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2020-05-15 第201回国会 衆議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年五月十五日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 松本 剛明君    理事 岩屋  毅君 理事 木原 誠二君    理事 鈴木 憲和君 理事 中山 泰秀君    理事 山田 賢司君 理事 大西 健介君    理事 山内 康一君 理事 竹内  譲君       小野寺五典君    尾身 朝子君       城内  実君    黄川田仁志君       新藤 義孝君    杉田 水脈君       鈴木 貴子君    鈴木 隼人君       武井 俊輔君    中曽根康隆君       中谷 真一君    中山 展宏君       阿久津幸彦君    小熊 慎司君       岡田 克也君    玄葉光一郎君       森山 浩行君    岡本 三成君       赤嶺 政賢君    杉本 和巳君       井上 一徳君     …………………………………    外務大臣         茂木 敏充君    外務大臣政務官      尾身 朝子君    外務大臣政務官      中谷 真一君    外務大臣政務官      中山 展宏君    厚生労働大臣政務官    小島 敏文君    防衛大臣政務官      渡辺 孝一君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  杉中  淳君    政府参考人    (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 松浦 博司君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 宇山 秀樹君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 大隅  洋君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 御巫 智洋君    政府参考人    (外務省北米局長)    鈴木 量博君    政府参考人    (外務省中南米局長)   吉田 朋之君    政府参考人    (外務省中東アフリカ局長)            高橋 克彦君    政府参考人    (財務省主税局国際租税総括官)          安居 孝啓君    政府参考人    (財務省国際局次長)   宮原  隆君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君    政府参考人    (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君    政府参考人    (防衛省地方協力局次長) 青木 健至君    参考人    (独立行政法人国際協力機構理事)         本清 耕造君    外務委員会専門員     小林 扶次君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   穀田 恵二君     赤嶺 政賢君 同日  辞任         補欠選任   赤嶺 政賢君     穀田 恵二君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国アルゼンチン共和国との間の条約締結について承認を求めるの件(条約第六号)  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ウルグアイ東方共和国との間の条約締結について承認を求めるの件(条約第七号)  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ペルー共和国との間の条約締結について承認を求めるの件(条約第八号)  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ジャマイカとの間の条約締結について承認を求めるの件(条約第九号)  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ウズベキスタン共和国との間の条約締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国モロッコ王国との間の条約締結について承認を求めるの件(条約第一一号)      ――――◇―――――
  2. 松本剛明

    松本委員長 これより会議を開きます。  所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国アルゼンチン共和国との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ウルグアイ東方共和国との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ペルー共和国との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ジャマイカとの間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ウズベキスタン共和国との間の条約締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国モロッコ王国との間の条約締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  各件審査のため、本日、参考人として独立行政法人国際協力機構理事清耕造君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として外務省大臣官房審議官松浦博司君、大臣官房審議官宇山秀樹君、大臣官房参事官大隅洋君、大臣官房参事官巫智洋君、北米局長鈴木量博君、中南米局長吉田朋之君、中東アフリカ局長高橋克彦君、内閣官房内閣審議官杉中淳君、出入国在留管理庁在留管理支援部長丸山秀治君、財務省主税局国際租税総括官安居孝啓君、国際局次長宮原隆君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君、防衛省地方協力局次長青木健至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松本剛明

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 松本剛明

    松本委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木隼人君。
  5. 鈴木隼人

    鈴木(隼)委員 おはようございます。自民党の鈴木隼人でございます。  本日は、貴重な質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。  本日は全て政府参考人答弁を求めたいと思っておりますが、きょうのテーマは、というか議案租税条約ということでございます。この租税条約の一般的な意義とそれから締結の状況について、答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  6. 茂木敏充

    茂木国務大臣 鈴木委員経済産業省時代通商政策の現場で大変活躍されまして、私が大臣時代も一緒に仕事をやらせていただいて、この租税条約についてもよく御案内だと思いますが。  租税条約締結をされることで、まず企業にとって申し上げると、本国と投資相手先、ここでの二重課税除去であったりとか、進出先におけます課税所得の範囲が明確にされること等を通じて、海外事業展開の法的な安定性予見可能性が高まるということになるわけでありますし、また、この租税条約締結は、脱税租税回避防止を通じて、二国間の健全な投資経済交流促進に資するものであります。  我が国は、二〇二〇年、ことしの五月一日現在、七十六の租税関連条約租税条約租税情報交換協定税務行政執行共助条約及び日台民間租税取決め、こういったものを締結しておりまして、百三十八の国・地域にこれらの条約締結されるということになります。  政府としては、相手国との経済関係であったりとか我が国経済界からの要望、租税条約締結改正から生じ得る効果、こういった観点を踏まえて、新規の租税条約締結や既存の租税条約改正に引き続き積極的に取り組んでまいりたい、そのように考えております。
  7. 鈴木隼人

    鈴木(隼)委員 まさか大臣から御答弁いただけると思っていなかったので、たまげましたけれども。先ほど、経済産業省時代にお仕えしたエピソードを御紹介いただいたんですけれども、私が茂木経済産業大臣に、経産省職員時代にお食事に連れていっていただいたりして、非常に面倒見のいい大臣だったことを思い出しました。その節はありがとうございました。  さて、この租税条約濫用防止規定が盛り込まれておりますけれども、この濫用防止規定意義、これは細かい論点ですので、ぜひ、政府参考人からで結構ですので、御答弁いただければと思います。
  8. 松浦博司

    松浦政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のございました濫用防止規定でございます。大変重要な規定でございます。  二〇一五年の十月にBEPSプロジェクト最終報告書が取りまとめられております。BEPSと申しますのは税源侵食利益移転防止するためのプロジェクトでございますが、その最終報告書の中で、多国籍企業等による国際的な租税回避に対応するため、さまざまな措置を勧告しているところです。このうち、租税条約については、条約特典濫用防止する規定を設けることが勧告されているところでございます。  これを受けて租税条約に設けられているのが濫用防止規定でございますが、具体的には、租税条約目的は、本来、二国間の健全な投資経済交流促進することでございますので、例えば、実体のないペーパーカンパニーの形態で不当に租税条約上の特典を享受するということがあっては適当ではないということでございますので、これを防止するということでございます。  やり方として二つございますが、一つは、租税条約特典付与一定の要件を満たす適格者に限定するというやり方規定、又は、租税条約特典を享受することを主たる目的として行われるような取引から生ずる所得には特典を認めないというタイプの規定、この二つがございます。  このようなBEPSプロジェクトの勧告を受けまして、今回提出させていただいております六本の租税条約でございますが、全て、この特典濫用防止するための規定導入することとしてございます。
  9. 鈴木隼人

    鈴木(隼)委員 ありがとうございました。  そして、租税条約において徴収共助規定導入されておりますけれども、我が国のこの徴収共助導入に関する方針、こちら、また答弁いただけますでしょうか。
  10. 松浦博司

    松浦政府参考人 お尋ねございました徴収共助導入でございますけれども、租税債権徴収当たりましては、各国、自国に認められた執行管轄権を超えて徴収を行うということでございますので、当然制約がございます。したがいまして、徴収共助とは、そのような中で、各国税務当局租税条約に基づいて相手国租税債権徴収相互支援し合う、このような制度でございます。  これまで我が国締結しました二国間の租税条約のうち、三十一カ国との租税条約において、この徴収共助に関する規定を設けてございます。また、それから、我が国徴収共助を含む租税に関する相互支援を行うことを目的とする多数国条約締結してございます。  昨今の経済活動グローバル化によりまして、滞納者が財産を国外に移転する事案、また外国の居住者我が国租税を滞納する事案、これが発生してございます。これらのリスクに対応するためにも、徴収共助が可能となることが望ましいことはもちろんでございます。したがいまして、今回提出しております六本の租税条約でございますが、いずれも徴収共助に関する規定を設けているところでございます。  もちろん、個々条約規定内容相手国との交渉を通じて決まることでございますので、相手によっては実現できないということもあり得るところでございますけれども、以上申し上げました利益がございますので、今後の租税交渉におきましても、できるだけ徴収共助に関する規定を盛り込むよう努力していきたいと存じます。
  11. 鈴木隼人

    鈴木(隼)委員 ありがとうございます。  今御答弁いただいたとおり、できるだけ多くの国とこの徴収共助を実現していただければと思います。  一応ここまでで租税条約全体の意義重要性についてお聞きをさせていただきましたので、ここから先は個々の、今回六本の条約がありますけれども、それぞれの国との租税条約締結する必要性についてお聞きしたいと思っておりますが、まずは、アルゼンチンとの租税条約について、その意義についてお聞かせいただけますでしょうか。
  12. 吉田朋之

    吉田政府参考人 アルゼンチンにつきましてでございますが、人口は四千四百五十万人、一人当たりGDPは約一万一千七百ドルでございます。大豆や小麦等の豊富な食料資源を持っておりますし、リチウムといった貴重な鉱物資源供給国でもございます。  二〇一八年時点で、中南米地域におきましては、メキシコ、ブラジルに次いで多い、百二社の日系企業が進出しておられます。アルゼンチンとの間では百二十年を超える外交関係を有しておりますし、また、六万五千人ほどの日系社会が存在をしております。  昨年十二月に選挙で政権交代がございました。新しく十二月に発足したフェルナンデス新政権経済政策の行方が注目されております。そういった中で、この条約締結いたしまして投資環境法的安定性あるいは予見可能性を高めることは、今後のアルゼンチンとの投資経済交流を一層促進するために一層意義があるものと承知しております。
  13. 鈴木隼人

    鈴木(隼)委員 ありがとうございました。  それでは次に、ウルグアイとの間の租税条約意義について、答弁をお願いします。
  14. 吉田朋之

    吉田政府参考人 ウルグアイは、人口約三百四十五万人、一人当たりGDPは約一万七千三百ドルでございまして、南米の中では最も所得水準の高い国でございます。  そもそも自由開放的な経済政策を維持しておりまして、ブラジルアルゼンチンとの物流拠点としての役割を担っております。近年、比較的経済は安定しておりまして、二〇〇三年以降、十五年間連続で経済成長を続けております。  二〇一八年時点におきましては、二十二社の日系企業が進出しておられます。ウルグアイとの間では、来年、二〇二一年に外交関係百周年を迎えるといったことになっております。  こういったウルグアイとの間での租税協定を結ぶことによりまして、投資経済交流を一層促進したいと思っております。
  15. 鈴木隼人

    鈴木(隼)委員 大変いいタイミングで租税条約締結されるということがよくわかりました。  次に、では、ペルーとの関係について、租税条約締結する意義について教えていただけますでしょうか。
  16. 吉田朋之

    吉田政府参考人 ペルーは、人口約三千二百万人、一人当たりGDPは約七千ドルでございます。銀や銅、亜鉛の生産量世界で第二位を誇ります。世界有数鉱物資源国でございます。  また、自由開放的な経済政策を維持しておりまして、二〇〇九年にはペルーとの間での投資協定、二〇一二年にはEPAが発効をしております。経済成長率も高くて、二〇一八年は三・九%でございます。  現在、七十五社の日系企業が進出しておられまして、これはEPA締結した後に約倍増しております。また、TPP11の署名国でもございます。百四十年を超える、中南米で最も長い外交関係を有しておりまして、約十万人に及ぶ日系社会がございます。  ペルーとの間での一層の投資経済交流促進に資する協定を結びたい、このように思っております。  以上です。
  17. 鈴木隼人

    鈴木(隼)委員 ありがとうございました。  それでは次に、日・ジャマイカ租税条約について、また同じ参考人ですね、答弁をお願いします。
  18. 吉田朋之

    吉田政府参考人 ジャマイカは、人口約二百九十万人、一人当たりGDPは約五千三百六十ドルでございます。観光業や農業それからサービス業中心でございますけれども、カリブの中では、貿易交渉担当国として、主要国一つに数えられております。  二〇一八年時点では十七の日系企業が進出しておりますが、有名なのはブルーマウンテンコーヒー、約七割が日本に輸出されております。それから、ジャマイカで唯一の電力会社経営権日本企業が取得しております。  ジャマイカとの投資経済交流促進に資する協定締結についてお諮りを申し上げております。  以上です。
  19. 鈴木隼人

    鈴木(隼)委員 ありがとうございました。  ちなみに、ウズベキスタンモロッコも同じ参考人からの御答弁、これは別々の方になりますか。わかりました。  では、時間の関係で、あとモロッコまでいけるかわかりませんけれども、ウズベキスタンとの租税条約意義について御答弁いただけますでしょうか。
  20. 宇山秀樹

    宇山政府参考人 お答え申し上げます。  中央アジアウズベキスタンでございますけれども、ソ連崩壊に伴って一九九一年に独立して以来、経済はかなり国家による統制色の強いものでございましたけれども、二〇一六年に現在のミルジヨーエフ大統領が就任して以降、経済自由化投資促進に向けた改革が急速に進展しております。  ウズベキスタンは、中央アジア最大の三千三百万人の人口を擁しておりまして、さらなる経済発展潜在性がございます。日系企業は商社、製造業など二十四社進出しておりますけれども、昨年十二月に大統領の訪日がございまして、これを契機として、両国の経済関係、一層緊密化することが期待されているところでございます。  そういう中で、租税条約につきましては、ウズベキスタンは一九八六年の日ソ租税条約、これを承継しておりまして、現在もこれが適用されておりますが、今回、これをウズベキスタンとの関係で全面的に改めまして、税務当局間の情報交換の拡充を行いつつ、配当、利子といった投資所得に対する課税を軽減するということになりますので、これによりまして、我が国ウズベキスタンとの投資経済交流を一層促進するという大きな意義があると考えております。
  21. 鈴木隼人

    鈴木(隼)委員 もう少しで私の持ち時間が参りますが、これ以上御質問すると、この後の岡本先生質疑に影響を及ぼしてしまいます。岡本先生、いつも大変すばらしい質疑をしていただきますので、岡本先生質疑の時間を奪わないように、私、以上とさせていただきます。  ありがとうございました。
  22. 松本剛明

    松本委員長 次に、岡本三成君。
  23. 岡本三成

    岡本(三)委員 公明党、岡本三成です。  鈴木先生、御配慮ありがとうございます。ハードルを上げられたのでちょっと緊張していますけれども、頑張ってやりたいと思います。  今回、議案になっております六カ国との租税条約、いずれも二重課税除去投資所得源泉地課税の減免を規定するもので、日本企業に対しましては大変大きなメリットがあると思っておりますので、もちろん基本的に賛成をしております。  とりわけ、今回、アルゼンチンウルグアイペルージャマイカ中南米諸国が加わることによりまして、これまで租税条約を結んできた他の中南米諸国との相互連携意義も大きいというふうに思っています。  現在、締約済み租税条約、七十六で、百三十八カ国・地域に適用されているというふうに理解していますけれども、世界にはもっとたくさん租税条約を結んでいる国もあります。ただ、ちょっと立ち位置を確認したいんですが、租税条約投資協定、物すごくコンスタントに、勢いを持って、外務省に働きかけを今日までしていただきました。  その上で、租税条約自体は七十六にとどまっていますが、日本企業が直接投資していないような国と例えば租税条約があっても何の意味もありませんので、直接投資が実際行われている金額をベースにしたときに、どれぐらいの金額租税条約日本企業活動をしっかりと後押しできているかという、今、国数だけではなくて、経済規模における租税条約日本企業における支援の割合みたいなものを御答弁いただければと思います。
  24. 松浦博司

    松浦政府参考人 お答え申し上げます。  七十六の租税関連条約等締結済みでございますけれども、これにより百三十八カ国及び地域に適用されています。  御質問のありました対外直接投資の額でいった場合ですけれども、約九九%がカバーされているところでございます。具体的には、日本からの対外直接投資が多い上位十カ国と申しますと、アメリカ、イギリス、オランダ、中国、シンガポール、オーストラリア、タイ、ケイマン諸島、韓国、香港となりますけれども、これら十カ国については全て租税関連条約締結済みでございまして、残余の国につきましても、九九%まではカバーできるよう締結済みでございます。
  25. 岡本三成

    岡本(三)委員 ありがとうございます。  要は、経済規模観点からいうと、もうやるべきことはほとんどやり尽くして、それでもさまざまな国に、小さな規模であっても経済活動をやっているような日本企業はあるわけですから、そこに対してしっかりと支援するような形をとっていただいているというふうに理解をいたしまして、これまで外務省がやっていただいているその活動に対して、大変大きな敬意を表したいと思います。  今回の租税条約の中で、いざ問題が起こったときにどういうふうにその問題を解決するかという手続において、仲裁協定になっているのはウルグアイジャマイカだけでありまして、残りは相互協議手続になっています。私の理解ですと、日本政府は、できれば全て仲裁協定にしていきたいというふうな発想を持っていると思うんです。  歴史をたどると、以前に、この租税に関する問題で、本来は課税されるはずじゃないと思った協定先で行ったら課税されるようなことがあって、問題がたくさん出てきました。そのときに、多くが解決手続相互協議手続だったので、みんな訴えてきます。  ただ、訴えてきましたけれども、相互協議するだけなので、全然問題は解決しないんですね。これが一年で解決せずに二年、三年と持ち越されて、在庫案件、いわゆるインベントリーが物すごいふえちゃって、もう回らなくなってしまって、それで、OECDを中心に、仲裁に移っていこう、必ず解決するんだというようなことになって、その流れに日本も乗って、相互から仲裁に大きくかじをとったように理解をしています。ただ、現実には、相手方もありますので、今回のように半分以上は相互協議手続になっちゃっているわけです。  そこでお伺いしたいんですが、基本的な日本外務省立ち位置、現在、相互協議のままのところも含めて、仲裁に変えていこうというふうな戦略でいらっしゃるかどうかということに加えて、今、相互協議になったまま、例えば去年一年間で相互協議というのは何件立ち上がっているんでしょうか。その結果、在庫として、相互協議のままで今も協議中になっているものというのは何件あるのかということを教えてください。
  26. 松浦博司

    松浦政府参考人 御質問ありがとうございます。  御指摘のとおり、この仲裁規定は大変重要な規定でございまして、相互協議が行われても、二年又は三年といった一定期間内に解決できなかった場合に仲裁規定をもって解決するということで、大きな解決に向けた期待が託されている規定でございます。  また、委員から御指摘がございましたように、相手国によりましては、国内法上の制約また執行当局リソース不足、それから相互協議手続自体に対する経験不足、いろいろな理由がございまして、仲裁手続導入が困難あるいはそれにちゅうちょする国がございますので、もちろん、日本としては、協定交渉当たりまして仲裁規定を設けるよう交渉努力をしておりますが、必ずしも全ての国に対してこの仲裁規定を盛り込むことに成功できているわけではないところは御案内のとおりでございます。  現在までのところ、十七カ国との租税条約仲裁規定を設けることができてございます。  また、御質問のありました今進行中の協議事項でございますけれども、これについては手元にデータがございませんので、またお調べの上、御答弁申し上げたいと思います。
  27. 岡本三成

    岡本(三)委員 きのう、これ、通告のときにお伺いをして、夕方まで、ちょっと数字が出ませんということだったので、もしかしたら委員会の当日までに来るかなと思って期待したのですが。頑張っていただいているのはすごくわかるんですが、条約を結んでいらっしゃる当体の外務省が、実際にその中に協議手続を入れているのに何件あるかわからないというのは、ちょっと残念な感じだと正直思います。それを全部解決しようという思いで相互協議手続を中に入れているわけですから、それぐらいの全体像は常に把握していただきたいなということを申し上げておきたいというふうに思います。  続きまして、ちょっと今回の六条約とは離れまして、先ほど鈴木先生の御質問にも若干ありましたけれども、五月九日の日経新聞では、GAFAプラスマイクロソフトの世界経済におけるインパクトがより大きくなっているというふうな記事が載っておりまして、五社の時価総額は約五百六十兆円、これは東証一部全体の金額よりもこの五社だけで大きいというふうになっています。  BEPSプロジェクトが立ち上がっていろいろ議論していますけれども、なかなか進んでおりません。一部、OECDの予想によりますと、租税回避されている金額だけで、世界全体の法人税の約一〇%、二十四兆円だそうです。G20においてこのBEPSを進めていこうというふうになっていますけれども、こういう、世界的にコロナにもなっていますので、ちょっと先延ばししようかという議論もあるように聞いています。  ただ、一方で、私は前倒しじゃなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。アフターコロナの世界は、多分、非接触であったりリモートワークであったり、GAFAプラスマイクロソフトのマーケットにおける役割というか位置づけがより大きくなるのではないかなと思っておりまして、BEPSプロジェクトを確実に前進させることが、この五社においても、また、この五社が活動をしているような地域、国においても大きな意味を持つのではないかと思っているんです。  G20、七月にサウジで行われますけれども、基本的に日本はこのBEPSを前倒しでいくぐらいの、ことしじゅうにある一定の結論を得るというふうな方向性になっていますので、どういう立ち位置でいかれるのか。ぜひ前向きな、ことしじゅうに必ず解決をするという方向性を御答弁いただければと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
  28. 安居孝啓

    安居政府参考人 お答えいたします。  ただいまお話にございました経済のデジタル化に伴います課税上の対応につきまして、日本が議長国を務めておりました昨年六月のG20で承認されました作業計画に沿いまして、二〇二〇年末の最終合意に向けてOECDを中心に議論を進めているところでございます。  具体的な中身を簡単に申し上げますと、まず第一に、多国籍のデジタル企業などが物理的拠点なしに活動する場合にも、その市場国について新たな課税権を配分するという国際課税原則の見直しというのが一つと、もう一つの柱といたしまして、いわゆるタックスヘイブンなどの軽課税国への利益移転に対しまして最低税率による課税を実現するためのルールの導入という、二つの柱から解決策が検討されているところでございます。  今申し上げましたとおり、年末の合意に向けまして、実は、従来、この七月に閣僚級会合を開催いたしまして主要事項について合意するということで進んでいたわけでございますけれども、今般の新型コロナウイルスの感染拡大の影響もございまして、この閣僚級会合が十月に延期されるということになってございます。ただし、現時点では、二〇二〇年末、今年末という最終合意の期限というのは変更されてございません。  我が国といたしましては、とにかく国際的な合意に基づくグローバルな解決策によって対応することが公平公正の見地からも非常に重要だというふうに考えておりまして、年末までの合意の実現に向けまして国際的な議論に誠心誠意注力してまいりたいというふうに考えております。
  29. 岡本三成

    岡本(三)委員 最後に外務大臣にぜひお伺いしたいんですけれども、今回、新型コロナに対応して、全ての国民の皆さんに一律十万円をお届けするということで、政府で御判断をいただきました。残念ながら、これは海外在住の日本人にはお届けすることができないんですね。迅速性が必要だったので、すぐにというのは難しかったのはわかりますが、現実的には、多くの方、留学生も含めて在外公館に登録をされていて、選挙権ももちろんあります、選挙もしていただけます。にもかかわらず、さまざまなデータベース等があるにもかかわらず、いざというときの十万円がお届けできないというのは、ちょっと、本当にその方々に申しわけないなという気持ちがしております。  第一次は難しかったかもしれませんが、もしかしたら第二次の現金の支給があるかもしれませんし、今後、同じようなことが起こったときに、海外在住の方、当然日本国籍を持った日本人ですから、ぜひ対象にしていただきたいと思っているんですね。  とりわけ学生の皆さんで、しっかりと大学で学んで、レジストレーションしていらっしゃる方は、在外公館にも登録している方が多いですし、加えて、経済的な理由で日本に帰っていらっしゃれていない方もたくさんいらっしゃいます。  海外在住の日本人、とりわけ留学生に関して、今後、こういう形が起こったときには、必ずやってくださいというのは難しいかもしれませんが、全力を挙げて取り組んでいただけるように、とりわけ、若き日の鈴木さんを食事に連れていっていただいたような大きな器の大臣の、その大きな包容力で、世界に学んでいる日本の学生そして日本人を救っていただくような御決意をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  30. 茂木敏充

    茂木国務大臣 海外に渡航、滞在する邦人の保護、これは外務省の最も重要な責務の一つでありまして、今回の新型コロナの世界的な感染拡大を受けて、その重要性はますます高まっていると考えております。  外務省として、こうした感染拡大の状況等を踏まえて、在外邦人及び海外渡航者の安全を確保するために、各国の感染状況や各国政府によります措置等につきまして、適時適切な情報発信であったりとか注意喚起をこれまでも行ってまいりました。現在、世界百カ国・地域の感染症危険情報をレベル3、渡航中止勧告に引き上げているところであります。  また、出国や帰国を希望しても、移動制限とか航空機の運航が停止などによって帰国できない邦人に対しては、私を中心に領事局、各地域局、また関連する在外公館が一体となりまして、具体的な情報を収集して在外邦人の方々と随時共有するとともに、出国、帰国手段の確保に向けて、きめ細かく支援をしてまいりました。このようなさまざまな支援の結果、これまでに世界各国から約九千四百名の邦人の方が出国又は帰国できたわけであります。  今後、同様の危機が発生した際に、海外の在留邦人、中でもやはり学生の皆さん、なかなか学費であったりとか生活費も大変なところがあるんだと思うんですが、に対してどのような支援を行うことができるかについては、そのときの状況によって政府全体として議論すべきであると考えますが、いずれにしても、外務省としては、邦人保護の観点からできる限りのことをしてまいりたいと思っております。
  31. 岡本三成

    岡本(三)委員 今回お支払いしていただければ、海外に行った日本人が在外公館に登録する件数が急増すると思いますので、ぜひお願いいたします。  以上で終わります。ありがとうございました。
  32. 松本剛明

    松本委員長 次に、大西健介君。
  33. 大西健介

    ○大西(健)委員 立国社の大西健介です。  まず、租税条約についてお聞きをしていきたいと思うんです。  今回の条約はいずれもOECDのモデル条約に準拠したものであるということでありますが、二〇一〇年に改定されたOECDのモデル租税条約では、二重課税のリスクを避けるために、事業利得の算定に当たって本店と支店との内部取引を厳格に認識する、いわゆるOECD承認アプローチ、AOAと言うそうですけれども、これが導入されている。我が国としても新たに租税条約を結ぶ場合にはこのAOAというのをしっかり入れていくということを国会でも過去にも答弁をされていますけれども、今回、この六つの条約のうちAOAが導入されているのはウルグアイウズベキスタンとの間の二条約のみであるということであります。  残りの四つの国との間の条約にはこのAOAがないということでありますけれども、過去を見ますと、例えば、二〇一七年発効のラトビアとの間の租税条約、二〇一八年発効のオーストリアとの間の租税条約のときには、AOAが入っていないんですけれども、近い将来、交換公文によってAOAを導入するという約束を議定書で定めている。すぐには入れられないけれども将来入れようねということをちゃんと約束した上で条約を結んでいるということであります。  そうであるならば、私は、今回も少なくともそういうことができなかったのかなというふうに思うんですけれども、この点について、参考人からで結構ですので、御答弁いただきたいと思います。
  34. 松浦博司

    松浦政府参考人 お答え申し上げます。  委員から御指摘がございましたように、このOECD承認アプローチ、AOAというのは、恒久的施設に帰属する利得の算定方法を明確にする上で非常に重要な規定でありまして、これにより二重課税や二重非課税のリスクをより小さくするということができるものだと思ってございますので、政府としましては、我が国租税条約締結又は改正する際、AOAに基づいた規定とすることを目指してきております。  御指摘のように、必ずしも全ての条約についてこの規定を設けることができているわけではございません。これの背景といたしましては、AOAを実施するためには、そもそも本店と支店の間の内部取引を厳格に認識するということがその国の法体系で精緻にできるということが必要でございますし、また、これを正確に執行するというための高度な執行能力が求められるところでございます。各国の実情に照らしますと、そこまでの法体系の整備及びその法体系の執行能力が追いついていないという国もございますので、その場合には導入が困難であると判断せざるを得ないということになります。  今回も、そのようなことがございましたので、アルゼンチンペルージャマイカモロッコにつきましては、相手国の反対の立場、また相手国の内部の事情に鑑みて、導入できる可能性がないと判断したところでございます。  もちろん、委員から御指摘のあったラトビア、オーストリアで行いました、交換公文で将来導入するということを議定書の中で規定するという方法、これも非常に有効な方法ではございますけれども、これが成立するための前提といたしましては、今の時点でAOAを導入することはできませんけれども、現に導入のための準備をしている、あるいは法整備のための作業が行われている、あるいは導入することを強く希望しているというような事情が相手国に存在する場合には、将来における導入ということについて合意が図れるということでございますけれども、そもそも導入に消極的である、あるいは予定がないという国の場合に、そこを、その方針、国の状況を押してまで相手に合意をさせるということはなかなか困難でございますので、今回は、それよりも、我が国のビジネス上の利益を保護するためにも、早期に締結するということを重視した次第でございます。
  35. 大西健介

    ○大西(健)委員 今話があったような、我が国のビジネス上の利益という話で、先ほど来、与党の委員からも、どういうところと租税条約を結んでいくのかという、その優先順位にかかわるようなお話がありましたけれども、これまで日本租税条約を結んでいる租税ネットワークの世界地図を見ると、今回多く挙がっているような中南米、確かにまだ空白地があります。あとアフリカが結構、まだまだあいている。ただ、見ますと、我が国関係が深いと思われるアジアの国々でまだ結べていないところがあるというところです。特に、成長著しくて日本からの投資意欲も非常に盛んであるミャンマーだとか、今非常に発展著しいカンボジア、ここがまだ結べていない。あるいは、歴史的にも関係の深いモンゴル、こことの間も租税条約はありません。  皆さんのお手元に資料をお配りしましたけれども、これは経産省が委託調査で行っているものでありますけれども、企業の皆さんに、どういう国々と租税条約を結んでほしいか。これを見ると、ミャンマー、圧倒的に多いんですね。二位はカンボジアです。そして、私が触れたモンゴルも十位以内に入っている。そういう意味では、このミャンマーやカンボジアと私は租税条約締結を急ぐべきだというふうに思いますけれども、この点について、大臣から御所見を伺えればと思います。
  36. 茂木敏充

    茂木国務大臣 政府としては、相手国との経済関係、そして我が国経済界からの要望、租税条約締結改正から生じ得る効果といった観点を踏まえて、租税条約締結をこれまで進めてまいりました。我が国は、既にインド、中国、ブラジル、多くのASEAN諸国等の新興市場国とも租税条約締結しておりまして、その結果、我が国締結している租税条約は、我が国からの対外直接投資総額の約九九%をカバーしているところであります。  しかし、まだ残っている国も当然あるわけでありまして、御指摘の国、ミャンマー、カンボジアなど、ASEANの中でも今後経済発展やインフラ投資等が期待される国でありまして、これらの国も含めて、新規の租税条約締結や既存の租税条約改正のための交渉に積極的に取り組み、各国との経済関係促進を図ってまいりたい、このように考えております。
  37. 大西健介

    ○大西(健)委員 私の地元は自動車産業の盛んな地域ですけれども、従来はタイとかインドネシアとか、最近ではベトナムとか、でも、だんだんとそういうところも経済発展して人件費も上がってきているということで、やはりミャンマーとかカンボジア、次はミャンマーだ、カンボジアだ、こういう非常に鼻息の荒いところも聞こえてきますので、特にミャンマーなんてもう本当にこれだけ多くの要望があるわけですから、ぜひとも積極的に租税条約締結を進めていただきたいというふうに思います。  次に、今回租税条約を結ぶウズベキスタンについてちょっとお聞きをしたいというふうに思うんですけれども、ウズベキスタン、実は非常な親日国であるということで、先ほどちょっと山内委員とお話をしていたら、山内委員は昨年行かれたということで、山内委員に教えてもらったんですけれども、アブドゥハキーモフ副首相、一橋大学に二年間留学されていて、日本語が非常に達者であるということで、この副首相が観光大臣のときには、日本のテレビ番組を呼んで、イモトアヤコさんがウズベキスタンに行って、そして、非常に流暢な日本語でこの今の副首相がウズベキスタンの魅力や日本ウズベキスタンとの関係についてテレビ番組でも紹介をしたということがネットにも載っています。  何でこんなに親日的かということなんですけれども、実は、シベリア抑留者のうち二万四千人がウズベキスタンに送られて強制労働させられたという非常に残念な歴史があります。しかし、実は一九六六年の四月、首都タシケントで震度八の大地震があった。そのときには三分の二の建物が倒壊するという大被害が起きたんですけれども、そのとき、日本人抑留者によって建てられたと言われているナボイ劇場は無傷だった。このことから、この劇場を建てた日本人の働きぶりはすばらしかったんだという称賛する声が上がって、以来、ウズベキスタンでは子供たちに、規律正しく勤勉で律儀な日本人を見習いなさい、こういうふうに言われるようになったということであります。一九九一年には、ナボイ劇場に日本人の功績をたたえるプレートが設置をされました。  また、きょうちょっとここに持ってきたんですけれども、中山恭子大使が書かれた「ウズベキスタンの桜」という本です。この本を私は読ませていただきましたけれども、この中には、ウズベキスタン日本人墓地の整備についてのエピソードが載せられています。  ソ連時代には、日本人墓地は二カ所のみに制限をして、それ以外は全部更地にしろという指令が出たけれども、ウズベキスタンの人たちは日本人墓地を大切に墓守をしてくれていた。そして、中山大使のときに、そういう日本人墓地を整備しようということになったそうなんですけれども、当時のスルタノフ首相は、日本との友好関係のあかしとして、ウズベキスタン政府が責任を持ってこれを行う、これまでできていなかったことは大変恥ずかしいと言って、協力を惜しまなかったということであります。  シベリア抑留者の日本人墓地、他の国々との間の場合では、日本政府がお金を出して、やる。それが、向こうの政府が責任を持ってやりますと言ってくれたというのは異例のことだということで、非常に感動的なエピソードだというふうに思います。  強制労働で大変な御苦労をされた先人の残したウズベキスタンとの友好の礎というのを守って、発展させていくのが我々の責任だというふうに思いますけれども、大臣、この点について御所見を伺えればと思います。
  38. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ウズベキスタン位置をする中央アジア、ロシア、中国、カザフスタン、イランといった重要国に囲まれ、ユーラシア大陸全体の平和と安定を図る上で重要な地域であります。  その中でも、ウズベキスタン、かつては、中国と中東を結ぶシルクロードの中東に近い最後の中継点として、テンシャン山脈をおりてきたラクダの隊商等々が休む場所としても栄えたわけでありますし、現在も最大の人口を有する地域大国でありまして、日本としても重視をしております。  また、大西議員御指摘のとおり、第二次世界大戦後、抑留された日本人の勤勉さというものはウズベク市民に感銘を与え、ナボイ劇場には記念プレートが設置をされ、現地で亡くなった抑留者の墓地は現地人の手で丁寧に管理をされている、このような両国民の深い心のつながりを大切にすることが重要だと考えております。  私も経産大臣時代、二〇一四年にウズベキスタンのタシケント、そして先ほど申し上げたサマルカンドを訪問しております。その後、二〇一五年、安倍総理のウズベキスタン訪問や、二〇一九年十月のミルジヨーエフ大統領の初訪日を通じて、両国の戦略的パートナーシップは深化、拡大してきております。  また、四月には、新型コロナウイルスの影響で帰国が困難になりました在留邦人百九十名が臨時便の運航によって帰国できましたが、これも両国の密接な協力の成果と言えると思っております。  今後とも、あらゆる分野で二国間関係の強化を図るとともに、日本が進める中央アジアプラス日本、この対話においてもウズベキスタンと緊密に連携していきたいと思います。
  39. 大西健介

    ○大西(健)委員 先ほどのこの「ウズベキスタンの桜」の中には、先ほど来出ているナボイ劇場のプレートについても、最初はプレートに日本人捕虜がと書かれていたそうですけれども、カリモフ大統領が、ウズベキスタン日本と戦ったことはないし、日本人を捕虜にしたこともないので、日本国民と書けというふうに言って直させた、これも非常にすばらしいエピソードだというふうに思います。ぜひ、ウズベキスタン、大切にしていただきたいと思います。  残りの時間、ちょっと条約から離れて、コロナウイルス対応等々についてお聞きしたいと思いますが、私も実は先ほどの岡本委員と全く同じ質問をしようと思っておりました。  最後の質問だったので、ちょっと大臣答弁、いろいろな、外務省がやっている邦人保護の話については長い答弁がありましたけれども、肝心なところについてはいろいろと政府全体で考えていきたいということだったんですが、私も特別定額給付金の十万円というのは、総理自身が、十万円の趣旨というのは、収入面でコロナの影響を受けていない人であっても外出自粛などの制約を受けており、国民みんなでこの難局を乗り越えていこう、こういう趣旨で一律給付するんだということをおっしゃっています。  そういう意味では、日本以上にロックダウン等で非常に厳しい生活制限に耐えて、母国を離れて外国で勉強している留学生、あるいは日の丸を背負って海外で働いている駐在員等ジャパニーズビジネスマンの皆さん、こういう皆さんは、日本人同様、非常に厳しい中耐えている。あるいは、その中には、帰国できた人もいるし、できないで今も頑張っておられる人がいるという意味では、やはり同じ日本人として、私もこれは十万円給付すべきだというふうに思いますけれども、その点についていま一度大臣から、どう思うかということを御答弁いただければと思います。
  40. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、この特別定額給付金、法のたてつけでありますが、緊急事態宣言の対象となる日本国内で、新型コロナウイルス感染症のさまざまな影響で厳しい状況に置かれて生活している方々、日本に住んでいらっしゃる方全員が対象になるということだと思うんですが、これを対象とするものであると承知をしております。  したがいまして、基準日、令和二年四月二十七日において、住民票のない海外在住の日本人の方については、今回の特別定額給付金の対象外とされている、このように承知をしております。  その上で、今後、海外の在留邦人に対してどのような支援を行っていくか、また、やるとしたらどういう方法をとっていくか。例えば、残念ながら、申請登録ベースなので、在外公館が全てのその地域にいる日本人の方々を完全に把握するということは難しいわけでありますが、そういう中でもどういうことができるか、与野党でもよく御議論いただきたいと思います。  いずれにしても、外務省としては、邦人保護の観点からできる限りのことをしていきたいと思っております。
  41. 大西健介

    ○大西(健)委員 その制度は私たちも十分わかっています。四月二十七日に住民基本台帳に登録されている方ということですから、在外邦人は対象外になるということですけれども、先ほど岡本委員からもありましたけれども、在外投票はやっているわけですから、その部分でいえば登録もされているし、また、先ほど最後に岡本委員からも、これをやれば登録も更に進むんじゃないかというお話がありましたので、ぜひ、テクニカルな、やり方、制度設計についてはいろいろな議論をすればいいと思いますけれども、まず基本的な考え方として、海外に住んでいる自国民についてもしっかり同じように扱っていくんだという基本的な考え方を、ぜひ大臣にも共有していただければというふうに思います。  次に、きのう三十九県で緊急事態宣言が解除されましたけれども、これから経済活動も徐々にもとに戻していかなきゃいけないということでありますが、そういう中で、一方では、きのうは、まだ十三カ国について入国制限を更にするという話が出ています。  しかし一方で、中国は、韓国に、PCR検査での陰性を条件に、ビジネス目的の入国を一部既に認めています。資料の二ページ目をごらんいただきたいんですけれども、報道でありますけれども、出張者は、出発の七十二時間以内に国内の保健当局が指定する医療機関で検査を受けて、陰性を証明する確認証の発行を受け、そして入国後に再びPCR検査を受けて陰性と判断されれば入国を認められるというのが、これは中国と韓国の間でファストトラックと呼んでいるやり方だそうですけれども、この同じやり方で、中国側から日本とも入国制限の緩和をやらないかという話が来ているんじゃないか、ここは打診と書いてありますけれども、ということでありますけれども、こういう打診が既に来ているのかどうなのか。  それから、私自身は、きのう三十九県で緊急事態宣言が緩和されたばかりということを考えると、まだこれは少し時期尚早ではないかというふうに思いますけれども、その点について大臣の御見解をいただきたいと思います。
  42. 茂木敏充

    茂木国務大臣 国内また世界での感染が、終息が視野に入ってくるという段階で、今度は人、物の移動についてどうするか、そこの中でも比較的緊急性が必要なビジネスマンについてどうするかとか、一般の観光客についてどうするか、段階を踏んでいろいろ考えていく必要があるのではないかなと思いますが、きのうもハンガリーの外務大臣と電話会談を行いましたが、ハンガリーは昨日から、日本の方はあけていないんですが、日本のビジネスマンについて受入れを開始する、こういう決定をされたということでありまして、世界各国で徐々にそういった動きも出てくるのではないかなと思っております。  中国との関係では、新型コロナウイルス感染症について、日中間の連携協力、今後の感染拡大防止策を含めて、さまざまなレベルで意見交換を行っているところでありまして、目下の課題、これは新型コロナウイルスの感染の世界的な拡大に対処するための国際的な協調と連携である、こういう観点から、王毅外務大臣とは、個別の電話会談、また日中韓の外相会談等々でさまざまな意見交換を行っているところであります。  また、人の往来の再開のためには、まず日本で感染拡大の終息が必要でありまして、それがなければ相手国も来てくれない。また、現地に行くことが、渡航することが安全に行えるかどうかについて、相手国におけます感染状況であったりとか医療体制、さまざまな状況を総合的に勘案して適切なタイミングで判断をしていきたい、こんなふうに思っています。
  43. 大西健介

    ○大西(健)委員 外交相互主義というのがありますので、先ほどハンガリーのお話を御紹介いただきましたけれども、今後、これから先、いろいろな話が出てくると思いますので、そういうことについてはこの外務委員会の中でもしっかり議論させていただければというふうに思います。  次に、九日、ロシアのプーチン大統領は、旧ソ連の第二次大戦での対ドイツ戦勝七十五年に合わせて演説を行いました。当初予定されていた大規模各国首脳を招いての記念式典や軍事パレード、これは延期になったということでありますけれども、この延期後の日程について、ソ連時代の対日戦勝記念日だった九月三日にするという案が浮上しているそうです。九月三日になった場合には、招待されても日本の首相は参加すべきではないんじゃないかというふうに私は思っています。  九月三日の場合に参加するのかどうなのか。私は参加すべきじゃないというふうに思いますけれども、一部報道では、九月三日になった場合には参加しないという意向を既に外交ルートを通じてロシア側にも伝えているという報道もありますけれども、私は、九月三日だったらば、誤ったメッセージを送ることになるので行くべきではないと思いますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  44. 茂木敏充

    茂木国務大臣 五月九日に予定されておりました対独戦勝七十五周年の記念式典、大規模な式典につきましては、コロナウイルスの影響等もあって延期となりましたが、延期後の具体的な日程、今ロシアは、連日の感染者が一万人を超える、累積の感染者もアメリカに次いで多い、そういう状況が続いている中で、現時点で新たな日程というものは決まっていない、このように承知をいたしております。  外交上、日程が決まらないと日程調整もできませんので、日本として、その式典、行われるのかどうか、行われるとしたらいつなのか、それが決まらない段階で総理が出席するかしないかという検討は行っておりません。
  45. 大西健介

    ○大西(健)委員 まだ決まっていないということでありますが、九月三日は、先ほど言ったように、ソ連時代の対日戦勝記念日であるということですので、少なくとも九月三日に行くことは、まさに誤ったメッセージを送ることになるので、私は行くべきではないと思いますけれども、九月三日は行かないということでよろしいですか。
  46. 茂木敏充

    茂木国務大臣 日程が決まっておりませんので総理の日程は全く調整しておりませんが、大西委員の御意見は御意見として承らせていただきます。
  47. 大西健介

    ○大西(健)委員 大臣から、しっかり意見は聞いていただいたということですので、我々としても注視をしていきたいというふうに思っています。  次に、五月二日、二十日ぶりに、動静不明だった金正恩朝鮮労働党委員長の健在が証明をされたということで、重体説というのは誤報だったということになりました。  ただ、今回、非常にいろいろな情報が流れ飛んでいました。そういう中で、韓国は早い段階から一貫して重体説等に否定的な見解を示していましたけれども、日本国内でも重体説あるいは死亡説まで出ていたということでありますけれども、これに関して、結局これは一体何だったのか。では、何も全くなかったのか、いや、手術を受けたというのはあったのか、一体どういうことだったのかと日本政府は見ているのか、また、情報が錯綜した一連のこの背景というのをどう評価しているのかについて、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  48. 茂木敏充

    茂木国務大臣 北朝鮮をめぐる情勢について、平素から高い関心を持って注視、分析をしておりまして、各種公開情報からインテリジェンスを含むものまで、さまざまな報道、情報に接してきているところであります。  そこの中で、例えば死亡説であったりとか重篤説というのは、むしろ、どちらかといいますと、報道であったりとかネット、そういったもので流れているものが中心だったのではないかな、こんなふうに考えておりますが。  そこの中で、金正恩委員長をめぐる動向について、四月十一日の党政治局会議出席した後、十二日の最高人民会議や、十五日の金日成生誕記念日に際する行事への出席は確認されず、その後、特に、こういった行事に出てこないのでということで、さまざまな報道がなされたと承知をしておりますが、五月二日の朝の北朝鮮メディアが、その前日、五月一日に金委員長が平壌郊外の肥料工場の完成式に出席したと報じているわけであります。  金委員長の健康問題、さらには妹の金与正氏の動向等も含めて、さまざまな報道や臆測があることは承知をしておりまして、北朝鮮情勢につきまして、引き続き、米国等とも緊密に連携しながら、情報収集、分析を行っていきたいと思います。
  49. 大西健介

    ○大西(健)委員 今、少し大臣答弁をしていただいたんですが、ほとんど、前提の話、報道されていることをただなぞられただけでありました。  もちろん、機密にかかわる部分というのを言えない部分があるのは私も承知していますが、しかし、こういう問題について余りにも、国会で聞いても何も答えないということは、私はやはり国会に対する政府の説明責任を欠いているんじゃないかというふうに思います。  きょう、資料に、皆さんのお手元に三ページ目をお配りしましたけれども、私、昔からこんなに何にも言っていないのかなと思っていろいろ調べてみたんですけれども、これは、九七年、ファン・ジャンヨプ朝鮮労働党書記、あのチュチェ思想をつくった人と言われている方ですけれども、この人が韓国に亡命したときに、時の池田外務大臣答弁しています。もちろん全てではないんですけれども、結構ちゃんとしゃべっているんですよ。  ここにも、十二日午前十時ごろ、ファン・ジャンヨプ朝鮮労働党書記、これが在中国韓国大使館を訪れて韓国に亡命を要請した由であります、そしてまた、その際、金朝鮮労働党中央委員会資料研究室副室長も行動をともにしている、このように承知しております、それから一方、北朝鮮中央通信は、亡命はあり得ないとして、仮に黄書記が韓国大使館にいるとすれば拉致された以外にはあり得ない、こういうことを言っているところでございます云々と、結構、少しは答弁しているんですよ。  ですから、全く何か、いや、機密にかかわることですからお答えできませんみたいな話は、私はやはり避けていただいて、できるだけ国民に対して、日本の国益に非常にかかわる話ですし、国民も関心を持っているところですから、国会でもっとちゃんと、できる限り言えることは言う、そういう姿勢をこれからぜひお願いしたいというふうに思っております。  次に進みたいと思いますけれども、イギリスのEU離脱に伴って、今は激変緩和のための移行期間ということでありますけれども、これが今年度末には終わるということであります。  イギリスは、イギリス政府が十二日、日本とのFTA締結に向けた交渉を近く始めるということを発表されました。  これは、今、日・EU経済連携協定の恩恵が、移行期間ということでありますけれども、これがなくなると本当に大変なことになると思います。イギリスは、トヨタ、ホンダ、日産が現地生産を行っておりますし、我が国にとっても影響が大きいというふうに思います。  ぜひ、コロナ禍ではありますけれども、イギリスとの間のFTA締結に向けた交渉を急いでいただきたいというふうに思いますし、どうせやるならと言うとあれですけれども、より高い水準の野心的な協定にできるようにしていただきたいというふうに思いますが、大臣の御決意をいただければと思います。
  50. 茂木敏充

    茂木国務大臣 政府としては、日英首脳間で一致をしております日・EU・EPAを踏まえて、EU離脱後の英国との新たな経済的パートナーシップの構築に速やかに取り組んでいく考えであります。  一昨日、英国政府は、日・EU・EPAを踏まえた野心的で包括的な自由貿易協定を追求する等とする、日本との新たな自由貿易協定に関する対日交渉方針を公表しておりまして、英側において交渉開始に向けた手続が進んでいることを歓迎いたします。  現在、日英間で、事務レベルで予備的な議論を鋭意行っているところでありまして、現下のコロナウイルス感染症をめぐる状況、なかなか会っての交渉ができないとか、そういう問題はあるものの、できる限り早期に交渉に入りたいと思っております。  大西議員の方から、できるだけ野心的なものにしてほしい、こういうお話をいただきました。しっかり受けとめますが、一方で、野心的なものにしますと、日・EUで結んだ枠を更に英国に与えるんじゃないか、こういう問題がさまざまな分野で出てまいります。  そういった国内世論、それも踏まえながら、しかし、この日英の協定というものが、今、我々が結んできた、TPPであったり、そして日・EUであったり、これに引けをとらないものにするにはどうしたらいいか、極めて野心的で、バランスのとれたものにするにはどうしたらいいか、そういう工夫をする必要があると思っておりますが、できる限り、そういったことで速やかに進めていきたいと思っています。
  51. 大西健介

    ○大西(健)委員 よろしくお願いします。  時間がありません。最後の質問ですけれども、この国会、種苗法の改正案というのが農水委員会で審議をされているということですけれども、この自家増殖を禁じるという内容について、今このコロナのときにやることなのかというような話も出ております。  これに関して、この種苗法改正というのは、農水省は、国内優良品種の海外流出を防ぐためというふうに言っていますけれども、一方で、農水省の関連団体のホームページにはこのようなことが書かれています。国際条約、UPOV条約により、育成者権は国ごとに取得することが決められています、このため、海外で品種登録されていない場合は、その国で育成者権を主張できません、対策としては、種苗などの国外持ち出しを物理的に防止することが困難である以上、海外において品種登録、育成者権の取得を行うことが唯一の対策であるというふうに書かれているんですね。  今回の法改正によって、国内からの持ち出しに対するハードルは上がると思いますけれども、種なんて本当にちっちゃいですから、物理的に持ち出されてしまったら、その先、その国で育成者権を主張しようとしても、それは国際条約による登録がなされていなければできないということだというふうに思いますが、そういう理解で間違いないか、農水省に、ちょっと時間がありませんので、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  52. 杉中淳

    杉中政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、万が一種苗が海外に持ち出されてしまった場合に、その国において栽培や流通を差し止めるためには、海外で品種登録をしなければなりません。そのため、農水省として、予算支援で外国での品種登録を進めているところでございます。  一方、海外流出の防止のためには、そもそも海外に持ち出されないようにすることが重要でございますので、今国会に提出している種苗法改正法案について、登録品種について出願時に国内利用限定という利用条件を付せば海外への持ち出しを制限できるように、提案をさせていただいているところでございます。
  53. 大西健介

    ○大西(健)委員 今確認したように、最終的に持ち出されてしまったときには、その国で育成者権を主張しようと思えば、UPOV条約によって登録しなきゃいけない。  では、UPOV条約に加盟していなかったらその保護はできないわけですから、このUPOV条約の加盟国をふやしていくという努力が私は必要だというふうに思いますが、外務省においてそのような努力をどのようになされているのか、最後にお聞きしたいというふうに思います。
  54. 松浦博司

    松浦政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、UPOV条約は、植物新品種の権利者の権利保護のために非常に重要な条約となってございます。  我が国も、これまで多くの国にUPOV条約、とりわけUPOVの一九九一年改正条約、これが最新のものでございますけれども、これへの加入を呼びかけてございまして、具体的には、例えば経済連携協定EPA交渉等を通じて働きかけております。  例えば、TPP11でございますとか、日・チリ経済連携協定、日・EU経済連携協定、あるいは日・インドネシア経済連携協定、これらにつきましては、EPA交渉を通じまして、相手国のUPOV一九九一年改正条約上の義務の履行を確保する規定を設けてきているところでございます。
  55. 大西健介

    ○大西(健)委員 時間になりましたので、終わりたいと思います。
  56. 松本剛明

    松本委員長 次に、阿久津幸彦君。
  57. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 立国社会派、立憲民主党の阿久津幸彦でございます。  まず初めに、議題となっております条約について二問質問させていただきたいと思います。  今回、六カ国との条約締結について承認を求めるわけでございますけれども、これらの条約締結によって我が国の外交上期待される国益とは何でしょうか、お尋ねします。
  58. 茂木敏充

    茂木国務大臣 租税条約締結することによりまして、日本企業にとっては、二重課税除去が図られる、そして進出国における課税所得の範囲が明確になることなどを通じて、海外事業展開法的安定性であったりとか予見可能性が高まることになります。また、租税条約締結は、脱税租税回避防止を通じて、二国間の健全な投資経済交流促進に資するものでありまして、どっちかがタックスヘイブンになったりなんかしたら、これは健全とは言えないんだと思いますから、こういう形をとることによって、健全な投資経済交流促進に資するものと考えております。  政府としては、相手国との経済関係我が国経済界からの要望、租税条約締結改正から生じ得る効果といった観点を踏まえて、新規の租税条約締結や既存の租税条約改正に引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  59. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 今回、六カ国同時に承認を求めるわけですけれども、ウズベキスタン共和国との条約締結に関して、現行の租税条約の全面的改正というふうに、ちょっとほかの国々との条約締結の説明とは異なる表現がございました。恐らく、旧ソ連時代との関係かなとは思うんですが、その理由と背景についてお尋ねします。
  60. 宇山秀樹

    宇山政府参考人 お答え申し上げます。  ウズベキスタンは、ソ連崩壊に伴う独立後に日本とソビエト連邦の間の租税条約を承継しておりまして、現在、日本ウズベキスタンの間では、この日ソ租税条約が適用されております。  今般審議いただいております日・ウズベキスタン租税条約は、この日ソ租税条約ウズベキスタンとの関係で全面的に改めるものでございまして、その点でほかの五カ国との条約とは異なります。  現行の日ソ租税条約は、一九八六年に発効したものでございまして、近年我が国締結したほかの租税条約の例に比しまして、例えば投資所得に対する限度税率が高いといった課題がございます。そのため、日本ウズベキスタン両国政府におきまして、この現行の条約を全面的に改正する必要性を認識いたしまして、OECDモデル租税条約の内容を基本とする改正を行う、そういう趣旨でございます。
  61. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。  残余の時間を使いまして、新型コロナウイルス感染症に関連して、外交上と思われる問題について質問させていただきたいというふうに思います。  まず、在外邦人と在留外国人の問題について少しお話をしたいと思うんですが、在外邦人の国別の感染者数及び死亡者数というのは、おおよその数で結構なんですけれども、把握をされていらっしゃいますでしょうか。
  62. 大隅洋

    大隅政府参考人 お答え申し上げます。  海外における邦人の新型コロナウイルス感染者については、感染者を国籍ごとに発表していない国もあり、あくまで在外公館として把握できている範囲でお答えしますと、五月十四日時点で、海外で新型コロナウイルス感染症への感染が確認された邦人の方は九十三名、うち七名が亡くなられたと承知しております。  これら在外邦人の感染者数につきましては、国別や地域別の内訳も承知しておりますが、これ以上の詳細な情報については、個人のプライバシーや御家族の方々にも配慮し、回答を差し控えさせていただくことを御理解いただければと存じます。  政府としては、これまでも、海外で邦人の感染が確認された場合、邦人保護の観点から、当該邦人や現地当局と緊密に連絡をとりつつ、御家族への連絡等必要な支援を行ってきており、今後ともそのような支援を行ってまいりたいと存じます。
  63. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 海外でコロナに感染して亡くなるというのはどんな気持ちなのかなというふうに、私も本当に感じます。海外で新型コロナウイルスに感染して、大変残念ながらお亡くなりになられた日本人の方々に心から哀悼の意を表するとともに、御冥福をお祈り申し上げたいというふうに思います。  続きまして、日本の在留外国人の感染者数、死亡者数がわかれば教えていただきたい。質問の趣旨としては、同時期の日本人の感染者数、死亡者数と比較して、重症化した患者の割合に差異が見られるかちょっと調べたいんですけれども、いかがでございますでしょうか。
  64. 小島敏文

    ○小島大臣政務官 お答えいたします。  新型コロナウイルス感染症につきましては、感染症法に基づく医師の届出において、国籍の記載は求められておりません。厚生労働省におきましては、在留外国人の感染者数及び死亡数は把握いたしておりません。  他方、現在、PCR検査を実施し感染が確認された場合には、国籍にかかわらず全て報告を求めるとともに、積極的疫学調査によりまして濃厚接触者を把握することとしております。  いずれにしましても、引き続き、感染拡大を防止するための対策を進めてまいります。
  65. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 実は、この質問質問通告して、法務省さんの方で最終的に在留外国人ということで把握されていないかということを何度かお尋ねしたんですけれども、今の御説明いただいた理由も含めて、数字がないということでございました。  実は、私的には、新型コロナウイルスの感染拡大というのはある種の災害だと考えております。  災害対策の基本は、社会的弱者への配慮、インクルーシブ防災という言葉もございますけれども、障害者の方々とか高齢者の方々、子供、女性、あるいは貧困の方々、LGBTQ、延長線上には在留外国人も、日本語がうまく、必ずしもフルーエントに話すことができない在留外国人の方々も含まれているんだというふうに思います。  各国はどうしているのかということで申し上げれば、いろいろな民族を抱えていて、それを分析しながら、メディアも含めてその状況を報告されています。  例えばイギリスでは、人口に占めるマイノリティーの割合に比してコロナ死亡率、重症化率が高く、社会問題にマイノリティーの方々がなっています。特にイギリスでは、アジア系、人口割合七・五%、それに対してコロナ重症化率は一四・四%、二倍です。それから、黒人は、人口割合三・三%、コロナ重症化率は何と四倍、一一・九%でございます。ちなみに、白人の場合は、人口比率でいえば八六%ですけれども、六六・四%の重症化率にとどまっているということでございます。  国を変えると更にいろいろな状況がありまして、米国の首都ワシントンでは、亡くなった方の八割が黒人ということで、これまた社会問題化しているのは御存じのとおりでございます。  私は、こういう、さっきの政務官のお話は、外国人だからといって分け隔てしないという趣旨だと思うんですけれども、一方で、当然治療するときには、データとして外国人ということを認識して治療もされていて、説明も丁寧にされていると思うんです。そういう情報を私はやはり吸い上げていくような発想もいただければありがたいなと思いますが、一言ございますか。
  66. 小島敏文

    ○小島大臣政務官 お答え申し上げます。  今後、日本において外国人の労働者の方々がたくさん入っていらっしゃる、そういう中でしっかりと、実は、感染症法を見ますと、その規定がないんですよ。ないんですけれども、やはり今後のことを考えて、そういうことも留意してやってまいりたいと考えております。
  67. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。  次の質問に移ります。  新型コロナウイルス感染症における国及び行政機関のさまざまな支援策が出ているわけなんですけれども、在留外国人も対象となるのかまず伺った上で、対象となるのであれば、その内容について理解が十分でない在留外国人を多く見受けるのですが、国として何らかの対応をしているのか、あるいは、都道府県、市町村による在留外国人への支援策の説明の実態を国として把握しているのか伺いたいと思います。
  68. 丸山秀治

    丸山政府参考人 お答え申し上げます。  いろいろコロナの関係支援がございまして、その全てについて、ちょっと外国人があるかどうか、個別まで全て把握しているわけではございませんが、法務省におきましては、外国人生活支援ポータルサイトにおきまして、特別定額給付金を始めとする関係省庁が実施されております各種生活支援策の多言語版についてリンクを張るなどして紹介するとともに、適宜情報を地方公共団体等に提供しているところでございます。  また、地方公共団体が運営されております外国人向けの一元的相談窓口で、新型コロナウイルスに関する情報提供などを行うために特別な体制をとられることを支援するため、外国人受入環境整備交付金の運営経費の交付限度額を倍額まで増額する措置を実施しているところでございます。在留外国人から一元的相談窓口に生活支援策についてのお問合せがあった場合には、同相談窓口において情報提供を行っていただいているものと認識しております。  さらに、現在、法務省におきまして、各省庁が実施されております新型コロナウイルス感染症の影響に対する支援策のうち、外国人及び外国人受入れ機関も対象となるものに関する情報を今取りまとめ中でございまして、今後、速やかに外国人生活支援ポータルサイトにおきまして、易しい日本語版とともに掲載し、周知を図ってまいりたいと思っております。
  69. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ほかの省庁の実態など、お答えできるところはありますか。
  70. 小島敏文

    ○小島大臣政務官 繰り返しになりますけれども、確かに、我が国に在留する外国人の方々に対して、こうした新型コロナの感染におけることについて、厚生労働省といたしましてもしっかりと支援をしていくことは重要であるというふうに考えています。  その中で、在留外国人の方々に対する情報提供につきましては、国内の発生状況や感染拡大防止、厚生労働省の支援策を始めとする厚生労働省ホームページで記載をいたしております。あるいはまた、英語とか中国語等、情報発信を行っているということでございます。  同時に、労働法令に基づきまして、休業手当や助成金が日本人、外国人にかかわらず適用される点につきましてもしっかりと、先ほど話があったように、易しい日本語や十四言語をもって周知をしているところでございます。  さらに、生活支援策を順次、多言語での周知を予定しておりまして、引き続き、外国人への情報提供体制を強化してまいります。
  71. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。  今までの答弁で、在留外国人の方々にも大方、日本人と同じような支援が受けられるということがわかったと思うんですけれども、ちなみに、各地域での在留外国人に対する我が国国民の対応というのは非常に温かいものがございます。よくわからない方々に丁寧に教えたり、一緒に書いてあげたり、そういうのが各地域で行われているのは、私たち日本人としては誇らしいというふうに思うんですけれども、実態だけでいうと、一律十万円の特別給付金は、まだわかりやすいからできそうだと。持続化給付金は、ちょっとハードルが高いなと言っている方々、在留外国人の方々が多いです。それから、雇用調整助成金になると、日本人でも難しいわけですから、まず社労士に相談するところまでができない、そこまで行き着かない。  先ほど厚生労働省さん、法務省さんからの事例でもありましたけれども、やはり東京都は大きいだけあって、感染拡大防止協力金について英語、中国語、韓国語、易しい日本語で周知していて、特にこの易しい日本語は平仮名で書いてあって、ここにコンタクトをとりなさいという外国人の方への窓口紹介がされているんですね。これをできるだけこういった緊急時の問題ではやっていただけるとありがたいな、日本のイメージが海外的にももっとよくなるなというふうに考えていることをお伝えして、次の質問に移らせていただきます。  一つ飛ばしまして、新興国、途上国への支援について伺いたいというふうに思います。  新興国、途上国の新型コロナウイルス新規感染者数が、五月上旬に一日五万人を超えました。先進国を上回ったわけでございます。一方、新興国からの資金流出がとまらない。四月末までに域外に流出したマネーは約一千億ドル、約十・七兆円です。リーマン・ショックの約四倍ということで、急速な通貨安が新興国債務を更に拡大されているというふうに思うんですが、新興国、途上国のリスク軽減に向けて日本にできることは何か、その取組を伺いたいと思います。
  72. 中山展宏

    中山大臣政務官 お答え申し上げます。  済みません、食料危機のおそれの件で……(阿久津委員「食料危機ではなくて、金融状況の話なんです」と呼ぶ)まず財務省の方から……(阿久津委員「IMF、国際通貨基金とかですね、日米欧の」と呼ぶ)出していますね。そうですよね、失礼しました。
  73. 茂木敏充

    茂木国務大臣 新興国もそれぞれでありますが、特に財務状況が悪い国におきましては、日本もそうでありますが、債務のリスケというのがどうしても必要になってくるのではないかなと思っておりまして、国際協調の中で債務のリスケを進めていく、これが一番優先的に必要なことなのではないかなと思っております。  同時に、そういった中で、そういった国々もさまざまなコロナ対策のための対応が必要でありまして、それに必要な施設をつくったりとか機材を購入したり、これを日本としては特に途上国につきましては無償で提供する、こういったことも含めて対応していきたい、こんなふうに考えているところであります。
  74. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 さすが茂木大臣、瞬間にさばかれたんですが。  まさに今おっしゃった債務のモラトリアムが一番鍵を握るというふうに考えております。ぜひ、IMF、国際通貨基金や、IIFというんでしょうか、国際金融協会、あるいは日米欧の中央銀行との情報共有、連携等を緊密にしていただいて、新興国、途上国がデフォルトすると、御存じのとおり我が国にも大きな、世界的にも多大な影響を与えますので、これを事前に防ぐような精いっぱいの努力をお願いしたいというふうに思います。  次の質問に移ります。  途上国を巻き込んだ世界的食料危機のおそれについて中山政務官の方にお伺いしたいと思うんですが、外務省としてどのような認識を持っているのか、国際協調への取組を伺いたいというふうに思います。
  75. 中山展宏

    中山大臣政務官 お答え申し上げます。  四月二十一日付の国連食糧農業機関、FAO、国際農業開発基金並びに世界銀行、そして国連世界食糧計画、WFPによる共同ステートメントにおいて、感染拡大が食料のサプライチェーン全体に支障を来し、世界の食料安全保障、特に最貧国の人々の生活を打撃することになる旨が指摘されております。途上国の食料安全保障の確保に向けた対応が重要と認識しております。  こうした状況を踏まえ、我が国は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の懸念を踏まえた支援として、国連食糧農業機関を通じた栄養状態改善や食料供給の回復、強化のための支援として約一・二億円の拠出を決定しております。  このほか、我が国は、三月に、国連世界食糧計画に対して、新型コロナウイルスの感染が拡大していたイランにおける食糧支援等を行うために約七・七億円を拠出しており、早くから国際協力を進めてきているところであります。  いずれにせよ、我が国としては、途上国を始めとする世界の食料安全保障の確保に向けて、政府開発援助による支援を始めとして引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
  76. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。  WFP、世界食糧計画の推計によると、二〇二〇年度、食料不足が二億六千五百万人と推計されております。恐らくこれにコロナの感染症の拡大の影響は完全には組み込まれていないと思いますので、もっと恐ろしい数字になるかもしれません。先ほどちょこっと出ましたけれども、我が国のODAを通じても、ぜひ多角的に、NGOなども活用しながら、できる限りの人道支援をしていただきたいというふうに思っております。  先日の質問の中で、同僚の山内康一委員が、保健医療の問題でNGOが活躍の余地があるんじゃないかということで、大臣からもいい答弁をいただいたと思うんですけれども、ちょっと余談になるんですが、外務省管轄のNGOというのは非常に大きな役割を国内外で果たしているというふうに私は考えております。  海外で難民支援とか自然災害において活躍するのは御存じのとおりなんですけれども、東日本大震災、特に以降ですね、国内の災害でも、ジャパン・プラットフォームという枠組みの中で、自然災害系のNGOが出動して、大変大きな役割を果たした。  海外での知見を国内の災害防災というところで持ってきているんですね。例えば、災害支援の国際基準、スフィアスタンダードということを国内の避難所の基準として使えないかどうか、内閣府の防災などでも検討されたようですし、そういったことも含めて、これからも、もちろん国内での活動はNGOは自分で民間資金を集めてやっているわけでございますけれども、そういうことを含めて、これから更に戦略的にNGOをお使いいただければありがたいなというふうに思っております。  大臣、一言ございますか。大丈夫ですか。
  77. 茂木敏充

    茂木国務大臣 先日も山内委員質問にお答えをさせていただいたんですが、例えば、日本として国際機関にさまざまな拠出をするとしても、本当のラストワンマイルといいますか、そういったところの各地域の皆さん、住民の皆さんへのデリバリーというものをかなり大きな割合でNGOの方が担っていただいている。また、さらに、本当にそこでどういったものが必要なんだろうか、こういったことを考えたときに、やれ救急車が必要なのか、それともきれいな水が必要なのか、そういったことに対して一番ニーズを的確に把握されているのもNGOだと、そのように考えておりまして、政府としても、しっかりNGOとも連携をしながら、本当に相手方が必要としている、そういった支援物資が、確かに、そして早く現地に届くように努めてまいりたいと思います。
  78. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。  一方で、ちょっと懸念していること等をお聞きしたいと思うんですが、中国を始め、米国、EU諸国までもが、マスク、ゴーグル、消毒液や防護服などの医療物資の輸出規制を行っています。世界貿易機関、WTOは、七十二の加盟国が医療物資の輸出制限措置をとったことを認めております。これは、もちろん御存じのとおり、一九九四年に制定された国際ルールの関税貿易一般協定、ガットの輸出入制限禁止の例外事項に規定されておりますので、根拠はあるわけなんですけれども、我が国の基本姿勢として、自由貿易体制の維持や重要性世界に粘り強く説いて、こういうときだからこそ、命にかかわるサプライチェーンの世界的なセーフティーネットの構築を働きかけるべきだと思いますが、いかがでございますでしょうか。
  79. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず事実関係と、そこの中での日本の考え方、そんな感じで整理してお話をしたいと思うんですが、阿久津委員も御案内のとおり、ガットで、第十一条一項におきまして数量制限の一般的廃止を定めておりますが、同条二項において、食糧その他輸出締約国にとって不可欠な産品の危機的な不足を防止し、又は緩和するために一時的に課する輸出禁止制限は許容されている。さらに、ガット第二十条は、人の生命又は健康の保護のために必要な措置をとることを許容している。こうなっておりますが、これを盾に何でもやっていいということにはならないんだと思います。  今回、新型コロナへの対応のために各国がこういった措置をとる場合、それは限定的に採用されるべきとのメッセージが、G20であったりとかWTOを始めとする国際フォーラムにおいても累次発出をされておりまして、我が国としても、こうした措置は限定的であること、また一時的なものにする、このコロナがおさまるまでの一時的なものにする、こうすべきだと考えております。  引き続き、国際社会と連携して、これによって変に保護主義が進むのではなくて、きちんと自由貿易体制が維持できる、こういった取組を進めていきたいと思っています。
  80. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。  大臣から、コロナが終わるときまでの一時的なという言葉を、非常に重く受けとめたいというふうに思っております。  次に、中国外交についてお尋ねしたいと思うんですが、新型コロナウイルスの感染症をめぐる中国の外交について、その外交姿勢が先進各国から反発を招いている。ドイツ、フランスからは、中国の発生源に関する情報公開の不備を指摘。オーストラリアのモリソン首相も、中国の初動のおくれを念頭に置いた上で、ウイルスの起源などについて国際調査を行うべきと主張されています。EUや米国は更に手厳しくて、EUのミシェル大統領は、中国はにせ情報を拡散し、自国への非難を避けようと活動と、欧州対外活動庁報告書の中で述べています。  新型コロナウイルスの感染症拡大における中国の初動対応を含む姿勢をどのように評価されているでしょうか。
  81. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今週、米国、さらには、今お話のあった豪州を始め七カ国の外相とテレビ会議を開かせていただきましたが、コロナ対策の中で、この初動の問題、一つの非常に大きな問題として出てまいりました。  オーストラリア・ペイン外務大臣あたりも相当厳しい発言をしていたわけでありますし、さらには、ディスインフォメーション、間違った情報にどう対応していくか、こういった点も重要だというところで認識を一致したところでありますが、新型コロナウイルスについて、中国から発生したこと、これは明らかでありますが、その発生源であったりとか初動対応について、国際社会において今さまざまな議論が行われているところでありまして、今回のような世界全体に甚大な影響を与える感染症については、自由、透明、そして迅速な形で各国が持っている情報や知見が共有されることが重要でありまして、それがおくれることによって感染が更に広がっていくという危険も高まっていくんだと思います。  我が国としては、今後の同様の事態に備えるためにも、国際社会が連携して、この事態がある程度収束した後に、その発生源であったりとか初動対応の問題点、さらにはWHOの機能が十分発揮されていたか等々について徹底的な検証が行われるべきである、そして、その検証も、できる限り独立性を持った機関によって行われるということが重要だ、こんなふうに考えております。
  82. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 非常に丁寧にお答えいただいて、ありがとうございます。  私もそのとおりだと思っておりまして、主張すべきは主張して、指摘し続けなければいけないこともあるんだと思います。その上で、客観的に、第三者的に検証がしっかりと各国で行われれば、今回のコロナウイルスからの学びというものを後々共有できるというふうに考えております。  次の質問に移ります。  地球規模課題についてお伺いしたいと思うんですが、大臣は、所信の中で、在外邦人及び日本人旅行者の安全確保及び支援と、世界各地の日系人社会との連携強化が含まれていることは申し上げるまでもありませんというふうに、まとめの部分でこういう文言を使われていて、私は、はっと、非常に期待したんですが、大臣所信でのこの力強い表現の真意を伺いたいと思うんです。  今般の新型コロナウイルスの世界的感染拡大に際して、特に我が国の初動対応において、在外邦人や日本人旅行者の安全確保及び支援について十分に目的を達成することができたのか、その取組は先ほど結構詳しくお話しされていましたけれども、を含めて、自己評価を伺いたいと思います。
  83. 茂木敏充

    茂木国務大臣 海外に渡航、滞在する邦人の保護は外務省にとりまして最も重要な責務の一つでありまして、今回のコロナウイルス感染症、こういう大きな課題に直面して、その重要性は更に高まっていると考えております。  感染症の世界的な広がりによりまして、世界各地では、国境閉鎖、外出禁止措置等がとられて、邦人旅行者等が行動の制約を受けるといった事例や、航空便、これが突然に運航停止になりまして、出国や帰国をできない、こういう邦人も多数あらわれてきたわけであります。  外務省としては、私の指揮のもと、領事局、各地域局、そして関係する在外公館が一体となりまして、出国や帰国を希望してもそれができない邦人が早期に帰国できるように、さまざまな取組をしております。  まず、御案内のとおり、中国の武漢において、さまざまな規制、移動規制がなされる中で、世界に先駆けて合計五回のチャーター機を運航して、武漢以外に居住されている方も含めて、湖北省に在留し帰国を希望されていた全ての邦人、七百二十名の帰国が実現いたしました。  その後も、各国の在外公館を通じて、現地政府、航空会社への働きかけ、調整、チャーター機の他国との共同利用、韓国であったりとか、さまざまな国とやっております。帰国希望者の取りまとめ、そして空港への移動の支援など、さまざまな支援を行ってきたわけであります。  これらの支援によりまして、臨時商用便とか民間チャーター機の運航等が実現いたしまして、これまでに、世界各国から、出国が困難な国から、約九千四百名の邦人が出国又は日本に帰国をいたしました。  今後とも、外務省として、今、国別にどれくらい希望される方がいるか、かなりアフリカなんかでも減ってきています。一桁にほぼなってきていますが、国ごとにどういった出国手段が最もふさわしいのか、また邦人の方々がどういう希望をされているのか等々を踏まえて、邦人の安全であったりとか帰国手段の確保に向けてしっかりと対応していきたいと思っております。  先日も、アフリカですとエチオピアのアディスアベバからしか飛行機が飛ばないということで、いろいろな国にいる、十五の国にいる数名ずつの邦人の人を十のルートでまずアディスアベバに集めて、そしてアディスアベバから日本に帰国する、こういう複雑なオペレーションをやらせていただいたり、さまざまな工夫をしながら、希望する邦人の帰国、そして現地に残られる方についても、その安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。
  84. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。  在外邦人の方々にも、常に、私たち本国からも気にかけているということをぜひお伝えいただければありがたいと思っております。  最後に、済みません、もうクイックで、外務省が取り組むビジネスと人権について伺いたいというふうに思います。  二〇二〇年二月に外務省がビジネスと人権に関する行動計画原案を発表し、パブリックコメントを求めております。SDGsの目標達成に向けて、ビジネスと人権に関する国際的な要請の高まりと行動計画に対する外務省の期待をごく手短にお答えいただければと思います。
  85. 中山展宏

    中山大臣政務官 お答え申し上げます。  国際的に企業に対する人権尊重を求める声が高まる中、国連人権理事会でビジネスと人権に関する指導原則が支持をされ、またSDGsの目標達成に当たり、人権の保護、促進は重要な要素と位置づけられていることから、日本としてもビジネスと人権に積極的に取り組む必要があると考えております。  このため、ビジネスと人権に関する関係府省庁間の政策の一貫性確保や連携の強化を促すため、外務省取りまとめのもと、関係府省庁が協力して、ビジネスと人権に関する行動計画策定に委員指摘のとおり取り組んでいるところであります。  行動計画では、企業に対し、ビジネスと人権に関する一層の理解促進や意識の向上、また人権尊重の取組の強化を促すよう調整しております。企業における人権の保護、促進は、企業への信頼、評価を高め、海外からの投資の呼び込みに資することから、行動計画の策定は日本企業の国際競争力強化や持続可能性の確保にも寄与すると考えております。まさにESG投資を喚起するとも考えております。  引き続き、関係府省庁と連携して、行動計画の策定やその実施にしっかりと取り組んでまいるよう努めてまいりたいと思います。
  86. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。  私は、緊急事態宣言というのは、先ほど大臣もおっしゃったとおり一時的なもので、コロナ後のことを、回復できるように常に見通しながら考えなくてはいけないと考えております。  企業は、当面、生き残りもかけた戦いをしなければなりませんけれども、人権とか社会貢献を意識するあるべき姿を常に念頭に置いて進んでいただきたいと思いますし、私たち国民も、もちろん政治家も、役人も、民主主義の回復ということをコロナ後については常に意識していかなければならないということを最後に申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  87. 松本剛明

  88. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。どうぞよろしくお願いします。  初めに、租税条約について質問をいたします。  今回の六つの租税条約では、これまでの条約と同様に、株式から生じる配当、信用に係る債権から生じる利子、著作権や特許権などの使用料について、源泉地国での課税を当該国の法令に従って軽減又は免除する措置が定められております。例えばウズベキスタンとの条約の場合、日本の親会社がウズベキスタンにある子会社から受ける配当を見ると、現行一五%の課税が行われていたものが、条約の改定後は五%に軽減されることになります。  財務省に伺いますが、日本では親会社が外国子会社から受け取る配当には益金不算入制度が適用される場合があります。この制度の概要を簡潔に説明していただけますか。
  89. 安居孝啓

    安居政府参考人 お答えいたします。  外国子会社配当益金不算入制度でございますけれども、この制度は内国法人が外国子会社から受け取る配当に対しまして国際的な二重課税を排除するための方式として国際的に広く採用されているものでございまして、我が国でも、企業の配当政策の決定に対する税制の中立性等の観点から、平成二十一年度税制改正において導入されたものでございます。  制度の中身を申し上げますと、原則といたしまして、内国法人の持ち株割合が二五%以上かつ保有期間が六カ月以上の外国子会社から受け取る配当につきまして、その配当額の九五%相当額を、当該内国法人の課税所得の計算上、益金不算入とする制度でございます。
  90. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 要するに、今の説明ですけれども、持ち株割合が二五%以上の外国子会社からの配当である場合は、日本の親会社には受け取った九五%の配当に税金がかからないということであります。これでは、日本の大企業とその海外子会社は、当該国での外資優遇税制の利益を十二分に受けつつ、かつ租税条約によって源泉地国での課税が劇的に軽くなり、税制優遇を二重三重に享受することになります。  日本貿易会などでつくる国際課税連絡協議会、これが昨年九月に政府に出した要望では、租税条約締結促進とともに、外国子会社配当益金不算入の対象を現行の九五%から一〇〇%に拡大するよう求めております。持ち株割合についても、現行二五%以上の要件を二〇%に引き下げるよう要求しております。  今回の条約では、既にペルージャマイカで二〇%、ウルグアイで一〇%の保有割合となっています。これを見ても、今回の租税条約というものは、財界の要求に応え、国際課税分野での大企業優遇税制を国内外で一層拡大強化するものであることは明らかであり、私たちとしては容認できません。このことを指摘して、次の質問に移りたいと思います。  在日米軍駐留経費について伺います。  資料を配付していただきました。  私ども日本共産党は、毎年、予算委員会のたびに、予算委員会の要求資料の中で、在日米軍駐留経費の総額や内訳の資料を外務省から御提出いただいております。  一枚目、この一枚目は昨年二月に提出されたものですが、1で「総額および各省庁分の内訳」として、防衛省や他省庁の計上額、土地の借料の試算額、これらを合わせた総計が書かれております。二〇一八年度は総計五千八百二十一億円となっています。ここには書かれておりませんが、それ以外にSACO関連経費や米軍再編関係経費を合わせたら、在日米軍関係経費では八千二十二億円に上ります。  ところが、今回から、同じ資料が提出されておりません。二枚目を見ていただきたいと思いますが、「一 在日米軍駐留経費」のところは、「提出不可」、このようになっているんですね。  外務省に伺いますが、これまで毎年提出されてきた資料が、なぜ突然提出不可になったんですか。
  91. 鈴木量博

    鈴木政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘の在日米軍駐留経費に関する資料につきましては、この在日米軍駐留経費負担の中におきまして、日本側が負担している経費は全て防衛省を始めとする関係各省におきまして個別の予算要求を行っており、外務省の予算要求としては一切計上されていないところ、本年度、外務省としては取りまとめの作業を行わなかった次第でございます。  いずれにしましても、本件は、従来、外務省が便宜的に取りまとめを行ってきたものでございますが、今申し上げましたとおり、外務省の予算が一切含まれていないこと、また同時に、防衛省におきましてホームページ等で同様の予算額が公表されていること、こうしたことを踏まえまして、外務省として同じ取りまとめ作業を行う必要はないと判断した次第でございます。  以上です。
  92. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 余りにも身勝手過ぎる話じゃないですか。  在日米軍の駐留経費というのは、外務省の所管事項そのものですよね。日本側の負担状況をベースにして、外務省が五年ごとにアメリカ政府交渉しているわけですよ。だから、各省庁に計上された予算額を、防衛省だけじゃないですよ、それを取りまとめて国会に提出するのに最もふさわしい省庁は、これは外務省じゃないですか。ふだんから、日米同盟だ、日米同盟だ、このように繰り返しているわけですから。だから、これまでは取りまとめて提出してきたわけであります。  なぜ、自分が負担していないから、こんな身勝手な理由で提出しないことにしたんですか。誰の判断ですか、こんなの。
  93. 鈴木量博

    鈴木政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘いただきましたとおり、我が国は、昭和六十二年度以降、日米安保体制に不可欠な在日米軍の円滑かつ効果的な運用を確保するために、その時々の日米両国を取り巻く諸情勢に鑑み、日米地位協定により米側に負担義務がある経費の一部につきまして、同協定の特則である特別協定締結し、負担してきております。この部分につきまして、外務省が、特別協定でございますので、所管官庁であることは言うまでもございません。  他方におきまして、予算上の資料ということで提出されている資料でございましたので、外務省の予算は一切含まれていないこと、また同時に、在日米軍駐留経費日本側負担において大宗を占めます防衛省におかれて、ホームページ等で同様の予算額が公表されていることから、同じ取りまとめ作業を行う必要はないというふうに判断した次第でございます。
  94. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 だから身勝手というんですよ。  防衛省だけじゃないでしょう、在日米軍駐留経費を担当しているのは。どこかが取りまとめなければいけない。その取りまとめる役割というのは外務省じゃないですか。こんな基本的な資料さえ提出されなくなるということは、あってはならないと思います。この場で、総額と各省庁分の内訳、明らかにしていただけますか。
  95. 鈴木量博

    鈴木政府参考人 お答え申し上げます。  令和二年度予算におきまして、在日米軍駐留経費負担として計上されております額は千九百九十三億円と承知しております。また、在日米軍駐留経費に係る関係の予算は、各省においてそれぞれ計上しているところでございますが、防衛省が公表している資料によりますれば、二〇一九年度について、防衛省分が三千八百八十八億円、防衛省以外の関係他省庁分として、基地交付金等が四百十一億円、提供普通財産借り上げ試算が千六百四十一億円であり、これらの総額は五千九百四十億円であるというふうに承知しております。
  96. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 聞かれたら答えられるじゃないですか。まとめているんじゃないですか。  大体、日米同盟に関する、皆さんが誇りとしている日米同盟に関する予算でしょう。それを、各省庁にまたがっているから、それを取りまとめるのは外務省だと、誰が見たって思うんじゃないですか。外務省に無理な仕事を押しつけているわけじゃないですよ。  公文書は、主権者国民の共有の財産、民主主義の根幹を支えるものだという認識が、やはり欠落していると思います。駐留経費について、国民自身が考え、そして判断するための基礎資料です。これを見て、私のように反対と言う人もいるでしょう。これを見て、適切に日米同盟に貢献していると言う人もいるでしょう。そういう資料というのは、提出するのが当たり前ですよね。  外務大臣に伺いますが、大臣の指示で、これまでの対応を改めさせて、従来どおり資料が提出されるようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  97. 茂木敏充

    茂木国務大臣 従来も、この資料を拝見しますと、衆議院の予算委員会に、要求を受けまして、こういった資料を提出しているということになっていると思います。  委員会の方で御議論いただきまして、必要な資料等々がありまして、出せるものがありましたら提出させていただきます。
  98. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 衆議院の予算委員会に提出資料として求めることは一番大事なことでしょう。予算委員会で日米間の駐留経費のあり方を議論するものですからね。これは、予算委員会、委員会において決めるものではないと思います。外務省が従来どおり提出するということを、やはり大臣の方から指示していただきたいと思います。恥ずかしいですよ。こんなふうに資料を人に見せないようなやり方をとるのは、余りにもこそくであります。  これだけじゃないんですよ。アメリカ側の負担額、これも問題であります。  一枚目の資料を見ていただきたいんですが、アメリカ側の負担額は、「二〇一〇年度は約五十三億ドル、」このように書かれています。「二〇一一年度以降については現時点では不明。」このようになっているんですね。  何で、米軍の負担、不明なんですか。
  99. 鈴木量博

    鈴木政府参考人 お答え申し上げます。  二〇一一年度までは、米側から、米側が試算し公表してきた在日米軍駐留経費に係る米側負担額の情報提供がございました。外務省としては、この情報提供に基づき米側負担額を提出してきた次第でございます。その後、二〇一一年度以降は、米側から日本側に対しこのような情報が提供されなくなりましたことから、予算委員会の資料要求に対し、外務省として情報提供することが困難となった次第でございます。
  100. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 日本政府は、アメリカ側の負担額がどれだけなのかを知らないということで、米側の負担額がどれだけなのか、それも認識しないで、日米間の負担割合がどうなっているのかを把握しないまま、新たな特別協定交渉に臨もうとしているということですか。そういうことですか。
  101. 鈴木量博

    鈴木政府参考人 お答え申し上げます。  いかなる情報に基づいて交渉するのかという点と、米側がいかなる情報を対外公表するのかというのは別問題と考えておりますが、いずれにせよ、次期交渉を行う際には、厳しさを増す安全保障環境、我が国の厳しい財政状況等を踏まえて適切に対応していくこととなると考えております。
  102. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 日本における米軍の駐留経費の米軍負担分がわからない、国民はわからないけれども、今の北米局長の言いぶりだと、いかなる資料を公表するかどうかはアメリカにかかっているという話ですが、外務省は知っているわけですね、アメリカの負担分。
  103. 鈴木量博

    鈴木政府参考人 お答え申し上げます。  アメリカが公表している数値としましては、二〇〇四年版米国防省の報告書、共同防衛に対する同盟国の貢献に対する統計概要というものがございまして、この中で、米軍駐留経費の日本負担割合として七四・五%というのが計上されていると承知しております。
  104. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 これから皆さん、特別協定交渉を始めようというわけですよね。私たちは反対ですけれどもね。交渉の前提を欠いていると思います。  政府はいつも、駐留経費は適切に分担されている、このような説明を聞かされてまいりました。ところが、米軍駐留経費について、相手側の負担額も知らないのに、なぜ、日本側の負担は適切に分担されている、こんなふうに言えるんですか。
  105. 鈴木量博

    鈴木政府参考人 お答え申し上げます。  繰り返しになって恐縮でございますが、先ほども申し上げましたとおり、いかなる情報に基づいて日米間で交渉するのかという点と、米側がいかなる情報を対外公表するのかというのは別次元の問題だというふうに考えている次第でございます。
  106. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 あなた方は交渉当局です。日本側が地位協定に基づく負担、それから思いやり予算に基づく負担、それに加えて米側が負担しなければいけない予算の総額、それによって在日米軍基地がどんなふうに強化され、国民にどんな被害を与えているのかというのは日々チェックしなきゃいけないと思います。そして、それが適切だと一方で言うわけですよ。  私は、こんな国民に説明しないやり方で、しかも、アメリカが説明しなければ、アメリカが説明しないと言っていますよとこんな資料を出して、これからの交渉、大丈夫なんですか。私は、今の態度は交渉以前の問題だと思います。これも、外務大臣、直ちにアメリカ側に負担額を明らかにさせるべきだと思いますが、いかがですか。
  107. 茂木敏充

    茂木国務大臣 恐縮なんですが、先生とかなりアプローチ、私は交渉については違うと思います。  まず、日米安全保障体制のもとでの米軍の日本への駐留、これは当然、日本の平和、安全に資するものでありまして、また地域の安定に資するものであります。赤嶺先生のように、どういう害を出すのか、こういう発想でやる交渉ではありません。  どういった形で日本の国民の安心、安全を守っていくか、そのためにはどのような機能が必要であるか。そして、それは全て米軍がやるわけではありません。日本の自衛隊もやるわけでありまして、どういった役割分担をしていくか、また、米軍の経費についてもどう役割分担をしていくか、こういうアプローチの中で解決されるべきものだ、こんなふうに思っております。
  108. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 私、今、茂木大臣と私の立場の違い、アプローチの違いを問題にしているわけではないんですよ。  とにかく、在日米軍基地の負担割合について、米軍がどれだけ負担しているか。過去にはちゃんと報告も出していた。ところが、今は出さなくなっている。これで適切な負担割合という説明の根拠、出てこないじゃないですか。一方的に負担させられているということになるかもしれませんよ。  それから、やはり茂木大臣は、ここは余りきょうは議論しませんが、それによって国民がどんな被害を受けているかということも念頭に置いていただきたいと思いますが、私はきょうはこれを問題にしているんじゃありません。こういう……(茂木国務大臣「私はそういうふうに言っていないですよ。逆ですよ。先生のことを言ったんですよ」と呼ぶ)いや、だから、私はそういうことを今問題にしているんじゃないんですよ。  ただ、アメリカ側の負担割合、日本側の負担割合という場合に、アメリカが在日米軍基地でどれだけ負担しているかというのを数字でわからないと適切な負担割合って説明できないんじゃないですか、茂木大臣
  109. 茂木敏充

    茂木国務大臣 結果的にはそういうところに持っていくんですが、まず、日本を取り巻く安全保障環境、これが変化をしてきております。  どのような脅威があるのか、こういったことをきちんと見きわめる。さらには、安全保障の対象というものが、従来型のものからサイバー、宇宙、新たな領域に広がって、その脅威が拡大している。こういった環境認識を持った上で、どういった防衛力を持つ必要があるんだろうか、こういう議論から入らなかったら、ただ単に、幾ら持ちますという話ではないんです、そこは。その上で議論をして、最終的にはそれぞれがどう役割をするか、そのためにはどれだけの費用がかかって、その費用分担をどうするか、こういうアプローチをしなければ、正しい姿には私はならないと思います。
  110. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 ちょっともう時間がないのであれですが、ただ、トランプ大統領はことしの特別協定の予算について日本に大きな期待を抱いていて、シンゾウはよく自分の言うことを聞いてくれるという絶賛の中で、やはりどんなふうになっていくのか。宇宙、サイバーの話じゃないですよ、在日米軍基地の話ですよ。ここでの米側の負担についてもきちんと明らかにするよう求めたいと思います。  それから、やはりコロナのこういう時期に思いやり予算をふやすようなことがあってはならない、このように思います。  緊急に、沖縄県の伊江村で伊江島補助飛行場の問題が起こっております。  きのうきょうの地元紙の報道で、米軍が伊江島補助飛行場内で滑走路や離着陸帯の改修工事を進めていることがわかりました。  防衛省、工事の概要を明らかにしていただけますか。
  111. 青木健至

    青木政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の工事につきましては、米軍から、既存の滑走路及び附帯施設の損傷、劣化が著しいため、本年二月下旬から六月下旬にかけまして補修工事を実施する旨の連絡を受けております。
  112. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 いやにあっさりした説明ですけれども。  報道によると、改修工事について、伊江村には沖縄防衛局から情報提供があったものの、沖縄県にはなかったとされています。むしろ、滑走路補修工事周辺に赤土が積まれていて、それが流出したら伊江島の海が汚されてしまうという不安が議会に伝えられ、議会の側から視察しに行こうということで、米側が議会やそういうものを認めたということになっているそうですが、ただ、防衛局は何で沖縄県にはそういう情報提供をしなかったんですか。
  113. 青木健至

    青木政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の工事は、既存の施設の安全性を確保するための補修工事と認識しておりますけれども、施設・区域外の粉じんや騒音の可能性を考慮いたしまして、伊江村へ二月二十一日に情報提供いたしました。また、沖縄県につきましても、五月十二日、問合せに対して工事概要の説明を行っております。  今回、沖縄県より情報提供を求められたことも鑑みまして、米軍による工事について得られた情報につきましては、今後、沖縄県に対しましても幅広く提供していきたいというふうに考えております。
  114. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 時間が来ましたけれども、終わりますけれども、今の伊江島での工事が更に伊江島の訓練を激化させていく、そういうことにもつながるし、情報提供がきちんとやられていないということは大いに問題だと思います。引き続き、問題提起していきたいと思います。  終わります。
  115. 松本剛明

    松本委員長 次に、杉本和巳君。
  116. 杉本和巳

    ○杉本委員 維新の杉本和巳です。  きょうは、通告は新型コロナウイルス関連と租税条約ということでさせていただいていますが、まずもって租税条約の方を先に質問させていただきたいと思います。  先ほど、与党の委員の方ほか、GAFAの問題あるいはBEPSプロジェクトのお話とかございました。私も同じ問題意識は共有させていただいています。これは質問ではないんですけれども、問題意識としてぜひ皆さんに共有いただきたいと思うのは、やはり、私の知り合いで、GAFAの日本法人に勤めていらした方が最近職を離れられました。そして、彼から伺ったところだと、大分日本法人が空洞化して、ひょっとすると租税回避的な動きをしているのではないかというようなことを言っておりましたので、こういった動きを注視し、諸外国と連携して、それこそ二重課税防止しなきゃいけないんだけれども、二重課税しなきゃいけないのではないかというような、ちょっと言い方は難しいですけれども、やはり、こういった巨大な企業群とどう我々は国家の運営として立ち向かっていくかという問題意識は共有いただきたいと思います。  さて、租税条約の方を先に質問させていただく中で、ベーシックな質問。先ほど岡本委員から締約国の数あるいは地域というようなことで質問があって、御答弁がもうありました。それで、七十六カ国、百三十八の国と地域と、そして額ベースで見てだったかと思いますけれども、九九%カバーできているんですよという御答弁があったかと思いますけれども、ちょっと裏返した質問になるかと思いますが、現在、日本が認めている国は百九十五カ国と聞いておりますが、逆に、租税条約締結できていない国、地域の数というのは百九十五マイナス七十六なのか、あるいは百九十五マイナス百三十八なのか、どっちなのかなと今お話を伺いながら思ってしまったんですけれども、そういった国への今の投資の状況と、あるいはそれらのいわゆる締結できていない国々との二重課税の回避、脱税回避、租税回避防止策はいかなる状況にあるのか、改めて確認させてください。
  117. 松浦博司

    松浦政府参考人 お答え申し上げます。  我が国対外直接投資額の九九%をカバーしておるというものは、租税関連条約全てでございますので、七十六の租税関連条約でカバーされている国、すなわち百三十八カ国・地域ということになります。
  118. 杉本和巳

    ○杉本委員 御答弁、もう一度確認ですが、その国々で、更に加えて伺ったのは、それらの国々との、締結できていない国々に対する二重課税回避、脱税防止租税回避の防ぐことはどんな形でなされているかを、ちょっと御答弁をお願いします。
  119. 松浦博司

    松浦政府参考人 失礼いたしました。  締結できていない国との関係では、基本的には我が国国内法を通じて二重課税除去するということになってございます。  例えば法人の場合であれば、我が国の法人税法には、国際的な二重課税除去することを目的といたしまして、外国で納付した外国法人税額を、控除限度額の範囲内ではありますけれども、我が国の法人税額から控除する、そういうことを認める規定が設けてございます。  これは、必ずしも租税条約相手国となっている国における法人税だけではなくて、全ての外国の法人税について認められるものでございますので、この百三十八カ国を除く国々についても、二重課税除去する観点からは、除去できる制度が整っているということでございます。
  120. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございます。  もう一点、ベーシックな確認をさせていただきたいんですが、今回の条約対象国が、アルゼンチンウルグアイペルージャマイカといった中南米の国々との条約承認という部分がありますが、ベーシックな資料の中に、アルゼンチンウルグアイが加盟、ペルーが準加盟となっているラテンアメリカのメルコスールという、関税同盟に値するものかと思いますけれども、これがあるというふうに伺いました。  関税同盟なのか、このメルコスールについての効果、評価、問題点を、経済的な面を中心に、今どんな状況で把握されているかを確認させてください。
  121. 吉田朋之

    吉田政府参考人 メルコスールについてお尋ねをいただきました。  メルコスールは、御指摘のように関税同盟でございまして、一九九五年にアルゼンチンウルグアイ、パラグアイ、ブラジルの四カ国で発足をしております。そもそもの加盟国にはベネズエラそれからボリビアもございましたけれども、ベネズエラについては二〇一六年から資格停止中、それからボリビアについては加盟手続がまだ続いている、こういう状況でございますので、現在この四カ国で関税同盟をつくっております。これがカバーしますのは、人口約二億六千四百万人、GDP規模におきましては約二・五兆ドルと大変大きな経済規模になっております。  御指摘いただきましたペルーにつきましても、ボリビア、チリ、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、スリナムなどとともに準加盟国ということで、メルコスールとの関係を深めております。  関税同盟といたしましては、対外共通関税の設定、それからこの域内四カ国での関税撤廃、これを進めて経済的な連携を強化しておりますとともに、域外の国との間でも貿易の自由化を推進しております。例えば、メルコスールは、昨年六月にEUとの間で自由貿易協定に大筋合意をしておりますし、現在もカナダそれから韓国といった国々との間で交渉を行っております。アジアの諸国との関係強化にも意欲を示しているというふうに承知をしております。  一方におきまして、域内関税におきまして、関税同盟とはいいながら、一部品目に関税が撤廃されていないとか、あるいは対外共通関税においても国ごとに例外品目を設けているというようなことでございまして、関税同盟としての統合も道半ばという状況でございます。  このメルコスールの加盟国につきましては、ブラジル経済の自由化を志向しております。それから、構造改革に取り組んでおられます。一方におきまして、アルゼンチンにつきましては、昨年発足した新政権が、現行の域外とのFTA交渉につきましては、債務交渉であるとか、あるいは新型コロナの感染拡大で悪化した国内経済対策、これに注力をしたいというような姿勢を示しているという状況でございます。  いずれにおきましても、メルコスール諸国は、このように大きな市場であるとともに、世界最大の日系社会を抱えて伝統的な友好関係にある国々が構成国になっておりますので、日本政府といたしましても、メルコスールとの貿易投資関係の強化というのは重要であるというふうに認識をしております。  このような観点から、政府としては今後、メルコスール、その加盟国の情勢、動向、対外政策については注視をしていきたい、このように思っております。
  122. 杉本和巳

    ○杉本委員 丁寧な御説明、ありがとうございます。  ぜひ注目をし、また日本の貿易が活発になるような方向感を持っていただきたいとお願いをしておきます。  次に、COVID―19のことについて、ちょっと大臣の御答弁をいただけるまでいかないかもしれませんが、ある書籍を読んでいましたら、エボラ出血熱のとき、実は二〇一四年の九月に国連安保理が、国際平和と安全の脅威として、このエボラに対して緊急物資や人員の提供を加盟国に求める決議を全会一致でしております。  先ほど大臣は、テレビ会議主要国などと情報交換なりをされているというふうに伺いました。発症の問題だとかいろいろあるとは思うんですけれども、特に、先ほど質疑の中で阿久津委員質問されていました債務のリスケとか、そういった世界全体を、地球儀を俯瞰する外交として、地球を俯瞰する外交と言われる方もいらっしゃいますけれども……(発言する者あり)委員長もおっしゃっているんでしたか、済みません、またひっかかっちゃいましたけれども、国連安保理の決議等も今後は視野に入れておいていただく必要があるのではないかということをちょっと冒頭述べさせていただきつつ、大臣に対する質問はもう時間がなくなりましたけれども、最後、一問だけ伺います。  日本は、大分、チャーター機のことをしていただいたりとかで、水際対策が結構機能して今日を迎えているのではないかと思っています。そういった意味で、国々によってまちまちで、その感染の拡大の状況、ロシアがふえていっているとか、そういった状況がある中で、やはり水際対策を引き続き徹底していただくことが極めて重要だと思います。  そんな意味で、この感染症危険情報のレベル、これを一つの水際対策の柱として、今は、外国からの入国拒否とか入国の禁止とか、航空会社が助言して搭乗させないとかいった形で、海外から入ってくる方を本当に防いでくださっているというふうに認識しています。  そんな中にあって、このレベルを今後下げていくというのは極めて慎重であるべきかなとも思っているんですけれども、この点について、どういった科学的な、統計的なことを含めて判断をされるのか。いわゆる俗的に言う、よく言われる総合的に勘案するのではなくて、キーファクターを何に置くのかといった点もきちっと公開して、整理して、お願いしておきたいと思いますけれども、この点について大臣の御答弁をいただければありがたいです。
  123. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、感染症の危険情報の発出でありますが、これは、むしろ邦人が海外に行った場合また滞在している場合、どの程度の危険があるかということを中心に、その国、地域で感染の拡大状況がどうなっているか、移動制限の状況がどうであるか、医療体制が整っているか、また、在留邦人や渡航者の数がどれぐらいいるか、さらには、国際機関や主要国がどういう対応ぶりをしているか、そういったことを総合的に勘案して危険情報を出しているわけでありまして、現在、世界の百の国・地域に対してレベル3、ですから渡航中止勧告というのを出しておりまして、世界残りの全ての国に対してはレベル2という形でありますから、渡航自粛勧告という形にしているわけであります。  順次上げてきたわけであります。そして、レベル2に上げる、レベル3に上げるのと大体同時に、国内の水際措置、例えばパスポートを発給しないとか、さらには、レベル3になりますと、外国人の入国を拒否する、レベル3の国は、そういったものをとってきたわけであります。  今後、まず日本が終息に向かうということが大前提でありますが、幾つかの国でかなりおさまってきている、感染者がこの一週間、一カ月、ゼロという国もあるわけであります。そういった国との、言ってみるとビジネス上の往来とかいうのは復活する動きというのが今後出てくるんだと思います。恐らく、そういった必要不可欠な人の移動、そして次の段階では一般の方々の移動、そういうレベルを踏まなければならない。  同時に、国によっても、ある程度感染症がおさまっていて、日本に入国をしても、その人からうつる危険性というのは極めて少ない、そういった国からスタートをするということで考えたいと思いますが。  現在、まず国内での感染をとめる、そして海外の状況をもう少ししっかり見きわめる段階でありまして、その後、ある意味緩和に向けてどういうアプローチをとっていくかということを検討したいと思っております。
  124. 杉本和巳

    ○杉本委員 長くなりました。終わります。ありがとうございました。
  125. 松本剛明

    松本委員長 次に、井上一徳君。
  126. 井上一徳

    ○井上(一)委員 井上一徳です。よろしくお願いいたします。  日本租税条約締結している国は全部で七十六ということでございましたけれども、二〇一七年の数字なので変動はあると思いますが、中国が百三、韓国は九十六ということですので、やはり日本はまだまだこの租税条約のネットワークを拡充する余地があると思いますし、更に力を入れていっていただきたいと思います。  その点を指摘した上で、きょうは、日本の国際協力の大きな柱である国際協力機構、JICA、これについて質問をさせていただきたいと思います。  JICAは、当然のことながら、我が国の国際協力の本当に大きな柱でありまして、途上国において活躍していただいて、日本の評判を高めるためにも非常に貢献していただいていると思います。  そのJICAですけれども、やはり新型コロナウイルスの影響によって活動が大きな影響を受けていると思うんですが、一時帰国をさせているということも聞いていますけれども、どのような今影響があるのか、教えていただきたいと思います。
  127. 本清耕造

    ○本清参考人 お答え申し上げます。  新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けまして、三月中旬から、脆弱な勤務環境にある海外協力隊、また、一部の国を除き専門家等についても一時帰国をさせていただいているところでございます。  また、現地事務所の職員についても状況に応じて人数を減らしてきておりますが、相手国政府とのネットワークや事業基盤維持のため、引き続き任国に残り活動を続けているところでございます。
  128. 井上一徳

    ○井上(一)委員 ちょっと時間もないので私の方から説明すると、JICA関係者の一時帰国はあるんですけれども、今なお現地にも滞在しておられて、JICAの日本人職員約三百名を始め、五百人が現地で業務を継続している、本当に厳しい状況の中で業務を継続しているということでございます。  そういった残っておられる方々が、新型コロナウイルスの感染の拡大の防止とか、そういうところに日夜、今努力されていると思うんですけれども、今残っておられる方々がどういう活動をしておられるのか、御説明いただきたいと思います。
  129. 本清耕造

    ○本清参考人 御質問いただいた点につきまして、現在、約六百名が現地に残って業務を続けているところでございます。事務所の所長、次長以外にも、専門家の方についても、原則一時帰国されるということになっておりますが、感染の場合の適切な治療が確保できるなどの条件を満たす一部の国におきましては、職員同様に活動を続けております。  これらの関係者の安全確保に最大限留意しつつ、各国支援ニーズを踏まえて、途上国において、脆弱な保健システムの協力を含めて、できる限りの活動を進めているところでございます。
  130. 井上一徳

    ○井上(一)委員 令和二年の補正予算の中でも、途上国の感染拡大防止のためのJICA予算、十九・五億というのがございます。これらを使って、どういうような活動を今後考えておられるのか、御説明ください。
  131. 本清耕造

    ○本清参考人 お答え申し上げます。  JICAとしましては、先般お認めいただきました令和二年度第一次補正予算、交付金を用いまして、今先生御指摘のとおり、途上国における感染症拡大防止、予防のための技術協力、医療、保健、衛生分野を中心に、我が国企業の海外展開を後押しするような支援を実施する予定でございます。
  132. 井上一徳

    ○井上(一)委員 皆さん御承知のとおり、やはり海外での感染を終息させなければ、日本経済の回復も絶対ありませんし、それから来年のオリンピックの開催もこれはできないと思います。  そういう意味で、非常に厳しい状況の中でJICAの皆さんが今なお業務を継続されているということに感謝をし、敬意も表したいと思います。力強く御支援させていただきたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  133. 松本剛明

    松本委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  134. 松本剛明

    松本委員長 これより各件に対する討論に入ります。  討論の申出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君
  135. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、日本アルゼンチンウルグアイペルージャマイカウズベキスタンモロッコとの間の租税条約に反対の立場から討論を行います。  六つの租税条約は、これまでの租税条約と同じく、投資所得に対する源泉地国での課税限度税率を軽減又は免除する措置を講じています。これは、日本の大企業とその海外子会社が、外国税額控除方式や外国子会社配当益金不算入制度により当該国での外資優遇税制の利益を十二分に受けつつ、本条約によって源泉地国での課税が劇的に軽くなるなど、税制優遇措置を二重三重に享受することを可能とするものであります。  日本経団連は、かねてより租税条約について、投資所得にかかわる源泉地国課税を軽減することは、海外からの資金還流及び国内における再投資という好循環の実現に資すると主張し、政府に対し、締結国の拡大による租税条約ネットワークの充実を求めています。  また、日本貿易会など国際課税連絡協議会は、租税条約締結促進とともに、外国子会社配当益金不算入制度の対象を現行の九五%から一〇〇%に拡大するよう求め、持ち株割合についても、現行二五%以上の要件を二〇%に引き下げるよう要望しています。  こうしたもとで、本租税条約は、ペルージャマイカなどとの間で二〇%、ウルグアイとの間で一〇%の持ち株割合とすることを定めており、本条約が、財界の要求に応え、国際課税分野における日本の大企業優遇税制を国内外で更に拡大強化するものであることは明らかであります。  以上を指摘し、討論といたします。
  136. 松本剛明

    松本委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  137. 松本剛明

    松本委員長 これより採決に入ります。  まず、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国アルゼンチン共和国との間の条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  138. 松本剛明

    松本委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ウルグアイ東方共和国との間の条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  139. 松本剛明

    松本委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ペルー共和国との間の条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  140. 松本剛明

    松本委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ジャマイカとの間の条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  141. 松本剛明

    松本委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国ウズベキスタン共和国との間の条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  142. 松本剛明

    松本委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税除去並びに脱税及び租税回避防止のための日本国モロッコ王国との間の条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  143. 松本剛明

    松本委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 松本剛明

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  145. 松本剛明

    松本委員長 次回は、来る二十日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十五分散会