨さんは見ているということなのかなというふうに思っていまして、その評価はさまざまだと思います。  現実に、現場におりていけば、かなりこのことは難しいということも私も承知しているつもりですけれども、ぜひ申し上げたいのは、これから本格化する福島復興については、ぜひ果敢に、創造的復興ということでチャレンジしてもらいたいなというふうに思うんですね。いろいろな意味で、地元の声を吸い上げるだけじゃなくて、復興庁としては、いろいろなモデル考えると、あるいは先進事例考えるとこう思うんだけれどもということも含めて積極的に引っ張ってもらいたい、そういう気持ちで申し上げたということでございます。  もう一つ、今度は、復興構想会議議長をお務めになられた五百旗頭先生が、お手元にお配りさせていただいたような提言をされておられます。これは去年の三月八日の段階でありますけれども、要は、台風、地震含めて、どうも気候変動型に大きく変わった、私はもう大きな転換点防災は迎えたというふうに申し上げて間違いないというふうに思っていますけれども、その防災のことも含めて、いずれ防災復興庁というものを創設した方がよいのではないかというような提言をされたんですね。  それを受けたわけではありませんけれども、各党で、今回の復興庁を十年存続させるという決定が下される前に、いろいろな意見があったと思います。私も積極的に参加した方でありますけれども。ぜひ防災体制強化するということと、今回は私は復興庁の十年存続でいいと思うんですけれども、気が早いんですけれども、次の十年、十年後のことも見据えたときに、もちろんそのときの福島状況がどうなっているかにもよるんですけれども、じゃ、今のまま更にまた十年、十年後、復興庁をそのまま存続できるかというと、なかなか簡単ではないのではないかという思いもこれあり、こういった議論田中大臣はどういうふうにお考えになられたのか。  今回、復興庁を十年存続するという判断を大臣としてされたわけでありますけれども、この防災体制強化と、あわせて、体制をつくっていくという議論をどういうふうにお考えになったのかということをお聞かせいただけますか。
  10. 田中和徳

    田中国務大臣 私も、今お話がございました五百旗頭先生の報道の内容を拝見をさせていただいたところでございます。  復興庁後継組織あり方については、防災復興庁とするような議論もありましたわけでございますが、東日本大震災からの復興はまだ道半ばでございますし、被災自治体の多くの皆さんからも、これまで復興庁が担ってきた総合調整機能を継続するよう強い御要望もいただいてまいりました。そういうことを踏まえて今回の法案提出をさせていただいたわけでございます。東日本大震災からの復興に対しては、司令塔機能を維持させていただき、政治責任とリーダーシップを発揮して取り組むべきであることから、復興庁現行体制を継続することといたしたわけでございます。  また、将来の体制ということで御指摘もいただいておりますが、復興庁としては、まずは復興創生期間後において、現行体制を維持し、東日本大震災からの復興に取り組むわけでございまして、その責任は、当然のこと、大変重要であると考えております。  東日本大震災からの復興を任務とする私の立場から、将来の防災体制あり方についてはコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、近年多発する大規模災害防災減災対応も重要な課題だと政治家として十分認識をしておるところでございます。  このため、復興庁としても、蓄積した東日本大震災からの復興に係るノウハウについて関係行政機関等との共有活用を進め、近年多発する大規模災害に対する防災力向上にも十分寄与していかなければならない、このように思っておるところでございます。
  11. 玄葉光一郎

    玄葉委員 今回の法律附則の第三条に、「政府は、」云々ということで、「復興が進展している地域における取組に係る情報を復興の途上にある地域へ提供するなど、東日本大震災からの復興に関する施策実施を通じて得られた行政の内外の知見活用するものとする。」つまり、東日本大震災からの復興に関する知見活用というものをわざわざ附則に入れているわけでありますけれども、これは、意味するところは、東日本大震災でこれまで培ったノウハウをこれからの復興活用するということのみならず、他の災害からの復興にも活用する、そういう意味だと考えてよいのかどうか、お聞かせいただけますか。
  12. 田中和徳

    田中国務大臣 これまで、東日本大震災からの復興取組を進めていく中で、復興庁には、生活再建のステージに応じた被災者支援を始め、さまざまなノウハウが蓄積をしてきております。  委員指摘の本法案規定は、政府においてこうしたノウハウを積極的に活用すべきことを明示するために設けたものでございます。この規定を通じて、関係行政機関等とのノウハウ共有活用を一層進めて、復興のさらなる推進を図るとともに、近年多発する大規模災害に対する防災力向上にも寄与することと考えております。  我が国は、まさしく自然災害の多くがこれからも予想されるわけでございまして、そういう面に十分生かしていくことこそが重要な使命だと思っております。
  13. 玄葉光一郎

    玄葉委員 なかなか、防災復興というのは、イコールのようで違うところもあって、難しいとは思うんですけれども、ただやはり、今までのノウハウというのは、大きな災害を受けたところが立ち直る際には一定活用ができるはずでありますので、将来の組織あり方にもつながっていく話だとも思いますから、しっかりノウハウを蓄積してもらいたいな。いずれは、本当は人も、しょっちゅう各省庁で入れかわるんじゃなくて、ある程度、専門家防災とか復興関係で育つというような体制を見据えていかなきゃいけないのかなというふうに私などは考えているところであります。  ぜひ、気が早い話ですけれども、次の体制は、福島のことは決しておろそかにせず、かつ、防災体制強化にも資するようなものも視野に入れながら考えていくべきなんだろうと思います。  さて、創造的復興という言葉を申し上げましたけれども、その一つ中核ではないかと思うのが、浜通り国際教育研究拠点でございます。ふたば未来が、学校ができましたけれども、私は何度かお邪魔していますけれども、非常に頑張っているというふうに思います。  私は、今度のこの教育研究機関にも大変期待をしています。つまり、震災というマイナスをプラスに変えられる一つの核になり得るんじゃないかということでありまして、これまでの検討状況と、これから大臣が大事なポイントだと思われる点についておっしゃっていただけますか。
  14. 田中和徳

    田中国務大臣 国際教育研究拠点については、昨年七月から有識者会議において大変熱心に御議論をいただいてまいったところでございます。私も会議に参加をさせていただいておりますし、議論を伺っておるわけでございますが、この拠点は、世界に誇れるすばらしい拠点であると同時に、浜通り地域復興創生に資する、地元に貢献ができる拠点であること、福島イノベーション・コースト構想を担っていく人材育成拠点となることが重要ではないかと考えておるところでございます。また、拠点を具体化するに当たっては、産学官連携中心となるすぐれた研究者の確保及びそのための環境整備が重要なポイントになるものと考えております。  今後、有識者会議において、この夏をめど最終取りまとめを行って、政府としては、関係省庁としっかりと連携をし、年内をめどに成案を得ていくことになるわけでございますが、地元期待も大変大きいことから、本拠点早期実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  15. 玄葉光一郎

    玄葉委員 これは大変難しい課題ではあると思うんですね。  ちなみに、福島県では、一九九〇年代、大学の学生が大分減るんじゃないかということが見込まれていた時期に、県立で会津大学をつくったんですね。これは、多くの人は失敗するんじゃないかと思ったわけですけれども、はっきり言って成功だったと思います。今、世界大学評価ランキングで、日本では十六位に入っています。正直、なかなか交通の便が必ずしもいいとは言えない会津の地に大学生が集まって、非常にレベルの高い、日本初めてのコンピューター専門大学として頑張っているわけです。  私、この間、いろいろな大学を見てきて思うのは、大事なのは人だと思いますね。人というのは、どの権威のある先生中心に据えて今度の中核研究拠点をつくるかだと思います。どの方を説得するのか、どの方を口説いてその地に来てもらうのかということがかなりの大きな要素を占めるんじゃないか、その方についていくというところが学校というのはあると思いますね。  会津大学も、やはりトップが非常によかったということもありますし、ロシアからの頭脳流出が相まったときでもあって、ロシアから国際的な非常にすばらしい学者さんが来てくれたということで、非常にレベルが上がったので、ぜひ、人だということで、先ほど大臣からもすぐれた研究者という言葉がありましたけれども、これをどうやったら集めることができるか。やはりトップだと思いますね。そのことを改めて申し上げておきたいと思います。  さて、東京電力社長さんにきょうは来ていただいているので、東電の方にお聞きをしたいと思います。  せんだって、内閣府の有識者会議が、日本海溝千島海溝沿い巨大地震について、いわば想定の発表があったわけでありますけれども、公表前の素案によりますと、どうも、十三・七メートルの津波福島第一原発のところにも来るのではないかというふうな想定がされたということでございます。  これは、東京電力が今防潮堤工事をされておられますけれども、その想定をまた上回ってくるということで、東電としてはこの対策はどうされますか。
  16. 小早川智明

    小早川参考人 東京電力ホールディングス小早川でございます。よろしくお願いいたします。  まず、当社福島第一原子力発電所事故から既に九年二カ月以上経過いたしますが、今なお、福島皆様、広く社会皆様には多大なる御負担と御心配をおかけしておりますことを改めておわびを申し上げます。  先生からの御質問にお答えします。  現在、福島第一原子力発電所では、切迫性が高いとされている千島海溝地震津波に対して、防潮堤工事を鋭意進めているところでございます。  先般内閣府から公表されました内容につきましては、当社津波評価にどのような影響を与えるかということについて現在検討を行っている段階でありますが、影響があれば必要な対策検討してまいることとしております。  また、既往最大クラス、これは東日本大震災でございますけれども、この津波に対して、各建屋の開口部閉止作業流入抑制対策も計画的に進めておりまして、津波対策を着実に講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  17. 玄葉光一郎

    玄葉委員 これまで防潮堤を建設をしている想定を、なぜか当日になって公表していないんですけれども、どうも上回る津波が来るんじゃないかと言われていて、ここは虚心坦懐に、今工事は進めていますけれども、やはり、そういう想定が出てくるというのであれば、そこはもう柔軟に、見直すべきは見直して、対応していくというお考えでよいのかどうか。  つまりは、東日本大震災、三・一一の前にも、大津波可能性は実は指摘されていたわけですよね。でも、結局、対策をしないまま、残念ながら三・一一を迎えたということだったわけでありまして。特に、今の廃炉現場については、いろいろな意味で仮設が多いから余計怖いんですね。ですから、ここは、今ある工事も含めて、しっかり、今回の想定について検討して、必要ならば柔軟に見直していく、強化すべきは強化していく、こういうことでよろしいですか。
  18. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えします。  先生の御指摘のとおりでございます。もともと、千島海溝沖津波に対しても、まだ政府想定公表が出る前から、切迫性が高いということで、当社として、今の防潮堤工事を準備してきたところでございます。  新しいリスクの要因が公表されて、またそれが現実的にプラントにどういうふうに影響を与えるかというのは、これはしっかりと検討をした上で、追加の対策などが必要であれば、しっかりと対策を講じてまいりたいというふうに考えております。  なお、津波防潮堤だけに着目するのではなく、先ほど開口部の閉鎖とか、さまざまな重層的な対策によってプラント安全維持がなされるものだというふうに認識しておりますので、そういった複合的な対策も含めてしっかりとした適切な対応を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  19. 玄葉光一郎

    玄葉委員 決して油断しないでいただいて、万全を期してもらいたいと思います。  あわせて、関連ですけれども、私、いつも申し上げているんですけれども、経産大臣にも申し上げたことがあるんですけれども、F1の廃炉現場に余り東電コスト改善のプログラムを持ち込まないでほしいと思っていて、コスト改善東電は私は必要だと思います、この間、大甘だったわけですから、コスト改善は必要なんですけれども、余り廃炉現場にそれを持ち込んじゃうと、みんな萎縮しちゃって、魅力的な職場じゃなくなるというところがあると思います。  私がいろいろ、内々聞くと、例えば、大手ゼネコンには予算がつくけれども、プラントメーカーには予算がつかないとか。そうすると、別に東芝、日立の応援をしているつもりは全くないんだけれども、プラントメーカーの例えば技術者なんかは、魅力を感じなくなっちゃって、やはり技術力がある人が来なくなっているというんですね。私、ちょっと心配です。  この間、更田さんとも議論したんですけれども、規制委員長とも。この間、私も、どうも人員が不足しているんじゃないかと申し上げて、更田さんもおっしゃって、結局九十人ふやしたと。これはこれでいいんですけれども、一定評価をしますけれども、技術力のある人がどうも足りていないということを私自身現場から聞くんですね。このことは十二分に留意していただけませんか。
  20. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  まず、大前提としまして、先ほど申しましたとおり、事故から約九年経過しております。当初の、非常に火事場のような状態で検討して作業をしていた状況から、先般、中長期ロードマップに基づいて中長期プランも公表させていただきましたけれども、これからは戦略的かつ計画的に進めていくべき段階に移ってきているというふうにまず認識をしております。  その上で、今後、復興と廃炉の両立が非常に重要だというふうに考えて、より一層のリスク低減、それから安全確保を優先しつつ、こうした廃炉を着実に進めていくために、当社は、これからも、それに適した投資と、必要な技術、人材の確保は確実に行ってまいりたいというふうに考えております。  特に、今改善活動に対して御指摘ありましたが、いわゆる作業は、福島第一の構内、大分きれいになってまいりましたけれども、やはり被曝のリスクを伴う場所でございますので、できるだけ被曝の低減、また安全への配慮という観点からもしっかりと品質改善、安全改善を行っていく必要があるというふうに考えていて、そこがある種、たくさんの人をつぎ込むというよりは、非常に合理的に作業を進める必要性もあるというふうに感じております。  こういった事業見通しの積極的な公開をしつつ、オープンな参入環境の整備、それから地域の発展を担う人材育成なんかに取り組みながら、今後は地元の企業の皆様と手を携えながらしっかりと技術力と廃炉事業に対して着実に進めてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  21. 玄葉光一郎

    玄葉委員 これ、社長、九十人ふやしていただいた、足りないんじゃないかと言ったとき、最初は足りているとおっしゃっていたんですけれども、やはりなかなか現場の声が実は幹部には伝わっていないというところがあるので、よく耳を澄ましてこれから聞いてもらいたいなというふうに思います。  最後に、経産副大臣にもおいでいただいていますので、ALPS処理水なんですけれども、これは私も地元なので無責任なことを申し上げるわけにはいきません。地元の方々は、福島のみで処理が行われたり、あるいは福島から行われるということに抵抗を感じるという方々が多いようであります。これは非常に難しい判断だと思います。  ただ、私が申し上げたいのは、海上、いわゆる海に放出するにしても、あらゆる選択肢を、なぜできないのかという観点じゃなくて、どうやったら可能になるのかということをしっかりと考えていく。いろいろな委員会の場で、日本の領海だったら例えば離島の周辺に流せないのかという議論があるわけですね。そういったことについて、いや、ロンドン条約があるからだめだ、例えばそういうふうにすぐ却下するというんじゃなくて、本当にできないのかどうか、できるためにどうしたらいいのかという、全てそういう観点で徹底してやはり考えてみるということは絶対に必要なことだと思っていまして、そのことも含めてどうお考えですか。
  22. 松本洋平

    ○松本副大臣 ALPSの処理水の取扱いについてでありますけれども、今委員からも御指摘がありましたように、敷地の外へ移送をすることも含めまして、風評被害など社会的な観点も含めた総合的な検討をALPS小委員会において行っていただいたところであります。  二月十日に公表されましたALPS小委員会の報告書では、既存の敷地内で廃炉を進めることを基本としつつ、敷地の外へ処理水を持ち出すことについては、さまざまな課題、また相当な調整と時間を要するということが指摘をされているところであります。  また、報告書におきましては、できる限り風評被害が生じないような形の処分方法を検討していくことが必要であるということが指摘をされているところでありまして、政府といたしましては、こうした御指摘も踏まえながら、地元を始めとした幅広い関係者の皆様の御意見をまずはお伺いをしているところであります。  関係者の御意見をしっかりとお伺いをし、ALPS処理水の取扱いについて検討を進めてまいりたいと存じます。
  23. 玄葉光一郎

    玄葉委員 松本副大臣、大変御苦労されておられるのは、私承知をしているつもりであります。  ただ、今回のようなコロナの騒動の間のヒアリングということもあって、十分自分たち意見を申し上げることができていないという認識を県内の方々の多くは持っているように思います。ですから、かなり慎重に、しかも、さっき申し上げたように、なぜできないのかということではなくて、例えば敷地外の処分も、できるためにはどうするかということをやはり一度しっかり政治の場で、有識者の場じゃなくて政治の場で考えてみる必要があるんじゃないかということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  24. 伊藤達也

    伊藤委員長 次に、小熊慎司君。
  25. 小熊慎司

    ○小熊委員 共同会派、立国社の小熊慎司です。  復興庁設置法等の一部を改正する法律案について審議をしたいというふうに思います。  今ほど玄葉委員が質疑されましたとおり、新たな十年というよりは、これはとりあえずの十年と言ってもいいのかな。復興に関しては長期にわたる取組が必要だということは政府においても認識をされているところでありますし、今回の法改正、閣議決定した後に基本方針を取りまとめられましたけれども、その点について注目すべきは、地震津波地域地震津波と原子力災害の三重苦の地域では復興の進捗状況が大きく異なるという方針を決定をしていただいたということは、注目に値するものであるというふうにも思います。  この前者の地震津波、いわゆる、ざっくり県でいえば宮城、岩手は復興の総仕上げに入っているということを言及されておりますし、しかしながら、三重苦である福島においては帰還困難区域がまだ存在をしている。さまざまな風評被害、また、廃棄物の中間処理施設の搬入すら完了もしていませんし、それの最終処分場もつくらなきゃいけない。これも何のめども立っていない。また、風評被害も続いている。きょう東電も来ていますけれども、ADRが示した和解案が拒否されているという現状も続いている。今の玄葉委員のトリチウム水の問題もあるということで、何ら今後十年の中でも解決ができない課題というのを福島県は抱えておりますし、ましてや廃炉はここにいる我々が生きている人生の中でも恐らく終わらないのではないかということも言われているところでありますから、そういう意味では、今後の十年、延長した十年の中でも課題解決がおさまり切れないというのも事実であります。  そういう中で、総合調整機能という言葉もありましたけれども、この九年、振り返ったときに、やはり縦割りの弊害もありますし、さまざまなこの委員会の審議の中でも、答弁は立派ですけれども、形式は整っているんですけれども、中身が伴っていないという点があるのも事実でありますけれども、この福島に関しての、とりわけ復興に向けた加速について、基本方針ではこれを切り分けたというか、しっかり認識を分けてもらったわけでありますので、今後どういうふうに具体的に取り組んでいくのか、まず大臣にお伺いいたします。
  26. 田中和徳

    田中国務大臣 お答えをいたしたいと思います。  地元の小熊議員からもたびたびにわたっていろいろな御指摘をいただいてまいりました。  昨年の十二月に復興創生期間後の復興の基本方針が閣議決定をされまして、令和三年度以降における各分野の取組復興を支える仕組み、組織等について方針が示されたところでございます。  この基本方針においては、原子力災害被災地域において、当面十年間、復興のステージが進むにつれて生じる新たな課題や多様なニーズにきめ細かく対応しつつ、本格的な復興再生に向けた取組を行うこととしておるところでございます。  さらに、この基本方針を踏まえた福島特措法の改正案においては、新たな住民の移住、定住の促進や交流人口関係人口の拡大、営農再開の加速化、福島イノベーション・コースト構想推進、風評被害への対応などを盛り込んだところでございます。  福島復興再生には中長期的な対応が必要でございますし、復興創生期間後も継続して国が前面に立って取組を進めていく所存でございます。  また、現在の新型コロナウイルスにおける状況下においても、被災自治体との密接な連携を図りながら、政府全体としてしっかりと対応していかなければならない、この思いでございます。
  27. 小熊慎司

    ○小熊委員 先ほど玄葉委員指摘したとおり、しっかりとしたリーダーシップが図られなければなりませんし、この福島の再生、復興なくして日本の再生なしというふうに、言葉はいいんですけれども、その中身が伴っているかどうかという意味においてはまだまだ足りていない部分がありますし、毎年のように大臣がかわってしまう。中長期的な取組が必要だというのであれば、やはり一定程度、大臣はかわらずに、その任を担っていただきたいという願いもあるわけでありますし、また、全ての大臣復興大臣だということでありますが、やはりさまざま多岐にわたる課題解決のための縦割り行政の弊害も解消はされていないというところであります。  これからの十年間の中で、まさに復興庁がしっかりとしたリーダーシップを発揮してやっていかなければならないわけでありますけれども、その実態がどうであるかというのはこれからも議論していきたいと思いますし、一つの証左では、だから、大臣が一年に一回変わってしまうということ自体が、やはり軽くなっている、ただの総合調整だけでリーダーシップを発揮していないという証左だというふうに私は指摘をせざるを得ないというふうに思っています。  そういう意味においても、これからの十年で中長期的な課題解決、そして、まさに玄葉委員も言いましたけれども、また更にその先まで見据えなければ、この福島復興、この三重苦にあえぐ福島の地の復興というのは県民にとって明るいものではないというふうに言わざるを得ません。  また質問に移りますけれども、そうした中で、この復興の柱の一つに、これは東北の観光復興というのがあるわけであります。全国的には、伸び率からはおくれをとっていますけれども、インバウンドに関しても少しずつふえているというのもありました。  復興庁のホームページにも出ているとおり、全国的な流れよりはおくれはとっているけれども、堅調に推移をしている。今年度は外国人宿泊者数を東北においては百五十万人というふうに目標設定して、さまざまな予算もつけているところであります。また、インバウンドだけではなくて、特に福島県におきましては、国内向けのプロモーションとか、失っている教育旅行などの誘致に関しても予算がついているところであります。  しかしながら、今回のコロナの影響において、こうした観光の取組を見直さざるを得ないのも現実であります。このコロナを踏まえて、こうした観光復興というのをどういうふうに取り組みし直すのか、見直してやっていくのか。今、コロナがとりあえず収束しなければいけませんし、収束した後も、やはり県境をまたいで来られる、これは国外はもとより、国内の中でもその移動に関しても非常に緊張感があるところであります。  とりあえず、これは、観光復興について今後どういうふうにしていくのか、お伺いいたします。
  28. 田中和徳

    田中国務大臣 ただいま御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症による影響で、現在、東北六県のインバウンド、誘客については、プロモーションすら実施めどが立っていない状況であるわけでございます。  しかし、観光は地域の産業全体に影響する裾野が広い分野でありまして、今後とも東北復興の中で極めて重要な位置づけを占めているものと認識をしております。  このため、まずは足元の新型コロナウイルス感染症による影響について、緊急経済対策復興事業を通じて、観光資源の磨き上げだとか受入れ環境整備等の助走期間としての準備をしっかりと進め、V字回復の機会に備えるとともに、状況が落ちつき次第、宿泊割引等の支援による需要喚起の作戦を講じることとしておるところでございます。  その上で、「復興創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針に沿って、観光庁等と密接に連携しつつ、東北六県における観光振興のさらなる展開だとか、福島県における教育旅行を始めとした観光復興取組に対する支援推進にしっかりと取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  29. 小熊慎司

    ○小熊委員 言葉は整っているんですけれども、落ちついたらって、何をもって落ちつくのかというのが、今聞いても多分答弁では返ってこないでしょうし、これはある意味で私もわかりません。  緊急事態宣言が解除されたとしても、第二波が来るんじゃないかということのおそれがある中でこれはやっていかなきゃいけない。特に、このコロナにおいては移動しないでというのが前提でもありますし、そうした中でのこれからの観光振興というのは、今言われた答弁では、現実、追いついていかないというふうに思います。  非常に厳しい時代を迎えていくんだろうなというふうに思いますから、むしろ観光を振興して復興をどうやっていくのかと考えると同時に、これに携わる観光業の方々への持続については、まさにこれは長期的に取り組んでいかなきゃいけないと思います。  緊急事態宣言がいつかは解除されるんですけれども、そこからゴーでもないんですよ。おわかりのとおり、個人旅行はあした行こうといえば行けるんですけれども、団体旅行なんかは前もって募集、計画期間がありますから、かなり長期のスパンになってきますので、それはすぐ再開というわけにもいきません。  そうした中で、ちょっとあえてまた細かく聞きますけれども、今月締切りになっている令和二年度の「新しい東北」交流拡大モデル事業、これは公募していますけれども、これは今とめているんですか、動いているんですか。どうなんですか。
  30. 田中和徳

    田中国務大臣 公募し、当然動いておるわけでございます。
  31. 小熊慎司

    ○小熊委員 これは、大臣、最初の答弁からすると、コロナ禍においてまた考え直さなきゃいけないというのが現実であります。でも、こうやって粛々と動いちゃっているんですね。公募の状況も、これは通告していませんから聞きませんけれども、これも、コロナ禍とコロナがない状況では、多分公募の状況も違うわけですよ。これは粛々と実施していていいのか、見直さなきゃいけない。  あらゆる意味で、やはりコロナを前提にして、復興というものはがらっと変わらなきゃいけない。収束したらどうだじゃないです。アフターコロナ、ポストコロナという言葉もありますけれども、コロナウイズという言葉もあります。完全にゼロにならない、コロナのリスクを抱えながら経済を回していかなきゃいけないという指摘もあるんです。だから、おさまったらどうするという話ではなくて、そうしたリスク、そうしたものを抱えながら復興をやっていくという意味では大きな課題を背負ったということです。  そういう認識に立てば、この粛々とやっているということ自体が、急にとめられないというのもあるんでしょうけれども、粛々とこうして動かしてしまっているということが、認識が薄いのではないかというふうに思っています。そういう意味では、この観光に関する予算というのは多くの予算をつけていただいているわけでありますけれども、これの執行に関してはもう一度練り直しが必要だというふうに思います。  ぜひ、おさまったらという考えではなくて、新たな戦略づくり、新たな予算執行の見直しが必要だと思いますが、その方針については、大臣、どうですか。
  32. 田中和徳

    田中国務大臣 御指摘のとおり、コロナウイルス感染症の影響でいろいろなことが起こっておるわけでございますが、入国制限が発動されている状況であることから、観光事業については、例えば海外向けのプロモーションは環境が整うまでは実施を見合わすなどの対応もあることでございますが、一方、モデル事業としては、民間事業者によって旅行商品の造成、販売等のビジネスモデルの構築を目指すものであったり、これはコロナ収束後のV字回復の機会に備えるいわゆる助走期間においても、取組を進めておくべき事業として幾つものことをやっておるわけでございます。  このため、参加事業者にも配慮して、公募期間を、先ほど申し上げましたけれども、昨年度より一カ月間おくらせることにした上で実施をしております。  また、現在、足元では、東北を含めて全国の観光業の状況は厳しいものでございますけれども、本モデル事業も活用し、復興庁としても東北の観光事業者を全力で支援をしていく、このようなことでございます。  今御指摘が幾つもございましたけれども、いずれにしましても、観光事業は非常に重要でありますので、私どもも、あの手この手で努力をして、実を上げてまいりたいと思います。
  33. 小熊慎司

    ○小熊委員 ぜひ、今大臣言われたとおり、観光というのは非常に重要な産業です。復興においてでも重要な柱となってくるわけであります。  これは公募を一カ月延ばしたからといって対策がとられたとは思いません。一カ月後に状況ががらっと変わっているわけでもありませんし、これはまだ期間的には相当対策をとっていかなきゃいけないという点を指摘させていただきますので、ぜひ柔軟に対応できるようにしていただきたいというふうに思いますし、多分、ことしの予算執行に関しては非常に厳しいものがあるというふうにも思います。V字回復、いつからスタートできるかなんてわかりません。  なおかつ、これは全国そうですけれども、今言ったとおり、復興においては重要な柱となってきますので、どう回復していくかというより、これは生き残りもかけていかなければならないわけでありますので、まさに東北の観光業が、まずは生き残っていける、動いていなくても生き残っていけるという点をぜひ留意していただいて、お支えをいただきたい、対策をとっていただきたい。そのために予算も柔軟に執行していただきたいという点を指摘して、次に移ります。  汚染水の点についてでありますけれども、ALPS処理水と言っていますけれども、これは、ちゃんと話せば、七割、八割まだ核種が残っている水でありますので、ALPS処理水ではなくて不完全処理水です。だから私はあえて汚染水と使っていますけれども。  これは粛々とコロナ禍の中でも、御意見を伺う場という、これも何かいんぎんで、何かちょっと嫌らしい感じがする会合でありますけれども、これについて粛々とやっています。先ほど玄葉委員が言ったとおり、このコロナ禍ですから、制約を受けながら、ちゃんと広く意見を拾えているかどうかという問題点もあります。  なおまた、今週の十八日に福島県の内堀知事も定例記者会見で、この処分方法について、しっかりコロナ禍においても万全の体制で取り組んでいただきたいという指摘もあった中で、全国的な意見を含む、全国的にですよ、福島県内だけではなく、意見を伺う場をしっかりやっていってほしいという指摘をしておりますし、また、今国会の予算委員会の分科会においても、経産大臣も、福島関係者だけじゃなく、広く意見は聞いていきますというふうに言っておられました。  そういう観点から、今後のこの汚染水に関する御意見を伺う場というのはどのような予定になっているのか、まずお聞かせください。
  34. 松本洋平

    ○松本副大臣 このALPS処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場でありますけれども、こちらは、ALPS小委員会の報告書におきまして、地元自治体や農林水産業者を始めとした幅広い関係者の意見を聞くべきとされていることを受け、この意見を伺う場というものを開催をさせていただいているところであります。  これまで、四月六日、十三日及び五月十一日に開催をさせていただいた、計三回これまではさせていただいているところでありますけれども、今委員からも御指摘がありますとおり、当然、福島県の方だけではなくて、全国の方からもお話を聞かなければいけないということで、第三回目につきましては、全国組織皆様方から御意見を聴取をするような形で開催をさせていただいたところであります。  これからも、具体的な回数などを設定をしているわけではありませんけれども、報告書の指摘を踏まえまして、引き続きさまざまな関係者から御意見を伺っていきたいと思っておりますけれども、次回の日程を含めました今後につきましては現在検討中であります。
  35. 小熊慎司

    ○小熊委員 私は、まだこれは時期尚早だ、議論が深まっていないということで、では、二年後に東電の敷地内ではもう満杯になってしまうということが指摘されています。海洋放出を決めたとしても、この準備には二年程度かかるという答弁も以前のほかの委員会でいただいていますから、そういう意味では、この夏には決定をしなければならないわけであります。  そういう中で、もう数カ月ですよ、一、二カ月の中でどうするか決めなきゃいけない中で、今後の、こういう意見を伺う場がまだ未定の部分もあるというのは、非常にスピード感がないというふうにも思っています。僕は決定しろと言っているんじゃないです。  敷地外保管に関しても、先ほど答弁にあったとおり、さまざまな課題がありますから、これとて準備が必要ですから、いずれにしろ、早目に決定を、どうするか方向性を出さなきゃいけないというところで、このスピード感というのは遅いわけであります。でも、なし崩しに決定することも私は許される問題ではないというふうに思います。  大臣も、ほかの委員会で、この敷地外保管、先ほど言っていたとおり、小委員会の取りまとめは非常に現実的には厳しいという指摘がありましたけれども、大臣の答弁は、それも含めて検討するというふうに経産省においては言っていただきました。  この敷地外保管、検討するというふうに以前大臣答弁がありましたけれども、今、具体的にどういうふうに取り組んでおられるのかをお聞きいたします。
  36. 松本洋平

    ○松本副大臣 今申し上げましたとおり、ALPS処理水の取扱いに関しましては、小委員会での提言をいただき、そして、これらをもとにいたしまして議論を進めるべく、現在、意見を伺う場という形で、多くの皆様方からさまざまな御意見というものを頂戴をしているところであります。  引き続き、幅広い関係者の御意見を伺った上で、政府として責任を持って結論を出してまいりたいと考えております。
  37. 小熊慎司

    ○小熊委員 大臣じゃないのでそれ以上踏み込めないんでしょうけれども、ただ、時間はありません。  私は、安易な決定に至らぬためにも、これは時間はかけなければいけませんから、ただ、東電の敷地内にも限界がありますから、敷地外保管、しっかりできるように、その選択肢をしっかり進められるように取組を進めていくということが重要であるというふうに指摘をさせていただきます。  引き続き、その点についても、これはほかの委員会でも、また、この国会の場じゃなくても、さまざまな形で今後議論していきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  東電にお伺いいたします。  廃炉、この状況が、まだまだ先が長い、また工程も思った以上に、進んではいますけれども、やはり当初の予定よりはおくれているというところでもあります。  今回、コロナが発生をして、ちょっと通告した一番と二番をあわせて聞きますけれども、最初は万全の体制をとりますということでありましたが、四月に入って、東電の発表によれば、作業員をやはり縮小せざるを得なかったという点もありました。  これによって、廃炉作業が今後長期的にどのように影響を受けたのか、まずお伺いしますと同時に、数千人の作業員というのは地元の人だけではありません、県外の方も数多くいらっしゃいますし、下請、末端の作業員になれば、さまざま入れかわりもある中であります。  福島県は緊急事態宣言は解除されましたけれども、やはり県境をまたいだ人の移動というのには緊張感があるわけであります。また、南相馬市においては、人口の割には感染者数も多かった。これも、原発関連ではありませんけれども、東京に出張した人がなってしまったということで、やはり県外についての緊張感があります。  そういう意味では、何千人という作業員を使って、雇用して廃炉作業をしているわけでありますから、地元に対するこうした不安に対しても、しっかり説明責任を果たしていかなければならないというふうに思います。  コロナにおける廃炉作業影響、どのようなマイナスが生じたのかという点と、多くの作業員を抱えている中で、地元の不安払拭といったものについてはどのように取り組んできたのか、まずお伺いいたします。
  38. 小早川智明

    小早川参考人 先生からの御質問にお答えします。  まず、現時点、コロナの緊急事態が発令されてから現時点までということで、工程遅延等作業影響はまず今のところございません。  福島第一の発電所におきましては、出社前の検温であるとか、通勤、就業時のマスクの着用、それから、先生指摘のとおり、これまでは、福島県外への業務上の往来の禁止も協力企業を含めて御協力いただきながら、細心の注意を払って感染防止対策に取り組んでまいりました。今のところ、協力企業の従業員も含めて罹患者の発生はございません。こうした取組をこれまでは続けておりました。  先生指摘のこれからという観点ですけれども、やはり、福島県におきましては十四日に緊急事態宣言は解除されておりますけれども、まだまだ東京は解除になっておりませんし、こういった往来も含めて、当面、やはり一F作業員がたくさんサイトにいるということと、あそこが、作業員が万一クラスターみたいなことになりますと、それによって作業が滞ったりとか、そういった非常にリスクも抱えておりますので、一段と細心の注意を払うということで、県外への往来は原則禁止と今オペレーションさせていただいております。  ただ、これも、先生指摘のとおり、今後、新しい技術者の方とかいろいろな技術を取り入れていく過程において、さまざまな往来が必要になってくるケースもありますので、これは政府が示しております新しい生活様式にのっとった姿を実現していくことに尽きますけれども、例えば、今、柏崎刈羽の方では、県外から来るまでに、二週間、行動をしっかりと記録にとどめて、熱なんかもないことも確認した上で来ていただいて、それがまた、逆に、来られた後も、一定期間、作業に入るときは細心の注意を払って、それまでいた方とは少し動線を変えて作業に従事していただくなど、しばらくはオペレーションの側で細心の注意を払ってやっていくことが重要だというふうに考えております。  全く、固定的に、人の移動がなく作業をずっと続けるということは、先生の御指摘のとおり、不可能でございますので、しっかりとそうした柔軟な対応を取り入れてまいりたい、こういうふうに考えております。
  39. 小熊慎司

    ○小熊委員 ある意味福島県においてはエッセンシャルワーカーでありますから、ここでクラスターを発生するわけにはいきませんので、ぜひ万全の体制をとっていただくと同時に、他県の人の作業員また技術者がいるということですから、ぜひ地元の不安がないようにも、関係自治体、地域においてのそうした丁寧な説明も必要かというふうに思いますので、その点についても留意をしていただきたいというふうに思います。  更に質問を進めますが、ことしの三月二十七日に、東京電力福島第一原発の廃炉中期実行プランの公表にあわせて、廃炉事業への地元企業の参入促進や関連企業の誘致などについても方針をまとめておられます。地元企業の参入促進に向けた中長期的なスケジュール、また具体的な発注など目標を示さないと、廃炉のプランというのは絵に描いた餅になってしまうというふうにも思います。  そこでお聞きしますけれども、定量的な、具体的な数値目標を伺いたいというふうに思います。
  40. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  先生が今御指摘いただきましたとおり、廃炉事業を通じて福島復興に貢献するための方策と具体策として、三月三十日に、中長期実行プランとあわせて、廃炉と復興の両立に向けた福島皆様へのお約束というのを取りまとめて公表させていただきました。  ここの趣旨は、記載させていただいていますとおりに、長期にわたる廃炉作業を進めていくに当たって、復興と廃炉をしっかりと両立させていって、一層のリスク低減、安全確保を優先としながら、地元に廃炉作業、廃炉技術をしっかりと集積させていきたいという願いを込めたものでございます。  そうした観点から、今後、地元企業の皆様に、積極発注に加えて、お約束に基づいて、事業の見通しを改めて公表することによって、さまざまな技術とか新しい参入環境地元につくっていくという意味で整備してまいりたいというふうに考えております。  そういった意味で、今の、枠としてこの部分の仕事は何割という形でのお示しの仕方ではなく、ぜひ、この中長期プランにのっとった姿を地元の産業形成に役立てていきたいという気持ちで、これから地元皆様とさまざまな御意見を伺いながらつくってまいりたいということでございます。  具体的な数字をお示しできるようなことが有効と判断される段階になりましたら、しっかりとそういうのもお示ししていきたいと考えておりますけれども、現段階では、何か限定的にこの範囲はということではなく、今のこの中長期プランの枠全体を捉えて参加いただくような土壌づくりに努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  41. 小熊慎司

    ○小熊委員 この廃炉、非常に重要な、また長期にわたる取組でありますから、しっかり取り組んでいただきたいのと同時に、コロナにおいては経済の再生が大事で、電力事業も大事であります。ただ、この原発災害への対応といったものはまた更に重要でもあります。  この後に質問する山崎委員が今まとめられておりますけれども、やはり、もうこの際、グッド東電とバッド東電を分けてこれをやっていくということが重要でありますし、今回の法案においても国費を投入することがありますけれども、今、東電のもうけ分をどうするんだという、そうした問題点も、矛盾する点もありますから、これはやはり分けてやっていくことが重要だというふうに指摘をさせていただいて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  42. 伊藤達也

    伊藤委員長 次に、山崎誠君。
  43. 山崎誠

    ○山崎委員 立憲民主党、山崎誠でございます。  いつもありがとうございます。立国社・無所属フォーラムの会派の枠をいただきまして御質問させていただきます。  きょうは小早川社長にもお越しをいただきました。お忙しい中、本当にありがとうございます。  私も、この福島の問題、この復興特では常に取り上げさせていただいておりまして、きょうもまた同じテーマを全般、取り上げさせていただきます。  多くの避難者の皆さんが、まだ生活再建の途上にいらっしゃいます。特に今回の、今までもお話が何度も出てきましたが、新型コロナウイルス感染症、経済、いろいろな厳しい中で、今、私もずっと取り上げている自主避難者の皆様などは、本当に経済的に苦しい。定職を失って避難をしている、その中で、ダブルワーク、トリプルワークのような形で何とか、パートタイムの仕事などを続けて何とか生活をやっているという方々が大勢いらっしゃいます。そういう方々が、今回、多分本当にこのコロナウイルスの影響で職を失って、途方に暮れている方が大勢いらっしゃるのではないかという、非常に私も危機を感じて質問に立たせていただいています。  この自主避難者の問題、特にこれまで取り上げてまいりました。きょう、資料にもおつけをいたしましたが、残念ながら、今、この対応の進捗というのははかばかしく進んでいない。いいところまで来ているんでしょうが、最後、残された方々を救うことができていないというのが現状です。  国家公務員宿舎からの未退去者数というのを、最新の情報をいただきました。今見ていただくと、未退去者四十一世帯がありまして、住宅を確保できている方が三世帯、三十八世帯は未確保ということで、次の住まいが見つかっていないということです。  本当にこの問題は、このほかにも、民間賃貸住宅に入られて、補助を受けて生活をされていた方の補助も昨年の三月に打ち切られていまして、その後、今どういう状況になっているかという全体像が見えていないということだと思います。  今お話ししたとおり、コロナの影響もあって大変厳しい状況にあるのではないかということを危惧をしている。これを何とか、本当に最終的な解決は、本当に、生活の再建であり、今一番問題になっている住居の確保を、しっかりと国、あるいは県、あるいは東京電力皆さんにも支えていただいて、しっかりと実現することだと思っております。  これまでの質疑の中で、時間もないのでお話をすると、福島県が中心になってさまざまな施策を打つ、福島県の施策を、国が寄り添って福島県を支えて、被災者のために支援をするというスキームがずっととられてきたわけでございます。一定、そのフレームで動いてきたことは認めるんですが、結局、今、最終段階になって残されてしまった方は、そのフレームではなかなか救うことができないということだと認識をしております。  これは、前大臣の渡辺大臣のときに、一昨年十二月の四日の委員会で私質問いたしました。国の支援福島県の支援がなかなか最後の方々を救うことができていないと。福島県は今、県全体を見渡した施策だと思うんですが、この自主避難者の皆さんの問題については経済支援を打ち切るという方針をとって、方針を変えようとしないということでございます。その中で、国が何かできないのか、国が前面に立ってという言葉どおりにこの支援ができないのかということをお訴えをしてまいりました。  十二月四日の委員会の答弁では、こういう答弁をいただいたんですね。済みません、前大臣ではございますが、田中大臣も同じ思いだと思ってお聞きをいただければと思うんです。私の意見に対して、「委員の言うこと、本当に私自身も感じておりますけれども、今の制度でいくならば、引き続きやはり県と密に連絡をとって被災者と寄り添って支援していく、この方針が、私は、それしか私の方針としてちょっと言うことができないのであります。済みません。」と。「済みません。」とまでおっしゃったんです、一昨年の十二月の四日の段階です。今の方針と言っているのは、ちょうど今議論をして新しい方針に切りかわる前の方針ではそういう状況であったということだと思います。  ここで、私は、ぜひとも今、法改正もし、そして基本方針も切りかえるというタイミングで、まさにこういう、最後、前の枠組みではなかなか支援ができなかった方々を何とか救う、そのための場面展開だと思っております。そういう意味で、今回の方針転換を受けて、最終、こういう方々に対してきちっと支援をしてお支えいただきたいということでお願いをしたいと思います。  せっかくきょうは東京電力小早川社長に来ていただいています。この避難者の問題、今、私、ちょっと雑駁ですが御説明いたしました。大変厳しいです。本来であれば、例えば公営住宅とか自分たちのきちっとした住まいを確保したいんだけれども、なかなかいいところが見つからない、条件に合うところが見つからない、引っ越しの費用がない、保証金が出せない、保証人になってくれる人がいない。本当に厳しい中で、例えば、病気になってしまって体の自由がきかない、子供の教育の問題があって動けない。本当に事情があって今動けない方が残っている、そういう状況です。これを何とかしたいと思うんですが、避難者に対してどんな責任を感じていらっしゃるのか、ぜひお聞きをいたしたいと思います。
  44. 小早川智明

    小早川参考人 先生の御質問にお答えしたいと思います。  まず、国による避難指示解除、帰還困難区域の復興再生に向けた特定復興再生拠点区域の整備が進む一方、今なお多くの方々が避難を継続されていることと大変重く受けとめております。  当社といたしましては、福島への責任の貫徹は変わらぬ使命、最大の使命だということを肝に銘じて、賠償の貫徹はもとより、被災地域の復興、風評の払拭、安全、着実な廃炉の推進に今後も全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  45. 山崎誠

    ○山崎委員 もう一回、今私のお話しした自主避難者のような避難者の方々に対してどのような責任を感じていらっしゃるのか。もう一回ちょっと、そこに焦点を絞って言っていただけますか。
  46. 小早川智明

    小早川参考人 先生からの今御質問にありました自主避難されている方々がさまざまな御事情で住居確保、生活再建に御苦労されていることは、大変御負担をおかけしておりますことを申しわけなく思っております。
  47. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  大臣にはぜひ、今お話しいたしました今までの枠組みと、今後十一年目から動き出す新しい枠組み、今までの枠組みで残念ながら対応が十分できていないという御認識のある部分が、私は、例えばこの自主避難者の問題もあると思うんです。  渡辺大臣も、先ほど御紹介した答弁で、「済みません。」と最後、一言つけ加えられました。私はそれは本音だと思うんです。残念、何とかしたいんだけれども、今の枠組みじゃ難しいですという真摯な御返事だったと思います。  田中大臣からも、同じように、やはり福島県の対策について国は支援をしていく、寄り添っていくというお話を以前御説明いただきました。  今の状況をどう打開するのか。来年からの新しい方針に対して、来年度の方針に対してどういうところを変えて、あるいは、どういう方針転換をすることでこういう方々を救いたいというお心、思いがあるかどうか、お考えをお聞きしたいんです。
  48. 田中和徳

    田中国務大臣 前大臣のお話もございましたし、私も山崎委員からのお尋ねに対して幾つかのお答えをいたしてまいったところでございます。  昨年末に閣議決定をいたしました「復興創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針において、原子力災害被災地域においては復興再生が本格的に始まっておりますけれども、今後も中長期的な対応が必要でございますし、引き続き国が前面に立って取り組む旨をお示しをしておるところでございます。  避難者に対する支援についても、当然国としては、人材面あるいは財政面においてしっかりと責任を持ってバックアップをしていくということでございます。  いずれにしましても、避難者の皆様方に対しての支援ということは非常に重要なことでございますから、福島県の立場、そして国の立場ございますけれども、国の責任を果たしていくということが極めて重要、このように思って努力をしてまいります。
  49. 山崎誠

    ○山崎委員 福島県の立場、国の立場、それぞれの責任を果たしていくというお言葉です。  ぜひ、私は、やはりこの制度の見直しのタイミングで、こういう残された課題と言うと語弊があるかもしれませんが、本当に最後、人権問題にもなっています。二倍の家賃を請求されているという、損害金という名称ですかね、本当に、悪いことをしているような追い詰められ方をしているんです。そういう問題に対しては、やはり解決の道を、せっかくのこの方針転換のタイミングでつけていただきたいと、心からお願いいたします。  それで、私からは一つ提案がありまして、本当に、残された方々、民間賃貸住宅に入って家賃補助を受けていた方というのは実はかなりの方がいて、今そういう方がどういう状況かというのは実はわかりかねています。本来はここをしっかりと調査をしてくださいというのもお願いをしていますが、そういう方も含めて、この国家公務員宿舎に入っているような方を含めてきちっと支えるやはり財政的な支援というか経済的な支援を継続、維持してほしいという思いが強くあります。  どうやってやるのかといったときに、私は、ちょっと福祉的な側面で、基金のようなものをつくれないかなと。今、福島関連の基金はたくさんありますが、そういう基金では今支え切れていない。ある意味では法だとか制度とかから若干はみ出してしまっている方々、これはぜひとも、もっとフレキシブルな、民間が主導するような基金、支援の基金をつくってもらえないかなと。  国がなかなか税金を使うことが難しいという局面に今残念ながらなっているのかもしれない。それは私は問題だとは思いますが、百歩譲って、その課題を踏まえた上で、私は東京電力さんにお願いしたいんです。今のような、本当に人権問題にもなっている、それぞれ事情があって困っている、人権的にも本当に今問題が生じている、そういう方々に対する支援ができるような受皿、基金みたいなものを、大きな基金でなくても大丈夫だと思います、ぜひとも民間の立場でつくっていただいて、そして、今そうした避難者の皆さん支援している民間の団体の方々もたくさんいますので、そういう方々を通してその基金を運営していただくようなそんな枠組みを、東京電力さん、ぜひとも旗を振っていただいて、つくっていただきたい。  きょうは社長おいでですので、ぜひ前向きなお答えをいただければと思います。
  50. 小早川智明

    小早川参考人 先生からの御質問にお答えいたします。  まず、当社は、まずは今後、復興と廃炉の両立に資する廃炉関連産業の活性化、また風評払拭に向けた取組を一層加速させることで、まずは福島県の復興に最大限貢献を果たしていくことが必要だというふうに考えております。  一方、先生から今御指摘がありました自主避難された方々の対応のみならず、復興に向けた中長期的な課題、新たな課題というのはさまざま発生してきておりますし、これからもさまざま発生してくる可能性があるというふうに存じます。こうした観点、本日はできるできないということに対して明言する材料を持ち合わせておりませんが、よくよく国や地域の方々の御意見をお伺いしながら支援あり方を引き続き検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  51. 山崎誠

    ○山崎委員 ぜひとも、私からももう一回、何度でも御説明をいたします。  今、大変難しい立場に置かれてしまっていて、本当に、ある意味、あの大きな災害、混乱の中で、制度のはざまに今入り込んでしまっている方々だと思います。何の落ち度もなくて、やはり、危険だと言われて避難をした、そこからスタートしているので、私は、ぜひともそういう方々にも目を配っていただきたいと。  今、福島というお言葉がありました。もともと福島にいた方が大勢です、ほとんどです。そういう方々ですから、今外にいても福島には変わりありませんので、ぜひとも御検討いただいて、せっかくの東京電力さんの、本当に今、信用回復の大事な局面だと思います。それが大きな東京電力の未来につながってくると私は確信しておりますので、心からお願いをさせていただきます。  それでは、次の話題に移ります。  二番目、エネルギー対策特別会計に係る措置ということで、今回の法案の中に出てきております。法案の中身についてはこの後の本多委員質問されるということなので、私はその前段で、例えば、今回のこの会計の見直しの中で、中間貯蔵施設、こういったものに係る費用を今後も安定的に確保するんだというようなお話が出ておりますが、私は、ちょうど節目といえば節目なんでしょうけれども、この事業が本当に無駄なく効果的に実行されているのかというのをしっかりとやはりチェックをする、そういう場面でもあるのではないかなと思っています。  資料の二につきまして、これまでの執行額というのが出てきました。こういう資料もなかなか出てこなくて、何度か要求をした上で出てきたものでございまして、二〇一一年から二〇二〇年まで足し上げますと合計で一兆二千億の、今、予算をかけて中間貯蔵施設の整備が進んで、汚染した土壌の搬入なども進んでいるということでございます。内閣の閣議決定では一兆六千億円というのが当初の見通しということでございますから、かなりの進捗が上がってきているということだと思います。  ぜひきょうは環境省の方にもお聞きしたいんですが、今、この進捗に対して、例えば、どういうコスト削減というんですか、本当に効率化を果たして、どのぐらいの予算を節約してきたのか。もちろん、この放射能の問題、原発に係る問題というのは安全第一でございますので、手抜きなどはもちろん許されないので、そこはきちっと把握をした上で、でも無駄は省かなければいけないだろうというふうに思うところであります。  昨年ですが、私も現場へ行ってきました。本当に大きなベルトコンベヤーの設備が幾つも稼働しておるということで、本当にこれ全てが必要なんだろうかなというのも疑問を持った次第です。それは専門家が効率的に設計したものだとは思いますが、しかしながら、いろいろな全体の設計、あるいは業務の発注の仕方、そういったことが適正に行われて、しっかりと予算執行が行われているということがどこまで言えるのか。環境省の見解をお聞きしたいと思います。
  52. 森山誠二

    森山政府参考人 お答え申し上げます。  中間貯蔵事業に係る費用につきましては、これまでの執行額に二〇二〇年度の当初予算額を加えますと、議員御指摘のとおり、約一・二兆円となっているところでございます。また、二〇一六年十二月に閣議決定されました原子力災害からの福島復興の加速化のための基本指針におきまして、中間貯蔵施設の建設、管理運営等の費用は、当時の知見をもとに約一・六兆円と試算されたところでございます。  また、議員御指摘の費用の削減に向けた取組につきましては、一例を申し上げますと、受入れ・分別施設の効率的な運用、土壌貯蔵施設の堰堤の段階的な施工による貯蔵容量の拡充、分別後の石などを施設内の排水層に有効利用することによる追加資材の購入費の削減などに取り組んでいるところでございます。  引き続き、環境省といたしましては、一日も早い福島復興に向けて、何よりも安全を第一に、全力で取り組んでまいる所存でございます。
  53. 山崎誠

    ○山崎委員 御説明ありましたが、これまでにどのぐらいの予算の削減、コストの圧縮ができたんですか。金額を教えていただけますか。
  54. 森山誠二

    森山政府参考人 お答え申し上げます。  どれくらい削減できたかということにつきましては、いろいろ細かな部分の積み上げがございまして、個別に幾らというのは、いろいろ事業が複雑でございますので、ちょっと具体的なものは申し上げる状況ではございませんけれども、いずれにしても、できる努力をしながら、コスト縮減に向けて努力していこうというふうに考えているところでございます。
  55. 山崎誠

    ○山崎委員 私は、それがおかしいと思うんですよ。例えば、どういう事業に幾ら使うんだというので予算が組まれているわけですよね。その予算の組み方があらあらで、わからないというのもあるかもしれない。予算の組み方に問題があるかもしれない。でも、事業の執行においてどういうコストがかかったんだよという、その執行の管理も大事ですよね。実際に、一兆六千億、全体で使う、もう一兆二千億使っている。これを本当に一%でも二%でも削減できたら、今お話ししたような避難者の皆さん支援なんて簡単にできるんですよ。そのぐらいのお金をこの除染の作業でも使っている、中間貯蔵施設の事業でも使っているんです。そういう自覚がありますか。  どうして、個別に幾ら、今、予算に対して進捗があって、どれだけのコスト削減ができたと言えないんですか。なぜ言えないかを教えてください。
  56. 森山誠二

    森山政府参考人 お答え申し上げます。  中間貯蔵施設につきましては、これは初めて行う土木工事でございまして、通常の土木事業のように、通常は幾らだ、それに対して幾ら削減という概念がなかなかないものでございまして、そういった中で、現場状況を見ながら、できる限りのコスト縮減努力、最新の技術の導入ということをやってございまして、そういう特殊な事業でございますので、できることをやっているということでございますけれども、その中で、我々としては安全を第一に努力しているというところでございます。
  57. 山崎誠

    ○山崎委員 特殊性と言いますけれども、それぞれの事業の部分部分を分けて見ていけば、例えばトラックで運送する、運ぶ。もちろん、運ぶものが特殊なものかもしれません。でも、そういったものの積み上げでコストというのはでき上がっていると思いますよ。あるいは、いろいろなコストダウンの提案というのもあるはずなんですよ。もちろん、安全第一ですよ。だから、手を抜くようなことをしろと言っているわけではありません。でも、いろいろな技術提案があり、さまざまな工法の、あるいは工法の手順の工夫などで幾らでも削減の余地というのは生み出せる、私はそのように思います。  私はもともと、民間にいたとき建設会社におりまして、現場の事務を担当しておりましたので、本当にそういう原価の管理とかを厳しくやって、その中でコストダウンも図り、いいものをつくろうと品質管理をやり、そういう仕事をやっておりましたので、私は、肌感覚として、本当にそういう管理ができているんだろうか。毎月毎月、本当であれば、進捗があって、毎年、その工事ごとにも、しっかりと、どのぐらいのコストの管理で、利益がどれぐらい出せたんだとやっているんですよ、みんな。ぜひとも、環境省の皆さんとか、事業を本当に管理するという視点でやっていただきたいと思うんです。  私は、そういう前提で今回のこの特別会計のお話も議論をしなければいけないと思うんですよね。事業は言い値でどんどんどんどんやる、お金が足りなくなるから、いろいろな操作をしてお金を引っ張ってくる。お金を引っ張ってくることばかりうまくて、事業のコストを管理するのが下手くそじゃ、お話にならないんです。私は、ぜひともそういう視点で、管理を徹底した上で、こういった財源の問題についても議論していただきたいということでお願いをさせていただきます。  最後に、汚染水の問題、ALPS処理水のお話、もう玄葉委員、小熊委員からもお話が出てきておりますので、私もいろいろとお聞きをしたかったんですが、重なりますので、簡単に一、二問にとどめます。(発言する者あり)時間はまだいただいておりますので。  本当に、この問題については、私は、合意形成というのがとにかく必要、合意形成をどういうふうにやるのかということがやはりすごく大事で、第一だと思っています。それができていないということが今の大きな問題だと私は思っています。  私は東京電力にも最後、お聞きをしたいんですけれども、この最終判断は誰がするのかです。小委員会から専門家委員として、海洋放出、それから蒸発させる案、その二つが出ていますが、そのほかにもさまざま、地上保管、敷地外の保管というお話もある。そういう中で、最終、誰が判断をするのか。国から方針が出る、それを受けて東京電力実施計画を出して、規制委員会が承認という手続だと思うんですけれども、東京電力さんはどういうふうに最後、判断をするのか。  経産省にまずお聞きしたいんですけれども、最終、誰がその方法について決断をするのか、お聞きしたいんです。
  58. 松本洋平

    ○松本副大臣 一言で申し上げますと、政府として責任を持って結論を出していくということであります。
  59. 山崎誠

    ○山崎委員 東京電力さんは政府の方針に従って実行をするということですね。それでよろしいですね。
  60. 小早川智明

    小早川参考人 今後、国からお示しいただく基本的な方針は、関係者の皆様の御意見を踏まえて出される結論であり、当社としては、これを尊重し、責任を持って、それを尊重した形で進めてまいる所存でございます。
  61. 山崎誠

    ○山崎委員 私は、手続上、やはり、政府が本当に責任を持ってやるということであるならば、まさに今やっている手続、この手続自体の見直しをきちっとやっていただきたい。コロナ禍でどういうふうにこれを進めていくべきなのか、多くの意見が私のもとにも寄せられていて、本当に、一般の皆さんが傍聴できないようなところで関係者の御意見を伺う場が設定をされて、四月の六日、十三日と、一回、二回と続けられています。結局、遠隔で、テレビ、ウエブでの会議のようなお話になっていて、それでは十分ではないという声は多くいただいています。  私たちは、本当に今はこうした作業はやめるべきだ、停止すべきだということで何度もお願いにも上がっていますが、聞いてもらえません。ぜひとも、今のお話で、政府責任を持つというのであれば、合意形成に政府責任を持つということだと思いますので、合意形成というのはどういうものなのかと、しっかりと意識をしていただいて、今後のやり方を考えていただきたいと強く要望して、私の質問を終わります。  以上です。
  62. 伊藤達也

    伊藤委員長 次に、本多平直君。
  63. 本多平直

    本多委員 立憲民主党の本多平直です。  きょうは、ふだん所属している会派の皆さんに配慮をいただきまして、時間をいただきまして、ありがとうございます。  冒頭、田中大臣質問しませんけれども、一つお願いです。  私、大臣が就任直後も、今、山崎さんがずっと取り組まれているいわゆる自主避難者の問題、住宅の問題など、大変困難を抱えている問題について、予算委員会の場でも質問をさせていただきました。どうしても、福島皆さん復興で戻ってきてほしい、福島県庁はそういう考えですから、福島県庁と自主避難している皆さんの間で意見が違うことが出てきています。そこをきちんと、所管して取り持つのは復興庁復興大臣ですから、そのことをしっかり認識して仕事に当たっていただきたいということを私からもお願いをしておきます。  さて、きょう、法案の話に移りますが、復興庁を十年延ばす大事な復興庁設置法、それから特別区域法、特別措置法、復興に向けて我々も応援する大事な法案の陰に、こっそりと特別会計法、いわゆる我々から見ると悪い意味での束ね法案、いかがわしいから束ねているんじゃないか、そういうふうに疑わざるを得ないものがこっそりと入っています。この四枚紙の説明紙にもたった二行しか入っていません。この問題、おかしいんじゃないかということを、財務省と経産省の副大臣議論をしたいと思います。  福島の土の中間貯蔵施設に使うということになっている、これは我々の電気料にかかわっている税金、この勘定、電源開発促進勘定、これが、お金が足りなくなりそうだから、隣にたまたまあっただけの勘定、普通はしっかりと区分けをしなきゃいけないエネルギー需給勘定からお金を借り入れるという法律がここに入っています。  しかし、こっちは、電気料金から払って、あの原発を建てるときに地域に使いましょうと。それは、我々今、原発に反対の立場ですけれども、これまでのスキームとしてはそうでしょう。しかし、こっちのエネルギー需給勘定というのは、発電と全く関係のない石油の会社、ガスの会社が納めている石油石炭税を、エネルギーをいろいろしっかり確保しましょうということに使っている勘定です。何でこんなことを、お金を借り入れるんですか。おかしいじゃないですか。
  64. 松本洋平

    ○松本副大臣 東京電力は、福島への責任を果たすために存続を許された企業であり、大胆な経営改革を行うことにより賠償や廃炉のための資金を捻出し、その責任を貫徹していくことが最大の責務であると考えております。  国は、二〇一六年に、福島事故への対応のために確保すべき資金の見通しといたしまして約二十一・五兆円という数字を示しておりますけれども、同年十二月の閣議決定の中で定められた国と東京電力役割分担に基づき、約十六兆円について、東京電力みずからが経営改革を進める中で最終的に負担をしていくこととしているところであります。  その中で、この中間貯蔵の部分につきまして、我々といたしましては、今回、特別会計を改正をすることによりまして、エネルギー対策特別会計の電源開発促進勘定にエネルギー需給勘定から繰り入れることを可能として、資金の安定的供給を確保するということで、今回お願いをさせていただいているところであります。  ちなみに、今般の措置は、福島復興再生のために行っている施策の安定的な財源の確保に万全を期すためでありまして、将来、電促勘定に一時的な財政需要が生じた場合に備えまして、福島復興再生に関する費用に限定してエネルギー特会のエネルギー需給勘定から電源開発促進勘定に繰入れを可能とするものでありますし、また、当該繰入金につきましては、法律上繰り戻さなければならないということを明記をさせていただいているところでありまして、今回の繰入れ規定創設によって、福島復興再生に影響を与えないよう安定的に財源を確保することが可能となると考えております。
  65. 本多平直

    本多委員 長々と経緯を話していただきました。そもそも東電がやらなきゃいけない事業を、与党がこれまでじわじわと、東電だけに任せていたら福島復興が遅くなる、そういうことで国費も少しずつ入れてくる、ここまでは百歩譲って理解はできるんですよ。  ただ、今回あなたたちがやろうとしていることは、国費をやるけれども、その別な勘定、ましてやガスと石油会社、何にも関係ないですよ、この福島事故に、処理に。場合によってはライバルで、競っているんですよ、今、電力会社と。ガスの会社も所管していますよね、経産省さん。何でここが一生懸命払っている石油石炭税を使うのかということを聞いているんですよ。筋がおかしくないですか。私がガス会社の人間だったら、おかしいと思いますよ。そのことを聞いているんですよ。あなたは両方所管しているんですよ、電力会社もガス会社も。電力会社にとってはいいでしょう、これは。でも、ガスの会社から見たら変じゃないですか、これは。
  66. 松本洋平

    ○松本副大臣 先ほども申し上げましたけれども、特別会計は、もちろん特定の目的のためにいただいているものによって賄われている、そういう会計であります。だからこそ、今回、エネルギー需給勘定から電源開発促進勘定に繰入れを可能とするものの、当該繰入金に関しては、法律上繰り戻さなければならないということを明記をさせていただいているわけでありまして、そうしたことによって、そうした皆様方からの御懸念を払拭できると考えております。
  67. 本多平直

    本多委員 懸念じゃなくて筋がおかしいと言っているんですよ、私は。  それで、本来は、こんな変な筋悪の法案を出す前に検討することが三つぐらいあると思うんですよ、経産副大臣。電源開発促進税を素直に増税をお願いするか。いや、どうしてもそれは難しいというんだったら、一般会計に助けてもらうか。それか、あなたが持っているこの電源開発促進税の中を見直して、福島に今必要なものとかを削る必要はないですよ、しかし、そのほかに無駄がないのか。  この三つの見直しをじりじりやってから、こんなわけのわからない法律を出しているんですか。
  68. 松本洋平

    ○松本副大臣 これからこの勘定を使いまして、実際に中間貯蔵というものをしっかりと整備をし、そして、福島復興を着実に進めていかなければならないわけでありますけれども、将来、需要がどのように増加をするのかということが不透明になり、また、現在の電源開発促進勘定の方が予算的には大分逼迫をしてきているという中において、今回、こうした需給勘定からの繰入れを可能としているところでありまして、これに関しましては、適当な、そうした手段だというふうに理解をしております。
  69. 本多平直

    本多委員 いや、全く理解できないんですよ。  更に今回私が不思議なのは、こういう筋悪なことというのは過去あるんですよ。本当は民間企業がやらなきゃいけないものを国が負担しますとか、おかしいなということがありましたよ。だけれども、それは実際に事が起こって、どうしても足りないから国会を通してくださいといって、このお金が足りないからとやるんですよ。  今回、不思議なのは、まだ足りなくなっていません、何に足りなくなるかわかりません、だけれどもスキームだけつくらせてください。こんなことを言われたら、何が発生するんだろうって相当勘ぐっちゃうんですけれども、これは、何が二、三年後に起こるから、こんな隣にある勘定からお金を借り入れるスキームを今、この法案の端に二行だけ書いてこっそり入れているんですか。
  70. 松本洋平

    ○松本副大臣 将来における電源開発促進勘定の財政状況などを見通すことは困難でありますから、現時点において具体的な歳出の増加要因を明確にすることは困難であります。  他方で、電源開発促進勘定は逼迫した状況であります。平成二十七年度からは、福島第一原発事故という特殊事情を踏まえた福島県に対する特別の交付金を措置し、また、令和二年度からは、福島第二原発の廃炉決定に伴う交付金を新たに措置するなど、福島復興再生に関する費用が増額をしているところであります。  福島復興再生に関する費用などが今後も増加する可能性も否定できないことから、福島復興再生に関する施策の財源の確保に万全を期すため、今回の規定創設をさせていただいたものであります。
  71. 本多平直

    本多委員 いや、全然わからないんですね。  中間貯蔵施設の費用はしっかり出しているんですよ、毎年。四百七十億でしたか、出していますよね。それから、もともとこの電源開発促進税というのは、原発立地地に体育館を建てたり、それ自体いろいろな批判もありましたけれども、これまで迷惑施設である原発を受け入れていただいた町村にそういうことをやろう、これは当然私たちだって今、このスキームは認めざるを得ないわけです。  ところが、副大臣、今ふえている部分、一番ふえている、この電源開発促進税制で、そういう過去にやってきたところじゃないんですよ、最近できて新しくふえているお金。去年六十三億だったのが、ことし八十三億になっている。二十億もふえている、この御時世に。原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業、これは何ですか。
  72. 松本洋平

    ○松本副大臣 原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業というものが一体何なのかという御質問にお答えをしたいと思います。  これまで、原発立地地域の御協力なくして日本の原子力エネルギー政策は成り立たなかったこと、そして、立地地域日本の電力供給を支えてきたことを政府としてしっかりと肝に銘じつつ、政府としては、エネルギー基本計画にもありますとおり、地域経済の持続的な発展につながる地域資源の開発などの地域振興策や、長期停止、廃炉などによる地域経済への影響の緩和など、立地地域課題に真摯に向き合い、その課題解決を図ることとさせていただいております。  御指摘の事業は、こうした観点から、専門家派遣を通じた地域産品の開発、販路開拓、観光誘致の取組に対する支援を行っているものであります。
  73. 本多平直

    本多委員 大事なところをすっ飛ばして説明しないでくださいよ。  私たちは、これまで原発を立地して御協力いただいてきた自治体に七百六十二億出している、この枠組みに文句を言っているわけじゃありません。この最近できた八十三億は、廃炉とか、ここまではまだいいんですよ、廃炉する、特別に交付が要るだろうと。再稼働をする、つまり、一回とめた原発をもう一回動かすというだけで、これまでの原発のいろいろな交付金に上乗せして出しているんじゃないですか。  こんな、いや、いいんですよ、皆さんの方針は再稼働を認めるんだから、私と違うんだけれども、人から金を借りてくると言っているわけですよ、隣のガス会社の。ガス会社が払っている税金の勘定から金を借りると言っているところが、再稼働の自治体に上乗せで再稼働頼みますみたいな、こんな筋の悪いことに予算をふやす。おまけに、その予算について書いた一枚紙の事業の例は、地域ぐるみの御当地グルメ開発。  こんな金、イベント会社に何億払っているのか知りませんけれども、こんなことをやっている勘定が、横にある真面目な石油会社や石炭会社が払った税金を何で借り入れるんですか。こういうことをしっかり見直してから借りたらどうですか。
  74. 松本洋平

    ○松本副大臣 個別に一つ一つの事業の内容に関してのコメントというものは差し控えたいと思いますけれども、その地元地域におきましては、電力に依存した地域経済ではなくて、さまざまな町おこしのために大変要望の強い、そうした予算項目ということもあって、こうした予算というものも計上をさせていただいているところであります。  その予算執行の適正性につきましては、我々としてしっかりと確認をしてまいりたいと思います。
  75. 本多平直

    本多委員 コメントをしないって、所管なんですよ、副大臣。  私は、別に、ねちねちねちねち、普通に、こうやって隣の勘定からお金を借りるとか言わないんだったら、こうやって一つの事業を見つけてきて、おかしいとかなんとか言う気は余りないですよ。それは、いろいろ、趣旨もあるんでしょう、努力している方もいるんでしょう、役に立つこともあるんでしょう。  だけれども、副大臣、いいですか、この事業がどうこう言っているんじゃないですよ。あなたは、隣の、こっちの勘定は、石油の備蓄という大事な仕事があります、もう一つ、我々にとってすごく大事な、日本にとってすごく大事な再エネを、いろいろなプロジェクトをやって、どの再エネがうまくいくかな、大事な予算なんですよ。ここから借りると言っているのに、こんなことをやっていていいんですかということなんですよ。この比較の問題なんですよ。
  76. 松本洋平

    ○松本副大臣 今回の特別会計、勘定上のその繰入れに関しましては、先ほども申し上げましたように、法律として繰戻しというものが明記をされているということであります。  今委員からお話がありましたように、そのもととなります勘定は、当然、石油の備蓄でありますとか、また再エネ等々にも使われているわけでありますけれども、現在は、実際には一般会計への繰入れというものもされている状況というものもあります。  そうした中で、我々といたしましては、今回こうしたものをやったわけでありますけれども、委員が御指摘のとおり、備蓄でありますとか再エネというものには影響が出ないように、しっかりやってまいりたいと考えております。
  77. 本多平直

    本多委員 せっかく遠山財務大臣にお越しいただいているので、この話を聞いていてどう思いますか。これはもう、特別会計で勘定を分けている意味はあるんですか、こんなのに。
  78. 遠山清彦

    ○遠山副大臣 本多委員にお答えをいたします。  いつもどおりの大変鋭い御指摘、まず、ありがとうございます。  その上で、今先生の問題意識は、これは、エネルギー特会という特別会計の中に二つ勘定がある、電源開発促進勘定と、先ほど来御指摘のあるこの石油石炭税を税源とするエネルギー需給勘定と、二つあるわけですね。  今回の法改正については、財務省も経産省といろいろと協議をした上で、最終的にお認めをいたしました。その内容は、もう既に、繰り返しになりますので、つまびらかに申し上げる必要はないと思いますけれども、要するに、この電源開発促進勘定で福島復興再生のために財源を出してやってきたんですが、こちらの勘定が逼迫してきたわけですね。その逼迫してきた一つの要因は、周辺地域整備資金、これはもともと新たに原発をつくるために積み立ててきた資金でございますが、これはもともと千二百億円積んであったわけであります。しかし、東日本大震災の後に、会計検査院からの指摘もありまして、もうここに積み立てるのはやめますと。これを崩して、こっちに入れてやってきたんですが、これが、先生御承知のとおり、令和二年度の一億円で残高ゼロになる。財政が逼迫している中で、石油石炭税のこっちのエネルギー需給勘定の方はそこまで逼迫していないので、福島復興再生に限定して繰入れを可能にする法改正を今回お願いをしていると。  ただ、先生、大事なポイントは、幾ら将来繰り入れるかということは、今の時点で決まっておりません。ですから、繰り入れるということが必要だということの議論は国会でも将来していただきますし、その繰り入れたお金は、法律上、必ず繰り戻す、返さなきゃいけないということも法律に明記しておりますので、国会及び国民の皆様に御理解をいただける形で運用することが可能だろうということで、まずは繰入れを可能にする法改正を今回するという趣旨でございますので、財務省としてもこれを認めたということでございます。
  79. 本多平直

    本多委員 最後に一言だけ。  そういう議論をするのにも、この大事な復興庁法案と、すごい金額になるかもしれないわけですよ、束ねで出してきて、議論できない、なかなか。  こういう状況で、私、もっと疑問点、たくさんありますが、とりあえず、時間が来ましたので、この復興庁の本体は非常に大事な法案なのに、こうやってこっそり、全然私は理解できません。こういうものがくっついているということを指摘して、終わります。
  80. 伊藤達也

    伊藤委員長 次に、高橋千鶴子君。
  81. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。  本日は東電小早川社長に御出席をいただきました。よろしくお願いいたします。  三月十二日、東電第一原発事故で双葉町や楢葉町から避難した住民ら二百十六人の原告が東電に損害賠償を求めた訴訟の仙台高裁判決が、ふるさとの喪失を認め、賠償額の上乗せを命じました。  資料の一、三月十三日付福島民報、当時の報道を載せております。真ん中に裁判長のコメントを紹介していますが、東電は原発の安全性について地域住民の信頼の上に福島第一原発を立地してきたと踏み込んだ上で、東電の過失を事実上認めた、こうした企業の態度が賠償を算定する上で重要な要素になるとの判断も示したと書かれております。表にあるように、残り十五の地裁も全て東電責任を認めているということは重要かと思います。  残念ながら上告をされたわけですけれども、判決要旨を見れば、争いのない事実、必ずこういうのはありますけれども、本件事故により放射性物質が拡散したことにより生じた原告らの損害について、被告の過失の有無にかかわりなく、原子力損害の賠償に関する法律三条一項に基づく損害賠償責任があるとした上で、原賠法十八条二項の二号に基づき、中間指針に従いということが書かれてあるんですね。つまり、中間指針に従って賠償しているということは東電はお認めになっていると思います。  伺いたいのは、ということは、中間指針の見直しがされれば、それに従うという意味でしょうか。
  82. 小早川智明

    小早川参考人 ただいまの先生からの御質問にお答えいたします。  当社といたしましては、原子力損害賠償制度の枠組みのもとで、紛争審査会による中間指針等を踏まえ、被害を受けられた方々への迅速かつ公正な賠償金のお支払いに取り組んでまいりました。  今後も引き続き、中間指針や紛争審査会の議論を踏まえ、被害を受けられた方々の個別の御事情を丁寧にお伺いし、きめ細かな賠償に取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。
  83. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 中間指針の第四次追補が二〇一三年十二月二十六日に発表されて以来、実質の見直しがされておりません。きょうは時間の関係で文科省を呼んでおりませんが、やはり今こそ中間指針の見直しをするべきだと思います。  そもそも、東電は、中間指針に基づき、相当程度因果関係があればという前提を口実に賠償を拒み続けてきました。原子力損害賠償・廃炉等支援機構法によって、国が東電救済のために資金交付する仕組みをつくったからなんですね。逆にこれを逆手にとって、税金で支援されているんだから、相当程度因果関係がなければ賠償できない、大切な税金だから、よっぽど因果関係がなければできないといって、被災者に対してできないできないと繰り返してきたという経過があったと思うんですね。  今回も、中間貯蔵施設にかかわる経費一兆六千億円ですが、資料の二にあるように、エネルギー特会、今も議論されておりましたけれども、電源開発促進税を原資とする電源開発促進勘定から拠出をしておるところを、左側の、目的税である石油石炭税を原資とするエネルギー需給勘定から繰入れをする。これは、その背景には、三枚目の資料を見ていただければわかるんですけれども、国が肩がわりをしている、資金交付という形で肩がわりをしている、その仕組みからくるものなんですよね。  それで、エネ庁に伺います。  条文上、繰入れについては当分の間とあります。繰戻しについては後日とあります。これは返さなくていいということじゃないでしょうか。その意味するところをお聞かせください。
  84. 平井裕秀

    平井政府参考人 お答え申し上げます。  今回の繰入れ規定創設は、先ほど来の御議論にもありますように、万一の場合に備えまして、福島復興再生のために行っている施策の安定的な財源の確保に万全を期すための措置でございます。福島原発事故以降、電源開発促進勘定の財政状況が逼迫していることから、将来、仮に電源開発促進勘定の財源が一時的に不足する場合に備えて、今回の繰入れ規定を設けるものでございます。  御質問の、当分の間、後日というところにつきましては、本措置が万一の場合に備えるためのものでございまして、また、現時点で将来の財政状況等を正確に見通すことが困難であることから、具体的な時期、そして期間ということは申し上げることはできませんが、その上で申し上げれば、財政状況が逼迫している間は備えが必要だということでございますし、また、仮に繰入れを行った場合には、しかるべき後に必ず繰り戻すという意味だというふうに理解してございます。
  85. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 条文に繰戻しを必ず書いているからそれが担保になっているということが、本会議でもこの委員会でも何度も答弁をされました。だけれども、後日なんですよね。いつというのが決まっていない。繰り入れるときは当分の間で、返すときは後日である。  これは、では、借りるとき、繰り入れるときに、ちゃんと期限を切って決めるんですか。それから、そのときの財源はどこから来ますか。
  86. 平井裕秀

    平井政府参考人 お答え申し上げます。  先ほどの御答弁の後半部分と繰り返しになってしまいますけれども、これが、現時点での将来の財政状況等というところを正確に見通すことが困難であるということを申し上げました。それは恐らく、将来的にそうした事態に至ったときでも、具体的な期間、時期を確定するということが難しい状況ではないかというふうに考えます。  そうしたことで考えると、財政状況が逼迫している間はこの当分の間ということが必要だということであると思いますし、また、仮に繰入れを行った場合には、しかるべき後に必ず繰り戻すというところについて、この条文に基づいてお話をさせていただくということになろうかと思います。(高橋(千)委員「財源を聞いた」と呼ぶ)財源については、当然、条文上出てくるところのエネルギー需給勘定からの繰入れということになりますので、エネルギー需給勘定の前提になっている石石税というところになるということになります。
  87. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 返す財源を聞いています。電気料金しかないでしょう。
  88. 平井裕秀

    平井政府参考人 失礼いたしました。返す財源はまさにおっしゃるとおりでございました。  失礼いたしました。
  89. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 そういうことなんです。だから私たちは賛成できません。  進めます。トリチウム等汚染水の問題です。  東電は、三月二十四日、小委員会報告を受けての検討素案を発表しました。そもそも、小委員会は二つの案を発表したものの、水蒸気放出の方は、スリーマイル島での実績があるとはいえ、わずか八千七百立方、二年八カ月の規模であって、全く参考にならないと思うんですね。  東電は海洋放出しかないと考えているのか、まず一点、お聞きします。  その際、報道はもう決まったかのように書いているんですけれども、地下水バイパスやサブドレーンの基準にした一リットル当たり千五百ベクレルを基準にするということでしょうか。
  90. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  先日、三月二十四日、当社より検討素案をお示ししたとおり、国の小委員会の報告書で現実的とされた水蒸気放出と海洋放出につきましては、いずれも現実的であると考えております。  また、先生が御指摘の海洋放出の場合に、海水中のトリチウム告示濃度限度である水一リットル当たり六万ベクレルに対して、福島第一における地下水バイパス及びサブドレーンの運用基準である一リットル当たり千五百ベクレルを参考に希釈することを検討していることをここの報告書の中に記載させていただいておりますが、あわせて、水蒸気放出の場合においても、大気中のトリチウムの告示濃度限度である空気一リットル当たり五ベクレルに対して、海洋放出の場合と同程度の希釈ということを検討している旨を記載させていただいております。  以上でございます。
  91. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ですから、確認したいんですけれども、当時の報道は、要するに国の基準は六万ベクレルである、その四十分の一の千五百ベクレルを基準にやっていくんだというふうに、まるで決まったかのように書いているんですね。でも、これは私も、今社長おっしゃったように、参考にとしか書いておりませんから、決まってはいないと、一言でお願いします。
  92. 小早川智明

    小早川参考人 先生が御指摘のとおり、現時点で決まっているものではございませんが、このときは、経産省さんの方から、小委員会の報告に基づいて計画するとしたらどういうものが実現できるかということを問われたので、こういった、希釈をして放出することも可能だということも含めて、検討したものを報告させていただいているものでございます。
  93. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 確認をしました。  それで、私が言いたいのは、いずれにしても、住民の帰還が進んでいるから早くタンクを処理したいんだとおっしゃる気持ちはよくわかるんですよ。だけれども、いずれにしても、膨大な時間がかかるということは間違いないと思うんですね。  資料の四に、今のタンクの貯蔵状況を、東電の資料をつけておりますけれども、九百七十九基今あって、ただし、毎日更にふえているわけですよね。今は百七十立方、いずれは、二〇二五年までには百立方まで減らそうとしているわけですが、その毎日ふえる分を希釈していって、だから、それを何倍に希釈するかというのが今の、何を基準にするかというところに来るわけですけれども、それだけでも大変な計算になるわけですよね。  仮に千五百ベクレルで計算しますと、このタンクは大体千トン入りますから、このタンク一つの処理をするだけで五百個分の海水が必要になる、そういう計算になると思うんですよね。そうすると、どちらにしても膨大な時間がかかるし、早めようとすると濃度が高まる、そういうことになると思いますが、いかがですか。
  94. 小早川智明

    小早川参考人 先生の御指摘のとおりですけれども、現実、今、高い濃度でタンクに貯留されている状態でございますので、これを合理的に海水等で希釈して、環境に最大限影響を与えないような形で、例えば、水蒸気の場合は真水で希釈しますし、海の場合は海水で希釈するということになるんですけれども、それは技術的にはまず可能でございます。  濃度が高い状態から薄くするということなので、これ以上濃度が高くなることではございません。
  95. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 もちろんですよ。わかって言っています。一定、湾内の南北三十キロ、最大でも、その範囲におさまると言っているので、逆に、一気に出すと、その湾内におさまる分だけ濃くなりますよねと言っただけであって、基準を超えるという意味ではありません。  ただ、いずれにしても、そういう意味なんだと。水蒸気のことも、確かに実績があると言いますが、気体で薄めるためには結局ボイルをしなくちゃいけないわけですから、CO2を出すということもあり、なかなかこれは現実的な議論ではないのではないか、スリーマイルの実績とは莫大に桁が違うということも指摘をしたい。  だから、これだけの時間がかかるんだからこそ、今すぐ解決するということではないんだよという覚悟をした上できちっと議論をしていく必要があると思うんですね。  資料の五に中長期ロードマップのポイントが書いてあります。青字のところが新しい方針として強調されているところなんですけれども、復興と廃炉の両立を大原則として打ち出すと書いてあります。小委員会の報告では、汚染水処理も廃炉と一体として第一原発の廃止措置終了までに終了するということを明らかにしています。後ろの方にそのロードマップ自体が書いてあるんですけれども、やはり、使用済み燃料の取り出しが二〇三一年までに完了、燃料デブリの取り出しは二〇二一年以内に開始ですよね。こういうレベルである。  そこで伺いますが、一Fの廃止措置計画はまだ出されておりません。一体、廃止措置終了というのはどういう状態を考えているのか、お答えください。同じ質問を規制庁にもいたします。
  96. 小早川智明

    小早川参考人 お答えいたします。  福島第一原子力発電所の廃炉の最終的な姿については、地元の方々始め、関係者の皆様、国、関係機関と相談させていただきながら検討を進めていくことになると考えております。  一方、三十年から四十年かかる廃炉というのは、こういった枠内でしっかりと進めていくことが重要だというふうな我々としての目標観を持って取り組む時間軸としております。  こうした観点から、当社は、中長期ロードマップに示されたものを足元で着実に進めつつ、引き続きしっかりとこの中身の精度を高めてまいりたい、こういうふうに考えております。  以上です。
  97. 金子修一

    金子政府参考人 規制庁からお答え申し上げます。  原子炉等規制法上、特定原子力施設に指定されております東京電力福島第一原子力発電所は、これを廃止しようとするときに、施設の解体、保有する核燃料物質の譲渡し、核燃料物質による汚染の除去、核燃料物質によって汚染されたものの廃棄等の措置を講じなければならないこととされております。  こうした措置が終了して、敷地内の土壌や施設が放射線による障害の防止の措置を必要としない状況になるということが、現在、廃止措置の終了を確認する基準としては設けられております。  その具体的な姿を現在の段階で見通すことは大変困難でありますけれども、今後の使用済み燃料の取り出しなどの廃炉作業の進捗状況を踏まえて検討していくものというふうに認識をしてございます。
  98. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 どちらに聞こうかなと思いますが、一応規制庁に伺います。  今の廃止措置の一般的な基準をお話しされたと思うんですね。今、燃料デブリも、あるいは使用済み燃料も、これは受入れ先が決まっておりません。ですから、四十年でそれも含めて終了という意味なんでしょうか。
  99. 金子修一

    金子政府参考人 お答え申し上げます。  現時点で四十年という目標の期限が設けられていることは規制当局としても承知をしております。  ただ、まだ、ここまでの具体的な道のり、あるいはその最終的な姿というのが具体的に描ける状況にはございませんので、まずは目の前にある汚染水の処理でありますとか使用済み燃料の取り出し、こういったものをしっかりとやっていく、こういったことを私ども規制当局としてはしっかり監視、指導していくということで、一歩一歩前に進めていきたいと考えております。
  100. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 実際は四十年では済まないだろうと思っております。  それで、この点で規制庁がどういう役割を果たしていくのかということであります。二月十四日の廃炉・事故調査に係る連絡・調整会議、きょう答弁をいただいている金子審議官自身がこんなふうに答弁をされております。東電作業の一環としてできるのかできないのかというのは当然あると思いますので、必要な場合には、我々が作業そのものを請け負うというか、実際にやるということも含めて考えていきますし、資金的な手当てが必要であれば、それについても考えていきますと述べております。  これは、エネ庁が出席をされて、ロードマップの策定に規制庁が協力いただいたと感謝をされた後の発言でもあり、また、廃炉等機構から、これはアディショナル、追加費用が必要になった場合に誰が出すんでしょうかという発言があって、それに呼応して、我々が必要であれば考えていきますということで答弁をされているんですよね。  規制庁の役割ってそういうことなんでしょうか。伺います。
  101. 金子修一

    金子政府参考人 お答え申し上げます。  今御指摘いただきました私の発言の趣旨は、規制委員会が事故調査の仕事を進めていく上で必要な調査の作業現場に入りまして、例えば放射線量率を測定しますでありますとか、サンプルをとりましてそれの性質を分析する、そういったようなことに係る作業についてのことを念頭に置いたものでございますので、廃炉作業そのものに対して原子力規制庁が具体的な作業を担当する、あるいはそれに対して資金を出すというようなことを念頭に置いたものではございません。
  102. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 念頭に置いたものではございませんといっても、言っちゃっているんですよ、公式に。議事録に残っているんです、資金的な手当てが必要であればと。  規制庁がなぜそこに踏み込むんですか。推進と規制を分けた意味がないじゃありませんか。
  103. 金子修一

    金子政府参考人 繰り返しになりますけれども、私が申し上げました念頭に置いていないというのは、廃炉作業そのものを規制庁が実施するという趣旨ではないということですので、そのようなことを原子力規制委員会が担うということはございません。
  104. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 趣旨ではございませんといっても、だったら撤回するなり、改めてしっかりとした立場を表明してくださいよ。  今の規制庁のあり方推進側に偏っているんです。どんなに国が推進しても、きちんと審査をする、そういう独立した立場にならなければ、本当にこれは将来の見方を誤るということになると思います。  時間が過ぎてしまいましたので、これで終わります。
  105. 伊藤達也

    伊藤委員長 次に、杉本和巳君。
  106. 杉本和巳

    ○杉本委員 日本維新の会の杉本でございます。  きょうは、九年、十年ということで、更に十年という復興庁の延長の質疑ということで、基本的に賛成をさせていただく予定でございます。  ただ、ちょっと振り返ってみたりとか、あるいは、本当にこの震災、防災、こういう点、きちっと将来に我々は備えを十分情報として伝えていけるのかどうか、あるいは、ちょっと会計上のエネルギー特会の問題、本多委員がいい質問をされて、遠山副大臣がずばっと答えていたかなというふうに思って、そんな点を改めて確認をさせていただきたいと思います。  まず、改めて言うまでもないかもしれませんが、被害の状況を、アップデートがちょっと古いかもしれませんが、警察庁の発表、去年の十二月十日時点で、死者一万五千八百九十九名、重軽傷者六千百五十七名、警察に届出があった行方不明者は二千五百二十九名でございます。被害は、一都一道十県、けがをした方を除いて死者、行方不明のあったところがその数でございまして、東京でも七名、神奈川でも四名、北海道で一名と、かなり広域で死者まで出ているということを改めて確認させていただきたいと思います。  そしてまた、死者の年齢別内訳で特徴的なのが、五十代以上が一〇%以上という数字が並んでいて、五十代の方が一一・九三パー、六十代が一八・六六パー、七十代が二三・八一パー、八十歳以上が二一・四二パーという数字でございます。  また、死因が、溺死が九〇・六四%の一万四千三百八人、圧死、損傷死、その他が四・二三パー、六百六十七名、焼死〇・九二パー、百四十五名、理由わからず四・二二パー、六百六十六名。こういった方、とうとい命が失われているということでございます。  また、震災関連死では、復興庁発表で、去年の九月末時点で三千七百三十九名の方々が亡くなられている。福島で二千二百八十六名、宮城で九百二十八名、岩手で四百六十九名といったような数字がありますし、一週間以内で亡くなったという方が四百七十二名、八日から一カ月以内が七百四十三名、二カ月目から以降一年以内が千五百八十七名、五年目でも百五名、こういう震災関連死があったということで、御案内のことかと思いますが、改めて、この質疑をするに当たって、本当にとうとい命が失われ、我々は救えた命があったのではないかということを改めて御認識をいただきたいと思いますし、この場をおかりして、被災して亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、福島第一原発の事故によることなどによって今なおふるさとを離れていらっしゃる、そしてお暮らしの方々にお見舞いを申し上げたく存じます。  そういった心持ちの中できょうは質疑をさせていただきますが、一方で、政治は決断と実行、我々維新は有言実行と言わせていただいていますが、きょうこの後、附帯決議が予定されております。質疑終局、討論、採決の後の附帯でございますが、大方賛成なんですが、中の項目で、いわゆるALPS処理水の問題について、我々維新としては、福島の議員の方々の思いも先ほどから聞かせていただいていますし、この附帯決議を議論しているときにも、かなり御意向の強い、金子先生とか、御意向を伺って、お気持ちは十分わかっておりますが、政治全体としては、やはり、先ほども質疑が、小熊さんに対してとか玄葉先生に対してとかあったかと思いますが、やはり、あるタイミングをもって決定して実行するということで、今も風評被害等のヒアリングが続いている、この後質問させていただきますが、そういった中でも決断と実行という考え方が必要だということの中で、その部分について、私ども維新は、処理水は早く決定して実行すべしという思いでありますので、この附帯決議には賛同しかねるということを、この場をかりて言わせていただきたいと思います。  それで、ちょっと順序を変えて、質疑が終わったら、東電小早川社長、ぜひ職に戻っていただいて。  四十年で終わるのかというふうに今質疑が高橋先生からありましたけれども、私も、四十年というと、私、生きているかなと。先ほども、質疑を、ちょっとテレビ画面等で拝見しながら、残念ながら、生きているうちに、ううん、難しいのかなというふうにちょっと感じた次第でございますが、やはり、少なくとも、先が見えてくるというところで私は死にたい、いつ死ぬかはわかりませんけれども、自分で思っていますので。  そういった意味で、私も、日本興業銀行というところで働いていまして、それで、南直哉社長という立派な社長がいて、原発の意義について結構ネガティブな発言をされたり、一方で、勝俣社長、裁判とかありましたけれども、勝俣社長財務関係にいらして、結構、興業銀行が収益を上げさせていただいたのは、三井グループでもあったんですけれども、東電さんでもあるということの、複雑な思いの中なんですけれども、今、同年代の中で、社長は本当につらい、先輩方の負の遺産を引きずる中で、新しい光を見出していただかなきゃいけないと思っていますので。  そういった意味で、早目にちょっとその質疑をさせていただいて、午前中は私が最後ですので、委員長の御了解をいただければ、お引取りというか、お仕事に戻っていただければというふうな思いでございます。  それで、まず、では社長にお伺いをさせていただきます。  福島、廃炉の処理、このロードマップについては、国、経産省が責任を負っているということは確認させていただいておりますが、福島の映画も見まして、吉田さんが亡くなられてまことに残念ですが、その現場、ことしも入って、処理水を中心に見させていただきました。タンクがずらっと並んでいます。そして、被災直後というかに拝見したF1の状況とまるで違って、舗装されて、そして、きちっと説明できる、建物ができていてというような大きな変化を感じて、この一月、一月だったか、済みません、年初の視察をさせていただいた記憶があるんですが、現実問題として、現場を預かる東電の立場として、この処理水の状況をどう捉えているかという確認をさせていただきたいと思います。  言葉は多核種除去設備等ということで、そのタンクも、まだ濃度の高いやつと、もう薄くなっているやつと二種類あって、そして、濃いやつの方は、もう一度フィルターにかけて、ALPSにかけてやれば薄くなると。ただ、最終的に、どうしてもトリチウムというのは取り除けないんだと。ただ、トリチウムは、科学的には問題がなくて、日本原子力発電所、海外の原子力発電所で放水されているという実態が現実にはあると。ただ、風評被害があって、福島皆さんが、あるいは宮城もそうかもしれないけれども、そういった周辺にお住まいの方々のこれまでの風評被害もあったので、そういった過去の被害も含めて、大きな壁を乗り越えていかなきゃいけないというのがこの処理水かと思っています。  具体的に、このタンクが本当に敷地内でいっぱいになってしまう、外側でという小熊さんの話とかがあったりしますけれども、何年何月ごろ、このタンクは、東電さんとして、いっぱいになってしまう予定なのか。  それともう一点、重ねて、一度に御答弁いただいて終わりたいと思いますが、デブリの処理は順調なのかどうか。私はさっき四十年と申し上げましたが、ひょっとすると、技術革新が起きて、もっと早く実は処理できて、私が冥途に行く前に、やったぞ福島、終わったぞという状況になるかもしれませんけれども、このデブリの処理の状況、今の技術の状況で順調なのか。それとも、ちょっと後ろ倒しになってしまっていて、本音を申し上げて多少目標を後ろ倒ししなければならないかもしれないんですというようなことがあれば、逆にこの場を使って御説明というか本音を言っていただければ、むしろそれは、やはり本音を言うことが、国民の皆様が電気料金を負担し東電を応援しているという部分にもつながると思いますので、そういった意味での御答弁をいただければと思います。お願いします。
  107. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  まず、タンクの、いついっぱいになるかという御質問についてでございますが、現在、毎日毎日発生する汚染水の発生量を、二〇二〇年、ことし末までに日量百五十立米以下になるように、さまざまな建屋の補修、それから諸施策など取り組んでおります。  ただ、実際の汚染水の発生量は降雨などの影響で変動するものでございます。このため、今計画しております百三十七万トンのタンクがいっぱいになる時期というのは二〇二二年夏ごろというふうに表示させていただいておりますが、先ほど申しましたとおり、さまざまな要因で変動する要素もありますため、満水となる具体的な月までは一概に申し上げることはできません。  それから二点目の、デブリの処理作業について順調と理解してよいかという御質問であったというふうに思いますが、こちらにつきましては、昨年十二月に中長期ロードマップが改定されまして、これを踏まえて当社としても廃炉中長期プランを制定し、向こう十年間の、比較的精度の高い計画を公表させていただいたところでございます。  具体的には、昨年二月の調査で燃料デブリと思われる堆積物を動かすなど確認しまして、今後、二〇二一年内に二号機で燃料デブリ取り出しを開始することを決定しているということでございます。この範囲においては、向こう十年間ぐらいにおいて、こういう形でしっかりとステップ・バイ・ステップで進めていくということについては、今、かなり確度の高い計画が立てられている状況にあるというふうに考えております。  今後、こうした作業の進捗で得られたまた新しい知見を踏まえて、しっかりと工程の精度の向上を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  108. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございます。  現場を拝見させていただいた中では、やはりタンクがいっぱいになっていくとデブリを処理する場所がきちっと確保できない、あるいはデブリを処理するための機材を置く場所が確保できないとか、そういったことも伺わせていただきましたし、現場を見てそう感じました。  そういった意味で、このスケジュール、ロードマップが順調にいくかどうかは、実はこのタンクの問題もかかわっている。四十年、できるんですか、いや、難しいと思います、こういう議論をするのも大事なんですけれども、答えを出していくのも政治であるという思いの中で、現場の声として、本音の部分は、政治家に言うのは難しいかもしれませんが、役所の方にはぜひ言っていただく中で、技術革新を期待しつつ、日々のお仕事を頑張っていただき、会社をうまく、いろいろな思いの方がまだいらっしゃると思うんですが、まとめていただいて、いい方向に会社を向けていただければと思っております。  東電社長様には以上で質問を終わりたいと思いますが、委員長の御了解がいただければ、御退席いただいても構いませんが。
  109. 伊藤達也

    伊藤委員長 御協力いただいてありがとうございます。御退席いただいて結構です。
  110. 杉本和巳

    ○杉本委員 重ねて、政府参考人の方にこの処理水の問題について伺いますが、風評被害等を含めたことをきちっと御意見を聞く場ということで、関係者の御意見を伺う場というのが四月六日から十三日、そして直近の三回目が経団連ほか全国団体の方々から御意見を聞いたということを伺いましたけれども、確認したいのは、トリチウムの健康上の問題がないというような、いわゆる、何というんですかね、科学的、医学的かわからないんですが、そういったことをきちっと説明いただいて、意見交換の場なり意見を伺う場になっているのかどうかというのを一件伺いたいと思いますし、その中で、経緯等を説明ということをしているかどうかの上で、どんな御意見があったか。  海洋放出に賛成の意見などなかったのか、全部反対なのかという思いがありますので、その点を伺い、そしてまた、このヒアリングの取りまとめ、そして大事な政治的な決断、決定、そして実施の時期、あるいはそこに向かっての逆に支障となるか節となるようなタイミング、時期が何かあるのかどうか。  こんな点について、まとめて御答弁いただければと思います。
  111. 須藤治

    須藤政府参考人 お答えをいたします。  まず、意見を伺う場でのALPS処理水の取扱いについてでございますけれども、意見を伺う場そのものは、小委員会の報告書を踏まえて御意見を伺うものでありまして、報告書の内容につきましては御説明をいただいた上で意見表明が行われております。  小委員会の報告書におきましては、トリチウムの科学的性質あるいは人体への影響について、まず、トリチウムが水素の仲間で自然界にも存在すること、あるいは、ALPS処理水を仮に一年間で処分した場合でも、その放射線による人体への影響は自然放射線の千分の一以下と評価されている、こういった内容の記載が含まれているところでございます。  続きまして、開催状況意見内容でございます。  御指摘ございましたように、今まで三回開催をしておりまして、参加いただいた関係者の皆様には、それぞれの立場から、今後の検討に向けて貴重な御示唆をいただいております。  御意見の中身でございますけれども、例えば、処理水処分の安全性に係る理解促進を図るため、わかりやすく正確な情報発信を繰り返し行うこと、風評被害が発生することを想定し、十分に対策を行うこと、あるいは、関係者の意見を聞いた上で国が責任を持って決断をすることといった御指摘を多くの関係者からいただいております。  また、御指摘がございました処分方法についてでございますが、海洋放出には反対であるという御意見と、あるいは、海洋放出については、風評被害の対策が十分に講じられることを前提として、選択し得る現実的な一つ対応方法であるといった御意見などをいただいております。  今後、更に幅広い関係者から御意見を伺った上で、風評被害対策を含めて、政府として結論を出してまいります。  続きまして、伺った意見の取りまとめ、あるいは政府方針の決定の時期についての御質問でございますけれども、現在、政府として、小委員会の報告書を踏まえ、幅広い関係者の御意見を丁寧にお伺いしているところでございます。引き続き、更に幅広く御意見を伺っていこうと思っております。  他方で、汚染水が毎日発生しております。現行の計画ではタンクの容量が二〇二二年夏ごろには満杯になること、あるいは実際の処分には準備などに二年程度を要することを踏まえれば、いつまでも方針を決めずに先送りする時間はなくなってきていると考えております。  そうした中で、幅広い御意見を伺いつつ、しっかりと検討を進め、国として責任を持ってALPS処理水の取扱いについて結論を出してまいります。
  112. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございます。  皆さん御案内かもしれないですが、二〇二二年の夏ごろで、準備に二年かかる、質疑でも何度も出ていますが。誰かがやはり政治決断をして、悪者になるとか、いわゆるターゲットになるかわかりませんけれども、誰かが責任を負わなきゃいけないということでないと、みんな八方美人でいい方を向いてそうだそうだと言って、先送りでいいよねと言ったら、福島県じゅうがタンクだらけになったと。これは冗談で言っているわけじゃなくて、あの周辺が、まだ敷地はありますけれども、じゃ、タンクをずっとつくっていく国家なのか。ますます日本は、私は円安を危惧していますが、評価されない。IT、AIとかで大分おくれているという感じが今回のコロナでもわかってきましたけれども。そういった意味でも、政治は決断をせめてしていこうではないかということを維新として申し上げたく存じます。  ありがとうございました。  さて、全体の方の話に移らせていただいて、ちょっと考え方として、基本的に、福島にはお金を、十分経済的な支援を、こういう思いがあるんですけれども、一方で、ある宮城県の方、男性、五十代の方から率直な意見が寄せられたのでちょっと御披露させていただきますと、一言で言うと、ほっておいてほしいんです、何でも国が先回りしてよかれと思って手を差し伸べようとする、だけど、皆お金だけ置いて東京に帰るの繰り返しです、自分たちのことは自分たち考え、やるを国が後押ししていただいたらうれしいです、この九年間の復興予算には心より感謝しております、国会議員の皆様、公務員の皆様には、特に給料を削っていただき、本当にありがとうございました、こういった御意見がありました。  これは単なる、単なると言ったら御無礼ですね、お一人の意見なので、いろいろな意見があるという上ですが、こういった御意見もあるんだという認識で、やはり本当に心から寄り添う、あるいはソフトの面でのサポートというのが、上から目線で、お上意識でという、政治家先生の意識というようなことであってはならないなと、自分も含めて戒めてまいりたく存じます。  さて、時間がなくなっちゃうので、防衛省の方に来ていただいて、手短に御答弁いただければと思いますが、あの被災をしたときに、みちのくALERT二〇〇八が大変有効であって、現場現場に入って本当に被災した方々を助けてくださったというのが強くいまだに印象に残っていますが、今後、いつ発災するかまたわかりません。揺れることが結構あります。長野県も揺れています。この間は四国の紀伊半島側の方で地震がありました。どこで日本は起きるかわかりませんが、事東北については可能性は低くないと思っていますので、そういった意味で、防衛省・自衛隊として、このみちのくALERT二〇〇八、この後継というか、現在の展開というか、準備というか、この状況を教えてください。
  113. 町田一仁

    町田政府参考人 お答えさせていただきます。  ただいま御指摘いただきましたみちのくALERT二〇〇八は、過去の地震災害の教訓を踏まえて、東北地方の自治体様、それから関係機関との連携による対処能力の向上を図るため、平成二十年に自衛隊員約五千人をもって実施した防災訓練でございます。  このみちのくALERTは、その後もおおよそ四年に一度実施しております。これまでに、平成二十六年に同じく二〇一四を、そして三十年に二〇一八を実施しております。  この二〇一八では、隊員約一万三千人が参加いたしまして、三陸沖地震の発生を想定して、ヘリコプターそれから水陸両用車、これを使いまして、人命救助や孤立地域への物資輸送など、これを実動で訓練し、自治体、関係省庁との連携による災害対処能力の向上を図ったところでございます。  加えまして、防衛省・自衛隊では、首都直下地震及び南海トラフ地震想定した自衛隊統合防災演習を毎年行っております。また、ここ首都圏におきましては、九都県市合同防災訓練など自治体が行う防災訓練に積極的に参加するなど、必要な訓練を行っているところでございます。  今後とも、災害が発生した際には迅速に対応できるよう、各省庁関係自治体とも連携強化を図って訓練を進めていきたい、このように考えております。
  114. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございました。  今回のコロナでも、クルーズ船の問題でも、非常に、防衛省・自衛隊の水準の高さを確認しましたが、ぜひ、いざというときに備えて、日ごとの訓練、鍛錬、そして情報収集とか、いろいろ頑張っていただきたいと思います。  次に、防災の教育面という点でちょっとお話をしたいんですけれども、有名な歴史学者の磯田道史さんが、五百年に一回ぐらい起きていて、ちょっと読ませていただきますが、仙台平野は約二千年前、約一千百年前、貞観津波、四百年前、慶長三陸津波、そして二〇一一年と、はっきりしているが、二千年間に四回もの大津波に襲われている、いずれも内陸四キロ前後まで浸水云々とあります。  これよりも、最近読んだのが、「三陸海岸大津波」。吉村昭さんの代表作は「戦艦武蔵」なのかもしれませんが、彼は、明治二十九年の津波であったり、昭和八年の津波とか、そういったことを取り上げていて、やはり彼のところを見ると、江戸時代というか、江戸の直前から江戸にわたってもかなりの頻度で東北地方を襲った地震が明記されております。  そういったことで、実は、この吉村昭さんの本が出たのが二〇〇四年の三月十日ということの中で、被災したタイミングよりは結構前なんですね。これを東北の人たちが読んでいただいていれば、私は、先ほど冒頭申し上げた人数は、かなりの単位で防げたんじゃないかという思いがいたします。  地震になれちゃった、津波のちっちゃいのが来るのになれちゃったみたいなということがありますが、前兆があったりというようなことは結構ありますし、なかなか月日がたつと、山の方にみんな避難して、いっとき移住しても、やはり、漁業をしていて海辺に住んでいないと暮らしにくいんだ、だから、だんだんだんだんやはり海辺に、何々君が、友達の誰々さんが引っ越した、じゃ俺も行くわといって、どんどんどんどんみんなまた海辺に戻っていくというような歴史的な繰り返しかもしれませんが。  この歴史の教訓というのをしっかり子供たちに、大人も大事ですけれども、勉強の中で、いまだに我々は津波の映像を見るとぎょっとするというか、本当にすごい大惨事だったという思いがありますけれども、やはり、あの映像を臆することなく子供たちにしっかり見せて、そして、こういった書物を読んでもらって、またいつ来るかわからない、特に東北についてはいつ来るかわからない、三陸沿岸はというような思いの中で暮らしていただきたいとつくづく思っております。  そういった意味で、もう時間がなくなってきましたが、「昭和八年の津波」で「子供の眼」という段落というか部分があって、その一部分だけ読ませていただきますが、こういったことは子供の言葉が子供に一番伝わるのではないかと思うので読ませていただくんですが、尋常小学校三年の大沢ウメさんという方が「つなみ」という題で、   がたがたがたと大きくゆりだしたじしんがやみますと、おかあさんが私に、  「こんなじしんがゆると、火事が出来るもんだ」   といって話して居りますと、まもなく、  「つなみだ、つなみだ」   と、さけぶこえがきこえてきました。   私は、きくさんと一しょにはせておやまへ上りますと、すぐ波が山の下まで来ました。   だんだんさむい夜があけてあたりがあかるくなりましたので、下を見下しますと死んだ人が居りました。   私は、私のおとうさんもたしかに死んだだろうと思いますと、なみだが出てまいりました。   下へおりていって死んだ人を見ましたら、私のお友だちでした。   私は、その死んだ人に手をかけて、  「みきさん」   と声をかけますと、口から、あわが出てきました。 これが大沢ウメさんの昭和八年の津波で被災したときの作文で、この作文を書いたウメさんは、田老町の大きな食料品店の主婦となられたと。現在も御存命かと拝察いたしますけれども。  こういったものを、今まさしく遠隔地で、三密を避けるようなことの中でオンライン教育が叫ばれていますけれども、オフラインでもいいかもしれませんが、映像だとか文章だとか、教育プログラムの中で、都道府県の特性を生かしながら、地域の事情を勘案して、これは国がああしろこうしろと言う話じゃなくて、岩手県知事が、宮城県知事が、福島県知事がお考えいただいて、教育長がお考えいただいて進めることかとも思いますけれども、やはり方向感として、復興庁が調整機能だったりリーダーシップを発揮するという意味では、こういったものは大事だと思うんですが、遠隔地への教育問題について文科省の御答弁をいただき、そしてもし大臣からお言葉があれば、文書ではなくて率直な感想を手短にいただければと思います。お願いします。
  115. 寺門成真

    寺門政府参考人 御答弁を申し上げます。  文部科学省におきましては、学習指導要領におきまして、防災を含む安全に関する教育を教科の横断的な事項として指導する事項として盛り込みますとともに、防災教育につきましては、委員指摘のとおり、過去に地域で発生した自然災害に着目して児童生徒に指導することを示してございます。  さらに、御指摘のオンライン教育に関しましては、委員御披露のとおりでございまして、過去の災害の映像等を児童生徒の発達段階に応じて教育の中で活用することは、防災に関する児童生徒の学習効果を高める上で大変重要であるというふうに考えてございます。このために、文部科学省におきましては、防災教育に関する映像教材を、小中高等学校それぞれの段階におきまして作成し、全国に配付してございます。  さらに、文部科学省のホームページにおきまして、安全教育に関するポータルサイトを設けまして、当省以外の関係省庁、また都道府県がおつくりになられました教材について、各学校での教育に活用しやすいように提供しているところでございます。  引き続き、学校教育を通じた防災教育をしっかりと進めてまいりたいと存じます。
  116. 田中和徳

    田中国務大臣 ただいま杉本委員から、過去の大変な災害について、非常に貴重なお話を承ったと思っております。  私たちも、この東日本大震災のまさしく経験というものが無駄にならないように、この大きな災害というものは、私たちの国日本において、どこで、いつ、どのような形で起こってくるかわからないわけでございまして、きちっと未来に伝えることができるように、地域で、そして子供たちに教育の場で、しっかりと文科省とも協議をさせていただき、協力をしながら、努力をして伝えていきたいと思っております。教育の面で頑張ってまいります。  ありがとうございました。
  117. 杉本和巳

    ○杉本委員 もう時間となりました。  大臣、御答弁ありがとうございます。  復興庁は、あとまた十年やっていくんだということで、今のお言葉、具体的にプログラムとして進めていって、やはり、ずっとこの復興庁があるわけではなくて、期限を切ってしっかり仕事をしていくということをお願いしたいですし、先ほど遠山副大臣が御出席で御答弁されたエネルギー特会の件、最後に申し上げると、きちっと繰入れ、繰戻し、責任を持ってやっていただきたいということをお願いして、私の質疑は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  118. 伊藤達也

    伊藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩をいたします。     午前十一時四十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  119. 伊藤達也

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。阿久津幸彦君。
  120. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 立国社会派の立憲民主党、阿久津幸彦でございます。  まず初めに、復興局の位置等の政令への委任の確認をさせていただきたいと思います。  岩手復興局、宮城復興局は沿岸部に移設とのことですけれども、移設先は決まったのか、その見通しは、おわかりになれば教えていただきたいと思います。また、岩手県及び宮城県の県庁所在地である盛岡市と仙台市の事務所は支所としてそれぞれ残すという理解でよろしいのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  121. 石田優

    石田政府参考人 お答えを申し上げます。  岩手、宮城両復興局の位置につきましては、昨年末閣議決定いたしました基本方針におきまして、被災者支援や水産加工業の販路回復など、復興課題が集中しております地域組織の軸足を移すという観点から、沿岸域に変更することとしております。両復興局の具体の位置につきましては、被災自治体意見などを踏まえながら、今後決めさせていただきたいと思っております。  また、御指摘の盛岡と仙台には、これまで行ってまいりました業務の継続性の確保の観点から、それぞれ復興局の支所を置かせていただきたいと思っております。  いずれにしましても、復興創生期間後の新しい体制が円滑に整いますよう検討を進め、対応してまいりたいと思っております。
  122. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 盛岡市と仙台市に支所を残していただくということを改めて確認させていただいて、安心しております。情報収集、発信と県との連携ということを考えると、やはり何らかのものは盛岡市、仙台市に残しておきたいなというふうに思っていた次第でございます。  次の、復興庁設置について伺わせていただきます。  私は、三・一一当時、防災担当内閣府政務官をしておりまして、その関係で発災直後から現地での政府現地対策本部の、指揮をとらせていただいたと言うとオーバーなんですけれども、にかかわっておりました。その延長線上で、復興庁の正式発足前の段階で、復興を担当する政務官ということでやらせていただいたことがありますけれども、ちょっとその関係で、当時のことを思い出しながら質問させていただきたいと思います。  復興庁設置に至る経緯について、どのような議論を経て、何の目的で復興庁が設置されたのか、お伺いいたします。
  123. 石田優

    石田政府参考人 お答えを申し上げます。  復興庁につきましては、非常に大規模な災害であります東日本大震災からの復興をなし遂げるために、各省庁の縦割りを排する司令塔として設置をされたものでございます。  こうした観点から、復興庁につきましては、復興事業予算の一括要求やワンストップ対応など総合調整機能を担い、また復興に関する施策の企画立案の実施等を行うということが当時の調整の中で決まり、法案として結実したものと理解しております。
  124. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 経験したことのない複合的な大災害に直面したわけですけれども、これに対して前例のない手厚い支援実施するという復興庁の全体像への評価大臣から伺いたいと思います。
  125. 田中和徳

    田中国務大臣 発災時に担当された内閣府の政務官としてのいろいろとお仕事をされた経験をもってのお尋ねでございますが、東日本大震災は、その被害が甚大かつ広範にわたるとともに、地震津波に加えて、東京電力福島第一原子力発電所の大事故による複合的な災害となったわけでございます。  その復興に当たっては、復興庁総合調整機能を担いつつ、被災地ワンストップ窓口役割を果たし、被災地実情に寄り添った、前例のない手厚い支援実施してきたところでございます。  こうした復興取組は、被災地の方々の御努力と相まって効果を上げ、被災地復興は着実に前進していると認識をしております。被災自治体からも復興庁役割について御評価をいただいているところでございますけれども、今後もこの役割をしっかりと果たしてまいりたいと思っております。
  126. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 大臣、ありがとうございます。  大臣の答弁を伺いながらちょっと思い出していたんですけれども、復興庁的なるものを新たにつくるというときに、どんなイメージでつくろうかということで、いろいろな方に実はお話を伺いました。  その中で私が一番印象に残っているのは、二〇〇四年のスマトラ沖大地震の後に復興庁長官初代に就任されましたクントロ・マンクスブロトさん、インドネシア人ですけれども、その方に、当時、玄葉光一郎内閣府特命担当大臣と一緒にお会いして、復興庁をつくるとしたらどんなイメージなのかということを伺ったことがあります。そうしたら、言下にミニ政府をつくればいいんだと言うんですね。ちなみに、インドネシアの場合は、アチェにミニ政府をつくって、全省庁の機能を被災現地に置いたということを言下におっしゃいました。ちなみに、余談になりますけれども、アチェは武装勢力もまだ残っていて、紛争もやっておりましたので、軍隊機能も有したというふうに言っておりました。  さすがに軍隊機能までは復興庁は有しないわけですけれども、いささか壮大にし過ぎたかという議論はあってもいいと思うんです。先ほど午前中の議論の中で、玄葉委員が、御厨さんの意見を、縮小型の未来像も示せということでおっしゃいましたけれども、そういう見方もあっていいと思うんですけれども、本当に復興庁はこれまで被災地の方々には愛されている、評価されているということを認識しております。  そこで、ちょっと伺いたいんですが、二〇一一年七月、東日本大震災基本法において復興庁の設置に関する基本方針が規定されましたが、その特徴は何か、お答えいただきたいと思います。
  127. 石田優

    石田政府参考人 お答えを申し上げます。  平成二十三年の東日本大震災復興基本法二十四条におきまして、復興庁の設置に関する基本方針が定められております。当該条文の基本方針におきましては、復興庁を時限組織とすることに加え、東日本大震災からの復興に関する企画立案、総合調整のみならず、実施等に関する事務についても担当するということが規定されたところでございます。
  128. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 続けて伺います。  二〇一一年十二月の復興庁設置法に基づき、二〇一二年二月に復興庁が正式に設置されました。岩手、宮城、福島県等に出先機関を設けて、被災地方公共団体における各省庁への相談窓口、ワンストップ対応を行ったわけですけれども、これはきちっと機能したかどうか、確認をしたいと思います。
  129. 田中和徳

    田中国務大臣 復興庁は、復興事業予算の一括要求、また被災地の御要望へのワンストップ対応などを担っております。また、自治体の窓口として復興局を設置して、復興事務のワンストップ対応を図ってきたところでございます。  具体的には、申請窓口としての丁寧な対応だとか、地区担当職員による各自治体を往訪しての相談窓口対応等について、被災自治体からこうした役割評価されておるところでございまして、ぜひ継続してほしいとの御要望をいただいておるところでございます。  今後も、現場主義を徹底して、被災地に寄り添いつつ、関係省庁の縦割りを排し、復興を実現するとの決意で取り組んでまいりたいと思っております。
  130. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 多少やり過ぎたんじゃないかという批判は一部にあるかもしれないんですけれども、確かに、当時、ほぼ全省庁が現地に赴いて、被災市町村や関連団体を集めて要望ヒアリングを行いました。これは、物すごく被災地の方々に喜んでいただいて、少なくとも被災者の方々を勇気づけるという意味では本当に意味があったなというふうに考えております。  次の質問に移らせていただきたいと思います。  次は、NPO等との連携について伺いたいというふうに思うんですけれども、東日本大震災からの復興基本方針において、公的主体が全力で取り組むことはもとより、民間の力が最大限に発揮されるように支援を行う旨定められています。  この基本方針に基づき、具体的にどのような主体との連携が図られるようになったのか、また、それら民間の主体への支援はどのように行われたのか、お答えいただきたいと思います。
  131. 石田優

    石田政府参考人 お答えを申し上げます。  御指摘の基本方針を踏まえまして、復興庁被災者支援を行います各県の連携復興センターとの会議、いわゆる三連復会議や、浜通り地域においては、行政復興に関わるNPO等多様な主体の活動の理解・連携連続交流会などを開催いたしまして、NPOのニーズや国の施策を直接情報交換する場を設け、NPOの活動を支援してきております。  また、いわゆる中間支援団体を通じまして、各個別のNPOの組織的運営の改善強化支援、また、行政やNPO等の活動主体間の協働体制の構築や連携を図っております。  さらに、NPOなどの被災者支援団体が行われる被災者の生きがいづくりに資する活動や県外避難者に対します支援などの取組につきまして、被災者支援総合交付金を活用して支援をさせていただいているところでございます。
  132. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 阪神・淡路大震災は、個人ボランティア活動元年というふうに言われております。そして、東日本大震災は、組織化された災害支援のスペシャリスト集団であるNPO、NGOの活動元年ということも言えると思うんです。  それを受けて、大臣に伺いたいと思うんですが、東日本大震災復興支援には多くのNPOが活動、活躍しました。復興庁とNPOの連携についてどのように評価されているかどうか、一言、じゃ、副大臣、お願いいたします。
  133. 横山信一

    ○横山副大臣 私の方から御答弁をさせていただきます。  復興まちづくり、コミュニティー再生支援等の幅広い分野で行政機関等との連携をしており、これにより、復旧復興の各段階でNPO等多様な主体が力を発揮してきたと認識をしております。具体的には、仮設住宅、復興公営住宅等での生活支援や孤立防止の見守り訪問活動、サロン活動など、被災者一人一人に細かく対応していただいたと評価をしているところでございます。  復興の進捗状況地域、個人の課題が多様化し、きめ細かいニーズ把握や取組が求められており、引き続き、NPO等の活動への期待や果たすべき役割は大きいと考えております。
  134. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 今副大臣がお答えになったとおり、NPOの活躍は、今回の東日本大震災で非常に大きな役割を果たしたのかなというふうに考えております。石田統括官がちょっと触れましたけれども、特に、NPOの中のNPOというんでしょうか、中小の点在するNPOを統括するというか、まとめる役割も果たしている中間支援団体の育成強化復興庁連携しながらやっていったというのが非常に大きな意味を持っておるというふうに考えております。このノウハウも、ぜひ次世代に引き継いでいただきたいと思っております。  もう一つ復興庁の功績を、私の印象に残っていることを述べれば、復興庁社会福祉協議会やNPOと連携して、先ほど副大臣がおっしゃった仮設住宅等の見守りを徹底して行ったことは、災害関連死から命を守る一定の効果があったというふうに私は考えております。やはり、防災減災考えるときにまずしなければならないのは、直接死をいかに最小化するかということだと思います。その後、発災の前後での処理、処理というか務めが終わった後に、今度は、大きな災害においては長いレンジで、災害関連死あるいは震災関連死というものをできるだけ少なくするように、ありとあらゆることをやっていかなければならないと思っています。  ちなみに、直接死と災害関連死、どっちが多いかというと、普通、直接死の方が圧倒的に多いのではないかというふうに想像しますけれども、例えば岩手、宮城だと、直接死に比べて一〇対一ぐらいです、災害関連死、震災関連死が。ところが、熊本地震のときは一対四なんですね。つまり、直接死で亡くなられた方は五十名ぐらい、だけれども、災害関連死で亡くなられた方は二百二十名に上ったわけですね。これは、基準も微妙に違いますので、一概に数字だけで比べることはできないんですけれども、ちなみに、福島の場合は、やはり原発事故を伴う複合被害だったということもあって、残念ながら直接死よりも災害関連死の方が多いんですね。比率でいうと一対一・二五ぐらいです。  これからの防災、特に南海トラフとか首都直下を想定した場合に、災害関連死の方もいかに少なくすることができるかというために、いろいろな施策を打っていかなければならないというふうに考えております。  次の質問に移ります。  ここまでは復興庁評価する思いをお伝えしてきたんですけれども、ちょっと心配な部分の質問をさせていただきます。  東日本大震災十周年事業として、全世界へ向けた感謝や復興の姿の発信、復興ノウハウの総括の二つを目的に、シンポジウムの開催、復興発信イベント、ノウハウ集の作成の三つが挙げられていますけれども、三つの事業概要とそれぞれの予算を簡単にお答えいただければと思います。
  135. 石田優

    石田政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の件は東日本大震災十周年事業でございまして、令和二年度、今年度の予算におきまして計約一・二億円を計上しております。  まず、そのうち、この内容につきましては、シンポジウム等が入りますので、この後の新型コロナウイルスの感染状況等を見ながら、場合によっては内容等の再検討もあり得ますけれども、現段階では、大きくは、有識者また関係者等を招いてのシンポジウムの開催、また、NPO等からの公募によりまして支援ノウハウ共有を図るとともに、支援に対する感謝の発信を行います復興の発信事業、また、復興に係る取組事例を収集、調査、分析して取りまとめますノウハウ集の作成、大きくこの三つを想定してございます。  各事業の予算につきましては、公募等によりまして、その結果による予算の執行の額が変動する可能性がございますが、予定金額としては、情報発信系のシンポジウムの開催及び復興発信事業について、約七千六百万円以内を予定してございます。また、ノウハウ集の作成については約四千万円以内を想定しているところでございます。
  136. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 今、ノウハウ集の作成という話がありましたけれども、この事業のイメージと目的、もっと言えば、何を具体的に復興ノウハウとするのか、お答えいただければと思います。
  137. 石田優

    石田政府参考人 お答え申し上げます。  本事業は、復興に係ります取組事例を収集いたしまして、調査、分析をして、教訓・ノウハウ集として取りまとめ、国、地方公共団体などの関係者に普及をすることによって、東日本大震災のみならず、今後想定される災害からの復興に資することを目的としてございます。  ノウハウの具体的な内容は、今後の事例の収集やその調査、分析によるところがございますが、例えばですけれども、被災者のステージや生活状況に応じたきめ細やかな支援に係りますノウハウ、また、被災者の住宅再建に向けました仮設住宅から恒久住宅への切れ目ない対応に係るノウハウといったものが想定できるというふうに考えているところでございます。
  138. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 十年間を振り返り、検証して、これからの復興あり方を住民とともに考え取組の重要性をどのように認識しているのか、お伺いしたいと思います。
  139. 田中和徳

    田中国務大臣 東日本大震災の発災から復旧復興に至る過程で行われたさまざまな取組を検証し、そこから得られた知見共有し、活用していくことは極めて重要であると認識をしております。  今年度取りまとめる予定でございますノウハウ集を作成する際には、被災地で活動するNPO等、住民の皆様のお話をしっかりとお伺いをし、御意見も反映をさせたいと考えておるところでございます。  復興庁としては、今後とも復興施策実施を通じて得られた行政の内外の知見を積極的に活用してまいりたいと思います。過去の阪神・淡路大震災あるいは中越地震等のことも踏まえて、しっかりと取りまとめをし、活用してまいりたいと思っております。
  140. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 今大臣に先回りをして言われてしまいましたけれども、私は、この十周年事業、今示されているものを見ると、ちょっと、外向きのPRに重点が置かれ過ぎていないかというふうに感じていたんですね。ただ、今大臣がおっしゃったとおり、まさに県民というか被災者の思いに沿って検証していくことが大事だと思っていて、私は今行うべき十周年事業の一番大事なものは復興十年の検証だというふうに思っています。  それで、確かに、くどいですけれども、昨年、ワーキンググループで検証をやっていらっしゃいますけれども、これは復興庁施策を取りまとめた資料に対して有識者が意見を述べるというものなんですね。ワーキンググループの開催はわずか五回です。現地調査も一日ずつ三県をやっただけで、議論時間はわずか十時間程度。  このワーキンググループの総括の内容は好意的に受けとめているんですけれども、例えば阪神・淡路大震災から十年目の節目に兵庫県が何をやったかというと、六分野、五十四テーマにわたる検証を行っているんですね。その検証において、成果、できたこととともに、課題、できなかったことを明示して、その課題を解決するための提案がなされております。  ちょっとポイントだけ申し上げると、共生の視点と県民、被災者の立場からの検証ということで、やり方は、県民の皆さん意見を把握するためのワークショップ、NPO、NGO等による事後検証も含まれていますし、共生の視点も入っていて、障害者、高齢者、子供、女性、外国人県民などとの助け合い、支え合いに向けた視点での検証も入っておりました。  私は、これからの十年において、ぜひこういった検証に取り組んでいただきたいということをこの正式な委員会の場で申し上げておきたいと思います。  ちょっとコミュニティーの再生について飛ばさせていただいて、最後の質問に移りたいと思うんですが、防災復興庁の設置について伺いたいと思います。  内閣防災とのノウハウ共有は定期的に行われているのか、あるいは今後常設の内閣防災との共有会議を設ける考えがあるのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  141. 石田優

    石田政府参考人 お答えを申し上げます。  内閣防災など関係機関とのノウハウ共有につきましては、大規模災害に対する防災力向上への寄与等の観点から、今後強化していくべき課題考えております。  復興に係ります復興庁ノウハウ共有活用につきましては、全国への情報発信等に努めているところでございますが、政府内におけるより一層の活用に向けまして、今後、関係行政機関等とよく連携しながら、共有活用の具体的なあり方検討させていただきたいと思っております。
  142. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 私が用意した最後の質問に移りたいと思うんですが、きょうは、横山信一副大臣にお越しいただきまして、ありがとうございます。ここからはゆっくりお話を伺いたいと思うんですけれども、現在の復興庁内閣府の防災担当部局の統合により、東日本大震災復興とともに、相次ぐ自然災害等にも対応するため、防災専門人材の育成と緊急体制の整備を担う防災復興庁、仮の名前ですね、を創設するべきというふうに私は考えるんですけれども、副大臣、いかがでございますでしょうか。
  143. 横山信一

    ○横山副大臣 阿久津委員からの大変貴重な御提言だというふうに受けとめております。  私の所属する公明党では、昨年の参議院選の重点政策の中にもこの防災復興庁創設というのを掲げているところであります。  復興庁といたしましては、まだ道半ばである東日本大震災からの復興に対しては、司令塔機能を維持して政治責任とリーダーシップを発揮して取り組むべき課題であることから、復興庁現行体制を継続するということにしております。  将来の復興庁体制については、大変に貴重な御指摘をいただいたと思っておりますが、まずは東日本大震災からの復興に専念することが必要だと考えているところでございます。
  144. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 慎重答弁をされたというふうに思うんですけれども、山口公明党代表は重要な指摘を二つされているんですね。一つは、復興防災司令塔組織内閣府に設けてはどうかという言い方をされています。それからもう一つ、特に福島に重点を置いた司令塔機能を確保することが大事だと。逆の言い方をすると、福島復興は、今回十年延長されますけれども、そう簡単に終わらないよということも含めておっしゃっているんだというふうに思うんですけれども、私の個人的な意見を申し上げれば、内閣府外局として新たな、防災機能と復興機能両方を兼ね備えた省庁ないし局をつくるべきではないかというふうに考えております。  なぜ外局かというと、外局の方が権力も強まって総合調整しやすいからです。ただし、外局とすると、総理の権限が及びにくくなってしまいます。だから、その場合は、総理の関与の線を一本引いておく、総理が主任ということも何らかの形で明記する方向で今後御検討いただければありがたいなというふうに考えておりますし、この点をぜひ、復興庁が延長されたわけですから、いきなり八年後とか七年後に、じゃ、次の新しいものをつくろうといっても、もうそんなときにはできないと思うんですね。だから、私は、やはり次の五年をめどに、もし組織改編をちゃんとやるなら考えていただきたいというふうに思っております。  コミュニティーの再生についてお話ができませんでしたけれども、私が言いたかったことを一点だけ付加すると、コミュニティーの再生では、今後の課題は、災害公営住宅等での孤独死の増加傾向への対策だというふうに考えております。もう十分おわかりだと思いますけれども、ぜひそこの点もよろしくお願いいたしまして、私からの質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。
  145. 伊藤達也

    伊藤委員長 次に、金子恵美君。
  146. 金子恵美

    金子(恵)委員 立国社共同会派の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。  まず、新型コロナウイルスで亡くなられた皆様方に心から哀悼の意を表しますとともに、今なお病床にある皆様方の早期御回復を心よりお祈り申し上げます。  そしてまた、新型コロナウイルスとの戦いをされている医療従事者の皆様方を始めとして、私たちの命と生活を守っている全ての皆様方に心から敬意と感謝の意を表したいと思います。  そして、そのような方々、医療従事者の方々、御家族、そしてまた罹患された皆様方、御家族、そういう方々に対する心ない言葉対応というのがあるということでございます。極めて残念でなりません。  このような差別やいじめが今社会に存在しているわけでありますけれども、振り返りますと、東電福島第一原発事故後、私たち福島県民に向けられた差別、特に県外避難者の方々に対するいじめや差別というものと重なる部分があるなというふうに感じているところでもあります。あのときも、福島県民は、放射能にだけではなくて、人に傷つけられました。そして、今は、ウイルスにだけではなくて、人に傷つけられている。そして、心のケアも必要となっている人たちがふえているのではないかというふうに思います。  政府としては、この不当な差別や偏見を防止するためのテレビスポットCMなどを流して取組をしているとは言っているのですが、それだけではなくて、やはりしっかりとした心のケアを改めてするということが必要になってくるのではないかというふうに思っております。  それで、この心のケアについてどのように進めるのか、そしてまた、原発事故の際の教訓を生かすべきというふうに考えますけれども、きょうは小島厚労政務官にもおいでいただいておりますので、御答弁よろしくお願いいたします。
  147. 小島敏文

    ○小島大臣政務官 お答えいたします。  先ほど先生がおっしゃるように、こうした感染症とか感染の患者とか医療関係者、また家族の方々に対して、非常にこうした差別とか偏見、本当に許されない、このように思っております。  そういう中で、先般の五月の十四日の専門家会議におきまして、偏見や差別の撲滅については、疾患に対する正しい認識の周知に努めるとともに、人権が侵害されるような事態が生じないよう適切に取り組むべきであるというふうに専門家会議でも言っております。そういう中で、国民の方々に正しい感染症の知識とか予防等を正しく理解していただくということが重要であろう、このように考えております。  このため、厚生労働省といたしましては、と同時に、国立感染症研究所におきましては、国民の皆様に正確な情報を周知するため、新型コロナウイルスに関する基本情報や感染予防策など重要な情報につきまして、ホームページを開きまして周知しているところでございます。  さらに、コールセンターを設置いたしまして、週末や祝日も含めまして、国民の皆様からの問合せにしっかりと対応しているというところでございます。  同時に、国もですけれども、都道府県とか指定都市におきましても、設置しております精神保健福祉センター等におきましても、しっかりとそうした心の悩み等対応しているというところでございます。  いずれにしましても、しっかりと国民の方々の偏見がなくなるようにこれからも努力したい、このように考えております。
  148. 金子恵美

    金子(恵)委員 ありがとうございます。  震災後、被災者の心のケア支援事業というものが存在をしているということで、今に至っております。  今回の法改正によって復興庁は十年間延長ということでありますが、心のケアについては五年の区切りとか十年の区切りで終わるものではないということで、今後も、この心のケア等の被災者支援というものが必要になってくるということで、改めてこの継続についてしっかりとお考えいただいているということを確認をさせていただきたいというふうに思いますし、そしてまた、改めて、このことが、今のこのコロナ禍にあって、しっかりと教訓となっているのか。  私はこの心のケア支援事業自体も決して全てが十分であるというふうには思っておりませんで、お手元に、この心のケア支援事業の資料、これは厚生労働省の心の健康支援室そして依存症対策推進室というところからいただいた資料ではありますけれども、つまり厚労省の方でつくった資料なわけです。  実際に、予算被災者支援総合交付金百五十五億円の内数で、年間だと、今年度ですと十五億弱でありますから、十分の一なわけですね。ですから、この資料を見ると、百五十五億も行っているんですかと思いますけれども、そうではないということを改めて申し上げさせていただきますし、いろいろとやりとりをしていますと、自治体からの要望に基づいてこの金額だというふうにはおっしゃるんですけれども、では、考えていくと、ここ、業務概要も見ていただきたいというふうに思います。  個別相談支援、訪問による相談支援、そしてまた多職種で構成されるチームによる訪問支援、アウトリーチ、訪問が主な心のケア支援ということになって、相談支援ということになっていくわけなんですね。今、このコロナ禍にあって、なかなか訪問ということができない、フェース・ツー・フェースでの心のケアというものを提供できないというふうな状況もあるというふうに思います。  この心のケア支援事業につきましては、私は以前、昨年の三月の当委員会においても、当時の渡辺大臣に対して質問させていただきまして、そのときは、例えば、この実施主体のところにあります心のケアセンターとあるんですけれども、ここの職員の確保が難しい理由としては、例えば、予算も単年度予算、そして雇用契約も単年度というふうになっているのでなかなか難しい。そのようになっている理由としては、やはり継続性、この支援事業の継続性というのが明確でないから単年度の雇用であって、そしてまた予算もそのような形なのでということなわけですね。  ですけれども、私、この問題意識を申し上げたときに、当時、渡辺大臣は、「雇用のあり方についても、これも検討課題だというふうに思っております。」とおっしゃっていただいた。ということは、検討課題であって、課題があるということは御認識いただいたんだと思うんです。  そこから今に至るまで、どのように検討されて変わってきたかということも含めて、本当に重要な支援事業でありますので、大臣から御答弁いただきたいと思います。
  149. 田中和徳

    田中国務大臣 今、金子委員からいろいろとるるお話がございました心のケア支援事業の件でございますが、心のケアの支援事業を担う心のケアセンターは、被災者の悩みや不安の相談に応じ、また、被災者支援に重要な役割も果たしておりまして、昨年末の基本方針においても、心のケア等の被災者支援について、事業の進捗に応じた支援を継続していくこととしておるところでございます。  今指摘されました心のケアセンターの職員の雇用について、国の予算制度が複数年度雇用を妨げるものではないが、将来的な予算確保に関する不安から単年度契約が行われていることを承知をしておるところでございます。  単年度予算の制約はありますけれども、国として継続して必要な予算の確保に努めていく旨の周知を関係者に対して図ることで、専門性を持った職員の継続的な雇用を確保していただけるよう努力をいたしてまいりたいと思っております。  また、さまざまな支援者の連携を促して、被災者の多様なニーズに寄り添った柔軟な対応ができるよう着実に支援を行ってまいりたいと思っておるところでございます。
  150. 金子恵美

    金子(恵)委員 ありがとうございます。  雇用の問題については、しっかりと発信をしていただいて、この継続性についてしっかりと担保していただけるような仕組みづくりをやっていただきたいというふうに思いますし、また、今申し上げましたように、訪問というような形での心のケアができない場合、実際に、オンラインカウンセリングというのはなかなか日本ではまだ広がってはいませんけれども、こういう方法もあるということで、いろいろな形での心のケアをしていく検討を進めていただきたいというふうに思います。  今、オンラインカウンセリングというのをされている方々がいらっしゃるわけですけれども、これは重要な観点だというふうに思いますので、今後のコロナ後のことも含めまして、私たちは今考えていかなくてはいけないというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に参りますけれども、また、資料の二枚目を見ていただきますが、極めて残念なんですが、私の地元福島で、災害公営住宅で孤独死をされた方の記事が地元紙に掲載されまして、課題といたしましては、そもそも災害公営住宅自体が孤立化している状況になっていないだろうか、そこにお住まいの皆様方が孤立化している状況にあるだろうという、そういう部分から、今回、新型コロナウイルスの問題で見守りが困難になってしまったということで、死後二カ月もたっていたということでありました。  面的に広く帰還困難区域がある浪江町から避難をされている方でありますが、浪江町の社協の皆様もきっと頑張ってこられたのだろうと思います。しかし、今回のようなコロナウイルスの問題があったということで、見守りについても新たな形でいろいろ考えていかなくてはいけないんだろうというふうに思いますし、新しい生活様式というふうに言っていますけれども、どのような形で命とそして人々の生活を守っていくかということをこれからもしっかりと検討していかなくてはいけないというふうに思っているのですけれども、災害公営住宅における孤独死の現状についての御認識をお伺いします。
  151. 田中和徳

    田中国務大臣 今御指摘の事案について、私も新聞の報道記事も拝見しましたけれども、本当に痛ましいことであり、まことに残念なことでございまして、亡くなられた方に対しまして心より御冥福をお祈りを申し上げる次第でございます。  ウイルス感染症の拡大防止策を講じつつ、被災者への見守り支援を継続することは本当に重要でございまして、厚労省が留意事項を示した事務連絡を発出したと承知をしております。  復興庁においても、自治体等から被災者支援事業の内容変更等の相談があれば、柔軟に応じてまいりたいと思っております。  また、災害公営住宅等に転居された方の孤独死の防止についても、日ごろから孤立の防止やコミュニティーづくりが非常に重要でございまして、このために、自治会の形成支援や交流会の開催などのコミュニティー形成支援、生活支援相談員による見守りの実施、生きがいづくり等の心の復興などの自治体の取組被災者支援総合交付金によって一生懸命応援もしてまいりました。  昨年取りまとめた復興の基本方針において、復興創生期間後もこうした支援を継続することとしておりまして、引き続き被災者に寄り添った取組推進してまいりたいと思います。  特に今、コロナのことで大変な事態が起こっておるわけでございまして、この現実にも即して対応していかなければならない、この思いを強くしております。
  152. 金子恵美

    金子(恵)委員 ありがとうございます。  そもそも、まずは、コミュニティーの形成等が難しい状況でもあったというふうに思いますし、例えば、私、前回の委員会でも、福島大学や岩手県立大学の研究グループ等が行ったアンケート調査について触れさせていただいたんですけれども、その中で、困り事を相談する相手がいないと半数近くが回答し、誰が入居者かわからないと約七割が回答しているという災害公営住宅の状況であります。  そこに、今のような新型コロナウイルスの感染症の問題が出てきているということでありますので、二重三重で厳しい孤立化が進みつつあるということを理解をいただいて、御対応いただきたいというふうに思います。  時間の関係で次に行かせていただきますけれども、一つ質問を飛ばさせていただきまして、復興財源に充てる政府保有株式の売却の見通しについて伺いたいと思いますが、その前に、小島政務官、ここまでで、御退席いただいて結構でございますので、コロナ対策、ぜひ頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  153. 伊藤達也

    伊藤委員長 政務官、退席していただいて結構です。
  154. 金子恵美

    金子(恵)委員 それでは、続けまして、本会議でも私は質問させていただきまして、財源確保、どうなるんだということでありましたけれども、復興特別所得税の税収の上振れの実績を踏まえて、この税収の上振れ分で賄うことができるから、復興創生期間後五年間の復興財源は新たな財源の確保というのは必要がないというようなことを政府はおっしゃっている。  本当にそれで大丈夫なのか。このコロナ禍の中で、新型コロナウイルスの経済への深刻な影響というのがある中で、その上振れ分というものは本当に大丈夫なのか、確保できるのかということも本会議質問させていただきました。短期的な影響であって、長期的には影響はないから大丈夫だという御答弁ではあったんですが、復興財源の確保というのは本当にとても重要な部分でありまして、これがなければ何もできないわけです。幾ら十年間延長する、五年間これをやる、あれをやると言ってもだめです。  ですから、しっかりとここは担保していきたいと思うんですけれども、復興財源に充てる政府保有株式の売却の見通しについてお伺いさせていただきたいんですけれども、一つ日本郵政株式であります。  復興財源の一つとして、政府保有の日本郵政株式会社の株式の売却収入が充てられているわけです。これまで、一次、二次と売却し、約二・八兆円の収入を得ていますけれども、政府が目標としているのは四兆円です。ですから、残りの約一・二兆円の売却収入が確保できていないということであります。  では、実際に、昨年の五月、三次売却に向けて準備はしたのですけれども、かんぽ生命保険の契約締結に当たり不正な行為が発覚したということで株価が急落しました。そのことによって、なかなかその売却収入の確保というのはできない、難しくなってきているという状況であります。まずは、市場動向を正確に見きわめながら、把握しながら、復興債の償還費用が少しでも多く得られるような適切な時期を見定めるということが必要になってくるというふうにも思います。  もう一点は東京メトロ株であります。これも復興財源に資するということでありますが、売却のためには、政府は、まず上場しなければならないということでありまして、ただ、同じく東京メトロ株を保有する東京都が上場に慎重な姿勢を示しているので売却のめどが立っていないと報じられてもいます。  この二つの株式について、ぜひしっかりと復興財源に充てる方向づけをしていただきたいというふうに思いますけれども、きょうは井上財務政務官おいででございますが、御答弁をお願いいたします。
  155. 井上貴博

    ○井上大臣政務官 御質問ありがとうございます。  もうほとんど金子先生がお答えになられたような内容になるかと思いますけれども、今お話しいただきましたとおり、復興財源の政府保有株式、日本郵政と東京メトロについて御質問いただいております。  今お話がありましたとおり、これまで二度の売却をして、二・八兆円の売却収入を得たところであります。昨年五月には三次売却に向けて実際の売却時期を検討しております。そういう状況下の中で、実際、売却の時期というのは、株式市場の動向等、日本郵政の、今お話があったとおり、経営状況を注視しながら慎重に検討していきたいというふうに思っていまして、確実な財源を確保したいというふうに思っております。  次に、東京メトロの株式については、東京メトロも完全民営化するということで、地下鉄株式会社法の趣旨を踏まえて、主務官庁である国土交通省と東京都ともに、売却に向けた調整をさせていただいております。  これらの株式は、国民共有の貴重な財産でもありますので、適切に売却することで復興財源を確保できるようにとり行っていきたいというふうに思っております。頑張ります。
  156. 金子恵美

    金子(恵)委員 最後に政務官から頑張りますというお言葉もいただきました。ぜひよろしくお願いしたいと思いますし、東京メトロ株については東京都との調整というのが必要であるということでありますけれども、郵政の方は、かんぽ生命保険の問題への対処状況というものをどういうふうに評価するか、そしてまた、今後株価がどうなっていくかということをしっかりと見きわめていくということにもなっていくというふうに思いますので、ぜひ、財源確保、よろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございます。  それでは、次の質問に参ります。  ちょうど十五日に開かれました福島新エネ社会構想実現会議において、構想の骨子案、展開の方向性というものですが、それが示されました。福島県が発信源になって、再生可能エネルギーの聖地となって、そして、これが日本全国に広がればいいなという願いを持っているところでございますけれども、国と県がもちろん両輪になってやっていますが、やはり地域皆さんも一体となってこれを進めていくということも重要であろうかというふうに思います。  どのような構想で、どのように今後進めていくのか、中野経産政務官おいででございます、よろしくお願いします。
  157. 中野洋昌

    ○中野大臣政務官 金子委員の御質問にお答え申し上げます。  委員質問になりました福島新エネ社会構想は、福島を未来の新エネルギー社会を先取りをするモデル創出の拠点とするということを目指しまして、再生可能エネルギーの導入拡大、水素社会実現に向けたモデルの構築、そしてスマートコミュニティーの構築の三つを柱としまして、総理の指示のもと、二〇一六年九月に策定をいたしました。本会議関係者を構成員とした福島新エネ社会構想実現会議を定期的に開催し、進捗状況の報告を行うことで、それぞれの取組を着実に進めていっております。  そして、御質問いただきました、先日の十五日には実現会議を開催をしまして、これまでの取組の成果も踏まえながら、二〇二一年度以降の第二フェーズに向けまして、今後のさらなる展開の方向性を提示をさせていただきました。  具体的には、一つは、再エネ社会の構築に向けまして、風力発電の産業拠点を創出をすることなどにより、再エネのトップランナーの県としての最先端の取組を加速をすること、そしてもう一つは、水素社会の構築に向けまして、計画的な水素ステーションの整備、また、燃料電池自動車、バス、トラックなどの導入、公共施設等における水素の利活用推進など、この第二フェーズを社会構築、実装への展開とするための取組を盛り込ませていただきました。  今後、本構想の改定に向けた議論を進めまして、これらの取組を実現させていくためには、福島県はもちろんのことでございますが、実現会議の構成員でもございます福島県の商工会議所連合会などからもよく御意見をお伺いしながら、まさに委員がおっしゃったような、地元と一緒にということが一番大事であると思っております、地元企業と一緒に本構想をしっかり進めてまいります。
  158. 金子恵美

    金子(恵)委員 地元と一体となりながらも、そしてこれをしっかりと全国に、そして世界に発信していく仕組み、ぜひつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、環境大臣、石原副大臣おいででございますので、汚染土の再生利用について、除染の除去土壌の再生利用、これについておただししたいと思います。  省令改正、四月にもということだったと思いますが、それは断念されたということです。多くのパブリックコメントがあって、慎重にというお声だったということであります。一方で、今、実証事業が行われていて、南相馬市の東部仮置場、そして飯舘村の長泥地区、この二カ所で行われているわけです。中間貯蔵施設がどうなっていくのか、最終処分場がどうなっていくのか、こういうことと全て一緒に一体となってこの議論を進めていく必要があります。  ここのところの話題としては、飯舘村では帰還困難区域の避難指示を一括解除する方針案をまとめているわけですし、特定復興再生拠点区域外の除染を今後どうするか、実施するのかどうか、そのことについてもまだ国としては決めていないわけですし、そのことを検討しながらも、やはり、放射能で汚れてしまった地域をどのように再生していくかという課題になっていくんだというふうに思います。  今後、この具体的な検討をどのように進めていくか、改めて副大臣にお伺いしたいと思います。
  159. 石原宏高

    ○石原副大臣 いろいろな論点が重なって言われたんですけれども、再生利用について御説明をさせていただきたいと思います。  福島県内における土壌等の除染等の措置により生じた汚染土壌等については、中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずることとされておりますけれども、最終処分量を低減するために、除染土壌等の減容、再生利用を進めているところであります。  再生利用の推進に当たっては、地元皆様の御理解が重要であり、先ほど金子先生が言われたように、地元皆様の御理解をいただきながら、実証事業を二つの場所で実施をさせていただいております。今お話がありましたように、南相馬市の東部仮置場と飯舘村長泥地区において盛土を造成して、空間線量等のモニタリング結果から安全性も確認をしているところであります。  飯舘村長泥地区においては、試験栽培等により農地としての安全性を確認中でございまして、今年度もさまざまな作物の試験栽培を実施をしようとしております。そういう観点からも、実は省令の見送りというのも、飯舘村の方からも御意見もいただきまして、パブリックコメントもありますけれども、判断をさせていただきました。ことしの飯舘村の新たな作物の栽培の結果、成果等も踏まえて、更に再生利用の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  いずれにせよ、再生利用の必要性や放射線にかかわる安全性等については、理屈だけではなくて、信頼を得られるように、実証事業の結果等を含め、丁寧な説明をしっかりと行って、関係省庁とともに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  160. 金子恵美

    金子(恵)委員 農地として、食べる農作物をつくる実証事業を進めるということだというふうに思うんですけれども、今までは花などをつくっていて実証事業をやっていたということでありますけれども、今度は食べるものをつくるわけですよ。そうすると、やはりそこからまた新たな風評被害等が起こるのではないかとか、そういうことも含めて、しっかり対応していく課題というのが出てくるのだと思います。  今、情報発信をしっかりやるというふうにおっしゃったんですけれども、そこは本当に丁寧にやっていかないと御理解というのはなかなか得られるものではないというふうに思います。そしてまた、危険なものは危険とちゃんと言っていくべきだと私は思いますので、人の命を守るという点でも、環境省はもちろんそれを進めてきたわけですから、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは、最後の質問になりますけれども、今、農作物を除去土壌でつくってみようという、そういう取組、実証事業の話もありますけれども、営農再開をしっかりと沿岸部でもやっていこうということでありますが、今回の福島復興再生特措法の一部改正案には、被災十二市町における営農再開に向けた農地の利用集積の促進をするために、福島県が計画を作成、公示し、所有者不明農地も含めて一体的に権利設定できる仕組みを導入するということ。そしてまた、六次産業化施設の整備の促進のために、計画に記載することで農地転用等の特例を適用するということも盛り込まれているわけです。  これをするためにもだというふうに私は理解をしておりますが、今年度から、この十二市町村に農水省の職員の方々が張りついているということであります。私はやはり、以前から申し上げているんですが、しっかりと被災地のことを理解してくださっている方々に行っていただきたいというお願いと、それと、やはり腰を据えて対応していただきたいわけなので、頻繁に職員の方の入れかえというのがあってはいけないというふうに思っているんです。  営農再開というのは、本当に中長期的に対応しなくてはいけない内容となっていると思います。副大臣、いつも福島にお運びいただいてありがとうございます。御答弁をお願いいたします。
  161. 伊東良孝

    ○伊東副大臣 原子力被災十二市町村におきましては、営農再開面積がまだ約三割というところにとどまっておりまして、再開に当たって担い手の確保やあるいは農地の利用集積が重要な課題になっているところであります。  今先生からお話がありましたように、農水省では、本年の四月から、三十二名の体制によりまして、この十二市町村に対する人的支援を行っているところであります。十二市町村派遣職員は十四名、この市町村派遣職員のサポートチーム十八名でありまして、東北農政局勤務経験者が大半であります。この十二市町村に派遣された職員は、整備を要する農地面積等の基本データの収集、分析、また関係者との意見交換やニーズの把握等を支援をしているところであります。  今般御審議をいただいておりますこの福島復興再生特別措置法の改正におきましては、営農再開の加速化に関する特例を規定するとともに、四月から、派遣職員が核となりまして、福島県あるいはJAまた官民合同チーム等と一体となって、この十二市町村でそれぞれ異なるニーズがあるものでありますから、現場のニーズをしっかり踏まえながら、帰還者やあるいは移住者等の促進による担い手づくり、集約化による営農基盤の確立に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。
  162. 金子恵美

    金子(恵)委員 時間が参りましたので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。
  163. 伊藤達也

    伊藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  164. 伊藤達也

    伊藤委員長 これより討論に入ります。  討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。
  165. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、復興庁設置法等の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。  東日本大震災から九年三カ月たちました。被災者は十年で区切りをつけることはできません。  せっかく再建を果たした沿岸部の中小企業、業者が倒産に追い込まれています。ようやく移り住んだ復興公営住宅は、ついの住みかではありませんでした。支援の縮小で家賃が上がり払えないという声や、収入が公営住宅の基準を超えてしまったと退去を余儀なくされる事態が生まれています。孤独死もふえています。福島では、全ての市町村が一部でも避難指示解除を果たした一方、応急仮設住宅から先の行き場を失った被災者もいます。  こうした被災地実情から見れば、法案復興庁の設置期間を延長することは当然であります。しかし、復興交付金は廃止となるため、復興公営住宅の家賃特別低減事業も打ち切られます。基本方針では別の補助により支援は継続すると言いつつ、支援の水準を見直しすると答弁されたことは重大です。供用開始後十年間は約束されていると信じていた被災自治体に対する裏切りです。家賃補助のスキームを維持し、収入超過者も含め、住み続けられる支援検討すべきです。  また、福島イノベーション・コースト構想推進のため、国が職員派遣という形で乗り出し、知事の認定を受けた事業者に課税特例を適用します。新たな技術開発と人の呼び込みに期待し巨額を投じる一方で、八割の県民は知らないと言っている同構想が県民に何をもたらすのか、厳しく見ておく必要があると思います。  法案に反対する最大の理由は、原発事故の原因者である東京電力責任を免罪し、そのツケを国民、被災者に転嫁するからです。  法案では、中間貯蔵施設費用などを拠出する電源開発促進勘定に、将来的な繰戻しを条件に、エネルギー需給勘定からの繰入れを可能としました。中間貯蔵施設費用約一兆六千億円は、本来、放射性物質汚染対処特措法の規定に基づき、東京電力が負担するとされています。この間の閣議決定により、国が返済の必要がない資金交付を行い、交付期間の延長や交付額を増額してきた結果のびほう策にすぎず、断じて認められません。  これまでも、廃炉や賠償、除染について、制度上は東電が支払う形をとりながら、実質は国が負担をしてきました。その原資は電気料金に含まれてきたものです。その上、最も被害の大きかった帰還困難区域の除染や拠点形成に対し、東電責任を負わせないことも道理がありません。そうした中での汚染水の海洋放出は、厳格な食品検査などで売上げを回復させてきた生産者や販売、観光など関係者の努力を踏みにじるものであり、許されません。コロナ禍のどさくさ紛れに結論を出すようなことはあってはならないと念押ししておきたいと思います。  以上で反対討論を終わります。
  166. 伊藤達也

    伊藤委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  167. 伊藤達也

    伊藤委員長 これより採決に入ります。  内閣提出復興庁設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 伊藤達也

    伊藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  169. 伊藤達也

    伊藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、小里泰弘君外二名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。落合貴之君。
  170. 落合貴之

    ○落合委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。     復興庁設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。  一 復興創生期間後の復興事業規模の縮小と新型コロナウイルスの感染拡大による苦境に係る被災地の現状把握に努めるとともに、地元の要望を踏まえた経済支援策の実施検討すること。また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う非常事態措置により人の交流や移動の自粛が求められていることから、収束後を見据えた観光業等を支援するための対策検討すること。  二 東日本大震災において蓄積されたノウハウを活かし、被災者に対し実施された各種支援策を新型コロナウイルスにより苦境にある事業者等への支援策に活用することを検討すること。  三 復興庁被災地のニーズにワンストップ対応できるよう、更に権限強化を図るとともに、これまで蓄積した復興に係るノウハウ関係行政機関と共有し、今後起こり得る大規模災害活用していくこと。また、複合災害である東日本大震災の教訓を踏まえた災害時のデータ収集及び活用の在り方を検討すること。さらに、オンライン等の活用を含めた防災教育の拡充にも努めること。  四 岩手、宮城の復興局の位置を政令で定めるに当たっては、被災地方公共団体の意見を十分に踏まえて決定するとともに、被災地復興が着実に進展するよう十分に配慮すること。  五 「新しい東北」に資する国際リニアコライダー等の国際研究開発プロジェクトが我が国で実施される場合には、被災地に誘致されるよう関係機関と連携、協力すること。  六 心のケア等の被災者支援等については、時間の経過とともに被災者の個々の事情に即したきめ細やかな対応が必要であることから、実情の把握に努め、被災者ひとりひとりに寄り添った対応をとること。また、被災者のコミュニティ形成や居場所づくりを支援するNPO法人等に対する支援を講ずること。  七 児童生徒への心のケアは長期にわたることを踏まえ、特別な教員加配、スクールカウンセラー等の配置等の支援策は今後も継続すること。  八 人口減少に歯止めがかかっていない被災地に対し、移住・定住促進策を検討すること。  九 住宅再建が遅れている地域における事業の加速化を図るため、建設事業者等への支援策を検討すること。  十 土地区画整理事業等による宅地造成後に生じた空き区画等の利用を促進するため、その解消に向けた必要な措置を講ずること。また、移転跡地の利活用促進に向けた必要な措置を講ずること。  十一 政令で定めるとされる復興推進計画及び復興整備計画の対象地域復興特区税制の対象地域については、復興状況や必要となる事業の見込みだけでなく、被災地意見にも十分に配慮すること。  十二 帰還・移住等環境整備交付金については、福島県及び対象市町村がその地域の特性に即して自主的かつ主体的に事業を実施できるよう十分な予算を確保するとともに、新しい住民の定着につながる魅力的なまちづくり等に資するよう、柔軟な執行ができるようにすること。また、帰還政策に加え、移住政策が推進されるとしても、自主避難者、県外避難者を含めた避難者の人権を最大限尊重し、最後の一人に至るまで必要な支援を継続すること。  十三 避難指示解除区域等の農業については、地元の担い手に加えて、意欲を持った外部からの参入も含めた農地の利用集積や六次産業化施設の整備を促進し、営農再開の加速化を図ること。また、福島県知事による農用地利用集積等促進計画の作成に当たっては、所有者不明農地を含めた一体的な権利設定や農地転用等の特例を十分に活用できるよう、福島県や対象市町村と連携し、技術的な助言など必要な支援を行うこと。  十四 福島イノベーション・コースト構想推進中核的な機関である公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構の法定化に伴い、産業集積や人材育成等の取組を更に進めるため、国職員派遣による人的支援や財政的支援関係省庁による一層の連携強化など、機構が十分に活動できるよう総合的に支援すること。また、同構想を進めるに当たっては、地元の企業が参画し、地元の若者の人材育成等に資するよう配慮すること。併せて原子力被災十二市町村の事業・生業の再建については、公益社団法人福島相双復興推進機構を通じて、福島県や市町村等と連携しながら、きめ細やかな支援を引き続き行うこと。  十五 あらゆるチャレンジが可能な地域として、福島浜通り地域等に国内外の研究機関や大学、企業等を呼び込むため、国際教育研究拠点推進するとともに、福島ロボットテストフィールド等の拠点を核として、地域全体が研究・実証フィールドとして活用されるよう、研究開発や実証の促進等に資する規制緩和等を検討すること。  十六 根強く残る福島農林水産物等の風評被害払拭のため、生産から流通、消費に至るまでの総合的な施策を継続的に講ずるとともに、諸外国・地域における輸入規制の撤廃・緩和に向けた働きかけや海外における風評対策強化すること。また、被災地農林水産物については、必要な措置を検討すること。  十七 福島の森林・林業の再生に向けた「ふくしま森林再生事業」等については、復興創生期間後も支援を継続し、事業を実施するための予算を十分に確保するとともに、現行の対象地域での推進を図ること。  十八 福島イノベーション・コースト構想推進に資する事業を実施する事業者や風評被害に対処するための事業活動を実施する事業者に対する税制措置については、より多くの事業者が課税の特例を受けられるよう配慮すること。  十九 福島県知事が作成する福島復興再生計画の認定に当たっては、福島県及び市町村が地域実情を踏まえて、自主的かつ主体的に事業を実施することを旨として認定されるものとすること。また、福島復興再生計画に掲げる取組を確実に実施できるよう十分な予算を確保すること。  二十 福島復興再生基本方針を変更するに当たっては、地元意見を丁寧に聴き、これに寄り添った対応をとること。  二十一 東京電力福島第一原子力発電所で増え続ける、いわゆるALPS処理水の処分方法については、更なる議論を尽くし地元をはじめとする国民の理解を得た上で慎重かつ丁寧に決定すること。  二十二 原子力災害が長期に及ぶことを踏まえ、復興創生期間後においても切れ目なく、安心感を持って復興に専念できるよう、長期的かつ十分な財源を確保すること。また、復興のステージが進むにつれて生じる新たな課題や多様なニーズをきめ細かく把握し、福島復興・再生が実現するまで国が前面に立って、被災地に寄り添いながら最後まで責任を果たすこと。  二十三 日本郵政株式会社の株式の売却収入は、貴重な復興財源であることから、株式の売却に当たっては、売却収入が少しでも多く得られるよう株式市況を見極めて売却時期を慎重に判断すること。  二十四 復興創生期間後五年間における復興事業の財源については、復興特別所得税の上振れ分を見込むこととしているが、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済活動の停滞、景気の後退に伴う税収の減収も懸念されることから、復興事業が滞ることのないよう必要な財源を確保すること。  二十五 エネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定から電源開発促進勘定へ繰入れを行う場合は、その使途を真に福島復興再生に資する事業に限定し、透明性を確保するとともに、将来的にエネルギー需給勘定へ確実に繰戻しを行うこと。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  171. 伊藤達也

    伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決をいたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  172. 伊藤達也

    伊藤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。復興大臣田中和徳君。
  173. 田中和徳

    田中国務大臣 復興庁設置法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝を申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長を始め、理事皆様方、また委員皆様方の真摯な御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。  まことにありがとうございました。     ―――――――――――――
  174. 伊藤達也

    伊藤委員長 お諮りをいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 伊藤達也

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  176. 伊藤達也

    伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後二時十八分散会