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2020-05-15 第201回国会 衆議院 経済産業委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年五月十五日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 富田 茂之君    理事 大岡 敏孝君 理事 神山 佐市君    理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 淳司君    理事 武藤 容治君 理事 田嶋  要君    理事 山岡 達丸君 理事 鰐淵 洋子君       畦元 将吾君    穴見 陽一君       安藤 高夫君    石川 昭政君       石崎  徹君    岡下 昌平君       神田  裕君    古賀  篤君       國場幸之助君    武部  新君       辻  清人君    冨樫 博之君       野中  厚君    鳩山 二郎君       福田 達夫君    穂坂  泰君       星野 剛士君    細田 健一君       三原 朝彦君    山際大志郎君       吉川  赳君    和田 義明君       浅野  哲君    落合 貴之君       柿沢 未途君    斉木 武志君       櫻井  周君    宮川  伸君       山崎  誠君    江田 康幸君       中野 洋昌君    笠井  亮君       足立 康史君     …………………………………    経済産業大臣       梶山 弘志君    内閣府副大臣       宮下 一郎君    厚生労働大臣      橋本  岳君    経済産業大臣      牧原 秀樹君    法務大臣政務官      宮崎 政久君    経済産業大臣政務官    中野 洋昌君    政府特別補佐人    (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  能登  靖君    政府参考人    (内閣地方創生推進室次長)           長谷川周夫君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 森  源二君    政府参考人    (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     竹村 晃一君    政府参考人    (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君    政府参考人    (経済産業省大臣官房商務サービス審議官)    藤木 俊光君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           春日原大樹君    政府参考人    (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君    政府参考人    (経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官)          木村  聡君    政府参考人    (経済産業省産業技術環境局長)          飯田 祐二君    政府参考人    (経済産業省電力ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 高橋 泰三君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         覺道 崇文君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君    政府参考人    (資源エネルギー庁資源燃料部長)        南   亮君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      村瀬 佳史君    政府参考人    (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君    政府参考人    (国土交通省鉄道局次長) 寺田 吉道君    政府参考人    (環境省大臣官房審議官) 瀬川 恵子君    経済産業委員会専門員   佐野圭以子君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   和田 義明君     鳩山 二郎君   菅  直人君     櫻井  周君   中野 洋昌君     江田 康幸君 同日  辞任         補欠選任   鳩山 二郎君     和田 義明君   櫻井  周君     菅  直人君   江田 康幸君     中野 洋昌君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案内閣提出第二六号)  経済産業基本施策に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 富田茂之

    富田委員長 これより会議を開きます。  経済産業基本施策に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  両件調査のため、本日、政府参考人として内閣地方創生推進室次長長谷川周夫君、法務省大臣官房審議官保坂和人君及び中小企業庁事業環境部長奈須野太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 富田茂之

    富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 富田茂之

    富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。櫻井周君。
  5. 櫻井周

    櫻井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム櫻井周です。  ふだんは財務金融委員会に所属をしておるんですが、本日はこの経済産業委員会質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。  私、こちらに本日参った理由は、中小事業者への家賃支援、これは法案に私も提案者の一人として名を連ねております、この内容について大臣お尋ねをしたい、それで事業者への家賃支援、これはきのうの会見総理もおっしゃっておられます、ぜひ大臣としての取組について聞きたいということで、本日こちらに来させていただきました。  この家賃支援については、これはもう皆さん承知のとおり、事業者外出自粛要請、それから休業要請ということで大変困窮をされています。家賃それから人件費、この二つ、こういう支援が非常に重要であるというのは、単に固定費として金額が大きいというだけでなく、人件費はまさに雇用を守っていくために必要不可欠だ、そして家賃、これは場所を確保するということは事業継続において必要不可欠だ、そしてこの感染症が終わった後、V字回復をしようと思っても、雇用それから場所、これがなかったらV字回復もしようがないわけですよね。  ですから、そういった意味でも、この家賃人件費、これは非常に重要だということで重点を置いて、ほかのいろいろ支払いはあるにしても、この二つについては最優先で取り組むべきだ、こういうことで政策を我々は掲げているわけですし、それは与野党を超えて同じ思いだと思います。  人件費については、雇用調整助成金等の改善の取組、これはもう厚生労働省が取り組んでいるというふうに承知をしております。一方で、中小事業者への家賃支援、これはまさに梶山大臣の所管だというふうに承知をしておりますので、本日、こちらについてお尋ねをいたします。  今週の月曜日の予算委員会におきまして、我が会派の後藤祐一議員総理質問をしております。総理は、後藤議員提案を踏まえて、与野党提案を踏まえて追加的な対策を早急に具体化していきたいというふうに答弁をしております。大臣もその場にいらっしゃったので聞いておられるというふうに思います。  また、昨晩総理記者会見で、政府として直ちに二次補正予算編成に着手いたします、この後の政府対策本部指示いたしますというふうに言っておられまして、大臣指示を受けているかと思います。そして、家賃負担を軽減するための給付金も新たに創設いたします、こういうふうに発表されております。  そこで、大臣お尋ねをいたします。月曜日の予算委員会総理答弁、そして昨晩総理記者会見を踏まえて、担当大臣としての取組について教えていただけますでしょうか。
  6. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回のコロナウイルス感染症感染拡大の局面において、経済対策というのは、委員がおっしゃるように、事業継続、そして雇用の受皿であるその事業をしっかり守って、守り抜いていくということが大切な基本であると思っております。自粛要請等により休業を余儀なくされている飲食店等テナント事業者にとっては、特に家賃支払いが大きな負担になっていることも重く認識をしております。  経産省としては、家賃支払いにも充てていただける使途の制限のない持続化給付金創設、またさらに、さまざまな融資制度をつくってまいりました。まずはこれらによって、中小企業皆様の、そして小規模事業皆様家賃負担をさまざまな面から軽減することとしており、まずはこれらの支援を迅速に行うことが重要と考えているところであります。  その上で、昨日、今委員からも御指摘ありましたように、総理から第二次補正予算編成に着手せよとの指示がありました。さらに、大きな負担となっている家賃をより一層軽減するために、新たな支援制度創設についても指示がございました。  現在、与野党議論をいただいている状況も踏まえて、必要な対策を早急に具体化をしてまいりたいと思っております。
  7. 櫻井周

    櫻井委員 ぜひ進めていただきたいんですが、ただ、これは二次補正というふうになると、幾ら頑張ってやっても、五月中にできるのか、五月も難しいんじゃないか、六月になっちゃう。そうすると、支給が六月中にできるのかというふうになっちゃったら、もう全然間に合わないんじゃないのか、そういうふうにも心配するところです。  特に、三月ぐらいから大分状況は悪くなっているわけですから、三月、四月、五月、三カ月滞納しちゃうと、もうテナントを追い出されちゃうわけですよね。もう今月中にやらないと間に合わないんですよ。やはり政府として、ちょっとのんびり構え過ぎじゃないのかというふうにも思うわけです。  それで、我々、法案を提出させていただきました。中身についてはこれから御説明もさせていただきますが、この法案ポイント一つは、これは政策金融公庫を通じてやりますので、既に政策金融公庫には一次補正予算大分お金が入っていますから、勘定間でお金をちょっと融通し合う、これは政令でできます、そうすることによって早くできるんですよね。もう法案が通ればすぐできる。二次補正を待つ必要はない。そういう意味でも、素早くできるという制度設計も含めて、我々は工夫してやっているんですよ。  ですから、これは、ぜひ考えてもらいたい。二次補正とか、のんびりしたことを言うんじゃなくて、すぐやる。今、もう事業継続も難しいんじゃないか。特に、五月六日の緊急事態宣言、これが延長されてしまったので、もう無理だと思って諦めかけている方はいっぱいいらっしゃるわけですよ。そういう方たちを救っていくためにも、ぜひ、もう一工夫していただきたいというふうに思います。  その上で、この法案中身についても少し説明を申し上げます。  この法案ポイントは、これは我々、代位弁済ということで、家賃を丸ごと支援するというところにポイントがあるわけです。与党案では、失礼ながら、これは立てかえ払いになっちゃっている。だから、融資を受けて、既に無利子担保融資とかあるでしょう、それを受けて、そこから支払いをする、支払ったら、その領収書をもって家賃の三分の二なり補助を受ける、こういうスキームになっているというふうに報道等で私は承知をしているわけですが、そうすると、一旦立てかえ払い的に払わなきゃいけない。払わなきゃいけないので、そのお金をどうするのか。  これだけ、もう今資金繰りに窮しているといって、しかも、無利子担保融資があるとはいえ、やはり与信枠というのはあるわけですよね。そして、いっぱい借りちゃうと、今度、債務者区分というものも下げられちゃうかもしれない。一応、下げないようにということで金融庁から通達はしているものの、これだってどうなるかわからない。そういう不安を抱えながら、事業者皆さんは、いろいろ資金繰り、非常に苦労されているわけです。だから、そういう資金繰りの苦労も含めて、一旦、家賃の部分については、その心配はないですよということをしてもらうためにも、こういうスキームを我々は用意をしているわけです。  特に、この家賃オーナーに対して、貸し主に対して直接支払うということが大きなポイントでして、一旦融資という形で渡しちゃうと、どこにお金が行っちゃうかわからないという問題については、生活保護でも一回経験をしているわけですよね。  生活保護でも、現金給付がちゃんと原則ですということで、家賃も含めて生活保護受給者の方に渡した。そうすると、家賃に使われないというようなケースも少なからずあったということで、これは大変問題になって、そして、わざわざ法律を改正して、生活保護法三十七条の二というのを設けて、代理納付制度というのをつくったわけです。この代理納付制度ができたおかげで、オーナーの方、家を貸す方は、ちゃんと家賃が入ってくるということで、安心しておうちを生活保護の方に貸せる。また、借りる方の生活保護の方も、そうやってオーナーが気持ちよく貸してくれるから家を探しやすくなったということで、これは双方にとって大きなメリットがあったわけです。  今回も、平時ではなくて、本当に緊急事態です。売上げが全くなくなってしまった、こういう状況の中でどうやって店を維持するか、こういう緊急事態でございますので、家賃を直接支払いにするということにおいて場所をしっかりと確保していく、こういうことが必要だというふうに考えております。  この家賃支援において、家主に、貸し主に対して直接支払う、こういう制度にするべきだというふうに思いますが、大臣の御見解をお願いいたします。
  8. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず、家賃のことはずっと気にかけておりまして、この委員会でも議論をしてまいりました。その上で、持続化給付金という制度をつくって、四月三十日の補正予算の成立を待って、五月一日から受け付けが始まったということで、現時点で、八万一千件、千六十億円について、事業者皆様のお手元にもう既にお届けをしたということであります。  その上で、また家賃についても、これからの心配事だということには私も共感をしております。ですから、しっかりとしたものをつくってということで、今、与野党協議も行われているものと思っております。  議員提出法案の取扱いについては国会がお決めになることであり、政府としてのコメントは控えさせていただきますけれども、その上で一般論として申し上げれば、厳しい経営環境が続く中で、貸し主借り主双方安心感を持てる制度とすることは重要であると認識をしております。政府系金融機関借り主にかわって代位弁済する野党提案は、貸し主への支払い確実性が高まるものと考えております。  他方、日本政策金融公庫を所管している立場から申し上げれば、膨大な数のオーナーテナントとの間で代位弁済求償権などが発生し、権利義務関係も複雑化するため、迅速性正確性などが実施できるかどうかという懸念もあるのも事実であります。これを日本政策金融公庫に実施させることを想定されていますが、公庫には、賃貸債権管理専門性がないことに加えて、現在、最大限のスピードで行うことを要請している事業者への融資審査が遅延するのではないかといった懸念が現状ではあるということで、御理解をいただきたいと思います。  さらに、家賃支払いを履行できずに代位弁済を受けたという経歴が今後の信用力にどのような影響を与えるかという点や、オーナーは完全に支払いが保障される一方、テナント側は将来いずれかの時点で賃料を払わなければならず、オーナーを一方的に優遇しているというような面も留意する必要があるということで、これは、この法案に対して批判しているわけではなくて、こういった懸念点があるということで、一般論で言わせていただいているわけであります。  いずれにしましても、昨日、総理から、大きな負担となっている家賃をより一層軽減するために、新たな支援制度創設について指示がありました。現在、与野党議論いただいている状況も踏まえて、必要な対策を早急に具体化していきたいと思いますし、与野党でしっかり議論をしていただいた成果は、早急に反映をさせたいと思っております。
  9. 櫻井周

    櫻井委員 今、まず、オーナーばかりが得するんじゃないのかというお話もございましたが、オーナー家賃を減額するならそれに対して補助をしますということで、家賃を減額することのインセンティブもちゃんと設けております。  また、権利義務関係が複雑化するんじゃないのか、こういうお話もありました。しかし、三者で契約を結ぶ、貸し主借り主、それからあともう一つ、今回の場合は公庫ですけれども、三者でやる、こういうことについては、過去にもいっぱい例があるわけです。  例えば、この三者契約の例としましては、災害救助法のみなし仮設住宅、これも三者で契約を結んでいます。こういうのも山ほどあるわけです。だから、確かに、二者契約に比べたら少々手間がかかるかもしれないですけれども、そんな複雑なことではないですし、それが障害になるようなことじゃないです。今までさんざんやってきたんですから、何を今さらそんなことを言うのかというふうに思います。  また、この政策金融公庫を使うことについて、既に無利子担保融資等で大変なときにとおっしゃいますけれども、これは、お客さんは一緒なんですよ。無利子担保融資お客さんと、それから、この家賃支援する対象のお客さん、一緒なんです。だから、まとめてやればいいんですよ。だから、別にそんなに手間はふえないですよ。ですから、そういう意味からでも非常に効果があるんじゃないのか、そこまで考えてこういう提案をさせていただいているということを申し上げます。  それから、先ほど、持続化給付金の話もございました。持続化給付金、これは確かに何でも使えるんですけれども、差押えもされちゃうわけなんですよ。だから、差押え、これもやはり禁止にしないと、大臣のおっしゃるように、本当に事業持続化させていくために使えるのかどうか、こういう心配もあるわけなんです。ですから、与野党協議の中で、我々も、この持続化給付金差押禁止というのをやるべきじゃないのか。既に、特別定額給付金個人向けの方については、差押禁止法案はもう与野党補正予算一緒にセットで成立させております。持続化給付金についてはおくれている。  一方で、大臣は、一生懸命やって、もう給付が始まっていますよというアナウンスをしているわけですから、債権者からしたら、よし、今から取立てに行こう、仮差押えに行こう、こういうタイミングになりつつあるわけです。急いでやらなきゃいけないというふうにも考えるんですが、この問題について大臣の御見解をお願いいたします。
  10. 梶山弘志

    梶山国務大臣 その件につきましては、今週、何度か、予算委員会、当委員会でも議論をしております。  持続化給付金についての、事業継続を支えるための資金であるとの趣旨を徹底するために、金融機関に対して、担保の設定や差押えの判断に当たっては事業者経営実態を十分に踏まえた特段の配慮を行うように、関係省庁とともに要請をしたところであります。  法的措置ということでありますが、現在、差押えに係る立法措置については、与野党内でも議論が進められていると承知しておりまして、近日中にこの法案が提出されるものと思っております。  経済産業省としても、議論の経過を注視しつつ、引き続き、その間の対応も含めて、事業者事業継続に向けて万全を期してまいりたいというお答えを再三、今しているところであります。
  11. 櫻井周

    櫻井委員 持続化給付金差押えについて、これは個人の場合ですと、まさに生活を、生計を成り立たせるためと、生存権という問題でダイレクトに来る。一方で、事業者に対しては、そこまで、そういう話じゃないのではないのかと。個人の場合は死んでしまったらもう二度と生き返ることはないわけですけれども、会社の場合には倒産とかそういったことも一応あらかじめ予定をされているというところで、違うんじゃないのか、こういう御意見もあるかもしれませんが、しかし、今こういう緊急事態で、だから会社というのは潰れてもいいんだというふうになっちゃうと、もうほとんど、ばあっと潰れてしまいますので、大変なことになってしまう。仕事を失う方が大量に出てしまう。  だから、今回、持続化給付金という形で、こんなことは今までほとんど例がないと総理もおっしゃっておりました。それぐらい例がない状況緊急事態にあるわけですから、ぜひ、差押えというようなことも、これは非常時で、のべついろいろな給付金に対してやれと言っているわけではない、まさにコロナ感染症のこのタイミングだからこそ必要なのではないのかと。まさに、持続化企業持続化させていくために、この政策目的を実現するために必要だということを申し上げているところです。  あと、もう一つ。  実は、弁護士方々が実際実務をするわけですけれども、そういう方々の話を聞いていると、持続化給付金目的を考えるとこれを差押えするというのはやはりいかがなものか、こんなことはやるべきじゃないと思っていても、クライアントから、お客さんから依頼をされてしまったら、あそこにお金がどうも入っているみたいだから取りに行けというふうに依頼されちゃったら、断れないと。ある種、弁護士の良心に反してそういった仕事を受けざるを得ない。  更につらいのは、破産管財人というような立場に立ってしまうと、債権はしっかりと取り立てて、ちゃんと確保しなきゃいけないという使命を負っているわけです。そうした使命に反することをやってしまうと、つまり、しっかりと債権取立てに行かないと、場合によっては、善良な管理者注意義務違反、民法六百四十四条に違反するというふうに責任を問われかねないというふうにも心配になっちゃうわけですね。  そうすると、弁護士先生方も、結局、おかしいなと思いながらも、この不毛な競争、差押えというのは早い者勝ちになっちゃいますから、そういった不毛な争いに巻き込まれてしまうことになるというようなことで、余計なことに労力を使わざるを得なくなってしまうわけですね。  ですから、やはり差押禁止というものは必要ではなかろうかということを申し上げているわけでございます。  大臣も御理解いただいて、与野党でしっかりとやって早く進めてくださいというお話でしたので、ありがとうございます、しっかりと与野党協議をして進めていきたいというふうに思います。  家賃の話にまた戻らせていただきますけれども、これは地方自治体でいろいろ取り組んでいるんじゃないのかというような話。これは、国土交通大臣が御地元の神戸市で取り組んでいるというようなことも話をされておりますけれども、実際、では神戸市でどんな取組が進んでいるのか。これまでの実績、何件、幾らやっているのかを申し上げると、実はゼロなんですよね。やはり、これは地方自治体でやるのは大変なんですよ。  そういうことも踏まえますと、やはり国でしっかりやらなきゃいけない。神戸市がゼロというのは、今はまだ制度設計をやって、来週から受け付け開始ということなのでゼロなんですけれども、そういう状況なんですよね。だから、やはりやるのは大変なんです。  ぜひ、国の方でしっかりやっていただきたいということも最後にお願いして、大臣、ちょっと最後にもう一度、意気込みをお聞かせいただけますでしょうか。
  12. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほど申しましたけれども、家賃も含めて考えながら持続化給付金というものをつくりましたけれども、毎月毎月の固定費の中で家賃の占める割合は大変大きいということで、経営に与える影響も大きいという認識をしております。  そういった中で、しっかりとした家賃法案与野党協議をしていただいて、それに基づいて、私どもはしっかりとスピード感を持って実行してまいりたいということと、差押えに関しましてもおっしゃるとおりですので、しっかりと、今は、立法措置ができる、法律の措置ができるまでの間の、どういう形でできるかということを目を光らせてまいりたいと思っております。
  13. 櫻井周

    櫻井委員 時間になりましたので、これで終わらせていただきますが、差押禁止については、これは国がやっているものだけでなく、地方自治体がやっている類似の給付金もございますので、協力金とかいろいろな名前がついておりますけれども、これらについても、ただ、これは確かに、どうやって法的な縛りをかけるのかという問題、ちょっと難しい問題がありますけれども、同じ趣旨ですので、しっかり与野党協力して取り組んでいきたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。
  14. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  15. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  政府は、昨日十四日夜に、緊急事態宣言を三十九県で解除すると決定しましたが、早速、飲食店などでも、客足が戻ってくるのか先が見えないと、戸惑いと不安が広がっております。  感染拡大防止と経済活動の再開を両立させる最大の鍵はやはり検査の抜本的強化だ、そして、検察庁法改悪の強行は絶対にやめて、コロナ収束に全力を挙げることを強く求めておきたいと思います。今、政府にこそ新しい行動様式が求められていると思います。  そこで、きょうは家賃支援について伺います。  野党が提出した事業者家賃支払い支援法案、私も共同提出者の一人でありますが、四月二十八日に本委員会に付託されました。与党も、五月八日に、家賃支援策の提言を政府に行いました。家賃支援などをめぐって、第二次補正予算に向けた動きもさまざま出ているところであります。  つい先日、飲食業の経営者による団体、外食産業の声という団体がシンポジウムを開催しまして、与野党の代表者とともに私も出席して、議論に参加をいたしました。全国八十店舗を展開するカレー店チェーンの経営者からは、資金繰りのことを考えると毎晩眠れない、家賃人件費が重くのしかかっている、解雇だけは絶対したくない、そういう悲痛な訴えがありました。  大臣、垣根を越えて、今やはり事業者の実態と願いに正面から向き合って支援に全力を挙げる、その思いについては共有できますね。
  16. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員と何度もやりとりしておりますけれども、こういった事態のときには垣根を越えてしっかりと取り組むということだと思っております。  そして、家賃人件費固定費というのが、売上げがない中で毎月しっかりと出ていくということになりますので、事業継続にも大きな影響がありますし、雇用継続にもやはり影響があるということで、今与野党でその成案をひねり出すべくしっかりと議論をしていただいていると思っておりますので、それらに従って、しっかりとした対応をしてまいりたいと思っております。
  17. 笠井亮

    ○笠井委員 しっかりした対応という点では、やはり何より迅速さが必要であります。飲食業の事業者でつくる飲食未来の会というのがありますが、自粛が長期になれば、東京都内の約七万五千軒の飲食店の半数が潰れて、失業者数は四十万人に上るという試算まで示しながら、要は、実際はもっと速い速度で悪い方向に加速し続けている、そういう思いで警鐘を鳴らして、家賃支援を求めております。  大臣支援がおくれたら、大量廃業とか大量失業ということになるという危機感についても、これはやはり共有できますよね。
  18. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これも共有をしております。  持続化給付金固定費に使えるといっても、これだけじゃ足りないということで家賃の話がまた出てきているわけでありますけれども、持続化給付金も、補正予算が成立をしてから五月一日から受け付けが始まって、できるだけ迅速にという思いであります。そして、いろいろな皆さんからの要望にも応えて、間口も広げる努力を今しているところでありまして、同じ思いを持って取り組んでまいりたいと思っております。
  19. 笠井亮

    ○笠井委員 東京の浅草雷門から約三百メートルほど西に、すしや通りという商店街がございます。そこで四代続く老舗のそば屋さんを経営している、浅草のおかみさん会の理事長をされている冨永照子さんから私も直接話を伺いました。そこで、売上げが八割も減少するというみずから大変な状況の中でも、うちはまあ自分の建物だからまだいいというようなことで、家賃支払いに苦悩している周りの事業者のためにビルのオーナー家賃テナント料の減免をかけ合って、文字どおり奔走されているということでありました。  大臣、やはり、そこまで必死なのは、多くの事業者が今月の支払いに窮しているというこの目の前の現実があるからだと思うんですが、そうした努力に寄り添って、しっかり手当てすると決断してその意思も示していく、全国の事業者を勇気づけなきゃいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  20. 梶山弘志

    梶山国務大臣 飲食関係、どんな繁盛店であっても、やはり流動資産の割合が低いという中で、本当に回転がよくなければ月々の経費も払えないというのが実情だと思っております。そういった、我々の文化にもつながる飲食店をしっかりと守っていかなければならないと思いますし、持続化給付金を今しっかりと早目にお届けするという作業もしておりますけれども、それとあわせて、今言われたような御指摘の事項についても、迅速性を持って取り組んでまいりたいと思っております。
  21. 笠井亮

    ○笠井委員 今、飲食業、外食産業ということを含めて、大臣おっしゃった文化にもつながる、まさに日本社会にとっても欠かせない構成部分だというか、そういう仕事をなさっているわけで、やはり、そういう点では、しっかり受けとめてスピーディーな対応を強く求めておきたいと思います。  次に、家賃支援の規模、金額についてであります。  東京商工リサーチが五月八日に公開した、事務所・店舗家賃に関するアンケート調査、速報値というのがありますが、これによれば、売上高に占める家賃負担というのは、中小企業では、二割以上というのが全体の二五・四%、四分の一を占めて、規模が小さいほど家賃負担が重いということが明らかになっております。コロナで売上げが激減すれば、一層それが重い負担となってのしかかってくるというのは必至であります。  今週十二日朝のNHKニュースでも、新宿区の居酒屋の店主の方が、家賃人件費などの固定費が毎月およそ百五十万円かかって、休業の協力金を受け取っても大変な赤字というふうに訴えておりましたが、大臣、こうした切迫した事態にふさわしい支援、これが必要だ、そのことについても当然そうだと思うんですが、いかがですか。
  22. 梶山弘志

    梶山国務大臣 家賃支援の規模ということで今御質問があったと思っておりますけれども。総理から第二次補正予算編成指示が出ました。この編成に当たって、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
  23. 笠井亮

    ○笠井委員 しっかり対応するという点ですが、やはり本当に切迫感を持ちながらスピーディーにやるということと、規模も必要になってくるということであります。  持続化給付金の話もされながら、家賃の問題は大事だということをおっしゃっていますが、やはり家賃というのは継続的に支払わなければいけない。新たに借りるという方法もありますよといっても、借りるにも、いろいろ伺っていると、もう限度いっぱい借りちゃっているんだ、また借りろと言われるのかというふうな話も出てくるので、既にそこまで借金している事業者が多いです。中小企業には経営者の連帯保証もついて回るということになりますので、やはり大臣、売上げが戻るかどうか先が見えない中で、更に借りることに本当に経営者がちゅうちょしているという気持ちもしっかり踏まえて対応いただきたいと思います。  そこで、一社について月額五十万円という案もあるわけですが、私は到底足りないと思うんですね。外食産業の声ということで、先ほどシンポジウムのことを紹介しましたが、その松田公太さんは、東京の家賃相場に合わせて決めたとのことだけれども飲食店に多い中心街の一階テナント、例えば二十坪でいうと、五十万円なんというところは聞いたことがない、そんなんじゃとても足りないということでありました。まして、複数店舗を持つ事業者にとっては間尺に合わないと。都内の地ビールを中心とした三十店舗を展開する経営者からも、銀行への返済、家賃人件費で毎月七千万円が出ていく、すぐに債務超過になるという窮状を、これは与野党でそろって話を聞いたところでありました。  野党の法案については先ほども紹介がありましたけれども、二〇%減収になった月以降の家賃の全部又は一部を日本政策金融公庫等が肩がわりをして、状況によって求償権を放棄するというものであります。事業者の新たな借入れの負担をかけない、オーナーにも、家賃の減額に応じたら減額分を補助する支援を盛り込んでおります。  これはやはり本当に政府与野党で知恵を出し合いたいと思いますし、野党案については、先ほど大臣も、別に批判ではないがコメントというか思いは言われたので、それは伺っておりますけれども、やはり、要は、家賃によるこれ以上の出血をとめるということが肝心ではないか。その要はというところについてはやはり一致できると思うんですが、よろしいでしょうか。
  24. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今までにも経済危機というのは何度かありましたけれども、今回の危機は今までにない危機でありますので、そういった危機感を共有しながら与野党協議もされていると私も拝察をしておりますけれども、しっかりと我々も、行政側もそういった思いを持ちながら取り組んでまいりたいと思っております。
  25. 笠井亮

    ○笠井委員 さらに、開業予定者の家賃支援ということも考えなきゃいけない、必要だと思うんです。まだ開業していなくても、既にテナントを借りて家賃を支払っている事業者がおります。こうした開業予定者は持続化給付金の対象にならないと。  先ほど紹介した浅草のすしや通りでは、ことし四月に開店を予定していた若手のすし屋さんが二軒あったんですけれども、外出自粛要請で、いずれも開店できないままということであります。すしや通りに自分の店を開くために準備をして、店も確保しているわけですから家賃を支払っているんだけれども、オープンできなくて売上げが上がってこない、収入がないということで苦境に陥って、本当に悔しい思いをされています。  そこで、中小企業庁に伺いますが、このような開店あるいは開業準備中の事業者には、コロナ対応という点でいえば、現在どういう支援制度があるのか、使えるのか、お答えください。
  26. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  開業の準備段階にある事業者の方は、御指摘のとおり、開業前後に必要になる資金の調達に悩む方が多いというふうに聞いております。まず家賃というのが問題になるわけでございます。  そこで、新規の開業準備中の事業者に対する支援として、日本政策金融公庫から最大七千二百万円まで、そのうち家賃などの支払いに充てることもできる運転資金として最大四千八百万円まで融資を受けることが可能になっております。ただ、もちろん、融資を受けるためにはきちんとした事業計画をつくっていただくということが基本だろうと思っています。  そういった、事業計画の策定あるいは今ある計画の見直し、こういったものについて広く専門家の方に相談できるワンストップ窓口を全国約千四百の市区町村に設置しているということでございます。  開業準備中の事業者皆様方にはこうした制度をぜひ御利用していただきたいというふうに考えております。
  27. 笠井亮

    ○笠井委員 今紹介ありましたけれども、やはり開店できなければ収入ゼロ、それまでに投じた資金回収の見込みも立たないということで、また借り入れればいいと言ってもなかなか、借りても返せるかということが出てくるので、いや、それでも家賃は払い続けなければいけないということであります。  野党の支援法案ではこうした開業予定者も対象にしておりまして、大臣、開業予定者も含めて野党法案も吟味していただいて、要は、やはり事業者の実態に見合う実効性ある家賃支援を行うということで、そういう立場で臨んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  28. 梶山弘志

    梶山国務大臣 開業準備段階にいる事業者で既に事務所などの契約を済ませている方の中には、当然、家賃負担が生じ始め、今回の感染症拡大に伴って、当初の予定どおりの開業もままならず、家賃支払い負担に苦しんでいる方もたくさんおいでになると思っております。既に事業継続的に行っている事業者とは異なる、それぞれの段階に合わせた形での支援を行っていかなければならないと思っております。  そういったことも含めて、いろいろな段階で、長期化すればするほど、いろいろな方への支援策という提言が出てくるわけでありますけれども、どういったことができるか検討してまいりたいと思っております。
  29. 笠井亮

    ○笠井委員 ぜひ、やはりそういう方々の実態に見合った支援策を検討して実現するということで、力を合わせてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。  飲食業が、そういう意味でいえば、ぐっと目の前の問題としてクローズアップされていますが、下請の中小企業からは、受注残が五月末から六月ぐらいまでは残っているけれども、その先の見通しが全く立たないとか、六月から先は五割から七割も減るということも覚悟しているという声が上がっております。トヨタ自動車が二〇二一年三月期の営業利益が八割減を見込むというふうに発表するという事態もありまして、製造業は急速な景気悪化に直面しているということであります。  このもとで、例えば東京大田の町工場でも、自動車関連の受注が急減をして、工場停止もふえていると。地元の信用金庫には自動車関連の下請企業からの問合せが今殺到しておりまして、当面の資金不足を防ぐために、問合せが多いということであります。貸し工場を利用している事業者が多いんですね。そうなりますと、家賃が大きなネックになっている。  大臣中小企業の技術力というのは日本の宝だ、これはもう間違いなくそういうことだと思うんですが、失ったら取り戻すのは本当に大変なことになる、難しい。そういう点では、こうした事業者をしっかり支援する、これも本当に大事だと思うんですが、いかがですか。
  30. 梶山弘志

    梶山国務大臣 世界の需要が蒸発をしているという表現をされますけれども、そういった中で、特に自動車等につきましては、世界じゅうがマーケットである、市場であるということも含めて、今、需給の調整局面に入って、かなりの状況で、やはり下請また孫請等、厳しい立場にあると思っております。そういった町工場等、小規模事業者等の家賃負担を少しでもやはり取り除くということも含めて、今、与野党協議がなされていると思いますし、それに従ってしっかりと応援をしてまいりたいと思います。  ただ、あと、大手企業に、やはり支払いを早くしてあげる、また支払いをおくらせることがないように、また無理な条件変更等をしないようにということも、再三再四、今やりとりをしているところでありまして、公だけでなくて、民間の発注元も含めて、しっかりとした対応をしていかなければなりませんし、全体の流れの中で何ができるかということを常に考えながら対応してまいりたいと思っております。
  31. 笠井亮

    ○笠井委員 日本の宝を守るかどうかというのは本当に大事なことだと思うので、しっかりした対応ということを改めて求めたいと思うんですが。  リーマン・ショックの際に、二〇〇九年五月二十二日、我が党の吉井英勝議員が、貸し工場の家賃補助等の固定費軽減を求めたことで、国会でもやりました。当時の二階経済産業大臣は、中小企業の技術力は日本の宝だ、まさにそのように言われて、それを不況のときに雲散霧消したら何のための中小企業対策なのか、そこまで述べられて、すぐ大田区と東大阪に調査に行かれたということがあったんですが、貸し工場の家賃というのは、やはりそれほど重大な問題ということで、この間、やはり国としても、そして我々も本当に重視してやってきた問題だと思います。  そこで、大臣に御提案なんですけれども、このコロナの感染拡大状況下ですから、やり方はいろいろあります、オンラインによるやり方もあるかもしれませんが、冒頭にあった飲食業の方々とともに町工場の事業者方々にも直接話を聞いていただくという機会を持っていただいて、やはり、この点では力を合わせて、実態にマッチした家賃支援策にしていく、仕上げるべきではないかと思うんですが、そうしたやはり実態を聞くということについては、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  32. 梶山弘志

    梶山国務大臣 四月に入っての経済対策を作成するに当たって、さまざまな分野、産業、地域、そして企業規模を問わず、いろいろなヒアリングもさせていただきました。やはり実態を聞くことから政策が始まると思っておりますし、それが実現するためにはどういった障害があるのかということも、しっかりその途中で考えていかなければならないと思っております。  委員おっしゃるように、常に、やはりそういう現場の声は聞いていかなければならないと思っていますし、ぜひ、一区切りついたところというか、この新しい政策をつくるに当たっても、そういった声は聞いてまいりたいと思っております。
  33. 笠井亮

    ○笠井委員 ぜひやっていただいて、これは本当に日本にとって大事なことと、それから中小企業にとって、やはり支え手ですから、そして本当にこれからにとって大事なことで、その宝を失っちゃいけないということになりますので、やっていただきたいと思います。  アメリカの政府は、中小企業の従業員の給与とか家賃とか保険とか公共料金等の支払いのために、一事業者に最大一千万ドル、約十億円も融資をして、給与、家賃に支払った分には返済免除を打ち出すということで、給与保障プログラムというのを打ち出しました。  当初の三千五百億ドル、三十五兆円に加えて、三千百億ドル、三十一兆円を追加しているということになっていますけれども、やはりここは日本でも、家賃支援についても上限月五十万で半年ということにとどまらず、ここは思い切ってダイナミックな家賃支援が必要だ、ここは本当に知恵を出し合って、本当に求められている、ふさわしい支援をするということをやっていただきたいということを強く求めまして、きょうの質問を終わります。
  34. 富田茂之

    富田委員長 次に、足立康史君。
  35. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  きょうは梶山大臣には御質問しませんので、のんびりしていてください。  まず、家賃、簡単にちょっとやりたいと思いますが。  奈須野部長。我が党が野党の家賃支援法案に五条というのを追加した。これはまさに、オーナーが、大家さんが家賃を減額した場合に、その減額の例えば八割をしっかり国費で補助をしていくべきだという趣旨の条項を野党の家賃モラトリアム法案に追加をして、そして家賃支援法案として提出をした。これは、我々、私の考え方です。  一方、自民党は、報道では、報道というか、自民党が公明党さんと一緒家賃の考え方をまとめられた、その自民党の案を拝見すると、テナントへの補助、こうなっています。  ただ、テナントに例えば三分の二補助という形にすると、今私が申し上げたような、オーナー、大家さんによる減額のインセンティブが阻害される、ディスインセンティブになるんじゃないかという懸念を私は持ちますが、どう御認識でしょうか。
  36. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  今御指摘になった点、非常に重要な論点ではないかと考えております。  政府としては、これまでも、ビルの賃貸事業者方々に対して、賃料の支払い猶予などの柔軟な措置を検討いただくよう要請を行ってきたという経緯がございます。  そうした中で、与党案は、まず、政府として、売上げの急減など困難に直面している事業者に対して、政策融資と新たな給付金のハイブリッド措置により家賃補助を実施するということと同時に、賃貸借契約の維持に資するよう、テナントオーナーが信頼関係の維持強化を図りつつ、賃料支払いの猶予、減額などについて誠実な交渉に努めるよう求めるといった対応を講じるものというふうに承知しております。つまり、両者の関係を両立するように何か考えろということでございます。  こういった課題について、今のところ、差し当たって具体案というようなものを用意していないわけでございますけれども、いずれにせよ、きのう、総理から、大きな負担になっている家賃を一層軽減するため新たな支援制度創設するよう指示があったということでございますので、現在、与野党議論いただいているような状況も踏まえながら、どういった対策を講じるべきか、早急に具体化をしていきたいと思っております。
  37. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  それから、その家賃について、もう一つ。  自治体の取組を、特にそれは公明党さんが力を入れておっしゃっていただいていて、我が意を得たりだと思いますが、自治体の取組を国費でしっかり応援をしていく。ちょっと公明党さんのあれを正確に理解していませんが、例えば臨時交付金を、我々は更に大都市傾斜、要は、全国にばらまくというよりは、本当にコロナで困っている大都市、特に家賃は大都市は金額も高いです、それを自治体が応援するときに臨時交付金でそれを支えていくみたいなことも私は大変重要である、それは合わせわざで必要だと思います。  二次補正議論ございますが、きょう内閣府にお越しをいただいています。今後、地方創生臨時交付金の第二弾みたいなものがあったときには、更に大都市傾斜をかけていく、これは私は必須だと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  38. 長谷川周夫

    ○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。  今委員の方からお話ありましたように、与党から、テナント事業継続のための家賃補助スキームについて御提言をいただいていることは承知しております。その中で、地方創生の臨時交付金につきましても拡充ということで御提言をいただいているところでございます。  この臨時交付金につきましては、今回の経済対策で地方負担のないさまざまな政策を国から直接の形で講じていることを踏まえれば、リーマン・ショック時よりも自由に地方独自の事業にお使いいただける額を措置しているというふうに考えております。  現在、各自治体において、先般お示しした交付限度額を踏まえて、今実施計画の策定に取り組んでいただいているところでございます。  第二次補正予算につきましては、昨日、総理指示に沿って検討が今後進められていくものと承知しております。臨時交付金につきましても、今後、地域の声や実情をしっかり見きわめながらその扱いを検討してまいりたいというふうに考えております。
  39. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  ぜひ、家賃の問題はしっかり、野党の皆様とも一緒に、また、自民党、公明党とも連携をしながら、政府に実現を求めてまいりたいと思います。  家賃は以上とさせていただいて、きょうは、残る時間で検察の話をしたいと思います。  経済産業委員会にどう関係があるのかという議論もあるかもしれませんが、これは全ての委員会に関係がある。梶山大臣は余り検察に関係することはないと思いますが。全ての委員会に関係するということで、きょうは、法務省から宮崎政務官にお越しをいただいています。本当にお忙しい中、ありがとうございます。  まず、宮崎政務官にお聞きをしたいのは、今、例えばきょうも、先ほど、国民民主党の玉木代表がツイッターをされていて、要は、一昨日、十三日の衆院内閣委員会で、武田大臣答弁できずに中断した、そんなことをツイッターでも喧伝をして、印象操作を繰り返しています。  でも、よく考えてください、皆さん。一昨日、十三日の衆院内閣委員会、確かに武田大臣は苦労されていましたよ。でも、法務大臣、きょうは法務大臣出られますが、他委員会内閣委員会ですから、法務大臣は、整理上、国会の慣例上呼べないということなんですね。  私は、あの質疑を見ていて、宮崎さんを呼んだらいいじゃないかと。宮崎政務官、また副大臣、法務省にはいらっしゃるんでしょう。呼んだらいいですよ。でも、呼んでいない。それで、聞いたんですよ。あ、それは宮崎さんに答えてもらわないといけないんだな、僕が言っちゃいけないんだけれども、まあいいや。  政務官、呼ばれていないですよね。副大臣も政務官も呼ばれていない。では、政府参考人、法務省の政府参考人、登録ありましたか。
  40. 宮崎政久

    ○宮崎大臣政務官 五月十三日の内閣委員会でございます。今御指摘のとおり、質問通告はなく、答弁しておらないわけでありますが、政府参考人の登録も認めていただけなかったということでございます。
  41. 足立康史

    ○足立委員 見てください。ひどくないですか、それは。ひどいよね。要は、維新以外の野党というのはそういう政党なんです。  だって、そうでしょう。法務省の取組についていろいろ聞きたいんでしょう。呼んだらいいじゃないですか。ところが、政府参考人の登録を、法務省がぜひ陪席させてくれと言っても、それを拒否して、そして、武田大臣を立ち往生させて、テレビで映す。僕は、それはもう絶対やっちゃいかぬと思うんですよ。  いや、別に、僕はユ党ですから、だから、与党を何か援護射撃するつもりは毛頭ないし、政府に何かお手伝いするつもりも、まあ、お手伝いするつもりはちょっとはありますけれども、ほとんどない。だから、私はやはり、そういうことはもうやめようよということをずっと言ってきたのに、またやっている。真実はそういうことだということをぜひ皆様にも改めて、国民の皆様にも理解をしていただきたい、こう思います。  さて、きょうは宮崎政務官にせっかくお越しいただいているので、二つ目をちょっと飛ばして、先に、六十八歳。  要すれば、きょうは、内閣委員会に森法務大臣がいらっしゃる、そこに私が立ちます。でも、四分しかないんですよ、四分しか。与党の皆さん、もうちょっと維新に時間をくださいよ。ところが、私たちに時間をくださるのは野党筆頭なんです。共産党は衆議院十一名、我々は十名です。一人しか違わないのに、共産党は十六分、我々、私は四分ですよ、きょう。いじめですよ、いじめ。これが五五年体制の古い政治なんです。それもちょっと一言申し上げておきますが。  宮崎政務官、今回のように、検察の人事について、新しい定年の六十五の更にその先に勤務延長を三年、こういう制度が今組まれているわけでありますが、定年よりも先に、一年、一年、一年と三回、一年を超えない範囲で、それを三年を超えない範囲で三回やる、これが今回の制度ですが、野党が騒いでいるのも一理あると思います。一理だけですよ。一理ある。それは、定年を延長できるようにすると、結局、検察の生殺与奪を内閣が握る、出口の生殺与奪を握る、だから、ちょっと、要は解任権に近い効果がそこで生まれてしまうのではないか、こういう議論がなされているわけですね。  僕は一理あると思います。一理あると思うが、なぜそういうことになっているかというと、定年を六十五にしたからですよ。本来、国家公務員の定年を六十から六十五に延ばすんだったら、検察官の定年は六十三から六十八に延ばして、検事総長の定年は六十五から七十に延ばすのが当たり前じゃないですか。全て五年、五年、五年と延ばしていれば、こんなややこしいことにならなくて、要は勤務延長制度なんて要らなかったわけです。裁判官と一緒で、勤務延長制度を入れずに、検事総長は定年を七十、そして、それ以外の検事は六十八、こうしておけばよかったんですよ。  ところが、なぜか、国家公務員を六十から六十五にする、検察官は六十三から六十五で打ちどめ、検事総長はもともと六十五だったからそのまま、全部その六十五という天井でとめちゃったわけですね。とめちゃったけれども、でも、役職定年からプラス三年の特例、すなわち、検察官については役おりからプラス三年の特例を、国家公務員と並びで三年の特例を入れたものだから、必然的に六十五をはみ出して、検事総長については三年の勤務延長、そして次長検事、検事長については一年の勤務延長、こういうふうに六十五歳をはみ出しちゃったわけです。  僕は、悪意はないと思います。それは、六十五に天井を置いちゃったものだから、置いたものだから、はみ出しちゃったというのが真実であり、他意、悪意はないと私は理解しますが、宮崎さん、まず、悪意があるかないか、ちょっと教えてください。
  42. 宮崎政久

    ○宮崎大臣政務官 悪意はないわけでございまして、定年の年齢の問題、また役職定年の問題についても、これは決めの問題とも言えるわけでありまして、立法政策としてどのように考えるかというところでございます。  先生御指摘の点に関して言うと、幾つか参考というか、立法政策的に考えてみると、例えば省庁のトップの事務次官の役職定年も六十二歳になっている、こういったことも一つの参考となる判断事情ではないかなと思っております。
  43. 足立康史

    ○足立委員 宮崎さん、だから、私がきょう申し上げたかったことは、閣法で提案されている内容は、ちょっと、できはもう一つかなという気はするが、そんなひどいものじゃないと。一つの案だとは思うんですよ。一つの案だとは思うけれども、もし野党が、維新以外の野党がどうしても、私たちも多少そう思います、裁判官には勤務延長がないんだから、検察官についても勤務延長はなしにするという選択肢も僕はあったと思うんです。  それはどういう選択肢かというと、定年を六十五で天井で打ちどめするんじゃなくて、もともと定年は違ったんだから。国家公務員の定年は六十、検察官の定年は六十三、もともと三歳差があったわけですよ。それを六十五歳で全部、天井で合わせちゃった。六十と六十三と六十五だったものを、六十五、六十五、六十五にしたわけですよ。定年を合わせてしまったためにこうなったんだから、逆に言うと、定年を、国家公務員六十五、検察官は六十八、検事総長は七十、まあ六十八でもいいですよ、定年をもうちょっと引き上げておけば、六十五にこだわらなければ、もっとすっきりとした、こんな、国会で足をとられかねないような議論にならなかったと私は思いますが、そういう選択肢が本当はあったんじゃないかと私は思いますが。  これは否定しませんよ、今の制度を否定しませんが、もう一つの選択肢もあったように思うんですけれども、どうですか。
  44. 宮崎政久

    ○宮崎大臣政務官 今、足立先生の方から、裁判官のことに少し触れてのお話もありました。  裁判官というのは、三権分立の原則に鑑みて、特別職の国家公務員とされております。ここは当然、国公法の適用がないということになるわけです。これに比して、検察官というのは行政官でありますので、一般職の国家公務員でありまして、当然、今般の国家公務員法の勤務延長の規定に関する適用があるというふうに考えているものでございまして。  いずれにしましても、今、勤務延長についての御指摘がありましたが、今回の検察庁法の改正に関しましては、検察官も一般職の国家公務員であるので、国家公務員法の改正内容も踏まえて改正をしたい、そこが裁判官との一番大きな違いであるわけでありますけれども、そのような形で、勤務延長を同様に採用するという案にさせていただいたことに御理解いただきたいと思っているところでございます。
  45. 足立康史

    ○足立委員 私は両方あり得たんじゃないかな、あるいは、定年をもう少し工夫しておけば、こういう疑義を招くこともなかったのではないかと私は思いますし、今おっしゃった、特別職の公務員、裁判官は特別職に対して検察官は一般職だから一般職並びに整理したんだというのは、僕はそれは一理も二理も三理もあると思う。一理も二理も三理もあると思うが、一方で、準司法的なそういう整理もあるわけですから、だからこそ、検察の人事については工夫をして、例えば、給与のレベルとかも国家公務員並びというよりは裁判官に合わせてあるわけでありまして。  これは以上にしますが、きょう、この話はまた内閣委員会で森大臣にも聞きますが、宮崎政務官、ぜひ、私は、きょう森大臣に、やはり私が申し上げたようなことも選択肢だ、選択肢だけれども、こういう観点でこれにしたんだという、ちょっと前向きな、ちょっと私たちの議論をやはり受けとめるような御答弁内閣委員会で期待しますので、後でちょっと相談しておいてください、大臣と。  あと一、二分ですね。ちょっと、通告でいうと真ん中の、二番目に戻りますが、立法事実。  今回の検察庁法の改正、今、国民の関心は二つあります。私の関心は国家公務員法改正、検察庁法改正だけですが、国民はなぜか、僕はちょっと腑に落ちないんですが、なぜか黒川さんの話が大好きです。  それで、一月の解釈変更と、それから、今、国会に出ている検察庁法の改正、この二つについてそれぞれ、解釈変更をした解釈変更事実と、立法する立法事実、要は、解釈変更をした理由、あるいは法律を改正しなければいけない理由、それぞれお答えをいただきたいと思います。
  46. 宮崎政久

    ○宮崎大臣政務官 まず、解釈変更につきましては、これは累次御答弁申し上げているところでございますけれども、昨年の十二月ごろから、検察官の定年引上げに関する法律案について、勤務延長のみならず、再任用制度についてもどう取り扱うかということの前提で現行の国公法と検察庁法との関係を検討して、その中で、改めて、従前の解釈を維持するのが妥当かという観点から検討した結果、社会情勢の変化がある、犯罪の性質が複雑化、多様化している、例えば、検察官についても、業務の性質上、退職などによる担当者の交代が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるということに関しては一般の国家公務員と同様に考えられるということから、国家公務員法上の勤務延長制度の適用があるとの見解に至り、従前の解釈を変更することが至当であるということで、今般の解釈変更を行ったということでございます。  立法事実に関しましても、今回、先ほど申し上げましたように、検察官は一般職の国家公務員でございますので、その上で、今回、読みかえ規定がなければ国家公務員法上の勤務延長の規定の適用ができない管理監督職、これは検察官には観念できません、この部分が入ってきたものですから、今般、法改正に当たりましては所要の規定の整備がどうしても必要だということで今回御提案をさせていただいているところでございます。
  47. 足立康史

    ○足立委員 ちょっと時間を超過しました。  ありがとうございました。      ――――◇―――――
  48. 富田茂之

    富田委員長 次に、内閣提出、強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官能登靖君、総務省大臣官房審議官森源二君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長竹村晃一君、法務省大臣官房審議官保坂和人君、経済産業省大臣官房商務サービス審議官藤木俊光君、経済産業省大臣官房審議官中原裕彦君、経済産業省大臣官房審議官春日原大樹君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官木村聡君、経済産業省産業技術環境局長飯田祐二君、経済産業省電力ガス取引監視等委員会事務局長佐藤悦緒君、資源エネルギー庁長官高橋泰三君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官覺道崇文君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長松山泰浩君、資源エネルギー庁資源燃料部長南亮君、資源エネルギー庁電力ガス事業部長村瀬佳史君、中小企業庁事業環境部長奈須野太君、国土交通省鉄道局次長寺田吉道君及び環境省大臣官房審議官瀬川恵子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 富田茂之

    富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  50. 富田茂之

    富田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎誠君。
  51. 山崎誠

    ○山崎委員 こんにちは。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの山崎誠でございます。  きょうも貴重なお時間いただきました。法案について、そしてまた、ちょっとこの時世ですので、コロナのお話も若干させていただきまして、今、本当に国政においても重要な局面であると思いますので、その認識をぜひとも皆様とも共有しながら質問を進めたいと思います。  きょうは、お忙しい中、橋本副大臣にも来ていただきました。一番初めに、新型コロナウイルス感染症対策について一問お聞きをしたいと思っております。  いろいろな切り口があるので、私は、きょうはさまざまな情報管理、新型コロナウイルス感染で今さまざまな事態が起きている中で、やはり情報がきちっと管理されていない、それに基づいていろいろな混乱が起きる、さまざまな意思決定についての信頼性が残念ながら高まらない。  ちょうど昨晩は三十九県で緊急事態宣言解除ということで、少しずつ収束の道筋も見えてきたかと、これはとてもすばらしく、いいニュースだったとは思いますが、ただ、第二波、第三波も言われているところでございまして、そういったことも見据えて、今までの取組の反省も踏まえて、さまざま次の取組をやはりステップアップさせていかなければいけないんだと思います。  情報処理、情報システムの活用についてお話をお聞きしておりまして、内閣官房の中にテックチームというのが立ち上がって、その中でさまざまなIT技術の活用が議論をされて、準備をされていると聞いています。  手短にお願いしたいんですが、今どういう取組をされているか、御報告をいただければと思います。
  52. 能登靖

    ○能登政府参考人 お答えをさせていただきます。  政府におきましては、官庁のIT対応能力を強化するために、新型コロナウイルス感染症対策担当大臣をチーム長といたしまして、IT政策担当大臣及び規制改革担当大臣が連携されまして、内閣官房、内閣府、総務省、経済産業省厚生労働省などの関係省庁から成ります新型コロナウイルス感染症対策テックチームを四月六日に発足させているところでございます。  これまでテックチームにおきましては、三回開催されておりまして、第一回の会合につきましては四月六日に開催されておりますけれども、この回では、キックオフとして、携帯会社の協力によります人流データの活用、参加府省庁、民間企業での取組状況の報告と意見交換を行っております。  第二回の会合につきましては、四月二十一日に開催されておりますけれども、この会議では、LINEによりますアンケート、それから、内閣官房のホームページで設けておりますけれども、チャットボットなど関係各府省で現在進行中のプロジェクトの進捗の共有がなされております。  それから、第三回の会合でございますけれども、五月八日に開かれておりますけれども、日本版接触確認アプリの導入に向けた今後の進め方の議論ですとか、さまざまなテック企業からの提案のヒアリングを行っております。  新型コロナウイルス感染症対策テックチームにおきましては、今後とも、テック企業によります新たな提案を受けつつ、関係府省と連携しながら、新型コロナウイルス感染症対策に貢献してまいりたいという所存でございます。  ありがとうございます。
  53. 山崎誠

    ○山崎委員 今のお話、三回やっているということで、私は、やはり、四月六日に立ち上がったと、さまざまな課題については、もっと積極的に会議を開催していただいて、水面下ではいろいろなことをやられていると思います、リストもいただいて取組内容は少しお聞きをしておりますけれども、ぜひ、もっと前向きに、やはり最新の技術の導入を急いでいただきたいというのをまずお願いをしておきます。  その中で、やはり厚労省が一番苦労されている感染者の把握あるいは濃厚接触者の把握、それからPCR検査、さまざま言われていますが、そのデータ管理、そういった部分。それから、医療現場のキャパシティーの管理、病床あるいは人工呼吸器、人工心肺、さまざまあると思います。それから衛生材料、マスクだとかガウンだとか、そういったものの管理。このあたりが、やはり今のテックチームのいろいろなアイデアを生かして、最新の技術で情報管理を進めていく大事な分野だと思います。  橋本厚労副大臣、ぜひ、現状、どういう取組をされていて、そういった技術の導入状況、今後どういう取組をされていくのか、お伝えいただければと思います。
  54. 橋本岳

    ○橋本副大臣 お答えをいたします。  今、私ども厚生労働省も、政府の中で新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいるところでございますが、保健所でありますとか現場は、医療機関であったりですとか、全国各地のそうした現場でいろいろなことが行われている、例えばどのぐらい検査が行われたかとかどのぐらい空床なのかということについては、当初のところ、正直言って、電話をして、都道府県経由で確認をして聞くといったことが主な状況でございました。  やはり、そうした中で、いろいろなミスなども起きます、あるいは報告漏れなども正直ございました、そうした混乱というのもあったということも踏まえまして、さまざまな面でIT化の取組をしているところでございます。  例えば、二つほど御紹介をいたしますけれども、今先生がお話しになった中で、医療キャパシティーの把握あるいは衛生材料の需要の管理などといった面に関しまして、医療機関におけるそうした状況について、ウエブを経由をして医療機関にそうした状況を入力をしていただき、それを、我々行政の方、自治体も含めて共有をできる、G―MISと呼んでおりますが、そうしたシステムを三月二十七日から動かしておりまして、今少し申し上げました、外来、入院、救急等の患者受入れの状況、それをそのまま内閣官房のウエブサイトにも地図に載せる形で出しておりますけれども、そうしたもの、あるいは、入退院の状況でありますとか空床の状況、医療機器のリソースなどについて把握をする、あるいは、サージカルマスク、N95マスク、防護資材等々の在庫数や備蓄見込み等について、それを通じて御報告をお願いをしているところでございます。  例えば、マスク等々について不足が言われておりまして、それをちょっと改修をいたしまして、そちらの方で、今本当に不足していて困っているというものについてチェックをしていただく欄を設けて、そうしたところに直接国から送る、緊急にお送りをする、そのようなことの取組にもそうしたシステムを活用しているところでございます。  また、感染者数の把握でありますとかPCR検査等々の状況管理、あるいは、自宅ないしは宿泊施設等で待機をしていただいて、療養していただいている方の日々の体温がどうとか、そうしたことについての把握等々、これも、当初は保健所が電話をかけて聞くみたいな状況がございました。そうしたことをぜひ少しでも楽にしていただきたいということで、今、HER―SYSと呼んでおりますけれども、そうしたシステムの開発をしておるところでございまして、たまたま、本日より幾つかの自治体でまず試験的に利用していただくということが始まるというところになっておりまして、できるだけ早く全国で利用していただけるようにということで今取り組んでいるところでございます。  これを用いますことによって、保健所等で患者、濃厚接触者について行動歴や検査結果等を入力をしていただく、あるいは、医療機関等において感染症に基づく発生届に関する情報を入力していただく。これによって、発生届も、これまでは紙で書いてファクスでいただくみたいなのだったんですが、これを入力していただくことでそれにかえることとするというようなことの取扱いにすることで、私たちもそれをタイムリーに、リアルタイムで把握をすることができるようになる、また、保健所あるいは現場の方々の入力の、そうしたものを一々書いて送っていただくみたいな手間を省く、そうしたことにつながるとよいな、このように思っておるところでございます。  今後も、テックチーム、私も参加をさせていただいておりますが、そうしたところの議論もいただきながら、しっかりとICT技術を活用いたしまして、効果的、効率的に、また、できるだけ間違いとか混乱のないように、感染状況等の把握などに努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  55. 山崎誠

    ○山崎委員 副大臣の御説明、ありがとうございます。  状況はやはり刻一刻変わっていく中で、現場の対応、緊急対応とともに、そういったシステム化も進めなきゃいけない、大変難しい作業だと思うんですが、ぜひ、私は、国の旗振り、それがやはり大事だと思うんです。  例えば、各都道府県の保健所の皆さんだとか、都道府県でもいろいろなシステムをつくろうと一生懸命したりすると、結局ばらばらになってしまって収拾がつかないというのが今までの日本の行政のシステムのやはり大きな課題だということで言われているところだと思うんですよね。それが繰り返されてしまって、結局、一部手作業が残ったり、一部システム化が進んだり、オリジナルのシステムが動いたりということになると、結局、日本全体で例えば感染把握みたいな話になったときに、やはり力がそがれる。  もっと言うと、県をまたいでさまざまな連携をして支援をしていかなきゃいけないようなときには、病床であるとか、あるいは、今回であれば軽症者、無症状者が入る宿泊施設のキャパの管理だとか、これは県をまたいでもできるぐらいの対応がやはり望まれると思います。そういった意味でのシステムづくり、それも最新のいろいろなIT技術をうまく使って、ぜひともうまく進めていただきたいということで、強くお願いをさせていただきます。  まだまだ活用の余地がある、例えば、私、前も取り上げましたけれども、GIS、地理情報システムをうまく使うとか、あるいはAIをもっと活用するとか、そういったことをぜひ民間の皆さんの最新の知見を入れてフレキシブルに対応していただきたいということでお願いをしておきます。  二番目に行きます。  きょう、先ほど櫻井委員からも、持続化給付金の話で、差押えの話があったんですが、今私もちまたから聞いているのは、課税の話。持続化給付金が支給されるんだけれども課税になってしまう、場合によっては協力金のようなものも課税になってしまうという話で、何か課税されて、目減りして給付金が支給されるのではないかというようなお話が飛び込んできました。  ちょっと、このあたり、どういう考え方をとっているのか、御説明ください。
  56. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  課税の考え方については、財務省で決定されているというものでございます。私からはその考え方を御説明したいと思います。  持続化給付金は、売上げの大幅な減少を受けている事業者の方に対してその一部を結果的に補填する性質の資金でございますので、これをさまざまな費用に使うということを想定しております。  こうしたものは、税務上、益金、個人の場合は総収入金額に計上されるものでございまして、損金、個人の場合は必要経費、こちらの方が多ければ課税所得は生じなくて、結果的には課税対象にはならない。  持続化給付金の対象の事業者は、今申し上げたとおり、売上げが半減以上となっているわけでございまして、その使い道も家賃などの固定費に充てられるということが想定されております。こうしたことで、結果としては、年度決算は赤字になって、課税対象外になるという考え方でございます。  仮に、年間を通じて黒字化したという場合は、確かに所得税あるいは法人税、こういったことは課されることとなりますが、こうした取扱いは、給付金を受けないで売上げ、収入を維持しているほかの事業者の方と全く同じ取扱いでございます。こうしたことは課税の公平という観点から御理解を賜りたいと考えております。
  57. 山崎誠

    ○山崎委員 一定私もそこは理解をするところなので、ぜひ、正しい情報というか、うまく国民の皆様にお伝えいただきたいということをお願いをさせていただきます。  ぜひ、やはりここは、緊急事態皆さんすごくセンシティブになっていて、どういう支援があるんだろう、そして、自分はどういうふうに頑張ればいいんだろうということを常に考えていらっしゃると思うんですね。なので、そういったところで誤解が生じないようにぜひお願いをしたいと思います。  三番目。これはちょっと大きなテーマなので、梶山大臣に一言お聞きしたいんです。  新型コロナウイルス、今はもう緊急対応でやらなければいけないことは感染の収束であり、緊急的な支援をぎりぎりまでやっていくことというのは大事だと思うんですが、そろそろ、次のステップでありますコロナウイルス後をどういうふうに再建をしていくのかということについてもやはり目を配っていくタイミングに徐々に入ってくると思います。  それで、これはこの委員会でもずっと議論してきたことだと思いますが、コロナ以前から、日本社会というのは、経済、産業、さまざま停滞をしていて、課題を抱えていた。少子高齢化、人口減少、格差拡大。その中で、アジアの中で、ほかの成長する国々と、日本が置いていかれるようなお話もありました。こういった中で、やはり大きなパラダイムシフトをやっていかなければいけない、このコロナのウイルスの感染症影響を受けて、更にその緊急性とニーズというのは高くなっていると思います。  そういった意味で、コロナ後を見据えた日本再生のプランをどういうふうにお考えになられるか。ちょっと先走りかもしれませんが、大事なテーマだと思いますので、梶山大臣にお聞きしたいと思います。
  58. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回のコロナウイルス感染症危機において、さまざまな点が浮かび上がってきていると思っております。  一点目は、デジタルトランスフォーメーション、電子化という点で委員からもよく質問を受けるわけでありますけれども、そういったインフラがそろっていれば対応も早くできたということであったり、また、いろいろなアプリがあって、一人一人の利用者にも大変便利な世の中になるだろうということ、そしてまた、遠隔医療や遠隔教育というものもございます、そういったものも含めて、しっかりとしたインフラをそろえた上で我々の生活も変わっていかなければならないというのが大きな点であると思います。  また、サプライチェーンということでは、海外に依存をし過ぎると、本当に国で必要なものまで海外で生産をしなくちゃならない。完成品をつくる工場が日本にあっても、それもできなくなってしまうという可能性もあるわけでありまして、自動車に限らず、医療品も含めて、しっかりと国内でそろえるものはそろえていくということで予算も組ませていただきますとともに、アジアの中での多元化ということも含めてしっかりと考えてまいらなければならないと思っております。
  59. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  済みません、橋本副大臣、厚労省に関しては終わりましたので、御退席いただいて結構です。  梶山大臣、本当にありがとうございます。私も、本当に今、さまざまな社会の側面が見えてきていると思うんですね。だから、チャンスという言葉を使うと非常に語弊がありますが、ここの機を捉えて、新たないろいろなお話を、ビジョンを広げていくチャンス、機会だと思っております。  それで、新しい生活様式という提案はあるんですが、そういうライフスタイル的な部分も大事ですけれども、もう一つ大きな社会の変革、それもやはり早目に議論をしたい。私は、きょうお話をするこのエネルギーの強靱化の法案改正というのは、まさにそうした社会の変革につながってくる大事な法案だと思うので、その文脈でこのお話をぜひ初めのうちさせていただきたいなと思っております。  残念ながら、関西電力の不祥事の問題とか、あるいは経産省内の虚偽公文書作成の問題とか、いずれもまだ未解決でありまして、私たちはこうしたものも審議をして本来やっていかなければいけないんですが、この法案については、今私がお話ししたような、やはり前向きな意味を捉えてここは審議をさせていただくということでございますので、一言だけ申し添えておきます。  それで、アメリカのルーズベルト大統領がニューディール政策をやったときに、一つの大きな柱が農村の電化という話があった。農村で電気を入れる、それが大きなニューディールの柱の一つだった。今回の、日本にとっても、系統の整備とか配電事業の再編だとか、こういったことというのは、地方の再生エネルギー整備、これが日本のニューディール政策、グリーンニューディールという呼び名もありますが、そういった政策につながってくるものだと思うんですね。  そういった意味で、この法案のたてつけが、どうしても自然災害というのが前面に出て、レジリエンスという言葉があって、それはもちろん大事なんですが、それよりも、私は、それ以上にと言っていいのかな、今お話ししたような文脈で、新しい、地域の分散型のエネルギーの仕組みとか、あるいは皆さんが掲げている再生可能エネルギーの主力電源化、こういったニーズを果たしていくために必要な改革がぎゅっと入っているという捉え方でございます。  このエネルギーの供給強靱化法案を審議する前提で、まず、現行のエネルギー基本計画について少しお話をしたいと思っています。  世界のエネルギーをめぐる情勢というのは大きく変化をしています。もう言うまでもないですが、再生可能エネルギーのシフトが進んでいます。今言われているのは、再生可能エネルギーのシフト、裏を返すと、化石燃料をとめる脱炭素という動きと密接に、表裏して動いているということだと思います。  そういった意味で、石炭火力発電所というのは真っ先にとめていかなければいけないというのが世界のトレンドでありまして、ダイベストメントみたいなような形で、金融界もそういう形で動いているということです。  なので、日本もそういう動きをしなければいけない。今回の法案の中ではJOGMECがそういったところで登場します。この後お話をしますけれども、やはり大前提は、エネルギー基本計画をどういう思想でつくるか、今お話ししたような脱炭素のエネルギーにシフトをしていくということをどこまできちっと目標に据えられるかが私は大きなポイントだろうと思います。  それで、またコロナの影響に返れば、再生可能エネルギー事業への投資こそが新しい雇用を生むというのが世界の大きな流れでありまして、政治やあるいは経済界が今目指しているところだと思います。来年の七月までにこのエネルギー基本計画の見直しの議論を進めていくということだと思います。  担当者の方とお話しして、どういう準備をされていますかと聞くと、未来投資会議があって、その方針を待っているようなお話でございました。未来投資会議のメンバーでもいらっしゃるはずなので、そういった意味では一体になって動くんだとは思いますが、私は、未来投資会議のトップダウンの政策立案、こうやりなさい、こういう方針ですというのではなくて、まさにこのコロナ下にあっていろいろな思いが充満している日本の国民の皆さんの声を聞いて、エネルギー政策についてもボトムアップで構築をしていくべきだと思いますが。  今ちょっといろいろお話ししました、エネルギー基本計画の見直しに関しての梶山大臣のお考えをお聞きをしたいと思います。
  60. 梶山弘志

    梶山国務大臣 未来投資会議お話がありましたけれども、来年で三年目を迎えるということで、三年目に次期の検討をするかどうかというまた検討を始めるということですが、しっかりと検討していかなければならないと思っております。  そして、さまざまな災害を踏まえた上で今回の法案も出してきているということでありまして、世界の潮流も意識した上でしっかりネットワークの整備をしていく。そういった中で、再生可能エネルギーを入れていくためにはどういったグリッドが必要なのかということも考えていく。  そして、脱炭素という視点でどうしていくか。このままでいいとは私も思っておりません。そういった中で、あれもこれもという中じゃなくて、何かやはり犠牲になるものも当然出てくるという中で、やはり脱炭素、こういったもの、非効率なもののフェードアウトということも、より現実的なものとしてどう制度の中で反映させていくかということもしっかりと考えていかなければならないと思いますし、エネルギーミックスも同じことであって、将来像を見ながらやっていくということであります。  ただ、一方で、現実というものがありますから、二〇三〇年はなかなかやはりそこのところは難しい部分がありますけれども、これを実現した上で二〇五〇年にどうするかというのが日本のこれからの正念場であると私は思っております。
  61. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。前向きな御答弁と受けとめさせていただきます。  資料の二でちょっとまとめさせていただきました。  二〇三〇年のエネルギーミックス。現行の政府のエネルギーミックス、そして、私たちは原発ゼロという法案を出していますが、原発ゼロを前提にしたエネルギーミックスということで、簡単な比較をさせていただいているんですが。  今、梶山大臣お話の中で、二〇三〇年は現実的な対応をしなきゃいけないんだというお話がありました。もちろん、その現実的対応は必要なんですけれども、あと十年あるんですよね。  その間にどこまでいくかという話をしたときに、例えば再生可能エネルギー、皆さんの今のエネルギーミックスでいくと二四%ぐらいで、二二から二四、多くて二四という、キャップではない、もっとふえるということで想定を聞いておりますが。  今現在、例えば太陽光発電あるいは風力発電。太陽光発電についても風力発電についても、認定量だけ、全部が実現できるとはもちろん言えないかもしれませんけれども、ほとんど目標達成ですよね。実はこの十年で伸ばせば、まだまだ上に行ける。  そのために、私は、今回の法案中身であります、例えば系統の整備を本当に全国を視野に入れて効果的な系統整備をやっていくんだ、それから、接続についての公平性、中立性みたいなことを徹底をするんだ、まさに大事なポイントだと思います。  それをやれば、十分に現実的な解として、私たちが示している、原発ゼロの法案で示すようなエネルギーミックスは私は十分に達成可能だということで御提案をしたいと思います。これは、今いろいろ議論をしておりますが、十分に現行のインフラをうまく使えばできるということを、計算もできてきましたので、ぜひこれは一つお話をしたい。  それから、今お話ししたように、エネルギーミックスで、私たちが言っているような、再生可能エネルギーを四〇%以上入れるようなエネルギーミックスにする際に、まさに、私の資料で、右下の四角の中に入れました、地域間連系線の整備、あるいはその運用ルールの見直し、それから市場の活性化とかデジタル化とかディマンドレスポンス、需給のコントロールだとか、そういったことというのが本当に重要な鍵なんです。これは以前つくった資料なんですが、まさに今回の法案の中に触れられていることなので、ぜひこれを、本当にこういう視点で、エネルギーミックスを大きく変えていく前提でこういう制度を動かしていただきたいということを思っています。  三ページ目に行きますと、これも前から議論をしていることなんですけれども、いわゆるベースロード電源と言われるような日本のエネルギーの積み上げの考え方、これをやはり、下にあるような、再生可能エネルギー、変動はしますが、風力、太陽光、そういったものを真っ先に積み上げてきて、需要も調整をして、ピークを崩したりいろいろなことをやりながら、フレキシブルに電力の供給をやっていくというスタイルに持っていかなきゃいけないんです。  ぜひとも、このエネルギー基本計画の議論の中にこういった発想を、これはもうおくればせながらだとは思うんですが、やっていかなきゃいけないと思いますので、これもお示しをしておきたいと思います。  これをやるためにも、きょうお話が出てきますアグリゲーターの話とか配電事業の話とか、本当に重要なファクターだと思っていますので、こういったことをエネルギー基本計画の中できちっと議論していただきたいということをお願いをさせていただきます。いかがでしょう。
  62. 梶山弘志

    梶山国務大臣 ネットワークの利活用というのは、現状のネットワークの中でも、やはり利活用の方法、あり方の問題もあると思っております。さらにまた、地域間の連系線、これは再生可能エネルギーの有効利用ということも含めて重要な視点であると思っております。  先ほど私申しましたけれども、エネルギーミックスの中でやはり気をつけていかなくちゃならないというのは、もう一方で脱炭素という考え方がある、その中でどう再生可能エネルギーとほかのエネルギーを組み合わせていくかという中で、これは御党とまた見解が違うところでありますけれども、原子力の利活用というものも脱炭素ということでやはり非常に重要なことであると思っておりますので、そういったものをあわせながら、今委員の言われたようなことも留意点としてしっかりと受けとめた上で、次のエネルギー基本計画の検討というものをさせていただきたいと思っております。
  63. 山崎誠

    ○山崎委員 原発の話はまた時間がかかりますので、ここはとりあえず余りしませんが、私は、ぜひ、梶山大臣、やはりコロナを考えていただきたいんですよ。  コロナの感染、ほかにも、今後もこういう感染症が起こったりいろいろすると、例えば原発を支える現場が本当にもつのかどうかなと。今回も、原子力発電所の現場の中で感染者が出たとかいうお話も漏れ聞いています。こういうことを想定して、本当に安全を確保できる仕組みなのかなというのは、やはりもう一回見直す必要があるのではないかと思います。テロ対策とかいろいろな対策を打ってきて、大変お金をかけて動かそうとしている原発ですけれども、次は感染症対策をどうするんだ、それも入れないといけないんだろうと思うんですね。そんなこともちょっと今のお話に出てきましたので、申し添えておきます。  きょう、環境省からもちょっとお聞きしたかったので、エネルギー基本計画と、いわゆるCO2削減、NDCと言われる削減目標、これとの兼ね合いについてちょっと御説明をいただきたいと思っています。  今年度の、三月三十一日で目標を出さなければいけなかった、ですが、基本的には、目標を更新できずに、二六%、三〇年ということで維持をせざるを得なかったという現状だと思うんです。この背景とか、今後どうあるべきなのか。済みません、コンパクトにお願いします。
  64. 瀬川恵子

    ○瀬川政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のように、先般提出いたしましたNDCでございますが、我が国が、温室効果ガス排出削減のための行動そして削減目標、この両面において野心を強化していく、そういった方針を示したものでございます。  ポイントが三つございまして、二六%の水準にとどまらない削減努力を追求していくということ、二つ目、これに基づいて地球温暖化対策計画の見直しに着手するということ、そして三つ目、御質問でございますが、削減目標の検討につきましては、エネルギーミックスの改定と整合的に、さらなる野心的な削減努力を反映した意欲的な数値を目指し、パリ協定の五年ごとの提出期限を待つことなく実施する、こういった方針を掲げたことでございます。これを国内外にしっかり発信することにより、国内の気候変動対策を前に進め、また、世界の脱炭素化を牽引していく所存でございます。  削減目標の検討につきましては、日本の温室効果ガス排出量の約八五%をエネルギー起源のCO2が占めております。このため、エネルギー政策のあり方と密接不可分の関係にあります。政府における検討に当たりましては、エネルギーミックスの改定と整合的に実施するということにしております。  環境省といたしましても、政府内におけるエネルギーミックス、そしてエネルギー基本計画に関する議論において、我が国としての削減の行動そして削減目標、両面において野心を強化していく、こういった観点から意見を提起し、各省連携して取り組んでいきたいというふうに思っております。
  65. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  御答弁としてはそういうお話なのかなとは想像はしておりましたが。  私は、やはり環境省がリードをどこまでとれるかが日本の気候変動対策のキーだと思います。私は、やはり、このNDCのような削減目標とエネルギー基本計画、どっちが上位なんだと、あえてそういう議論をしなければいけない。エネルギー基本計画に遠慮をしてNDCが出せないという日本は、やはり私は、ある意味、気候変動対策、温暖化対策に対して後ろ向きと言われてもしようがないんじゃないかなと思います。  やはりこれは世界の危機なわけで、この気候変動対策に対しての目標設定というのはあるんだと思いますよ。それに合わせてエネルギー基本計画も追いついていくというような、そういう議論の仕方をぜひしていただきたいなと思って、私は、環境省に頑張っていただきたいということで、応援のメッセージを投げたいと思うところであります。  時間が限られますので、本当はもっといろいろ議論したいんですが、次に進めたいと思います。  電力システム改革について、今、この法案にも絡んでいますので幾つかお話をしたかったんですが、少し割愛しながら法案の中に入っていこうと思います。  一つは、電力システム改革、資料の四にもつけましたけれども、これは御説明をいろいろ受けて、どんどん進化していって、第五次まで行きましたんでしたっけ、でも、これは終わりではもちろんなくて、第六次、第七次と行くわけで、ちょうど今回の法案に書かせていただいた、私も資料の四ではまとめましたけれども、次のステップ、今第六次が動き出しているんだろうなということで認識をしています。再エネの主力電源化であったり、分散型エネルギーシステム、分散型ネットワーク型のエネルギーの供給システム、それから電力の系統の整備とか、そういったことが第六次のステップとして動いていくんだろうなということで認識をしております。  少し飛ばして、法案中身でも非常に重要なので、七番の広域系統整備計画について、これは法案中身でございますので、御質問をしていきたいと思います。  この系統の整備というのは、やはり非常に重要な政策だということでずっとお訴えをしてきて、全国的な視野でこの系統の整備をやらなければいけないということをお訴えをしてきて、まさにその答えに近いものが今回提示をされています。  そういった意味では非常に期待をするんですが、では、これまでのこの枠組みの活用の中で期待できるような系統整備の計画ができるのかなというのが今の懸念でございます。  というのは、電力広域的運営推進機関、略して電力広域機関、ここに計画の立案を委ねようとしておりますが、この機関の成り立ち、そして現状の力という意味での中身を確認をすると、やはり非常に、今までの、ある種一般電力事業者主体の組織であるというのは、残念ですけれどもそう言わざるを得ないのではないかなと思っています。  資料七を見ていただくと、一番わかりやすいのは、例えば広域機関の事務局職員と下にあるんですけれども、ちょっと色が見えにくくなっていますけれども、百六十六人のうち九十八人は電力各社からの出向の職員ということで、やはり半分以上の職員は電力会社皆さんに依存をしている。それから、その上を見ると、理事にもやはり東京電力の方が入っていたり電源開発の方が入っていたり、そういうお話でございます。  まあ、この役員関係はノーリターンルールなんだよということではありますけれども。結局、そういった文化や考え方を引きずっていると思われる方々が中心になって、今新しい系統の整備の計画をつくろうということになるのかなと思っています。  ぜひとも、ここは、このOCCTOに系統の整備の計画をつくっていただくのはよしとしても、それが本当に、今お話ししているような、全国的な系統の本当の有効活用であるとか公平性だとか、そういったことが担保できて、そして多くの投資が効果的に配分をされるということになるかどうか、そこをチェックする機能なども必要だと思います。  今御指摘いたしました、この計画の作成のプロセスであったり、このOCCTOの課題みたいなものについてどのようにお考えか、お聞きをしたいと思います。     〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕
  66. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今委員からお話あったような電力の広域機関の人員構成ということでありますけれども。  先ほど委員がおっしゃったように、理事についてはノーリターンルールということでありますが、消費者代表や学識経験者から成る評議員会を設置して、重要事項については理事会、総会での意思決定に先立ちその内容を審議することで、業務運営の中立性、公平性を制度的に担保しているところでありますけれども。  これは専門性が高いものですから、職員は電力からの出向ということで今なっておりますけれども、将来的にはやはり人材を育成していかなくちゃならない、しっかりとプロパーの職員をここの中心に置かなければならないという思いで、新卒職員の採用も含め出向者を減らしていく取組も今強化をしているところであります。
  67. 山崎誠

    ○山崎委員 ぜひとも、やはり、公平性とか透明性とかそういったものが担保されて、そして、やはり国全体のエネルギー政策、まさにこれから議論するエネルギー基本計画が大事になってくると思いますけれども、そういったものを実現するための計画をしっかりと出していただきたいと思います。  私は、提案ですけれども、やはり、これからつくっていく系統というのは、全国で広域のものでありますから、各電力会社は今、十電力に分かれて、法的分離でそれぞれの系統が運用されていますけれども、それを束ねるような発想を早期に議論をして入れていかなければいけないだろう、それに基づいて整備の計画も進んでいかなければならないと思います。  そういった意味では、今までの発想から転換をする、そのためのきっかけをつくっていかなきゃいけない。ぜひとも、今、例えばネットでのいろいろな議論の公開だとか、そういったものはどんどん進んでいますよね。ぜひとも、この系統の整備の考え方、専門的ではありますけれども、でも、世界のいろいろな状況を検討している専門家の方、研究者の方もいらっしゃいますから、そういった方々を入れた自由な議論の場で、透明感ある議論をして、結果を出していっていただきたいということを強くお願いをしておきます。  今の、これまでのOCCTOで計画をしてきた実績なども見せていただくと、基本的にピンポイントなんですね。ここが足りない、ここは増強しよう、それは必要なことではありますが、もっと発想を豊かにしないと、これからの日本のエネルギーの骨になる部分、これが新しいエネルギー政策にブレーキをかけるものであってはいけないので、ぜひともそういった議論の仕方をお願いをしたいと思います。  何かコメントあれば。
  68. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回のコロナウイルス感染症だけでなくて、昨年の台風の問題、さまざまな災害があったり、予期せぬ出来事があるたびに、やはりこういうものというのは更に一段と変わっていかなければならないと思っております。  電力の重要性というのも改めてわかったことでありますけれども、今回、ネットでの、ウエブでの在宅の仕事をするような場合もある、また、いろいろなところでそういう電力の必要性というものも出てきておりますし、当然、安価なものが必要だ、安定供給も必要だという中で、今委員がおっしゃったような視点に立って、今後のネットワークのあり方、供給体制のあり方、再生可能エネルギー導入のあり方というものをしっかり考えていかなければならないと思いますし、いろいろな議論は今しているところでありますので、しっかり成果を見せてまいりたいと思っております。
  69. 山崎誠

    ○山崎委員 ぜひ、議論の見える化、あるいはさまざまな意見を聞く場、そういったものをつくっていただいて、ああ、やはり新しいことをやりたいんだ、系統というものの考え方が変わったな、そういう機会をぜひともつくっていただきたいというふうに思います。  続けて、八番、配電事業お話が出てきておりまして、配電事業法律的に位置づけて、送配電から配電を独立させるというような発想でこれが動くということでございまして、これも私は大賛成でございまして、応援をしたいところなんですが、いかんせん制度設計が見えてきておりません。  これはこれからの部分もあると思いますが、配電事業をどういうふうに組み立てていくのか、そのあたりの考え方。例えば、配電事業者が手を挙げても、今、送配電をやっているのは一般電気事業者がやっているわけで、それをどういうふうに切り分けるのか。さまざまな条件設定もあるでしょう。民民の契約にはなると思いますけれども、そういったものが、やはりオープンで、さまざまなビジネスチャンスだとか事業のチャンスが広がっていくように運営されないとまずいと思うんですね、せっかくやる以上。そういったところをどういうふうに制度的に設計していこうとしているのか、お聞きをしたいと思います。     〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 牧原秀樹

    ○牧原副大臣 今委員が御指摘のとおり、分散型地域の活用を進めていくという観点や、自然災害に関するレジリエンスを高めるという観点から、こうした地域に存在する分散型電源を活用した分散型電力システムの構築は重要で、そのために、今般の改正法案に配電事業に係るライセンス導入を盛り込んだところでございます。  まずはしっかりと、これはライセンスですので、許可基準を明確にするということが大事だと思っていまして、これについては、配電事業を的確に遂行するに足りる経理的な基礎や技術的能力があるということ、そして、配電事業の計画が確実であるということ、その他、配電事業の開始が電気事業の総合的かつ合理的な発達その他の公共の利益の増進のために必要かつ適切であるということ等を法律には明記をしているところでございまして、国が一般送配電事業者から適切な費用で設備の譲渡又は貸与が行われることなどを含めて審査の上、許可を行うことをまず想定をさせていただいております。  また、配電事業に係る供給区域内の需要家の利益が損なわれることがないように、配電事業者に対しては、一般送配電事業者と共同して、託送供給業務の引継ぎに関する計画を作成する義務とか、あるいは託送料金などについて約款を定める義務を課すという仕組みとしておりまして、こうしたこともしっかりとやられるところでございます。  詳細な制度設計につきましては、法案が成立した後、事業者への周知やシステム開発など規制の対応等に必要な期間も確保した上で、令和四年四月一日の施行に向けて検討を進めてまいりたいと思っております。
  71. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  やはり、実際のビジネスのシーンでいくと、かなり力のかげんとか出てくると思うんですね。一般電力事業者は、やはり今やっていることがあります。  そこで、例えば、懸念されるのは、都市部のような、ある種ドル箱的なエリアについては手放したくない、一方で、不採算的な部門についてはどうぞやってくださいみたいな、そんなようなお話になると、せっかくこの配電事業というのは、やはり、ある種地域分散型で、まあレジリエンスの話もあるでしょう、そして、今お話ししたような、この後のアグリゲーターなども組み合わさって、エネルギーの効率化、省エネだとかそういうのにもつながっていく、再エネも伸びていくということで、大事なポイントだと思うんです、そういったことを、一般電気事業者が悪いわけではありませんが、ビジネスの優先で、可能性が縮小するのが嫌だなと思うんですが、そのあたり、いかがお考えですか。
  72. 牧原秀樹

    ○牧原副大臣 今委員が御指摘になった御懸念は、私も当然感じたところでございます。  ここは、先ほどの許可基準のところでしっかりと見るということで、適切な費用での設備の譲渡や貸与も行われることなどを見るという話をさせていただきましたけれども、料金の話とか、そういうことも含めて、このライセンスを出すということも通じて見ていきたい、こう思っています。
  73. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます、牧原さん。  ぜひ、これもやはり一つのビジネスチャンスで、例えば地域が手を挙げて、ドイツのシュタットベルケみたいな例は有名ですけれども、配電事業までやることで利益を上げてそれが地域に還元していく、そういう経済のモデルをやはりつくっていく源泉になると思いますので、ぜひこれはうまく育てていただきたいということをお願いをしておきます。  これはいろいろな力関係もあると思いますが、これはあるところ、国がしっかりと指導しながら、やはりいいプロジェクトにはきちっとチャンスを広げていただくということをお願いしたいと思います。  同じことが、七番で、アグリゲーターの事業についても言えると思います。  この事業についても、これからいろいろな制度設計が始まってくると思います。御説明の中でもお聞きをしました卒FITで、ある意味限界費用がゼロのエネルギーが出てくる、それをうまくこのアグリゲーターが束ねて、一つ一つは小さくても、束ねることで一定のボリュームになって、それがちゃんと市場に送り込まれて、市場のメカニズムをうまく使って供給につながってくるという、そのハブというか取りまとめ役がアグリゲーター、とても重要な機能であると思います。  もう一つは、これをやるに当たっては、デジタル化、データのお話が、有効活用ということがほかのところで出てきます。これも、この政府の資料を見ると、このデータの活用が、見守りサービスに活用するというふうなお話がありまして、これはもちろん一つの活用のわかりやすい例だとは思いますけれども、本来、一番大事なのは、本当に、ディマンドレスポンス、需要をどういうふうにコントロールするのか。  今、IoTと言われている世界に入ってきて、それぞれの家電がネットワークにつながれてコントロールができる、そのベースになるのが、例えばスマートメーターから来る電気の需要ですよね。そういったものもアグリゲーターが見ながら調整をするというようなシステムが、もうある種実現可能な段階になって、世界では動いているということだと思います。  なので、このデータ活用を開くというのも大変重要で、私は大賛成なんです。このアグリゲーターについても、そういう意味では、そういったものとうまく組み合わさって、積極的にいろいろな事業展開、アイデア、配電事業なども組み合わさって、新しい電力の、分散型で安定した供給の仕組みというのができてくるという姿を思い描くところでございます。  アグリゲーターの制度についての今後の見通し、あるいは今までの課題などもあればお聞きをしたいのですが、いかがでしょうか。
  74. 牧原秀樹

    ○牧原副大臣 大変深い質問をいただきまして、ありがとうございます。  アグリゲーター自体については、現在でも、工場等の大規模な需要家の電力消費を抑制する取組について事業化をされているところですけれども、今回、今委員が御指摘いただいたように、より効率的な電力システムの構築や、再生可能エネルギーなどの分散型電源の導入促進という観点からは、このアグリゲーターを特定の卸供給事業者として位置づけて、そして、これによって規制の適用関係が明確化をされて、アグリゲーターの信頼性を高めるということ、そしてまた、ビジネス環境が向上するということを期待してこういう制度をつくらせていただいたところでございます。  今回、この認定につきましては、発電事業者と同様に、届出制にして広く参入を可能にする一方で、供給計画の策定義務や、あるいは、一般送配電事業者等に対する電気の供給を約する場合の供給義務等を課すこととさせていただいておりまして、具体的な制度設計、詳細設計につきましては、本法案の成立後、事業者への周知や規制対応等に必要な期間も確保した上で、令和四年四月一日を考えているところでございます。  加えて、事業性向上のための技術的な課題解決に向けた実証事業も今行っておりまして、こうしたアグリゲーターの事業の活性化の取組を進めていきたいと思います。  データについても、先ほど御指摘いただいたように、これまでの電気事業法におきましては、一般送配電事業者による目的外利用が禁止されておりましたけれども、まさに御指摘いただいたように、ディマンドレスポンスや再生可能エネルギー等の分散型電源の利用等を促進するために、今回、第三者がこうしたデータを活用できる仕組みを措置したところでございまして、アグリゲーターのこととあわせて、事業の信頼性を高めるなどしてディマンドレスポンスや分散型エネルギーの利用が進む、こういう環境を整えていきたいというふうに思っております。
  75. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  とてもいいお話だと思うんですよ。私は、この話をずっとしていくと、何で原発なんだろう、あるいは石炭火力なんだろうとなっちゃうんです。原発みたいな巨大な一定出力を出すシステムというのは、こういう世界とは真逆なんですよね。真逆です。石炭火力も似たような、やはり調整がきかない。  そういう電源を二〇%残すというエネルギー政策と、今ここで議論している、本当に、分散型で地域地域の需要を敏感に感じながら最適化していくという考え方のシステムって、やはり相入れないですねというのを私はあえて皆さんにもう一回お伝えをしておきたいと思います。私は、こちらの世界で十分に安定供給できるし、皆さんが言っている災害対応のレジリエンスという意味でも、巨大なシステムに依存するのではなくて、地域分散型で、さまざまな調整をしながらネットワークを組んでいくという世界の方が、より高いレジリエンスを確保して、災害対応能力も高いし、環境性能もいいし、本当に、そういう意味で、やはり目指していくところはここだろうということをお伝えをしておきたいと思います。  そういった意味で、最後に触れなきゃいけないのがJOGMEC法なんです。  質問の十一番は法案とはちょっと、直接関係ないんですが、新国際資源戦略というのが出ておりまして、二〇二〇年三月に策定しておりまして、その中に、「気候変動問題に配慮した油ガス田等の開発の促進」ということでお話が出てきています。  これを読むと、上流開発、これは、石油とか天然ガスの開発に当たって、脱炭素化対策事業というのは開発事業の経済性を低下させる側面があるので、環境対応による経済性の低下を軽減させなければいけないというような文脈がありまして、国としてインセンティブを与えなきゃいけないよというようなお話があります。化石燃料をやろうとすると、実は、それは、脱炭素化対策事業として経済性を低下させてしまうので、なかなか作業が、事業が進まないので、何とかそれを応援しなきゃいけないという発想ですよね。  私は、やはり、この発想は、少なくともこれから日本がとっていく戦略の柱ではないし、本当に一時期、例えば、私たちのプランでいけばLNGです、天然ガスにある期間やはり依存しなければいけないので、それをどういうふうに確保するかという議論はありますが、それも、私たちは、あるいっときのお話で、二〇三〇、二〇五〇年という視野の中で、やはりそれも終わらせていかなければいけないということを考えている。ただ、この書きぶりを見ると、いまだに石炭の影が見え隠れするんですが。  ここで言っている、インセンティブ措置と言っているこの新国際資源戦略ですけれども、これに石炭は入っていますか。皆さんが言っているこの戦略の中に石炭というのは入っているのかどうか。
  76. 南亮

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  ことし三月に取りまとめられました新国際資源戦略ですが、これは委員御指摘のとおりですが、資源をめぐる世界的な需給構造の変化、それから気候変動問題への対応、さらには中東情勢の緊迫化など、資源・燃料政策を取り巻く情勢の変化を踏まえ、新たな資源確保のための方策として取りまとめたものでございます。  委員御指摘の気候変動問題に配慮した油ガス田等の開発の促進につきましては、石油、天然ガス及びレアメタルなどの鉱物資源開発に取り組む企業が環境対応を進めるためのインセンティブ措置の必要性を期待しているものでございまして、ここには石炭は含んでおりません。
  77. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。石炭は含んでいないというお話をいただいたので、非常にここは私としてもほっとしたところでございます。  それからもう一点、法案に戻りまして、有事において、JOGMECに対してこの発電用燃料の調達を要請できるというお話法案説明に出てきていまして、この有事というお話で、例えば中東有事のようなことを想定しているのだというお話を聞くんですが、法案の中には、JOGMEC以外の者による調達を困難とする特別の事情ということで、有事という言葉は法案にはなじまないんだと思いますが、出てきていません。  この特別な事情というのは、いろいろな経済的な事情だとかダイベストメントみたいなお話があって調達ができなくなるというようなお話にもつながるのではないかな、広く解釈するような余地が残されているのではないかなと思って危惧をしておりますが、この解釈についてお聞きをしたいと思います。
  78. 南亮

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  この法案中の緊急時調達業務ですが、燃料調達が困難となる事態への備えを万全として、電力供給への影響を最小限とすべく、万が一の場合のラストリゾートとして措置するものでございます。  具体的には、資源国での国際紛争、テロ攻撃、経済制裁、さらには大規模な自然災害等が発生することによって世界規模で需給が逼迫するとともに、そうした国の政府による売り渋りなどが発生するという可能性もございまして、こうした場合であっても安定的な電力供給を確保していく、そういったための措置でございます。
  79. 山崎誠

    ○山崎委員 時間が来ましたので、終わります。  私、一貫して申し上げたかった、やはりコロナのこの大変厳しい中で、次のステップは、ぜひとも新しいビジョン、夢のある動きをつくっていただきたい、経済産業省というのはやはりその核だと私は思っておりますので、一緒に頑張りたいと思います。よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  80. 富田茂之

    富田委員長 次に、斉木武志君。
  81. 斉木武志

    ○斉木委員 立国社の斉木武志です。  きょうは厚労副大臣にもおいでいただいておりますので、退室していただくのを早めるために、まず冒頭、お聞きしたいというふうに思います。  きのう、私も六時からの総理会見を聞いておりまして、目玉政策は一万五千円への雇用調整助成金の引上げである、八千三百三十円の上限を取っ払って一万五千円にすれば、まあ、八千三百円ですと月二十日勤務として十七、八万円ぐらいまでしか月給でカバーできません、一万五千円出せば二十日勤務で大体三十万円以上、成人男性の、家族を養うような給与を見ることができる、これがきのうの総理の目玉政策だったと私は拝聴したんですけれども、これを受けられずに、そもそも申請を断念してしまう中小事業者が非常に今多いな、このまま一万五千円への上限引上げをやるとハローワークとかが非常に大混乱するのではないかなという懸念を持っております。  また、きょう、梶山大臣にも、中小企業が非常に、特に零細企業が、申請を受け付けられないんじゃないかという疑念を多く持って断念しているケースが多々ありますので、その中小企業保護という観点からも、お二人にお聞きしたいなというふうに思います。  まず、橋本副大臣、私、いろいろ、電話で今、中小事業主とやりとりしているんですけれども、例えば、和風の割烹料理屋さんがあります。役員が、旦那さんが社長、そして奥さんが専務で調理場で魚を切っています、さばいて調理している。弟さんが常務、やはり調理場で仕入れもやるし調理もやっている。従業員を二名雇っています。こういう和風割烹料理屋さんとかレストランは非常に多いですよね。家族経営プラスアルバイト、家族経営プラス二、三名の従業員で回している料理屋さん、非常に多いケースです。この従業員に対しては申請できるんだけれども、私、そして妻、そして弟、これは要するに五分の三は役員なわけですよ。  今、雇調金の条文を見たんですけれども、厚生労働省が示している対象労働者というのは、「ロ 法人の取締役及び合名会社等の社員、監査役、協同組合等の社団又は財団の役員等」は該当しないというふうに例示をされておりまして、ですので、このままだと、妻や弟の分、私も含めて、申請しても認められないから、これはもう従業員の分を払っても、ちょっと廃業を視野に入れざるを得ないとか。  また、伝統産業、例えば、私の地元は越前焼、漆器の産地なんですけれども、何とか商店とか何とか漆器店というような形で青色申告をしている事業者は、会社登記をしていません。社長さんが旦那さんで、奥さんとお母さん、同居親族のみで漆器の卸とか製造をやっている、若しくはまき絵の絵師でつけている。そういった末端に行くと、日本のものづくりというのは、家族経営の家内制手工業、これで圧倒的に支えられているのは、特に伝統産業の産地。今、店も閉まっているし、業務用漆器なんて全く売れません。ですので、七割売上げが減少している。そういった中で、当然、奥さんの給与も払えない、お母さんの給与も出せない、でも雇調金も申請できない。そもそも雇用保険適用事業所ではないし、そして、奥さんやお母さんは労災とか、雇用保険被保険者でないと申請できないんじゃないのというケースが非常に多くある。  それで、省庁の職員と話していても、やはりなかなか難しいというような返答が多々返ってくる。このままだと、日本のそういったものづくりの現場も、雇調金の適用を受けられずに崩れてしまうんじゃないか。アフターコロナで、幾ら生産してくれといっても、廃業してしまうというところがこれから頻出しそうなんですよ。  ですので、ここのところをどうカバーしていくかというのは、非常に強い危機意識を持って適用範囲の拡大、一万五千円はいいです、私も大賛成です、適用範囲を拡大しないと、救われずに、そもそも申請すらせずに潰れてしまう事業者が多発しそうなんですが。  まず、厚労副大臣、この適用範囲の拡大に関して、例えば役員であるとか、そもそも会社登記をしていない青色申告事業者の親族従業員、ここに適用拡大するお考えはありますか。
  82. 橋本岳

    ○橋本副大臣 お答えをいたします。  雇用調整助成金については、事業主の雇用維持の取組支援する制度でございまして、その対象となる労働者は、助成金を受けようとする事業所における雇用保険の被保険者となっております。ですので、雇用調整助成金の今の枠組みからしますと、事業所の被雇用者という労働者性がどうなのかということを、厳密に言うと、個別に判断をして決めるということになるわけでございます。  ただ、その中で、今お話がありましたような、個人事業主の場合、その事業主と同居している親族というのは、家計等々、その親族と一体化をしている場合がある、このようにみなされまして、原則として被保険者にならない、労働者性がないというふうに見られるということでございますので、雇用調整助成金の対象としてはなりません。ただ、原則としてということですので、例外もある、最終的にはそれぞれの状況によって判断、こういうことになります。  また、例えば役員をしている場合、これも原則として被保険者にはなりませんが、一定の条件を満たす場合には被保険者として取り扱われ、対象者となり得る場合もあります。具体的に申し上げますと、役員であって、同時に従業員としての身分を有する者は、報酬支払い等の面から見て労働者的な性格の強い方であって、雇用関係があると認められる場合は被保険者となりまして、その場合は雇用調整助成金の対象となるということでございます。正直言って、答弁しておりましても、わかりやすいとは私もよく思いませんが。  ただ、私たちとしても、要するに、機械的に、役員だからだめとか親族だからだめということを言うのではなくて、できるだけ個々の状況に応じた判断をその労働者の不利にならないようにしたいということでそうした取扱いをしているところでございまして、もしかすると現場においてそうしたことが必ずしも徹底できていない場合があるとすれば、やはりもう少し、今申し上げたような基本原則、それから実際にどのような判断を細かいところでしていくのかということについて周知をしていくことによって、できるだけ対象になる方がしっかりと雇用調整助成金を受けられるように取り組んでいくように努めていきたいと考えております。  また、そもそも、今お話があった、例えば割烹さんだとか、伝統的なことをされておられるような小さい事業者さんをどのようにサポートをしていくのかということは、私どものみならず、政府全体として、経済産業省さん、中小企業庁さんとも御協力をしながらしっかりそれは取り組んでいかなければならない課題だ、このように思っているところでございます。
  83. 斉木武志

    ○斉木委員 今言った副大臣の趣旨が、ハローワークの窓口とか実務を担う社保労務士会に伝わっていないなと私は思います。地元のハローワークへ行ったけれども、そもそも役員さんはだめですよと。社保労務士にこの書類の作成を頼んでも、役員さんは一律だめと厚労省が言っていますというのが、大体、今私の耳に入ってきている日本じゅうの中小事業主の方の声です。これは改善しないといけないですね。  厚労省の職員と話をすると、いや、例えば、その和風割烹料理屋さんのケースでも、弟さんが別居親族であって通ってきている、妻と同居している場合には認められないけれども、同居親族は認められないが、別居親族が通ってきている場合には、じゃ、その社全体として社長さん以外は救われますよみたいなことを厚労省の職員さんは答弁しています。  でも、私からそう説明を受けて、ハローワークへ行ったら断られました、役員はともかく一律だめなんですと。社保労務士に言っても書類さえ書いてくれない、そういう声がもう頻々と来ていまして、このままだともう廃業を選ぶしかないという声なんですが、その辺の徹底はどうお考えですか。
  84. 橋本岳

    ○橋本副大臣 お答えをいたします。  私どもの思っていること、あるいは取扱いとしては、先ほど答弁申し上げたとおりでございまして、ただ、ちょっと繰り返しになりますけれども、必ずしもそれが現場あるいは社労士さんなどにおいて徹底されていないということもあるというお話でございますので、やはりもう少しきちんと、そうしたハローワークの窓口の担当者の現場の方あるいは社労士の方々にも、今のようなことであるということをしっかりとお伝えをする努力をしていきたいと考えております。
  85. 斉木武志

    ○斉木委員 産業政策を担当されている梶山大臣にお聞きしますが、今申し上げたような伝統産業とか、自動車のような大規模製造業であっても、末端に行けば、こういった青色申告事業者というのはたくさんおるわけです。その方々が、伝統産業でいえば、包丁の研ぎ職人であったり、まき絵師であったり、漆器の木地師、塗り師、そういった方々というのは、大体、夫婦で経営して、プラスお母さんか弟みたいな形でヘルプに入っている。  でも、地方、私の福井県においても、大家族五世代同居とかでして、皆さん同居家族なんですよ。ということは、厚労省が言っているような、同居親族は認められませんと言われてしまうと、全員、雇調金対象外になってしまうし、そもそも、青色申告事業者というのは厚労省は想定していません、この雇調金の支給要件として。  ということは、今、七割売上げが落ちていたら、個人事業者に対する持続化給付金の百万円、あれだけ受け取って、あとは支援を受けられないわけです。こうなってしまったら、百万円で当面の売掛金は処理するけれども、従業員である妻とかお母さんとか弟の給与すら払えずに、もう、あともって二カ月かな、六月末ぐらいには廃業せざるを得ないねという声が伝統産業の産地を中心に非常に多いんですが、このまま状況を看過されるおつもりですか。適用拡大の柔軟な拡大、これはお考えになりませんか。
  86. 梶山弘志

    梶山国務大臣 持続化給付金につきましては、五月一日から受け付けを始めて、今作業を進めていて、できるだけ迅速にお手元に現金を届ける作業をしているところでありますけれども、今委員がおっしゃったように、確定申告書の事業事業収入の欄で、資格という形で、一応、申請書類を見ております。  この百万円で足りるか足りないかという議論はずっとあるわけでありますが、当面、固定費の部分、何に使っても自由ですよという、使途制限をつけていない給付金だということで、まずは手元の流動性を残すということも含めて、そういう意味も含めて、こういう給付金をつくらせていただいたということであります。  ただ、SNSであるとか、またコールセンター等に、やはり額が足りないとか要件緩和という声も来ているのも事実でありますから、今後のことも含めて、また検討をしてまいりたいと思っております。
  87. 斉木武志

    ○斉木委員 無利子担保融資もやられていて、当面の輸血ですね、それはいいんです。ただし、売上げがどれだけ戻るかわからないわけですよ。今、売上げが、じゃ、六月、七月、幾ら立つのかわからない中で、新しい借金をこさえるのか。それはちょっと、幾ら無利子とはいえ、三年間で返されなければ、四年目からは利子がつくわけです。そうなってくると、とても怖くて借金の申込みには、政策金融公庫制度融資も受けられませんというのが、ほとんどの、今ものづくり産地の声です。  ここのところをどう救うか、本気で厚労省と協議をしていただいて、この家内制手工業である青色申告事業者であったり、また小規模事業主の親族役員、従業員として魚もさばいている、絵も塗っている、そういう人たちをどう救うか。それを周知徹底しなきゃいけないと思うんですけれども、そこのところを、私は、経産大臣、ものづくりの保護者からいっても、ちょっと決意のほどをお聞きしたいなと思うんですが、いかがですか。
  88. 梶山弘志

    梶山国務大臣 平時の制度では、どうしてもすき間に落ちてしまう人たちも出てくるのも事実であります。そういった方たちにどんな制度が有効であるか、また使用可能であるかということも含めて、いろいろ考えているところでありますし、全国の相談窓口、千五十カ所ありますけれども、そういったところに百万件以上のそういう相談が来ておりますので、そういった声も分析しながら、できるだけ早くそういう対応というものも図っていかなければならないと思っております。
  89. 斉木武志

    ○斉木委員 ありがとうございます。  副大臣、御退席いただいて結構です。ありがとうございました。  では、続いて、きょうは国交省にも来ていただいておりますので、お聞きいたします。鉄道関連です。  コロナで、今、皆さんが東京駅とか品川駅とかターミナル駅へ行かれると、全く人の乗っていない無人の十六両編成の東海道新幹線とかが毎回毎回、定時運行しております。乗車率で見ますと、対前年同月比、このゴールデンウイーク期間中や、あの四月七日の緊急事態発令以降、九五%、利用客が新幹線そして特急に関しては減少しております。要は、越境移動するなと言っているわけですから、当然、国民の皆さんはそれを守って、企業もテレワークをしていて出張一切禁止。  ですので、例えば九五%減はどういう状況かというと、例えば、前は一両に二十人ぐらい新幹線に乗っていたとします。ということは、今は一人しか乗っていないということです。十人だったら、〇・五人しか乗っていないわけです。まさにそのとおりで、空気を運んでいる状況です。九五%減だったら、普通の営利企業は便数を減らしますよ。でも、はっきり言って、政府要請に基づいて便数を減らしていないわけです。  根拠は何かといいますと、総理御自身なんですね。四月七日に今緊急事態宣言は発令をされました。その四月七日の発言、記者会見の文字起こしがあるんですけれども、この特措法第三十二条に基づいて緊急事態宣言を発出することといたしましたと。その後に、「今回の緊急事態宣言は、」、これは安倍総理の発言です、「海外で見られるような都市封鎖、ロックダウンを行うものでは全くありません。」、「今後も電車やバスなどの公共交通機関は運行されます。道路を封鎖することなど決してありませんし、そうした必要も全くないというのが専門家の皆さんの意見です。海外では、都市封鎖に当たり、多くの人が都市を抜け出し、大混乱と感染の拡大につながったところもあります。今、私たちが最も恐れるべきは、恐怖それ自体です。」というふうに記者会見で述べております。要するに、総理が、まだこれは了解をとったのかも全然わかりませんけれども、「今後も電車やバスなどの公共交通機関は運行されます。」と断言しているわけですよ。  この総理緊急事態宣言の記者会見を受けて、特にJRのような遠距離旅客鉄道事業者は定時運行をずっと維持して、まさに社会的混乱、パニックで人が地方に行かないように、集中して三密が起きないように、定時ダイヤを維持したんです。その結果の九五%減なんです。要は、これは民間企業だったら絶対に減便するところを、民間企業であるにもかかわらず、公共交通インフラ事業者という使命を持って、総理要請どおり、出血の赤字運行を続けている。  これは、要請に従わないパチンコ屋を救う必要ありませんよ、でも、こうやって、政府要請に従って定時運行を、出血を続けている事業者に対して、私は当然の支援策を講じなきゃいけないと思います。  私が一つ思うのは、固定資産税の減免なんですね。中小事業主に関しては、今回、二月から十月の連続する三カ月間、任意の三カ月間の売上げが対前年比三割から五割落ちた場合には、二〇二一年、来年の固定資産税は半分でいいです、そして五割以上減少した中小事業者は全額免除しますと言っています。これは非常にインパクトがあります。  これを、ただ、JRなどの大手事業者は、九五%売上げが落ちているのに、大企業であるがゆえに適用除外なんですよ。ここのところを、中小事業主も充てていかない。JRは、千七百億円も固定資産税収、地方自治体に対して払っている巨額の納税者です。ここのところの負担というのはすごく重いし、全額まけろとは言いませんよ、何割かは、大企業ですから体力もあるでしょうということで中小企業と同列に扱えないかもしれませんが、こういった固定資産税の減免措置を大規模事業者であるJR七社にも適用することに関して、いかがお考えですか、国土交通省。
  90. 寺田吉道

    ○寺田政府参考人 お答えを申し上げます。  鉄道事業者に対しましては、先ほど委員からも少し御紹介がございましたけれども、政府基本的対処方針におきまして、社会の安定の維持の観点から事業継続をお願いしているところでございますが、新型コロナウイルスの感染拡大影響により、御指摘のように、利用者の数は大幅に減少しております。  これは一例でございますが、ゴールデンウイークの新幹線の輸送人員は、御指摘のとおり前年比約五%程度となるなど、各鉄道事業者において経営に大きな影響が生じているというふうに受けとめてございます。  少し対応について御説明をさせていただきますと、こうした状況を踏まえまして、国土交通省といたしましては、各鉄道事業者状況をきめ細やかに把握し、支援等に努めることとしてございます。例えば経営の観点で申しますと、先般取りまとめられました新型コロナウイルス感染症緊急経済対策におきまして、日本政策投資銀行を通じた危機対応融資、こうした資金繰り支援、あるいは雇用調整助成金などがございますけれども、これ以外に、税制上の措置として、固定資産税等の最大一年間の猶予の特例というものが盛り込まれてございます。  これまでこうした制度の周知などを図っておりまして、事業者におきましては、必要に応じてこうした支援策の活用を御検討いただきたいというふうに考えてございます。  なお、鉄道の利用者が非常に少ないとの御指摘がございました。  鉄道事業者に対しまして、社会的機能の維持、それから混雑の回避、車内の混雑度が増してはいけないという趣旨でございますが、さらには職員の感染リスク低減の必要性などを総合的に勘案した上で、鉄道事業者が減便、運休について適切に判断するように周知、指導をしているところでございます。東海道新幹線の事例につきまして申しますと、全体で三・五割程度の減便、「のぞみ」につきましては五・五割程度の減便というふうになっているところでございます。  それから、また、委員から固定資産税等のさらなる減免措置について御指摘ございましたけれども、国土交通省といたしましては、引き続き、鉄道事業者事業継続など求められる役割を果たせるよう、必要な支援などについて適切に対応してまいりたいと考えてございます。
  91. 斉木武志

    ○斉木委員 ぜひ、適切に対応してほしいと思います。  この議場には公明党の議員の方もいらっしゃいますので。  二日前の国土交通委員会でも、赤羽国土交通大臣が非常に力強い御答弁をされております。  この交通インフラを担う大規模事業者に対する減免措置を矢上委員から問われて、それの答弁ですが、「どうしても中小企業小規模事業者ということを念頭に置いた支援策がやはり先行していると思いますが、これだけ長期化をする中で、やはり、大手の企業からも、大変な状況だということは、私のところにも随分いろいろな声が届いているところでございます。」と大臣は述べています。「本当に公共交通機関がだめにならないように、できることは全てやるという覚悟で、鉄道局、自動車局、また航空局の中でしっかり検討して、そうした破綻がないようなことを念頭に置きながら、ちゃんとした対策をとっていこうというふうに決意をいたしたところでございます。」と、非常に前向きな答弁をされておりますので、ぜひ大臣の決意のとおり動いていただきたいし、これは、地方にも目くばせをしてほしいんですね。  固定資産税というのは、やはり市町村長にとってはもう本当に命綱です。各市町村の首長さんが、もし固定資産税の減免をやって、裏負担、補填をしてくれないと言ったら、市町村長会が大反対いたします。  ですので、やはり、交付税措置をするなり特例として補填措置をするなり、こういったところも、総務省としっかりと、これは国交省の方から言わないと、総務省としては何とも言えませんというふうに、きのう、レクの結果、私も総務省の方から聞いております。  国交省、まず鉄道局を中心にして声を上げて、固定資産税を減免するに当たってはしっかり、全国の首長会が反対しないように、セットの補填というのも与党の税調でやられたと思いますけれども、ぜひ論を起こしていただいて、これを目くばせをしながら減免措置の対象に加える、これをぜひやっていただきたいと要望いたします。  あと、もう一点。私鉄も非常に極めて厳しい。  何でかというと、地方というのは、私鉄ははっきり言って通学電車なんですね。一時間に一本ぐらいで、七時台とか四時台にばっと五本、六本運行する。これは何でかといったら、中高生を運ぶための路線なんですよ。ほとんど大人は車で通勤、そして、地方においては中高生が大体電車で通学をする。ですので、今、私鉄事業者に聞くと、地方鉄道は、定期の解約が物すごい数来ていますと。  総理は二月末に、私が全責任を負いますと言って休校要請をしたわけです。それ以降、地方鉄道、JRもそうですけれども、私鉄の、特に地方の路線というのは、乗客七割減とかで非常に傷んでおります。総理が責任をとると言ったわけですから、私鉄に関しても、これは固定資産税の減免、加えるべきだと思います。  例えば、これは差があるんですよ。福井県においては、例えば京福とか福井鉄道、中小事業者なので固定資産税減免対象の企業もあるし、でも、同じ北陸でも、石川の北陸鉄道とか富山地方鉄道とか、大企業分類に入ってしまうと固定資産税の減免の申請ができないとか、ちょっとした企業の資本金や従業員の差で、もう天と地の差が出ちゃっている。  だから、ここのところは目くばせをして、休校要請でダメージを受けている通学路線である地方私鉄事業者、ここのところを救うということも重要だと思うんですが、鉄道局、見解、いかがですか。
  92. 寺田吉道

    ○寺田政府参考人 お答えをいたします。  御指摘のとおり、中小民鉄につきましても、やはり輸送人員の大幅減少が生じており、経営への影響が発生しているというふうに考えてございます。  先ほど対策について少し御紹介を申し上げましたが、日本政策投資銀行の危機対応融資のみではなくて、日本政策金融公庫の特別貸付など、中小民鉄が利用することができる制度もございます。こうした制度も、各事業者において支援策の活用を御検討いただければというふうに考えてございます。  大手事業者のみではなく、地方部の中小鉄道事業者も当然大変な影響を受けているわけでございますので、私どもといたしましては、必要な対応についてきちんと対応してまいりたいと考えてございます。
  93. 斉木武志

    ○斉木委員 ぜひきちんとやっていただきたいと思います。これは我々も全力で応援いたしますので、ぜひスピーディーな対応を求めたいと思います。  では、電力に関する閣法審議に入ってまいりますが、まず電力でもコロナの影響が出ております。まず、それに関して質疑をさせていただきたいなというふうに思っております。  電力に関しましては、私の地元にあるんですが、関西電力大飯発電所におきまして、五月八日から、もう過ぎましたけれども、千八百人の作業員、うち九百人は県外から入れて、定期検査を行う、今動いている大飯三号機をとめて定期検査を行うということが、四月二十四日のおおい町議会全員協議会で文能所長が発言をし、そのときに、コロナは起こさせません、消毒の徹底、検温の実施、来県二週間前からの行動チェック等によって地域にウイルスを持ち込ませず、感染の連鎖も起こさせませんということを発言されております。  私、これは非常にびっくりしまして、何でかというと、下請事業者から私のところにメールが来ていたんですよ。大飯発電所の所内で定期検査を業務として関電から発注を受けている業者です。入りたくないというんですね、大飯発電所に。ふだんは関電の言うことを聞かなきゃいけない業者ですよ。珍しく私のところにメールが来る。  これは、もう発電所というのは三密のきわみだと。私も「もんじゅ」の格納容器内に入ったことがありますけれども、セシウムとかを漏らさないために、穴という穴は塞いでありますよね。ということは、空気がもう本当に滞留しているわけです。  あそこで、しかも機械類が、例えばクレーンとかリフトとかが動いていますね。また発電機、ジェネレーター、そして羽根が動いていたり、ああいう機械ががんがんがんがん回っている巨大人工工作物ですので、音が聞こえないんですよ。マスクを外して作業員同士が会話しなきゃいけないし、あんな格納容器の中で、運転中ですから建屋内でしょうけれども、建屋内でもマスクを外して口を近づけて会話しなきゃいけないようなところなんで、これは一人でも感染者が出たら、もう九百人全員あっという間に感染するよと。なので、今回ばかりは入りたくないから延期させてくれという要望が来ていたんですよ。本来は関電さんの言うがまま、もう本当は仕事をもらわなきゃいけない立場だけれども、今回はおくらせてほしいというメールが来るぐらいです。  地元の方からも、非常に急を知らせるというか、おおい町だけではなくて、小浜市とか高浜町、近隣町民からもいっぱい意見をいただきました。  作業員は帰ってきたら民泊するわけですよ、民宿です。民宿に大体十人、十五人規模で分泊するんですけれども、食堂は大体一カ所で食事するし、そもそも和風民宿ですから、二階建ての木造家屋です。そこの食堂で食事をとっているときにマスクも外しますよね。そこのところで一人でも出たら、あっという間に全員、おかみさんを含めて感染するから、おかみさんからも、やめてくれ、今度は入れてくれるなと。  しかも、この福井県嶺南地域というのは、美浜原発、そして大飯原発、そして高浜原発、関電だけで、四、四、三ですから、十一基あります。これを、でも、若狭地域、嶺南地域というのは、一人しか感染者が出ていないセーフゾーンだったんですよ。医療関係者、行政関係者の、地元の方々の協力によって、感染者を出さずに抑え込んでいた地域。ここに九百人も県外から作業員が入って、しかも三カ月間ですね、北海道と行き来したり大阪の実家に戻ったり、自宅と当然行き来しますね、週末になったら。またウイルスを持ち込んで大クラスターが発生するんじゃないか、もうやめてくれという声が非常に、この文能所長の発言以降、来ました。  ですので、私は、四月二十九日、祝日ですが国会が立っていましたので、資源エネルギー庁の職員を呼んで、これはやめろ、資源エネルギー庁は原子力を推進したいのはよくわかっている、推進したいんだったら、もし今回、この大飯で千八百人の作業員を入れてやったら必ず一人は感染者が出るから、そうしたらクラスターになる、実際、柏崎刈羽原発、東京電力では五人感染者が出ましたね、それで東電自身がもう工事は八割縮小しますと言ったんですよ、絶対東電の二の舞になるからやめておけ、推進したいんだったらやめておけ、やったら、今回クラスターを発生させたら、二度と嶺南地域では原子力事業をできなくなるよと言いまして、それでも、資源エネルギー庁の職員は、いやいや、夏場の電気需要は逼迫するからやらせていただきますと言っていた。  しようがないから、私は質問主意書を出しましたよ、四月三十日に。政府が人間接触八割減、都道府県の越境禁止と言っているのに、この政府の方針に矛盾しないかと。その政府としての方針にそごがないかどうか質問主意書で出しまして、何とか、議会がないから、延期するようにということを申し添えました。やっと、その翌日五月一日に、関西電力がみずから、私が質問主意書を出した翌日ですが、延期を発表しました、当面の間、二から三カ月間。  こういった原子力事業者の前のめりな姿勢。私はまず、原子力発電所という密閉、閉鎖空間、セシウムを出さないための人工的な三密のきわみである空間で定検を今行うこと、しかも、地域に感染者が一人しかいなくて、地域が頑張って一人に抑えているのに、何で域外から大量に持ち込むのか、作業員を入れるのか。この関西電力の姿勢、私は疑念を持たざるを得なかったんですけれども。  これは大臣として、原子力事業者の監督者として、原子力発電所の定期検査に伴うコロナ発生リスクの指導等は行ったんですか、またどう評価されていますか。今回の関電の決断も含めて、いかがですか。
  94. 梶山弘志

    梶山国務大臣 原子力発電所に限らず、化学プラント、石油化学プラント等も定期検査が必要であり、いろいろなところから私のところに話がありました。そういったものを、地元との協議も含めて、そして延期も含めていろいろな話をしたところであります。  関西電力の件については、私、逐一聞いてはおりませんでしたけれども、全国の各地で、このゴールデンウイーク、このコロナの感染症の拡大の中で、こういう定期検査、対応を図るようにという話はしているはずであります。
  95. 斉木武志

    ○斉木委員 きょう、先ほど十時に、閣議決定を経た答弁が来ました。関電が私が質問主意書を出した翌日に延期を決定したので、お答えの三点に関しては御質問に答えられませんという閣議決定がなされましたけれども。  今回、地域住民の方から、関電は命より利益なのか、自分たちのスケジュールに固執をして、地域住民は頑張ってコロナを起こさせないのに、何で外から作業員を九百人も入れて三カ月間も定期検査するんだ、地域との共生というけれども、地域を全く見ていないんじゃないのという怒りの声が福井県民から多く寄せられたんですが、大臣は、地元との共生という姿勢が関電に欠けていたとは思いませんか。
  96. 梶山弘志

    梶山国務大臣 経過というか事実関係をちょっと把握しておりませんけれども、プラントそして原子力プラントも含めて、定期検査等、この事態がある中においては、地元との協議をしっかりとした上で、地元の意見も取り入れた上で対応するようにという話はしております。
  97. 斉木武志

    ○斉木委員 地元との協議をしてほしいんですよ。町議会の全員協議会というのはオフィシャルな場です。そこに行って、所長が、いや、やらせていただきます、起こさせません、二週間前から自己申告で健康状態も申告させるから起きませんよと。こんなことないでしょう。だって、無症状感染者もいるのに、三カ月間も滞在するのに、こんなことを所長が安受け合いしてしまうというのは、これは軽く考えているとしか町民が思わなかったから、私のところに大量に意見が来たわけです。  電ガ部長も来ているので、もしあれでしたら、どうぞ。それに関して、電力事業者の、原子力事業者の、コロナ、特に、関西電力の今回の四月二十四日に示したような前のめりな姿勢、これはコロナの感染リスクを軽く見ているのではないかという地元の方からの意見に対してどうお答えになりますか。
  98. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  今委員からも御指摘ありましたし、大臣からも御答弁いただきましたけれども、こういった対応の中で、地元の声に真摯にかつ丁寧に耳を傾けるのは当然ということでございまして、我々の方からも、電力会社に対しては、地元の声にしっかりと耳を傾けて対応をしていくようにということを求めてきたところでございますし、そのような中で、今回、福井県の方から要請を受けて、関電もそのことを聞いて、地元からの懸念があるということを踏まえて、開始時期を二、三カ月延期するということを判断をしたというように聞いているところでございます。  引き続き、こういった形で地元の声をしっかり聞いて、さまざまな懸念、不安があると思いますので、こういった声にしっかり応えられるように、コロナ対策を徹底して行うということを求めていきたいと思います。  電力会社は、御承知のとおり、指定公共機関でございます。この指定公共機関というのは、こういった事態の中でも安定的に電気を供給する義務を負った主体として法律で指定されているものでございますが、この中で業務計画というものがございまして、この業務計画を各電力会社は策定してございます。その業務計画の中で、こういった発電所それから中央給電指令所といったようなところも含めて、安定供給を実現しつつ、一方で、こういった感染症対策が遺漏ないような計画をつくるということが義務づけられておりまして、この計画に基づいて、引き続き、徹底した対策と同時に、安定供給というライフラインとしての使命を果たしていっていただけるように、これを強く求めていきたいというように考えてございます。
  99. 斉木武志

    ○斉木委員 ぜひ電力事業者には、国民の努力を無にするような行為は厳に慎んでいただきたいと思います。一人しか感染者を出さないという、地域として、福井県の半分、全体としては百二十人超出ているんですが、嶺南地域、原子力立地地域に関しては十五基ある地域ですが、一人しか出ていない。物すごく努力して、皆さん、抑え込んでいるわけですよ。そこに不用意に、しかも、夏まで待てばいいじゃないですか。私、これは質問主意書にも書きましたけれども、WHOだってアメリカ政府だって、高温多湿そして紫外線、これによってSARSは終息したわけですよ、夏には。なのに、何で三カ月おくらせるという判断ができなかったのか。五月にやらせていただくよ、二週間前から自己申告でチェックするから大丈夫ですよって、これは相当地域のひんしゅくを買うと思いますよ。  ですので、こういった電力事業者の監督者として、電ガ部長や経産大臣には、ちょっとこれは、私はみそをつけたなと思いますよ、立地地域との共生という意味で。これはしっかりと指導監督をしていただきたいということを厳に申し添えたいと思います。  大臣、何か御発言はありますか。
  100. 梶山弘志

    梶山国務大臣 事実関係を確認をいたしまして、しっかりと検討してまいりたいと思います。
  101. 斉木武志

    ○斉木委員 では、大臣が提出されておりますこの法案中身に関してもちょっと言及をさせていただきたいと思います。  今回の法案中身ですが、私、今国会、経産委員会で何が電力に関して課題になったんだろうなと、記憶をひもといてみました。  一は、関西電力の金品受領問題ですね。一九六〇年代、七〇年代から、高浜町の森山元助役や浜田倫三元町長への不透明な資金提供、こういったもの。そしてまた、工事情報の提供による工事単価の上昇、これによって国民が不当に高い電力料金を請求されてきたのではないか。また、豊松元副社長に対して、金沢国税局に支払う自分の追徴課税分まで会社に出させたり、また、減額されているはずの役員報酬を、エグゼクティブフェローに退任した後も受け取って、月給四百九十万、年収六千万超、すごい退職者ですよね。こういうことをわからないようにやっていた体質、こういうことは多く国民のひんしゅくを買って、但木さんを中心に報告書が出てきました。  このやはり電力事業者のコンプライアンス違反問題、これは大きく私は今委員会では課題になったと認識しております。それは大臣認識は同じだと思います。  もう一つは、その問題を正すために業務改善命令を電事法六十六条に基づいて発出した際に、日付の改ざんを、電力・ガス取引監視等委員会と資源エネルギー庁担当者の間で、出す一日前に電取委の意見を聞いたことにしてくれ、六十六条の要件を満たしていなかったから、後からこの公文書を改ざんして、つじつま合わせを資源エネルギー庁とそして電取委事務局の間でやった。このいわゆる公文書改ざん、ミス隠し問題、これが関電を発端にした二つの大きな本委員会で電力に絡む課題だったと私は認識をしております。  ですので、これを二度と起こさせないための法整備というのが当然この電事法の一部改正案では求められると思うんですが、その認識、まず大臣、どうお考えですか、再発防止策として。
  102. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員御指摘のように、関電の不祥事、やはり常識外のところもありまして、業務改善命令等を出してしっかりとコンプライアンス、ガバナンス等を改善していかなければならないと思っております。これからのところもあります、これは。実際これからのところもありますので、しっかりとこれは見守ってまいりたいと思っております。  資源エネルギー庁における不適切な手続の件につきましても、これもあってはならないことであるということで、十分、今、省内での議論も含めて、処分もしまして、再発防止に向けた対応を検討しているところであります。
  103. 斉木武志

    ○斉木委員 だから、その再発防止のための仕組みを今回の電事法の中に私は埋め込んだらどうかという御提案をさせていただきたいんですね。その一つが電取委の組織体制です。  何よりも、電取の事務局長ともこの前の委員会でも質疑させていただきましたが、私、これは、やはり今の電取はよくやっていると思います。  なぜかといいますと、この電取というものは、そもそもできたのが二〇一五年、二〇一六年のときの電力自由化です。電力自由化のときに何を目的に彼らは設置をされたのか。それは、公正な競争を、旧一般電気事業者、東電や関電が妨げないようにするため。また、電力市場の取引が適正そしてリーズナブルな値段で行われる、公正な競争条件のもとに行われる。  例えばですよ、例えば関西電力さんが、大阪ガスが今度新電力として発電事業に参入してくる、でも大阪ガスは体力があるからほかの新電力事業者と比べて託送料金を高く請求してやれ、そして大阪ガスを抑え込んでやろうというようなことができてしまう。それを抑止するため、そして新電力がどんどん参入してきて、国民にチョイスが、選択肢がふえて、結果として電力料金が下がる、それを監視、要するに、託送料金の上乗せなどが新規参入者に対して行われないように監視するために私は電取という組織ができたと思っておりますが、そういう趣旨ということで、大臣も御認識、共有されていますでしょうか。
  104. 梶山弘志

    梶山国務大臣 公平性、透明性を高めるためにそういった組織があるものと思っております。
  105. 斉木武志

    ○斉木委員 私は、それはよく果たされていると思います。  ただし、そこに抜け落ちているのは国民の目線なんですよ。消費者の利益の保護という、電事法、本法案の、一条の第一文、目的規定、総則の第一項目めに書いてある、「この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによつて、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図る」、これが本法案目的ですね。まさに電気の使用者の利益の保護が第一目的と掲げられているけれども、電取の所掌事務というのは、名前も違いますね、電力・ガス取引監視等委員会なんですよ。まさにBツーBの、関西電力が大阪ガスをいじめてやれとか、そういったことができないようにする、取引の適正化のための委員会なんです。  ですから、この前の事務局長の答弁、これは国民の利益を保護するとかそういった視点が抜け落ちてしまっているし、私は指摘しました、レクの中でも答弁の中でも。何でなんだと。  関電の今回の不正、金沢国税局職員が告発したと言われていますけれども、あれが関電に行き、共同通信やマスコミには投げ込まれるけれども、電取には内部告発も通報も来ないし、そもそも、この委員会質問をしたら、我々の所掌事務ではありません、なぜなら取引の不正ではないと言うんですね。なぜなら、関西電力が工事業者に対して不当に高い特命発注をしたり工事単価が上昇したかもしれない、でも、それは電取の所掌事務ではないんですよと。  私は、それは大きく違うと思うんですよ。なぜなら、国民の利益を損なっているからです。工事単価が上がれば、結果として、当然、電力料金が上がるじゃないですか。関西電力は日本銀行券を刷れるんですか。通貨発行権がない電力事業者が工事単価を上げてしまったら、当然それは何らかの形で、人件費でもいいし、営業費でも渉外費でも施設維持費でも燃油代でも、何でもいいですよ、何らかの数字に紛れ込ませて、総括原価だったら当時の通産省、そして申請をするし、何らかの形で国民から徴収しなければ、裏金もつくれませんよ、上乗せの工事単価も出せませんよ。  こういうところをチェックする体制がそもそもないんですよ。この電取というのは取引監視ですから。国民の利益保護という視点が抜けているんです。  だから、私は、これを契機に、電力・ガス取引監視等委員会というのは、電力・ガス取引及びコンプライアンス監視等委員会にしなきゃいけないと思いますよ。会社のコンプライアンス違反ですね、関電の。関電が不当に高い特命発注を繰り返していた、そのキックバックを役員がもらっていた。  だから、コンプライアンス監視も、要するに、Bの中の、一般電気事業者の中のコンプライアンス違反も監視をする委員会にこれは強化拡充をしなきゃいけない。だからこそ、僕は、三条委員会というのも視野に入れなきゃいけないんじゃないですかということを言っていたんです。  三条委員会は一足飛びに難しい、公取みたいに外出しするのは難しいというのであれば、これは、取引監視だけじゃなくてコンプライアンス監視もしなければいけない。この点、どうお考えですか。
  106. 梶山弘志

    梶山国務大臣 関西電力、できていなかったわけでありますが、本来、法人、そういった会社組織というのは、コンプライアンスは社内でしっかりと監視をすべきだと思っております。  今回、ガバナンスを高めるためにどうするか、また、指名委員会等の設置会社ということも含めて、そういったものができるように、また、通報体制なども我々もしっかり考えなくちゃならないとは思っておりますけれども、そういったことも含めて再発防止に取り組んでまいりたいと思っております。
  107. 斉木武志

    ○斉木委員 いや、その答弁は、一般企業だったらいいんですよ、それで。コンプライアンスは企業の責任だでいいんです。でも、これは公益事業者です。電力・ガス事業者なんですよ。  電力事業者というのは、国民は電力を使えなきゃ生きていけません。産業も死んでしまいます。電力は、あまねく、企業にも国民にも必要なんです。では、今、自由化時代だから、関電が不祥事を起こしたら大阪ガスから買えばいいじゃないかと大臣はおっしゃるかもしれない。でも、違うんですよ。  数字を見てください。今の新電力と、旧一般電気事業者の電力供給に占める契約数、これ、日本平均で今、八六%ぐらいかなが旧一般電気事業者から、国民は、企業も、電力を買っているわけです。新電力と契約している人というのは一四%しかいないんですよ。寡占状態なんですね。携帯電話と同じような状況です。  これは、寡占状況にある旧一般電気事業者が不祥事を起こしたって淘汰されるだろう。淘汰されてきていないわけですよ、電力自由化からもう五、六年たって。いまだに寡占状況が続いているのが日本の電力市場、電力契約の実態ですから。そんな中で、お手盛りの工事発注で単価の高いものを国民にばんばんばんばん押しつけてきているような今の状況、これからも続けていくんですかという話です。  ですから、淘汰が進まない以上は、菅官房長官だって携帯電話どんどんどんどんやれやれと言うけれども、なかなか下がらない。楽天モバイルとかぶつけたりしてどんどん競争させようとするけれども、なかなか下がらない。  であれば、こういった公益、更に強い公益性を有する電力会社のコンプライアンス違反。いやいや、民間の淘汰の論理でやってくれ。淘汰されません。  ですから、コンプライアンス違反を犯したら、監視委員会がしっかりとそれを、まず垂れ込み、内部通報を受けられる体制に、経産省から独立をさせること。この別館に経産省の代表番号があって、電取が設置されています。原子力事業の推進官庁、電力政策の守護者である経産省に誰が垂れ込みしますか。だから、金沢国税局の職員と言われていますが、内部通報者も、マスコミと関電には通報したけれども、経産省はスルー、電取もスルーです。  だから、こういったやはり独立をさせるというのは一つ手だし、少なくとも機能強化は必要じゃないですか。取引を監視が我々の本務、職務なんだと、電取の職員、頑張っていますよ。でも、じゃ、関電の中の独占的、圧倒的ドミナンスを持っている、市場支配力を持っている東電や関電、中国電力、中部電力、そういった旧一般電気事業者の中の不祥事、結局、ツケを払わされるのは国民なんですよ。  だから、電気事業法一条の目的規定、電力使用者の、消費者の保護というのをやりたいんだったら、その目線に立った、その旧一般電気事業者、この独占的支配力を持っている旧一般電気事業者の不祥事も監視をするよと、監視対象としてチェックをしていく、通報窓口も設ける、通報、電話をかけやすいような独立の窓口を設けますよ、これは必要じゃないですか。
  108. 梶山弘志

    梶山国務大臣 報告徴収や業務改善命令といった現行法に基づく措置によって電力会社経営改善の実施を確保することは十分可能であるため、電力の適正な取引の確保を目的とする電取ではなく、経済産業省として、現行の電事法を最大限活用しながら、関西電力を始めとする電力会社がコンプライアンスに不断に取り組むように対応をしてまいりたいと思っております。  前回の委員会で、委員から御指摘がありました。これは外観的、外形的なことではありますけれども、代表の電話番号も変えたし、あと、いろいろなことを変えて、外形的なことも含めて、じゃ、まずはですよ、まずは外形的なところから入ろうというお話でもありましたから、言われたことはすぐに変えていくということと、内部もしっかり変えていきたいと思っております。
  109. 斉木武志

    ○斉木委員 それが国民の目にどう映るかなんですよ。内部通報をしようかな、垂れ込みをしようかなとしている人にどう映るかの問題ですので。  いまだに経産省の別館に置かれていますか。
  110. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まだ引っ越しはできておりません。
  111. 斉木武志

    ○斉木委員 ということは、引っ越しをさせるおつもりですか。
  112. 梶山弘志

    梶山国務大臣 私は、そのつもりで考えを申し述べております。
  113. 斉木武志

    ○斉木委員 これは非常に一歩前進だなと、歓迎したいと思います。  ですので、これは、であればですよ、切り離す、フロアを、ビルディングを切り離すというのであれば、八条から三条にしたらいかがですか。
  114. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほど申しましたように、電事法の中でもしっかりと電力会社に対するものはできていると思っておりますし、業務改善命令に問題があれば、修正を求めることも含め、独立した立場で確認をしていくということになると思います。  委員会の方は、私どもが出す業務改善命令に異論があれば、命令の内容に問題があれば修正を求めることもできる、こういった仕組みの中でしっかりと対応をしてまいりたいと思っております。
  115. 斉木武志

    ○斉木委員 私は、せっかく電事法をいじるのであれば、この今の電力の利用者の利益の保護という一条の目的規定が果たされていなかったし、加えて、資源エネルギー庁担当者と電取の担当者が日付を一日前にずらそうねというネゴシエーションができてしまう関係、これも問題だと思いますよ。六十六条をなきものにしてしまおうという。  だから、こういうことができないようにするためにも、私は、さっき言った、二つ視点があると思います。まず、資源エネルギー庁と少し切り離すということ。それともう一つは、国民の利益の保護。電力利用者に不当に高い関電の裏金が全部乗っからないように、関電で何かコンプライアンス違反があったらそれも調査の対象として加えると、事務局長、さっき手を挙げましたけれどもね、事務局長も職員も、これも我々の本旨なんだ、取引監視だけではなくて、コンプライアンス、取引及びコンプライアンス監視等委員会という形に拡充する必要があると私は思います。  ですので、具体的にちょっと提案させていただきます。  本法案の附則の第十二条に、「政府は、この法律の施行後五年を経過した後適当な時期において、電気供給体制の強靱性及び持続可能性の状況並びにこの法律による改正後の規定の実施状況を勘案し、必要があると認めるときは、当該規定について検討を加え、その結果に応じて必要な措置を講ずるものとする。」、附則の検討条項、この検討条項に、電力・ガス取引監視等委員会についての検討条項の追加をしたらいかがですか。  これは、衆議院の法制局に既にもう修正案をつくらせたんですけれども、この一条の目的規定を引いて、そのまま、一条のこの電力の利用者の利益の保護というのを引きました。電気等の使用者の利益の保護や電気事業等の健全な発達をより一層図る観点から、電力・ガス取引監視等委員会のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。この検討条項を十二条の後に一項目追加する、十二条の中の項目として追加する。これであれば、私は、自民党、公明党、維新そして共産党さんも、与野党問わず乗れると思うんですよ。  これは、言っているものはすごくハードルが低いですよ。要するに、国民ですね、国民の利益の保護。そして、電気事業の健全な発達をより一層図る観点から、その電力・ガス取引監視等委員会のあり方について検討を加えるだけですから。電力・ガス取引委員会は三条にしようとか、そういうアグレッシブなことを書くと多分乗れないでしょう。ですから、ここは、非常にマイルドな書き方です。検討を加えると。  今回、関電不正も見抜けなかった、しかも業務改善命令で資源エネルギー庁と文書改ざんまでやっちゃった。これを、再発防止が必要だと答弁されましたね。ですので、必要だったら、検討条項の中に、あり方について国会として検討を加えると、これを一文盛り込んだらどうですか。非常にマイルドな条項だと思いませんか。
  116. 梶山弘志

    梶山国務大臣 事前に修正案の内容を伺っておりませんでした。この場で評価を申し上げることは難しいと思っております。  ただ、今回の関電の不祥事、またさらに手続で不適切な件があったこと、十分に反省をしておりまして、この再発防止のためにしっかりとした形にあらわしてまいりたいと思っております。
  117. 斉木武志

    ○斉木委員 大臣は、私は、やる気だと受け取りました。電話番号は既に変えたし、引っ越しもさせるつもりだというふうにおっしゃっているので。やはり、ネゴシエーションですね、口裏合わせ、これができないような組織体制と文化に変えること、私はそこは大臣と問題意識は共有できているなと思うんですが、そこの問題意識は共有できていらっしゃるということでよろしいでしょうか。
  118. 梶山弘志

    梶山国務大臣 国民から見る目だけではなくて、物理的にもやはりそういったことができないような形にしていくということも重要なことだと思っております。  そして、自由化になったときにこの電取ができたわけでありますが、エネ庁側の体制も自由化になってから余り変わっていないということもありますけれども。  例えば、業務改善命令を出したりそういう対象者が、今までの電力会社だけじゃなくて小売だけでも六百四十を超えるものがある、それの、全部合わせると百者近いものがある。こういったものに関して、事務手続も含めてどういった形で監視をしていったらいいのか、また、しっかりとできるような体制にしていったらいいのかということも含めて考えてみたいと思っております。
  119. 斉木武志

    ○斉木委員 非常に問題意識の根底は共有できているなと思いましたので、ぜひ、具体的な電事法の改正、いじるというのであれば、検討条項にそれを担保する条項を加える。これは、後刻、理事そして与野党の筆頭理事にお渡しして、理事会でお諮りいただきたいと思いますので、委員長にもその取扱いをお願い申し上げまして、私の質疑を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  120. 富田茂之

    富田委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十八分開議
  121. 富田茂之

    富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柿沢未途君。
  122. 柿沢未途

    ○柿沢委員 柿沢未途でございます。  きょうは白いマスクなんですけれども、これも実はゆえんがありまして、山形県寒河江市に佐藤繊維さんという会社があります。こちらは、世界でここでしかつくれない糸をつくるということで非常に有名な会社でありまして、オバマ大統領の就任式で、お隣でファーストレディーのミシェル夫人が着たカーディガンをつくった、そういう会社なんですね。和紙を生地にしてお洋服をつくるんですけれども、これも和紙でつくった生地の抗菌マスクなんです。  今、結構テレビの番組でも取り上げられたりしているものでございまして、佐藤正樹社長はニットファッション業界のニューリーダーでいらっしゃって、日本でしかできないものづくりの最前線を山形県寒河江市という地方で行っている、そうした方でいらっしゃいますので、大臣始め皆さんにもぜひ知っていただきたいということで、きょうはこちらのマスクで登場させていただいたところでございます。  前回に引き続き宮下金融副大臣にお見えをいただいておりまして、午前中、この委員会でも、家賃、賃料支援に関する質疑がありました。先日も、この場で私なりの考えをお話をさせていただいたところでございまして、それについて御答弁もいただいたところですが、きょうは資料をつけさせていただいておりますけれども、金融庁さんも本当に頑張っていただいていて、金融機関に対して、例えば返済のリスケにテナントオーナーさんの借入れについて応じた場合、それを一律に、しゃくし定規に要注意先の債権として区分をする、そういう対応はしなくていいですよということをここで、五月八日付で示してくださっています。  大変そういう意味ではいいことだというふうに思うわけでありますけれども、一方で、じゃ、何で私のところには、こういう対応がなかなかまだ進んでいないかのような、そういう声が聞こえてくるのかなという気もしているんですね。ですから、霞が関から指示要請を出したということだけではなくて、やはり実効が上がるようにしなければいけないということだと思うんですね。  PCR検査についていろいろなことが言われますけれども、二万件の検査キャパシティーができた、そして保険適用でできるようになった、こういうことだったわけですけれども、しかしながら、ふたをあけてみたら、保健所がボトルネックになったりして、結局は、必要だというふうに判断され得るそうした方々についても受けられなかった、そうしたことが言われていたり、また、三十七度五分、四日間という、基準だか目安だかわかりませんけれども、そういうことについて、目安だということがうまく浸透し切らなかった、だから検査抑制みたいなものが現に生じてしまったということがあったわけであります。  ですから、金融機関に対してこういうリスケに応じていいということを皆さんにはお伝えしましたよ、要請しましたよということについて結果報告をお聞きをしますということをこのペーパーにも書いてありますから、この際、各金融機関がどういう対応をしたのかという報告を聴取をする、その報告に対して応えることによって、金融機関の各支店レベルにおいても意識が浸透していくということになるんじゃないかと思うんです。  ぜひそういう調査を行って、そして調査結果を吸い上げて、そしてまとめて公表していただきたい、こういうふうに思いますけれども、副大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  123. 宮下一郎

    ○宮下副大臣 前回に引き続いての御質問ありがとうございます。  先生おっしゃるとおり、まず、何といっても、今は家賃が、入居者、テナントである事業者皆様、また個人家賃支払いテナントビルのオーナー等の不動産関連事業者皆さん資金繰りにとって深刻な課題になっているということは言うまでもありません。  きょうも御紹介もいただきましたけれども、この五月八日のペーパーも含めて、金融機関に対しては、これまでも既往債務の返済猶予等の条件変更について迅速かつ柔軟に対応することなど、事業者資金繰り支援について要請を繰り返し行っているところであります。  そして、こうした要請の中で、テナントである中小事業者個人、またオーナー等の不動産関連事業者資金繰り支援のさらなる徹底について、金融機関皆さん要請をしております。  そしてまた、先生御指摘のように、要請しただけじゃなくて、それをどう実行していただいているのか、それを把握することが重要だ、こういう観点から、金融庁として、三月六日、金融担当大臣談話、これはペーパーでも出しておりますけれども、検査監督の最優先事項にこの顧客支援取組状況を位置づけるということにしまして、そしてこの三月六日に出した文書以降、特別ヒアリングということを新たに始めました。  この特別ヒアリングで、基本的に全ての預金取扱機関の対応状況等を確認する、また、必要に応じて立入検査を実施することとする、また、銀行法第二十四条に基づいて貸付け条件等の変更等の取組状況の報告を求める、こういうことで実態把握を行っているところであります。  今手元であります最新のものは、本年三月末時点における中小事業者における返済猶予等の条件変更の状況でありまして、これは既に公表しているところでありますけれども、三月末時点であれば、返済猶予が実行されたものと謝絶したものの比率でいうと、九九・七%実行されているということであります。  冒頭も申し上げましたとおり、家賃支払いテナントオーナー等の資金繰りが深刻な課題になっていると認識しておりますので、引き続き、資金繰り支援要請の趣旨が、まさに先生おっしゃるように、現場の担当、各支店まで浸透できるように、特別ヒアリング等も通じて金融機関の具体的な対応状況をしっかり確認してまいりたいと考えております。
  124. 柿沢未途

    ○柿沢委員 ありがとうございました。  そういう意味で、対応していただいていることはわかるんですけれども、実際にもし仮にこういう対応が各地でテナントビルオーナーの借入れの返済に関して本当に行われているようであれば、賃料に関して何とかしてくれというような声が全国からほうはいとして上がってくるということは、もっともっとある意味では和らいでいるのかもしれない、つまり、実効が上がっているのかどうかについて私は肌感覚としてやはり少し疑問に感じるところでありますので、これを申し上げているわけです。  この資料の裏面を見ていただくと、確かに書いてあるんです。条件変更等を迅速かつ柔軟に実施すること、そして、顧客の事情を勘案し特段の配慮を行うこと、書いてあるんですよ。書いてある。書いてあるけれども、じゃ、迅速かつ柔軟に実施することということは一体どこまで、どういうふうにやっていいのか、後から金融検査で何か言われるんじゃないかというふうに、やや曖昧な書かれ方なので、結局ちゅうちょしてしまうというような、こういうこともあるようなんですね。  ですから、もうこの際、本当にわかりやすく、テナントオーナーへの返済リスケに応じた場合も、一年以内なら格付変更なしで元本据置きでリスケしていいということをはっきり言う、そして金融検査のときにもそこはしっかり見るということをメッセージとして発する。ここまではっきり言わないと、やはりためらい、ちゅうちょが出てくると思うんです。  その点について、ぜひはっきり発信をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  125. 宮下一郎

    ○宮下副大臣 前回来申し上げておりますけれども、昨年十二月に金融検査マニュアルを廃止するなど、金融機関が顧客のさまざまな実情やニーズを踏まえて多様な取組を進められるように環境を整備しているところであります。  そして、先ほども申し上げましたけれども、金融機関による事業者個人への元本据置き等の迅速かつ適切な支援を促すために、三月六日には金融担当大臣談話を出しております。さらに、四月七日の緊急経済対策等におきまして、金融機関に繰り返し要請をする中で、債権の区分等についても、形式的な要件にかかわらず、事業者の実情を踏まえた金融機関の判断を尊重することを要請文に明示をして、そして金融機関においてその判断の適切性を否定しない方針を明確にしております。  金融機関には、こうした点を踏まえて、事業者への資金繰り支援、また伴走型支援に積極的に取り組んでいただきたいと考えておりますし、ヒアリング等々では、本当にそういう立場に立って支援をしてくださっているのかどうか、そういうことを聞くということで臨んでいるところであります。  こうした資金繰り支援要請とか金融検査の方針の明確化を受けまして、金融機関取組の中には、例えば、事業者のこれまでの事業実績の評価に基づいて今後も事業継続させていくことが必要だ、こういう観点から、一年間の元金据置きまた期限延長を実施した例もありますし、また、二年以内の元金据置きであれば案件を問わず支店長専決権限として条件変更を実行した例などの好事例も見られております。  また、こうした支援策が事業者皆様に広く周知されることが重要であると考えておりまして、現在、金融庁及び民間金融機関取組に関するリーフレットを作成をして金融庁ホームページに公表しておりますし、また、全国の自治体、商工団体等にも配付をして説明を行っておりますけれども、先生の御指摘も踏まえた上で、事業者個人に対する支援のさらなる徹底を図るために、金融機関に対する要請の趣旨の徹底につきましてどのような工夫ができるのか、更に検討してしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
  126. 柿沢未途

    ○柿沢委員 指摘を踏まえて更に検討する、こういう御答弁をいただきましたので期待をいたしたいと思います。同じ方向を向いているというふうに思いますので。  私がこのことを二回にわたってここでお話をさせていただいたのは、やはり家賃支援、信用支援制度法律がこれからつくられようとしている、与党の御検討中の内容も野党の検討されている内容も、どちらかというと結局かなり大きな税金を直接的、間接的に投入をする、こういう仕組みになっているわけですので、これを私はやはり最小限にできるし、その取組を今やっているわけですから、その実効性を上げることがまさに目の前の一番大事な喫緊の取組だというふうに思いますので、ぜひ副大臣におかれましては引き続きお取組を進めていただきたいと思いますし、それによって実際にテナントを借りて店舗を営業し、そして、地域の中でスモールビジネスをやっているような、そうした方々が救われるようにしていかなければならないというふうに思います。  副大臣、この時間まで御答弁ありがとうございました。  では、次の質問に移らせていただきたいと思います。  電事法の審議なんですけれども、後ほど本件については取り上げたいというふうに思います。  前回やはり御質問をしようと思っていたんですけれども、オンライン授業に関してなんですが、世界に比べて日本のオンライン授業の体制は、著しく、特に公立学校においておくれてしまってきていたということが、現実にこのコロナに直面をして極めて大きな深刻な問題になってしまっているわけです。  結果的に、今、子供たちは在宅で、言ってしまえばほっぽらかしにされていて、オンライン授業だといって何か先生方が急に自分の授業の動画を撮っているみたいなことが聞こえてくるんですけれども、ちょっと本当に、いきなり火事場で慌てふためくような対応になってしまっていて、保護者の皆さんの不安が広がることもこれはやむを得ないと思うんですね。  小中のみならず、高校、大学も同じであります。そうした方々に対して、オンライン授業を受けた場合に、通信料について、学生、子供たちに対してはもう通信料をいただかないという対応を通信各社がしています。通常、一ギガ当たり千円の追加料金がかかるというのが相場らしいですけれども、これは五十ギガまで無料というような対応をしている。これは通信各社の負担によってそうしたことをやっていただいているわけですけれども、現実にこのような対応を仮に政府がやるとなると、通信各社の負担の分は一体どのぐらいになるのかということをお尋ねを申し上げたいと思います。  その上で、今、私の地元の江東区でも、タブレットがない、そうした子供たちの御家庭にタブレットをその分だけ調達して無償で貸与するということが、予算繰りが決まって、実行されることになりました。端末は行くんです。ルーターも行きます。問題はその通信料なんですよ。ずっとオンラインでライブで動画視聴して、一日じゅうそれをやっていたら、それは通信料だって大変なことになると思うんですね。  経産省は、これは文科省が考えることだみたいなことになる可能性はあるんですけれども、もともとは、エドテックで、授業コンテンツに関しては経産省のホームページで「学びを止めない未来の教室」、あれはすばらしいですよ、すばらしい授業コンテンツがこの経産省のウエブサイトを通じてリーチできるようになっているわけです。  通信料のことは総務省に聞いてください、こんなことは言えないと思うんですよ。ぜひ、環境を整えるという意味で、今はちょっとそこが曖昧な状態になっていますので、端末を配るだけじゃなくて、この通信の問題もぜひカバーをしていただきたいという思いのもとに、御質問をさせていただきたいと思います。
  127. 竹村晃一

    ○竹村政府参考人 お答えをいたします。  総務省では、去る四月三日に、事業者四団体経由で関係事業者に対しまして、通学できない学生の教育機会を確保するため、携帯電話の通信容量制限の緩和など柔軟な措置をとるよう要請を行ったところでございます。  本要請を受けまして、主要携帯電話事業者を含む計二十九社が、各事業者の判断により、従量課金制のプランに加入しております二十五歳以下の利用者に対し、四月以降の追加データ容量分の料金を請求しないなどの措置を講じております。  お尋ね負担額でございますけれども、この措置は、各事業者が自主的に取り組んでいるものであり、国が損失を補償すべきものではないことから、各事業者の具体的な負担額を把握することまでは考えておりませんが、今後、必要に応じて、本措置に関する利用実態を確認することを検討してまいりたいというふうに考えております。
  128. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回のコロナウイルス感染症の拡大をしていく中で、こういう遠隔教育、遠隔医療等の社会実装のおくれというものを改めて感じているところでありますけれども、経産省は、IT戦略本部、文科省、総務省と連携しながら、小中学校に一人一台端末、高速通信網を整備するGIGAスクール構想を中核とする教育のIT化を推進をしているところであります。  特に、一人一台パソコンの配付計画の前倒しや自宅学習時の生徒や教師の通信環境整備への支援を文科省などに御提案するとともに、エドテックと呼ばれる、学習用ソフトウエアの学校への試験導入を支援するなど、総合的見地から対策を考え、関係省庁と協力をして実現をしてまいりました。  経産省としては、引き続き、全国の学校や教育業界から寄せられる声をもとに、関係省庁と協力をして、子供たちの学習機会の確保に必要な対策を講じてまいりたいと思いますし、委員がおっしゃるように、しっかりと一体となって、しっかり、どういう質問にも答えられるような体制で進めていかなければなかなか進まないと思っておりますので、しっかり頑張りたいと思っております。
  129. 柿沢未途

    ○柿沢委員 大臣、ありがとうございます。  ただ、大臣の御答弁は、やはり一般論的な部分にとどまっているような印象があります。小中学校の児童生徒で九百八十万人、大学、短大、専門学校、三百九十万人、高校生もいますけれども、こういう人数で、私もちょっと計算してみたんですけれども、このオンライン授業を全員が受けるとして、その通信料を仮に負担しようと思うと、これは相当膨大な額になります。相当膨大な額になるけれども、膨大だからやらないとなると、今度は保護者や御家庭がそれをまたかぶるということになるわけで、どっちがかぶらなきゃいけないかといえば、やはり公的にカバーをしなければいけないということだと思うんです。  大臣、もう一声、御答弁お願いしたいと思います。
  130. 梶山弘志

    梶山国務大臣 なお一層頑張ります。
  131. 柿沢未途

    ○柿沢委員 必ずこれは保護者から大きな不満のクレームの声となって自治体にも国にも寄せられることになると思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。  マイナンバーについてのことなんですけれども、五月末でマイナンバー通知カードが廃止になるんですね。そう聞くと、マイナンバーカードがもう交付されなくなるのかと思って、みんな慌てふためいているような感じがあるんですよ。  そもそも、マイナンバーカードを通じたオンライン申請だみたいなことで、市町村、自治体の窓口も大変なことになってしまっていて、そのことにまつわる問題を言い始めると、もう時間が足りないわけですけれども。私が申し上げたいのは、マイナンバー通知カードで、QRコードとかID番号を使って、マイナンバーカードの交付のオンラインの申請をするということができるようになっているわけですよね。ですから、これをやりたいと思って捜してみたら、通知カードはもうないという人、物すごくたくさんいると思うんですよ。これで、五月末日で廃止で、再交付も受けられませんということになったら、私は、五月末を一つの時期に、大変な混乱と騒ぎが起きる気がするんです。  これは、平時だったら五月末廃止でまあまあ予定どおりよかったのかもしれませんけれども、今の状況でこの通知カードの再発行を五月末でやめちゃったら大変なことになると思うので、これは再考していただいた方がいいと思うんです。  ぜひ、その点について御答弁いただきたいと思います。
  132. 森源二

    ○森政府参考人 通知カードの件でお答えを申し上げます。  通知カード、これは、昨年成立をいたしましたデジタル手続法の一部施行日、五月二十五日でございますから、この日から、新規発行だとか記載事項変更の手続などが廃止をされる、今後は個人番号通知書というものが交付をされるということになっております。  通知カードの制度が廃止をされた後でございましても、今お手元にその通知カードに同封されたQRコードつきのマイナンバーカード申請書をお持ちの場合にはマイナンバーカードのオンライン交付申請はもちろん可能でございますし、仮に通知カードに同封された申請書を紛失されている場合でございましても、通知カード自体の再発行というようなことを求めなくても、マイナンバーカードのホームページから、これは手書き用の交付申請書をダウンロードした上で郵送による申請というものが可能でございます。  また、その通知カードの制度廃止の前後にかかわらず、市区町村におきまして、これは無料でオンライン申請に必要なQRコードつきの申請書の交付を受けることもできるわけでございまして、マイナンバーカードの申請が可能となるよう対応を行っているところでございます。  誤解が生じないように、こうした趣旨について更に十分に周知を図ってまいりたいと存じます。
  133. 柿沢未途

    ○柿沢委員 それは絶対わかりませんから。それは絶対わかりませんから。今、笑いが出ましたけれども、これは本当に深刻な問題だと思いますよ。ホームページで、ダウンロードして、手書きで、郵送すれば、申請できます。こういうことをやっているから、特別定額給付金の現状の混乱もある、区市町村の窓口の負担も増している、こういうことになっているんだと思うんです。  QRコードでそのまま申請できるというのは物すごい、今のスマホになじんだその方々からすれば、やりやすい方法なんですよ。今それをやろうとしたら、区市町村にみたいなことがありましたけれども、通知カードがあるかないかで大きな違いになるんですよ。  通知カードを、じゃ、再発行するしないはともかく、そういう手法で、せっかく、マイナンバーカードをみんな持っていた方がいいねと政府方々はみんな思っているわけですから、今、ある意味ではそういうふうに皆さんが思い始めているときなんですから、もっと簡便で、そして、マイナンバーカードの取得、交付申請につながるような手法を講じるべきだと思いますけれども、もう一回答弁してください。
  134. 森源二

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  先ほどもお話し申し上げたところでございますけれども、市区町村におきまして、これは無料でオンライン申請に必要なQRコードつきの申請書の交付を受けることができます。これは、出向かずとも郵送での送付ということも可能でございます。  こうしたことを、誤解の生じないように、十分周知徹底を図らせていただきたいと存じます。
  135. 柿沢未途

    ○柿沢委員 私は提案型で、余り批判めいたことをちくちく言わないつもりでいるんですけれども、マスクの検品に八億円使っているんだったら、これをやはりもっともっと国民の皆さんに伝わるように周知をする、お知らせする、こうしたことを取り組んでいただかなきゃいけないというふうに思います。  ぜひ、きょう総務省に持って帰っていただいて、五月いっぱいですから、来週、再来週ぐらい、そうしたメッセージが発信されることを目を皿のようにして見ておりますので、また経産委員会にお出ましをいただくような機会がないことを祈っております。  御答弁ありがとうございました。お引き取りいただいて結構でございます。どうぞ。  電事法に関してですが、時間がなくなってきましたので、一問ほどさせていただきます。  今回、送電網を、これからの電力システムに対応するようなそうしたものに、ある種バージョンアップしていこうという趣旨がこの法案の中には相当盛り込まれていると思います。  それで、振り返ってみますと、昨年は送電容量の空き容量問題というのがかなり注目をされたことを思い出すわけです。送電系統の、送電網の空き容量がゼロだと言っているけれども、よくよく調べてみるとこんなに使える部分が計算の仕方によってはあるじゃないか、こういうことであった。しかし、電力会社はそんなことはないということで、ある種論争になったわけですけれども。  これに関して非常に注目すべき動きが昨年ありまして、これが資料の二枚目ですけれども、東京電力パワーグリッドが、千葉県の送電系統について、今までのやり方ではなくていわゆる実潮流ベースで空き容量を調べてみたところ、何とですよ、何と一銭の追加工事の費用をかけないで、何もしないで五百万キロワット分の空き容量が出て、それだけの再エネの接続が可能ですということを言い始めたんですね。オーバーフローする、そうした時期があるから、そのオーバーフローする時期を一つのアッパーリミットとして、それ以下の部分は、使ってこなかったのを、これをほとんどの日はあけられると。仮にオーバーフローして出力抑制しなきゃいけないとすれば、もうこの部分のごくごく一部だということ、これがわかったわけです。  これは非常に、やはり、発電、送電分離で送電網を有効活用して、それで送電会社は収益を上げなきゃいけないということですから、やはりこうせざるを得なくなってきているのかなというふうに思うんですけれども。私はこの姿勢の転換は非常に評価すべきことだというふうに思うんですけれども、しかしながら、じゃ、九電力の、あるいは十電力の大手電力会社のほかのところはどうしているんだということなんですよ。この話はこの話でいいんですけれども、ほかのところにそうしたことが広がっているのかどうかが全く見えてこない。  これから送電系統を高度化して、十二分にいっぱいに活用して、そして再エネを入れていくということを考えたときに、これはやはり国としてこういうことを推進していく姿勢をもっと明確にしなきゃいけないと思うんですけれども、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
  136. 梶山弘志

    梶山国務大臣 再エネのさらなる導入拡大のためには、まずは既存の送電網をできる限り合理的に活用していくことが重要であります。  そのため、過去の実績をもとに将来の電気の流れをより精緻に想定をし送電線の空き容量を算出する方法の導入といった取組や、系統が混雑しているときには出力制御を受けるといった一定の条件のもとで新たな電源の送電網への接続を追加的に認めるノンファーム型接続と呼ばれる仕組みの導入を進めております。  その取組一つとして、御指摘のとおり、東京電力パワーグリッド管内の千葉エリアにおいてノンファーム型接続の仕組みが導入され、仮に再エネを五百万キロワット追加した場合でも出力抑制時間は相当程度低い想定であると認識をしております。こうした新たな取組は、千葉エリアに加えて、ことし一月には茨城県の鹿島エリアや北東北エリアにおいて実施をされたところであります。  ノンファーム型接続の仕組みは再エネの導入加速化に資するものであることから全国に展開をしていくことが重要と考えておりまして、送配電事業者に対しても同様の取組を求めてまいりたいと思っておりますし、また、周知を図ってまいりたいと思っております。
  137. 柿沢未途

    ○柿沢委員 御答弁ありがとうございました。  着実に広がっているということではあると思いますが、ぜひこうした取組が全国各地でしっかりと定着するようにしていただきたいと思います。  電事法関連の質問を幾つか残してしまいましたので、恐らくこの質疑は続くと思いますので、またの機会にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  138. 富田茂之

    富田委員長 次に、宮川伸君。
  139. 宮川伸

    ○宮川委員 立国社の宮川伸でございます。  きょうは、六ケ所村の再処理工場の問題に関して質問をいたします。  原子力規制委員会は、この前の五月十三日に、安全対策基本方針が新規制基準に適合すると認める審査書案を了承しました。これで六ケ所再処理工場の稼働がかなり前に進む、前進するということだというように思います。  この再処理工場は、もともと一九九三年に着工されましたけれども、完成時期はトラブルなどが頻発しまして二十四回延期されて、建設費は当初の四倍、約二・九兆円に膨らんでいるというように聞いております。  電力システム改革を考える上で、私は、エネルギー全体がどういう状況になっているのかということを見るのが非常に大事だというように思います。  もう一つ、福島第一原発事故があって、やはり安全面に関して考え方が大きく変わったということでありますけれども、この再処理工場というもの、私は、東海村の再処理工場は見学をしたことがあります。それを見たときの私の印象は、実際の原子力発電所よりも再処理工場の方がやはり技術的にも、安全面で非常に厳しいというのが私の印象でした。大きな爆発は起こらないかもしれませんけれども、長期間にわたって、自然災害、人災も含めて、事故がない状況で維持し続けるのは再処理工場は非常に難しいというのが、今、私の持っている印象であります。  そういったことも踏まえて、ちょっと質問に入りたいと思います。  まず、六ケ所の再処理工場がフル稼働した場合に、大気中に放出される放射性希ガスは何ベクレルでしょうか。
  140. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  六ケ所再処理工場において年間の最大処理量である八百トンの使用済み燃料を再処理した場合における放射性希ガスの推定大気放出量は、約三十三京ベクレルと承知してございます。
  141. 宮川伸

    ○宮川委員 それでは、その量がどのぐらいかというのを考える上で、例えば平成二十九年の九州電力川内原発が大気中に放出した放射性の希ガスは何ベクレルで、これを見た場合に、六ケ所村から出るものは何倍ぐらい多いんでしょうか。
  142. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  九州電力が原子炉等規制法第六十七条第一項に基づいて原子力規制委員会に報告した内容によりますれば、平成二十九年度に九州電力川内原発から大気中に放出された放射性希ガスの、これはクリプトン等になりますけれども、量は約八億一千万ベクレルと承知してございます。  六ケ所再処理工場において年間の最大処理量である八百トンの使用済み燃料を再処理した場合における放射性希ガスの推定大気放出量は、先ほど申し上げたように三十三京ベクレルでございますので、機械的に計算いたしますと、川内原発の約四億倍となるわけでございます。  なお、放射性希ガスを含む放射性物質の放出による六ケ所再処理工場の敷地外における人体への推定被曝量は最大で年間約〇・〇二二ミリシーベルトになりまして、これは規制基準である年間一ミリシーベルトよりもはるかに低い水準となってございます。
  143. 宮川伸

    ○宮川委員 今のは空気中でしたけれども、じゃ、同様に、海洋に出るトリチウム、六ケ所の再処理工場から出るトリチウムは最大で今何ベクレルと予想されているんでしょうか。
  144. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  六ケ所再処理工場における年間の最大処理量である八百トンの使用済み燃料を再処理した場合におけるトリチウムの推定海洋放出量は、約一京八千兆ベクレルと承知してございます。
  145. 宮川伸

    ○宮川委員 同様に、平成二十九年の川内原発と比べた場合に、川内原発はトリチウムはどのぐらい出ていて、それと比べた場合、六ケ所村は何倍ぐらい多く出ることになるんでしょうか。
  146. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  九州電力が原子炉等規制法第六十七条第一項に基づいて原子力規制委員会に報告した内容によりますれば、平成二十九年度に九州電力川内原発から海洋中に放出されたトリチウムの量は、四十六兆ベクレルと承知してございます。  六ケ所再処理工場において年間の最大処理量である八百トンの使用済み燃料を再処理した場合におけるトリチウムの推定海洋放出量は、約一京八千兆ベクレルでありますので、機械的に計算しますと、川内原発の約三百九十一倍となります。
  147. 宮川伸

    ○宮川委員 今のお話で御理解できたと思いますが、通常の原子力発電所を一つつくるのよりもはるかに多い量の放射性物質が出るというのが、まず一つあります。  では、今、このトリチウムを海に流すというので問題になっておりますけれども、福島第一原発において今ALPSで処理されておりますが、このたまっているトリチウムの量は幾らでしょうか。
  148. 須藤治

    ○須藤政府参考人 お答えをいたします。  東京電力福島第一原子力発電所においてタンクに貯蔵されているALPS処理水に含まれるトリチウムの総量は、およそ八百六十兆ベクレルと推計されております。
  149. 宮川伸

    ○宮川委員 これを、今まだ議論中ですけれども、三十年かけて放出するかどうかという議論をしていますが、仮にこの今議論しているもので流した場合に、これから六ケ所の再処理工場で流されるものと比較した場合に、六ケ所のものは何倍ぐらい多くなるんでしょうか。
  150. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  ALPS処理水の取扱いについては、ALPS小委員会の報告書において、風評への影響を抑えるために、処分の開始時期、処分量、処分期間、処分の際の濃度などについては、関係者の意見も踏まえて適切に決定することが重要であると指摘されており、現在、関係者の御意見を伺っているところと承知してございます。  今後政府として方針を決定していくものであり、具体的な数字を前提とした比較をすることは困難でありますけれども、先ほど答弁にあったように、貯蔵されているALPS処理水に含まれるトリチウムの量は八百六十兆ベクレルでございますので、六ケ所再処理工場において年間の最大処理量である八百トンの使用済み燃料を再処理した場合におけるトリチウムの推定海洋放出量が約一京八千兆ベクレルであることを考えますと、この比較でいえば、機械的に計算しますと、福島第一原発における貯蔵量の約二十倍となるわけでございます。
  151. 宮川伸

    ○宮川委員 私の理解は、これは、今福島の方はかなり薄めて出すということを考えているということだと思いますので、私が見ている限りは、数百倍濃いものが、六ケ所再処理工場の方は数百倍多い量が出るんじゃないかというふうに私は予想をしているところであります。  それでは、ちょっと副大臣にお伺いしたいんですけれども、ですから、これはかなりの量の放射性物質が自然界に出るんですね。健康には害がないという計算をしているということかもしれませんが、かなりの量が出ると。これは周辺自治体にはどのように説明をしていくんでしょうか。
  152. 牧原秀樹

    ○牧原副大臣 これまでも、日本原燃におきましては、原子力規制委員会の指導のもと、六ケ所の再処理工場の安全確保に万全を期すとともに、地元の皆様の理解を得られるよう、信頼関係の構築に向けて説明責任を果たしてもらいたいということを考えておりまして、そういうことをやっていると考えております。  なお、原子力規制委員会における審査手続が継続中であって、許可を前提とした具体的な地元説明のあり方についてはコメントを差し控えたいと思いますけれども、こうした丁寧な地元の自治体に対する説明を果たしてもらいたいということで臨んでいきたいというふうに思っています。
  153. 宮川伸

    ○宮川委員 これはきのうも新聞にもいろいろ出ていました。審査書案が了承されたということで具体的に動き始めているわけですが、もうちょっと、例えば、このぐらいの自治体は説明をしなきゃいけないとか、岩手県も説明しなきゃいけないとか、何かもう少し具体的な話はないのでしょうか。
  154. 牧原秀樹

    ○牧原副大臣 今はまだそういう段階でございますので、今のところ、特定の自治体にこういう説明をするというようなことは決めてはいないところであります。
  155. 宮川伸

    ○宮川委員 今説明をしていくというふうにお答えくださっていると思うので、ぜひ前向きに動いていっていただきたいと思います。  ちょっと説明をしますが、日本原燃さんが基本的には説明をするということだと思います。  それで、よく、企業がやるんだということを言われることがあるわけですけれども、この日本原燃さんは、ホームページを見ましたが、「理念・方針」、理念が書かれているんですね。この中にしっかりと「地域社会とともに発展する」ということが書かれていて、「地域の皆さまとの対話を深めます」と、当社の事業は地域の皆様の信頼なくしては成り立ちません、安全への取組において自己満足や過信に陥ることがないように、原子燃料サイクル施設の安全性やリスクについて丁寧に御説明しますというようなことが書かれています。  これはしっかり書いてあるのでやっていただきたいというふうに思うんですが、日本原燃さんは、実際には使用済燃料再処理機構、この機構さんが委託をしてやっていることになっているはずです。ですから、再処理というのはこの機構が責任を持ってやるということだと私は理解をしておりますが、じゃ、機構の方のホームページを見てみるとどうかというと、この理念や方針というものが何もないんですね。  その中で、理事長の挨拶というところで、私どもはこれまでの経緯も十分考慮して、引き続き関係自治体や地元の皆様の理解を得つつ、サイクル事業が安全を最優先に着実に実施されるように努めてまいりますと、一言書いてあるだけなんです。  私、経産省、機構の方をしっかり御指導をしていっていただきたいんですが、機構がしっかりと住民に説明をしていくということをやはり改めてお願いをしていきたい。ホームページにもしっかり、住民説明をしていくんだということを原燃さん以上にやるべきだ、日本原燃は委託されてきているわけですから、大もとの方がしっかりやるべきだと思いますが、もう一度、副大臣、お願いできますか。
  156. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  実際に事業実施主体となりますのは、規制委員会から許可をとって事業を実施していく主体自体は原燃になりますので、原燃がまず事業実施主体としてしっかり説明責任を果たしていくことはもちろんでございますけれども、機構の方もしっかりと正しい情報を発信し、御地元に、それから国民に理解を得ていくということが必要だと思いますので、これからも引き続き、我々としても機構を指導いたしまして、住民理解、国民理解が進むように取り組んでまいりたいと考えてございます。
  157. 宮川伸

    ○宮川委員 アクティブ試験というのが行われていまして、それの安全協定がありますが、こちらは三沢市や野辺地町、横浜町、東北町、東通村、こういったところも安全協定を結んでいますので、しっかりとこういったところにも説明をするということをお願いしたいと思います。  それで、次に移りますが、更田委員長にお伺いをしたいと思いますが、何でこのコロナの時期にこのようなことが進められているのか、何か大きな理由はあるんでしょうか。
  158. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  この六ケ所、再処理に係る判断、この案をお示しするに当たって、既に会見等でも私の見解を申し上げているところなんですが、できればより落ちついた環境で、通常の環境下で行いたいというふうに考えておりました。  しかしながら、一方で審査書の案が整ったのであれば、いたずらにおくらせることなく議論や判断を行うことは行政機関としての責務であると考え、当初予定されていたものとコロナの影響、ほとんどなかったと考えておりますけれども、審査書案の提示に係る手続を進めたところであります。
  159. 宮川伸

    ○宮川委員 パブリックコメントが行われていると思いますが、このパブコメの期間は何日までなんでしょうか。
  160. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  パブリックコメントを行うことを決めたのが一昨日、十三日ですので、五月十四日から三十日間となっております。
  161. 宮川伸

    ○宮川委員 私、更田委員長緊急事態宣言の重みといいますか重要性を委員長は十分理解されていないというように思います。この緊急事態宣言、あるいは憲法に緊急事態条項を含める、こういった議論の中で、少なからぬ国民が慎重であるべきだということを言っています。  なぜそういう意見が出るのかといえば、緊急事態宣言が出ているときには国民の権利が抑制されるかもしれない、人権が抑制されるかもしれない、だけれども、今、コロナで、非常に大切な命を守らなければいけないから、一人一人の権利が抑制されても緊急事態宣言が出されているわけですよね。  ですから、この権利が抑制されているということを加味して、何をやらなければいけないかということを判断しなければならないのに、パブリックコメントを緊急事態宣言が出されている間にやると。  もう一度、どう思われますか、それ。適当ですか。
  162. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  これまでの原子力発電所に対する科学的、技術的意見の募集、いわゆるパブリックコメントですけれども、これを行ってきました経験を踏まえますと、三十日間の中で、多くのものはその三十日間のごく後半に集中をして意見をいただいています。また、意見のほとんどはEメールないしはファクスという形でいただいておりまして、そういった意味で、三十日間という期間を考えると、緊急事態宣言下であっても大きな影響は出ないものというふうに判断をいたしました。
  163. 宮川伸

    ○宮川委員 私、更田委員長認識は誤っていると思います。自治会にしても、皆さん、集まることができなくて大変今困っている方々がたくさんいらっしゃいます。  そういった中で、せめて緊急事態宣言が解除されてから、ある一定期間パブコメがやられるようにすべきだと思いますが、どう思われますか、委員長
  164. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  繰り返しになりますけれども、これまでパブリックコメントを行ってきた実績に鑑みると、現在の時点で、その三十日間を、改めて期限を考え直すというようなことは、変更するというようなことは考えておりません。
  165. 宮川伸

    ○宮川委員 時間になりましたのでこれで終わりますが、私、緊急事態宣言が出されていて、皆さん本当に、この経産委員会でも何度も厳しい状況の話をしました。国民が一体になってこの問題を解決しなければいけない中で、国民が割れるような議論は今持ち出すべきではありません。  その典型的なものが、検察官の定年延長の問題。そして、辺野古の埋立て。これも、沖縄県に、こんな時期なのに何千枚もの書類が出されていると聞いています。  この件も同じです。こんな時期にやるべき問題ではないということを改めて主張して、国民のためにぜひ考えて動いていただきたいということをお願いをして、私の質問を終わりにします。  ありがとうございました。
  166. 富田茂之

    富田委員長 次に、田嶋要君。
  167. 田嶋要

    ○田嶋委員 田嶋要です。よろしくお願いします。  きょうは、大臣と、そして副大臣もお見えでございますけれども、お見受けするところ、きょうもアベノマスクは誰もしていらっしゃらない印象でございます。きょう、本会議場で与党席を見ましたけれども、お一人だけ、石田前総務大臣がアベノマスクをされておりました。少し、やはり国民から見ると不思議な光景が広がっているような感じがしますね。内閣不一致のような感じがいたします。ぜひ、総理がこだわっておられるマスクなので、もうこれは東京は大分進んでいるそうですよ、配られ始めております。東京、大阪で配付が始まっているということなんですけれども、町中でもまだ、私は全然見かけませんね。引き続き、非常に疑問符がつくマスクの問題も取り上げていきたいと思いますが。  きょうは法案が出されましたので。大臣、午前中、斉木委員といいやりとりをしていただきまして、よかったと思っておりますが、なぜこの法案をこういうコロナの中でも審議してほしいかという理由の一つとして、夏の台風シーズンが近づいているからということをよく言われるわけであります。したがって、一昨年の胆振東部、そして昨年の千葉の台風十五号を始め、そこから得られた教訓をこの法案の中に反映させているんだということのようでございますけれども、詳細は来週も質問させていただきたいと思いますが。  であれば、やはり午前も指摘がありました、もう私たちは忘れちゃいけない、関電のあの原発マネーの問題や、そして、あろうことか経産省そのものが、法案を出している経産省からあんな不祥事が起きたら、ひょっとして私は、ちょっと恥ずかしくて法案のお願いなんてできないから一回引っ込めさせてもらいますぐらい来るかなと思ったんですよね。それを普通な顔をして審議してくれと言うんだったら、やはり自然災害の教訓を反映している修正であると同時に、午前中もありました、そうした不祥事が二度と起こらないような何か強化の側面もこの法案の中に私は入れるべきだというふうに思うんですね。  大臣、私、先ほど筆頭理事法案修正も出させていただいておりますので、ぜひ政府からもバックアップしていただいて、これは与野党超えて、あんなことが二度と、事業者にも、言うまでもなく経産省にも、あっちゃならないということでありますから、お願いしたいと思います。よろしくお願いします。大臣、お願いします。
  168. 梶山弘志

    梶山国務大臣 関西電力の問題、そしてエネ庁の不適切な手続の問題、二度と起こさないように、再発防止の策をしっかりと行ってまいりたいと思っております。
  169. 田嶋要

    ○田嶋委員 第三者委員会に対する質疑もまだこういう状況の中で実現はしておりませんが、もうずっとそのことも引き続き、諦めるわけにはまいりませんし、やはり国民のために、そして、原発産業も含めてこのエネルギーの業界が怪しまれないように、やはりしっかりと情報公開、説明責任を果たしていかなきゃいけない、そのように考えております。  大臣には、ほかの電力会社に対してもしっかりとした説明責任を求める動きもしていただいておることにも、この場をおかりして感謝を申し上げたいというふうに思います。  それでは、最初の質問でありますが、今回、この法案は、電力システム改革、ついこの四月、先月からいよいよ法的分離も行われたということで、私もかかわりましたが、二〇一五年あたりから三段階にわたって進められてまいりました。大変な大きな改革だったと思うんですが、そうした一区切りがついた中で今回この法案が出てきたわけでありますが、改革との関係を確認させていただきたいと思います。  電力システム改革は第一幕がようやく完遂されたという状況でございますけれども、この一連の法案というのは、その改革の第二幕のスタートという位置づけでよろしいでしょうか。
  170. 梶山弘志

    梶山国務大臣 平成二十五年に閣議決定されました電力システムに関する改革方針では、電力システム改革の目的を、安定供給の確保、料金の最大限の抑制、需要家の選択肢や事業者事業機会の拡大としており、三度にわたる電気事業法の改正を経て、電力システム改革の取組を着実に進めてきたところであります。  ことしの四月には発送電分離も行われたところでありますけれども、再生可能エネルギーの導入であるとか災害時の対応であるとか、また自由化であるとか、さまざまな、環境が変わってきておりますので、改革はずっと続くものだと思っております。
  171. 田嶋要

    ○田嶋委員 本当にそのとおりだと思います。あれで終わりなんということは絶対ないわけでありまして、足をとめることなく。  状況は刻々変わっております。例えば、今おっしゃっていただいた安定供給というのも、これは昔から言われる話ですが、十年前の安定供給の意味と、これだけ分散エネルギーが入ってきているときの安定供給の意味はまるきり違う、むしろ安定的な需給バランスをとることが今は中心になってきて、一方的に供給だけの話じゃもはやない時代でありますから、不断の改革に取り組んでいきたいというふうに思いますし、その第一歩にこれがなるように期待をしたいと思います。  しかし、やはり新たな提案をされるんだったら、今までやってきたことはどうだったのかということの検証がどの程度できているのか。少なくとも余り聞かれませんね、私たちのところには。民間の自然エネルギー財団など、もう既にこの三ステップで行われた改革の評価のレポートまで私のところにも届いているところでございますけれども。  大臣、それは、今どのように評価されているんですか。後ほど出ます広域推進機関とか、あるいは先ほども出ました電取委、設立されてしばらくたちました。当然、法的分離は始まったばかりでありますが、推進機関の役目、果たして期待したことが起きているのか、あるいは電取委、先ほども出ました、そうしたことに関する評価というのは、きょう時点でどのぐらいなされているのか。そして、重ねて、KPIですか、鍵となる、目標を達成するターゲットですね、そういうものを設定されておるのかを確認したいと思います。
  172. 梶山弘志

    梶山国務大臣 二〇一七年四月二日に閣議決定されました電力システムに関する改革方針において、安定供給の確保、電気料金を最大限抑制、需要家の選択肢や事業者事業機会を拡大するという三つの目的を掲げ、三段階の改革を行うこととしております。  二〇一六年の小売全面自由化以降、新規参入者による電力供給は順調に伸びており、全体の販売量に占める新規参入者の割合は、小売全面自由化が開始された二〇一六年四月には約五%だったのに対し、二〇二〇年一月時点では約一六%に到達をいたしました。このように、自由化以降、一貫して増加傾向が続いているということであります。また、こうした競争の進展により、事業者は創意工夫に富んださまざまな料金メニューやサービスを提供するとともに、需要家はニーズに応じてそれらを選択できるようになりました。さらには、地域や業種の垣根を越えた事業者の合従連衡などがあらわれるなどといった変化が生まれております。  今回の法改正の内容は、これまでの電力システム改革の方向性にのっとり、自然災害の頻発や再生可能エネルギーの導入拡大といった昨今の情勢を踏まえて、安定供給の確保を強化するとともに、託送料金制度改革を通じた料金の抑制や、アグリゲーター等の分散型の新しい電力ビジネスの促進をすることにより、需要家の選択肢や事業機会の拡大を図るためのものであります。ことしの四月には発送電分離も行われたところでありますが、電力システム改革を更に推進すべく、引き続き市場環境整備等の必要な改革を行ってまいりたいと思います。  電力システム改革に係る定量的なKPIに関する御指摘でありますけれども、大切なことは当初の改革の目的がしっかりと達成されていることであり、この目的や安定供給や環境への適合など、三つのEの観点から改革の進捗を確認しながら電力システム改革を進めてまいりたいと思っております。  ただ、この自由化に際しての組織のあり方というものもしっかり見ていかなければならないと思いますし、発足当初は、先ほどの議論でもありましたけれども、電力の出向者が多いというような形ですけれども、いずれ人材の育成も含めて、やはりプロパーをふやしていかなければならない、また役割、機能の分担ということもしっかりとしていかなければならないことだと思っております。  KPI等については、しっかりとまた、評価のあり方ということで、消費者等の状況、十分な競争圧力の存在、競争の持続的確保というような点も含めて、しっかり分析、評価をした上でお示しをしたいと思っております。
  173. 田嶋要

    ○田嶋委員 大臣、私の印象は、大臣は、意外とと言っちゃ失礼ですけれども、有言実行で改革していただいていると思います。したがって……(発言する者あり)意外とじゃないですね、はい。ぜひ引き続き頑張っていただきたいというふうに思います。  KPIがなければ、これから考えましょうよ。やはり、目標がはっきりしないのに、何か評価しづらいですよね。  私は、電気通信の世界で同じようなことを経験した身なんですけれども、やはりドミナントが八割とか市場を持っていたらだめですよ。それじゃやっている意味ない。同じようなのが競い合うような環境をつくらなかったら。だから、幾ら新規参入がふえたって、みんなで寄って、束になったって勝てないような状況が続いていたら、それはうまくなったと言えないでしょう。  資料の二枚目をごらんください。これは日経新聞に、この間ちょっと紹介しましたけれども、「このままでは撤退だ」、こういう悲鳴の声が上がっているんですよ、やはりこれは。私は大臣ほど今の状況は評価できないと思っています。潰されていっちゃうんじゃないかなという心配をしています。だって、守りに入っちゃうと、そちらはそちらで必死だけれども、我々は国民のためにこの改革をやっているんだから、中途半端はまずいですよ。  そしてまた、何か流れに逆行していくような懸念、以前申し上げた発電側基本料金なんて、大臣、あれを少しとめていただいているということも私は評価します。あれも、国民のためにならないんじゃないかという懸念の声がたくさん上がっているんですよ。それを、何か電取委中心にやっちゃおうなんて、絶対だめだぞと私も言っているんですけれども、大臣はとめてくれているという印象ですが、あれは今もとめてくれているんですよね。
  174. 梶山弘志

    梶山国務大臣 私の考えもあり、非効率な石炭火発などとの整合性、それのフェードアウトとの整合性も含めた制度にしなければならないという思いがございます。  済みません、もう一点。先ほどの答弁の中で、二〇一七年の四月二日の閣議決定と申しましたが、二〇一三年四月二日の誤りでございましたので、訂正させていただきます。
  175. 田嶋要

    ○田嶋委員 ありがとうございます。そういう意味ではとめてくれているという御答弁だったと理解いたしますけれども。  ぜひ今回のこの法案も、多岐にわたる、四本ぐらいの束ね法案なんですが、これは再エネを潰すような中身がよもや隠されていることはないでしょうね。これは我々、全部は見切れませんよ、はっきり言って。全部は見切れません、来週いろいろ審議すると思うんですが。  結果的に、発電側基本料金だって、多分、考えている人はよかれと思ってやっているんだと思うんだよね。ところが、それを懸念する声がたくさんあって、大臣はたまたまそういう方針で、ストップしていただいているというのは感謝しますけれども、これは入っていないですよね。そのことは御答弁でしっかり押さえておきたいと思います。  これは、再エネは日本は今でもほかの先進国より相当私はおくれていると思いますよ、風力発電なんか中心に、これから加速していかなきゃいけないんだけれども、むしろブレーキをかける中身はどこにもありませんと。大臣、確認してください。
  176. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回の法案は、自然災害の頻発や中長期的な脱炭素化の要請といった昨今の情勢の中で、持続可能な電気の供給体制を確保するためのものであります。  再エネの主力電源化に向けた措置としては、具体的に、再エネ特措法の改正により、再エネの電力市場への統合を図るためのFIP制度創設、太陽光発電設備の廃棄費用の外部積立てを原則義務化をする、また、再エネ大量導入を支える送電網の増強費用の一部を賦課金方式で全国で支える制度創設等々でございますけれども、今委員がおっしゃったように、流れを変えるような仕組みにはしていないつもりでございます。  そして、地域独占、総括原価方式の時代からやはり変わってきて、電力会社も本来のあり方もやはり変わるべきだという思いを持っておりますので、しっかりとそういった流れに沿った形でこの電力システム改革を行っていかなければならないと思っておりますし、また、さまざまな御助言もいただければと思っております。
  177. 田嶋要

    ○田嶋委員 経営陣も優秀な方が大勢いらっしゃるんでしょうから、本当に世界の大きな潮流をよく受けとめていただいて、それにあらがっていいことは本当にないと思います。石炭の話も全くそのとおりだと思っております。  それでは、一点、ちょっと具体的になりますが、電力広域推進機関についてお尋ねをしたいと思うんです。  今回、権能、役割をどうしようということを考えているのかということを、一つの大きな方向性として、大臣、御答弁いただきたいと思います。何をこの組織に関してしようとしている改正なのか。
  178. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  電力広域機関につきましては、システム改革の第一弾におきまして、当時委員にも御議論いただきまして、地域を超えた電力融通の指示などを行い、電気事業の広域的運営を推進することを目的として設立された認可法人でございます。  今般の改正におきましては、昨今の電気事業を取り巻く災害の激甚化、それから再生可能エネルギーの普及に伴う系統制約等といった課題を踏まえまして、こういった課題に対応するために、業務を大きく次の五つの分野で追加するという改革になってございます。  まず第一でございますけれども、災害関係の業務といたしまして、一般送配電事業者が作成する災害時連携計画の内容の確認、それから災害復旧の相互扶助制度の運用、これを追加してございます。  二つ目、系統整備関係の業務でございますけれども、広域系統整備計画を策定し、これを国に届けるとともに、計画に位置づけられた地域間連系線の整備に関する費用の一部を再エネ特措法に基づいて交付する業務、これを追加してございます。  それから、三つ目、四つ目、五つ目が再エネ関連でございます……(田嶋委員「いや、そこはいい」と呼ぶ)はい。こういった再エネ関連の業務を追加するということになってございます。
  179. 田嶋要

    ○田嶋委員 再エネ関係が三つで、その前が二つ、今おっしゃっていただきました。  私が非常に違和感を感じるのは、お配りした資料の4、これは実際に私が平成二十五年に、このシステム改革の第一弾のときに質問させていただきました。今官房長をされている糟谷参考人、それから茂木大臣に対しての質問なんですが、特に、この線を引いたところ、糟谷さんは、あのときの改革で、今後は、全国を見渡して、広域機関が定めるルールに基づいて全国的に最適な状況になるように図っていくと。  私は、あのときの第一ステップでもって、今回、今部長が説明された最初の二つの点は当然実現するというふうに理解をしておったんですね。したがって、北本連系線のボトルネックも、五十、六十のボトルネックも、ああ、広域機関というものをつくって、日本全体を見渡して、全体が一つの公共財のようにして、どこにもボトルネックをつくらずに、ここが細過ぎる、ここに金を投じろということを電力会社指示ができる関係ができるんですかという趣旨を聞いて、答えはイエスだったんですよ。お金に関しても、みんなで分担するんだよ、北本連系線を北海道と東北だけに払わせるわけにいかないじゃないですか、みんなで分担するんだよ、それも全部これは確認している。  ところが、今回いただいた資料の中で何が書いてあるかといったら、これまでは増強要請に都度対応して、結果として高コストの非効率になっているという、これまでのやり方の欠点が書いてあるんですよ。それで、今回変わるんですよと。  そうしたら、私、五年前の答弁で何かちょっとだまされたような感じがするんですよね。五年前からずっとやってきているんじゃないんですか、そういうような、今まで、効率のいい投資、全国を見ての推進機関による一元的な管理をしてきているんじゃないんですか、そして設備投資を。  大臣、ここは大事な点だと思うので、ぜひ御理解いただきたいんですよ。では、この改革、五年間やってこなかったということですか。道理で再エネがふえないなと私は思ったんですよ。どうなんですか。
  180. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  前回の改正でも、その改正の前までは、まさに各エリアが地域独占で、地域のエリアごとの最適しか考えていなかった世界だったわけでございます。それを壊して広域的な連携ができるようにしたというのが、前回の改革でございます。  そのもとの中で、今、例えば広域機関も、みずからが策定するルールに基づいて、全国的に最適化されるような系統計画の策定ができるようにはなっていて、その中で、北本の連系線の倍増ですとか、そういった一定の成果は得てきたわけですけれども、更に今回は国の関与を強める、更に踏み込んだ権能を持たせて、全国的な系統整備がより計画的に進むように、更に強い権能を広域に持たせた上で、その改革の方向を進めるというようになっているわけでございます。よろしいですか。
  181. 田嶋要

    ○田嶋委員 時間が来ちゃいましたけれども、いただいた資料に、結果としてこれまでは高コストで非効率だと言っているんですよ。  では、二〇一五年にこれをつくったときからきょうまで何をやっていたんですか。ここが一番、送電網の中で大事な話ですよ。ここが仕切って、北から南までボトルネックのないネットワークをつくるということが非常に大事だった。だけれども、何か、やってこなかった、そして、今になってこんなことを法改正するというのは、私はどうもよくわからない。  大臣、こういう問題があっちこっちにあるんじゃないのかなと思うんですよね。だから、まずは、きょうまでやってきた改革の評価と、そして、何を今回新たに加えたいのかということをもうちょっと明確にしていただきたいんですよ。  私は、この点は、糟谷さんはきょういませんけれども、せっかくあんな答弁をしたのに、何かちょっとだまされちゃったような気がするんですよね、正直言って。  大臣最後にコメントをお願いします。
  182. 梶山弘志

    梶山国務大臣 固定価格買取り制度が始まって約十年近く、そして自由化が始まって六年ということで、しっかりと組織の評価、総括というものもしなければならないと思いますし。  今の話ですと、北本の連系線も増強はしていたんです。だけれども、ほかのところも含めてしっかりとしたネットワークをつくらなくちゃならないねという中で、ノウハウも、接続とかそういうことも含めて、ネットワークの有効利用ということも含めて、ここの機関がしっかりと機能を果たすような努力をしてまいりたいと思います。  まず、しっかりと評価、総括をします。
  183. 田嶋要

    ○田嶋委員 最後に、糟谷さんも言っていたけれども、電事法の現在の二十九条の第六項第五号というのがありまして、指針で何でも決められるんですよ、現状も。だから、そうやって、勧告、そして、勧告で言うことを聞かなかったら命令、できる仕組みになっているんだから、別に法律なんか改正しなくたって、最大限の力を推進機関に与えて、それを委員会が公平性をしっかりとチェックしながら、そうやってやればいいんじゃないですか。  その五年間、非効率だとか言って、何か今までのやり方じゃよくないんだと言って、だったら、何か今までの改革をやってこなかったというふうに聞こえますよ。そういったことをしっかり検証していただきたいということを申し上げまして、きょうは終わります。  ありがとうございました。
  184. 富田茂之

    富田委員長 次に、江田康幸君。
  185. 江田康幸

    江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。  私もこの委員会にはかつて所属をしていたわけでございますが、委員長もさせていただきましたが、きょうは久々にこちらの方で、エネルギーに関して質問をさせていただきます。  本日は、エネルギー供給強靱化法でございます、これについての質疑でございますけれども、まずは冒頭、新型コロナウイルスの感染が今このように拡大をしているわけでございます。このたびのこの新型コロナウイルスの感染でお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、治療中の方々には、一刻も早く回復をお祈りするわけでございます。さらに、感染の危険性にさらされながらも懸命な治療そして診療に当たっていただいている医療関係者、全ての関係者の皆様に、心から感謝と敬意を申し上げたいと思います。  国として、更に感染拡大の防止を徹底していくとともに、国民生活、そしてまた経済活動、そのあらゆる支援を講じていくことを徹底していっていただきたいと思っております。これから、さらなる拡充に向けて、雇用を守るまた中小企業を守るための雇用調整助成金の拡充や、そしてまた、事業者資金繰りを支えるための民間金融機関における実質無利子担保融資や、そして事業者を支える持続化給付金の拡充など、あらゆる財政、金融、税制の政策手段を総動員して、中小企業また経済を守っていっていただきたい。これから、さらなる追加の投資、支援に向けても尽力をしていただきたいことを先に申し上げたいと思います。  それでは、この法案について質問をさせていただきたいと思います。  昨今、近畿地方で甚大な被害を出した一昨年の台風二十一号、また千葉県を中心に大規模かつ長期間の停電を引き起こした台風十五号を始めとして、自然災害が相次いでおります。また、ホルムズ海峡におけるタンカーへの攻撃や、そしてサウジアラビアでの石油施設の攻撃など、中東情勢は引き続き緊張状態にあるわけであります。  このような災害の激甚化、そしてまた中東情勢の緊迫化を踏まえると、国民生活、産業の基盤であるエネルギー供給体制の強靱化に向けた対応が急務であります。一方で、電力インフラは、まさに日本の基盤として持続可能なものでなければなりません。世界的な脱炭素化の潮流の中で、我が国も再生可能エネルギーの主力電源化という高みを目指そうとしております。従前の大規模集中から小型分散にも対応可能なように、電力システムも柔軟に変化していく必要があります。  これらを踏まえると、災害時の迅速な復旧や送配電網への円滑な投資、そして再生可能エネルギーの導入拡大等のための措置を通じて、強靱かつ持続可能な電気供給体制の確保を目指す本法案は、非常に重要なものと認識しております。  以下、本法案の意義と着実な政策の実施に向けた決意についてお伺いをさせていただきたいと思います。  第一点目に、梶山大臣にお伺いをさせていただきます。まずは、災害時の連携強化についてでございます。  昨年の台風十五号による長期間、大規模な停電からの復旧に際しては、被災した電力会社とほかの電力会社、あるいは自治体との連携に課題があったと認識しております。昨今の自然災害の激甚化を踏まえれば、もはや一事業者での対応は困難であります。関係者が総力を挙げて、円滑な連携のもとに迅速に災害復旧に取り組むべく、今回の法案では、送配電事業者に災害時連携計画の策定を義務づけることによって、電力会社、自衛隊そして各自治体を含む幅広い関係者間の連携を円滑化し、また、送配電事業者による災害復旧費用の相互扶助制度を新たに創設すること等で早期復旧を促すものだと認識しております。  ただ、災害時連携計画が十分な内容でなければ、そしてそれがしっかりと実行されなければ、これは絵に描いた餅であるわけでありまして、この計画にはどのような内容が盛り込まれようとしているのか。また、この計画の実効性はどのように担保されようとされているのでしょうか。  さらに、もう一つ、一般送配電事業者に対しては政府はどのような支援を考えているのか、大臣のお考えを伺います。
  186. 梶山弘志

    梶山国務大臣 台風などの災害による停電発生時には、一般送配電事業者が、他のエリアの一般送配電事業者や地方公共団体また自衛隊といった関係機関と連携して、電源車の融通や倒木処理、損壊した電柱や電線の復旧作業などを行うことが停電の早期解消にとって極めて重要なことであります。  一方で、昨年の台風十五号の対応に当たっては、その連携に課題が見られたために、本法案で、一般送配電事業者に対して災害時連携計画の策定等、経済産業大臣への届出を義務づけることとし、関係者の事前の備えの充実等、災害時の円滑な連携を図ることとしております。  その記載事項は、具体的には、復旧手法の統一化、例えば工具が違ったりケーブルの口径が違ったりというようなこともあって、他電力の方が手伝いに来ても、なかなかすぐに対応できなかったという例もございます。また、電源車の相互派遣など一般送配電事業者間の共同災害対応に関する事項や、倒木処理などに関する地方公共団体や自衛隊など関係機関との連携に関する事項、また共同訓練に関する事項などを想定をしております。共同訓練を通じて、そういった想定に対応できるようにしてまいりたいと思っております。  また、届出された計画の内容が適切でない場合や、記載された内容に基づいて事業者が対応していない場合には、経済産業大臣より勧告ができることとしております。これにより、一般送配電事業者の連携が円滑に行われ、迅速な復旧の実効性確保につながるものと考えております。  さらに、政府としても、過去の停電復旧データやAIなどを活用し、停電復旧に要する時間を予測するとともに、関係者間で情報を迅速に共有するプラットフォームの構築や、災害による供給支障を未然に防止するために、送配電線など重要インフラ施設の周辺において地方自治体と電力会社が連携して森林整備を支援するといった取組を進めてまいりたいと考えております。
  187. 江田康幸

    江田(康)委員 大臣、ありがとうございました。丁寧に説明をしていただきました。まさに政府取組が大変重要でございます。今のような中身が本当に明文化されることによって、しっかりと実質的な実効力のある災害時連携計画ができ上がるものと考えますので、どうぞよろしくお願いします。  次に、送電網の増強についてお伺いをさせていただきます。  我が党は、世界的な脱炭素化の潮流も踏まえて、太陽光、風力といった再生可能エネルギーの主力電源化を重視しております。我が国には、北海道からそして東北北部、そして私の地元九州の五島沖といったところにおいては、風力発電、洋上風力等の適地が存在しております。こうした再生可能エネルギーをしっかりと活用していくためにも、十分なネットワーク整備が重要となっているわけであります。先ほどもお話があったかと思います。  そのためにも、この再生可能エネルギーを始めとする電源のポテンシャルを勘案して、将来のあるべき系統計画、すなわち送電網のグランドデザイン、これは広域系の整備計画だと思いますが、これを示して、これに基づいて事業者が効率的に送電網を増強していくという役割分担が重要だと考えます。  その際、この送電網の整備、更新がコスト効率的に行われていくようにするため、その財源である託送料金制度においても見直していくことが必要ではないか。今回の法案には、まさに収入の上限を示すレベニューキャップ制度の導入が盛り込まれました。再生可能エネルギーの主力電源化時代にふさわしい送電網の整備、更新と、そのための託送料金制度改革に向けた梶山大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  188. 梶山弘志

    梶山国務大臣 我が国が目指す再生可能エネルギーの主力電源化や、これまでの大規模災害から得られた教訓を踏まえますと、今後は、我が国の電力系統のレジリエンスを強化しつつ、再エネの大量導入に対応した次世代型のネットワークに転換していく必要があると思っております。  再エネの導入を加速化していくためには、送電線への接続を円滑化する、すなわち系統制約を克服していくことが重要でありますが、これらの実現に向けては、送配電網の整備や利用が適切に行われるよう国民負担を抑制しつつ、その負担のための原資が着実に確保される仕組みづくりが重要と認識をしているところであります。  このため、国がしっかりと関与する形で再エネの導入のポテンシャルを踏まえた新たな系統の整備を計画的に進めるとともに、電力会社による送電網への投資がしっかりと行われるよう、必要な投資確保とコスト効率化を促すための託送料金改革を実現するための制度整備を本法案により実現したいと考えております。  しっかりと再生可能エネルギーの主力電源化を目指して、二〇三〇年の目標はありますが、それもキャップではない、それを超えてもしっかりできるような形につくってまいりたいと思っております。
  189. 江田康幸

    江田(康)委員 ありがとうございます。  引き続き、再生可能エネルギーにおいても大変重要な、災害に強い分散型電力システムということについて、中野政務官にお伺いをさせていただきます。  再生可能エネルギーは分散型電力システムの柱であります。昨今の災害対応の教訓から、主要送配電網を用いた一極集中型の電力システムではなくて、地域に存在する分散型電源を活用した分散型電力システムの構築が急務となっていると思います。  例えば、富田委員長の地元でもあろうかと思いますが、千葉県の睦沢町には、むつざわスマートウェルネスタウンという道の駅と、この周辺住宅に分散型電源で電力供給している地区があり、昨年の台風十五号で町全体が停電している中でも電力供給を継続したという事例をお聞きしております。  こうした分散型電力システムの推進のための環境整備として、今回新たに配電事業者やアグリゲーターといった事業者の類型が電気事業法に新たに位置づけられると認識しております。  これらの新たな事業類型の創設が、災害に強い分散型電力システムの構築にどのように貢献をするのでしょうか。また、配電事業が導入されることで、配電事業を導入する地域以外の需要家の料金がかえって上がるというような影響を受けることはないのでしょうか。さらに、この配電事業がうまくいかずに撤退する場合には、その影響はどのように対応できるのか。経済産業省見解をお伺いしたいと思います。
  190. 中野洋昌

    中野大臣政務官 江田委員の御質問にお答え申し上げます。  まず、分散型電力システムの構築でございます。台風や地震等の自然災害に対するレジリエンスを高めていくためには、地域に存在する分散型の電源を活用した分散型電力システムの構築が重要でございます。  今般の改正法案では、配電事業者に係る制度創設することとしておりますが、これにより、通常時には再エネ等の分散型電源が連携した配電網を主要系統と接続した形で運営し、災害時には当該地域の配電網を主要系統から切り離して独立して運用するといったことが可能となります。  まさに、先ほど委員御指摘いただきました千葉県睦沢町の事例のような、災害時においても迅速な復旧を行うことができる新たな事業者が数多く出てくることが期待されるというふうに考えております。  また、今般の改正法案では、再エネや自家発等の分散型電源等を供給力や調整力として束ねる、いわゆるアグリゲーターを特定卸供給事業者として法律上位置づけることとしておりまして、災害時等に国から当該事業者に対して供給命令を出すことで、電気の安定供給を確保することが可能となります。  また、御指摘ございました配電事業エリア以外の需要家の料金への影響につきましてでございます。  配電事業者の参入時の審査におきまして、需要密度が高く収益性の高い配電エリアが切り出され、それ以外の地域の需要家のコストが増大するような、いわゆるクリームスキミングと呼ばれるような事態が生じないことを確認をすることが重要だというふうに考えております。  このため、改正電気事業法案におきましては、配電事業の許可基準として、その配電事業の開始が、電気事業の総合的かつ合理的な発達その他の公共の利益の増進のため必要かつ適切であることを規定をしております。すなわち、クリームスキミングが生じていないことを国が確認をする仕組みとなっております。  また、さらに、御指摘ございました配電事業者が撤退をする場合にも備える必要がございます。一般送配電事業者の設備を譲り受ける場合や借り受ける場合には、その一般送配電事業者等と共同をして、託送供給等の業務の引継ぎに関する計画を作成し、経済産業大臣の承認を受ける仕組みとしております。その中で、設備の管理や撤退時の設備の取扱いなどについて記載を求めるということを想定しております。  これらの仕組みを適切に運用することによりまして、分散型電力システムの構築をしっかり促してまいります。
  191. 江田康幸

    江田(康)委員 ありがとうございました。  私の質問にも真正面から答えていただきまして、新たな事業類型でございますので、メリット、デメリットの点において、さまざまな質問があったわけでございまして、今のことでしっかりとお答えいただいたと思います。  さらには、この次には、FIP制度について、これは、梶山大臣にお聞きをしていきたい。  従来、再生可能エネルギーは、固定価格買取り制度でございますので、FIT制度のもとで、電気が市場価格と関係なく固定価格で買い取られることで、投資回収の予見性が担保され、導入促進が図られてまいりました。  しかし、将来的な再生可能エネルギーの主力電源化を見据え、今後のさらなる導入拡大と国民負担の抑制を両立させていくためには、電源ごとにしかるべきタイミングで、FIT制度のような価格支援措置からは離れて自立的に事業を行うことが可能な環境にしていくことが必要だと思われます。  今回、再生可能エネルギーの特別措置法の改正では、新たに、再エネ発電事業者がみずから市場で電気を販売して得る収入に加えて、一定のプレミアムを交付する仕組みであるフィード・イン・プレミアム、FIP制度という支援制度が追加されるものと認識しております。  その上で、このFIP制度の対象となる電源については、まずは大規模太陽光といったコスト競争力の高い電源から順次対象が拡大していくもの、そのように認識しておりますが、実際にFIP制度の対象となる電源は今後公平性や透明性を確保しながら決定される、そう確信しているわけでございますが、どうでしょうか。  加えて、現行のFIT制度による国民負担が増大しつつあるところでありますから、FIP制度の新たな創設は国民負担の軽減に資するのでしょうか。  これらについて、大臣見解をお伺いします。
  192. 梶山弘志

    梶山国務大臣 御指摘のとおり、どの電源に対してFIP制度を適用していくかの決定に当たっては、そのプロセスの透明性、公平性がしっかりと確保されることが重要であると考えております。  そのため、FIP制度の適用対象となる電源や規模の決定に当たっては、各電源の案件の形成状況やアグリゲーションビジネスの活性化といった市場環境等を踏まえて、調達価格等算定委員会における公開の議論を経て、パブリックコメントを実施して決定をすることを想定をしております。  こうしたプロセスを通じて、しっかりと透明性、公平性を確保してまいりたいと考えております。  また、FIP制度は、再エネ事業者がみずから市場で売電し、売電実績に応じたプレミアムを受け取る支援制度であり、需給状況や市場価格に連動した効率的な発電、売電行動が促されます。  すなわち、例えば、再エネ事業者が蓄電池等を活用して、価格が低いときに電気をためて高い価格で売電するなど、発電、売電のタイミングを工夫する行動を行い、みずからの収入をふやすような行動が促されます。  このことは、電力需要のピークを迎え供給が不足している夕方に再エネがより多く売電するという最適な行動が促進され、バックアップ火力も含めた電力システム全体のコスト低減にもつながります。  さらに、事業者の工夫による自主的な産業競争力の強化が促されることにより、結果的に再エネ事業者の収益力が高まれば、投資回収に必要なプレミアム額が抑えられるということであります。  入札による競争とあわせて再エネ事業者による低価格の札入れを促していくことなどにより、国民負担の抑制をすることができると考えておりますが、設計をして本当にそのとおりにいくかどうか、しっかり実装できるように見守ってまいりたいと思いますし、また指導もしてまいりたいと考えております。
  193. 江田康幸

    江田(康)委員 明確な御答弁ありがとうございました。  FIPへの移行ができる電源等については、今も答弁がありましたように、調達価格等算定委員会での議論を経て、公平に、また透明性を持って判断されていくということでございます。  無論のこと、大規模太陽光のようなコスト競争力が高い電源であればもう異論はないところでありましょうけれども、これからのセカンドランナーとして今一生懸命頑張っている洋上風力等において、それらが一気にFITからFIPへというようなところになりますと、やはり、一定期間しっかりと支援をして、安定して拡大をしていくことが大変重要な時期でもあろうかと思いますので、そういうところもしっかりと議論されて、判断されていくものと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは、引き続きでございますが、廃棄費用の外部積立制度についてお伺いをいたします。  大規模な太陽光等を始め全国にもさまざまな設置がされているわけでございますけれども、再生可能エネルギーが主力電源となるためには、再エネ発電事業がやはり地域に信頼されて、地域と共生する形で実施されることが重要であります。  特に、導入が進む太陽光発電については、将来発電事業を終了した太陽光パネルが放置、不法投棄されることへの住民からの懸念が高まっていたところでありまして、このため、事業者による適切な廃棄の実施を担保するべく、費用の確保に当たっては、原則として再エネ発電事業者が受け取る対価の一部を廃棄費用として電力広域機関に積み立て制度を新たに創設するものと認識しております。これは廃棄に必要となる資金確保を確実にする仕組みとして、公明党も評価をしております。  仮に、発電事業者の倒産等によって廃棄を実施できなくなった場合にはどのような対応になるのでしょうか。また、発電事業者にとって外部積立て負担となるわけでありますが、長期安定的に発電する責任能力の高い事業者には内部積立ても認めてもよいのではないだろうかと私は思うわけでございますが、環境省の見解をお伺いをします。
  194. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  今回の法案に盛り込んでおります廃棄等費用の外部積立制度につきましては、御指摘のように、これが発電事業者の変更や倒産等の事情変更が生じましたとしましても、確実かつ適切な廃棄等の実施ができる仕組みとすることが大変重要だと考えてございます。  通常の場合、発電事業者の倒産等がありましても、発電設備に支障がございません場合に、事業自体は他の事業者に譲渡して継続されていくのが一般的でございます。その場合、発電事業を譲り受けた事業者が廃棄を実施する責任を負うこととなるわけでございまして、今回の積立金の権利義務も認定事業計画にひもづいた形で譲渡先の事業者に承継されていくということとしまして、その必要な積立て継続されていく仕組みとしてございます。  なお、この積立金の取戻しに関しましては、廃棄処理が確実に見込まれる資料の提出を求めるなど、取戻しに関して条件をつけることと考えておりますものですから、倒産等の場合が生じましたときにも積立金が債権者に回収されることがなく確実に維持されていくということにしたいと考えてございます。  また、あわせて御質問を頂戴いたしましたように、本法案では確実な資金確保のための外部積立てを原則といたしておりますけれども、外部積立てでなくとも、廃棄処理のための確実な資金確保が見込まれ、また長期安定発電の責任能力を担うことが期待され、また可能であると認められる場合につきまして、むしろ内部積立ての方が発電設備の修繕等の再投資を機動的に実施しやすい等々、適切な場合に、特定の場合でございますけれども、基準を設け、これに合致する場合は内部積立てを認めるといった仕組みもあわせて講じているところでございます。  いずれにいたしましても、本制度を通じまして、事業の実施の実態を踏まえて適切な廃棄処理が確実に行われるように取り組んでいきたいと考えてございます。
  195. 江田康幸

    江田(康)委員 明確な答弁ありがとうございました。  適切な廃棄等ができるための制度でございますので、しっかりとその旨周知していただきますようによろしくお願いをいたします。  さらに、もう一、二問でございますけれども、もう一つは、ちょっと災害対応に戻りますが、配電網の山間部の独立運用についてお聞きをしておきたいと思います。  今回の法案では、配電事業者だけでなくて、既存の一般配電事業者に対しても、山間部においては、電力供給の安定性や効率性が向上する場合には、分散型エネルギーを活用した配電網の独立運用を可能にする措置を講じていると思います。特に山間部では、九州等でもかなり多いのでありますが、災害時に倒木などによる設備の復旧に時間を要して停電が長期化する地域が見られることから考えても、平時から分散型エネルギーを活用した独立運用を前提とすることで、災害時にも早期の復旧が可能になるという効果が期待されます。  一方で、配電網の独立運用をした地域については、その地域の電気料金が上がるのではないかという懸念もあるところでありますので、この電気料金については、無論でございますが、離島と同様のことが、ユニバーサルサービスといいますか、そのような措置が講じられると思うんですが、どのような措置を講ずるのか関心のあるところでございますので、しっかりとお聞きしたいと思います。
  196. 中野洋昌

    中野大臣政務官 お答え申し上げます。  委員御指摘の、配電網を独立して運用いたします指定区域供給制度では、山間部など配電線が土砂崩れで切断されることなどにより電源復旧までに長時間を要するような地域におきまして、主要系統と電力供給を切り離し、災害時にも自立的に供給を維持できるようにする、こういう制度でございます。  この地域の指定に当たりましては、レジリエンスの強化が重要であることは当然でございますけれども、主要系統から長距離にわたって敷設される配電網の維持運用コストが合理化されることなどにより送配電事業の効率的な運営に資することなどについて、国が審査する仕組みとしております。  また、今般の改正法案におきまして、指定区域供給制度を導入した区域の小売料金でありますけれども、委員御指摘のとおり、現行制度における離島での料金と同様、法に基づいて策定される約款におきまして、一般送配電事業者が供給を行うエリア全体の料金水準と同程度となるような仕組みとしております。指定された区域における需要家の皆様におきましても、適切な料金のもとで電気の供給が受けられるよう、この仕組みを適切に運用してまいります。
  197. 江田康幸

    江田(康)委員 質疑時間が参りましたので、あと、この法案にはJOGMEC法の改正まであるわけでございますが、そちらの方は質疑をすることができませんでした。  このエネルギー供給強靱化法、まさに時宜を得た重要な法案であると思いますので、早急に成立を期待したいと思います。  ありがとうございました。
  198. 富田茂之

    富田委員長 次に、和田義明君。
  199. 和田義明

    和田委員 自民党の和田義明でございます。  本日は、エネルギー供給強靱化法案の審議ということで、質問の機会をいただきました。委員長、そして理事委員各位に心から御礼を申し上げます。また、コロナ対策で大変御多忙の中、梶山大臣を始め政府参考人皆様方にも、きょうの機会をいただきまして、重ねて御礼を申し上げます。  これから台風そして大雨の季節になってまいります。また、今回の新型コロナの一件で、サプライチェーンの重要さといったものもかみしめている状況でございます。そういった中、本法案が提出されたことは大変意義深く、タイミングを得ているというふうに考えております。新型コロナで大変な中、この法案が提出されましたことにも、重ねて敬意を表する次第でございます。  冒頭でございますけれども、感染が続いております新型コロナで亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りを申し上げます。そしてまた、新型コロナの影響で苦しむ全ての皆様、身体的に、精神的に、経済的に苦しんでおられる全ての皆様方にお見舞いを申し上げたいと思っております。  外出等の自粛に加えまして、景気の急激な悪化、こうしたことにより多くの方々が大変苦しい思いをされているのは、皆様承知のとおりでございます。  しかし、その一方で、この日本の生活インフラがしっかりと守られているということで、我々も一定の安心感を得ているのも紛れもない事実だと思っております。医療、福祉、物流、小売、衛生、水道、電気など、生活に欠かせない、生きていくに欠かせない生活インフラをつくった先人の方々、そして、今まさに感染のリスクを冒してこのインフラを守ってくださっている方々にも感謝と敬意を表する次第でございます。  私の前職の商社マン時代、発展途上国を多く訪れ、また六年間の駐在も経験をいたしました。一日に何度も停電することは当たり前でございました。水道の蛇口をひねりますと、泥水が出てきたりイトミミズが出てきたりもしておりました。また、信頼のできない病院、むしろ病院に行く方が怖い、そんなことも少なからずありました。雨季になりましたら、下水が整備されておりませんので、道路は水浸しになって、そこからデング熱やアメーバ赤痢が発生して、多くの方々が病気になったり、時には亡くなる方もたくさんおりました。  近年、この日本におきましても、当たり前の生活インフラが当たり前でなくなる自然災害等々の状況がございます。そういった中、改めてこの日本の生活インフラのありがたさ、これをかみしめる次第でございます。  きょうは、そういった、我々にとって極めて重要なライフライン、生活インフラの一つでもありますエネルギーに関する法案審議ということで、早速質疑に入りたいと思います。  二〇一八年九月六日、私の地元の北海道胆振東部で地震が発生をいたしました。震度七は北海道で史上初でございました。四十三名のとうとい命が失われました。この地震の影響で、日本の国土の二二%を占めます北海道全域がブラックアウトになりました。そして、北海道電力泊原子力発電所が停止を強いられていた状況下、唯一と言っても過言ではない、主力の発電所でありました苫東厚真火力発電所がまさにその震源地になり、停止をした次第でございます。  この復旧には、震源地に住んでいた、被災者でもあった北電の社員の方々が、不眠不休の復旧作業に当たりました。被災した家族を避難所に残して、現場に泊まり込む所員が多数おりました。自分の家が倒壊していたにもかかわらず、その整理をしないで現場で寝泊まりをしていた職員の方々もいました。  このコロナにおいても同様でございますけれども、こうして我々の見えないところでインフラを守っている方々がいるからこそ我々はこうした生活が送れるわけでございまして、心からそういった方々に感謝をするとともに、政府のインフラの強靱化推進が国民の生命と財産を守る一丁目一番地であることを改めて痛感する次第でございます。  最初の質問でございますけれども、電気事業法の配送電事業者の災害時連携計画義務化に関する質問でございます。  この法案では、災害時を想定して、配送電事業者と自治体、自衛隊、消防、警察などが連携をしてしっかりと対応することを義務づけるものであるというふうに認識をしております。昨年の台風十五号、十九号では、千葉におきまして大規模な停電が発生をいたしました。このとき、全国の電力会社、グループ社員四千人近くが集まり、チームワークを発揮して、この事態に対応いたしました。管轄地域を超えた連携の意義は極めて大きかったと思います。でも、その一方で、自治体や関係機関との連携において、指揮命令系統が混乱するなどの部分もあり、改善の余地があって今回の法案があるというふうに認識をしております。  ここで政府にお伺いいたします。  具体的にどのような改善案、課題がこの千葉の停電のときにあったのでしょうか。そして、どういった事態を念頭に置いて法改正を行うのでしょうか。そして、今後どのような連携を目指していくのでしょうか。お答えください。
  200. 村瀬佳史

    ○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  台風などの災害による停電発生時には、一般送配電事業者が、他エリアの一般送配電事業者や地方公共団体、自衛隊といった関係機関と連携をして、電源車の融通ですとか倒木処理、損壊した電柱、そして電線の復旧作業などを行うことが停電の早期解消にとって極めて重要でございます。  一方で、昨年の台風第十五号の対応の中では、例えば、他電力からの応援派遣に対する受入れ態勢が不十分であったこと、当初、電源車や人員を効率的に活用できなかったことや、倒木処理に係る電力会社からの自治体を介した自衛隊への要請がおくれたなどといった関係者間の連携に課題が見られたところでございます。  このため、本法案では、一般送配電事業者に対して、関係機関との連携に関する事項などを記載した災害時連携計画の策定と、経済産業大臣への届出を義務づけることとしておりまして、関係者の事前の備えの充実、それと、災害時の円滑な連携の促進による復旧の迅速化といった効果があると考えてございます。  また、届出された計画の内容が適切でない場合や、記載された内容に基づいて事業者が対応していない場合などには、経済産業大臣より勧告ができることとしているところでございます。  これらによりまして、一般送配電事業者間や関係機関との連携が円滑に行われ、迅速な復旧の実効性確保につながるものと考えているところでございます。
  201. 和田義明

    和田委員 御説明ありがとうございました。  リアルな災害からの教訓というふうなことで、この教訓を何としても生かさなければいけないと思っております。時に、会社におきましても、自治体、関係機関におきましても、人はかわるものでございます。ですので、誰が、いつ、そういった事態に直面してもわかるマニュアルというのをぜひともつくっていただき、それがしっかりと関係各位に渡るようにお願いします。  また、ぜひともこのマニュアルに基づいて、シナリオをオープンにしない、クローズドシナリオにおける訓練というのをぜひやっていきたい。そして、常にその問題を洗い出し、このマニュアル、連携計画というのを更新し続ける、こういった努力を進めていただきたいと思っております。  二つ目の質問でございますけれども、電事法のプッシュ型ネットワークの整備についてでございます。  再エネの推進を念頭に、今後、多様な電源の可能性を踏まえて配送電業者がプッシュ型の広域系統整備計画を策定して整備を推進するというふうになっております。この時期にプッシュ型を推進する背景は、そしてこれまでどういった点が課題であったか、そしてプッシュ型にすることによってどのような効果が期待できるかということを政府答弁を求めます。よろしくお願いします。
  202. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  我が国の電力系統につきまして、今後、その安定供給を確保するレジリエンスを強化していくとともに、再エネの主力電源化ということに向けまして、再エネの大量導入に対応した次世代型のネットワークに転換していくための取組を今回の法案でやっていきたいと考えてございます。  近年、再エネの導入の拡大に伴いまして、既存の系統だけでは足りない、系統増強を行う必要が出てきていることが多々あるわけでございますけれども、再エネ事業者から、これまででいいますと個別の要請に応じてその都度計画をしていくことから、系統の計画から整備まで場合によっては非常に時間がかかる、若しくは、全体で見ますと非効率な形の設備形成になりかねないというおそれが指摘されてきたところでございます。  今回の法案の中では、こういった形で、国も関与する形で、再エネ等の今後の電源の導入ポテンシャルを踏まえまして、日本全国大での系統整備の計画をいわゆるマスタープランといった形で、従来のような受け身ではなく、むしろプッシュ型でということで申し上げているわけでございますけれども、策定いたし、これに基づいて事業者が、実際の整備、これは送配電事業者が整備をしていくというような形の制度的な仕組みを盛り込んでいるところでございます。  なお、その際には、系統整備による再エネの活用等に伴う便益と、一方で、増強に要するコストを定量的に比較をいたしまして、国民負担を抑制しながら系統の整備をしていくことが可能となっていくと考えてございます。  こうした形でのネットワーク形成を日本全体で進めることによりまして、効率的な系統整備を、そしてより少ないコストでの多くの再エネの拡大につながる、こういった意義を持った側面があるのではないかということを期待してございます。
  203. 和田義明

    和田委員 ありがとうございました。  政府の再エネ導入推進によって、新たなプロジェクトが今後多数立ち上がるというふうに考えております。また同時に、更新時期を迎えている六〇年代、七〇年代につくられた老朽施設も多数あるというふうに理解をしております。  エリアを超えて発電、送配電のネットワークを考える、そしてエリア同士がしっかりと支え合う、まさに今おっしゃったような全体最適を考えたマスタープラン、これをつくることを目指しているということがしっかりとわかりました。ありがとうございます。  三つ目の質問でございます。再エネ特措法のFIPへの移行についてでございます。  これまでのFIT制度では、太陽光、風力といった自然変動再エネへの価格、これが時間にかかわらず一定に設定されておりました。収入はいつ発電しても同じということで、再エネ事業者にとっては安定収入というメリットがありました。そして、このメリットがあるゆえに新規参入というものを促してきた、そういった効果があったというふうに思います。  ただ、その一方で、電力需要のピークに供給量をふやすインセンティブというのが働いていなかった、そして、その結果、電力需要に対応した発電ができていなかったといった反省点があったことから、今回のFIP制度が導入されたというふうに理解をしております。  このFIT制度のこれまでの反省点を踏まえて、今般、導入されようとしているFIP制度の概要をいま一度答弁をいただきたいと思います。  また、同時に、FIP制度では、自然変動再エネの価格が市場価格に連動すること、また、事業者がいるプレミアムが蓄電池への投資に回るということについても詳細な答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  204. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  現在運用しておりますFIT制度、こちらの方は、電力の需給状況ですとか市場の価格の状況ですとかにかかわりなく、発電された再エネ電気を固定価格で買い取るということを定めた制度でございまして、この仕組みのもとでは、委員御指摘のとおり、再エネ事業者が市場価格を踏まえず、電力需給に関係なく売電行動を行うということはなかなかできないというところが現状にございまして、その結果、電力市場、マーケットと連動しない形で発電が続いていくということになってございます。  この法案で盛り込んでございますFIP制度、いわゆるフィード・イン・プレミアムという制度でございますが、この制度の場合、発電された再エネ電気をまず市場で取引していただいて、その上で、市場での売電実績に応じて、これに加える形で、一定のプレミアム、供給促進価格というものを支払う制度でございまして、特に欧州等で先行的に導入されているものに倣ったものでございます。  この制度によりますと、例えば、電力需要がピークを迎えて供給が不足している夕方に再エネがより多く売電される、それは蓄電池等を通じてということになってくるわけでございますけれども、そういった最適なビジネス行動が促進され、他方で、バックアップ火力を含めた電力システム全体のコストは低減していくということを期待しているわけでございますし、同時に、再エネというものが単に発電を、設備を置いて動かすということだけではなくて、蓄電池等を活用しながら、マーケットを意識してビジネスを展開していくという競争力を高めていく、このことを結果として支援するプレミアム若しくはフィード・イン・タリフのときの支援措置の額も圧縮できて、国民負担が小さくなっていくという効果も期待できるのではないかと考えてございます。  このことは、委員御指摘のように、関連するビジネス、さまざまな製品等の投資にもつながってくるものと考えてございまして、例えば、発電予測の精度向上ですとかディマンドレスポンスの向上、アグリゲーションビジネスの活性化といった事業の高度化、新ビジネスの創出ということも予想されますし、蓄電池につきますと、太陽光、風力といった自然変動型の電源については導入拡大の鍵でございます。ですので、フィード・イン・プレミアムの制度の導入が契機となって、投資拡大、市場拡大、コストダウンといった好循環が生まれていくということを期待してございます。
  205. 和田義明

    和田委員 ありがとうございました。  FIP制度の導入によって、ますます再エネの導入が進むことを心から祈念しております。  四つ目の質問でございます。こちらも同じく再エネ特措法で、再エネポテンシャルを生かした系統整備にかかわる件です。  再エネ導入拡大に必要な地域間連系線など、送電網を増強する費用に特措法上の賦課金方式を活用するといったことだと理解しております。集まった賦課金を新たな財源として、地域の枠にとらわれず全国民にひとしく負担をしていただいて、国全体の系統整備を推進するものだと理解をしております。  一部に、これまでの託送料金だけでも十分ではないかという反論もあるようですけれども、今回の賦課金方式の託送料金に対するメリットについての答弁を求めます。よろしくお願いします。
  206. 牧原秀樹

    ○牧原副大臣 御質問いただきました、託送料金を適用する場合と、それから、今回のような賦課金方式の比較ですけれども。  託送料金という制度にしますと、当該連携をした両端の一般送配電事業者負担するということが原則になります。したがって、例えば、和田先生の御地元の北海道は、大変再エネの適地ということになります。それと東北とを結ぶと、託送料金はこの二つにかかるということになります。したがって、その場合には、最適地の方に、非常に地域ごとの負担が重くなるというようなことがございます。  それに対して、今回の法案は、再エネの電気がどこで利用されたかということにかかわらず、その投資にかかわる費用を全国で均等に支えるという仕組みを導入をすることを目的として、再エネの買取りと同様、特別の法律の規定に基づく賦課金方式を導入をするということになって、そのメリットは、今の逆になりますけれども、再エネの導入、活用に資する費用を全国で均等に支える仕組みとなるために、再エネの導入が進む地域ほど負担が重くなるということを回避することができるということになります。
  207. 和田義明

    和田委員 御説明ありがとうございました。  地方にとってとても優しい、そしてありがたい制度であるというふうなことで、特に風力等々において最適地である北海道でも間違いなく再エネの推進が進むというふうに確信をしております。  時間の関係上、ちょっと、一つ質問を飛ばしまして、JOGMEC法に入りたいと思います。  六つ目の質問です。LNGへのリスクマネーの供給強化についてでございます。  日本は、電源のエネルギーソースの大半を海外からの輸入に依存をしております。新型コロナの発生で、深刻なサプライチェーンの行き詰まりが露見しました。そして、これが国民生活に甚大な影響を与え、そして、海外依存の恐ろしさというものを我々に対してまざまざと見せつけたというふうに考えております。  自由貿易はすばらしいものであります。しかし、これは、平和なとき、平時には大変スムーズにいくわけでございますけれども、やはり有事の際にはうまくいかない。こういったことを我々は肝に銘じなければいけないと思っております。  そういった中、現在、北極圏のLNGの開発が本格化しつつございます。二〇一九年には、ロシアの北極LNG2にJOGMECや三井物産が参画をいたしました。  中継、積みかえ基地への出資そして債務保証により得られる国民にとってのメリットは何でしょうか。また、拡大するアジア需要を取り込むために、バリューチェーン全体を視野に、LNG受入れ基地へのリスクマネー支援を強化するというふうにございますけれども、受入れ基地への出資、債務保証により得られる国民のメリット、この点についてお答えください。  また同時に、この背景にあります、日本のエネルギー調達の苦節の歴史についてもぜひともお話をいただければと思います。よろしくお願いします。
  208. 南亮

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  まず、中継、積みかえ基地へのメリットでございますが、委員御指摘のように、LNGは、国民生活、経済活動の基盤としまして引き続き重要なエネルギー源でありまして、そのサプライチェーンの一層の安定が必要だと思っております。  今般の法改正で、LNGの中継、積みかえ事業に対する出資、債務保証を可能とすることによりまして、先ほど委員から御指摘もいただきましたが、北極LNGプロジェクトを始めとする北極圏からのLNG供給について、積みかえ施設への支援を可能としまして、しっかりしたLNG供給ルートを確立するということが期待できるというふうに思っております。  加えまして、受入れ基地への出資、債務保証でございますが、日本のLNG調達、非常に重要だというのは御指摘のとおりでありますが、今まで、このLNG調達は長期固定で、原油価格にリンクした契約が多くて、調達価格が欧米に比べて割高だという部分、さらには、仕向け地条項が付されておりまして需要に応じた柔軟かつ競争力のある調達が困難であるという事実、そういった課題が存在してきました。  これまでも、世界最大のLNG需要国としまして、LNG産消会議等を通じまして、国際的なLNG市場の透明性や柔軟性を持った形での発展ということで、アジアの需要と新たなLNG供給を結びつけるための支援、さらには仕向け地条項の緩和、撤廃等の取組を積極的に主導してきたところでございます。  今般の法改正で、LNGの受入れ基地事業に対する出資、債務保証を可能にするということで、日本企業によるアジアのLNG受入れ施設への投資を促進することが可能となります。これを可能としまして、拡大するアジア需要を積極的に取り込みまして、厚みのあるLNG市場を形成しまして、日本の影響力をしっかり確保して、より安定的かつ柔軟なLNG調達が可能になるということを期待してまいりたいと思っております。
  209. 和田義明

    和田委員 御説明ありがとうございました。苦節の歴史の点についても触れていただきまして、ありがとうございます。  リスクマネーの供給を強化することで、その市場又は商圏における日本の存在が高まります。また、幅広い商流に関与して、さらには大きな市場を取り込むことで、エネルギー調達時の価格交渉力、バーゲニングパワーが強化されるわけでございます。エネルギーソースも分散して、また輸入ソースも分散して、そして今日の日本があるというふうなことでございまして。  今、新型コロナで景気は急激に減速をしております。ただ、そういった状況下におきましても、ぜひ、エネルギーの権益そして開発、こういったところへの投資を、歩みをとめないようにしていただきたいと思いますし、それがまさに日本の国益にかなうものだと確信をしておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  七つ目の質問でございます。同じくJOGMEC法の、金属鉱物へのリスクマネー強化の点でございます。  レアアースにつきましては、日本はその輸入の五八%を中国に依存しております。残る全ても、ベトナム、フランス、マレーシアなど外国に依存しておりまして、国内ではほぼ生産をしていないと言っても過言ではございません。  思い出していただきたいんですけれども、二〇一〇年の九月、中国は、日本との尖閣諸島の問題の対抗措置として、レアアースの禁輸を発表しました。海外に依存するということは、依存していることによって外交交渉のときに逆手にとられる、外交交渉のカードにされるということを嫌というほど思い知らされた瞬間だったと思います。  世界でもいろいろな機器に多用されておりますリチウムイオン電池でございますけれども、これに使用されておりますコバルトというレアメタルがございます。このコバルトでございますけれども、世界のコバルトの生産の権益の三五%、製錬に至っては六〇%が中国でございます。きょうお配りしましたお手元の資料を御参照ください。  リチウムイオン電池はあらゆる電気製品やモビリティーのキーコンポーネントでございます。加えまして、蓄電効率やコスト削減が進めば、先ほどお話のありました、現在供給が不安定な太陽光などの自然変動再エネの安定供給にも大きな貢献をすることは間違いございません。  本法案では、生産いわゆる上流と、それから製錬いわゆる中流への出資、債務保証などのリスクマネー支援を強化しております。  二〇一九年十二月、旭化成の吉野彰さんがリチウムイオン電池の研究でノーベル賞を受賞されました。日本は、リチウムイオン電池の研究開発の分野では世界のトップランナーであります。自動車搭載用のリチウムイオン電池は今後さらなる市場拡大が見込まれておりまして、二〇二〇年から二三年までの三年間の間に何と二・五倍にふえるとの予測もあります。  そこで、政府にお伺いします。  日本のリチウムイオン電池の戦略はどうなっているのでしょうか。日本は、全固体リチウムイオン電池やその先の革新型電池への道筋をどのように見ているのでしょうか。技術力でトップを目指すのでしょうか、それとも、研究開発と生産、販売の一気通貫で世界トップを目指すのでしょうか。政府答弁を求めます。よろしくお願いします。
  210. 春日原大樹

    ○春日原政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、蓄電池は、電気製品用、それから自動車用、家庭用など幅広い用途で活用されておりまして、民間の予測では、二〇二三年までに現在の九兆円から十三兆円まで世界市場が拡大すると見込まれます成長産業でございます。中でも、EVを始めとしました電動車の世界的な市場拡大に伴いまして、車載用での需要が急速に拡大する見込みというふうに認識をしてございます。  さらに、委員御指摘のとおり、吉野博士が昨年ノーベル賞を受賞されましたように、電池はまさに日本のお家芸とも言える産業でございます。  私ども経済産業省では、サプライヤーを含めました電池関連産業の競争力を一層高めるために、まず、川上の素材メーカーから川下の自動車メーカーまでが共同で行います先端的な車載用電池の研究開発の実施であるとか、あと、EVなどの導入補助を通じました国内の電池需要の拡大支援などに取り組んでおります。  また、サプライチェーンを強靱化する観点から、今回御審議いただいておりますJOGMEC法の改正によります資源調達の強化に加えまして、御指摘のコバルトであるとかリチウム、こうした希少資源の使用量低減の研究開発も支援をしておりまして、チョークポイントの解消に努めておるというところでございます。  こうした取組を通じまして、我が国電池関連産業全体の強靱化と競争力の強化に全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
  211. 和田義明

    和田委員 ありがとうございました。  日本には、リチウムイオン電池を始め、自動車や製薬など、世界に誇る主力産業がございます。また、量子コンピューティングなど、国際競争力の趨勢を担う技術においても一定の強みを持っている分野があります。それらの産業や製品を支える原料、資源に関しては、日本の国家戦略として、特定の国家や勢力に外交交渉のカードにされないよう、逆手にとられないようにしなければなりません。  また、自然災害や事故にも負けない強靱なものでなければいけないと考えます。海外依存を大幅に軽減し、またリスクを分散することがこの法案には記されているということでありまして、大きな期待を抱いております。  八つ目の質問でございます。  ライフライン、そして資源エネルギーに関してでございますけれども、このエネルギー供給強靱化法案の質疑を通じまして改めて明確になったことは、経済安全保障、そしてエネルギー安全保障、そして社会インフラの強靱化が国家の存亡を左右するということだと思います。経済を所管する経済産業省におきましては、日本を牽引する産業、技術、製品をまずはしっかりとリスト化して、そしてそのサプライチェーンの安全性を担保するために全力を尽くしていただきたいと思います。  既に政府におきましては、国内確保のために約二千億円、ASEANなどへのリスク分散のために二百億円の予算を計上していただいております。行政や経済界で、中国の製造業が再稼働した、物が来るようになった、喉元が過ぎればというふうにならないように、この点、サプライチェーンの再構築、そして徹底的な強化、これをしっかりとお願いをしたいと思います。  エネルギーを始めとする主要サプライチェーンと国内エネルギーネットワークの強靱化に向けた梶山大臣の意気込みを、ぜひともお聞かせください。
  212. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これまで経済活動のグローバル化が進む中で、各企業経営判断により、生産拠点を海外に移したり、部品等の調達を輸入に依存してきた結果、我が国製造業の海外生産比率は年々上昇してきたところであります。  完成車の工場があるんですけれども、部品が来ないために完成車が出荷できないというような状況も今回のコロナ危機の中で起こったわけでありますし、また、マスクや医療器具等の不足というものも同様だと思っております。  我が国がしっかりと経済を維持していく、そして、国民が生存していくために必要なエネルギー、食料、そしてさまざまなサプライチェーンの強化というものは、これからの喫緊の課題であると思っております。  今委員がおっしゃいましたように、約二千四百三十五億円を計上したわけでありますが、国内のサプライチェーンの再編、そしてアジアにおける多元化ということも含めてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  213. 和田義明

    和田委員 大臣、力強いメッセージ、ありがとうございました。  この新型コロナの影響で、大変我々は苦難に直面をしております。ただ、こういった苦難に直面しつつも、新たなビジネスチャンス、そして新たな目標というものが明確に浮かび上がってきたのかと思っております。転んでもただでは起き上がらない、そして、起き上がったら、これまでよりも一皮も二皮もむけた強い日本である、そういったところを目指して私もしっかりと精進をしてまいりたいと思います。  きょうは、貴重な質問の機会、ありがとうございました。
  214. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  215. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  午前に続いて質問いたします。  このエネルギー関連の法案を審議する上で、経済産業省の姿勢が国会や国民への説明責任を果たすものになっているかどうか、それが大前提になると思います。  去る四月の十七日に電取委、電力・ガス取引等監視委員会が決定した、書面により開催した委員会の議事録の作成方法ということについて伺います。  書面審査を行った際の議事録の形式として、一つ、議案についての委員長及び各委員の意見を記載する。二つ、議案について過半数の者が同じ意見であったことをもって委員長がそれを委員会の議決とした場合、その議決を記載する。三つ、「その他」として、議案についての意見とは別に、議案に付随して委員長又は委員から意見、コメントがあった場合は、その意見、コメントを記載する。それについて、委員長が今後の対応方針を決めた場合には、それを記載する。以上のことを第二百六十五回会議で決定したというものであります。  そこで、梶山大臣、どうしてこの四月十七日に書面開催時の議事録の作成方法を決めることになったのか、その経緯について説明をしていただきたいと思います。
  216. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先日の国会において笠井委員から、電取委の書面開催時に委員から寄せられた意見が公表されていないことは問題だという旨の御指摘をいただきました。私からは、文書で残すべきとの答弁をさせていただきました。これらを踏まえて、電取委の八田委員長指示のもと、書面開催の場合の議事録作成方法を委員会として明確化するとともに、それに基づいて書面開催の議事録を作成し、公表したものと承知をしております。  今後とも電取委には、議事録の作成、公開など、透明性に十分留意をした上で、委員会の運営をお願いしたいと考えております。
  217. 笠井亮

    ○笠井委員 確認したいんですが、関西電力への業務改善命令の発出に際して、資源エネルギー庁が電気事業法で定められている電取委への意見聴取を怠って、更にその事実を隠すために虚偽の公文書を作成していたと問題になりました。この問題にかかわっての対応だということでよろしいわけですね。
  218. 梶山弘志

    梶山国務大臣 一連の不適切な手続等がございました。その中で、委員からの御指摘もあり、これを直させていただいた。本来こうあるべきだという思いで直させていただきました。
  219. 笠井亮

    ○笠井委員 この決定を受けて、ちょうど一カ月前に当たりますが、三月十六日の第二百五十七回電力・ガス取引監視等委員会の書面審査議事録が公表されました。委員からの重要な指摘が文書として残されたということは重要な改善だと思います。しかし、同時に、後世に対する説明責任という点では、結果だけではなくて経過も含めて残すということが必要ではないかと私は思います。  四月十日に大臣は、こういう経過があったとてんまつを書くべきだと、その必要性を述べられております。ところが、電取委の四月十七日の公表資料では、経過については何ら触れられていないわけですね。  公文書管理法は、現在及び将来の国民に説明する責務を果たすため、経緯を含めた意思決定に至る過程を合理的に跡づけ、検証することができるよう文書の作成を義務づけているということでありまして、であれば、大臣、四月十七日の議事録の、「作成方法を決定しました」という結論だけのプレスリリースでは不十分ではないかと。その経緯も含めてきちっと記録するように、後世のためにも重ねて求めたいと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  220. 梶山弘志

    梶山国務大臣 コメントについては、改善命令案に、上記を着実に実行し、定着を図るために新たな経営管理体制の構築という項目が含まれていることを踏まえて、事務局から以下の提案を行い、圓尾委員の了解を得、この事務局案のとおり今後対応することとしたというのを委員長が了解したというのが、これはこの経過ということであります。  要領で済むものと、議事録詳細をつくらなくちゃならないもの、そして意思決定に関してしっかりと記載をしなくちゃならないもの、幾つかに分かれると思いますけれども、できる限りのそういう議事録要領というものは残すべきで、意思決定にそれが参考になるはずであります。
  221. 笠井亮

    ○笠井委員 国民共有の知的資源である公文書の作成、保存、管理を徹底をして、原則公開とすることで国民の知る権利に応えるべきだということは強く申し上げたいし、本法案の審議の前提としても強くこのことは指摘をしたいと思います。  そこで、法案について伺います。  ことしは、政府が二〇一三年から段階的に進めてきた、いわゆる電力システム改革の総仕上げと言われる年であります。四月には、電力十社の送配電部門の法的分離、それから発送電分離が行われて、送配電部門の中立性の確保が一層重要となる。法案では、さらに、OCCTOですね、電力広域機関に対して、これまでの全国大での送電網の活用にとどまらず、プッシュ型のネットワーク整備計画策定など、業務と権限を拡大するというふうにしております。  こうした一連のシステム改革のもとで、原発と石炭火力中心の大規模集中電源から、再生可能エネルギーを中心とした、市民、地域主体の分散型電源へと転換することが、大きく言うと求められているというふうに思います。  そこで、大臣に伺いますが、本法案は、背景と目的一つに自然災害の頻発とそれへの対応ということを挙げております。  東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の教訓の一つが、もう言われてきたことですが、大規模集中電源から分散型電源への転換ということが教訓の一つだと言われてきました。そして、北海道の胆振東部地震のときのブラックアウトですね。私も直後にまた北海道に調査に行きましたが、あのときも大規模集中電源がもたらす危険ということが言われました。  やはり大規模集中電源の問題点というのは、この間の災害によって、ある意味はっきりと示された、そのことは共通して共有できる認識かどうか、その点はいかがですか。
  222. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これまでは、どちらかというと、選択と集中という形で、大規模の電源を集中的に使ってきたということでありますけれども、分散と多様化という言葉も重要であると思っております。  災害時の分割、小型電源を活用するということも必要ですし、そういった組合せをしっかりとしていく、そして、事故の教訓というものを念頭に入れながら、しっかりとプラントの維持、運転というものもしていくべきであると思っております。
  223. 笠井亮

    ○笠井委員 分散と多様化も大事だということなんですが、やはり、大きな意味では、大規模集中電源から分散型電源への転換というのがやはり当然の流れとしてあるんだと思います。  その上で確認したいのは、世界が将来のエネルギー構造をどう描いているかということであります。  国際エネルギー機関、IEAの世界エネルギー展望、WEO、二〇一九年版というのが最新ですが、これは、二〇四〇年には原発の比率が八%にまで低下をして、再生可能エネルギーは四四%へと拡大すると見通しを示しております。世界が再生可能エネルギーをエネルギーの主役と見ている。  そこで、経産省に伺いますが、主役がかわれば当然市場規模も変わってまいります。二〇四〇年のパリ協定目標達成水準で、二〇一七年と比べて、世界全体の電力需要、再生可能エネルギーと原子力、火力というのは、金額にしておのおの幾ら増減というふうに、その二〇一九年版では見ているでしょうか。お答えください。
  224. 高橋泰三

    ○高橋政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘の、国際エネルギー機関が昨年十一月に出版いたしました世界エネルギー展望によりますと、パリ協定目標達成水準で二〇四〇年時点の各電源の電力需要、これは、二〇一七年と比べて、全体としては三十九兆キロワットアワー、それから再エネが二十六兆キロワットアワー、原子力が四兆キロワットアワー、火力が八兆キロワットアワーということでございますが、それを、二〇一七年の数字との増減分を、金額でということでございますので、仮に一キロワットアワー当たり十円という仮定で置いた場合に、電力需要全体の市場規模がプラス百三十兆円、それで、再生可能エネルギーにつきましてはプラス二百兆円、原子力についてはプラス二十兆円、火力についてはマイナスの八十兆円ということでございます。
  225. 笠井亮

    ○笠井委員 今言われました再エネの投資が結局二百兆円もふえるということでありますが。コストが大幅に低減される、これによって更に投資が進む、好循環が現に生まれているというわけでありますが、今や、太陽光も陸上風力も、キロワットアワー当たりで十円未満での事業実施が可能となっております。  大臣、再生可能エネルギーの主力電源化と国民負担の軽減の両立というのは、これは世界で、大きく言うと、流れだと。やはり、日本が進むべき、向かっていく道もここにあるんじゃないかと思うんですけれども、そうした大きな方向性についてはいかがでしょうか。
  226. 梶山弘志

    梶山国務大臣 できる限り再生可能エネルギーを導入していくというのは、そのとおりだと思っております。世界的に、再生可能エネルギーの発電コストの低減とともに、導入量も急増しております。  我が国においても、二〇一八年の七月に閣議決定した第五次エネルギー基本計画において、初めて再生可能エネルギーは主力電源化していくものと位置づけたところであります。  この主力電源化という文言は、世界的には技術革新などにより低コストで再エネの導入が増大している一方、日本の再エネの発電コストは海外に比べて約二倍と高い状況にある中で、世界の状況を日本においても実現をし、増大する国民負担を抑制しつつ大量導入を図っていくという決意をお示ししたものであります。  今般御審議いただいているエネルギー供給強靱化法案はまさにこの取組を進めていくためのものであり、法案に盛り込んださまざまな措置を一体的に講ずることにより、主力電源化と国民負担の軽減の両立を推進してまいりたいと思っております。  FITを導入しました、そして自由化にもなりました。でも、まだまだやはり高いところもある。そういう要因が何なのかということもしっかり見据えて、コストを安くするためにどうしたらいいのか、またネットワークの利活用ということも含めて、しっかり考えてまいりたいと思っております。
  227. 笠井亮

    ○笠井委員 今、最後に言われた部分にもかかわりますが、日本の再生可能エネルギーのコストが高いと言われているのは、再エネ導入を阻害する要因があるからでありまして、それを取り除くことが必要だと。大体、我が国のエネルギー政策では、再エネ導入というかけ声はあるんですけれども、なかなか中身が伴っていないという問題が指摘をされてまいりました。  そこで、今大臣も触れられましたが、エネルギー基本計画というのはエネルギー政策基本的方向性を示すものだと。  二〇一八年七月に閣議決定された第五次の計画では、十年後の二〇三〇年の電源構成を、再生可能エネルギーで二二から二四%、それから原子力を二〇から二二%、LNGが二七%、石炭が二六%、石油が三%というふうに想定をしております。そうしますと、十年後もまだ、発電電力量の合計で五六%を化石燃料で賄う想定になっている。原発と石炭火力という大規模集中電源への依存度の高さも相変わらずということになります。これでは世界の潮流に逆行している。  法案のことを触れられましたが、法案はその目的に再生可能エネルギーの主力電源化を掲げているわけですが、化石燃料からの脱却もない、原発と石炭火力の依存もそのままというエネルギー基本計画のもとで、どうしてこの主力電源化というのが進むのかというのはどのようにお考えでしょうか。
  228. 梶山弘志

    梶山国務大臣 再生可能エネルギーの目標値、二二%から二四%ということですが、現状で一六、七%だと思っております。これらを進めて二二から二四に持っていくということでありますが、あくまでもこれは上限ではなくて、キャップをかけているわけではなくて、できるだけ多く、もっと多くその比率を高めていこうという努力をしていくことであります。  さらに、資源のない我が国においては、さまざまな資源を有効活用していかなくちゃならない、そして電力の安定供給、そして安価な電力を供給しなくちゃならないという制約もついている。一方で、世界的な制約としては、CO2を減らしていくという制約もあるわけでありまして、その中でどういう形で二〇三〇年にこれを実現していくか、そしてその後に、イノベーションも含めて今取り組んでおりますけれども、二〇五〇年にしっかりとした姿を見せるために、これを、まず目標値をクリアしたい、そして少しでも多くの再生可能エネルギーを導入したいと思っております。
  229. 笠井亮

    ○笠井委員 法案にある再生可能エネルギーの主力電源化というのはどういう状態かというのを、ちょっとこう素朴な話なんですが伺いたいんですけれども。  主力というからには、総電力量の大体半分以上を占めるということじゃないんですか。
  230. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これまで再生可能エネルギーというと、補足するような形でやってきたものもあると思うんですね、自由化とかFITの前には。それをほかの電源とあわせて肩を並べるようなものにしていきたいという中で考えております。  ただ、これにはさまざまな制約があって、まだまだ技術開発も必要だと思いますし、コストの低減も必要だと思う。また、ネットワーク、そしてさらには電力網の分散化ということも含めて、再生可能エネルギーが導入の形になってくると思いますので、さまざまな解決をしなくてはならない課題もあるということで、御理解をいただきたいと思います。
  231. 笠井亮

    ○笠井委員 広辞苑を引いてという話でいいのかという話もありますが、しかし、広辞苑で言うと、主力というのは主な力、中心となる勢力、こういうことになるわけですけれども。  今、ほかの電源と肩を並べるというふうなことでおっしゃったんですが、総電力量のうち再生可能エネルギーが大体どれぐらいの比率なら主力電源になる、肩を並べるというのはどんな感じなのか。主力というのは大体どれぐらいの比率だと考えたらいいんですか。
  232. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほども申しましたけれども、国民負担を抑制する、大量導入を図っていくという決意をお示ししたものが、二〇一八年七月に閣議決定した第五次エネルギー基本計画において主力電源化という文言になって位置づけられたところであります。  ただ、これは言葉だけではなくて、しっかりと主力電源化するように努力をしていく、またさまざまな課題を明確にしていくということだと思っております。
  233. 笠井亮

    ○笠井委員 大臣、電源比率の数値目標もなしに主力電源化なのかということが問題になってくるんじゃないかと。  そもそも、エネルギー基本計画が再生可能エネルギーを二二から二四%程度でいいとしか扱っていないから、電気事業法やFIT法などの個別のエネルギー関連の法律制度が、再エネの主力電源化を最優先してそこへ向かっていくものにならないということになるんだと思うんですね。  再生可能エネルギーの主力電源化を本気で進めるというなら、その方向と矛盾するようなエネルギー基本計画自体を見直すということも必要になってくるんじゃないんですか。そこはやらない、こういうことになりますか。
  234. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まずは、二〇三〇年の目標もエネルギー基本計画に位置づけられているわけでありますけれども、これを実現するための努力をしていくということであります。まだ届いていないんですね、全部。ですから、届くための努力をしていく。そして、二〇五〇年に向けてしっかり野心的な目標を掲げていくというのが我が国の立場であると思っております。
  235. 笠井亮

    ○笠井委員 この見直す方向性ということが大きく問題になってくると思うんです。  先ほどちょっと大臣も触れられましたけれども、大体、二〇三〇年になってもまだ石炭火力が最重要電源というふうなことになっているようでは、パリ協定とも整合しない。世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて二度を下回って、できれば一・五度以内に抑えるということが求められて、それをやるためには今後十年間の対策強化が極めて重要だと思うんですけれども、そういう認識は、大臣も当然お持ちですよね。
  236. 梶山弘志

    梶山国務大臣 当然持っております。気候変動の取組は、世界全体で待ったなしの課題であると思っております。  パリ協定では、世界全体の平均気温の上昇を産業革命前と比べて二度Cより下回り、一・五度C以内に制限する努力を明記されているわけでありますが、世界各国において実効的な温暖化対策を行っていくことが重要だと思っております。  ことし三月末に決定し国連に提出した我が国の温室効果ガス排出削減目標、NDCにおいては、今から十年後、つまり二〇三〇年度に二六%削減という数値目標にとどまらない削減努力を追求していくこととしております。さらに、今後、削減目標の検討に当たっては、エネルギーミックスの改定と整合的に、さらなる野心的な削減努力を反映した意欲的な数値を目指すという方針を掲げております。  ただただ置きかえるという形ではなくて、安定供給と安価な電力の供給ということも含めて、まだまだ解決しなくてはならない課題があるという中で、全力を尽くして、こういった二〇三〇年の目標に向けて取り組んでまいりたいと思っております。     〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕
  237. 笠井亮

    ○笠井委員 安定供給と安価な電力供給という問題が大きな課題だと言われたわけですが、大臣が言われたNDCの話ですね。結局、地球温暖化対策本部が三月三十日に決定して国連に提出した、国が決定する貢献ということで約束した削減目標というのは、二〇三〇年度に二〇一三年度比でいうとマイナス二六%ということで、極めて低い目標で、国際的な基準である一九九〇年比で見た場合は、削減率はわずか一八%にすぎません。  しかも、この削減目標の中で、エネルギーミックスと整合をとるということで、いわば石炭火力を使い続ける宣言までやっているわけですよね。だから世界から石炭中毒だと言われるようなことになっているわけで、石炭火力にしがみついているのは、G7の中で今や日本だけであります。  ところが、本法案では、緊急時に経済産業大臣がJOGMECに対して石炭を含めた発電用燃料の調達を要請できる規定が、電事法とJOGMEC法の双方に盛り込まれているということになっていて、やはりこういう方向でまだこだわってしがみついていると、世界の流れに逆らって、結局、石炭開発を拡大するということになるんじゃないかと思うんですけれども、その点、いかがですか。
  238. 梶山弘志

    梶山国務大臣 JOGMECの緊急時調達業務は、あくまで緊急時に限ってJOGMECに燃料調達を担わせるものでありまして、調達の対象となる燃料は、足元の電源構成等を踏まえて設定をしております。この業務は、定常的にJOGMECが石炭の調達を行うものではありません。そして、石炭開発の拡大を支援するものでもありません。  その上で、燃料調達業務の対象には、電源構成の約四割を担いながら長期備蓄が困難なLNGを主たる対象と考えていますが、あらゆる事態に備える観点から、電源構成の約三割を担う石炭も含め、発電用燃料について広く緊急時調達の対象としたものであります。  中長期的な石炭のあり方については、エネルギーミックスの実現に向けて依存度を減らしていくということになりますし、また、今も行っておりますけれども、しっかりと技術開発もしていく。そういった中で、CCS、CCUSといった新しい技術も含めて、実用化に向けて、コスト面での合理性も含めて、また開発をしていかなければならないと思っております。
  239. 笠井亮

    ○笠井委員 緊急時ということで、そういう形でやるということ自体が、やはり本当に日本の姿勢がどうなのかということを問われてくるわけで、そこは、本格的に再生可能エネルギーを主力電源化するということで、力を注いでやることによって、やはり安価にしていく、あるいは安定にするという道も開けるんだというふうに思うんですね。そことの関係で、この法案でそうやって穴をあけていくということはやはり重大だということは指摘しなきゃいけないし。  中長期的な話というふうにおっしゃいましたが、では、中長期でいうとということで見ても、どうかというと、経済産業省がことし三月に策定した新国際資源戦略というのがありますが、そこでは、「石炭の安定供給の確保」ということで、その中に幾つか書いてありますが、こういう記述もあります。近年は、国際金融機関によるダイベストメント等の影響を受けて、一般炭の上流資産を手放す企業が増加していると。  あえてそのことに触れて、それを、結局、「石炭の安定供給の確保」の中で書いているということになると、これは石炭への投資から撤退するというダイベストメントの運動を後押しするという部分じゃなくて、それどころか、まるで石炭の優良権益を確保するチャンスだと言わんばかりの話になってくるんだと思うんですけれども、そこはどう考えますか。
  240. 梶山弘志

    梶山国務大臣 理想の数値だけ挙げれば全てが解決するというわけではありません。それを実現させるためにはどうしたらいいかということを現状から取り組んでいくということであります。  その上で、二〇三〇年には、やはり現実の延長にあるということで、しっかりと二二から二四%、そして更にまたその上を目指すということで取り組んでいくということでありまして、それとあわせて、イノベーション、先ほども申しましたように、技術開発もしなければならない。そして、その間に、今供給をするための燃料についても確保する努力はしなくちゃならないということであります。     〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕
  241. 笠井亮

    ○笠井委員 やはりこういうことでもエネルギー基本計画の目標ということが大きく問題になってくると思うんですね。  やはりこれは本当に、ただ掲げるだけじゃなくてということですが、まさにそのとおりで、やはり本当に主力電源にするということであれば、本当に高い目標を掲げて、そしてチャレンジングに野心的に目標を掲げる。これは地球温暖化の問題でも、私、国際会議にも出て、非常に、やはり世界的に言われていました。野心的な目標を掲げてそれに向かって挑戦するんだという姿勢の中で、やはりいろいろな問題が解決されてくるんだろうと思うんですね。  そういう点でいいますと、大規模集中電源からの脱却、それから、再エネを中心とした市民、地域主体の分散型電源への転換を図る、そのことをエネルギー政策や資源確保戦略の柱に据える。そういう形で、具体的に諸問題の解決をどうするかという立場で臨む必要があるというふうに考えます。  そのことを強く強調しながら、きょうの質問は終わります。
  242. 富田茂之

    富田委員長 次に、足立康史君。
  243. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  何か内閣委が荒れているようでありますが、無視して続けたいと思います。  再生可能エネルギーの話をさせていただきたいと思います。  ちょっと、冒頭、時間を頂戴して、法務省の保坂審議官においでをいただいています。済みません。  きょうは、経産委の一般質疑でも宮崎政務官に質問させていただいて、先ほど森大臣にも。四分というのは短いね、思ったより短かったです。それはともかくとして。若干、もう少し、保坂さん、ちょっと、気楽にというか。準備とか要旨とか、もういいですから。  結局、六十八歳論というのをちょっと僕たちは議論しているんですね。六十五歳に定年を張りつけて、国家公務員は六十歳から六十五歳、事務次官は六十二歳から六十五歳、それから、検察官は六十三歳から六十五歳、検事総長は六十五歳からそのまま六十五歳。結局、全てが六十五歳に張りついているわけです。  その結果、いわゆる役職定年、検察で言うところの役おりの特例ということで、六十五歳という定年をはみ出しちゃうわけですね。そのはみ出しちゃう部分について、検事総長の命、政治生命というか役職生命を内閣が足したり引いたりするのかということで野党が暴れているということだと思います。  だから、私は何度も申し上げますが、せっかく国家公務員は六十歳から六十五歳に五年延ばしたんだから、検察官は六十三歳から六十八歳に、同じように五年延ばせば、検事総長は役おりというのはないわけですが、そういう定年問題の、野党が言うところの恣意性みたいのが入る余地がなくなる、こう思うので、いっそのこと六十八歳定年にするという、僕はプランBと言っているんですけれども、そういう考え方もあると私は思うんですね。  ただ、もちろん、もう、今採決したら、うちは賛成していますから、御用意いただいた閣法もオーケーだと思いますよ。野党の言っていることの九割は言いがかりですから。だから賛成しますよ。でも、本当にそれが唯一、最高の制度設計かというと、私が法務大臣だったら、もうちょっと工夫したかなというところがあります。  だから、どうですかね、検察官は全て、六十八歳に定年を五年延ばしちゃう、そういうような制度設計は、それはもうあり得ないんだということか、確かに頭の体操としてはそういう案もあり得るとお考えか。どうですか。
  244. 保坂和人

    保坂政府参考人 先ほど内閣委員会大臣からも御答弁させていただいたと思いますが、足立先生のおっしゃるような考え方というのはあり得るんだろうとは思います。  ただ、こういう形で、閣法として、事務次官の役職定年の年齢等を踏まえまして、検事総長については現行の六十五歳から定年の引上げは行わないということとさせていただいておりますので、その点を御理解いただければというふうに思います。
  245. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。そういう考え方もあると。先ほども大臣からそうやっておっしゃっていただいたけれども。  さっき、私、四分でしょう、だからストップウオッチで、自分が質疑が始まったときから計算していたんですよ。まだ三十秒ぐらい残っているんだけれども、終わりましたという紙が入ってきて、ちょっと終わりの締めができませんでしたが。  今まさに保坂審議官からおっしゃっていただいたように、まあ制度設計としてはあり得るということもおっしゃっていただいていますから、私たちは、今回の国家公務員法、検察庁法の改正案については賛成をして、制度にコミットして、野党みたいに反対、反対だけじゃなくて、制度に責任を持つ。ユ党ですから関係ないんだけれども。  でも、やはりこれは大事な話だから、賛成することで、閣法の国家公務員法、検察庁法改正案にコミットをさせていただいて、そして、政府一緒に、検察の横暴、横暴って、ごめんなさいね、検察の皆さん、検察が変な方向に行かないように、そういうものを、やはり民主的統制というか、そういうことに取り組むとともに、もちろん、内閣がおかしな、任命権の行使を適正に行わないようなことがあってはならないわけですから、この法律が悪用されないかどうか、それはそれでしっかりと。  だから、内閣の任命権の行使、それから検察権力の行使、両方ともバランスをとりながら、国会というのは両方、政府内閣も監視しなければいけないけれども、行政組織の一つである検察の組織もしっかりと監視をしていくということをこの場でお誓いをしておきたいと思います。  それから、これは通告していなかったかな、さっきの話があるので、審議官、これも気楽に答弁してほしいんですけれども、きょうパネルで内閣委員会でお示しをしたように、閣議請議の決裁文書、人事課長、秘書課長、官房長、事務次官、政務官、副大臣大臣というのが決裁ラインに載っていますね。だから、検察の独立性、独立性というんだけれども、その閣議請議をしている主体は、森大臣、法務大臣を筆頭に、検察がいるんだけれども、それは事務次官、官房長、秘書課長、人事課長なんです。  でも、検察組織というのは、事務次官よりも先輩というか上というか、検事になった、任官をした年次も上、先輩検事が十人以上いるわけです。例えば、検事総長、次長検事、それから全国の高検検事長、八人います、だから、二人足して十名。その十名は全員、例えば黒川さんの人事をやったときの、そのときの十名の人たちは全員が、決裁をした事務次官よりも先輩です。年齢も先輩、検事としての期数も先輩。だから、先輩が十人、上にいるわけですね。  では、その十人に、黒川さんの定年延長の、いや、僕は、黒川さんの定年延長の解釈とか、それを問題にしているんじゃないんです。私が問題にしているのは文書です。文書上は、十人のその先輩たちは決裁していないんです。ほかに行政文書がないということは、一切、その先輩たち、検事総長は黒川さんの人事に関与していないのかと、そういう、していないのかというプロセスを聞くと、皆さんは、いや、それは答えられないという。しかし、私は、やはりそれは関与していると思うんですよ。  きょう、森大臣は、閣議請議の文書以外に文書はないという御答弁をされましたが、私は、やはりほかにあると。もしそれが文書化されていなければ、文書にすべきだと思うんですよ。そうでしょう。いや、口頭でやっていてもいいけれども。検事総長に根回しをしたときの文書。もし口頭でやっているんだったら、それを文書化して、行政文書としてそれを残して、後世の検証にたえ得る、いや、すぐ外に出さなくてもいいですよ、アメリカみたいに百年先でもいいですよ、後世の検証にたえられるように行政文書として残しておくべきだと思いますが、いかがですか。
  246. 保坂和人

    保坂政府参考人 今足立委員から御紹介いただきました文書、その残っている決裁文書につきましては、これは法務大臣が閣議請議をする過程での決裁文書でございます。この閣議決定、先ほどございました人事に関して法務省が作成、管理している行政文書というのは、この閣議請議に関する文書が、行政文書としてこれ以外には存在しないということでございます。  私どもといたしましては、今回の勤務延長の経緯等を明らかにするものとしては、この閣議請議に係る文書に記載されたとおりであると認識しておりますが、いずれにいたしましても、法務省といたしましては、引き続いて、公文書等の管理に関する法律とか、あるいは法務省の行政文書管理規程等に基づきまして、行政文書の適切な作成、管理、これに努めてまいりたいというふうに考えております。
  247. 足立康史

    ○足立委員 本当にこの検察庁法の話は大騒ぎに今なっていますが、維新以外の野党は印象操作です。さっきも、もう武田大臣も怒ってはりましたよね。いや、怒ってはるというのは、怒りませんけれども、内心は。法務省の皆さんを、局長さんたちを呼ばずに、政務官も副大臣も呼ばずに、全部呼ばずに、武田大臣に法務省のことをわざと質問する、何でそんな茶番を維新以外の野党はするのかね。もう五五年体制のそういう古い茶番劇はやめようとずっと言ってきましたが、またやっているわけです。  ということで、もうこの話は衆議院ではきょうで、また来週の本会議で終わると思いますが、しっかりこの検察機構の話は引き続きやっていきたいと思います。まあ、梶山大臣は関係ないわけですが、中には関係ある方もいらっしゃいますので、関心を持って見ていただきたい、こう思います。  さて、再生可能エネルギーでございます。  きょうは、高橋長官はいつもお世話になっております、松山部長もお世話になっております。  私の地元で、要は再生可能エネルギー、例えば太陽光パネルの環境問題ということを言うと、すぐ、条例でということになります。でも、私、大阪府の一番北側の選挙区でありまして、私の選挙区の、北から二つ目の町、豊能町というところで、もう太陽光パネルがいろいろできているんですが、自分たちの町に設置される太陽光パネルは自分たちで条例をつくりました、町の議会、町の役場で。しかし、隣の兵庫県川西市は勝手につくるわけですね。だから、県境をまたいでいるので調整ができない。  こういうものについて、やはり私は法制的な手当てが要るんじゃないかとずっと申し上げてきましたが、現時点というか、この法案を持ち込んでいただいている政府として、どんなお考えか、御紹介をいただきたいと思います。
  248. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  再生可能エネルギーを主力電源化していくということは、一昨年のエネルギー基本計画にも定めたところでございまして、これは、今だけではなくて将来に対しまして、長期に日本の社会に根づいていくということが非常に重要でございます。  そういう観点から申し上げますと、こういう長期安定的な電源となるための地元住民の方々からの理解ということが何より重要だということは我々もよく認識しているところでございまして、事業形成において地域との調整、コミュニケーションのトラブルが多々生じている。委員の御地元でもあることは我々もよく承知しているところでございまして、これをいかに対応していくかということを考えているところでございます。  今、現行の仕組みから申し上げますと、再エネ事業者に対しまして、地元の住民の方々と適切なコミュニケーションをとってくれということを義務として課しているところでございまして、これがうまくいかない場合は、必要に応じて、促進をすべく指導させていただいているところでございます。  また、今委員から御指摘ございましたように、地元の自治体が再エネ導入に関しまして一定のプロセスを求める等の条例の手続を定めている場合、これに違反した場合には、必要に応じて認定を取り消すことができるという仕組みも前回の改正以降運用しているところでございます。  今御提案がございましたように、これを法律でできないかというお話が、以前から御指摘があるところであることは承知しているところでございます。  地元の御理解といいますといろいろなものがございまして、例えば、環境に対する配慮。これは、環境アセスという手続で、アセス法に基づいて、この法律の枠組みの中で環境への影響調査し、地元の方々からの御意見も聞きながらプロセスを進めてございます。  もう一つ、土地利用という部分がございます。例えば、森林の中での開発をする場合は、林野の開発ということになりますので、この開発の許認可の手続が必要になってまいります。農地を開発する場合は農地法上の手続が必要になってまいります。この土地利用の規制ということにつきましては、それぞれの法律のもとで、これも自治体の方に権限が委任されているものが多いわけでございますが、それぞれの状況に応じた形で規律がかかっている形になっている。  あとは、これに対して住民の方々の御意向をどう反映するかとなってまいりますと、各地域地域の状況によって、いや、再エネをどんどん進めようとおっしゃる方、いやいや、なかなかこれは難しいと慎重になられる方、さまざまあろうかと思います。ここについて一律の手続を法律のメカニズムでつくっていくことには非常に難しい面があると認識してございまして、その点につきましては、冒頭申し上げましたように、自治体の条例の策定、これに違反した場合の必要に応じた認定の取消しという形で対応していきたいと考えてございます。
  249. 足立康史

    ○足立委員 何度かそういう趣旨のことも伺っています。役所サイドというか、法律サイドの制約もわからないではないんですが、これも、松山部長、何か欲しいね。だから、何かやはりそこの、県境のところについては、いろいろ近畿経済産業局でもリードをとっていただいて、いろいろ集めていただいてやっていただいている、それは地元も感謝をしています。  だから、本当は、一番困っている、大阪府の豊能町長、塩川さんという、大阪維新の会公認で当選をして、当選した後すぐに太陽光パネルの条例をつくりまして、頑張っている町長さんを来週の参考人質疑に呼びたいと思ったら、ちょっと野党の皆様から、ちょっと足立さんの党は小さいからだめだということで蹴られましたが、ただ、大阪だから、コロナの関係もあって来られませんが。  あ、法務省はもう大丈夫ですよ。  そういうことで苦労していますが。松山さん、ちょっとその辺、その辺ってどの辺かわからへんけれども、ちょっと御答弁を引き続きお願いします。
  250. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  今御指摘の、ちょっと先ほど答弁し損ないましたけれども、自治体の条例によって対応するということが前提だと考えておりますけれども、確かに御指摘のように、自治体をまたぐ案件、複数の自治体が関係する案件については、特に県境をまたぐような案件となりますと、非常に現在の行政の構造から考えますと対応がしづらいということは御指摘のとおりだと思ってございます。  こうした問題意識のもとで、こういった案件、要は自治体を超えた形での調整が必要になるものに対しましては、なかなか自治体任せにしていくのはよろしくないというふうに私どもも考えておりまして、関係自治体による広域的対応検討会議という名称での調整、検討の枠組みを設けました。  その中で、国が主催する形で、これが今委員が御指摘の近畿経産局で開催した会議でございますけれども、これを一つ目の案件として、先ほどお話がございましたが、大阪府の豊能町のかかわりのある案件につきまして、大阪府、豊能町、兵庫県、川西市といった関係自治体の皆様方にお集まりいただいて、今、当該案件の現状の共有や対応の方向性ということを議論いただく、情報共有いただくという場を開催し、その後も引き続き、具体的な進め方を協力しながら、国が間に入って進めていくというメカニズムをつくってございます。  これは、決して委員の御地元の案件のみならず、あらゆる案件、日本全国にはいろいろな部分で、山のこっち側は違う町になるということはあり得るところでございますので、経産省若しくは各局の方で、こういった案件がございましたら、いつでも御相談に乗らせていただきまして、国が間に入った形での調整を進めていきたい、このような取組を進めながら地元理解を得た再エネ導入を進めていきたいと考えてございます。
  251. 足立康史

    ○足立委員 本当に松山部長には、その辺、個別案件も含めて目くばせをしていただいていることには感謝をいたしたいと思います。引き続き、私もいろいろちょっと考えていきたいと思いますので、また相談に乗っていただければと思います。  今、環境問題、太陽光パネルの環境問題ということで、これは、伊豆の何とか、ちょっと余り詳しくないんだけれども、全国でいろいろあるから、だから、やはり原発もいろいろ環境ということが議論になるわけですが、では、再生可能エネルギーは手放しで大変クリーンかというと、それは環境の問題、いろいろ起こしているわけでありまして、そこはバランスのとれた見方を、まあ役所もしていただいていると思うし、僕らもしていかなあかんと思っています。  ただ、ネガティブなことだけではありません。例えば豊能町、私の地元でいうと豊能町の北側に能勢町という町がありまして、ここはかつて、覚えていらっしゃるかな、ダイオキシン、廃棄物処理場でダイオキシンが出たということで、ここが一つのきっかけになってダイオキシン特措法が環境省でできたというようなことがありましたが。そのダイオキシンが出た、まあダイオキシンというのはそんな、当時騒がれたほどのあれはないわけですが、その廃棄物処理場が廃止になった跡地、そこにまさに大規模な太陽光発電所がつくられていて、まさに、ダイオキシンで一回傷ついたけれども、そこに太陽光発電所をつくることで町が生き返っている。当然町の収入にも、地域の収入にもなっているわけで、そういうすばらしい案件もあるわけです。  そういうものは、当初設定した、例えば、ちょっともう失念しましたが、今もう検察庁の話でちょっと忙しかったんですけれども、何年間、二十年間なら二十年間の売電価格というものが設定されて、それを期待して地域は動いているわけですね。今回の法改正で、何かそういう、既に契約で確保されている収入というか売電価格の年数みたいなものは、今後もそれは確保される、財産権みたいなものは維持されると考えてよろしいでしょうか。
  252. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  現行運用しておりますFIT法というものは、再生可能エネルギーの導入拡大を進めるために固定価格での長期の買取りということを、保証といいますか、約束している仕組みとなってございます。これが長期収益の予見可能性を高めて投資をふやすというものでございますので、このステータスといいますか立場、権利を保障するということは大変重要な基本になってございます。  今回、法案の中に盛り込んでおりますFIP制度ということを新たに導入するわけでございますが、基本的には、これは、これから先に投資される案件について、支援適用を受けたいという事業者について認定をしていくということになっているわけでございますので、今委員懸念のような、既にFIT認定を受けている事業について、これを強制的な形でFIP制度に移行し、そのステータスが変わっていくというようなものではないということでございます。
  253. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  きょうはこれぐらいにさせていただきたいと思いますが、高橋長官、松山部長、特に松山部長は、新エネ課長、課長もされたんですよね。だから、民主党政権が、私の同期の村上さんがやっていたときに、その上司が民主党政権だったものだから、村上さんは立派な人なんだけれども、でき上がった法律は結構欠陥が多くてね。ちょっと言い過ぎ。その民主党政権の欠陥法を、もうずっとここ何年かかけて、それをもう一回ちゃんとした法律につくり直す作業をずっとやってきてくださったのが、松山部長、高橋長官であると承知をしています。  何か。(発言する者あり)何法。再生。法律の名前。(発言する者あり)全会一致。ちょっとまたゆっくりやりましょう。  そういうことで、経産省も、大きな流れの中で、エネルギー政策全体の中で原子力をどう位置づけていくのか、再生可能エネルギーをどう位置づけていくのか、そうした大きなマクロの話が大変重要になってきますので、次、来週、また機会が多分あると思いますから、その辺に焦点を絞って、また梶山大臣にも御意見、御指導賜りたいと思います。  きょうは終わります。ありがとうございます。
  254. 富田茂之

    富田委員長 次回は、来る二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会