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2020-04-14 第201回国会 衆議院 経済産業委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年四月十四日(火曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 富田 茂之君    理事 大岡 敏孝君 理事 神山 佐市君    理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 淳司君    理事 武藤 容治君 理事 田嶋  要君    理事 山岡 達丸君 理事 鰐淵 洋子君       畦元 将吾君    穴見 陽一君       安藤 高夫君    石川 昭政君       石崎  徹君    岡下 昌平君       神田  裕君    高村 正大君       國場幸之助君    杉田 水脈君       武部  新君    辻  清人君       冨樫 博之君    野中  厚君       福田 達夫君    穂坂  泰君       星野 剛士君    細田 健一君       三原 朝彦君    山際大志郎君       吉川  赳君    和田 義明君       浅野  哲君    落合 貴之君       柿沢 未途君    斉木 武志君       宮川  伸君    山崎  誠君       中野 洋昌君    笠井  亮君       足立 康史君    串田 誠一君     …………………………………    経済産業大臣政務官    中野 洋昌君    参考人    (東京大学公共政策大学院院長)          大橋  弘君    参考人    (一般社団法人モバイルコンテンツフォーラム専務理事)         岸原 孝昌君    参考人    (東洋大学経済学部総合政策学科准教授)      生貝 直人君    参考人    (早稲田リーガルコモンズ法律事務所弁護士)    川上 資人君    参考人    (東京大学大学院工学系研究科教授)        森川 博之君    参考人    (ファイア・アイ株式会社最高技術責任者)     伊東  寛君    参考人    (一般社団法人電子情報技術産業協会会長)     遠藤 信博君    参考人    (株式会社自律制御システム研究所代表取締役社長) 太田 裕朗君    経済産業委員会専門員   佐野圭以子君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十四日  辞任         補欠選任   國場幸之助君     杉田 水脈君   足立 康史君     串田 誠一君 同日  辞任         補欠選任   杉田 水脈君     國場幸之助君   串田 誠一君     足立 康史君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  特定デジタルプラットフォーム透明性及び公正性向上に関する法律案内閣提出第二三号)  特定高度情報通信技術活用システム開発供給及び導入の促進に関する法律案内閣提出第二二号)      ――――◇―――――
  2. 富田茂之

    富田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定デジタルプラットフォーム透明性及び公正性向上に関する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として、東京大学公共政策大学院院長大橋弘君、一般社団法人モバイルコンテンツフォーラム専務理事岸原孝昌君、東洋大学経済学部総合政策学科准教授生貝直人君、早稲田リーガルコモンズ法律事務所弁護士川上資人君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、まず大橋参考人にお願いいたします。
  3. 大橋弘

    大橋参考人 おはようございます。東京大学公共政策大学院院長をしております大橋弘と申します。  経済学専門としておりまして、本法律案とのかかわりですが、二〇一八年から、経済産業省公正取引委員会総務省の三府省において、デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会という会議がございまして、そこで座長を務めさせていただいた御縁がございます。  本日は、このような貴重な場をいただきましたので、デジタルプラットフォームをめぐるルール整備必要性やそのあり方について意見を申し述べたいと思います。  まず、国際的な動向について若干御説明をさせていただきます。  デジタルプラットフォームに対する規制の是非については、競争政策観点から、国際的に現在大きな話題になっております。私が知る限り、最初のレポート調査レポートが出たのは二〇一八年三月にフランスの競争当局のもので、その翌月にイスラエル、ドイツというぐあいに、次々とデジタルプラットフォームに関する調査報告書が公にされました。  我が国では、二〇一八年十二月に、プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備基本原則と、それが基づく中間報告が出されました。我が国報告は、EUやイギリスの報告書よりも早い段階での調査報告であり、その点でも我が国検討は、欧米諸国から見て、タイミング的にも、またこれから述べますように検討内容においても、決して引けをとるものではないと思います。こうした点は国際的にも、例えば昨年七月に出たシカゴ大学で作成された委員会報告を見ても認知されていることがわかります。  さて、各国で公にされている報告書は、どれも内容はかなりの程度共通をしています。まず、出発点として、デジタルプラットフォーム規模が大きいほど効率性が高く、社会的にメリットが大きいという点であります。例えば、オンラインモールを例にとれば、モール規模が大きければ、いろいろな店舗がプラットフォーム上に展開され、そうしたさまざまな商品を楽しみたい消費者が大勢やってきます。こうした現象をネットワーク効果といいますけれども、デジタルプラットフォームはまさにネットワーク効果のよい面を最大限に生かす存在だと思われます。  特にデジタルプラットフォームは、地域中小規模事業者にとってなくてはならない存在です。資本力が乏しく、宣伝広告を行う資金的余力がない地域企業でも、プラットフォームを通じて、ほかの地域消費者や、さらには世界市場へもリーチをすることができます。中小企業にとって、プラットフォームはまさにイノベーションを起こす原動力になっていると言えます。  他方で、かなり以前より、中小事業者中心に、デジタルプラットフォーム取引における不当性を訴える声がささやかれていました。ささやくと申し上げたのは、正式に表明されたり相談されたりすることはなく、あくまで内々の話として語られていたということです。  その内容は、例えば、何の通告や相談もなく契約内容が変更される、アプリ審査基準が不透明、検索アルゴリズムが急に変更になって売上げが大きく落ち込んだなどといったものであります。こうした苦情プラットフォーム側に届けようと思っても、届ける方法がない、あるいは届けられても返答がないというのがほとんどのケースで見られていたようです。こうした声が多く重なった業種が、アプリストアオンラインモールに提供する事業者でした。  不思議なのは、困っているこれらの事業者は、なぜ大きく声を上げて問題を訴えないのかという点です。二つ理由が少なくともありました。  一つ理由守秘義務契約の問題です。多くの私契約守秘義務が課せられていると思いますが、特に海外デジタルプラットフォームに関しては、違反に対して重たいペナルティーが科せられたり、裁判の管轄場所海外に制限されたりといった問題があったようです。  二つ目理由は、仮にみずから声を上げたことがプラットフォーム側にわかると今後のビジネスに差し支えることを強く懸念したという点もあります。特に、多くの中小企業者ビジネスデジタルプラットフォームなしには成り立たない場合には、なおさらのことになります。  こうした経緯を踏まえると、以下の二つの点が指摘できると思います。  一つは、我が国事業者は、プラットフォームに依存してビジネスを行っている者ほど、ビジネス継続性を優先して、プラットフォーム事業者に対して契約上あるいは取引上の問題点を指摘しにくい状況にある。  二つ目は、海外を含むデジタルプラットフォーム事業者は、みずからのビジネス国際標準にすることに熱心であるがゆえに、我が国事業者の置かれた独自の状況について理解していないことが多いのではないかという点であります。  この点を解決するためには、デジタルプラットフォーム取引事業者との間を誰かが取り持ってやる必要があります。取引事業者には、彼らが問題を指摘しても仕返しを受けることがないように、守ってあげる必要がある。また、プラットフォーム事業者にも、我が国事業者が挙げる問題点のうち合理的なものについては、問題を解消してもらうことで、更に魅力的なプラットフォームになってもらう必要がある。互いにコミュニケーションが成り立って、好循環が生まれるまでは、中立的な主体である行政が間を取り持ってやる必要がある。今回の法律案は、そうした意図が背景にあるものと思っています。  現在の問題は、契約条件等で開示されていない情報が多いことから、個々事業者がみずからの直面する問題をほかの事業者と共有することができず、守秘義務を前にして、みずから途方に暮れているという状況と描写できると思います。契約等情報が開示されるようになれば、事業者みずからが直面している問題が、自分だけでなく、ほかの人も直面していることなのだということがわかって、そうした事業者との横の連携が生まれてくるようになると思います。事業者個々で対応するときには届かなかった声が、集団で声を出せば、デジタルプラットフォーム事業者に届く場合もふえてくると思います。それでも声が届かない場合、あるいは届いていないふりをしている場合には、間に入っている行政が、運営状況レポートモニタリングレビューをすることで、間を取り持つことが可能になります。  こうした行政の仲立ちを通じて、デジタルプラットフォーム事業者取引事業者との間によい意味でのコミュニケーションが生まれれば、行政運営状況レポートモニタリングに多くのリソースを割かなくても、ADRのような仕組み独禁法運用を組み合わせることで、十分にデジタルプラットフォーム透明性公正性確保される世界が訪れると思います。  いずれにしても、現在のように、デジタルプラットフォーム事業者情報交渉力を持つがゆえに、取引事業者が劣位に置かれるような状況を脱して、正常で対等な取引慣行に落ちつくまでの間は、しっかり行政がかかわる形を維持されることが望まれると思います。  過去、政府においては、二〇一六年から少なくとも四回はデジタルプラットフォームにかかわる取引事業者のヒアリングを行っていると思います。声を上げた取引事業者の多くは、アプリオンラインモール事業者でした。しかし、デジタルプラットフォームは、今や、副業におけるマッチングや教育アプリ結婚サイトなど、世の中に多種多様なサービスとして幅広く普及しています。将来的には、アプリオンラインモールでの本法案での成功経験もとに、ほかの事業分野にも本法案の網を広げていくことが重要だろうと思います。  最後に、デジタルプラットフォームに関連して考えることを二点申し上げて、終わりとさせていただきたいと思います。  第一に、独禁法との関係であります。  そもそも本法案内容独禁法で実現できないのかという点は、検討の当初からありました。問題は、デジタルプラットフォームに対して独禁法を適用するには、外部からとれる情報が乏し過ぎて、ハードルが高いという点がネックになっていました。鉄鋼や化学産業といった素材産業と比較して、デジタル分野データ情報がどのように使われているのかを外部から知ることが難しく、情報のとり方も、例えば談合のように、密室で被疑者を泣き落として自白させることで情報をとるといった手法では全く太刀打ちができないわけであります。  しかし、これは我が国だけの問題ではありません。米国においても現在、シカゴ学派中心にしてきた独禁法運用に対する見直し、厳格化が学者の中で提起されているさなかであります。  我が国においても、公正取引委員会が、デジタル分野において、また海外事業者に対して、どのように正式な形での法執行を行っていくのか、経験値を積んでいく必要があります。排除措置命令課徴金納付命令をしっかり発動して初めて抑止力のある法執行と言えるからであります。こうした正式な法執行を行うための審査調査を進めていく中で、禁止すべき取引行為類型なども明確になってくるでしょうし、また独禁法を執行するための競争環境整備としての本法案の意義も高まってくるというふうに思います。  二つ目は、競争重要性です。  いわゆるGAFAと呼ばれるデジタルプラットフォームも、もとをたどれば小さいベンチャーから始まっています。ベンチャー企業が、既にいる大きな企業よりもよりよいサービスを生み出そうとして今のGAFAがあるわけであります。こうしたGAFAにかわろうとするスピリッツを持つベンチャー企業我が国にももっと出てこなければいけません。GAFAに身売りをして、それでよしとするベンチャー企業ばかりでは競争は起きないわけであります。他方で、GAFAにかわろうとするベンチャーに対しては、GAFAはその資金力で強引にでも買収を仕掛けてくると思います。将来の敵は早目に芽を摘んで競争を殺した方がよいからであります。  今回の法律案は、単にプラットフォームとそれに取引する主に中小企業との間の関係適正化するものであるわけですが、我が国経済成長を見据えれば、デジタルプラットフォーム取引する中小企業者の中から将来のデジタルプラットフォーマーが誕生するような好循環を生み出す努力も求められると思います。  以上でございます。  御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手
  4. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  次に、岸原参考人にお願いいたします。
  5. 岸原孝昌

    岸原参考人 本日は、意見陳述機会をいただきまして、まことにありがとうございます。一般社団法人モバイルコンテンツフォーラムMCF岸原でございます。  まずは、簡単にMCFの御紹介をさせていただきたいと思います。  設立は一九九九年、日本モバイルコンテンツサービスiモードが始まった年に設立されております。現在、スマートフォン等におけるアプリ配信事業者中心に約百社の会員で構成されております。会員としては、中小ベンチャー企業から上場企業まで幅広く含まれております。  当団体活動領域としておりますモバイルコンテンツビジネスにおいては、プラットフォーマーとの関係性は必須であります。そのため、さまざまなプラットフォーマーとこれまで交渉を行ってまいりました。  古くは、ガラケー時代iモードEZウエブ等モバイルコンテンツプラットフォームにおいて、通信事業者、キャリアと呼ばれておりますが、と交渉を行い、ビジネスを拡大するために公式サイトオープン化等を進めてまいりました。また、インターネット上の音楽配信に関して、音楽著作権に関する、いわゆるプラットフォーマーであるJASRAC等著作権団体料率等交渉を行って使用料規程を策定してまいりました。  本日は、このような過去の経験も踏まえて意見陳述させていただきたいと思います。  今回対象として想定されておりますアプリストアが介在するアプリビジネスについて、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。  技術面ではさまざまな違いがありますが、アプリビジネス仕組みは、日本が先導したiモード等ビジネスモデルと基本的に大きくは変わっておりません。当時、iモード公式サイトと呼ばれた機能が、スマートフォンではアプリストアとして提供されておりますが、スマートフォンにおいてはアプリストア事業者による垂直統合がより進んでおる状況でございます。  若干、ちょっと古い端末を持ってきました。これがiモード端末、皆さん懐かしいかと思いますが、これがスマートフォンにどう進化してきたかということを簡単に御説明したいと思います。  これ、多分今お持ちの方は誰もいないと思うんですが、iPod、実はこれはPCから大量のデータを複製するという機能があります。ほぼPCと同じ、ストレージという形で、当時、数千曲の曲をこちらの方に移動して、モバイルができる。これを、ペンパイナッポーアッポーペンじゃないですが、がっちゃんこしたのがスマートフォンという形になります。  現在、これは、今このストレージクラウド上にありまして、こことの連携をすることによって、スマートフォンユーザー履歴あるいはデータを分析して、さまざまなサービスを提供するというのが基本的な構造です。  ちょっと脱線しますが、せっかくですので、このiPod、実は、この中身はほとんど日本の部品でした。東芝製の一・八インチのハードディスク、ソニー製小型バッテリーがなければ、これ自体実現できなかったと言われております。しかも、スティーブ・ジョブズの美意識かどうかわからないんですが、それを実現するための鏡面仕上げ、これがまさしくその美意識になりますが、これをつくっていたのは、新潟県の燕三条のたくみのわざが実現した。イノベーションは結合から生まれると言われておりますが、日本ではスマートフォンが生まれなかったのが不思議なくらいです。  それでは、ちょっと本題に戻りたいと思いますが、多くのプレーヤーとサービスが融合するこれからの社会において、我が国産業をスケールさせていくためには、効率性高度化を実現するプラットフォーマーとの共存共栄スキームが重要です。しかしながら、現状は、構造的な問題が存在しており、さまざまな弊害が起きております。  その根本的な原因として、アプリストアに関しては二社の寡占状況で、構造上、アプリストア事業者優越的地位にあるため、対等な交渉が難しかったということが挙げられると思います。これは、今、大橋先生の方から御紹介があったとおりかと思います。また、グローバル化による文化、コミュニケーション面のギャップも大きくなっております。  このような構造問題を共存共栄の方向に改善するために、今回の法案には非常に期待しております。まさに透明性確保され、公正性について広く議論できるようになることは大変望ましいと考えております。レポートによる透明性確保から、アカウンタビリティーの履行、それに対するモニタリングレビューとしての評価という改善を促進するプロセスが回っていくことに期待しております。  法案への期待とともに、法運用に関して二点要望させていただきたいと思います。  一つは、共同規制スキーム実効性確保、もう一つは、プリンシプルベースでの法運用です。  共同規制スキームについては、この後、生貝先生から説明があるかと思いますが、不確実性の高い現代社会においては、民間による柔軟性と法による安定性が両立した共同規制が有効だと思います。  MCFとしても、民間業界団体柔軟性を生かして苦情対応等に当たっていきたいと考えておりますが、レポートモニタリングレビュー法運用においては、業界団体との連携を十分に確保していただきたい。  また、民間の自主的な活動実効性を担保するには、十分な体制整備が必要であり、政府からの支援も必要です。ぜひとも御検討いただきたいと思っております。  また、動きが速いIT業界において法制度機能させるには、プリンシプルベースでの法運用が重要であると考えております。現状に最適化された仕様規定は重要ですが、不確実な将来にも対応するために原則明確化が必要だと思います。透明性公正性向上を目指す基本理念に関する十分な議論をお願いいたします。  最後に、今回の法案とは直接関係しませんが、現在、新型コロナウイルスによって日本社会は大きな影響を受けております。このような状況に対応するためには、社会デジタル化インターネット化が必要であり、ITの積極的な活用による、リアル社会の代替としてのバーチャル社会の構築を促進していくようなビジョンも有効だと思います。  歴史を振り返ってみると、このような危機的な状況においてはメガベンチャーとなる企業が生まれる可能性があります。今回の危機を奇貨として、我が国のオルタナティブなプラットフォーマーの育成を積極的に進めて、規制とのバランスをとるというビジョン検討していただければ幸いでございます。  以上、私の方からの陳述とさせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手
  6. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  次に、生貝参考人にお願いいたします。
  7. 生貝直人

    ○生貝参考人 おはようございます。東洋大学の生貝直人と申します。  本日は、このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。  お手元に配付いただいております一枚紙に基づいて御説明をさせていただきたいというふうに思います。  まず、私自身、主に欧州等のこういったデジタル分野にかかわる制度政策というものを研究対象にするとともに、ただいま既に岸原様からも御言及のございました共同規制という方法論に関する研究を行ってきている者でございます。  そのような観点から、お手元の紙の方をごらんいただきまして、まず、全体的に、今回の法案に関する総論としての考えを申し述べさせていただきますと、デジタルプラットフォーム、以下DPと記載しておりますが、まさに現代情報社会管理者と言っても過言ではない。それが特に、今後、ソサエティー五・〇が進展していく中で、MaaSでございますとかスマートシティーでございますとか、現実空間全体がこのDP管理下に置かれるということにもなるわけでございます。  そのような中で、利用者が国内外のDPを高い予見性もとで安心して最大限活用し、社会全体でイノベーションを生み出し続けるために、本法案は非常に重要な役割を果たすものというふうに考えております。  特に、御承知のとおり、影響力の強いDPには海外事業者が非常に多いところで、これまで、日本政府あるいは国内利用者海外DPの継続的な対話の経路というものが十分に存在しておりませんでした。それが、本法案情報開示体制整備モニタリングレビューに基づく共同規制的手法により、関係者相互理解の醸成というもの、それから問題が深刻化する前の自主的な適正化というものを促し、公正かつ競争的な市場環境を実現することを期待しているところでございます。  二番目に、共同規制という概念について簡潔に御紹介をしたいと思います。  共同規制、英語ではコレギュレーションというふうに表現いたしますが、これは既に岸原様からも若干御説明がございましたとおり、端的に申し上げますと、規制の大枠を法律で定めつつ、詳細を事業者自主的取組に委ねることで、政府規制安定性そして自主規制柔軟性という利点を組み合わせ、イノベーション親和的なルール枠組みをつくり出す規制手法と表現してよろしいかというふうに思います。  下の表のところに、こちらは英国の情報通信省、OFCOMが二〇〇八年に出した文書から大まかな要約を引いてきているところでございますけれども、できるだけ規制なしで問題が解決されていれば一番望ましい。しかし、それだけで難しいときには、業界に努力をしていただいて、あるいはそこに政府が緩やかな働きかけをして、法律には基づかないのだけれども自主的な規制をしっかりやっていただく。  ともすれば、それでうまくいかなければ、一気に政府規制という形で細かいところまで決めてしまうという向きが、もしかするとインターネット以前の時代には多かったのかもしれません。なのでございますけれども、市場が万能ではないのと同じくらいに政府は万能ではない。やはり答えは、市場か国家、どちらかの極端ということではなくて、必ずその間にあるはずだ。それが、この間にございます共同規制自主規制政府規制の混合措置により問題が解決されている状態を指す共同規制という方法論でございます。  少し上に戻りますと、特に、やはりデジタル環境というのは、政府で細かく決めてしまうことはできず、他方市場に完全に任せることもできない、そういった問題が非常に広範に生じるところでございますので、これまで約二十年ほどのデジタル政策、そして、特にここ数年急速に大きなテーマとなってきたデジタルプラットフォーム規制という文脈におきましても、例えば青少年保護でありますとかあるいは知的財産権保護、それからフェイクニュースの対策、そしてこの後後述するEU規則等のDP規制において、広く共同規制手法が適用されているところでございます。  そのときに、共同規制というものはさまざまな特徴がございますが、最も重要なのは、それが複層的かつ動的、ダイナミックな枠組みであるということでございます。  本法案は、比較的、恐らくライトタッチな、軽度な、イノベーションに配慮した規制だということが言えるというふうに思います。それは、私自身、現時点の対応として非常に望ましいものと考えているところでございますが、本法案により目的が達成されているのか、まさに法により定められた目的が達成されているのか、そのことを継続的にモニタリングする、そして必要があれば追加的な介入というものを行う可能性、これは、私のような研究者は規制の影というふうに表現することが多いのでございますけれども、それを常に検討しておくことが重要でございます。まさにそれが法の目的を達成することであり、また、そうした前提があることでもって、規制対象事業者の側としても、法を遵守しようとするインセンティブが生まれるというものでもあろうというふうに思います。  後で少し、下で触れますEU規則でも、その趣旨を前文の中で明示しておりますほか、EUという国は、二十八カ国から成ります、今英国が離れまして少し数が減っておりますが、加盟国ごとにも法律を制定することができます。そういったようなことも含めて、機敏な対応というものもEUの枠組みでも進めているということであります。  そのためには、モニタリングレビューの効果的な運用ということはもちろん、経済産業省公正取引委員会総務省、そして新設された内閣官房デジタル市場競争本部等、関係省庁のモニタリング体制というものを、専門的知識も含めて強固なものとしていく必要がございます。  最後に、EU規則でございます。  御承知のとおり、既に言及もございましたとおり、本法案は、EUの、二〇一九年の六月に採択されましたオンライン媒介サービス公正性透明性促進規則というものをかなりの程度モデルにしているものというふうに理解しております。それと本法案を比較してみますと、幾つかの側面がございますが、少なくとも、その中核である情報開示にかかわる規制内容はおおむね同等であると言えるというふうに思います。  そのようなことにより、特に、上で申し上げました本法案共同規制手法により、大枠としての法的枠組みを、まさにグローバルな情報空間にふさわしい形で国際的に共通化した上で、そしてまさに、その具体的な対応のあり方といったようなことは我が国の実情を反映する形で調整する、そしてDP事業者にも対応していただくという形での運用が大きく期待されるところかというふうに思います。  主な相違点と本法案との比較は、以下に簡略にまとめております。規制対象でございますとか体制整備、そして救済・モニタリングというところで若干の相違は存在いたしますが、おおむね、総じて申し上げれば、本法案の方が、若干事業者の自主性に重きを置くとともに、市場状況に応じた柔軟な対応を、特に政令による規律の調整といったようなところを中心として重視されているというところかというふうに思います。  このことというのは、やはり欧州と日本デジタルプラットフォームにかかわる市場に対する捉え方、あるいは現実の市場状況といったようなところもあるものかというふうに思いますが、EUの規則というのも、これからまさに施行され、運用が行われていく中、現段階でとるべき対応としては、まさにこのような柔軟かつ機敏な対応を行うことができる枠組みというものを、私としては非常に望ましいものとして理解するものでございます。  以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手
  8. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  次に、川上参考人にお願いいたします。
  9. 川上資人

    川上参考人 弁護士の川上と申します。よろしくお願いします。  きょうは、重要な法案の審議にお招きいただいて、本当にどうもありがとうございます。  私は、弁護士として、主に労働の現場、それから中小企業の方の立場に立って仕事をしております。それから、ベンチャーですね、ベンチャースピリットを持って、人生をかけて会社を立ち上げた若いベンチャーの人たちとも一緒に仕事をしておりまして、きょうはそのような立場から、現場で何が起きているのかという問題について、その人たちの声をお伝えできればと思います。よろしくお願いします。  レジュメに沿ってお話しさせていただければと思うんですけれども、問題の所在。これは、大橋先生のお話等からも、今出ていましたように、例えば一方的な契約の変更であったり、そういった一方的な行為が広く行われているということがあります。それは、ひとえには、やはり交渉力格差が厳然としてある、そこに尽きるということです。  これは、今まで私たちがこの社会を百年、二百年築いてくる中でこの問題が顕著に起きた領域というのは既にあって、それに対してどのような手当てを我々社会は行ってきたのかという、そこから実証的に学ぶことが可能なわけですね。  それは何の領域かというと、もちろん労使関係なわけであります。交渉力格差が顕著な領域は労使関係であった。労働者と企業という、力の厳然とした状態において、ここに労働法が発展してきて、その是正を行ってきて、対等な交渉関係、対等関係を築いて、より健全な社会を築くということが行われてきたわけですね。  労働法の目的というのは、突き詰めれば、公正競争なわけです。一つ企業が、例えば社会保障を払わないとか、コストを削減するために、利益を上乗せするためにそういう違法な行為をしていけば、その会社は短期的には他の会社よりも強くなる、不公正競争によってその会社だけがぬきんでていくということがあり得るわけです。公正競争確保することで、社会イノベーションも生まれる、それから労働者の人たちの生活も安定する、そういうことが目的とされているわけです。  このような労働法等の規制のない部分、分野が、今あらわれてきているプラットフォームの問題なわけです。プラットフォーム対個、個人、ここにも圧倒的な交渉力格差が認められる。しかし、労働法とは全く異なって、この分野は、やはり非常に新しい問題ということもあって、法規制が全く存在しません。全く存在しないがゆえに、さまざまな不都合性が発現してきているわけです。  その一つとしては、不公正な競争によってイノベーションが阻害されている。これは、例えば今お話であったアプリストアの問題です。ここはアップルとグーグル、この二社によって完全に支配されていて、どの会社がどんなアプリ社会に提供するかということを彼らが判断しているわけですね。本来は、我々消費者が選び取っていくはずです。それにもかかわらず、彼らが独自の恣意的なルールをしいて、そこで事前に彼らに都合のいいアプリだけを世に出している。仮に、非常にこれは伸びそうだというアプリがあれば、彼らがそこを摘み取って、彼らのアプリとして出すということだってあり得るわけです、十分に。これは既に起こっている可能性だって十分あるわけですよね。  これは何をしているかというと、イノベーションの阻害であって、私たちの国からベンチャースピリットにあふれるベンチャー企業が誕生することを阻害している、こういうことが言えます。  それから、この不都合性のもう一つの問題として、社会的費用の負担者が今偏在してしまっている。この外部不経済によって、例えば労務提供型プラットフォームで事故に遭った労働者、この人の労災は誰が負担するのか。企業は全く負担しません。プラットフォーマー社会的費用を全く負担しなくていいわけです。結局、国が払うんです。被害者の労働者が払うんです。国と個人に社会的費用のつけかえが起きてしまっている、これが現在のプラットフォームビジネスになります。  次に、具体的問題。  では、これはどんな細かな問題になっているのかというと、例えば契約の問題でいえば、一方的設定、変更、終了、それから取引も拒絶する。さらには、そういったことに声を上げる事業者がいれば、報復を行う、不当な扱いをする。それから、一方的な恣意的制度も可能になっています。  今までのお話から明らかなように、プラットフォームというのは一つ社会というか国のようなものを既に築いているわけですが、その法律一つ企業がつくれてしまう、そのような一方的な制度が生まれています。例えば、ペナルティー制度を設けてみたり、罰金制度を設けてみたり、それから今申し上げたアプリ審査制度が一方的であったり、このような問題が起きている。それに対して、次ですけれども、事業者それから労働者が団結して組織化をして、少しでも交渉力をかさ上げして団体交渉を求めても、団体交渉は拒否する、そういった問題が生じております。  今回、そういった問題点に着目してこのような法律が議論されていることは非常にすばらしいことで、国民の一人としては感謝を申し上げたいというふうに強く思っております。ただ、批判にはなってしまうかもしれないんですが、この法案をかなりしっかり読ませていただきまして、少し問題点の提起というものをさせていただければと思います。その中で、この問題点、書かせていただいたものは、つまり、それに対して不在なものを設ければ解決策になるということで、問題点の三のところは解決策の記載ということも言えるかもしれません。  一番大きい問題点としては、やはり、契約の一方的な設定、変更、終了についての規律がありません。そうすると、いろいろな条文があって、例えば五条では開示が定められたり、六条では勧告があったり、そういった透明性を高めるデザインは非常に充実しているんですけれども、この法案の目的のもう一つの目的である公正性については担保できないんじゃないかという危惧をしております。  公正性というのは何かというと、契約が真に当事者の合意であることによって担保される。その手段としては二つありまして、契約に合理性を求める手法と、契約当事者の対等性を確保する方法があります。それは、現在では、改正民法五百四十八条の二に入った定型約款の規制、後者については、団体交渉を保障していくという労働組合法のようなものが考えられます。  本法律は両者を欠いていて、公正性についてどのように担保していくのかという問題点が考えられると思います。  しかし、ここで問題なのが、この二つ手法について、一つ目、改正民法五百四十八条の二、ここで定型約款の規制があるんだから、別にこのプラットフォーム法案になくても、民法の方で対処できるようになったんだから大丈夫じゃないかという気もするんですが、やはり現場の声を聞いていると、全くそうではないんですね。  なぜかというと、民法で、定型約款は合理性がないといけない、合理性のない定型約款は無効だというふうに書いてくれた。でも、じゃ、その民法を使って声を上げられるかといったら、そんなことはできない。そんなことをすれば、アプリのそこからはじき出されて、会社は倒産してしまう。だから、合理性のない契約だ、それはだめだと民法に書いてくれても、じゃ、実際にそれを使って何か是正していくことが中小企業にできるかというと、それはできない。なので、やはりこういう法律の中にそこを書き込んで、プラットフォーマーに対しては、そこを遵守しないといけないということを確認させることが重要なんだと思います。  それから、二点目の、じゃ、対等交渉力をつけて、団体交渉によって対等な交渉を実現して公正なものを実現していく手法というのがどうかと考えると、労務提供型のプラットフォームで働いている労働者に対してはこれは有効なんですけれども、例えばオンラインモールで、事業者の人たちがたくさんいます。この中小企業事業者さんたちが団結して団体交渉できるようにすればいいのかというと、それは私は非現実的だと思います。やはり、全国に散らばる、それから事業者性の強い、独立性の強いそういう人たちが団結して一つオンラインモール団体交渉して、それによって公正な競争環境が生まれるかというと、それははっきり言って絵に描いた餅だと思います。  そこは、今現在、中小企業等協同組合法によって、協同組合をつくれば団体交渉ができる、そういうふうになっています。私がアドバイスさせていただいている楽天ユニオンも、その手法をとって今頑張っています。しかし、それで解決するかというと、そういう問題ではないと思っています。なので、やはり重要なのは、契約の合理性というものを追求する中身にしていく必要があるんじゃないかと思います。  二点目としては、不当行為禁止規定がない。声を上げた人に対する報復的行為をどのように抑止するのか。  それから、論点のペーパーに書いてあったのが、適用対象が当面はオンラインモールアプリストアに限定される、ここは非常に重要な問題、不都合な問題点だと思います。今、労務提供系のプラットフォームがふえてきています。そこを除外するというようなたてつけでは、なかなか大きな不都合が生じてしまうんじゃないかと思います。同じように特定デジタルプラットフォームにすべきだと考えます。  それから、恣意的制度を監視する第三者機関が不在であるということです。ここに対して、ペナルティー制度、罰金制度、例えばオンラインモールが行っています。そこで、一方的な制裁的行為がなされる。そのときに、意見を述べる機会もなかったり、公正な処罰になっているのかという担保がない。その点については第三者機関を設けるべきだと思います。  それから、紛争解決機関の不在。ここについても、やはり行政が中に入って、労働委員会のようなものであったり、何かちゃんとした中立機関が入る必要があると思います。  各論として、条文の問題点として一つ指摘させていただきたいのは、法案の第二条なんです。  第二条に、非常に重要な「商品等」という略語が出てくるんですが、「(以下「商品等」という。)」というのが第二条で入っていて、その商品等の中に役務が含まれているんですね。そうすると、この法律においては、商品、役務又は権利、これを取引することをずっと商品等と呼んでいくことになっているんですが、ILO憲章のフィラデルフィア宣言で一番最初、冒頭で書かれているように、労働は商品ではない。ですから、役務を商品等として商品と同一に扱うことは少し改善していただきたいと思いまして、ここは、商品等ではなく、商品役務等という記述で以下やっていただければと思います。  同様に、第二条の三項には商品等提供利用者という定義がありますが、ここも商品役務等提供利用者とすべきと考えます。  それから、第四条に、売上額の総額によってデジタルプラットフォーム提供者を指定していくということがありますが、例えば、今、ウーバーイーツを提供しているウーバー社でいうと、会社はオランダのアムステルダムにあります。そこに売上げを計上していると思われますので、日本のウーバー・ジャパン等に売上額が計上されていないということになると、売上額の総額によってというところをどのようにして把握していくのかという問題がありますので、そのような租税回避行為を行っているデジタルプラットフォーマーに対する捕捉、ここについても緊急に何か手当てをする必要があるのではないかと思います。  それから、第十条の二項について、不利益な取扱いはしてはならないと書いてはあるのですが、特に、例えば労働組合法で定められている不当労働行為の禁止規定とかそういったことがないので、これをどのように担保するのかというのが問題だと思います。  最後なんですけれども、中小企業等協同組合法と労働組合法というものがあって、これによって団体交渉が保障され、対等な交渉というのを実現しようとはしているんですけれども、問題点がありますので、このデジタルプラットフォーム法案の議論に少し示唆になればと思うんですが、まず、中小企業等協同組合法には、不当労働行為と労働委員会がありません。なので、報復行為の抑止とエンフォースメントに課題があります。  労働組合法の問題点としては、プラットフォーマーが、商品役務等提供利用者が労組法上の労働者に当たらないとして団体交渉を拒否した場合には、労働者の方が出訴して立証して、何年も何年もかけてやらないといけません。つまり、プラットフォーマーの方は、団体交渉を拒否するという違法行為をするだけで、後はずっとあぐらをかいていることができるわけですね。  その点で、例えばフランスでは二〇一六年の八月にエルコムリ法という法律ができて、プラットフォームで役務提供をして働いている労働者に団体交渉権が保障されました。この立法で彼らには団体交渉権があると書かれたことで、プラットフォームが、現在、日本のウーバー・ジャパンがやっているような、彼らは労組法上の労働者じゃないから団体交渉に応じなくていいんだという理屈が通用しないことになります。なので、例えば役務提供型プラットフォーマーには労組法上の団体交渉応諾義務があるんだというような明記、これはフランスのアプローチですが、こういった法律も必要なのではないかと思います。  最後に、この法律とは少し外れるんですけれども、役務提供をしている側からすれば、まず、彼らの、当事者の権利を保障するようなプラットフォームワーカー保護法を国会においては創設していただきたいと思います。それによって、健全な労働環境が確保されて、健全な社会が生まれ、公正な競争ベンチャー精神にあふれる社会になっていくんじゃないかと思います。  きょうはどうもありがとうございました。(拍手
  10. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 富田茂之

    富田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。石川昭政君。
  12. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 自由民主党の石川昭政でございます。  本日は、コロナで大変な中、四人の参考人の皆様には、こうして意見陳述にお越しいただき、まことにありがとうございます。  マスクをしておりますので少し聞きづらいかと思いますけれども、なるべくゆっくり大きく質問したいと思いますので、率直なところを、御意見をお伺いできればと思っております。  今、新型コロナウイルスによって、リアルの店舗が閉鎖をして、より、ますます、デジタルプラットフォーマー、オンラインストア、こういったところに大きくウエートが移ってくる。そういう中で、こういった新しい法案ができるということは非常に重要なタイミングだったと私は思っております。  私は、数年前から、デジタルプラットフォーマーが大きくテレビCMなどで、ポイント十倍還元セールとか、あるいは最近では送料無料とか、そういったことを打ち出すたびに、これは出店者にとって利益があるだろうか、こういう疑問を抱きながら、ずっと検討を続けてまいりました。  そんな中で、まず大橋参考人に、今回、法律の策定に当たって、検討会の座長をお務めいただきましたので、法律の大枠について、まず冒頭お伺いしたいと思います。  今回、競争政策の中で、米国のプラットフォーマー規制と、それからEUのプラットフォーム規制を両方参考にしつつも、EU型PツーB規則を土台にしながら、今回は業法による規制から自主規制のちょうど中間である、先ほど参考人からもございましたけれども、共同規制という形をとった。こういう手法について、本法案のスタンスについて、どのように今率直にお感じになっているか、お伺いします。
  13. 大橋弘

    大橋参考人 御質問ありがとうございます。  おっしゃられるとおり、これは民民でやりとりするものでもなく、また政府規制でもない、その中間の形として今回法律案として提出されているということですが、先ほどもちょっと申し上げさせていただいたんですけれども、そもそも、民民の中でやっていくには、やはり交渉の格差があり過ぎて、なかなか民民だけに委ねることはできない。他方で、政府規制という形をとった場合、政府が、では、どの程度情報を持って、あれやれ、これやれと言えるのかというと、なかなかそこも難しい問題がある。そうすると、民と政府がある程度一緒になって規制をつくっていかなきゃいけないところが、やはりこの業界はあるんじゃないかというところで、今回こうした形になったのかな。極めて、通常見ないような、業規制の中で見ないような形だと思いますけれども、そうした形になったのかなというふうに思っております。  そういう意味では、交渉力が非常に強い、なおかつ、デジタルと情報ビジネスの中で埋もれちゃって外から何が起こっているのかわからないというものを、一定程度たがをはめるという仕組みとしては、こうしたものというのは機能することも非常に期待をしているというところがございます。
  14. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 ありがとうございます。  これからデジタルプラットフォームというのは社会インフラになっていくわけですから、やはり、我々、消費者の立場、それから商品等の提供者、中小事業者にとっても使いやすいものであってほしいという思いで、こういう形で共同規制というルールを取り入れたと思っております。  そんな中で、このルール整備検討の中で見送った点がございます。それは、不当行為禁止規定を導入することを見送られました。具体的には、競合商品の拒絶、それから自社サービスの利用の強制、あるいは自社商品を有利に、検索上上位に表示することなどについて禁止事項を、本来であれば、法律であれば指定をして、これはやっちゃいけませんよということで指定をして、事業者にそういった対応を求めるということは今回とらなかったわけですね。このあたりについて、イノベーションの促進を阻害しないように配慮した結果だと思いますけれども、この点は妥当だとお考えでしょうか。
  15. 大橋弘

    大橋参考人 御指摘の点ですけれども、検討会でもそういうふうな議論は実はしていたことがございました。  こうした行為類型をしっかり書くことがイノベーションを殺すことにならないかという懸念も他方であるところ、先ほどおっしゃられたとおりのところもあるんだと思います。  ここは、まずは、プラットフォーム事業者の側から、コード・オブ・コンダクトという形で、ある種、どういうふうな規律が自分は望ましいと考えるかという対話を始める必要があるんじゃないかということが、まずここでの出発点なんだと思います。  そうした中で、我々も、どういうふうなビジネスをされているのか、彼らが何を考えているのかということをちょっと学んでいかないと、類型をこちらからいきなり示したときにどういうふうな副作用があるのかというのはなかなか読めないところがあるんじゃないかなということを、私の個人的な感覚として若干懸念するところではあります。  そうした中で、独禁法運用もきちっとなされていくようなところも出てくると思いますし、まず対話から始めていくのが出発点としてあって、ある程度時間がたったときにその行為類型というものの議論をする素地というのができてくるんじゃないかなというふうな気がしております。
  16. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 あくまでデジタルプラットフォームに自主的な改善を促すような、そういう仕組みを今回取り入れていったというわけでございます。  そんな中で、今回はオンラインモールアプリストア、この二つ対象になっているわけでございます。デジタルプラットフォームは、ビジネスモデルが違う中で、どんどん買収をしながらいろいろな事業を組み合わせてデータ一つにまとめて、そこで高い付加価値をつけるサービスを提供していく、こういうビジネスモデルで発展してきています。  そうしますと、この二つに限定する合理的な理由というんですか、どんどん業態が変わる中で、あるいは買収をしていって資本が変わっていく、そういった中で、この二つに限定していって、こういった法律を逃れようとするような事業者が中には出てくるんじゃないか。今、これから大きく問題になるかもしれない、広告の問題とか、検索エンジンとか、グルメサイトの問題、それから旅行比較サイト、比較的そこは事業規模は小さいかもしれないんですけれども、適用対象範囲がこれでいいのかどうか、大橋参考人の現時点の御感想をお伺いします。
  17. 大橋弘

    大橋参考人 ありがとうございます。  これまでヒアリングをさまざま続けてきた中で、一番声の数が大きかったのがアプリでありオンラインモールだったというふうに理解をしています。  そういう意味でいうと、その業界からのお話、あるいは何が起こっているのかという知見がある程度政府にはたまっているところがあるんだと思います。  他方で、おっしゃられるように、この二つに限定する合理性があるのかと言われると、合理性は必ずしもないんだというふうに思います。  そういう意味でいうと、今後も引き続き継続的にヒアリングを広い観点からやっていただいて、たとえ業種として小さくても、そこで苦しんでいる人がいるのであれば、その業種の小ささというのはそれほど重要視すべきなのかというのもありますので、やはりそういう声がある程度聞かれた場合には、業種の範囲というものも柔軟に考えていく必要というのは当然あるんじゃないかというふうに思います。  ただ、今回、法が始まるわけですから、まず適用事例というか経験値を積んでいかなきゃいけないという意味でいうと、比較的声が大きかったアプリなりオンラインモールに対してまず始めてみるという、スタートとしてはそれなりの理屈があるんじゃないかなというふうな感じがしております。  ありがとうございました。
  18. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 ありがとうございます。  次に、本法律案の立法事実にもかかわる部分で、岸原参考人にお伺いします。  まず、データプラットフォームとの取引実態について、昨年二月、経済産業省がオンラインプラットフォーム事業者向けに実施したアンケートによりますと、やはり取引条件、それから、手数料が一方的に変更になるとか個別交渉ができない、こういうアンケート結果で、非常に多く苦情が寄せられたところです。  どうして民民の解決が事実上困難になってしまっているのか、具体的な事例があればお伺いしたいと思います。  もう一点が、我々消費者の立場でも同じなんですが、事業者が、商品等提供者がオンラインモール等と契約する際に、イエス・オア・ノー、契約条文がだあっと書いてあって、イエスかノーで答えてくださいというふうになっていて、それで、そういう画面が出てきて、承諾しないとサービスを提供させてもらえないというような、そういう同意のあり方というんですか、これについてどうお感じになっているかお伺いします。
  19. 岸原孝昌

    岸原参考人 MCFとしては、アプリストアに関してちょっとお話をさせていただきたいと思います。  これまで、さまざまな苦情とかが個別事業者から寄せられて、アプリストア事業者に個別に話をしているという事例がありますが、なかなか解決につながらない。というのは、先ほどちょっと御紹介しましたが、非常に二社の寡占状況で、そもそも優越的地位にある。これが、先ほど御紹介があったように、対等な交渉関係にないというのが構造上の大きな問題だというふうに思います。  それと、先ほどちょっと御紹介できなかったですが、やはり実際にアプリストア審査というのは海外で行われております。言ってしまえばアメリカでございますが。そうなりますと、実は文化とコミュニケーションに対してのギャップが結構大きくて、基本的に英語でやりとりということもあるんですが、そもそも前提となる文化背景というものが大きく違います。  特に日本文化というのは、世界から比べると非常に、言い方があれですが、ちょっと変わったというか特殊なというか、言い方をかえると、クール・ジャパンとして、非常に世界にもないようなさまざまな文化背景というものを持っております。これを実際に海外の方が理解いただくということが実は結構難しい面があって、ここは多分、日本の文化に対するアジャストというものを仕組みとしてつくっていかなきゃいけないというのもあるのではないかなと思います。  それと、先ほどお話があったように、やはり個社での交渉といったものは、問題解決する上では、過去のMCFの体験からしても、なかなか難しい。やはり団体において交渉していくというのが非常に重要だと思います。  これは、個社のさまざまな事例、これは最終的に業界団体としてどういうことができるかということなんですが、苦情内容に関しても、公益に関するもの、共益に関するもの、あとは私益に関するものと、大きく分けると三つの類型があるかと思います。  公益に関しては、憲法の基本的人権とかさまざまな、表現の自由とか、そういったものになりますが、今回は、非常に重要なところは、共益に関する苦情の対応といったものが非常に重要になってくるかなと思います。これによって、多くの事業者が、大体同じような困り事というか、そういったものを解決できる。  ただ、個社ごとのそれぞれの事情というのが違うので一概に、個社から話を聞くと、全部違う苦情に見えてしまうんですね。そうすると、これをある程度、個別の事例というものを集めて、そこから帰納法的に普遍化した上で交渉を行ってくる。  そうすると、実際に、グローバル企業に関しては、そういった原則に基づく交渉というのはコミュニケーションがしやすくなってくるんですが、どうしても日本の場合ですと、個別事象に関しての、非常に日本文化というのは、お互いに、コンテキストというか、関係性が非常に深いところで交渉してきておりますので、グローバル企業原則を定めて交渉していくというのがこれまで余り行われていなかったのではないかなというふうに思います。  そういった意味で、そういった文化とかコミュニケーションのギャップというものも解決することによって、より解決が進んでいくのではないかなというふうに思います。  それと、もう一点、先ほどの同意のとり方というところなんですが、これはプラットフォーム事業者だけではないとは思うんですが、一般的に言いますと、やはり透明性確保、どういった状況であるかといったものをきちんと提供した上で、それに対して、実際にそれを選択した後にまた変更ができたりとか、そういったスキーム、環境を用意してくるというのがまず第一ではないかなと思います。  あとは、その同意のとり方というのは、個別事例が非常に多くありますので、まずは一般的な正当性ある体制というのを用意して、逆に、アプリ事業者あるいはユーザー側も、それを理解して、どう対処してくるかという知見をためていく。ここでも多分、ユーザーに関してもアプリ事業者に関しても、団体として情報を集約してくるということが非常に重要になると思います。  個社ごとでは、それに対してどう対応するかというのが、なかなか知見がたまりませんので、それをためた上で、ユーザーに対してもアプリ事業者に対しても、それをフィードバックしていくという形の団体なりが必ず必要になるのではないかなというふうに思います。     〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕
  20. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 ありがとうございます。  国際ビジネスでは契約書が全てであり、日本はあうんの呼吸でというところ、この辺の落差が、差があるのかなと思います。  それから、ちょっと具体的な内容に入っていきますが、事前に、契約変更、取引条件を変更する際には、開示をして、その理由を明らかにするというふうにこの法律ではなっておりますが、開示だけで問題解決につながるのかというのがまず第一点と、それから、百万円以下の罰金がついておりますけれども、じゃ、罰金を払って自分の考えを通した方がいいというプラットフォーマーも中には出てくるのではないか、それから、EUの罰則と比較してどうなのか、岸原参考人にお伺いします。
  21. 岸原孝昌

    岸原参考人 そういった意味では、今回の法案自体、エンフォースメントの強制力、あるいは罰金という点では、そんなに大きなものはないかと思います。  ただ、先ほど御紹介いただいた共同規制というスキームでいうと、エンフォースメントだけではなく、インセンティブといったものが、実際、問題解決につながってくる。これを働かせるというのがもう一つの今回の法律の肝ではないかなというふうに思っています。  一般的には、団体交渉というのはプラットフォーマー側から嫌がられるんじゃないかということがありますが、私、MCFの過去の経験から言いますと、逆に、それをやることによって共益的な解決が効率よく図られる。  先ほど御紹介させていただいたように、共存共栄関係といったものが、苦情解決をしてアプリビジネスが推進できれば、実はアプリストア事業者にとってもすごい利益が出てきます。  そういった点では、団体交渉をすることによって、個社ごとに個別の話に対応するよりは、ある程度集約されて、共益に対する解決策を図っていく。それによってアプリ事業者側のビジネスも拡大するという、インセンティブにつながりますよということを提示ができるというのが重要じゃないかなというふうに思っています。
  22. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 ありがとうございます。  そういう意味では、アプリ開発事業者業界団体としての役割というのはすごく重要だと思うんですね。そういう意味では、岸原参考人の所属しているモバイルコンテンツフォーラムがそういった代弁者になれるかどうか。  それから、政府側にとっても、モニタリング、それからレビューができるような体制をどうつくっていくのかというのが重要だと思いますけれども、これについて岸原参考人はどう考えますか。
  23. 岸原孝昌

    岸原参考人 先ほども御紹介させていただきましたが、そこの点に関しては、政府との連携、これと、あとは、特に財政的な支援といったものが非常に重要かと思います。  業界団体としても、最大限民間の自主的な取組といったものを進めてまいりたいと思っておりますが、いかんせん体制を整備しない限りはきちんとした対応ができませんので、これは、MCFだけの話ではなく、アプリ環境全体ということでは、財政的な支援も含めた政府の支援と、あとは法律との連携といったものをぜひ法の運用の中で実現していただきたいというふうに思っております。     〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕
  24. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 時間が参りましたので以上で終わりますが、これから魂を入れていく段階に入っていきますので、どうぞこれからも御協力をいただければ幸いでございます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  25. 富田茂之

    富田委員長 次に、鰐淵洋子君。
  26. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。  四人の参考人の皆様、本日は大変にお忙しい中、またコロナウイルス感染症拡大が広がる中、本当に大変な中、わざわざ国会までお越しいただきまして本当にありがとうございました。そしてまた、貴重な御意見も賜りました。心から感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。  それでは、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、まず、大橋参考人にお伺いしたいと思います。ちょっと大きな全体像の話になりますけれども。  先ほど大橋参考人の方からもございました、デジタルプラットフォームは、技術によるイノベーションを起こしまして、中小企業ベンチャー企業にとって大きなビジネスチャンスを生み出し、また、国民の生活の利便性を飛躍的に向上させるなど、私も社会で大きな役割を果たすようになってきたと思っております。したがって、規制をかけるにしても、イノベーションと利益保護のバランスをとりつつ、デジタルプラットフォームの健全な発展を促すことが必要と考えております。  しかし一方で、これも先ほどお話がありました、政府が行った調査の結果、不透明な取引実態が明らかとなっておりまして、大橋参考人からもありましたが、それに声を上げることができない、そういった実態があるということもお話ししていただきましたし、そういった報告もございます。  こういった現状を踏まえまして、本法案が適切な規制となっているのかということで、改めて御見解をお伺いしたいと思います。
  27. 大橋弘

    大橋参考人 ありがとうございます。  そもそも本来は、こうした取引は民民の取引ですので、民民の中で解決されるべき話なんだと思います、正常な取引慣行においては。  ただし、今回、デジタルプラットフォームでいろいろな声を政府の中でも拾っていただいて、それをお伺いする中で、やはり交渉力の格差というのは非常に大きいと。  この交渉力の格差が何に基づいているのかというと、幾つか要素はあると思いますが、一つ、やはり大きいのは情報の格差であろう。プラットフォームにいろいろな情報が蓄積されるけれども、取引事業者に関しては何の情報も残らないというふうな中で、じゃ、どうやって対等な取引関係を保つのかということは、通常の民民の取引関係の中では極めて難しいのではないか。  そうすると、やはり一定程度、何らかの形で、デジタルプラットフォーム事業者と、あと、そこを使っている、主に中小企業中小規模中心とした事業者との間の仲立ちをしてあげる人が必要で、それは中立的な主体である必要がある。それが、今回、政府であって、この法律案の核となっているところだと思います。  そういう意味でいうと、私は、今回、この法律案に非常に期待しているのは、そうしたものが非常にうまく働くといいなという意味で、一つの、これはやってみないとわからないところではあると思いますけれども、非常に期待をしているスキームでございます。  ありがとうございます。
  28. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  具体的に教えていただきまして、ありがとうございました。  続きまして、岸原参考人にお伺いしたいと思います。  アプリ開発事業者コンテンツ事業者の立場から見まして、どのような点にデジタルプラットフォームを利用するメリットがあり、本法案によってどのようにデジタルプラットフォーム事業者との共存共栄が期待できるかということを改めてお伺いしたいと思います。  あわせまして、課題と、また御意見がありましたらお伺いをしたいと思います。
  29. 岸原孝昌

    岸原参考人 デジタルプラットフォームを利用することによって、広く、多くのユーザーにつながることができるというのが一番大きなメリットになります。  それと、スマートフォンになりまして大きく広がったのが、グローバル化が非常に簡単にできる。これまでiモード等の時代においては、それぞれの国によって、通信事業者交渉した上で、しかもその国の仕様に合わせたコンテンツの作成、それとビジネスモデルの構築といったものが必要だったんですが、このデジタルプラットフォーム、特にグローバルのOSの上でのアプリストアといったものにおいては、同じモデル、同じ仕様で全世界の方にビジネスができるといったことが非常なメリットになっています。  そういった意味で、個社ごとにアプリによってサービスをするよりは、ユーザーに対しての市場の広がり、それと、コンテンツをつくる上での効率化、高度化というものが実現できるというのが一番大きなメリットではないかなというふうに思います。
  30. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  続きまして、大橋参考人岸原参考人にお伺いしたいと思います。  本法案ではモニタリングレビューがございますけれども、デジタルプラットフォームイノベーションや各利用者の保護といったバランスの観点からどのように評価をされているのか、お伺いをしたいと思います。  あわせまして、今後運用するに当たって重要な点につきまして、改めてお伺いをしたいと思います。
  31. 大橋弘

    大橋参考人 ありがとうございます。  モニタリングのレビューというのは、これは必ずしも政府が何らかの規制をするというものでもなく、また、出てきた、開示された情報に、あるいは自主的な行動規範みたいなものが出てくるときに、それをマルかバツかというふうな感じの評価をするという話ではないのではないかというふうに思います。そういう形ではなくて、その開示されたものと、あと、取引をしている中小事業者の置かれている立場とを見たときに、その間をつないであげるのがレビューのあるべき姿なのかなと思います。  あくまでよい点を伸ばしてあげる、必ずしもペナルティーを与えるとか規制をするという方向ではなくて、いい点を伸ばしてあげたりとか、あるいは、ちょっと意見の相違があるときに、潤滑油としてモニタリングのレビューを使って、潤滑油としての、お互いの取引の円滑化を図ってあげるというのがモニタリングレビューのあるべき姿なのではないかというふうに私は思っています。  そういう意味でいうと、今回、ペナルティー、先ほど罰金の額が少ないとかというお話もあったような気がしますけれども、ペナルティーを与えるというふうなものでは実はなくて、どっちかというと、いい取組を促進してあげる、それをほかのプラットフォーマーにもある意味横展開をしてあげる、そういうふうなスキームとして機能するのがモニタリングで、逆にペナルティーというのは、独禁法というのがそもそも存在していますので、その独禁法においてしっかり正式な形での執行を図っていただくというところですみ分けができるんじゃないかなというふうに私は考えております。
  32. 岸原孝昌

    岸原参考人 先ほども答弁させていただきましたが、レポートによる透明性確保から、アカウンタビリティーの履行、それに対するモニタリングレビューというところで評価、改善が、推進する構造ができるということかと思いますが、モニタリングレビューにおきましては、当然のことながら、アプリ事業者アプリストア事業者間の交渉なりというところもありますが、このモニタリングレビューにおいては、広く一般に公開されていくというふうに理解しておりますので、それによって、当事者だけではなく、日本社会全体、例えば事業者以外の、今回いらっしゃっている学識経験者の方たちとか、有識者の方たちとか、あるいは一般ユーザーであったりといったものの批判なり意見が、それによって盛り込むことができる。それによって、日本社会でのコモンセンス、こういったストアはこうあるべきですよといったものがつくられていくのではないかなというふうに思います。  そういった点で、当事者だけではなく、そういった関係者が広がってくることによって、これから日本全体で、プラットフォームのあるべき姿、先ほど公正性といった議論がありましたが、公正性とは何かといったこともどんどん醸成され、高度化して、よりお互いに共存共栄できるような体制というものが実現できるのではないかなというふうに思っています。
  33. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  モニタリングレビューについて、生貝参考人にもちょっとお伺いをしたいと思います。  今もそれぞれお話もいただきました。また、私自身も、このデジタルプラットフォームと、それを利用する中小企業と、また消費者などのステークホルダーにも参加していただくことが必要ではないかと思っておりまして、その点について御見解をお伺いしたいと思います。  あわせまして、海外の例も踏まえまして、このステークホルダー、参加をどのように募っているのか、そういった例がありましたらあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  34. 生貝直人

    ○生貝参考人 御質問ありがとうございます。  まさしく多様なステークホルダーが、社会のインフラたるプラットフォームのつくり出すルール、その運用というところに対して声を出していく必要というのがある。  そのようなときに、今回は、主としてはビジネスユーザーの保護といったようなところに一つは大きな力点が当てられているところとは存じますけれども、まさしくそのあり方といったようなもの、我々一人一人の消費者に対して非常に大きな影響を与えるところでございます。  それに比べまして、今回の法案の中ですと、一般利用者に対する情報の開示というふうにいったようなことがこの四条の中に規定されていると理解しておりまして、その中には、検索の結果の順位づけの方法でございますとか、まさに非常に我々の消費生活に影響を与える事項というのが含まれる。  そのようなことに関して、まさにモニタリングレビュー、先ほど大橋先生からもございましたとおり、基本的にベストプラクティスを共有していくことに力点があると認識しているところではあるのですけれども、例えば、その開示の内容が余りにも漠然としていたりでございますとか、そういった場合には、もっとこういったようなこともちゃんと説明してほしいというふうにいったようなことをしっかりと一般利用者の側からも伝えていく、そのことはしっかり担保していく必要性というのが非常にあるのではないかというふうに思います。  そして、二点目の御質問といたしまして、海外のステークホルダーの募り方というところでございますけれども、特に、やはり消費者団体の方々でありますとか、あるいは場合によってはユニオンの方でありますとか、まさにそういった関係するステークホルダーの声をセクターごとにしっかり聞いていくという仕組みをさまざまな形で実現しているところだというふうに思います。  そのような中で、やはり消費者観点というもの、消費者団体というふうにいったようなところの役割というのも非常に重要ではございます一方で、もう一つ海外消費者団体等を見ておりますと思いますのは、やはり、いわゆる研究者ですとか学識経験者等が、そういった声を、あるいは理論化する、あるいはそういったものをしっかりと強化していくといったような役割も、非常に重要な役割を果たしている。  やはり、さまざまなセクターの中でも、一般利用者というのは声が大きいセクターではございませんから、その辺をどのように強化していくのかというふうにいったようなことは、やはりさまざまな手段、方法を考えていく意味があるのではないかというふうに理解しております。
  35. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  もう一度、生貝参考人にお伺いしたいと思います。  先ほどの生貝参考人のお話の中にもEUの事例の御紹介がありました。デジタルプラットフォーム事業者に自主的な取組規制があるということでお話をしていただきました。  我が国におきまして、海外デジタルプラットフォーム事業者も含めて、積極的に自主的な透明性公正性向上に努めてもらうためには、改めてどのようなことが重要か、ポイントをもう一度詳しく教えていただきたいと思います。
  36. 生貝直人

    ○生貝参考人 ありがとうございます。  一つ、まさにこの共同規制の枠組みの中で自主的な施策というものをいかに進めていくかということに関しては、やはり一つは、先ほど申し上げましたとおり、モニタリングによる評価というもの、果たして目的が達成されているのか、若しくは、ある意味では立法が委任したこの法の目的というのが、しっかりその委任を受けた者によって達成されていけるのかということをしっかり見るということが極めて重要ではあろうかというふうに思います。  それに加えて二つほど申し上げますと、一つはやはり、こういった自主的な取組というのは、社会からのレピュテーションというものが非常に大きな影響を持つものでございます。でありますから、やはり、広く社会、これはまさにメディアでありますとか、あるいは一般消費者の方々も含まれるところだというふうには思うのですけれども、そういった方がしっかりこの領域の実態というものに目を向けていただく、そしてよい取組を行っていくのはどこかということをちゃんと評価して、そういうところを使っていく、そういったような取組というのが一つは非常に重要なところなのかなというふうに理解しております。  それから、もう一つ観点といたしましては、やはりこの自主的な対応というふうにいったようなことというものの中ですと、まさに目的、そして原則我が国にどういう実態があって、そして彼らは技術的、ビジネス的にどのような取組を行うことができるのか、そのコミュニケーションの回路というものをしっかりつくっていくことがやはり何より重要であります。  自主的に取り組んでいただいても、それが違った方向に行ってしまってはまさしく意味がない。何が、自主的に取り組むと、社会にとって価値があるのか、そのことというのをしっかりプラットフォーマーの方々にも伝えていく、それは恐らく、例えば、日本事業者様はもちろん、海外事業者様も日本に支社というものをお持ちでいらっしゃいますし、また、もちろん、本当の意思決定を行っている比重というのは、当然本社の方々の御意向というところも大きいでしょうから、そういったところとのやりとりというものをしっかりふやしていく、このことが非常に重要かというふうに理解しております。  以上です。
  37. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  最後になるかと思いますが、今回の法案と直接の、この保護対象にはならないんですけれども、消費者観点も重要だと思っております。  今回の新型コロナウイルス感染症の拡大の中で、マスクの転売も一つの大きな問題となりました。こういった、必要な人に必要なものが行き渡るような環境を整備していく上で、消費者を守る、そういった取組も重要になってくるかと思いますが、そういった点につきまして、今回の法案とは直接は関係ないんですけれども、御意見がありましたら、それぞれ少し、一言ずつになると思いますが、御意見を四人の皆様に頂戴したいと思います。
  38. 川上資人

    川上参考人 ありがとうございます。  消費者を守る取組と言われましても、どうなんでしょうね、やはりこの法案の目的、透明化というところとかかわってくるのかなと思います。透明性公正性確保してということからいくと、透明性という中でそういった消費生活を毀損するような取引行為というのが自然と是正されていくということにつながるのかもしれませんし、透明性というところの確保が、そういう点からも重要なのかなという気はします。
  39. 生貝直人

    ○生貝参考人 ありがとうございます。  まさに、消費者保護というのは本法案の主たる目的ではないところではございますけれども、やはり、プラットフォーマーにかかわる法、規律というのは、非常にさまざまな法領域というものが横断的にかかってくるところでございます。先ほどお話もございました労働者の保護でございますとか、場合によっては私的財産の保護というふうにいったようなこと。  恐らく、透明性公正性というのは、結果的に、非常に多くの取組の基盤になる部分でも、これは事実上あろうかというふうに思います。本法案の中でも、ほかのプラットフォーマー関係の規律との兼ね合いというところも条文上含まれていたところかというふうに存じますけれども、それらの間での調整と、それからベストプラクティスの共有、そして、場合によっては相乗効果があり得るようなところはどういうところなのか、そういうことを含めた考え方をしていくことで、まさに消費者保護を含めた領域との関係性というものが見出せてくる部分も多いかというふうに理解しております。
  40. 岸原孝昌

    岸原参考人 すごくいい御質問をいただいたというふうに思っております。  これまで、消費者問題といいますか、消費者の課題を解決する上で、アプリ事業者アプリストア事業者の責任分界ということが一つの課題になっている部分があります。そういった点で、消費者にとっては同じように見えていても、事業者からすると役割分担が違う。今回の、透明化あるいは公正化、公正性ということを確保することによって、より消費者にも、アプリストアアプリ事業者関係とか、こういったものがわかりやすくなってくるのではないかなと。それによって、消費者問題を解決する上で、それぞれのプレーヤーが何をやらなければいけないかといったこともより明確になってくるのではないかなというふうに思いますので、これはちょっと派生的になるかもしれませんが、そういった消費者問題の解決にも資するのではないかなというふうに思っています。
  41. 大橋弘

    大橋参考人 御質問ありがとうございます。  二点申し上げます。  まず一点、マスクの事例につながるものですけれども、プラットフォームというのは、あるいはプラットフォーム事業者は、一般的に媒介者であるから何の責任もないんだというふうな議論も一時期なされたかと思いますが、実際に取引されているもの自体の知識があるのもプラットフォーム事業者であることは間違いなくて、そうした人たちが、取引されている商品について、一定程度、品質なり、あるいは取引の条件なりをしっかり見ていく。それで、何か違法な売り方をしている者に対しては排除していくというふうな社会的責任というものもきちっと、媒介者であるにはあるんですけれども、考えていく必要というのはあるんじゃないかというふうな論点が一つあるんだと思います。  もう一つは、本法案において消費者は余り目立った役割はしていないですが、将来的には消費者も、保護法益というか、保護される主体として入ってきてもいいのではないかというふうな感じもしております。  当然、取引するのは、事業性がある人たちを今回検討していますけれども、実際には、消費者取引しているケースというのも、プラットフォームを使われているケースも非常にあるわけで、これは、アプリストアオンラインモールにとどまっている限りにおいては事業者かもしれませんが、今後、いろいろ網を広げていく中においては、消費者というものも当然網にかかってくるのではないかというふうな感じはしております。  ありがとうございます。
  42. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 以上で終わります。  大変にありがとうございました。
  43. 富田茂之

    富田委員長 次に、落合貴之君。
  44. 落合貴之

    ○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。  私も、何年か前から、このデジタルプラットフォーマーの問題、経産委員会ほかで取り上げさせていただいてまいりました。やっと法律が、まず第一歩、できると。中身はともかく、できるということは大変大きな前進だと思っています。  デジタルプラットフォーマーの問題は、市場そのものを一企業がつくれてしまうということが大きな問題であると思います。これは、経済学的には神の見えざる手が市場にはあるというふうに言われていたのは、多様なプレーヤーがいるからこそ神の見えざる手が働いていたわけですけれども、プラットフォーマーの問題は、一企業が見えざる手を使うことができてしまう、恣意的に使うことができてしまう、こういった点で今までになかった大きな問題が幾つか出てきていると思います。  それから、もう一つ問題なのは、その企業が国家の単位よりも大きい企業が幾つかできている。なので、政治の力でも改善ができない。国際的な話合いも行わなければならないですし、政治の力も及ばないようなところで企業がどんどんどんどん成長していってしまっている、マーケットができていってしまっているというようなことで、これから経済分野では政治が問題解決に向けて力を注いでいかなければならない大きな一つの分野であるというふうに考えております。  これはまず立法の第一歩なわけですけれども、先ほど川上先生から、今回の法案の足りない部分をわかりやすく説明いただきました。これは三年後に見直し規定もありますので、一つ検討課題であると思います。  先ほど川上先生からは伺いましたので、大橋先生岸原先生、生貝先生から伺えればと思うんですが、座長である大橋先生に聞くのもあれですけれども、お三方から、今回の法案の評価をしない点、それから、三年後、見直しが恐らく行われるでしょうから、見直しのポイントはどこなのかということについて、お三方から伺えればと思います。
  45. 大橋弘

    大橋参考人 御質問ありがとうございます。  冒頭でおっしゃられた今回の法案の背景にあるその二つの点はまさに私も賛同するところでございまして、それだからこそ、今回、こうした形での、新しい本法律というものをつくらなきゃいけないということの、まさに背景になっているんだと思います。  評価しない点があるかというところでございますけれども、先ほど申し上げた点の裏腹になっちゃいますけれども、デジタルプラットフォームという事業自体を取り上げると、御質問もあったように、オンラインモールあるいはアプリだけではない世界が実は物すごく広がっちゃっているところもあるので、そういう意味でいうと、そういうところに対して、多分早急に手を打たなきゃいけない事態も生じているんじゃないかなと。特に労働関係のお話もありましたけれども、そういうところというのは、実は急を要している事態も多分進行していると思いまして、この法律のいいところがそういうところにもきちっと及ぶような姿に早くなればいいなというふうに願っています。  ありがとうございます。
  46. 岸原孝昌

    岸原参考人 今回の法案自体、共同規制スキームという形でできているというふうに思っておりますが、先ほど陳述させていただいた民間との連携あるいは政府の支援といったものについては、現行、法案の中には特に明記されていないという状況になっております。  これは、実際の運用面で業界団体としてはやっていこう、自主的にやっていこうということで考えておりますので、そこら辺は運用面でもぜひ連携をしていただきたいんですが、民間団体にはエンフォースメントというのがありませんので、最終的には、やはり政府のエンフォースメントと安定性といったものと、民間の自主的な柔軟性と、あるいはインセンティブ的なものといったものが法律制度としてきちんと法律上に明記されるというのが理想ではないかなというふうに思っております。  これは自主的な取組が進んでいけば特に問題はないんですが、今後、状況を見て、そういったものをきちんと法律の中にインボルブしていくといったことも、検討事項としては必要ではないかなというふうに思います。
  47. 生貝直人

    ○生貝参考人 ありがとうございます。  まず一点目の、ただいま岸原様からございました、民間の位置づけ、役割というのは、私自身も共同規制の枠組みの中で極めて重要なことだというふうに考えており、そういったことに関して、特に政令でございますとか指針でございますとか、やはりそういった枠組みの中でしっかりとその連携協力の体制というものを強化し、明確化していく、そのような点というのはぜひ積極的に御考慮いただきたいなというのが一つでございます。  それから、評価しない点というのは、強いて申し上げるのであれば、当然ながら、これが、デジタルプラットフォームが生み出す透明性公正性等にかかわる全ての問題を解決する道具ではない。むしろ、やはり当然、その市場の運営者であれば、こういった情報はしっかり透明に出していただきたいというある種のベースライン立法というふうにいったような側面というものもあるかというふうに思います。  そのようなときに、例えば、まさに労働環境の保護というふうにいったようなところを、一つは、この法案をしっかりと、モニタリングレビューを回していく中で、御説明の中でも申し上げましたとおり、まさに不十分な、問題が解決されていないのであれば、追加的なアクションをとる必要があるということ。  その追加的なアクションというのは、例えば、三年後見直しで、この法律自体の改正というのも含まれましょうし、あるいは、政省令による、政令による範囲の拡大等も含まれましょうし、あるいは、まさに労働の分野に特化したような立法というふうにいったようなことを、これはやはり選択肢として、この法案ができた後もしっかり考えていくところだというふうに思います。  まさに、あくまで、補完法、この法案のカバー範囲、そしてその他の個別の立法によって対応すべきところというものをこれからいかにモニタリングの中でも明らかにしていくかというものが一つ大きな課題かというふうに感じております。
  48. 落合貴之

    ○落合委員 川上先生に伺えればと思います。  今、お三方の先生からも労働について言及がございました。これは、具体的にどのように立法していくべきと考えるかというのが一点目。  もう一つが、このデジタルプラットフォーマーにとどまらず、ちょっと大きな枠組みなんですけれども、そもそもフリーランスが今三百万人を超えました。働き方改革ということで、従来と同じ会社の仕事をやっているのに、従業員だった方がフリーランスになって業務を請け負っている方々もだんだんとふえてきています。あと、コンビニの問題を扱っていたときもそうなんですが、労働者じゃなくて経営者なのに、労働問題と同じようなことが起こっているというような問題もさまざまな点で出てきております。  これは、海外を調べてみると、フランスですとか、ドイツもそうですかね、試行錯誤しながら、自営業者とかフリーランスを労働者と、広義の意味で規定して、同じような、保護する法律をつくっていこうということが努力されているわけですけれども、そちらの大枠の部分も、どういう法律をつくっていくべきかということも伺えればと思います。二点ですね、お願いします。
  49. 川上資人

    川上参考人 どうもありがとうございます。  プラットフォームにおいて、労働、労務ですね、が取引されるプラットフォームがふえてきておりまして、現在、政府の方では、例えばシェアリングエコノミーという呼び方をしたりとかしておりますし、今回のこのデジタルプラットフォームというのも当然それを指しているわけですけれども、たしかJPモルガンだったかどこかの白書では、そういったプラットフォームをキャピタルプラットフォームとレーバープラットフォームと分けて考えるべきだというふうにして分析されております。キャピタルプラットフォームの典型としては、物の取引をするエアビーアンドビーが典型とされていたり、レーバープラットフォームの典型としては、ウーバーが取り上げられております。  プラットフォームにおいて、労働を提供して、マッチングして、それで、プラットフォームは、そこから手数料という形で利益を上げるということになりますので、プラットフォームを提供して、市場において取引がされているので、やはりデジタルプラットフォームということで、この法律の適用対象になるのは明らかだというふうに考えます。  そのときにどういったアプローチが必要なのかという話ですが、例えば、去年の十一月二十日には、ウーバーが、ウーバーイーツの報酬、当時、一キロ百五十円でした、距離の報酬が。これを十二月から、突然、一キロ六十円とすると。九十円の大幅なカット。六割、突然、メール一本で、来月からこれだけになりますと。  そういった突然の報酬の大幅な引下げというのは、例えば労働契約法が適用されるということになれば当然認められないわけで、労働契約法の八条で合意のない契約変更は許されておりませんので、当然、その契約というのは、当事者の合意のことを契約と呼ぶわけですよね。合意があるから契約による拘束力が認められるのが私的自治の原則であり、契約自由の原則。これを支えるのは当事者の合意ですよね。一方的に来月から六割カットします、ここに当事者が合意するかというと、それはなかなか難しい。  そういった側面から民法が改正され、五百四十八条の二に、約款規制、これが入ったわけで。そうすると、この特定デジタルプラットフォーム法案の中にも、例えば改正民法五百四十八条の二を、当然これが適用になるんだということを明記するとか、約款、規約、契約の合理性を求める条項を入れることで、労務提供型のプラットフォーム利用者も保護できるし、それから事業者の方たちも保護できるというふうに思います。  これを、団体交渉を助成することで、例えば協同組合とかユニオン、これを助成して、団体交渉を守って、対等な交渉を実現して、交渉力格差を埋めていくということも、これも必要、非常に重要で有効なアプローチなんですけれども、ここに任せっきりにするのではなく、契約の合理性を求めることでという契約の合理性の追求からも、公正性の実現というのは行われるべきだと思います。  労務提供系の今のお話に特化して言うと、ここは事業者の方と少し違って、例えば配達をする労務を提供してプラットフォームから取引をするという形になってくると、これは事業者としての個別性が非常に薄い、皆さんやっていることが大体同じ、配達という労務ですから。その人たちがまとまって団体交渉をしてという、これは、事業者のばらばらの、例えば楽天にお店を出しているいろいろなビジネスをやっている方たちが集まって、一つの協約、団体協約を求めるということよりも、もっと合理性があることだと思うんですね。  だから、労務提供型のプラットフォームにおいては、そのプラットフォーマー団体交渉応諾義務を定める、それから、労務提供型プラットフォームプラットフォームワーカーには団体交渉権を保障する。彼らは労働組合法上の労働者じゃないんだから、団体交渉権はないんだ、団体交渉に応じる必要はないんだという、そういった言い分をプラットフォーマーに認めないような立法的解決が必要なんじゃないかと思います。  例えば、フリーランス等がふえていく中、名ばかり個人事業主の問題であるとか、それは、名ばかり個人事業主の問題ということになると、事業者性が強ければ独占禁止法で解決する問題でありますし、本当に名ばかりで、事業主性が低い場合であれば、これは労基法と労働契約法だったり、労働組合法のエンフォースメントの問題になってきます。  今問題になってくるのは、このプラットフォームで労務を提供して働いている人たち、この人たちは、労基法上の労働者でも労働契約法の労働者でもない、何も守られるものがない。事故に遭えば労災も出ない、一方的に契約アプリのアカウントの利用を停止されて、仕事ができなくなれば失業保険もない。  一切守る法律がないので、じゃ労基法を一遍に適用すればいいのかというと、それも今までの労働市場とはなかなか違うんじゃないかという議論もこれから始まってしまう。そうであれば、プラットフォームワーカー保護法、プラットフォームで労務を提供している人たちは、プラットフォームワーカーとしてこれだけの権利と、保護をしましょうと。  例えば事故に遭ったときには、それは労災の対象にして、一方的に彼らにだけ、彼らの肩にだけコストを押しつけるんじゃなくて、社会全体で支えていきましょうとか、そういったプラットフォームワーカー保護法の創設というのも、非常に現場からは求められていると思います。  以上になります。どうもありがとうございます。
  50. 落合貴之

    ○落合委員 次に、これもこの法律にかかわるんですけれども、この法律の外側なんですけれども、大橋先生岸原先生に伺えればと思います。  本来の予定であると、二〇二〇年中に、各国が協調してデジタル課税のあり方を合意する予定でございます。今、世界的にこういう状況なのでどうなるかわかりませんが、これは大変重要な問題であると思います。  それについて、お二方それぞれ、どうお考えか、お聞かせいただければと思います。
  51. 大橋弘

    大橋参考人 ありがとうございます。  デジタル課税の話は、先ほど、事業者が国家を超えるというふうな、冒頭でお話があったところの根本にかかわる部分。それで、国家の一つ機能というのは課税権であるわけで、そこの部分が事業者によって侵されるということについての問題意識は私も非常に強く持っております。これは、一国で解決できる問題ではないという点で、各国が協調して取り組む必要がある一つの事例だと思います。  今回の法律案に引き寄せて考えてみると、この話も、実のところ、一国だけの話では恐らくないんだろうというふうに思います。当然、我が国事業者を見ているわけでありますけれども、他方で、プラットフォーム海外で主に展開しているプラットフォームは特に顕著だと思いますけれども、そうした事業者というのは、我が国も見ていますが、ほかの国も見ているわけで、そういう事業者に対しては、やはり我が国からの視点に加えて、海外競争当局なりあるいは行政当局なりの間の連携なりあるいは情報交換というのも非常に重要な点だと思います。  そういう意味で、そういう課税のあるなしにかかわらず、プラットフォーム事業者に対しては、やはり国際連携というところは一つ大きな軸として据えていかなければならない点だろうというふうに思っております。
  52. 岸原孝昌

    岸原参考人 非常に重要なポイントかと思います。  実は、MCFでも、アプリ事業において消費税の内外判定という問題に突き当たりまして、これは、EUの消費税法が改正されることによって、日本事業者が二重課税されていたと。これは、どちらかというと、EUが改正したのがよくないのか、日本の消費税法が国際基準に対応できていないのか。多分両方あると思うんですが、今、大橋先生からあったように、まさしくアプリストアに関しては、グローバルな環境でビジネスをするようになっておりますので、今おっしゃっているデジタル課税も含めまして、税制も国際連携というのが非常に重要になってくる。  それがうまくいかないと、事業者側で二重課税をして、日本事業者が倍、税金を払わなきゃいけないというばかなようなことが起きたりしますので、ぜひ、そういった国際連携といったものを進めつつ、日本制度も改正していく、合わせていくということが重要かなと思います。  それと、デジタル課税については、これはちょっと個人的な意見になるんですが、やはり、先ほどありましたように、国家あるいはコミュニティー、そこの維持をするための税金を負担するといったことは原則ではないかなというふうに思っています。  これが、今の税制度の中で、非常に法人税が安いところで納税をして、実際に便益を受けていないところに、税金を納付しないということになりますと、当然のことながら、国家もそうなんですが、コミュニティー自体が崩壊をしていく。そうなると、本来何のための事業か。  社会基盤を維持するための法人税、事業者が税を負担するという基本の中で、話は戻りますが、国際連携の中でどう合理的にその税負担を考えていくかというのが、早急に考えていかないと、本当に、巨大プラットフォーマーだけが生き残って、国家もコミュニティーも崩壊をするという社会は絶対に避けなければいけないのではないかなというふうに思いますので、早急な議論を進めていただければなというふうに思っています。
  53. 落合貴之

    ○落合委員 貴重なお話をありがとうございます。  終わります。
  54. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  55. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  きょうは、大橋参考人岸原参考人、生貝参考人、そして川上参考人、こうしたコロナ感染が広がる中、またお忙しい中、貴重な御意見ありがとうございました。  早速質問に入らせていただきます。  本法案は、国内外の巨大IT企業に対して取引の透明化と国への定期報告を初めて義務づけるという、ある意味新法であります。同時に、この踏み込んだ規制というのを行っていく上で幾つか問題点もあると感じておりまして、その一つが、巨大なプラットフォーマー中小企業との関係であります。  四人の参考人の方々に一言ずつ伺いたいと思っているんですけれども、本法案検討段階で、先ほどもありましたが、昨年末の十二月十七日の内閣官房のデジタル市場競争会議の会合までは、政府自身もそうだと思うんですけれども、プラットフォーマーに対して四つの禁止事項ということで、競合商品の拒絶、そして自社サービスの利用強制、あるいは自社商品を有利に表示、それから一方的な不利益変更ということが禁止事項として示されておりました。ところが、国会に提出された法案からはこれらが削除されている。  先ほどのやりとりの中で大橋参考人がコメントもされておりましたが、そういう中でこういう形で削除することになりましたが、これで巨大なプラットフォーマーから中小企業を守ることができるんだろうか、この点についていかがかということと、あと、お三方、大橋参考人以外の方々にもそれぞれのお考えがあればお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  56. 大橋弘

    大橋参考人 御質問ありがとうございます。  おっしゃられるように、規模の大きなデジタルプラットフォーム事業者中小企業との関係をいかに正常化した形に持っていくのかというのが本法案一つの大きな目玉だ、目的だというふうに考えております。  そうした中で、禁止的行為の取扱いについても、当然、重要な御指摘だと理解しています。他方で、禁止すべき行為がその四つの類型におさまるのかというところもまたこれはよくわからないところでございまして、ある意味、プラットフォームの行為自体の外形的な要件で縛るところが本当にいいのか、外形的に縛ればそれ以外のことはオーケーだという話になりかねないというところもあるんだと思うんですね。  そういう意味でいうと、もう少し、禁止行為の類型を考えるにしても、彼らの行動原理というものを当然理解して初めて、その禁止行為がどういう意図で行われているのかということもはっきりしてくるというところなんだと思います。  イノベーションの角を当然矯めては意味がないことになりますので、イノベーションの大事なところを残しながらいかにそれの影の部分というものを薄めていくのかというのが本法案の目的なのかなと思っていまして、そういう意味でいうと、早く、具体的な禁止行為というところまで、競争政策的な観点も含めて我々の方が知見を蓄えていかないといけないんじゃないかというふうに考えております。
  57. 岸原孝昌

    岸原参考人 禁止行為、不当条項のところなんですが、MCFしては意見書で、これまでは、ぜひ進めるべきだと意見をずっと出してきております。これは、観点としましては、この透明化法自体のエンフォースメントを高めるという点では非常に重要ではないかなというふうに思っています。  ただ一方で、先ほど、大橋先生を始めとして皆様方から話があるように、イノベーションを阻害してはいけないというふうに思っておりまして、その上では、形式上該当する場合でも公正なものというのは当然出てきたりと、実態に応じた法の適用というものが必要だということは理解をしておりました。  これはアプローチの違いかと思いますが、禁止行為を定めた上でそういった線引きを法運用の中でつくっていくというのと、今おっしゃっているように、まずは実態をきちんと把握した上で必要な禁止行為を定めていくということで、今回は後者の手法をとられたのではないかなというふうに思っております。  そういった点で、後者の手法をとるのであれば、早急に実態を把握した上で、法律のエンフォースメントを高めるために、必要な禁止行為の策定といったものを、三年を待たずにぜひ進めていただく方がいいのではないかなというふうに思っています。
  58. 生貝直人

    ○生貝参考人 ありがとうございます。  やはり、現時点ですと、どのような行為を対象とするかというところも含めて極めて難しい判断が求められるところ、さっき申し上げましたとおり、個のモニタリングレビューを通じて、必要な問題が解決されているのか、そして問題はどこにあるのかということを継続的に発見しながら、常に追加的な手だてが必要なのかどうかということを検討し続けることが必要であろうというふうに思います。  ありがとうございます。
  59. 川上資人

    川上参考人 ありがとうございます。  この点については、私も冒頭申し上げたように、私のレジュメの二ページ裏面に書いてあるとおり、不当行為禁止規定が不存在であるということになると、なかなか中小企業の方からしてみると声を上げられないという現状がありますので、立法でそこは明確に、そういった行為は許されない、例えば一方的な不利益変更は許されないということが、書いて規律されていないと、かなり現実としては難しいのかなと。  今までもプラットフォーマー中小企業事業者とのやりとりというのは続いてきたわけで、その中でそういったことは是正するように求めたりしていますし、それから、今回の例えば大きく報道された楽天の送料の問題についても、公正取引委員会に措置請求を行い、公正取引委員会で動き出して、緊急停止命令の申立てをして、そこまでいっても、会社の方はなかなか、三千九百八十円以上は送料は店舗が負担しないといけないという一方的な規約変更について、改める姿勢はなかったわけですよね。  結局、そのような、契約法理に照らして、当事者の合意がそこにあるということがおよそ想定できないような契約の一方的変更についてはやはり認められないんだということが、このデジタルプラットフォーム透明性公正性向上に関する法律に、このような目的の法律には盛り込まれる必要があるというふうに考えています。  以上です。
  60. 笠井亮

    ○笠井委員 ありがとうございました。  四人の参考人の方々それぞれの立場からの、この課題が大事なことであるということは共通しているのかなと思いましたので、引き続き、どうやってやっていくかについてはまた議論をしていきたいと思います。  そこで、じゃ、今度は川上参考人に伺いたいんですけれども、先ほどの御指摘も伺って、そして提案も大いに共感するところが私もあります。  そこで、今ちょうどお触れになったことでもあるわけですが、国内最大手の楽天がオンラインモールに出店する中小企業に送料の負担を押しつけるということで、公正取引委員会の立入検査を受けてもなお実施を強行するということが大きな問題になっているわけですが、楽天ユニオンが、法案の懸念事項と楽天ユニオンの提案という形で取りまとめをされていると承知しております。  ユニオンの顧問弁護士としても参考人は仕事をされているということですが、当事者とともにこの問題でプラットフォーマーに関する問題に取り組んでいるお立場から、改めてなんですけれども、今も触れられましたけれども、この法案問題点ということについてお述べになりたいことがあったらお願いしたいと思います。
  61. 川上資人

    川上参考人 どうもありがとうございます。  楽天ユニオン、楽天の出店者さんだけではなくて、このプラットフォームでいろいろなビジネスをしているベンチャーの人たち、労務を提供している人たち、それからもちろん楽天の出店者さんたち、皆さん共通して一番言っているのは、やはり契約の一方的な変更に相当困っているということです。  この一方的変更が合理的な範囲内であれば、ここまで皆さんが苦しんでいるんだという声を、例えば弁護士だったりいろいろな相談のところに持ってくるということはないと思うんですね。変更があっても、それが合理的なものであれば当事者の意思の合致というのはそこに認められるはずなわけで、合理性がないからそこに当事者の意思の合致がなく、一方的に苦しめられている、皆さんそういう実態にあるわけですね。その点について、やはり今申し上げた契約の合理性を担保する規定が必要だ、そこを求めていくことも必要です。  それから、例えばもう一つでは、私のレジュメの二枚目で書いた、一つプラットフォーム市場であるとか国家のような一つ社会を築いている中で、やはり、そこで処罰をするというようなペナルティー制度があるのであれば、それは公正なものでなければ許されない。  公正なものでなければ許されないということで、例えば、翻って労使関係の方を見てみると、当然企業には懲戒規定があるわけですけれども、一方的な懲戒というのは許されませんし、当然懲戒の手続には厳しい手続規定が設けられていて、適正手続による公正な懲戒、処罰というのが担保されているわけで、そこが例えば恣意的な懲戒が行われているようであれば、当然裁判所でそのような懲戒処分は無効とされる。  そういったことがなされているのに対して、今プラットフォームが行うような例えばペナルティー制度、罰金制度アプリ審査制度、ここについて、一切その公正性を担保するものがないというのが非常に大きな問題だと思います。この点については、やはり行政の監視が必要なんじゃないか。  例えば、労働法でいえば、労働委員会があって、不当労働行為については労働委員会が裁定を下すわけですけれども、そういった制度が必要かもしれませんし、とにかく、この恣意的制度公正性を担保する何らかのルールづくりが非常に今求められているんだと思います。  どうもありがとうございます。
  62. 笠井亮

    ○笠井委員 もう一問、川上参考人に伺いたいんですが、本法案は、先ほども議論がありましたが、いわゆる労働の問題、特にその中でもフリーランスの権利保護に踏み込んでいないという問題があると思うんです。  私は、去る二月四日に衆議院予算委員会で、ウーバーイーツの配達員の皆さんの実態も伺いながらそのことも取り上げて、労災保険もない、それから最低賃金もない、団体交渉権もないということで、権利ゼロの働き方になっている、この問題を取り上げて、プラットフォーマーが仲介をして単発で仕事を請け負うギグワーカーを始めとして、フリーランスの権利保護を早急に具体化すべきということを求めました。その場で安倍総理も、そういう形が広がっていくことは決していいとは思っていないというふうに答弁されたので、このギグワーカーなどフリーランスの実態というのは非常に深刻なので、これは直ちに具体化すべきだということを強く求めているわけなんですけれども、その点についての参考人の御意見。  そして、それに関連してですが、もう一つは、現在の新型コロナウイルスの感染拡大の中で、ウーバーイーツの配達員を始めとして、ギグワーカーなどのフリーランスの現場では実際に問題が起こっていると伺っているんですが、どういった問題が起こっているのか、この点についてももし承知していらっしゃることがあれば伺いたいと思うんです。  その二点、いかがでしょうか。
  63. 川上資人

    川上参考人 ありがとうございます。  まず冒頭、補足というか、ちょっと正しい説明を申し上げたいと思うんですけれども、ウーバーイーツの配達員、プラットフォームで働く労働者は、まず労災保険がありません。それから、雇用保険もないし、当然そういった社会保障は全て、現在日本法制度では労働基準法にひもづけられているために、労基法の適用対象外であるプラットフォームワーカーには何の社会保障もありません。  一点違うのは、団体交渉権。これは、労働組合法上の労働者に当たるかどうかによって分けられますので、プラットフォームワーカー、例えばウーバーイーツの配達員は、団体交渉権はあります。労働組合法上の労働者であることは疑いの余地がありません。  これは、最高裁判例で、INAXメンテナンス事件、ビクターエンジニアリング事件、新国立劇場事件、これらで全て個人事業主の労働者性というのは認められてきておりますので、そこにおいての判断基準というのは、私のレジュメの二ページですね、ウーバーイーツユニオンと楽天ユニオンという、レジュメの二ページなので紙でいうと二枚目の紙の裏なんですけれども、一番上の行で、労働組合法上の労働者とは、判例上、事業組織への組入れと契約の一方的決定と報酬の労務対価性が認められる者とされている。この三つの要素について認められるかどうかで、そのプラットフォームで働く労働者に団体交渉権があるのかどうかが分かれてくるわけです。  ここで一つ例に挙げられたウーバーイーツを例にとると、ウーバーイーツというフードデリバリー事業への組入れがされている、契約も一方的に決められている、報酬は距離によって払われるので労務対価性もあるということで、労組法上の労働者性は疑いの余地がありませんので、団体交渉権は保障されています。問題は、それにもかかわらず、違法に団体交渉を拒否しているプラットフォーマーの行為なんですね。  なので、私が何度も申し上げているのは、プラットフォーマーには、労務提供型のプラットフォーマー、ここには団体交渉応諾義務があるということを定めるとともに、労務提供型のプラットフォームで働いている人たちには団体交渉権があるんだと明記してしまうことで、会社の違法な団交拒否のやり得を許さない、そういう法のデザインは可能だと思います。  そのような、今ふえているフリーランスだったりギグワーカーの保護という面で重要なのは、例えばプラットフォームワーカーでいえば、プラットフォームで労務を提供しているからというだけで労働法が、労基法が全く適用されなくなってしまうというのは、本当に事故に遭ったときに彼らの費用、社会的費用が国の負担に押しつけられて、それから被害者の負担に押しつけられてしまうという、社会全体から見ても負の側面が強いので、やはり早急に労災保険の適用対象とすべき、労災保険の適用対象だと何か明記するとか。それから、雇用保険もしかるべきだと思います。一方的にアプリが切られて何の失業保険もないという状態に今ありますので、社会保障関係の権利はプラットフォームワーカーに保障すべきというふうに思います。  それから、フリーランスの現場でどういう問題が起きているかということでいうと、例えば、私が今アドバイスをしているフリーランスとして働いている人たち、コロナの影響で例えば教室がなくなった、全然こまを入れてくれない、働けませんと。でも、彼らの働き方をよく聞くと、やはり指揮命令下にある、教室の内容も会社の方で決めている。そうすると、労基法に照らして労基法上の労働者性があるにもかかわらず、会社が一方的に業務委託だということを働き手に言って、だからあなたたちはフリーランスなんだと言っているだけで、一言で言えば違法行為なんですね、労基法の潜脱行為なので。  そうすると、そういった偽装のフリーランスの人たちはどういう被害に遭うかというと、こういうときに雇用関係があって適切な契約が結ばれていれば、例えば雇用調整助成金を会社が申請することで労働者の賃金が補償される、労基法二十六条の休業手当六割を請求できるとか、休みになったとしても、雇用関係にある働き手にはそういった保護があるのに、フリーランスの人には今申し上げたような雇用調整助成金もないし、労基法二十六条の六割の補償手当もないし、そういったことで何のセーフティーネットもない状況に置かれてしまう。  これは、本当にフリーランスの人たちにも当然ないし、本来は実態から見れば雇用契約にあるにもかかわらず、会社が一方的に業務委託だと言い張っているがためにそういう補償を受けられていないという違法状態に置かれて苦しんでいる人たちもいる。なので、二面性があるというか、労務を提供して賃金を得ているにもかかわらず、フリーランスというだけで何の補償もなくなってしまうという状況は、政府の方で現実的な対応が必要なんじゃないかと思います。
  64. 笠井亮

    ○笠井委員 時間になりましたので終わりますが、団体交渉権の問題については、労働組合法上ある、それが結局、プラットフォーマーの行為によってその団体交渉が拒否されている、ウーバーイーツユニオンの方々も交渉を求めても応じないことがあるということについても大事な問題だと思っていますので、それも含めて、しっかりと参考人の御意見、四人の参考人の皆さんの御意見を受けとめて、法案審議をまたやっていきたいと思います。  きょうはありがとうございました。
  65. 富田茂之

    富田委員長 次に、串田誠一君。
  66. 串田誠一

    串田委員 日本維新の会の串田誠一です。  最初に、大橋参考人川上参考人にお聞きをしたいと思うんですが、国民も非常に不安というか疑問に思っていることが出てきていると思うんですが、検索をすると、その検索をした商品のCMというかコマーシャルの画面が毎回毎回ニュースのホームページにも出てくるというような状況で、自分たちが検索をしたのがいろいろなところで利用されているという不安というか、便利といえば便利なんでしょうけれども、そういったようなことがあると思うんです。  そういう意味で、そういう店舗が上位に出てくる、あるいは検索をしたことによって選別をされる企業なり店舗をプラットフォーム側で決めていくというような部分というのがあるのかなというふうに思うんですけれども、これは検索アルゴリズムというようなことにも関連するんでしょうが、こういったような部分を自由にしていると、競争競争とは言いながらも、同一性の中で競争がなされていくというか、プラットフォーム側で全て左右されていくというか、文化までも何か決めつけられてしまうんじゃないかというような、そんなことも感じているんです。  こういう点に関して、どういうような規制が行われればこういったような心配がなくなるのかということをお二人にまずはお聞きしたいと思います。
  67. 大橋弘

    大橋参考人 御指摘ありがとうございます。  今御指摘の点は、多分この法案を若干超えるお話でありつつも、非常に重要な論点だと思います。  二点いただいたのは、例えば、プラットフォーム側で得た個人情報というのがそのプラットフォームの中で自由に使われちゃっているじゃないか、それをどう考えるのかという問題。もう一つは、検索エンジンが、実は、そこで消費者なり企業なりが選んだり選ばれて、そこから競争が始まるのに、検索エンジン自体が恣意的に運用をされれば、その競争の土台であるところの公正公平な競争環境というものが本当に担保できているのかというふうなお話だと思います。  そういう意味でいうと、おっしゃった点は、競争というものをどうやって機能させるべきかという、従来我々が本来的には考える必要がなかった、つまり、神の見えざる手の世界もとでは、競争の土台というものがある意味公的な存在なので、それについて問う必要はなかったわけですけれども、その土台自体が実は営利企業の中で行われちゃっているところの問題点というものを御指摘されているんだと思います。  これは、ある意味民主主義にもつながる話という点でいうと非常に大きな問題だと思っていて、それについて、これをやれば解決するという話が果たしてあるのかというのは、まだ多分、世界競争当局の、あるいは研究者も含めて、非常に今頭を悩ませている重要な論点だというふうに理解しています。ただ、やはりやっていかなきゃいけないのは、我々、実態として何が起こっているのかということをちょっと理解していかないといけない、国民の方々も実は理解をしていかないと社会全体を変える推進力にならないんだろうなというふうな気がしています。  そういう意味で、まず、さまざまな形での情報開示を通じて、情報の格差というものをとりあえず埋めていく努力をする。その情報開示が足りないのであれば、モニタリングなりレビューなりをして、それをこっちから指摘して正していくというふうな、一見迂遠のように見えますけれども、やはりそうしたものを早急にでも積み上げていって、おっしゃられるような、競争の基盤自体が実は公平なのか、公正なのかというところの論点に近づいていかなきゃいけないというふうに思います。
  68. 川上資人

    川上参考人 ありがとうございます。  プラットフォームの方で情報を持っていることについてプラットフォーム内部でどのような使い方をするかという点については、今、アメリカ、ヨーロッパでも非常に問題になっていて、アメリカではカリフォルニアの一個人が、一市民の人が、その方は不動産の大きなビジネスをやっている方だったのでかなりの資金力があって、自分の私財を投じて、かなりの莫大な資金を投じて、カリフォルニアの州法として、プラットフォームでの情報の利用というのを制限するような州法の成立に成功したという話を最近聞いたことがあります。  なので、やはり情報というのは本来消費者一人一人、市民一人一人に帰属するもので、その利用の仕方について何らかのルールをつくっていく必要というのは非常に高まっているんだろうなと思いますので、我々の日本社会においてもそういった法律が早急に検討される必要があるんじゃないかと思います。  それから、検索のところに関しても、やはり、恣意的にプラットフォームが、例えば自分の直営の会社だったりそういったところを上位に上げるとかそういったことは、許されてはいけないと私は思うんですね。なので、プラットフォームは極めてパブリックな、公的な要素が強くなっているというのが社会的実態ですので、社会的実態から見たときに、では、パブリックの器、公器には何が求められているのか、最低限のルールというものは国として法律として定めるしかないのかなというのが私の考えです。  一方で、大橋先生がおっしゃられたように、そこはまずは透明性を高めて、情報を市民社会に出すことによって、市民社会の自浄というか、そういった作用でそこを正していくというアプローチも一つのあるべき姿だとは思うんですけれども、私としては、法律としてルールを一つぱっと決めてしまうような実態に今なってきているのかなというふうに思います。
  69. 串田誠一

    串田委員 民間とはいいながらもかなり公共性というのが高まってきているというのは、御指摘のとおりかなと思います。  次に、岸原委員にお聞きをしたいんですが、今、返済情報なども非常に中途半端な状況の中で、例えば譲渡禁止のチケット、オリンピックなんかの場合もそうなんですけれども、そういったようなものを国外から販売するとか、国内でもそうなんですが、販売した後に返金できるかどうかというのはクレジット会社の考え次第だというような返答をすることがあるんですね。  そういう意味で、プラットフォーム企業だけではなくて、それとひもづけられているクレジット会社自身にも、透明性や公平性というか、情報開示というか、ある程度のガイドラインみたいなものをつくらないと、結局は、消費者は返金という形の中で解決してもらわなきゃいけないところを、クレジット会社自身が個々にガイドラインというかをつくっていたりして、消費者としては、プラットフォーム会社に幾らクレームをつけたところで、クレジット会社が返すか返さないかはクレジット会社次第だというようなことにもなっていると思うんですが、委員としてはこの点についてどのようにお考えでしょうか。
  70. 岸原孝昌

    岸原参考人 済みません、今回の法案とは全然関係ないとは思うんですが、実はMCFは決済代行事業者登録制度というのを運営しておりまして、まさしくそれを御存じで質問されているんじゃないかなと思ったぐらいに、これに関しては一時期いろいろ関与していたという経緯があります。  ただ、ちょっと説明すると長くなるし、専門的なところになるんですが、まさしく日本消費者にとっては、クレジットカード会社が返金に応じてくれない、けしからぬ、これは非常によくわかるんですが、それを調べていくと、決済代行事業者が介在していて、実際のイシュアーと言われているような、クレジットカード、アクワイアラーだったかな、済みません、カード会社は海外事業者だった、それによって返金が行われないというのが概略としての実際に起きていることなんです。  実は、これが何で起きているかということなんですけれども、カード会社にとっては、取引が適正に行われたものは基本的には決済をします、そのかわり、実際に取引が不公正に行われているものに関しては返金を行うというのが、ちょっと今、名前は忘れちゃいましたが、クレジットカードの全体の仕組みとして実現しております。ただし、日本のクレジットカード事業者は、その国際ルールを超えて、日本事業者は独自に日本のユーザーの、顧客サービスの一環として返金に応じているというのが実は実態らしいんですね。  それによって今度は何が起きているかというと、例えば夜の町のいろいろなクラブとかそういったところの課金とかというのは苦情が結構多くて、返金、いや、そんなの飲んでいないとか、高いとか、あるいはいろいろなエステとか、そういったものに対して苦情が多いものに関しては、実は日本のクレジットカード事業者が、苦情が多いので取り扱わない業種がどんどんふえてきている。そうすると、そこのクレジットカードを決済するために海外のクレジットカードのアカウントを使うために、決済代行事業者というのが介在をして提供している。ここだけでいうと、実は誰も何か悪意はなく、悪くないんだけれども、最終的には、消費者にとっては不公正な取引と思うような、苦情のあるようなものが返金が行われないということが今起きているという状況のようです。  これ自体を解決していく方法としては、一つは、国際ルールの中にきちんと、消費者苦情の中で、返金に応じてもいいというスキームを新たに日本側から提案して、その中でルールとして明記をして実現していく。ちょっとこれは時間がかかるかもしれないんですが、こういったものを、苦情の中で、これは新たにクレジットカード会社として返金に応じていいんじゃないかというのをブランドの事業者含めて提案して、国際ルール化していくということが一つ取組として必要かなと。  ただ、そういったのは、ほとんど日本のクレジットカード会社は多分やっていないと思うので、これをちょっと翻って今回のプラットフォーム法案とくっつけますと、まさしくグローバルビジネスの中で日本ビジネスが今行われている。これまでは、日本独自のルール、顧客対応をしましょうとかいうもので日本だけで回っていたのが、グローバルなルールの中でどう対応するかというのが今回のプラットフォーマーの部分、あるいはクレジットカードの中でも問われているんだと思うんですね。  そういった点では、日本側の事業者国際標準化していくということを業界団体としてもやらなきゃいけないんですが、国としてもそれを実現していくことを後押ししていくということが、ちょっと時間はかかるかもしれないんですが、それの問題解決をするスキームではないかなというふうに思います。
  71. 串田誠一

    串田委員 ありがとうございます。  最終的には、キャッシュレスの形でクレジットカードというものが使われるということですので、これとの関連をしていかないと公平性というのは担保できないのかなというふうに感じています。  次に、生貝委員にお聞きをしたいんですが、個人データのポータビリティーというのが我が国にはないという記載もありまして、非個人データも同じなんですけれども、EUに関してはこれについてかなり積極的に進められている。なぜ我が国はないのか。  それと、クラウドというのが非常に重要で、クラウド間で移動させるときに、ポータビリティーという、データを移動させるという部分と、前のクラウド情報は全て空にしなければいけないのかというような部分もEUはどういう対応をしているのかという点についてお聞きをしたいと思います。
  72. 生貝直人

    ○生貝参考人 ありがとうございます。  本法案の中にデータポータビリティーにかかわる部分というのは直接は含まれていないのでございますけれども、先ほど大橋先生の方、委員の方からもございましたデジタルプラットフォーマーに関する取引環境整備検討会の中で、取引透明化とデータポータビリティーの両面というのはやはり並行して検討がされてきたところでございました。  そうした中で、データポータビリティーに関して、おっしゃるとおり、GDPRで、EUではまず導入をした。そのことが、日本ではまだそのように呼ばれる権利というものは存在していないわけでございますけれども、まさに今、国会の方で提出されております改正個人情報保護法の中におきまして、開示の手続のデジタル化、これはかなり利用者の側が求めた形でデジタルで開示を請求できるといったような規定が導入されるところでございまして、私、これはあくまで個人情報保護法という枠ではございますけれども、運用の仕方いかんによってはかなりそれに近しいことが実現し得るのではないかというふうに期待しているところでございます。  そして、日本におきましても、データポータビリティーの権利、やはり設計の仕様によって非常にもちろん価値のあるものであり、他方で、事業者の方々に過度の負担をかけてしまうのではないかという懸念というのがあるというふうにいったような中で、事業者サイズですとか業種によっても対応の現実的可能性というものが異なる中で、特に大きなデジタルプラットフォーマー様に対して、まさに競争政策的な観点からデータポータビリティーをどのように実行していただくように日本でもしていくのかというのは、この法案とは別でございますけれども、やはり継続的に考えていってほしいというところでございます。かなり技術的な側面等、かなり専門的な調査検討が必要だというふうには理解しておりますが。  そして、クラウドからクラウドに移すとき、データポータビリティーというのは、EUのデータポータビリティーもかなりいろいろな種類がございますので、構成によって少し異なるのですけれども、少なくともGDPRにおきましては、それすなわちもとデータを削除しなければならないとまでは規定していないのですが、日本の個人情報保護法に比べますと、削除の権利というもの、非常に厳しいところでございますので、もはや必要でなくなったデータというのは原則として削除に応じなければならないという、AからBに移し、本人が求めればAの側からは消すことができるということが法制全体としてはかなり実現しているのかなというふうに認識しているところです。  以上でございます。     〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕
  73. 串田誠一

    串田委員 大変参考になりました。ありがとうございました。
  74. 鈴木淳司

    ○鈴木(淳)委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後三時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ――――◇―――――     午後三時開議
  75. 富田茂之

    富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出特定高度情報通信技術活用システム開発供給及び導入の促進に関する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として、東京大学大学院工学系研究科教授森川博之君、ファイア・アイ株式会社最高技術責任者伊東寛君、一般社団法人電子情報技術産業協会会長遠藤信博君、株式会社自律制御システム研究所代表取締役社長太田裕朗君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、まず森川参考人にお願いいたします。
  76. 森川博之

    ○森川参考人 本日は、このような貴重な場を頂戴いたしまして、ありがとうございます。  私、東京大学の森川でございますが、私の方からは、5Gに関して思うところを三点、四点、お話をさせていただければというふうに考えております。  一点目でございますけれども、5Gは進化し続ける、そういう視点が重要かと思っていまして、今の5Gと十年後の5Gは性能ががらっと変わっています。4Gも同じでございまして、十年前の4Gと今の4Gは性能が格段に違います。5Gも継続的に進化していくという、それをしっかりと後押ししていただきたいというのが一点目でございます。  今から十年後の二〇三〇年には6Gが登場する予定です。今現在、我が国でも、ビヨンド5Gということで、6Gに向けた検討が始まっておりますので、通信インフラというのはそういった形で継続的に進化していくんだという視点がまず一点目。  その際、いつも多くの方々から、日本は5Gの展開でおくれているのではないかという御指摘をいただくことがございます。これについては、私、個人的にはおくれてはいないと思っていまして、昨年から世界各国では5Gの展開が始まりましたが、急いでわざわざやる必要がない、そういうスタンスが日本だったのかなと。  それはどういうことかといいますと、今、諸外国で展開されている5Gは、4Gにちょっと毛が生えたようなそういうものですので、そこからわざわざ急いで、まだ不十分なものをわざわざやっていく必要はないのではないか、そういうスタンスが通信事業者の方々のスタンスであったのかなというのが私の認識でございます。  ということで、一点目は、そういう、十年単位という非常に長いスパンで5Gというものを見ていただきたいというのが一点目でございます。  二つ目ですけれども、新たなビジネスの余地が生まれるということでございまして、これは確実に新たなサービスとかビジネスが生まれると思っております。  今までもそうでした。今まででいいますと、第二世代でiモードが生まれましたし、その後の第三世代でスマートフォンが登場しましたし、その後の第四世代で、いわゆる動画配信とか、あるいはシェアリングサービスが生まれてきたわけです。新しい通信規格が登場すると、そこで確実に新しいサービスが生まれてくる。  しかしながら、非常に悩ましいのは、通信規格が登場する前の時点では、どのようなサービスが生まれるのかがわからないということでございまして、生まれてみないとわからないんですね。そういう、インフラが引かれて、多くの方々がそのインフラを使い倒していくことによっていろいろなサービスが生まれてきますので、インフラがまず先にあって、その後、サービスとかビジネスが生まれてくるというのが今までの歴史の常でございますので、そういう視点で、少し温かく、5Gというのは多くの方々に見守っていただきたいというのが二つ目でございます。  そもそも、5GはDXの一つのツールです。これからの時代はデジタル変革がありとあらゆる産業セグメントで起こっていきますが、5Gというのがそのデジタル変革を後押ししていく。  そこで、私、個人的には非常にうれしいのは、多くの経営者の方々がデジタルに対してここ数年でがらっと意識を変えていただいた。多くの経営者の方々が前向きになっていただいた。最近は地方でもそうでございまして、経済同友会とか地銀のセミナーとか、いろいろなところでお声をおかけいただく機会がふえましたが、そういう地方の中小企業の方々も、5Gを含め、デジタルに対して前向きに、そういう意識をお持ちいただけるようになってきたというのは、私どもからするととてもうれしいことでございますので、この流れをこの先もずっとサポートをしていきたいというふうに思っておりますので、二つ目としては、新たなビジネスが必ず5Gで生まれるというものになります。  三点目は、じゃ、5Gに対して我々はどのように立ち向かえばいいのかということでございます。  これは、5Gの提供側と5Gを使う側で少し分けてお話をさせていただきたいと思いますが、5Gの提供側からすると、5Gで、今既に4Gの時点で我が国では強みのある産業がございます、アナログ部品とか、光伝送部品とか、あるいは素材とか、今でも強い産業があります。5Gになると更に難易度が上がりますので、その競争力を発揮できるのではないか、今まで以上に競争力を発揮できるのではないかということで、そういう強い産業に対しては引き続きサポートしていきたいと思っております。  一方、情報通信機器、こちらに関しては、先生方御案内のとおり、日本は残念ながらグローバルのシェアが数%ということで、非常に今現在は残念な状況にあります。それは事実ですが、私の期待は、これからゲームチェンジが起こるということでございまして、ソフトウエア化が一気に進んでいきます。今までは、情報通信機器というのは専用の装置でつくられておりました。しかし、これからは、汎用機器にソフトウエアで、ソフトウエアで全て制御していくという形になっていくと思いますので、そこでがらがらっと産業の生態系が変わっていく可能性がありますので、そこをぐっと押していくことによって、我々どもも新しい可能性が開けてくるのではないかというふうに強く期待しているところでございます。  一方、5Gの利用側、こちらは、現場掛ける5Gというものをお手伝いしていきたいというふうに思っておりまして、5Gも、AIも、IoTも、いわゆるデジタルと言われるものは現場が起点となります。すなわち、現場で仕事をなされている方々が、じゃ、俺の仕事に5Gを使ったらどうなるんだとか、あるいはAIを使ったらどうなるんだとか、IoTを使ったらどうなるんだという新たな気づきを現場の方々から上げていただく、そういうことによって、いろいろなところで、5Gとか、AIとか、IoTとかいったデジタルが花開いていくというふうに思っていますので、多くの方々にそういう意識を持っていただく、そういう土壌づくりというものが非常に大切なんだろうというふうに思っております。  最後でございますけれども、四点目、5Gの土俵に上がるということでございます。  最近、新型コロナウイルス感染症で、多くの方々が今現在テレワークをなされておられます。それで、新しい気づきが今得られているというふうに思います。今までとは違うやり方でテレワークをすることで、働き方とかもろもろの新しい気づきが今得られている。同じように、5Gも、使うことによって新しい気づきが得られるというふうに思っておりますので、5Gに対しては、多くの方々が、後ろ向きではなくて、攻めの意識で、前向きで使っていただく、それがとても重要なんだろうというふうに思っております。  5Gでは、使う側がこのようなサービスが欲しいというのをリクエストしていく、そういう動き方になろうかというふうに思っておりますので、通信事業者が与えてくれるものではないんだ、俺らがきちんと5Gを使い倒していくんだ、そういう意識を多くの方々がお持ちいただくことによって、5Gでいろいろなサービスアプリケーションがそこから創出されていくのかなというふうに思っております。  一番最後に、洗濯機と5Gのお話をさせてください。  洗濯機は、皆様方御案内のとおり、家事労働という物すごく大変な負担を減らす、そのために出てきたデバイスでございます。しかしながら、社会に与えた影響はそれだけではないと言われておりまして、洗濯機が登場したことによって我々の衛生観念が変わった、衛生観念が変わって、ざっくり言うときれい好きになって、洗濯を毎日するようになって、それで衣類の需要がふえたと言われているわけです。  しかしながら、洗濯機が生まれる前に、洗濯機を実際に使い出す前に、これから洗濯機が登場するから衣類の市場がぐっとふえるぞということを考えていた人というのはほとんどいないと思っています。5Gも同じだと思っていまして、将来、いろいろなことが変わっていきますので、そういう変わっていくという意識を多くの方々にお持ちいただくのが、まず多分、ファーストステップとして重要なのかなというふうに思っております。  非常に簡単ではございますが、以上でございます。  本日は、貴重な機会をいただきまして、本当にありがとうございました。(拍手
  77. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  次に、伊東参考人にお願いいたします。
  78. 伊東寛

    ○伊東参考人 伊東でございます。  私からは、サイバーセキュリティーの観点からお話をしたいと思います。5Gとドローンにつきましてはそれぞれの先生方が詳しくお話しされると思いますので、観点を変えて、先に話すのでちょっとやりにくいんですけれども、サイバーセキュリティーの確保重要性についてお話しします。  まず、サイバーセキュリティー、大体おわかりだと思いますけれども、そもそも何だよ、何が問題なんだということがあると思うんです。  サイバーセキュリティー、皆さんが家に住んでいることを考えてみると、戸締まり用心をちゃんとやっていれば泥棒は来ませんが、鍵をかけ忘れたりドアが壊れたりすると泥棒は入ります。サイバーセキュリティーも基本的にはそういう考え方と同じで、皆さんが使っているITの機材に、脆弱性という言葉を専門家は使いますけれども、そういう抜けたところがあれば、そこから入ってくるわけです。そして、それは5Gとかドローンとか言わないで、現在のIT全般について、全て言えることであるのは御承知だと思うわけであります。  そして、そのサイバーセキュリティーの現状というものを一言で言うとすると、要するに、技術の進歩にセキュリティーが追いついていないわけであります。  例えて言うと、自動車が今僕たちの世界で走っていますが、自動車を発明した直後を想像してみてください。あの時代には、クラシックカーですけれども、エアバッグはありませんし、ドライブレコーダーもない。それから、制御する信号機も交通警察もない。そういう時代が最初にあって、今は、ずっと技術が進歩して、法律が追いついて、今の私たちの世界があります。交通事故はなくなっていませんけれども、そうやって追いついてきているんです。  ところが、サイバーについて言いますと、今言った発明直後の世界と同じです。だから、とても危ないと思ってください。それがまず一つ目の話です。  二つ目は、悪者が優位に立っています。  サイバー攻撃があったら対処しなきゃいけないと皆さん思っていて、よく講演なんかでお聞きになっていると、こう言われます、イタチごっこである。あれは違っています。イタチごっこではありません。イタチごっこというのは、AとBが互いに攻守をかえながら勝ったり負けたりするのをイタチごっこというんですけれども、サイバーセキュリティーは、悪者が何かをする、正しい方がそれに対処して追いついたところで悪者は先に行ってしまう、それでまた追いつくという繰り返しですので、決してイタチごっこにはなっていません。これが現状でございます。  そうすると、こういう現状のときに、5Gとは何だと聞いた場合に、5Gあるいはドローンは、今言ったサイバーセキュリティーの問題は全て持っています。そして、それだけではなくて、実は、より悪くなります。  なぜかといいますと、5Gは新しい技術ですので、まだ当然もまれていません。そして、数がたくさん出なきゃいけないので、対応が大変になります。また、値段を安くするためにソフトウエアに依存する割合がふえますので、ここもまた悪者にとって狙いどころになるわけですね。  このように、5G自身が出ても、安全な方向には行かず、より危ない方向に行きます。  さて、では、5Gで何が、具体的に困ることが起こるんだということなんですけれども、例えば、これまで以上に情報を収集したり盗むことが敵にとって容易になります。例えば、プライバシー、価値あるデータ、インテリジェンス、そういう分野全てです。  例えば、プライバシーについていいますと、今でも、私たちが使っている携帯電話、あの位置情報というのは、知っている人は知っているわけです。  例えば、今コロナウイルスで大変なことになっているわけですが、韓国では、例えば一月三十日にあなたは陽性だとわかると、一週間ぐらいさかのぼって、あなたはこことここにいたよねと情報を突きつけられて、さらに監視カメラで、ここにいたでしょうというのもあわせて、この患者Aさんの行動を国民に広く知らすことによって警報を上げるようになっています。  これは、少なくとも国がちゃんと管理をしてその人を押さえているわけなんですけれども、犯罪者から見れば、それはいい餌になるわけですね、あるいは外国から来れば。そして、5Gは、今言った携帯電話よりもっともっときめ細かな情報をとることができますので、プライバシーの問題なんかにも非常に大きな問題が発生するでしょう。  それから、データもそうです。二十一世紀はデータの時代だと言われています。5Gによって、たくさんのものがあって、そこから上がったデータを集めること、それ自身が価値になります。それがどこかの国に持っていかれることになるかもしれません。  それからもう一つ、5Gについて、恐らく私がこうなるだろうと思っていることがあります。  機材が故障したときに、これまでは交換していました。テレビが壊れた、呼ぶ、じゃ、この部品を交換する。でも、5Gの時代になると、膨大な数になってしまうので、故障するたびに物理的に交換するのは、もうとてもじゃないけれども手が回りません。  どうやるかというと、これはファームウエアの書きかえという言葉を使うんですけれども、ハードの一部にソフトウエア的なものをつくり込んでおいて、ふぐあいが発生したら、リモートからソフトウエアを修正することによってふぐあいを直すという考え方があります。これは結構今、はやってきているんですけれども、5Gになった場合は多分それが全部入ります。つまり、5Gになった機材はリモートで故障を修理するような時代になるでしょう。  でも、ここで問題は、リモートで故障を修理できるということは、リモートから故障をつくることができるということと同じことです。もし、5Gの機材が日本の重要インフラにたくさん使われ、自衛隊、警察がどんどん使っているときに、この仕組みを使って警察や自衛隊あるいは工場のシステムをとめてしまえば、日本は大混乱になります。  このような悪意のある機能を5Gは恐らく内蔵することになってしまうというのが私の懸念だし、さっきから言っていますように、セキュリティーについては、一般のセキュリティーでさえセキュリティー対策が追いついていない現状のところ、膨大な5Gが入って、ますます社会は危なくなります。  この機能なんですけれども、一般的にサイバー攻撃というのは、システムがあったときに、ハッカーとかウイルスが外からやってきて攻撃することを考えますが、実は生産する段階から入れ込むこともできます。これは、実はサプライチェーンリスクと呼ばれています。  つまり、つくっている工場、そこでもう入れ込んで、入って、皆さんのお手元に届いてしまうと、幾らそこでアンチウイルスソフトを入れても、ハードのレベルで既にもう入っているわけですから、恐らくアンチウイルスソフトでは歯が立たないはずです。あるいは、物資の輸送中ですね。工場はちゃんとつくってくれているんですけれども、それを消費者手元に運んでいる途中で一回とめて、中をあけて、中に何かを仕掛けてから送り出すということも考えられます。  このようなリスク、サプライチェーンリスクというんですけれども、そういう懸念もこれからますますふえるのではないかと思います。  もう一つ、きょうはドローンについても少し話をしてくれと言われたんですけれども、ドローンについてのセキュリティーは私の専門ではないので、大体、簡単にしかお話しできませんが、原則的には、さっき言ったIT機材の問題点と同じだと思います。  空を飛ぶという特性はありますけれども、その中に何かを仕掛けておいて勝手な動きをしたり、それから、写した映像が、もしかすると関係ない第三者、悪意のある敵の手に流れる、そういう可能性は、同じような問題点があるのではないかと思います。実際に、何カ月か前の一般報道で、ドローンで写した情報が位置情報とともに某国に流れていたという記事も見たことがあります。  先ほどのサプライチェーンなんですけれども、上流工程でいろいろなものが入ってしまうというようなものについて、もう一度つけ加えますと、どこで起こるかというのを繰り返しますと、つくっている部品のレベル、アセンブルする工場、輸送中、そして入った後、そして、入った後に使っている最中に、さっき言ったようにリモートで変えるという攻撃もある。たくさんの問題点があるわけです。  このように、サイバーセキュリティーの観点から見ると、5Gとかドローンの技術は、安全保障に多分つながるような大きな問題点、つまり、政治、外交の情報が盗まれる、経済的な損失をこうむる、そして防衛上の脆弱性をつくってしまう、こういう問題があるやに思います。  あと残りの時間でもう少しつけ加えたいのは、じゃ、こうだとすると、今、世界で5Gをやっているわけですけれども、外国はどう思っているかということについてちょっと述べたいと思います。  基本的には、世界じゅうがこの5Gに今移行するときに、焦点は何かというと、実は、中国の信頼性について多くの国がいろいろ議論をしています。御案内だと思いますけれども、中国の製品には何か仕掛けがあるのではなかろうかということが、アメリカが発言しており、アメリカは、重要な組織では中国製は使わないとまで言っています。  それで、諸外国はどうなんだろうか。ただ、5Gについては、私が知る限り、実は中国の製品は極めて性能がよくて値段も安いです。だから、諸外国についても、何か懸念はあるんだが、経済原理の観点から、やはり安いものを使いたいというのがあるので、本当にぶれています。  例えば、イギリスは5G通信機器の一部使用を容認。ドイツは安全基準案で排除は明記していない、政府が認めれば使ってもいいですよ。フランスは、まあ使ってもいいかな。各国それぞれいろいろな考え方でやっているところであります。事実上、排除しようと宣言しているのは、米国、オーストラリア、台湾、ベトナム等であります。  我が日本政府も、皆さん御案内かと思いますけれども、政府から、それに関しては、中国とは名指しをしておりませんが、疑義があるものについては注意しなさいという指示が出ておるところであります。  最後に、このように、今、5Gにしろドローンにしろ、絶対にこれが広まれば世の中はよくなります。皆さんも幸せになるものですから、ぜひ推進したいところですが、ぼうっとしていてはいけない。セキュリティー上の懸念がある以上、そこはしっかり押さえなきゃいけません。  そこで、私の個人的な対策案というのを聞かれるとするならば、やはり重要なものは国産品を利用してほしいなという気持ちがすごくあります。設計の段階から、製造、そして運用まで国産でやってほしい。  なぜ国産がいいか。外国製品と比べて国産がいいところは、日本法律によっていろいろ指示ができて、きちっとできるということと、問題が発生したときに、係の人が行って、現地、現物を確認できるのが簡単だということになります。もし外国製品だと、何か問題が起こったとしても、その国の工場に行って中を見ることはほぼできません。そういった意味で、重要なものについては国産品をぜひ使ってほしいなと思っているところであります。  そして、もしそうでないとしても、値段の問題から外国製品を使わざるを得ない場合であっても、システム全体としては、問題が発生したのを早く見つけて対処するような仕組み、これも包括的に考えることを日本企業さんは考えてくれればなと思っているところであります。  最後に、そういうふうに思っているところなので、セキュリティーの観点から、5G、ドローンはとてもいいものなんですけれども、ぜひセキュリティーの観点からも、漏れがないようにしっかりと考えていただきたい。  そこで、今回見せていただいた法案ですけれども、そういった意味で、日本企業の背中を押す意味で、とても意義がある法案だと思いました。  私からは以上です。終わります。(拍手
  79. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  次に、遠藤参考人にお願いいたします。
  80. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 電子情報技術産業協会の会長をさせていただいてございます遠藤でございます。  きょうは、5Gの人間社会への価値創造の観点から、5Gの位置づけということについて御説明を申し上げたいというふうに思います。  まず、次のページでございますけれども、5Gとはということでございますが、私のイメージからすると、人間社会に非連続的な高い価値を供給するプラットフォームであるという定義ではないかというふうに思います。  今までの通信というものは、人と人とのコミュニケーション中心としたネットワークでございましたけれども、5Gは、その機能から、マシン・ツー・マシンの間でデータを交換し、それによって価値をつくり上げるということでございまして、そのマシン・ツー・マシンという観点は、企業間という観点も意味するところでございます。いずれにしても、5Gはつながることによって大きな価値をつくり上げていくというのが、今までの通信とは全く違う、異なるモバイルネットワークであるということでございます。  次に、5Gの役割というスライドがございますけれども、ICTの基本的な重要な機能というものは、右側に書いてございますように、リアルタイム性、ダイナミック性、リモート性、この三つでございます。ダイナミック性と申し上げているのは、大量のデータを集めることによって全く違う価値をつくり出す、これがダイナミック性でございます。まさに5Gというものは、このICTの三つの機能の究極の価値をつくり上げるためのプラットフォームであるというふうに思っております。  そして、その5Gの究極的な新たな価値をつくり上げる機能として挙げられているのが、次のページにございます、超高速、超低遅延、そして多数の接続、同時接続でございます。  超高速、これは、下に書いてございますように、二時間の映画を三秒ぐらいでダウンロードできるということでございます。例えば、今まで、車のナビゲーションのところにも、皆さんのナビゲーションの中にもSDカードというのが実は入っておりまして、地図情報をハードウエアでどこかからダウンロードして、そのハードウエアをナビゲーションシステムに入れるというような形でございますが、そのうち大量のデータが非常に短い時間でダウンロードできるとすると、エアダウンロードでいいということになって、車が走っているうちに必要な地図情報がどんどん短い時間に入ってくるということで、ハードウエアを介さなくてもいいというようなプラットフォームであるということであります。ある意味で、人間社会の時間の束縛からの解放を与えるプラットフォームと言ってもいいでしょう。  そして、低遅延というものは、いろいろなハードウエアを扱う能力を一気に高める機能であるというふうに私は思います。ですから、ショベルカーをリモートで動かしたり、またリモート医療を可能にしたり、最終的に、我々が最も期待をしているリモートでの、遠隔での手術、これも可能にすることができるというふうに思います。そういう意味では、これは人間の場所の束縛からの解放ということを意味するのではないでしょうか。そして、地域にいてもいろいろなサービスを受けられるということは、人間社会に平等性を与える非常に重要な価値をもたらすものだというふうに思います。  多数同時接続、これはなかなかイメージが難しいんですけれども、大量のデータを、一気に大量のハードウエアに対して指示を与え、自由に動かすことができるということでございまして、ちょっと恐れ多いんですが、私のイメージとしては、千手観音様の手を得、聖徳太子様の耳を得るということではないかというふうに思います。  次のページでございますが、こういう機能を使いますと、先ほど申し上げましたように、マシンとマシン、機械と機械の間でデータをやりとりすることによって価値をつくり上げるということもございますけれども、それは、その先の各企業さん、又は全然違う機能をお持ちの企業さんをつなげることによって、今まで考えてもいないような大きな価値をつくり上げることもできるということを意味してございます。  次のページでございますが、5Gの市場という観点で、全体的なIoTの市場というのは、二〇二〇年から三〇年の間で、世界で二百八十兆円から五百三十兆円ぐらいということで約二倍ぐらいに伸びるというふうに言われてございますが、5Gを使った市場というものは、二〇年から立ち上がって、十年後、先ほど6Gが出てくるのが十年後の三〇年と森川先生からお話しいただきましたけれども、それまでの間に十兆円の市場をつくり上げることができる。またさらには、ローカル5Gというのは、また特徴的な5Gの市場でございますけれども、これは一・三兆円の市場日本でつくり上げることができるということでございます。  次のページでございますが、ローカル5Gの実現に向けてということで、ローカル5Gというのが、今までモバイルネットワークというと、日本国全体をカバーしないといけないということでございますが、5Gの場合には非常に特徴のある機能を持ってございますので、それをローカルに使うことだけでも非常に価値ができるというところが特徴的なところであろうというふうに思います。  それを扱える領域としては、まずはロボット、車、ドローン、建機、農機、それから医療機器、こういう部分が扱えて、それを使う領域としては、工場であるとか、アミューズメントパークであるとか、災害の現場であるとか、医療現場であるとか、非常に多くの領域で、ローカルに5Gのプラットフォームを備えることで非常に価値のあるものを提供できるということであろうと思います。  次のページに、二ページにわたって、ローカル5Gのユースケースというものを少しまとめさせていただきました。  全て説明すると時間がたちますので、まず二番目の建設というところでございますが、やはり日本は災害が非常に多うございまして、しかし、その災害の復旧のためには、ショベルカーを含めていろいろな建機をそこに持ち込まなきゃいけない。だけれども、そのオペレーター、運転をする人、ドライバーを一人一人そこに派遣するというのは非常に大変でございますし、また危険も伴うということで、これがもしリモートでできたとすると、これは非常に大きな価値を生んで、非常に短い時間で災害を復旧させる可能性が出てくるということでございます。  また、次のページの医療の領域でございますが、先ほども申し上げましたけれども、医療を遠隔でできるということは、私ども、たとえ島にいても医療を受けることができる、手術を受けることが可能かもしれない。そういうことを考えますと、非常に大きな価値を5Gというプラットフォームは与えるのではないかというふうに理解をしてございます。  さて、次のページ、JEITAの最近の変化ということを示させていただいてございます。  私自身は、AIの元年は二〇一七年だというふうに勝手に定義をしてございます。これは、アルファ碁が出てきて、本当にAIというものが人間社会に価値を生めそうだなというふうに実感できた年ということで二〇一七年をAI元年と申し上げていますけれども、その二〇一七年より前は、我々、いわゆる電子機器を扱える企業とサプライヤーの集まりでございましたけれども、二〇一七年以降、そういうICTを使った、アプリケーションを使った企業様にも一緒に団体の中にメンバーとして入っていただいて、ICTを使った市場をつくり上げる協会になろうということで、変わってまいりました。そういう意味で、JTB様とかセコム様、そこに書いてあるような方々にお入りいただいて、新たなICTを使った市場を立ち上げようというのが私たちの思いでございます。  そういう意味で、次のページでございますけれども、特にローカル5Gの領域は新しい領域でございますので、私どもJEITAも力を入れて、ローカル5G推進連絡会、これは仮称でございますが、この二〇二〇年、即立ち上げたいというふうに考えているところでございます。構成メンバーは、下に書いてあるところの方々をお呼びしたいと思ってございます。  最後でございますが、今まで申し上げたところのまとめでございます。  一番大きいのは、5Gは人間社会に非連続的な高い価値を提供するプラットフォームなんですということをまず御理解いただいて、今までの通信ネットワークそのものというよりも、これをベースに高い価値を生むためのプラットフォームなんだという御理解をいただければというふうに思います。  そして、5Gプラットフォームを国内で早期に立ち上げて、この上で形成される最先端のソリューションによって市場を立ち上げ、これをベースに海外市場にいち早くこのソリューションを示していくことが我々のソリューションの国際競争力を高める上で非常に重要であろうというふうに考えてございます。  また、まさにこの領域、三番目でございますが、一番下のところに書いてございます、日本が今目指している、そして世界にそれを流布しようということで、ソサエティー五・〇という概念を立ち上げてございますが、そのソサエティー五・〇を支えるプラットフォームとして5Gが非常に重要であるということでございます。  次が、今まさに我々大変な苦労をしているコロナでございますが、今、この状態の中でも、ICTというものの価値が見直され、リモート医療というような観点では既に積極的に動いていただいているというふうに思います。そういう観点では、アフターコロナに向けて5Gの利便性を最大限活用するというのがとても重要なことであろうというふうに思ってございます。  最後に、5Gプラットフォームの導入促進に向けて、本法案の早期の成立をぜひお願い申し上げたいと思います。  以上でございます。ありがとうございました。(拍手
  81. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  次に、太田参考人にお願いいたします。
  82. 太田裕朗

    ○太田参考人 私は、株式会社自律制御システム研究所という民間企業の代表でございます。  弊社は、ドローンを最終製品として、ドローン機体を供給するいわゆるドローンメーカーでございます。発祥は千葉大学でございまして、二十年以上にわたりドローン分野を研究していた教授が、ドローンを自動で飛ばすソフトウエア技術、いわゆるフライトコントローラーというものを武器に創業した、大きく言えばソフトウエアの会社でございます。  創業から五年以上を経まして、これまで多くの国家プロジェクトをやらせていただいたとともに、東京大学のベンチャーキャピタル等から投資も受けて、いわゆるスタートアップとして成長してまいりました。  人員も五十名を超えて、性能面で中国企業にも劣らないドローン開発供給能力、ソフトウエア技術、自動操縦という面では一部、ようやくですが、中国を追い越すようなレベルまで競争力を高めてきており、米国やシンガポールなどに進出しております。海外に頼らなくても、独力で、我が国独自で開発する国産の飛行ソフトを持っているというのが我々の企業中心でございます。  今、ドローン企業を見渡すと、世界を見渡しても唯一の上場企業ということで、きょうは、そのような事業現場における経験を踏まえ、ドローンに関して意見を述べさせていただきたいと思います。  これまでに、我々の会社は、日本郵便、ANA、東京奥多摩での対応のような、ドローンを使った輸送、宅配でございます、また、化学プラント、下水道、発電所等の、この法案にもあります社会インフラ設備の点検、それから、総務省消防庁、陸上自衛隊等と協定を結んでおりますけれども、いわゆる防災でのドローン活用といったところに当社の機体を提供してまいりました。  時間が限られていますので、きょうは四点ほど説明をします。  一つ目、市場ですけれども、簡単に申しますと、わずか数年前ですけれども、中国のドローンメーカーが写真を撮るというドローンの提供を始めました。早速、それに呼応する動きとして、一般の消費者が、空からの映像を撮ってみたいということでドローンが一気に普及した、わずか五年前でございます。  二、三年前になりますと、政府を含めて、ドローンの宅配や点検など、社会の重要な場でドローンを使いたいという活用が広がってきました。さらに、この一年、二年のところで、弊社もその一端でございますけれども、高度な自動操縦ができるようになった。ラジコンでドローンを飛ばすというようなところから、自動で飛ぶというところまで来たわけであります。日本郵便様に提供しているドローンも、基本的にはボタン一つでドローンが宅配する、なので使ってもらえるというところまで来ています。  これは企業のニーズに大変マッチしたものでございまして、特に大手企業、わざわざドローンのラジコン操縦を勉強する必要もなく直ちに無人化、自動化に使えるのではないかということで、大手企業から本気での直接投資が始まっているという段階であります。人口が減っているということですから、そういった社会課題に向けて無人の技術に投資している、そういう背景の中にドローンがあるということでございます。  規制面においては、航空法改正などを受けて、国の関与する実証が多く進みました。簡単に申しますと、これは何だったかというと、ドローンが空に登場するという特殊な状況、もっと簡単に言えば、墜落のリスク、有人機との、いわゆる大きな機体、人が操縦するヘリコプター等との空域管理の対応が整理されてきたということであります。  また、多くの先生方もドローンをなかなか生で見るという機会はないと思いますけれども、航空法の規制の議論とあわせて、こうやって飛ばすことで、ドローン宅配というのは本当にできるのかとか、長距離を飛ぶんですか、橋やトンネルの中を飛ぶんですかというようなことがわかってきたというところであります。  こういった中で、今まさにドローンが本格普及する、これから数がふえる段階にあると認識しています。  二つ目に、ドローンが社会に与える影響です。  ほかの先生方からも話がありましたけれども、これから普及台数が伸びますと、いよいよ、一時的ではなく基盤に組み込まれますので、社会においては不可逆的な変化になります。これは、民間企業だけでなく、政府や公的機関にもドローンが実装されていくということであります。  今は、一時的に、ドローンをやめておこう、危険ですからやめておこうとなってもいいですけれども、三年後、五年後になってドローンが業務に組み込まれてしまうと、いざというときに重要インフラの点検や政府の防災活動ができなくなるということで、ドローンなしでは機能しなくなる社会になってしまうということであります。さらに、人が減りますから、慌ててそこに人を配備しようとしても、今のコロナのような災害もそうかもしれませんけれども、急には対応できなくなるということであります。  ですので、本格導入を前に、我が国の安心、安全にかかわる特に重要な用途については、たとえドローンであっても、どういう機器を選んでいけばいいのか、どうやって確保するのか、そういう危機感が高まっている状況だと一民間企業としても認識しております。  三つ目に、ドローンという機器でございますが、羽根がついていて、モーターが回って飛ぶというイメージはあるんですが、実は高度な情報通信機器でありまして、常に外と情報通信をしています。また、常に情報を収集しております。そんなものが飛び回っているわけであります。自分の位置、やっているミッション、撮ったカメラ映像、そんなものを保有しています。これをいわゆる4G、5Gで外に発信しているわけでございます。  簡単に言いますと、極端な例を言いますと、国の政府機関がいつどこで使ったか、こういったものは余り外に知られたくないものだと思うんですけれども、こういったものが外部に漏えいしている可能性があるという機器でございます。また、先ほどもお話がありましたけれども、外から指示を受け付けてしまうと急に針路を変えて飛んでいくということでございますから、テロにもなるということでございます。  こういう流れの中で、先ほどとかぶりますけれども、内部に搭載されている見えないソフトウエアや、見えていますけれども何のことかよくわからない電子機器というところに不安があるとまずいのではないか、何かしでかすのではないか、不測のことが起きるんじゃないか、サイバーセキュリティーの観点で抜け穴がないか、そういった、特にドローンの頭脳、中身ですね、その周辺の情報を扱う機器、5Gにつながる機器の部分、そういったところに対してセキュリティーの関心が高まっています。簡単に言いますと、その部分はブラックボックスになっている面がないか、政府が導入するときに実は知らないことがあったのではないかということが今検討される時期になっています。  四点目に、ドローン機器の選択の状況でございます。  これは、言われてみれば当然でございますけれども、少し前までは、重要なものというのは日本や米国や欧州、そういった先進国が最終製品の責任を担ってまいりました。最終メーカーがトヨタですよ、そういうのがあったかと思います。今も、自動車や、いわゆるiPhoneを出しているアップル、こういったものは、中国で物をつくったとしても、そのほかアジアの国でつくったとしても、最終的にはそういった企業、コンプライアンスとかガバナンスが整った日本、欧米の上場企業がやっているわけでございます。そこから、中身を直接確認しなくても、規制、認証、基準等を通して、企業がブラックボックスになっていないということを担保しているわけでございます。いざとなって企業に聞けば責任をとっていただける、そういった体制になっています。  ドローンについては、簡単に申しますと、中国企業が先行してまいりましたので、パソコン等の量産で力をつけた中国があっという間に製品を出してしまいましたので、性能はわかっています、仕様はわかっていますけれども、中の電子回路やソフトウエアの部分がどうなっているか、確かめるすべがない状況でございます。こういったものが国や政府や重要インフラ点検に使われているという状況であります。  これまでは、コスト面、試験的なところでございましたので、安全、安心というよりもとにかく仕様、コストが重視されてきたわけで、それでよかったんだと思います。これからは違う、そういった段階に来ていると思います。  また、そういったときに、日本で供給するドローンがあるのかという議論がよくされますけれども、幸いにも、先ほど申しましたように、いろいろなプロジェクトを通じて、我々メーカー側も、それからユーザー側、大手企業も、一通りドローンを使っていろいろ認識が深まっております。今まさに、ドローンについては、航空法や飛ばし方というところではなく機器自体の選定に指針を与えるべき時期であり、それがこの法案になっているんだという認識をしています。  最後に、この法案で枠組みができた後、実は技術的な指針の中身をつくることが大変重要だと思っており、貢献できることはしていきたいと思っております。  ドローンは、いわゆるものづくり、ハードの量産品質というのももちろん大事なんですけれども、そういったものではなくて、実は内部の電子部品やソフトウエアの、部品でいえば一つの半導体、ソフトウエアでいえば一行です、我々のドローンでも何十万行あります、その中の一行のコマンドがどうなっているか、そういうものを管理する時代になっています。それが、ものづくりの品質ももちろんあるんですけれども、抜け穴が、意図的か意図的でないかは別にして、ミスもあると思いますけれども、そういった穴がつくられないように、安全、安心、信頼性、そういった品質が問われる時代になっていると思います。  日本は、自動車産業中心に、ものづくり量産製造現場での品質管理というものは自信があると思いますけれども、こういった、ほかの先生方からも話がありましたけれども、サイバーセキュリティーですね、見えないソフトウエアとか電子回路の部分での安心、安全、信頼性を高める時期であろうと思いますので、この法案には賛成しております。  よろしくお願いします。(拍手
  83. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  84. 富田茂之

    富田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。細田健一君。
  85. 細田健一

    ○細田(健)委員 参考人の皆様、本当にありがとうございます。自民党の細田健一と申します。  きょうは、本当に大変な状況の中、わざわざお越しをいただいたことにまず改めて心から御礼を申し上げます。  時間が限られておりますので、早速質問に移りたいと思っておりますけれども、今議題になっております法案の中、三条に基本理念という条文がございます。その中には、5Gの整備はサイバーセキュリティーを確保しつつ適切に行われることが基本である、こういう条文がありまして、まさにこの法案自体は、当然、内外無差別、そしてある特定の国や企業を狙い撃ちにするものではないというふうに理解をしておりますけれども、ただ一方で、先ほど伊東参考人からお話があったように、まさに中華系企業、もう少し具体的に言いますと、例えばファーウェイの仕様に対するセキュリティーリスクについての国際的な議論などが今行われているところだというふうに認識しております。  まず、伊東参考人にお伺いしたいんですけれども、ずばり、そのファーウェイの機器を使用することについてのサイバーセキュリティーのリスクについてどう評価しておられるのか、ぜひお伺いしたいというふうに思います。
  86. 伊東寛

    ○伊東参考人 御質問は、具体的にファーウェイということでよろしいでしょうか。(細田(健)委員「はい」と呼ぶ)はい。  ファーウェイは、確かに、今アメリカから非常にたたかれております。そのたたかれているというのは、ファーウェイがつくった製品には何か仕掛けが最初からあるんじゃなかろうか、そして、ファーウェイという会社は中国の会社なんですが、中国には国防に関する法律がありまして、たとえファーウェイの社長が嫌だと思っていても、法律に基づいて協力しなさいと言われれば従わざるを得ない、そういう枠組みがあるわけであります。  まして、その会社の中には共産党の組織もあります。このように考えると、ファーウェイさんのつくった製品に何らかのものが入っていてもおかしくないだろうと一般に言われております。そして、一般論で、ファーウェイとは言いませんが、中国のある製品にそういう仕掛けがあったということも実は過去にありました。そういった意味でファーウェイは疑われているわけであります。  それで、今、現状はどうかという私の個人的な見解なんですけれども、今言った大きな枠組みがあるので、全体的に白だとは誰も言えません。ただ、ファーウェイも企業ですので、風評被害によって自分の製品が売れなくなることは避けたいと考えるはずであります。そして、そのときに何かを仕掛けておくかというふうに考えた場合、実は、もし仕掛けておいて、そして調べられて証拠が出てしまうと、今言ったように、もう売れなくなりますので、そういうリスクは、私の考えでは、冒さないのではなかろうかと。  現実に、実は私はファーウェイとは、インタビューしたことがありまして、その中で、ちょっと感心したのは、ファーウェイがつくった製品が工場を出てから出荷されていくまでの輸送地の履歴をとっているそうです。何でですかと。それは、悪者がファーウェイの製品を輸送中に途中でくすねて、何かを仕掛けて、また流通路に乗っけて、そして、ファーウェイはこんな悪者だというぬれぎぬを着せるということを恐れているからだという説明がございました。  そういうことも言っていることは、つまり、今言ったように、ファーウェイの製品に何かを入れるということは極力避けようとしているあらわれではないかと思います。そういった意味で、私の今の個人見解を言うと、ファーウェイが絶対悪であるということは言えないだろう。  ただ、さっき申しましたように、法律はありますので、何かあれば言うことを聞かなきゃいけないということ。それから、実態問題として、ハードウエアに前もって入れておかなくても、5Gの仕組みを考えれば、後からいかようにでもコントロールして、故障をわざと起こすことができるわけですから、決して安心してはならない。  お答えになりましたでしょうか。
  87. 細田健一

    ○細田(健)委員 ありがとうございます。大変参考になりました。  次に、太田社長にお伺いしたいんですけれども、本当にいろいろとお伺いしたいことがあるんですけれども、やはり今と同じ観点から、中国製品、中国製のドローンについての、そのサイバーセキュリティーリスクについてどう評価しておられるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  88. 太田裕朗

    ○太田参考人 簡単に言えば、ファーウェイの話と似ているというか、同じだと思っています。そこで何か悪意があるとかそういうことはなくて、原理的にソフトウエアを、意図しないミスであっても、何かそういったものが簡単に生じてしまう状態でありますし、あと、メーカーの観点でいいますと、例えばiPhoneのスマホがそうだと思いますけれども、いろいろな情報がそちらに流れていると思っていて、あえて来ないようにしないと、行ってしまうのかなというふうに思っているわけです。  カメラで撮った写真とかそういうものは当然行かないでしょうけれども、やはり位置とかログ、故障したときに送り返せば直してくれるわけですから、そういったときに見られる可能性もあるわけで、やはりそういった意味で、情報は、私はとれ得ると思っておりますので、それを採用するかどうかというのは、用途によって判断が分かれるところだと思っております。
  89. 細田健一

    ○細田(健)委員 ありがとうございました。  悪意がなかったとしても、それぞれ情報漏えいのリスクというのは恐らく排除できないだろうというようなお話だというふうに理解いたしました。  きょう、遠藤会長にもお越しいただきました。まさにメード・イン・ジャパンで、日本のベンダーの代表としてぜひ頑張っていただきたいと思いますけれども、この法律で、本当に5Gの開発あるいは導入についての支援を国を挙げて行うわけでございまして、この点について、ぜひ日本を代表するお立場から、頑張るという決意表明をしていただければというふうに思っております。
  90. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 今、大変心強い、御意見といいますか、サポートの御意見をいただいたなというふうに思います。  基本的に、5Gは、今までの4Gとは違って、全く新たなプラットフォームになろうとしております。そういう観点で、今までの2G、3G、4Gという流れの中のモバイルネットワークとは違う領域をこれから我々は扱おうとしているわけで、我々の開発部門の観点からしても、これは全く違う領域を扱うということで、みんなスタートは、同じスタートラインに立ったな、新たなスタートラインに立ったなという気がしてございます。  そういう意味で、日本企業、それはアプリケーションの側も含めてでございますけれども、5Gというものができ上がることに対する努力、それを構築する努力、さらには、その構築された5Gを使ったアプリケーションの価値、これを最大限使えるよう、又はでき上がるように、協会を含めて頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  91. 細田健一

    ○細田(健)委員 ありがとうございました。  次に、森川先生にお伺いしたいと思っております。  森川先生のいろいろ書かれたものを拝読しておりますと、5Gというのは少なくとも非連続的なものではないというようなお話がありまして、ただ一方で、やはり相当さまざまなインパクトを社会に与えていくというようなお話がございました。  例えば、きょうも実際に物理的に足をお運びいただいてこの場に来ていただいているわけなんですけれども、これは恐らく、5Gの時代になれば、それぞれ参考人の方のオフィスとこの場を結んで、実際に来ていただかなくてもこういうインタビューが可能になるということだと思いますし、また、そういうことができるようなさまざまな制度改革等々を、我々を含めて国会も、また政府も考えていかなければならないというふうに思っております。  特に、森川先生、5G時代のビジョナリストとして、我々、政府といいますか、パブリックセクターは5Gの時代にどういうものを目指すべきか、あるいはまた、逆に言いますと、何をしてはいけないのかというようなこと、それを、何かヒントのようなものをぜひいただければというふうに思います。
  92. 森川博之

    ○森川参考人 ありがとうございます。  パブリックセクターとしてぜひお願いしたいことは、設備投資だけではなくて、運用のところにきちんとリソースを回していただきたい。やはり運用し続けないといけないので。これはICT全般にかかわることなんですけれども。  だから、物だけではなくて、全体的には有形資産から無形資産にということで、そういう運用のところにきちんと回していただかないと、例えばローカル5Gも、今いろいろな地方で実証実験が始まりつつありますけれども、物をつくってやった、でも運用ができないんですね。  だから、やはりちゃんと運用していくというところにもリソース配分というのを、物だけではなくて、その後の運用というものをしっかりやっていただきたいというのが一点目です。  あともう一点は、先ほども申し上げましたが、5Gと社会とをつなぐ人たち、そこにリソースをつぎ込んでいただきたいと思っていまして、いろいろなテクノロジーはあるんですけれども、顧客のニーズというところと、真ん中にいてつなげる人たち、こういうところがなかなか、日本は諸外国と比べるとリソース配分が薄いと思っていますので、そういったところにしっかりとリソースを投入していくと、テクノロジーが花開いて、いろいろなところで使われるようになっていくのかなというふうに思っております。
  93. 細田健一

    ○細田(健)委員 ありがとうございました。  その面で、恐らく、きょうお越しになっておられる伊東参考人あるいは太田参考人は、まさにそういうテクノロジーと現場をつなぐというふうな役割を本当に果たしておられるということだろうと思います。  その観点から、それでは伊東参考人にお伺いをしたいんですけれども、経済産業省の中でもサイバーセキュリティーの担当の審議官もされたというお話なんですけれども、今の政府全体のサイバーセキュリティー政策をより強めるという観点から、我々は何をしなければならないのかということについて、ぜひ御示唆をいただければというふうに思います。
  94. 伊東寛

    ○伊東参考人 政府全体のセキュリティーを上げるという。(細田(健)委員「はい」と呼ぶ)はい。  実は、私は昔、防衛省におりまして、この前の仕事は経産省におりまして、政府の動き方も見ていたのですけれども、残念ながら、縦割りがひどくて、効率的なセキュリティーがかかっていないという感じが、すごく印象として持っています。  ですから、皆さんにお願いしたいのは、セキュリティーを上げるためには、まず個々ばらばらではだめだということをまず覚えておいていただきたい。  なぜかというと、敵はいろいろ調べて、一番弱いところから入ってきます。だから、例えばある組織がこの高さで守っていても、ある組織が低ければ、敵はここから入り込んできて、そして横へ展開するという攻撃をとりますので、政府全体としてのセキュリティーを上げるということは、一番弱いところを見つけて、そこを上げるという考え方をしなければなりません。  そのためには、統一したセキュリティーの考え方を示して、それを強力に推進する、これがとても重要だと思っております。
  95. 細田健一

    ○細田(健)委員 ありがとうございました。  時間がそろそろ参りますので、では、最後に太田参考人に、まさにカスタマイズされたドローンをつくっておられるということで、また、いろいろ御社について書かれた記事を拝読しておりますと、本当に、世界じゅうからスター級の人材を集めて会社を運営しておられるということで、例えば私の息子もちょっと技術系の人材を目指して頑張っているんですけれども、ぜひ息子に入社してもらいたいなというような会社を経営しておられると思って、まさに敬服をしております。  今回、こういう法律を内閣として提出をいただいているわけでございますけれども、この法律以外に、政府に対する御意見、御要望、あるいは、もう少しこういうことをやってもらえば我々ももっと羽ばたけるんだけれどもというような御意見があれば、ぜひお伺いをしたいというふうに思います。
  96. 太田裕朗

    ○太田参考人 先ほど申し上げたように、航空法の議論が大分進んできて、飛ばし方や、一般の、公共の方へのリスクというのは下げる方法がわかってきた。これから、例えば東京都の上で飛ばすような、非常に難しいところで飛ばすという、その飛ばし方もわかってきているわけです。  まさにこの機器がどのレベルだったらいいのか、これを、やはりこの法律もとに、このほかにもあるかもしれませんが、指針をしっかりつくっていただく。そのバーは、手ごろなところがいいかと思いますけれども、高くしていただくと、それを満たしましたというのはメーカーとしてやれますので、その基準をしっかりつくってもらう、経産省、国交省中心につくっていただくというのが大事かと思っています。  今も、日本郵便でどこかで飛ばさせていただくという、必死に、うちのドローンは大丈夫ですよ、そういうレクをするわけですけれども、それは裏でやられているわけで、伝わってこないので、やはりきちんとした機器への基準をつくっていただく、その議論をしていただきたいと思っております。
  97. 細田健一

    ○細田(健)委員 ありがとうございました。  本当に、参考人の皆さん、それぞれ貴重な御知見をいただきましてありがとうございました。  森川先生のお書きになったものを拝読していますと、5Gの、来るべき時代については、我々一人一人がしっかりと何をやるべきかを考えるべきだというようなお話でございますけれども、私どももそういうことをしっかりと考えてまいりたいというふうに考えております。  本日は、本当にありがとうございました。
  98. 富田茂之

    富田委員長 次に、鰐淵洋子君。
  99. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。  四人の参考人の皆様、きょうはお忙しい中、わざわざ国会までお越しいただきまして大変にありがとうございます。また、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、本当に大変な中お越しいただいて、重ねて感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。  それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。  新型コロナウイルス感染症の拡大に関して、まず森川参考人、遠藤参考人、そして太田参考人に伺いたいと思いますけれども、この感染症の拡大によりまして、私たちの生活、働き方、生き方が一変をしております。それに対応するために、例えば、先ほどからお話が出ておりますが、遠隔医療、また遠隔授業、テレワーク等の取組を推進していかなければいけないということで、今、政府も挙げて取り組んでいこうということで進めているところではあるんです。まだ終息が全く見えない中でありますけれども、今すぐできること、また中長期的課題として目指せること、それぞれのお立場でぜひとも具体的な御意見を頂戴したいと思っております。  この三人の参考人の皆様からそれぞれ御意見をいただいた上で、伊東参考人におかれましては、更に、そのお話を聞いた上で、セキュリティー対策としてこれが大事だとつけ加えてお話ししたいことがありましたら、最後にお話を伺いたいと思います。
  100. 森川博之

    ○森川参考人 ありがとうございます。  御指摘のとおり、やはりコロナというのは物すごく大きな影響を我々の生活とか仕事に与えているというふうに思います。  この機会に、ICTというか、デジタルの分野からすると、ぜひやっていただきたいことは、政府でも今もう取組が始まっていますが、データをきちんと吸い上げるような、プライバシーの問題が非常にセンシティブではありますが、データというものをきちんと集めて残しておくというのが重要なのかなと。  やはり今の状況をきちんと記録しておくことが次の検討につながりますので、まずはデータというものを、今上がっていないデータ、例えば感染がどういうふうに拡大しているのかとか、今いろいろと新しい取組もなされておりますので、そういうデータというものをきちんと、東日本大震災のときもデータを集める努力はされたように、今もデータをきちんと集めるというのをやることが重要なのかなというふうに思っております。  以上です。
  101. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 遠藤でございます。  コロナのことも含めてICT利用というものをどういうふうに考えるかということであろうと思いますが、先ほどもお話し申し上げたように、ICTの基本機能、重要な機能は、リアルタイム、ダイナミック、リモートなんですね。  リアルタイム性をうまくソリューションの中に取り入れて、どれだけ価値をつくり上げるか。それから、今先生がおっしゃられましたような、ダイナミック性は、データを集めて、全然違う価値をどうやって使っていくか。最後はリモート。リモート医療、リモートエデュケーション、いろいろございますけれども、リモートという機能をどうやって使い込むか、ここがポイントだと思います。  これらを使い切ろうとすると、とても重要なのが、先ほど伊東さんからもお話がございました、サイバーセキュリティーの観点からございましたけれども、ICTのレベルのシンクロナイゼーションというのがとても重要で、例えば、あるプロセスの中に印鑑がある、印鑑が必要だというふうになると、プロセス全部、ICTでつながるんだけれども、一カ所だけ物理的な印鑑が必要である。そうすると、ICTで価値ができるんだけれども、そこの部分だけ抜けちゃう。たった一カ所なんだけれども、ICT価値がつくれないというようなこともありますし、まさに伊東さんがおっしゃられましたように、サイバーセキュリティーでも、シンクロナイズしてみんなが同時に上がっていかないと、同じ価値に、高い価値になっていかないですね。  こういう観点から考えると、そのシンクロナイゼーションを保つためにとても重要なのは、私は、中小さんのICTレベルをどうやってシンクロナイズして高いレベルに持っていくのか、企業観点からでございますけれども、というのがやはりとても大事な領域なのではないかな。  これはサイバーセキュリティーの観点もございますけれども、ICTのレベルそのものも同時に上げていかないと、日本の国家としての力が出ないんですね、サプライ・チェーン・マネジメントをリンクさせようとしても。  そういう観点から、いかにシンクロナイズした形でICTレベルを上げていくのか、この観点が一番重要な、政策的にも重要な領域であろうというふうに考えてございます。  ありがとうございました。
  102. 太田裕朗

    ○太田参考人 正直申し上げまして、ドローンは今まだこれから導入していくというところでありますので、今、新型コロナの状況でドローンをやろうとしたら、人間も行かないといけないということになりますけれども。  長期的に関しては、大きな夢というかイメージがクリアにありまして、ドローンが点検を自動でやっている、宅配、郵便をドローンがやっている。そこに人がいませんので、リモートなところでドローンが勝手に作業をしているわけですから、十年後とか五年後とか、そういったときにこういう災害が起きても、人間が寝ていても働き続けるロボットがある、そういうところまで持っていきたい、そういうふうに考えています。
  103. 伊東寛

    ○伊東参考人 まず、一般的に私が思うところを言わせていただければと思うんですけれども、今、コロナで大変なことになっていて、外出をとめようとかなっていますけれども、こういうときこそIT技術を活用して、リモートワーク、テレワークができるように推進するべきであると思っています。まだまだ足りないので、ポストコロナを見据えて、こういうIT技術をどんどん推進する一つのチャンスにできないか。  たくさんある中で私が一つ残念に思っているのが、マイナンバーカードの活用であります。  例えばエストニアにおいては、もう十年も二十年も前から、あれで健康保険証で、税金で、何でもできていて、とても便利であったわけです。韓国なんかも、ITが非常に進んでいるので、さっきちょっと申しましたように、患者の追跡ができるようになっています。  つまり、IT技術を使って、こういう疫病に対する対策を打つこともできるし、我々の生活をもっともっと、いいチャンスだから、改善する大きな糸口になれる。今そこに来ていると思いますので、ぜひ先生方にはそこを考えて、ITをがっと推して、ふだんだったら日本人はなかなか変えられません、日本人は外圧で変える人たちなので、ぜひそれを、外圧として使ってもらえればなと思ったのが一つ目でございます。  それから、私がセキュリティーの専門でありますので注意喚起をしたいと思っていることがございます。それは何かというと、サイバー犯罪がたくさんある中で今一番問題になっているのが、ランサムウエアというタイプのものであります。それは、メールを出す、開いて読むと感染してしまうというタイプ。悪者たちは、いかにしてそのメールを読ませるかというのにいろいろ苦心しているんですけれども、間違いなく、今は世界じゅうがコロナの被害について関心を持っていますので、コロナということをテーマに据えると開く確率がふえてしまいます。我々というか私の会社で、観測でも上がっております。そういった意味で、そういうメールに対する注意喚起をしっかりしなきゃいけないということ。  更につけ加えますと、コロナだけではなくて、これから、政府が、休業対策とか補償のことをいろいろやってくださっています、そうすると、それを利用するうそのメールが出るおそれがあると思っていますので、そういうことにひっかからないように、間違ったメールは開かないという心構えをつくることだけではなく、技術的に、あなたは間違いなく本当の政府から来たメールですよというのが担保できるような、それもあわせて推進するいいチャンスになればなと思っております。
  104. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 それぞれのお立場から、貴重な御意見ありがとうございました。  まず終息をさせることが重要でありますけれども、今後の、先の課題として、皆様の御意見を参考にしっかりと進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  森川参考人にお伺いをしたいと思います。  きょういただいた資料、またお話の中で、先行していると言われている諸外国の5Gは4G並みのものがほとんどである、4Gと同様、十年かけて着実に進化していくとございました。  私自身も、我が国は諸外国に比べるとおくれているのではないか、そういったことを思っていた一人ではあったんですけれども、きょう改めて森川先生のお話を伺いまして、これからの十年、これからの取組が重要なんだということを改めて教えていただきまして、諸外国に負けない、また、我が国らしい進化が期待できる、それを目指していかなければいけないのではないかと思いました。  改めまして、この法案、今回立法されることによりまして期待されることを、ぜひ、改めて森川参考人にお伺いしたいと思います。
  105. 森川博之

    ○森川参考人 ありがとうございます。  非常にざっくり申し上げると、盛り上がるというのが重要かなと思っていまして、やはり閉塞感が若干ありますので、5Gというのは結構盛り上げてくれている、一つの雰囲気づくりには僕はすごくいいなというふうに思っていますので、ぜひ盛り上げていただいて、やはり多くの方々が、もっと明るい未来にという形で、そういう後押しをしていただくと、いろいろな力がいろいろなところで、地方も含めて発揮していただけるのかなというふうに思っております。
  106. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  この法案、立法、成立を機にまた盛り上げていくということで、今お話しいただきましたが、やはりこのインフラ整備、この整備をしっかりと整えていくと同時に、具体的にどういうサービスが、どういったことができるのかということを具体的に、国民の皆様含めてイメージが持てるということも重要かと思います。  そういった点で、遠藤参考人にも伺いたいと思いますが、これから私たちの生活の中で、いろいろお話もあったんですけれども、改めまして、5Gによる新しいサービスについて、産業界としてこれからもいろいろ活用を考えていらっしゃると思います。森川参考人のお話にもありました、考え続けて、生み出し続けていくことが大事だということもありましたけれども、これから盛り上げていく上で、産業界として具体的にこういうことをしていきたいとか、またちょっとそういうお話を改めてお伺いしたいと思います。
  107. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 ありがとうございます。  JEITAの中でも、先ほど御紹介申し上げましたように、ローカル5Gにつきましては、その市場をつくり上げるために、市場アプリケーション側の企業の方々、それとプラットフォーム側をつくる企業、そういうところのいわゆるマッチングをする場をつくろうというふうに考えてございます。ローカル5G推進委員会みたいなのをつくっていこうと。  いずれにしても、市場は非常にICTを今要求している状況にございまして、その観点で、5Gは、ある意味で、本当に究極の入り口と言ったらいいんでしょうか、今までになかった新たな価値をつくり上げるということを言えるプラットフォームだと思います。そこのところをやはり、先ほど森川先生、盛り上げようというふうにおっしゃっていましたけれども、そこのところをもうちょっと御理解をいただくように、市場に対して、我々協会が積極的に、具体例も含めて、こういう可能性があるよということを申し上げてその市場をつくり上げていくということが重要であろうと思いますし、協会としてそういうところに力を入れてまいろうと考えてございます。
  108. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  最後に森川参考人と遠藤参考人にお伺いしたいと思います。  森川参考人のお話の中に、デジタルに対する経営者の意識も変わり始めている、中小企業の経営者の方々も5Gに期待を寄せている、この流れをしっかりと大切にしていかなければならないというお話がございました。  しかし一方で、4Gで十分だ、実証実験を見てもビジネスになるようなものが見当たらないとか、そういったことをおっしゃっている方もまだいらっしゃいます。まだ具体的なイメージを持てていない経営者の方もいらっしゃると思いますけれども、こういった方々、経営者、企業への支援も必要ではないか、しっかりと底上げをしていくことも重要ではないかと思いますけれども、その点につきまして、例えば経営者の意識革命なのか、人材確保なのか、何か具体的にこういうことをすればいいというアドバイスがあったらお伺いしたいと思います。  遠藤参考人におかれましては、経営者の立場というか、そういう立場で、どういった支援が求められるか、底上げをしていく上でどういった支援が必要かということをお伺いしたいと思います。
  109. 森川博之

    ○森川参考人 ありがとうございます。  恐らく、自治体と、あと地銀とか信金とかが主導権を握って、その地域、地場の経営者の方々を集めていきながら盛り上げていくことになるのかなと思っています。  その際、重要なのは、経営者だけで考えていてもやはりわかりませんので、経営者と、あとICT事業者とか、いろいろな人たちが多様性のある場をつくって、みんなでちょっと考えていくというか、ブレストしていくような場をつくっていくのが僕はいいのかなと思っています。その上で、自治体とかがきちんとサポート、あるいは地銀とかがしっかりと資金を入れていくような、そういう流れができていくのが僕はすばらしいというふうに思っています。
  110. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 ありがとうございます。  経営者の立場と申しますか、市場をつくる立場というふうに言った方がいいかもしれませんけれども、先ほども出ましたけれども、ICTでとても重要なのはやはりデータなんですね。そのデータをいかに、データ・フリー・フロー・ウイズ・トラストというのがございますけれども、データをいかにうまく使えるような環境をつくるかというのがソサエティー五・〇そのものの基盤だと思います。  そういう意味で、市場が活性化するためのデータ基盤をどういうふうにつくっていくのか、これに対する御支援は大変重要な御支援だと思います。これがしっかりできると、それを使った価値というものに対して、いろいろな価値が出てまいります。それをつなぐのがネットワークでございますので、まず一番基本のところは、私はやはりデータだと。  そういう意味で、先ほどもお話がございましたけれども、国民ID、あのデータもとても重要なデータでございまして、使いようによっては非常に高い価値をつくり上げるものになってくると思います。それをつなぐことによって全然違う高い価値が出てまいりますので、ぜひデータ基盤の構築の仕方というところで御支援を賜れればというふうに思います。  ありがとうございました。
  111. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 以上で終わります。大変にありがとうございました。
  112. 富田茂之

    富田委員長 次に、山岡達丸君。
  113. 山岡達丸

    ○山岡委員 山岡達丸と申します。  本日は、本当に世情がこうしたコロナのウイルス拡大で厳しい中、この国会の重要な審議でありますけれども、参考人の皆様に足を運んでいただきましたことに私の立場からも心から感謝を申し上げますし、きょう席があいているように見えますが、これも取組の中で、それぞれがここを違う場所から見て、距離を置きながら委員会を進行しようということでありますので、各議員皆、参考人の皆様のお話を傾聴させていただきながら審議に反映させていただいているということもぜひ御理解賜って、質問に入らせていただければと思います。  今、委員からも御質問がありました。さまざま大きなテーマもありましたけれども、私自身は、実は北海道で選出をさせていただいている議員でございます。  北海道というのは、御存じのとおり、広い国土を持つわけであります。日本の二二%が北海道であるという中で、人口は日本全体の二十分の一です。私が今住んでおります苫小牧という町は、東西四十キロぐらいあるんですけれども、十七万都市なんですが、東京二十三区が三十キロくらいにおさまってしまうということを考えたときに、いかにこの地方都市、特に北海道でありますけれども、広い国土の地域かというのは、足を運んでいただいておられましたら御存じのことと思いますが、改めて紹介をさせていただきました。  そうしますと、御存じのとおり、さまざま課題がございます。全ては述べられませんが、例えばJRの存廃問題、いわゆる公共交通機関もなかなか維持できるのかできないかというところにもなっているし、あるいは、高齢化はどこの地域もそうなんですが、それと移動問題がセットになって、本当にこれからの地域社会がどうなっていくのか、地方都市はどうなっていくのかというところに、全国それぞれあるんですが、北海道は相当程度これから真剣に考えていかなければならない、そうした地域だと思っております。  もちろん、大農場であったり大工場であったり大自然であったり、そうした魅力もあるわけでありますけれども、きょうは5Gの議論ということで、自動走行運転なり遠隔医療なり、こうしたことが地方を救うだろうということはずっと言われているわけでありますが、せっかく参考人の皆様がいらっしゃっているので、地方都市の課題をどう解決するか、どう導入するか、そうした観点で伺っていきたいと思っております。  森川参考人にお伺いしたいんですけれども、本当に5Gは進化を続けているんだ、インフラを使い倒していってほしいということで、今回の法案はそうした地方への導入促進も図る中身になっているわけでありますけれども、これからさまざまな課題解決のためのソフトウエアにしても何にしても、これまでの歴史を振り返りますと、大人口地帯を中心にそのことが進み、ビジネスベースに乗せてしまうと、結局地方都市への普及というのがなかなか進んでこなかったというのが現実にございます。地方を救うと言いながら、ビジネスベースでやるとどうしても人が多いところに集中せざるを得ない企業の皆様の事情もあるわけであります。  こうした中で、5Gをこれから導入していくに当たって、この地方の課題解決にとにかく早くたどり着いていくためにはどのような取組とどのような考え方が必要か、もしお考えがありましたら森川参考人にお伺いできればと思います。
  114. 森川博之

    ○森川参考人 ありがとうございます。  またちょっと抽象的なお話で恐縮なんですが、やはり地方の方々の意識を変えていただくことが重要なのかなというふうに思っています。  実は、デジタルというのは、何やかんや言いながらも長い年月がかかるんです。インターネットが出てきたときに、インターネットで革命が起こると言われていたんですけれども、今から振り返ってみると、そんなに革命は起こっていないんです。ずっと長い年月かけて、十年、二十年かけてがらがらが少しずつ変わってきているのがデジタルですので、5Gもやはりいきなり何かがらっと変わるわけではない。  重要なのは、そういうのをいち早く取り入れることが重要で、やはりそこは保守的かあるいは新しいことにチャレンジするかという意識の問題というのが何かすごく大きいように感じています。  したがって、例えば一次産業にデジタルを入れるというとやはり総体的に遅くなるわけですので、そういうところに共感力を持って、人間力を持ってデジタルを入れていくような人材、ちょっと逆説的なんですけれども、デジタルの時代だから僕はアナログの人間力が必要だと思っていまして、アナログの人間力を地方でぐっと発揮していただいて、おじさん、これを一緒にやっていこうよみたいな感じで一緒に盛り上げていく、そういう何か雰囲気がつくれるといいなというふうに思っています。
  115. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  鍵になるのは人であるというお話でありまして、なかなか、その壁を乗り越えていくというのが本当に大きな課題だなと思いながらも、しかし、ヒントもいただきまして感謝を申し上げます。  人ということで、この地方の課題もあわせてつながりがあるんですけれども、伊東参考人にお伺いしたいと思いますが、セキュリティーに関してさまざまな御知見もいただきました。これから、全国5G、ローカル5G、ローカル5Gは特に各地域、地方にとっても、会社でいえば社内イントラをつくるような、中の独自の取組も含めて、企業にしても何にしてもかなりいろいろ魅力のある分野なのかなと思うわけでありますが、このセキュリティーというのも最終的には人だと言われています。  先ほどメールのお話もありましたけれども、どんなに時代が進んでもウイルスつきのメールをあけてしまう方が一定数おられるという状況の中で、これも東京、大都市に比べて地方都市あるいは地方自治体、ずっと地域に行けば行くほど、とりわけ今、森川参考人から、導入の部分の人の課題もいただきましたが、セキュリティーの部分の課題も相当これから出てくるのかなと思います。  この地方におけるセキュリティーに関して、こういう点をやはり非常に重視した方がいいのではないかとか、あるいは考え方、こういうふうに政策を進めていかなければならないのではないかということについて、伊東参考人の御知見がありましたらぜひお伺いしたいと思います。
  116. 伊東寛

    ○伊東参考人 ありがとうございます。  北海道にいらしたということで、私も北海道に住んでいまして、苫小牧もよく行きましたので、懐かしく思いました。  今、セキュリティーの観点からという御質問だったんですけれども、その前に、5Gと地方の話がございましたね。それで、あれについて私は専門ではないんですけれども思いがあって、北海道のように人口密度が薄いところでは、5Gは余り有利ではない。というのは、5Gは大容量にするために高い周波数の電波を使いますが、飛ぶ距離が短くなりますので、基地局をいっぱい建てなきゃいけないわけであります。  だから、都会では有利ですが、北海道のような人口密度が薄くなるところでは余り有利ではないので、そういった面では、多分、先生におかれましては、5Gもいいんだけれども、地方を考えたら6Gだろうというような新しい考え方を提案された方がいいと思っております。どんなものだと聞かれたら、例えば、衛星とか、二万メーター上げたところからレーザーか何かで広い範囲に情報を拡散する光技術を使うとか、勝手に思っております。  さて、セキュリティーの話をちゃんとしなければいけません。  地方におけるセキュリティー、私も、セキュリティーをやっていて、東京で話をし、地方で話をし、やはり感じることは、先生がお感じになっているとおり、人の問題に尽きます。そして、まずいことに、どちらかというと、残念だが地方にいる方たち、それから中小企業の方たちは、セキュリティーに関する感度はやはり低いと思っています。したがって、先生と全く同じ意見で、そこの意識を変えなければ、特に地方のセキュリティーは上がらないでしょう。  幾つか考えたんですけれども、多分、地方の方たち、三つ、タイプがいらっしゃると思いました。そもそもセキュリティーに全然関心がない方たち、これが一番多いです。それから、関心を持っているけれども何をしていいかよくわからない方たち。それから最後に、地方に非常に少ないんですけれどもいらっしゃいます、自分で志を持っていて、こういうことをしたいんだけれどもお金がない、だから具体的にできないという方。三つぐらいいらっしゃると思います。  やはり地方の方にそういう方たちが結構いるので、一つ目については、教えなきゃいけないんですが、残念ながら、例えば経産省で中小企業のお金に対するパンフレットをつくっていますが、この第一グループの方たちはそれを読もうとされませんので、最初から。したがって、こういう方たちに対して啓蒙するのは、地方の新聞だとか、その方たちが読む経済誌とかそういうものにセキュリティーの話題を載せて関心を持たせていただければなと思います。  それから、真ん中の、何をしていいかわからない人たちについては、実は、経産省とか中小企業庁で、こういうことをしたらどうかというものはあります。ただ、その存在を知らない方がいっぱいいますので、そういうのも御参考にされて、地方で知識を広める。  三つ目は、国から税制等か何かで助けてあげる。  こういうことをすれば、地方のセキュリティーがもっとアップすることになるのではないかなと考えております。
  117. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  時間も大分限られているということで、遠藤参考人にお伺いさせていただければと思います。  今のお話の中で、遠藤参考人の先ほどのお話の中でも、地方の中小企業のいろいろなICTのレベルを上げていかなければならないというお話もありました。これも人に通ずるお話なんだろうと思っておりますが、ちょっと視点を変えまして、地方都市の今の現状日本企業のこれまでのことを振り返ったときに、3Gは、その時代は結構日本企業存在感というのはあった中で、4Gというのが、やはりなかなか、存在感があったのかどうかという指摘があり、でも、5Gはまた同じステージに立って、これから転換なんだというお話がございました。  この中にあって、地方へのもちろん促進もそうなんですけれども、4Gを振り返りながら、もし反省すべき点があればその点も御知見をいただきながら、5Gではどういう展開をその上でやっていくか、そのこともまたこの場でお伺いできますでしょうか。
  118. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 先ほど、5Gは新たなスタートですというふうに申し上げました。  その理由は、2G、3G、4Gというのは、一連のある意味でのモディフィケーションといいますか、変換していってアップグレードをしていくというタイプのスペックであったと思います。ですから、2Gの、一番世界を覇権しているのはGSM、ヨーロッパの仕様でございます。当時、日本はPDCという日本独特のスペックをつくってございましたから、その後、やはり2G、GSMをベースとした3G、4Gというふうに広がってきたというのが今までの歴史なんだと思います。  一方、5Gに関しては、これから、今我々は、オープンプラットフォームという新たなプラットフォームのつくり方、ネットワークのつくり方を提言してございますし、それを使おうという動きも世界で広まってございます。そういう意味で、先ほどスタートについたというのは、新たなネットワークのつくり方というものが出てきて、それに日本企業も乗って力を発揮できる可能性が高くなりましたねということを申し上げました。  だから、そういう意味では、5G、その次の6G含めて、今までとは違う、2Gによらないプラットフォームで新たな価値をつくり上げることが可能になったということでございまして、我々、大変意識高くその領域にかかわってまいりたいというふうに考えております。
  119. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  本当に新しい展開の中で大きな飛躍を期待させていただいているところでありますが、最後に太田参考人にもお伺いさせていただきたいと思います。  本当にローカルな話なんですけれども、ドローンについては、例えば塗装屋さんが屋根の上の状況を確認するに当たって、これまでははしごを組んで見なければならなかったということもドローンを使って写真を撮るとか、今、コロナウイルスの中で、それこそ苫小牧の町では二十四以上の飲食店が共同して宅配を始めまして、こういうところにも、東西四十キロの町ですから、ドローンで物が運べたらというような、若い人を中心にいろいろな発想が生まれつつあるという状況でもあります。  私、先ほど伊東参考人から、5Gはなかなか広いところではという話もありましたけれども、ドローンこそ個別の課題を非常に解決するものになるのではないかなという大きな期待をさせていただいているところであります。  地方都市における課題解決において、これから参考人が大きく期待されること、どういうことが地方において導入を広げていくそういうアイデアとして今考え得るか、このことのお考えとともに、どのようにして地域、地方に広げていけばいいかということも、もしお考えがあればお伺いさせていただければと思います。
  120. 太田裕朗

    ○太田参考人 御指摘にあったように、まさにドローンと地方というのは親和性が非常に高いです。実際、北海道でも幾つかの活動をやっております。開示をしていませんけれどもやっておりまして、かなり大きな広大な土地に鉄道、トンネル、プラント等がある、そういったところで実は点検をやっていたりします。  ですから、実際、人口の密なところはトラックで運べばいいんですけれども、やはり過疎地といったところでは宅配にしても点検にしてもわざわざ行くというのがありますので、そういったところでドローン活用は進むと思っております。  我々、そういう活動民間企業としてやっていますけれども、ぜひ後押しいただきたいと思うのは、どうやって横展開していくかということでございます。個別企業をやっていますと、なかなか情報は、営利目的ですから出ませんけれども、一旦そういうのがニュース等で出ましたら、どこでも成り立つと思うんですけれども、地元のところで、おまえのところもできるんじゃないかという形で、横に似たような例を展開していただく。  それからまた、苫小牧の宅配の話がありましたけれども、ぜひ、お呼びいただくということを遠慮なくやっていただければどんどん広がると思いますので、よろしくお願いします。
  121. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  何か個別のお話にもなってしまって、本当に感謝申し上げる次第でありますが、今お話にもあったように、地方は地方で人のつながりも強いものですから、横展開は確かに強みであろうということも強く感じるところでありました。  きょうは本当に、もう時間が来てしまいましたのでここまでとさせていただきますが、新たな時代の中で、私は、これからも地方のさまざまな都市の課題を解決するのは先端技術である、最新の技術である、その強い思いの中で、この導入を広げることは、かつて田中角栄さんが日本を改造するべく道路を全国に敷き詰めたように、政府の大きな後押しの中で先端技術というのは地方に入れていただかないと、商業ベース、ビジネスベースではなかなか入らないんだという思いの中で、これからもいろいろな研さんと勉強を重ねさせていただいて、そして地域の役に立ちたいと思っておりますので、ぜひ今後とも御指導賜れればと思っております。  きょうはありがとうございました。
  122. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  123. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  森川参考人、伊東参考人、遠藤参考人、太田参考人、きょうは、新型コロナウイルス感染拡大という大変な中で、そしてまたお忙しいところ、貴重な御意見ありがとうございました。  まず、四人の参考人の方々に一言ずつ伺いたいと思うんですけれども、先ほど来あります5Gとかドローンなどの新しい高度な技術を誰のため、何のために使うのかという点なんですけれども、この5G促進法のような新たな法案を議論する際には、こうした政策の土台の部分がとても大事になってくるんだろうと思います。  5Gとかドローンというのが、やはり、言ってみると、国民の暮らしを豊かにするとともに、その暮らしや産業を公共あるいは公益面で支えていくインフラとして多様に発展させることが本当に必要になっているということだと思うんですけれども、その点で、誰のため、何のためという点で参考人の皆さんに一言ずつ端的に伺えればと思いますが、いかがでしょうか。
  124. 森川博之

    ○森川参考人 ありがとうございます。  全てでございます。生活だと、我々の生活をやはりしっかりと支えるための安全、安心のインフラになりますし、産業も、全ての産業セグメントが5Gの時代にはデジタル変革が行われていきますので、全ての国民一人一人が関係があるんだという意識でもってこれからの時代に立ち向かっていっていただきたいというのが私の強い願いでございます。お答えになっているかどうかわかりませんが。
  125. 伊東寛

    ○伊東参考人 誰のため、何のためという御質問だったと思うんですけれども、私が思いますに、新しい技術で、これは5G、ドローンだけじゃないんですけれども、このような高度な通信技術に、国民の一人一人の生活がより便利になるという面がまず当然あると思います。さっきも言いましたけれども、これが進めばテレワークだとかそういうものもできるようになりますし、いろいろな手続なんかも便利になる。そういう意味で、一人一人の人が便利になる、直接そういったメリットを得ることができます。  それからもう一つは、みんなのためというのがあると思っています。それは何かというと、こういう5Gとかドローンを使って日本全体の産業を活性化して国力を上げるということ自体が日本全体の、みんなのためになる。新しい技術というものはそういう方向を目指さなきゃいけないんだろうと考えております。
  126. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 御質問ありがとうございました。  私は、企業にとってとても大切なのは実は継続性だと思っているんですが、その観点からも、企業活動と人間社会というのは本当に表裏一体であろうというふうに思っています。企業がつくり上げる価値というものが人間社会の持続性に貢献をし、その価値が人間社会で評価されたときに初めて企業は生きることができるわけですね。そういう意味で、人間社会の持続性それから企業活動というのは本当に表裏一体であろうと。  その中の一つとして5Gが今回あるわけでございますけれども、5Gは、先ほども申し上げたように、人間社会のいろいろなこれからの価値、ソリューションというものをつくり上げる土台である、プラットフォームである、これを最大限使うことによって大きな価値をつくり上げることができると思っています。  ICTで、今我々、情報社会からデータ社会に入ろうとしているわけですけれども、データ社会に入ったときに一番大きく変わるのが、今までのソリューションというものは部分最適であったものが、データ社会に入ると全体最適の答えができる。非常に大きなデータを一気に扱うことができるということは、その範囲の中で最適化を図ることができるということで、結局は全体最適ができる。今まで病院の最適化はできたけれども医療の最適化はできなかった、これができるようになります、5Gみたいなプラットフォームを使うとそれができるようになりますということであろうと思います。  そういう意味では、非常に高い価値を、これから我々はデータをベースとしてつくり上げることができる、そのためのプラットフォームとして5Gがあるというふうに理解をしておるところでございます。  ありがとうございました。
  127. 太田裕朗

    ○太田参考人 特にドローンということに関しては、実は当初から結構熱狂があったんだと思っていて、いろいろなメディアで取り上げられることもあったんですけれども、決してドローンはおもしろいことをやるためにあるものではなくて、正確に言えば、生産性を高める一つの技術的なツールであるというふうに思っております。人口が減る中で、GDPを維持しながらどうやって少ない人数でやるかといったときに、いろいろな技術がありますけれども、そういった生産性を維持、自動化するツールの一つである、そういうふうに考えております。
  128. 笠井亮

    ○笠井委員 ありがとうございました。それぞれ大事な御指摘をいただいて、非常に心強く思っているところであります。  やはり5Gとドローンというのを、本当に国民の暮らしを豊かにする産業を公共、公益面で支えるインフラとして多面的に多様に発展させるためにもこれらの技術というのが大事だし、その活用というのは、やはり何としても民生面ということで、民生利用に本当に集中してやる必要があるし、逆に言うと、軍事には使わないことも国の方針としてはしっかりと掲げる必要があるんじゃないかと思っておりますが、この点も含めてまた大いに議論していきたいと思います。  次に、遠藤参考人に伺いたいんですけれども、5G促進法案、今回出ている法案ですが、この法案には、5Gの通信基地局の開設計画の前倒しに対して設備投資額の一五%の法人税減税が盛り込まれております。  そこで、二点伺いたいんですけれども、一つは、5G分野における国際競争現状といいますか、決しておくれていないんだというお話も先ほど出たりもしていましたけれども、この国際競争現状と、その中で日本はどのような位置にあるというふうに産業界として認識されているかというのが一点です。  もう一つは、そういう中で、本法案は、私が理解しているところでは、世界におくれているので、とにかく国際競争力を強化しなきゃいけないということがあり、その中で、法人税減税で支援をしていこうということでの国の措置だということで提案されているんだと思うんですけれども、他社よりも早く5Gサービスを開始しようと今各社が競い合っている、国際的にも日本の中でもそういうことになっているので、ある意味、この減税措置というのがなくても、必要な設備投資は当然やっていくんだろうというふうに思うんですね。  そういう点では、この法案にあるような減税措置が、ぶっちゃけ言って、なければ必要な設備投資というのはできないということになっているのか、その辺の関係というのか、どんなふうにその点を見ていらっしゃるか。今、大企業でいうと、内部留保もあって体力は十分持っていらっしゃる状況だと思うので、新型ウイルスの感染拡大で国民の暮らしとか日本経済も深刻な事態にあるときに、国の予算の使いようというのはいろいろまた議論になってきます。そういう中での一五%という破格の減税というのは必要なのかと率直に今我々思っているんですけれども、その点について、合計二点なんですが、御意見をいただけたら幸いです。
  129. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 まず最初は、日本の5Gの開発のグローバルな観点からのポジションという御質問であったと思います。  それは、先ほども御説明申し上げましたけれども、4Gまでは確かに、2Gを中心とした延長上に3G、4Gがございます。そういう意味では、GSMをベースとした海外勢は非常に強いというのは否めないというふうに思ってございます。  5Gに関しては、今、先ほども申し上げましたけれども、オープンLANという新たなオープンアーキテクチャー、違うアーキテクチャーで、2Gによらないアーキテクチャーで5Gを構築しましょうという考え方が、基本的な考え方として多くの国からも支持をされ始めました。この領域においては新たな競争ということが始まったというふうに私は考えてございまして、そういう意味では、今、日本の位置がというのはなかなか難しゅうございますけれども、十分戦える位置に来たという理解を私はしてございます。  二つ目は、促進法に関する基地局の前倒し、これがどういう意味があるのか、どういう価値があるのかという御質問であったと思います。  これに関しては、基地局がサプライヤーとして出ていくことに対するサポートというのも当然ございますけれども、先ほど申し上げたように、5Gは、いろいろなまさに人間社会に役立つ価値を、アプリケーションを乗っけるためのプラットフォームである。これを早く構築して、その上に乗っかるアプリケーションを早く日本市場として立ち上げることが、まさに日本全体の価値を上げて、グローバルに戦える、競争力のあるアプリケーションに仕上げていくために必要なんであろうと私は理解をしてございまして、ネットワークそのものの前倒しというよりも、私は、その後ろにある、アプリケーションが乗る、そのアプリケーションを市場としてサポートしていく、市場をつくるためにサポートしていくというためのトリガーであろうという理解をしてございます。  そういう意味では、非常に大きな動きをするための本当に最初のトリガーをかけていただくという理解をしてございまして、非常に重要な法案であろうというふうに私は理解をしてございます。  ありがとうございました。
  130. 笠井亮

    ○笠井委員 ありがとうございました。伺った意見も含めてまた議論してまいりたいと思っております。  最後になりますが、森川参考人と、そしてまた遠藤参考人に伺いたいんですけれども、先ほどもありました今の新型コロナとの関係にもなります。  森川参考人は、5Gについて、第一次産業から第三次産業までの全ての産業領域で活用できる可能性を秘めていると、昨年もそのことを非常に強調されてコラムを書かれておりました。大きな社会的価値を生み出すデジタル変革が起きるというふうなことを指摘されておりました。  遠藤参考人が会長をされているJEITAでありますが、昨年十二月には、5Gの世界需要が二〇三〇年には百六十八・三兆円という形になるとの見通しを発表されましたが、それは年末のときの話でした。  その後、ある意味、我々誰もがこういうことになるというふうなことはなかなか考えにくかった、新型コロナウイルス世界じゅうに感染を拡大して世界経済にブレーキが大きくかかっているという状況で、改めて伺いたいのは、まずは終息と回復までの時間がかかるだろうと言われているわけですが、そういう中で、ある意味、世界が大きく変わる、世界の経済危機のときに、やはり、それを踏まえて今後どうするかとみんなが考えるような状況の中で、5Gの活用の仕方というのも大きく変わってくるんだろう。我々も、本当に私自身、もっと理解しなきゃいけないことはいっぱいあるんですが、変わってくるんだろうと思うんですけれども、どういう形で役割を果たすことが、こういう事態を踏まえながら、今後新たに考えられるか、考えなきゃいけないかということについて、森川参考人と遠藤参考人から一言ずついただければと思います。
  131. 森川博之

    ○森川参考人 ありがとうございます。  コロナも含めてなんですが、当たり前のところに気づきがあると思っていまして、今、コロナでテレワークをしたりオンライン診療とか、言われてみれば当たり前なんですね。しかし、それはやってみるまでわからないので。  そういった意味で、このコロナというのは、ICT、デジタル分野からすると非常にいい機会というか、すばらしい好機かなと思っておりますので、これをぜひ後押しいただいて、いろいろなところで、当たり前の中に、今やっているプロセスでデジタル化できるものというのはいろいろなところに転がっているんですね。そこにちょっと思いをめぐらせていただくことによって、5Gが必要だったら5Gを使っていただく、そういったムーブメントというか動きにつなげていければというふうに思っております。
  132. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 御質問ありがとうございました。  ちょっと私の会社の実情を申し上げますと、今、もうほとんどテレワークをしてございますけれども、実は、ちょっと私どもの会社の話になりますが、港区にございまして、オリンピックがあるときには会社に出られないだろうということで、テレワークのための用意を昨年度中にしました。  それが実は理由だったんですが、今こういう状態になるとそれが非常に役に立ってございまして、この前の台風のときもそうだったんですが、台風のときには、会社に来るかどうかと一々問合せをして昔は来ていたんですが、テレワークがもう当たり前の世界になると、自分自身の判断で、会社に来なくてもいいという判断を従業員がしてくれるようになりました。これは、本当にオリンピックがありがたいトリガーになったんです。  プラットフォームというものは、インフラというものは、何かのためにというのも当然あるんですが、そのプラットフォーム又はインフラというものができ上がった以降に出てくる可能性というのを最大限考えて手前手前で用意をしていくということが、その次の大きな発展をしていく上でとても重要なことなんだろうというふうに理解をしてございます。  そういう意味で、5Gも価値をつくれるということは、データのありよう、データフリーフローのありようなんかを考えますと非常に価値が出てくるということはイメージがもう既にできてございますので、そういう意味では、何々のためにという具体的なものを考えながらも、やはり大きな変革をするためのプラットフォームとして必要だという判断をどこかでする必要があるのではないかなというふうに理解をしてございます。
  133. 笠井亮

    ○笠井委員 時間が来たので終わります。  貴重な御意見ありがとうございました。今後の審議に大いにまた生かさせていただきたいと思います。  ありがとうございます。
  134. 富田茂之

    富田委員長 次に、串田誠一君。
  135. 串田誠一

    串田委員 日本維新の会の串田誠一です。  きょう最後の質問をさせていただくことになりました。ありがとうございます。  まず最初に、森川参考人と伊東参考人に、IoTのサイバー攻撃についてお聞きをしたいと思うんです。  今後、IoTに対するサイバー攻撃が非常にふえてくるというふうに言われていまして、例えば防犯カメラなどであると何となくイメージが湧くんですが、最近、エアコンにもカメラがついていて、エアコンを見ているとカメラがきょろきょろ動くので、不気味だなとか思ったりするんですけれども、今、白物家電にもどんどんカメラがついてきて、それが何か攻撃をされると室内が全部見渡せるんじゃないかというような気もするんです。  パソコンなどの場合には、ウイルスのソフトを入れたりして私たち自身が防御していたりするわけですけれども、白物家電に防御するソフトウエアを入れるというような説明もありませんし、サイバー攻撃がこれからは危ないぞと言われても、一般の消費者はどうしようもないんじゃないかと思うんですが、その点についての対策というか、どんな状況かをお話しいただければと思います。最初に森川参考人にお願いします。
  136. 森川博之

    ○森川参考人 ありがとうございます。  将来的には、IoTデバイスであっても遠隔からソフトウエアをアップデートするみたいな、そういう形に恐らくなると思います。したがって、今はパソコンもそうなっていますよね、遠隔で必要に応じてアップデートしていって安全性が保たれるということで、IoTデバイスも恐らくそういう形に多分なっていくのかなというふうに、ほとんどのデバイスはそうなっていくというふうに私は思っています。
  137. 伊東寛

    ○伊東参考人 ありがとうございます。  サイバーセキュリティー専門なので、おっしゃるとおりだと思います。これまでのセキュリティーは、どちらかというとコンピューターが情報機器だったところ、先生御指摘のとおり、IoT、ありとあらゆるものにそういうものが入るようになってきました。そのために、セキュリティーの問題が非常にふえています。まだ認知されていないんですけれども、先生の御指摘はそのとおりなのであります。  大きな問題点は、ソフトウエアで動いていたこれまでのコンピューターとか情報機器に対しては、一応皆さんの認識が上がってきて、パソコンにアンチウイルスソフトを入れるのは当たり前だよね、やっとそこまで来ました。メールはすぐ開いちゃいけませんよ、やっとそこまで来ました。しかし、おっしゃったとおり、ありとあらゆるものに入っているときに、それは冷蔵庫に見えているけれども実はコンピューターが入っている、見かけ上冷蔵庫だけれどもコンピューターだったりする、そしてそれがインターネットでつながっていて、サイバー攻撃に対して非常に弱い。そのときに対する社会全体の認識も実はまだできていませんし、それから、じゃ、具体的にそれにどう対応するかというメーカーとかセキュリティー企業の対策も、まだほぼありません。  ですから、先生の御指摘は非常に重要で、これからやらなきゃいけないことをまさにおっしゃってくださったと思っています。  その一つは、認識を変えていって、IoTの時代にはこういうものにも危険性があるのだから、じゃ、どうする。つまり、一つは、一般ユーザーは、恐らく、その一つ一つについてセキュリティーに関心を持つことを要求することは、要求しますけれども、まず僕は無理だと思っています。パソコンでさえ、メールでさえ開いちゃいけないというのを開いちゃう人が、百人いたら一人か二人いるときに、そもそもそういう考えを持っていない一般の御家庭の主婦の皆さんに、この冷蔵庫は実はあなたたちの生活を見ているかもしれませんのでセキュリティーソフト入れてくれも不可能ですね。  そうすると、答えは多分決まっていると思っておりまして、メーカーさんに対して、製造責任だとか、その後の瑕疵がないことの担保などをより厳しく、申しわけないけれども厳しくしっかりつくっていただいて、つくっている段階で、御家庭に行った段階でもう既に安心、安全なものになっている、そういう企業文化をつくっていただきたいということになるのではないかと思います。  例えば自動車は、私たち、今走っているときに、運転中にハンドルが抜けたりブレーキがきかなくなる自動車はないと思っています。でも、コンピューターとかああいうやつについては、そこまでの認識はできていません。ましてや家電をやであります。  でも、先生がおっしゃった、IoTの時代にはそうであってはならないので、その危険性を考えて製造者はきちっとしたものをつくりましょうという。そして、もう一つは、森川先生がおっしゃったとおりであります。もし起こってしまったら、現場の主婦が何とかするのではなくて、責任のある組織がリモートで対応できるような枠組みを構築するべきではないかと思います。
  138. 串田誠一

    串田委員 非常に参考になりました。今の段階では、カメラのついていない白物家電を買うのが一番安心かもしれないんですけれども。  次に、国民が一番気にしているという5Gに関してはスマホなのかなという気もするんですが、先ほどちょっと御紹介もありましたが、大きな映画も二、三秒でダウンロードできるということでありました。  そこで、今、携帯電話の料金、スマホの料金というのは、何ギガバイトで幾らというような、そんなことになっているわけですけれども、大容量のソフトを瞬時にしてダウンロードできるようになると、大量のデータが大量に行き来するということになって、それを料金として単位化していくということ自体、5Gにとっては余り何かぴんとこないというような気もしているわけです。  一般的に、先ほどずっと参考人のお話の中で、4Gは、1、2、3、4とだんだん連携していったということではありましたけれども、その中で、容量が多いというのは、何となくイメージとしては、運搬をするときに量が多いと料金は多くかかるよねというのがイメージとしてあったので素直に受け入れてきていたわけですが、大量の映画を数秒でダウンロードできるようになると、それを単位として電話代とか携帯代として計算すると、すごい金額にどんどんどんどんはね上がっていくんじゃないか。そんなにスマホ業界というのは、5Gになって量を多く運ぶこと自体を料金に反映させるということ自体が、インフラを整備するにおいて本当に妥当なんだろうかというのがちょっとあって、もう少し料金体系を、単位を変えていかなきゃいけないんじゃないかというような気も私はしているんです。  その点、遠藤参考人は、いろいろな企業、携帯電話の会社もたくさん集合されていらっしゃる中で、5Gになったときのスマホの料金というものが、これまでどおり、運んだ量とリンクするような形の料金体系というのが適正なのかどうか、参考人としての御意見をお聞きしたいと思います。
  139. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 ありがとうございました。  何をもって料金というか課金をするかというのは、なかなか、その時代によっても変わってくるんだと思います。  例えば、基本的には、二時間のテレビ番組を、細い線で使うと非常に長い時間かかります。結局、積分というか、時間と量で決まるわけですよね。だから、大量のものを瞬時に入れたとしても、動いたデータデータ量としては変わらないわけで、そういう意味だと、時間とパイプの太さというものを、長い時間使えばそれなりにお金がかかるだろうし、大量のデータを非常に短い時間でかけたとしても、それはリアルタイム性という価値を我々は得て、かつ、物量としては同じものが動いているだけでございますので、そこの動いた物量に関しての差が課金に、どういうふうに今後かけて、かえていくのかというのは非常に難しいところだと思います。でも、基本的には、動いたものに対して課金がされるというのが基本のような気がいたします、基本はですね。  ただ、価値というものはそれだけではなくて、さっき申し上げたように、リアルタイム性の価値みたいなのがとても大きいし、そこの部分を含めてどういう料金体系にしていくかというのは今後の問題なのではないかなと。  かつ、そういうデータのフリーフローというものが国際間で動きますし、工場の中でも動きますし、そこのところをまたどういうふうにするんだと。企業の価値を上げていくためには、そこにある程度のアクセレレーションをかけるような料金体系というのも絶対的に必要だろうし、一般のユーザーさんがお使いになられて、それも価値をたくさんとれるようにすれば、アプリケーション側でその価値というものが見えてくるわけで、アプリケーションの価値を重要視するのか、ネットワーク側のキャパシティーの価値を重要視するのか、それのバランスもあるかもしれません。  そういう意味で、全体のバランスをとりながら答えをつくっていくというのが今後考えられる方向感ではないかなというふうに思います。
  140. 串田誠一

    串田委員 わかりました。  次に、太田参考人にお聞きをしたいんですが、院内でもドローンを使った物流の勉強会というのがかつてありまして、去年ですか、参加させていただいたんですけれども、そこでは、空のドローンと陸の運送というのを同時に勉強会をやっていたんです。  そういう意味では、今開発しているドローンの技術というのは、陸のロボット、最後は玄関に送り届けるわけなので陸を移動するというのが勉強会の中では説明があったんですけれども、これは同時に同じような技術として利用することができるんでしょうか。
  141. 太田裕朗

    ○太田参考人 場合によるかなとは思いますけれども、実際、ドローンでできることというのははっきりしてきています。それで、場合によっては、空中でホバリングしながら糸を垂らして、田舎の、ぽつんと一軒家じゃないんですけれども、そういうようなイメージのところには直接配送もできますし、一方で、マンションみたいなところの前ですと、ドローンは入っていけませんので地上のロボットが入るというような議論が非常に明確になってきたというのがこの一、二年でございまして、一つサービスの形が見えてきたということであります。  どこでも何でも、地上ロボにしろドローンにしろ使うということではなくて、そこにわざわざ人間が一個を届けるよりも機械にやらせた方が安いねという、ボトルネックを解消するというのが重要であろうということが見えてきましたので、場合によって使い分けながら、組み合わせて導入していくものだと思っております。
  142. 串田誠一

    串田委員 伊東参考人にお聞きをしたいんですが、人員というか人材育成というのが非常に重要であるというような話がありました。IoTのサイバー攻撃も実は人材育成が非常に大事だという話があったんですけれども、参考人の二〇一七年の「情報管理」という雑誌が資料に添付されていまして、そこには、二〇二〇年のオリンピックのときまでには数千人の技術者が養成されているだろうと三年前予言をされていらっしゃったんですけれども、現状はそのとおりになったのかどうか、お聞きしたいと思います。
  143. 伊東寛

    ○伊東参考人 ちょっと難しい質問をいただいたなと、今困っています。  そのときの見積りは、そのときにやった方たちは多分真摯にやられていると思うんですけれども、世の中はどんどん進歩しています。多分、その見積りをやったときには、きょうの議題である5Gのことを余り考えていなかったんじゃないかなと私は実は思っています。  この間、実は別のところで、オリンピックの中で何が心配ですかといったときに、過去のセキュリティーに対してはみんなそれぞれやっているんだけれども、5Gが入ったときに、5Gに対するセキュリティーというのは過去に余りやられていないので、ちょうどバッティングするんじゃないかと言ったんです。  そういった意味で、先ほどの技術者が足りているかということに対するお答えなんですけれども、まだまだ新しい技術が出ている以上、過去に見積もった値で、多分足りてはいないんだろうと私は思います。
  144. 串田誠一

    串田委員 きょうは非常に参考になりました。本当にありがとうございました。
  145. 富田茂之

    富田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  次回は、明十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五分散会