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2020-05-29 第201回国会 衆議院 経済産業委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年五月二十九日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 富田 茂之君    理事 大岡 敏孝君 理事 神山 佐市君    理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 淳司君    理事 武藤 容治君 理事 田嶋  要君    理事 山岡 達丸君 理事 鰐淵 洋子君       畦元 将吾君    穴見 陽一君       安藤 高夫君    石川 昭政君       石崎  徹君    岡下 昌平君       神田  裕君    古賀  篤君       武部  新君    辻  清人君       出畑  実君    冨樫 博之君       野中  厚君    福田 達夫君       穂坂  泰君    星野 剛士君       細田 健一君    堀内 詔子君       三原 朝彦君    山際大志郎君       吉川  赳君    和田 義明君       浅野  哲君    落合 貴之君       柿沢 未途君    菅  直人君       斉木 武志君    宮川  伸君       山崎  誠君    中野 洋昌君       笠井  亮君    足立 康史君     …………………………………    経済産業大臣       梶山 弘志君    内閣府副大臣       宮下 一郎君    経済産業大臣      牧原 秀樹君    経済産業大臣政務官    中野 洋昌君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 茨木 秀行君    政府参考人    (総務省大臣官房総括審議官)           前田 一浩君    政府参考人    (国税庁徴収部長)    新井 智男君    政府参考人    (国税庁調査査察部長)  松浦 克巳君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           岸本 武史君    政府参考人    (経済産業省大臣官房商務サービス審議官)    藤木 俊光君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           河西 康之君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           春日原大樹君    政府参考人    (経済産業省通商政策局長)            広瀬  直君    政府参考人    (経済産業省商務情報政策局長)          西山 圭太君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君    政府参考人    (中小企業庁長官)    前田 泰宏君    政府参考人    (中小企業庁長官官房中小企業政策統括調整官)   木村  聡君    政府参考人    (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君    経済産業委員会専門員   佐野圭以子君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十九日  辞任         補欠選任   畦元 将吾君     出畑  実君   國場幸之助君     堀内 詔子君 同日  辞任         補欠選任   出畑  実君     畦元 将吾君   堀内 詔子君     國場幸之助君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  中小企業事業承継促進のための中小企業における経営承継円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出第五〇号)      ――――◇―――――
  2. 富田茂之

  3. 富田茂之

    富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 富田茂之

    富田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。大岡敏孝君。
  5. 大岡敏孝

    大岡委員 自民党、滋賀県の大岡敏孝でございます。  このたびは、質問の機会をいただきましてありがとうございます。  それでは早速、法案の中身につきまして順次質問をしてまいりたいと思います。  まず、今回の法案の中に位置づけられましたクロスボーダーローンについてでございます。このこと自体は大きなチャレンジで、私は高く評価をしておりますが、今後のことについてしっかりと議論をしておきたいと思います。  まず、このクロスボーダーローンを始める前提として、公庫が常に気をかけているのが民業圧迫という批判なんですけれども、今回始める海外事業民業圧迫を判断する対象に含まれるのでしょうか。
  6. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  我が国には、すぐれた技術サービスを持ち、海外展開への高いポテンシャルや国際競争力を有する中小企業が数多く存在しているところでございます。  一方、大企業と比較いたしますと、海外事業を行うために必要な財務基盤に乏しいことから、これをきちんと支援をしていくということが重要だと考えてございます。  海外進出をいたします中小企業にとりましてハードルが高い現地での資金調達につきまして、今回の法案によりまして、日本政策金融公庫による海外子会社への直接融資を可能とすることで支援を一層強化することといたしております。  海外進出を希望される中小企業の方にとりまして、民間金融機関による支援体制は、メガバンクでありますとか、あるいは一部の地域金融機関等に限られておりますので、必ずしも十分でない、このように認識してございます。  そうしたことから、日本公庫が率先して海外事業に取り組み、中小企業現地子会社向けの直接融資先陣を切ることにより、民業補完につながるものと考えてございます。  以上でございます。
  7. 大岡敏孝

    大岡委員 ありがとうございます。  まさにそのとおりでございまして、大企業であれば、一定金融インフラ、当然メガも対応しておりますが、中小企業、実際には全く、この金融インフラ海外にはないに近い状態でございますので、そもそも民業圧迫を判断する対象にならないというのが私の意見でございますから、ぜひ伸び伸びとやっていただきたいというふうに考えております。  二番目にお尋ねをしたいんですけれども、今回、これまで一般的に行われていました親子ローン、一般的なのは親子ローンだったわけですが、親子ローンは当然親の信用をはかって海外子会社お金を貸していた、親の信用は当然はかれます。国内金融機関民間金融機関もつき合っていますし、公庫実績があればはかれる。ただし、今度からは、新しく海外子会社評価をして、そして、海外子会社が何らかの取引をしている銀行に対して公庫お金を振り込むということになりますと、これは一体正しく与信ができるのかどうか、海外のその銀行から情報が引き出せるのかどうか。  今までだったら、政府系金融機関国内であれば、政府系金融機関だから情報を下さいと言えば当然出してもらえたけれども、例えばタイ銀行ベトナム銀行から与信情報が引き出せるのかどうか。  更に言うと、どこまで本気融資をする体制、つまり、出張ベースだとか情報交換ベースでやるのか、それとも本気で、しっかり支店を出して拠点を置いて、それでやっていくつもりがあるのか。  このあたりについてどのようなビジョンを持っておられるのか、教えていただきたいと思います。
  8. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  今回、法案措置させていただきますクロスボーダーローンにつきましては、融資に当たりまして、現行の制度と同様に、国内親会社を通じて海外子会社審査をさせていただくことといたしております。  具体的には、海外子会社決算書類に基づきます審査でありますとか、あるいは国内親会社経営者に対する現地業況等のヒアリングなどをさせていただきたい、このように考えてございます。  また、日本政策金融公庫が持ちますバンコク及び上海の駐在員事務所、さらには、提携いたします現地金融機関を通じまして、現地情報等をきめ細かく収集し、海外子会社への適切な審査を行うことといたしております。  現在では、公庫取引先海外子会社は約七千社存在しております。これまでの制度提供を通じまして蓄積されました外貨貸付け実績でございますとか現地制度への知見などを生かして、円滑な資金供給体制の構築に万全を尽くしてまいりたいと考えてございます。  以上でございます。
  9. 大岡敏孝

    大岡委員 あわせて、海外の、例えば、今回進出しようとしているタイベトナムといった東南アジア事業環境をどのように認識をしているかということをお尋ねをしたいと思います。  まず、先ほど申し上げたとおり、東南アジアは、残念ながら日本中小企業為替あるいは国際決済をするような金融インフラは整っていないですね。一方で、では中国、今、東南アジアに積極的に進出している中国は何をやっているかといいますと、政府系金融機関同士競争させながら、それぞれの政府系金融機関が各国に支店を置き、しかも、現地通貨でも人民元でも決済ができる、あるいは現地通貨でも人民元でも預金ができる、こうしたマルチカレンシー対応も進めつつあるのが実態でございます。  当然、この東南アジアというのは、そういう意味では国と国の経済力がまさにぶつかっている現場でございまして、そこにおいて、我が国として、日本企業、とりわけ中小企業東南アジア進出していく上で政府は一体どういう支援が必要なのか、彼らは何を求めているのか、このあたりをどの程度捉えられているか、教えていただきたいと思います。
  10. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  独自のすぐれた技術でありますとかサービスを持つ中小企業海外展開を実現いたしますことは、我が国国際競争力に直結いたします重要な課題であるという認識でございます。  その一方で、大企業と比較いたしますと、財務基盤海外での事業のノウハウといった経営資源に乏しいことから、現地情報ニーズ把握、人材の確保販売先確保などの課題を解消いたしますために多面的な支援をしていくことが必要である、このように考えてございます。  こうした中でも、海外進出する中小企業にとりまして、海外子会社が直接資金を調達することはとりわけハードルが高い課題でございます。民間金融機関によります支援につきましても、メガバンク等を除きまして十分には整っていない、そういう状況にあるというふうに考えてございます。  我が国中小企業海外子会社東南アジア地域等において国際的な競争を勝ち抜いていく上では、中小企業支援を目的といたします政府系金融機関でございます日本政策金融公庫支援を行うことが必要不可欠でございまして、そうした問題意識のもと、今回の法案を提出させていただいているところでございます。  中小企業が抱える課題に寄り添いまして、国内外の経済環境変化にも対応しながら、中小企業海外展開を全力で支援してまいりたい、このように考えてございます。  以上でございます。
  11. 大岡敏孝

    大岡委員 ありがとうございます。  最後に、今回、第一歩目としてこのクロスボーダーローンを始められるのだと思いますが、やはり将来的な、中長期的なビジョンについて教えていただきたいと思います。ビジョンがなければ、とりあえず目の前をやってみましたというだけではうまくいかないというのが当然のことでございますので、このビジョンをしっかりと議論をしておきたいと思います。  まず、先ほどの答弁でもありましたが、今回は既存の支店を利用するということでしたけれども、やはり本気東南アジアにこの海外子会社向けの直接融資をやるということであれば、しっかりと支店展開をしていくべきだというふうに考えております。  特に東南アジアもそうですし、西アジアあるいはアフリカ、中南米、こういったところは日本メガも含めて支店展開が全くできていない。つまり、日本中小企業が使う金融インフラというのはほとんどないに近い状態でございますので、やはりそこまで見据えた金融インフラを整備するべきではないかと考えております。  あわせて、現在、公庫というのはお金を預かる機能を持っていません。つまり、海外に貸す、国内に貸すということなんですが、国内に貸しているうちは、日本金融機関が、ほかの民間金融機関がしっかりお金も預かり、管理もし、情報提供もしてくれるからよかったんですけれども、事海外に行くとなると、今までのように、お金を預からない、つまり、与信情報預金情報もとれない、国際決済もできない、為替もできない、単なるノンバンクとしてお金を貸すだけというので、本当に機能が十分なのかどうかということを考えていかなければならないと思います。  したがって、将来的には、まずは、少なくとも民業圧迫にはならないような海外部門から、預金機能をしっかりと付加して、一連の金融サービスができるフルパッケージ金融機関として成長させていくべきじゃないかと考えますが、政府のお考え、大臣のお考えを教えていただきたいと思います。
  12. 梶山弘志

    梶山国務大臣 国内市場が縮小する中で、中小企業にとって、海外市場への進出により新たなニーズを獲得し、事業拡大付加価値の向上を図ることは極めて重要な課題であると考えております。  海外展開に当たっては、一般に、経営資源に限りのある中小企業にとりまして、現地情報ニーズ把握資金調達などハードルの高い課題が多数存在をしておりまして、これらのボトルネックを解消していくことが急務であると考えております。  委員から御提案いただきました日本公庫機能強化につきましては、日本公庫がこれまで蓄積してきた経営資源専門性政策金融機関としての位置づけが民業補完を旨とすることなどを踏まえると、全部一気にというのは困難であると思っておりますし、これから調整が必要であると思っておりますけれども、日本公庫のリソースを活用して中小企業海外展開にできる限りの支援を行ってまいりたいと思っております。  そうした中で、今回の法案措置するクロスボーダーローンは、日本公庫による海外子会社への直接貸付けを可能とするものであります。  ASEAN諸国への日本企業進出ニーズ拡大日本公庫取引先進出状況等を踏まえて、まずはタイベトナム、香港の三地域から開始いたしますが、その後も事業者ニーズに応じて対象地域拡大してまいりたいと考えております。  経済産業省としては、日本公庫資金調達のみならず、さまざまなツールを組み合わせ、さらなる支援の充実を図り、日本公庫とも連携をし、引き続き中小企業海外展開をしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。
  13. 大岡敏孝

    大岡委員 ありがとうございます。  私も、これはしっかりとフォローして、より中小企業側期待に沿えるような、また、国同士がぶつかり合うこのグローバル経済において、しっかり日本企業が勝ち抜ける支援体制を組み上げていきたいと考えております。  次に、経営者保証解除スキームについてお尋ねをしたいと思います。  今回のスキームなんですが、仮に、外国人日本中小企業の株式を取得する、あるいは買収をするといって事業承継した場合に、今回のスキームが使えるのかどうかを教えていただきたいと思います。
  14. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  今回措置をさせていただきます経営者保証解除スキームを含めまして、信用保証制度対象となります者は、在留資格を有し、日本国内事業を行う者ということで、国籍は問わないこととさせていただいておりますので、外国人の方につきましても、日本人と同様に対象となるということでございます。  以上でございます。
  15. 大岡敏孝

    大岡委員 対象になるということは、当然、日本人も、外国人に負けないように、やはりビジネスマインドを持ってしっかり仕事をしていかなければならないということだと思います。  次に、実際の現場を見てみますと、今回、経営者保証ガイドラインが既に制定されていますが、これを満たしていたとしても、何かしらの理由をつけて、保証なしを応諾しない、あるいは、二重徴求が行われているということが実態でございます。これは、中企庁あるいは金融庁報告でも事例が報告をされている次第なんです。  今回、確かにこのリスクの一部を政府肩がわりをするという形で経営者保証をとらない融資をふやしていこうということなんですが、私は、効果はあると思いますけれども、それだけでは限界があるんじゃないか、もう少し強い指導力を発揮をして、望む人には経営者保証のない融資を、経営者保証をするかわりに条件のいい融資を受けたいという方は、これはこれで選択肢として、やはり経営者が選べるような体制をしっかりとつくっていくべきではないかと考えております。  あわせて、今回逆に、保証協会に依存した融資を更に進めてしまうと、今まで、これまでから進めようとしてなかなか進まなかった民間金融機関事業性評価事業力評価をして融資をするという体制がかえっておくれてしまうんじゃないかという危機感を持っておりますが、この点についてはどのように考えておられますでしょうか。
  16. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  先生から御指摘ございましたように、経営者保証につきましては、一義的には、金融機関みずからが、平成二十五年の十二月に策定されました経営者保証に関するガイドラインに基づき判断をし、経営者保証に依存しない融資を進めていくことが期待されているものと認識してございます。  他方、事業承継日本経済にとっても大きな課題となります中、経営者保証後継者確保の大きな障害の一つになっておりますことから、国といたしましても、政策的に最大限の後押しを行っていくことが必要であると考えてございます。このため、今回、事業承継時に一定の要件のもとで経営者保証を不要とする制度を創設させていただきます。また、中小企業にとりまして保証料が負担となりますために、専門家によります確認を受けた場合には、国の予算措置を行いまして、保証料の引下げもさせていただくということでございます。  なお、本制度を利用する場合におきましても、金融機関一定信用リスクを負担するという仕組みは変わりませんので、そういった点も勘案しながら、引き続き、事業性評価に基づく期中管理を行っていただくということを期待申し上げたいと考えてございます。  以上でございます。
  17. 大岡敏孝

    大岡委員 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
  18. 富田茂之

    富田委員長 次に、鰐淵洋子君。
  19. 鰐淵洋子

    鰐淵委員 公明党鰐淵洋子でございます。  本日は、中小企業事業承継促進のための中小企業における経営承継円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして質問させていただきます。よろしくお願いいたします。  この法案公明党として審査したのが二月下旬でございましたが、その後、新型コロナウイルス感染症拡大によりまして、その影響を受けた日本経済地域経済、そして中小企業の現状は大きく変化をしておりますので、そのことを踏まえた上で質問させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。  まず冒頭、大臣の方にお伺いしたいと思いますが、新型コロナウイルス感染症影響で、先ほども申し上げましたが、多くの中小企業小規模事業者危機に直面をしております。そして、感染症拡大影響地域経済にも大きな影響を及ぼしておりまして、給付金資金繰りなどの支援を通じまして、事業者への事業継続のための支援が極めて重要になっております。  今本当に厳しい状況ではありますけれども、あえて将来を見据えれば、地域経済の再生に当たっては、地域経済を引っ張る事業者取組が重要になってくるのではないかと思っております。  経済産業省では、そうした地域経済を牽引する企業を、雇用成長性地域経済への貢献期待度などの観点から、地域未来牽引企業として選定をしていらっしゃいます。この地域未来牽引企業の中には、世界トップシェアを占める製品を生産している企業も選ばれております。  そのほか、一つ紹介をしたいと思いますけれども、北海道の方で、包装資材製造販売会社なんですが、防護衣安定供給が可能な事業者を探していた札幌の病院の依頼を受けまして、食品包装などの技術を応用したポリエチレン製の使い捨ての防護衣を商品化しまして、月六十万枚の製造をし、五月一日から販売をしている、こういった企業もございます。  このように、今回の感染症対策地域ニーズを捉えながら地域経済回復先陣を切っている企業もありますので、地域未来牽引企業の前向きな取組をしっかりとサポートすることが重要であると考えます。  今後どのように支援をしていくのか、お取組をお伺いしたいと思います。
  20. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員の御指摘のとおり、全国で約三千七百社を選定した地域未来牽引企業は、まさに地域経済の中心的な担い手でありまして、地域経済雇用を下支えし、将来の地域経済回復に向けた積極的な取組期待をされているところであります。  今回の新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、地域未来牽引企業におきましては、先ほど委員からの例示もありましたけれども、例えば、もともと温度計などの計測機器製造していた企業が、地域病院からの要望を踏まえて、取引先中小企業連携をしてフェースガードなどの感染防護具生産をしたり、生産縮小を余儀なくされました航空機部品メーカーが、雇用を維持しつつ、空き時間の生じた社員に新たな技術習得のためのオンライン研修航空機関係認証制度に関する研修を実施するといった、地域への社会貢献であるとか、社員スキルアップとか、そういった取組をしているということも十分承知をしているところであります。  そういった取組というものをしっかり把握しながら、経済産業省としては、地域未来牽引企業追加選定を行いつつ、今後は、これらの企業の先進的な事業活動をより強力に支援をし、経済回復を図ってまいりたいと思っております。  具体的には、地域未来牽引企業が設定する目標に応じて、海外への輸出を担う企業には、販路拡大のため、商品開発市場調査展示会への出展を支援する、サプライチェーンの中核を担う企業には設備投資研究開発支援をする、地域生活インフラを担う企業にはIT導入により業務効率化支援するなど、中小企業施策等も活用しながら重点的に支援をしてまいりたいと思っております。  こうした支援を通じて、地域未来牽引企業による積極的な取組をしっかりと後押しして、地域経済回復成長、また新たな産業の創出につなげてまいりたいと思っております。
  21. 鰐淵洋子

    鰐淵委員 ありがとうございました。  コロナの影響を受けた中小企業に対しまして、事業継続支援とともに、今大臣の方からもさまざま答弁いただきましたが、将来を見据えた上での地域活性化という観点からも、このような支援は更に重要になってくるかと思いますので、引き続きの対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。  続きまして、経営者保証の解除支援事業承継円滑化について質問させていただきたいと思います。  経営者の高齢化によりまして、二〇二五年までに、平均引退年齢である七十歳を超える中小企業小規模事業者経営者は約二百四十五万人、そのうち約半数の百二十七万人が後継者未定と言われております。  このような中、経営者候補の約六割が経営者保証を理由に承継を拒否しているとされておりまして、経営者保証問題の解決は急務でございました。  公明党としましても、これまでも、事業承継円滑化するため経営者保証解除の重要性を主張してまいりまして取り組んでまいりました。  経営者保証解除に向けてどのように支援をしていくのか、お伺いしたいと思いますが、これに加えまして、やはり、コロナの影響もありまして、この事業承継は更に今後大きな課題となると思っております。  例えば、事業引継ぎセンターの機能強化を進めるなど、後継者未定の事業者技術雇用を次世代に円滑に引き継げるよう、事業承継支援に総合的に更に強力に取り組むべきと考えますけれども、取組と、また御見解をお伺いをしたいと思います。
  22. 中野洋昌

    中野大臣政務官 鰐淵委員にお答え申し上げます。  経営者保証解除と事業承継への取組につきまして御質問をいただきました。  事業承継に際しまして、経営者保証の存在が後継者の確保の大きな障害の一つになっているというふうに認識をしております。今後、より円滑な事業承継促進していくためには、経営者保証の解除を積極的に支援をしていくことが重要と考えております。  このため、昨年五月、金融機関中小企業の双方の取組を促す総合的な対策として、個人保証脱却・政策パッケージを取りまとめて、着実に実施をしているところであります。  具体的には、昨年十二月に策定をされ、本年四月から運用を開始をいたしました、事業承継に焦点を当てた経営者保証に関するガイドラインの特則を通じまして、新旧の経営者からの二重徴求を原則禁止をすること、また、信用保証協会におきまして、事業承継時に経営者保証を不要とする新たな信用保証制度を創設し、専門家による確認を受けた場合には保証料を大幅に軽減をすることを行ってございます。  加えて、今回の法案におきまして、事業承継時に経営者保証を不要とする信用保証制度につきまして、別枠を新設をしまして制度拡充を行います。  これらの総合的な取組を通じて、経営者保証の解除を強力に支援をしていこうと思っております。  また、全国四十七都道府県の、委員の御指摘のございました事業引継ぎ支援センターにつきましては、令和二年度の第一次補正予算において、新型コロナウイルスの影響により廃業を検討している中小企業事業雇用を次世代に確実に承継することを目的に、プッシュ型のマッチング支援を実施をする体制を整備したところであります。  今般の改正では、同センターと親族内承継支援を行う事業承継ネットワークの機能を統合をすることとしておりまして、今後とも事業承継を総合的にしっかりと進めてまいります。
  23. 鰐淵洋子

    鰐淵委員 ありがとうございました。  先ほど大岡先生の方からも、この経営者保証については課題もあるという指摘もございましたけれども、しっかりとこれからもこの動きがスムーズにいっているのか注視をしていただいて、先ほども申し上げました、やはり、このコロナの影響事業の継続自体が厳しい中で承継ができるのかという、またそういった大きな課題になっておりますので、しっかりと、繰り返しになりますが、総合的に強力に進めていただきたいということで、重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、海外拠点分散化の支援につきまして、お伺いさせていただきます。  今回の新型コロナウイルス感染症拡大影響によりまして、生産拠点の一極集中リスクが顕在化をいたしました。マスクや医療用機器などの生活必需物資については、特に国内での生産拠点の整備が重要になってくるかと思います。他方で、中小企業にとっては、市場開拓や生産コストの低減などの観点から、海外展開は重要な手法であり、一極集中リスクを回避するために海外拠点の分散化を進める必要があると思っております。  感染症危機に伴う国内外の経済の落ち込みにより、多くの中小企業海外子会社資金調達に苦しんでいると考えられますが、どのように支援をしていくのか、お伺いをしたいと思います。
  24. 前田泰宏

    前田(泰)政府参考人 お答え申し上げます。  これまで中小企業海外展開支援につきましては、日本政策金融公庫によりまして、国内の親会社から海外子会社への転貸を可能とする資金の貸付け、いわゆる親子ローン、それから、海外金融機関からの借入れに対する債務保証、いわゆるスタンドバイクレジット、こうした手法がございました。  今回、一方で、新型コロナウイルス感染症拡大影響により、国内経済は非常に大きな危機になり、新興国経済にも甚大な被害が出てきております。今申し上げましたけれども、親会社の資金繰り悪化によって海外子会社への転貸が困難になってしまっている、現地の景況悪化や社会情勢の混乱により海外子会社現地海外金融機関から融資を受けられない、こういった事態が出てきておりまして、既存の制度での対応は非常に限界的であるということでございます。  そのような状況に鑑み、今回の法案では、クロスボーダーローン措置し、日本政策金融公庫による海外子会社に対する直接融資を可能とするということをさせていただいております。  中小企業海外展開状況は多種多様である中、従来より実施しております親子ローン及びスタンドバイクレジットに加えまして、今回のクロスボーダーローン、これにより、さまざまな資金調達ニーズに対応してまいりたい、そのように考えております。
  25. 鰐淵洋子

    鰐淵委員 ありがとうございました。  ちょっと時間もなくなってまいりましたので、済みません、次の質問に入らせていただきたいと思いますが、計画制度の整理統合について質問させていただきたいと思います。  感染症が拡大する中で、改めて、事業者、また国民の皆様にこの支援策の内容をわかりやすく伝える、また、その重要性とその難しさも今実感をしているところでございますが、現行の中小企業向け計画認定制度は、取組ごとにきめ細やかな計画が用意されていますけれども、それが逆に複雑でわかりにくいという声もございます。  本法案によりまして、計画制度を整理統合することで事業者にどのようなメリットがあるのか、また、統合後の計画制度の位置づけ、狙いについて明確化し、中小企業の皆さんにわかりやすく示すべきと考えますが、お取組をお伺いしたいと思います。
  26. 前田泰宏

    前田(泰)政府参考人 今回、法律をつくるに当たりまして、計画物と言われる政策を点検をいたしました。その際に、事業者の目線に立ちましたときに、幾つかの声が上がってきております。  一つは、結構似ているので、二つ計画を出してするのが手間がかかるという声が出てきております。  そういうようなこともありましたものですから、今回、企業成長段階に応じた体系に簡素化する。全て横に置いていたものを縦に並べることによって、成長段階に整理をしていくということをいたしました。  具体的には、今回の統合に伴いまして、経営力向上計画、経営革新計画、地域経済牽引事業計画の三計画について、中小企業成長段階ごとに各計画を位置づけて、中小企業にとって計画制度の意義がわかりやすくするようにということでございまして、その関連する類似のもの、あるいは、つくってから少し政策的意義が乏しくなったんじゃないのかというものを統合するという形の整理を行ったところでございます。  加えまして、計画認定の取得を申請要件としていた補助金につきましては、計画との関連を切り離すことによって、計画申請の手間をかけることなく、その補助金を申請することを可能にするものですから、事業者の負担は軽くなります。  また、ことし四月より、一部、その計画につきましては電子化を開始しているところでございまして、DX化を加速したいというふうに思っております。  このように、計画の整理統合を契機といたしまして、事業者の目線に立った不断の見直しをしつつ、中小企業小規模事業者の利用しやすい形へと中小企業政策全般を見直してまいりたいと思っております。  以上です。
  27. 鰐淵洋子

    鰐淵委員 ありがとうございました。  この計画の整理統合によりまして計画の数が減ることになるんですけれども、これによって中小企業支援が後退したり、手薄になったらいけないと思っておりますけれども。  今回の改正で、異分野連携事業分野開拓計画、また、特定研究開発等計画、これが整理統合されますけれども、中小企業生産性向上や競争力強化という文脈におきまして、異分野の企業連携を通じたオープンイノベーションや、ものづくり企業等による研究開発の重要性は変わらないと思っております。引き続きどのように支援を行っていくのか、お伺いをしたいと思います。
  28. 前田泰宏

    前田(泰)政府参考人 中小企業によります異分野連携や、ものづくり分野の研究開発の重要性は、いささかも減ずることはございません。したがいまして、今回の見直しによりまして、支援の内容が後退することはございません。  それで、御指摘の二つの計画は、経営革新計画の方に統合していくという形でございます。  加え、現在、十五年にわたって、二千三百社以上の中小企業による研究開発や異分野連携支援してきている支援事業があります。戦略的基盤技術高度化・連携支援事業、いわゆるサポイン補助金、あるいはサビサポ補助金というものがあるのでございますが、これはもちろん引き続き実施をしていくという位置づけにさせていただいておりまして、計画認定の取得を不要としておりますので、よりその手続が簡素化する、こういうことでございます。  計画の整理統合を契機といたしまして、中小企業が利用しやすい形へと支援策を見直し、研究開発、異分野連携を通じた生産性向上をより一層強力に支援してまいりたいと思っております。
  29. 鰐淵洋子

    鰐淵委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  30. 富田茂之

    富田委員長 次に、落合貴之君。
  31. 落合貴之

    ○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。  本日は、中小企業成長促進法案と経産省が名づけた束ねの法改正の審議でございます。役所からいただいたペーパーに、この法案は、新型コロナ感染症禍での事業継続雇用維持を後押しするために改正案を提出しましたと題名がつけられております。  まず冒頭は、この現下の状況で、事業継続それから雇用の維持に必要な喫緊の課題について前段は取り上げさせていただきたいと思います。  この五月末というのは、事業者にとっては大きな山場の一つであると私は考えています。  これは、特に小規模事業者は、その月に働いたときに請求書を渡して、大体翌月の末を振り込みの期限にしている。なので、三月に働いた売上げは四月に入ってくる、四月に働いた売上げは五月末までに入ってくるわけですが、四月は、政府を挙げて全国的に自粛させている、経済活動をブレーキをかけさせているわけです。ですから、五月の入金は、事業者を平均して比べると、一気にがくんと四月末と比べても下がっている。しかし、固定費は変わらないというのが今の事業者の現状であって、今週というか、きょうがちょうどそうなるわけですが、五月末の支払いで困ってしまうというような事業者もたくさんいるのではないかというような状況なわけでございます。  三月末ぐらいからいろいろなことをやってきて、給付金も決めて、制度融資も始めました。確認ですが、政府系金融機関日本政策金融公庫、それから商工中金、それぞれ、制度融資の申込みの実績、それから、どれぐらい実行したんでしょうか。
  32. 梶山弘志

    梶山国務大臣 日本政策金融公庫融資実績につきましては、五月二十六日までに、約五十一万件の融資申込みを受け付けて、三十四万件、五兆六千億円を超える融資を決定をいたしております。  商工中金の融資実績につきましては、同じく五月二十六日までに、約二万七千件の融資申込みを受けまして、一万一千件、八千四百億円を超える融資を決定をしているところであります。
  33. 落合貴之

    ○落合委員 商工中金も、ちょっとずつエンジンがかかってきていると思います。  三十四万件公庫が実行したというのは大変な数で、ふだんと比べたらもう桁違いに多い数であります。これはかなりフル稼働で頑張っている証拠だとは思うんですが、申込みが五十一万件ということは、四割近くの方々が実行待ちか、もしかしたら断られるかもしれないというような状況なわけでございます。これは、連鎖倒産を起こさないためにも、政府系金融機関は最後の頼む場所ですので、体制を強化していくということが重要であるというふうに思います。  二十六日に、ちょうど我が党の福山幹事長が記者会見で政府系金融機関について取り上げたようでございます。これは、ある公庫支店では三カ月後でないと融資が実行できないんですというふうに言っているんですよということを取り上げております。  これまでも私も質問で取り上げてきましたが、融資まで時間がかかるという声は、各議員がそれぞれいろいろなところから声を聞いていると思います。まず、そもそも、申込みまでも、最初の相談するまでも一カ月後とかになっているわけで、それからやっと相談ができて、相談の後やっと申込みができて、その後審査が始まって、審査が通ってやっと振り込まれるということなんですが、これは平均でどれぐらいで公庫がやっているのかということと、それから、何がネックになってしまっていると考えているのか。大臣、いかがでしょうか。
  34. 梶山弘志

    梶山国務大臣 融資の申込み後、決定までの日数につきましては、事業者の申込み内容、相談された支店状況などによって異なる部分もありますので一概には申し上げられませんが、申込みから融資決定までの期間については、提出書類の簡素化や審査手続の簡略化により、通常二週間以上を審査に要しますけれども、極力それより短い期間で融資決定をしているところであります。  今、委員から三カ月というお話がありましたけれども、三カ月というのは特別な事情があるかどうかということですけれども、普通では余り考えられないと思っております。  融資決定から実行までには、事業者資金ニーズタイムリーに応えるために、資金が必要な時期を丁寧に把握をし、事業者からの要望に応じて入金を急ぐなど、手続にかかる時間によって資金繰りに困ることのないように対応をするように指導もしておりますし、実際に現場でもそういう形で行われていると承知をしております。  迅速な資金繰り支援が行われるように、引き続き、しっかりと指導をしてまいりたいと思っております。
  35. 落合貴之

    ○落合委員 これは大臣もいろいろな調査をごらんになっていると思いますが、中小企業の大体四割ぐらいは三カ月以内しか資金的な余裕がないので、そこから先はもうできないというふうな状況であると。ですから、これは、政府系金融機関の役割は、大変、入金が遅くなれば遅くなるほど倒産確率が高まっていきますので、ここは最後のとりでである政府系金融機関の窓口の強化、人員の強化というところも考える必要があると思います。  なぜなら、これはV字回復させると、例えばアメリカもトランプ大統領が言っていましたし、世界の首脳も言っていたんですが、エコノミストの試算によると、このまま全面解禁がなかなか難しいので、経済回復は早くても来年の後半である。あと、世界の飛行機の会社が試算したところによると、二〇二四年にやっと国際的な飛行機の需要は回復する。要は、もう年単位にこの状況がある程度続いていくことが予想されているわけです。  ですから、このまま政府系金融機関がフル稼働を続けるというのは組織として難しいでしょうから、人員の増強、これも考えなきゃいけない段階に来ているということは申し上げたいと思いますが、いかがですか。
  36. 梶山弘志

    梶山国務大臣 日本政策金融公庫におきましては、事業者資金ニーズの高まりから融資申込みが急増しております。通常よりも融資実行に時間がかかっている部分もあります。  このために、融資審査の迅速化に向けて、OB職員の活用、休日対応の実施等の体制強化、提出書類の簡素化、審査手続の簡略化、また、民間金融機関にもお手伝いをいただいたりもしているということで、さらにまた窓口も、同じ制度融資であって、民間企業でも使える、民間企業でもやっていただける、また併用も可能だという形に今しているところであります。  その結果、政府系金融機関としては、五月二十六日までに約五十四万件の、先ほど言いましたように融資申込みがあり、そのうち三十五万件の決定を行うなど、通常の五倍のスピードで現時点では既に融資決定を行っていますけれども、現状を考えると、やはり委員がおっしゃるように、融資の申込みが多いということ、平常の年であっても、三月決算であれば五月というのは資金需要が物すごく高い月であります。税金を納めるということもある。それとは今回はまた違う意味で資金需要が非常に高まるときであると思っておりますので、しっかりと対応できるように考えてまいりたいと思いますし、事業者目線で細かく対応し、迅速な資金繰りを考えてまいりたいと思っております。
  37. 落合貴之

    ○落合委員 本日は金融副大臣にもお忙しい中お越しをいただきました。まことにありがとうございます。  今、梶山大臣が触れたように、今回は初めて、公庫で扱っているような商品も、同じものを地域金融機関でも扱えるようにしますということを総理の口からも発表しまして、そのような体制を整えました。この公庫と同じような実質無利子無担保融資民間金融機関での申込み実績、それから実行実績はどのような感じでしょうか。
  38. 宮下一郎

    ○宮下副大臣 委員指摘のように、令和二年度第一次補正予算に基づいて、今月の一日から民間金融機関による実質無利子無担保、据置き最大五年の融資制度を開始してございます。  足元二十七日までの実績でありますけれども、約二十万八千件の融資申込みを受け付けて、十二万六千件、額にして二・三兆円の融資決定が行われております。
  39. 落合貴之

    ○落合委員 これは、政府系金融機関支店の数と比べると、もう桁違いにあるわけですから、これはもっともっと数字が本来であれば上がるはずで、こっちがふえていけば政府系金融機関の窓口がある程度緩和されていく、すいてくるというような状況であると思います。  いろいろな事業者から話を聞くと、やはり政府系金融機関と同じものを扱っているという認識がない事業者が、恐らくほとんどの方々がそうなんじゃないかな、知っている人は知っているんですが、大多数は知らないんじゃないかなというような状況であると思います。  これは、もっとアナウンスメントをしていくことが、かなりこの今の状況を改善することにつながっていくと思うんですが、副大臣、いかがですか。
  40. 宮下一郎

    ○宮下副大臣 これまでも、政府のさまざまな、各省のホームページ等々も通じて、いろいろな施策を整理して発信しているわけですけれども、更に金融庁としても情報発信に努力してまいりたいと思っております。
  41. 落合貴之

    ○落合委員 持続化給付金も最初は知名度が低かったんですが、例えば新聞の一面広告も出し始めたりしまして、ネットを使っていない方々も、やっとこの数週間で認知度が高まったと思います。宣伝費がかかってしまいますが、これは重要な問題であると思いますので、アナウンスメントをしていくべきであるということを指摘をさせていただきます。恐らく事業者で、恐らくというか絶対に、入金口座を持っていない事業者はいませんので、絶対にどこかの銀行とおつき合いをしているわけですので、これは重要なポイントであると思います。  それから、先日、既存の債務の繰延べも資金繰りの緩和にとって重要であるということを取り上げたんですが、そろそろ四月末までの実績が出ていると思いますが、副大臣、いかがでしょうか。
  42. 宮下一郎

    ○宮下副大臣 ちょうど四月末時点の数字が出たところでございます。返済猶予等の条件変更の実行率、これは条件変更を実行又は謝絶した中小企業のうち実行した割合を示すものでありますけれども、銀行におきましては、四月末時点で九九・八%という実行率であります。  金融庁においては、これまで、返済猶予等の条件変更につきまして、迅速かつ柔軟に対応するよう繰り返し金融機関に要請をするとともに、こうした資金繰り支援を、現場の営業担当者等を含めた組織全体に徹底することにつきましても、数次にわたって要請をしてきたところであります。  こうした要請を踏まえまして、金融機関においては、既にさまざまないい取組も始まっております。例えば、受注が大幅に減少した事業者に対して、積極的な支援策として、まず、一年間の元金据置き、期限延長を実施している事例でありますとか、二年以内の元金据置きであれば案件を問わずに支店長専決権限として条件変更を実行している事例もございます。また、条件変更中、事業再生中の事業者について、従前からのメーン行としての事業性評価をもとに事業継続は可能と判断をして新規融資を実行した事例もあります。総じて事業者支援に積極的に取り組んでいるものと承知しております。  金融庁におきましては、引き続き、事業者資金繰りに支障が生じることのないように、金融機関取組をしっかりフォローしてまいりたいと考えております。
  43. 落合貴之

    ○落合委員 これは私はほかの委員会でも、麻生大臣にも、モラトリアム法案をもう今回一気にやるべきじゃないかということを申し上げました。副大臣ともこの委員会でやりとりしましたが、実質的には同じことをやっているという御説明なんですが、モラトリアム法案ができたときは、大臣がインタビューに出て説明したりですとか、要は、こういうことが各事業者ができるんだということをそれで認識した。要は、同じことをやっていてもアナウンスメント効果が全然違う、だからモラトリアム法案も検討するべきだということを私はお話をしました。やはりこれもアナウンスメントが不十分であると思います。  それから、やはり、実行件数が四万件ちょっとですが、審査中というのが三万件もあるわけで、これも時間がかかっていることは確かですので、速やかに金融機関が実行できるように、金融庁の指導が重要であるというふうに思います。  リーマン・ショックですとか、それよりか十年前の不良債権問題の際は、どちらかといえば銀行経営の問題が実体経済に波及していったというような形をとっていったわけですが、今回は、実体経済が先にブレーキがかかって、今、金融が頑張らなくてはという状況になっているわけです。  どんどんどんどん残念ながら倒産件数がふえてきてしまっているという中で、小さい銀行ほど財務状況が悪化をしてくると思います。これに対して金融庁は、金融機関が潰れないようにしなければならない、連鎖的な、システミックのいろいろな問題は起きないようにしなきゃいけないというふうに思いますが、副大臣、いかがですか。
  44. 宮下一郎

    ○宮下副大臣 先生御指摘のように、地域金融機関をめぐる経営環境は、新型コロナウイルス感染症拡大する以前から、低金利環境の継続、また人口減少などを背景にしまして、厳しい状況が続いてまいりました。それに加えて、今回のコロナウイルスに対する影響ということであります。  ただ、足元、地域金融機関は不良債権の水準も低位で推移しておりますほか、総じて充実した財務基盤を有しておりまして、金融システムは総体としては安定をしていると認識しています。  こうした中、金融機関においては、補正予算における措置政府からの要請を踏まえて、今後も引き続きしっかりと中小企業等を支え、経済の再生を図っていくことが求められているところであります。  さらに、将来を見据えての先手の対応としまして、金融機関に対する国の資本参加制度である金融機能強化法につきまして、政府保証枠を十二兆円から十五兆円に増額するとともに、国の資本参加の申請期限を四年間延長して二〇二六年三月三十一日までとする等の見直しを行う旨の大臣談話を一昨日公表したところであります。  いずれにせよ、金融庁としましては、新型コロナウイルス感染症拡大が今後金融システムに及ぼす影響について、潜在的なリスクを早目早目に分析、特定した上で、金融機関の健全性を維持し、金融システムの安定を確保できるよう、万全を期してまいりたいと考えております。
  45. 落合貴之

    ○落合委員 リーマン・ショックのときは、いろいろ急で、急にばんと来たわけですけれども、今回はある程度予想ができるわけでございます。これは、予想ができるからこそ必ず備えはしなくてはならないということを、くぎを刺させていただきたいと思います。  経産大臣に伺います。  今、いろいろな国の政策、納税猶予ですとか返済猶予ですとか、新たな借入れもできるようにして、要は、会計上は、各企業、負債がどんどんふえていっているというような状況です。資本の部分は、株価がそんなには下がっていないですが、資本の部分は変わらないか減っている中で、負債だけが何倍にもふえてしまっている。これは、会計上もだんだん苦しくなってくるわけです。  だからこそ、第二次補正でも言われていますが、そろそろ、今度は資本を、厚みを増していく状況に来たというふうに思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  46. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員おっしゃるように、今の状況が続くと負債がふえていくということになりますけれども、今回の第二次補正予算におきましては、これまで実施してきた実質無利子無担保の融資に加えて、新型コロナウイルス感染症影響により財務状況が悪化する事業者が増加することも想定されることから、特別の資本性劣後ローンを措置をしたところであります。  これは、日本政策金融公庫が平時から中小企業提供している資本性劣後ローンと比べて、最長二十年の期限一括返済により事業者の当面の返済負担を大きく軽減をしていく。さらに、戦後最大の危機と言える状況であることから、業績回復時にも金利設定を通常よりも低く抑えるといった特別の対応を行うものであります。  金融機関が負債ではなく自己資本とみなすことができる資本性劣後ローンを活用することで民間金融機関から融資を受けやすくするなど、資金繰り支援についても多様な支援手法を準備することで、この難局を乗り切ることができるように徹底的に支援をしてまいりたいと思っております。
  47. 落合貴之

    ○落合委員 金融副大臣、今、梶山大臣が、金融機関が資本とみなせるようなものを注入していきます、提供していきますということでございます。  今言及があった劣後ローンというのは中二階と言われていて、一階部分が資本、二階部分が負債、でも、資本でも負債でもない中二階の部分をつくって、その一つが劣後ローンであるということです。これは資本とも見れるし、負債とも見れるわけですが、金融機関がしっかりと資本としてカウントしていいというふうな形で、指導はしていますでしょうか。
  48. 宮下一郎

    ○宮下副大臣 御指摘の資本性劣後ローン、資本性借入金でございますけれども、金融機関による債務者の評価において十分な資本性性質が認められる借入金として、資本とみなして取り扱うことが可能なものであります。これまでも、急激な経営環境の変化により資本の充実が必要となった企業に対する支援において活用されて、これが新規融資の供給等にもつながってきたところであります。  こうした中、新型コロナウイルス感染症影響を受けた事業者への支援を更に徹底する観点から、一昨日閣議決定されました令和二年度第二次補正予算におきましては、公的金融機関による資本性借入金の供給施策が先ほどの大臣のお話のように盛り込まれたわけでありますけれども、資本の充実が必要となった企業に対する支援に資本性借入金が有用であることを、監督指針の改正を通じて改めて確認をするとともに、これを積極的に活用して事業者状況に応じた支援を行うよう、民間金融機関に対して周知をしたところであります。  金融庁としては、金融機関に対し、資本性借入金等の手法の周知徹底を図るとともに、顧客の経営改善を積極的に支援するよう強く求めてまいりたいと考えております。
  49. 落合貴之

    ○落合委員 ふだんの融資をお医者さんに例えると薬だとしたら、今回始めるのは外科手術に近いかもしれない、特別な企業にしか行わないことをばんばんばんばんやっていきますよというようなことであると思います。しかし、もうこれは今までに経験したことのない経済的な危機が来ているわけですので、一つの有効な手段としてどんどんやっていく必要があると思います。  かつては、産業再生機構がありましたし、その後、リーマン・ショックの後は企業再生機構があったわけです。これらが、再生案件、今言ったようなものですとか、外科手術的なことはやってきたわけですけれども、今回、大企業から中小企業まで幅広く資本支援をしていくという中に、大企業向けに絞ってみると、それができる公的な機関というのは政策投資銀行ぐらいしか今はない。もう産業再生機構も企業再生機構もありませんので、ない状況なわけでございます。  これは余り、こういうのが起こり得るというのもあれですけれども、もしものときのために、こういう大企業にも対応できる機関を政策投資銀行以外にもつくっておくべきではないかというふうに私は思うわけでございます。  これはどういうことかといいますと、まず安倍政権の経済政策として円安政策を行ってきました。かつて日本企業が外資に買われたときと比べても、今は円が安くなっている、買いやすくなっているということです。  それから、かつて、十年前、二十年前に心配しなきゃいけなかったのは欧米系のハゲタカファンドでありましたけれども、今は、国家がかかわっている、そういう公的なファンドまで日本企業を買うように、海外企業を買うようになってきている。これは、海外から買収される脅威というものが高まっている中で、大企業を助ける公的なファンドが日本にはないのが今の状況です。かつてあったのに、今はない。  これは今、備えるべきじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
  50. 梶山弘志

    梶山国務大臣 コロナウイルス感染症の拡大によりまして、大企業資金繰りにも大きな影響が生じているものと認識をしております。そのため、第二次補正予算案では、大企業向けに、政府系金融機関による十兆円規模の融資確保を行うとともに、資本性劣後ローンや出資など資本性の支援策を盛り込んで、企業が置かれているさまざまな状況に対応できるよう多様な対策を講じることとしております。  また、コロナ感染症対策において迅速に支援を行うことが極めて重要であると考えておりまして、既に活動を行っている機関を最大限活用する前提で対策を検討してまいりました。  まず、第二次補正予算案に盛り込んだ融資や資本性劣後ローンなどの支援により、企業が債務超過状態に陥ることがないように、企業資金繰りをしっかりと支えていくことが基本であります。それでもなお企業再生支援を行う必要がある場合には、大企業に対する再生支援を行い得る地域経済活性化支援機構、REVICにおいて対応する必要があると考えております。  REVICは、原則、中堅・中小企業を投資対象にしておりますけれども、直接再生支援を行う場合において、地域における経済活動に著しい障害が生じ、地域経済の再建や雇用状況等に甚大な影響を及ぼすおそれがあると主務大臣が認める事業者であれば、大企業に対しても支援を行うことができます。  今般の第二次補正予算案では、REVICの支援能力の拡充を行うこととしており、大企業も含めた支援、再生支援を行うことができる機関であると私どもも理解をしております。
  51. 落合貴之

    ○落合委員 そのように役所からは聞いているかもしれませんが、REVICは、実際には所管大臣が大企業向けにやりなさいと言った実績がないわけですね。ですから、部署がありません。実際には、やろうと思えばできるように法律上はなっているんですが、ですから、法律上、例外的に大企業も扱えるというのではなくて、いつでも大企業が扱えるというように法律を変えて、部署を今から新設をするということが必要だと思います。  再生案件にかかわれる人材というのはそんなに多くないので、それこそ外資系のファンドとのとり合いになりますので、早く予算をつけて、その体制を国でそろえていくということが今の時代は大変重要なことであるということをつけ加えさせていただきたいと思います。  ちょっとだけ、持続化給付金について伺います。今の申込件数、実行件数、不備件数はどのようになっていますでしょうか。
  52. 梶山弘志

    梶山国務大臣 持続化給付金につきましては、五月一日より申請受け付けを開始して、五月二十八日時点では百三十万件を超える申請を受け付けておりまして、約七十五万件、約一兆円について事業者の皆様のお手元にお届けをしたところであります。  これまで申請されたもののうち、四割を超える申請に何らかの不備や確認が必要な項目が存在している状態でありまして、具体的には、昨年や対象月の売上額について申請内容と証拠書類の記載が内容が異なる、申請された口座番号や口座名義に誤りがある、送金ができないといった事例があると承知しております。  例えば、五月一日付で申請があったものでいうと、九〇%以上が支払いの確定をしておりまして、残り数%となっております。ただ、これらについてどう連絡をするかということについて、マイページやメール等でしっかりと対応をしていくということで決定をしておりまして、すぐにそういう対応が実現すると思っております。
  53. 落合貴之

    ○落合委員 最初の申込みに不備があると、受ける側は個別に対応しなければならない。最初の申込みのうちの四割も不備があると、このペースでいくと、百三十万件の申込みに対して、掛ける四だと五十二万件ですので、やはり最初のシステムの設定が間違えていたんじゃないかな、もっと工夫をするべきではないのかな、するべきだったんじゃないかなと思いますが、大臣、どのように改善しているんでしょうか。
  54. 梶山弘志

    梶山国務大臣 しっかりと迅速性を図っていくためにこういうシステムを利用しているわけでありますけれども、最初の確認というのは、申告書の写し、そして月々の売上げの明細がわかるようなものということでやっておりまして、それらがやはり違うということもあって、そういう点も、どういう間違いが多いかということもあらわすように今しております。そして、例えば、今後出てくる別の給付に近いものとか、そういう補助金に関しても、そういった間違いの事例等も参考にしながら対応をしてまいりたいと思っております。
  55. 落合貴之

    ○落合委員 これは、四割も個別に対応しなければならないことが出てきたシステムというのは、民間でいえば失敗のシステムですので、これは大臣指導力を発揮いただければと思います。速やかな給付が必要ですので、これは力を入れていただければと思います。  宮下副大臣には最後の質問なんですが、自粛を解禁しますという宣言もされましたが、個別の業種で、例えばスナックですとかカラオケ店は全面解禁はしないでくださいということで個別に指定をしているわけです。  こういうところは政府が名指しでやっているにもかかわらず、別に、その名指しされた業種の人たちに特別な給付がある仕組みにはなっていないということなんですが、これも、そろそろ経済の再開を見越していく中で、個別にとめている業種には個別の補償制度をつくるべきだと思いますが、いかがですか。
  56. 宮下一郎

    ○宮下副大臣 今のこの休業要請等々のもとは、やはりクラスターが発生した施設等への外出自粛、休業要請が必要だろう、こういうことで行われてきたわけですけれども、その緩和や解除につきましては、引き続き注意が必要であると考えております。感染拡大予防のための業種別ガイドライン等が実践されて感染防止策が徹底されることを前提に、知事の判断によって、できるだけ早期に休業要請等を解除していく、こういう考え方に今立っているところであります。  他方、委員指摘のように、こうした事業者の方々が厳しい状況にあるのは事実であります。政府としては、厳しい状況にある皆様の事業や生活をしっかりと支えていくことが大事だと考えておりまして、まずは緊急経済対策及び第一次補正予算を可能な限り迅速に執行して、二百万円、また百万円の持続化給付金、そして官民の金融機関を通じた実質無利子無担保融資など、一日も早く事業者の皆様に必要な支援をお届けすべく、全力を尽くしてまいります。  さらに、第一次補正予算を強化すべく編成しました今般の第二次補正予算におきましても、雇用調整助成金の上限を世界で最も手厚いレベルの英国並みの一万五千円まで引き上げ、期間も延長すること、また、家賃負担軽減のため最大六百万円の給付金を創設すること、また、緊急経済対策とあわせて百四十兆円規模の資金繰り支援を強化すること、また、持続化給付金を本年創業の企業にも対象拡大すること、そして、持続化補助金の上限の引上げを行うこと、また、地方創生臨時交付金の二兆円増額、こうしたことを措置したところであります。特に、持続化補助金につきましては、クラスター感染対策が特に必要なナイトクラブ、ライブハウス等につきましては、上限を二百万円まで引き上げているところであります。  政府としては、第二次補正予算を速やかに国会に提出をして、その早期成立に努めることで、事業雇用を守るために万全を期してまいりたいと考えております。
  57. 落合貴之

    ○落合委員 第二波が起きるとすると、医療機関もあり得ますけれども、町に第二波が広がる可能性が高いのが、今、副大臣がおっしゃっているような特定の業態なわけですけれども、それが知事の判断でとか、お店の判断でというふうになって見切り発車をされれば、それだけ国全体の経済にはね返りが来てしまう。第二波が起こって、また経済が収縮することになってしまうというリスクの芽を摘むためにも、やはり、自粛してもらいたい特定の業種には、明らかに特別だ、そういう給付等を行っていくことが順調な経済回復につながっていくと思いますので、きょうはこの言及だけにさせていただきます。  宮下副大臣、お忙しい中、ありがとうございました。  あと、梶山大臣に一点だけ言及させていただきたいのが、家賃補助が、不十分ではあるんですが、実現をすることとなりました。いいことではあると思います。ただ、これは、都市部ではそのニーズがたくさんありますので、手続を、間違いが少ないような手続の仕方、誰でもできるような手続の仕方にしないと、持続化給付金やほかの定額給付金と同じように、また大混乱になってしまいますので、ここは十分に注意するべきだということを申し上げさせていただきます。  それでは、法案の具体的な中身に入らせていただきます。  今回の改正案の名称は、中小企業事業承継促進のための中小企業における経営承継円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案という名前なんですが、これは長いので、経産省、中企庁は、説明資料では略称を使っています。中小企業成長促進法案という名前をつけているわけです。中小企業成長させていく、規模を大きくして中堅企業にしていくんだということも、この説明するペーパーのど真ん中にどんと矢印で、どんどんどんどん小さい企業を大きくしていくんだということが、ど真ん中に書かれているわけでございます。  私もいろいろ調べまして、日本中小企業政策の歴史を振り返ってみますと、高度成長期の後半あたりから九〇年代の半ばぐらいまでは、とにかくいろいろなところにお金をつけましょう、政府がとにかくお金をつけましょうということをやってきました。九〇年代後半から、財政改革という名前のもと、自立させましょうという形に変わってきました。リーマン・ショック以降ぐらいから、特に生産性向上という名前が、そういう言葉が頻繁に使われ始めたわけでございます。  これは、諸外国と比べても、日本企業生産性が低いということは確かでございます。中身を見てみると、小さい企業ほど生産性が低い。その小さい事業者の数がほかの先進国と比べても多いのが日本の特徴である。だから、その小さい企業をなるべく統合とかさせて大きくしていって、それで国全体の経済生産性を上げていくというのが経産省の大きな方針。なので、最近はMアンドAに関するような法改正がたびたび行われてきたんだなというふうに考えています。  根本的な話なんですが、大臣小規模事業者について前回もやりとりをさせていただきました。小規模事業者は、経済活動だけではなくて、地域社会の維持、公的な機関がやらなきゃいけないことも小規模事業者が担ってくれて、町の掃除ですとか、あと町会の役員を受けたり、お祭りに寄附をしたり、消防団もそうですね、そういった地域の役を小規模事業者が担ってくれていることで、サラリーマンですとふだんは地元にいませんので、地元で事業をしている方々が地域を公的機関のかわりに支えているという仕組みが今、日本にはあるわけです。  これは、小規模事業者生産性が低いので減らしていく、大きくしていくという政策を続けていけば、ただで地域のために働いている仕組みはどんどんどんどんなくなっていってしまうという問題が起きていくと思います。  それから、東京一極集中をとめなきゃいけないというのが国の大きな方針なんですが、生産性を考えたら、消費者が密集しているところ、それから労働者が安価で調達できるところ、要は、都市に拠点を置いた方が生産性は高くなるのが現状でして、やはり経産省の政策が一極集中をどんどん早めてしまっているというところが私はあると思います。  経産省の大方針、これはそろそろ変えていくべきときであるのではないかなと。大臣、今、コロナを機に、この経産省の大方針を変えていくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  58. 梶山弘志

    梶山国務大臣 中小企業そして小規模企業成長というのは、しっかりと支えていかなければならないと思っております。ただ、委員おっしゃるように、小規模企業地域のコミュニティーの維持のためには大変大きな役割を果たしているということも十分に承知をしております。  そういったことも含めて、小規模事業のそれぞれの役割というものも見ながら生産性を上げるというのは、小規模事業なりの生産性、IT導入補助金等もございますけれども、そういった中で上げながら、地域事業の継続、雇用の維持というものも図っていかなければならないと思っております。大きな流れの中で、やはり成長ということも大切ですけれども、地域雇用の維持というものもこの政策には入っているものだと思っております。  私も、事業承継に一番最初にかかわったものですから、このときの財務省とのやりとりを考えますと、個人資産の承継のようにとられがちだったというものが、地域雇用の維持という視点で、これは地域の資産ですねと。そういった中で、農地の納税猶予制度であるとか、そういったものを取り入れてまず風穴をあけたという記憶がありまして、しっかりと地域雇用の維持のための施策というものも充実をさせてまいりたいと思っております。
  59. 落合貴之

    ○落合委員 大臣のおっしゃることはごもっともだと思います。しかし、恐らく大臣の知らないところで、ちょっとずつ趣旨が変わってきていると思います。  なぜなら、例えば平成三十年に事業承継に関する税制が変わった中に、今までは事業承継した場合は五年間で平均八割雇用を維持することで税制優遇があったわけですけれども、それが外されているんですよ。要は、MアンドA等で事業承継した後に首を切ってもいいということに実質的になってしまっている。いつの間にかそういうことになってしまっているわけです。  それから、今MアンドAのことを私は述べたので一個伺いたいんですが、外国企業が安くなっている日本企業事業承継も含めて買っていくということは、大臣、いいことだと思っているか、悪いことだと思っているか、いかがでしょうか。
  60. 梶山弘志

    梶山国務大臣 MアンドA自体は、新たな経営資源を機動的に取り込むという点で、企業成長させるための有効な手段であると思っております。事業承継一つの手段としても活用されております。新型コロナウイルス感染症による急激な環境変化に対して、事業雇用を守るためのMアンドAの活用も重要だと思っております。  その上で、米国を始めとする諸外国において、独占禁止や外資規制等の観点から、MアンドAを規制しようとする動きがあることも承知をしております。日本においても、関係省庁と連携しながら、独禁法そして外為法等の改正などを通じて、競争環境の確保や、中小企業が持っている機微技術であるとか、そういったものをしっかりと守っていかなければならないということで、中小企業のMアンドAにもしっかりと目を光らせていかなければならないと思っております。
  61. 落合貴之

    ○落合委員 MアンドAは、劇的に生産性を上げていく可能性はあります。しかし、雇用を維持してもらわないと何のためにやるのかわからないですし、今外国企業を挙げましたけれども、技術だけとられて終わってしまったら意味がないわけです。  アメリカも、だんだん企業価値が、今一瞬下がっていますので、MアンドAをストップさせようということを行っているのに、我が国はMアンドAを促進する、そういう法律を今通すわけです。  それから、二〇一八年の十月十七日の日経新聞にでっかく載っているんですが、後継難の中小企業を外資に紹介をするということがでっかく発表がされています。これは、事業引継ぎ支援センターのデータベースを、ジェトロを通じて外資に公開するということを経産省は一生懸命やってきた。国際的なMアンドAを促進してきたわけです。これは今コロナの時代に入って、もうはっきりとストップするべき、そういう問題だと思うんですが、大臣、いかがですか。
  62. 梶山弘志

    梶山国務大臣 事業承継の中で、親族の承継であるとか、そうじゃない方の承継であるとか、いろいろな取組をしておりますけれども、MアンドAも一つの手法だと思っております。日本国内企業とのMアンドAであれば、それはそれなりのしっかりとした効果も出しますし、海外企業であれば雇用の維持ということも条件につけていくということも必要でしょうし、さらに、先ほど申しました機微技術の流出、そういった点も考えていかなければならないと思っております。  大きな意味では、やはり雇用の維持ということで、ただ、八割、八〇%を超える雇用の維持というのは要件になっていましたけれども、まあ以前はですね。これらはやはり適用がなかなか難しい。少人数のところで、例えば五、六人のところで八〇%維持というのはどうとるかとか、さまざまな課題があったのでこういう形にしましたけれども、この制度、考え方には、雇用の維持というのが、雇用が重要であるということが中心になっております。
  63. 落合貴之

    ○落合委員 これは具体的なルールを見ていくと、雇用も維持しなくていい方向に進んでいますし、しかも、わざわざ経産省が外国の企業に買ってくださいとやっているわけで、これは何のために事業承継を進めていくかといえば、雇用技術をその地域に引き継いでいくということが一番の目的でありますから、生産性を一番の目的にしちゃうと、MアンドAをふやしていっても、雇用も残らないかもしれない、技術も残らないかもしれないという状況になってしまっていますので、優先順位をしっかりと大臣が掲げていくということの重要性を申し述べたいと思います。  それから、最後に、もう時間ですので言及だけにしておきますが、クロスボーダーローンも、経産省がサプライチェーンのグローバル化ということで進めてきたわけですが、先ほど申し上げたように、国際的な航空需要が戻っていくのも四年後、しかも今、ビジネスの方々も国際間の移動ができない、こういう中で戦略的にやっていかなきゃいけないのは、やはり国内回帰であると思います。そこに十分力を尽くすべきだということを述べまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  64. 富田茂之

    富田委員長 次に、浅野哲君。
  65. 浅野哲

    ○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。  本日は、中小企業成長促進法等の改正について議論をさせていただきたいと思いますが、その前に、先日政府から発表された二次補正予算の内容についても数点確認をさせていただきたいと思っております。  今、落合委員議論の中にもございました、本当に今、このコロナ危機の中、国内外の産業、そしてそこで働く人々の雇用というものが危機的な状況にあるというふうに認識をしております。  直近の報道ですと、四月の有効求人倍率が、ことしに入ってからずっと下がっておりまして、ちょうど一年前は一・六をちょっと超えるぐらいの有効求人倍率だったものが、四月の値としては一・三二まで落ち込んでいる。また、鉱工業生産生産高についても、三月から四月にかけて九・一%減少しているということで、こちらは更に急激な落ち込みを見せております。  非常に今、産業実態は厳しいものがあると思うんですが、客観的な事実を最初に確認させていただきたいと思います。  新型コロナの影響による国内企業の倒産件数、失業者の数、また経営難に直面している方々をはかる一つの指標として持続化給付金の申請件数があると思いますけれども、こちらの数値を教えていただきたいと思います。
  66. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  東京商工リサーチでは、企業が債務の支払い不能に陥ったり、あるいは経済活動を続けることが困難となった状態を指します倒産のうち、当該企業等から新型コロナウイルスの影響による倒産であることが確認されたものを、新型コロナウイルス関連の倒産として集計していると伺っております。  これによりますと、本年二月以降、五月二十八日までに確認された新型コロナウイルス関連の倒産件数は百三十一件となってございます。  次に、失業者数についてでございますけれども、感染症の影響によるものに限った数字ではございませんけれども、総務省の労働力調査によりますと、本年四月の完全失業者数、これは季節調整されていない原数値になりますが、全体で百八十九万人となっているところでございます。  また、厚生労働省が都道府県労働局を通じて把握された感染症の影響による本年二月以降の解雇等見込み労働者数の累計は、五月二十八日時点で一万五千八百二十三人と承知をいたしております。  次に、持続化給付金についてでございますけれども、五月一日から申請受け付けを開始させていただきまして、五月二十八日時点で百三十万件を超える申請を受け付け、約七十五万件、約一兆円について事業者の皆様のお手元にお届けさせていただいているところでございます。  以上でございます。
  67. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  今伺った数字だけを見ても、雇用というものが本当にこれから、国内産業経済全般にわたって重要な問題になっていくということは、もう皆さん共有していただいていると思います。  それに対して今回の二次補正予算なんですが、中小企業への融資、あるいは十兆円に上る予備費、こういったものを取り除いた場合、実際に給付あるいは補助される金額だけを見た場合、約十兆円くらいになると思っております。一次補正と合わせても真水の投入が三十五兆円程度ということになると理解をしておるんですが、例えば、諸外国の代表例でいいますと、アメリカを見れば、これは、中小企業支援という目的がはっきりした予算だけでも六千六百億ドル、日本円にして約七十兆円規模の大規模な投入をしております。もちろん、この中には融資も含まれますが。  日本の今の現状を鑑みたときに、日本経済規模、そして今我々が置かれている状況を考えたときに、今回の二次補正予算の規模というのが適切な規模だったのか、ここに対するまずは大臣の御見解を伺いたいと思います。
  68. 梶山弘志

    梶山国務大臣 新型コロナウイルス感染症拡大に伴って、各国で経済対策が講じられております。国情の違いもありますし、アメリカと日本ではやはり視点が違う部分もございます。  日本は、雇用保護ということで、できる限りやはり雇用を維持していくということを重点に、さまざまな制度もこれまでもございました。  アメリカの場合は、大量レイオフとかそういう形で、その対応をどうするか、また、企業に対してPPPと言われるような雇用維持のための政策もあると聞いておりますけれども、これも民間銀行から、そして、後でその条件を達すれば返済義務がなくなるというようなことも聞いております。  そういったものも含めて、一概に比較することは困難だと思いますけれども、いいものはやはり考え方として取り入れていかなければならないなと思っております。  その上で、この戦後最大とも言える危機に際して、日本政府としては、雇用事業を断じて守り抜くとの強い決意のもとに、第一次補正予算で措置した緊急経済対策に基づいて、個人事業者を含む中小・小規模事業者等に対して多様な支援を講じてまいりました。  何よりも大切なことは、重要なことは、予算額の規模だけではなくて、苦境にある事業者に必要な対策が講じられているかということでありまして、全国千五十カ所に設置した経営相談窓口に寄せられる声や、私も総理とともに七回にわたって幅広い事業者の皆様から声を聞き、また、個別に今、経産省でもヒアリング、それぞれの事業者の方々、規模を問わずお話を聞いているところでありまして、事業者目線でしっかりきめ細かく対応してきたと思っておりますし、これからもしてまいりたいと思っております。  そうした声を踏まえて、今回の第二次補正予算では、持続化給付金の予算の積み増し、そして、実質無金利無担保、最大五年間元本返済据置きの融資の積み増しや、劣後ローン等の資本性資金の供給、店舗の家賃負担を軽減するための最大六百万円の給付金となる家賃の制度など、危機とも言えるこの難局を乗り越えるための対策を実施することとしております。  こうした措置を迅速に講じることで、新型コロナウイルスの影響に打ちかち、事業雇用を守り抜く決意であります。現時点で必要十分な規模の予算を計上していると思いますし、全力で、できるだけ迅速に、こういったものをお手元に給付できる努力をしてまいりたいと思っております。
  69. 浅野哲

    ○浅野委員 今の大臣の御答弁の最後に、必要十分な量を供給できているのではないかということもございました。であるならば、やはり十兆円の予備費という部分についての必要性、今、新たな補助金に回されるのではないかという話も出ておりますが、しっかりとそこは今後の予算の審議の中でも議論させていただきたいと思いますが、国民に対してわかりやすい説明をお願いしたいと思います。  次の質問ですが、とりわけ今回、持続化給付金についても対象拡大されるという措置がとられました。具体的には、一月から、ことしに入ってから創業した事業者対象にする、あるいは雑所得でこれまで申告していたフリーランスも対象に含めるような改善がされておりまして、そこは評価をしております。  ただ、その一方で、これまで本当に多くの事業者や地方自治体などが、継続的な助成、そして助成金の拡充、増額、こういったものを何度も何度も要請をしてきていると思います。ただ、こういった複数回の支給ですとか助成金額自体の増額といったものは今回盛り込まれておりません。  二次補正予算案の策定の中でこうした声が反映されなかった理由、そして、改めてですが、この場で、こうした複数回支給若しくは増額といった、これまで対象となっていた方々に対するさらなる支援の拡充といったものも求めたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
  70. 梶山弘志

    梶山国務大臣 持続化給付金につきましては、何度も申し上げておりますけれども、前例のない思い切った手段であるということであります。使途に制限のない現金の給付ということであります。  その給付金額については、中小・小規模事業者の九五%を占める五十人以下の事業者について、固定費のうちで、地代家賃、広告宣伝費等を合計した費用の平均が全国平均で年間約四百万円程度、個人事業者については年間で二百万円程度といった推計も参考にしつつ、固定費の支払い額の平均六カ月分に相当する額として算定をしたものであります。  今回、現場のさまざまな御意見を踏まえ、例えばフリーランスの方、今まで事業所得でやっていた方は今もしっかりとお支払いをしておりますけれども、雑所得や給与所得に計上されていた方々を支援対象とすること、そして、五月の緊急事態宣言の延長などに伴い、休業を余儀なくされる飲食店、テナント事業者の皆様を始め、家賃の支払いが大きな負担になっているとの御意見も踏まえて、持続化給付金で家賃まで考えていたわけでありますけれども、それに加えて、家賃負担を軽減するための最大六百万円の給付金を新たに創設することとしました。これは野党の皆さんの御意見もしっかりと伺った上で、これでしっかり決めてまいりたいと思いますけれども、そういったものも取り入れたわけであります。  地方の実情に応じたきめ細やかな対応が行えるように、また地方創生臨時交付金を二兆円積み増す措置も講じており、自治体において積極的な支援が行われることを期待をしているところであります。  自治体にとってはこれじゃ足りないという声もありますけれども、まずは二兆円積み増しをして、自由度のきくものにする、そして、それぞれの地域によって例えば地代家賃も違うし、産業のあり方も違う、そういった中で自治体できめ細やかな対応をしていただきたいと思っております。
  71. 浅野哲

    ○浅野委員 臨時交付金については、今回、二兆円積み増しということで、我々が、野党側が求めてきたのは一兆円から五兆円までの四兆円の積み増しだったわけですけれども、ある一部、一定程度前進をしたことは評価をしております。  ただ、今大臣おっしゃったように、やはり、地域によっては、使い道、そして産業形態や雇用情勢、本当に違いが多くて、一概に幾らというのが決められない状況ですし、これからもこのコロナの影響が中長期化した際に副次的な影響が出てくることが想定されますので、ぜひ、この二兆円増額でとめるということは決してないと思っておられると思いますが、引き続き、ここは柔軟な対応をお願いしたいところであります。  今、答弁の中でも、家賃支援給付金について触れておりました。この家賃支援策については、我々野党の意見も取り入れていただいたということで、私たちとしても評価をしております。  ただ、きょうの資料の、資料三になりますけれども、今回、与党側と野党側で少し異なる家賃支援のあり方というのを提案してまいりました。  簡単に申し上げれば、今回、実現した方の与党案については、支給条件としては、減収五〇%以上、若しくは三カ月にわたって平均三割減収した事業者対象になるということであります。また、支援金額についても、最大月五十万円というふうに書いてありますが、実際には百万円まで、給付率が変わりますけれども、百万円まで支給はできるという制度になってございますが、野党側は、とにかく上限はなしで、とにかく立てかえる、全額立てかえる、後から返してくださいというようなやり方を提案させていただきました。  今回、政府内の議論において、それぞれのやり方、長所、短所あるわけですけれども、最終的にこの与党案にした背景、いわゆる与党案の方は、事業者金融機関から自分で借りて払った分の三分の二を補助するという内容になっておりまして、野党案は、全額、一回、政策金融公庫が立てかえ払いをして、後からこつこつ返していただければいいですよ、そういうことになっておりますが、どういった部分を評価し、そしてこういった結論づけたのか、その部分について説明をいただきたいと思います。
  72. 梶山弘志

    梶山国務大臣 野党とのやりとりを含めて、今、与党での成案をまとめているところだと思っております。  そういった中で、野党からの皆さんの提案の法律案については、先般少し申し述べさせていただきましたけれども、公庫体制の問題であるとか、専門人材の存在、そういったことも含めて、なかなかやはり時間的に難しいのかなという思いもございます。  ただ、今回は、最高の限度額ということで、それぞれの地域によって地価の違いが家賃の違いになっている、それを、上限をある程度百万円まで認めるということで、それは、高い家賃であるとか、あとは複数店舗を持っている場合ということも含めて入れた上で、さらに、一回でまとめて六カ月分お支払いするということで六百万円分、それで対応していただくということも含めて了解をしたものだと思っております。  いずれにしても、より現実的に早くできる方法で、そして、できる限り折り合った額の中で、できるだけ多くの上限にしていくということで議論をしたと思っております。
  73. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  おっしゃるとおり、支給までのスピードというのは大事だと思います。  ただ、私が今少し懸念をしておりますのは、このコロナによる影響、冒頭申し上げたように、鉱工業生産が、正直、一月から三月までは緩やかに落ちていたのが、三月から四月にかけて急に落ち始めた。そして、今後の見通しとしては、このペースというのが維持される若しくは加速される、そんなことも考えられるわけでございます。  そうなってくると、やはり、当初影響が出たのはサービス業界が中心でした。今後は、製造業も含めた幅広い分野で生産、売上げが落ち込んでいく、それが中長期にわたって続くことが想定されます。  今回、家賃支援については六カ月間の対象期間になりますが、更にこの先がどうなっているかというところをよくよく見ていただきたい、そして、必要に応じてさらなる支援策というのも考えていただきたいというふうに思っておりますので、そこだけ意見を述べさせていただきます。  次の質問に移りたいと思います。  今回、新しい生活様式の普及を受けて、幅広い社会活動の中で、IT環境の整備といったものが一層進むことが予想されております。これは、中小企業、地方の職場においても、こういう流れが生まれてくるのではないかというふうに思っております。  今、経済産業省ではIT導入補助金という制度がありますが、これまで、令和元年度の補正予算、そして今回の令和二年度の補正予算の中で対応しているということなんですけれども、ただ、もっと大きなニーズがこれから出てくると思うんですね。  ですから、きょう確認させていただきたいのは、現在の予算がどれくらい全体で確保されているのか、そして執行状況がどのような状況になっているか、もし今後の方向性についてもありましたら、御答弁いただきたいと思います。
  74. 藤木俊光

    藤木政府参考人 お答え申し上げます。  IT導入の補助金に関しましての予算額でございます。  そもそも、ITツールの導入を通じた生産性の向上ということで、令和元年度補正予算で四百五十億円を確保し、その執行を始めていたところでございます。さらに、今回のコロナの影響ということを受けまして、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備ということで特別枠というのを設けるということで、先般成立した第一次補正予算で百億円を追加し、さらに、今回の第二次補正予算においても約二百二十億円程度を追加するという方向で調整しているところでございます。
  75. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  各補正予算で徐々に追加していただいているということなんですが、執行状況については答弁いただけますか。
  76. 梶山弘志

    梶山国務大臣 この執行状況でございますが、IT導入補助金、令和元年度補正予算分については三月十三日から公募を開始をいたしました。三月三十一日の第一回締切りまでに四千八百五十六件の申請をいただき、二千四百六十四件を採択をいたしました。  その後、令和二年度第一次補正予算分を加えた形で、五月十一日から申請を再開をいたしました。本日が、五月二十九日が第二回目の締切りでございます。締切り後、速やかに審査を進め、迅速な交付決定に取り組む予定であります。また、今後も、七月十日まで二週間間隔で締切日を設けて、可能な限り迅速に交付決定し、IT化を急ぐ中小企業小規模事業者ニーズに応えてまいりたいと思っております。  なお、補助金の内容につきましては随時拡充を行ってきております。令和二年度第一次補正予算分からは、非対面ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備を行う事業者対象にした特別枠を、先ほどありましたけれども、追加をしまして、補助率を二分の一から最大四分の三に上げるとともに、パソコンなどのハードウエアのレンタル費用も補助対象としました。これまでは、今、ハードウエアは対象となっておりませんでしたけれども、レンタルという条件付でありますけれども、補助対象といたしました。  今回の令和二年度二次補正予算では、この特別枠を更に拡充するための予算を積み増しております。  新しい生活様式の普及に伴って、中小企業にも求められる新たなビジネスモデルへの転換を後押しするために、事業者による前向きなIT投資を強力に支援をしてまいりたいと考えております。
  77. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  先ほどの申請件数、採択件数、申請が約五千件弱ということなんですけれども、本当はもっともっとたくさんの企業IT導入を進めていくべきだと思いますし、望ましくは、この申請件数がもっと桁がふえていくことを期待したいと思います。  持続化給付金については、申請が百三十万件という数字ですけれども、日本全国の中小企業は三百万者近くあります。そういった国内企業全体が、これから、こういうIT導入、そして非対面型もどんどん積極的に取り込んでいくような時代になると思っておりますので、円滑な申請、給付というのは大事なんですけれども、やはりその周知活動というものも引き続き重要だと思いますので、そこはぜひお願いしたいと思います。  では、ここから先は、中小企業成長促進法案の具体的な中身を何点か質問させていただきたいと思っております。  まず、本日の資料四をごらんいただきたいと思います。  こちらには、経営者保証の解除に関する政府資料を掲載させていただきました。上と下にそれぞれ赤枠で囲っているところがあるんですけれども、経営者保証の解除をする際、一般枠を使った場合の最大の年間申請件数というのが約一・八万件、そして、下側には、特別枠を使った場合は最大で年間約二千件というのがポテンシャルとしてはあるということでございます。  まず、この一万八千件と二千件というのがどのように算出されているのか、御説明をいただきたいと思います。
  78. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  事業承継に係ります融資件数でございますが、このところ、年間約五万件でございます。このうち、経営者保証を徴求しております融資、具体的には、新旧経営者からの二重徴求でございますとか、あるいはいずれかからの徴求というケースがあるわけでございますけれども、この件数が約四・五万件存在してございます。  こうした中で、今般創設させていただきたいと考えてございます経営者保証解除に係る信用保証、これのまず一般枠でございますが、これを利用していただくために必要な財務要件を満たす企業の割合を全体の約四〇%と試算しているところでございます。この数字は、中小企業者の平成三十年度におきます決算データの複数サンプルをもとに、私ども中小企業庁が、各財務要件の適合割合を試算したものでございます。この四〇%から試算をいたしますと、約四・五万件のうち、年間最大一・八万件という対象が導き出されるわけでございます。  さらに、このうち融資残高が一般枠の上限でございます二・八億円を超える企業の割合、これを約一〇%と想定しているところでございます。この数字も同様に、平成三十年度におきます決算データ、これの複数サンプルをもとに、私どもが、債務残高が二・八億円を超える事業者の割合を試算したものでございます。ここから導き出しました一〇%をもとに、別枠の対象となりますのは、年間最大二千者程度であるというふうに算出をさせていただいたところでございます。  他方、今、新型コロナウイルスの感染症が拡大しておりますので、こうした数字には若干幅を持って考えていただく必要があるのかなというふうに考えてございます。  以上でございます。
  79. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  今御説明いただいた内容が、資料五の方の絵で、わかりやすく資料を作成いただいているんですけれども、非常に、データベース、エビデンスベースといいますか、わかりやすい御説明、ありがとうございました。  私が次にお伺いしたいのは、経営者保証を解除する希望を持っている方たちというのは、そもそも、最初言ったように、五万件近い対象の母数が、母集団がありまして、決して、財務要件を満たす一・八万件ですとか、さらに、二・八億円を超える融資残高のある二千件の方々というのだけが希望されているわけではないと思うんですね。とりわけ、財務要件を満たさない六割の企業の方々というのが、本来はたくさんの、厳しい財務状況で、事業承継をする際の経営者保証が非常にネックだなというふうに思っている方々がいっぱいいるんじゃないかなというふうに思うんです。  ですから、今回、この経営者保証の解除のスキームが使える対象としては、まず財務要件を満たしていることというのが前提になっているんですが、本来は、それを満たせないような厳しい方々にも支援の手を差し伸べるべきではないか。政府としては、今回、四割の方だけを対象にしていますが、この六割の方々に対してどういう対応をしていくのか、その部分についてお伺いをしたいと思います。
  80. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘ございましたような財務上の問題を抱えておられる中小企業の方に対しまして、経営改善を加速化していただいて、自立的な経営が可能となるようにサポートさせていただくということはとても重要な課題である、このように考えてございます。  経済産業省では、みずからでは経営改善の取組を進めることが困難な中小企業の方々に対しまして、税理士や中小企業診断士などの認定支援機関、これを活用させていただきまして、その認定支援機関が金融機関との対話をしながら本格的な経営改善計画の策定を支援させていただきます、経営改善計画策定支援事業と呼んでおりますが、そういった取組を実施しているところでございます。  また、財務状況が特に厳しい企業につきましては、各都道府県に設置してございます中小企業再生支援協議会、こちらにおきまして、事業の収益性はあるものの財務上の課題を抱えている中小企業の方に対しまして、例えば、不採算部門の見直しでございますとかコスト管理の徹底、市場のニーズに合わせた販売戦略の立案など、自立的な経営が可能となるような事業再生計画の策定を支援申し上げているところでございます。  引き続き、こうした取組を通じまして、経営者保証解除スキームの財務要件を満たさない企業の方々を含め、中小企業経営改善、事業継続支援をより一層充実してまいりたいと考えてございます。  以上でございます。
  81. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  続いての質問に移りたいと思いますが、私の前に質問されていた落合委員も、最後、終盤、雇用の話をされておりました。私も、次の質問では雇用を取り上げたいと思うんですが、今回、中小企業成長促進法の中身というのを簡単に言えば、事業承継円滑化、そしてMアンドAの円滑化も含めていますね、さらには、さまざまな計画制度の簡素化といったものが特徴になるのかなというふうに思っております。やはり、事業承継あるいはMアンドAをする際に最も配慮しなければいけないのは、大臣がおっしゃるように、雇用だというふうに私も思っております。  今回、中小企業成長促進法のこの資料、先ほども出ましたが、事業継続をすること、そして雇用維持をすることというのがタイトルに書かれているんですけれども、どうも雇用に対する取組が弱いのではないか。余り雇用を守るための具体的な施策というのが書かれていないんですね。  そこで、私は事前に御説明をいただいたときにも事務方の方に申し上げたんですが、雇用を守るという考え方、理念といったものをどこかに盛り込まれていないのかと。例えば、今回整理する計画、各種政策があると思いますが、こういった計画の中でそういうことを明確に位置づけるべきじゃないか、そういう考えはあるのか、そういうことを質問させていただきましたが、改めて、先ほど大臣も、雇用に対する強いこだわり、思いをお持ちだと思っておりますので、その部分について大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  82. 梶山弘志

    梶山国務大臣 雇用維持の観点は、各種計画制度を運用する上でも大変重要な点だと認識をしております。先ほど申しましたが、事業承継も、個人の資産の承継じゃなくて、地域資源としての雇用承継だという視点から始まったものであります。実際、労働生産性の向上を認定指標とする経営力向上計画では、計画の認定基準を規定した基本方針で、人員削減による労働生産性の向上は認定対象としない旨を既に規定をしております。雇用維持に対する配慮を行っているところであります。  さらに、今回の法案地域未来投資促進法にMアンドA支援を追加するに当たりまして、同法に基づく基本方針においても、MアンドAを行う際の雇用維持に対する配慮規定を新設をいたします。  各種計画において雇用維持の重要性を盛り込むことで、事業者雇用に対する意識を高め、中小企業全体における雇用がしっかりと守られるように取り組んでまいりたいと考えております。
  83. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  ぜひ、こういう厳しい状況だからこそ、雇用を守ることというのを、経営者の方々にもしっかりと計画を立てて雇用を守っていっていただきたい、その思いを持っておりますので、今の、新たに新設される部分、そしてまた、さまざまな計画の中で雇用に対する配慮規定を設けている部分、ぜひしっかり執行されるように、引き続き政府支援もお願いしたいと思います。  それでは、続きまして、今回、中小企業支援、コロナを乗り越えるための支援ですけれども、さらに、この法案には含まれない部分についても何点か議論させていただきたいと思います。  きょうの資料の八をごらんいただきたいと思います。  こちらは、IMFがことしの四月に発表した世界経済見通しでございます。主要な各国の二〇一九年から二〇二一年までのGDP増減率を掲載されています。日本を見ますと、二〇二〇年はマイナス五・二%、そして、二〇二一年はプラスの三・〇%ということなんですが、ことしは落ち込むけれども来年は少しより戻しがあるよということであります。  ただ、問題なのは、先進国を比較して見たときに、二〇二〇年の落ち込みというのは、日本以上に大きく落ち込む国があります。ただ、来年に目を向けていただくと、ほかの先進国の方が大きなプラスに転じる見通しなわけですね。日本はプラス三・〇と申し上げましたが、この数値では、主要先進国の中では一番低いより戻しの幅になっております。  ここに非常に私は危機感を感じています。来年だけならまだしも、この差というのが、再来年、その先にも続いてしまうのではないか、それによって各国との経済力経済競争力の差が一層開いてしまうんじゃないか、そういった懸念、危機感を持っておりまして、それをどうリカバーしていくか、そういう議論をさせていただきたいと思います。  まず、この見通しに対して政府がどのような考えを持っているのか、まずは基本認識を伺いたいと思います。
  84. 茨木秀行

    茨木政府参考人 お答え申し上げます。  お尋ねのありました四月に公表されましたIMFの世界経済見通しにおきましては、新型コロナウイルス感染症影響により、全世界で二〇二〇年の経済が大幅に押し下げられ、その後、徐々に回復していくといった姿が示されているというふうに承知をしております。  その中で、今委員からも御指摘ございましたけれども、二〇二〇年、ことしの経済成長率につきましては、先進国全体でマイナス六・一という中で日本はマイナス五・二と、ややマイナス幅が小さいという一方で、二〇二一年、来年につきましては、先進国全体でプラス四・五という中で日本はプラス三・〇と、プラス幅の方もやや小さい、そういったような姿になってございます。  ただし、こうした見通しにつきましては、IMFも述べておりますけれども、今後の感染症の動向など、大きな不確実性がある点に留意が必要と考えておりまして、政府といたしましても、さまざまなリスクを注視してまいりたいと考えております。  我が国におきましては、先日、緊急事態宣言が解除されまして、感染防止策をしっかりと講じながら、段階的に経済活動のレベルを引き上げていくフェーズに入っております。  政府としては、あらゆる政策手段を総動員して、事業雇用、生活を守り抜くことにより経済回復基盤を維持していくとともに、中長期的な成長力の強化という観点からも、今回の感染症による危機を社会変革の契機と捉えまして、デジタル化、リモート化等の改革を一気に進めて、質が高い経済成長を実現してまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。
  85. 浅野哲

    ○浅野委員 確かに、今おっしゃったように、IMFのレポートも私も読みましたが、依然として不確実性が高くて先が読めない、この数字が必ずしも正確ではないというようなことは、それは確かだと思います。  ただ、不確実性が高いというのは、あくまでも下振れリスクに対する不確実性は高い。ひょっとしたら、また第二波、第三波、我々の想像を超えたものが来た場合に更に落ち込むという意味での不確実性はあるけれども、プラスの要因というのは実はなかなかないわけですね。マイナスに下がることはあっても、これが更によくなるような不確実性要素というのは現状余りないわけであります。  ですから、この数値をよりよい数値にしていくためには、我々が頑張らなければいけない、経済産業省の皆さんが頑張らなければいけない、そういうことだと思っています。  やはり、そういう観点でいうと、中小企業、今大変厳しい状況に置かれておりますが、この苦境の中でいかに変化をしていけるかというのは非常に大きな課題だと思っております。  事業の継続、そして雇用の維持、これはもう最低限必要だと思っているんですけれども、今我々が議論しなければいけない、経済産業省の皆さんが計画をつくらなければいけないのは、それを守った上で、いかに変化を促し、そして生産性を高めていけるのか。それは、デジタル化という言葉がよく出てきますけれども、IT導入もそうですが、それが全てではないと思っています。中小企業がこれまで営んでいた事業そのものの転換、副業化、あるいは特定の技術を別の分野に応用するような事業の転換、こういったところも念頭に入れて、大胆な企業自体の自己改革というものを促していく必要があると思っております。  改めて、政府にここのあたりをどういう考えを持っているかというのを聞こうと思っていたんですが、ちょっと時間の関係で、この質問を飛ばして、次の質問に直接入らせていただきたいと思うんです。  今回、中小企業の自己改革を促すという意味では、MアンドAの促進というものがこの法案の中には含まれております。先ほど、落合委員の方からは、やはり雇用維持が優先だ、MアンドAもある種規制していく方向性もあるんじゃないか、そういう問いかけがございました。  私は、ちょっとそことは違う論点で議論していきたいと思うんですが、こういう状況だからこそ、大胆な中小企業事業変革、構造改革、これを促す意味では、MアンドAに対して適切な規制をかけつつも、ちゃんとした計画を立てている人たちには、より低リスクでそれを実現できるような環境整備というのも車の両輪として両方回していかなければいけないと思っているんですね。  具体的な方策としては、事業承継やMアンドAの実施に伴って、さまざまな、贈与税あるいは所得税、法人税、いろんな税金を支払う義務が今ありますけれども、これを大胆に免除、あるいは大胆に軽減していただいて、しっかりとした計画、しっかりとした成長戦略を描けている中小企業に対しては、リスクをできる限り少なく、負担を少なく、こういったチャレンジをしやすい環境を整備していくべきではないか、そんな考えを持っておりますが、これに対する大臣の御見解をいただければと思います。
  86. 梶山弘志

    梶山国務大臣 中小企業のMアンドAを活性化ということでありますが、税制、予算等の総合的な取組を進めることが大切であると思っております。  何度も申し上げますけれども、やはり、事業承継が入ってきたときは、事業承継、税制としてどうするかという取組から始まったわけであります。そして、それを後押しするためにどう変えていくか、どういう視点を加えていくかということで今日まで来ていると思っております。  税制措置につきましては、MアンドAによる事業承継により不動産の権利移転などが生じる場合の登免税、不動産取得税の軽減措置を今の時点では設けているところであります。  更に大胆にということでありましたけれども、どういったものが必要なのかということはこれからまた議論してまいりたいと思っておりますけれども、さまざまな認定支援機関などの応援により、そういったノウハウも使うことができる、そして士業の人たちのノウハウも使うことができるような体制は整えておりますので、そういった中で、またよりよい事業承継、そしてMアンドAを進めてまいりたいと思っております。  事業承継は、できればやはり親族に継がせたいという方がおいでになります。そして、事業が継続するのであれば第三者でもいいという方もおいでになる。ただ、そのほかには、やはり、その企業を欲しがっている方、場合によっては、事業の一部門を欲しがっている方という人たちがいる。そして、雇用の継続ということを念頭に入れながら、そういうMアンドAも進めていくべきだと思っておりまして、事業技術雇用がしっかり残るような形で総合的に進めてまいりたいと思っております。
  87. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  事業技術雇用が残るようにというのは、もう本当に大前提だと思っておりますが、やはり、コロナ危機というのはこれまでなかった危機、だからこそ持続化給付金のようなかつてなかった支援経済産業省も打ち出しましたし、ただ、それにとどまらず、もっともっと大胆な支援展開、そして、それによる国内経済産業構造の転換、こういったものにつなげていかなければいけないというふうに私は思います。  そういう点でいえば、きょうの資料の十一番をごらんいただきたいと思います。  これは事業承継税制の適用の状況でございまして、平成三十年分を見ますと、大体四百億円強の猶予適用がされております。ただ、MアンドA、事業分割ですとか一部事業譲渡に伴う個人の所得税、住民税そして法人税、こういったところはこれには含まれておりませんので、これが全体像ではないんですけれども。  今回、例えば予備費で十兆円積んでいます。それに対して、この事業承継にかかっている猶予の金額規模を見ますと、もうちょっと経済産業省も勇気を出して、大胆なことをやるぞ、しっかりと救うぞ、変化を起こす、そんな決意を固めればできない規模ではないような気もしているんですね。従来から、事業承継、税制の免除に対する要望もたくさん中小企業経営者から出ております。ぜひ御検討いただきたい。  更に加えて言えば、実は事前に中小企業庁の方に、MアンドAに伴う法人税、個人住民税、所得税の納税額というか、そういう規模を聞いたんですけれども、ちょっと情報が余り整理されたものがないということでしたので、ぜひ、そういった部分の把握にも努めていただきたいというふうに思います。  もし、大臣、一言いただければありがたいんですけれども、ありますか。
  88. 梶山弘志

    梶山国務大臣 事業承継は従前から大きな課題でありましたけれども、今回のコロナ禍におきまして、さらに、事業承継というか、廃業を決断するようなことも出てくる可能性があるということで、しっかりとそういった事業地域の資源を守っていくためにどうしたらいいかということは一段加速して考えなければならないと思っておりますので、委員の御意見、参考にさせていただきたいと思います。
  89. 浅野哲

    ○浅野委員 ぜひよろしくお願いします。  では、次の質問なんですが、企業そのものに対する支援も必要ですけれども、やはり働いている方々の変化というのもこれからの時代には求められていくと思います。特に、新しい生活様式の普及、そして、これから消費者意識が変化していくことが想定されますので、それによって産業構造が変化していくことは明白だと思います。それによって不可逆的な失業者というのが増加するのではないかというふうにも考えます。これまでやっていた仕事そのものがなくなってしまって、自分のスキルを別の職場で生かそうと思っても、その産業自体が衰退してしまう、そんなことも出てくるような気がいたします。  そこで、やはり、リカレント教育というものに改めて注目をすべきではないか。これまでは、一部のそういうスキルチェンジの講座、経済産業省が認定して、徐々に拡充をしてまいりましたが、このコロナショックを契機に、こちらも大胆な拡充あるいは利用者負担の軽減、そういったものに踏み込んでいくべきではないかと思うんですけれども、こちらについての見解をお伺いしたいと思います。
  90. 河西康之

    河西政府参考人 お答え申し上げます。  議員御指摘のとおり、コロナウイルス感染症拡大によりまして、新たな生活様式の普及、消費者意識の変化に伴いまして、今後、ビジネスモデルでありましたりですとか産業構造、これが変化していくというふうに考えております。  例えば、リモートワークあるいは事業のデジタル化、こうしたことが進展することが想定されているわけでございます。そうした変化に対応するため、ITあるいはデータの分野につきまして、働く方々が、一度社会に出てからも、時代の変化に合わせ、いつでも、何度でも学び直すことができるリカレント教育、これが非常に重要性が高まっているというふうに考えてございます。  経済産業省では、産業界のニーズも高く、専門性かつ実践的な能力を取得できる講座を経済産業大臣が認定する第四次産業革命スキル習得講座認定制度を二〇一七年七月に創設いたしまして、二〇二〇年、本年四月末時点で百九講座を認定しているところでございます。  このうち、本年四月一日時点で、五十二の講座につきまして、その実施者が厚生労働大臣による専門実践教育訓練給付の指定を申請しておりまして、その申請を受け、受講費用が支援されるということになっているところでございます。  また、多忙な社会人が働きながら通学する負担、これは非常に大きいということでございまして、インターネット等での受講ニーズ、これが非常に高くなってございます。これまでも、講義の一部でEラーニングを使うという講座は認定しておったところでございますが、本年一月からは、全ての授業をEラーニングで行う講座も認定対象としたところでございます。現在、三十四講座がこれに該当しているところでございまして、新しい生活様式にもしっかりと対応していきたいというふうに思っております。  加えて、中小企業経営者あるいは管理者、従業員の方に対しましても、大きく変化する事業環境に対応できるよう、全国九カ所に設置しております中小企業大学校におきまして、IT活用ですとか、生産管理、財務管理、マーケティング、こうした専門性の高い実践的な研修事業を実施しているところでございます。令和元年度におきましては八百十六コースを開催するなど、精力的に実施しているところでございます。また、こちらでも、やはりEラーニング講座の充実を図っているところでございます。  日々刻々と変化する経営環境に対応することで、なかなか時間がとれない、しかし、だからこそ、変化に対応していくために、受講のニーズの高い皆様、中小企業の皆様に受講しやすいよう、環境整備に取り組んでいるところでございます。  引き続き、人々の生活様式、消費者意識、ビジネスモデル、産業構造、こういったことの大きな変化にしっかりと対応できるよう、認定講座や研修内容の充実、それによるリカレント教育の充実、また、時間的制約の多い社会人にも受講できるよう、その負担軽減にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
  91. 浅野哲

    ○浅野委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  92. 富田茂之

    富田委員長 次に、山崎誠君。
  93. 山崎誠

    ○山崎委員 皆さん、こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。  会派の時間をいただきました。早速ですので、御質問をさせていただきたいと思います。  本日の中小企業成長促進法案ですが、若干、前回の質問、残したところがありまして、冒頭、一問だけお願いをしたいと思います。  前回、エネルギーのお話をさせていただいた中で、その中でも賦課金の話があって、固定価格買取り制度をどういうふうに理解をしていくんだというお話をさせていただきました。その中でも触れていたんですが、固定価格買取り制度の買取りが終わった、いわゆる卒FITと言われている電気、これをどういうふうに扱うかというのが、私は、やはり大きな、この後のエネルギーのシステムを考えていく上で重要な課題であろうと思っております。  ちょうど、家庭用の屋根に置いている太陽光発電の買取り期間、十年という期間、二十年という買取り期間と十年と二つありますね。その十年の方は、去年、二〇一九年の十一月でしょうか、に買取りが終了しているという案件が出てきていまして、この買取り後の電気をどうするかということがいろいろ話題になって、制度が動いているというふうに認識をしています。  制度的には、例えば、今まで一般電気事業者、例えば東京電力で契約をしていて売電をしていた、固定価格で売っていたその御家庭が、そのまま東京電力と契約をして、FIT後も売電をするというパターン、あるいは自家消費として自分で使ってしまうというパターン、あるいは、新電力と言われている、東京電力以外で購入をやっているところに売るというパターンと幾つかの選択肢があって、それをどういうふうに選んでいくかというのは大事なユーザーの視点だと思っております。  それで、じゃ、実際に今その卒FIT電源がどうなっているかというのをお聞きしたいんですが、今お話ししたようなパターンの中で、今までどおり、例えば、東京電力あるいは関西電力でもいいんですが、一般電気事業者にそのまま販売をしているという人と、新しい、新電力に切りかえて販売をしているという例がどのぐらいの割合なのか。いわゆる新電力に切りかえる、スイッチングと言われていますが、スイッチングの割合を教えていただけますか。
  94. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のように、昨年の十月末で余剰買取りの期限が切れているものが出ておりまして、これは、いわゆる卒FIT電源と申し上げますと、まだ徐々に出てきたばかりでございますので定かなことは申し上げられませんが、集計中ではございますが、三月末時点での契約の切りかえという意味でのスイッチング率はおおむね七%程度だというふうに認識してございます。
  95. 山崎誠

    ○山崎委員 おおむね七%なんですよ。  だから、結局、私も地元の方から、この買取り後の電気、どうしたらいいんだというような質問を受けて、その辺の買取りの今後のあり方がユーザーの皆さんにちゃんと伝わっていないなというのを実感しております。  データを聞くと七%。要は、結局、今までどおり、一般電気事業者の方々とそのままの流れで継続をしているということ、それ自体悪いとは言いませんが、ちょっと資料をつけました。  一番を見ていただくと、新しい、いわゆる新電力というところも魅力的なメニューをいろいろと提案をしています。それぞれの買取り価格というのを設定しておりまして、一般電気事業者の東京電力だとかが買い取る価格よりも高い価格を設定をしているところもあります。地域のいろんな事情、電力としてやはり活用したいということで、より高い価格で買い取ろうという電力会社もあります。  なので、例えば、こういう情報がきちっと今の発電している御家庭、世帯の皆さんに情報が届いて、こういうところに切りかえられるんだよということがちゃんと伝われば、私は、先ほどの七%という数字は変わってくると思っています。  それで、次の資料二を見ていただくと、これは東京電力エナジーパートナーが、切りかえについて、固定価格買取り制度満了の御案内ということで、こういう案内の資料を送っているよということで、サンプルがホームページに掲示してございます。  これを見ると、二ページにわたって書いてあるんですけれども、これは裏表だと思うんですが、今言ったような、FIT後の買取りの制度についての御説明があって、それで、その契約の手続なども書いてあります。  特に太文字の黒の枠で囲ったところなんですが、当社以外、他の電力会社でも買取りができますよというようなことは書かれていますが、全体の書きぶり、次のページを見ていただくと、これは東京電力が展開をしている事業の説明ばかりが書かれていて、全体の割合としては、やはり、これを読んで、何もその詳しい制度を知らない人が新しい電力会社の選択肢を検討しようと思うかといえば、私はかなり難しいと思います。よっぽど理解している人でなければ、この案内をもらったときに、面倒くさい、もう東京電力のままでいいや、買い取ってくれるんだったら。  ここに具体的に東京電力であれば八・五円と書いてあるんですね。ああ、八・五円で買ってくれるんだ、安くはなるけれども、買ってくれるんならいいやというぐらいに思う方が大勢いらっしゃるんじゃないかなということを思っています。  だから、こういう案内ではなくて、もっとオープンに、いろんな会社の案内が入るようにやはりしなきゃいけないと思うんですね。  これは、経産省のページを見ると、一部のエリアの電力会社は、この通知にあわせて他の小売電気事業者の買取りプランも掲載した紙面を同封していますとホームページに書いてあるんですよ。こういう事例はどのぐらいありますか。
  96. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  資源エネルギー庁のホームページ上で各社のプランについては御紹介しておりますとともに、各電力会社に対しましては、今委員指摘のように、他社の事例と比較できるような形で御紹介するように我々からも御指導申し上げているところでございます。  今つぶさに具体例をちょっと承知していないところでございますが、できる限り、いろんなニーズに即応できる中で情報提供が重要だと思っておりますので、指導に努めてまいりたいと考えております。
  97. 山崎誠

    ○山崎委員 ちょっとこれは事前にお願いしなかったので調査していないと思いますけれども、どのぐらいの会社が、ちゃんと、ほかの会社の例えばチラシだとかも入れて、こういう選択肢もありますよというのを公平に御案内をして、それで選んでいただく、そういう取組をしているかどうか。ホームページにもちゃんと書いてあるんですよ。一部エリアではこういう電力会社、やっていますと書いてある。  これはぜひ全域に広げて、今後もどんどんそういう電気が発生しますので、これが、少なくともいろんな選択肢があって、発電をしているユーザーの皆さんが判断ができる材料を公平に提示をしていただきたいということで、ここはやはり私は業務の改善の必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  98. 梶山弘志

    梶山国務大臣 二〇一九年の十一月以降、委員がおっしゃるように、住宅用の太陽光発電設備の買取り期間が順次終了していくということで、先ほど説明もありましたけれども、経産省としては、継続して調達を希望する場合の価格を公表させる、これは交渉の予見性を高めることになります、また、買取り期間終了後の売電相手として、自社だけでなく、買取りを希望している新電力の情報提供をさせる、さらにまた、スイッチングの際の違約金等を設けさせず、途中での新電力へのスイッチングの機会を確保させる等を行っているところであります。  自由化のメリットというのは、消費者にとっても、多様なメニューを選べること、また、自分の利益になることも含めて、いろんな情報提供も必要であることだと思っておりますので、そういった点を勘案しながら、しっかり対応してまいりたいと思います。
  99. 山崎誠

    ○山崎委員 ぜひこれは今後も議論したいと思います。  FIT後の電気というのは、皆さんが言うように、ある一定の負担をしていただいて、私は投資だと思っておりますが、国民の皆さんがつくった再エネであることは言えると思うんですね。応援をしてつくった電気。だから、これは、みんながある意味公平にいろんな機会で利用していく電気として、固定価格買取り制度後も大事にしなきゃいけないと思うんですよ。それが一企業の、これを言うとあれですけれども、単純に、利益のために安く買いたたかれるような、そんなことになったらやはりまずいと思うんですね。  なので、せっかくいろんなエリアで、いろんな電力会社が、自分たちのポリシーを持って、新電力、例えば、再エネを伸ばしたい、再エネが欲しいといったお客さんに再エネを届けたいというような事業をやっている方はたくさんいます。そういう方々がこうした卒FITの電気にきちっとアクセスをして、販売につなげられるような仕組みをつくっていただきたいと思います。この点は強く要望させていただきます。  それでは、きょうのテーマであります中小企業成長促進法案についてお話を進めたいと思います。  資料の三を見ていただきたいんですが、私は、前提として、今の日本産業全体あるいは中小企業状況というのが今どういうふうになっているのかなというのをやはり正しく把握をした上で、この法案についても考えていかなければいけないんだと思っております。  例えば、事業承継の話とか、大変重要です。ですが、単に事業承継を今のままの事業として、既存の事業として継続をすることが本当に未来につながるかといえば、そうではないと私は思います。  そういった意味では、新しいいろんなアイデアや、新しいビジネスチャンスや、そういったものが広がっていくような事業展開を、ぜひ中小企業の皆さんの力と皆さんのノウハウと努力で、やはり切り開いていく、そういう法改正、国の支援というのが私はとても必要だと思います。  その前提で、三番を見ていただくと、上のグラフは、「企業規模別業況判断DIの推移」ということで、業況が好転したか、あるいは悪化したかという企業の割合、好転から悪化を引き算をしたときの数字、割合ですね。見ると、これはゼロから全部下なわけですよね。  リーマン・ショックからずっと、ああ、上がっている、何か回復基調にあると言っているが、結局マイナスの中で動いてきて、そして消費税の増税からどんと落ちて、また、この後、コロナの影響で本当にどうなるんだろう、リーマン・ショック以上にこれが落ちていくのではないかということが言われていますよね。  私は、このグラフは一つの例だと思いますが、やはり、中小企業経営者の皆さん、自分たちの事業、好転しているとは言いにくいという方々がこれだけいて、それが毎年毎年積み重なっているわけですよね。毎年、前年よりもよくなかったな、そのよくなかった前年より更によくなかったなと、どんどんつながっている、この負の連鎖をやはりどこかで断ち切るというのが必要な施策なんだろうと思います。  それで、下のグラフは、「設備投資の目的」というグラフ、これも中小企業白書から抜いていますが、見ていただくと、どういうところに投資をするかというと、既存の建物とか設備機器等の維持、補修、更新というのが真ん中、右側ですね、高い。それから、既存事業部門の売上増加というのも比較的高いということでありまして、例えば、今私がお話ししたようなところでいくと、新規事業部門への進出事業転換、兼業部門の強化など多角化、そういったものに関しては低いんですよね。二〇〇七年度から二〇一七年度の比較をしてもほとんど変わっていない、落ちてしまっているというのが、これは今、私は、端的に中小企業のマインドをあらわしているのではないかと思うんです。  私は、こうしたやはりマインドを、どうやってもっと前向きに新しい事業に向けていくか。そうしないと、ずっと続くこの不況感、なかなか事業が好転しないよと言っている根本原因が取り除けないかなと思っています。  そういう前提で今回の法案を見ておりますと、私、気になったのが二点なんですが、特に二番目の計画制度、これを見直すということでございまして、その目的、あるいは、それをどうしてやるのかというところ。これは、いろいろお話を聞くと、必要性は認めるんですけれども、とても、積極的な、今お話をしたような新しいことをもっと後押しするために計画をつくってもらうというお話ではないように非常に感じています。  幾つか計画を統廃合するわけですけれども、なくす事業を、計画を選ぶ基準というか、どうしてこういう計画をなくすんですかと聞くと、計画が併存をしてしまって混乱をしているとか、二重の申請で事業者の利便性の観点からもよくない、そういう理由が返ってきました。  例えば、それが、この四の資料でいくと、5の異分野連携事業分野開拓計画ですかね、それから6番の特定研究開発等計画というやつ、これは同じような理由で2番の経営革新計画に統合するというお話になっています。  どうなんでしょう。私は、それぞれの計画の意味があったはずで、目標があったはずで、それが本当に達成されたのかどうか。私は、先ほどデータでも少し触れましたけれども、例えば、こういう新しいものづくりをもっとやっていくんだ、そのために設備投資をしようというマインドを各企業が持っているのかどうか、あるいは、異分野の連携で新しい事業を、新規分野を開いていくんだというマインドがどれだけ中小企業の中にあるのか。まだまだ、私はこの点が大事なポイントだと思うんです。  それが、今回は統合されるということで、本来あった計画の目標、目的はどこへ行ってしまったのと。単に、事務が煩雑だった、混乱をしている、利用者の利便性のためにということで計画制度の統合をする、それがこの計画制度の統廃合の考え方でしょうか。  私は、繰り返しになりますけれども、本当に今必要な支援というのを考えた上で、この計画の見直しだとか統合だとか、あるいは、計画制度ではない、もっと別な支援のやり方もあると思います。基本方針を決めて、計画を提出いただいて、承認されたら補助事業、このステレオタイプ的な経産省のやり方は私はどうかなと。今言ったような新しい動きにはついていけないんじゃないか。  計画は五年のスパンで一応つくってもらうといいます。五年のスパンで計画をつくって、果たして日本企業競争に勝ち残っていくんだろうか。もちろん長い計画も必要でしょう。でも、刻々と変わる世界の情勢に合わせて、いろんな手を打っていかなければいけない。そういう展開が、本当に今のこの経産省の計画制度で実行ができているのかどうか。どうでしょうか。  私は、この計画の統廃合の理念について非常に疑問を持っておりますが、御説明いただけたらと思います。
  100. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  今回の法案で整理をさせていただく各計画制度についてでございますけれども、特に、今回廃止をさせていただく計画を中心に御答弁申し上げたいと存じます。  二〇二〇年の三月末時点においてでございますが、一つ目の異分野連携事業分野開拓計画は千二百三十二件、特定研究開発等計画は六千三百二十四件、三つ目の地域産業資源活用事業計画は千八百六十七件、それぞれ、制度創設以来の認定実績がございます。  異分野連携事業分野開拓計画と特定研究開発等計画につきましては、製造業とITなど、異業種連携によります新事業展開や中小企業研究開発促進することは引き続き重要な政策課題でございまして、その重要性というのはいささかも変わっていない、このように考えてございます。  他方で、私どものアンケート調査などを踏まえますと、両者の計画制度の創設当時と比較いたしまして、中小企業の異業種の連携でありますとか研究開発そのものは、ある程度普及、浸透してきているという実態が明らかになってございます。今後は、単に異業種が連携するとか、あるいは研究開発を行うといった段階にとどまることなくて、それらの成果を、製品の高付加価値化でありますとか、あるいは新たな市場開拓といった、付加価値の向上につなげていくということが必要であろうというふうに考えてございます。  このために、今回の法案では、中小企業付加価値向上を目指します経営革新計画に、異分野連携事業分野開拓計画と特定研究開発等計画を統合させていただくことで、そういった取組付加価値向上につなげていく、そういう形をとらせていただきたいということでございます。  議員から御指摘ございました中小企業の皆様のマインド向上についてでございますけれども、こういった骨太な政策体系の中で、そういったマインドの向上も図らせていただきたいと考えてございます。  以上でございます。
  101. 山崎誠

    ○山崎委員 私、いろいろ疑問があるんですけれども、例えば一つ、2の経営革新計画というものに今の異分野連携の新しい事業などが取り込まれていきます。認定主体は都道府県知事になるんですね。  例えば、ある都道府県、私は神奈川ですが、神奈川の企業海外進出しようとしている、そういう計画をつくろうとしたときに、このスキームを使おうというふうに考えたときに、誰が認定しますか。
  102. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  経営革新計画に統合されまして以降は、都道府県知事ということに相なります。  よろしくお願いします。
  103. 山崎誠

    ○山崎委員 もう時間が来てしまったので。  私、おかしいと思うんですよ。神奈川県にあるから神奈川県の県知事がこれを認定をする、計画を認定をする、そういうスキームに変わるんです。だけれども、その企業海外に行きたいんです。神奈川県も、それは海外にいろんなノウハウを持っているかもしれません。でも、神奈川県ですから、ある種、得意なところもあれば、不得意なところもあるでしょう。国として応援しなきゃいけない、そういうケースも、何だかこれに取り込まれちゃって、私は、やはり、そこには目的があって、どういう支援があって、そのためには誰が責任を持ってこの計画を育てていくのか、その視点が欠けているんじゃないかなと思います。  いろんな課題、ほかにも気づいた点がありました。また今後も議論を続けさせていただきたいと思います。  時間になりましたので、これで終わります。ありがとうございます。
  104. 富田茂之

    富田委員長 次に、宮川伸君。
  105. 宮川伸

    ○宮川委員 立国社の宮川伸でございます。  中小企業事業承継の問題についてお伺いしたいと思います。  最初に、中小企業庁が数年前に、今後十年の間に七十歳を超える中小企業小規模事業者経営者は約二百四十五万人となり、うち約半数の百二十七万人が後継者未定で、現状を放置すると、中小企業小規模事業者廃業の急増により、二〇二五年ごろまでの十年間累計で約六百五十万人の雇用、約二十二兆円のGDPが失われる可能性があるということを、もう皆さん御存じのとおりですが、非常に深刻な数字が示されているというふうに思います。  最初に、近年の年間廃業件数がどんな状況で、今後の見通しはどのようになっているでしょうか。
  106. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  東京商工リサーチの調査によりますと、休廃業、解散件数は、二〇一六年以降、年間四万件を上回る水準で推移してございまして、二〇一九年は四万三千三百四十八件となってございます。  休廃業、解散件数のうち、経営者の年齢が六十歳以上の企業が八三・五%を占めてございまして、休廃業、解散の背景には、経営者の高齢化と後継者不足があると考えてございます。  今後の見通しでございますけれども、明確な見通しをお答え申し上げることは難しいのでございますが、足元では新型コロナウイルスの感染症の拡大影響によりまして多くの中小企業小規模事業者の方々が厳しい状況に直面しておられますので、中小企業雇用の維持と事業の継続は重要な課題である、このように認識してございます。  以上でございます。
  107. 宮川伸

    ○宮川委員 大臣、今このような状況大臣自身どのぐらい深刻に捉えられているのか。この問題についての大臣の意見をお願いします。
  108. 梶山弘志

    梶山国務大臣 以前から事業承継の問題は課題となっておりますけれども、さらにまた、廃業というペースが高くなっているということを、大変危機感を持って臨んでいかなければならないと思っております。  事業承継をどうしたらいいのかということをなかなかやはり理解していただけない部分もあろうかと思いますので、そういったものも含めて認定支援機関等で対応していく、また金融面、税制面での対応もしていくという中で、こういう、事業承継の勧めといいますか、あとは、事業を他人に譲渡する、他者に譲渡する、そういうものの勧めみたいなものも含めて、しっかりと事業雇用が受け継がれるようにしてまいりたいと思っております。
  109. 宮川伸

    ○宮川委員 今、年間四万者ぐらい廃業ということで、ちょっとこの四万という数字を覚えておいていただきたいんですけれども。  それでは、昨年の事業承継の数と、今後いろいろな手当てを、今回も法案の改正がありますが、事業承継の数の目標をどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
  110. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  事業承継につきましては、公的関与がある、ない、さまざまなケースがございます。事業承継の数のうち、例えば全国四十七都道府県の事業引継ぎ支援センターにおきまして、これを仲介したケースについてお答え申し上げますと、二〇一九年度には千百七十六件のマッチングを実現してございます。これを受けまして、二〇二〇年度には約二千件のマッチングを実現することを目標としているところでございます。  また、二〇一八年に抜本拡充させていただきました法人版事業承継税制についてでございますけれども、二〇一八年四月から二〇二〇年四月末までの二十五カ月間で六千件以上の申請がなされておりまして、多くの中小企業事業承継に向けた準備が進んでいるものと考えてございます。  お尋ねございました事業承継全体の数あるいは目標値についてでございますが、冒頭申し上げましたように、公的関与がないケースも含めまして、さまざまな形の事業承継がある中で、国として全てのケースを把握することは困難であるというふうに考えてございます。大切なことは、サプライチェーン地域経済を支える中小企業を含めまして、事業承継に意欲のある中小企業の方が円滑に事業承継を行える環境を整備するということでございますので、私どもしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。
  111. 宮川伸

    ○宮川委員 大臣、まず、問題意識を持っていただきたいのですが、中小企業庁が、この百二十七万人とか、二〇二五年までにこれだけ廃業が出てしまうという問題意識を、問題点を提示したわけですね。  ですが、では、実際に事業承継、今の話、数千件今できていますよと。桁が違いますよ、四万件に対して数千件だと。しかも、正確な数字がわかりません、公的なものだけでわかりません、目標もわかりませんというような今答弁でしたよね。  これは本当に深刻だと思ったら、現状をしっかり把握をして、では、これまでに毎年どうするんだというようなことを当然議論しなきゃいけないというふうに私は思うんですけれども、ちょっと余りにもずさんなんじゃないかという中で、これを解消していくための法案が、今回改正案が出ているわけですね。  では、それがどういうものかというのをもう少し聞いていきたいのですが、最初に、この事業承継円滑化のものですけれども、経営者保証を不要とする信用保証の特別枠を措置するということでありますが、これは対象になる事業者さんというのはどのぐらいなんでしょうか、何者ぐらいでしょうか。
  112. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘ございました、新しい経営者保証の解除に資する保証制度でございますが、一般枠の部分につきましては年間で最大一・八万件程度、法律改正によりまして、特別枠として最大二・八億円を上乗せさせていただくわけでございますが、そこの利用の想定といたしましては、先ほど御説明申し上げました一・八万件のうち最大で年間約二千件を想定しているところでございます。
  113. 宮川伸

    ○宮川委員 今、今回の法律改正で対象になるだろうというのは二千件ということでしたが、ポイントは、どれだけ廃業しないで済むかという問題なわけですね。  では、この今回の法改正の政策効果で、どのぐらいこの廃業が減らしていけるというふうに予想されているんですか。お願いします。
  114. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  中小企業基盤整備機構が平成三十年度に実施いたしました中小企業に対するアンケート調査では、後継者の個々の方が事業承継を拒否する理由といたしまして、約六割の方が経営者保証の存在を理由に挙げておられたところでございます。経営者保証の存在というのが事業承継に際しての後継者確保の大きな障害になっているというふうに私ども認識してございます。  経営者保証を不要といたします新しい保証制度でございます、先ほど御説明申し上げました、年間最大約一・八万件、上乗せの部分につきましては年間最大約二千件と見込んでいるところでございますが、経済産業省といたしましては、今後これらの制度をしっかりと周知をさせていただくことで、多くの中小企業の方々に御利用いただきたい、このように考えてございます。  その一方で、実際の事業承継の判断に当たりましては、事業そのもの自体の将来の売上げの見通しでございますとか、経営者の方の身体、健康の問題でありますとか、さまざまな要因が関係いたします。加えまして、現下の新型コロナウイルス感染症影響もございますので、御指摘ございました事業承継の増加数というのを正確に見通すということは極めて困難であるというふうに考えてございます。
  115. 宮川伸

    ○宮川委員 大臣、これは法改正して、さっき言っていた廃業、物すごい数、今、年間四万という話がありましたが、これを減らしていくという、そのためにやっていくんじゃないかと思うんですが、これは、法律を改正されてどのぐらいその効果があるのかがちゃんと答えられないのに、こんなの賛成できるんですか、議論できるんでしょうか。  それからもう一つですが、MアンドAの方です。これも、昨年もこういう議論をしていますが、MアンドAの方の法律改正、今回、地域経済牽引事業計画において、事業継続を目的としたMアンドAによる規模拡大により中小企業の定義を外れても、計画期間中は中小企業とみなして日本公庫融資の特例や信用保証の別枠化の適用継続という法律改正ということでありますが、では、これが適用される企業というのは何社ぐらいなんでしょうか。
  116. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  本法案では、MアンドA等によりまして中小企業基本法に規定してございます中小企業の要件、これを外れた後も、一定期間、中小企業支援を継続するという仕組み、いわゆるみなし中小企業特例の規定を盛り込ませていただいているところでございます。  数でございますけれども、東京商工リサーチによる企業データ分析がございます。このところ、中小企業要件を外れた企業が毎年約三百社存在しているところでございます。  他方で、やや古いデータでございますけれども、二〇一一年度から二〇一三年度までに中小企業要件から外れた企業の売上高はその五年後に一五%以上増加しているところでございますけれども、そうした企業の売上高増加率を超えていてもなお中小企業の基準の中にとどまっておられる企業が約六千社存在しておられるということでございます。  コロナウイルスの影響でございますとか、あるいはさまざまな経済社会情勢が激しく変化する中で、今回の法案措置するみなし特例、この毎年の適用件数を正しく見通すということは困難でございますけれども、先ほど申し上げました約六千社がそうした特例の主な対象になるのではないか、このように考えてございます。  以上でございます。
  117. 宮川伸

    ○宮川委員 ちょっと、これはもう少し議論したかったんですが、六千社とおっしゃっていますが、最初にいただいている資料だと毎年三十社、約三十社がこの対象になるようなことが書かれているような気もするんですが、いずれにしても、大臣、ちょっとこの議論はまた後でやりたいと思いますが、本当に六千社なのかどうかということが。  いずれにしても、四万件の話、それ以上かもしれないと。だけれども、今これをやっていくうちで数千という数だと。二〇二五年までという中で、もうあと数年しかないわけですね。このペースで本当に大丈夫なのか、ちゃんとこれは対応していけるのか、どのようにお考えでしょうか。
  118. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今度の法制も、例えば事業承継を、経営者であったり、雇用者であったり、また地域であったり、そういう人たちが事業承継をして事業の継続を望む場合、そして、その企業の持っている技術であったり、また資本であったり、いろいろな場合があると思うんですけれども、外側から望む場合、そういった場合にしっかりと事業承継ができるような制度をつくってまいりたいということでやっているわけであります。  ただ、廃業と申しましても、廃業に伴って権利の移動とかはないにしても、同業者に営業権的なものを譲ったり、また雇用をお願いしたりというものもあるわけであります。  そういったことも含めると、しっかりと事業承継の意思があるところ、事業継続の意思があるところ、内部、外部は問いません、そういったものをしっかり支援していく、そういう制度にしたいと思っております。
  119. 宮川伸

    ○宮川委員 事業承継、MアンドAという上で、事業引継ぎ支援センターあるいは事業承継ネットワークというのがあると思います。私、ここの役割が大きいんじゃないかと思っているんですが、マッチングをさせるというので事業引継ぎ支援センター、あるいは、早目に事業承継の相談をしていくというようなことを取り扱うということで事業承継ネットワークというのがあると思います。  では、事業引継ぎ支援センターの昨年のMアンドAの成立件数と今後の目標数を教えていただけますか。
  120. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  事業引継ぎ支援センターの実績でございますけれども、これは四十七都道府県に設置してございますが、二〇一九年度は千百七十六件のマッチングを実現してございまして、二〇二〇年度につきましては約二千件のマッチングを実現するという目標を立ててございます。  以上でございます。
  121. 宮川伸

    ○宮川委員 これは一番最初の方に御回答いただいているのと全く同じ件数で、これしかわからないということなんでしょうけれども、もう一つ事業承継ネットワークの方で年間どのぐらいの事業承継がされていくというふうに今考えていらっしゃるんでしょうか。
  122. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  事業承継ネットワークは、先ほど御説明ございましたけれども、中小企業経営者の方々に事業承継の気づきの機会を提供させていただくということで、プッシュ型の事業承継診断をやらせていただいているところでございます。  二〇一九年度でございますけれども、約十六万件の診断を実施させていただきまして、多くの中小企業の方に準備を促させていただいたということでございます。  引き続き、こうした取組を進めていきたいと考えてございます。
  123. 宮川伸

    ○宮川委員 大臣、まず引継ぎセンター、二千件ですね、四万件に対して。それで、今のこの事業承継ネットワーク、相談しているのは十六万件ぐらいですよと。  だけれども、実際にどのぐらい事業承継されるのかという目標が私はないと思うんですよ、ないとしか思えないんです、答えがないですから。  中小企業庁みずからが、二〇二五年までに六百五十万人の雇用が失われるかもしれない、百二十七万件も廃業するかもしれないということを言っておいて、目標もちゃんとしていないのって、ちょっといかがですか。これ、もうちょっとちゃんと、それぞれこれだけ何とかやるんだと、達成できないかもしれないけれども、きちんとロードマップを引いて、これに対して対応していくということをやらないと、余りにも何もなくないですか。それで、法律改正もちょっと目標がどうなっているのかもわからなくて、政策効果が、これをやることで、では、この問題がどう解決するかも正確にきちんと説明してもらえないような状況で、オーケーと言えると思えないんですけれども。  私は、この事業承継の問題は、いろいろ税制の問題とかもありますけれども、やはり、例えば、息子さんだとかがやる気になってくれるかとか、あるいは第三者の方でも、あるいは会社の中の方でも、そういう引継ぎをどうするのかとか、そういうところの話がなかなか簡単には進まない、あるいはそういう意識がなかなか持てない、そういうところが大きな問題点だと思うんです。  だから、この事業引継ぎ支援センターだとかこの事業承継ネットワークというのは、方向性としては非常に重要で、こういったところを強化してやっていかなきゃいけないというふうに私は思うんですね。ですから、ぜひ、きちっと目標を決めてそれに備えてやっていっていただければというふうに思います。  そういう中で、もう一つ私が重要だと思っているのは、開業、新しく事業を始めるというところだと思っていますが、昨年の開業数と今後の年間の目標数、幾つでしょうか。
  124. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  政府が掲げておりますKPIにおきまして、雇用保険年報に基づき開業率を算出しているところでございますけれども、最新の雇用保険年報におきます二〇一八年の新設事業者数は約九・九万者でございます。  目標についてでございますが、二〇一三年に閣議決定されました日本再興戦略以来、米国、英国レベルの開業率一〇%台を目指すというKPIを掲げているところでございますが、このKPIの達成に当たりましては、一年当たりの新設事業者数を約十万者増加させる必要があるということでございます。
  125. 宮川伸

    ○宮川委員 今お聞きのとおりで、まず、この数がまだ少ないと思いますが、何十万者みたいな話でやっていくのは、この新しい企業をどうつくっていくかということですから、事業承継、MアンドAも大切で、しっかりやらなきゃいけないんだけれども、やはりこの新規事業をどうしていくのかというのを一緒に考えていかなきゃいけないわけであります。  スタートアップ企業日本と米国の投資額の違いを教えていただけますか。
  126. 中原裕彦

    中原政府参考人 お答え申し上げます。  一般社団法人ベンチャーエンタープライズセンターの調査によりますと、二〇一八年度における我が国のベンチャー投資額は二千七百七十八億円となっております。一方で、二〇一八年の米国のベンチャー投資額は約十四兆五千億円というふうに承知しております。
  127. 宮川伸

    ○宮川委員 お聞きになられましたでしょうか。  日本は三千億円、米国は十四兆円ですよ。これで太刀打ちできるんでしょうか。これだけ違っている状況になっているということです。  それでは、産業革新投資機構、JICでありますが、今どういう状況でしょうか。
  128. 中原裕彦

    中原政府参考人 お答え申し上げます。  JICは、昨年十二月にその新役員が就任いたしまして、現在、大きな投資実行体制の構築に向けまして、認可ファンド創設の準備を進めているところでございます。  具体的には、バイオ創薬、宇宙、素材等の民間だけでは投資が難しい分野への投資ですとか、あるいはベンチャー企業がその規模を拡大していくグロースステージにおきます長期、大規模な投資を行うベンチャー投資ファンド、そして国際競争力強化に向けた大規模な事業再編や海外MAを支援するための投資ファンドの創設を検討をしてございます。  経産省としては、早期の投資活動の再開に向けて、JICとしっかりと連携してまいりたいと考えてございます。
  129. 宮川伸

    ○宮川委員 二〇一八年、一年半ぐらい前にとまってしまって、いまだに動いていないわけです。  あのとき、一年半前ですけれども、アメリカの一号ファンド、JIC―USというのを約二千億で立ち上げようとしていましたが、当時、最先端のバイオや創薬に関してのファンドだ、そして、このソサエティー五・〇に向けて後押しするような投資をしていくという話だったのが、一年半何にも動いていないわけですよ。  この前、5Gの審議をしましたが、では、5G、アプリケーションを、経産省、前のめりで、電波塔をつくっていくようなのに税制優遇するとか言っていましたが、アプリケーションをしっかりやらなきゃだめですよという議論をさせていただいたと思います。一年半もですよ、二兆円の投資規模があるJICを据置きしておいて、それでこの5Gのようなものを、アプリケーションの方も進まないというような状況で、それで今廃業が四万者、どうするんだ。  大臣、ちょっとおかしくないかと思うんですが、どう思われますか。
  130. 梶山弘志

    梶山国務大臣 ベンチャー投資であるとかスタートアップ企業への支援であるとか、そういったところ、大変、今このコロナ禍の中で投資家の意欲というものも少し薄くなってきているところでありますので、JICにファンドをつくってというような話も含めて、何とかしなくちゃならないという思いの中で、いろいろ話を進めているところであります。  先ほども申しましたように、創業がやはりふえてほしいと私も思っております。新陳代謝というのは必要であります。それで、廃業はどうしても、やはり創業した人が自分で廃業までしたいという人たちまでいるわけであります。  さらにまた、そういった事業が、継続性のあるもの、また将来有望な技術であるもの、そういったものはしっかりと、事業承継をしたり、事業の部分的な承継をしたり、またMアンドAをしていかなければならないと思っておりますし、そういったトータルでどうしていくかということと、あわせて、事業承継が何件できるか、今したくてもできない人たちがいるけれどもそういった人たちをいかに救えるか、どう事業承継に持っていけるかということを考えてまいりたいと思います。
  131. 宮川伸

    ○宮川委員 このJICの問題、ジャパンディスプレイ等の問題もあるので、また別の機会にやりたいと思いますが、本当はもう一つ質問したかったんです。  この持続化給付金、最初の段階では、新規事業者は入れられなかったんですね。この会議の中でも何度も新規事業者の話が出たと思いますが、結局、新規事業者、一から三月で三万件近くあるというようなデータもありますが、これは入れなかったわけです、持続化給付金に。二次で入れるようにされたと思いますが。  私、大臣、まだ意識が足りないと思いますよ。四万件と、中小企業庁がみずから言ったこの四万件に対してどう対処するのか、二〇二五年。それに対して本当に、この新規の事業をしっかり育てていく、あるいは事業承継をやっていく、目標値も余りはっきりしない、もう一度これはしっかりやってもらいたいということをお願いをして、私の質問といたします。  ありがとうございました。
  132. 富田茂之

    富田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  133. 富田茂之

    富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田嶋要君。
  134. 田嶋要

    ○田嶋委員 共同会派の田嶋要でございます。  早速ですが、持続化給付金の話から入りたいと思っております。  いろいろ、今、追加的な御指摘がかなり出てきておるんですが、まず、差押法案、これはどうなっちゃったのかなという感じなんですね。大臣、これは大分もう配っているという話を何度も聞いていますね、何十万件。ということは、配るたびに不安がふえるんですよ。もらえないという、初日に申し込んでもらっていない人の不満もふえているんですけれども、不満もふえるし、不安もふえる。これは配れば配るほど差押えのリスクも上がっているんですよね。  大臣、そのことを認識されていると思うんですけれども、いいんですか、こんな状況で。
  135. 梶山弘志

    梶山国務大臣 持続化給付金事業の継続を支えるための資金であるとの趣旨を踏まえて、現在、差押禁止に係る立法措置については与党内で議論が進められているということであります。その間の対抗措置として、金融機関に、差押えについては控えるようにというお願いをしているところでもあります。  いずれにしても、今、与党内で詰めているところでありまして、関係省庁とともに連携をしながら、その法案をまずは待ちたいと思っております。
  136. 田嶋要

    ○田嶋委員 大臣中小企業のことを考える所管なわけでありますけれども、現在の状況で、だんだん傷口が広がっているような気がします。控えろといったって、それは強制力はないものでしょうから、これはやはり差し押さえられちゃいますよ。私たち、二週間前から準備しているので、残念ながら、この二週間、与党の方からも反応が余りないということでありまして、大変強い危機感を持っていますが。  全般的に、コロナに対する対応は、日本政府は国民から非常に低い評価を受けているという、これは何回調査が、私は三回見ましたけれども、毎回最下位ですね。こういったこともその一つに当たるんじゃないかなと思います。とにかく遅い。  もう一回ここで強調しておきますけれども、せっかく大臣が頑張って何十万件に配ったといったって、配れば配るほど不安が広がっているという現実もあるということを御認識いただいて、大臣、これは何とかしろといって早く声を上げていただきたいんですよ。そうじゃないと、救われたはずの人が救われなくなっちゃうという、この矛盾が広がるような気がします。よろしくお願いします。  それで、もらえた人はそういう不安がある、一方で、もらっていない人の不満もすごく広がっていますね。インターネットでハッシュタグをつけて、いろんなのが今回っています。何か、初日にシステムトラブルがどうのこうのという話も、前回も指摘がありましたけれども、出ておりました。  きょうは、その中で、少し各論について入りたいんですけれども、まず最初に、大原則として、もらえる基準、もらえない基準なんてことが書類には書いてございましたけれども、基本線は、一日も早く、こういう事態ですから幅広く届けようということで始まったんですよね。どなたかがおっしゃっていた性善説に立って、中には悪いことを考えるやつもいるかもしれないけれども、そういうことは後から対応するということで、まず急ぎみんなに配ろうという、そういう精神はいいですね、大臣
  137. 梶山弘志

    梶山国務大臣 そのとおりでありますから、手続の簡素化ということも心がけてまいりました。
  138. 田嶋要

    ○田嶋委員 虚偽申告みたいなことが後からいろいろ見つかるかもしれないけれども、まずは急いでやろうということで、みんなの苦しい状況を脱していくということだと思います。  そうすると、最初に百万、二百万で始めた制度設計は、かなり目の粗いものだと思うんですね。だから、今、与野党、いろんなみんなの現場の声を聞いて、我々がお届けをすることもあって、きょうもこの後ありますけれども。そして、例えば、フリーランスに関してとか、あるいはことし起業した人に対して、去年の数字がない、そういうときにも救済されるような動きで第二次補正ということでありますけれども。  きょうは、まず最初に、五〇%以上落ち込んだケースというふうに線を引いている。私は、最初の線の引き方としてはそれでいいのかなと思うんですよ。だけれども、それは最初の話であって、これから、四〇%、三〇%、そういうことをぜひ考えるべきだというふうに考えております。  きょう、たまたま、先ほどの午前中の資料で、浅野さんが配った資料の三ページに、これは自民党案ですけれども、家賃支援は前年同月比で収入五〇%以上減、又は三カ月にわたり平均三割減収で支援するとなっているんですよね。いい提案、我々の案とはちょっと違いますけれども、一歩前進ですよ。  こっちでこう出しているんだから、私は、こちらの持続化給付金に関しても、まずは一番苦しんでいる五〇%以上を対処した、これから四割、三割減の人も考えていくべきだと思いますよ。大臣、いかがですか。
  139. 梶山弘志

    梶山国務大臣 持続化給付金、今までに例のない給付措置ということで、苦しい方に、大変経営状況が厳しい方に給付するということで五〇%という線を引かせていただきました。審議の中で、皆様から、もっと要件を緩和すべきじゃないかという声もあり、また、そういったことも念頭には私どもも入っておりますけれども。  給付金も、家賃も対象だったんですね。でも、その中で、やはり足りないという中で、今度の家賃の対応ということで、与党案に野党の知恵をおかりしましていろいろやってきて、最大六百万までという形になって、ここでは要件ということで三〇%以上が三カ月続くという形を入れましたけれども、給付金については五〇%のままやらせていただきたいと思いますけれども、皆さんの御意見として、しっかり今後の参考にさせていただきたいと思っております。
  140. 田嶋要

    ○田嶋委員 先ほど言った、網の目が最初粗くて仕方がなかった。まずは一律でぽんとやったけれども、そこからこぼれ落ちている人がたくさんいたんですよ。たくさんいる、そういう声が今御自身たちから上がっているから、一つ一つ改善していってください。これが寄り添うということだと私は思いますよ。  まずは、だから、今申し上げたとおり、せっかく家賃に関してはこういうパターンを、二パターンというか、つくってくださっている。こういう設計でもいいじゃないですか。だから、四〇%減った、三〇%減った、大きな打撃ですよ。ぜひ御検討いただきたいということを申し上げます。  次の各論でありますが、アベノミクスの八年ぐらいの間で、設備投資頑張れといって、大臣、旗を振っていたじゃないですか、そうですよね。まさかこんなことになると思わないから、去年設備投資した会社も多いんですね。例えばレストランなんかで、一店舗でやっていたお店が二店舗目を始めちゃった。ことし、いきなり始めたら、売上げだけ見たらふえるんですよ、そう思いませんか。あるいは、去年と同じぐらいの水準、だけれどもバランスシートでは借金して設備投資している。  だから、私は思うんですけれども、これも最初はいいんですよ、売上げ五割以上減で。だけれども、それは損益計算書上の売上げだけ見ている話でしょう。だけれども、その他の条件が同じじゃない場合がある。大きな設備投資をして、アベノミクスの応援団か、とにかくみんな、俺たちも頑張ろうといって経営者が投資した、投資したら、当然、店舗が数がふえたり、そうした状況の中で売上げが上がっちゃったら、これはもらえないんですよ、今。  だから、ここも次の段階として、大臣が、ことし創業した人、今検討を加えていただいているんですけれども、同じようなケースとして、頑張って設備投資して、売上げが五割落ちなかったら救済されていない。たとえ去年と同じ売上げだとしても、店が一店舗から二店舗にふえていたら、それは半減ですよ、売上げは、本来は、同じ比較をすれば。  大臣、こういうケースがたくさん来ております。ここに関してもぜひ御検討いただきたいと思います。
  141. 梶山弘志

    梶山国務大臣 幅広い事業者に対して迅速にお届けするというのが持続化給付金の趣旨でもあります。企業設備投資状況など、個別の状況を勘案することとした場合は、迅速な給付というのはなかなか難しくなってくると思います。  仮に設備投資状況に応じて対応することとなれば、例えばどのような投資を基準として許容するかなど、制度の統一性や公平性の課題が生じるために、個々の設備投資状況を勘案することはこの給付金ではなかなか難しいと思っております。
  142. 田嶋要

    ○田嶋委員 いろんな意味で、制度の公平性というのは難しいと思いますよ。だけれども、今の制度だっていろんな意味で不公平ですから。  そういう意味では、やはりまずは目の粗い網を張って、少しでも多くの皆さんに、だけれども、抜け落ちている人々にこれから寄り添う時期だと思いますよ。今、第一波が峠を越えた、そういう状況になってきているんだとするならば、なおのこと、これからこそ、中小企業のそういった具体的事例に耳を傾けていただきたいということを申し上げたいと思います。  三点目であります。  これは地元の具体的な方から御相談を受けているものでありますが、外国法人のケースでございます。  財務省にお尋ねしますけれども、外国法人というのは一体何でしょうか。そして、日本におけるその数はどのぐらいいるのか。お答えください。
  143. 松浦克巳

    松浦政府参考人 お答えいたします。  法人税法上、外国法人とは、国内に本店又は主たる事務所を有する法人以外の法人でございます。具体的には、例えば、外国で設立した法人で、日本支店があり、事業を営んでいるものが挙げられます。  その数でございますけれども、日本に法人税の申告を行っている外国法人につきましては、最新の統計、平成三十年度の統計で、五千二百五十三社でございます。
  144. 田嶋要

    ○田嶋委員 もう一つお尋ねしますけれども、そうした外国法人というのは、日本では法人税を納めているんでしょうか。その金額もお願いいたします。
  145. 松浦克巳

    松浦政府参考人 お答え申し上げます。  外国法人は、法人税法で定める国内に源泉のある所得、国内源泉所得と申し上げますけれども、これにつきまして、日本で法人税の納税義務を負うところでございます。例えば、外国法人が日本支店を有しており、その支店を通じて事業を行う場合には、支店に帰属する所得は国内源泉所得となりまして、法人税の納税義務となるところでございます。  外国法人が納めています法人税の額につきましては、最新の統計、平成三十年度の統計でございますけれども、八百七十七億円でございます。
  146. 田嶋要

    ○田嶋委員 今大臣お聞きになられたとおり、外国法人というのがカテゴリーとしてありまして、アメリカ等で会社を登記しているんですけれども、その拠点、支店とか支社が日本にあって、そしてちゃんと税金を納めている。私がいただいているケースも、十三期連続してちゃんと決算報告して、法人税等も払っている、セーフティーネット四号の認定も受けている、そういうような会社の事業者がいらっしゃいまして、日本でしか事実上事業をしていないんですよ、例えばこの人の場合は。  かつて日本は、会社設立が非常に手間取ったとか、資本金の、ありましたね。だから、面倒くさいからアメリカで会社をつくっちゃえみたいな人が結構いたという話も聞いております。  そういった方々は、今回、どうなんですか。外国法人というのは給付金対象なんですか。
  147. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  持続化給付金でございますけれども、法人又は個人事業者の単位で給付するというふうになっております。法人の一部分である支店事業所単位での給付は行っておりません。  その理由でございますけれども、今回、申請書類として確定申告書を要求しておりまして、日本国内における売上げについてのみ申告をお願いしているということでございまして、法人全体の売上げを確認することができません。もう一つ、外国法人については、海外のさまざまな国に本店や支店などが存在し得るわけでございまして、外国法人全体の売上減少について、公的な統一的な書類を用いて確認することは困難である。そういったことから、外国法人については持続化給付金対象としていないということでございます。  仮に、確定申告などの売上減少に着目して給付を行った場合ですけれども、その法人のグローバルな活動の一部分の売上減少に対して給付を行うということになりますので、逆に、日本の法人について、法人全体で要件を満たしているということとの公平性、こういった問題から適当ではないというふうに考えております。
  148. 田嶋要

    ○田嶋委員 外国法人というのもいろいろなケースがあると思いますよ。しかし、私がいただいているお声、同じケースで五件、インターネット上で声が上がっておりました。皆さん、事実上、日本でしか事業をしていない。でも、たまたま登記はアメリカでやっているんです。たまたま登記はやっている、それで経営者日本人、そういったケースで、日本で普通に商売して、普通に納税して十三期もやっているのに、このときだけ、外国法人というだけで、何か二桁目の番号が七らしいんですよ、外国法人は。そうすると、入れるとはじかれちゃって、あなたは対象外ですと言われたというんですよね。  こういう話は、なかなか最初の制度設計では気づかないですよ。だからこそ、私は、網の目の粗い状況をこれからどんどんどんどん細かくして、みんなが救ってもらえる状況をつくっていくのが正しい道だと思いますよ。  大臣、ぜひ、この外国法人の話と、それからもう一つ、任意団体の話もあるんです。何か農家さんがやっている農家レストランというんですか、そういう方々も、事業としてちゃんとやって税金を納めていても相手にされない、こういう話がございます。それから、不動産所得に関しても、個人の場合には相手にされていない、こういう話がいろいろあるんですよ。  私たち野党も対策本部でどんどん具体的な声を粘り強く言っていきますけれども、私のところに来ているきょうの話は、外国法人、これは何ら実態は変わらないんです。何ら実態は変わらないから、ぜひ、こういう方々を、どのぐらいいらっしゃるのかも含めて調査していただいて、救済していただかないと、私はフェアじゃないと思いますよ。  大臣、何か前向きな答弁をこのタイミングでいただきたいと思います。
  149. 梶山弘志

    梶山国務大臣 制度上、一定の線引きをするということは委員にも御理解をいただいているという前提でお話をしますと、やはり、希少なケースも含めて、いろんな状況というのは私の耳にも入っております。こういったことについても今後の参考にしていかなければならないとは思っております。
  150. 田嶋要

    ○田嶋委員 冒頭確認させていただいた、大臣、性善説にやはり一回立とうということで始まった制度でありますよ。だから、なるべく狭く狭くとるんじゃなくて、こういう事例がわかったタイミングで少し調べていただいて、そして、これはやはり実態として一緒だなと。納税もずっとしているんですよ、ずっと納税も。実態も一緒なんだから、やはり救済すべしという御判断になればなったで私は大変ありがたいと思いますよ。ぜひ、私は、そういう方向で前向きに考えていただきたいと思います。  外国法人の件、任意団体の件、それから個人のケースの不動産所得の件、こういった話、この間のフリーランスの雑所得の話と結構似ているんですよ。だから、あっちだけ気づいて救済してくれたというんじゃ、やはりこれはまたバランスが悪いから、あるいは、ことし創業した人は何とか救済されそうだという話じゃなくて、我々が知った段階で、これは我々、全部を予測して制度設計は無理なのはよくわかりますから、だから、我々のところに声が届いた段階で手当てしていこうじゃありませんか。ぜひよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  それでは、ちょっと順序を変えまして、オンライン化、電子申請に関してお尋ねします。  こういうコロナの環境の中で、ちょっとまず、この間、5Gの法案もやっているときに、セキュリティーのことを盛んに言われておりました。それが法律をつくった一つの理由なわけでありますが、最近、みんながZoomをやっていますね。ちょっとこれを確認したいんですよ。  Zoom、広がってきています。みんなZoomをやっているけれども、片一方で、Zoomが問題になっているというニュースも流れているんですよね。政府の見解として、これは大丈夫なんですか、セキュリティー。  何だかもう、役所もみんなZoomをやっているんですかね。それはやはり、このタイミングで、民間も役所も、もうみんなが家でオンラインでZoom、Zoomとやっているのは、いいことなのか、危ないことなのか、ちょっと私、よくわからないんですよね。ここを一回、専門のNISCさんがきょうはお見えでございますので、確認したいと思います。
  151. 山内智生

    山内政府参考人 お答え申し上げます。  Zoomと呼ばれるインターネット上の会議サービスにつきまして複数の脆弱性が指摘をされている、これは承知をしております。これらの脆弱性に対しまして適切な対策がなされていない場合、これは利用者による設定とかも含みます、第三者による会議への侵入、それから情報漏えいなどが発生する可能性が高いというふうに私どもも認識をしております。  このため、私ども内閣サイバーセキュリティセンターにおきましては、一般のインターネット上の会議サービスを利用する上で、これはZoomだけではなくて、ほかの会議サービスでも同じような、そういう脆弱性が起こり得ます。したがいまして、リスクを踏まえて適切に運用することなどを、政府機関、それから重要インフラ事業者の方々に注意喚起を発出をするとともに、この内容を含めてSNS上で国民に周知するなど、適切な対応を皆様には促しているところでございます。  委員指摘のとおり、テレワークの重要性はますます増すということでございます。それから、テレワーク利用中を狙うような攻撃もこれから増加をするということも考えられるところでございますので、政府としても、引き続き情報把握に努めるとともに、必要な対策を行ってまいります。
  152. 田嶋要

    ○田嶋委員 そういう意味では、これから政府の中の会議も、盛んにそうしたZoomなんかも使っていくことになるのかなというふうに思います。今、一定の、大丈夫だという御答弁だと思いますが、しかし、引き続き注意喚起もしていただいて、何か動きがあったときにはぜひ国民への周知もお願いをしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。  それでは、きょうの法案の中で、関連で電子化の話もありますので、オンライン化の話もありますので、お尋ねをします。  まず、きょう副大臣お見えですね。持続化給付金はオンライン申請のみというふうに聞いておるんですけれども、なぜオンライン申請のみなんですか。
  153. 牧原秀樹

    ○牧原副大臣 お答えします。  やはり持続化給付金は、まず迅速にという、先ほど委員の御指摘がありました、これを重んじる、そしてまた、膨大な申請が予想をされるということがございました。したがいまして、申請に必要な書類も簡素化をしておりますので、オンラインでとにかく迅速に、そして大量に処理をする、これができるのはやはりオンライン化であるという判断をして、こうした形にさせていただいた次第です。
  154. 田嶋要

    ○田嶋委員 個人に配った十万円はどっちもできますよね、たしか。それで役所の方にも人が集まっている。だから、俺は得意じゃないから嫌だという人も、いっぱい経営者でもいると思うんですよ。なぜ、そういう選択肢は残さずに電子化だけにしたんですかということです。
  155. 牧原秀樹

    ○牧原副大臣 両方の判断があったかもしれませんが、郵送の場合には、申請者が申請書類の正確性を事前に確認をできず、そしてまた、手戻りが審査の時間を遅延させるおそれがあると判断をして、オンライン化一本にすることによって、より迅速に正確にできる、こういうふうに判断したわけです。
  156. 田嶋要

    ○田嶋委員 私は、副大臣大臣、この判断でいいと思っているんですよ。思っているんですけれども、何を言いたいかというと、ニーズに合わせて選択肢をずっと残していったら、なかなか日本は進まないと僕は思っているんです。だから、初めてじゃないかなと思う、要するに、一般の受け付け選択肢をなくして、電子化だけで、オンライン化のみでやってくれたというのは。私は、そういう意味では、企業経営者向けの給付金ですけれども、それは正しい判断だったと思うんですね。  他方で、今回の法案の中には、何だかいろいろな、コロナを契機としたのかどうか、電子申請を導入すると書いてあるんです。何だかコロナにひっかけて言っていますけれども、私は逆にびっくりしたんですけれども、こういった経産省のやっている申請というのは、電子申請はやっていなかったんですね。副大臣、どうなんですか、ここは。
  157. 牧原秀樹

    ○牧原副大臣 経産省としては、昨年にデジタル手続法が成立をして、行政手続の原則デジタル化を定められ、そしてまた、法が定める情報システム整備計画に基づいて、行政手続の電子化の取組を加速させなければいけないということで、加速させております。  ことしの三月に、経済産業省デジタル・ガバメント中長期計画というのを策定をして、率先して法人向けの行政手続の電子化を進めるべく、法人デジタルプラットフォーム事業化を進めさせていただいておりまして、例えば、法人向けの電子手続の共通認証システム、GビズIDなど、こういうことを進めさせていただいておりますので、現在進めていないということではなくて、今、デジタル化に向かって、特に法人手続については電子化を進めている、こういうことでございます。
  158. 田嶋要

    ○田嶋委員 法律事項はないそうですけれども、今回の法案でそういうのを見て、ちょっと改めてがっかりしたというか、遅いなという感じを思いますね。よく、日本中小企業はデジタル化が進んでいないとかデジタル投資がとか言っている前に、自分たちがやっていないということですよね。  大臣、副大臣、まあ、私もそちらの経験があるのでみんな一緒ですけれども、ちょっとこれはやはりスピードアップしないとまずい。これは何か、エストニアぐらいから人を派遣していろいろ言ってもらった方がいいんじゃないかなというぐらい思うんですけれども、同じ世界でずっといるから、自分たちのやっていることがもはや普通じゃないという認識を持ちにくいんじゃないかなと思うんですよ。役所はみんな金太郎あめだから、悪いけれども。  だから、今回、そういう意味では持続化給付金は偉かったと言っているんですよ。中には、社長さんに、俺はそんな電子化なんて面倒くさいから窓口でやらせろという声はあったと思うけれども、それをあえてこうしてくれた。それはまあ、そこはいいんだよ、そこはいいんだけれども、ほかがひど過ぎるって。だって、法律に必ず出てくる、申請っていっぱい出てきますよね。だから、今回だって七つを三つに束ねるんでしょう。どれ一つ電子申請をやっていなかったというのはもう驚愕ですよ、はっきり言えば。  日本はそういう状況なんですよ、大臣政府CIOなんて随分昔につくったんですよ、我々の政権のころもやっていたし。これはぜひお願いしますよ。経産省が始めなかったらどこの省庁が始めるんですか。恥ずかしいです、これは。また出おくれたって、大臣もう言わないでくださいよ。だから、ぜひここはお願いをしたいと強調しておきますので。まあ、それはやればいいんですけれども。  それで、もう一つ、コロナの関係で、何か東京都と保健所の間で感染者数をめぐって情報混乱があったといってニュースにも流れていましたけれども、原因が、オンライン化できてない、ファクスでやりとりしているという話が流れたんですよね。私、あれを見てやはりちょっとびっくりしました。  聞くところによると、スミソニアン博物館に日本のファクスって飾られているそうですよ。つまり、もう化石の世界なんですよ。僕も昔、海外でいろいろ仕事をしたりしていたときに、結構そういうことをやはり指摘されたことがあります。日本って何であんなに進んでいるのにまだファクス中心なのっていう話ですよ。  別に恨みは何もないですよ、恨みは何もないけれども、私は、この今回のコロナの基本的な情報をめぐる東京都と保健所の混乱、こういうのを見るにつけ、経産省の役所の皆さんも名刺にファクスの番号も載っていますね、これはもうそろそろ、やはり、ポストコロナ、ウイズコロナ、切りかえるタイミングですよ。  それを始めるのは経産省しかないと私は思いますよ。公式な情報共有の主力手段として、やはりもうやめた方がいい、あえてそうするべきです。経産省がそういうチャネルを受け付けなくすれば、さっきの持続化給付金の電子申請と同じで、役所側がやれば、仕方がないからといってオンラインに移っていく業界だっていっぱいいると思いますよ、大臣。そこは、副大臣、ぜひそれは旗を振ってやってくださいよ、お願いします。
  159. 牧原秀樹

    ○牧原副大臣 経済産業省はやはりデジタル化を率先してやるべきだということ、私たちもそう認識しておりまして、現時点でも利用頻度は多分一番低い方だろう、こう見ているわけでございますが、確認しますと、経産省の事務で一番ファクスを使っているのは、国会議員の問合せだったり質問通告であるというふうなことがございまして、これはぜひ国会の皆様とともにそういうことを進めていきたいと思いますし、もちろん省内ではそういうことを進めていきたい、こういうふうに思っております。
  160. 田嶋要

    ○田嶋委員 ある日突然、これからこうしますといってやればいいんですよ。仕方がない、みんなそれに合わせるしかないじゃないですか。だから、コロナではいろんなことを経験して、ある日突然、Zoomでやるしかなくなっちゃったんだから。だから、もう行きましょうよ、そういうことで。  これが、過去の延長線上にはない非連続の革新ですよ。悪いことはいっぱい起きたけれども、これを利用するという姿勢も大事ですよね、この機会を利用していく。ポストコロナ、ウイズコロナ、よろしくお願い申し上げます。  スミソニアン博物館、一回見に行きたいと私も思っていますので、いや、本当の話。すごいな、さすがガラパゴス・ジャパンという感じがしますね。  もう一つ、コロナの関係で、私、こういうことをいろいろ聞いたんですね。地元の支援者の有権者に電話しますでしょう、そうしたら、建設業の方、もう二カ月仕事がないんだといって家にいるというんですよ。なぜかというところがポイントで、なぜですかというと、一個の部品が中国から入ってこないから仕事にならないということなんですよ。  同じ話を僕はTOTOさんか何かの事例でも聞いたことがあります。リフォーム業者がTOTOさんのおトイレをつけに来る、だけれども、パーツが一個入ってこないから工事ができませんと。ある意味、非常にグローバルな事業というのは危ういなということなんですけれども。  これも私はきょう提案したいんですけれども、これを機に、どこに弱点があるのかは総洗いざらいした方がいいと思いますよ、洗いざらい。そうじゃないと、たった一個のパーツで日本経済がとまっちゃうというのはもう本当に悲しいことですよね。  だから、製造業や建設業を始めとして、事業継続のためのクリティカルな部品等について、やはり、一カ所に供給が偏っているとか、それが非常に重要な部分であるとそれでストップする、そういうことが絶対に今後ないということを、このコロナの第一波の経験の後から、ぜひ、できれば悉皆的に、そして、日本の非常にクリティカルな産業に関しては、大臣、旗を振ってチェックしていただきたいと思います。そして、そういうことはもう二度と起きないようにしていただきたいと思います。
  161. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員がおっしゃいましたような、一つの部品がなくて完成品がつくれない、また、建築現場においてもその部材が届かないということで停滞しているというようなお話も聞きました。  何がボトルネックかというのは、表面にあらわれたものだけではなくて、しっかりと分析、調査をして、サプライチェーンの再編そして再生につなげてまいりたいと思っております。
  162. 田嶋要

    ○田嶋委員 ぜひそこはお願いをしたいというふうに思います。  それでは、経営者保証の関係、法案の関係にも言及したいというふうに思いますが、今回の改正は、大臣、これは事業承継ということとの関係で出てくるわけですが、経営者保証保証協会に置きかえていくというのは、事業承継のときだけそうするという意味ですか。
  163. 梶山弘志

    梶山国務大臣 経営者保証につきましては、経営者保証ガイドラインに基づいて、一義的には、民間金融機関等がみずから経営者保証に依存しない融資を進めるべきものだと思っております。  他方、事業承継日本経済にとっても大きな課題となる中、経営者保証後継者確保の大きな障害の一つとなっていることから、国としても政策的に最大限の後押しを行っていくことが必要であると思っております。  私の個人的な考えでありますけれども、やはり、銀行の目きき力、与信の査定能力、そういったものをやはり高めていかなければならない。そして、大手銀行もやはりリスクをとってもらいたいという思いをいつも持っているわけでありまして、しっかりそういったものを進める中で、当面の課題である事業承継、これがボトルネックとなっているということであれば、個人の資産と会社の資産の区分をしっかりつけていく等の措置をとりながら、まずはここからやらせていただきたいと思っております。
  164. 田嶋要

    ○田嶋委員 これは私も取り組んだことのあるテーマでございますが、私、たまたま今手元に二〇〇七年の中小企業白書のペーパーを持っているんですけれども、中を見ると、今と同じことを言っているんですよね。やはり、事業承継の現状に関して書かれていて、そして、その先に個人保証の問題が出てくるわけであります。  これはもうずっと言われている状況なわけなんですね。そして、これは必ずしも承継のときだけの問題じゃなくて、経営者が命を絶っているような事例も、やはりこの問題にもかかわっているという話をずっと聞いているわけですね。  だから、私、何となく、事業承継を推進したいからそこを外すというんだったら、こんなクリティカルなものは、もう少し、全般的に外すことを本気で考えなきゃいけないのかなという気がするんですよ。  では、さっき、午前中の質問でどなたか、外国の会社が買収する事業承継みたいな話もありますね、そういう場合でもこれはオーケーなんでしょう。ということは、承継によって自分が会社の社長として会社を始める場合には個人保証は一切ないけれども、そうした承継をしなければ個人保証がずっと残っちゃう、そういう仕組みでしょう。何かこう、私はすっきりしないものがあるんですけれども。  民間の任意の自主的な取組は二〇一四年から行っているそうでありますが、ちょっとここは承継だけにとどめるというのは何か変な感じがしますけれども、大臣、もうちょっとそこは踏み込んで。
  165. 梶山弘志

    梶山国務大臣 現実には、商工中金について、ガイドラインを徹底して、一定の条件を満たす企業に原則無保証融資することなどが始まっておりますけれども、委員おっしゃるように、全般的にやはりその保証に関してはしっかり対応してまいりたいと思っております。
  166. 田嶋要

    ○田嶋委員 ぜひそこは更にお願いをしたいというふうに思うんです。  そして、午前中、宮川委員指摘をしていた、私も同じ問題意識を持っているんですね。今回は、後継者の候補がいるけれども承継は拒否しているという方々が二二・七%、そういうことで、その中で、なぜ事業承継を拒否しているかの六割を占める理由が、経営者保証を理由に挙げている、そういうことなんですね。ということは、今回の中企庁のこの法案で、この部分で一体どのぐらいの問題が解決するかというと、多くても二割掛ける〇・六ですよ。  それで、宮川委員も言っていましたけれども、私たち、ずっとこの間、この事業承継の問題を深刻な状況だと受けとめているわけですね。法人の税制拡充、個人の税制拡充、何か毎年一個は出てくるんですけれども、全体の問題を大きく捉えてどうしたらいいのかというのがよくわからないんですよ。  まあ、少しは進むでしょう、今回も。だけれども、全体としての対策を、もうお尻に火がついていて、二〇二五年で六百五十万人が仕事を失うとわかっていらっしゃるわけですけれども、これに対してどう対応するかということがどうもはっきりしない。  毎年毎年、中小企業関係の法案は出していますよ。それで、こうやっていつも国会の終わりぐらいに何かやりますよね。だけれども、抜本的に本当にとめるという覚悟を持ってやっているのかなと思って、この事業承継の問題。そういう懸念を持つんですよ。大臣、いかがですか。私は、まあ、私が言う前に、まず大臣
  167. 梶山弘志

    梶山国務大臣 課題一つ一つ解決していくということは大事なことでありますが、その課題と言われているもの、ボトルネックになっていると言われているものを解決してもすぐに進むものではありません。  ですから、事業承継というものを当たり前のものなんだという制度にするために、しっかり皆さんに周知をしていく。そして、事業を継続する、また、技術を継続する、雇用を継続する、そういった形で事業承継ができていけばいいと思っておりますが、一気にはなかなか難しいと思っております。
  168. 田嶋要

    ○田嶋委員 かつて、私、多分、世耕大臣のときだと思うんですけれども、痛くない注射針の企業の話をしたことがあります。あの有名な、名前はちょっと、ありましたね。だけれども、あの会社、結局やめちゃったんでしょう。  だから、私、思うのは、何か結局は、ほとんどこれから消えてなくなっても仕方がないと思っているんですか、大臣は。  だったら、全体戦略をまず示してほしいんですよ。何か毎年一個ずつ直しているんです、少しだけ。まあ、大きいとおっしゃるかもしれないけれども。例えば、三年前に、個人と法人とこの保証の問題を、法律改正、提案してほしかったんですよ。何か、毎年毎年一個ぐらいは何かやらなきゃいけないような感覚で法案を出されているような感じがするけれども、大宗の部分は救済されないわけですよ、今のままいったら。もう時間切れじゃないですか。  何となく、今の中小企業庁の姿勢は、まあ、これで生き残るものは生き残ればいいけれども、あとは潰れちゃっても構いませんと思っているんじゃないのかなと。そうじゃないんだとしたら、どうやって後継者候補者がいない七七・三%を救うのか。立案してくださいよ。これはまた来年、少し出てくるんでしょうかね、毎年毎年。私は、そういうアプローチでは、問題解決、根本的に解決しないと思います。  例えば、一つ私が提案したいと思うんですよ。それは、例えば、国家戦略上、さっきの痛くない注射針のように、絶対残したいというものの少し何か場合分けなんかできないんですかね。例えば、関係者はぜひ残したいと思っているのか、そうでもないと思っているのか、いろんなケースがあると思うんですよ。だから、今、後継者はいない、後継者候補者はいない、その中にも玉石混交、千差万別、だから、そこをやはりしっかりと絞り込んでいく必要もあるのかなと思うんですけれども。  それともう一つは、例えば、大企業などがSPCをつくって、そして、退職間近な方々で、中継ぎでもいいけれども、こうした後継者の見つからない会社の経営に参画をする。そして、同時に、デジタルの、ぴかぴかなデジタル化を進めていく、おくれている中小企業のデジタル化とか。  そういうことをやる中で、時間を稼いで、後継者を探すとか、それはちょっととっぴかもしれないけれども、そういうアイデアをもっと出してくださいよ。どうやったら一つでも多くが、日本の宝のような、技術のある、痛くない注射針のような会社が、残念ながら、あああと言っているうちに消えていっちゃうようなことが二度と起きないように、大臣、真剣になって、これはまだ百万者以上あるんですよ。  今回はこれをやりますという話ではだめだと思うんです。大臣、そこをひとつお願いします。
  169. 梶山弘志

    梶山国務大臣 幾つもの要因があるわけでありまして、それらを一つ一つ解決していくということでありますが、後継者がいないところには、やはり人材のマッチングというものも必要です。先ほど委員がおっしゃったような、大手の企業から退職者を募って、そういったところに入れていくということも一つの手かもしれません。  それと、あと保証に関しましても議論をしてきたわけでして、金融機関との議論、そして大手企業、また中小企業も含めて、いろんな議論をしてきた中でどうにかまとまったということでありまして、これが遅いと言われれば、まあ、遅いと思いますけれども。  ただ、全ての廃業に至るものを救うということではなくて、残さなくちゃならないもの、そして、どうしてもこの技術だけはというものをやはりしっかり残していくということと、先ほども申しましたけれども、地方においては、しっかりその同業者が受け継いでいるもの、権利関係はなくても、同業者が雇用も、その商圏も受け継いでいるものもいろいろありますので、廃業といってもいろいろな形があると思っております。
  170. 田嶋要

    ○田嶋委員 だから、今おっしゃっていただいたとおり、大臣、残さなくちゃいけないもの、それは、我々がそう思うのか、その会社のよく知っている人たちがおっしゃるのか、いろいろなケースがあるでしょう。あるいは、働いている人たちが、ぜひこの会社を残したいと。だけれども、それをちゃんとまず調べた方がいいですよ。  だから、今回のやっている内容がだめだと言っているんじゃないんだけれども、六百五十万人の雇用が失われるのが、あと三年、四年後ですよ。大丈夫ですか、これで。こんな部分的な話じゃなくて、全体をどうするか。そのピクチャーを、その絵図を見せていただきながら、また来年、改正案が出てくるんでしょうから、毎年毎年、改正案が出てくるんだから、来年の改正案は、全体をどう対処するか、そういうことを示せる改正案にしていただきたいと思います。よろしくお願いします。  以上です。ありがとうございます。
  171. 富田茂之

    富田委員長 次に、山岡達丸君。
  172. 山岡達丸

    ○山岡委員 山岡達丸でございます。  質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。  きょうは、法案質疑ということであります。このいわゆる中小企業成長促進していくということを趣旨にした法案でありますけれども、目下、コロナ禍でありますので、コロナ禍の実効性がどのように担保されるのか、そうした視点を持って、私もまた質問をさせていただきたいと思いますが、この新型コロナウイルスということの、今、一つ私の地元であった大きな事案をもとに、ちょっと、この法案質問に入る前に、融資のことについて確認をさせていただきたいので、まず、そのことを質問をさせていただきたいと思います。  今、全国の中小零細、小規模事業者を含めて、政府の金融支援制度制度融資を活用して、梶山大臣もこれまで幾度となく、通常の査定として見るのではなくて、コロナ禍であることを踏まえて、例えば、大きな債務があったとしても、そのことをもって融資をしないというような形式的な対応は行わないということを御答弁いただいてきたところでもありました。  政府系の代表的な金融機関として、政策金融公庫、商工中金、それぞれあります。どちらも、経済産業省のホームページなどを調べて、そこに掲載されている事業者向けの支援メニューの中には、その両行の具体的な、支援の具体的な金融機関として登場するわけであります。  午前中の質疑においても、この二つの政府系金融機関の話も出て、その中で出た数字でありますけれども、五月二十六日現在、政策金融公庫融資件数が三十四万件である、商工中金は一・一万件である。もちろん、金融機関の規模とかさまざまな状況が違いますので、単純に比較できる数字ではありませんが、私は、地元でさまざまあった案件も踏まえて考えるときに、この商工中金というところが今どれだけ強い姿勢を持ってやってくれているかということについて、改めてこの場で政府に伺いたいと思います。  まず、経産省に伺いますけれども、新型コロナウイルスの危機対応において、この政府系金融機関、政策金融公庫と商工中金について、このコロナ禍における融資姿勢に違いはあるんでしょうか。伺います。
  173. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  新型コロナウイルス感染症影響によって売上げが急減した中小・小規模事業者に対しては、日本政策金融公庫が無担保かつ無利子、最長五年の融資というのを実行しております。  商工中金は、危機対応融資ということで指定金融機関になっておりますけれども、やっている中身としては日本政策金融公庫と同様でございます。  違いでございますけれども、商工中金はフルバンキング、フルバンクの機能を備えた組合金融機関ということで、組合員、株主のニーズに応えるということになっております。  一方で、日本公庫でございますけれども、預金機能を持たないで、一般の金融機関が行う金融を補完するということになっておりまして、件数の違いというのはこういうところから出ているんじゃないかと思います。  いずれにしても、いずれの機関においても、政府から要請しているようなスピード感を持った融資を実行する、それから、事業者の実情を踏まえて最大限の配慮を行う、こういった点では共通して事業者支援に尽力しているというふうに考えております。
  174. 山岡達丸

    ○山岡委員 今、この新型コロナ禍における融資姿勢に差はないのかということを伺ったわけでありますが、今、御答弁の中身は、共通して同じ思いで対応しているということを理解しているというのが経産省の説明でございました。  私の地域で、いろいろなお困りの方の御相談を受ける中で、大臣の御答弁もあったことも頼りにしながら、励ましながらも、政策金融公庫とか、さまざま相談をしていくよう促したりして、いろいろ、私のもとでも、融資を受けて解決したという方もたくさんおられます。  しかし、一方で、本当に無理な案件は、政策金融公庫についてもかなり頑張っていただいているという印象はあるんですが、商工中金について、これは地元の大きな観光ビジネスをやっているところでありますけれども、いわゆるRCCという整理回収機構から和議債権を持って、長年返しながらやっている。これも大きな債務を抱えているわけでありますけれども、そうした事業者、どうしても融資の規模が大きくて、政策金融公庫と商工中金、両方にお願いをして、融資相談をしていたというケースがありました。  公庫の方は、本当に、たび重なる面談をしていただいたり、電話でのやりとりをしていただいたりして、何とか課題を乗り越えようということでいろいろ協力をいただいていたわけでありますが、商工中金は、当初前向きな話をしておきながら、その間、ずっと間をあいて、突然、最後、事業者のさまざまな支払いが迫る直前の段階で、和議債権等、つまり、RCC、整理回収機構とのそういう債権がある以上、融資はできないという報告をしてきて、一方的に交渉を打ち切って、こういうケースがありました。  私は、このケースは、いろいろな件を扱って、私も相談を受けてきましたけれども、極めて不信感を持たざるを得ないし、不誠実なものだったということを感じています。大臣が、形式的な対応はしないんだという話もある中で、経産省、もう一度伺いますが、このケースについてはどのように考えているんでしょうか。
  175. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  まず、個別の事案について、それがよいか悪いかというのは、ちょっと回答を差し控えたいと思います。  その背景として考えられることということなんですけれども、商工中金が指定金融機関として危機対応融資を実施するに当たっては、万一、融資先が破綻したような場合に備えて、日本政策金融公庫が損害担保をつけることで、そのリスクをカバーするという仕組みになっております。  他方、日本政策金融公庫は、個別のこういった案件について一々審査に関与しないということになっておりますので、可能性としては、指定金融機関が安易に貸付けを行うというおそれがあります。こういったことを防止する観点から、損害担保の対象外となる事業者をあらかじめ規定しておりまして、実は、この和議手続を行った事業者はこれに該当するというふうにされていたということでございます。  従来、こうした事案に対しては、商工中金ではなくて、日本政策金融公庫がみずから対応するというのが仕切りになっていたわけでございます。今回、新型コロナウイルス感染症による広範かつ甚大な被害といったことを踏まえまして、商工中金による危機対応融資でもしっかり対応できるように、昨日、運用変更を実施しております。  お尋ねの案件がこれによって救済されるかどうかというのは、ちょっと個々の案件のものでございますので、与信審査を踏まえて判断するというわけではありますけれども、これによって、少なくとも、形式的に和議手続を実施したということを理由に商工中金による危機対応融資が断られるということは解消されるというふうに思っております。
  176. 山岡達丸

    ○山岡委員 今御説明ありましたけれども、政策金融公庫がまさに損害の補償、担保をするということで後ろにいるから、そこの段階でいろいろな取決めがあって、それで断られたのではないかと。まさに形式的な中身においてこの件ははじかれてしまったということを私は理解するわけであります。  そのことを修正していただいたのが、私もきのう質問通告をしたわけでありますけれども、きのうそれを見直しをしたということでありますから、本当にこの間、三月、四月、五月とお困りの事業者がおられる中でこういうケースがあって、全国に同じように、商工中金にも相談しに行かなきゃいけないケースで、もしかしたらはじかれているケースもあるかもしれない。私は、それにプラス、事業者の方がお困りの中で、ぎりぎりのタイミングで一方的に、もともと融資できなかったということを通告するだけで、大変な混乱を生みました。  商工中金というのは、もともと私も不信感を持っておりますのは、皆様も御存じのとおり、過去に不祥事もございました。そのときも、危機対応融資で、財務諸表を改ざんして融資をするということがあって、そして今回は、ぎりぎりのタイミングで、そうした重要なことも伝えないまま相談を最初に受けて、そして、最後にそのことを伝える。  今、経産省で、きのうの段階で、そういう形式的なことはしないということの決定をしたということがありましたけれども、大臣、この間、商工中金について、私が見たケースは商工中金のケースでありますけれども、全国でも同様の事例がないか、このことは調査すべきじゃないかと思うんですよ。これでお困りの事業者の方が、もし我々の知らないところで、しかも、私はたまたまそのことについて相談を受けたからいいですけれども、本当に、そうしたことも相談できるところもないまま、ただただ断られて融資を受けられず、静かに、もう手の打ちようがないという方がいらっしゃるかもしれない。  一事が万事という言葉もあります。大臣、この件をどのように考えて、私は調査していただきたいと思いますが、どう思われますか。
  177. 梶山弘志

    梶山国務大臣 個別の件についてはコメントは差し控えさせていただきますが、こういう審議の場において、政府系金融機関の窓口の対応、そして、それらを含むことについていろいろ皆さんから質問があります。  そのときに、個別の対応はしませんけれども、こういう例があるということで、これがボトルネックになっているのであれば、それを解消するために、必ず都度そういうことをお話をしております。だから、そういった中で解消してきたものもあろうかと思います。  今委員がおっしゃったようなことは、こういう例があるということで申し伝えたいと思っております。
  178. 山岡達丸

    ○山岡委員 これは本当に、コロナのさまざまな制度を使って、今委員の皆様も皆そうだと思いますが、自分たちの地域、地元の事業者のお困りの方を一者でも多く助けようと思ってやっているところだと思っておりますので、この対応について、やはり事業者の方が情報が少ないという状況でありますので、大臣、くれぐれも、こういう事案、全国にほかにあるようであれば、それは厳しく正していただきたいと思いますので、そのことは改めてこの場でお願いをさせていただきたいと思います。  法案に移らせていただきたいと思います。  午前中の質問にもありました、先ほど田嶋委員からの御質問にもありまして、若干重複する部分もありますが、私も、今回の、いわゆる信用保証制度を設けての、事業承継時に経営者保証の解除を行えるようにするという、これはこれですばらしい取組だということを思うわけでありますけれども、宮川委員質問にもありましたけれども、全国の六割の後継者の方が、この経営者保証があるばかりに事業承継をやはり拒むという状況もあるということであります。  その中で、経産省は、こういうことをこれから事業者の方に周知していくんだというお話がありましたが、私は、今の金融機関の対応も含めて、このコロナ禍で極めて強く感じるんですけれども、やはりどこまで行っても、いわゆる一事業者の方々というのは、政府が持っている情報を全て知り得る立場にないし、自分で調べろ、自分で知っておけというのはなかなか酷な状況だなということを感じているところであります。  そこで、この制度を整えて周知をしたところで、やはり、金融機関なり、あるいは信用保証協会なり、あるいは金融機関みずから、その相談に来た事業者に対して、こういうことができますよということを勧める環境をつくっていかないと、なかなかこのことは周知も、本当の意味での事業者の方に活用が行き届かないのではないかということを心配するところであります。  これは事業者にとって大きなメリットがあるわけでありますけれども、例えば金融機関にとっては、保証経営者保証であろうが信用保証であろうが、その保証ということに大して違いはなかったり、あるいは信用保証協会にとっては、特にこのことを信用保証に切りかえるというところを増加させなくても、これは当人たちも特にデメリットはないということになってしまうと、ちゃんと情報を持っている事業者の方は、そういう、私はそうしたいということを強い意思で言えたとしても、その選択肢としてまた事業者の方の中になければ、そのことがなかなか選択できないんじゃないかということを懸念するわけであります。  この実効性の部分、いわゆる金融機関とか信用保証協会、ここの部分も使って、きちんとそのことを事業者に伝えていくことが重要ではないかと思うわけでありますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
  179. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これは継続していろいろ議論をしておりまして、中小企業団体、経済団体を通じて中小企業者には伝えている、また、経済産業省のホームページ、中小企業庁のホームページを通じて伝えているところでありますが、一つ一つ企業まで全てが周知しているかというと、そうではないと思っております。どういう周知の方法があるかということも含めて、この法案成立後にしっかりと考えてまいりたいと思います。
  180. 山岡達丸

    ○山岡委員 あわせて伺いたいんですけれども、金融機関信用保証協会等、そちら側から事業者に対してきちんとこのことを伝えていく、何かその仕組みみたいなものをつくらないと、なかなかそこの窓口の場所で話が行かないのではないかというこの点について、大臣からちょっと御見解をいただきたいんですけれども。
  181. 梶山弘志

    梶山国務大臣 議員の御提案として参考にさせていただきます。
  182. 山岡達丸

    ○山岡委員 例えば、まさに金融機関についても保証協会にしても、どれだけの事業者がこの制度を利用したのか。彼らに対してもその数字をしっかり出させて、そして、きちんとほかの機関と比べて、ここの地域は何でこういうのが利用が少ないんだとか、そういうことも含めて、やはりそのことを数字として出させるということも非常に重要な点だと思いますので、ぜひこのことを大臣には御理解をいただいて、ぜひ進めていただきたいと思います。御答弁いただけますか。
  183. 梶山弘志

    梶山国務大臣 事業承継を進めるマッチング機関や、また、認定支援機関等にも地域銀行等入っておりますので、そういったところと連携をしながら模索をしてまいりたいと思います。
  184. 山岡達丸

    ○山岡委員 あわせて、今、コロナの大変厳しい中であります。今回、制度の中において、基本的なやはり条件というのが定められているところだと理解しております。その中の、切りかえができる条件の、四つあると言われていますけれども、その一つが、いわゆる返済期間の緩和中ではないこと、リスケジュールの最中ではないこと、つまり、返済猶予の状況ではないことというようなことも含まれているということを聞くわけであります。  冒頭の話じゃありませんけれども、現在、コロナウイルスのさまざまな状況で、多くの方が融資を受けているわけでありますが、皆、すぐに返済開始をしている方なんて、ほぼいらっしゃらないわけであります。皆、一年後だったり三年後だったり五年後だったり、そういう条件で借りておられる方が多数おられるという中で、もともとコロナを、この状況下を想定しない中での法案の提案があったものと理解していますけれども、少なくともコロナ危機、このいわゆるリスケの部分についての条件を外すことはもちろんですが、その他、コロナにおける経営状況の悪化というのは、これは、この制度の活用については、きちんと配慮して除外していくべき。そうしたことをしなければ、今法律をつくっても利用者が進まないと思うんですが、いかがでしょうか。
  185. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員指摘のとおり、本年四月に開始しました、一般枠において経営者保証を不要とする事業承継特別保証制度に加えて、今回の法改正によって新設する特別枠において経営者保証を不要とする経営承継借りかえ関連保証制度についても、返済緩和中でないということを要件として含めることとしています。  他方、新型コロナウイルス感染症拡大影響を受けて、多くの中小企業小規模事業者資金繰りが一時的に悪化をし、返済条件の変更を行っているものと承知しております。  このような状況に鑑みまして、新型コロナウイルス感染症影響により返済緩和を行った事業者に限り、一般枠と特別枠の双方において、返済緩和中でないことの要件を特別に除外する方向で、現在見直しを進めているところであります。  他方、他の要件につきましては、通常は禁止している既存のプロパー融資信用保証つき融資への借りかえを特別に可能とするに当たって、金融機関信用保証協会に過度にリスク肩がわりさせる等のモラルハザードを防止する観点から設けられているものであります。  こうした制度趣旨から、要件緩和は難しいが、事業者に対して、専門家経営支援を丁寧に行うなど、寄り添ってまいりたいと考えております。
  186. 山岡達丸

    ○山岡委員 大臣御答弁いただいたように、この制度を、余りよい使い方をしないで、経営者保証を外すことだけに使う方もいるという中で要件が課せられているというのはよく理解するわけでありますが、新型コロナウイルス、もうさんざんこれまでも議論もありましたけれども、そして経産省の考えとしても、過去にない事態だからこそ、過去にないさまざまな対応をされているということだと理解しておりますので、少なくともこの返済のスケジュール、この返済猶予等の状況については外す方向で検討されているということでお話ありましたが、私から、その他もできる限り、この新型コロナについてはいろいろ配慮すべきだということを重ねて申し上げさせていただいて、また今後、いろいろな状況を見て、このことは質疑をさせていただきたいと思います。  もう一つ、今回の法案で、各種計画とか、さまざまなそうしたことを整理統合するという中で電子化を進めるということで、田嶋委員も先ほどさまざま指摘がありました。  持続化給付金のことについて、私も本当に田嶋委員と同じ思いを持つんですが、今回、いわゆるコロナ禍でありますから、窓口を混雑させてはいけないという視点もあったと思います。やはり、書類申請、書類を受け取っていろいろ提出するとなれば、多くの方がそこに集中してしまう、そのことを避ける、そしてまたスピード感を持っていろいろ対応する、多くの方を、また一気に給付していく。いろいろな批判はありますけれども、そのことを実現するに当たっては、いわゆる電子申請しかなかったのではないかなということを感じるわけであります。  その中で、その対応の早さについてはいろいろ指摘があるかもしれませんが、今、この持続化給付金については、電子申請ということにしながら、サポートシステムを各地域でつくって、入り口は電子申請であっても、そこの電子申請のあり方をサポートする、そういう枠組みになったわけであります。  済みません、経産省にも伺いたいんですけれども、こういう計画、簡単な申請ではありません、みんな、文書をつくり込んで提出するという中身であります。例えば、パソコンが使えない方も、誰かに頼むにしても、計画をつくるに当たっては恐らくはパソコンで文書をつくって、そして、それをプリントアウトして今まで書類提出していたんじゃないかと思うわけでありますが、万が一にも全て手書きで出すような方がいたら、これは郵送提出というものも、そういう方もいるのかなと思うわけでありますが、伺いますけれども、手書きでこういう計画を提出してくる方というのは、今でもそれなりの数がおられるんでしょうか。
  187. 奈須野太

    奈須野政府参考人 私が見た限りで言うと、ものづくり補助金とか、あるいは地域資源とかがあると思うんですけれども、さすがにちょっと、手書きというのはお目にかかったことはございません。
  188. 山岡達丸

    ○山岡委員 さすがに手書きというのはいらっしゃらないということでありますが、ということは、誰かがパソコンでつくっているわけであります。それをわざわざプリントアウトして、ペーパーレスの時代でもあるわけでありますから、これを提出するというよりも、申請要項の中にきちんとそのことを、打ち込んだらそのまま提出できるような電子申請、この申請の中身についてのサポートの仕組みは、あるいは申請のサポートは、各地でこの持続化給付金みたいにするにしても、これはやはり、このことを勘案したときに、完全電子申請化というのも私はあってしかるべきだと思うところであります。  先ほど副大臣が御答弁されていたわけでありますが、今、大臣がおられますので、大臣、この部分についての考え方を伺いたいと思います。
  189. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回の給付金の申請に関しても、申請前も申請後も、やはり紙でやるべきだという声がかなりありました。でも、今回は、サポートという形で電子申請をお手伝いするという形、また、家族の方にスマホ等でお手伝いをいただくという形でパンフレットをつくらせていただいた。やはり物事を進めるには、こういう形でないとなかなか難しいかなと。ただ、弱者の方に配慮をして、しっかりとサポートをしていくということは忘れずにやってまいりたいと思います。
  190. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  本当に、電子申請かペーパー申請かというのは、今でももしかしたらいろいろな意見を寄せる人がいるかもしれませんが、繰り返しになりますけれども、やはりいい機会だと思って、これは電子化を進めていくということを私からも強く求めさせていただきまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございます。
  191. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  192. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  最初に、持続化給付金について、梶山大臣は、一昨日、五月二十七日、できるだけのスピードでやっていく、速やかに審査して給付できるように努力しているというふうに答弁をされました。質問後に、五月一日に申請された方々から、ようやく入金されたという喜びの声が入ってきている。これは事実でありまして、幾つもそういうことが届いているということでありますが、ただ、一方で、まだ入金されていないという方々も依然として残されております。  いよいよ月末ということでありますが、最後の平日の午後であります。現時点で、改めて、五月一日申請者への進捗状況と見通しはどうなっているか。大臣、いかがでしょうか。
  193. 梶山弘志

    梶山国務大臣 審査状況は刻一刻と変化をしていますけれども、正確な数字をお示しすることは困難ですが、五月一日に申請を受け付けた約十八万件のうち、約八七%の方には本日までに給付が完了する見込みであります。  残り一三%のうちの五%の方は、既に振込口座の確認作業に入っておりまして、登録いただいた口座情報に問題がない限り、直ちに振り込み手続に入ります。口座情報に軽微な誤記があるなど問題がある方については、事務局で修正を行う必要があり、もう少し時間を要する見込みであります。そうした方には、その旨を既にメールで連絡をさせていただいております。  そして、残りの八%ということになるわけでありますけれども、何らかの不備があり、再審査又は再度不備修正を行っていただく必要のある方々であり、不備が修正されれば、直ちに振り込み口座の確認、現金の振り込みを行ってまいりたいと思っております。  事務局が全力で対応中であることを御理解いただき、いましばらくお待ちいただきたいと思うのと、連絡体制はしっかりするように、マイページ、またメール等でできるような形にしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
  194. 笠井亮

    ○笠井委員 そこはしっかりやってもらいたいんですが、前回、申請者全体の四割に不備がある、そして、スピードを大前提にするために、再審査が必要なものは一旦脇に置くということも言われたので、給付を待つ身からすると、それを聞いてがっかりしたという声も上がっているのは事実でありまして、これは当然だと思います。月末ぎりぎりの崖っ縁で、数十万の方々が、あの赤枠ですね、あれが消えて、審査が終わって、振り込み段階になったかということについて、まさに固唾をのんで毎日、瞬間、過ごされているわけで、できる限りのことをやるとおっしゃるんだったら、あらゆる手だてを尽くしていただきたい。これは強く申し上げておきたいと思います。  そこで、フリーランスや、ことし一―三月に創業した新規創業者を対象にすることがようやく発表されたわけですが、更に対象の追加を求める声が多々あります。例えば、テナントの撤退や家賃の減免で収入が大きく減ったオーナーのような、主たる収入が不動産所得になっている個人事業主や、四月以降の創業者、あるいは、創業の準備を進めていたのに開業できないままになっている、しかしもう家賃を払っているという予定者も、今は対象外になっております。  全国で緊急事態の解除が宣言されましたが、第二波、第三波の感染が早くも懸念されて、そういう事態もちょっと起こり始めていると言われているわけですが、長期戦を覚悟しなきゃいけません。そういう意味では、大臣、苦難にある不動産所得や開業予定者を対象に追加する、これも真剣に検討して、やっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  195. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員指摘の不動産所得ということは、個人が保有する不動産を活用した賃料収入等が計上されるところであります。個人の保有する資産を運用するという意味では株式投資等と類似する性質があるために、事業継続を下支えし、再起の糧とする給付金の趣旨になじまないものも少なくないと考えられております。  一方、不動産事業者の方も、入居される事業者事業継続が困難となる中で、非常に厳しい経営状況にあると認識をしていることから、持続化給付金とは別に支援を行っているところであります。  具体的には、第二次補正予算におきまして家賃支援給付金を創設し、感染症の影響により売上減に直面するテナント事業者に対する支援を通じて不動産オーナーへの賃料支払いを間接的に促進するとともに、感染防止策への定額補助を始めとする事業再開支援パッケージを創設をし、持続化補助金等によって不動産オーナーの事業継続や販路開拓等を強力に下支えをするということで対応してまいりたいと思っております。
  196. 笠井亮

    ○笠井委員 雑所得とか給与所得というのも結局は対象にしたわけですが、結局、不動産収入についても、主たる収入が確認できればいい、すればいいということになります。  それから、新規創業者で四月以降の方でいうと、なぜ三月までなら対象で四月ならだめなのかという問題も出てくるので、これはすぐ対象にしていただきたい。数十万者が廃業、倒産に直面しているという状況の中で、まさに非常時の対応が求められているのに、結局継ぎはぎになっちゃっているわけですね。そこはもう一気にやはりやっていく必要がある。その上で、売上げの半減にとどまらず、急速に減った、急減した全ての事業者対象にして、一回に限らず継続的な給付を行うべきだ。これは強く求めておきたいと思います。  家賃支援も今その中で触れられましたが、待ったなしでありまして、先ほど来ありますが、野党は四月二十八日に共同で事業者家賃支払い支援法案を提出して、既に当委員会に付託をされています。政府の側は与党と相談ということもあって、結局、そういう点では、ようやく家賃支援給付金の新設を盛り込んだということになりましたが、しかし、五月以降の売上げが急減した事業者に対して半年分の家賃、法人には最大六百万円、個人には三百万円を支給するというものであります。  大臣は、切迫感を持ちながらスピーディーにやること、それと規模も必要だ、迅速に届けるというふうにこの間この問題でも答弁されましたが、ではそうなっているのかという問題が、きちっとやはり見られなきゃいけないと思うんです。  四月末の支払いに四苦八苦をして、今まさに五月末の資金繰りに直面している。一刻も早い対応が必要ですが、この家賃支援給付金の申請受け付けというのはいつからスタートする、こういうことになるんでしょうか。
  197. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今確定的なことは言えませんけれども、今、詳細を決めた上でシステムをつくっていくということになります。そして、その入り口をつくって皆さんから申請をしていただくということになりまして、できるだけ早くと思っていますが、六月中旬になる予定であります。
  198. 笠井亮

    ○笠井委員 この受け付け開始、今から見るとまだ半月後ということで、遅い。  しかも、これを見てみますと、対象になる五月以降の一カ月の売上高が前年同月比で五〇%減少という事業者だったら、給付は結局七月以降になりますね、実際は。それから、三カ月連続で三〇%以上というふうになりますと、五月以降ですから、五、六、七月の実績で、それから申請することになりますから、八月申請で、早くても九月、給付できるかどうかということになってしまうので、やはりそうなると余りに遅過ぎる、間尺に合わないということになるんじゃないかと思うんですが、一方ではもう本当に瀕死の状態の中で家賃支援を求めているわけですから、どうですか、それは。
  199. 梶山弘志

    梶山国務大臣 要件は、今詳細を詰めているところでありますので、しっかりと詰めてまいりたいと思っております。  先ほど六月中旬と申しましたけれども、もう少し時間がかかりそうだという今メモが入りました。済みません。
  200. 笠井亮

    ○笠井委員 そうすると、ますます遅くなって、ずれ込んじゃうという話になります。  それで、支援の規模も問題になってきます。法人で最大月百万円ということになりますと、与党案であった五十万円、これを倍にふやしたと言うかもしれませんけれども、例えば東京の家賃相場では、もう全く足りません。  それから、複数店舗を持つ事業者の窮状は救えないと私もこの間も紹介してきましたが、五月の十五日にも質問の中で紹介した、都内の地ビールを中心に三十店舗を展開する事業者、決して資本は大きくないですよ。この方は家賃が月二千万円です。そうすると、最大百万円では焼け石に水だと。私もそういう話を伺っていましたし、テレビでもそのことが実際に生の声で伝えられました。全くそういう点では規模も応えるものになっていないんじゃないかと。  その上、四月以前の売上減というのは対象にしていないわけですが、持続化給付金があるからという話になるかもしれないけれども、でも、それで足らないという事業者、やはりそういう点では支援が欲しい、どうするのかということにもなってくる。  結局のところ、早さの点でも、スピーディーと言われるけれども、そして、支援の規模の点でも、これでは足りないということになりませんか。
  201. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まずは、その補正予算の成立というものを待たなくちゃなりません。それとあわせて、電子申請等になりますので、システムをつくるということになります。システムの条件等の詰めということも今やっているところでありますけれども、そういったことを考えて、申請をされてからできる限り早く支払いをしたいということでありまして、そこまでの時間は、補正予算の成立、そしてシステムの構築という中で、いたし方ないと思っております。
  202. 笠井亮

    ○笠井委員 システムを構築して、申請されてからできるだけ早くという話があったので、かかわって伺いたいんですが、この家賃支援給付金事業委託先というのがあるわけですね。そうすると、これは持続化給付金を受注している法人と同じだと言われていますが、大臣、それが一般社団法人サービスデザイン推進協議会というのは、これは事実でしょうか。
  203. 梶山弘志

    梶山国務大臣 家賃については、これから競争入札ということになると思います。
  204. 笠井亮

    ○笠井委員 今、そういう、これから競争入札ということになったらどういうふうになっていくのかは見なきゃいけませんが、この今言われているような一般社団法人サービスデザイン推進協議会というのは、持続化給付金、ずっと委託してやってきたわけですが、申請受け付け開始から一カ月、結局、四割に不備が、その解決をするということで今手いっぱいの状況の委託先であります。その上、設立経緯やあるいは運営実態への疑義もあるとされる法人に新たに委託するとすれば、それが適切かという問題も出てくる。  先ほど落合委員は、この間の経過を見たら、この申請給付システムに欠陥があるんじゃないかというふうに指摘もされました。  そもそもの審査のあり方について、やはり一カ月やってみての、ずるずるまた続けていくということではなくて、システムを含めて見直して、先日も申し上げましたけれども、性善説に立って、とにかく事後審査に切りかえて迅速に支給する。まさにそういう大臣の政治決断を強く求めておきたいと思いますが、よく検討してください。  次に、法案について伺います。  新型コロナの感染拡大のもとで、昨年十月の消費税増税に加えて、政府の要請で長期間自粛をして収入を断たれた中小・小規模企業は、まさに大量廃業の危機に直面をしております。その中で、本法案は、事業承継促進しようというものであります。東京商工リサーチが発表した四月の全国企業倒産というのは、既に七百四十三件と八カ月連続で増加をして、リーマン・ショック時の四カ月連続を抜きました。  こうした経済危機状況のもとで大臣に伺いますが、事業承継を含めた中小企業支援にはどういう観点のやはり要素が必要になってくると考えていらっしゃるでしょうか。
  205. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まずは、雇用の維持だと思っております。そして、技術の継承、また、地域資源としての企業の存続ということだと思っております。
  206. 笠井亮

    ○笠井委員 まあ、そういう点では、いろいろな要素が出てくると思うんですが、日本政策金融公庫が五月二十六日に発表した小企業月次動向調査というのがあります。これを見ますと、前年同月比で売上高が増加したという企業割合から減少したという企業割合を引いたDIというのがありますが、このDIの値が、飲食店では四月、五月の二カ月連続でマイナス一〇〇%。つまり、回答した全ての飲食店が売上げが減少したと答えているわけですが、大臣、このDIということでマイナス一〇〇%、一〇〇なんという、こういう数字を聞かれたことは今までありますか。
  207. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今までの経済危機の中ではありません。
  208. 笠井亮

    ○笠井委員 まさに大臣が言われたように、業種全体を襲う大変な打撃を今こうむっているという状況であります。飲食店ばかりではなくて、中小・小規模企業全体が同じような状況にある。  そこで、昨年の十二月二十日に中小企業庁が取りまとめた第三者承継支援総合パッケージというのがありますが、この中では、「黒字廃業を回避する」、それから「価値ある中小企業の廃業に歯止めがかからず、」というようなことが書いてあるということでありますけれども、それが昨年十二月であります。  ところが、コロナの感染拡大と自粛要請ということを受けて、事態はある意味全く変わってしまったと。先ほど来議論があったとおりです。  そこで、大臣に伺いますけれども、苦境にある中小企業、小規模企業事業者の全体の事業承継を、やはり法案を通じてどう支援していくかということが問われていると思うんですけれども、この点については、どのように基本的考えをお持ちでしょうか。
  209. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まずは、今やっている経済対策をしっかりとやっていくことということであります。  事業承継の中で、この法案の中で考えなければならないのは、やはりコロナ禍において事業承継を諦める可能性が出てくるということでありまして、そういったところをしっかりと支援していくために、早くこの法案をまとめた上で、皆さんに周知をしていくということになろうかと思っております。  いずれにしましても、今後の中小企業のあり方、経営者の個人保証というものをなくしていく、そのための取組、そして新たな経営者に新たな事業としてまた取り組んでいただくということ、そして雇用を継続してもらうということを旨に考えております。
  210. 笠井亮

    ○笠井委員 私、五月二十七日の当委員会で、緊急事態宣言が解除されたからといって中小企業事業者への支援を弱めてはならないと冒頭に伺って、大臣は、当然だということでお答えになった。引き続き、中小企業支援強化に全力で取り組むというふうに明言をされました。  現下の状況で新たな中小企業支援策をつくるからには、やはり最も苦境に立たされている中小・小規模事業者を真っ先に救う、そういった視点が必要だと思うんです。今こそ、踏ん張ってきた生き残り事業を引き継いでもらえるように全力で支援をする、支えていくというときだと思います。  大臣に、そこで改めて確認しておきたいんですが、本法案成長促進というふうに銘打っていますけれども、今は、とにかくどう生き残るかというのが多くのところのやはり思いで、一番願っているところなので、そこで、必死な状況で中小・小規模事業者が置かれていると思うんです。  地域社会と住民生活にとって欠かすことのできない存在である事業者をどう支えるのか、まさに本法案を通じて実効性のある支援策、必要だと思うんですけれども、法案との関係で、その点、いかがでしょうか。
  211. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まずは、現在の経済支援ということで、その対策の中でしっかり中小企業小規模事業者も支えていくということであります。  今回の法案の中では、やはり将来の成長というものも考えていかなくちゃならない。それは、その地域雇用にも資するものだと思っております。そういったものも含めて、まずは生き残った上で、そして事業承継をしっかりとしていただいて、そして、その上で、また中小企業支援というものを新たなもので対応してまいりたいと思っております。
  212. 笠井亮

    ○笠井委員 特に今は、内需型の事業者を直撃している事態であります。  二〇一四年に全会一致で制定をされました小規模企業振興基本法では、従業員二十人以下の小規模企業の持続的発展の重要性、この持続的発展というのが大きなポイントだったと思うんですが、それと面的な支援の必要性を述べておりますが、やはり今こそ、そういう理念を発揮するときだと思うんですが、大臣も同じ思いということでよろしいでしょうか。
  213. 梶山弘志

    梶山国務大臣 日本経済地域経済を支えている屋台骨は中小企業であります。中小企業がしっかりしなければやはり日本経済もしっかりしないという思いで取り組んでまいりたいと思っております。
  214. 笠井亮

    ○笠井委員 そこで、今回の法案では、経営者保証解除スキームということがあります、先ほど来議論がありますが。金融機関経営者保証解除を後押しすべく、経営者保証を求めない信用保証制度を創設するとしているわけであります。  これは、二〇一四年二月に施行された経営者保証ガイドラインというのがありますが、これに即したものとされていますが、前田長官に伺います。このガイドラインが求める三つの経営状況というのは、どういうことを言っているでしょうか。
  215. 前田泰宏

    前田(泰)政府参考人 平成二十五年に作成されました経営者保証に関するガイドラインでは、中小企業小規模事業者経営者保証提供することなしに融資を受けることを希望する場合、一つには、法人と経営者との関係の明確な区分・分離、二つ目には、財務基盤の強化、三つ目には、財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性の確保、こういう対応が求められているところでございます。  経済産業省といたしましては、ガイドラインを活用することにより、経営者保証に依存をしない融資が一層促進されるよう、引き続き頑張ってまいりたいと思っております。
  216. 笠井亮

    ○笠井委員 今、三つのことについて述べられました。  このもとで、実際には、ではどれだけ解除されているかという問題なんですけれども、二〇一六年に中小企業家同友会全国協議会が行った調査では、約八割の会員が経営者保証をしている、うち六割が保証解除に向けて行動した、あるいはするというふうに回答しましたが、実際に解除できたのは一七%にとどまったということであります。  中小・小規模事業者にとって、金融機関から経営者保証の解除を得るにはまだまだハードルが高くて、なかなか足元で進んでいないということは、これは大臣認識されていますか。
  217. 梶山弘志

    梶山国務大臣 そういう認識であります。
  218. 笠井亮

    ○笠井委員 新規の融資について、経営者保証を求めない融資が、やっと二割弱という状況が現実にある。既存融資についても、二〇一六年で一七%という水準であります。  そこで、前田長官に伺いますが、今回の法案経営者保証解除スキームで、現在想定されている保証解除の要件というのは、どういうことを想定していますか。
  219. 前田泰宏

    前田(泰)政府参考人 本年四月に開始をいたしました、一般枠において経営者保証を不要とする制度及び今回の法改正により新設する特別枠において経営者保証を不要とする制度、この経営者保証を解除することによるリスクを国が肩がわりすることで、経営者保証の解除を強力に支援するものでございます。  本制度は、旧経営者の個人保証がついた既往債務を借りかえることで経営者保証を解除するため、通常は禁止している既存のプロパー融資信用保証つき融資への借りかえを特別に可能としております。  こうしたことから、金融機関が、リスクの高い事業者についてのみ本制度を使って信用保証つき融資に借りかえるなど、信用保証協会に過度にリスク肩がわりさせるモラルハザードを防止する観点から、四つの要件を満たすこととしております。  一つ目でございます。資産超過であること。二つ目、返済緩和中でないこと。三つ目、EBITDA有利子負債倍率が十倍以内であること。四つ目、法人と経営者の分離がなされていること。この四つの要件でございます。
  220. 笠井亮

    ○笠井委員 大臣、今言われたことなんですが、経営者保証ガイドラインと、先ほど答弁があったことでいいますと、そこで求めていたのは、法人と個人の分離、財務基盤の強化、それから適時適切な情報開示ということでありましたが、それに比べて、今回法案のもとで想定されている保証解除の要件というのを四つ言われました。  特にその中で、赤字ではないとか、返済緩和、債務なしなど、中小・小規模事業にとって更に厳しい要件になっているというふうに受けとめるんですけれども、今、消費税増税とコロナ感染拡大、自粛のダブルパンチで、三月から大量出血による瀕死の状態と言われるような、ぎりぎり持ちこたえている中小・小規模事業者にとって、経営者保証ガイドラインを上回るような、そういう厳しい要件をクリアするということが実際できるのだろうか、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  221. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほどの質問にもちょっと申し上げたんですけれども、今の状況に鑑みて、新型コロナウイルス感染症影響により、今回の件に限って、返済緩和を行った事業者に限り、一般枠と特別枠の双方について、返済緩和中ではないことの要件を特別に除外する方向で、現在見直しを進めているところであります。  ほかの要件に関しては、中長期的にまた見る必要があると思っております。
  222. 笠井亮

    ○笠井委員 今の要件以外の要件は中長期と言われましたけれども、やはり全体として、法案を検討したときと現在では全く状況が異なっている。最初に大臣も明言されたように、中小・小規模事業者も含めて、事業承継を求める全ての事業者が活用できるような制度にする必要がある。  それで、現在の状況を踏まえて、やはり幅広い事業者が活用できるようにする制度にするためには、現状に見合った要件、これをきちっと決めていく、よくその辺も見ながらやっていく。これは別に法律事項じゃありませんから、それが必要だと思うんですけれども、そこはどうでしょうか。
  223. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今申しましたように、返済緩和中でないことの要件を特別に除外する方向でやるということですが、ほかのものに関しては、少し中長期で見ないとわからないものもございます。そういったことも含めて、今すぐこの時点では判断しないという点でのお話であります。
  224. 笠井亮

    ○笠井委員 それ以外の面についてもよく検討して、やはり要件を定めていただきたいと思います。大事なことですから。  また、本案では、中小企業支援策の整理、見直しによる計画統合が盛り込まれております。計画と補助金のひもづけをなくして、補助金の申請に計画認定を求めないとしているわけでありますが、そこで、前田長官に伺います。  廃止されるものづくり高度化法の特定研究開発計画について、採択件数というのを、実績ですが、過去五年間で平均で何件ということになるでしょうか。
  225. 前田泰宏

    前田(泰)政府参考人 お答えいたします。  ものづくり高度化法における研究開発等計画の一年当たりの認定件数は、平成二十七年度から令和元年度の過去五年間の平均で三百三十四件となっております。
  226. 笠井亮

    ○笠井委員 三百三十四件、平均、五年間という意味では、多くの中小企業に活用されてきたということですが、今回、補助金の活用を望む事業者にとっては、その計画策定が不要になる。  そうしますと、大臣、当然ながら、更に活用が期待をされて、それに見合った施策、特に予算の拡充ということが必要で、それにはやはり努力する必要があると思うんですけれども、せっかくつくるのであれば。その点では、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  227. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員がおっしゃるように、申請件数もふえてくると思っております。当然のことながら、その申請件数、採択件数といった執行の状況を見ながら、今後の予算額を検討してまいりたいと思います。
  228. 笠井亮

    ○笠井委員 執行状況を見ながら、やはり活用しやすくなればふえますから、それにふさわしい予算をつけるというのは当然だというふうに強く求めたいと思います。今後の事業の再生を望む事業者にとっては、より一層、やはり補助金というのが頼みの綱になる。ぜひ予算を拡充して、それに応えていただきたいと申し上げておきます。  最後になりますけれども、このコロナ禍のもとで、中小・小規模事業者の社会保険料の減免というのが、やはりいよいよ大事な課題になってくる。衆議院でこの委員会で私が、そして参議院の経済産業委員会では岩渕友議員が、それぞれ納税猶予や、それから換価の猶予などを提起してまいりました。  大臣とも質疑でやりとりさせていただいて、その上で、大臣の方からの働きかけもあって、去る五月一日には、厚労省が、無担保で延滞金不要の社会保険料の一年間納付猶予という形での特例というのが措置をされた。私、これは大事だと思っていまして、非常に重要な一歩であって、やはり喜ばれていますし、この点ではよかったと率直に思います。  その上でなんですけれども、大臣、やはりコロナ禍のもとで社会保険料というのが、何とか経営を維持する、そして、先ほど大臣も言われました、その維持した上で、やはり承継して一層発展していくということを目指したときに、そういう中での社会保険料というのは、コロナ禍のもとでの負担感というか、負担、実際にはずっしり一層重いものになっている。  そこはやはり、負担を軽減するということが、この法案との関係でも、事業承継しながら中小企業を本当に支えていく、そして発展を目指していくということでいうと大事だと思うんですけれども、結局、一年間猶予になるんですかね。一年間猶予しても、結局、今コロナ禍のもとで、次の年度に今度は、一年間ですから二年分払わなければいけないという、支払いの負担が非常に重くなるということにならざるを得ないんじゃないか。  そこで、やはり一年分の免除を求めるという声ですね、今年度分でいうと。そういう声が強いんですけれども、もう一歩踏み込んで、今年度分の社会保険料の事業者負担、この免除ということについて、これは厚労省ということになりますが、前回のときにも、その問題は厚労省に、厚労大臣に、加藤大臣会議でも提起しますとおっしゃって、こういう流れになったと思うんですけれども、ぜひ、この点でも一歩踏み込んで、更に今年度分の免除ということについて、梶山経済産業大臣から加藤厚労大臣に働きかけるべきじゃないかと思うんですが、その点、お考えはいかがでしょうか。
  229. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員おっしゃるように、衆議院でも参議院でも共産党さんからの提言をいただいて、共通認識のもの、問題意識があるものはしっかりとやっていくということで、やらせていただきました。  他方で、議員御指摘の免除については、一時的には事業者にとって負担減となる一方で、従業員の健康や老後の生活の安心を支える社会保険財政を悪化させることにもつながることもございます。厚生労働省において総合的な判断がなされることが重要であるということであります。  ただ、これが負担になっているということは私ども認識しておりますので、しっかりと考えてまいりたいと思います。
  230. 笠井亮

    ○笠井委員 兼ね合いという問題を大臣が言われたのは、そのお考えを持っていらっしゃることは恐らくこういうことだろうと、私も考えは理解をする面もあるんですが、やはり今、非常時ということになりますので、そういう点でいうと、それの中でこの負担を軽減する、免除ということで、一年間免除することによって企業が何とか立ち行って、また次やっていけるのか、これがないことによって倒れてしまったら元も子もないわけなので、その辺の兼ね合いというのをよく考えていただいて、やはりきちっと提起もし、また議論もしていただきたいと思います。  コロナの問題という点でいうと、長期戦になります。必死に営業、なりわいを守ろうと踏ん張っている事業者が、何としてもやはり、この法案を通じてもそうですが、希望を持てるようにということで支援拡充をやっていくべきだ、このことを強く求めて、時間になりましたので、きょうは終わります。
  231. 富田茂之

    富田委員長 次に、足立康史君。
  232. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  きょうは、中小企業成長促進法案ということで、法案審議であります。この法案、私もかねがね拝見をしていますが、先ほど田嶋委員の方から、毎年いろいろ出てきて、もうちょっと何とかならぬかという話がありましたが、ことしの中小企業立法は十年に一度のできでと、私が申し上げるのも僣越ですが、大変レベルの高い、大事な法案だと思っています。大変高く評価をさせていただいています。  事業承継は、そもそも本丸の税制が前に進みましたから、それを進める中で、その周りというか、周辺の課題を解決していただいていると思います。これも田嶋委員が先ほど、事業承継、けしからぬとおっしゃっていましたが……(発言する者あり)あっ、言っていない。じゃ、ちょっと耳があれでしたが。本当に事業承継はここ数年大きく進んで、私たちの地元でも、みんな、本当に時代が変わったなということで、感謝をしております。感謝というか、当たり前といえば当たり前ですが、引き続きお願いしたいと思います。  海外展開も、これは言うに及ばず、それから、きょう、そういう中で私が特に光を当てて御質問したいのは、電子申請ですね。ことしはやはり新型コロナということで、この電子申請に光が当たっています。  この法案でも、電子申請を加速化するということで銘打っていただいていますので、これも伺いたいと思いますけれども、それに先立って、まず、この法案に限らず、経産省で、西山局長のところで、GビズIDとかJグランツ、Jグランツはまた部署が違うのかな、ちょっとわかりませんが、いろいろ経産省主導の電子申請の取組があると承知しているし、大変期待もしております。都道府県もぜひこれからもっともっと巻き込んでいっていただきたいと思いますが、その辺の取組の概要を御紹介をいただければと思います。
  233. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  今委員から御質問いただきました、特に事業者向けの電子申請のプラットフォームでございますが、これは、経済産業省においてさまざまな取組を行いながら、今委員から御指摘ございましたとおり、各省庁、さらには自治体でも活用していただけるようにということで取り組んでいるものでございます。  今お話しございましたとおり、二つ基本的には仕組みがございます。一つは、我々GビズIDというふうに呼んでおりますけれども、さまざまな補助金や社会保険の手続をする事業者一つのIDとパスワードでさまざまな手続ができるような運用を目指しております。  これは少し言葉を補足させていただきますと、もちろん、例えば法人ですと法人番号というのがあるわけですけれども、電子的に手続をしようとしますと、例えばメールアドレスのようなものも登録をしないとどの機器からアクセスをするかということが特定をできませんので、やや雑駁な言い方で恐縮ですが、いわば個人でいいますと氏名に相当するものと住所に相当するものを法人に関してきちんと整備をしようというのがGビズIDの取組でございまして、これは中小企業施策や産業保安などの行政手続で利用しておりますほか、先ほど申しましたように、社会保険手続など他省庁の手続でも利用していただいておりまして、また、今後自治体への展開も進める予定でございます。  また、汎用的な補助金申請システム、Jグランツと呼ばれるものを構築しておりまして、今年度予算ですと、当初、経済産業省関係で二十の補助金で活用しますほか、七つの省庁で五十の補助金について御活用いただき、さらに二十五以上の都道府県や政令指定都市などの補助金で御活用いただく予定でございます。  もちろん、これは初めての取組でございますので、さまざまなまだ至らぬところ、試行錯誤もございますが、今後、各省、他省庁や自治体にも展開を進めることでデジタルガバメントの推進に貢献してまいりたいと存じます。  以上でございます。
  234. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  私も、余り補助金を自分が申請するということが今までなかったので、また一方で、私も会社をちょっとつくりましたので、補助金の申請をしてみたいと思いますが……(発言する者あり)どんな会社か、ちょっとまた別途。  西山局長、私はこの話を、私はもともと個人番号の世界をずっとやってきたんです。その中で、法人番号の世界を深め、このGビズIDにたどり着いたわけでありますが、実はこれは大変重要じゃないかと思っているんですね。  というのは、法人番号というのはしょせん法人番号ですから。マイナンバーでいうと、マイナンバーですから。それだけでは、それは大事なんですよ、大事なんだけれども、個人が今回の十万円のような形で認証するときには当然マイナンバーカードが要る、それは本人認証のために要る。そして、それをパソコンでつないで本人認証することになっているわけでありますが。事業者が、法人が補助金を申請する、あるいは計画の認定を受ける、こういうときにも、単に法人番号があるだけではなくて、今局長がおっしゃったように、メールというかそういうもので、ID、パスワードという形で、まあ言ったら、この仕組みは、個人番号、マイナンバーにおけるマイナポータルみたいな、ゲートキーパーというのかな、入り口の役割を果たす。私は、今政府でも、これは唯一実効性が上がりつつある、入り口で汎用性がある、こう思いますが。  これは当事者に、これが一番の汎用性がある唯一最大のアイテムですよねと御本人に聞くのは何ですから、ほかに何かいいものを御存じですか、他省庁の何か。私は、いろいろ調べましたが、これが個人番号におけるマイナポータルの役割を、事業者におけるGビズIDが、あるいはJグランツが果たしていくような気がするんですが、そういう目標ということでよろしいですか。
  235. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  今委員から御指摘ございましたとおり、このGビズIDという仕組みそのものは、省庁の垣根を越えて、また自治体も含めて、あるいは補助金のみならず、例えば社会保険手続なども含めて使っていただけるような、いわば法人から手続をされる際の入り口、共通のゲートウエー的なものとして取り組もうとしておりますので、そういう意味においては、この種の仕組みはこのGビズIDということしかない、あるいは、逆に申し上げれば、このGビズIDをぜひ使っていただきたいというふうには思っております。  ただ同時に、今回、特に現下の環境のもとで我々もさまざまなことを学んでおります。GビズIDというのを手続をしようとしますと、当然、GビズIDの登録のために、どなたか個人が、確かにその人がその法人の人であるということを認証しなきゃいけませんので、最初から入り口が電子ではございません。わかりやすく申し上げれば、最初の手続は、したい方が今の手続ですと印鑑証明を持っていかなきゃいけないということになるので、どうしてもほかの手続との関連が出てまいりますので、そうした点も含めてさまざまな検討を今後していかなければいけないというふうに考えております。  以上でございます。
  236. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。  今、新型コロナ禍の話を御紹介いただいたと思いますが、これはマイナンバーでも同じで、結局、マイナポータルあるいはマイナンバーカードは、事実上役に立たないどころかかえって混乱をしているということですから、経産省が、いや、今回の持続化給付金ではこれを使わないと判断されたのは、私は正しいと思いますね。だってこれを使っていたら混乱していましたよ。総務省は、いやいや、マイナンバーカードを持っている人、マイナポータルに登録している人はそれでやってくれと言ったもんだから、今、逆に市町村で大混乱に陥っているということですから、私はそれでいいと思います。  ただ、では次、新型コロナがおさまったときにこれをどうやって普及させていくか、これが大変課題なわけですけれども、例えば人気のあるものづくり補助金とか、いろいろなものを、ここを通さないとだめとかとしちゃったらいいと思うんですけれどもね。  私は、そういうふうにして、マイナンバーであれ、マイナポータルであれ、GビズIDであれ、そういう形で、政府の給付というかそういうものを受けるためにはここを通ってくれということを平時に義務づける、義務づけるというよりはそれを唯一の入り口にするという形で、ぜひ、そういう検討をいただきたい、こう思っています。  今回の法案でも、今、西山局長から御紹介があったような、もともとの電子申請の取組の上に中小企業の計画認定についても電子化を加速化させるということで位置づけていただいています。この辺、御紹介を木村審議官からいただきたいと思います。
  237. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  今回の法案におきます計画の整理統合に関連する電子申請についてでございますけれども、まず、経営力向上計画では、ことしの四月から電子申請を開始いたしまして、二〇二二年の四月には経済産業省所管分の完全電子化を目指したいと考えてございます。  次に、経営革新計画でございますが、こちらにつきましては、承認主体でございます都道府県と電子申請システムの構築を進めてございまして、今年度内に一部電子申請の受け付けを開始する予定でございます。  さらに、地域経済牽引事業計画につきましては、承認主体でございます都道府県と電子化に向けた検討を進めているということでございます。  電子申請に向けた動きを着実に前に進めたいと考えてございます。  次に、こうした電子化の動きを促進いたしますためにも、計画の簡素化は不可欠でございます。今回の法案で行います計画の統合、これをきっかけといたしまして、申請手続の電子化を加速したいというふうに考えてございます。  また、先ほど答弁の中で触れていただきました補助金共通の申請システム、Jグランツ、これも構築してございます。  新型コロナウイルス感染症により明らかとなりました対面手続の感染リスクへの対応はもとより、事業者の利便性向上を実現いたしますため、今回の法案による計画の整理統合を通じまして、計画認定等の制度及び補助金手続の電子化につきまして、前例にとらわれることなくしっかりと推進してまいりたいと考えてございます。  以上でございます。
  238. 足立康史

    ○足立委員 ぜひお願いしたいと思います。  こういう制度は都道府県ともよく連携いただきたいと思っていて、ただ、すぐ自治体は、いや、地方自治だとか言って、我が党も地方分権政党とかって銘打っていますので、何か地方自治体の独自の取組を尊重するようなことを言うことが多いですが、こういう電子申請の仕組みとかは同じ仕組みの上に、あるいは、そういう汎用性の高い仕組みに都道府県がしっかり乗っていくことも私は大変重要だと思っていて、早速この議論も吉村知事なんかにも直接またお会いしたときには紹介をして、こういうのはやはり大阪府が率先して協力したらどうかということも申し上げていきたい、こう思っています。  さて、法律の話は、十年に一度ですのでもう賛成ということで、前田長官、ありがとうございます。ということで、もう質問はありませんが。今せっかく法人の話をしました。法人の世界はこうやって頑張っていただいているんだけれども……(発言する者あり)えっ、もうやめた方がいいの、大丈夫。法人の世界は頑張っていただいているんだけれども、マイナンバーだよね、悪いのは。  それで、今、自民党、公明党でマイナンバー法の改正、進めていただいていて、私たちも、まあ、陰に陽にお手伝いは何でもさせていただくということで協力をさせていただいているつもりでありますが、今回、持続化給付金でいろいろこの都市伝説みたいな形で重複申請みたいなものが横行しているとかいうこともちょっと耳にしますが、やはりいろいろ混乱しているといって、私は持続化給付金についてはもう絶賛しているんですけれども、最近ちょっといろいろ遅いじゃないかとか言われ、でも、問題の多くは、マイナンバー法が、個人事業主についてマイナンバーが使えないということにあるんじゃないかと私は見ていますが、奈須野部長、いかがでしょうか。
  239. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  委員問題意識については、持続化給付金の初日の申請の十八万件を例にとって御説明したいと思います。  初日申請組の方は、今週月曜日の段階で、その十八万件のうちの約七〇%は振り込みがもう終わっておりました。一五%は、名寄せや口座確認というものを行っていたので振り込みが終わっていなかったわけでございます。残りの一五%は、申請内容に不備や確認事項があって再審査や証拠書類の追加をお願いするというプロセスにあったわけでございます。  持続化給付金、今回、電子申請を原則にしてできるだけ迅速化を図る、間違いが生じにくいようにするということは努力したつもりなんですけれども、結果として四割超の申請の方に何らかの不備や確認すべき事項があって給付がおくれているものがございます。  今委員から御指摘のあったとおり、持続化給付金はマイナンバーを使うことが法律上許されておりません。そこで、個人事業主の方が二重三重に申請をするということが仕組み上排除できないということになっております。また、銀行口座も当然登録されていないというわけでございますので、どうしても一定数の入力の誤りが生じております。売上高などの実体的な申請の不備だけじゃなくて、こうした形式的な問題が多数起きているということでございます。  当方から連絡がなかった方の中には、時間がかかっていることに待ち切れなくて、あるいは、データ破損が起きて自分の申請が消失したんじゃないかというふうに心配して重複申請をなさる方も多数おられます。こうした中で、たまたま審査が終わって振り込みがなされたという方もおられて、そうすると、これがネット上で報告されることで、重複申請をすると審査が早くなるというデマが流れております。こうしたことを踏まえると、全てが不正とは言い切れなくて、これは給付にありがちなものなのではないかというふうに考えております。  実際には、重複申請がなされますと、名寄せに最終段階まで慎重を期さなければならないですし、そこで重複申請が見つかってしまった場合に、どの申請を有効なものとするのかということで難しい問題が生じます。かえって時間がかかるわけでございます。このことで他の方の審査にも影響が及ぶということで、重複申請で早くなるということは絶対にあり得ないわけでございます。  初日申請組の中で、月曜の段階で、名寄せ、口座確認中の申請は今週中に振り込みを終えるよう作業中でございますけれども、マイナンバーを使うかどうかは別として、仮にこの名寄せや口座確認のプロセスがもっと簡便にできれば全体としてスピードアップができたでありましょうし、少なくとも名寄せや口座確認で多くの方をお持たせするということはなかったのではないかというふうに考えております。
  240. 足立康史

    ○足立委員 いや、まさにそういうことだったと思います。  だから、大臣、これは、大臣質問しませんが、この持続化給付金でいろいろおくれが出ている責任は奈須野部長にあるのではなくて、マイナンバーを邪魔してきた野党にあるということだけは間違えないように、維新以外の野党ですね、御理解をいただきたいと思います。  奈須野部長、もう一つだけ。  今、銀行口座の話がありました。銀行口座を例えば全銀ネットとつないでおけばもっとスムーズな仕組みが将来はつくれると思うんですね。これは、ちょっときょうは金融庁は呼んでいませんが、ぜひ金融庁ともまたそういうことも、全銀ネットとつなぐようなことも相談をしていただきたいと思うんですが、ちょっと御検討だけお願いできないでしょうか。
  241. 奈須野太

    奈須野政府参考人 次、給付金があるかどうかわかりませんけれども、全銀ネットとつながって、銀行の名前とか、あるいは支店名とか、あるいは表記の揺れ、株式会社をカと書くか株と書くか株式会社と書くかとか、いろんな問題があるわけでございまして、そういうものが何かシステム的に処理できればよいなという希望は持っております。
  242. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  きょうは、その銀行口座の関係で、ちょっと時間がなくなってきましたが、厚労省、厚労省は年金機構も持っています、ハローワークも持っています。それから国税庁、税の還付とか。その厚労省、国税庁から、それぞれが銀行口座をデータベース化みたいにしているのかどうか、そのときに、今あったみたいに、その口座の実在確認はどうやっているのか、簡単で結構ですから、それぞれ御紹介をいただきたいと思います。
  243. 日原知己

    日原政府参考人 年金の部分についてお答え申し上げます。  年金につきましては、年金の裁定請求手続を行う際に、請求書に振り込みを希望されます金融機関の名称や口座番号などを記載いただきますとともに、金融機関の証明印を受けて提出いただくか、又は預金通帳の写しを提出いただくことで振り込み先の確認を行わせていただいております。  また、年金受給者の方の口座情報につきましては、日本年金機構におきまして、システム上管理しているところでございます。
  244. 岸本武史

    岸本政府参考人 雇用保険についてお答えいたします。  雇用保険の失業等給付の手続におきます銀行口座の本人確認につきましては、払渡希望金融機関届に金融機関名及び口座番号等を記載いただいた上で、御本人に金融機関による確認印を受けていただく、又は、通帳又はキャッシュカードを職員が目視で確認をするといった方法のいずれかにより確認をしておりまして、その口座情報はデータベースにおいて記録をしております。
  245. 新井智男

    新井政府参考人 国税関係についてお答えを申し上げます。  国税当局におきましては、納税者の方から提出されました還付申告書に記載されております預貯金口座の情報につきまして、確定申告情報の一部としてシステム上管理しておりまして、その結果、預貯金口座の記載誤り等によりまして振り込みが行えなかった場合等におきましては、納税者に対し改めて預貯金口座を照会しまして、実在確認を行っているところでございます。
  246. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  もう最後になりますが、今あったように、結局、国税もハローワークも、それから年金機構も、みんな同じような、非常に原始的なことをやっています。だから、先ほど奈須野部長にお願いした全銀ネットともしつながれば、国のいろんなつかさつかさの部署が全銀ネットとつながれば、いや、ちょっと数字が抜けていましたとか、銀行が合併して名前が変わりましたというところはリアルタイムでアップデートされていくということですから、私は、ぜひこういうこともやることが、この電子申請の本格的な利便性を高めていくことになると思っています。  きょう、あと、総務省もお越しいただいているんですが、実は、今回、皆様御注目の十万円、十万円のために口座を全世帯に申告してもらっていますよね。でも、市町村にはもともと口座があるんですよ。例えば水道料金の引き落とし、住民税の引き落とし、それから児童手当の振り込み。だから、引き落とし口座、振り込み口座で、もう銀行口座は市町村に山のようにある。なぜそれを使わないのか。総務省、なぜそれを。  例えば、それを使っていいですか、承認だけでよかったんですよ。その申請書のフォームを見ると、その三つは書いてあるんです、水道等々、書いてある。それは、何のためにチェックするかといったら、間違っていないかどうか照会をするために水道部局に問合せをしてもいいですかという承認、チェックはあるんですよ。でも、もう一回口座番号を書いてもらっているんですよ。いや、そうじゃなくて、使っていいですかでよかったんじゃないんですか。どうですか、総務省。
  247. 前田一浩

    前田(一)政府参考人 お答え申し上げます。  特別定額給付金の給付につきましては、口座振り込みを原則としておりまして、申請処理、振り込み口座の記載をお願いいたしますとともに、口座番号等の確認のため通帳等の写しの添付もお願いしているところでございます。  その際、給付金の振り込み口座と、御指摘もありましたが、例えば水道料金引き落としに利用しております口座が同一の場合、申請書にチェックを入れていただきまして水道部局への口座の照会に同意していただくことで、通帳等の写しの添付を不要とし、申請者の便宜を図るということにしているところでございます。  申請書にチェックを入れれば、口座情報の記載を省略してもよいのではないかとのお尋ねでございますけれども、この口座情報は市区町村内の給付金担当の手元にはございませんので、記載がなければ、別部署に赴いて口座情報の転記をする必要などが生じますので、かえって市区町村の給付金の担当事務量がふえてしまう、かように、事前に市町村の方にも、我々、その申請書の標準様式を定める際に問合せ、意見をいろいろ聞いてはおるんですけれども、やはりそういうふうな御意見もございました。  それから、水道料金引き落とし等と同一の口座であったとしても、実は申請者の方が意図していない口座であるような場合も考えられるということなので、本人が確認した上で口座番号を明記していただいた方が間違いがないというようなことから、市区町村における事務処理の確実性というものを考慮して、口座情報の記載をお願いしているというものでございます。
  248. 足立康史

    ○足立委員 もう時間が来ましたので終わりますが、今与党の皆さんも聞いていただいて、今与党が準備していただいている議員立法はいかに重要かということが、私、ユ党でありますが、私の質疑で改めて明確になったと思います。国会はもう会期末でありますが、ぜひ皆様のお力で仕上げていただきますようお願いして、質問を終わります。  ありがとうございます。
  249. 富田茂之

    富田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  250. 富田茂之

    富田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出中小企業事業承継促進のための中小企業における経営承継円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  251. 富田茂之

    富田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  252. 富田茂之

    富田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、武藤容治君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党日本共産党及び日本維新の会・無所属の会の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。山岡達丸君。
  253. 山岡達丸

    ○山岡委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     中小企業事業承継促進のための中小企業における経営承継円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 中小企業経営の安定及び資金調達円滑化を図るため、経営者保証に依存しない融資を一層促進すること。    また、事業承継の際の障壁となっている経営者保証の解除については、「経営者保証に関するガイドライン」及び同ガイドラインの特則の周知を図り適切な運用を促すとともに、本法により新たに措置される信用保証制度の活用状況及び経営者保証解除による事業承継促進への効果について適時検証し、円滑な事業承継が実現するよう、必要に応じて更なる対応策について検討すること。  二 新型コロナウイルス感染症影響に伴う景気悪化の中、中小・小規模事業者の廃業や倒産の回避のため、万全の対策を講じること。加えて、後継者が見つけられず廃業に追い込まれる中小企業が増加しないよう、第三者承継や中小M&A市場の活性化を含む施策を講じるとともに、税制面・予算面も含めた更なる支援策を早急に検討すること。  三 中小企業海外展開支援については、新型コロナウイルス感染症影響によるサプライチェーンの多様化や国内における生産拠点の再構築の動向等も踏まえるなど、中小企業ニーズ把握した上で、的確な支援策の充実を図ること。    また、中小企業新型コロナウイルス感染症を契機に世界で生まれる新たな需要に対応できるよう、情報提供ニーズの発掘、マッチング支援等、資金面以外の支援もあわせて強化すること。  四 各種計画制度の整理統合に当たっては、これまでの計画制度の運用実績、効果等の検証を的確に行い、事業者にとってより使い勝手のよいものとなるよう見直すとともに、既存の制度を活用してきた中小企業に混乱が生じないよう、情報の周知徹底を図ること。また、計画の申請手続については、可能な限り簡素なものとし、事業者の負担軽減を図るとともに、とりわけ、計画の電子申請については、申請書類等の合理化とあわせ、事業者間のデジタル・デバイド(情報格差)に十分に配慮しつつ取り組むこと。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  254. 富田茂之

    富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  255. 富田茂之

    富田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、梶山経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。梶山経済産業大臣
  256. 梶山弘志

    梶山国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。     ―――――――――――――
  257. 富田茂之

    富田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  258. 富田茂之

    富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  259. 富田茂之

    富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時八分散会