○
荒井政府特別補佐人 公害等調整委員会は、
公害に係る
紛争の迅速かつ適正な
解決を図るとともに、
鉱業等と
一般公益又は他の
産業との
土地利用に関する
調整などを行うことを任務とし、
総務省の外局として置かれている
委員会でございます。
当
委員会が
令和元年中に行った
公害紛争の
処理に関する
事務について御
説明申し上げます。
第一に、当
委員会に係属した
公害紛争事件についてでございます。
当
委員会は、
公害に係る
紛争について、当事者からの申請に基づき、双方の互譲による合意を促して
解決に導く調停、加害行為と
被害との因果
関係の存否や損害賠償責任の有無及び賠償額について
法律判断を行う裁定等により事件の迅速かつ適正な
解決に努めております。
令和元年に当
委員会に係属した
公害紛争事件は、調停が三件、裁定が四十八件、合計五十一件でございます。
主な事件としましては、東京国際空港の近隣において事業を営む申請人らが、空港を離着陸する航空機を増便するために新しい飛行経路が開設、運用されると申請人らに騒音
被害等が生じるとして、国に対して滑走路の供用制限等を求めた調停申請事件、東京都など六都府県の申請人らが、自動車からの排出ガスによって気管支ぜんそく等に罹患し、生きる権利の侵害及び医療費負担による精神的な
被害を受けたとして、国に対して新たな
大気汚染
公害医療費
救済制度の創設を、自動車メーカーらに対して同
救済制度の財源負担を求めるとともに、両者に対して損害賠償を求めた調停申請事件などがございます。
また、
令和元年中に終結した事件は、十三件でございます。
主な事件としましては、千葉県成田市の申請人が、建築工事等の振動によって申請人宅の亀裂等の財産
被害等が生じたとして、建設会社に対して損害賠償を求めた責任裁定申請事件、福岡市の
住民に生じた騒音による
健康被害と、近隣のマンションに設置された屋外機の稼働音との因果
関係の存否について、裁判所から原因裁定を嘱託された事件などがございます。
そのほか、
水俣病損害賠償調停申請事件の調停成立後に症状が進行したとして慰謝料等の増額を求める申請が四件係属しました。
当
委員会は、事件
処理に当たり、多様化、複雑化する
公害紛争への機動的かつ的確な対応を図るとともに、
公害紛争処理制度の
利用の
促進に努めております。
具体的には、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、
被害発生地などの現地で審問期日等を積極的に開催すること、事実
関係を明らかにし、判断の精度を高めるため、事件
調査の
充実と専門
委員の知見の
活用を図ること、広報活動として、国民や法曹
関係者、
関係する相談機関に本制度を積極的に周知することなどがございます。今後もこうした
取組を一層
推進してまいります。
第二に、都道府県
公害審査会等に係属した
公害紛争事件についてでございます。
都道府県
公害審査会等では、当該都道府県内における
公害に係る
紛争についての調停等を行っております。
令和元年には七十八件の事件が係属し、
公害の種類別では、騒音や振動に関する事件が多くなっております。これらのうち、同年中に終結した事件は三十三件でございます。
第三に、全国の地方公共団体の窓口に寄せられた
公害苦情の実態を
調査いたしました結果、平成三十年度の
公害苦情の受け付け件数は、前年度から約千件減少して、約六万七千件となっております。
これを苦情の種類別に見ますと、
大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭などいわゆる典型七
公害に関する苦情が約四万八千件、それ以外の苦情が約一万九千件となっております。
当
委員会は、今後とも、全国で発生するさまざまな
公害関連の事案を全体として適切に
解決する
観点から、
住民に身近な場で
公害紛争や
公害苦情の
処理を担う地方公共団体への
情報提供、相談
支援などにも努め、緊密な
連携を図ってまいります。
以上が、
令和元年中に行った
公害紛争の
処理に関する
事務の
概要でございます。
続きまして、
公害等調整委員会における
令和二年度歳出
予算案について御
説明申し上げます。
当
委員会の歳出
予算額は、五億六千百万円でございます。
厳しい財政状況の中、
公害紛争の迅速かつ適正な
解決に資するよう、第一に、事実
関係を明らかにする事件
調査の
実施経費として二千五百万円、第二に、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、現地で審問期日等を開催する
経費として千二百万円をそれぞれ計上しております。
以上が、
公害等調整委員会における
令和二年度歳出
予算案の
概要でございます。
公害等調整委員会としましては、今後とも、これらの
事務を迅速かつ適正に
処理するため、鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。