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2020-05-20 第201回国会 衆議院 経済産業委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年五月二十日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 富田 茂之君    理事 大岡 敏孝君 理事 神山 佐市君    理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 淳司君    理事 武藤 容治君 理事 田嶋  要君    理事 山岡 達丸君 理事 鰐淵 洋子君       畦元 将吾君    穴見 陽一君       安藤 高夫君    石川 昭政君       石崎  徹君    岡下 昌平君       神田  裕君    古賀  篤君       國場幸之助君    武部  新君       辻  清人君    冨樫 博之君       野中  厚君    福田 達夫君       穂坂  泰君    星野 剛士君       細田 健一君    三原 朝彦君       山際大志郎君    吉川  赳君       和田 義明君    浅野  哲君       落合 貴之君    柿沢 未途君       斉木 武志君    宮川  伸君       山崎  誠君    中野 洋昌君       笠井  亮君    足立 康史君     …………………………………    経済産業大臣       梶山 弘志君    財務副大臣        遠山 清彦君    経済産業大臣      牧原 秀樹君    経済産業大臣政務官    中野 洋昌君    政府参考人    (経済産業省大臣官房技術総括保安審議官)    小澤 典明君    政府参考人    (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 高橋 泰三君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君    政府参考人    (資源エネルギー庁資源燃料部長)        南   亮君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      村瀬 佳史君    参考人    (公益財団法人地球環境産業技術研究機構理事長研究所長)        山地 憲治君    参考人    (一般社団法人日本経済団体連合会資源エネルギー対策委員会企画部会長代行)            小野  透君    参考人    (社会保障経済研究所代表)            石川 和男君    参考人    (認定特定営利活動法人気候ネットワーク東京事務所長)          桃井 貴子君    経済産業委員会専門員   佐野圭以子君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  強靱かつ持続可能な電気供給体制確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案内閣提出第二六号)      ――――◇―――――
  2. 富田茂之

    富田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、強靱かつ持続可能な電気供給体制確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として、公益財団法人地球環境産業技術研究機構理事長研究所長山地憲治君、一般社団法人日本経済団体連合会資源エネルギー対策委員会企画部会長代行小野透君、社会保障経済研究所代表石川和男君、認定特定営利活動法人気候ネットワーク東京事務所長桃井貴子君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、まず山地参考人にお願いいたします。
  3. 山地憲治

    山地参考人 御紹介いただきました地球環境産業技術研究機構、英語の略称RITEとよく呼ばれていますが、そのRITEの副理事長研究所長を務めております山地でございます。  私は、今回の法案に関して、幾つかの審議会にかかわってまいりました。直接関係するのは再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委、よく主力化小委略称していますが、それと持続可能な電力システム構築小委、これは構築小委という略称ですが、両方の委員長を務めております。  まず、再エネ特措法改正に関するものですけれども、これはFIT、再エネ電気固定価格買取り制度抜本見直しを行うものであります。  FITは、先行するものとしては二〇〇九年十一月から施行、これは前の自公政権時代に決まったものですけれども、家庭用太陽電池余剰電力固定価格で買い取ることから始まりまして、それから、二〇一二年七月から現在の再エネの全量固定価格買取りというのが始まったわけであります。  これは非常に、私、当時から、劇薬だ、強力な政策だけれども副作用が大きいと申し上げておりまして、現実に、太陽光発電は今、ほぼ六千万キロワット程度になっております。これはFIT施行前から考えると、十倍という水準でございます。  ただ、同時に、大きな課題もございまして、国民負担ということでございますが、まずは賦課金というものがございます。これは、電気価値電力コストなんですけれども、それ以外の部分、買取りは高いですから、それを電力消費者が一律に負担するもの、これが年間二・四兆円というレベルに達しております。ここ数年続いております。  それから、系統制約電力系統の中につなげなきゃいけないんですけれども、エリア全体の需給バランスをとるとか、あるいは送電容量バランスとの関係とか、それが顕在化している。  それから、FITによっていろいろな業種の方が発電に参加されたものですから、なかなか安定的な事業運営、もっと厳しく言えば、事業規律が十分確立していない、こういう問題がある。  ということで、まず改正FIT法、これは二〇一六年に決めていただいて、二〇一七年四月から施行ですけれども、これでまず入札をして、当初、太陽光の方は二千キロワット以上ですが、拡大していってコストを下げていく。  それから、未稼働案件がある。高い価格の買取りで認定を受けたんだけれどもなかなか運転しない、こういうものを抑制していく。  それから、事業規律を求めていくということで、まず事業認定するということにして、系統接続契約ができた段階で認定する。  それから、二〇一六年八月以降の接続契約については三年の運転期限を設けるとしたわけですけれども、なかなか未稼働案件の整理がつかないというのが続きました。それで、二〇一七年の十二月から、再生可能エネルギー大量導入次世代電力ネットワーク小委員会というのを設けまして、まず未稼働案件、これは運転開始タイミング、要するに、運転開始期限がないものもあるんですけれども、そのタイミングに合わせた買取り価格を、運転開始の二年前の買取り価格、つまり、当初のものよりは安い買取り価格にして運転開始を促すということをやりました。  また、系統接続問題が出てきたものですから、既存系統を徹底活用するということで、日本版コネクト・アンド・マネージということで、あきを見つけてそこでつなげていこう、そういうことをやりました。  また、北海道と本州の連系線のところの増強のところでも費用便益分析をして、それで効率的なものを決めて、負担便益に応じて、つまり、再エネ便益なら再エネ便益において全国負担する、そういう方式を出しました。  そして、今回の主力化小委とか構築小委で今回の法案ということになったわけですが、大事な点は、まず、再エネ電源競争電源地域活用電源という、タイプを二つ分けようと。  競争電源というのは、大規模太陽光とか風力とか大規模なものですけれども、これは、卸電力市場価格と連動して、それにプレミアムを交付するという形、これをフィードインプレミアムと言っていますけれども、これを導入するという案であります。FIP価格フィードインプレミアムの略ですけれども、これは多分入札で決めるんですけれども、それと、市場価格から決める参照価格を決めて、FIP参照価格の差分をプレミアムに乗せる。その参照価格の設定で、いろいろ柔軟的な運用ができます。  それから、地域活用電源というのは、地域活用要件というのを確認してFIT制度を継続する。自家消費型と地域一体型があるというわけで、まず、今年度から五十キロワット未満の事業用太陽光発電について自家消費型を求める。ちゃんと三〇%自家消費するという計画を立ててもらって、買取り価格については、五〇%を自家消費ということで買取り価格を決める。キロワットアワー十二円ということになりました。それから、入札の範囲も拡大していくということになっております。  もう一つ事業規律がございまして、これは、情報の開示あるいは未稼働案件を更に整理していくということはありますが、特に注目されるのは、廃棄費用外部積立てということでございます。  それから、先ほどもちょっと言いましたけれども、これはむしろ電事法改正に関連しますけれども、費用便益分析をして系統整備をする、再エネメリット分というのは賦課金方式費用を回収する。  それからもう一つ分散グリッド推進するということで、いろいろと、地域一体型とか、そういうものを推進するということで、配電ライセンスとかアグリゲーターライセンスを導入する。  電事法改正につきましては、まずは災害時の連携を強化するということで災害連携計画というのをつくっていただく、また、仮復旧の費用を積み立てておいて相互扶助をする、電力データを活用する。  それから、もう一つ非常に重要なのは、計画的に系統整備をするということで、プッシュ型と言っていますけれども、今まで、接続した人が申し込んでそれに対応する、あるいは、複数いる場合には募集プロセスだったんですけれども、むしろ系統側から一括検討を持ちかけて速やかにやっていこうと。また、マスタープランと言っていますけれども、広域系統整備計画をつくる。  それから、託送料金ですけれども、公益部門送配電公益部門ですから総括原価で決めていくわけですけれども、その部分インセンティブを入れようということで、レベニューキャップインセンティブ規制にする。そうすると、効率化すると利益が出る、その分を、社内でも使えるけれども利用者にも還元。あと、既存設備計画的に更新するとか、あるいは、送配電固定費の塊ですから、基本料金部分をもっとふやしていこう、そういうようなやり方。  もう一つ重要なのが分散電力システムで、よく審議会では、広域化する送電分散化する配電、そういう言い方をしているんですけれども、配電事業ライセンスというのを設けて、デジタル化によってビジネス展開をしていこうというのと、これはいろいろあって、あるいは遠隔地の場合、配電独立というのもあり得るだろう、そういうことができるようにする。  それから、アグリゲーター法律用語特定卸供給事業と言っていますけれども、このアグリゲーターもライセンス化して、需要側分散資源を活用しよう、そういうこと。  それと、それに伴うことでありますが、電気計量計量法に基づいて縛られているんですけれども、分散型設備を使った電力取引とかデータ活用になりますと、計量一定程度緩めていこう、もちろん一定条件を課すんですけれども、従来ほど厳しくない、緩和をするということが内容です。  もう時間ですので、私の意見をまとめて言いますと、まず、FIT抜本見直し電力システム改革も、私は道半ばだと考えております。  今回の再エネ特措法改正というのは、経済的に自立した再エネ主力電源化するための重要な一歩と考えています。経済的自立には、電源コストだけじゃなくて、調整力も含めた系統コスト低減も必要だ。また、需給調整には、デジタル社会を実現して需要側設備を活用するということも期待される。  電力システム改革については、まず、今、電気安定供給という言葉があるんですけれども、その安定供給市場で実現しようとしている。容量市場とか需給調整市場、これは整備の途中です。こういうのを通して安定供給価値市場で取引する。  ただ、市場取引がふえると、いわゆる取引費用というコストがかかります、これは経済学用語ですけれども。それを抑えるために、デジタル技術を活用して取引費用をできるだけ抑えないと、さまざまな市場が、非常に社会的コストがかかる。  それから、基幹送電網は、より広域系統整備して運用をする必要があると思います。  もう一つは、しかし、エネルギーインフラ形成というのは長期的な視点からの投資が必要でありますが、市場はどうしても短期重視ということになります。固定費をいかに回収するか、その確実性を増して、長期投資予見性を高める必要があります。これは今後の課題だと私は思っている。  もう一方は、先ほどの広域化する送電分散化する配電で、需要側にはさまざまなエネルギーに関連する資源がありますから、配電系統には、それを取り込んだ新しいビジネスを展開するプラットフォームの機能を持たせるというようなことを考えております。  いずれも非常に大きなエネルギーシステムの転換を目指すものであって、共通するのは、デジタル技術を使った社会システムイノベーションというものをベースにすべきだというふうに考えております。  以上です。(拍手
  4. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  次に、小野参考人にお願いいたします。
  5. 小野透

    小野参考人 ありがとうございました。  日本経団連小野でございます。本日は意見陳述機会をいただき、御礼申し上げます。  足元、日本電力構造的変化に直面しています。脱炭素化分散化デジタル化といった潮流を捉え、再生可能エネルギー主力電源化や、老朽化した送配電設備更新次世代化、安全が確認された原子力の再稼働といった諸課題対応することが急務になっています。加えて、昨今の自然災害に伴う大規模停電送配電網等への被害により、安定供給確保のための電力インフラレジリエンス強化重要性が再認識されました。  今般の改正法案は、こうした状況を踏まえ、強靱かつ持続可能な電力供給体制確立を図るべく、多方面から対策を講ずるものと認識しており、基本的な方向性に全面的に賛同いたします。  本日の意見陳述の背景を御理解いただくために資料を準備いたしました。お手元の二枚つづりの資料をごらんください。  まず、図一ですが、東日本大震災以降、日本電気料金は、原発の稼働停止に伴う化石燃料たき増しFIT賦課金などの影響で、産業用特別高圧で約五割、低圧でも二五%も値上がりしています。  図二に示しますように、日本産業用電気料金世界でも最も高いレベルにありますが、これは国際市場において大きなハンディキャップとなっており、国内での事業活動、とりわけ電力消費産業に甚大な影響を及ぼしています。  二枚目の図三をごらんください。これは、震災前後、二〇一〇年と二〇一七年の比較でございますが、製造業における購入電力使用額製品出荷額従業員数、一人当たりの給与変化を示しています。  製造業全体では購入電力コストが二二%上昇する一方で、出荷額雇用給与のいずれもプラスとなっていますが、電力消費産業である鉄鋼関連産業では、電力コストが一四ないし一七%上昇する中で、出荷額は一五%減、雇用も一〇%程度減給与も下がっており、このため、多くの事業者が廃業や事業所の閉鎖に追い込まれています。なお、これは現下の新型コロナウイルスによる経済影響前の構造的状況であります。今後更に厳しさを増していくものと危惧されます。  市場がグローバル化し、国内外の競争環境が一層厳しさを増す中、企業の国内投資、ひいては国内での雇用を維持する意味でも、一連の改革コスト効率的に進み、将来にわたり電力が安定的に低廉な価格で供給されていくことが不可欠と考えます。本日は、こうした観点から、再エネ特措法電事法改正法案について意見を述べさせていただきます。  まず、再エネ特措法についてです。  再エネは、エネルギー自給率向上や脱炭素社会実現等に資する重要なエネルギー源であります。我が国の主力電源とすべく適正な事業環境整備し、一層の低コスト化安定供給への貢献責任と規律ある事業運営を実現していく必要があります。  現行FIT制度は再エネの量的な拡大には貢献しましたが、賦課金による年間国民負担の総額が既に消費税一%分に相当する二・四兆円に達しています。これは、国際水準から見て割高だった電気料金を一五%以上押し上げることになり、今後も当面、負担は拡大していくものと考えられます。国民負担抑制産業競争力維持観点から、FIT制度抜本改革は待ったなしの状況にあると言えます。  今般の法改正は、FIP制度導入を始め、再エネ市場統合を進めるべく、FIT制度を抜本的に見直すものであり、改革方向性を支持いたします。  今後の再エネ導入支援に当たっては、将来の自立化を見据えて支援対象を絞り込むことが当然の前提となります。この点、発電コスト低減状況地域貢献程度を踏まえ、電源競争電源地域活用電源に区分し、電源特性に応じた支援を行っていくことは一定合理性があると考えます。  競争電源について、国民負担抑制観点から、FIP価格の決定に当たり入札制導入することや、再エネ電力安定供給貢献する電源とする観点から、再エネ発電事業者インバランス責任を課す制度へと改める方針に賛同いたします。やむを得ず一部の例外や経過措置が必要となるケースがあったとしても、法改正実効性を損なうことがないよう、慎重な制度設計が必要であると思います。  地域活用電源については、FIT制度が暫定的かつ特例的な支援であるという前提のもと、レジリエンス向上地産地消といった趣旨に沿って、その適用対象が限定的になるよう慎重な検討をお願いいたします。  繰り返しになりますが、FIT制度と今回創設されるFIP制度は、再エネ経済的に自立するまでの経過的な支援制度であります。こうした基本理念を忘れることなく、再エネ市場統合コストダウンを不断に図る中で、競争電源地域活用電源の線引き、対象電源支援あり方を適宜見直すとともに、一定の年限を付して、制度自体のさらなる見直しを実施していただきたいと思います。  次に、電気事業法改正についてであります。  今般の改正では、電力システム構造的変化を踏まえ、系統整備あり方託送料金改革配電事業等ビジネス環境整備など、持続可能な電力システム構築に向けて必要な対応を行うものと理解いたします。こうした考えは、経団連の目指す方向性と軌を一にするものであり、全面的に支持いたします。その上で、期待も含めて、二点申し上げたいと思います。  一点目は、系統整備費用負担あり方についてです。  送配電設備老朽化や再エネ大量導入が進展する中、今後、系統整備には多額の費用がかかることが想定されます。  安定供給に必要な投資を確保することは大前提でありますが、増強判断に当たって適切な費用便益分析を実施することはもとより、エネルギー基本計画にも明記されているとおり、再エネ発電コスト系統コスト合計コストを引き下げることが不可欠であります。  この点、コスト効率的に系統整備を進める観点から、今般、発電側個別要請対応するプル型から、広域機関一般送配電事業者によるプッシュ型の系統形成に転換する仕組みが整備されることに賛同いたします。  また、費用負担あり方について、受益と負担関係を踏まえて、連系線増強費用の一部を全国負担とすることも違和感はございません。  今回、山間部等において電力安定供給効率性向上が得られる場合、配電網独立運用が可能とされました。分散型グリッドは、次世代電力システムが向かう一つ方向性ではあると理解しますが、あくまでも全体最適に資するかという観点を常に念頭に置くべきであり、全体最適の中で対象地域安定供給経済合理性に資することが必要条件であると思います。特に、平時は主要系統と接続する分散型グリッドについては、現実には乗り越えるべき課題が多いと認識しております。  二点目は、託送料金改革についてです。  今般の法改正導入されるレベニューキャップ制度により、事業者効率化を促してコストを最大限抑制するとともに、送配電設備の適切な更新次世代化に向けた投資環境整備することが可能となるものと認識いたします。国民負担を最大限抑制しつつ、脱炭素化分散化デジタル化追求の基盤となる次世代電力ネットワーク構築していく上で重要な対策と理解し、全面的に同意いたします。  最後に、電力安価安定供給は、国民生活のみならず、日本経済雇用を支える産業の現在並びに将来にとって極めて重要な要件であります。このことは、平常時のみならず、緊急時においても当然求められることであり、中東情勢不透明化や、近年の大規模自然災害発生等を受けて、より一層重要性が高まっているものと認識いたします。こうした状況を踏まえ、エネルギー供給強靱化に向けた制度的対応急務であります。  また、来るべきコロナからの回復期において電力投資が活性化することで、経済浮揚デジタル化推進がともに進むことも期待されると考えます。本法案の速やかな成立と着実な実施をお願いしたいと思います。  ありがとうございました。(拍手
  6. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  次に、石川参考人にお願いいたします。
  7. 石川和男

    石川参考人 おはようございます。石川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、お手元に私の名前を書きました資料を七ページ用意いたしまして、これに沿いまして陳述をしたいと思います。  この法律案、厚さ一センチぐらいの法律案でありまして、大変なものだと思います。本当に、これまでの梶山大臣を始めとした政府御当局の皆様、大変な利害調整だったと思いますが、よく取りまとめられたなということで、まず敬意を表したいと思います。  その上で、私は、本法案につきましては、めくっていただきまして一ページ目ですが、賛成であります。早く成立を見て、そして施行していただきたいということなんですが、きょうは、せっかくの機会ということもございまして、この法律案の具体的な中身、その改正法施行の暁における運用面でのいささか注文したいということに加えまして、やはり何といってもコロナでございますね。これに関しては、日本のみならず世界経済は非常に傷んでいるという観点から、このエネルギー強靱化法案成立されたときに、言ってみれば、だしに使うという言い方はちょっとあれですけれども、こういうルールというのはやはりそれを使っていくことが大事だと思いますので、エネルギーというこの分野におきまして、コロナ後、アフターコロナなのか、それともコロナとともに行くという意味ウイズコロナなのか、いろいろな意味があろうかと思いますが、この資料ではウイズコロナという表現でもって、幾つかの政策提言も含めて陳述をさせていただきたいと思います。  めくっていただきまして、二ページ目でありますけれども、まず一つ目電気事業法改正。  ここは、今回私が非常に注目して、ぜひこういったものを法の運用で明記しておくべきということを、ここに幾つか掲げさせてもらっていますけれども、まず1といたしまして、送配電事業者、いわば送電会社が災害時の連携計画をつくるということでございます。  これは、恐らく去年の台風十五号、十九号、これは関東を直撃した大きな二つの台風でございまして、私も関東に住んでおりますので大変なことだったなというふうに記憶に新しく、更にその前の年の関西豪雨、いわゆる気候変動というか、気候のそういう自然災害、こういったことに対して、やはり送配電網の役割というのが再認識されたと思います。特に、去年の台風では倒木が送電線をなぎ倒してしまったということで、非常にその停電の回復がおくれたというのは記憶に新しいかと思います。  そういった点におきまして、ここに赤い字で書きましたけれども、自衛隊や消防、警察、そういう当局、道路管理者、こういった行政機関に対して、送電会社がいわば連携をするということなんですけれども、前回の台風のときの災害復旧のことを私なりに拝見させてもらって強く感じましたのは、やはり電力会社は民間企業なんですよね。なので、やはり行政機関の中心になって何かを仕切るというのは難しいんじゃないかということで、やはりこれは政府電力の場合には経済産業省ということでここで書いていますけれども、経産省が前面に出て取りまとめる、仕切るということを、今回の運用として、ぜひ、私は、この国会の先生の皆様から政府に対してそういう指示を出していただくのも一つの案かなというふうに思います。  それともう一つ、この下に、「また、」ということで、「感染症蔓延時」と書いていますけれども、これはこの法律をつくる過程ではなかったことだと思うんですね。コロナによって、今、実は、どこにも行くなというふうに言っているわけですね。越境するなということなんですけれども、どうしても、送配電網の話になりますと越境するわけであります。北は北海道、南は沖縄まで十社の送配電区域があるわけですけれども、当然県をまたぐことがあるわけであります。そういったことにつきましても、政府が前面に出て、ここで政府と書きましたのは、経産省だけではなくて、やはり厚労省当局も含めた、そういうところも参画をして、きちんと指揮をとるという体制が必要かというふうに思います。  それから、次の矢印でございますけれども、これは、恐らく六月になって解除になるだろうというふうに私は想像しておりますけれども、そのときに、どんどんどんどん動き出すというときに、現場の職員の方、エッセンシャルワーカーの方々が安心して働けるという環境も非常に重要だなと思いますので、例えばいろいろな、抗体検査でありますとかPCRとか、いろいろ話が出ておりますけれども、そういった検査というものを優先的にこういう公共インフラ分野の職員の皆さんに提供するという体制も必要じゃないか。これは必ずしも電力インフラのみならず、水道でありますとか鉄道でありますとか、そういった公共インフラにも通ずることかなというふうに思っております。ここで提言をさせていただきたいと思います。  それから、その下でございますが、2ということですが、これは何を言っているかというと、送配電線というのは更新していくわけですね。これは、実は公共事業という形で雇用対策になるんじゃないかと。雇用対策のためにやるというわけではないんですが、結果的に雇用対策となるということでございまして、特に九〇年代、不景気、バブルが崩壊して、その後、景気対策をぼんぼん打っていったわけですけれども、その中には、こういう公共インフラの整備をするということでもって、政府あるいは自治体がお金をつけることで、雇用を促進し、維持したという経緯もございます。いろいろ、当時は無駄だなんと言われましたけれども、私は結果的にそうは思っておりません。やはりああいった努力があったからこそ、今、日本インフラがきちんと機能しているんだと思います。そういう意味におきましては、これは法改正と絡めた、言ってみればウイズコロナ経済対策一つ政策の材料として皆様にお考えいただければなというふうに思います。  次のページです。電気事業法改正の二つ目ですが、配電事業者、それから遠隔地での配電網の独立化。  これは、やはり分散型電源が進んでいく、そういうふうな政策の方向ということで、私はこれはよろしいかと思います。  ただ、一つだけ申し上げたいのは、ここで配電事業者については許可制がしかれておりますが、その条件といたしまして、FITのときに、太陽光発電がどんどんどんどん、ぼんぼんぼんぼん出てきちゃって太陽光バブルみたいになった。その教訓も私は踏まえるべきだと思っておりまして、やはり最終的には、ここで書いておりますのは、どんどんどんどん入ってきてほしいと思うんです、配電事業者、新規参入、ただし、いざとなったときに結局誰が面倒を見るかといったら、これは大手電力会社ですね。  したがいまして、やはりレジリエンスというのは今回のテーマであります。そういったことを考えますと、私は、この配電事業を進めていく上で、より一層円滑に進めるためにも、そこを取り仕切る送配電会社、大手の送配電会社の資本参加というものもきちんと義務づけるべきじゃないかというふうに思います。これはいざというときのための備えの発想であります。  それから、2でありますけれども、アグリゲーター、ここに絵を用意させていただいておりますけれども、これは政府資料から引用させてもらいました。  分散型電源電源でありますとか蓄電池、これは全て分散型電源でありますが、こういったものをいわば集めていくというのがアグリゲーターの役割なんですけれども、これも非常にいい政策だと思いますが、私はこれは、さっき申し上げたような経済対策としても一つ機能するんじゃないかと。  下のところに括弧書きで、実は、太陽光はバブルといいながら、あれは事業用であります、家庭用は、九割以上がらあきです、屋根はがらあきです。今後、究極の分散型電源である太陽光、そういう再生エネルギーを将来主力化していくということであるならば、ここを少してこ入れしていくというのが一つ景気対策としてあるんじゃないかなというふうに思いますので、ぜひとも、今後、二次補正等々で経済対策をここの委員会でも審議されると思いますけれども、一つ委員の皆様に、これを私として提言をしておきたいというふうに思います。  次のページです。再エネ特措法についてですが、大きく二つほど提言をさせていただきます。  一つ目が、例の太陽光パネルの廃棄の外部積立ての問題でございますけれども、これも、なかなか、事業者にしてみれば、廃棄のお金を積み立てるとかしてこなかったんですけれども、これを今回義務づけるということで、賛成ですけれども、内部積立てと外部積立てということで随分もめたと。内部積立てをしたいという事業者が多かったと思うんです、私もその気持ちはよくわかるんですけれども。やはり非常に大きな条件をつけて、ちゃんとするということをコミットした場合には、まあそれもいいのかなというインセンティブ制というものをしいてもいいんじゃないかというふうに考えております。  二つ目でありますけれども、失効についてですけれども、今回失効のことをぼんと出す、これも大事なことだとは思うんですけれども、一旦つくった設備を失効して、それはだめだということも、これもどうかと思いますので、こういった設備を、設備には罪はないわけでありますので、大手事業者を含めて、そういったところに設備譲渡、集約というものを進めるルールも必要であろうというふうに思います。  これは、実は、前回、二〇一六年の再エネ特措法改正案の審議のときに、私、参考人で立たせていただきましたときにも提言をしたものでございます。そういった方向になりつつあるのかなというふうに思っております。  最後にということで、次のページですが、電力産業発のコロナウイズコロナ経済対策ということで、ぜひとも心にとめておいていただきたいのは、再エネが高いという印象はやはりあります。2で書いていますけれども、我が家の例で恐縮ですけれども、再エネ賦課金、このぐらいです、二千円超えちゃいました。計算すれば、恐らく皆様の御家庭でも消費税よりも高くなっております。社会保障財源よりも高い財源が電気から取られているという。  だからといって、やめるわけにいきません、再エネは進めますということでもって、では、再エネの高いところをどこかで面倒を見ないかぬということで、今とまってしまっている原子力について、暫定的にでもいいからフル活用したらどうかというふうに私は考えております。そこの財源を出して再エネに充てるということで、CO2のない原子力と再エネの共存共栄、そういったことで日本エネルギー安全保障をいま一度考えていただきたいというふうに思っております。  それと、最後になりますけれども、もう一つだけ言わせてください。コロナということでありまして、地域経済対策。私も、こういう仕事をしておりますといろいろな声を聞くんですが、今回の経済対策で兆単位の巨額の予算がついているものが三つあります。これは経産省関係ということですが、ここの二番で書きましたけれども、政府系金融機関による資金繰り、それから持続化給付金、そしてゴー・トゥー・キャンペーン、これはどれも注目度が高いです。  特に、持続化給付金は物すごく人気があるといいますか、私のところにも非常に問合せが多くて、助かっているという声を聞いております。それからゴー・トゥー・キャンペーンに関しては、非常にこれも期待感が高いということを私は肌で感じております。  ぜひともスピード感を持って、国会の皆様そして政府の皆様には、多分六月に解除になると思いますので、そこをがんと、そのときにV字回復にいけるように準備を進めていただければなというふうに一人の国民としてお願いをしたいと思います。  ありがとうございました。(拍手
  8. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  次に、桃井参考人にお願いいたします。
  9. 桃井貴子

    桃井参考人 気候ネットワーク東京事務所の桃井と申します。  このたびは、このような発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。  気候ネットワークは、市民の立場から気候変動問題に取り組み、原発に頼らず化石燃料による温暖化もない持続可能な脱炭素社会構築することをミッションに、活動を展開しています。  本日は、お手元資料を配らせていただきましたので、これに沿いながらお話をしたいと思います。  現在、世界じゅうで森林火災や洪水、熱波など気候変動の影響があらわれ、甚大な被害が起き始めています。コロナの危機は数年のうちに終息することが期待されますが、気候の危機は、今後事態がより深刻化することが科学的にも明らかで、人類が直面する最大の危機です。  今、エネルギー政策に求められているのは、こうした気候危機への対応、そして、東日本大震災の原発事故や北海道での石炭火力発電所停止によるブラックアウトなど、大規模集中型電源がもたらした悲惨な状況を乗り越えることであり、そのために再エネ主力電源化するという方向に徹底することだと考えています。  しかし、今回のエネルギー供給強靱化法案として束ねられた法案は、化石燃料への依存を高め、再エネ普及にブレーキをかけることになりかねないと考えています。  まず、JOGMEC法についてです。  最も懸念していますのは、JOGMECの業務拡大の範囲に燃料調達が含まれたことです。  JOGMEC法改正案第十一条二の三で、「電気事業法第三十三条の三の規定による燃料の調達を行うこと。」が加えられています。また、電気事業法第三十三条三には、経済産業大臣は、電気安定供給の確保に支障が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、発電の用に供する燃料の調達が特に必要であり、かつ、JOGMEC以外の者による調達を困難とする特別の事情があると認められるときは、JOGMECに対し、当該燃料の調達を要請することができるとしています。  世界的に今金融機関や投資家らによる化石燃料産業からの投資撤退、いわゆるダイベストメントが進み、その影響から、最近日本でもようやくさまざまな商社が石炭事業から手を引くことを宣言し始めています。  例えば、三井物産は二〇一七年に燃料用石炭を産出する鉱山の新規開発から撤退を表明、二〇一八年には三菱商事がオーストラリアの炭鉱を売却、二〇一九年には伊藤忠商事が新規の石炭火力発電所関連事業からの撤退とともにオーストラリアの石炭権益の一部売却を表明しています。  本来、この状況下で政府に求められるのは、こうした化石燃料資源からの脱却の流れを加速させ、再エネの拡大を着実に図り、安定的にエネルギー転換を促進させていくことだと思います。  しかし、この法案はむしろその逆で、化石燃料資源の調達を民間企業が手放していることを背景に、政府が率先してJOGMECに燃料調達をさせるということができるものです。  有事への対応などと説明していますが、気候変動こそが人類が直面する世界最大の危機であり有事ではないでしょうか。政府として対応すべき優先順位が全く誤っていると思われます。  まずは、パリ協定に整合する一・五度に気温上昇を抑制するべく、現在のエネルギー基本計画及びエネルギーミックス自体を早急に改めることが先決だと思います。  この間の経済産業省の政策を見ますと、石炭に対しては、やり過ぎとも言える手厚い保護を行っています。  例えば、ことし七月から第一回目の入札が行われる予定の容量市場は、四年後に発電可能な電源であることを前提に、原発や石炭火力を含めた発電所に事実上の補助金が支払われます。いつまでも原発や石炭火力を不公正に保護する非常に問題の多い仕組みです。複数のオプションが真剣に検討されることもなく、安定供給や有事への対応を理由に導入されています。  また、二〇一二年以降に数々浮上した石炭火力発電所の建設計画に対する環境アセスメントのプロセスでは、気候変動の最大の要因と言える石炭を燃料とすること自体に疑義を唱えることなく、全ての計画に確定通知を出しています。  さらに、省エネ法ベンチマーク制度においてさえも、副生物活用、コジェネ、バイオマスの混焼によって発電効率を見かけ上高く見せることができる仕組みや、共同実施でベンチマーク達成を容易にする方法がとられ、実質的に石炭火力を利用し続けることを認めています。  結局、石炭火力をとめるブレーキすら何もない状況です。まさに国連事務総長から指摘を受けた石炭中毒そのものをあらわしていると思います。  その中での今回のJOGMEC法改正は、パリ協定のもとで日本の民間事業者などにもあらわれ始めた脱石炭の機運を潰し、むしろ時代錯誤の石炭の継続利用へとぶり返しになりかねません。これは同じくLNGの確保についても同様です。本法案の必要性は認められません。廃案にするべきだと思います。  一方、気候変動対策の切り札である再生可能エネルギーは、今後の国内での飛躍的な拡大が求められるところです。エネルギー基本計画において、再エネ主力電源化することが位置づけられました。しかし、それにもかかわらず、二〇三〇年エネルギーミックスで二二から二四%という非常に低い割合は見直されていません。再エネ主力電源化するためには、まず、それをあらわす五〇%以上の目標の設定が不可欠だと思います。  また、これまでは大手電力会社が新たに再エネを新設しようとする事業者電源線の送配電費用として多額の費用負担を求め、そのために再エネ普及が阻害されてきました。今回の託送料金見直しは、基幹系統整備だけであって、再エネ事業者に生じる問題を解決するものになっていません。  日本で最もポテンシャルが高いと言われている風力発電は、再エネの中でも今後の主力電源の柱になるべき電源と言えると思います。しかし、これまで系統制約や環境アセス手続などで十分な普及が進みませんでした。海外では、再エネが石炭火力などよりも価格が下がり、競争力ある電源になっていますが、日本での発電コストの単価は競争力を持つまでの途上にあります。  再エネの大幅普及のためには、容量市場で石炭や原発を守り、経済的に救済するような制度を図る以前に、再エネ事業の安定的な拡大のための優先接続を図ることが必須です。このような過渡期にあって、今回の、再エネを普及するという名目でフィードインプレミアムに移行するのは時期尚早であり、拙速過ぎます。本制度が更に再エネの普及拡大にブレーキをかけてしまうことになるのではないかと懸念しています。大規模事業者からコミュニティー規模事業者まで、再エネ事業の大幅な拡大に寄与する制度となるよう慎重な設計が必要です。  エネルギー転換は、気候変動の危機に対する日本経済のつくり直しを意味します。脱炭素化に向けたエネルギー転換を図ることを通じて、新たなビジネス雇用を生み、日本の安定的な経済社会を築くことを目指す必要があり、そのためのインセンティブを付与することが政府そして政治の役割ではないかと思います。化石燃料にしがみつくために政府が一翼を担うという今回のような法案を今成立させようとしていることの意味や、時代の波に逆らうような動きをぜひ問い直していただきたいと思います。  有事への対応は、さまざまな再生可能エネルギーをふやし、海外の化石燃料依存を減らし、燃料輸入で海外に流出するお金を国内地域で循環させることで対応する、それが、強靱で気候に優しく、豊かな社会をつくる方向性だと思います。  私たちが考えるこれからの日本エネルギーについて、お手元にパンフレットを配らせていただきました。こちらもあわせてごらんいただければと思います。  どうもありがとうございました。(拍手
  10. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 富田茂之

    富田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。穂坂泰君。
  12. 穂坂泰

    ○穂坂委員 自由民主党衆議院議員の穂坂泰です。  本日は、このような質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。  また、四名の先生方には、お忙しい中、この場に来ていただきましたこと、心から感謝を申し上げます。さまざまな御意見、御示唆をいただきました。それらを踏まえまして、幾つか御質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  今、コロナが蔓延いたしまして、ようやっと落ちつきが見えてきたかなと。私の埼玉県でも感染者数がゼロになったということで、大変、皆様方の努力、そしてまた国民の皆様の御協力に、心から感謝を申し上げる次第であります。  その中で、本当に社会というものは大きく変わってくるのかなというふうに思っております。特にサプライチェーンで見ると、やはり大切なもの、大事なものはしっかりと国内でつくって、国内で供給をしていくべきだ、そんなような意見もありまして、政策もそういった国内回帰に向けたものが行われているところであります。  また、安全保障のことでも考えていきますと、米中の貿易摩擦も一層激しくなる、また、中東情勢もそう。また、尖閣の問題も今大変深刻だというふうに私も思っております。やはり、食料とか、今回のエネルギーでも、医療、医薬に関しても、国内にもっともっと回帰していかなければいけないという中で、やはりエネルギーも、そういった議論もしっかりとしていかなければいけないのかなというふうに思っております。  エネルギーの基本計画、年末には議論されるという話も聞いておりますけれども、先ほど石川先生もおっしゃっておりましたウイズコロナになって、このエネルギーの基本政策というものもやはり少し見直す、若しくはいろいろな条件も加味していくべきなんじゃないかなというふうに思っております。  今現在の日本エネルギー自給率が約一〇%ほどになっていて、これをもっともっと早く上げていくためにも、当然、先ほどありましたコストの問題もあります。今必要な議論といたしましては、二〇三〇年、二〇五〇年に向けて、目先のリスクとか目先の数字とか、そういったものにとらわれずに、今、思い切ってこういった政策をやれば、三十年、五十年後、全体的に考えていったときに大きな効果が生まれるんだ、そういった先を見ながらの議論が必要なんじゃないのかな、そんなふうに思っております。  そこで、四名の先生に御質問させていただきたいと思いますが、このコロナ影響を受けて、やはりエネルギー政策というものをこのように変えていかなければいけない、こういった視点で考えなければいけない、そんな御示唆がありましたら、ぜひとも教えていただければと思います。  石川先生におかれましては、先ほど少し触れましたが、更に深掘りした意見をいただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  13. 山地憲治

    山地参考人 コロナ影響ということでございますけれども、これは非常に多様でございます。それから時間軸もいろいろあると思います。  一つは、エネルギー需要自体が下がっていますよね。特に、この季節ですとふだんでも下がっている需要が、もっと下がってくるものだから、そうすると、再生可能エネルギーの比率が高まってきて、それをいかに調整するかという問題が足元にあります。  しかし、これは考えてみれば、長期的には再生可能エネルギーの比率がふえていきますから、現在の経験を生かして、変動性の再生可能エネルギーをどう取り入れるか、そういうことに取り組んでいくべきだと思っています。  もう一つ、かなり間接的なんですけれども、今、テレワークとか、いわゆる非接触業務関係が進んでいます。これはある意味、ソサエティー五・〇とか、将来の社会イノベーションの中で長期的に実現しようとしている方向が、仕方なくだけれども、今、切迫してやっているわけです。  これ自体が世の中の社会イノベーションを変えていって、私、先ほどの説明の中でも最後の方でちょっと申し上げましたけれども、電力にとっても社会システムのイノベーションというのは物すごく大事なわけです。この分散資源をどう取り込んでいくか、あるいは多様な市場をどう調整していくか、そういう一つのきっかけ、ある意味、偶然、社会実験ができているんじゃないかと思いますので、そこにぜひ、いい機会として取り組んでいけばいいんじゃないかと思います。  その他いろいろございますけれども、時間もあるでしょうから、このあたりにしておきます。
  14. 小野透

    小野参考人 コロナ影響に関しましては、今、山地先生がおっしゃったとおりで、エネルギーに関して言えば、いろいろな生産活動の減少に伴って、あるいは我々が運転する車の距離も減りましたし、そういったことで、実は緩和している方向になっています。  産業界として、問題意識といたしましては、やはり、ここまで非常に大きなダメージを、今、これは国内のみならずですけれども、いろいろなところが影響を受けている。ここを立ち上がらせるために、やはりエネルギーの、先ほどからずっと言っておりますように、安価安定供給というのはそのベースになるものでありますので、より一層、これからのコロナからの立ち上がりには、このエネルギー政策というのは非常に重要になってくるというふうに考えております。
  15. 石川和男

    石川参考人 先ほども私、申し上げましたけれども、短期物としては、やはり雇用対策が重要かなというふうに思います。  そういう点におきましては、こういったルールというものをだしに使うということが大事だと思いますし、先ほど具体的に申しましたけれども、やはり、再エネということにシフトしていくということは国是になっておりますので、その点では、日本での再生エネルギーというのは、僕は、水力、地熱のようなオーソドックスなもの以外のものとしては、やはり太陽光かなというふうに思います。さっきも申しましたけれども、そういった家庭用太陽光がまだがらあきですので、そこに対して起爆剤として公的資金をつけて広げていくという、これは雇用対策にもなる、短期的にはそういうことが大事なんじゃないか。  ただ、そのときには、スペックをちょっと高目に設定した、太陽光の効率のいいパネルであるとか効率のいい蓄電池であるとか、そういった条件づけは大事かなと。下手なばらまきにならないようにするというのが大事だと思います。  それから、長期的なことについては、これは私も原子力については先ほど資料で申し上げましたけれども、原子力発電所の場合は、きょうスイッチをぽんとつけてあしたつくというわけにいかないので、これはやはり半年、一年の準備が必要ですけれども、今、IEAの想定ですと、八%ぐらいのCO2が下がるというふうな試算が出ておりまして、この勢い、勢いという言い方はちょっとあれですが、このCO2の下がった状況をいかに日本として生かしていくかという視点においては、やはり、再生エネルギーへのシフトは賛成ではありますけれども、そのための長期的な財源の確保とか、それからCO2を減らすということについては、今そこにある燃料である原子力というものを使うということがやはり日本にとっていいんじゃないか。化石燃料効率化というのはある程度必要だとは思いますが、限界があると思うんですね。  そういうことからしますと、脱化石燃料、CO2を下げていく、再エネシフト、資金をどうつけるかということを考えますと、短期的には再生エネルギーに対する公共投資、長期的には再生エネルギーと原子力のパッケージ論ということを提言させていただきたいと思います。
  16. 桃井貴子

    桃井参考人 どうもありがとうございます。  エネルギー基本計画見直しに当たって、コロナも踏まえた点でということだったと思いますけれども、先生がおっしゃいましたように、エネルギー自給率をいかに高めていくかという視点は非常に大切だと思っております。  今、コロナの中でCO2の排出量は若干減っているということがありますけれども、コロナ後に、これがぶり返して、CO2がふえてしまうのではないかということが懸念されています。むしろ、今回の状況をきっかけに、非常事態宣言が出され、そして私たちの生活を大きく見直さなければいけないこの時期に、エネルギーあり方を大きく見直し、そして再生可能エネルギーへとまた大きく振り向けていくチャンスになるのではないかと思っていますので、そういう視点でぜひエネルギー基本計画見直しをしていただきたいと思っております。  それから、繰り返しになりますけれども、コロナ後に、例えばCO2の排出が大きくなるようなことについてはやはり控えるような政策が必要だと思っています。私たちの中で若干話に出ていますのは、例えば高速道路を無料化するみたいなことが話題になっていたりするようなんですけれども、それはむしろCO2の排出をふやしてしまうことになりかねません。そういった、逆にぶり返すような、CO2をふやすような政策にはブレーキをかけながら、新しいスタイルでエネルギー転換を図っていき、CO2も減らしていくという方向性が大切ではないかと思っています。  ありがとうございます。
  17. 穂坂泰

    ○穂坂委員 ありがとうございました。  一つ一つについて、いろいろお聞きしたいところもありますが、時間の限りもございますので、進ませていただきます。限りある中で大きなテーマで、大変失礼いたしました。  続きましてなんですけれども、山地先生にお聞きさせていただければと思います。  今回のこの改正において、さまざまな新しい取組が出てまいります。FIPにしてもレベニューキャップにしても、外部積立金そしてまた送電網の整備等、いろいろあるんですけれども、やはり、ここでの一番の核となるものが、広域的運営推進機関、OCCTOの役割だというふうに思いますが、今までの役割とこれからの役割、追加されるもの、いろいろ調べていきますと、本当に大きな役割がのしかかってくるんだろうな、そんなふうに思っております。  また、先ほどおっしゃっていました二・四兆円というああいった賦課金の扱い、また交付金の扱いもこのOCCTOでやらざるを得ないのかなというふうに思っておりますが、やっていくならば、しっかりとしたガバナンスであったり透明性であったり、そういったものもしっかりとっていかなくちゃいけないのかなというふうに思っております。  こちらの方、私もイメージはしているんですが、更にイメージが広がるように、また、具体的に何か、このような体制でやったらうまくいくんじゃないか、そんな御示唆がありましたら教えていただければと思います。
  18. 山地憲治

    山地参考人 御質問ありがとうございます。  OCCTO、広域機関の役割はますます重要になっていくと私は考えております。  ちょっと細かく言うと二面あるかなと思うんですが、一つは、再エネの、今度FIPに変える、そうすると交付金を賦課するわけですけれども、また、FIP価格を決めるときの入札業務とか、非常に業務がふえてくるわけですね。だから、それをやはりより一元的に運営できる機関ということが広域機関に期待されている。  それと、おっしゃいましたけれども、私もちょっと申し上げましたけれども、今、いろいろな市場が生まれて、その運営主体、広域機関もありますけれども、卸取引所であるとか、あるいは需給調整市場ですと、それぞれのエリアの送配電事業者がやるわけですけれども、それをやはり広域的に全体としてベストなものに持っていかなきゃいけない。そういうときに、広域機関の本来の役割、設置した本来の役割が発揮されるんじゃないかと思っております。  また、いろいろな側面があって、二つと言ったけれども三つ目になりますけれども、災害に対する連携計画も、やはり調整するためには公的な機関の関与が必要で、これは今回の法律の中にも含まれていますけれども、やはりその連携計画を、広域機関を通じて大臣に届出する。それで、国は、そこで問題があれば勧告するというプロセスになっていますから、やはりそういう全体の取りまとめをするということでも今後ますます業務がふえていくと思いますので、そこは、体制も含めて、システム構築も含めて、しっかり取り組んでいくべきだと考えております。
  19. 穂坂泰

    ○穂坂委員 ありがとうございます。  そこで今、関連の質問なんですけれども、やはり災害のときの広域運営推進機関の役割は非常に重要だなと思っておりまして、先ほど資料、お話ありました、石川先生の方からは、経済産業省がイニシアチブをとって動くべきだという話もありましたが、今ここで想定されているOCCTOの災害時におけるリーダーシップというか、そういったものをどのように考えているのか。  自衛隊があったり行政があったり、ほかの、水道があったり、災害時にはいろいろなプレーヤーが入ってくると思うんですけれども、その中でどのようにイニシアチブをとっていくのか、そして誰の指示を受けるべきなのか、ちょっと、そういった具体的なところがもしありましたら、よろしくお願いします。
  20. 山地憲治

    山地参考人 災害時そのときの役割というよりも、災害を想定して備えるとき、つまり、災害に対する連携計画をつくるときにOCCTOの役割はより大きいと思っています。  災害というのは、日本全体に起こるということはまれにあるかもしれませんけれども、やはりどこかで起こるわけですね。各送配電事業者というのは、その地域地域で防災のものを持っていますけれども、今回も、例えば電源車を派遣したり、あるいはケーブルをつないだりするけれども、スペックが違うとうまくつながりませんよね、これは福島のときもそうでしたけれども。だから、そういうことをあらかじめ連携計画をつくっておけば、そういうスペックの統一をして、どこかで起こるわけですから、その起こっていないところの設備を有効活用する、それを事前に計画しておく。そういうことにOCCTOの方は、より大きな役割があるというふうに思います。
  21. 穂坂泰

    ○穂坂委員 ありがとうございます。  済みません、続きまして小野先生にお聞きをさせていただきます。  経団連というお立場の中でお答えいただければと思うんですが、やはり、これから企業の国内回帰を図っていこうという中で、エネルギーも非常に重要な役割だというふうに思っております。  そんな中で、企業が国内に戻ってくるに当たってのエネルギー政策コストという問題もありましたけれども、もっとこのような政策で後押しをしてほしいとか、今回のこの改正について、このようなことも盛り込めばもっともっと国内回帰が進むんじゃないか、このような視点がありましたら、ぜひ教えていただければと思います。
  22. 小野透

    小野参考人 ありがとうございます。  企業にとって、今、例えば私の母体というのは鉄鋼なんですけれども、原料のサプライチェーンというのは完全にグローバルであります。それから、マーケットも実際、国内から海外の方にどんどんどんどん移っていく、こういう状態にあって、製造拠点をどこに置くかというのは非常にシビアな判断が必要になってくる。  それから、鉄鋼あるいは化学のような大きな産業投資の場合は、その設備運用期間というのはかなり長期に考えます。例えば、来年投資するある設備は二〇五〇年も運用できているというのが暗黙の前提になるはずなんです。そうしますと、足元の電力コストの問題だけではなくて、長期的な、例えば二〇五〇年にこの国で電力が安定的にしかもリーズナブルなコストで調達できているというのが、そういった国内への投資要件になる。  したがって、電力インフラですとかいろいろなシステムを構築していくには非常に時間もお金もかかりますが、そういったところを考えながら政策を打っていただきたい、これが切なるお願いであります。
  23. 穂坂泰

    ○穂坂委員 ありがとうございました。  本当に一つ一つ、いろいろお聞きしたいんですけれども、時間も限られていますので、先に進みます。  済みません、石川先生にお聞きさせていただきます。  先ほどFITの話もるる出ておりました。FITの一番最初に契約した価格が高過ぎて、それが大きな負担になっているんだ、そんなことも言われておりますけれども、やはり企業が参入するに当たってはある程度インセンティブがなければなかなか入ってこないんだろう、だからそのときの、当時の価格になってしまったのかなというふうに思っておりますが、今回新しいFIPという形になって、それもやはり参入させるためには何らかのインセンティブがやはり必要じゃないと入ってこないのかなというふうに思っております。  そこで、FITの反省点、課題、そういったものも踏まえまして、これからFIPの新しい導入に向けて留意する点、ここは絶対こうするべきだ、そんな点がありましたら、よろしくお願いいたします。
  24. 石川和男

    石川参考人 御質問ありがとうございます。  確かに、もうけが見えないと企業というのは参入しないと思いますので、一定のそういうもうけというものの目安というのは大事かなというふうに思います。  今回、FITFIPというのは最初のころは並行して運用されていくと思うんですけれども、FIPのPというのはプレミアムでございますので、そのプレミアムの決め方も恐らく大方もう決まっているんだと思いますけれども、それが適切かどうかというのを、このFIPという制度がいつまで続くかにもよると思いますけれども、どのような見直しというか、本当にこれでいいんだろうかというのを常にやっていかなきゃいかぬ。  そういう点では、FITというのは常にやってきたわけですね。毎年毎年やってきてだんだんだんだん下がってきたわけですけれども、FIPについても同じようなそういう仕組みというのが必要かなというふうに思っております。  やはり、ある一定のもうけ、それから再生エネルギーに対する国民のニーズとか認識とか賛成度合い、反対度合い、そういったものをしんしゃくしながら、定期的なウオッチ、必ずしも見直せという意味ではないんですけれども、定期的なウオッチという仕組みを導入することが必要かなということで、それはぜひ、本法案の審議においても、この委員会でも、もっともっと議論されてもいいのかなというふうに思います。
  25. 穂坂泰

    ○穂坂委員 ありがとうございました。  済みません、続きまして、桃井先生にお聞かせいただければと思います。  JOGMEC法に反対の立場ということで御意見を聞かせていただきました。安定供給に支障がある場合に指示ができるという形で、そういったたてつけになっておりますけれども、今、現実問題として、八〇%、火力で電気が動いている状況の中で、有事の際、安定供給に支障がある場合にはやはり何らかの措置はしていかなければいけないのかな、そんなふうに思っております。  ぜひとも、このJOGMEC法をこのように変えたらいいんじゃないかとか、若しくは、その中でどのように、火力で失った部分を補っていけるのか、その部分の視点がありましたら教えていただければと思います。
  26. 桃井貴子

    桃井参考人 御質問ありがとうございます。  私の先ほどの発言の中でも申し上げましたように、今、気候変動の事態というのが、本当にそれ自体が有事だというふうに認識しています。世界全体がいろいろな、さまざまな被害を既に受けていまして、これにどう対応したエネルギーをつくっていくのか、新しいエネルギーシステムをつくっていくのかというところをまず第一に考えなければいけない、これが有事への対応だというふうに思っています。  そのためには、化石燃料からいち早く脱却するという方向性がとにかく必要であると思っていますし、再生可能エネルギーの目標も今非常に低いです。これをとにかく真っ先にやるということが必要なのかなと思っています。  JOGMECに関しては、本来の組織の編成のあり方の歴史から、ここが再生可能エネルギー、地熱とかやっていると思いますけれども、再生可能エネルギーを担っていく役割を果たすのかどうかというところはもう一回問い直した方がいいのではないかと思いますし、有事に備えてというところでいえば、この気候変動対策の視点が今どれだけ十分に考えられているのかというところで見直しをしたらいいのではないかと思います。  とりわけ、化石燃料に対して、これから開発を進めていくという点については、今有事への対応ということでは、まずするべきことではないというふうには思っています。
  27. 穂坂泰

    ○穂坂委員 ありがとうございました。  貴重な御意見、大変ありがとうございました。以上で質問とさせていただきます。
  28. 富田茂之

    富田委員長 次に、鰐淵洋子君。
  29. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。  四人の参考人の皆様、本日はお忙しい中、わざわざ国会までお越しいただきました。大変にありがとうございました。そしてまた、それぞれのお立場で貴重な御意見を賜り、重ねて感謝を申し上げます。大変にありがとうございました。  それでは、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、今回の改正に当たりまして、基本的なことになりますが、改めてまず四人の参考人の皆様にお伺いをしたいと思っております。  自然災害の頻発、激甚化、広域化、また、中東などの国際エネルギー情勢の緊迫化など、さまざまな環境の変化を踏まえ、国民生活事業環境の基盤であるエネルギーについて、強靱かつ持続可能な電気の供給体制を確保しなければなりません。  そして、新型コロナウイルス世界的な拡大の影響で温室効果ガス排出量が世界的に減少しているようでございますが、しかし、これは一過性のものでありますので、日常生活を取り戻したアフターコロナウイズコロナ、こういった世界を見据えた上で、適切に電気を使い、温室効果ガスの排出量を削減していくために、再生可能エネルギーの普及を着実に進めていくことが重要であると考えております。  我が国では、二〇一二年に施行された再エネ特別措置法、いわゆるFIT法は、再エネ導入に大きな効果を上げるとともに、賦課金による国民負担増加といった課題も指摘されました。そういった中で、この法律は二〇一六年に改正され、今回、更に大きな改正案が審議されております。  今回の改正検討されました審議会の座長でもあられます山地参考人もいらっしゃいますし、また産業界のお立場ということもありますし、それぞれのお立場があると思いますが、改めまして、これまでの再エネ促進政策の経緯の中で今回の改正案をどのように評価されているのか、四人の参考人の方にそれぞれ、改めてお伺いをしたいと思います。
  30. 山地憲治

    山地参考人 御質問ありがとうございます。  先ほどの私の意見のときにも述べたんですけれども、再生可能エネルギーに関して、最終的なゴールというのは、基本計画にも書かれていますけれども、系統コストも含めて経済的に自立した再エネ電源を主力化するということでございますので、今回、それの一つのステップ、重要なステップだと思いますけれども、今回で終わりではない。これからさらに、本当に、系統コストも含めて経済的に自立した再エネに持っていく、そのための一つのステップだというふうに考えます。  ただし、現在の課題というのは、二・四兆円の賦課金、それから事業規律もかなり心配されるところがございまして、それからネットワークをどう整備していくか、まさに待ったなしの状態にあるので、これは急いでやっていっていただきたい。  ただし、これがゴールではない、その前の、まだワンステップ前だということを私は考えております。
  31. 小野透

    小野参考人 ありがとうございます。  FIT法が一番最初に入ったとき、二〇一二年七月でございますけれども、あのときは震災の直後で、原子力がばたばたととまっているような事態で、ある意味、再エネの早急な導入が必要だ、そういうのも相まってFIT法がスタートしたというふうに認識しております。  ただ、これまでのFIT法改正で見られますように、余りにもその導入を急ぐ余り、いろいろな、例えば買取り価格の設定でありますとか、あるいは事業規律にも影響を及ぼすような、さまざまな問題点が顕在化してきた、それを、これまで経済産業省の方で修正をかけられてきて今に至っている、こういう認識をしております。  今、FITによる導入規模というのが、設備認定レベルでも九千万キロワット程度になっているかと思いますが、こうなりますと、もはや再生可能エネルギー主力電源になってもらわなければ困るような事態だというふうに認識しております。  主力電源とは何かということですけれども、単に量だけの問題ではなくて、先ほど私が陳述の中で述べましたとおり、経済的にも自立し、事業規律も有し、先ほどの穂坂先生の御質問で答えたように、将来的にも見通しがきくような電源になってもらわなければ困る、それが初めて主力電源たる再エネではないかというふうに思っています。  したがって、今回の法改正は、先ほども申し上げましたように、まだやはり私は道半ばだと思っていまして、再エネのそういった自立化までは不断の見直しが必要であろうというふうに思っております。  以上です。     〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕
  32. 石川和男

    石川参考人 お答え申し上げます。  やはり、FIT法というのは二〇一一年三月十一日の午前中に閣議決定されて、その六時間後に東日本大震災が起こったという不幸な生い立ちがあるわけですけれども、もともとはあんなに高い値段ではなかったんですね、多分、想定FIT価格が。それが、やはり三・一一の原子力事故でもって、うわっと、あのときの空気でもって、原子力はだめだ、再エネに行こうぜみたいな話になって、それでぼんと出てきた。黎明期がそうだったので、どうしても、再エネ政策史を見ると、価格を下げていくとか、そういった何となく後ろ向きというか、冷や水をかけがちな政策の流れだったことは否めないと思いますが、しかし、諸外国を見ても、だんだんだんだんFIT価格が下がっていくという歴史をたどってきたので、日本の場合には、よくも悪くも、自分で先陣を切るというよりは、外国がやっていて、それをうまく輸入して、ブレンドして、日本流にアレンジするということで、そういう点においては、FITの流れというのは、最初の設定はちょっと高過ぎたけれども、しかし、今ここに至る経過は、いろいろな方々の努力によって、それなりに評価がされるものと思います。  それともう一つは、価格だと思うんですよね。やはり費用だと思います。物事はやはりお金がかかることでございます。ある程度もうけは必要にしても、どこまで再生エネルギー日本のシーズを注ぎ込むのかというのは、FIT価格にあらわれてきたんだと思います。  今回、それが、FIPというものを徐々に組み入れていくことによって更に適正化されていくんだと思いますが、やはり、私も資料で申し上げましたとおり、日本は三・一一をきっかけとして再エネに大きくシフトした、そういう流れがありますので、もともとこのぐらいの流れだったのがぶわんと行ってしまったというバブル的な話だったので、そこを解消するには、やはり原子力の正常化というものをやることによって、費用の面でのバランスをとらないかぬ。  原子力というのは、なぜ私はこれだけ言うかというと、やはり安全保障を考えたときに、日本の国には資源がない、化石燃料はとれない、これはえらいことであります。といっても、オイルショックが起きたのは四十年ぐらい前なので、みんな忘れちゃっているかもしれませんが、しかし、いつ起こるかわからない。コロナもそうだと思うんです。こんなことがあるなんて誰も想定していなかったですよね。その想定していないことを広く見て、それで備えておくのが、やはり国会の場であり政府だと思うんですね。  そういう点からしますと、たまさか、原子力はCO2が出ないということですので、そろそろ、震災からそろそろ十年ぐらいたとうかというときですので、そちらの方についても目くばせをいただきながら、再エネ費用をもっと抑えていく。原子力の安価な電源をもっと活用して、使い切る、そして廃炉に持っていく、こういう発想で、再生エネルギーに、こう縦割りでもって狭くなるのじゃなくて、広く全体のエネルギー政策でもって、更に政策を展開をしていっていただければというふうに思います。
  33. 桃井貴子

    桃井参考人 御質問ありがとうございます。  再生可能エネルギーをふやす上でFITが果たした役割は非常に大きかったと思っています。ただ、今の時点で、先ほども申し上げましたとおり、まだまだ日本の中での再生可能エネルギー発電コストは十分に下がっていません。ですので、今の段階で、経済的自立だとか、国民負担が高いものを抑制しなければいけないという視点で、FITをなくして入札制度に移行してしまうというのは、むしろ再エネの普及を阻害するものになってしまいかねないということを心配しています。  もう少し、再生可能エネルギーの普及という視点で全体的な見直し、まずは目標を高く設定すること、それから優先接続をすること、それから送配電費用負担などの抜本的な見直し、こうしたものが必要だと思っています。  とりわけ、再生可能エネルギーコストをさまざまな形で見える化されるんですけれども、むしろ、石炭や原発の費用、また気候変動による被害のコスト、こうしたコストが十分に見える化されていません。だから、再生可能エネルギーが高いのではなく、もっとほかにかかっている高額な費用、気候変動による被害も含めたコストというところも比較しながら、FITとか再生可能エネルギー制度について考えなければいけないと思います。  ありがとうございます。
  34. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 それぞれのお立場から御意見、大変にありがとうございました。  次の質問に入らせていただきますが、石川参考人山地参考人にお伺いをしたいと思います。  再エネの普及のためには、FIT制度などを通じた再エネ発電施設への支援だけでなく、電力システム全体を脱炭素化に向けて変えていく必要があると思っております。今回の法案におきましては、配電事業アグリゲーターといった新しい制度による分散型の電力システムや、再エネのポテンシャルを踏まえた系統設備など、電気事業法において再生可能エネルギー導入につながる制度を新設するものと承知をしております。  石川参考人からは、分散型の電力システムが、再生可能エネルギーによる電力の拡大にどのように資するとお考えか、お伺いをしたいと思っております。  山地参考人におかれましては、再エネのポテンシャルを踏まえた系統設備について、お考えをお伺いしたいと思います。
  35. 石川和男

    石川参考人 御質問ありがとうございます。  やはり分散型電源というのは、言ってみれば、概念的には小規模電源ということだと思います。  分散型電源という言葉自体はもう九〇年代からずっとありまして、ただ、その都度、どうやって進めていこうかということに随分頭をひねって、これはなかなかうまくいかなかったですね。というのは、やはり日本には、それほど、さっきも申しましたけれども、とれるエネルギー資源が余りないということもあったと思います。ほとんどが化石燃料輸入でございまして、きょう現在ですと、恐らくもう九割ぐらい、以上ですかね、エネルギー依存度が、外に、外国にあるということからして。  そういう点から、分散型電源をしかし今回進めていこうというのは、ようやく、まさにFITということでもって、再エネ。これは、再エネといったら大方、太陽光にしても、風力にしても、バイオマスにしても、まあバイオマスは一部輸入があるんですけれども、国産エネルギーだという位置づけでもって進めていくということでして、規模はそんなに大きくないし、俗に言う地産地消ということでもっての機運も、私は徐々に高まってきていると思うんですね。  そういう点においては、こういう配電システムとか、あるいは遠隔地においては、そこは少し離してもいいよというようなことで、その地域でもって頑張って、自分たちで一つの閉じたエリアでもってやっていくという仕組みをつくることで、その地域の意識が高まっていくという点において、私は、これぞ本当に分散型電源の姿になっていく。さらに、そこに、小規模電源の再エネに加えて、やや不安定な再エネを補完するための蓄電池、バッテリーというものも、それの普及をやることによって、その地域配電網における自立型あるいは災害時における独立性というもの、自分たちでも電源が多少あるんですというようなところで、こういったものを進めていくことによって、分散社会。  というのは、やはり災害とかそういった非常事態というのはいつ起こるかわかりませんし、例えば北海道胆振地震のように広域的にどんといった場合には全体がこうなってしまうというところにおいては、そうではなくて、全体が仮にだめだったとしてもそれぞれの地域地域において自立できるという仕組みをつくっておくというのは、ひょっとしたら遅きに失したかもしれない、そういう意味におきましては、今回の制度改正案を早くに成立施行していただければな、そんなふうに思っております。     〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 山地憲治

    山地参考人 御質問ありがとうございます。  再エネのポテンシャルを踏まえた系統整備ということでございますけれども、再エネはやはり日照とか風とか、自然条件資源の賦存場所が決まっていますから。で、需要地は需要地であるわけなので、当然、間に系統が要るということですよね。  したがって、先ほど来繰り返し申し上げていますけれども、系統コストも含めて経済性を評価しなきゃいけない、つまり、系統コストを意識した地理的な電源配置というのも考えなきゃいけないということです。そういう意味最適化を図っていく、それが基本です。  ただ、制度上の問題でいうと、先ほど申し上げた中で、広域化する送電というのがありましたけれども、実は、自然変動する電源調整力を持たなきゃいけないんですけれども、従来その調整力は東京、東北とか、エリアごとに調整力を調達していたわけですけれども、これを広域で調達する。これはもう既にやり始めておりますけれども、今後その制度が、より整備されていく。  さらに、プッシュ型という話で一括検討プロセスという話をしましたけれども、特に洋上風力、日本海側に結構大きな資源があるんですけれども、個別に対応していったのでは系統整備は合理的にできない。やはりそれをまとめて一括で検討して、電力系統整備電源整備をあわせてやる。  そういう仕組みは、今回の法案も踏まえて、できるようになりつつあると思いますので、先生がおっしゃることは、今の対応の中に、その方向で向かっているというふうに考えております。
  37. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  続きまして、電気料金国民負担につきまして、小野参考人石川参考人にお伺いをしたいと思います。  今回の改正法案につきましては、託送料金制度改革や再エネFIP制度導入は、国民負担を最大限抑制しながら送配電網の強靱化や再エネ導入の促進を進めるための制度となりますけれども、この点につきまして、我が国の電力消費の多くを占める産業界の立場から、小野参考人の御見解をお伺いしたいと思います。  また、石川参考人におかれましては、電気料金制度に御見識を持たれているということで、先ほども御意見いただきましたが、改めてこの評価をお伺いをしたいと思います。
  38. 小野透

    小野参考人 今回はFITからFIPへの移行というのが明記されたわけですけれども、FIPの考え方、完全な、何といいますか、マーケット、変動価格に対してプレミアムが乗る場合と、それから、そのプレミアムの考え方、基準となる価格との平均のとり方とか、さまざまなやり方によって実は変わってきます。  例えば、プレミアムをどのぐらい乗せるのか、これも先ほど、入札によって競争的に決まることにはなっておりますけれども、それが本当に競争的、競争が働くのかどうかとか、これはしっかりウオッチしていく必要があると思っています。  まだ、正直申し上げますと、じゃ、FIPになったから全てがうまくいくというふうに、そこまでは楽観しておりませんで、やはり進捗状況を見ながら微調整をしていく必要があると思いますし、先ほどから申し上げますように、FITにしてもFIPにしても、これはあくまで再エネが自立するまでの暫定的な支援措置でありますので、最終的な着地点としては、再生可能エネルギー経済的にも自立していく、そこを着地点としてこの制度運用をすべきだというふうに考えます。
  39. 石川和男

    石川参考人 御質問ありがとうございます。  確かに、電気を使う側からすれば、あるいは、再エネ事業者も含めて発電側からすれば、託送料金というものは、それは安い方がいいというふうに思います。  しかし、やはりインフラということでありまして、しかも送配電網というのはもう重厚長大なものでありまして、一たびこれがぱちんといってしまいますと停電ということになったり、電気というのは、そこら辺の商品と違って、電線がないとなかなか運べないというか、なかなかというか絶対に運べないということでありまして、これが切れちゃうとどうしようもない、そういう意味においては、維持とか管理とか、あるいは、そこに携わる方々のモチベーションとか、いろいろある。  そう考えますと、一定費用負担というのは消費者、需要家としては当然やらなければならないという意味におきまして、私は、これは余りたたき過ぎちゃうともう誰もやらなくなっちゃうんじゃないかという意味において心配をしております。だからといって、じゃ、高どまりすればいいかというと、そういうものでもない。その辺のバランスの問題だと思いますけれども。  ただ、今回の法案におきましては、電気事業法の方については、そういう送電については、託送について制度を多少見直すということがありますけれども、あの案は大変な調整によってできたものだとは思いますけれども、その点においては、事業者に対してインセンティブ送配電事業者ですね、インフラを維持する側にインセンティブが与えられるという仕組みであるということからしますと、非常に私は、その点は評価をしております。  ただ、やはりどうしても去年の台風を思い出してしまうんですね。それからその前の関西豪雨。関西、関東で二年連続で大きな災害があったということを考えますと、やはりたたくという方向よりは維持するという方向で、インフラを維持するという方向で、もう一度、託送料金も含めて料金制度を考えて、ただ、そこは、ある程度のものをつくったからには、政府あるいは政治の方できちんと国民に対して説明とか説得とか、そういったことが次のプロセスなんじゃないかというふうに思います。  もう一度まとめて申しますと、余りたたき過ぎるのではない、事業者インセンティブを与えるという点においては、私は今回の制度改革はとてもいいものだろうというふうに認識をしております。
  40. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  今回の重要な法改正に当たりまして、それぞれのお立場で大変貴重な御意見をいただくことができました。感謝を申し上げて、質問を終わりたいと思います。  大変にありがとうございました。
  41. 富田茂之

    富田委員長 次に、浅野哲君。
  42. 浅野哲

    ○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。  本日は、お忙しい中、四名の参考人の皆様にはお越しをいただきまして、感謝を申し上げます。また、先ほどの皆様の御発言、内容を聞いておりまして、またいろいろと気づきを得ることができました。  本日は、時間が限られている中ですので、何点か絞って質問させていただきたいと思いますが、まず初めに四名の皆さんに基本的な御認識を伺いたいと思っております。  今回の電事法、再エネ特措法、JOGMEC法、基本的には、災害などの緊急時に対応するようなレジリエンス性の強化、そして今後に向けた再エネ導入拡大、この同時実現というものを図るような法案の中身になっておりますけれども、きょう小野参考人の方から提示いただいた資料を見てみますと、FIT賦課金の推移というグラフが載っておりました。やはり再生可能エネルギーは、今後、主力電源化経済的に自立した主力電源としてもっともっと育てていかなければいけないというふうに思っているんですが、一方で、やはり賦課金国民負担、需要家負担というのが避けては通れない問題かと思います。  まず、議論の前提として皆様にお聞きしたいのは、この賦課金負担について、現状二・四兆円、政府の見通しでは二〇三〇年には三兆円、そして二〇五〇年に向けて、どのように動いていくか正確にはわかりませんけれども、ふえていく傾向になるのではないかというふうに思われますが、この賦課金の限界というものがあるのかどうか、そこに対する御認識について、それぞれの皆様から御認識をいただければと思います。
  43. 桃井貴子

    桃井参考人 どうもありがとうございます。  再生可能エネルギーFIT賦課金ということだと思いますけれども、一番最初の賦課金のところから徐々に価格は下がってきているということから、当然限界はあると思います。  もちろん、これから先、全体の総額はふえていくということになると思いますけれども、そこには必ずピークがあって、そのピークを過ぎれば、後はどんどんそれが、全体の金額が下がっていくという方向性が描けると思います。  そうなった場合に、再生可能エネルギーの全体的なコストが将来的に下がっていけば、もう後は、海外に、輸入に依存した化石燃料に頼らず、そこに多額の費用を投じずに、国内で自給したエネルギーを調達することが可能になっていくと思いますので、今はその価格が未来への投資だと思って、その負担をみんなでしていくというのがFITの理念ではないかと思っています。  ですから、今、そこの賦課金のところは、皆さんに負担していただくというシステムで動かしていくのが当然必要なことなのではないかと思っています。
  44. 石川和男

    石川参考人 御質問ありがとうございます。  私の資料の五ページ目に、先ほども申しましたけれども、自分の家族のことで恐縮でございますが、我が家の一番直近の電気代は二万三千四百七十円。私もメディア関係で仕事をしておりまして、これを言うと、石川、おまえ使い過ぎだ、こんなことを言われてしまうんですけれども、それはさておき、再生エネルギー賦課金は二千三百四十二円。  私は、いつも言っておりますのは、これを消費税と比較するんですね。消費税というのは、さっきも申しましたけれども、社会保障財源であります。我々の電気料金の中からの再エネ賦課金の方の負担が、社会保障財源の負担よりも、もはや高くなっている。これは恐らく、この委員の皆様のどの御家庭も恐らく同じ計算式になりますので、ほとんどそうだと思います。  先ほど先生がおっしゃいましたその負担、どこまで負担できるのか。まず自分の家ということで考えると、二千円を超えちゃっているんですよ。これをどうかと言われると、ちょっと高いななんて思いながら、そうはいいながらも、再生エネルギー主力電源化も話はよくわかる、国産エネルギーを振興していくという意味では当然だということで。  そうすると、やはり私は、最終的には数字の計算をしてしまう人間でありますので、コストですね、数字といいますと。  ですから、今の日本の不幸なところは、原子力がとまったときに再エネ賦課金を入れちゃったことなんです。だから、本当は、たらればで恐縮ですけれども、もし三・一一がなければ、FIT価格もそんなに高くなく、しかし、その負担分は原子力を稼働することによって、まあ相殺というか、ある程度はプラスマイナスでいけたと思うんですが、今はマイナスばかり。  そういうことからしますと、長期的な持続性ということで考えますと、安い電気、それは原子力、それから石炭の高効率発電ということになると思いますが、そういったこととのパッケージでもって再エネを一緒に普及させていくということでもってやらないと、今みたいにもう原子力をとめちゃうとか石炭が嫌いとか、そんなことを言っていると、ずっと費用ばかりかかっちゃうのがしばらく続くだろう。  さっき、未来への投資というお話がありました。未来への投資は大事だと思いますが、今現在住んでいる人はどうかというふうに考えますと、今高いということに対してどう応えるかというのも政治の役割だと思いますので、そこはぜひ、安い電源とのパッケージ論ということでもって政策を進めていただきたいというふうに思います。
  45. 小野透

    小野参考人 賦課金の限界というお話でしたが、これまでのFIT制度改革ですとか、それから買取り価格が漸減しているという状況から、今後の、先ほど私がお配りした資料でも、買取り総額を見ていただくとわかるんですけれども、徐々にサチュレート側には行っているかなというふうには思っています。  ただ、ではこれが我慢ができるのかという問題ですけれども、日本FIT法は、これは産業用も民生用も全部含めて、キロワットアワー、一律に、単価、割り勘になるということになっています。  したがって、例えば電力消費産業の場合、多くの電力消費産業が、例えば夜間の電力の安い時間帯に仕事をする、そういった事業体も多いわけですね。例えば普通鋼電炉ですとか、そういったところは九〇%以上が夜間、こういったことをやっているわけです。  もともと、夜間の電力料金、低く抑えられておりますので、産業用的に。そこに三円が乗っている。そうすると、そういった事業者にとってのこの三円の痛手というのは、じゃ、我慢してくださいというレベルからするとかなり厳しい。例えば、電炉等の場合には、一円電気料金が上昇すると経常利益の大体三割ぐらいに相当すると言われております。したがって、三円上がると経常利益のほとんどがなくなってしまうというぐらいの実はインパクトがあるということであります。  一方で、FITで先行した欧州はどうなったかといいますと、これは実は、欧州はかなり先鋭的な温暖化対策をやっておりますし、FITも先行して入ったんですけれども、産業電力に関してはほとんどが減免をされております。その分が結局民生に乗る形になっていて、そのために、例えばドイツの民生用の電気料金というのは非常に高くなっているんですけれども、これは一定の、恐らく政治的な、あるいは国民議論的なコンセンサスがあってそうなったのであろうというふうに考えます。  今後、もし、こういうふうな経済合理性がない中で再エネを入れていくとなると、場合によってはそういうことも考えていかなければいけないのではないか、そういうふうに考えております。  以上です。
  46. 山地憲治

    山地参考人 賦課金の問題というのは、本当に非常に重要で、しかし非常に困難な問題。  二・四兆円というのは消費税一%相当、これは補助金に使われているわけですね、再エネ発電事業者の。しかも、多くのFITは二十年続くということでございますから、数十兆円のコミットメントをしてしまっている。これを下げるのはとても難しいです。  ただし、例えば四十円とか三十六円の太陽光発電認定されているものでも、まだ運開していないものがある。そういう未稼働案件を整理していくということは、今までもやりましたし、今後も大事なことだと思います。今回の法案の中でも、運転開始期限を過ぎてもなかなかやらないものについては失効を考える。改正FIT法に伴うもので、約二千万キロワットの太陽光発電が失効したと思います。そういうことは、しかし、できるけれども、二・四兆円を下げるということは極めて難しい。  今後FIPに変わっていくと、プレミアムに当たる交付金の原資の部分賦課金という形になるんだと。減っていくとは思いますけれども、全体としては徐々に上がっていかざるを得ない、一定程度まで。これはある意味、過去の政策のツケを我々が払っているということだと思います。
  47. 浅野哲

    ○浅野委員 皆様、本当にありがとうございました。大変示唆に富む御意見をいただきました。  これを踏まえて次の質問に向かいたいと思うんですが、これは山地参考人にお伺いをしたいと思っております。  今、FIT制度を終えた施設が全国的にふえていく中で、やはり、こうした再生可能エネルギーも、しっかりと今後も稼働し続けて、なおかつそこに新規の設備がふえていく、そんな形をつくっていかなければいけないというふうに思うんですが、そこで、注目が集まり始めているのがPPA、パワー・パーチェス・アグリーメントという、設備設置者と買取り者が個々に契約をするようなエネルギー取引形態が出てきているというふうに思います。  やはり、経済的自立をした再エネ電源をふやすという観点でいいますと、このPPAモデルというのをもっとふやしていくような動きにもつなげていかなければいけないと思うんですが、今回議論されているこの法案、再エネ特措法に対して、その観点から御注文がもしあれば、ぜひ御知見をいただきたいと思っております。
  48. 山地憲治

    山地参考人 ありがとうございます。非常に重要なポイントだと思います。  パワー・パーチェス・アグリーメントというのは、要するに、再エネ電気を買う人が、高目に買ってあげますよということで、特に周りの人に負担をかけずに再エネ推進していく、まさにこれはあるべき姿であろうと思っています。したがって、今回の法案、別にそれを阻害することはなくて、どんどん推進していっていただければいい。  今、ちょうどいい例に当たっているのが、二〇〇九年の十一月から始まった住宅用の余剰太陽光発電の買取りが、十年ですから、去年の十一月から終わっていて、これは設備があるわけですので、どう使っていくか、皆さん、いろんな人がいろんな使い方を考えている。当然ですけれども、CO2を出さないエネルギーなんですから、プレミアムを払っても買いますよという方はいらっしゃるわけですよね。だから、住宅用の余剰買取り終了後の案件のやり方というのも参考にしつつ、しかしPPAを大きく育てていくということは、私は非常に重要なことだと思います。もし政策的に支援ができるのであれば、またそれは別途考えてもよろしいんじゃないかと思っております。
  49. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  今、お話の中で、やはり今後こういうものがふえていくことが望ましいとありました。私も、まさに今後デジタル化が進んでいくわけですけれども、このデジタル技術も駆使しながら個々の設備を有効に活用していく市場環境をつくっていくというのが非常に大事だと思っております。  その観点では、この法案の中では今回アグリゲーターというものが規定されますけれども、このアグリゲーターについて、具体的にどのような能力を備えるべきなのかというところがやはり一つ注目されているかと思います。  これは山地参考人石川参考人にお伺いをしたいと思っておるんですが、このアグリゲーターがどのような責任を果たし、そしてそのためにどのような能力を備えるべきなのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  50. 山地憲治

    山地参考人 ありがとうございます。  アグリゲータービジネスというのは、今は実証とかチャレンジという形でやっているんですけれども、今回の法律で、特定卸事業者ということでアグリゲーターにライセンスを与えよう、調整力とか供給力を、小売とかに供給するわけですね。だから、そこでライセンスを与えるということは資格を与えるということだから、そこに一定要件を要求するということになります。  その中でデジタルを使っていく、非常に重要だと思います。分散している発電とか貯蔵とか、あるいは需要の調整とかというのをアグリゲート、まとめるわけです。個々の、非常に複数の小さい契約がいっぱいあります。例えばそれをどういう決済をしていくのか、そこにデジタル技術というのが非常に活躍できるんじゃないかと思っています。  法律としては、まず、そういう形態のライセンスを与えて、事業形態を認定して育てていくということになろうかと思います。
  51. 石川和男

    石川参考人 御質問ありがとうございます。  アグリゲーターの、言ってみれば資格要件のお話だというふうに認識をしておりますけれども、私は、やはり電気というこの財の特殊性とか、あと、さっきも申し上げましたけれども、何かあったときに、これは結構しんどいと思うんですね、バックアップであるとか修理であるとか。やはりインフラの一部ということを考えますと、私は、従来から主張させていただいていますのは、やはり大手の電力会社、一言で言うと。大手の電力会社のノウハウでありますとか人でありますとか、そういったところをきちんと提供する、ないしは大手電力みずからがこういったところを分散型電源の集約体として機能するということが、私は、少なくとも最初のうちは安全にかつ安定的にこの制度を立ち上げる上では非常に重要かというふうに思います。  やはり、制度、この法律案は原則として令和四年四月一日からの施行ということになっていて、もうちょっと先の話でありますので、準備期間は多少あるとは思うんですけれども、制度のスタートで失敗しちゃうと、制度全体の信頼性が揺らいじゃうと思うんですね。そういうことからしますと、もしお考えいただけるのであれば、この委員会でも審議を尽くしていただきたいのでありますが、私から政府に申し上げたいのは、そういう大手電力会社の人材であるとかノウハウというのは今あるわけでございますので、そういったところとの協調、特に送配電網のところとの協調というのは需給調整観点からも極めて重要だと私は考えておりますので、そういう要件づけをすべきというふうに考えております。
  52. 浅野哲

    ○浅野委員 どうもありがとうございます。  時間もそろそろ限られてまいりましたので、最後の質問になろうかと思いますけれども、今回、再エネ特措法の中では、今後の再エネ導入促進を見据えた連系線の強化、この費用の一部を賦課金から充当しようというような仕組みをつくることを予定しております。  ただ、一方で、この連系線強化や系統増強費用、どこからどこまでが再エネの拡大に資するもので、どこまでが従来の電力レジリエンス強化なのか、非常に線引きが難しいのではないかというふうに思われております。  そういう観点でいけば、託送料と賦課金、両方から曖昧な線引きの中でお金を集める方法よりも、どんと託送料で一括で処理してしまった方がシンプルでわかりやすいのではないかという意見もあるんですけれども、これは山地参考人にお伺いしたいと思っておりますが、今回、この増強費用の一部を賦課金から充当するということに対してどのように整理をするべきなのか、ここを最後にお伺いしたいと思います。
  53. 山地憲治

    山地参考人 私の説明の中でも申し上げました、新しい連系線の話ですけれども、連系線をつくるときに費用便益分析を行って、その費用便益分析で一番いいものを選んで、そのコスト便益の比率に応じて負担させる。これは実は北海道と本州の間での、今、六十万プラス三十万で九十万ですけれども、あと今度は三十万、新々北本連系線というのを決めるときにやった方式でありまして、そのときの計算の方式がもう既に公表されていると思いますので、ごらんになるとわかると思います。  その連系線をつくることによって、再エネに限らず、いろいろな電源広域最適運用できることによるメリットがありますけれども、例えば北海道の再エネを、それができることによって出力調整しなくて済む部分は再エネ部分だったり、あるいはCO2が減るとか、そういうベネフィットを計算しておりますので、そのルールが今後ずっと続くいいものかどうかは精査が、チェックが必要ですけれども、そういう事例がありますので、再エネに関連するものというのはコストベネフィット分析の中で特定できるというふうに考えております。その部分全国負担するということで、賦課金方式でやるということでございます。
  54. 浅野哲

    ○浅野委員 どうもありがとうございました。終わります。
  55. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  56. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  山地参考人小野参考人石川参考人そして桃井参考人、きょうはお忙しいところ、また、新型コロナ感染症をめぐり大変な中、お越しいただいて、貴重な御意見をお述べいただいて、ありがとうございました。  早速質問したいと思います。  まず、電力システムエネルギー関連の法案を審議する上で、電力事業を担う電力会社、それから監督する経済産業省の姿勢が、やはり利用者、国民や国会への説明責任を果たすものになっているかどうか、ここは大前提としてあると思うんです。  そこで、関西電力のいわゆる原発マネー還流疑惑をめぐって、小野参考人石川参考人山地参考人にそれぞれ端的に伺いたいと思います。  関西電力が、御案内のとおり、三月十四日に、土曜日ですが、提出した第三者委員会の調査報告書を受けて、経済産業省は、三月十六日月曜日朝に、電気事業法に基づく業務改善を命令したわけですが、決してこれで幕引きではなくて、徹底的な真相解明がやはり国民の立場からも本当に求められているというふうに考えております。  まず、小野参考人に伺います。  経団連の中西会長は、この問題が発覚した後、昨年十月七日の記者会見で、授受した金額の規模や手法など、常識的に判断すればおかしい、巨額の金額が動いたこと自体に不健全性を感じると、はっきり述べられました。  関西電力が企業のガバナンスやコンプライアンス上も重大なこんな問題を起こした要因ということについてどう見ておられるか、また、経団連としては、こうしたことがあった上で何が必要と思っていらっしゃるか、端的に伺いたいと思います。
  57. 小野透

    小野参考人 ありがとうございます。  関西電力の問題ですけれども、原子力発電所の建設とか運営に当たっては立地地域の理解を得ることが不可欠であります。計画から廃止まで原子力発電所のライフサイクルが極めて長いことを踏まえれば、地元と非常に強固な信頼関係を築いていく必要があります。全ての原子力事業者は、こうした認識のもとで原子力発電所の運営をしてきたと認識しております。そうした中で、今回の事案というのは、その地元との関係を築く上で本来あってはならないやりとりが行われたというふうに認識します。  結果として、他の地域と原子力事業者との間の信頼関係にも疑念を抱かせてしまっただけでなく、原子力を活用する上で大きな課題となっている国民理解の醸成も遠のいたのではないかというふうに認識します。  関西電力におかれましては、本件を非常に重く受けとめていただいて、業務改善計画に基づいて再発防止策を迅速かつ着実に実行に移し、社会からの信頼回復に取り組んでいただきたい、そういうふうに考えます。  以上です。
  58. 笠井亮

    ○笠井委員 原発に対する立場は違いますが、あってはならないという事態だというのは、まさにそのとおりであります。  続いて、石川参考人に別の角度から伺います。  関西電力問題の、この問題の徹底的な真相解明というのは、もはや関電一社だけ、電力会社のみの問題ではなくて、経産省にとっても重要だということで、なぜかといえば、この業務改善命令の発出をめぐって問題がありました。偽造公文書の作成問題で、電力事業を監督する経産省の信頼そのものがある意味地に落ちたということがあるからであります。  参考人は通産省、経産省の御出身だと承知しておりますが、こうした経産省への信頼そのものが地に落ちているという点でも、エネルギー政策の信頼そのものにかかわる課題として、問題として、やはり徹底的な真相解明を洗いざらいやる必要があるというふうに思うんですけれども、この点はいかがですか。
  59. 石川和男

    石川参考人 二つほど申し上げます。  一つは、まず、関西電力のそもそもの金銭授受問題について申しますと、私は、これについては、笠井先生、この問題については関西電力側の責任もないとは言えませんけれども、やはり、原子力発電所という大型工場立地にまつわる問題、しかも、この工場というのは、民間企業たる関西電力発電所ではありますけれども、実質的には国策民営ですね。  したがって、国策であるという観点からしますと、本件の金銭授受という、つまり現場において前面に出るというものの全てを一民間企業にいわば、言い方は悪いですけれども、丸投げをしているような状況を放置している方が悪いというふうに私は思いますので、本件に関しては、政府経済産業省当局の責任は非常に重いというふうに思います。  その点におきましては、金銭授受についてはあってはならないことというふうに私も認識はしておりますけれども、この再発防止を民間企業だけに全部やらせるというのは無理だと思います。したがって、政府が前面に出るというような地元調整に、もう一度原点に立ち返ってやるということで、体制の立て直しが必要かと思います。  二つ目の問題は、これは役所内部の問題かと思います。公文書の書きかえの問題だと思いますが、これは金銭授受とは全然違うフェーズの問題ではありますが、これもあっていいはずのないことでありまして、私も、先生御指摘のように通産省、経産省を以前職場として勤めておりまして、まさに資源エネルギー庁当局でも、私は原子力は直接担当したことはありませんが、ほかの電源については多く担当させていただいておりまして、ただやはり、そういうような文書の改ざんというのは、これはもう信じられませんですね。  ということでもって、原因究明といっても、恐らくそんなに大した理由はないとは思いますけれども、あっちゃならないことではあるんですよ。あってはならない。したがって、関係者の適切な処分というのはもうしている、ないしはこれからもするかもしれませんけれども、そういうものを徹底して、国会からも政府に対してそういうことをハッパをかけるということで、強くそこは申し出るべきかなというふうに思います。
  60. 笠井亮

    ○笠井委員 経産省の責任は大きい、あってはならないということについては、まさにそのとおりだと私も思います。  関電問題の最後に、山地参考人に伺います。  関西電力の第三者委員会の報告書では、役員十八人に対して、報酬カット分の補填約二億六千万円に加えて、追徴課税分の補填を行っていたことまで明らかになりました。  電気料金を長年にわたって食い物にしてきたという重大な問題でありますが、二〇一六年四月の電力小売自由化で、ようやく一般家庭も電力会社が選べるようになった。電気料金の原価の透明性を確保するということは利用者の選択権の尊重にもつながると考えるんですけれども、この関電問題の真相究明と電気料金の透明化について、端的にお考えを伺いたいと思います。
  61. 山地憲治

    山地参考人 電気料金の透明化ということでございますけれども、今回進めている電力システム改革の中で、小売と発電は全面自由化、送配電公益部門として残って、今回、レベニューキャップとか、いろいろ、いわゆる規制をかけていくということです。  では、電気料金を透明にしろ、どう考えるかということですけれども、私は、だから、総括原価電気料金を許可していた、認可していたときには、当然ですけれども、原価構成をきちんと明らかにするわけですけれども、競争的な中で、自由化の料金、今、一部規制料金が残っているんですけれども、という方向の中で、電気料金の原価を透明にする必要があるかどうか。私は、今の制度の変更の中では、もうひとつ、そこまでやる必要があるのかなと。我々はいろいろなものを買いますけれども、原価構成を知らなきゃいけない、知らされていないのは我々の権利を失っているとまでは私は思わないので、電気料金もそうなっていくんじゃないかというふうに考えております。
  62. 笠井亮

    ○笠井委員 原発問題をめぐっては、原発に幾らお金がかかっているのか。事故処理も含めたら膨大な額があるけれども、では、それが電気料金にどれぐらいかかっているかということについては、明らかになっていないという問題があります。そういうことを含めて、やはり私は、この電気料金の問題というのは大きな問題なので、更に議論をしたいと思います。  次に、桃井参考人に何点か伺いたいと思いますが、気候ネットワークが四月三十日に発表されたこのエネルギー供給強靱化法案に対しての提言というのを拝読もし、また、御意見参考人から伺いまして、法案に対する御意見、どれも大変説得力があるというふうに受けとめました。  御指摘のとおり、電気事業法とJOGMEC法の改正案には、緊急時に経産大臣が石炭を含めた発電用燃料の調達を要請できる規定が盛り込まれている、政府の新国際資源戦略にも、石炭の投資から撤退するダイベストメント運動を、優良権益を確保する好機だ、チャンスと言わんばかりの記述まであるということで、世界の流れに逆らって石炭開発を拡大するものになるんではないかと。そういうことについては、全く私も同感であります。  そこで伺いますけれども、世界の平均気温の上昇を、パリ協定が求める二度以内、できれば一・五度以内に抑えるには、今後十年間対策強化が極めて重要だ。ところが、日本の温室効果ガスの削減目標は極めて低くて、第五次のエネルギー基本計画では、石炭火力を重要なベースロード電源として、二〇三〇年でも、なお電力の合わせて五六%を化石燃料に頼るとしているわけでありますが、そういう中で、最近話題になったのは、この四月にみずほフィナンシャルグループが石炭火力融資を行わないということで、基本方針に明記するということもありました。ただ、まだまだこれも融資の抜け道があるんじゃないかということも指摘もされたりしている。  やはり、今こそ、その点でどう思われるかということと、パリ協定にふさわしい気候変動政策への転換がどうしても必要だということについて、改めて所見を伺えればと思うんですが、いかがでしょうか。
  63. 桃井貴子

    桃井参考人 御質問ありがとうございます。  おっしゃるとおり、今、パリ協定で目標としている一・五度未満に気温の上昇を抑えるということを達成するためには、本当にこの十年の対策の強化が非常に重要であり、しかも、これから先の排出削減は、二〇一〇年比で、世界全体で二〇三〇年までに四五%削減、二〇五〇年までには一〇〇%削減するという極めて厳しい形で削減を継続していかなければ達成できないというような状況にあります。  そういう意味で、今、世界の中では、ダイベストメントが進み、投融資を化石燃料産業から引き揚げていくということが起こっているんですけれども、私たち、みずほ銀行に対して株主提案をさせていただいて、ほかの銀行とも幾つかやりとりをさせていただいている中で、まだまだ抜け道を模索しているような状況が確かにあります。  その背景には、日本政府の今のエネルギー基本計画の中で、石炭火力発電に対しては重要なベースロード電源として位置づけているということがあり、政府もまた、例えば日本政策投資銀行などが石炭に対して融資を行っているというような状況があるから、民間の銀行も完全にその融資を引き揚げるというような判断ができないんだというようなことがあるというふうに聞いています。  ですから、政府方向性次第で、今、日本の銀行が、世界状況の中で、本来であればもう完全にダイベストメントしていかなきゃいけないんだという意思があるにもかかわらず、そこに乗っかれない背景を政府はもっと真摯に捉え、今の世界状況に乗っていくべきだと思っています。  つまり、エネルギー基本計画見直し、そしてベースロード電源というような考え方を取りやめ、そして再生可能エネルギーの方に大きく振り向けていく、この気候変動問題にも対応していくということが必要だというふうに考えています。  ありがとうございます。
  64. 笠井亮

    ○笠井委員 今お話がありました再生可能エネルギー主力電源化を実現するということについていうと、そのための目標ということなんですけれども、法案では、目的の一つに再エネ主力電源化を掲げておりますけれども、二〇三〇年のエネルギーミックスでの再エネ電源比率というのは二二%から二四%にとどまる、これではとても主力電源とは言えないと思うんです。  実は、五月の十五日の当委員会で、梶山大臣に、主力電源化というなら、目標とする再エネ電源の比率というのは何%と数字で見込んでいるのかと質問したんですけれども、大臣からは、他の電源と肩を並べることができる競争力を持った状態ということのお答えがあっただけで、何%という数字のお答えがありませんでした。  そこで、桃井参考人に伺いたいんですが、ドイツでは、二〇三〇年までに再エネ比率を六五%に引き上げるという高い目標を掲げて、エネルギー転換を進めている。世界的にも、太陽光や陸上風力で、キロワットアワー当たりで十円未満での事業実施が可能となっているという。コストの問題も、大いにそういうふうに下がってきている。  日本でも野心的な高い目標を掲げることというのが、その目標に向かってあらゆる政策を総動員して当たるための大前提になると思うんですけれども、この野心的な目標、思い切ってやるということについての重要性について、改めてお願いします。
  65. 桃井貴子

    桃井参考人 ありがとうございます。  今のエネルギーミックスで言われている二二から二四%というのは、本当に低いと思っています。  先日、OCCTOの方で二〇二九年までの電力供給の計画を取りまとめていますけれども、二〇二九年の電源構成で、再エネは二八%になるというような見通しが出されています。もうその時点で既に政府の見通しよりはふえているというような状況がありますが、ただ一方で、石炭については三七%ということで、OCCTOの示している石炭の割合がもっと高くなってしまっているというのが今の実態です。  ですので、このままいくと、先ほど私が申し上げたとおり、石炭などに対して過剰に保護する政策がつくられていますので、再生可能エネルギーがふえる前に石炭の方が維持されていくというような仕組みになってしまっていますので、そこは大きくエネルギー基本計画を変えていくということが必要だと思います。  その上で、再生可能エネルギーについては、主力電源化するというのであれば、少なくとも五〇%以上は二〇三〇年に達成するような目標設定、そして二〇五〇年には一〇〇%にするというような、世界の数字にも見合う数字を日本としても掲げていくということが重要だと思っています。
  66. 笠井亮

    ○笠井委員 最後に、桃井参考人に伺いますが、今エネルギー基本計画見直しということでありますが、気候変動対策を進める上でも、それから再エネ主力電源化を実現する上でも、どうしてもそれが必要になってきているということであると思うんです。  きょう、質疑の冒頭で、質問に対してお答えがそれぞれあった中での、とりわけ、新型コロナ感染症のかつてないそういった体験を人類がしたもとで、やはり今後どうするかという点でも、計画見直しというのは大事だと思うんです。  端的に二点なんですが、一つは、このコロナと気候変動の関係、さまざまな知見が今発表されたりしておりますけれども、感染症の蔓延をとめる上でも気候変動対策が大事じゃないかという点についてはどうお考えか。  それから、では、その気候変動をとめる上でもということで対策をする、感染症もとめるということで対策をする上で、ならば原子力へのシフトというお考えもあったようですけれども、しかし、桃井参考人が最後に陳述のところで言われたこのパンフレットで、原発については安全なエネルギーとは言えない、再エネなんだというお話をされていますが、端的に、その点については何を今強調されたいか。  その二点、お願いしたいと思います。
  67. 桃井貴子

    桃井参考人 ありがとうございます。  コロナ対策と気候変動の対策、融合した形でやっていくということは必要だと思いますし、気候変動がどんどん悪化する中でコロナが蔓延するということをおっしゃっているのかもしれませんけれども、そういう懸念はあると思います。  もう一点、原発についてですけれども、これは気候変動対策にはならないというのが私たちの見解です。  原発を維持するためには原発と同じだけのバックアップ電源が必要で、そのために今まで石炭火力発電所というのが両輪のようにつくられてきました。それによって、原発がふえればふえるほど石炭火力もバックアップとして同じ設備容量があったというような状況で、結果的には、原発で何か事故が起きれば一方で火力を動かすというようなバランスをとられてきたと思います。  今、エネルギー政策は、そのバランスを保つところから抜け切れていないと思います。むしろ、対抗軸としては、原発、石炭ではなく、再生可能エネルギーの方で分散型電源にシフトしていくということが必要だと考えています。  ありがとうございます。
  68. 笠井亮

    ○笠井委員 時間になりましたので、終わります。  四人の参考人の皆さん、ありがとうございました。
  69. 富田茂之

    富田委員長 次に、足立康史君。
  70. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史と申します。  四人の先生方、きょうはありがとうございます。  きょうは、法律案強靱化法案、そして再生エネルギーということで御意見を賜っていますが、ちょっと私からは原子力について。  要は、きょう先生方から伺った話は、まさに法律案あるいは再生エネルギーについての御見識を伺ったわけですけれども、電力事業電気事業ということを考えたときに、やはり原子力の問題は避けて通れない。だから、きょうお越しいただいている参考人の先生方に、では原子力自体についてどうお考えかということをお聞きしたい。  ただ、お立場上、いや、それは自分は担当じゃないんだ、あるいはお立場上難しいということがありましたら、それは控えていただいても結構ですから、差し支えない範囲内で原子力についてお聞きをしたいと思います。  三点、一つは再稼働一つは福島第一のタンクにたまっている処理水の処分、それから三点目はサイクル政策でございます。  まず私の考えを申し上げないとお聞きするのも失礼だと思うので、申し上げると、私は、再稼働は、福島第一原発事故の教訓をしっかりと踏まえた形で再稼働は進めるべき、こう思っています。  それから、福島のタンクにたまっている処理水については、直ちに、速やかに海洋放出すべきという立場です。理由は、例えば、規制庁の、規制委員会対応が今進みつつある青森の六ケ所村の再処理施設、ここで放出されるトリチウム水は福島にたまっているものの二十倍。二十倍のトリチウム水が、フル稼働すれば海洋放出されるのに、それは問題になっていません。なぜ問題になっていないかというと、問題ないからです。二十分の一で大騒ぎするのはおかしいと思っていまして、それはやるべきだと思っています。  それから、サイクル政策は、問題がある、行き詰まっていると思いますが、だからといって、例えば、いわゆる核のごみ、使用済み燃料の有毒性の低減等を考えたときには、やはり、例えば次世代型のそういう、何といいますかね、炉の開発とか、いろいろな技術開発はしていかなあかんので、その辺を全部とめてしまうわけにはいかないよな、そんな感じで見ていますが。  可能な範囲で、四人の参考人の先生方の御見識があれば、開陳をいただきたいと思います。
  71. 山地憲治

    山地参考人 原子力についてでございますけれども、基本的に、エネルギー基本計画を策定するたびに確認されていますけれども、我が国のエネルギー政策の基本方針というのはSプラススリーEですね。  スリーEというのは、エネルギーセキュリティーとエコノミックエフィシェンシーとエンバイロンメントプロテクション、要するにエネルギー安全保障と経済性と環境なんですけれども、少なくとも今再稼働待ちの原子力というのは、この三つのEは全て満たしていると思います。  だから、Sですよね。原子力の場合、一番聞かれていたのはSで、Sはセーフティー、安全と言われていますけれども、よく安心と言われるわけですよね。そこはもうどうにもならない。安心というのは主観的なものですから、やはり国民の多くが原子力を信頼していないということは確かなんだろうと思います。  時間がかかるけれども、この社会的信頼を回復していく、これが一番大事なことだというふうに思っています。が、プロセスとしては、原子力規制委員会の規制基準をクリアしたものというのは幾つか出ているわけですから、それを、地元の了解を得て再稼働を進めていくということがまず一番大事なことかというふうに私は思っております。  もちろん、長期を考えると原子力の新増設、リプレース、考えていく必要がありますので、この議論をしていかなきゃいけないんですけれども、なかなか今その議論が生産的にできるか、生産的というのは否定する場合も含めてというので、我が国が決めることができるかという意味でいえば、その状態にまだ私はなっていないと思います。恐らく、皆さん政治家の方の役割は非常に大きいというふうに考えております。  トリチウム水についても、私、原子力工学科出身なものですから、基本的にはトリチウムというのは宇宙線でできていて、我々の体内にもいっぱいあるものです。環境中にあるものであって、通常の原子炉の運転でも、それから特に韓国、カナダにある重水炉なんかだとたくさん出ています。ベクレルでいうともう桁が何桁も、テラとかそういうオーダーになってくるわけですので。  もちろんほかの放射性物質のちゃんとした除去をして、トリチウムで安全を確認した上では、私は海洋放出というのは合理的だと思います。が、よく言われているように、風評被害、この問題に手を打つということが大事じゃないでしょうか。
  72. 小野透

    小野参考人 まず、日本にとって原子力というのは、スリーEを達成するためにはやはり必須のエネルギー源だというふうに思っております。  したがって、先ほど先生がおっしゃったことと全く同じでございますけれども、安全が確認された原子力発電所については再稼働すべきであるというふうに考えます。  それから、処理水の問題につきましては、あくまでもこれは科学的な事実に基づいて判断すべきことであり、それともう一つは、国民理解というのも重要でありましょうし、それから風評被害を防ぐという配慮も必要かと思いますが、基本的には科学的事実に基づいた判断がなされるべきというふうに思います。  それから、サイクルにつきましては、これは原子力の場合には、フロントエンドだけではなくて、今後の廃炉ですとか廃棄物処理なんかも含めた、トータルでのサプライチェーンが必要でありまして、そういった意味では、サイクル設備稼働というのは必要な事項であるというふうに思います。これにつきましても、科学的な事実ですとか技術、こういったところを確認しながら進めていくということが肝要かと思います。  以上です。
  73. 石川和男

    石川参考人 お答えします。  まず一つ目の再稼働という問題ですけれども、私自身は、今、規制委員会がいいと言ったものについて、かつ地元の同意を得て稼働、こういうプロセスになっているわけですけれども、少なくとも、私は、福島第一、一Fですね、これの事故以降、規制基準ということで上乗せされて、実際には、しかし、震災の後、稼働はしておりましたね。その後、北海道の泊原子力発電所を最後に、旧基準のやつがとまった、こういう経過でございますけれども、私のように保安行政も安全行政もやってきた人間からしますと、ちょっととめ過ぎですね。とめ過ぎです。やり過ぎといいます、こういうのを。  規制委員会の規制は非常に大事だとは思いますが、私から言わせますれば、新たに上乗せされた基準にクリアしているものがオーケーということであって、安全性が確認というのはちょっと違うと思います。現に安全だと思います。だから震災以後も動いていた発電所があるわけでありまして、したがって、私といたしましては、まず運用をちょっと改善していただきまして、原子力規制庁、規制委員会運用を改善してもらいまして、規制の上乗せは仕方ないと思います、テロ対策でありますとか防潮堤、防潮堤はまあでき上がっていますけれども、仕方ないと思いますが、少なくとも発電の再開だけは運用面でもきちんと認めてもらいたい。  ただ、その後、都道府県知事同意というのがあります。これにつきましては、やはり国政レベルから、特に、担当は経済産業省でありますけれども、オール・ジャパンの問題ということであれば、ぜひ総理官邸、総理に前面に出て、これは指揮をしていただきたいというふうに思います。  そういう点におきましては、再稼働発電再開は早期に準備に取りかかっていて、特に今はコロナということで経済がこんなになっちゃっていますので、電気安定供給安価安定供給は大事だと思います。そういう点において、ぜひ政治主導でもって進めていただきたいというふうに思います。  二つ目の一Fの処理水でございますけれども、それは足立先生おっしゃるとおりでございまして、私は、更に加えて申しますと、やはり、ただ、福島の地元の方のお話を聞くと、そんなに安全だ安全だと言うんだったら東京電力の管内の人間のところでやってみろというふうな感情論が出てきますが、私は、これは感情論といって一笑に付してはいかぬと思っております。私自身は、これを言うとまた一笑に付されるのでありますが、東京湾でちょっとは流してみたらどうかと、本当に。やってみたらどうかと思うんです、それだけ安全だ安全だと言うのであれば。私は安全だと思います。  ちなみに、去年の十二月に一Fに見学に行きまして、処理水のタンクの上で写真を撮ってまいりまして、SNSのアイコンの画面に私が、それが載っておりまして、見ていただくとわかるんですけれども、そのときにこう申しました、所長さんに。飲ませていただけませんでしょうかと申し上げたら、二つの理由でだめだと言われました。一つは原子力規制委員会に怒られるというのと、もう一つは大腸菌が含まれているからやめろと言われました。  まあ、これは半分冗談というか、飲むというのは半分冗談ですが、半分は本気でした。そのぐらいのことをやってみても私は大丈夫だというふうに思っておりますので、ぜひとも、ここは政治の英断だと思いますので、数値的には、足立先生おっしゃるように、格段にもう基準はクリアしているわけですので、もはやこれは技術の問題ではなくて政治だと思います。国政レベルでの説得が必要だと思います。  核燃料サイクルにつきましては、六ケ所村の竣工ということをもう本当に心待ちにしております。  というのは、やはりこんな大きな技術を、あれだけの投資額を投じてやってきたものを、確かに反対運動とかいろいろな感情論はわかるにしても、あそこまでやってきたものをこのまま捨てるというのは、私は単純にもったいないと思います。  核燃料サイクルというのは、世界各国の動向を見ても、やっている国とやっていない国とはっきり分かれますが、日本はやるということでやってきたので、私は、六ケ所の竣工については、早々に諸条件をクリアした上でやってもらいたいし、核燃サイクルがアジアの将来の原子力市場における再処理の拠点にもぜひともなっていただきたい、こんなふうな思いでおります。  ありがとうございました。
  74. 桃井貴子

    桃井参考人 済みません、余り専門ではないので本当は発言を控えたいところではあるんですが、余りにも行け行けゴーゴーで原発の方に向かっていたので、ちょっと一言言わせていただきたいと思います。  まず、再稼働については基本的に反対です。  私たちは、原発に頼らないという社会をつくっていかなければならないと思っていますし、原発の事故を一度経験をして、それがもう一度、再び起こったときの日本に与える打撃というのは本当に大きいと思います。ですから、これから先、大きな地震が起きるかもしれない、火山が爆発するかもしれない、テロがあるかもしれないというようなところで、今再稼働するべきではないと思っています。  それから、福島の汚染水、トリチウムの処理水ですけれども、これについては反対です。  今、福島の方での漁業者の方々の声というのに耳を傾けてみますと、非常に切実に、これはやめてもらいたいということを訴えておられます。  一回飲んでみたい方は飲まれるといいのかもしれませんけれども、東京湾に放出するなんというのも私は基本的には反対ですし、ここにまざっているトリチウムを環境中に放出していくということで、それが蓄積されて、とりわけ福島海域の貝類とか、底辺にいる魚介類にとっては非常に汚染が懸念されるという問題があると思っていますので、反対です。  それから、核燃料政策についても、もう、もはや終わった問題だというふうに認識した方がいいと思っていまして、ここまで時間をかけていろいろやってきてもなかなか動かせなかったということで、今さら六ケ所村を動かして核燃料サイクルを動かしていくということで、原発を動かす方向に向かうべきではないというふうに思っています。  済みません、端的ですけれども、終わります。
  75. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。大変多様な御意見を賜ることができました。ありがとうございます。  石川参考人が東京湾とおっしゃいましたが、我が党の日本維新の会の代表の松井一郎大阪市長は大阪湾にということを申し上げて、いろいろたたかれもしていますが、ただ、その心はまさに、科学的に安全なんだから、それは東京湾でも大阪湾でも、全国に流したらいいじゃないかと。福島だけに押しつけるものではないという趣旨であって、それは国策でやってきたわけですから、国民全員が、特に電力大消費地、東京、大阪の住民は、これは人ごとではないということを申し上げたかったということは付言しておきたいと思います。  あと、もう時間が余りありませんが、がらっと話を変えて、再生可能エネルギー、先ほど石川参考人が原子力に係る地元同意の話をされました。  私は、原子力にもいい原子力と悪い原子力があると思っていまして、太陽光発電を始め再生可能エネルギーにも、よい再生可能エネルギーと悪い再生可能エネルギーがあります。私の地元には両方あります。  能勢町にはいい太陽光発電があります。豊能町には悪い太陽光発電がある。悪いというのは、結局、住宅地の真横に、要は、送電網の関係で、住宅地までは線が来ているわけですね。だから、住宅地の真横にどんと大規模メガソーラーを置くと事業性がいいわけです。だから、そういうものが散発していまして、大変困っています。何か、静岡とかでもいろいろ問題になっていますよね。  私の選挙区は大阪の北の端ですから、兵庫県に面しています。すると、よく経済産業省は調整を条例でやってくれと言うんですが、豊能町は条例もつくりました。でも、豊能町の住宅地の真横のメガソーラーは、川西市、兵庫県にあるんです。条例でカバーできません。だから、県境を越えた対応については法制化をすべきだということを申し上げてきましたが、なかなかこの地元同意問題というのは、原子力の分野も再生可能エネルギーの分野もなかなか奥深いもので、実現をしていません。  この地元同意の問題について、といってももう時間がないんですが、ちょっと俺は意見があるぞ、私は意見があるぞという参考人の先生方がいらっしゃいましたら、ここの解決策について御指導を賜れればと思います。いらっしゃらないかな。
  76. 石川和男

    石川参考人 地元というのは市町村なのか都道府県なのかで、原子力は都道府県ということになっていますよね。とはいっても、市町村の同意は得るんですけれども。  太陽光の問題は、足立先生のおっしゃられていることは私もよく身にしみてといいますか、そのときの地元同意は、しかし結局、大体物事は、アンケートをとったら反対ばかりというのもあるし、やはりどうしても反対意見の方が強調されがちです。賛成だと言ってシュプレヒコールを上げる人って余りいないですよね。やはり反対でやるわけですね、官邸前デモもそうだと思うんですが。  だから、そうなると、私は、これはもう最終的には、議会の議決とかあるいは首長の指導というようなことを国法において法制化した方がいいんじゃないか、そう思います。
  77. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございました。あとの三人の先生方はいいですね。  今、石川参考人がおっしゃっていただいたように、やはりこれは、私は、最終的には法律論で、今回の法律で手当てできなくても、法律で手当てしなければ、今、石川さんおっしゃったように、ほかの自治体ですから。要は、太陽光発電が設置されているのは隣の県、隣の市町村です。だから、幾ら地元で、議会で、あるいは役場が、それをあかんと言っても声は届きませんから、この自治体の境あるいは都道府県の県境を越えた環境問題、これについてはやはりちゃんと法制的に対応をしていかないといけないと、私はここは指摘をしておきたいと思います。  もう終わりますが、今申し上げたように、原子力にもいい原子力、悪い原子力、再生可能エネルギーにも悪い再生可能エネルギーもあるんですね。だから、先ほど桃井参考人は、何か再生可能エネルギーはいいもので原子力は悪いものであるかのように私は受け取りましたが、再生可能エネルギーもそういう環境問題を起こしていますので、私の地元の住民の皆様からしたら、これは再生可能エネルギーの方がよっぽど問題だということになっています。  だから、そういう中で、日本全体で、電力電気事業、これをどういうふうに発展させていくかというのは、きょうは、原子力と再生可能エネルギー、二つ、大きな問題と地元のミクロの問題を取り上げましたが、そこまで目くばせをしながら、しっかり政治の責任を果たしていくことをお誓いして、質問を終わりたいと思います。  参考人の先生方、ありがとうございました。
  78. 富田茂之

    富田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時二十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  79. 富田茂之

    富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き、内閣提出、強靱かつ持続可能な電気供給体制確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房技術総括保安審議官小澤典明君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、資源エネルギー庁長官高橋泰三君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長松山泰浩君、資源エネルギー庁資源燃料部長南亮君及び資源エネルギー庁電力ガス事業部長村瀬佳史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 富田茂之

    富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  81. 富田茂之

    富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。辻清人君。
  82. 辻清人

    ○辻委員 自民党の辻清人でございます。  いわゆる強靱化法について質問をさせていただきたいと思います。二十分という限られた時間なので、行けるところまで行きたいと思いますので、よろしくお願いします。  初めに、このコロナウイルス禍の中で亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、懸命に努力されている医療機関の方々、さまざまな医療物資の生産に当たっておられる方々に深く感謝を申し上げたいと思います。更に加えて、このコロナウイルスはエネルギー安定供給においても脅威となっていることを忘れてはいけないと思います。発電送電の現場、あるいは石油やLNGの生産や輸送の現場で、さまざまな方々、安定供給に努力している方々にも敬意を表したいと思います。  私、七年前に、この電力システム改革の、それこそ政権交代後、私にとっての初めての経産委員会での質問、広域系統機関、発送電分離、小売の自由化の、当時茂木経産大臣のときの質問に自民党で立たせていただいて、今、梶山大臣の前で、七年後、いわゆる一九九五年から始まった一つ日本電力システム改革の総仕上げにこうして立たせていただいて、隔世の感があります。  率直に申し上げて、日本にとってのエネルギー、これはちょっと個人的な話をさせていただきますが、私自身、人生の半分以上を外国で育っています。そのうち十五年間は自然エネルギーが豊富なカナダ、ブリティッシュコロンビア州という、バンクーバーというところなんですが、これは御存じのように、九〇%のエネルギーを水力発電で賄っている地域でもございます。幼少期からずっと育っている中で、電気というのは、つけたり消したりするものじゃなくて、ついているものだという感覚がありました。大学で日本に戻ってきて、授業が始まる前に机に座っていると、先生が電気をぱちっとつけて、また授業が終わると消す。日本人にとって当たり前の感覚が、僕にとっては違和感。  これは非常に個人的な話なんですが、改めて、昨年一年間、外務省の政務官としてエネルギー外交に携わらせていただいて、特に中東の産油国を訪れたときに、どれだけの方々が日本電力ないしエネルギー安定供給のために努力をしているか。きょういらっしゃる経産省、エネ庁の方々の中にも、歴史に名を刻まない英雄の方々がたくさんいるからこそ、今の日本エネルギー安定供給があると思います。  そこで、今回の法案ですけれども、これは本当に大胆で前向きな改革の内容を含んでいまして、この安定供給日本にとってのエネルギー安定供給に資するものだと思いますが、その肝の部分、これから実際、託送料金制度レベニューキャップ制度導入するというのは、これは僕は画期的なことだと思うし必要なことだと思いますが、送配電網を整備していくというのは、やはりシステム改革の中で一番重要、かつ、しっかりうまくやらないと、うまくやれば、それこそ市場原理も働いてコストを削減することもできるし、災害に強い、そういうシステムをつくることができますが、そのさじかげんというのは難しいと思います。  言うなれば、国がしっかりと安価で安定なエネルギーを国民に提供するように、もちろんインセンティブを、このレベニューキャップをつけて与えることはいいんですけれども、効率化と同時にうまく資金も確保して、加えて、その土台として安定的に供給をしないといけないという、そこは、そこのさじかげんというのは、やはり政府がしっかり手綱を握って、それこそ電力広域機関一般送配電事業者を指導できる必要があると思います。  ここは質問なんですが、今般の広域系統整備計画レベニューキャップ制度、この実施を通じた電気安定供給政府の役割はどういうふうに認識しているでしょうか、お答えください。
  83. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員から御質問ありましたように、電力システム改革、まさにこの系統整備というのがその一番の基礎になるものであると思っております。  再エネのポテンシャルも踏まえた全体最適広域運用を進め、災害に強い強靱な送配電網を整備していく観点から導入されます広域系統整備計画、また、コスト削減のインセンティブを与えてコストを抑制しつつ、必要となる投資資金の確保を図る観点から導入されますレベニューキャップ制度について、国がしっかりと関与をしていかなければならないと思いますし、適切に運用することが重要なことであると思っております。  広域系統整備計画につきましては、政策的必要性や公平性等の観点から不適切と認めた場合には国が変更命令を行える仕組みなどを措置しているところであります。このような仕組みも活用しつつ、国として、安定供給確保観点から、計画の妥当性や実効性をしっかりと確保することとしたいと思います。  また、レベニューキャップ制度については、国が一定期間ごとに収入上限の審査をすることになっておりますが、外部の専門家の意見も聞きつつ、コスト抑制の追求と同時に、安定供給確保のために必要な投資が確保されているかについても、国民目線に立って、透明性の高いプロセスのもとで、また、適切に情報発信を行いつつ、適切に確認していくこととしたいと思います。  これらを通じて、コストの抑制と同時に、再エネ大量導入レジリエンス強化観点から必要となる投資を確保し、国として安定供給の万全を期してまいりたいと思っておりますが、先ほど申しましたように、系統整備がまず第一、この電力システム改革の中では重要なことであるという認識を持って取り組んでまいりたいと思います。
  84. 辻清人

    ○辻委員 大臣みずから御答弁いただいて、ありがとうございます。  本当に、外から見ると、政府で行っているこういった判断や審査の状況は、多分一般国民の方にはわかりにくい面が多いと思いますので、こういうさまざまな形での透明性の確保や情報発信、そういった専門家の育成、一般配電事業者とのいい意味での緊張関係というのはやはり大事だと思いますので、よろしくお願いします。  加えて、これは個人的にここ最近ずっとやはり気になっていることなんですが、いわゆる自由主義経済の中で、こういった公共性の高いものを民間も含めてしっかり開発をして維持していく中で、どうしても、例えば四半期ごとの株主総会等々で常に利益を求められる中で、いわゆる基礎研究に対して投資をするということ、これは、特に今のようなコロナ禍での不況の中では、基礎研究費というのがさまざまな分野でこれから削られてくる懸念があると思うんです。  そういった中で、ちょっと例は飛躍しますけれども、例えば米ソの冷戦時代に、月に有人飛行をアメリカとソ連が争っていたころというのは、当時の宇宙開発のさまざまな研究というのは、それこそ九割が無駄だったとしても、一割の成功した部分のさまざまな派生した技術というのが人間の、人類の英知となって、その先の、今のインターネット技術やさまざまなものに応用されているわけでございます。  これを、いわゆる地域独占がある一般送配電事業者に、ちょっとミクロな部分、落とし込むと、実際、今後、レベニューキャップ制度導入して、コストをある程度意識して、競争原理を働かせるのはいいんですけれども、やはり電気事業というのは社会基盤でございますから、今後、よりいいものを提供するための基礎研究、そして技術者の育成というのは、これは僕は不可欠だと思います。そういった、技術者だけじゃなくて学術界や外国の知恵を活用する、大学との産学連携などの人材交流、そういったものがこのレベニューキャップ制度導入することで犠牲になっちゃいけないと思うんです。  なので、これは送配電部門を中心に、電力分野の研究開発の促進のあり方、そのための政府の役割について、エネ庁の方でいいので、どのように認識しているか、教えてください。
  85. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、電力分野におきましても、必要な研究開発がしっかり行われ、必要な人材が将来に向けて育っていく、そういった中でイノベーションが促進される環境を整備していくことが重要だと考えてございます。今回の制度整備におきましても、かかる考え方で今後の詳細設計についても取り組んでいきたいと考えてございます。  そういった取組は民間が中心になるわけでございますけれども、政府といたしましても、例えば災害対応分野などにおきましては、停電復旧に要する時間を予測したり共有したりするシステムの開発につきましては、政府が予算措置を講じてこの取組を支援をするといったような形で支援を申し上げるような取組も進めておりますし、また、今回の託送制度改革の中でも、再エネ電源への接続ですとか、ドローンやデジタル技術などを活用した効率化を促す仕組みを導入することとしておりますので、詳細設計の中では、こういった取組がしっかり行われるような点に配慮しながら検討を深めてまいりたいと考えてございます。  また、配電事業とかアグリゲーターといった新たなライセンスの導入も今次改正では盛り込ませていただいているところでございます。こういった制度的な整備にとどまらず、実証事業などの政策支援などをしっかりと行っていくことで、例えばEVや再エネを含めた分散型リソースを適切かつ効率的に活用するためのイノベーションなどもしっかりと促してまいりたいと考えてございます。
  86. 辻清人

    ○辻委員 ありがとうございます。  蛇足でございますが、やはり今実際、特に理系の分野で、学生の方々の就職先として、こういった電力事業者も含めて、ぜひともそういった研究機関、これは特に三・一一以降、原子力の研究に携わっている学生、本当にこれも私的なことなんですけれども、私は京都大学という大学の文系を卒業していますが、友人に、それこそ湯川秀樹さんの流れの応用物理の研究をしている、僕なんかはどんなにひっくり返ってもかなわないような頭のいい友人がいまして、三・一一以降、彼はやはり原子力の分野でずっと研究をこれからしようと思っていたんですが、なかなかいろいろな、さまざまなこともあって、紆余曲折ありまして、今はそっちの方面に行っていないんですが、原子力というものに対しての考え方いかんは一旦置いておいて、今までのそういった産学の知識の蓄積というのは、これは日本にとっては絶対にこれからも活用していかないといけないものでございますので、これに対しては国がしっかりフォローして、本当に産学連携を追求して、実際、資金をしっかりと提供し続けることが必要だと個人的には思っています。  ちょっと法案質疑にまた戻らせていただきますが、今回、これも法案改正の目玉だと思うんですが、新しく配電事業者が位置づけられて、一般送配電事業者送配電網を活用して、一部の地域で独占的な配電事業を実施できるようになることだと思います。例えば、地域それぞれで異なった電力メニューを供給することも可能になるわけです。  これも、済みません、何か個人的な例ばかり挙げて恐縮なんですけれども、大学院でアメリカにいたときに、これはアメリカのニューヨークの方なんですけれども、学生向けの電力のメニューなんていうのがあるわけです。これは何かというと、やはり電力需要がピークに当たる時間というのは学生は勉強を学校でしているので、むしろ夜中の、電力が余り使われない時間帯に安く電力を供給するようなプランなんかも、これはもう地域で、それぞれその地域の需要家に合わせて、これは家庭部門の話ですけれども、そういったこともこれから、これは自治体が主体になってやらなければいけないとか、いろいろあると思うんですけれども、その下地は今回の法律改正でできたと思うんです。  例えば、これは千葉県の睦沢町というところなんですけれども、むつざわウェルネススマートタウンですか、のように、都市開発事業者が自営線を敷いて、災害に当たって早期に復旧できた例もあるようです。  こういった意味で、発想そのものはいいんですよ、こういったイノベーションの促進にもつながるんですが、そういったときに、我々、常に忘れちゃいけないのが、災害時にはやはりBCP、ビジネス・コンティニュイティー・プランということで、要は事業継続計画、安定して事業が継続できるかということは、これは我々、我々というのは国側は、絶対にここは犠牲にしちゃいけないと思うんです。なので、何が言いたいかというと、配電事業者の許可の基準やその審査のあり方というのが非常に重要になってくると思うんです。  そこで、その配電事業者制度をどう具体化していくかということをお答えください。
  87. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  今回の改正で、新たなライセンス制の導入を盛り込ませていただいているところでございますけれども、新たな選択肢ができる一方で、委員御指摘のとおり、災害時への対応ということに引き続き万全を期していかなければいけないということでございます。  そのような中で、今回の改正法案におきましても、新設する配電事業については許可制をとっておりまして、許可がないと行ってはならない、こういうことになってございます。その許可基準といたしましても、法律におきまして、「配電事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。」や、「配電事業計画が確実であること。」、「その配電事業の開始が電気事業の総合的かつ合理的な発達その他の公共の利益の増進のため必要かつ適切であること。」などを本法律上明記をしているところでございます。  また、その許可に当たりましては、災害時における対応も含めた、地域の方々からの理解と信頼がしっかりと得られるような事業者に参入をしていただく必要があるといった観点から、必要な資金的、人的経営資源を有しているかどうか、また、地域の住民にとってメリットのある適切かつ実効性のある事業計画を持っているか、災害等における自治体との連携を含む業務計画が適切に定められているかどうかなどを、しっかりと審査を行ってまいりたいと考えてございます。
  88. 辻清人

    ○辻委員 これは参入障壁が相当高いと思うんですね。ただ、新規参入がなければ、これは本当に仏つくって魂入れずになるので、よろしくお願いしたいと思います。  多分、次で最後の質問になると思いますが、FIP制度について。  FIT制度というのはいろいろ、それこそ功罪あると思うんです。いろいろな方々が参入したし、一律で、それこそ、ここではあえて申し上げると、再生可能エネルギーの比率を引き上げるために貢献をしてきたということでは評価をできる制度だったと思いますが、今度はFIP制度になって、やはりこれは二〇三〇年のエネルギーミックス、特に再生可能エネルギーの比率を拡大させるためには、相当程度プレミアを設けることが必要だと思うんです。  今回、このFIP制度を通じて再生可能エネルギー導入をどのように促進をしていく考えなのか、それを実現するためにFIP制度運用でどのような点に留意していく考えか、教えてください。
  89. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  この法案で盛り込んでおりますFIP制度というのは、FITのように価格を固定するのではなく、一旦まずは市場に売電していただいて、その上で一定プレミアムを乗せてという形で投資インセンティブを確保する制度でございます。  これまで、FIT制度でありますと、価格が固定されて、なかなかビジネスが育ってこないという問題点がございました。このFIP制度に移行しますと、電力の需給構造や市場価格を意識し、効率的な発電、売電ということを行うような形になりますので、単に設備を入れてというだけではなくて、発電事業としての再エネビジネスというのが生まれてくる、そうしなければならないと考えてございます。  御質問を頂戴しました今後の運用における鍵でございますけれども、まず、必要なインセンティブは講じなければならない。今回は電力市場への統合という形でFIP制度を入れるわけでございますが、その収入水準に当たる基準価格の設定におきましては、FIT制度と同様に、まだまだ日本の競争力というのは強くございませんので、十分な投資インセンティブをつけるということが重要であるということ。  同時に、これをめぐる、関連するビジネスというものが非常に重要になってくるかと思っております。すなわち、今回の法案の中にも盛り込んでおりますように、特定卸供給電気事業者としてのアグリゲータービジネス、同時に、ためて、違う時間で吐き出すための蓄電池、さらには再エネ発電予測技術、さまざまな関連ビジネスが備わってきて、電力市場の中で主力電源と呼べるようなビジネス構造がつくり上げられていかないといけない。  今、将来を予測することはなかなか難しいわけでございますが、産業の育成ということとあわせ、コストダウンということをあわせ講じていくことによって、再エネ主力電源化に向けたFIP制度運用を進めてまいりたいと考えてございます。
  90. 辻清人

    ○辻委員 ありがとうございます。  このシステム改革、これで終わりじゃなくて、本当に始まりの終わりだと思うんです。いわゆるプレリュードだと思います。そういった意味では、これからこの器にどういうものを入れていくかによって、日本のこれからのエネルギーに対する考え方、また、国民の公共に対する意識、そういったものも含めて、これから我々、責任を持ってしっかりとこれに取り組んでいかないといけないと思います。  以上で、私、質問を終わります。ありがとうございます。
  91. 富田茂之

    富田委員長 次に、神田裕君。
  92. 神田裕

    ○神田(裕)委員 自由民主党の神田裕でございます。本日は貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  初めに、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになりました方々に心からお悔やみを申し上げ、そしてまた、医療関係者を始め現場、最前線で懸命に尽力をいただいている皆様に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。  昨年、二〇一九年は、梶山大臣と私の地元でもあります茨城県にとりまして非常に困難の多い年でございました。皆さんの記憶にも新しいとは思うのでございますが、台風の十五号で停電、それで台風十九号によりまして、水害の被害は茨城県も例外ではございませんでした。今も大きな爪跡が残っているわけでございます。  台風十九号によりまして被災しました鉄道、水郡線でございますが、復旧に向けた懸命な作業によりまして、ことし七月上旬に、ようやく西金駅と袋田駅の区間の運転再開を予定しております。しかしながら、未開通区間でございます袋田駅と常陸大子駅の区間の運転再開につきましては来年の夏ごろということで、まだまだ長い闘いになるわけでございます。  引き続き、梶山大臣の御指導のもとに、被害を受けました皆様への支援に取り組んでまいりたいと思っております。  本日は、こうした頻発する自然災害への対応を含むエネルギーに関する法案審議ということで、早速質問に入らせていただきます。  今回の法案におきまして、一般送配電事業者に対して災害連携計画の策定が義務づけられることによりまして、災害時における事業者間の連携が円滑に行われるようになり、迅速な復旧の実効性が確保されるものと承知しております。  一方で、この災害連携計画については一般送配電事業者が共同で作成することになっておりますが、昨今の災害時における対応、これを鑑みれば、発電事業者、また、新電力を含めた小売電気事業者との連携も非常に重要であると考えておりますが、この災害連携計画では、こうした事業者との連携はどのように確保されるのか、お伺いいたします。
  93. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、昨今の災害の教訓を踏まえますと、災害時の対応といたしましては、一般送配電事業者間の連携のみでは十分ではなく、発電事業者や新電力を含む小売電気事業者との連携が極めて重要でございます。  具体的には、例えば、さきの災害では、発電事業者が保有しますポータブル発電機を貸し出して活用したり、避難所における小売電気事業者による営業用の電気自動車からの携帯電話等への充電サービスの提供なども行われたわけでございます。  そういった考えに立ちまして、改正後の電気事業法第三十三条の二第二項第四号に基づきまして経済産業省令を定めまして、この中で、電気事業者等の関係機関との連携に関する事項を定める予定でございます。これに基づきまして、災害連携計画においては、発電事業者や小売電気事業者との連携についても明記をすることを義務づける予定でございます。  こうした制度を通じまして、災害発生時には電力供給を担う全ての事業者が協調して復旧活動等に従事し、早期の停電解消につながるよう適切に制度運用し、その実効性を確保してまいりたいと考えてございます。
  94. 神田裕

    ○神田(裕)委員 ありがとうございます。  新電力等を含めまして、関係する事業者の適切な連携が図られますことを期待しております。  さて、最近の災害におけます激甚化の根本原因は何か、こう問われた際に、地球温暖化の、その一つの可能性があることは否定できないと思っております。私たちの生活を持続可能なものにしていくためには、地球温暖化という大きな課題に対して、しっかりと取り組んでいくことが大変重要であると思っております。その一つの手段として、私は、電源の脱炭素化に向けた取組を進めていく必要があると思っております。  茨城県は、原子力発電所が立地しておりますが、実はFIT制度による太陽光発電導入量におきまして日本一という再エネの大国でもございます。そこで、本日は、再エネに関する問題について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  今回の再エネ特措法改正では、再エネ電力市場へ統合していくべきという話がありました。現在は固定価格電力会社に買い取らせる仕組みになっている再エネを、他の電力と同じように市場で取引されるぐらいメジャーな存在にしていく、そういうことだと理解をいたしております。  この電力市場への統合という言葉が、ちょっと少しわかりにくいのではないかと思っております。再エネ事業を行う方々や国民がわかりやすいように、これはどのような取組なのか、そしてどのような効果があるのか、こういうことについて具体的な説明をお願いいたします。
  95. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  本法案に盛り込んでおりますFIP制度というものの導入は、再エネ主力電源化に向けて、再エネ電力市場への統合を目指すものということで私ども御説明させていただいておりますけれども、これは、再生可能エネルギーというものが、電力市場電力ビジネスという面におきまして、ほかの電源と同様の役割、責任というものを果たして、電力市場の中に統合、一体化されていくような形で主力電源と呼び得るにふさわしい電源に成長し、主力電源となっていくということを目指すものだというふうに御理解いただければと思っております。  もうちょっと具体的に申し上げますと、通常、発電事業者というものは、一般に、発電計画をつくって、これにのっとった形で発電をし、自分で取引の相手方を探されて、市場の場合は、発電状況、需給の状況に応じて市場価格で売電するという仕組みになって、そういう形でビジネスを営んでいらっしゃるわけでございます。  今のFIT制度のもとでの再エネ事業というものは、法律に基づいて定められてくることになります発電された再エネ電気の買取りの価格というのが決まっておりまして、これがいつ売っても、いつ発電しても同じ価格になってございます。これでは事業者の方々が、そういうビジネスの構造でございますものですから、電力市場、需給状況価格ということを意識せずに、なかなか工夫することということもできぬまま事業が続いていくということになってしまいます。  今回導入するFIP制度のもとでは、先ほども御答弁申し上げましたけれども、一回市場の取引で販売し、それにプレミアムを乗せるという形になりますので、再エネビジネスとして、よりもうけを出し、事業を営んでいけるような形の活動が促されるというふうに期待されるわけでございまして、電力システムとしての効率化コストダウン、そして再エネ事業というものの高度化、競争力の強化、ひいては国民負担の軽減、行く行く先の再エネ主力電源化に向けての措置だというふうに考えてございます。
  96. 神田裕

    ○神田(裕)委員 ありがとうございます。  今回の改正が再エネ導入拡大に向けて必要な措置であると明確になったかと思っております。  さて、再エネのさらなる導入拡大を図っていくことはもちろんでございますが、既にFIT制度認定を受けているにもかかわらず再エネ発電設備の運転を開始していない案件、いわゆる未稼働案件でございますが、これについても、対応についても同時に進めていかなければならないと思っております。  これまでは、運転を開始するまでの期限を設け、それを超過した場合、その分だけFIT制度における買取り期間を短くする、そういうことによって早期に運転を開始する動機づけをしておりました。  今回の法案では、ここから一段と踏み込んで、運転開始期限後、より長い失効期限を設定をし、これを超過した場合は認定を失効すること、そのようにしております。これまでの早期に運転を開始する動機づけとはまたちょっと違った効果があるように思いますが、この措置をとることの意義につきまして、わかりやすく説明をお願いいたします。
  97. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  現状では、FIT認定を受けた案件事業を開始しないまま長期に放置されたままになっている、今委員御指摘のように未稼働案件、未稼働問題と呼ばれておるわけでございますが、というものがかなりの量が存在してまいっております。  このことは、太陽光パネルのコストがだんだん下がっていくということによって、将来、高い価格のままで発電を開始した場合に国民負担に大きな負担が出てきてしまうという懸念があるとともに、もう一つ、今回の措置にもつながるわけでございますけれども、事業者さんが押さえていらっしゃる系統の枠というものが結果的には空押さえのような形になり、後続で開発を考えていらっしゃる事業者の方々が参入することができない、再エネ導入拡大ということができないという問題があるわけでございます。  委員もおっしゃっていただきましたように、これまで、前回の法改正上の措置、さらには、運転開始時期の設定や価格見直しといったさまざまな措置を講じてきたわけでございますが、今回の法案の中では、さらに、系統活用の実態というものを踏まえまして、他国の事例も踏まえながら、事業者の予見可能性を確保するための適切な猶予期間を設けた上で、なお事業を開始されない場合には認定を失効させる仕組みを導入するものでございます。  これで認定が失効となった場合には、認定に係る系統接続契約は解除されることになるわけでございまして、当該案件の確保分の系統容量を活用した新たなビジネス、新陳代謝とさらなる効率的な再エネ導入拡大を期待しているところでございます。
  98. 神田裕

    ○神田(裕)委員 ありがとうございます。  私の地元の茨城県も、多くの地域におきまして系統容量が相当に制約されている、そういう状況だと聞いております。このような措置によりまして、しっかりと取り組む意思のある再エネ事業者が確実に系統を利用できるような、そんな環境を整備することが重要だと思っております。  次に、送電系統の空き容量の問題に関連しまして、もう一つお伺いをいたします。  今回の法改正に先立ちまして、経産省が主導し、各電力会社におきまして既存の送電網を最大限に活用する、そういった工夫が進められていると聞いております。このうち、送電線が混雑しているうちには出力制限がかかるという条件で、時間がかかる送電線の増強を待つことなく、速やかに再エネを受け入れるノンファーム型接続と呼ばれる取組が進められております。  昨年の九月からは千葉エリアで、そしてことしの一月からは私の地元の茨城などでも、先行的に実施をされていると認識しております。特に、最初に取組が始まりました千葉エリアにおいては、既に効果が確認をされております。  再エネ導入拡大の観点から、このノンファーム型接続につきましては全国に展開すべきであり、その際、ぜひ目標の期限を決めて取り組むべきではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。お願いいたします。
  99. 梶山弘志

    梶山国務大臣 再エネのさらなる導入拡大のためには、まずは既存の送電網をできる限り合理的に活用していくことが重要であります。  御指摘のとおり、ノンファーム型接続と呼ばれる仕組みは、系統が混雑しているときには出力制御を受けるといった一定条件のもとで、新たな電源送電網への接続を早期に認める仕組みとして有効であると考えます。  昨年九月に、委員御指摘のように、千葉エリアにおいてノンファーム型接続の仕組みが初めて導入をされ、仮に再エネを五百万キロワット追加した場合でも、出力制限時間は相当程度低い想定であることが確認されたと認識をしております。同様の取組は、ことし一月に、御指摘の茨城県鹿島エリアや北東北エリアにおいても実施をされているところであります。  ノンファーム型接続の仕組みは再エネ導入加速化に資するものであることから、特定の地域での対応に限定せずに、全国に広げていくことが重要であると考えております。来年中、二〇二一年中には全国展開に向けて、経済産業省としても取組を進めてまいりたいと考えております。
  100. 神田裕

    ○神田(裕)委員 非常に力強い、前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。  当然、費用対効果をしっかりと見きわめ、その効果が高いところから優先的に進めていければと思っております。再エネ導入拡大に資するものでございますので、より一層の取組の加速化をお願いいたします。  ここまで、認定の失効による系統容量の確保、ノンファーム型の接続と既存の系統をどう利活用していくか、そういった観点から質問をさせていただきました。  他方で、地域によって偏りのある再エネのポテンシャルを生かしていくには、計画的に系統の形成を行っていくプッシュ型によりまして送電網の整備を進めていく必要があると思っております。  そのため、今回の法案には、電力広域機関広域系統整備計画を策定する業務を追加するほか、広域的な再エネ導入拡大に必要となる地域連系線等の送電網を増強する費用の一部を、FIT制度における賦課金方式と同様の仕組みを活用して、全国で支える制度を創設するものと承知しております。  他方で、この賦課金方式は、現在のFIT制度と同様に、再エネを国民の皆様に支えていただく仕組みとなりますので、その交付金が充てられる費用は適正な額でなければなりません。  経産省は、賦課金方式による交付金が充てられますこの送電網の増強費用の一部について、どのようにその金額の妥当性を確保していくのか、お伺いいたします。
  101. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  今般の改正によりまして、再エネ等の電源ポテンシャルを踏まえた全国大での系統のマスタープラン、広域系統整備計画というものをつくるとともに、計画に基づく系統整備に関する費用負担につきましては、これまでの託送料金制度に基づく費用回収に加えまして、再エネ特措法を通じて、全国一律、広く負担をいただくという形での系統賦課金方式の活用ということを導入するものとしてございます。  御指摘のように、料金の適正化ということは非常に重要なところでございますので、この系統賦課金の算定に当たりましては、まず、広域機関自身、系統整備による便益増強に要するコストというものをしっかりと定量的に比較し、これが大きいものと判断したものを対象とした上で、社会的な便益として、価格低下、CO2削減、安定供給等あるわけでございますが、この中で、全国で裨益する、価格低下、CO2削減という便益部分、その中で、特に再エネがふえることによって生ずる便益のものを系統賦課金として分担していただくという形をとろうと考えてございます。  具体的には、この再エネ導入促進効果分を含みます系統増強に係る費用全体の妥当性、先ほど申し上げたように、内訳のところはかなり技術的なものがございますので、電力・ガス取引監視等委員会における料金審査等を通じまして確認をしっかりしていきたい、こういうことを考えてございます。
  102. 神田裕

    ○神田(裕)委員 ありがとうございます。  国民の皆様に御負担いただくわけでございますので、その運用については、厳に適正に取り計らっていただきますようにお願いをいたします。  時間となりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
  103. 富田茂之

    富田委員長 次に、落合貴之君。
  104. 落合貴之

    ○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。  法案の前に、経済が、五月下旬を迎えて大変厳しい状況ですので、前半少しそのことについて、緊急のものについて取り上げさせていただければと思います。  本日も、お忙しい中、ありがとうございます。遠山財務副大臣にもお越しをいただきました。冒頭、幾つか質問をさせていただければと思います。  まず、きのう、ことしの第一・四半期、GDP、年率換算でマイナス三・四%ということが出てきました。これを受けて、どう受けとめられているか、財務副大臣に伺えればと思います。
  105. 遠山清彦

    ○遠山副大臣 落合委員にお答えをいたしたいと思います。  十八日月曜日に、本年一から三月期のGDP速報が公表をされました。もう先生御指摘のとおりでございまして、この四半期のGDP成長率はマイナス〇・九%、これは年率換算で三・四%ということになりまして、二四半期連続のマイナス成長になったと承知をいたしております。  これは、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大をする中で、一つは、外出自粛等によりまして、サービス消費を中心に個人消費が減少したことがございます。また、もう一つ世界経済の減速、訪日外国人客数の減少等によりまして、輸出、これが減少したことが大きかったと思っております。これによりまして、実質GDP成長率はマイナスとなっており、厳しい経済状況を反映した結果となっていると理解をしております。  引き続き、日本も、緊急事態宣言は一部では解除されましたけれども、しかし、東京を始め、外出自粛等の取組が続く中で、経済については当面厳しい状況が続くものと考えております。  政府といたしましては、感染拡大を防止する、これを最優先にしながらも、事態の早期収束に全力で取り組むとともに、雇用の維持、事業の継続、そして生活の下支えに万全を期してまいりたいと考えております。
  106. 落合貴之

    ○落合委員 ここで重要なのは、二期、二四半期連続と副大臣もおっしゃいましたが、その前の四半期、昨年の暮れも、消費税増税も行いましたので、前の四半期は年率換算でマイナス七・一%というようなびっくりする数字も既に出ていたわけでございます。  東京商工リサーチも、四月末までの統計で、五カ月連続二桁で倒産がふえましたと。これは、リーマン・ショックのときでも四カ月連続だったので、それをもう既に四月末の時点で上回ってしまったわけでございます。  これは、コロナも重要なんですけれども、消費税増税で既に経済が傷んでしまっていた、こういう状況だと思うんですが、副大臣、どのようにお考えですか。
  107. 遠山清彦

    ○遠山副大臣 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、昨年、二〇一九年十月から十二月期におきましては、実質GDP成長率は前期比マイナス一・九%、これは実は年率でマイナス七・三%という大きな落ち込みになっております。これは、消費税率の引上げによる駆け込み需要と反動減は前回の引上げ時ほどではなかったと見られる一方、台風の影響等もありまして、サプライチェーンが寸断されたことによる設備投資や輸出の減少、また暖冬の影響も消費の減少に影響があったというふうに承知をいたしているところでございます。  一方で、消費税の増税につきましては、従来から御答弁を申し上げておりますとおり、全世代型社会保障に転換をしていく改革を進める中で、やはりこれは社会保障の安定財源という位置づけになっているものでございまして、私どもとしては、それを着実に推進するということについて、国民の皆様の御理解を得る努力をしながら、当然経済成長にも目配りをしていくというのが基本方針でございまして、この点については、繰り返しになりますが、先生にも御理解を賜りながら、現在はコロナ対策に全力を政府としては挙げてまいりたい、このように思っております。
  108. 落合貴之

    ○落合委員 消費税増税の影響はそんなにはというようなニュアンスですけれども、どちらにしても、これは前の四半期から経済が落ち込み、減速が始まっているということで、ほかの国と比べても大変な状況である。  それから、我が国特有の問題として、こういうV字回復を期するときは、教科書的に言えば、マクロ経済政策は、金融政策か財政政策、その二つをやるわけですけれども、金融政策は、実質的に利下げができないということで、ほかの国よりも更に財政出動をしていかなければ、ほかの国よりも経済は下がってしまうというようなことが言えると思います。  第一次補正予算、先月組みましたが、第二次補正予算もそれなりの金額を組むんだ、財務省はしっかりそれを考えているということでよろしいですね。
  109. 遠山清彦

    ○遠山副大臣 お答えを申し上げたいと思います。  先ほど申し上げましたとおり、日本経済の先行きにつきましては、引き続きこれは当面厳しい状況が続くものと考えているわけでございます。  まずは、先生からも言及ありました一次補正予算の迅速な執行、これに努めていかなければならないと考えております。報道を見たり、あるいは私の周囲の中小零細企業の皆さん、あるいは個々人の国民の皆様から私もお話を伺うことがあるわけでございますが、まだ、この一次補正で組んだ持続化給付金にしても国民一人一律十万円の給付金にしても、完全には行き渡っていないという状況でございまして、この一次補正の執行に全力を尽くしていくことが大事だと思います。  その上で、既に先生も御承知だと思いますが、安倍総理から二次補正予算の編成の指示がございました。事態の早期収拾に全力で取り組むとともに、一次補正で手当てしたことで足りない部分、あるいは一次補正の中では十分に手当てできなかった部分というのを、各省庁、きょう、ここは経産委員会ですので経済産業省も、家賃支援等もありますけれども、さまざまな分野、各省庁の所管領域におきまして必要なことを、与党、野党の先生方からも御提言いただきながら、それを受けまして、来週以降、しっかりとこの二次補正を編成して、それをまた国会に諮ってまいりたい、このように考えております。
  110. 落合貴之

    ○落合委員 経産大臣に伺います。  やはり、きょうもきのうも新聞にも載っていますが、大企業さえだんだんと苦しくなってきました。それから倒産もふえてきているように、中小企業は更に厳しい。零細企業、小規模事業者もそうです。  経産省としても、しっかり第二次補正予算、有効な策を準備しているということでよろしいですね。
  111. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今、戦後最大と言える経済危機であると思っております。事業者の皆様には本当に大変な状況に置かれていると理解をしておりまして、今委員がおっしゃったように、第一次補正予算では足りないもの、それをしっかりと見きわめて第二次補正に計上をしていきたいと思っておりますが、遠山副大臣が先ほど申されましたように、今ある持続化給付金も迅速に、とにかく皆さんの手元に行き渡ることが重要でありまして、そういったことも含めて今全力を尽くしているところであります。
  112. 落合貴之

    ○落合委員 二次補正の具体については、また一般質疑で取り上げさせていただければと思います。  遠山副大臣に二問続けて、最後の質問をさせてもらえればと思うんです。  まず、消費税増税、昨年やった件なんですが、昨年の増税は、ふだんとは違って、税率を上げただけではありませんでした。複数税率を導入したり、インボイスの将来の導入を決めたりですとかしました。これによって事務負担が中小・小規模事業者に発生しているという声は大きく出ているわけです。  それから、インボイスの問題として、今まで免税業者だったところはゼロパーが一〇パーになってしまうということで、大変な変化になるわけですけれども、今、大変厳しい状況でこのインボイスを導入する。しかも、きのうの日経にもありましたけれども、経済の回復は早くても来年の後半だというような状況です。早くてもです。こういう環境には全くないと思います。  インボイスの導入について、取りやめるか、延期するかするべきではないかというのが一点。  それから、東日本大震災の際は復興増税というものを行いました。第二次補正予算以降の財源として増税を考えているのかどうか、これについてお聞かせいただければと思います。
  113. 遠山清彦

    ○遠山副大臣 お答えをいたしたいと思います。  まず、一問目の、消費税インボイス制度について御質問がございました。  これは、落合委員御承知のとおり、複数税率のもとで適正な課税を行うために必要なものとしてインボイス制度というものが法律に明記をされました。ただ、これは、現時点での予定では令和五年、二〇二三年十月から導入されるということになっているわけでございます。よって、先生が先ほど御指摘になった中小零細企業への事務負担というのは、軽減税率、複数税率導入に伴うものを指しておられるんだと思いますが、そちらの方は、御承知のとおり、さまざまな説明会を開いたり、レジ補助金とかいろいろつけた結果、一定程度順調にこの複数税率は導入をされたというふうに思っております。  インボイスについてでございますが、これについてもいろいろな御議論があるわけでございますが、私どもといたしましても、インボイスによって税額が明確になること、あるいは中小事業者にとっても価格転嫁を行いやすくなるといったメリットも期待されているところでございますし、欧州諸国ではこのインボイス制度が幅広く採用されているということもございまして、この導入までにあと四年弱の準備期間がございます。そこから更に、その後六年間、免税事業者からの仕入れについては一定の仕入れ税額控除を認めるなど、事業者の準備あるいは設備導入のための十分な期間がまだあると考えております。  よって、今後とも、事業者に与える影響等を踏まえながらも、制度の円滑な導入に向けて、周知、広報を始めとして必要な取組を進めてまいりたいというふうに思っております。  二つ目の御質問、簡潔にお答えをしたいと思いますが、今後の財源についてですが、まだ二次補正予算も必要な歳出の積み上げ作業が終わっていない状況でございます。これが終わり次第、財務省としては必要な財源を検討してまいりたいというふうに思っておりますが、それに伴って現時点で増税の方針があるかということでございますが、それは現時点では全く未定のお話でございますので、何か特定の方針を税について持っているわけではないとお答えをしたいと思います。
  114. 落合貴之

    ○落合委員 増税ができるような状況では、家計も企業もそういう状況ではないということはここで申し上げたいと思います。  あと、インボイスも、経産省にかかわる小規模事業者、これは大変打撃を受けることもあり得ると思います。平成二十八年の数字で、消費税の課税業者は三百十六万社、免税事業者は推計で四百八十六万社、免税されている事業者の方が多いのが消費税の実態です。  これは導入が二〇二三年だというふうに財務省はおっしゃっているんですけれども、登録はもう来年の半ばから始まるわけでございます。これはもう走り始めちゃうわけなので、非課税業者が課税業者になるというのに当たって何の支援もないという状況でしたら、小規模事業者は本当に大変なことになると思いますので、重要な問題として、経済産業省と財務省と両方にかかわる重要な喫緊の課題として御指摘をさせていただきたいと思います。  それでは、財務副大臣、ここで大丈夫ですので、お忙しい中ありがとうございました。  あともう一点、喫緊の問題として、持続化給付金の件、お伺いできればと思います。  直近の申込件数、給付済み件数、それから記載の間違い等でやりとりしている件数、これを大臣、把握されていますでしょうか。
  115. 梶山弘志

    梶山国務大臣 持続化給付金につきましては、五月一日より申請受け付けを開始し、十九日までの合計で百万件以上の申請を受け付けているところであります。このうち二十九万八千件、約三千八百三十億円について事業者の皆様のお手元にお届けをしたところであります。  記載の間違いについての数値については、私、今ちょっと手持ちがございません。
  116. 落合貴之

    ○落合委員 二週間で二十九万ですので、平均すると一週間で十五万件というような数で、百万ですのであと七十万ぐらいですので、あと何週間かかかってしまう、単純に割り算すると。  これはやはり、どんな委員の皆さんの地元もそうでしょうけれども、いつ振り込まれるのかというようなことで、五月末も近づいていますので、かなり心配している事業者が多いわけでございます。  これは、今までの大臣の発信や答弁を見てみますと、早くて一週間、大体二週間ぐらいで届きますよと発信しているわけですが、単純にこの百万件を割り算しても、大体二週間というのは難しいような感じがするんですが、大臣いかがですか。
  117. 梶山弘志

    梶山国務大臣 私が申し上げましたように、二週間を目安としておりまして、先週の時点で少しおくれぎみというのは十分自覚をしております。  そして、大変、審査体制、受け付け体制の強化というものを図っておりまして、かなりの人員の強化を今図って、督励をしているところであります。
  118. 落合貴之

    ○落合委員 これは、経産省の支援の柱ですので、ぜひ、今おっしゃった人員の配置、それからシステムのあり方等、常に大臣のリーダーシップを発揮していただければと思います。  また、予算委員会やこの委員会でも取り上げられていましたが、フリーランスの方々を中心に、税務署から給与所得じゃなくて雑所得でと指導を受けていた人たちが持続化給付金を受けられないというような問題が出ていました。これも大臣が答弁で、今後、方策を考えますというふうに答弁されているんですが、それはどうなったでしょうか。
  119. 梶山弘志

    梶山国務大臣 関係箇所との調整で少し手間取っておりますけれども、しっかりした対応をしたいと思っております。  フリーランスの方々の中には、委員がおっしゃるように、事業からの収入を雑所得や給与所得のもととなる収入に計上をしている、そして、結果的に持続化給付金の対象とならないというのは、事業所得を一応要件としておりますので、そういった方がはねられているということになっていたという、これは、受け付けの当日から私どもも意識をいたしまして、何とかしたいという中で、今調整をしているということであります。  こうした事業継続を支えることは重要な課題であると思っております。さまざまな種類の収入が計上されており、そうした中で、どのような形で事業の実態を把握できるのかということで、今、制度の詳細についての設計をしているということであります。  前にも申しましたように、所得税の分類では九分類、それ以外のものが雑所得に入る。そして、雑所得の中で、事業性のあるもの、継続性のあるものというものをどうやって確保するか、そして書類を提出いただくかということも含めて、今、国税庁も含め、関係箇所との連携で打合せをしているところであります。
  120. 落合貴之

    ○落合委員 これは、自粛が終わっても、ライブハウス等は再開は難しいということが名指しで言われてしまっているわけです。こういう雑所得に入っちゃっている方々は、ミュージシャンや演奏家や俳優の人たちが多い。まさに今、事業再開が難しい人たちが一番困っていて、しかも、ここにはまってしまっているということです。業種によっては、もう今回の確定申告に雑所得幾らと書いているわけですから、これは、業種によって特例を認めるというような対応もあると思いますので、どうですか、大臣
  121. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今申しましたように、雑所得の中の幾つかの種類があると思うんですが、どういった職業につかれているか、例えばミュージシャンであるとか俳優であるとか、そういったことも含めて、対象となることも含めて、今詳細に検討しているということであります。
  122. 落合貴之

    ○落合委員 これは重要な問題ですので、早急に対応をお願いできればと思います。  この件の最後ですけれども、持続化給付金の申請をかわりにやってあげますよということで、高額の手数料を取っている件もあるということも報道がされました。これについて、大臣は御認識されていますでしょうか。
  123. 梶山弘志

    梶山国務大臣 いろいろな形で情報は入ってまいります。それらの内容について報道があった旨も承知をしております。支援を必要とする事業者が不当な負担をこうむることのないように、しっかりと申請サポートに取り組んで、御自身で申請いただけるようにしたいと思っております。  具体的には、電子申請がふなれな事業者の皆様向けには、五月末までに全国の四百カ所以上、申請サポート会場を設置し、申請支援を行います。きょうの新聞にも、そのサポート会場等、途中経過で出させていただきました。事業者にとって身近な存在である税理士等の士業団体や全国の商工会、商工会議所にも申請サポートに御協力いただけるように要請文書を出して、具体的な今指示を出しております。  ですから、スマホでもできるということも含めて、どうやったらいいんだということを聞いていただければできるような体制で、当然無料でできるような体制を整えてまいります。  スマホをお持ちの方には、パンフレットも作成し、どういった書類を持っていけばいいのかということも含めて、あとは、御家族の中でも御子息やお嬢さん、またスマホをお持ちの方はおいでになると思いますので、その中でアカウントを設けていただいての申請というものもできますので、こういった形で対応してまいりたいと思っておりますし、今言いましたパンフレット等も、商工会、商工会議所、金融機関、全国の各所に今配置をしているところであります。  このように、必ずしも高度な知識や技術がなくても申請が可能となるようにさまざまな支援を講じておりまして、このことが迅速な給付にもつながるということもありまして、弱者の方にも当然しっかり脇に寄り添って支援できるような体制に整えたいと思っております。
  124. 落合貴之

    ○落合委員 ちなみに、二百万の二割の四十万ですと言われた人もいるということもネット上にはありますので。  ちなみに、東京都も協力金というのを出しているんですが、こういうことが起こらないように、書類の事前チェックの手数料は八千円が妥当ですということを発信しています。  何らかのこういった方策もあると思いますので、ぜひ状況を見ながら御検討をするべきだということは、どうですか。
  125. 梶山弘志

    梶山国務大臣 答弁の中でも申しましたけれども、税理士さんを始めとする士業団体にもお話をさせていただいて、そして御協力もいただくことになっておりますし、商工会や商工会議所では必ずこういう対応ができるようになりますので、今もなっているところもありますし、五月中には全てということになりますし、申請がおくれてもしっかりその方たちにも給付ができるような努力をしてまいります。
  126. 落合貴之

    ○落合委員 喫緊の課題ですので取り上げさせていただきました。  それでは、法案についてでございます。  これは、今回、再エネ特措法改正で、送電網の増強費用の一部を再エネ賦課金に上乗せをしますということが書いてあるわけでございます。  これまで数年間電力自由化ということでこの委員会でもいろいろな法案の審議がされてきました。  基本的に電力自由化のもとでは、送電網の整備送配電事業者が持ちます、送配電事業者の収入は託送料金ですということで制度が進んできたわけですが、今回、送電網の増強に、託送料金に上乗せするのではなくて再エネ賦課金に上乗せするというふうにしたのは、これは電力自由化の流れとして少しいびつなものにすると思うんですが、大臣、いかがですか。
  127. 梶山弘志

    梶山国務大臣 一般送配電事業者、ひいてはその地域内の消費者負担する地域連系線増強するための費用託送料金の仕組みで回収する場合には、連系線の両端、例えば北本連系線だとすると北海道と東北という形になりますけれども、その両端の一般送配電事業者負担することが原則となるところであります。  再エネは一部地域に偏在するために、その利用のために連系線増強すると、地域ごとの負担に差が出てまいります。  これに対して、今回の法案は、再エネ電気がどこで利用されたかにかかわらず、連系線増強費用のうち再エネ導入拡大に資する部分について全国で均等に支える仕組みを導入することを目的としまして、再エネの買取りと同様に特別の法律の規定に基づく賦課金方式導入しようとするものであります。  これによるメリットとしては、再エネ導入、活用に資する費用全国で均等に支える仕組みとなるために、再エネ導入が進む地域ほど負担が大きくなることを回避できると考えております。
  128. 落合貴之

    ○落合委員 これは、原子力発電の廃炉費用ですとか、一部ですけれども、この維持費用託送料金で取っていて、再エネに対しては再エネ賦課金増強します、それから太陽光パネルの廃棄費用、廃炉費用託送料金でやっているのに、再エネ廃棄費用外部積立てをしますと。これは公平ではない状況だと思います。  私、自分の質問を振り返ってみますと、三年半前の予算委員会で、今後再エネ導入のための送配電網の整備が資金的にできなくなるという指摘をしたときがありました。  これは、なぜそういうふうに言ったかというと、平成二十八年の十二月に、電力システム改革貫徹のための政策委員会で、福島の廃炉のために、送配電事業から、東京電力送配電会社から資金を捻出するということが書かれているわけです。このときに、汚染水の処理等の費用で、今まで廃炉が大体二兆円ぐらいだと見積もられていたのが八兆に、六兆上がりました。この六兆をどうするんだというのに当たって、送配電部門を合理化することでそれを中長期的に捻出していくんですということを報告、説明していたわけです。  私が取り上げたのが、東京電力全体の総資産が十三兆なのに八兆円も、送配電部門の合理化中心に、別のところからとってきたとしてもできるわけがない、やはり経産省は責任をとって国費を入れるか何かするしかないんじゃないか、これは東電に丸投げではいけないんじゃないかということを指摘していたわけです。  結果、どうなったかというと、やはり送電線部門の新規投資はどんどんどんどん、最近ちょっと台風等でふえてきましたけれども、抑えられてきてメンテナンスができなくなって、二、三年前からポイントの火災ですとかも起こるようになっている事態ということでございます。  これは、送配電部門の収入だけが電力自由化のもとでは規制料金なわけで、だから福島の廃炉とある意味ひもづけしたんでしょうけれども、その部分にメスを入れないで、再エネのお金はもう託送料をふやせないから新たに再エネ賦課金で取る。やはりこれはいびつだと思います。ぜひここは見直すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
  129. 梶山弘志

    梶山国務大臣 東京電力は、福島第一原発の廃炉に要する資金を確保していくことを始め、福島への責任を果たしていくことが最大の課題であります。当然ながら、グループ会社である東電パワーグリッドも同様の責務を負っている、担っているものと考えております。  これを前提として、二〇一六年十二月の閣議決定に基づいて、東電パワーグリッドが経営合理化することによって利益を生み出した場合には、その一部を廃炉費用に回すことができるという仕組みを講じております。  これまでも、東京電力パワーグリッドでは、経営合理化等の結果、直近では、新々総特に記載をされた平均千二百億円以上の廃炉資金を毎年度確保しております。  その上で、東京電力パワーグリッドは、電力供給を担う事業者として再エネ等の電気を安定的に供給する責務を担っており、そのために必要な資金を確保していくことは当然のことであります。実際に、福島事故直前と同等規模送配電設備投資を行っていると承知をしております。  引き続き、東京電力パワーグリッドが安定供給を確保する上で必要な投資が損なわれることのないように、しっかりと指導してまいりたいと思います。  また、今般の法案において措置することとしている再エネ導入拡大に向けた広域系統整備計画によるプッシュ型の系統整備や、レベニューキャップ制度のもとの送配電事業における必要な投資の確保と費用の最大限の抑制を促してまいりたいと思います。  参考までに、二〇一七年度には千二百六十八億円、二〇一八年度千四百九億円、二〇一九年度一千二百三十三億円を捻出をしているということでありますけれども、委員の御意見もまた検討してまいりたいと思っております。
  130. 落合貴之

    ○落合委員 大枠で見ると、原発の費用託送料金から出しますと。再エネ費用託送料金からは余り出さずに自分で調達してください、再エネ賦課金をその分上げていきますという形になっているわけです。  私は、電力自由化で公平公正な競争をするのであれば、原発の部分を外出しして、再エネ賦課金と原発賦課金と両方つくってもいいと思います。再エネ賦課金ばかりが膨らむ膨らむと言っていますが、原発は幾ら使われているか国民にはわからないわけですので、ぜひ、これは大きな検討課題だと思います。  それから、今回の法案の中には入っていないんですが、ほかの部分、復興関係部分で、エネルギーの特別会計の使い方を変える法案が出てきています。  これも、再エネのために使う特別会計から原発に使う特別会計にお金を借りることができるという、特別会計間の貸し借りができるようにするわけですけれども、具体的には、福島の除染で出た中間貯蔵のためのお金が足りないので、エネルギー需給勘定、これは再エネですとか省エネに使っているものですが、これを原発のためである電源開発特別会計に貸せるようにします。  これは、今までの話と同じように、どんどんどんどん原発の方に裏でお金が流れているわけですけれども、大臣、こんなにわかりにくくしちゃっていいですかね、今回の特別会計法の改正は。どうでしょうか。
  131. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今般の措置は、福島の復興再生のために行っている施策の安定的な財源の確保に万全を期すためのものであり、将来、電源開発促進勘定に一時的な財政需要が生じた場合に備えて、福島の復興再生に関する費用に限定して、エネルギー特会のエネルギー需給勘定から電源開発促進勘定に繰入れを可能とするものであります。  法案上も、繰入れは、福島の復興及び再生に関する施策に係る費用の財源に充てることに限定をし、一時的に繰り入れた金額につきましては、繰り戻さなければならない旨の規定を設けることで、後日、エネルギー需給勘定において再エネ推進等に充当されることが制度上明確になっております。  御指摘のような懸念には及ばないと考えております。
  132. 落合貴之

    ○落合委員 これは、いつまでに返さなきゃいけないですとか、幾らがキャップですというのも、何にもないんですよね。これはかなり、国民の目も行かないですし、しっかり見ていかなければならない問題だと思います。  やはり、国民の見えないところで、電気料金、それから税金の使われ方が公平ではない。電力自由化は公平公正に進んでいないということを指摘させていただければと思います。  それからもう一つ。三月末に、発電側基本料金、これは、計算してみると再エネ業者が不利じゃないかと。これも公平公正じゃないということを昨年から我々が指摘をしてきました。  これは、大臣の決断で、ひとまず導入の決断は今はしない、三月末はしないというようなことで以前答弁をされていましたが、今どうなっていますでしょうか。
  133. 梶山弘志

    梶山国務大臣 発電側基本料金は、再エネ主力電源化に向けて必要となる送配電設備増強や維持、運用を効率的かつ確実に進めていくとともに、再エネを含めた電源による効率的な系統利用を促進するために導入するものであります。  このため、系統増強等によってメリットを受ける発電側にも、送配電整備増強、維持、運用費用などの固定費について公平に負担を求めることとしております。  他方、制度設計次第では、設備利用率の低い再エネについて負担が増加することも事実であります。  このため、私の考えでは、既存FIT事業者に対し、過度な負担が生じないように一定の配慮や工夫が必要である。さまざまな指摘や関係者の意見も踏まえながら、調整措置や水準に関する具体的な設計を始めとして、本制度あり方についてしっかりと検討していくことが大事だという指示を出しております。  発電側基本料金導入については閣議決定されているところでありますが、その適切な導入に向けて慎重かつ丁寧に検討を進めてまいりたいと思いますし、あとは、非効率な石炭火発等の関連も含めて、こういった制度でどうできるかということも含めて検討しているところであります。
  134. 落合貴之

    ○落合委員 これは以前から申し上げているように、基本料金ではなくて従量課金にすれば公平になりますので、それを中心に検討するのが私はベターではないかというふうに思います。  今回の法案でも、アグリゲーターですとか卒FITを見越した制度導入されます。これはいいことだと思います。それから、配電を分離するというのも、エネルギー地産地消を考える上でもいい点だと思います。こういったものはどんどん進めていくべきだと思います。  私が指摘したように、どんどんどんどんルールがちょっとずつちょっとずつ原発に有利になって再エネに不利になるような、ちょっとずつちょっとずつそういう制度改正が行われてきていますので、そこは厳しく見ていただければと思います。  最後なんですが、再エネというのは国産エネルギーでありまして、化石燃料に頼らないでエネルギー自給率を高めるんだというために意義があると思うんですが、太陽光パネル生産量、二〇〇六年は世界日本が一位ですね。三六・八%のシェアがありました。二〇一八年は世界の中ではるか下の方で、一・二%しかシェアがありません。幾ら再エネが、例えば一〇〇%近く導入されたとしても、太陽光パネルが輸入に頼っていたら、これはエネルギー安全保障上問題があると思います。  蓄電池とか太陽光の生産の産業育成、保護、これも経産省の重要な課題だと思いますが、最後、いかがでしょうか。
  135. 梶山弘志

    梶山国務大臣 御指摘のとおり、太陽光パネルの日本企業による供給はここ数年で大きく低下をしております。他国企業に依存する状況になっていることは事実であります。  その原因は、世界的な設備投資の競争への出おくれによるコスト競争力の低下が主な原因であると考えております。  具体的には、世界市場の九割以上を占める結晶シリコン系太陽パネルは、技術が成熟化をして生産工程のモジュール化が進んだことから、生産設備を購入すれば誰でも比較的容易に製造できるようになり、設備投資競争が進んでまいりました。日本企業の地位が低下した背景には、この競争に出おくれたことが大きな要因であると思っております。  再生可能エネルギー主力電源化していく中で、再エネ市場を支える日本企業が国際競争力を持つことは、産業政策としてもエネルギー政策としても重要であります。革新的な太陽光パネルの技術など、今後、市場拡大を狙う革新的技術に対する研究開発の支援、それと周辺技術ですね、蓄電池や、それと接続できるEVであるとか、そしてその連携で使えるものとか、そういったものにやはり研究開発をしていく、又は投資をしていく必要があると思いますし、ここからどう巻き返せるかということも含めて、委員の御意見も参考にしながら検討してまいりたいと思います。
  136. 落合貴之

    ○落合委員 はるかに成長分野でおくれてしまっていますので、大臣のリーダーシップを期待いたします。  ありがとうございました。
  137. 富田茂之

    富田委員長 次に、山岡達丸君。
  138. 山岡達丸

    ○山岡委員 御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。山岡達丸でございます。  きょうは、いわゆるエネルギーに関する強靱化法という名前がつけられておりますけれども、この件に関しての質疑に、私の立場から、また、私の視点を持って伺えればと思っております。  私自身は、今、基本的な活動エリアは北海道でございますが、二〇一八年には、九月六日、北海道胆振東部地震があり、四十三人の方がお亡くなりになりました。もちろん、多くの方が被害に遭われて、この胆振東部地震、直接の被害はもちろんでありますけれども、当時、道内全てに停電が起こり、ブラックアウトという言葉も使われましたけれども、そのとき、私自身もまた一人の住民としてその域内におって、震災、特に私が住居を構えているのは厚真町の隣の苫小牧というところでございますが、激しい揺れとともに全道停電を、中で経験させていただいた。  今回、この法案をさまざま、各委員の皆様あるいは各関係者に経産省が説明されるに当たって、いわゆる過去の災害のさまざまな反省、とりわけ北海道胆振東部地震、そして昨年のさまざま、台風十五号を始め台風被害に伴う停電の反省にという言葉を使われながら、そのことを受けてこうした法案を提出させていただくということの経産省の見解を聞くところであります。  そのことを受けて、私は、当時のことも思い出すわけでありますが、まず大臣にお伺いしたいと思うんです。  お手元資料も配付させていただきましたが、この北海道胆振東部地震、よく一般に当時、苫東厚真と、真ん中に、この地図上は描かせていただいていますけれども、ここでのいわゆる供給体制の一極集中がこの停電を招いたということが言われました。  事実、当時、深夜でございましたけれども、三百九万キロワットのうちのおよそ半分、百四十九万キロワットはこの苫東厚真の三基分から提供されていて、昼の時間帯であっても北海道全体の三、四割はこの場所から提供されているというような状況の中で、ここが、この場所がまさに震災、震度七、そうした状況になって発電が不可能になった、このことを受けて全道停電に広がったということでございましたから、こうした指摘があったわけでありますけれども、しかし、当時、経済産業省の担当者の方は、いや、一極集中が原因ではないんだということを強くおっしゃっていたということを記憶しているところであります。  しかし、今回この法案を提出された中身、された動機がまさにこの震災等のことを踏まえた中身であるということを受け、そして、今回この中身がさまざま、分散されたエネルギーの供給体制を築くことを後押しをしている、このことを受けたときに、やはり、この法案を提出された事実を受けて思いますのは、北海道胆振東部地震、全道停電という大きな、過去にないことが起こったのは、このエネルギー供給体制の一極的な集中が大きな要因ではなかったかということを改めて、当時から時間もたちました、この法案を提出された中で、大臣に見解を伺いたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  139. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員がおっしゃるように、この供給量というのは、北海道の半分、約五割を供給していたわけであります。  発生原因については、苫東厚真の火力発電所の停止というのも、その五割が行かなくなるわけですから、それも大きな要因の一つではあると思いますけれども、さらに、送電線の事故等も含めて、バックアップする、今度は水力発電が使えなくなったという事実もございます。そういった複合的な要因によって引き起こされたということで、電力広域機関の第三者委員会で検証結果が出されているところであります。  他方で、地震発生後に北海道全体が一斉停電となった教訓から、地域に存在する分散型電源を活用して、災害時にも自立して電力供給が持続可能な電力システム構築する意義も明らかになったと思っております。  このため、今回の改正法案では、新たに配電事業者制度導入をして、災害時に地域配電網を切り離して独立して運用することで、迅速な停電復旧を行うことも可能とするわけであります。  こうした仕組みを通じて分散型電力システム構築を促していきたいと思いますし、選択と集中という言葉はありますけれども、やはり分散と多様化ということも一つ大きなキーワードであると思っております。
  140. 山岡達丸

    ○山岡委員 大臣、かなり慎重に答弁されていると思うんですが、最後おっしゃいました、分散と多様化ということがまさに、当時、北海道胆振東部地震のときに、道内においても、あるいは全国の、また系統の、まあ北本連系線の話もこの後、質問させていただきますが、そうしたところとのつながりがあれば、こうした全道規模での停電が避けられたであろうということを思うときに、今お話ありましたけれども、バックアップのさまざま水力発電等も、そこも影響を受けたから複合的なんだということをおっしゃいましたが、メーンでいえば、やはり集中的に、今うなずいていただいたところなんですけれども、集中的な地域の供給体制があったということが、今の御答弁でも、私は、一年と半年たって、当時の答弁に比べて、ある意味率直に認めていただいているということを受けとめるわけであります。  ただ、当時のことを言いますと、秋の九月でございましたから、いわゆる世の中の電力の需要が必ずしも大きくない時期であり、さまざま発電設備がメンテナンスでもあったりとか、あるいは、この後、質問もしますが、北本の連系線がまだ整備途中であった、石狩新港にも新しいLNGのまた発電施設ができる前でもあった、そういう時期で、さまざまなことが重なったのも事実なんです。  ただ、それらの設備も、やはり電力の集中化を避けようという動きであったということであったときに、この震災の教訓を受けて、やはり、全国においてどこに地震があってもおかしくはない。やはり、一点に大型の発電施設を置いてそこに頼るという体系は、身をもって経験した身として、この法案のこの審議に当たって、改めて、委員の皆様と、そうした体制がさまざま不幸なエネルギー体制を招くということを確認させていただければと思います。  北海道において、当時、お配りさせていただいた地図にもありますが、いわゆる本州との連系線、北海道は当然大きな土地を持っておりますが、本州とは海を隔てて切り離れたところでもあります。そこの連系線が六十万キロワットであったという状況でありました。その後、二〇一九年三月、震災からおよそ半年たって、三十万増強をされたという経過でございました。  しかし、この六十万からプラス三十万、九十万になった、このことは、当時の、この法案制度がまた変わるわけでありますが、既存の制度に基づいてこの系統整備が行われたということを受けて、ほぼほぼ全て、北海道のいわゆる北海道電力、ここが負担をしたという状況であります。五百億か六百億ほどの投資があったということであります。  この北本連系線というのは、北海道の電力安定供給もそうなんですが、さんざんこれまで議論にもございましたが、まさに再エネエネルギーを北海道がつくっていく、このときに、この大きな産地である北海道から全国に向けても電力を出していきたいという中で極めて生命線になる、こんな連系線なわけでありますけれども、ここが北海道電力のみの負担、こういう経過によって増強をごく最近されたということを受けて、やはり財政的な理由によってこの連系線増強されることがおくれるということは、私はあってはいけないと思いますし、正直、私の思いとしては、今九十万の連系線でありますけれども、倍増をしていただきたいという強い気持ちを持っております。  この法案の後には、広域機関をもって、さまざま、このあり方もこれから計画を立てていくわけでありますけれども、そこに大きな鍵を握るのは経産省でもあり、経産大臣梶山大臣であるとも思っておりますので、大臣にここで伺いたいと思います。  まず、この北本連系線、私は倍増していただきたいと思いますが、これはやはりしっかり強化していただく、そのことの見解をお持ちかどうかということが一点。そして、この法案を通じて、過去に財政的な負担が極めて偏ってきた、このことをもっての状況はどう改善するのか、これを大臣にお答えいただければと思います。
  141. 梶山弘志

    梶山国務大臣 北本連系線、私も以前から興味を持っておりまして、地震前ではありましたけれども、見てまいりました。また、石狩のLNG基地も、建設中のときに見てまいりました。  そういった中で、今お話ありましたように、当時は、地震のときは六十万キロワット、そして、今度は九十万キロワットに昨年増強された。そして、百二十万キロワットを目指して今度増強を図っていくということになっておりますけれども、こういったエネルギー強靱化法は、こういう増強を後押しする効果があると思っております。  具体的には、これまで、地域連系線増強費用を従来の託送料金の仕組みのみで回収する場合には、原則として、連系線の両端のエリア、一般送配電事業者負担することとされていました。北海道であれば、北海道電力と東北電力という形になります。  今回の法案は、地域連系線が再エネ電気広域でより有効に活用できるという効果に着目をして、その増強費用全国で均等に支える新たな仕組みを盛り込んでいるところであります。  こうした仕組みを導入することにより、北海道地域負担を軽減しつつ、いざという災害時にしっかりと利活用できるような、地震の教訓を生かしながら、しっかりとした増強をしてまいりたいと思っております。
  142. 山岡達丸

    ○山岡委員 今大臣おっしゃいましたが、この六十万から九十万に関しては、北海道の電力の安定のためということで、今、北海道電力、東北電力というお話がありましたけれども、ほぼほぼ北海道電力がその財政負担をしてつくっているという状況であります。だから、託送のシステムでいかにも分配されているような話もあるわけでありますけれども、しかし、事実として、一社が全て負担しているという事実もあるということがこれまででありました。  今、この託送というシステムを変えていくのか、あるいは今提案されたような再エネ賦課金というやり方をするのか、このことは私は議論が残ると思いますが、しかし、この仕組みのあり方は別にして、やはり、この連系線、こうしたことを、まさに全国にこれから北海道からも電力を送り出すんだという気概のもとで、負担全国にお願いさせていただくということは極めて地域にとって重要だという思いでありますので、そのことは、この場をおかりしても、北海道の立場として申し上げさせていただければと思います。  今回の法案災害への対応も、またさまざま話が含まれているところでありますけれども、この胆振東部地震においても、やはり多くの、全国から応援に来ていただいた。電力会社の方々から応援いただきまして、延べ千七百六人、百五十一台の高圧発電機、いわゆる移動電源車、これが応援に駆けつけていただいたわけであります。  いわゆる災害連携計画をつくる、つくるということが法案に位置づけられてはいますけれども、しかし、この北海道一つ状況を見ても、当時のことを振り返りますと、例えば宿泊施設、域外の電力のあるところに泊まって、そのまま応援をできるという態勢ではなくて、北海道内に一回来るということになれば、全道停電の中で宿泊施設を確保しなければならない。海を渡ってきたり、この地域の独自性というのは、全国一律のこうした災害時の連携計画においてもかなり特徴のある地域になろうかと思います。これは北海道だけではないと思います。  経産省に伺いますが、こうした、さまざま、過去の実際の震災によって、地域の独自性はよくよく分析されていることだと思いますけれども、この計画の策定において、こうした地域に対してどんな配慮をしていただけるのか、そのことをお答えいただければと思います。
  143. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。  委員御指摘のとおり、これまでの教訓を踏まえますと、やはり、地理的制約といった固有の事情を考慮した上で、この計画運用実効性のあるものとしていくことが必要であると考えてございます。  御指摘いただきましたが、胆振東部地震の際にも、沖縄を含む各電力会社から北海道へ、海路を活用して電源車の派遣、人員の派遣を行ったわけでございますけれども、やはり地理的制約があるので、派遣した人員等が北海道に到着するまでには相当時間差が生じていたというのが実態でございます。  こういった経験も踏まえまして、今回の法案では、一般送配電事業者に対して、共同で災害連携計画を作成することを義務づけているところでございますけれども、実際に当該計画を策定するに当たりましては、こうした経験、教訓を踏まえながら、各事業者の地理的制約といった固有の事情を考慮した上で、電源車や人員の迅速な派遣が行われるよう、実効性があるものとなるように、適切に指導をし、制度運用してまいりたいと考えてございます。
  144. 山岡達丸

    ○山岡委員 今御答弁にもありましたけれども、まさに地域地域ごとに、災害連携と、何か全国一律でみんなでやっていくようなイメージがありますけれども、地域地域ごとにその対応あり方をしっかり踏まえたものにしていただきたいということを、改めてこの場でも求めさせていただきたいと思います。  せっかく大臣がいらっしゃるので、この胆振東部地震のことをまたもう少し聞くんですけれども、結果として、あの震災、全道の停電になりましたけれども、数日、二日程度でありましょうか、復旧になり、電力が回復をしました。北海道電力あり方、あるいはさまざま、その情報の出し方とか、いろいろな批判の声もあったかもしれませんが、現場の皆様は本当に復旧に向けて大きな努力をして、結果としては迅速な対応を、ほかの事例と比べるわけではありませんが、全道二百万戸以上の世帯がいる中での回復としては驚異的な早さであったと思います。  大臣、この復旧のプロセスというのは、今振り返ってどのようにお考えか、このことの御見解を伺いたいと思います。
  145. 梶山弘志

    梶山国務大臣 北海道電力のみならず、同業者、ほかの方々の御協力により、想定よりかなり早い復旧がされたと思っております。経産省に立ち上げました有識者による審議会電力レジリエンスワーキンググループにおける検証もしたわけでありますが、あらかじめ準備されていた手順書どおりの対応が行われ、その対応スピードについても妥当であったという評価がなされているところであります。  また、被災した苫東厚真火力発電所については、当初の段階では、全面復旧は十一月以降と見込まれていましたけれども、北海道電力はもちろん、メーカーや協力会社の方々も含め、現場で不眠不休の復旧作業に取り組んでいただいたと聞いております。大幅に前倒しをして、十月十日までに全面復旧することができたものと認識をしております。  こうした現場を中心とした関係者の御努力に対しまして、昨年四月には、復旧において特に御尽力いただいた関係者の皆様に、経済産業省として表彰をさせていただいたところでありますけれども、改めて敬意を表したいと思っております。  こういう経験を生かすことと、また災害の想定をすることによって、災害時の対応というもの、今委員がおっしゃったように、地域地域の特性もございます。ただ、共通するものもございます。そういったものも含めて、しっかりとした仕様の決定と、また訓練をする必要があると思っております。
  146. 山岡達丸

    ○山岡委員 今お話をいただきました。まさに、会社、企業は別にしても、現場で一生懸命復旧に働いた方々の思いというものを大臣にも受けとめていただいているということは感謝申し上げるんですが、さらに、電力自由化というのが大きく推進されるわけでありますけれども、災害時のありようというのは、まさにそうしたプライドを持って頑張ろうという方々がいてくださるから成り立つんだということを、皆様と一緒に認識をしたいと思うんです。  ここでやはり、現場からやや心配の声も上がっているのは、今回の法案災害連携計画、一般配電事業者間の対応力を強化するという、そうした意味での、過去のさまざまなことの反省から来ていることは理解するんですけれども、一方で、現場の作業員の方々、そうした方々に過度な負担を強いたり、あるいは現場の安全確保がおろそかになっていくような、そうしたことがあってはならないということを懸念する声もあります。特に現場にいる方のそうした声はこれからも十分耳を傾ける、そんな配慮が必要だと思います。  これは極めて重要なことなので、大臣に改めてまた伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  147. 梶山弘志

    梶山国務大臣 想定より早く復旧できたということは、かなりの無理もあったと思います。そして、外から、別な会社から来ている方たちには、やはり戸惑いもあったと思います。ただ、こういう実例を踏まえた上で、災害時に異なる送配電事業者が協力して復旧に当たる際には、応援に入った作業員には、なれない現場環境での作業を行うことから、必ずしもふだんと同じ効率で作業ができない場面もあると考えられますが、そうした場合も、労働安全衛生面で対応がおざなりになってはならないことは当然であります。  このため、今回の法案で、一般送配電事業者に届出を義務づける災害連携計画の中では、労働安全衛生面で十分な配慮が行われることが明記をされる必要があると認識をしております。  経済産業省としても、現場の声を伺いながら、現場の視点から災害連携計画が無理のないものになっているかどうかについて、しっかりと見きわめてまいりたいと思っております。
  148. 山岡達丸

    ○山岡委員 大臣から今、そうした、いわゆるそこにいらっしゃる従業員の方々やさまざま現場に当たっている皆様への安全を守るためのことはしっかり明記していくんだというお話もございました。心強く思います。  ぜひ、今後も現場の皆さんの声というのはしっかり受けとめて、今対応していただきたいと思います。  経産省にあわせて伺うんですけれども、北海道電力は、この震災を受けて、独自でもかなりいろいろ反省をし、さまざま改善のことを検討し、それを資料としても公開しているところであります。  例えば、技術的なことはおいておいても、いわゆる停電した情報をいかに地域に発信していくかということにおいて、大きな震災でありますから、基本的には対策本部というのも電力会社につくるわけでありますけれども、情報も一個一個その対策本部に確認して出していたがためにかなりおくれてしまったということも率直に記載して、今後は、そうした大型の震災時に、本部を立ち上げても、本部を通さず出せるものはどんどん出していくんだと。  私個人としては、なかなか踏み込んだ中身なのかなということもかなり書き込んでいるのではないかということを考えましたが、しかし、これは北海道電力のみの反省で終わってはいけないと思うんです。今回の連携計画をつくるのであれば、こうした事例がほかの社にどういうふうにまた事例として生かされていくのか、このことを十分考えていく必要があるんだと思いますが、経産省、見解はいかがでしょうか。
  149. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  北海道電力におきまして、災害の後の検証をしっかり行ったということで、北海道電力が立ち上げた検証委員会での検証結果を踏まえた対応として、復旧手順、それから、先ほど御指摘のあった広報の体制といったような点も指摘されているところでございます。  これを電力各社間で共有をするということで、電力各社間でも共有をされているものと承知をしております。  今後は、今回手当てをいたします災害連携計画ですとか、共同訓練ということをやることになってございますけれども、こういったものの中で、ベストプラクティス、それから、これまでの教訓の反省ということで、こういったプロセスの中でもしっかりとこの結果を共有して、各社の対応に生かしていきたいと考えてございます。
  150. 山岡達丸

    ○山岡委員 午前中の参考人からのお話もありましたけれども、各社の間の調整や、あるいは各地方公共団体、省庁間の調整等、経産省が果たす役割というのは、これは大きいものだと思っておりますので、これからそういう取組をされるに当たっては、ぜひ十分また力を発揮していただきたいと思います。  法案関係することで、また、私が胆振東部地震のときに経験したことを踏まえて、少しまた質問をさせていただきます。  今回の法案、いわゆる山間地、山の中にある、こうした大住宅地帯とはまた違う場所にある、そうした配電網を平時から独立化するということも選択できるような、そうした道を開く、そうした中身になっているわけではありません。  北海道も、皆様御存じのとおり、全国の五分の一の面積を一都道府県で占めておりますので、極めて大きい。こういう中に集落はあるんですけれども、相当な距離を持ってその集落同士の送電網がつながれているということが現実としてあるわけであります。  実際、胆振東部地震のときに、いわゆる厚真町がさまざま注目されるわけでありますが、同じ被災中心地である北海道むかわ町穂別という町があるのでありますけれども、皆様にお配りした資料の二つ目、ここに少し当時の状況が書かれているわけであります。  真ん中の穂別というところ、ここも、集落としては極めて、電線が二本しかないというような状況の中で電源が供給されていた地域でありましたけれども、被災地と近いということもあって、当時、震災後、両方の送電が全て切断されてしまって、集落そのものが全道の電力網から全く孤立してしまうという事態が起きました。  ここには、もちろんいわゆる電源車を配置していただいて、町の真ん中で、そんなに大きくない集落でありますから、非常に町のど真ん中で、電源車が多量のガソリンを消費しながら、ずっと電気を供給し続けたということでありましたが、極めてその状況が不安定で、地域住民の方は本当に不安を持ち、そして私のところにお話をいただいて、とにかく現場を見てほしいということで、行かせていただいたことをよく覚えているところであります。  今回の法案の中で、まさにこういう、平常時、広大な地域の中で、か細い送電網の中で送られている地域のところに、仮に発電機が置いてあって、安定して電力エネルギーが供給されていて、災害時に、ほかのエリアがいろいろあっても、この地域電力網は安心して届けられるという状況ができるのであれば、これは、この震災に基づいて思ったときに、極めて心強いなということを感じるわけであります。  しかし、一方で、この法案について説明を受けますと、各地域のいわゆる独立化した電源を置くかどうかという判断は、どうやら、そのコストが、送電コストと比べて電源を置いた方が有利な場合にはそれを選択できる、そうした考え方のようであります。  平時もそこに電源を置いて電力を出すということは、それはやはりコストがかかることだと思っております。災害時、万が一のときには脆弱であっても、平時はコストが低い方がいいということであれば、別に電源を置かずに送電線を、か細くてもそこに引いておけばいいというようなことが進んでしまっては、こうした山林地の集落がこの法案の恩恵にあずかることができなくなってしまうのだということをすごく心配するわけであります。  こうした地域に対して、電源、あるいは独立した配電網が普及できるような仕組みとして、どのように後押しをしていくのか、経産省に伺いたい、副大臣に伺いたいと思います。
  151. 牧原秀樹

    ○牧原副大臣 山岡委員の大変な御経験に基づく御指摘は重要だというふうに考えておりまして、過去の災害でも、山間部の土砂崩れで配電線が切断されて、その場合には停電の復旧にすごく長時間を要しますので、こういうことは大変問題だと思っております。台風や地震等の自然災害時の送電網のレジリエンスを高めていくということが極めて重要でございます。  こうしたことから、今回の法案につきまして、指定区域供給制度というものを創設させていただいております。この制度は、当該地域配電網を主要の系統と切り離して、そして災害時にも自立的な供給を維持できる、こういうように、一般送電事業者の申請を受けて、国が審査し、対象となる区域を指定する制度でございます。  この指定基準について、改正電事法では、一般送配電事業の効率的な運営に資することに加えて、当該区域内の電気安定供給を阻害するおそれがないことと明記しており、指定区域においても、国の審査によって安定供給が維持される仕組みとなっております。  経産省としましては、この分散型電源をIoT技術を用いて遠隔制御し、需給調整に活用する技術の実証事業や、非常時に地域一定エリア内で自立して電力供給を行えるモデルの検討への支援等を今は行っているところでございまして、こうした取組を通じて、災害にも強い分散型の電力システムをしっかりと後押ししてまいりたいと思っております。
  152. 山岡達丸

    ○山岡委員 私が伺ったのは、コストに見合うところだけを指定したら、まさに地方のような土地がこうした恩恵にあずかれないかということを聞きたかったわけでありますが、この議論はまだ続くと思っておりますので、また次の機会にも伺いたいと思いますが、ぜひ、その視点をまた持っていただいて、この制度運用をしていただきたいという思いであります。  少し時間が迫ってきたので、法案のことをまた伺いますが、情報の事前提供についても、この法案に書かれていることであります。このことについて伺います。  いわゆる災害時の、電力会社から関係団体への情報提供というのは極めて重要なんだろうということを思っております。北電から話を聞きましても、どこに電源車を配置するか、町のどこに配置するかということも、やはり一応は自治体に意見を聞いてから出していたと。この配電線地図というのはかなり個人名も入っているようでありますが、一回一回確かめながらやっていたようでございました。  こういうことが、事前にいろいろ確かめて計画を練れるのであれば、それは確かに重要ですし、こういうことは進めていかなければならないと思っております。  一方で、法案の法文には、ただただ情報提供ができるという趣旨のことが書いてあるので、この具体的な運用の話を聞くと確かにそのとおりと思うわけでありますが、しかし、法文上は、さまざま電力情報を、自治体はもちろんでありますけれども、いろいろな団体に提供できてしまうおそれがあるのではないかということを懸念する中身になっているわけであります。  これは、電力というのはまさに生活をあらわす情報そのものですから、民間の会社と本人が同意のもとでやっているのであればまだしも、この提供できるという仕組みについては、特に、更に言えば災害時のみならず事前の防災という名目で提供できてしまうということについて、これは、データ提供の様式とか手順とか、さまざまルールを明確化しておかないと、運用上さまざま問題が起こるということが懸念されます。  大臣に伺いますが、そうしたルールをどのようにしていくのか、そして、透明性の高いものにしていただきたいと思いますが、どんな御見解か伺いたいと思います。     〔委員長退席、武藤委員長代理着席〕
  153. 梶山弘志

    梶山国務大臣 災害時の電力会社からの情報提供の中の個人情報の部分の話が中心だと思います。  近年の教訓を踏まえれば、災害等の緊急時になってからだけではなくて、災害が実際に発生する前段階で自治体が地域の防災計画等を策定するような場合であっても、一般送配電事業者が保有している配電線の地図といった情報が自治体に円滑に共有されることが重要であると思っております。ただし、御指摘のとおり、これらの情報には個人情報が含まれていることから、情報提供を受けた自治体等ではこれらの情報が適切に管理されることが必要であります。  この点、自治体は、一般的に個人情報保護法に基づき個人情報保護条例を策定するなど、個人情報の管理体制を構築しているものと承知しておりますが、一般送配電事業者からの情報の提供を受ける自治体において適切な情報管理が行われるための国の基準を示し、公表したいと考えております。  経済産業省としては、関係省庁とも連携しながら、この基準や考え方について、自治体等の関係者に対する周知を徹底を図ることにより、この制度を円滑に実施していきたいと思いますし、いざというときに立ち往生しないように、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
  154. 山岡達丸

    ○山岡委員 これは、提供する事業者の方も、ちゃんと様式を決めてルールを決めないと本当に困惑すると思いますので、ここは、大切なことではあるんですけれども、大臣の、さまざま、経産省の役割をしっかりと発揮していただきたいと思います。  最後、残りの時間で、JOGMECのことについて少し伺いたいと思います。  各委員、さまざま指摘をされているところでありますが、今回の法案、民間企業がそうした資源を手に入れられない状況においてJOGMECなら確保できる、だから、そこの機能強化ということで書かれていますけれども、民間が手に入れられなくてJOGMECは確保できるという状況がいささか想像がつかないということであります。  各答弁では、信頼性があるからとかそういうことをおっしゃるわけですけれども、それは具体的なイメージが湧かないわけでありまして、どういう局面を想定しているのか、具体的にまず経産省に伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。     〔武藤委員長代理退席、委員長着席〕
  155. 南亮

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  今委員おっしゃいましたケースでございますが、実際に資源国で国際紛争またテロ攻撃、経済制裁、大規模自然災害などが発生する場合に、世界規模での燃料需給が逼迫しまして、資源国や国有企業によっては売り渋りという状況が出てくると思います。  そういった場合に、中東などでも主にそうですが、やはり商売、燃料供給の相手側としては、日本の民間企業というよりも国と国との関係を大事にしまして、国であれば燃料を供給する、そういった場合が十分考えられる、そのように思っております。  そうした場合において、国は資源外交を通じまして資源国と交渉するわけですが、そういった場合に、契約主体を公的な機関とするということが求められるということもあると思っております。また、需給が非常に逼迫している場合には、燃料の供給を交渉の場で判断しまして速やかに確実に調達することが必要ですが、JOGMECの場合は、これまでの業務から、契約実務や輸入実務に精通しておりまして、速やかな、迅速な対応が可能になる、そのように思っております。
  156. 山岡達丸

    ○山岡委員 今、交渉のお話ありましたが、これはまたいつか機会を持ってやりたいと思いますが、皆様のお手元資料の三枚目と四枚目、今、北方領土のさまざま問題をめぐって、日本とロシアのこの八項目の協力プランという経済的ないわゆる支援のメニュー、これは、実は経産大臣がロシア担当大臣を兼ねておられるという状況で今進められているプランであります。  この八項目のうちの四番目、最後のページに書いてありますけれども、例えば北極のプロジェクトにはJOGMECが参加しているわけであります。今、北方領土の、外交青書にも大分、日本の書き方も揺り戻しがあったようでありますが、一時期、極めて、北方領土が解決するのかという期待感の中で、いわゆる安倍総理と長門会談というのがあって、その北方領土の問題とセットになったのが、ロシアとの八つのこの協力プラン。この中に、いわゆるロシアの開発、その中にJOGMECも入っている。  そうした流れの中で、今、担当大臣がまさに梶山大臣で、そして、このJOGMECの機能として、そうしたロシアの地域に対して出資やあるいは後ろの保証をする、こういう仕組みを導入するというのは、今、交渉のお話もありましたけれども、結局、北方領土をめぐっては協力だけさせられて実を得られなかったような、そのことの助けになってしまう、後押しになってしまう、そこがこれはまだ残ってしまっているんじゃないかということを強く心配するわけであります。  大臣、これはもう最後の時間でありますが、このことに対して見解を述べていただければと思います。
  157. 梶山弘志

    梶山国務大臣 日ロ間で進められている八項目の協力プランは、日本からの一方的な支援、援助というような性格を有するものではなくて、両国間の互恵的な協力を推進するものであります。各企業が経営判断に従い、ビジネスベースで互恵的に進めており、日本企業にとっても、高いポテンシャルを有するロシアでのビジネスを展開するきっかけとなっております。  こういった中で、さまざまな事業があるわけでありますが、このコロナ禍の中でもロシアの担当大臣とは話合いをしておりますけれども、あくまでも互恵的なものだということで、一方的な支援という形にはしておりませんので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  158. 山岡達丸

    ○山岡委員 私、沖縄北方特別委員会にも所属させていただいていて、この八項目の協力プランと、北方領土のさまざま外交のことを何度も取り上げさせていただいているわけでありますが、北海道の元島民の方々、本当に、この間の北方領土のさまざま外交の状況をめぐっては、大きな期待と、そして今、落胆の中で、またさまざま運動を展開されているところであります。  さまざま今、法案、束ね法案ということが指摘されている中で、このJOGMECの立ち位置や位置づけ、今回の法案改正がこうした北海道の元島民の方を更に落胆させるようなことのないよう、また機会を持って審議をしたいと思いますが、そのことを最後に申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございます。
  159. 富田茂之

    富田委員長 次に、宮川伸君。
  160. 宮川伸

    ○宮川委員 立国社の宮川伸でございます。  本日は、再生可能エネルギーの、特にFIP制度について御質問いたします。  まず最初に大臣にお伺いしたいんですが、もうこれは何度も聞かれていることだと思いますが、確認で、再生可能エネルギー主力電源化に向けて取り組むということでお変わりないでしょうか。
  161. 梶山弘志

    梶山国務大臣 その考え方に変わりはございません。
  162. 宮川伸

    ○宮川委員 もう一つ大臣にお伺いしたいんですが、太陽光発電に関して、二〇二五年に一キロワットアワー当たり七円を目指すということで、この目標も変わりありませんでしょうか。
  163. 梶山弘志

    梶山国務大臣 FIT制度では、再エネ事業者の努力やイノベーションによるコストダウンを促す観点から、中長期価格目標を示すこととしております。二〇一九年四月には、コストダウンの加速化を図るため、中長期価格目標を五年間、二〇三〇年だったものを二〇二五年に前倒して、この価格を出しております。これに間違いございません。
  164. 宮川伸

    ○宮川委員 この七円というのは、結構厳しい数字なんじゃないかと私自身は思っています。今、太陽光、十二円とか十三円、一キロワットアワー当たりです。ですから、これは半分ぐらいにしていかなきゃいけないということですので、相当頑張らないと二五年は難しいんじゃないかなというふうに思います。  もう一つ、けさの参考人質疑のところでもありましたけれども、再生可能エネルギーをどれだけ入れていくのか。この政府目標の二二から二四%、これが低過ぎるというふうに私も思います。もっと入れなきゃいけない。  我々はもう二年前に議員立法を出していまして、四〇%を目指すということを御提案をしているわけでありますが、きょうの話だと四〇パーでも低いということもあったと思いますが、今の導入量の倍以上入れていかなければいけないということですので、相当気合いを入れて、相当考えてやっていかないと、そこまで入れることが難しいという、私はそう危機感を持っているということであります。  そういった中で、今回、制度の中で、FIT制度からFIP制度に変えるという案が出てきております。  皆さんのお手元に、3と書いたA3の紙に、これはもう配られているやつなので皆さんもよく御存じだと思いますが、お示しをしました。  上の左側がFITですけれども、ちょっとこれは色が消えてしまったんですけれども、市場価格の線と補助後の価格、この間の面積、ここが利潤になるわけですが、今度のFIP制度になると、プレミアム部分の面積が利潤になるわけであります。  FIP制度になると利益が物すごい減ってしまうというように、この絵だけを見ると思えるわけでありますが、大臣、このFIT制度からFIP制度に変わっていくことによって、再生可能エネルギー事業者の収入というのは減るんでしょうか。
  165. 梶山弘志

    梶山国務大臣 FIT制度は、電力の需給状況や、これに応じた市場価格とは無関係に、発電された再エネ電気固定価格で買い取る制度であります。一方、今回導入するFIP制度は、まず市場取引をしていただき、その上で、市場での売電実績に応じて一定プレミアムを受け取る制度であります。  このプレミアムの設定については、今までFIT制度のもとで確保してきた収入と同程度の収入が確保できるように行うこととしており、FIT制度からFIP制度に変わっても、同じように発電できれば、再エネ事業者の収入の目安水準は変わらないと思っております。  加えて、FIP制度のもとでは、再エネ発電事業者がみずから市場で売電することから、例えば蓄電池等を活用して市場価格が低いときに電気をためて高い価格で売電するなど、発電、売電のタイミングを工夫する行動が促されたりするわけであります。そうした工夫により、再エネ発電事業者は、みずからの収入をよりふやすこともできるわけであります。  FIP制度導入を通じて、投資インセンティブを確保しながら、再生可能エネルギー電力市場への統合を図ることで主力電源化を確実なものにしていきたいと思いますし、これらを、この制度を育ててまいりたいと思っております。
  166. 宮川伸

    ○宮川委員 今、FITからFIPに移っても余り収入は変わらないはずだという御発言だったと思いますが、今、この再エネの業界というのは、私はまだ成長途中だと思うので、しっかりとまだ育てていかないと潰れてしまう可能性があるというふうに思っています。  そういった中で、改めて、このプレミアム部分がどれだけ乗るのかが、この制度によって再エネが前に進んでいくかどうかを決める非常に重要な部分だと思いますが、それでは、このプレミアムというのはどうやって決まるんでしょうか。
  167. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  FIP制度認定事業者に交付されます一キロワットアワー当たりの発電量当たりのプレミアムの額について申し上げますと、再エネ事業者の収入の目安水準となる基準価格というのを定めることになってございまして、この価格から一定期間の卸電力取引市場の平均価格、これを参照価格と条文上定めてございますけれども、これを基礎として算定した額を控除することで、この差分がプレミアムとしてお支払いすることになるものでございます。  まず、基準価格が、これまででいいますとインセンティブに当たる水準になるわけでございますが、こちらの方は、毎年度、電源の区分等ごとに、再エネ発電が効率的に実施される場合に通常要する費用等を踏まえ、調達価格等算定委員会意見を尊重して経産大臣が決定することとしており、また、指定した区分につきましては、基準価格について入札をして決定されるという仕組みでございます。この仕組みは、FIT制度の中における、調達算定委の意見を踏んだ形での価格設定ということと同様の形のプロセスを経ているところでございます。  なお、市場との統合ということでございますものですから、この基準価格プレミアムの交付期間にわたり固定されるわけでございますが、参照する卸電力市場の平均価格というのは、時期によって変動してくるわけでございます。ですので、プレミアムの金額も、その市場の動向によりまして変動する形になっていくというのが今回の仕組みでございます。
  168. 宮川伸

    ○宮川委員 なかなか複雑で、すぐになかなか理解できないところがあるかと思いますが、いずれにしても、このプレミアムのつけ方で再エネが抑制されていくようにならないように、ぜひ注意をしていただきたいということをお願いしたいと思います。  それとともに、じゃ、制度が始まって、いろんな電源がありますが、どれがとりあえずFIP制度に移っていくのか。それは誰が決めていくんでしょうか。どの電源FIPに移るのかというのは、誰が決めるんでしょうか。
  169. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  FIP制度適用対象につきましては、市場取引による再生可能エネルギーの供給を促進することが適当と認められる電源区分ということで、技術革新等を通じて、発電コストが低廉な電源として活用し得るものにつきまして、各電源案件の形成状況市場環境等を踏まえ、決定することとなっております。  お尋ねの、具体的にFIP対象の区分にするものはどれなのか、そのタイミングはいつなのかということの決め方でございますが、再エネビジネスとしての案件の形成状況、技術進展、事業環境等を踏まえ検討することが必要になるわけでございまして、この仕組みの中では、先ほど申し上げましたように、調達価格等算定委員会の御意見、この中の審議というのをまず尊重していくことになってございます。  この仕組みについて申し上げますと、最終的には経産大臣が決定するわけでございますが、FIP制度の仕組み、FIT制度と同様の手続を踏むことを念頭に置いてございます。
  170. 宮川伸

    ○宮川委員 算定委員会の方で選んでいくということだと思いますが、ぜひ、早目に情報を出す、そして事業者の方々の意見もよく聞いて、こんなのでは続けられないというような声が上がらないように、丁寧に進めていただければというように思います。  そういった中で、私が聞いているのは、まず最初に入るだろうと言われているのは、大型の太陽光発電じゃないかというふうに聞いております。今、大型の太陽光発電に関しては、入札制度が行われているというふうに聞いているんですが、この入札制度、二〇一七年から始まっていると聞いていますけれども、それが早くもこのFIP制度に最初に移っていくように聞こえます。  私、一つ一つ制度が変わるのであれば、その総括というか、どうだったかというのをしっかりと見る必要があるというふうに思いますが、お配りした資料の一枚目をごらんください。この一枚目が、第五回の入札の結果が書かれています。二〇二〇年一月二十日となっています。この場合、入札量が四百十六メガワットの入札量で、上限価格が一キロワットアワー当たり十三円、こういう入札が行われました。  これに、二ポツのところになりますが、入札件数は、七十二件の入札件数があったんですね。では、結果、どういう入札結果だったかという、三のポツのところですけれども、下の方です。落札した件数は二十七件。七十二件入りたいと言っていたんだけれども、二分の一以下の二十七件しか入れなかったわけですね。それで、最高落札価格は十三円で、もともとの最高上限とぴったりのやつがあるということであります。  それで、落札されたエネルギー全体で見ると、公募したものの一〇%ぐらい、三十九メガワット、一〇%ぐらいしかこれで集まっていないというのが、この第五回のものだというふうに私は理解をしているわけでありますが、これ、裏面には実際にどういう会社がどういう価格で落札したかというのが書いてありますけれども、やりたいという人がたくさんいるのに、結局一〇%、応募したものの一〇%しか入れていないわけですね。これだけ見ると、もう再エネを入れないように制度がなっているんじゃないか、再エネが前に進まないんじゃないかという懸念を持つわけですが、これがまた、この後、総括が余り聞こえていない中でFIP制度に移るということだと思いますが、大臣、全体を見た中で、どういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
  171. 梶山弘志

    梶山国務大臣 再エネ日本電力システムの一翼を担う主力電源としていくためには、国民負担の抑制を図っていくとともに、電力システムへの統合を進めていく必要があります。  入札制度は、FIT価格を、入札による競争を通じて決定することによってコスト低減を進め、国民負担の抑制を図るものであり、二〇一六年の法改正導入をした制度であります。導入後、約三年間で、太陽光については五回の入札委員がおっしゃったように実施をしております。回を重ねるごとに平均入札価格は約一〇%程度低下をしており、競争を通じたコスト低減が実現をしていると思っております。  一方で、今般措置するFIP制度には、再エネ事業者がみずから市場で売電するということにより、再エネ電力市場への統合を進めるという意義があるものであります。  このように、入札制度とFIP制度は、いずれも再エネ主力電源化に向けた課題対応するための重要な制度であり、今後ともこれらを適切に組み合わせて活用してまいりたいと思います。このため、入札制度からFIP制度に変えるものではないということであります。  そして、主力電源化するためには、やはりコスト低減国民負担低減というものを図っていかなければならないということを念頭に置きながらも、委員がおっしゃったような、制度としてしっかりと事業者にも理解できるような形になるような注意を払ってまいりたいと思っております。
  172. 宮川伸

    ○宮川委員 再度、最初に質問した、この主力電源化ということ、それと七円、七円というのも非常に、今十三円ですから、今の話は、ぜひここは緊張感を持って、再エネが抑制されるようにならないように取り組んでいただければと思います。  もう一つ、出力抑制に関して御質問いたします。  FIP制度、さっき、面積は変わらないだろうみたいな話をされていたと思うんですけれども、出力抑制が入ってしまったら収入が大きく落ちてしまうわけです。この出力抑制のところの部分がどういうふうに考えられるのかというのが私はちょっと理解をしていないので、お伺いしたいと思います。  A3の紙の4、後ろのページになりますが、これはちょっと具体的に話をしないとわかりにくいので、九州エリアのものの二〇二〇年三月八日をちょっとここにまとめて持ってきています。一番左が日にちと時間ですが、次が太陽光の実績、その次の縦の欄が太陽光が抑制された量です。黒塗りっぽくなっているところが、実際に太陽光がとめられて売電できなかった、抑制された量なわけですが、では、二〇二〇年三月、太陽光発電の出力抑制は何回あって、発電量としては何%ぐらい抑制されたんでしょうか。
  173. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  再エネ主力電源化していく上では、その出力が変動する再エネでございます太陽光、風力について申し上げますと、電力安定供給を確保するために適切に制御するということは非常に不可欠な問題だと考えてございます。  具体のルールといたしまして、短時間で調整が可能な火力発電の最大抑制を行い、揚水運転、地域連系線を活用した他地域への送電などを最大限行った上で、なお供給力が過剰となる場合に出力制御を実施することとしてございます。  お尋ねございました九州における出力制御でございますが、二〇一九年度全体で見ますと、太陽光発電の制御量の割合は約四%でございます。そのうち、二〇二〇年、ことしの三月の実施の日数は十五日。電力需要の少ない春、秋というのは制御率がどうしても高くなるものですから、太陽光発電制御量の割合は約一二%となってございます。
  174. 宮川伸

    ○宮川委員 十五日間といったら半分ですよ。半分抑制が入っているわけで、これだけマイナスになるということもよく考慮して、このFIP制度を入れていくのであれば、しっかりとそのプレミアム部分を考えていただきたいというように思います。  それで、更にこの表を見ていると、右から三つ目のところに揚水というのがあります。では、太陽光がとまっているときに、揚水発電、水を上に揚げるのにどういうふうに使っているかというのを見ると、マイナスと書いてあるのは余剰電力を使って水を揚げているわけですが、私の理解は、この揚水に関しては二千三百メガワットの能力があるというふうに聞いていて、それよりかなり数が少ないんですが、ちゃんと十分に揚水は使われているんでしょうか。
  175. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  出力の制御を行う場合には、先ほど申し上げましたことの繰り返しになりますけれども、ルールに基づきまして、まずは短時間で調整可能な火力発電の抑制を行い、あわせて、御指摘の揚水運転等を行うことの後に再生可能エネルギーの抑制を行うことになってございます。  一方で、通常、太陽光及び風力の制御量というのは、実際に制御指令を行うシステムの関係がございまして、遅くとも実際に発電する二時間前までに決定することが必要になってまいります。この二時間前に作成した後に、太陽光、風力はやはり自然環境によって大きく影響が出ますものですから、その事前に計画、予測したものとのずれ、予測誤差と呼んでおるわけでございますが、この予測誤差に対して柔軟な出力調整が可能なものというのは揚水動力でございます。ですので、この揚水動力というのは、最終的には、予測誤差への対応ということによって最終的な調整が決まってくるわけでございます。  お尋ねいただきました三月八日の調整でございますけれども、事前の段階では揚水動力を百五十三万キロワット分活用するという計画を立てており、太陽光の出力と同様に、その上での出力制御ということを考えておったわけでございますが、その後に生じました太陽光の出力、実は天候がそこからそれほどよくならず、発電量が減ってまいります。需要も若干それによって変化しているわけでございますが、結果的に予測誤差への調整というのが生じたために、太陽光に対してもオンライン制御の解除等も行いましたけれども、その他の部分として揚水動力の利用量を減らし、約九十一万キロワットとして実施したということが現状でございます。
  176. 宮川伸

    ○宮川委員 ちょっと説明が難しいのと、長くて時間がなくなってきてしまったんですが、私はもっと努力ができるというふうに思います。能力があるわけだから、工夫をして、再エネがこうやって捨てられることがないように、私は工夫ができると思うので、もっと工夫していただきたいというふうに思います。  もう一つ、右から二番目に連系線というのがありますが、これは中国のエリアの方に送られているものですが、私の方で言ってしまうと、私の理解は、この中に火力発電が入っているというふうに私は理解をしています。この中に恐らく石炭火力、問題にずっとなっています石炭火力も入っているんじゃないかというふうに私は理解をしています。再エネ優先という、主力電源化という話でありますが、実際上を細かく見ると、必ずしもそうなっていないんじゃないかというふうな懸念点を私は持っています。  それプラス、これはちょっと大臣と話をしたいんですが、これを見ると、太陽光はやはり昼間しか出ません。夜と朝はゼロで、発電していないんですね。そこに風力が再生可能エネルギーとしては入っているわけでありますが、風力がまだ二百とか百とかという量しか入っていないわけです、数字でいうと。これはもう一桁上がらないといけない。  もう一つ、九州ですけれども、地熱の部分が百二十六とすごく少ないんですね。いろいろな制度を考えられていますが、本当に再エネ導入していこうと思うのであれば、どう見ても、風力をしっかり入れる、そして地熱ももうちょっと上げるということをやっていかなきゃいけないと思いますが、大臣、このエネルギーミックスに関してどのように考えられていますか。
  177. 梶山弘志

    梶山国務大臣 いろいろな形の電源を活用するということは、再生エネについても同じであります。  そして、地熱に関してはさまざまな制限がある。私は超党派の地熱促進議連にも入っていましたけれども、やはり、国立公園内の制限であるとか、地域の例えば温泉業者の反対であるとか、さまざまな要件があって、なかなかアセスが進まないということもあって、こういうことになっているのかなと思っておりますけれども、私は、地熱も含めたバランスがとれるような再生エネの品ぞろえというか、そういう構成であってほしいと思っております。
  178. 宮川伸

    ○宮川委員 どう見ても、とにかく風力をしっかり入れていかないと、この再生可能エネルギーバランスがとれないというのは、これを見れば一目瞭然ですから、ぜひそこが促進されるように、しっかりと計画を立てていただければと思います。  牧原副大臣、いらしていただいているので質問ですけれども、これは連系線でかなりの量が中国地方にずっと行っています。これはほかの月を見ても、大体この量が行っているんですね。  私は、これだけ中国地方に流れているのであれば、川内原発一基とめられるんじゃないかと思いますが、なぜ原発は動かしたままで、こういう形で中国地方に行っているんでしょうか。
  179. 牧原秀樹

    ○牧原副大臣 電力の供給が需要を上回る場合には、電力広域機関が定め、国が認可をした優先給電ルールというのがございます。これに基づいて、火力発電を最大限抑制することに加えて、揚水の活用、そして地域連系線を通じた他地域への送電などを最大限行った上で、なお供給が過剰となる場合には再生可能エネルギーの制御を実施する、こういうルールがあるわけですね。  原子力については、水力や地熱と同様に、短時間での制御が困難である技術的な特性がございます。こうしたことから、太陽光や風力の後に出力制御をするということにしておりまして、抑制や停止した場合には再度出力を回復するまでに時間がかかってしまう、こういうかわりに火力等を稼働させることになってしまうので、その場合にはコスト増やCO2増につながってしまう、こういうことを考慮した措置になっているということです。
  180. 宮川伸

    ○宮川委員 ちょっと今の御回答は不十分だと思いますが、川内原発は八百幾つ、九百ぐらいなので、もうずっとそれより多いものが中国電力に流れているんです。もう一度、私の質問をもう一回振り返って、よく考えていただければと思います。  きょう、本当は容量市場についても質問をしたかったんですが、質問時間がなかったので、また次の機会にやりたいと思いますが、きょうの参考人の先生方もおっしゃっていましたが、容量市場、私の理解は、古い石炭火力、あるいは原発を後押しするような制度だというふうに私は思っています。必ずしも再エネが本当に前に進むように全てが設計されていないという問題点を御指摘しまして、私の質問、きょうはこれで終わりにいたします。  ありがとうございました。
  181. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  182. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  きょうは、電気事業法等改正案のうち、再エネ特措法FITをめぐって、世界の流れでもある再生可能エネルギー主力電源化について質問をいたします。  二〇一二年七月にスタートした固定価格買取り、FIT制度は、電力事業者に、太陽光、風力、水力、地熱など、再生可能エネルギー電力固定価格での買取りを義務づけるもので、これによって再エネ電源の比率は、FIT開始前の二・六%、水力を除く、から、二〇一七年度段階ですが、八・一%ということまで拡大をいたしました。  そこで、まず梶山大臣に伺いますが、これまで再エネ導入促進にFIT制度が役割を果たしてきた、このことは当然評価されますね。
  183. 梶山弘志

    梶山国務大臣 再生可能エネルギーにつきましては、国民負担を抑制しつつ、最大限の導入を進め、主力電源化をしていくということが基本方針であります。  ただ、やはり、導入を促進するために何をしたらいいのか、今度はコスト低減するためにどういう課題があるのかということをずっと考えていかなければならないと思っております。  我が国では、欧州で先行導入されていたFIT制度を、二〇一二年に導入を促進するという意味で取り入れてまいりました。一〇%であった再エネ比率は一七%まで拡大し、発電電力量は再エネ全体で世界で第六位、特に太陽光発電世界第三位であり、発電電力量の伸びは二〇一二年以降約三倍という増加ペースで、欧州や世界平均を大きく上回っている等、再エネの着実な導入が進展をしており、FIT制度により再エネ導入が促進されたものと評価をしているところであります。
  184. 笠井亮

    ○笠井委員 FITで再エネ導入が進んだとはいえ、まだ八・二%と、水力を含めても、大臣今一七%と言っておりましたが、一六%、一七%程度ということが到達点であります。  二〇一八年十月に当委員会で調査に訪れたドイツでありますが、ドイツは、脱原発と温暖化の抑止を両立させようということで、再エネ導入を思い切って進めている。その現場を、私自身も含めて、超党派で目の当たりにしてきたところであります。  ドイツでは、再エネの比率が二〇一九年に初めて化石燃料を上回って逆転をいたしました。再エネ発電のシェアは四六%に達して、二〇三〇年までに六五%に引き上げると高い目標を掲げて、とにかくエネルギー転換を進めているということであります。  前回、五月十五日の質疑の中で、総電力量のうち再エネがどれぐらいの比率になれば主力電源というふうになると見込んでいるかということを私は質問しましたが、大臣のお答えでは、ついに数字ということではお答えにならなかった。  大臣、ドイツの経験から見ても、やはりこの野心的な目標、野心的な目標を掲げるという、このことについては必要だと思うんですけれども、そこはいかがですか。
  185. 梶山弘志

    梶山国務大臣 再生可能エネルギー主力電源化という文言は、世界的には技術革新などにより低コストで再エネ導入が増大している一方で、日本の再エネ発電コストは海外に比べてまだ二倍、約二倍と高い状況にある中で、世界状況日本においても実現し、増大する国民負担を抑制しつつ大量導入を図っていく決意をお示ししたものであります。  この点を踏まえると、再エネ主力電源化を実現するエネルギーミックスを考える際には、コスト課題も考慮しなければならないと思います。導入があって、次のその主力電源化の中でコスト課題というのが幾つか出てきて、それを解消していくということで、いろいろな取組をしているところであります。  FIT制度が始まって直近までに、再エネ比率は一〇から一七に七%増加をし、国民負担は二・四兆円となっているところであります。エネルギーミックスで掲げた二〇三〇年度の再エネ比率二二から二四%を国民負担約三兆円で実現するには、残りの七%を、約〇・六兆円、六千億円程度で、追加的な国民負担対応する必要があります。  このように、現在のエネルギーミックス自体が、極めて野心的な目標であると思っております。  もちろん、エネルギーミックスの再エネ比率はキャップではなくて、これにとどまらない導入を追求していきますが、まずはエネルギーミックスの実現に向けて国民負担を抑制しつつ最大限導入し、主力電源化を進めてまいりたいと思っております。  いずれにしても、その二〇三〇年の目標をしっかり現実のものとしてクリアすること、さらにはまた、これはキャップじゃありませんから、これでどれだけできるかということをやらせていただきたいと思います。
  186. 笠井亮

    ○笠井委員 再エネ主力電源化するためには、私は、野心的ということでおっしゃったんですが、レベルの違う野心的な目標を掲げて、それに向かって挑戦することが必要で、そのことによって普及が広がればコストが下がってくる、その調整を促すエネルギー政策こそが必要だということを言いたいと思います。  そこで伺いますけれども、再エネの買取りに先進的に取り組む世界の教訓からも、固定価格FITにせよ、今度の、市場連動型で提案されていますが、FIPにせよ、再エネ導入促進には、電力事業者に対して優先接続、優先給電、系統増強、この三つを義務づけて、発電した再エネが確実に買い取られるという仕組みがなければいけない、これは不可欠だと思うんですが、この三つの義務というのは再エネの特措法の条文に規定されているんでしょうか。
  187. 高橋泰三

    ○高橋政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のうち、まずその優先給電のルールでございますけれども、こちらは、電力広域的運営推進機関が定め国が認可をいたします送配電業務指針に整理されておりまして、また、そのほか、再エネ特措法十六条に基づく省令に位置づけられてございます。  具体的には、特定の地域において供給力が過剰となる場合に、火力の最大限の抑制に加えまして、揚水運転、地域連系線を活用した他地域への送電などを最大限実施しまして、それでもなお供給力が過剰となる場合に再生可能エネルギーの出力制御を行う、こういう優先給電ルールでございまして、再エネ特措法上は、そういうルールに再エネ事業者が従う場合には、電力事業者は再エネ事業者とのFIT契約を拒否できないというルールを規定してございます。  それから、系統増強につきましては、再エネ特措法上には位置づけがございませんが、他方で、今回提案させていただいています改正法案におきましては、国が関与する形で、再エネ電源ポテンシャルを踏まえました系統整備計画、いわゆるマスタープランを策定し、これに基づき、事業者が実際の系統整備を行う仕組みを盛り込んでおります。  また、再エネ促進のための系統増強費用につきまして、その一部を賦課金で充てる制度を創設することとしております。  それから、優先接続ということにつきましては、これは再エネ特措法における規定はございません。具体的には、これについては、電力広域機関が定め国が認可をいたします送配電業務指針というものに基づきまして、空き容量の範囲内で、再生可能エネルギーなどの電源の種別によらず、公平に接続の申込み順に送電線の容量を確保できることとなってございます。  以上でございます。
  188. 笠井亮

    ○笠井委員 今言われた優先の給電についても、ルールと言われましたが、出力抑制に応じる条件つきであって、これは義務ではない。それから、送電網の整備系統増強も、これは努めよというだけであります。  優先接続は、言われたように、二〇一六年のFIT法改正で義務から削除されて、オープンアクセスの義務というようなことを言われたいのかもしれませんが、電源間の優先順位がなくて、優先接続の義務のかわりにはならない。結局のところ、条文的に三つの義務づけというのはないわけですね。  大臣、優先接続、優先給電そして系統増強、これは、三つをきちっと条文で義務づけしないと、そうしなかったら、発電した再エネが確実に買い取られる保証はなくて、主力電源化というのは到底できないんじゃないかと思うんですが、いかがですか、大臣
  189. 梶山弘志

    梶山国務大臣 法律の裏づけということでありましたけれども、系統増強とか優先接続も含めて、より緻密にその空白の部分の精度を上げていくということも含めて、さまざまな努力を今しているところであります。そういったものも事業者に向けて発信をし、丁寧な情報を提供しながら取り入れてまいりたいと思っております。
  190. 笠井亮

    ○笠井委員 さまざまな努力と大臣言われましたが、再エネ導入拡大のいわば必須条件と言われるような野心的な目標もない上に、三つの義務づけもない、努力ということになっている。どうしてこれで主力電源化が実現できるのか、本法案の大きな問題点だと言わざるを得ません。  そして、これらを義務づけていないことが電力事業者の行動にどうあらわれているかと見てみたいと思うんですけれども、送電網の整備系統増強を見ても、FIT制度のスタートのころからその重要性が指摘をされて、電力事業者にはそのことを通じて再エネを受け入れる努力が求められていたし、国も後押しすべきだった。その責任を果たしてきたのかどうかというのが問われると思うんです。  経産省に伺いますが、電力十社の流通設備送電、変電、配電設備投資額の合計、十社合計で結構ですが、FIT法以前の二〇一一年度と直近の一八年度でそれぞれ幾らになっているでしょうか。
  191. 高橋泰三

    ○高橋政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の一般送配電事業者の送配変電等設備に係る設備投資額の合計額でございますけれども、電力会社からの聞き取りによる合計によりますと、二〇一一年度で八千三百八億円、二〇一八年度で九千六百八十三億円であると承知しております。
  192. 笠井亮

    ○笠井委員 一一年度から一八年度でほとんどふえていないわけですよ。だから、買取り制度があっても使えないということになっている。最たる例が九州電力だと思います。  ちょうど一年前の二〇一九年五月十七日の当委員会でも私取り上げましたけれども、九州では連日のように太陽光、風力の出力が抑制をされている。  二〇一八年十月以降、九州電力は、九州本土で一体何日ぐらい出力抑制をしているのか。年度ごとの日数と、これまでの二年間余りの累計日数を示してください。
  193. 高橋泰三

    ○高橋政府参考人 お答え申し上げます。  九州地方では、二〇一八年の十月以降、再エネの出力制御が行われてございます。  御質問の制御日数でございますけれども、二〇一八年度の実施日数は二十六日、二〇一九年度は七十四日、二〇二〇年度は五月の二十日時点で三十六日、過去二年余りの累計日数は百三十六日でございます。  ただ、出力制御の実施日に全ての再エネ設備が制御されるわけではございません。また、需給バランスを維持するために、一部の施設、時間に限定して出力制御が行われているということでございまして、二〇一九年の出力制御の比率は四%程度となっております。
  194. 笠井亮

    ○笠井委員 最後に言われましたけれども、それだけの日数やっていたわけです。今年度も、四月以降はほぼ連日のように無補償の出力抑制がされている。これでは再エネへの新たな投資などできないわけであります。  梶山大臣に伺いますが、もともと春と秋は電力需要が下がります。原発が稼働していたら、一層のこと、再エネを受け入れる余地が減るということになります。  九州では、三基の原発が稼働してきた上に、ことしは更に新型コロナへの対応経済活動が絞られており、なおさら再エネが余ることになります。再エネよりも原発を優先するルールが再エネの利用を邪魔しているということは明らかだと思うんですけれども、直ちにこれは見直すべきではないでしょうか、大臣
  195. 梶山弘志

    梶山国務大臣 電力供給が需要を上回る場合には、優先給電ルールに基づいて、火力発電を最大限抑制することに加えて、揚水の活用、地域連系線を通じた他地域への送電などを最大限行い、それでもなお供給力が過剰となる場合には、再生可能エネルギーの制御を実施することとしております。  原子力については、水力や地熱と同様に、短時間での制御が困難という技術的な特性等を持っていることから、太陽光や風力よりも後に出力制御をすることとしております。  これは、抑制、停止をした場合には再度出力を回復させるまでに時間がかかり、かわりに火力等を稼働させることが必要となることによってコスト増やCO2増につながることを考慮した上での措置ということであります。
  196. 笠井亮

    ○笠井委員 今お話ありましたけれども、いまだにそんな議論にこだわっているのかと。世界では、再エネ普及が進む中で、常に一定の出力を固定したベース電源という考え方から、出力が変動する再エネも含めて、どうやって系統全体をマネージするかという考え方に変わってきております。その中で再エネが大きく普及してコストも下がっている。世界じゅうが努力しているのに、日本ができないわけがないというふうに思います。  九州エリアは、再エネ比率が高いからという声も出たりするんですけれども、それは電力事業者地域独占していたころの考え方でありまして、連系線を使って九州から中国電力、関西電力へと電力を送ればいい。広島や神戸、大阪などの大きな消費地があるのだから、抑制する必要はない。  法案で見ますと、OCCTOに広域連系整備計画の策定業務を追加するというふうになっておりますけれども、九州と中国を結ぶ関門連系線増強の必要性について、OCCTO自身はこの間議論してきたというんですが、二〇一八年三月九日に、その議論の中で、結局その増強を見送ったと。ここに当日の会議資料がありますけれども、容量の倍増をするためには千五百七十億円の工事費が必要で、コストに見合う便益が得られない見通しだというふうにあるわけです。  大臣に伺いますけれども、九州電力が最初に九州本土での再エネ出力抑制を行ったのが、先ほどありました二〇一八年の十月です。関門連系線増強を見送ったのがその年の三月ということは、出力抑制が目の前に迫っている時期に、費用対効果がないから増強は不要だと決めたということじゃないか、その結果、現在、連日のように出力抑制が実施されているということがある。  やはり、この結論は、こうやって振り返ってみると正しかったというふうに、大臣、思われるでしょうか、見送ったこと。
  197. 梶山弘志

    梶山国務大臣 関門連系線につきましては、現時点では、費用対効果が十分でなく、増強が必要という判断に至っていないと承知をしております。  他方、本法案において、今後は国も関与する形で、再エネを始めとする各種電源のポテンシャルを踏まえたプッシュ型の系統整備計画、いわゆるマスタープランを策定する仕組みを盛り込んでおり、そのマスタープランの策定プロセスの中では、改めてその費用対効果を評価していくことになります。  こうした新たな仕組みを活用しつつ、系統整備による再エネの活用に伴う便益と、増強に要するコストを定期的に比較し、国民負担を抑制しながら、日本送電網を再エネ大量導入対応した次世代型のネットワークに転換をしてまいりたいと思いますし、連系線重要性は十分に認識をしておりますけれども、やはりコスト部分というのが、その設置費用ですね、整備費用というものも大変大きな要素であるという中でこういう判断をしているわけであります。
  198. 笠井亮

    ○笠井委員 これから検討してやっていくんだという話ですが、まさにその広域系統整備のためにOCCTOをつくっておきながら、今さら何を言っているのかという話になってくるんだと思うんですよね。費用対効果がないというのは、結局、再エネを目先の損得でしか見ていないということだと思います。  再エネ導入が進めば火力発電所の稼働が抑制され、CO2排出量の大幅な低減につながる。中東の石油に依存しない純国産エネルギーでありますので、まさにそういう点では、これらのプラス面を正当に評価したのかということが問われてくると思います。  そこで、最後に伺いますけれども、電力事業者はこの間、やはり率直に言って、再エネより原発に力を注いできたというのが現実だと思います。中でも、東京電力福島第一原発事故後、真っ先に原発を再稼働させたのが九州電力です。九電の二〇一一年度以降の八年間の原子力への設備投資費用とそれから送電設備への投資費用を比べてみますと、有証のベースで見まして、原子力が五千八百七十六億五千万円、送電に三千二百十五億五千万円と、まさに原発再稼働のために電力事業者が五兆円超の金をつぎ込んで、そして送電網への投資を抑えてきたというのが全体の状況だということだと思うんです。  そういう点でいいますと、東京電力の福島第一原発事故の処理費用というのは最大にすると八十兆円という、そうした試算もあります。再び過酷事故が起こったら、また賄い切れないことになる。結局やっていることはどこまでも原発最優先ということではないか、これは切りかえないといけないんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  199. 梶山弘志

    梶山国務大臣 個別の電力会社による投資は、会社のそれぞれ各社の経営責任において判断されるべきものでありまして、その投資額について私が評価することは差し控えたいと思います。  その上で、原子力について、エネルギーミックスの達成に向けて必要な安全対策への投資が行われることは重要であると考えております。  また、送配電設備については、再エネ主力電源化を進めていく上で適切に整備されていくことが必要であり、国民負担を抑制しつつ、その投資のための原資がしっかりと確保される仕組みづくりが重要と認識をしております。  このため、国がしっかりと関与する形で再エネ導入ポテンシャルを踏まえた新たな系統整備計画的に進めるとともに、電力会社による送配電網への投資確保とコスト効率化を促すための託送料金制度改革を実現するための制度整備を、本法案により実現したいと考えております。
  200. 笠井亮

    ○笠井委員 きょうから川内原発の二号機が定期検査に入ります。特定重大事故等の対処施設、特重ができていないまま再稼働した上、延長された設置期限すら守らない九州電力などに原発を動かす資格はないと言わなきゃいけないと思うんです。  しきりに資源の乏しい我が国ということがよく言われますけれども、化石燃料だけが資源ではありません。地熱は世界第三位、全国あまねく太陽光も風も風力もある。降雨量が多くて、四方を海に囲まれて水資源というのは豊富だということでいうと、豊かな資源を余すことなく生かすためにも、高い導入目標、野心的な目標を掲げて再生エネルギー最優先のエネルギー政策に転換すべきだと強く申し上げたいと思います。  引き続き、法案については質疑をしていきますが、きょうはこれで終わります。
  201. 富田茂之

    富田委員長 次に、足立康史君。
  202. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  きのうの原子力特委でも、また、きょうの参考人質疑でも申し上げましたが、少し原子力の話を大臣にお聞きをしたいと思います。  大臣には日ごろ細かいことは余り御質問しておりませんが、たまにはちょっと向き合わせていただいて、僣越ながら、御答弁をいただきたいと思います。  きょう、高橋長官もいらっしゃいますし、村瀬部長もいらっしゃいますが、法律案は、もうどなたかもおっしゃっていましたが、大変な調整作業の中でつくられてこられていることですから、おおむね野党の皆さんも、ねえ山崎先生、全体的にはいいですよね。さっきも言っていたんです、すごくいい法案だよねということを。言っていましたよね、山崎さん。修正をもしするとしてもちょっとしかない、そういう話をしていたんですが。  きょうの参考人質疑、それからきのうの原子力特委で、原子力の話を伺いました。須藤グループ長あるいは村瀬部長からも御答弁をもういただいていますが、ちょっと私としては大変こだわりというかがあるところですので、ちょっと梶山大臣にきょうはお願いをしたいということで、ちょっと繰り返しになりますが、三点ほどお聞きをします。  まず一点目は、例の福島第一原発のトリチウム水について、経産省としてさまざまな取組をこれまでもしていただいています。地元での説明会とか、それからネットでのいろいろな発信とかされていますが、私がかねがね申し上げているのは、いや、地元への説明はもう、それはやっていただいたらいいと思うんだけれども、福島の皆様への説明、あるいは関連の漁協とか漁民の皆様への御説明よりも、問題になっているのは風評被害なんだから、風評被害の被害者、被害を受けられるかもしれない、風評被害の被害側に幾ら説明しても仕方ないですよね。  風評被害の加害者にちゃんと正しい科学的な情報を理解させなければ、風評被害というのは解決しない。被害者じゃなくて加害者にしっかりと説明していく。加害者って誰かというと難しいんですが、広く国民、あるいは韓国を始めとする諸外国なわけです。  大臣、この辺、私のこの、被害者じゃなくて加害者への、加害者というとあれで、広く国民への、福島への説明じゃなくて、全国消費者への説明が重要だと私は思いますが、大臣はどうお考えでしょうか。
  203. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員御指摘のALPS処理水の取扱いに伴う風評被害を考えれば、地元の皆様の不安払拭のみならず、国内外の理解を得られるよう情報発信や説明を重ねていくことが重要だと思っております。  経済産業省としては、これまで、一般国民や消費者に向けて、解説記事や動画、パンフレットなど、さまざまなコンテンツを作成して、ホームページやSNSを通じて発信してきましたが、引き続き機会を捉えて情報発信を行ってまいりたいと思っております。これは、政府のみならず、事業者である東京電力にもしっかりと取り組んでもらいたいと考えております。  また、流通や観光といった消費者へ直接相対する立場の全国団体からは、五月十一日に開催した御意見を伺う会において、福島の復興への貢献のための情報発信や風評被害対策に協力したいという御発言もありました。  これは、どういう処理法を考えても、必ずやはり風評が起こります。それをどうするかということは非常に、委員がおっしゃるように大切なことでありまして、そのどういう処理法というのは、陸上においてもそうですし、今小委員会が挙げた二つの処理法も含めてそういうことだと思っております。そういったことに対して御理解を得るための活動と、そして、いかに風評を少なくするかということを現実に考えてまいりたいと思っております。
  204. 足立康史

    ○足立委員 ぜひ梶山大臣のリーダーシップで御努力をいただきたい、こう思います。  きのうの原子力特委では、小泉大臣の名前を出して、原田前環境大臣がいろいろ問題提起をいただいたことについて小泉大臣が直後に逆噴射されて、せっかくの原田前環境大臣の問題提起をもみ消しちゃったということについて、苦言を呈させていただきました。  ただ、かつて小泉大臣がマスコミでいろいろ取り上げられている時代は私一人で小泉さんに苦言を呈していたんですけれども、最近は余り言うと何かいじめているみたいになるので、もう小泉大臣のことは期待していませんが、梶山大臣に期待をして。何かまた言い方がよくないね。  本当に発信の問題ですから、これは。情報発信の問題ですから、経産省の皆様に期待をしたいと思います。  大臣、もう一つ、これも何度かいろいろな形で政府から御答弁いただいているんですが、梶山大臣からも改めてちょっと事実関係を御紹介いただきたいのは、ちょうど日本原燃の六ケ所村の再処理工場が稼働というか、いろいろ手続が前進をしているという中でありますので、あえて取り上げるわけでありますが、福島第一原発に係る処理水、タンクにたまっているトリチウム水の量、これを議論しているわけです。  ただ、繰り返し申し上げますが、福島にたまっている量と、それから、青森六ケ所村で再処理工場がフル稼働したときに海洋放出される予定になっている、フル稼働したときに排出される予定になっているトリチウム水のベクレルというか量、規模、これをちょっと、やはり並べてちゃんと国民の皆様にも御理解をいただきたい、こう思うんですが、大臣からその辺の事実関係、御紹介をいただきたいと思います。
  205. 梶山弘志

    梶山国務大臣 事実関係について述べさせていただきます。  六ケ所再処理工場における年間の最大処理量である八百トンの使用済み燃料を再処理した場合におけるトリチウムの推定海洋放出量は、約一京八千兆ベクレルと承知しております。  また、福島第一原発に貯蔵されているALPS処理水に含まれるトリチウムは、全体で約八百六十兆ベクレルと推計をされております。機械的に計算すると、六ケ所再処理工場における年間推定放出量の約二十分の一となっております。  なお、トリチウムを含む放射性物質の放出による六ケ所再処理工場の敷地外における人体への推定被曝量は、最大で年間約〇・〇二二ミリシーベルト。この値は、規制基準であります年間一ミリシーベルトよりはるかに低い水準となっております。
  206. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  きのう事務方から御答弁いただいた内容と当然同じなわけでありますが、今、経産委の皆様も改めて聞いていただいて、釈迦に説法ではありますが、二十倍です。だから、逆に言うと、福島は、福島のタンクが喧伝されていますが、これは二十分の一です。だから、何年もかけて海洋放出する場合にはもっと一年間の量は小さくなる。一年間に今たまっているものを全て海洋放出しても青森の二十分の一だということを、今大臣からも御紹介をいただいた。  ただ、私も、何か福島に係る風評被害を青森に拡大したくて言っているんじゃないんです。だからこそ、大臣も今、なおということで、いや、しかし、それでも全然安全なんだよ、科学的には全く問題ないんだよということを付言してくださったわけでありまして、私もそれは風評を広げたいから申し上げているんじゃなくて、やはり、今、新型コロナでも問題になっているリスクコミュニケーション、国民の皆様との間でしっかりとリスクコミュニケーションを図り、福島の真の意味での復興を実現するために申し上げているということを、ぜひ委員の皆様にも御理解を賜りたいと思います。  だからこそ、日本維新の会の代表でもある松井一郎大阪市長は、大阪湾とあえて申し上げたわけであります。やはり、この原子力の問題は、原発立地地域にしわ寄せ、幅寄せをするのではなくて、まさに電力の大消費地である大都市、まさに東京であり大阪、東京湾であり大阪湾。全国が、これは人ごとじゃなくて、いや、福島沖に流せばいいんだ、そういう問題ではなくて、全国の国民、全国の知事、全国の私たち国会議員が自分の問題として考えれば、これはおのずと結論は出るのではないかと思っての問題提起であるということを御理解ください。  最後、きょう、参考人の皆様にも申し上げましたサイクル政策であります。  日経新聞が十三日の社説で、「現実味あるサイクル政策示せ」とかいって偉そうに書いているわけでありますが、日本政府が思考停止だ、こうやってなじられているわけですね。  大変難しい問題ではありますが、ぜひ、梶山大臣のこれもリーダーシップで、こんなことを書かれないように、しっかりとこのサイクル政策の今後の道筋をぜひお示しをしていただきたい、こう思うわけでありますが、その辺、大臣の、ここで御決意を求めてもなんですが、御答弁をいただきたいと思います。
  207. 梶山弘志

    梶山国務大臣 我が国は、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減資源の有効活用の観点から、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本方針としてきているところであります。  核燃料サイクルの実施に当たっては、プルトニウムバランスの確保や、高レベル放射性廃棄物の最終処分などの課題があることも認識をしております。思考停止などに陥らないように、現下の状況変化を捉えて、直面する課題と向き合うことは当然であります。  一つ一つ課題に対して責任を持ってしっかりと取り組んでまいりたいと思いますし、今の状況においても処理しなくちゃならない課題はたくさんあるわけですね。今も原子力発電所に使用済み燃料もある、それをどうするのか、そして最終処分場をどうするのか、トイレのないマンションと言われている状況をどうするのか。進むものはしっかりと進めていかなくちゃならないと思っております。
  208. 足立康史

    ○足立委員 私は、きょうは政府・与党に対して厳しいテーマを取り上げさせていただきましたが、だからといって、山崎さんいなくなったけれども、あ、いらっしゃった、山崎さんが一生懸命やっている原発ゼロ、ここで名前を呼ぶのもはばかられる、できの悪い法案でありますが、原発ゼロ基本法案、ああいう、結局、野党のそういうかけ声だけで何とかなるものではないわけであります。今大臣もおっしゃったように、大変複雑な、安全保障も絡むし。  それから、既に、今おっしゃった使用済み燃料をどうするか。私は、使用済み燃料の、核のごみの処理、毒性の低減のことを考えると、これはやはりしっかりと、原発ゼロとかそういう問題ではなくて、次世代型の高速炉とか、そういう新しい技術もしっかりと、そこに予算も投入して出口をしっかりとつくっていく、これが政治の責任であると確信をしている次第であります。  もう時間になりますので終わりますが、今回の法律案はそういうことでいいと思いますが、一番大事なパーツであるところの原子力、それから再生可能エネルギー地域環境との関係、これだけは引き続き注視をしていきますので、法律の運用等よろしくお願いをして、質問を終わります。  ありがとうございます。
  209. 富田茂之

    富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四分散会