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2020-01-28 第201回国会 衆議院 財務金融委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日令和二年一月二十日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 田中 良生君    理事 あかま二郎君 理事 井林 辰憲君    理事 うえの賢一郎君 理事 津島  淳君    理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君    理事 古本伸一郎君 理事 伊佐 進一君       穴見 陽一君    井上 貴博君       石崎  徹君    今枝宗一郎君       勝俣 孝明君    門山 宏哲君       小泉 龍司君    高村 正大君       國場幸之助君    鈴木 隼人君       田野瀬太道君    武井 俊輔君       辻  清人君    古川 禎久君       本田 太郎君    牧島かれん君       宮澤 博行君    宗清 皇一君       山田 賢司君    山田 美樹君       海江田万里君    岸本 周平君       櫻井  周君    階   猛君       野田 佳彦君    日吉 雄太君       森田 俊和君    石井 啓一君       清水 忠史君    串田 誠一君       青山 雅幸令和二年一月二十八日(火曜日)     午後四時三十分開議  出席委員    委員長 田中 良生君    理事 あかま二郎君 理事 井林 辰憲君    理事 うえの賢一郎君 理事 津島  淳君    理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君    理事 古本伸一郎君 理事 伊佐 進一君       穴見 陽一君    井上 貴博君       石崎  徹君    今枝宗一郎君       勝俣 孝明君    門山 宏哲君       小泉 龍司君    高村 正大君       國場幸之助君    繁本  護君       鈴木 隼人君    田野瀬太道君       武井 俊輔君    辻  清人君       藤井比早之君    古川 禎久君       本田 太郎君    牧島かれん君       宮澤 博行君    宗清 皇一君       山田 賢司君    山田 美樹君       海江田万里君    岸本 周平君       櫻井  周君    階   猛君       野田 佳彦君    日吉 雄太君       森田 俊和君    石井 啓一君       高木美智代君    清水 忠史君       串田 誠一君    青山 雅幸君     …………………………………    財務大臣    国務大臣    (金融担当)       麻生 太郎君    財務大臣        遠山 清彦君    経済産業大臣      松本 洋平君    財務大臣政務官      井上 貴博君    国土交通大臣政務官    佐々木 紀君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 小平  卓君    政府参考人    (金融庁監督局長)    栗田 照久君    政府参考人    (消防庁国民保護防災部長)           小宮大一郎君    政府参考人    (財務省主計局次長)   阪田  渉君    政府参考人    (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君    政府参考人    (財務省主税局長)    矢野 康治君    政府参考人    (国税庁次長)      田島 淳志君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君    政府参考人    (中小企業庁次長)    鎌田  篤君    政府参考人    (国土交通省大臣官房技術審議官)         江口 秀二君    政府参考人    (国土交通省水管理国土保全局次長)       塩見 英之君    政府参考人    (観光庁国際観光部長)  高科  淳君    政府参考人    (防衛省大臣官房審議官) 土本 英樹君    政府参考人    (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        斉藤 和重君    参考人    (日本銀行総裁)     黒田 東彦君    財務金融委員会専門員   齋藤 育子君     ――――――――――――― 委員の異動 一月二十七日  辞任         補欠選任   串田 誠一君     森  夏枝君 同日  辞任         補欠選任   森  夏枝君     串田 誠一君 同月二十八日  辞任         補欠選任   高村 正大君     繁本  護君   田野瀬太道君     藤井比早之君   石井 啓一君     高木美智代君 同日  辞任         補欠選任   繁本  護君     高村 正大君   藤井比早之君     田野瀬太道君   高木美智代君     石井 啓一君     ――――――――――――― 一月二十日  自動車に係る国民負担の軽減及び道路交通の安全のために講ずべき措置に関する法律案古本伸一郎君外二名提出、第百九十八回国会衆法第二九号) 同月二十七日  平成三十年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案内閣提出第二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  平成三十年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案内閣提出第二号)      ――――◇―――――
  2. 田中良生

    田中委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  財政に関する事項  税制に関する事項  関税に関する事項  外国為替に関する事項  国有財産に関する事項  たばこ事業及び塩事業に関する事項  印刷事業に関する事項  造幣事業に関する事項  金融に関する事項  証券取引に関する事項 以上の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中良生

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  4. 田中良生

    田中委員長 次に、内閣提出平成三十年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。     ―――――――――――――  平成三十年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  5. 麻生太郎

    麻生国務大臣 ただいま議題となりました平成三十年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明させていただきます。  今般、さきに決定されました安心成長の未来を拓く総合経済対策を受けて、令和年度補正予算(第一号、特第一号及び機第一号)を提出し、御審議をお願いいたしておりますが、当該補正予算等において国債の発行を抑制するとの観点から、平成三十年度歳入歳出決算上の剰余金処理について特例を定める必要があり、本法律案提出いたした次第であります。  以下、この法律案につきまして御説明を申し上げます。  財政法第六条第一項において、各年度歳入歳出決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債又は借入金の償還財源に充てなければならないこととされておりますが、平成三十年度剰余金につきましては、この規定は適用しないことといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  6. 田中良生

    田中委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 田中良生

  8. 田中良生

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  9. 田中良生

    田中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。辻清人君。
  10. 辻清人

    辻委員 ただいま紹介いただきました自民党の辻清人でございます。  今回、質問機会をいただきまして、ありがとうございます。二十分という限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。  このたびの特例法ですが、令和年度補正予算及び令和年度予算と切れ目なく経済対策実行していくことが重要だと考えていますが、この令和年度補正予算意義をどのように考えているのか。特に、経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への支援が重要であると考えていますが、そこについてお答えください。
  11. 井上貴博

    井上大臣政務官 お答えいたします。  辻委員の御指摘はごもっともでありまして、意識は共有できているというふうに思っております。そういう中で、令和年度補正予算経済対策の方を御説明をさせていただきたいというふうに思います。  台風十五号や十九号など、相次ぐ自然災害に、甚大な被害が発生いたしました。また、米中貿易摩擦や英国のEU離脱中東地域をめぐる情勢海外経済の下振れリスクにより、一層の注意が必要だという状況を踏まえて策定させていただいたところでございます。  令和年度補正予算は、こうした観点から、甚大な被害を受けた中小小規模事業者農林水産業再建支援、被災した河川や道路の本格的な復旧海外からの下振れリスクに直面する中小企業小規模事業者による生産性向上に資する取組への支援など必要とする施策を積み上げ、経済対策関連経費として約四兆三千億円を計上しているものであります。  令和年度補正予算及び関連法案の方を速やかに成立させていただき、これを着実に実行していくことで、被災者生活、なりわいの再建に向けた対策パッケージ実行に引き続き復旧復興を加速するとともに、リスクに対して迅速な経済構造を構築し、民需主導の持続的な経済成長を実現してまいりたいというふうに思っております。  以上です。
  12. 辻清人

    辻委員 今、井上政務官がいみじくも御指摘された何点かについて、少し深掘りをさせていただきたいと思います。  まずは、現在進行形議題でございますが、新型コロナウイルス、これはせんだって行われた予算委員会でも何度も議論に上がりましたが、この新型ウイルス感染拡大という前代未聞の事態に対して、財務省予算当局としてどのように取り組んでいくのか、お答えください。
  13. 宇波弘貴

    宇波政府参考人 お答え申し上げます。  新型コロナウイルス対策に関してでございますけれども、政府全体といたしまして、感染拡大が進んでいることを踏まえまして、関係閣僚会議を開催し、水際対策の一層の徹底サーベイランス強化のための検査体制整備国民の皆様に対する迅速かつ的確な情報提供日本人渡航者滞在者安全確保などについて、関係省庁が連携して万全の対応を行っているところでございます。  予算面の方は、例えば検疫に関してでありますけれども、これについては、今般の感染拡大を受けて、厚生労働省において、感染リスクが高い地域からの入国者帰国者の方に対する健康状態の確認など、水際対策の一層の徹底に取り組まれているところでございます。予算面については、例えば水際対策について言えば、令和年度において、検疫所における水際対策の推進として、前年度から増額をして、百十六億円を措置しているところでございます。人員も拡大しているところでございまして、今般のこの課題に対しては、こうした予算あるいは人員を措置しているところの中で、これを適切に活用することで十分な対応が可能であるというふうに考えております。  その他、水際対策を含めてその他の対策につきましても、現時点では既定の予算対応が可能であるというふうに考えておりますけれども、財政当局としても、予算執行状況なんかを含めて状況の推移を丁寧に把握をし、関係省庁と連携をしながら引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  14. 辻清人

    辻委員 何しろ、今後の展開いかんによっては未曽有事態に発展することも考えられなくもありませんので、当局については、必要に応じて適時迅速で的確な財政出動、また人員配置をお願いしたいと思います。  この新型コロナウイルスも含めてですが、昨年からことしにかけてさまざまなリスクファクター我が国経済にはございます。その世界経済の下振れリスクがさまざま存在する中で、税収が下振れするおそれがありますが、その中で財務省として財政健全化にどのように取り組んでいくのか、その姿勢をお伺いしたいと思います。
  15. 井上貴博

    井上大臣政務官 お答えいたします。  安倍内閣におきましては、経済再生なくして財政健全化なしという基本方針もと、必要に応じ、機動的な財政運営を行ってまいりました。  昨年十二月に、通商問題をめぐる問題を始め、海外からのリスクはより一層の留意が必要との認識のもと総合経済対策を策定したところであります。総合経済対策の着実な実行により、デフレ脱却経済再生の道筋を確かなものとすると同時に、新経済財政再生計画に沿って、歳出歳入の両面の改革を続けて、二〇二五年のプライマリーバランス黒字化を実現するとともに、債務残高GDP比の安定的な引下げを実行してまいりたいというふうに思っております。  以上です。
  16. 辻清人

    辻委員 ありがとうございます。  次には、補正予算の中で最もボリュームゾーンである災害からの復旧復興と安全、安心確保に対する二兆三千八十六億円、これだけの額を計上しているわけでございますが、くしくも、ことしは阪神淡路大震災から二十五年でございまして、昨年は、台風十五号や十九号を始め、多くの自然災害によって我が国では甚大な被害が出ましたが、財務省としての防災減災国土強靱化に対する考え方をお伺いさせてください。
  17. 井上貴博

    井上大臣政務官 お答えいたします。  防災減災国土強靱化につきましては、近年の災害から得られた教訓や社会経済情勢変化等を踏まえて、平成三十年十二月に、国土強靱化基本計画を見直し、また、集中豪雨などの異次元の災害が相次いでいる現状を踏まえて、三カ年緊急対策を策定し実行するなど、政府として取組を強化しております。これに三年間で三・六兆円であります。  それで、令和年度補正予算でも、昨年の台風十五号、十九号などの被害を踏まえて、河道掘削堤防強化などの水害対策を中心に、国土強靱化関係で一兆一千五百二十億円を確保し、国土強靱化を更に強力に推進しております。これで、両方合わせますと四兆八千億ということになります。  今後とも、国土強靱化基本計画に基づき、オールジャパン対策を進めて、国家百年の大計として災害に屈しない国土づくりを進めてまいりたいというふうに思っております。  以上です。
  18. 辻清人

    辻委員 ありがとうございます。  それこそ、今後、内閣府の試算では三十年の間に七割以上の確率で起こると言われている首都直下型地震も含めて、日本においての自然災害、それに対しての備え、これは最も重要な予算項目だと言っても過言ではないわけでございますので、引き続き、それについては我々もしっかりと応援をさせていただきたいと思うと同時に、これは次の項目なんですが、私は専門が外交と安全保障でございますが、特に防衛省予算自衛隊のことを考えるときに、先ほど私は阪神淡路大震災から二十五年と申し上げましたが、平成から令和にかけてというのは自衛隊のこういった災害派遣のあり方の大きな変換の時代でもあったというふうに私は考えています。  そんな中で、昨年の台風十九号においても、一カ月半の間に延べ七万九千人の自衛隊員派遣をされているわけでございます。そういった自衛隊に対する日本人の評価、見方、感覚も、この数十年の間で、こういった災害派遣の中で大きく変換をしている。私は、そういった現場の、過酷な災害派遣現場隊員たち士気高くその能力を発揮してもらうことというのは非常に重要だと思っていまして、特に隊員勤務環境改善が必要であると考えているんです。  今回の予算について、そこの部分について予算をつけていただいているというふうに私は見ていますが、その意義について、防衛省の見解をお伺いしたいと思っています。
  19. 斉藤和重

    斉藤政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、過酷な災害派遣現場などにおきまして、隊員がその能力を遺憾なく発揮し、各種任務を適切に遂行するためには、隊員生活環境をしっかり整えることが極めて重要だというふうに考えております。  このような観点から、本年度補正予算案におきましては、一例でございますが、隊員が拠点で宿泊する際に必要な簡易ベッド収納ボックスなどを整備する経費といたしまして約一・一億円、災害派遣に伴い損耗した被服を整備する経費として約七・三億円などを計上させていただいております。  防衛省といたしましては、引き続き、必要な物品等確保するなど、隊員が不自由なく活動できる環境整備にこれからも努めてまいりたいと思います。
  20. 辻清人

    辻委員 ありがとうございます。  私もいろいろ現場の写真を見せていただいたら、本当に雑魚寝をしているような現場もたくさんあります。そういう意味では、ベッドも含めて、こういった備品は消耗品でございますので、その都度、必要に応じてやはり予算をつけなければいけない部分だと思います。  そういった意味で、本当にそういった過酷な現場で働く自衛隊員の方々の士気を上げるためにも、こういった勤務環境改善につける予算というのは非常に重要だと思っていますので、引き続き、防衛省としましては、そういった現場目線で頑張っていただきたいと思っています。  次の項目でございますが、私は東京の議員でございまして、もうこれは申し上げるまでもなく、本年はオリンピックパラリンピック東京で開催される予定でございます。この機会を捉まえて、国そして東京都、さまざまな、外国人もそうですが、国内においてプロモーション、イベント、オールジャパンでこの七年間準備に取り組んでいるわけでございますが、今回の、特に令和補正においては、オリンピックパラリンピック機会一つの契機とした訪日プロモーションについて予算が入っていますが、それについて少し具体的に御説明願いたいと思います。
  21. 高科淳

    高科政府参考人 お答え申し上げます。  本年、二〇二〇年は、観光ビジョンに掲げております訪日外国人旅行者数四千万人などの目標の年でありますとともに、御指摘のように、東京オリンピックパラリンピック競技大会が開催されまして、我が国への関心がかつてないほど高まることから、日本各地の魅力を海外に発信する絶好の機会であると考えております。  この機会を活用いたしまして、観光庁及び日本政府観光局では、「Your Japan 2020」キャンペーンと称しまして、二〇二〇年ならではの誘客コンテンツを造成、収集いたしまして、世界じゅうに強力かつ戦略的に発信してまいりたいと考えております。  少し具体的に申し上げますと、これはちょっと、必ずしも補正というわけでもないんですけれども、いろいろな要素がありますけれども、例えば、二〇二〇年四月に日本で初めてオープンいたします城泊、お城に泊まる、宿泊する、そうしたことですとか、あるいは、ふだんは公開していない重要文化財特別公開など、各季節やテーマごとキーコンテンツを生かしまして訪日需要を喚起するとともに、国内航空券割引無料航空券プレゼントなど、インバウンド向け交通面での割引を組み合わせながら、全国各地外国人を誘客してまいりたいと考えております。  観光成長戦略の柱であり、地方創生の切り札です。二〇二〇年の我が国への関心の高まりを最大限に生かして、多くの外国人観光客日本を訪れていただくよう、しっかりと取り組んでまいります。
  22. 辻清人

    辻委員 更問いで恐縮ですけれども、今おっしゃった施策というのは、ことしに限ったものではなくて、これは今後どういう形で展開していくのかなと思いまして。  というのは、特にこれは、我々東京の人間のみならず、やはり今非常に恐れていることは、オリンピックパラリンピックが終わった後のことでございまして、そこに目がけて、日本全体で一つ目標を達成した後、その後も我々の生活日本も続くわけでございまして、その先の坂の上の雲をやはり目指さないと、経済日本の活力も絶対にそこでとまってしまってはいけないと思っているので。  二〇三〇年までにこういった訪日外国人観光客六千万人を目指すわけでございまして、その中での継続性という点で、ちょっともう一回御説明いただけますでしょうか。
  23. 高科淳

    高科政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、二〇二〇年四千万人の次に二〇三〇年六千万人という目標がございます。そうした中で、これまでもやってまいりましたけれども、さまざまな、多言語表記など受入れ環境改善とか観光資源の磨き上げ、そういったことはもちろん継続してやってまいりますし、プロモーションも、デジタルマーケティングを活用しながら、特にオリンピックパラリンピックという機会をうまく発信することによって、そのオリンピックパラリンピックの後も外国人の方に日本関心を持っていただいて来ていただけるような形で、プロモーションというのも継続してしっかりやってまいりたいと思っています。  そうしたことによって、二〇二〇年、そこで終わらせることなく、その次に向けて、さらなる高みに向けて一生懸命やってまいりたい、このように考えてございます。
  24. 辻清人

    辻委員 ありがとうございます。  本当に、経済一つの大事な要素としての観光と私も申し上げてきましたが、いろいろなリスクファクターがある中で日本を前に進めていくためには、やはり考え方としては、しっかりと国際経済の中でのいろいろなリスクファクター、要因をある程度織り込んだ上で前に進めていかなければいけないわけですけれども、私、麻生大臣の前で申し上げるのも少し変なんですけれども、やはりセンスが大事だと思っていまして、これというのは常に、何が正しいかというのは、冷静と情熱の間なんだと思います。やり過ぎてもだめですし、やらな過ぎてもだめで。  その中で、ことしは特に、米中のリスクファクターというものはあって、また新型コロナウイルスのような予期せぬそういった事態もあるわけでございまして、そういったものもこれから、観光客もそうですが、我々の経済活動にさまざまな影響を与える、税収にも影響を与えるわけでございます。  ただ、重要なことは、日本としてしっかりとそういったことを織り込みながらも、速やかにこの補正予算を可決をして、必要な場所に適時迅速に財政をしっかり出動させることだと思っています。与党としては、しっかりと私もそれを応援させていただきます。  ちょうど時間が来たと思いますので、これで私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  25. 田中良生

    田中委員長 次に、海江田万里君。
  26. 海江田万里

    海江田委員 麻生大臣、きょうは早朝からお疲れさまでございます。いましばらくおつき合いをいただきたいと思います。  今、麻生大臣のお読みになりました特例法提案理由説明、耳をそばだてて聞いておりましたが、その中で、当該補正予算等において国債の発行を抑制するとの観点から、決算上の剰余金処理について特例を定める必要があると書いてございます。  私ども、事前の勉強会で、当該補正予算等という、「等」は何ですかというお尋ねをしましたら、財務当局は、これは来年度の本予算、当初予算もこの中に入っているんですよと。ですから、今年度補正予算とそれから来年度の当初予算の国債の発行額を抑えたいんですよということでございますね。  国債の発行額は確かに抑えられるかもしれませんけれども、やはり財政の健全化、それから、何のために国債の発行額を抑えるのかというと、やはりそれは、片一方で国債の残高が積まれているわけですよね、もう既にGDPの二三五%とか六%とか。それだけの巨額の債務の残高があるということになりますと、財政法第六条の規定をそのままにやっていれば、その意味では、この残高は減ることができるんですよ。どうして、当面の発行額だけにこだわって、そして大事なこの残高の方を減らそうとしないのか。とりわけ、残高の中には、今より、新規に発行するより高いクーポンの、利率の国債もあるわけですよ。当然、経済合理性からいけば、まず残高を減らすんじゃないの。財政法の六条にもそう規定してありますから。  だから、何で当面の発行額だけを抑えようとしておられるのか、教えてください。
  27. 麻生太郎

    麻生国務大臣 まず最初に、極めて正しい指摘だと思います。それをわかった上で我々はやっておるわけですから、正しい指摘だということ、今から御説明を、ちょっと時間をいただきます。  経済対策、御存じのように、三本の柱に沿って必要な施策というのをやっていくのに全て積み上げて持ってきたわけですけれども、その所要の歳出の追加というのを行うことにしたところですが、この対策は、御存じのように、台風の十五号、十九号等々につきまして、あの広範囲にわたる極めて大きな被害が特に関東北部等々で起きております。また、米中貿易摩擦を始めとして、これは海外発、ほかにもありますけれども、海外発の経済の下方リスクというものに対する注意がより一層必要なのであって、そういったものの対応をやっておくこと等々を踏まえて、三つの柱に沿って真に必要な施策というのを積み上げていった結果がこの額になっておるというのをまず第一に御理解いただきたいんですが。  今、一方、言われましたように、財政法第六条によりまして、公債及び借入金の償還の財源として決算上の剰余金というものの一部を確保することによって、公債並びに借入金の償還を確実にしなければならぬという趣旨であの法律はつくられておるというのは既定の基本であります。  その上で、私どもとしては、歳出を追加、財源はどうするかということについていろいろ検討を行わさせていただきました。  その結果、建設公債など他の財源で賄えない部分というのが出てきておりますので、その部分については、特例公債を発行して追加するか、若しくは、今言われております公債の償還をするという部分の財源を利用してでも新規の国債発行額を減らすかということについて、これは選択が出てくるわけですが、私どもとしては、近年の補正予算の中で見ましても、リーマン・ショックを受けました二十一年、私のときですけれども、二十一年のあの第一次の補正予算を除きまして、歳出の追加の財源のために赤字公債というものを発行したことはありません。あのときだけです。また、予算において公債発行額というものの絶対量というものを抑制していくということは、これは財政健全化を進めていくという意味では、御指摘のとおり、極めて重要なことだと私どももそう思っております。  そこで、我々としては、どっちをどうするかというのは、借金を返済するために借金をするか、借金の返済は少し減らしてこっちにやる、両方の選択があったということだというぐあいに、わかりやすく言えばそういうことになろうかと思いますけれども、決算剰余金を活用するということを私どもは選択をさせていただいて、今回の補正予算案の関連の中として剰余金特例法案というものを提出するという、後者の方の選択をさせていただいたというふうに御理解いただければ。これは、中でいろいろ意見の分かれた結果、こちらを選ばさせていただいたということであります。
  28. 海江田万里

    海江田委員 今のを聞いても、余りよくわからないんですよね、どちらをと。ただ、見せかけのと言っては語弊があるかもしれないけれども、発行額を減らしているということはわかりますよ。  ただ、この六条の特例というのは、私どもも実は、東日本大震災の後、これを外したわけですよ。ただ、それは本当にあれだけ大きな大震災が起きましたからでありまして、今回、そうしますと、二分の一を外して、これでいきますと八千十六億円まで使うことになるわけですよ。じゃ、残りの五千二百六十八億円がどうなるんだろうかと。  普通考えますと、あるいは従来も、五千二百六十八億円は、これはやはり国債の償還に充てていたんですよ。それでバランスをとった。ところが、今回は、まさに、来年度の総予算の一般財源に五千二百六十八億円も使ってしまっているんですよ。そうでしょう。ということは、全く国債の償還というものにないわけです。これは、これまでにないんですよ。  どうして、今回初めてこういう扱いにせざるを得なかったんですか。
  29. 麻生太郎

    麻生国務大臣 先ほども申し上げさせていただきましたとおりに、今回の補正予算におきましては、三本の柱に沿って必要な施策を全て積み上げていった結果、このような歳出の追加を行ったところなんですけれども、決算剰余金を利用するということにして、補正予算関連法案プラス、今、今回のということをやらせていただいているんですが、各年度決算剰余金処理につきましては、これはいろいろなものを総合的に勘定を勘案せないかぬところですけれども、補正予算とか当初予算の編成のタイミング、今回は編成が同時になっておるのは御存じのとおりですけれども、どちらに財源を案分するかということについては、これは判断することになろうと思います。  また、その時々の経済財政事情ということで、今でいえば、税収の動向等が、今回は減額補正をしておりますので、その他収入の動向などなどいろいろ考えてやらねばならぬところだとは思いますけれども、いずれにいたしましても、活用できる財源の状況を踏まえて、これも判断ということになろうと思います。  そして、建設公債と特例公債との違いということになろうと思いますけれども、御存じのように、財政法上、建設公債に関しましては発行が認められております一方、特例公債に関しましては認められておりませんもので、これは基本的に抑制すべきものだと。  そういうようなことを総合的な判断をやらねばならぬということでいろいろやらせていただいたんですが、今回の決算剰余金処理に当たっては、いわゆる政策判断として、まずは今回の補正予算歳出追加の財源として〇・八兆というものを使用させていただいて、その上で、残余の〇・五兆につきましては、来年度特例公債の発行を抑制するために使うというように考えたというところであります。
  30. 海江田万里

    海江田委員 これは午前中の予算委員会でも議論がありましたけれども、とにかく、見せかけのというか、予算の発行額だけを減らしましたよと、安倍総理が得意そうに八年連続だということを言いましたよね。それにやはり根拠というか、本当は根拠になっていないんですけれども、だけれどもそれを与えるための予算だということ、これはやはり指摘しておかざるを得ない。  それからもう一つ。まず枠があった。確かにそうですよ、四兆三千三十億円ありましたね。中には建設公債が使えるものもありますが、それ以外は使えませんからね。  問題は、じゃ、この枠の四兆三千三十億円の中に、まさに補正をやるわけですから、これは言うまでもありません、財政法の二十九条ですからね、予期せぬことが起きたり、予算の当初の話では対応し切れないもの。台風災害なんかはそうでしょう。先ほど辻先生がおっしゃったことは、私はそのとおりだろうと思うんですよ。だけれども、じゃ、それ以外に本当に不要不急のものがないのかどうなのかということをやはり考えてみなければいけないと思うんですよ。そうでしょう、当然。  だから、そういう作業が果たしてどれほど行われていたのか、歳出の面からのチェックも若干してみたいと思いますけれども、四兆三千三十億円のうち、防衛省予算の中にやはり問題があると私は見ておるんです。  それこそ本当に、災害復旧でそういう特殊な車両が必要であるとか、あるいは、何度も出ていますから、重機の中には傷んでしまったものもあるし、あるいは、さっき辻さんのお話にあった隊舎の問題もあるし、そういう問題にはしっかりお金を使わなければいけないと思いますけれども、災害からの復旧復興と安全、安心確保ということでかなりの金額が計上されていますけれども、もちろんこの中には、先ほどあった本当の意味での災害からの復旧復興費も入っておりますけれども、その後段についてくる安全、安心確保ということの中に、いわゆる防衛装備品、正面装備品なんですよね。端的に申し上げますけれども、やはりF35Aなんですよ。  私は、これは何も、本当に無駄かどうか、例えば輸送機の、今オーストラリアなんかにも行っていますけれども、それは、いざ震災が起きたらやはり輸送機は必要ですよ。正面装備品であっても、輸送機なんかについても幾らかあります。そういうものについては、私は別に問題にしません。だけれども、例えばF35の戦闘機が復旧復興とかあるいは震災の予防にどれだけ役立つのか。戦闘機ですよ。F4という、ファントムという戦闘機は、写真偵察に変えているんです、改造して。だからあれは、その意味では防災に役立つわけです、偵察ですから。だけれども、F35はこれから入ってくるんですよ。写真偵察なんか、そんなのを使うはずもないんですよ。戦闘する、ファイターの戦闘機のために六百五十二億円、F35のA、一機百億円ぐらい、大体六機ぐらいですよね。  最初私は、それをやることによって例えば納期が早くなるのかなと思った。でも、そうじゃないんですよ。後で防衛省に聞きますけれども、これは歳出経費ということですから。歳出経費というのは、防衛省が契約をするときは、契約しますね、まず頭金を少し払って、その後中間金を払って、そして最後に完成品を納入した時点で全部、全額を払う、こういう仕組みですよ。これはもう最初から五カ年の防衛計画で決まっていますから、いつ何機入ってくることがわかっているから、当初予算の中に、ことしは何機納入される予定だからこれこれのお金をちゃんと計上しなきゃいけないなということで、ずっとやってきたわけですよ。  だけれども、ことし、まあ去年もそうだったんですけれども、今度は、歳出経費ですから、いわゆる納期はもう決まっているんですよ。だけれどもそれで、メーカーに対して払う、頭金はもう払っていると思いますけれども、中間金ですよ、中間金を払うのを早くして、その意味ではメーカーがそのお金でいろいろな余裕ができるかもしれない、あるいは利子が稼げるかもしれない。だけれども、それだけのために、悪いけれども、私はF35も爆買いだと思っているけれども、そのことについては今回は触れませんよ。わざわざ国の財政の一番の基本の財政法を押し曲げて、ねじ曲げてまでもそれをやる必要があるんですかということを私は申し上げている。  これに責任ある回答をいただきたいと思います。
  31. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今いろいろ海江田先生の御指摘のあったところですけれども、防衛省関連の補正予算というものにつきましては、これはいわゆる災害等ほかの、今の正面装備の話等々が出ておりましたけれども、航空機の整備の促進についても、私どもとしては、必要な装備品というものにつきましては、これは一刻も早い導入を図る必要があろうというのが昨今の情勢なんだと思っておるんですけれども、少なくとも今、補正予算の対象から正面装備について特にこれだけ除外しろというようなことになっておるわけではありませんので、補正予算に計上すべきかどうかということにつきましては、これは、緊急性とか緊要性などの要件に照らしてその都度判断されるべきものなんだとは考えております。  その上で、安全保障環境や、また頻発する自然災害等々を考えましても、これは企業等々に早期に支払いを行うことで製造工程の進捗を図るというのは極めて大事なことだと思っておるんですけれども、そういった意味で、正面装備品を含めまして必要な装備品というものが着実かつ可能な限り早期に回収できる、取得できるということを目的に補正予算に計上しているということは、これは財政法上に別に反するものでもないと考えております。  その上で、装備品ごとにこれは状況が異なりますので一概に申し上げることは困難なんだと思いますけれども、製造工程の促進というものを図っていって少しでも納期が早まるように補正予算で手当てしているというところだと思いますが、例えばP1の哨戒機の話を今言われましたけれども……(海江田委員「P1は話していないですよ、F35ですよ」と呼ぶ)いや、P1の哨戒機等については理解ができると言われた。(海江田委員「いや、輸送機については」と呼ぶ)失礼しました。  それで、今、例えば輸送機じゃなくて哨戒機の話を申し上げましたけれども、哨戒機の装備品について等々は一カ月早く早期納入が可能になることが見込まれておりますので、そういった意味では、私どもとしては、今、世の中、すごいこういったものに対してスピードが速い段階で、不確実性がどんどんどんどん上がってきておりますので、そういったものに対する対応としては正しいんだと思っておりますし、最新の装備品というものの早期導入というものは、これは当初の想定よりも自衛隊の活動量がふえているケースも想定されておりますので、私どもとしては、早期納入というものは今後に備えていく上で極めて重要な要素だと思っておりますので、私どもとしては、そういったことを考えながら、適正な予算なんだと理解をいたしております。
  32. 海江田万里

    海江田委員 ありがとうございました。  防衛省に聞きますけれども、これによってF35の、先ほど大臣も一刻も早く導入するという、納期が早まるんですか、これは。
  33. 土本英樹

    土本政府参考人 お答え申し上げます。  まず、今、令和年度補正のお話だったんですが、平成三十年度第二次補正予算経費を計上しましたF35に関しまして、F35につきまして、先ほど言いました平成三十年度第二次補正予算におきまして、ちょっと細かい話で恐縮でございますが、二十七年度契約分六百五十六億円、二十八年度契約分四百二十億円、二十九年度契約分三百三十五億円の取得経費を三十年度二次補正において契約しております。  このうち二十七年度契約分の五機分、この五機分につきましては、今年度納入予定でございましたが、事業全体として、当初の予定よりも二カ月から三カ月程度早期に納入を完了しているということが、完了されております。(海江田委員「去年の補正でしょう」と呼ぶ)はい、去年の補正でございます。  これによりまして、委員御案内のとおり、F35Aは高い性能を有する最新鋭の戦闘機でございまして、我が国の防衛上必要不可欠な装備品でございまして、このF35Aの早期納入によりまして運用試験や隊員教育を早期に進めることが可能になることから、やはりこのような早期納入というのは我が国の防衛力の強化の早期化に資するもの、このように考えているところでございまして、繰り返しになりますが、実際に数カ月早まったという実例があるということでございます。
  34. 海江田万里

    海江田委員 だけれども、それは年度でしょう。年度の中での話なので、年度の当初予算でやればいい話なんですよ、これは。これから当初予算が入るんだから。そうでしょう。何も補正でやる必要なんか全くないわけで。  それからあと、F35は、たまたまそれは最初の、トランプさんに言われて百五機プラスしたんですよ、最初はたしか四十二機だったんですよ。これは早い段階からもうできているんですよ、話が。だけれども、百五機プラスになって、全部で百四十七機ですよ。これをそんな早いスピードで、今まで二カ月早くなったから今度も早くなるんじゃないだろうかということを言っているけれども、本当になりますか、これは。私はその保証なんか全然ないと思っている。  むしろ、これ一つだけじゃなくて、ほかにもいろいろあるんですけれども、きょうはもう本当に時間がありませんから言いませんけれども、この財政法という国の会計の一番根本のところに手をつけるというのであれば、やはりそれは、それなりのちゃんとした効果がある、これにどうしても必要なんだというところに限定すべきであって、先ほど十五カ月予算というような言い方も出てきましたけれども、あれはやはり財政規律を緩めますよ、はっきり言って。暦の月は十二カ月しかないんだから、それにプラス三カ月つくって何なんですかという話になるから、だから、二十九条で、そもそも、万々が一想定しないことが起きたときのために特に補正予算は許可しようという話になっているんだから。そこのところをやはりきちっと腹の中に入れた予算の編成というものを私はやっていただきたい。  私どもは、災害対策復旧、これに対して反対するものでは少しもありません。だけれども、この中に入っている不要不急のもの、あるいは今お話のあったような本来当初予算で手当てすべきものがこの中に潜り込んでくる、最初に四兆三千億という枠ありきになっちゃうじゃないですか。そのことに対しては、厳重に警告というか、そういうことはやっちゃいけませんよということを申し上げさせていただいて、もう時間もありませんので、このぐらいにいたします。  ありがとうございました。
  35. 田中良生

    田中委員長 次に、森田俊和君。
  36. 森田俊和

    森田委員 共通会派の森田俊和でございます。  二十五分間お時間をいただいておりますので、質問に入らせていただきます。  麻生大臣、よろしくお願いいたします。また、国交省の方から佐々木政務官にも御出席をいただいておりまして、よろしくお願いいたします。  私の方からは、今回の補正内容の主に災害対策への関連の予算について、直接予算がついていること、ついていないことあると思いますが、その中身についてお尋ねをさせていただきたいなというふうに考えております。  今回、二兆三千億円の関連予算災害対策ということでついているということでございます。主には昨年の十月の台風十九号のことについて、三カ月ぐらい、私の地元ですと十月の十二とか十三日あたりに台風が通過していったということですので三カ月ぐらい経過をしているという中で、いろいろなことが整理できつつあり、また、始められる対策については、復旧というだけではなくて、将来に対するよりよい取組対策ということで計画を立案されている部分もあると思いますので、そのあたりについてもお伺いをさせていただきたいなと思っております。  とにかく、今回の十九号は、今までの観測史上でも強い勢力を長い時間保つという意味で歴代三番目の長さであった、多くの地域にかなり大きな影響を与えたということで、直接の被害があった方ももちろんいらっしゃいますし、あるいは電気だとかライフラインを含めて間接的に影響を受けたという方も大変多かったんじゃないかなというふうに思っております。  政務官にもお越しをいただいておりまして、政務官の御地元は小松ですから余り北陸新幹線はふだんお使いじゃないんでしょうか。お使いになりますかね、東京へ来るときに。私の地元、熊谷駅が私最寄り駅でございますけれども、いつも北陸新幹線の、金沢行きはとまらないんですけれども、「あさま」という長野行きのやつがとまるものですからそれを利用して行き来をしておりますので、今回の十九号の関係で例の長野の新幹線の車両センターが水没をしたという件がございました。  JR東日本が持っているE7系というのが八編成、西日本が持っているWの7系というのが二編成ということで、これは十両丸々水没して、形としてはあそこに、上の方は見えていましたけれども、要するに床下の電子機器が全部水没しちゃったり、あるいはシートなんかももう泥水を吸っちゃったということで、全部十編成が破棄されるということで、JR東日本の損失額だけ見ても四百十八億円。一編成が三十億円のものが十編成、これは東日本だから八編成ですかね、ということで、新しい車両をまたつくらなければいけないとかということも含めて、大変大きな損失が出ております。  千曲川が切れて、あそこの、長野市の赤沼というところだったと思いますけれども、私も毎年、中学生ぐらいのときから、あそこは長野市でも旧豊野町というところだったと思うんですが、よく訪れているところでございまして、リンゴ農家さんも非常に大きな被害を今回受けたということで、まあ、もちろん新幹線だけでなくて大きな被害があったわけなんですけれども。  そこの地域は、ハザードマップ上、十メートルとか二十メートルの浸水がもう想定されていた。車両基地をつくったときにはそういう想定のハザードマップはなかったということらしいですけれども、二メートルぐらいそこをかさ上げして車両センターを建設をしたということですけれども、今回のような結果になってしまったということでございます。  特に新幹線、高速大量輸送ということで大動脈であるわけですけれども、同じようにリスクのある新幹線、全国にもあるんじゃないかなと思いますが、この新幹線の車両基地等について今後どのような対策をとっていくかということで、政府としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  37. 佐々木紀

    ○佐々木(紀)大臣政務官 森田委員には、御質問いただきましてありがとうございます。  御指摘のように、昨年十月の台風十九号では、北陸新幹線が長野新幹線車両センターにおいて十編成水没をするという被害が発生をいたしました。  これを受けまして、国交省では、同様の事象の再発防止のために、全国の鉄道事業者、軌道事業者に対しまして、浸水による被害発生時に運行への影響が大きい施設の浸水対策について緊急点検を指示させていただいております。  この結果を踏まえまして、昨年十二月二十四日に、新幹線における車両やあるいは信号通信機器室等の重要施設、車両と重要施設に関して、浸水対策考え方を取りまとめさせていただいております。  これは説明しますと少し長くなりますので、簡単にこの浸水対策の基本的な考え方だけを御説明させていただきますと、数十年から二百年に一度の確率で発生するいわゆる計画規模降雨に対して、これら車両や重要施設については運行への影響を本当に最小限にとどめるような対策を講じてくださいということをまずお願いをしております。  次に、千年に一度の確率で発生すると言われております想定最大規模降雨に対しては、車両の浸水被害の最小化に努めるなど、あるいは施設機能の相互補完、他の施設で同様の作業ができるようにしておくなどして、社会経済被害の軽減に努めることというふうに定めさせていただいておるわけです。  こういった基本的な考え方を踏まえまして、各鉄道事業者においては、具体的な浸水対策、そしてその実施目標時期について検討していただいておりまして、ことしの春を目途に国交省に報告してくださいということをさせていただいております。  国交省としましては、このような対策が着実に実施され二度と同様の事象が発生しないように、しっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。  ちなみに、今回の北陸新幹線の水没、本当に、北陸地域、大変大きな被害も出ております。三万件近いキャンセルが出たりとか、やはりこの新幹線というのは防災という観点からも大変大事な移動手段だということがわかったわけでありますし、私は小松でございますので余り北陸新幹線は利用しないで飛行機の方を主に利用させていただいておるわけでございますけれども、お答えになればというふうに思っております。よろしくお願いします。
  38. 森田俊和

    森田委員 ありがとうございました。  鉄道事業者に対策を指示をして報告を求めているということでございました。  大きく今回のことは、車両そのものが水没をしたということ。これは、新幹線はずっと高架ですから、高いところに避難をさせたり、あるいは違う車両基地に避難させたりということで、政務官の地元の白山の車両基地も多分そういう形でも活用できるんじゃないかなと。  今回水没してしまった車両基地の機能を一部白山の方でもやってもらったということですけれども、車両そのものを逃がすという対策一つあるというのと、あとは、車両基地そのものの機能をやはり確保しておかなければいけないということは、やはりかさ上げをしたり、いろいろな水害に対する備えもしておかなければいけないのかなというふうに思っています。  新幹線は、高速大量輸送の手段で、運行前の点検もやはりそういう車両基地できちんと点検をして、始発駅である、金沢の方は白山がありますけれども、長野発はやはり長野の車両センターで仕業前の点検をきちんとやって送り出すということもありますので、三月十四日からようやく一〇〇%の運行が回復できるということでございますけれども、今回、非常に長期間にわたる影響、大勢の方への影響がありました。  ぜひ、東海道新幹線の鳥飼車両基地で一九六七年、昭和四十二年の集中豪雨のときに新幹線を避難させたという実例もあるという話も伺っておりますので、やはり事前に計画をして、ちゃんと逃がしたり、あるいは車両基地についてはしかるべき対策をとるということが必要かなというふうに思っておりますので、引き続き、鉄道事業者に対しても連携をしながら取組をお願いしたいと思います。  それから、川の管理のことについてお伺いをさせていただきたいなと思っております。  私の地元ですけれども、関東平野のちょうど上、一番上のようなところにありまして、北は利根川、南は荒川ということで囲まれていて、大変今回も、珍しいことなんですけれども、両方の河川が危険な状態にあるということで、かなり幅広く避難指示が出されたという状態になりました。  今回、私の地区ですと、行田市というところで床上、床下合わせて二百五十件の被害があったというところがあったんです。  ここはどういうところかというと、利根川から荒川に、武蔵水路という利根川の水を荒川に引っ張っていく水路を水資源機構というところで管理をしておりまして、利根川からの水をふだんは流しているんですけれども、今回は荒川が危なくなってしまったのでそこの水門を閉じてということで、今度、その導水路、武蔵水路に流し込んでいる忍川という、これは県管理の川なんですけれども、この忍川が内水の氾濫をしてしまって、要するに、荒川がまず閉じました、今度、導水路の武蔵水路の水門が閉じましたということで、二段階の閉鎖の措置を受けての内水の氾濫になってしまったということがございました。  もちろん、荒川が危険だというふうになる前は、あるいはその後は、危険が解除されてからはどんどん武蔵水路も使って排水をしていただけましたので、排水をしないという想定からは一メートルぐらい低く危険の水位を抑えられた、浸水の水位を抑えられたということは出ておるみたいですけれども、あそこの被災を受けた、被災した方たちのところを回っていると、荒川のためにうちらの家が犠牲になっているのかと。当然、そういう話も出てくると思うんですけれども。  やはり、管理者が、荒川そのものは国交省の管理であり、その導水路、武蔵水路というのは水資源機構が管理をしている。ここに今度、県管理の忍川が入っているということで、果たしてその連携がしかるべく行われていたのかな、そういう率直な疑問が住民の皆様の中にはあるということでございます。  ぜひ、これからいろいろな水害が起こる中で、管理者が違うその連携をどうやって行うかというのは非常に大きなテーマにも引き続きなっていくのではないかなと思っておりますが、異なる河川管理者の間の連携についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  39. 佐々木紀

    ○佐々木(紀)大臣政務官 お答え申し上げます。  御指摘のように、河川管理者やその沿川の自治体、あるいはさまざまな関係者がいらっしゃるわけでございますので、こういった皆さんと日ごろからしっかり意思の疎通を図っておかなきゃいけないという御指摘だというふうに思います。それはそのとおりだというふうに、しっかり受けとめさせていただきたいというふうに思います。  ちなみに、昨年の台風十九号の際の武蔵水路の取扱いについては、事前に決めてあった操作ルールに基づいて取り扱われていたということ、適切であったということはまず申し上げさせていただきたいというふうに思います。  その上で、やはり災害時には、円滑な防災対応のために国、県、市、あるいは河川管理者、あるいは関係者ですね、水資源機構等々の関係者がやはり常に平時から情報共有を図っていくということが非常に大事だというふうに考えております。  そこで、国土交通省では、平成二十七年の関東・東北豪雨を踏まえまして、河川ごとに、流域の関係者から成る大規模氾濫減災協議会というものを設置しておりまして、河川が氾濫した場合の被害の軽減に資する取組を総合的かつ一体的に推進しているところでもございます。  このような場を利用して、施設の操作ルールや地域の浸水リスクなどについて改めて市町村としっかり情報共有を図りながら、住民の的確な避難行動を支援する取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
  40. 森田俊和

    森田委員 ありがとうございます。  今回の、確かに適切、まあ適切というか取決めどおりに操作がされたというのはそのとおりだと思います。  それで、これは住民の方が見たことなので、どういうタイミングで見たのかがはっきりしないので何とも言えないんですけれども、例えば、導水路、武蔵水路から荒川への水門を閉じて、忍川から武蔵水路に入る水門を閉じた段階で、武蔵水路そのものがまだ水位の余裕があったんじゃないか、そういう目撃の情報もありました。武蔵水路もすごく長いし、例えばそれを一つの貯水のためのものと考えれば、そこ自体にためられるものというのもあるのではないかなと思います。  そういった意味では、非常に幾つも水門があって、それをどうやって管理するのかというのは、非常にこれは連絡調整も難しいと思いますし、それを事前にやるというのも大変な苦労があると思いますけれども、少しでも生命財産に対するリスクを減らすという意味では、もう一回、事前にそういった綿密な協力関係、あるいは水門を閉める順番とかそういうタイミングだとかも調整をしながら細かくやっていくということが求められるかなと思いますので、ぜひ引き続き、国交省の方としても取組を進めていただければと思います。よろしくお願いします。  それから、ちょっと細かい話をさせていただきますけれども、先ほど申し上げたように、荒川と利根川がありまして、今回も上流から土砂が非常に多く流れてきました。私の地元はどういうところかというと、山地から急に来た川がだんだん緩やかになっていって、最後は東京の方で平らになっていくというような状態なんですけれども、急なところから緩やかなところに移りつつあるような状態のところでございまして、そういった意味では、大きな岩だとかいろいろな大きさのものが流れ着いてくるというような、そういうところもあると思うんです。  最近は、その流れ着いた土砂があるだけではなくて、そこにもう木が生えて、何か森みたいな状況が中州にあったり、あるいは堤防に近いところにできてしまっているというようなことを見て、いや、あれは本当に大丈夫なのかな、そういう率直なお声がございます。  こういった森みたいになっているものが流れを阻害するんじゃないかとか、あるいは木が流れてしまった場合には橋だとかそういう構造物を傷つけてしまうのではないかとか、そういうリスクもあるのではないかなと思うんですけれども、要するに、そういった土砂だとかをもっとさらった方がいいんじゃないかという御意見が大変出ているわけなんですけれども、これについて、国交省、お話を聞かせてください。
  41. 塩見英之

    塩見政府参考人 お答えを申し上げます。  治水対策におきましては、河川の水位を下げるということが最も重要であると考えてございます。そして、比較的早期に対策が可能であります御指摘の河道の掘削あるいは樹木の伐採、これは大変有効な事業手法であるというふうに考えてございます。  このため、平成三十年度からでございますが、防災減災国土強靱化のための三か年緊急対策といたしまして、国が管理する約百四十の河川、それから都道府県等が管理しております相当数の河川におきまして、氾濫による危険性が特に高い等の区間を対象にいたしまして御指摘河道掘削や樹木の伐採を順次進めてございまして、引き続き、計画期間であります令和年度末までの完了に向けて取り組んでまいりたいと思っておりますが、さらに、昨年の台風十九号におきましては、河川の合流点の付近などで大変決壊が多く発生をいたしましたことを踏まえまして、今回の補正予算によりまして、本川と支川の合流点付近の水位を低減する効果が期待されるような、そういう箇所におきまして、河道の掘削や樹木の伐採といった事前防災対策を更に推進させていただきたいというふうに考えてございます。
  42. 森田俊和

    森田委員 ありがとうございます。  これに関連してなんですけれども、いろいろと、地元を歩いておりますと、昔はよく砂利をとっていたという話をよく聞くことがございます。砂利船が出ていたといって、荒川、利根川の話もよく聞くんですけれども。確かに、お話を聞くと、高度成長期、いろいろな建設需要を賄うために川砂利を掘っていたと。ただ、やはり、掘り過ぎてというか、効率的に、商売でやっているので、狭い範囲で深く掘っちゃったりして、流れが変なふうになっちゃったりとか、あるいは危なかったり、あるいは橋、橋脚を傷つけたり傾けたりするような、そういうことになっちゃったりということで、規制をかけて掘れないようにしたというようなお話もございました。  これについても、やはりさっきのさらうということの中では砂利も大きな流れの中に入ってくると思いますので、この砂利のことについてはいかがでございますか。
  43. 塩見英之

    塩見政府参考人 お答えをいたします。  これまでも、建設資材等として使用するために、民間の事業者の方によります砂利の採取というものが行われてまいりましたけれども、河川を管理いたします国土交通省といたしましても、河川に堆積をいたしました土砂を掘削していくそのためのコストを縮減するという観点から、民間の事業者によります砂利の採取、これを積極的に推進してまいりたいというふうに思ってございます。  具体的には、土砂の堆積が進んでいる河川につきまして、砂利の採取等の許可が可能な場所を拡大をしていくということでありますとか採取が可能な量をふやすといったようなことをいたしまして、そういった情報を砂利の採取業者の方々に情報提供させていただくというようなことでありますとか、あるいは、砂利を使うことができる利用の用途の制限を撤廃をするなどいたしまして、民間事業者が採取しやすい環境というものをつくるように努めてまいりたいと考えてございます。
  44. 森田俊和

    森田委員 ありがとうございます。  そろそろ時間が迫っておりますので、最後に大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  今回、十五号、十九号に対するというものもありながら、もうここまで来ると毎年のように同じようなことが起きるという中で、今回の補正予算の中でもこれだけの金額をのせて、計上して、出していただいているんじゃないかなと思います。  政府として、防災について、今回の補正予算、どのような考えで臨んでいらっしゃるか。最後、お聞かせください。
  45. 麻生太郎

    麻生国務大臣 これは、森田さん、もうずっと言っておられましたけれども、やはり、地球温暖化とかいろいろな話をしますけれども、これはもう全くこの十年間で変わったんですよ。だって、北海道で梅雨だから。北海道ですよ。ここ、北海道はいないか。北海道、梅雨ですよ。昔は梅雨がなかったんだから、あそこは。私のところも、逆に、これは九州ですけれども、梅雨がなくなりまして、今はもう、うちはモンスーン地帯から亜熱帯に変わっていますな、間違いなく。スコールですよ、スコール。  あなたは坂東川やら、坂東川って、利根川やら何やら詳しそうだから。一級河川だから、どのみち時間降雨量は五十ミリだろう、あれ、計算してあるのは。実際問題、今、百ミリとか、きのうのあそこだって百三ミリ降っているもんね。一級河川で百五十ミリのところに普通の二級河川で百ミリ降られたら、それは洪水ですよ。そんな、できていないんだから。  今、気候がそうなっちゃった。そこに合わせて、日本じゅうの川を百三ミリに合わせるなんて、それはとてもじゃないけれどもできるはずもありませんから。いろいろなことをこれは、建設省というか河川局としては頭の痛いところで、いろいろやらないかぬということに今なっているんだと思うんですけれども。  ただ、今局長が言ったように、河道を掘削しますと、それは間違いなく、うちは百三ミリ降って洪水になったところが、六年後、掘削してやったら百八ミリ降ってあふれなかったもんね。だから、やはり極めて効果がでかいことは自分のところでよくわかりましたよ。  だから、そういった意味では、これは起きるところをちょっといろいろ、幸いにして、何となく最近こう、通る道も変わってきて、インドネシア沖で台風が起きないでフィリピンの沖で起きて、そのまま上に上がってきて、だから元気がいいから、日本の手前で大体偏西風に引かれて東に流れるはずなんだが、今、行かないでしょうが。真っすぐ千葉とか埼玉に上がってきたんだろう、この間。あれなんか、今までではあり得ないコースなんですよね。その分だけ、今度は逆に、九州の方には台風が来なくなってきたな。  だから、今おたくらに手伝いに行っているのは、うちから行っているだろう、福岡から。ブルやら、サイドダンプローダーだ、ロングホーだ、みんな持って。そんな建設用語を使ったってわからないね。そういった建設機械を使って、みんな埼玉や千葉に行っているはずですよ。だって、私、この正月、おい、旦那どうしたいと言ったら、今千葉行っていますって。結構行っている。  そういうことになるほど変わってきていることに合わせてちょっと全体のことを考えていかなきゃいかぬので、全体の話で、今国土強靱化という話をいろいろ言うようにしているんですけれども、もっと物すごく全体のことを考えてやらないと、今までのとそのままの延長でできるような話じゃなくなってきやせぬかなという感じだけはしますので、だからといって、では、台風のあれが毎回予想できるかというわけでもありませんしね。  だから、そういった意味では、ちょっといろんな対策を、これは国土交通省やらいろんなところで全体として考えていかないかぬところだと思いますので、また、詳しそうだから、ぜひ知恵をかしてください。
  46. 森田俊和

    森田委員 ありがとうございました。  これは補正だけではなくて本予算を含めてやっていかなくちゃいけないことだと思いますし、また、私もとにかく現場の声を、地元の声を一つでも拾って、安心、安全に向けての取組が進められるように私も活動させていただきたいと思っております。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  47. 田中良生

    田中委員長 次に、階猛君。
  48. 階猛

    ○階委員 共同会派の階猛です。  きょうは、皆さんの御配慮もいただいて質問時間をいただいたことに、まずもって感謝を申し上げます。  私、今も麻生節が炸裂していましたけれども、麻生大臣、失言も多いんですが、率直な、役人ではできないような答弁をするところも一つ魅力なのかなと思っておりました。  それで、けさの予算委員会を見ていましたけれども、前原さんの質問に対して。先ほどの海江田先生と同じ問題意識から質問していたんですよ。要は、剰余金補正予算で使い切らないで本予算に回して、新規発行国債を圧縮して、粉飾したんじゃないか。それに対して、おっしゃるとおりですとまず答えたんですね。これはなかなか、私もびっくりしました。すごいことだと思いました。  ただ、その後が問題でした。その後、我々は野党と仕事をしているんじゃない、マーケットと仕事をしているんだ。これは幾ら何でも国会を軽視していますよね。我々、別に野党という立場で国会で議論しているわけじゃないんですよ。国会議員として、国民の代表として、憲法上与えられた権能である行政監視機能を果たしているつもりなんです。そして、議院内閣制ですから、当然大臣説明責任があるわけですね。  ですから、先ほどの発言は、幾ら何でも撤回して謝るべきだと思いますよ。
  49. 麻生太郎

    麻生国務大臣 私ども、いわゆる国債等々、こういったものを扱っておりますと、マーケットというもの、市場というものと一番やらないと、いきなり金利が上がったり下がったりしますので、私どもは主にということを申し上げるつもりで言わせていただきましたけれども、野党のやじが飛んだものですから、あんたと仕事しているんじゃないというつもりで言ったんですけれども、今言われたようなことを期待して申し上げたわけじゃありませんので、そういった意味では、私の方が言い方が問題だというのなら、訂正しておわび申し上げます。
  50. 階猛

    ○階委員 ありがとうございます。  その上で、私も公明正大に、揚げ足をとるような質問をするつもりはありません。  ただ、私は今回の剰余金特例法案、極めて問題が多いと思っていて、それが今回提出される遠因となったのが、日銀の異次元の金融緩和が無期限に続いていることだと思っているんですね。それできょうは日銀総裁にも来てもらっていて、後ほど日銀総裁にも答えてもらわなくちゃいけないと思っていますので、ぜひ、質問に対してはなるべく手短に、麻生節も聞きたいところなんですが、手短にお願いします。  その上で、きょうは資料を用意しました。私の方で財務省もともとつくった資料をもとにして、ちょっとフローチャートみたいな表があると思うんですが、こちらをごらんになってください。平成以降の財政法第六条剰余金処理状況と題しております。  過去の借金返済に充当したケース、御案内のとおり財政法六条では少なくとも五割、五〇%という定めなわけですが、その五〇%を超えて借金返済に充当したケースも三回ほどある。特に、平成十六、十七年度剰余金については一〇〇%過去の借金返済に充当したということでありました。  一番多いのが、財政法六条をぎりぎり守ったケース、つまり五〇%だけ返済に回した。これが、実は最近このパターンが一番多くて、二十三年度から二十九年度剰余金についてはずっとこういうやり方をしてきた。  最後に、全く過去の借金返済に充てなかったケース、これは当然特例法を制定することになるんですが、過去を見ますと、今回のを除いて七回あります。  私も財務省からも資料をもらって分析したんですが、平成二年、三年は、バブル崩壊が始まったところで大幅に税収が落ち込んで、それを埋めるために剰余金を使った。あと、平成年度剰余金は、平成七年に阪神淡路大震災があったのでそれの復旧復興などもあり、補正予算で使った。  あとは、十一年、十二年、十四年、このあたりは、非常に財政規律をしっかりやりましょうということで、なるべく国債発行をしないように補正予算を組んだ。あと、二十二年度剰余金は二十三年度補正で使っているんですが、これは言わずと知れた東日本大震災の復旧復興のためです。  こういう中で、三十年度税収が落ち込んだというのもありますけれども、その使い方なんですね。借金抑制の程度ということで右側に書いておりますけれども、補正予算での新規の借金をどれぐらい抑制したかということも過去の例を調べてみました。  この剰余金を使うことによって、全く国債を発行しないで済んだというのが平成十四年、二十二年。  そして、建設国債は赤字国債と違って財産が残るということで同じ借金でも質がいいと思うんですが、建設国債のみ発行したというのが平成二年、三年、十一年の剰余金でした。  それから最後に、赤字国債まで発行している、つまり、剰余金も使うんだけれども建設国債のみならず赤字国債も発行したというのが平成六、平成十二年、そして今回です。  その赤字国債の発行額という意味でも、今回が群を抜いて多くなっているわけですね。二兆二千二百九十七億円ということであります。阪神淡路大震災のときよりも圧倒的に多いわけであります。  こういう使い方、よく見ると数字の左側に上中下とか書いていますけれども、過去の借金返済に充当したかどうかという意味では、上中下でいえば下ですね。そして、補正予算で新規借金を抑制したかどうかという意味でも下です。下の下ですね、これは。かつ、下の下であるだけではなくて、本予算剰余金を回したことによって赤字国債の発行額も異常に膨らんでいるわけです。二兆二千二百九十七億円。  こんな下の下、そして大臣もお認めになられた粉飾、こうした法案をどうして出すんでしょうか。財務省の矜持が全く感じられません。私、大臣としてこれは恥ずべきことだと思いますよ。どうしてこんな法案になったんですか。反省というか、自分自身として、こんな法案で問題ないとお思いでしょうか。お答えください。
  51. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今回の補正予算においては、先ほどの御質問にもお答えしたとおりなので、我々としては必要だと思って所要の歳出の追加というのを行ったんですが、その歳出の追加の財源についての検討というのをいろいろさせていただいた中で、先ほど海江田先生のときだったかに説明申し上げましたように、いろいろなことを考えさせていただいて、この国債を発行するのに当たりまして、国債の発行を抑制するということの観点から、まずは決算剰余金を活用するということとさせていただいて、補正予算関連法案として剰余金特例法案を提出することとさせていただいたんですが、この考え方の問題は先ほど申し上げたとおりで、私どもとしては、基本的に、借金をして借金を返すということではなくて、この剰余金というものを使わせていただいて、なるべく新しく国債を発行するということを抑制するという方向にかじを切ったというふうに御理解いただければと存じます。
  52. 階猛

    ○階委員 大臣財政演説でおっしゃっていたように、内需を中心に緩やかな回復、経済状況ですとおっしゃっていました。災害対策、これは必要なもので、我々もやるべきだと思っていますけれども、それ以外に経済対策等々で二兆円ぐらい使っているわけですね。その結果、今回のような下の下の最悪の特例法案になっている。これは景気判断との整合性が全くとれていないような気がするんですね。  むしろ率直に、今は景気が厳しいんだということで、こういう異常な、異例な、そして下の下の特例法案を出さなくちゃいけない状況なんだと言われた方が、まだこちらもすっきりしますよ、腹に落ちますよ。どう思っているんですか、景気状況
  53. 麻生太郎

    麻生国務大臣 これは、先週発表されましたいわゆる一月の月例報告におきましても、景気は緩やかに回復しつつある、特に内需等々において、外需の問題はあるけれども、海外の動向に留意する必要があるものの、内需は間違いなく回復しつつあるというようなことで全体としては承知をしております。  そうした中で、今回のこの対策は、やはり海外の要因というのは、例えば米中プラス今回の武漢の話が更にどうなるのかよくわかりませんけれども、こういった話とか、また、ヨーロッパにおけるいわゆるブレグジットの話とか、そういったような話が、先行きのリスクというのがそろそろ見えないわけでもありませんし、我々としてはそういったことを考えた上で、少なくとも今内需はそこそこいっているわけなので、こういった力強いものを更に経済成長をさせ続けていくということが当面必要なんだと思っておりますので、私どもとしては、そういったものをするのをちゃんと更に確実にしていくということを考えているわけでありますので、景気判断というものと矛盾しているというような意識を持ってやっているわけではございません。
  54. 階猛

    ○階委員 次の質問は先ほどの前原さんの質問に対する答えとかぶるのでちょっと省略しますけれども、四番目の質問ですが、私も前原さんと同じ問題意識で、総理が施政方針演説でおっしゃった、来年度予算では新規公債発行額は八年連続減と吹聴することは、非常にミスリーディングで粉飾だということは私も同じ問題意識です。大臣もお認めになったので、それはよしとしますけれども。  きょうの資料の裏側を見てください。「世も末です」という表題で、これは朝日新聞で、匿名ですけれども、このコラムの下のところに「この欄は、第一線で活躍している経済人、学者ら社外筆者が執筆しています。」となっていますね。先ほどマーケットと仕事をしているということを言っていましたけれども、少なくとも、この書かれている人、多分マーケットをよく御存じなんでしょう。そうした方から見ても、大臣としては財政健全化をうまく装ったつもりかもしれませんが、マーケットの人もだまされていないですよね。  なぜならば、このコラムの下の段、最初から三行目を見ますと、「さらに、財政の見栄えのため、ばらまき歳出補正に回して当初予算歳出をスリム化。他方で税収見積もりを上ぶれさせ、前年度剰余金を借金返済にも補正にも充当せずに当初予算歳入に組み込み、公債依存度を小さくみせている。 私も様々な予算のやりくりを見てきたが、ここまでルール無視の「見せかけの国債発行削減」は初めてだ。」といったようなことが書かれています。  見せかけのやり方として三つ挙げているわけです。  一つは、ばらまき歳出補正に回して当初予算を減らす。  それから、税収見積りを上振れさせる。これ、実は今年度も史上最高の税収になるはずだったのが二・三兆円ぐらい下がって史上最高じゃなくなっています。来年度も史上最高の税収見積りになっていますが、本当にそうなのかどうか。  そして、これまで問題にしてきた三点目が、剰余金を借金返済にも補正にも充当せずに当初予算の方に回した。この三点目は新たなテクニックです。新たなテクニックによるものを前年度と比べているのはおかしいですよね。前年度までと違うルールになっているわけだから、前年に比べて新規発行額が下がったということはそもそも言うべきではない。  大臣は粉飾であることを認められたわけですけれども、こういうやり方をしていると、どんどん国民が誤解してしまう、国家財政に対する認識が誤ってしまうということで、こういうことはやめた方がいいと思いますよ。いかがですか。
  55. 麻生太郎

    麻生国務大臣 粉飾を認めたと言われてこのまま黙っていると、おまえ、認めたそうじゃねえか、財務省で、予算委員会では言わねえで、財務委員会に行ったら何で言うんだなんて言われて、またそちら側から言われると話が込み入りますので。私は、今の話は御意見として拝聴しておきますけれども、それをそのまま認めているというわけではありませんから、お断りは最初に申し上げておきます。  その上で、御指摘決算剰余金処理に限らず、いわゆる税収にしても歳出経費にしても、私どもは、その年ごとに経済動向とかいうものを考えて、また、制度の改正とか重点課題というものを踏まえていろいろ変わっていくものなんだとは思っているのですが、いずれにいたしましても、当初予算について、変動要因があるとは思いますけれども、全体像というものと前年度と比較をある程度することで予算全体のいわゆる主なポイントを示しているというところなんだと思って、これはずっと、そういう以外にちょっと、経済の中でも比較貸借対照表って大体前年度、まあ、比較貸借対照表なんて役所では使わぬ言葉ですけれども、そういったようなものですから。  そういった意味で、今回させていただいた当初予算の編成に当たりましては、これは財政健全化へというものの取組は継続して進めていかないかぬというのははっきりしておりますので、決算剰余金を含めまして、その他のいわゆる収入についてもこれは活用させていただきながら、国債発行の抑制というものに努めた結果、一応、新規国債発行額が一千億減となったということだというように思っております。  また、その他の収入についても、御指摘のこの決算剰余金だけじゃなくて、特別会計からの受入金とか各種機関からの納付金とかさまざまな収入から成りますので、予算の概要を説明する資料においては示されておりませんけれども、これまでも必要に応じて御説明をさせてきていただいたところなので、階先生等々お詳しいので、説明する資料においてもいろいろお示しをしているところでありますので、誤解を招くというように考えているわけではないというふうに御理解いただければと存じます。
  56. 階猛

    ○階委員 誤解を招いていると私は思っていますけれども、少なくとも、見かけをよくするために技巧を凝らしているということは言えると思うんですね。それは、大臣も先ほどの委員会でお認めになっている。  それで、こういう、見かけをよくするために技巧を凝らすような財務省のやり方、こういうのが、私は、財務省は昔はなかったんじゃないかなというふうに思っているんですね。  いつのころからか財務省も狂ってきて、例の公文書の改ざんもありましたですよね。公文書の改ざんで相当反省されて、なるべく国民に正直に情報公開されるのかなということで、こういう小細工はしなくなるんじゃないかなと思っていたんですが、残念なことでした。  実は私、年末に大臣がお出になられたNHKスペシャル「権力の興亡」を見まして、大臣はあの公文書改ざんのときにやめるつもりだったということを言っていて、甘利さんとか安倍総理にとめられてとどまったというような話でしたね。私、あれを見たときに、やはり麻生大臣は正しいことをやりたいと思っている人だというふうに思いましたよ。  であれば、こういう財務省の姿勢を改めさせる、今度こそ改めさせる、そして、改めることができなければみずから責任をとる、こういう決意を示してほしいんですが、いかがでしょうか。
  57. 麻生太郎

    麻生国務大臣 これは繰り返しになるかもしれませんけれども、これは各年度決算剰余金処理という話なので、さまざまな観点から総合的に勘案するということになっていくんだと思いますが、時々によって、状況によって処理の方法も変わってくるんだと思うんですが、各年度財政運営というものの基本になります当初予算において公債発行額を抑制していくということは、これは財政健全化を進めていく上では極めて重要な内容の問題になるんだと思っているんです。  そういった意味では、この決算剰余金のいわゆる処理に当たりまして、政策判断として、補正予算というものの歳出の追加の財源として〇・八兆円というものを使用させていただいて、その上で、残余の〇・五兆円について、来年度での特例公債の発行を抑制するというように使わせていただいたということなんでありますけれども、いずれにしても、こうした処理が問題だというように、粉飾ではないかとかなんとかいろいろ言われる、表現が、言っておられることがわからぬわけではありませんけれども、こうした処理自体が問題なんだと言うけれども、それなりの、私どもとしての政策判断の上でやらせていただいたと思っております。  これがどういうような形になってくるか、これによって財政が更に乱れていくというような感じを私自身が持っているわけでは全くありませんけれども、きちんとして、財務省なりにそれなりの対応をさせていただいていると思っております。
  58. 階猛

    ○階委員 今回また一つ財政規律が緩んだわけですね。今までやったことのないことをやったというのはまがいもない事実だと思います。  こういうことで、毎年毎年、本予算では新規発行の国債を減らすために剰余金補正予算で使わずに本予算回しにするというようなことが重なっていくと、もう何でもありになってしまうということで、さらなる財政規律の緩みということになっていくわけですね。ですから、こういうことは、やはり最初の一歩を間違えないという意味で、私はこういうやり方はすべきでないということを強く申し上げたいと思っています。  とともに、普通だったら、経済合理性を考えれば、先ほど海江田先生もおっしゃったように、剰余金があればなるべく早く過去の借金の返済、高い金利のものの返済に充てた方が経済的にはいいはずですね、今金利が低いのであれば。ところが、どっちにしろ金利が低い、過去の借金も金利が低い、そして、これからする借金も金利が低いということで、今すぐ借金を減らそうとか、今すぐ新規発行国債を減らそうとか、そういう意識が少なくなってきていると思うんですね。それをもたらしているのは、私は日銀の異次元の金融緩和だと思いますよ。  日銀の異次元の金融緩和が、二年と言っていたのが無期限になっているから、どんどんどんどん金利が低い借金に置きかわっていって、かつ、これからする借金も超低金利で済んじゃう。こういうところも異次元の金融緩和の副作用であり、これは未来に対するツケを先送りすることになって、本当に私はゆゆしき問題だと思っていますよ。  先般、私は日銀総裁にもこの場で質問しましたけれども、あのときは、全く私の話には耳もかさず、あなたの言うことは間違っていると、もう一刀両断にされました。  ただし、全く論拠もなく一刀両断にされましたけれども、少なくとも、今私が申し上げました、過去の借金それからこれからの借金の負担を軽くすることをマイナス金利はしているわけですけれども、これは逆に言うと、財政規律を緩めて、どんどん未来の世代にツケを先送りすることにつながっている。そういうことに対する責任は感じないんですか。日銀総裁、お答えください。
  59. 黒田東彦

    黒田参考人 財政運営につきましては、基本的に政府、国会の責任において行われるものというふうに認識しておりまして、私から具体的なコメントをするのは差し控えたいと思いますが、その上で、一般論として申し上げますと、やはり我が国政府債務残高が極めて高い水準となる中で、政府が中長期的な財政健全化について市場の信認をしっかりと確保することは重要であるというふうに考えております。二〇一三年に政府日本銀行が公表した共同声明におきましても、政府は持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進することとされております。  なお、日本銀行による金融緩和は、あくまでも二%の物価安定の目標を実現するという金融政策上の目的のために行っているものでありまして、引き続き、この物価の安定というみずからの使命を果たすため、必要な金融緩和を行っていく考えでございます。
  60. 階猛

    ○階委員 この間も言いましたけれども、二%の物価目標は達成するどころか遠ざかっていますよね。そして、延々と出口なき金融緩和を続けている。そして、異次元の金融緩和が今度は異次元の財政緩和につながってきている、そんな気がする今回の特例法案です。そういう責任を感じてほしいんですよね。  今も人ごとのような答弁でありました。財政には自分たちは関係ないというようなことでしたけれども、本当にそれで日銀総裁として責任ある金融政策だと言えるのかどうか。もう一回、この点についての見解をお尋ねします。
  61. 黒田東彦

    黒田参考人 先ほど来申し上げているとおり、財政運営につきましては、あくまでも政府、国会の責任において行われるものというふうに認識しております。  私どもとしては、先ほど来申し上げているとおり、二%の物価安定の目標を実現するという金融政策上の目的のために現在の金融緩和を行っておりまして、引き続き、物価の安定というのは、これは日本銀行法にも書いてございますけれども、みずからの使命でございますので、それを果たすために必要な金融緩和を行っていくという考えでございます。あくまでも金融政策上の目的のために現在の金融緩和を行っているということでございます。
  62. 階猛

    ○階委員 私が今申し上げたようなことは、副作用としては認識しないんですか。財政規律を緩めているということは、副作用としては認識されないということでいいですか。
  63. 黒田東彦

    黒田参考人 先ほど来申し上げているとおり、あくまでも財政運営政府、国会の責任において行われているものでありまして、中央銀行が政府、国会の責任において行われている財政運営に何か特別な影響を与えようとかそういったことはどこの国の中央銀行でも行っておらないわけでありまして、あくまでも中央銀行は、物価の安定、そして金融、特に決済システムの安定というこの二つの目的のために金融政策なりさまざまな政策を行っているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  64. 階猛

    ○階委員 時間ですので終わりますが、今のは典型的な御飯論法だということを申し上げたいと思う。私は意図を聞いているんじゃないんです。結果的に、皆さんが延々と異次元の金融緩和をやったことが財政を、規律をゆがめている、その結果に対して責任を感じないのかと言っているわけで、皆さんの金融政策の意図が二%目標を達成するためだから問題ないとか、それは全くの御飯論法だということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  65. 田中良生

    田中委員長 次に、清水忠史君。
  66. 清水忠史

    清水委員 日本共産党の清水忠史です。  限られた時間でございますので、答弁、簡潔にお願いしたいと思います。  補正予算では、税収の落ち込みを穴埋めするなどの理由で、新規に四・四兆円の国債を発行するという計画になっております。政府は、消費税増税後も十分な対応を行うというふうに説明してきたわけですけれども、増税後三カ月もたたずに事業規模二十六兆円もの大規模な補正予算を組まざるを得なくなったということだと思います。  このこと自体、消費税の与える経済への影響がいかに大きかったかを物語っていると思うんですが、本日は、その消費税増税における中小零細企業への影響について伺いたいと思います。  まず、税収について確認しておきたいと思います。  配付資料の一をごらんください。これは一般会計税収、主要税目の推移でございます。  安倍首相は施政方針演説の中で、この七年間で経済は一三%成長し、来年度予算税収は過去最高と自賛していたわけですが、主な要因は、これを見ますと、消費税の基本税率を五%から一〇%に引き上げたその増収分だ、増税分だというふうに言えると思うんですね。この結果、消費税増税による税収が一年分反映される二〇二〇年度一般会計予算案で、消費税がついに所得税を抜いて最も税収の多い項目となるわけであります。  麻生財務大臣に伺います。  消費税収入二十一・七兆円に対して、法人税収入は十二・一兆円なわけですね。五六%、ほぼ半分しかありません。税収構造として、基幹税であるこの法人税の税収が余りにも少な過ぎるというふうに思うんですが、大臣の認識をお伺いします。
  67. 麻生太郎

    麻生国務大臣 法人税につきましては、これは成長志向の法人税改革というのに取り組んできたのは御存じのとおりだと思いますが、この法人税率というものの引上げと引下げ等々に当たりましては、これは財政事情というものを考えて、企業部門の内部留保の状況とか、さらには消費税の引上げといった諸情勢を考えて、租税特別措置の縮減とか廃止等によって財源をしっかりと確保しておりまして、これはネット減税というのを行っているわけではありませんよ、よく言われますけれども。  その上で、消費税について、国民が広く受益をされるいわゆる社会保障の費用というものをあらゆる世代、全ての世代が分かち合うという観点から、社会保障の財源ということで位置づけさせていただいているのが消費税の今の地位です。  その上で、昨年十月の消費税の引上げというものを考えてみますと、これは、少子高齢化というのは日本にとって長期的には最も深刻な問題だと思いますが、国難とも言えるものだと思っているんですけれども、これから正面から取り組むに当たりまして、いわゆる社会保障というものを、かなり高齢者に少々厚過ぎるんじゃないかとかいろいろ御意見がありましたけれども、いわゆる全世代型の社会保障制度というものへ転換していくために行うものなんだと思っております。  いずれにいたしましても、税目いろいろありますけれども、それらの比率とは、それは時々の社会情勢の変化に合わせていろいろ改正を行ってきたものだと承知をしておりますが、所得税、法人税、消費税、その基幹三税というものの組合せというのは極めて重要なところだと思っておりますので、必要な税収というものを確保していくということが最も重要だと考えております。
  68. 清水忠史

    清水委員 今答弁いただいたんですけれども、法人税収が少ないという、少な過ぎるという認識はお持ちでないということがわかったんですが、やはり、このグラフを見ていただきましたら、法人税収が大きく落ち込んでいる、結局その法人税の落ち込みを消費税増税で賄ってきたということがよくわかるというふうに思うんですね。  今回の消費税増税は、その法人税減税の恩恵を受けない中小零細企業に対して、例えば、第一段階で消費税の増税前、そして消費税増税直後、そして二〇二三年から本格導入するインボイスの制度、連続的に破滅的なダメージを与える内容になっているんじゃないかなと思うんですね。  配付資料の二枚目をごらんください。帝国データバンクの調査によりますと、二〇一九年のスーパーマーケットの倒産件数が七年ぶりに増加いたしました。負債総額は前年比何と二倍以上なんですね。この見出しにありますように、「消費増税の影響も」、こう指摘しているわけです。  昨年十月一日の増税前には、複数税率の導入に伴うレジなどの設備投資の資金ができない、そういう中小零細業者が全国で倒産、廃業に追い込まれました。私もこの委員会で、もう少しで創業百年を目指すという酒屋さんがレジ、システムの改修ができなくて倒産したわけですけれども、きょうは経産省から松本副大臣にも来ていただいております。やはり、消費税増税がこうした中小零細業者の倒産、廃業の一因であったということはお認めになりますか。
  69. 松本洋平

    ○松本副大臣 昨年の本委員会におきまして私から委員に答弁をさせていただきましたとおり、軽減税率制度への対応に際しましては、事業者にはさまざまな対応をしていただかなければいけないということも答弁をさせていただきましたし、それらの課題について、個々の事情にしっかりと寄り添って丁寧に対応していくことが重要であるということを答弁をさせていただいたところであります。  経済産業省といたしましては、中小企業団体と連携をいたしまして、商工会、商工会議所に属する経営指導員が七千五百人体制で中小事業者を個別訪問し、事業者の皆さんの声をきめ細かく伺うことを通してさまざまな事情の把握に努めてきたところであります。  また、御指摘のレジ入れかえ負担につきましては、中小企業小規模事業者が軽減税率制度に円滑に対応するために新たなレジを導入する場合の経費を一部補助する支援策を通じまして、事業者の負担軽減に取り組んできたところであります。  また、軽減税率対策補助金につきまして、昨年の本委員会においてまさに議員から御指摘をいただきました、期限までにレジの購入契約を締結できず補助金が活用できない事業者についても、個別に事情を確認させていただいた上で補助対象として扱うなど、柔軟に対応をさせていただいたところであります。  昨年の十月の軽減税率制度開始後も、中小企業団体に設置した相談窓口などを通じまして、引き続き、現場の事業者の声に丁寧に耳を傾け、寄り添っていきたいと思います。  なお、今後新たに軽減税率対応レジを導入する事業者に対しましては、レジの導入にも活用できる補助制度や、レジを導入する際に税負担が軽減される措置などを通じた支援を実施していきたいと考えております。
  70. 清水忠史

    清水委員 私が副大臣にお伺いしたのは、消費税増税によって中小企業、零細業者が潰れましたよね、その要因の一つですよねというふうに伺ったんですが、そのことについてはお答えになりませんでした。  資料の三枚目をごらんください。これは高知市内にある、あるスーパーマーケットの店頭に張り出された張り紙でございます。  アンダーラインを読ませていただきます。「軽減税率の実施に伴う新規レジ購入による負担や、電子マネーの普及により、想定していた以上に資金繰りが難しくなり、十二月に予定される支払に必要な資金を調達する目処を立てることができなくなり、やむを得ず、営業を廃止し、」こうあるわけですよね。  安倍首相も、これも施政方針演説で、我が国経済の屋台骨を支える中小小規模事業者をしっかりと支援してまいります、こう答えているんですが、実際はその消費税増税に対応できずに倒産している店がある、事業者がある、このことの認識をしっかりお持ちにならなければ、これからの対策にも私はさまざまな問題が出てくるというふうに指摘をしたいと思うんです。  次の質問なんですけれども、何とか設備投資できましたという中小零細企業が今直面していますのが、消費の落ち込みとともに、キャッシュレス決済によるポイント還元事業の問題なんです。  経産省にこれは確認しますが、キャッシュレス・消費者還元事業の目的は、消費税増税による落ち込みを支える中小企業支援策ということで間違いありませんか。
  71. 島田勘資

    島田政府参考人 お答えをいたします。  ポイント還元事業の目的、大きく三つあると考えてございます。一つは、消費税率の引上げ後の消費喚起、今委員おっしゃった内容でございます。もう一つは、消費税率の引上げの影響を受ける中小店舗への支援、これも目的の一つと考えてございます。三つ目に、キャッシュレス推進による消費者の利便性や店舗の効率化、売上げ拡大、こういったものも目的というふうに考えてございます。
  72. 清水忠史

    清水委員 今、このポイント還元制度が中小店舗への支援策だというふうにお認めになりました。  今月、キャッシュレス推進協議会のアンケート調査が公表されました。ポイント還元事業参加店舗の売上げに占めるキャッシュレス決済比率はどれだけふえたか、また、売上げに効果があったとの回答は何%か、簡潔にお答えいただけますか。
  73. 島田勘資

    島田政府参考人 昨年の十一月に実施をいたしましたアンケート調査におきまして、ポイント還元事業参加店舗の約七割強が、本事業をきっかけにキャッシュレスを始めた、又は支払い手段をふやしたというふうな回答を得ております。さらに、約四割の消費者が、本事業をきっかけにキャッシュレス決済を始めたか、あるいは支払い手段をふやしたというふうに回答しているというものでございます。また、対象店舗の売上げに占めるキャッシュレス決済比率は、本事業の前後で平均約二七%から約三四%と約一・二五倍になっているという結果が出てございます。
  74. 清水忠史

    清水委員 私が聞いたところをもう一回答えていただきたいんです。今いろいろ言われたんですけれども、直接伺ったのは、売上げ効果があった店舗は何%ですかというふうに聞いたんですけれども、それが多分抜けているので。  もうこっちで言います。アンケートの結果を見ると三九%なんですよ。つまり、六割は効果がなかったというふうに言っているわけですよ。それで、顧客獲得、三七%、効果がありました。それから、業務効果、キャッシュレス決済拡大によるレジ締めだとか業務の効率化、これも三九%は効果があった。つまり、売上げ効果も含めて、六割は効果がなかったというふうに答えているのがこのポイント還元事業のアンケート調査の結果だというふうに思うんです。  そこで、もう一度松本副大臣にお伺いするんですけれども、結局、一・二五倍にキャッシュレスのお客さんはふえた。つまり、売上げがふえない、変わらない、あるいは減っている、そういうときにキャッシュレス決済だけがふえるということになれば、その事業者、店舗は手数料負担がふえる、ただただ。結局、その分は利益から持ち出しになるということになるというふうに思うんですよ。ですから、そういう視点で見ると、このポイント還元制度というのはむしろ経営悪化を後押ししている、こういうふうにも言えるんじゃないでしょうか。
  75. 松本洋平

    ○松本副大臣 今委員からも御紹介がありましたけれども、キャッシュレスの推進は、中小店舗によって、売上げ以外にも、例えば両替の回数が減少した、レジ締めの時間の削減などの業務効率化、また、顧客獲得に資する取組でありまして、今回のポイント還元事業により、店舗によって差はあるものの、さまざまな効果を実感していただいている店舗があると認識をしているところであります。  一方で、委員指摘のとおり、こうした効果を実感できていない中小店舗もあるということは承知をしているところでもありまして、今回効果がなかったと回答した中小店舗の御意見も含めまして、さまざまな御意見を聞きながら、ポイント還元事業の着実な運営に努めてまいりたいと考えております。また、より多くの中小店舗にキャッシュレスのメリットを感じていただけるように、引き続き、キャッシュレス決済になじみがない方々を対象とした使い方講座の実施などを通じまして、丁寧に周知を図っていきたいと考えております。
  76. 清水忠史

    清水委員 私の行きつけのお店もポイント還元をやっていないんですけれども、なぜですかと聞いたら、面倒くさいからというふうにおっしゃっておられました。やるかやらないかというのはその店舗の自由ですし、消費者にとっても、カードで払うか現金で払うかという選択肢は本人にあるわけで、いわゆる一部の人だけが恩恵を受ける制度がこの補正内容に含まれているということが果たして正しいのかということについて、最後、大臣、伺いたいんですよ。  中小零細企業の経営者にとって、やはりこの事業が本当に正しいのか。補正では千四百九十七億円、これを計上することになっていると思うんです。結局、一部の企業については痛みを押しつけるという内容になっておりますので、それに一千五百億円も補正をつける、その理由について説明していただけるでしょうか。
  77. 麻生太郎

    麻生国務大臣 商売をされた経験がおありなんだと思いますので、少なくとも、現金を扱わなくてよくなる分だけ、現金管理はすごく手間が省けますよ。これはどんな小さいところへ行ってもみんな同じことを言うから。その点だけはちょっと、みんな言わないんだろうけれども、現場へ行ったらわかりますよ。現金管理だとすごく面倒くさいものですよ。毎日近くの銀行の口座に夜中預けに行っているだろう、普通のうちは。それが全くなくなっちゃったんだから。夜中行かなくてよくなった、えらい助かったと言って、それはみんな言っていますよ。これは誰でも言っている。(清水委員「四割は言っています」と呼ぶ)ねえ。  だから、そういった意味では、いいところもあったという話を全然言わないと、いかにも共産党という感じがするから、それはやめた方がいいよ。いいことも言おうや、ちゃんと。いいことも出ているんだから。だから、そこらのことはちゃんと言って、その上でいろいろな問題がありますと。わかるよ、俺もよくわかる。だから、そういった意味では少なくともいいところもあったというところはちょっと認めた上で話をしないと、先ほど階さんとの話だってちゃんとかみ合ってくるけれども、何か全て悪かったみたいに言われると、それはちょっと違うんじゃないかなという感じが正直するので。(清水委員「そんなこと言っていませんよ、四割はいいと言っているんです」と呼ぶ)ちょっとごめんなさいね。あなたの質問を聞きながら、ちょいと私の実感だけをそう申し上げているんですけれども。  いずれにしても、こういったような問題というのは、少なくとも、一月で九十七、八万店でしたか、店舗が加入した上で、そういった意味においていろいろな事業者の話が今後いろいろ出てくるんだと思いますけれども、それは通産省あたりでいろいろ調べた人たちはいろいろ問題点がきっといっぱい出てくるんですよ、我々の知らないところの問題点。それをよく歩いて聞いてもらわないかぬ。近くの商工会とか商工会議所とか、そういったところできちんと細かい、商工会議所はどうしても大きいから商工会の方がもっとより細かく接していると思うけれども、そういったところでよく聞いてもらった上で、少なくとも、六月末だから九カ月間これを実施することにしていますので、その上でいろいろな意味でどういった形が更に出てくるか、というのは今からまだ更に半年ぐらいありますので、その間、いろいろな上で、よく見た上で考えていかないかぬところだと思います。
  78. 清水忠史

    清水委員 時間が来ましたので終わりますけれども、まず一つは、三九%は効果があったというふうに、私、アンケート結果を紹介しておりますので、全部悪かったというふうには言っていないんですよね。  ただ、やはり、国民の税金を使ってやる事業である以上、全ての事業者が恩恵を受ける、消費者が恩恵を受ける、そういうことに使うということが大事ではないかという視点で、きょう、お話しさせていただきました。そのためには、消費税の基本税率を引き下げる、五%に戻すというのが一番わかりやすいというふうに思っております。  それからもう一つは、やはり、共産党だからというレッテル張りは、余りこれは正しくないというふうに思いますよ。今、野党共闘で頑張っているんですから余り言わないでいただきたいというふうに思います。  結びに、平成三十年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案災害とか復興に使うというのは理解しますけれども、軍事費や、あるいは今言いましたポイント還元の制度などが入っておりますので、賛成することができません。そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
  79. 田中良生

    田中委員長 次に、串田誠一君。
  80. 串田誠一

    串田委員 日本維新の会の串田誠一です。  きょうは、予算といいますと税収ということでありまして、いかに財産を把握するかということは大事なことだと思うんで、そういう意味で、きょうはデジタル遺品についてお聞きをしたいと思います。  まず、デジタル遺品というのはどういうものであるのかの御説明をお願いいたします。
  81. 栗田照久

    栗田政府参考人 お答え申し上げます。  デジタル遺品につきまして明確な定義があるというわけではないと承知しておりますが、一般的には、持ち主の方がお亡くなりになって遺品となったパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器に保存されたデータですとか、インターネット上の登録情報などを指すものというふうに承知しております。
  82. 串田誠一

    串田委員 かつては、お亡くなりになった後の財産をどのぐらい持っているのかというのは、相続人が、子供が父親のあるいは母親の財産を、あるいは、おじいちゃん、おばあちゃん、いつも確認しているわけではありません、亡くなったときに通帳というような形が見つかって、ああ、こういう財産があるんだなというようなことがわかるということが一般的だったと思うんですが、最近は、ペーパーレスということもありますし、デジタルで取引を行っているというのが非常に多くなってきているということであります。  そうなりますと、相続人はお亡くなりになられました被相続人の財産をどのように認識していくのかというようなことが今後問題になると思うんですが、この認識の仕方、どうしたらよろしいでしょうか。
  83. 栗田照久

    栗田政府参考人 お答え申し上げます。  相続人の方が被相続人の資産を把握するためには、まずは、金融機関におきまして相続手続に入っていただくことが必要かと考えております。その際には、相続人と被相続人関係を証明する書類の提示などが求められますけれども、このような書類を提示していただき、相続手続に入っていただけますと、金融機関の方は、基本的に被相続人の資産状況情報提供などを柔軟に行ってくださるというふうに承知しております。  また、相続人が、被相続人が利用していた金融機関自体を知らないという場合もあり得ますけれども、こうした場合につきましては、例えば、遺産整理を税理士などに依頼して、広く金融機関に口座の有無などを確認するということが必要かというふうに考えております。
  84. 串田誠一

    串田委員 今聞いてみると簡単そうに見えますけれども、例えば、インターネットの証券会社との株式取引も、まあ、その程度であればある程度わかりますが、FXだとか暗号資産だとか、もう山ほどあるわけですよね。その中で、被相続人が行っていた取引というのを相続人が認識するというのは非常に大変だと思うんですけれども、税理士がその全ての金融機関に名前を出して取引があるのかということを確認する、そういう趣旨でしょうか。
  85. 栗田照久

    栗田政府参考人 お答え申し上げます。  おっしゃるとおり、なかなか、亡くなられた方が取引されていた全ての金融機関を把握するというのは、実際問題として難しい点があるかと存じますけれども、一部の金融機関におきましては、一定年齢以上のお客様に対して定期的に連絡を行っておるというような例もありまして、そのようなものが残っておりますれば、そういうものをよすがにして、金融機関に連絡をとっていただくということになってくるかというふうに考えております。
  86. 串田誠一

    串田委員 その取引も、全部郵送とか、かつてのようなものであればわかりやすいんですが、全部ペーパーレスになって、いろいろとネット上でIDとパスワードを入れないと自分の取引がわからない。逆に言えば、それをすることによって紙がなくても自分の取引が、過去が全部ずらっと出るという、そういう、便利にはなったわけですけれども、逆に言えば、相続人はそういうようなすべとか、どこに取引をしているのかがわからないという場合は本当に把握することが難しいんじゃないかなと思うんですけれども、相続税を把握する方法というのは、政府としてはどのように行っているんでしょうか。
  87. 田島淳志

    田島政府参考人 お答え申し上げます。  国税当局として金融資産に係る情報を把握する手段としては、例えば、金融商品の特定口座年間取引報告書などの法定調書がございます。  これらの調書においては、ペーパーレスで行われているかどうかにかかわらず、全ての取引について金融機関に提出が義務づけられております。当局としましては、こうした調書により得られる情報を活用する。  このほかに、あらゆる機会を通じて課税上有効な資料情報の収集に努めておりまして、その上で、課税上の問題があると認められる場合には、税務調査などを行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。
  88. 串田誠一

    串田委員 地方自治体に、死亡したときには死亡届をする。そうすると、国税の方に死亡したことが連絡が行って、そして、その国税の方では全て、その収集されているものの中で、亡くなられたことが把握できて、それで相続税が把握できるというような話を伺っているんですが、そうだとすると、相続人が被相続人の財産を、税理士が片っ端から調べて、そうして申告をするというよりは、その情報があるのであれば、その情報を相続人に知らしめるような手段というものを用意された方がよっぽど相続財産を把握しやすいと思うんですが、そういうことは考えないんでしょうか。
  89. 田島淳志

    田島政府参考人 お答え申し上げます。  それぞれ納税者との関係においていろいろなパターンはあると思いますが、例えば、国税の方で把握した資料につきまして、納税者の方にお知らせという形ですとかお尋ねという形で申し上げることもございまして、そうした中で、例えば修正申告をしていただくとか、そういった取組を行っているところでございます。
  90. 串田誠一

    串田委員 修正とかそういうことの前に、事前に把握できるような方法を、これからもうペーパーレスにどんどんなっていくわけで、そういうことが政府として把握しやすい状況にあるのであるなら、もう少しその部分についての風通しというものがあってもいいんじゃないかなと私は思うので、ぜひそれは検討していただきたいと思うんですけれども。  最後に、相続財産を、いろいろな財産がネット上である部分について、相続人がIDやパスワードがわからない、しかし相続財産を処分しないと相続税も払えないとか分配もできないというような場合には、どうしたらよろしいでしょうか。
  91. 栗田照久

    栗田政府参考人 お答え申し上げます。  これも亡くなられた方が取引をされていた金融機関がわかるという前提ではございますけれども、金融機関へ問合せを行っていただければ、亡くなられた方のIDとかパスワードがわからない場合であっても、その方の資産の状況ですとかは把握できるというふうに承知しておりまして、その後は、具体的な手続は金融機関によって異なってまいりますけれども、例えば被相続人の資産を相続人口座に移管していただいて処分していただくというようなことになってくるというふうに承知しております。
  92. 串田誠一

    串田委員 ネットバンキングも国内の銀行だけでも山ほどある上に、FXや暗号資産などを取引をしているところというのは本当に星の数ほど多いわけでございますので、ぜひとも、この把握の仕方、政府も考えていただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  93. 田中良生

    田中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  94. 田中良生

    田中委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。  平成三十年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  95. 田中良生

    田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 田中良生

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  97. 田中良生

    田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十八分散会