○尾辻
議員 ただいま議題となりました
新型コロナウイルス感染症等の
影響に対応するための
休業者、
離職者等の
生活の
支援に関する
特別措置法案につきまして、
提出者を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
新型コロナウイルス感染症等の
影響により、本年二月以降、事業活動が急激に縮小し、経済は厳しい状況に置かれています。これに伴い、休業や離職等を余儀なくされた
労働者は増加の一途をたどっております。経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合であっても、企業は、雇用調整助成金等を活用し休業手当を支払い、雇用を維持することが大原則であります。政府においても、これまで雇用調整助成金の要件緩和などの措置を講じてきましたが、残念ながら、休業手当が支払われていないという事例もあります。また、休業手当が支払われていても、
労働基準法の定める平均賃金の六割の保障では支給額が低いため
生活を営むには十分とは言えず、特に、もともとの賃金水準が低い非正規雇用
労働者にとっては、賃金の減少は直ちに
生活困窮に陥るおそれが高いと言えます。
なお、頼みの雇用調整助成金については、申請手続の煩雑さなどから十分に活用されておらず、上限額が低いことや支給までの期間がかかり過ぎるなどの課題が指摘されています。政府が令和二年度第二次補正予算において上限額を一日一万五千円に引き上げたことは評価いたしますが、支給の迅速化など運用面の
改善を求めたいと思います。加えて、政府案において、休業手当を受給できない者への新たな休業
支援金の創設を行うこととしていますが、その対象は
休業者に限られるため、例えば契約期間が終了した登録型派遣
労働者は含まれないなど、
生活困窮の
支援策として十分とは言えません。また、有効求人倍率の低下が続き、失業者の求職活動が困難になっており、求職活動が長期化するおそれもあることから、雇用
保険の失業手当の給付日数の延長、給付日額の増額などの措置も必要です。
さらに、現下の経済情勢により
生活困窮に陥り、
生活保護を必要とする者も大幅に増加しているところであり、積極的な保護を実施することも不可欠です。
新型コロナウイルス感染症の収束が見通せず、雇用情勢の
改善の兆しが見られない現状においては、さまざまな要因により収入が減少した
労働者、失業者等の
生活を
支援することが急務であると考えます。多重的なセーフティーネットを整備し、
新型コロナウイルス感染症等の
影響により困窮している国民の
生活を
支援する必要があるため、本
法律案を
提出した次第であります。
次に、本
法律案の概要を御説明いたします。
第一に、本年二月から政令で定める月までの間において、一月ごとに、その月に受けた賃金の額が昨年十一月から本年一月までの平均賃金月額から一定割合以上減少した者に対し、その者の請求により、平均賃金月額の八割に相当する額と申請月の賃金額との差額を
労働者
生活支援給付金として支給することとしております。
第二に、雇用
保険の基本手当の特例として、本年二月一日から政令で定める日までの間において、基本手当の額の基礎となる賃金日額の算定期間から
新型コロナウイルス感染症等の
影響により賃金が著しく減少した期間を除外することとし、賃金日額の五割から八割である基本手当の給付割合を賃金日額の七割から十割に引き上げることとするとともに、当該期間において受給資格者である者の基本手当の所定給付日数及び受給期間を九十日間延長することとしております。
第三に、本年二月分から政令で定める月分までの職業訓練受講給付金の支給を受ける者に対し、当該支給を受ける月について職業訓練受講給付金と同額程度の臨時職業訓練受講給付金を支給することとしております。
第四に、
生活保護法の保護の実施機関に対し、要保護者及び扶養義務者の資産及び収入の状況の調査その他の要保護者に関する調査の簡素化及び合理化を図るとともに、積極的に同法による保護を行う努力義務を課すこととしております。また、国に対し、要保護者が
生活保護の開始の申請をするまでの間においても、当該要保護者が生計を維持することができるよう、当面の
生活に必要な短期の資金の融通その他の必要な
支援を行う義務を課すこととしております。
第五に、国は、この法律に基づく措置を実施するに当たっては、これらの措置が特別の措置であることを踏まえ、休業手当の支払いの状況等を勘案して、国民の勤労意欲の増進を阻害することがないよう適切な配慮をするものとしております。また、事業主は、この法律に基づき国が実施する措置に積極的に協力するとともに、
労働基準法その他の
労働に関する法令を遵守しつつ、その雇用する
労働者の雇用の継続に配慮するよう努めるものとしております。
また、政府は、令和二年度中に、
新型コロナウイルス感染症等の
影響によりその雇用する
労働者をやむを得ず休業させた事業主について休業手当の支払いを
促進する観点から、休業手当を支払った事業主に対する金融上の
支援、税制上の優遇措置その他の措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。
なお、この法律は、公布の日から施行することとしており、施行日から二年以内に廃止するものとしております。
以上が、本
法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ御賛同いただきますようにお願いを申し上げます。